説明

車載器

【課題】多数の楽曲の中から自動車メーカに関わりのある楽曲を抽出するのに好適な車載器を提供する。
【解決手段】複数の楽曲データと、各楽曲データに関連付けられた、少なくとも自動車メーカとの関係を表すメーカ情報を含む所定の楽曲情報を管理する楽曲情報データベースと、該車両の走行速度を検出するための車速パルスを出力する車速パルス出力手段と、該出力された車速パルスを監視し、その監視結果に基づいて該車両のメーカを特定するメーカ特定手段と、該特定されたメーカに基づいて楽曲情報データベースを検索し、その検索結果として、当該メーカと一致するメーカ情報に関連付けられた楽曲情報を得る楽曲情報取得手段とを具備した車載器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル符号化された楽曲データをデコードして楽曲を再生することが可能な、車両に搭載された車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、HDD(Hard Disk Drive)等の容量の大きい記憶媒体を備えた車載器が広く普及している。このような車載器は、例えばCD(Compact Disc)等に記録されている楽曲を所定の形式に応じた楽曲データ(例えばMP3等)にエンコードしてHDDに取り込む。HDDの容量が大きいため、車載器は、例えば数千曲の楽曲データを保持することができる。
【0003】
上記のように車載器が多数の楽曲を保持している場合、その中から所望の楽曲を探し出すことはユーザにとって煩雑且つ困難な作業である。このような問題を解消すべく、例えば下記特許文献1には、ユーザの嗜好を総合的に判断して楽曲検索を行う車載器が開示されている。下記特許文献1によれば、多数の楽曲の中からユーザの嗜好に合致した楽曲を抽出して再生することが可能な車載器が提供される。
【特許文献1】特開2002−114107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ユーザによっては例えば車両運転中に自動車メーカに関わりのある楽曲を聴取したいという要望がある。しかし、上記特許文献1に記載の車載器では楽曲の再生履歴を参照してユーザの嗜好を判断し、その判断に基づいて楽曲検索を行う。つまり、上記特許文献1における楽曲検索は、楽曲再生がある程度行われていることを前提としたものである。従って、例えば上記特許文献1に記載の車載器を購入した当初に自動車メーカに関わりのある楽曲を聴取したい場合、ユーザは、結局は多数の楽曲の中からそれに該当する楽曲を探し出す必要があり、困難且つ煩雑な作業を強いられることになる。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、多数の楽曲の中から自動車メーカに関わりのある楽曲を抽出するのに好適な車載器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る車両に搭載された車載器は、デジタル符号化された楽曲データをデコードして楽曲を再生することが可能なものに関する。この車載器は、複数の楽曲データと、各楽曲データに関連付けられた、少なくとも自動車メーカとの関係を表すメーカ情報を含む所定の楽曲情報を管理する楽曲情報データベースと、該車両の走行速度を検出するための車速パルスを出力する車速パルス出力手段と、該出力された車速パルスを監視し、その監視結果に基づいて該車両のメーカを特定するメーカ特定手段と、該特定されたメーカに基づいて楽曲情報データベースを検索し、その検索結果として、当該メーカと一致するメーカ情報に関連付けられた楽曲情報を得る楽曲情報取得手段とを具備したことを特徴としたものである。
【0007】
このように構成された車載器によれば、車両のメーカを容易に特定して楽曲検索を実行でき、多数の楽曲の中から自動車メーカに関わりのある楽曲を容易に得ることが可能である。
【0008】
なお、上記車載器は、例えば該車両の位置情報を定期的に取得する位置情報取得手段と、該定期的に取得される位置情報に基づいて該車両の走行速度を推定する走行速度推定手段とを更に具備したものであっても良い。この場合、上記メーカ特定手段は、該推定される走行速度が所定値に達したときの車速パルス出力手段で検出される単位時間当たりの車速パルス数に基づいて、該車両のメーカを特定することが可能な構成であっても良い。
【0009】
また、上記車載器は、例えば楽曲情報取得手段によって取得された楽曲情報に基づいてプレイリストを作成するプレイリスト作成手段を更に具備したものであっても良い。
【0010】
上記車載器は、例えばプレイリスト作成手段によって作成されたプレイリストに基づいて楽曲を再生することが可能な構成であっても良い。
【0011】
また、上記車載器は、例えば楽曲データ再生中に、当該楽曲データに関連付けられた所定の楽曲情報を表示する楽曲情報表示手段を更に具備したものであっても良い。
【0012】
また、例えば楽曲情報取得手段による検索結果として何れの楽曲情報も得られない場合、上記車載器は、その旨を表す所定のエラーメッセージを楽曲情報表示手段に表示させることが可能な構成であっても良い。
【0013】
また、上記車載器は、例えば部端末と通信するための通信手段を更に具備したものであっても良い。この場合、該所定の楽曲情報は、例えば通信手段を介して該外部端末が保持するCDDB(CD DataBase)から取得した情報であっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多数の楽曲の中から自動車メーカに関わりのある楽曲を抽出するのに好適な車載器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態の車載器の構成及び作用について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態の車載器100の構成を示したブロック図である。車載器100は、移動体である車両に搭載された機器であり、例えばユーザを目的地に案内するためのナビゲーション用アプリケーションを実装したものである。以下、「車両」は車載器100を搭載した車両であるものとする。
【0017】
車載器100は、制御部1、GPS(Global Positioning System)レシーバ2、HDD5、入力部6、表示部7、ROM(Read Only Memory)8、DRAM(Dynamic Random Access Memory)9、SRAM(Static Random Access Memory)10、VRAM(Video Random Access Memory)11、ユーザインタフェース12、画像処理部13、通信部14、オーディオ部15、及び、スピーカ16を具備する。制御部1はシステム全体を統括的に制御するよう動作する。車載器100の各構成要素は制御部1の制御下で各種処理を実行する。
【0018】
GPSレシーバ2は、地球を周回する複数のGPS衛星の幾つかを捕捉・追尾する。そして、捕捉・追尾中に受信される各GPS衛星からのGPS信号を用いて位置測位を行い、車両の現在位置情報を得る。また、定期的に取得される現在位置情報に基づいて速度測位を行い、車両の走行速度の情報を得る。GPSレシーバ2は、得られた測位(以下、便宜上「GPS測位」と称する)結果を制御部1に送出する。
【0019】
制御部1は、車両に備えられたジャイロセンサ3及び車速センサ4に接続されている。ジャイロセンサ3及び車速センサ4は、周知のデッドレコニング(Dead Reckoning、以下、「DR」と略記)用のセンサである。ジャイロセンサ3は、車両の方位に関する角速度を計測し、その計測結果を制御部1に出力する。また車速センサ4は、当該車両の左右の駆動輪の回転速度を検出してその平均速度に応じた車速パルス信号を生成して制御部1に出力する。なお、説明の便宜上、これらのセンサ出力を「DRセンサ出力」と記す。
【0020】
入力部6はユーザ・オペレーションを成すためのものであり、例えば車載器100のフロントパネル(不図示)に設置されたメカニカル式の入力キーである。或いは、ユーザインタフェース12と赤外線通信を行うことによりユーザ・オペレーションを実現させるリモートコントロール機器(不図示)である。例えば電源スイッチは入力部6を構成する一要素である。
【0021】
表示部7は例えばナビゲーション用画面や楽曲情報等を表示するためのものである。この表示部7で表示される画像は画像処理部13により生成される。附言するに、表示部7は例えば感圧式又は静電式等の周知のタッチ・パネルであり、入力手段を兼ねている。入力部6又は表示部7が操作されると、それに応じた信号がユーザインタフェース12を介して制御部1に入力する。そして制御部1は、ユーザ・オペレーションに対応した処理が実行されるよう各構成要素を制御する。
【0022】
HDD5には、例えば車載器100がナビゲーション用アプリケーションを実行する際に必要とする地図データベースや検索データベースが格納されている。また、ROM8には、例えば周知のナビゲーション機能を実現するためのプログラムや各種データ等が格納されている。また、DRAM9やSRAM10は、例えばHDD5やROM8に格納されているプログラムやデータの展開先である。制御部1は、例えばHDD5やROM8に格納されているプログラムを読み出して、DRAM9やSRAM10の所定領域に展開して実行させる。これにより、例えばナビゲーション用のアプリケーションが動作して、ナビゲーション機能が実現される。なお、SRAM10は電源オフ時にバッテリバックアップされており、そのメモリ内容を保持することができる。またVRAM11は、表示部7に表示される画像を保持するための画像用メモリである。
【0023】
ここで、GPSレシーバ2からのGPS測位結果及び各センサからのDRセンサ出力を受け取った際の制御部1の処理について説明する。
【0024】
制御部1は、各センサが出力したDRセンサ出力に基づいてDR測位演算を行い、車両の進行方向及び移動距離を得る。次いで制御部1は、演算したDR測位結果及びGPS測位結果と、夫々の測位結果に対する誤差推定値とを比較する。そして、この比較結果に基づいて、高精度と判定される測位結果を選択し、選択された測位結果をマップマッチングする。また、制御部1は、各測位結果に基づいてHDD5の地図データベースを検索し、現在位置周辺の地図画像データを抽出する。次いで、この抽出された地図画像データに車両の現在位置を示す自車位置マークが重畳表示されるよう画像処理部13を動作させる。
【0025】
なお、ここでいうマップマッチングとは、表示部7に表示されている地図中の道路から外れた位置に自車位置マークが表示される等の誤差を補正することを示す。マップマッチングを行うことによって自車位置と地図との整合性が取れ、ユーザは自車の現在位置を正確に把握することができる。マップマッチングは、ナビゲーションの実行に拘わらず常時行われている。
【0026】
ある目的地に向けてナビゲーションするようにユーザ・オペレーションが成されたとき、制御部1は、ナビゲーション用のプログラムをROM8から読み出して例えばDRAM9に展開する。次いでHDD5の地図データベースを読み込み、且つ、測位結果に基づく現在位置情報及び設定された目的地の情報を参照して、例えば周知のダイクストラ法により経路検索を実行する。そして、最適と判断される経路を検索結果として得る。制御部1は、例えば得られた経路や当該経路に関する種々の情報が表示部7に表示中の地図に重畳表示されるよう画像処理部13を動作させる。これにより、表示部7にナビゲーション情報を含む各種情報が出力されて表示される。
【0027】
ここで、HDD5には、地図データベースに加えて、例えば数千曲の楽曲データが格納されている。この楽曲データは所定の形式にデジタル符号化されたものであり、例えば光ディスク等の記憶媒体から取り込んだものであったり、通信部14を介してネットワーク上のサーバ(例えばCDDB)等からダウンロードしたものであったりする。オーディオ部15は周知の構成を有したものであり、HDD5に格納されたこれらの楽曲データをデコードしてスピーカ16に出力するよう動作する。これによりスピーカ16で楽曲が再生され、ユーザは様々な楽曲を車内で楽しむことができる。
【0028】
HDD5には、更に、各楽曲データに関する情報を蓄積した楽曲情報データベースMUDB及びプレイリストPLも格納されている。ここで、図2に、楽曲情報データベースMUDB及びプレイリストPLを概略的に示す。
【0029】
楽曲情報データベースMUDBは楽曲に関する情報を蓄積したものであり、「曲ID」、「自動車メーカ」、「曲名」、「アーティスト名」、「TOC(Table of contents)情報」、「アドレス」のフィールドを有する。「自動車メーカ」、「曲名」、「アーティスト名」、及び、「TOC情報」の各フィールドには、例えば通信部14を介してネットワーク上のCDDB等からダウンロードした楽曲情報のデータがエントリされる。なお、「自動車メーカ」フィールドには、楽曲に関わりのある自動車メーカ名がエントリされている。例えばあるレコードの「自動車メーカ」フィールドに「A社」がエントリされている場合、当該レコードの楽曲がA社のコマーシャルで使用されている楽曲やイメージソング等であることを意味する。従って、楽曲情報データベースMUDBの中には何れの自動車メーカ名もエントリされていない楽曲も存在する。「曲ID」フィールドには、楽曲情報データベースMUDBに含まれる各レコードを識別するための便宜的な情報がエントリされる。「アドレス」フィールドには、各レコードに対応した楽曲データが格納されているHDD5内のアドレスがエントリされる。
【0030】
図3に、本実施形態のプレイリスト作成処理のフローチャートを示す。プレイリストPLは、図3に示されているプレイリスト作成処理により作成される。このプレイリスト作成処理は、例えばプレイリストPLを作成するようユーザ・オペレーションが成された時点で開始される。
【0031】
制御部1は、先ず、自己の内部メモリを参照して車両のメーカ名の情報を取得する。次いで、取得されたメーカ名情報をキーに楽曲情報データベースMUDBを検索し、当該メーカ名情報が「自動車メーカ」フィールドにエントリされている全ての楽曲のレコードを、当該車両のメーカに関わりのある楽曲のレコードとして抽出する(ステップ1、以下、明細書及び図面においてステップを「S」と略記)。なお、制御部1の内部メモリに格納されているメーカ名情報は、図4の自動車メーカ名情報取得処理によって予め取得されている情報である。
【0032】
図4の自動車メーカ名情報取得処理について説明する。この自動車メーカ名情報取得処理は、例えば車載器100の電源がオンされた時点で開始される。車載器100の電源がオンされると、制御部1は、自己の内部メモリにメーカ名情報が格納されているか否か、すなわちメーカ名情報を取得済みである否かを判定する(S11)。メーカ名情報が内部メモリに既に格納されている場合(S11:YES)、制御部1は、図4の自動車メーカ名情報取得処理を終了する。これに対してメーカ名情報が内部メモリに格納されていない場合(S11:NO)、制御部1は、車速パルス検出処理を行う(S12)。
【0033】
ここで、車速センサ4による、所定の走行速度に対する単位時間当たりの車速パルスの出力数は自動車メーカ毎で異なっている。例えば車両の走行速度が30[km/h]のとき、A、B社の車両の車速センサはそれぞれ毎秒n、n’(nとn’はそれぞれ異なる値)パルスを出力する。制御部1は、各自動車メーカのデータであって、車両が所定速度で走行しているときの単位時間当たりの車速パルスの出力数のデータ(以下、「車速パルスデータ」と記す)を内部メモリに保持している。
【0034】
制御部1は、例えばGPS測位結果に含まれる速度測位の結果に基づいて、車両が所定速度に達したと推定されるときにS12の車速パルス検出処理を実行する。制御部1は、車両が所定速度に達したと推定されるときの車速パルス数を検出すると(S12)、該検出された車速パルス数と、各自動車メーカの車速パルスデータとを比較する。そして、検出された車速パルス数と一致(又は最も近似)する車速パルスデータに対応する自動車メーカを車両のメーカであると暫定的に決める(S13)。
【0035】
制御部1はS13の処理に次いで、表示部7に所定のメッセージを表示させて、暫定的に決められた自動車メーカが正しいか否かをユーザに問い合わせる(S14)。暫定的に決められた自動車メーカが誤りであるとのユーザ・オペレーションを受け付けた場合(S14:NO)、制御部1は、代表的な各自動車メーカの何れかをユーザに選択させるための画面を表示部7に表示させる。この画面においてユーザ・オペレーションにより何れかの自動車メーカが選択されると(S15)、制御部1は、該選択された自動車メーカが車両のメーカであると判断する。そして、そのメーカ名情報を内部メモリに格納して(S16)、図4の自動車メーカ名情報取得処理を終了させる。これに対して、暫定的に決められた自動車メーカが正しいとのユーザ・オペレーションを受け付けた場合(S14:YES)、制御部1は、当該自動車メーカが正しいものと判断し、この自動車メーカ名の情報を内部メモリに格納して(S16)、図4の自動車メーカ名情報取得処理を終了させる。
【0036】
GPSレシーバ、車速センサはそれぞれ、ナビゲーション機能を有する車載器、車両に元々具備されている構成要素である。本実施形態ではこれら既存の構成要素を利用することにより、車両が何れの自動車メーカのものであるかを特定することができる。従って、本実施形態のような自動車メーカを特定するための機能を付加しても車載器100の構成が複雑化したりコストアップしたりすることがない。
【0037】
なお、図4の自動車メーカ名情報取得処理を一度実行するだけで車両のメーカ名情報は取得される。従ってS12以降の処理は、例えば車載器100を車載して初めて電源オンしたときに限り実行される処理と言える。また、例えば車載器100が車両購入時の純正オプションである場合、車両出荷時に自動車メーカ側で図4の自動車メーカ名情報取得処理を実行し、自動車メーカ名情報を制御部1の内部メモリに予め保持させるようにしても良い。
【0038】
図3のプレイリスト作成処理の説明に戻る。制御部1は、S1の処理による検索結果に基づいて、楽曲情報データベースMUDB内に車両のメーカに関わりのある楽曲が存在したか否かを判定する。車両のメーカに関わりのある楽曲が存在しない場合(S2:NO)、制御部1は、プレイリストPLを作成できないと判断し、表示部7を制御して所定のエラーメッセージを表示させる(S3)。そして、図3のプレイリスト作成処理を終了させる。これに対して、車両のメーカに関わりのある楽曲が存在する場合(S2:YES)、制御部1は、S1の楽曲検索処理で抽出された全てのレコードの「曲ID」のエントリデータを、所定の規則に基づいた順序(例えば「曲ID」に基づいた順序、50音順(曲名)、ランダム等)でプレイリストPLにエントリする(S4)。「プレイリストPLにエントリ」とは、その楽曲データを特定するための何らかの情報をプレイリストPLに書き込むことを意味する。ここでは上記のように「曲ID」のエントリデータがプレイリストPLにエントリされる。S4の処理によりプレイリストPLを作成すると、制御部1は、図3のプレイリスト作成処理を終了させる。
【0039】
図3のプレイリスト作成処理を実行することにより、ユーザは、自動車メーカに関わりのある楽曲(例えば車両のメーカのコマーシャルソングやイメージソング等)が集められたプレイリストPLを煩雑な操作をすることなく容易に得ることができる。そして、プレイリストPLによる楽曲再生を行うようユーザ・オペレーションが成されると、制御部1は、オーディオ部15と連携して動作し、当該プレイリストPLに基づいた楽曲再生を行う。具体的には、オーディオ部15は、プレイリストPLの序数(図2における「No.」)にしたがって楽曲を順に再生させる。オーディオ部15は先ず、序数が「1」の「曲ID」のエントリデータをキーとして楽曲情報データベースMUDBを検索し、該当するレコードを抽出する。次いで、抽出されたレコードの「アドレス」フィールドを参照して当該アドレスにアクセスし、楽曲データを取得する。そして、この楽曲データをデコードしてスピーカ16に出力する。このような処理をプレイリストPLにエントリされた各楽曲に対して順に実行することにより、車両のメーカに関わりのある楽曲がスピーカ16で順次再生されることになる。そしてユーザは、車両のメーカに関わりのある楽曲を楽しむことができる。なお、上記のように、自動車メーカに関わりのある楽曲に基づいてプレイリストPLを作成するように車載器100を構成することで、ユーザが普段聴取しないジャンル等の楽曲が再生されることがある。このような場合、ユーザは新鮮みを覚え、楽曲をより楽しむことができるようになる。
【0040】
また、楽曲を再生している間、制御部1は、当該再生中の楽曲のレコードの各エントリデータを用いてその楽曲情報を表示部7に表示させる。これにより、ユーザは現在再生中の楽曲名やそのアーティスト名等の情報を視認することができる。
【0041】
以上が本発明の実施の形態である。本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば本実施形態では車載器100に内蔵されているHDD5内の楽曲に対して検索を行っているが、別の実施の形態では、車載器100に装着可能な外部記憶装置(メモリカード等)内の楽曲やネットワーク上のサーバ内の楽曲に対して検索を行うようにしても良い。
【0042】
また、別の実施の形態において、例えばHDD5内に格納した楽曲データが所定数に達したときに図3のプレイリスト作成処理を自動的に開始するよう車載器を構成しても良い。また、HDD5内に楽曲データを格納する度に図3のプレイリスト作成処理を自動的に開始するよう車載器を構成しても良い。
【0043】
また、別の実施の形態においては、車速パルス(車両の速度)に応じたプレイリストを作成し楽曲再生するようにしても良い。例えば80km以上で走行しているときにはテンポの速い楽曲のプレイリストを作成し、それ以下のときにはスローテンポの楽曲のプレイリストを作成するよう車載器を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態の車載器の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態のHDDに格納された楽曲情報データベースMUDB及びプレイリストPLを概略的に示した図である。
【図3】本発明の実施の形態の車載器で実行されるプレイリスト作成処理を示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態の車載器で実行される自動車メーカ名情報取得処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1 制御部
2 GPSレシーバ
3 ジャイロセンサ
4 車速センサ
5 HDD
6 入力部
7 表示部
8 ROM
9 DRAM
10 SRAM
11 VRAM
12 ユーザインタフェース
13 画像処理部
14 通信部
15 オーディオ部
16 スピーカ
100 車載器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル符号化された楽曲データをデコードして楽曲を再生することが可能な、車両に搭載された車載器において、
複数の楽曲データと、
各楽曲データに関連付けられた、少なくとも自動車メーカとの関係を表すメーカ情報を含む所定の楽曲情報を管理する楽曲情報データベースと、
該車両の走行速度を検出するための車速パルスを出力する車速パルス出力手段と、
該出力された車速パルスを監視し、その監視結果に基づいて該車両のメーカを特定するメーカ特定手段と、
該特定されたメーカに基づいて前記楽曲情報データベースを検索し、その検索結果として、当該メーカと一致するメーカ情報に関連付けられた楽曲情報を得る楽曲情報取得手段と、を具備したこと、を特徴とする車載器。
【請求項2】
該車両の位置情報を定期的に取得する位置情報取得手段と、
該定期的に取得される位置情報に基づいて該車両の走行速度を推定する走行速度推定手段と、を更に具備し、
前記メーカ特定手段は、該推定される走行速度が所定値に達したときの前記車速パルス出力手段で検出される単位時間当たりの車速パルス数に基づいて、該車両のメーカを特定すること、を特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記楽曲情報取得手段によって取得された楽曲情報に基づいてプレイリストを作成するプレイリスト作成手段を更に具備したこと、を特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の車載器。
【請求項4】
前記プレイリスト作成手段によって作成されたプレイリストに基づいて楽曲を再生すること、を特徴とする請求項3に記載の車載器。
【請求項5】
楽曲データ再生中に、当該楽曲データに関連付けられた所定の楽曲情報を表示する楽曲情報表示手段を更に具備したこと、を特徴とする請求項4に記載の車載器。
【請求項6】
前記楽曲情報取得手段による検索結果として何れの楽曲情報も得られない場合、その旨を表す所定のエラーメッセージを前記楽曲情報表示手段に表示させること、を特徴とする請求項5に記載の車載器。
【請求項7】
外部端末と通信するための通信手段を更に具備し、
該所定の楽曲情報は、前記通信手段を介して該外部端末が保持するCDDB(CD DataBase)から取得した情報であること、を特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の車載器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−80913(P2008−80913A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261951(P2006−261951)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】