説明

車載用表示装置を備えた車載機

【課題】車載用表示装置の輝度を精度良く自動的に調整する車載機を提供する。交通管制情報センターから送信される気象情報を光ビーコン装置で受信し、受信した気象情報と周囲の照度を加味することで車載用表示装置の輝度調整の精度を上げるとともに、車載表示装置の輝度調整をより簡単にハードウェアを搭載することなく安価に提供する。
【解決手段】気象情報を含む交通管制情報とGPS情報とに基づき、車載用表示装置に運転者への運転情報を表示する車載用表示装置を備えた車載機において、車載用表示制御装置は、交通管制情報から気象情報を抽出する気象情報処理装置と、GPS情報から車両周辺照度を推定する車両周辺照度推定部と、気象情報処理装置と車両周辺照度推定部の出力に基づいて車載用表示装置の最適な輝度を判定し決定する輝度調整判定部を有することで、格別なハードウェアを必要とせずに自動的に車載表示装置の輝度を自動的に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行中において、車両周囲の照度を直接検知する特別なハードウェア及び運転者の操作を必要とすることなく、交通管制情報センターから提供される気象情報を利用することで、自動的に輝度を調整する車載用表示装置を備えた車載機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車載機に搭載される車載用表示装置の輝度を調整するには、日射センサまたはフォトセンサ等の車両周囲の照度を直接検知するハードウェアを必要とするため、ハードウェアを搭載しなくても自動的に輝度を調整する車載用表示装置が要望されている。
【0003】
従来技術において、例えば特許文献1には車載用表示装置の輝度を自動的に切り替える方法として、運転者が日の出、日の入り時間のパラメータを車載機に入力し、標準地における実測照度に基づいて設定された標準値と走行位置の差分を算出して周囲の照度を予測することで、車両走行中の照度を推測し輝度を調整している構成が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、車載用表示装置の輝度を調整する別な方法として、日射センサや、フォトセンサを搭載し段階的に輝度を調整するといった構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−184446号公報
【特許文献2】特開平4−270382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載された構成は、標準地との差分にて照度を推測するものであり、車両走行地域における天候の変化による周囲の照度の変化を考慮しておらず、車載用表示装置の輝度を調整する精度が不十分である。
【0007】
また、特許文献2に記載された構成は、専用のハードウェアを必要とするためコストが高くなる。
【0008】
本発明の目的は、コストアップを伴わずに車載用表示装置の輝度を精度良く自動的に調整する車載機を提供することにある。本発明はさらに、交通管制情報センターから送信される気象情報を光ビーコン装置で受信し、受信した気象情報と周囲の照度を加味することで車載用表示装置の輝度調整の精度を上げるとともに、コスト削減を目指すものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無線通信で受信した気象情報を含む交通管制情報と、GPS情報とに基づき、車載用表示装置に運転者への運転情報を表示する車載用表示装置を備えた車載機において、前記車載機は、交通管制情報受信機と、GPS受信機と、車載用表示制御装置を有し、該車載用表示制御装置はさらに、前記交通管制情報受信機で受信した交通管制情報から気象情報を抽出する気象情報処理装置と、前記GPS受信機のGPS情報から車両周辺照度を推定する車両周辺照度推定部と、前記気象情報処理装置と前記車両周辺照度推定部の出力に基づいて前記車載用表示装置の最適な輝度を判定し決定する輝度調整判定部を有することを特徴とする。
【0010】
また、車載用表示装置を備えた車載機において、前記車載用表示制御装置は、前記気象情報処理装置抽出した気象情報から複数の所定の気象モデルを定義する気象情報定義ファイルを有し、前記気象情報処理装置は前記気象情報定義ファイルから特定の気象モデルを決定することを特徴とする。
【0011】
また、車載用表示装置を備えた車載機において、前記気象情報定義ファイルの気象モデルは、、快晴、晴れ、薄曇り、曇り、霧、小雨、雨、大雨、雷雨、台風の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0012】
また、車載用表示装置を備えた車載機において、前記車載用表示制御装置は輝度決定用ファイルを有し、前記輝度調整判定部は前記気象情報処理装置で決定した気象モデルと前記車両周辺照度推定部で決定した車両周辺照度に基づき、運転者に最適な前記車載用表示装置の輝度を決定することを特徴とする。
【0013】
また、車載用表示装置を備えた車載機において、前記車載機はさらにスピーカーを有し、前記車載用表示制御装置はさらに気象情報処理装置の気象モデルに応じて音声を出力する音声出力制御装置を有し、前記スピーカーにより運転者に警報を発することを特徴とする。
【0014】
また、車載用表示装置を備えた車載機において、前記警報を発する気象モデルは、豪雨、強風、台風の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0015】
また、車載用表示装置を備えた車載機において、前記GPS情報は、車両の走行位置と、高度または日付または時刻データの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0016】
さらに、車載用表示装置を備えた車載機において、前記交通管制情報は、リモートサイトに設けられた交通管制情報センターから送信され、道路に設けられた光ビーコン装置を介して各車両に送信されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、無線通信で受信した気象情報を含む交通管制情報と、GPS情報とに基づき、車載用表示装置に運転者への運転情報を表示する車載用表示装置を備えた車載機において、車載機は、交通管制情報受信機とGPS受信機と車載用表示制御装置を有し、車載用表示制御装置はさらに、交通管制情報から気象情報を抽出する気象情報処理装置と、GPS情報から車両周辺照度を推定する車両周辺照度推定部と、気象情報処理装置と車両周辺照度推定部の出力に基づいて車載用表示装置の最適な輝度を判定し決定する輝度調整判定部を有することにより、特別なハードウェアを必要とせず廉価で、しかもより精度の高い輝度調整を行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例における、車載用表示装置の輝度を自動的に切り替える車載機システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例における、車載用表示装置の輝度を自動的に切り替える車載機の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例における、車載用表示装置の輝度調整を行う際の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を実施例について説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、車載用表示装置の輝度を自動的に調整する車載機システムの全体構成を示す模式図である。車両10に搭載されるカーナビゲーション装置等の車載機11は交通管制情報センター12から送信される気象情報を含む交通管制情報を道路路側帯に設けた光ビーコン装置13から受信し、気象情報を用いて車載機11の車載用表示装置の輝度を自動的に調整する。
【0021】
図2は本発明実施例の車載用表示装置の輝度を自動的に切り替える車載機の構成を示すブロック図である。車両に搭載された車載機11は、光ビーコン装置13から送信される気象情報を含む交通管制情報を受信する交通管制情報受信機14と、GPS衛星からの車両位置情報を含むGPS情報を受信するGPS受信機と、各種情報を運転者に対して表示する車載用表示装置21と、車載用表示制御装置24と、スピーカー23を有する。GPS情報は、例えば車両の緯度、経度、高度、日付、時刻等を含む。
【0022】
さらに車載用表示制御装置24は、交通管制情報受信機14で受信した交通管制情報の中から気象情報を取り出し、気温、湿度、風向、風力、雲量等から各気象状況に応じた、例えば、快晴、晴れ、薄曇り、曇り、霧、小雨、雨、大雨、雷雨、台風等のいくつかの天候モデルを定義した参照テーブルを有する気象情報定義ファイル16から、現在の気象状況に応じた天候モデルを決定する気象情報処理装置15を有する。
【0023】
また、GPS受信機17から受信した現在の車両位置と時刻から、当該位置における平均的な太陽光線強度に基づいた車両周辺照度を推定する車両周辺照度推定部18を有する。
【0024】
また、気象情報処理装置15と車両周辺照度推定部18の出力に基づいて、決定した天候モデルと車両周辺照度から、運転者に最適な車載用表示装置21の輝度を定義した参照テーブルを有する輝度決定用ファイル20を用いて、最適輝度を決定する輝度調整判定部19を有する。輝度調整判定部19はさらに車載用表示装置21に接続される。気象情報処理装置15はさらに音声出力制御装置22を介して、車載用表示制御装置24外部に設けたスピーカー23に接続される。
【0025】
図3は、図2に示した車載装置における処理フローを示したフローチャートである。図2と図3を用いて次に説明する。
【0026】
車載機11が光ビーコン装置13から送信される気象情報を含む交通管制情報を交通管制情報受信機14にて受信する(S101)。
【0027】
受信された交通管制情報は車載用表示制御装置24の気象情報処理装置15に入力され、気象情報に含まれる情報を気象情報定義ファイル16に定義されている情報をもとに警報を含む気象情報であるか否かを解析する(S102)。
【0028】
この情報が警報以外の晴れ、くもり、雨の情報である場合には、GPS受信機17から緯度・経度・高度・日付・時刻データを受信し(S103)、車両周辺照度推定部18で処理して周囲の照度を推測する(S105)。
【0029】
推測された車両周辺の照度と晴れ、くもり、雨等の気象情報に対し、輝度決定用ファイル20に定義されている天候モデルに対応した輝度を判定し、運転者の視認性に最適な輝度を輝度調整判定部19で決定し(S106)、車載用表示装置21の輝度を調整する(S107)。
【0030】
一方、気象情報処理装置15にて解析した情報が大雨、洪水等の気象警報を表す場合には、気象情報処理装置15が音声出力制御装置22に警報信号を出力し、音声出力制御装置22によって生成した音声信号をスピーカーに送信し(S104)、スピーカー23より運転者に対して警告を促すものとする。これにより、気象警報情報を音声で報知し、運転者にスムーズな運転を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、車載用表示装置の輝度を調整するのに専用のハードウェアを必要とせず、コストがかからないため広く利用されることが期待される。
【符号の説明】
【0032】
10 車両
11 車載機
12 交通管制情報センター
13 光ビーコン装置
14 交通管制情報受信機
15 気象情報処理装置
16 気象情報定義ファイル
17 GPS受信機
18 車両周辺照度推定部
19 輝度調整判定部
20 輝度決定用ファイル
21 車載用表示装置
22 音声出力制御装置
23 スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信で受信した気象情報を含む交通管制情報と、GPS情報とに基づき、車載用表示装置に運転者への運転情報を表示する車載用表示装置を備えた車載機において、
前記車載機は、交通管制情報受信機と、GPS受信機と、車載用表示制御装置を有し、該車載用表示制御装置はさらに、前記交通管制情報受信機で受信した交通管制情報から気象情報を抽出する気象情報処理装置と、前記GPS受信機のGPS情報から車両周辺照度を推定する車両周辺照度推定部と、前記気象情報処理装置と前記車両周辺照度推定部の出力に基づいて前記車載用表示装置の最適な輝度を判定し決定する輝度調整判定部を有することを特徴とする車載用表示装置を備えた車載機。
【請求項2】
請求項1に記載された車載用表示装置を備えた車載機において、前記車載用表示制御装置は、前記気象情報処理装置抽出した気象情報から複数の所定の気象モデルを定義する気象情報定義ファイルを有し、前記気象情報処理装置は前記気象情報定義ファイルから特定の気象モデルを決定することを特徴とする車載用表示装置を備えた車載機。
【請求項3】
請求項2に記載された車載用表示装置を備えた車載機において、前記気象情報定義ファイルの気象モデルは、快晴、晴れ、薄曇り、曇り、霧、小雨、雨、大雨、雷雨、台風の少なくとも一つを含むことを特徴とする車載用表示装置を備えた車載機。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された車載用表示装置を備えた車載機において、前記車載用表示制御装置は輝度決定用ファイルを有し、前記輝度調整判定部は前記気象情報処理装置で決定した気象モデルと前記車両周辺照度推定部で決定した車両周辺照度に基づき、運転者に最適な前記車載用表示装置の輝度を決定することを特徴とする車載用表示装置を備えた車載機。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された車載用表示装置を備えた車載機において、前記車載機はさらにスピーカーを有し、前記車載用表示制御装置はさらに気象情報処理装置の気象モデルに応じて音声を出力する音声出力制御装置を有し、前記スピーカーにより運転者に警報を発することを特徴とする車載用表示装置を備えた車載機。
【請求項6】
請求項5に記載された車載用表示装置を備えた車載機において、前記警報を発する気象モデルは、豪雨、強風、台風の少なくとも一つを含むことを特徴とする車載用表示装置を備えた車載機。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載された車載用表示装置を備えた車載機において、
前記GPS情報は、車両の走行位置と、高度または日付または時刻データの少なくとも一つを含むことを特徴とする車載用表示装置を備えた車載機。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載された車載用表示装置を備えた車載機において、前記交通管制情報は、リモートサイトに設けられた交通管制情報センターから送信され、道路に設けられた光ビーコン装置を介して各車両に送信されることを特徴とする車載用表示装置を備えた車載機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−188024(P2012−188024A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53646(P2011−53646)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】