説明

車載用圧力センサ

【課題】簡易に組み立てられるとともに制御基板との接続が確実にとれる車載用圧力センサを提供する。
【解決手段】検出部2で検出された信号を制御する制御基板3を継手1に保持するスペーサ4を設け、このスペーサ4にホルダ5を支持し、ホルダ5に形成された挿通孔50にプローブ6を進退自在に設け、プローブ6を、制御基板3に形成された係合孔32Aに係合される係合部61と、この係合部61に接続されるとともに挿通孔32Aに形成された段部50Dに当接するばね部62とを備えて構成し、係合部61を係合孔32Aに挿通する線状の挿通部611と、この挿通部611に接続され先端部がホルダ5に係止可能とされる折返部612とを備えた構成とし、かつ、係合部61を半田Sで制御基板3に接合する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車載ブレーキ装置に用いられる車載用圧力センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載ブレーキ装置として、ブレーキ圧を測定する圧力センサと、測定値を評価するための制御電子機器とを備え、圧力センサに被せられるケーシングに制御電子機器が取り付けられたものがある。この装置では、圧力センサと制御電子機器との間の電気的な接続がスプリングプローブで行われる。
このスプリングプローブを有する装置の従来例として、例えば、センサ側の制御基板に接続されるコンタクト部材と、制御電子機器側の制御基板に接続されるコンタクト部材と、これらのコンタクト部材の間に介装されるばね部材と、このばね部材及びコンタクト部材の基部を収納する筒状の収納部材とを備えたブレーキ装置(特許文献1)がある。
また、センサ側の制御基板と制御電子機器側の制御基板とにそれぞれ接触接続するばね部を備え、このばね部の途中にホルダへの抜け止めのために段差を設けたブレーキ装置(特許文献2)がある。
【0003】
さらに、センサ側の制御基板と制御電子機器側の制御基板とにそれぞれ接触接続するばね部を備え、ばね部のセンサ側の部分が制御電子機器側の部分に比べてばね径が大きい圧力センサ(特許文献3)がある。
また、センサハウジングに収納されるコンタクトプローブを備え、このコンタクトプローブは、基端がセンサ側基板に貫通して半田付けされる外筒部と、この外筒部の他端側に挿入されるロッドと、外筒部に設けられロッドを制御電子機器側に接触接続させるコイルばねとを有する車載用圧力センサ(特許文献4)がある。
そして、センサ側の制御基板に接続される金属球体と、制御電子機器側に接続される金属球体と、金属球体に挟み込まれる形で金属球体に取り付けられているコイルばねを備えたコンタクトプローブ(特許文献5)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−542107号公報
【特許文献2】特表2003−532584号公報
【特許文献3】アメリカ公開公報US2009/0140572A1
【特許文献4】特開2009−042144号公報
【特許文献5】特開2010−14476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1,2,3,5で示される従来例では、スプリングプローブの両端部がセンサ側の制御基板と制御電子機器側の制御基板とに挟持されて接触接続する構造であるため、取付誤差等があった場合、制御基板とスプリングプローブとが確実に接触するとは限らず、接触不良を生じさせるおそれがある。さらに、接触接続するポイントが2点となり、接触抵抗の増加、接触不良の可能性がより大きくなる。
そして、特許文献2,3で示される従来例では、プローブ自体がコイルばねで形成されているため、その先端位置が制御基板に対して位置決めしにくい。つまり、制御基板に当接するのはコイルばねの先端であるが、このコイルばねの先端と制御基板との当接位置は、コイルばねの周方向の向きによって変わるので、両者の位置決めが煩雑となる。
しかも、特許文献1,4,5で示される従来例では、ばね部材だけでなく、コンタクト部材と収納部材との部品が必要であるので、部品点数が多くなり、製造手順が煩雑となる。
【0006】
本発明の目的は、簡易に組み立てられるとともに制御基板との接続が確実にとれる車載用圧力センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車載用圧力センサは、被検出流体を導入する導入孔が形成される継手と、この継手に設けられるとともに導入された流体の圧力を検出する検出部と、この検出部で検出された信号を制御する制御基板と、前記継手に設けられるとともにこの制御基板を保持するスペーサと、このスペーサに支持されるホルダと、このホルダに形成された挿通孔に進退自在に設けられるとともに前記制御基板に電気的に接続されるプローブと、前記ホルダを抜け止めする抜止部を有するとともに前記継手に固定されるケースとを備え、前記プローブは、前記制御基板に形成された係合孔に係合される係合部と、この係合部に接続されるとともに前記挿通孔に形成された段部に当接するばね部とを有し、前記係合部は前記係合孔に挿通される線状の挿通部と、この挿通部に接続され先端部が前記ホルダに係止可能とされる折返部とを有し、かつ、半田で前記制御基板に接合されることを特徴とする。
【0008】
この構成の本発明では、装置の組立にあたり、まず、ホルダの挿通孔の開口端からプローブの係合部を挿入する。このプローブはばね部が挿通孔に形成された段部に当接して支持されるとともに係合部がホルダから突出した状態となる。突出した係合部は線状の挿通部に折返部が形成された構造であるため、ホルダの挿通孔にプローブを挿入する際、折返部が挿通部に対して弾性力に抗して折り曲げた状態となる。そして、挿通後、折返部は弾性力によって復帰するため、プローブはホルダの軸方向に対して抜けなくなる。
プローブがホルダに対して抜けなくなり、プローブとホルダが一体となった状態でプローブの係合部を制御基板の係合孔に挿入するため、制御基板をプローブに取り付ける作業が容易となる。さらに、この状態で、係合部と制御基板とを半田付けするので、プローブが抜け落ちなく、溶接作業が容易となる。
しかも、半田付けにおいては、前述の通り、係合部は線状の挿通部に折返部が形成された構造であるため、半田は折返部から制御基板に留まることになり、係合部を通じてばね部に戻ることがないか、あっても、少ない量となる。このように、プローブと制御基板とを直接半田で接続することができるので、プローブと制御基板との電気的接続の信頼性が向上する。
さらに、ばね部は縮み代が多く大きな弾性を有するものであり、かつ、挿通孔に対するガイドの機能を有するので、スムーズに挿通孔内で進退させることができる。そのため、プローブが電子制御機器側の制御基板に対して適正な弾性力で当接されることになり、電子制御機器側の制御基板とプローブとの電気的な接続を確実なものにできる。
そして、プローブを電子制御機器側の制御基板に当接させてプローブのばね部に弾性力が生じても、プローブのばね部が挿通孔の段部で支持される状態にあるので、弾性力が係合部と制御基板との接続部分に伝達されることがなく、半田の信頼性を向上させることができる。
【0009】
本発明では、前記挿通孔の前記制御基板側の端部は、前記挿通部に対して前記折返部を弾性力に抗して折り曲げた状態で挿通する狭小部を備え、この狭小部の近傍に前記折返部の先端が係止される係止溝が設けられる構成が好ましい。
この構成の本発明では、係止溝に折返部の先端が係止されることで、プローブの回転止めがされることになり、制御基板とプローブ先端との適正な位置決めがなされることになる。
【0010】
前記ばね部は前記制御基板側に配置される螺旋ピッチの長い粗ばね部と前記制御基板とは反対側に配置される螺旋ピッチの短い密ばね部とを有する構成が好ましい。
この構成の本発明では、粗ばね部のみでガイド機能を持たせる場合に比べ、粗ばね部に密ばね部を加えることによって、ガイド機能を向上させることができる。
【0011】
前記密ばね部は、その先端が円錐状に形成される構成が好ましい。
この構成の本発明では、プローブ先端が円錐状であるため、電子制御機器側の制御基板の当接部位が狭くても、確実に両者の電気的通電を確保することができる。
【0012】
前記狭小部は前記挿通孔の軸方向と直交する面に沿った形状が長穴とされ、この長穴の長手方向に沿って前記係止溝が設けられている構成が好ましい。
この構成の本発明では、挿通孔にプローブを挿入する前に係止溝の向きを前記挿通孔側から確認できる。そのため、プローブのホルダの挿通孔への挿通作業が簡単に行える。
【0013】
前記制御基板の係合孔は、その軸方向と直交する面に沿った形状が長穴とされる構成が好ましい。
この構成の本発明では、制御基板の係合孔とプローブの係合部とを半田で接合しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にかかる車載用圧力センサの全体を示す断面図。
【図2】前記車載用圧力センサの一部を破断した斜視図。
【図3】ホルダの制御基板側を示す平面図。
【図4】プローブの正面図。
【図5】プローブをホルダに装着する前の状態を示す一部を破断した斜視図。
【図6】プローブをホルダに装着した後の状態を示す一部を破断した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2には本実施形態の車載用圧力センサの全体構成が示されている。本実施形態の車載用圧力センサは自動車の車載ブレーキ装置に用いられるセンサである。
図1及び図2において、車載用圧力センサは、継手1と、この継手1に設けられる検出部2と、この検出部2で検出された信号を制御する制御基板3と、この制御基板3を保持する有底円筒状のスペーサ4と、このスペーサ4に支持されるホルダ5と、このホルダ5に形成された4つの挿通孔50にそれぞれ進退自在に設けられる4本のプローブ6と、ホルダ5を抜け止めするとともに他端部が継手1に固定された略円筒状のケース7とを備えた構造である。なお、挿通孔50及びプローブ6は図1では2本のみ示され、図2では3本のみ示されている。
【0016】
継手1は、金属製であり、内部に被検出流体を導入する導入孔1Aが形成される軸部11と、この軸部11の中間部に一体形成されたフランジ12とを有する。軸部11は、その一端部が図示しない被取付部にOリングシールや圧入等で取り付けられる構造とされ、その他端部が検出部2と接合される。
検出部2は、継手1の他端部に溶接等で接合される筒状部21と、この筒状部21の一端側に形成された円板状のダイアフラム部22とが一体に形成された構造であり、このダイアフラム部22には図示しない歪みゲージ等が形成されて導入された流体の圧力を検出するようにされている。ダイアフラム部22の表面には複数のAuパッド23が形成されている。
【0017】
制御基板3は、検出部2で検出された信号を制御するものであり、スペーサ4に取り付けられた円板状の第一基板本体31と、この第一基板本体31と対向配置された円板状の第二基板本体32と、これらの第一基板本体31と第二基板本体32とを接続するフレキシブル基板33とを有する。
第一基板本体31は、その中心に円形の切欠部31Aが形成され、この切欠部31Aの周囲に沿ってAuパッド34が複数形成される。これらのAuパッド34とダイアフラム部22の表面に形成されたAuパッド23とは図示しないワイヤボンディングにより電気的に接続されている。なお、ボンディングワイヤの材料はAuでもAlでもよい。
【0018】
第二基板本体32はプローブ6と電気的に接続されるものであり、プローブ6に係合される係合孔32Aがプローブ6の数に対応して設けられている。これらの係合孔32Aは、その軸方向(第二基板本体32の板厚方向)と直交する面に沿った形状が第二基板本体32の径方向に延びる長穴とされ、かつ、互いに等間隔(本実施形態では、90°間隔)に配置されている。第二基板本体32のホルダ5側の面には複数の電子部品35が設けられている。
フレキシブル基板33は、折り曲げて形成されており、その途中に電子部品36が設けられている。
【0019】
スペーサ4は、第一基板本体31と熱圧着される円板状の頂部41と、この頂部41の周縁に一体形成され継手1のフランジ12に接合される筒状部42とを備えた金属製部材である。
頂部41は、その中央部に第一基板本体31の切欠部31Aと同一形状の切欠部41Aが形成されている。これらの切欠部31A,41Aによって、第一基板本体31のAuパッド34とダイアフラム部22のAuパッド23との間のワイヤボンディングが容易に行われる。
筒状部42の一部にはフレキシブル基板33の折り曲げられた部分が収納される切欠部42Aが形成されている。そして、筒状部42にはホルダ5に係合する係合孔部42Bが軸芯を挟んで2カ所(図2では1カ所のみ示す)形成されている。
【0020】
ホルダ5は、プラスチック等から略円柱状に形成されており、ケース7から突出する円柱状の先端部51と、この先端部51と一体形成されケース7に抜け止めされる基部52とを有する。この基部52にはスペーサ4の係合孔部42Bに係合する爪部521が設けられている(図1、図3、図5及び図6参照)。そして、基部52の第二基板本体32と対向する面の中心には突出部522が形成されている。
先端部51及び基部52の軸方向に沿って4本(図1及び図2では2本のみ示す)挿通孔50が形成される。
これらの挿通孔50は、それぞれ先端部51から基部52の中間部まで形成される円筒部50Aと、基部52の中間部から第二基板本体32側の端部まで形成されるとともに円筒部50Aより面積が小さな狭小部50Bとを備える。円筒部50Aと狭小部50Bとの間は段部50Dが形成される。
【0021】
ホルダ5の制御基板側の平面が図3に示されている。
図3において、狭小部50Bは円筒部50Aの軸方向と直交する面において長手方向が径方向に沿った平面矩形状の長穴とされ、この長穴の長手方向(径方向)の内側に係止溝50Cが連続して形成されている。
狭小部50Bの径方向と直交する寸法は、係止溝50Cの幅寸法と等しい。
狭小部50Bの径方向及び係止溝50Cは突出部522を中心として90°間隔に互いに等間隔に配置されている。
【0022】
図4にはプローブ6の詳細な構造が示されている。
プローブ6は、1本の弾性を有する線材から第二基板本体32に形成された係合孔32Aに係合される係合部61と、この係合部61に接続されるとともに挿通孔50の段部50Dに当接されるばね部62とが一体に形成された構造である。ばね部62の直径寸法は、係合部61のばね部62の径方向に沿った幅寸法より大きく、挿通孔50の円筒部50Aの内周径よりやや小さい。
係合部61は係合孔32Aに挿通される線状の挿通部611と、この挿通部611に接続され先端部がホルダ5の係止溝50Cに係止可能とされる折返部612とを有する。折返部612と挿通部611とはU字状となるように端部で接合されており、これらの中間部分が第二基板本体32の係合孔32Aに挿通された状態となり、かつ、半田Sで第二基板本体32の係合孔32Aに接合される。
【0023】
ばね部62は係合部61に近い側、つまり、第二基板本体32に近い側に配置される螺旋ピッチの長い粗ばね部621と、係合部61とは反対側に配置される螺旋ピッチの短い密ばね部622とを有する。この密ばね部622は、その先端が円錐状に形成されている。
粗ばね部621は挿通孔50の円筒部50Aの長さと同じあるいはやや短い寸法を有するものであり、密ばね部622の少なくとも一部がホルダ5から突出されている(図1及び図2参照)。粗ばね部621と蜜ばね622とは軸芯が一致する。
【0024】
図1及び図2において、ケース7は、一端が継手1のフランジ12に接合される筒状本体71と、この筒状本体71の他端部側に一体形成されホルダ5の基部52を抜け止めするための抜止部72とを備えた金属製部材である。
この抜止部72は筒状本体71の他端から軸心に向かって直角に折れ曲がって形成されている。
【0025】
次に、本実施形態の車載用圧力センサの組立方法について、図5及び図6を参照して説明する。
[プローブ装着工程]
まず、図5に示される通り、ホルダ5を図1及び図2で示される姿勢とは逆の姿勢にし、挿通孔50の円筒部50Aの開口が下を向くようにする。そして、ばね部62を下にし、係合部61を上にした状態で、プローブ6を挿通孔50の円筒部50A下から内部に挿入する。
さらに、係合部61を挿通部611に対して折返部612の先端を近接するように弾性変形させ、この状態で、係合部61を挿通孔50の狭小部50Bを通過させる。すると、折返部612は、狭小部50Bを通過した後は、その弾性力によって元の位置に戻り、折返部612の先端と挿通部611との距離は狭小部50Bの長手方向寸法より大きくなる。さらに、折返部612の先端を係止溝50Cに係合させる。これにより、図6に示される通り、プローブ6はホルダ5に安定した状態で支持されることになる。この作業を4本のプローブ6について行う。なお、この作業において、作業員がプローブ6を直接、挿通孔50に押し込むものでもよいが、紐を係合部61にかけるとともに挿通孔50に通し、その後、紐を引っ張るものであってもよい。
【0026】
[制御基板取付工程]
スペーサ4の頂部41に接着シートを貼り付け、この上から制御基板3の第一基板本体31を貼り付けて熱圧着する。そして、予め検出部2がレーザー溶接された継手1にスペーサ4を突き合わせ、この突き合わせ部分をレーザー溶接する。
さらに、プローブ6が装着されたホルダ5を図6で示される姿勢で搬送し、この状態で、制御基板3を構成する第二基板本体32の係合孔32Aにプローブ6の係合部61を挿通し、半田Sで接合する。
[スペーサ装着工程]
スペーサ4の係合孔部42Bとホルダ5の爪部521とを互いに係合させてホルダ5をスペーサ4に装着する。
[ケース装着工程]
ケース7でホルダ5及びスペーサ4を覆い、このケース7の端部と継手1のフランジ12に溶接する。
【0027】
従って、本実施形態では、次の作用効果を奏することができる。
(1)検出部2で検出された信号を制御する制御基板3を継手1に保持するスペーサ4に設け、このスペーサ4にホルダ5を支持し、ホルダ5にそれぞれ形成された4つの挿通孔50に4本のプローブ6をそれぞれ進退自在に設け、これらのプローブ6を、制御基板3に形成された係合孔32Aに係合される係合部61と、この係合部61に接続されるばね部62とを備えて構成し、係合部61を係合孔32Aに挿通する線状の挿通部611と、この挿通部611に接続され先端部がホルダ5に係止可能とされる折返部612とを備えた構成とし、かつ、係合部61を半田Sで制御基板3に接合する構成とした。そのため、ホルダ5の挿通孔50にプローブ6を係合部61から挿入して抜けなくし、4本のプローブ6と制御基板3とが一体となった状態で半田付けするから、センサの組立作業が容易となる。しかも、係合部61を制御基板3に接合するための半田Sは、係合部61の折返部612から制御基板3に留まることになり、係合部61を通じてばね部62に戻ることがないか、戻る量が少ないので、制御基板3とプローブ6との接続を確実にとることができる。その上、プローブ6は、ばね部62を有することから、その縮み代が多く大きな弾性を有するものであり、挿通孔50に対するガイドの機能を有することから、スムーズに挿通孔50で進退させることができる。従って、プローブ6が電子制御機器側の制御基板に対して適正な弾性力で当接されることになり、制御基板3とプローブ6とを電気的に確実に接続することができる。
【0028】
(2)挿通孔50の制御基板3に対向する端部は、挿通部611に対して折返部612を弾性力に抗して折り曲げた状態で挿通する狭小部50Bを備えたから、挿通部611に対して折返部612を弾性力に抗して折り曲げた状態でホルダの挿通孔50にプローブ6を挿通した後は折返部612が弾性力によって復帰することでプローブ6がホルダ5から抜けなくなり、この点からもセンサの組立作業が容易となる。
【0029】
(3)狭小部50Bの近傍に折返部612の先端が係止される係止溝50Cを設けたので、プローブ6の回転止めがされることになり、制御基板3とプローブ6の先端との適正な位置決めがなされることになる。
【0030】
(4)狭小部50Bは挿通孔50の軸方向と直交する面に沿った形状が長穴とされ、この長穴の長手方向に沿って係止溝50Cが設けられているから、挿通孔50にプローブ6を挿入する前に係止溝50Cの向きを確認できるので、プローブ6のホルダ5の挿通孔50への挿通作業が簡単に行える。
【0031】
(5)挿通孔50の円筒部50Aと狭小部50Bとの間は段部50Dとされているので、その段部50Dでプローブ6のばね部62を収納することができる。そのため、車載用圧力センサを自動車等の車両に設置するために、プローブ6を車両に予め設けられた電子制御機器側の制御基板に当接させると、プローブ6のばね部に弾性力が生じるが、このプローブ6のばね部62が段部で支持される状態にあるので、弾性力が係合部と制御基板3との接続部分に伝達されることがなく、半田の信頼性を向上させることがでる。
【0032】
(6)ばね部62と係合部61を1本の線材から構成しているため、挿通部611と折返部612とは同じ太さであり、挿通部611が挿通される狭小部50Bと折返部612の先端を係止する係止溝50Cとの幅寸法が同じであるため、制御基板3とプローブ6の先端とのより適正な位置決めがなされることになる。
【0033】
(7)ばね部62の直径より係合部61の幅寸法を小さくしているので、ばね部62が容易に挿入できる大きさの挿通孔50であれば係合部61も容易に挿入することができる。従って、係合部61が先端側に位置するプローブ6を、ホルダ5の挿通孔50に容易に挿入させることができる。
【0034】
(8)制御基板3は、スペーサ4に取り付けられた円板状の第一基板本体31と、この第一基板本体31と対向配置された円板状の第二基板本体32と、これらの第一基板本体31と第二基板本体32とを接続するフレキシブル基板33とを有し、第二基板本体32に電子部品35を設け、フレキシブル基板33に電子部品36を設けた構成であるため、狭いスペースに効率的に電子部品35,36を設置することができる。
【0035】
(9)第二基板本体32に形成される係合孔32Aは、その軸方向と直交する面に沿った形状が長穴とされるから、プローブ6の係合部61との半田での接合を容易に行うことができる。
【0036】
(10)ばね部62は制御基板3側に配置される螺旋ピッチの長い粗ばね部621と制御基板3とは反対側に配置される螺旋ピッチの短い密ばね部622とを連続形成する構成であるため、粗ばね部621の先端側に密ばね部622を加えることによって、プローブ6の挿通孔50内でのガイド機能を向上させることができる。
【0037】
(11)密ばね部622の先端は円錐状とされているから、電子制御機器側の制御基板との当接部位が狭くても、プローブ6と電子制御機器側の制御基板との電気的通電を確保することができる。
【0038】
(12)第二基板本体32の係合孔32Aにプローブ6の係合部61を半田付けする際に、プローブ6の係合部61を上にした状態でホルダ5を保持するから、プローブ6が確実に位置決めされることになり、半田付け作業を容易に行うことができる。
【0039】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、ホルダ5の挿通孔50及びプローブ6の数を4個としたが、本発明では、これらの数は4個に限定されるものではなく、1個、2個、3個、5個以上であってもよい。
【0040】
また、本発明では、挿通孔50の端部を必ずしも狭小部50Bとすることを要せず、挿通孔50を連続した円筒部50Aとしてもよい。この場合、円筒部50Aの開口縁から離れた位置に係止溝50Cを設け、かつ、折返部612の挿通部611に対する開き角度を大きくすればよい。
【0041】
さらに、本発明では、プローブ6のばね部は軸方向に渡って同じ螺旋ピッチを有するばねとしてもよい。そして、ばね部62の先端は必ずしも円錐状にすることを要しない。
また、本発明の車載用圧力センサは自動車の車載ブレーキ装置に用いられるものにしたが、鉄道車両の車載ブレーキ装置に用いられるものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、自動車、鉄道等の車載ブレーキ装置に用いられる車載用圧力センサに利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…継手、1A…導入孔、2…検出部、3…制御基板、31…第一基板本体、32…第二基板本体、32A…係合孔、33…フレキシブル基板、4…スペーサ、5…ホルダ、50…挿通孔、50A…円筒部、50B…狭小部、50C…係止溝、50D…段部、6…プローブ、61…係合部、611…挿通部、612…折返部、62…ばね部、621…粗ばね部、622…密ばね部、7…ケース、S…半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出流体を導入する導入孔が形成される継手と、この継手に設けられるとともに導入された流体の圧力を検出する検出部と、この検出部で検出された信号を制御する制御基板と、前記継手に設けられるとともにこの制御基板を保持するスペーサと、このスペーサに支持されるホルダと、このホルダに形成された挿通孔に進退自在に設けられるとともに前記制御基板に電気的に接続されるプローブと、前記ホルダを抜け止めする抜止部を有するとともに前記継手に固定されるケースとを備え、
前記プローブは、前記制御基板に形成された係合孔に係合される係合部と、この係合部に接続されるとともに前記挿通孔に形成された段部に当接するばね部とを有し、前記係合部は前記係合孔に挿通される線状の挿通部と、この挿通部に接続され先端部が前記ホルダに係止可能とされる折返部とを有し、かつ、半田で前記制御基板に接合されることを特徴とする車載用圧力センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用圧力センサにおいて、
前記挿通孔の前記制御基板側の端部は、前記挿通部に対して前記折返部を弾性力に抗して折り曲げた状態で挿通する狭小部を備え、この狭小部の近傍に前記折返部の先端が係止される係止溝が設けられることを特徴とする車載用圧力センサ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載用圧力センサにおいて、
前記ばね部は前記制御基板側に配置される螺旋ピッチの長い粗ばね部と前記制御基板とは反対側に配置される螺旋ピッチの短い密ばね部とを有することを特徴とする車載用圧力センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の車載用圧力センサにおいて、
前記密ばね部は、その先端が円錐状に形成されることを特徴とする車載用圧力センサ。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれかに記載の車載用圧力センサにおいて、
前記狭小部は前記挿通孔の軸方向と直交する面に沿った形状が長穴とされ、この長穴の長手方向に沿って前記係止溝が設けられていることを特徴とする車載用圧力センサ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の車載用圧力センサにおいて、
前記制御基板の係合孔は、その軸方向と直交する面に沿った形状が長穴とされることを特徴とする車載用圧力センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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