説明

車載機器

【課題】運転席のユーザと助手席のユーザのどちらのユーザがタッチ操作したか判断でき、視聴者の見る方向によって視認される映像が異なるタッチパネル付き表示モニタを備えた車載機器を提供する。
【解決手段】運転席のユーザは、運転席側から視認される表示画面に表示されたメニューボタン22cを押圧する。そして、押圧位置を動かさずにそのまま離すと、メニュー画面23が表示モニタ16に表示される。しかし、押圧位置を動かしてから離すと、メニュー画面23は表示されない。一方、助手席のユーザは、助手席側から視認される表示画面に表示されたメニューボタンを押圧した後、押圧位置を動かしてから離すと、地上デジタル放送のチャンネル切替画面が表示される。しかし、押圧位置を動かさずにそのまま離すと、チャンネル切替画面は表示されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席側から視認される表示画面の表示内容と助手席側から視認される表示画面の表示内容とを異なるように表示画面に表示することができるタッチパネル付き表示モニタを備えた車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
視聴者の見る方向によって見える映像が異なるタッチパネル付きディスプレイが従来技術として知られている(特許文献1)。このディスプレイをナビゲーション装置に設けることによって、運転席において見える映像と助手席において見える映像とを異ならせることができる。たとえば、運転席のユーザには車両周囲の地図画面を表示し、助手席のユーザにはテレビ映像などを表示することができる。そして、運転席のユーザは運転に集中できる一方、助手席のユーザは車両移動中に様々な映像を楽しむことができる。
【特許文献1】特開2005−284592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているディスプレイでは、異なる表示画面に表示されるアイコンの表示位置が重畳しないようにアイコンの表示位置を変え、どちらの表示画面を視聴しているユーザがアイコンを操作したか判別する。このため、アイコンの表示位置が制限され、画面上に多数のアイコンやボタンを表示することができないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明の車載機器は、運転席側から視認される表示画面の表示内容と助手席側から視認される表示画面の表示内容を異なるように表示することができるタッチパネル付き表示モニタと、表示モニタの表示画面が押圧されたときの押圧方法を検出する押圧方法検出手段と、押圧方法検出手段によって検出された押圧方法によって、運転席のユーザと助手席のユーザのどちらのユーザが表示画面を押圧操作したか判断する判断手段とを備えること特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の車載機器において、判断手段によって運転席のユーザが押圧操作したと判断すると、運転席側から視認される表示画面に表示されたアイコンやボタン(以下、ボタン)のうちの押圧操作されたボタンに定義された処理を実行し、判断手段によって助手席のユーザが押圧操作したと判断すると、助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンのうちの押圧操作されたボタンに定義された処理を実行する処理実行手段を備えることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載の車載機器において、判断手段によって運転席のユーザが押圧操作したと判断すると、助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理の実行を禁止し、判断手段によって助手席のユーザが押圧操作したと判断すると、運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理の実行を禁止する禁止手段を備えることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項2に記載の車載機器において、運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理の実行により新たなボタンが表示されたときは、新たなボタンの表示位置が、助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンの表示位置と重ならず、助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理の実行により新たなボタンが表示されたときは、新たなボタンの表示位置が、運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンの表示位置と重ならないように、新たなボタンを表示するボタン表示制御手段を備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器において、判断手段は、押圧方法検出手段によって、表示画面が押圧された後、押圧位置が所定量以上移動せずに押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、運転席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断し、押圧方法検出手段によって、表示画面が押圧された後、押圧位置が所定量以上移動して押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、助手席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断することを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器において、判断手段は、押圧方法検出手段によって、表示画面が押圧された後、所定時間に満たないで押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、運転席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断し、押圧方法検出手段によって、表示画面が押圧された後、所定時間以上経過後に押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、助手席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断することを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器において、判断手段は、押圧方法検出手段によって、表示画面上で1つの押圧位置を検出した場合は、運転席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断し、押圧方法検出手段によって、表示画面上で2以上の押圧位置を検出した場合は、助手席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器において、車両進行方向に対して右側にステアリングが設けられた車両の場合、判断手段は、押圧方法検出手段によって、表示画面の押圧された後、押圧位置が所定量以上右方向に移動せずに押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、運転席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断し、押圧方法検出手段によって、表示画面の押圧された後、押圧位置が所定量以上右方向に移動して押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、助手席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断し、車両進行方向に対して左側にステアリングが設けられた車両の場合、判断手段は、押圧方法検出手段によって、表示画面の押圧された後、押圧位置が所定量以上左方向に移動せずに押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、運転席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断し、押圧方法検出手段によって、表示画面の押圧された後、押圧位置が所定量以上左方向に移動して押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、助手席のユーザが表示画面を押圧操作したと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、タッチパネルを押圧する押圧方法を検出することによって、運転席のユーザが操作したか、助手席のユーザが操作したかを判別するようにした。したがって、どちらのユーザが操作したか判別するために、アイコンやボタンの表示位置を重畳しないようにずらす必要がなく、画面上に多数のアイコンやボタンを表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置1では、運転席側から見える表示画面には自車位置周辺の道路地図を表示し、助手席側から見える表示画面には地上デジタル放送の映像を表示することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画面メモリ15、表示モニタ16、表示モニタコントロール部17、入力装置18、スピーカ19、タッチパネル110、ディスクドライブ112および地上デジタル放送受信部114を有している。ディスクドライブ112には、地図データが記録されたDVD−ROM113が装填される。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM113に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、車両の進行方向を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS( Global Positioning System )衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14cなどからなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0009】
目的地が設定されると、ナビゲーション装置1はGPSセンサ14cにより検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められたルート(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路に従って車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはディスクドライブ112によって読み込まれるDVD−ROM113に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いて地図表示など行うことができる。
【0011】
ディスクドライブ112は、装填されたDVD−ROM113から地図を表示するための地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM113以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0012】
地上デジタル放送受信部114は、地上デジタル放送を受信し、その受信した放送の内容を表示モニタコントロール部17やスピーカ19に出力する。
【0013】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。また、表示モニタ16は、地上デジタル放送受信部114で受信した地上デジタル放送の映像情報を出力する。表示モニタ16には2つの映像が表示され、表示モニタ16の液晶パネルの前面に配置された光学系分離素子によって、運転席側から1つの映像が見え、助手席側からほかの映像が見える。表示モニタコントロール部17は、運転席側から見える映像と、助手席側から見える映像とを制御する。たとえば、運転席側からは自車位置付近の道路地図が見えるように、助手席側からは地上デジタル放送の映像が見えるように表示モニタ16の画素に表示する映像信号を制御する。
【0014】
入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などするための操作キーを有し、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示に従って入力装置18を手動で操作することにより、目的地を選択して設定する。
【0015】
スピーカ19は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を音声により乗員に提供する。また、スピーカ19は、地上デジタル放送受信部114で受信した地上デジタル放送の音声情報を出力する。
【0016】
タッチパネル110は、表示モニタ16の表面に積層される透明のタッチスイッチであり、表示モニタ16に表示される画像はタッチパネル110を通して表示される。そして、表示モニタ16の表示画面を押圧するとタッチパネル110が押圧される。タッチパネル110は、タッチパネル110上の操作位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部111に送出し、タッチパネルコントロール部111はタッチパネル110の押圧位置を算出する。
【0017】
タッチパネル110は、入力装置18と同様に入力機能を有する。表示モニタ16に表示された地図画面や各種ボタン、表示メニューなどを指で押圧するとタッチパネル110が押圧される。タッチパネルコントロール部111によって押圧位置が算出され、制御回路11に出力される。制御回路11では、押圧位置に目的地を設定したり、押圧された各種ボタンや表示メニューに定義された処理を実行したりする。
【0018】
次に、表示画面に表示されたボタンが押圧操作されたときの押圧方法と、押圧操作されたボタンに定義された処理の実行との関係について、図2〜5を参照して説明する。
【0019】
運転席のユーザのボタンの押圧方法について、図2および図3を参照して説明する。ここでは、運転席のユーザがメニューボタンを押圧操作して、メインメニュー画面を開く場合について説明する。表示モニタ16の運転席側から視認される表示画面には、図2(a)に示すように、自車位置マーク21を示した地図20が表示されている。地図20に重ねて、地図の右側には、地図20を広域地図に切り替える広域ボタン22a、地図20を詳細地図に切り替える詳細ボタン22bおよびメインメニューを開くメニューボタン22cが表示されている。
【0020】
図2(a)に示すように、運転席のユーザがメニューボタン22cを押圧し、押圧位置を動かさずにそのまま離すと、図2(b)に示すように、メニュー画面23が表示モニタ16に表示される。ここで、メインメニュー画面23には、目的地となる施設などを検索する検索ボタン24a、各種設定を行う設定ボタン24b、推奨経路の探索を行う探索ボタン24cおよび交通情報を表示する交通情報ボタン24dが表示される。
【0021】
一方、図3(a)に示すように、運転席のユーザがメニューボタン22cを押圧した後、押圧位置を右方向にずらしてから離しても、図3(b)に示すように、メニュー画面23は表示されない。
【0022】
助手席のユーザのボタンの押圧方法について、図4および図5を参照して説明する。ここでは、助手席のユーザがメニューボタンを押圧操作して、視聴する地上デジタル放送のチャンネル切替画面を開く場合について説明する。表示モニタ16の助手席側から視認される表示画面には、図4(a)に示すように視聴中の地上デジタル放送の映像が表示されている。地上デジタル放送の映像に重ねて、映像の右側には、チャンネル切替画面を開くメニューボタン41が表示されている。メニューボタン41の表示位置は、運転席側から視認される表示画面に表示されたメニューボタン22cの表示位置と同じであるものとする。
【0023】
図4(a)に示すように、運転席のユーザがメニューボタン41を押圧した後、押圧位置を右方向にずらしてから離すと、図4(b)に示すように、チャンネル切替画面42が表示される。ここで、チャンネル切替画面42には、視聴している地上デジタル放送のチャンネルを切り替えるチャンネルボタン43a〜43hが表示される。
【0024】
助手席のユーザが、図5(a)に示すように、メニューボタン41を押圧し、押圧位置を動かさずにそのまま離しても、図5(b)に示すように、チャンネル切替画面42は表示モニタ16に表示されない。
【0025】
以上より、運転席側から視認されるメニューボタン22cと助手席側から視認されるメニューボタン41との表示位置が同じであっても、両ボタンをアクティブにする押圧操作を変更することにより、運転席のユーザも助手席のユーザも、共に独立した画面操作を行うことができる。すなわち、運転席のユーザは、メニューボタン22cを押圧した後、押圧位置を変えずに離すという押圧操作を行うことによって、助手席側から視認される表示画面にチャンネル切替画面42を開くことなく、メインメニュー画面23を開くことができる。一方、助手席のユーザは、メニューボタン41を押圧した後、押圧位置を右方向にずらしてから離すという押圧操作によって、運転席側から視認される表示画面にメインメニュー画面23を開くことなく、チャンネル切替画面42を開くことができる。
【0026】
次に、運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンと、助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンとのどちらのボタンに定義された処理を実行すればよいか判断する処理ボタン判断処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。図6の処理は、制御回路11において、表示画面にボタンが表示されるとスタートするプログラムを実行して行われる。
【0027】
ステップS601では、タッチパネル110から出力される信号に基づいて、タッチパネル110が押圧されたか判定する。押圧された場合は、ステップS601が肯定判定され、ステップS602へ進む。押圧されていない場合はステップS601を繰り返す。ステップS602では、タッチパネルコントロール部111で算出されたタッチパネル110の押圧位置に基づいて、タッチパネル110の最初の押圧位置を検出する。ステップS603では、最初の押圧位置に対応する、運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンと、助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンとを検出する。
【0028】
ステップS604では、タッチパネル110の押圧位置を検出する。ステップS605では、タッチパネル110が押圧されているか判定する。押圧されている場合はステップS605が肯定判定され、ステップS604へ戻る。押圧されていない場合はステップS605が否定判定され、ステップS606へ進む。ステップS606では、最後に検出した押圧位置は、最初の押圧位置に比べて所定量以上移動したか判定する。所定量以上移動していない場合はステップS606が否定判定され、ステップS607へ進む。所定量以上移動した場合はステップS606が肯定判定され、ステップS608へ進む。
【0029】
ステップS607では、ステップS603で検出されたボタンのうち、運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理を実行する。そして、スタートへリターンする。
【0030】
ステップS608では、ステップS603で検出されたボタンのうち、助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理を実行する。そして、スタートへリターンする。
【0031】
以上の実施形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
タッチパネル110を押圧する押圧操作方法を検出することによって、つまり押圧した後、押圧位置を移動せずにそのまま押圧を止めた押圧操作方法が検出されたか、または押圧した後、押圧位置を移動してから押圧を止めた押圧操作方法が検出されたかによって、運転席のユーザの操作か、助手席のユーザの操作かを判別する。したがって、どちらのユーザが操作したか判別するために、運転席側から視認される表示画面に表示されるアイコンやボタンの表示位置と、助手席側から視認される表示画面に表示されるアイコンやボタンの表示位置とをずらす必要がない。その結果、運転席側のユーザに対して提示される表示画面および助手席側のユーザに対して提示される表示画面において、従来より多くのボタンを配置することができる。
【0032】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)押圧した後、押圧位置を移動せず押圧を止めた場合は、運転席のユーザが操作したと判断し、押圧した後、押圧位置を移動してから押圧を止めた場合は、助手席のユーザが操作したと判断したが、以下のような判断アルゴリズムとしてもよい。たとえば、車両進行方向に対して右側にステアリングが設けられた車両(以下、右ハンドル車)の場合は、押圧位置が右側へ移動したことによって、車両進行方向に対して左側にステアリングが設けられた車両(以下、左ハンドル車)の場合は、押圧位置が左側へ移動したことによって助手席のユーザが操作したと判断し、それ以外の場合は運転席のユーザが操作したと判断するようにしてもよい。右ハンドル車の運転席のユーザがタッチパネル110を操作する場合、指は左方向に向かって移動し、左ハンドル車の運転席のユーザがタッチパネル110を操作する場合、指は右方向に向かって移動する。このため、右ハンドル車の運転席のユーザがタッチパネル110を押圧した後、押圧位置を右側に移動することは不自然な動作である。一方、左ハンドル車の運転席のユーザがタッチパネル110を押圧した後、押圧位置を左側に移動することも不自然な動作である。運転席のユーザがそのような不自然な動作を無意識に行うことは少ないので、より確実に、運転席のユーザが操作したか、助手席のユーザが操作したか判別することができる。
【0033】
たとえば、右ハンドル車の場合の処理ボタン判断処理は、図7のフローチャートになる。図6のフローチャートと共通するステップは同じ符号を付し、図6のフローチャートと異なる部分を主に説明する。ステップS701では、最後に検出した押圧位置は、最初の押圧位置に比べて所定量以上、右方向に移動したか判定する。所定量以上、右方向に移動した場合はステップS701が肯定判定され、ステップS607へ進む。所定量以上、右方向に移動していない場合はステップS701が否定判定され、ステップS608へ進む。
【0034】
(2)押圧した後、押圧位置を移動せず押圧を止めた場合は、運転席のユーザが操作したと判断し、押圧した後、押圧位置を移動してから押圧を止めた場合は、助手席のユーザが操作したと判断したが、本発明はこの判断アルゴリズムに限定されない。たとえば、押圧時間が所定時間に満たないときは運転席のユーザが操作したと判断し、押圧時間が所定時間以上のときは助手席のユーザが操作したと判断するようにしてもよい。
【0035】
(3)複数の押圧位置を同時に検出することのできるタッチパネルを使用した場合、図8(a)に示すように、ひとつの押圧位置が検出された場合は、運転席のユーザが操作したと判断し、図8(b)に示すように、ふたつの押圧位置が検出された場合は、助手席のユーザが操作したと判断するようにしてもよい。
【0036】
(4)表示モニタ16に表示される表示画面の種類は、実施形態に限定されない。たとえば、運転席側から視認される表示画面に車両のエアコンの設定画面を表示し、助手席側から視認される表示画面にビデオテープやDVDの映像を表示するようにしてもよい。
【0037】
(5)運転席のユーザが操作したと判断した後は、運転席のユーザの操作が終了するまで助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンの処理を禁止し、助手席のユーザが操作したと判断した後は、助手席のユーザの操作が終了するまで運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンの処理を禁止するようにしてもよい。このようにすることによって、運転席のユーザまたは助手席のユーザが操作したと判断した後は、運転席のユーザと助手席のユーザとの間で押圧方法を変えずに、それぞれの席のユーザはナビゲーション装置1を操作することができる。たとえば、助手席のユーザが押圧位置をずらして押圧を止める押圧方法によって押圧操作したとき、それ以降は助手席のユーザの操作と認定する。そして、押圧位置をずらさずにボタンを押圧する押圧方法の押圧操作によって、助手席側の表示画面上のボタンに定義された処理を実行させることができる。この場合、所定時間経過後にボタンの処理の禁止が解除される。
【0038】
(6)運転席ユーザのボタン押圧操作により表示されるボタンの表示位置を、助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンの位置と重畳しないようにしてもよい。また、助手席ユーザのボタン押圧操作により表示されるボタンの表示位置を、運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンの位置と重畳しないようにしてもよい。このようにすることによって、ボタンの押圧操作によって表示されるボタンについては、運転席のユーザおよび助手席のユーザに対して提示される画面上のボタン押圧方法を変更することなく、運転席または助手席のボタン操作を判別することができる。
【0039】
(7)車載機器であれば、ナビゲーション装置1に限定されない。
【0040】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本願発明の押圧方法検出手段は制御回路11、タッチパネル110およびタッチパネルコントロール部111に対応し、判断手段は制御回路11に対応する。処理実行手段は制御回路11に対応し、禁止手段は制御回路11、タッチパネル110およびタッチパネルコントロール部111に対応する。ボタン表示制御手段は制御回路11、表示モニタ16および表示モニタコントロール部17に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】運転席のユーザのボタンに定義された処理が実行されるボタンの押圧方法を説明するための図である。
【図3】運転席のユーザのボタンに定義された処理が実行されないボタンの押圧方法を説明するための図である。
【図4】助手席のユーザのボタンに定義された処理が実行されるボタンの押圧方法を説明するための図である。
【図5】助手席のユーザのボタンに定義された処理が実行されないボタンの押圧方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態における処理ボタン判断処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態における処理ボタン判断処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】運転席のユーザと助手席のユーザとのボタンに定義された処理が実行される他のボタンの押圧方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
13 RAM
16 表示モニタ
17 表示モニタコントロール部
110 タッチパネル
111 タッチパネルコントロール部
114 地上デジタル放送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席側から視認される表示画面の表示内容と助手席側から視認される表示画面の表示内容を異なるように表示することができるタッチパネル付き表示モニタと、
前記表示モニタの表示画面が押圧されたときの押圧方法を検出する押圧方法検出手段と、
前記押圧方法検出手段によって検出された押圧方法によって、運転席のユーザと助手席のユーザのどちらのユーザが前記表示画面を押圧操作したか判断する判断手段とを備えること特徴とする車載機器。
【請求項2】
請求項1に記載の車載機器において、
前記判断手段によって前記運転席のユーザが押圧操作したと判断すると、前記運転席側から視認される表示画面に表示されたアイコンやボタン(以下、ボタン)のうちの押圧操作されたボタンに定義された処理を実行し、前記判断手段によって前記助手席のユーザが押圧操作したと判断すると、前記助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンのうちの押圧操作されたボタンに定義された処理を実行する処理実行手段を備えることを特徴とする車載機器。
【請求項3】
請求項2に記載の車載機器において、
前記判断手段によって前記運転席のユーザが押圧操作したと判断すると、前記助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理の実行を禁止し、前記判断手段によって前記助手席のユーザが押圧操作したと判断すると、前記運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理の実行を禁止する禁止手段を備えることを特徴とする車載機器。
【請求項4】
請求項2に記載の車載機器において、
前記運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理の実行により新たなボタンが表示されたときは、前記新たなボタンの表示位置が、前記助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンの表示位置と重ならず、前記助手席側から視認される表示画面に表示されたボタンに定義された処理の実行により新たなボタンが表示されたときは、前記新たなボタンの表示位置が、前記運転席側から視認される表示画面に表示されたボタンの表示位置と重ならないように、前記新たなボタンを表示するボタン表示制御手段を備えることを特徴とする車載機器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器において、
前記判断手段は、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面が押圧された後、押圧位置が所定量以上移動せずに前記押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、運転席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断し、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面が押圧された後、押圧位置が所定量以上移動して前記押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、助手席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断することを特徴とする車載機器。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器において、
前記判断手段は、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面が押圧された後、所定時間に満たないで前記押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、運転席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断し、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面が押圧された後、所定時間以上経過後に前記押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、助手席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断することを特徴とする車載機器。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器において、
前記判断手段は、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面上で1つの押圧位置を検出した場合は、運転席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断し、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面上で2以上の押圧位置を検出した場合は、助手席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断することを特徴とする車載機器。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載機器において、
車両進行方向に対して右側にステアリングが設けられた車両の場合、前記判断手段は、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面の押圧された後、押圧位置が所定量以上右方向に移動せずに前記押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、運転席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断し、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面の押圧された後、押圧位置が所定量以上右方向に移動して前記押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、助手席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断し、
車両進行方向に対して左側にステアリングが設けられた車両の場合、前記判断手段は、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面の押圧された後、押圧位置が所定量以上左方向に移動せずに前記押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、運転席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断し、前記押圧方法検出手段によって、前記表示画面の押圧された後、押圧位置が所定量以上左方向に移動して前記押圧が終了する押圧方法を検出した場合は、助手席のユーザが前記表示画面を押圧操作したと判断することを特徴とする車載機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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