説明

車携帯アダプタ

【課題】車携帯アダプタにおいて、車携帯アダプタの複数個所にアンテナを保持するアンテナ保持部と、車携帯アダプタにアンテナ保持具が保持される複数個所のアンテナ取り付け部と、を有し、アンテナ保持部は、複数個所のアンテナ取り付け部のいずれかに取り付けられ、取り外し可能である車携帯アダプタの提供。
【解決手段】車携帯アダプタ6において、車携帯アダプタの複数個所にアンテナを保持するためのアンテナ保持部7を設け、車携帯アダプタ6にアンテナ保持具が保持される複数個所のアンテナ取り付け部9を有し、アンテナ保持部7は複数個所のアンテナ取り付け部9のうちいずれか一方に取り付けられ、取り外し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内又は屋外等で使用している携帯無線機を車内で使用する場合に、使い勝手が良いように車内専用の車載無線機用の車携帯アダプタを設ける発明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載無線機の使用形態は、例えば特許文献1のように、バッテリを収納した可搬ケースに携帯無線機を入れることにより、ケースを持ち歩いて車から離れた現場で使用することができる例がある。また、車載無線機は、車内に携帯無線機を持ち込んだ後、車携帯アダプタに固定し、車専用の車載無線機として利用することができる方法もある。このように、携帯無線機が車携帯アダプタに取り付けられる場合には、携帯無線機のアンテナを車内に取り付けられた専用のアンテナに付け替えて使用することができるため、携帯無線機に取り付けられているホイップアンテナは不要となる。そのため、ホイップアンテナを一時的に携帯無線機から取り外し、車内の任意の場所に置いておくか、使用者が衣類のポケット等に入れて保管していた。
【0003】
しかしながら、ホイップアンテナの保管方法によっては、車の振動により車内で紛失したり、ポケットに入れたまま忘れてしまうことがあったりするため、車内の車携帯アダプタに取り付ける方法が取られるようになった。このように、アンテナを不特定の場所に置いたり個人で所持していると、紛失や忘れてしまうおそれがあるが、固定の車携帯アダプタに取り付けることができれば、紛失や忘れ防止となる。
【0004】
従来の車携帯アダプタの使用方法を図1〜図3を参照して説明する。従来技術のひとつとして、図1に示すように、車携帯アダプタ1に、ケーブルクランプ3を貼付け、携帯無線機より取り外したホイップアンテナ2を取り付けて固定する。尚、ケーブルクランプ3は、一般にテープやマジック等の粘着材質のものを使用する。しかしながら、図1に示す構造では、構造的にはシンプルであるが、経年変化で粘着力が低下して、車携帯アダプタから剥れてしまうという問題があった。
【0005】
また、図2、図3に示すように、車携帯アダプタ4のケースにアンテナ保持部5を一体成形する方法がある。この方法の場合、図1のような、ケーブルクランプ3の剥れの問題は解消できるが、ケース成形時に形状的なバランスにより成形が難しく、製作時の歩留が悪化する恐れがある。また、使用中に万一アンテナ保持部5が想定外の外力で破損してしまった場合、ホイップアンテナ2を保持することができなくなり、車携帯アダプタ4のケースを含めた交換作業が発生し、保守性が悪化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−274302
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、車携帯アダプタにケーブルクランプを貼付け、ホイップアンテナを取り付けて固定する構造では、経年変化で粘着力が低下して剥れる問題がある。また、車携帯アダプタのケースにアンテナ保持部を一体成形する場合、ケース成形時に形状的なバランスにより成形が難しく、製作時の歩留が悪化する恐れがある。また、使用中に万一アンテナ保持部が想定外の外力で破損した場合、ホイップアンテナを保持することができないため、車携帯アダプタのケースを含めた交換作業が発生し、保守性が悪化する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明では、車携帯アダプタにおいて、車携帯アダプタの複数個所にアンテナを保持するアンテナ保持部と、車携帯アダプタにアンテナ保持具が保持される複数個所のアンテナ取り付け部と、を有し、アンテナ保持部は、複数個所のアンテナ取り付け部のいずれかに取り付けられ、取り外し可能であることを特徴とする車携帯アダプタ。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、車携帯アダプタにおいて、車携帯アダプタの複数個所にアンテナを保持するアンテナ保持部を取付けることができ、取外しが容易な車携帯アダプタのアンテナ保持構造とすることにより、アンテナ保持部の取外しが容易なため、欠けたり割れたりといったように破損した場合にもアンテナ保持部の交換や修理を容易に行うことができる。これにより、従来技術の一体形成構造と比較して、保守性が向上する。また、アンテナ保持部(アンテナホルダ)をケースと別部品にすることにより、車携帯アダプタの複数個所にアンテナホルダを取り付けることが可能となる。その結果、車携帯アダプタを取り付ける車両の取り付け部形状に対応して使用者の希望に応えやすいアンテナ保持部構造とすることができる。さらに、部品製作の面においては、ケースとは別部品として分けて製作することができ、部品製作時の作りやすさを向上させ、歩留が改善する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来技術の携帯アダプタにアンテナ保持部を取り付ける図の正面図、側面図、平面図
【図2】従来技術の携帯アダプタにアンテナ保持部が一体形成された図の正面図、側面図
【図3】従来技術の携帯アダプタにアンテナ保持部が一体形成された図の断面図
【図4】本発明の携帯アダプタにアンテナ保持部を取り付ける図の正面図と側面図
【図5】本発明の携帯アダプタにアンテナ保持部を取り付ける図の断面図
【図6】本発明の携帯アダプタにアンテナ保持部を取り付ける図の背面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る実施例を、図4〜図6により説明する。図4は、本発明の携帯アダプタ6にアンテナ保持部を取り付ける図の正面図と側面図である。図5は、本発明の携帯アダプタ6にアンテナ保持部を取り付ける図の断面図である。図4、図5に示すように、携帯無線機より取り外されたアンテナ(ホイップアンテナ)を保持する車携帯アダプタ6のアンテナ保持部は、車携帯アダプタ6に対して別部品のアンテナホルダ7に対応しており、アンテナホルダ7は爪によるロック構造にて取り付ける。図4、図5に示すように、車携帯アダプタ6の右側と右側の側面にアンテナ取り付け部に対応する取り付け穴9を設け、爪による取り付けを実現している。ホイップアンテナ2は、一本のみのため、車携帯アダプタ6の左側又は右側のどちらか一方にのみアンテナホルダ7を取り付ければよい。そのため、反対の側面の取り付け穴9は不要となるので、キャップ8を取り付けて取り付け穴9を塞ぐようにする。
【0012】
続いて図6は、本発明の携帯アダプタにアンテナ保持部を取り付ける図の背面図であり、アンテナ保持部の取り付け穴の拡大図を含むものである。図6に示すように、車携帯アダプタ6を取り付ける車両の取り付け部形状に対応して、使用者の希望によりアンテナホルダ7の取り付け面を変更したい場合があることを想定し、アンテナホルダ7が取り外し可能なように車携帯アダプタ6のカバー10の取り付け穴9下方にカバー切欠部11を設ける。カバー10は、板金により製作され、基板などの電子回路(図示せず)を取り付け、車携帯アダプタ6の蓋としての役割も果たす。カバー切欠部11は、アンテナホルダ7やキャップ8の爪が存在する場所に設置する。つまり、カバー切欠部11には、アンテナホルダ7を取り付けるためのアンテナホルダ取り付け用爪12およびキャップ8を取り付けるためのキャップ取り付け用爪13を設ける。これにより、アンテナホルダ取り付け用爪12およびキャップ取り付け用爪13を、マイナスドライバー等の汎用工具を用いて外し方向に押すことにより、アンテナホルダ7及びキャップ8を取り外すことが可能となる。
【0013】
以上より、本発明は、車携帯アダプタにおいて、車携帯アダプタの複数個所にアンテナを保持するアンテナ保持部と、車携帯アダプタにアンテナ保持具が保持される複数個所のアンテナ取り付け部と、を有し、アンテナ保持部は、複数個所のアンテナ取り付け部のいずれかに取り付けられ、取り外し可能であることを特徴とする車携帯アダプタについての発明である。
【0014】
好ましくは、アンテナ保持具は、車携帯アダプタの右側と左側とのどちら側にも取り付けることが可能であり、用途に応じて適正な部位に取り付けることを特徴とする。これにより、車携帯アダプタを取り付ける車両の取り付け部形状に対応して使用者の希望に応えやすい部位にアンテナ保持部を設置でき、使用者の希望通りの構造とすることができる。
さらに好ましくは、アンテナ保持具を取り付けない側面のアンテナ取り付け部には、穴を閉じるためにキャップを設けることを特徴とする。これにより、アンテナ保持具を取り付けない側面のアンテナ取り付け部に埃が溜まって故障したり、漏電したりすることを防止することができ、穴に衣類等が引っかかって破損することを防止できる。
さらに好ましくは、アンテナ取り付け部の底面カバーに取り外し工具を使えるようにするための切り欠き部を設けて、該切り欠き部内に爪を設け、アンテナ保持具の取り外しを容易に行うことができるようにしたことを特徴とする。
尚、本発明は、粘着性の材質のように剥がれやすいわけではないため、強度が高まる。
【0015】
1:車携帯アダプタ(従来機1)、2:ホイップアンテナ、3:ケーブルクランプ、4:車携帯アダプタ(従来機2)、5:アンテナ保持部、6:車携帯アダプタ(本発明)、7:アンテナホルダ(アンテナ保持部)、8:キャップ、9:取り付け穴(アンテナ取り付け部)、10:カバー、11:カバー切欠部、12:アンテナホルダ取り付け用爪、13:キャップ取り付け用爪


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車携帯アダプタにおいて、
該車携帯アダプタの複数個所にアンテナを保持するアンテナ保持部と、
前記車携帯アダプタに前記アンテナ保持具が保持される複数個所のアンテナ取り付け部と、
を有し、
前記アンテナ保持部は、前記複数個所のアンテナ取り付け部のうちいずれかに取り付けられ、取り外し可能であることを特徴とする車携帯アダプタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−160246(P2011−160246A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20935(P2010−20935)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】