車載用電子機器用の支持構造
【課題】車載用電子機器をより好適な位置に配置することのできる磁石による吸着力を利用した車載用電子機器の支持構造を提供すること。
【解決手段】ポータブルナビゲーション装置1の背面に磁性体からなる第1の吸着プレート9を配設する。一方、スタンド11を車両内部のダッシュボードD上面にマグネットシート25と吸着プレートとの吸着関係で固定させる。スタンド11の支持プレート13の外面にはマグネットシート21が配設されており、ポータブルナビゲーション装置1はその背面の第1の吸着プレート9と支持プレート13のマグネットシート21との吸着関係で保持されることとなる。
【解決手段】ポータブルナビゲーション装置1の背面に磁性体からなる第1の吸着プレート9を配設する。一方、スタンド11を車両内部のダッシュボードD上面にマグネットシート25と吸着プレートとの吸着関係で固定させる。スタンド11の支持プレート13の外面にはマグネットシート21が配設されており、ポータブルナビゲーション装置1はその背面の第1の吸着プレート9と支持プレート13のマグネットシート21との吸着関係で保持されることとなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビジュアル情報をユーザーに目視させる機能を有した例えばナビゲーション装置、マイクロ波検出器又はETCのような車載用電子機器を車両内において支持するための支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ナビゲーション装置やマイクロ波検出器のような車載用電子機器を車両内の所定位置に安定的に支持させるために、従来からいくつもの支持手段が提案されている。このような支持手段として磁石の磁力を利用して車載用電子機器を吸着して支持するものがある。
例えば、特許文献1にはダッシュボードの所定位置にマグネット1を装着し、セルホーンのバッテリ部分をマグネット1の磁力で吸着して保持する技術が開示されている。また、特許文献2にはダッシュボードの所定位置に磁石10を装着し、電子機器6の磁性体11を磁石10の磁力で吸着して保持するという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−59083号公報
【特許文献2】実用新案登録第3051629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2ではいずれも薄板状の磁石を直接ダッシュボードに装着し、その磁石に対して車載用電子機器を吸着させるというものである。そのため、車載用電子機器の配置位置はどうしてもダッシュボードの表面に近接した場所に限定されてしまうため、磁石を利用した車載用電子機器の支持構造において機器のモニタ−部や操作部の位置をダッシュボードの表面から離したより見やすい位置やより操作しやすい位置に配置したいという要望があった。また、特許文献1及び2ではいずれも磁石を直接ダッシュボードに装着するため、これら特許文献1及び2の図に示すようにダッシュボードのユーザーに対面した壁面に磁石を露出させなくてはならない。この位置は見やすさや操作しやすさから車載用電子機器の支持位置としては妥当ではあるが、同時に計器類を備えたインパネが配置されていたりエアコンの吹き出し口があったりしてスペース的に余裕がない場合が多く、車種によってはユーザーの望む位置に配置することができなかった。更にインパネ周りに磁石を配置することを美観上好ましく思わないユーザーもあった。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その目的は、車載用電子機器をより好適な位置に配置することのできる磁石による吸着力を利用した車載用電子機器の支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の手段では、車両内の所定位置に固定される支持具に対して車載用電子機器を車両内において支持するための支持構造であって、前記車載用電子機器は背面に磁石又は磁性体の少なくとも一方からなる第1の吸着保持部を有し、前記支持具は車両内部の任意の取り付け位置に固定手段を介して固定される支持部と、前記支持部から延出される張り出し部とを備え、前記張り出し部には磁石又は磁性体からなる第2の吸着保持部が形成され、前記車載用電子機器を前記第1の吸着保持部と前記第2の吸着保持部との磁力による吸着作用によって支持させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成においては、まず支持具について車両内部の任意の取り付け位置に固定手段を介して支持部を固定し、その状態で張り出し部が延出されるため、その張り出し部の第2の吸着保持部に対して車載用電子機器の形成された第1の吸着保持部を磁石と磁性体の関係で吸着保持させるようにする。
このような構成であれば、支持部から張り出し部が延出され、車載用電子機器を実際に支持する第2の吸着保持部はその張り出し部に形成されているため、車載用電子機器を支持部から十分離間した位置に配置させることができ、車載用電子機器の配置位置に裕度ができ、必ずしも車載用電子機器をダッシュボードのユーザーに対面した壁面に配置しなくともよい。第1及び第2の吸着保持部は互いに磁石又は磁性体の関係であれば磁力で吸着されることとなるため、互いに対の関係になればどちらが磁石であっても磁性体であっても構わず、一方の吸着保持部に磁石又は磁性体が混在することもありうる。
固定手段としては磁石と磁性体の磁力による吸着作用を利用するもの、両面テープを使用するもの、吸盤を使用するもの、粘着パッドを使用するもの等が想定される。
支持部の車両内部の任意の取り付け位置としては最も想定される位置としてはダッシュボードの上面である。但し、ダッシュボードのユーザーに対面した壁面に支持部を固定するように使用することも自由である。
【0006】
第2の手段では第1の手段に加えて、前記第1の吸着保持部と前記第2の吸着保持部とが密着する際に前記車載用電子機器側の背面と前記張り出し部との間で圧縮される弾性摩擦部材を前記張り出し部側又は前記背面側の少なくともいずれか一方に配設したことをその要旨とする。
このような構成とすることで、第1の吸着保持部と第2の吸着保持部とが密着している状態で、弾性摩擦部材が圧縮されて張り出し部と背面との間に介在することとなるため、弾性摩擦部材による摩擦によって両吸着保持部間の横すべりが防止されることとなり、車載用電子機器を支持させた位置にしっかりと保持させることが可能となる。
ここに、弾性摩擦部材としては例えば、合成ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン等の発泡性材料が挙げられる。
【0007】
第3の手段では第2の手段に加えて、前記弾性摩擦部材は前記張り出し部側に装着され、前記第2の吸着保持部を外周方向から包囲していることをその要旨とする。
このような構成であれば、密着させた第1の吸着保持部と第2の吸着保持部とを互いにスライドさせた場合にどのような方向に対しても均等に摩擦力が作用することとなり、張り出し部がどのような向き(傾き)に延出されていても両吸着保持部間の横すべりを効果的に防止することができる。特に、第1の吸着保持部は、弾性摩擦部材の包囲する部位よりも大きく構成するとよい。このようにすれば、弾性摩擦部材の包囲する部位全体が、第1の吸着保持部に接することとなり、両吸着保持部間の横すべりをさらに効果的に防止することができる。
【0008】
第4の手段では第1〜3のいずれかの手段に加えて、前記固定手段は車両側の任意の取り付け位置に設置される磁石又は磁性体のいずれかから構成される薄板状の第3の吸着保持部と、前記支持部の底面に配設された磁石又は磁性体からなる第4の吸着保持部とから構成され、前記支持部を前記第3の吸着保持部と前記第4の吸着保持部との磁力による吸着作用によって前記第3の吸着保持部の設置位置に固定させるようにしたことをその要旨とする。
この構成は固定手段として磁石と磁性体の磁力による吸着作用を利用するものの具体的構成を示すものである。このような磁力による吸着作用を利用ことによって支持部及び張り出し部は車載用電子機器を使用しない場合に一旦取り外すことができ、また、再度の取り付けも簡単に行うことができる。なお、第3の吸着保持部の車両側の面は例えば粘着面とするとよい。この粘着面は例えば両面テープ、接着剤、または、ゲル素材によって形成するとよい。
【0009】
第5の手段では第1〜4のいずれかの手段に加えて、前記支持部の底面には収容凹部が形成されており、前記収容凹部内の天井位置には前記第4の吸着保持部が配設されるとともに、前記第3の吸着保持部の厚みよりも前記収容凹部の上下幅を広く形成し、前記第3の吸着保持部と前記第4の吸着保持部との吸着状態において前記第3の吸着保持部が前記収容凹部内に収容されることをその要旨とする。
第3の吸着保持部は支持部を固定する位置に前もって固定されており、支持部をその位置に配置する前には外部に露出されているが、支持部の収容凹部を第3の吸着保持部に照合させて配置することで第3の吸着保持部は支持部に覆われ、なおかつ第4の吸着保持部と第3の吸着保持部の吸着によって支持部はその位置で支持されることとなる。
これによって支持部を所定位置に固定した段階で第3の吸着保持部は支持部の収容凹部によって覆われて目視がされなくなる。
【0010】
第6の手段では第1〜5のいずれかの手段に加えて、前記収容凹部の内周位置には前記第3の吸着保持部を収容した際に前記第3の吸着保持部との相対的な横ずれを防止するための横ずれ防止手段が設けられていることをその要旨とする。
第3の吸着保持部と第4の吸着保持部との磁力による吸着であるため、車両にかかる加速度の影響でどうしても支持部は第3の吸着保持部に対して横ずれしやすくなるが、このような構成とすることによって支持部が固定された位置から横ずれしてしまうことがなくなる。
【0011】
第7の手段では第1〜6のいずれかの手段に加えて、前記張り出し部は前記支持部の端部位置にその基部が連結された状態で立設されていることをその要旨とする。
この構成は支持部に対する張り出し部のより具体的な形状を示すものである。このように支持部に対して張り出し部が側面視においてL字状に配置されることによって、例えば図11(a)に示すように、ダッシュボードの上面に支持部をセットした場合に張り出し部を縁寄りに面して配置してもダッシュボードから支持部がはみ出すことがなく、より張り出し部をユーザー側に接近させることができる。L字状でない場合には図11(b)のようにダッシュボードから支持部がはみ出してしまう場合もある。また、図12(a)に示すように支持部を上下反転させて使用する際にも図12(b)のように支持部がユーザー側に突出することがなくなる。
【0012】
第8の手段では第1〜7のいずれかの手段に加えて、前記張り出し部は前記支持部に対してその基部を中心に回動可能に支持されていることをその要旨とする。
これによって張り出し部を回動させて車載用電子機器をより最適な位置に移動させたり、車載用電子機器を張り出し部に支持させていない場合に使用していない張り出し部を寝かせておくことも可能となる。
【発明の効果】
【0013】
上記請求項1〜8の発明によれば、支持部から延出された張り出し部に形成された第2の吸着保持部に対して車載用電子機器を磁力によって吸着させることができるため、従来に比べて車載用電子機器をより好適な位置に配置することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1の支持構造であってポータブルナビゲーション装置とスタンドとのダッシュボード上での配置関係を説明する斜視説明図。
【図2】実施例1においてポータブルナビゲーション装置を様々な姿勢で支持した状態を説明する正面図。
【図3】実施例1のスタンドの断面図。
【図4】実施例1のスタンドの底面図。
【図5】実施例1のスタンドに配設された第1のマグネットシート及びクッションリングの正面図。
【図6】(a)は第1のマグネットシート及びクッションリングのみを断面(図5のA−A線)で示す実施例1のスタンドへのポータブルナビゲーション装置の装着前あるいは取り外し後であり、(b)は同じく装着状態を説明する説明図。
【図7】実施例2のスタンドをダッシュボード上に載置させる直前の断面図。
【図8】実施例2のスタンドをダッシュボード上に載置させた状態の断面図。
【図9】実施例3のスタンドの分解斜視図。
【図10】実施例3のスタンドの側面図。
【図11】(a)及び(b)は本発明の作用及び効果を説明する説明図。
【図12】(a)及び(b)は本発明の作用及び効果を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を車載用電子機器としてのポータブルナビゲーション装置(いわゆるPND:Portable Navigation Device)をダッシュボードに支持させる際の具体的な実施例を図面に基づいて説明する。
(実施例1)
図1及び図2に示すように、ポータブルナビゲーション装置(以下、単にナビゲーション装置とする)1は扁平な直方体形状の外形の筐体2を外形を備え、筐体2の前面にモニター3が形成されている。筐体2の周囲端面にはインターフェースとしての種々の操作手段としてのボタンや接続端子部等が形成されている。具体的には図1に示すように、上部端面2aにはメニューボタン4が配設され、側部端面2bにはSDカード用スロット5、電源ボタン6、ステレオヘッドフォーン用端子7、USB端子8等が形成されている。筐体2の背面側であって中央を含む3/5程度の領域には鉄−ニッケル系合金を主体とした合金製の第1の吸着保持部としての第1の吸着プレート9が配設されている。第1の吸着プレート9は長方形形状の薄板体であって、上下幅がちょうど筐体2の背面側上下幅と一致する。
【0016】
図1〜図4に示すように、ポータブルナビゲーション装置1が支持される支持具としてのスタンド11は、底側が開放された中空に構成されたプラスチック製の一体成型品であって、支持部としてのベースプレート12と、ベースプレート12の前端位置から上方に向って立設された張り出し部としての支持プレート13から構成されている。スタンド11は側面視でL字状の外観を呈する。ベースプレート12は略正方形形状の天板12aと、天板12aを三方から包囲するように下垂した横長長方形形状の小壁部12bから構成されており、先端寄りで支持プレート13の基部と一体化されている。ベースプレート12は全体として扁平なケース状の外観を呈している。図3及び図4に示すように、ベースプレート12内には底面側に開放されている収容凹部14が形成されている。収容凹部14は三方を小壁部12bで包囲されるとともに一方を天板12aから下垂されるリブ16によって正方形形状に包囲された空間とされている。小壁部12bとリブ16によって横ずれ防止手段が実現されている。
収容凹部14内の天井面14aには鉄−ニッケル系合金を主体とした第4の吸着保持部としての合金製の第2の吸着プレート15が貼着されている。
図1及び図3に示すように、支持プレート13はベースプレート12の先端寄りを基部としてベースプレート12の底面12cに対して直交する略正方形形状の前面壁13aと、前面壁13aに対して若干斜状に配置された略長方形形状の後面壁13bと、前面壁13a及び後面壁13bの間を連結する三方に配置された小壁部13cから構成されている。支持プレート13の内側には支持プレート13の強度を上げるための構造として補強リブ17が形成されている。
【0017】
支持プレート13の前面壁13a外面側の上部位置には第2の吸着保持部としての第1のマグネットシート21が配設されている。図5に示すように、第1のマグネットシート15は粉体状の強磁性体を合成ゴムに練り込んだ板状の磁石材料であって、隅丸長方形形状の平面形状とされている。第1のマグネットシート21の周囲には弾性摩擦部材としての発泡ウレタン製のクッションリング22が貼着されている。図6(a)に示すように、クッションリング22は第1のマグネットシート15の面(つら)から若干外方に突出させられている。
本実施例1では図1に示すようにこのようなスタンド11のベースプレート12の底面12cに形成された収容凹部14の形状に対応する第3の吸着保持部としての第2のマグネットシート25が用意されている。第2のマグネットシート25は第1のマグネットシート21と同素材から構成されている。第2のマグネットシート25は収容凹部14の縦・横・高さの内寸に対して若干小寸法の相似形状に構成されている。第2のマグネットシート25の裏面には図示しない粘着面が形成されている。
【0018】
次に上記の構成のナビゲーション装置1を車両のダッシュボード近傍に配置する場合の設置方法について説明する。
図1に示すように、ダッシュボードDの上面の所定の位置に第2のマグネットシート25を貼着する。そして、スタンド11のベースプレート12をこの第2のマグネットシート25の位置に収容凹部14を照合させるように載置する。本実施例1では図1のように支持プレート13の前面壁13aがダッシュボードDの縁方向(つまり座席方向)を向くようにベースプレート12を第2のマグネットシート25の上に載置する。すると収容凹部14内の第2の吸着プレート15が第2のマグネットシート25の磁力に吸引されて吸着状体となることでスタンド11はダッシュボードD上に固定されることとなる。このようにスタンド11が固定されると支持プレート13はダッシュボードDの縁付近に垂直方向に起立状態で保持されることとなる。
次いで、ナビゲーション装置1を支持プレート13に対して取り付ける。ナビゲーション装置1の背面側を支持プレート13の前面壁13aに対面させ任意の姿勢(回転位置)で第1の吸着プレート9を第1のマグネットシート21に吸着保持させるようにする。例えば、図2の実線位置pで示すように左右方向に長尺方向を配置することも可能であり、破線位置rで示すように90度回転させた位置に配置することも可能であり、破線位置qで示すように実線位置pに対するスライド移動させた位置に配置することも可能である。もちろん、これら以外の姿勢であっても構わない。また、一旦吸着させてから取り外して別の姿勢にすることも可能である。
ナビゲーション装置1の支持プレート13への吸着に伴って、第1のマグネットシート21の周囲に配設されたクッションリング22がナビゲーション装置1の筐体2によって図6(b)のように第1のマグネットシート21の高さ位置まで(つまり面一となる位置まで)圧縮されることとなる。ナビゲーション装置1を取り外すことで圧縮されたクッションリング22は図6(a)の状態に復帰する。
【0019】
以上のような構成の実施例1の支持構造では次のような効果が奏される。
(1)従来の支持プレートを有さないケースではダッシュボードのユーザーに対面した壁面に第2のマグネットシート25のような固定手段を配置しなくてはならなかったが、本実施例1ではベースプレート12の前端から支持プレート13が起立するような構成で、その支持プレート13に対してナビゲーション装置1を装着することができるためダッシュボードDの上に第2のマグネットシート25を配置させることができ、第2のマグネットシート25が座席側から目視されにくい(目立ちにくい)ものとなっている。
(2)支持プレート13がベースプレート12から起立し、その上部寄りに第1のマグネットシート21が配設されているため、結果として支持プレート13からかなり上方位置にナビゲーション装置1を配置させることができるため、ユーザーはより上位位置でナビゲーション装置1のモニター3を目視できる。そして、上記のように任意の姿勢でナビゲーション装置1を配置することができる。
(3)例えば、ダッシュボードDの運転席寄りの端部(図1でダッシュボードDを示す線)に沿って第2のマグネットシート25をダッシュボードDに貼りつけ、これに収容凹部14を合わせて、収容凹部14内の第2の吸着プレート15と第2のマグネットシート25とを吸着させて設置する。
このように設置することで、支持プレート13の前面壁13aはダッシュボードDの位置から運転席側にやや突出した状態となる。そして、この状態で、ナビゲーション装置1の背面側を支持プレート13の前面壁13aに対面させ、図2の実線位置pよりも下の位置(破線位置qとは反対方向)で、第1の吸着プレート9を第1のマグネットシート21に吸着保持させるようにする。あるいは、90度回転させた位置であって図2の破線位置rよりも下の位置で、第1の吸着プレート9を第1のマグネットシート21に吸着保持させるようにする。このようにすれば、低い位置にナビゲーション装置1を設置することができるので、運転の妨げにならず、運転席側から見てダッシュボード上にはなにもないかのようにすっきりとする。特にナビゲーション装置1の表面側の短手方向の長さよりも、支持プレート13の前面壁13aの長手方向の長さを短くすると、ナビゲーション装置1を回転させない場合と、90度回転させた場合のいずれであっても、運転席側からスタンドが隠され、見えない状態となるので好ましい。
【0020】
(4)ナビゲーション装置1は磁力による吸着で支持プレート13に支持されるため、車両の揺れによって保持させた位置からどうしてもずれやすくなってしまうが、本実施例では第1のマグネットシート21に周囲にはクッションリング22配設されて、ナビゲーション装置1によって圧縮されているため、ナビゲーション装置1を支持プレート13に対してスライドさせる方向への動きに対して摩擦による抵抗力が発生し、保持させた位置から横ずれすることがなくなる。また、第1のマグネットシート21自体は直接第1の吸着プレート9に吸着されるため、吸着力が弱まることもない。
(5)ナビゲーション装置1を使用しない場合にはナビゲーション装置1を支持プレート13から簡単に取り外すことができ、スタンド11自体も使用しない場合にはダッシュボードDから簡単に取り外すことができる。
(6)第2のマグネットシート25は支持プレート13によって覆われて見えなくなるため、あたかもスタンド11がダッシュボードDに初めから取り付けられているような一体感がある。また、第2のマグネットシート25はほぼ隙間なく収容凹部14内に収容されるため一旦固定した支持プレート13が横ずれすることがない。
【0021】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では上記実施例1と異なる構成のみ詳細に説明し、上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図7に示すように、支持具としての実施例2のスタンド31は支持部としての台座32と張り出し部としての支持アーム33から構成されている。台座32は弾性を有する合成ゴム製の中実部材であって、伏せた碗形状に構成されている。台座32の表面は適度の摩擦係数を有するものとする。台座32の中央位置には上方が開放された球状凹部34が形成されている。台座32の底面32aには収容凹部35が形成されている。収容凹部35内の天井面35aには鉄−ニッケル系合金を主体とした合金製の第4の吸着保持部としての第2の吸着プレート36が貼着されている。収容凹部35の内寸はダッシュボードD側に貼着される第3の吸着保持部としての第2のマグネットシート37の外形形状とほぼ相似形状(第2のマグネットシート37の寸法が若干小さい)とされている。
支持アーム33は平板状の上部プレート部38と上部プレート部38の基部に一体的に形成されたボール部39から構成されている。ボール部39は球状凹部34の内径よりも若干大きめに構成され、球状凹部34に対して無理嵌め状に嵌合されている。上部プレート部38の外面38aには実施例1と同様の第1のマグネットシート21及びクッションリング22が配設されている。
【0022】
このような構成のスタンド31を使用した支持構造では上記実施例1の(1)〜(6)と同様の効果が奏されるとともに、支持アーム33はボール部39を回動基部として図7の実線で示す起立した状態から破線で示す一方向に倒伏した状態へ回動させることができるため、ナビゲーション装置1を使用しない場合には支持アーム33を倒伏した(畳んだ)コンパクトな状態とすることができる。また、ボール部39が回転する際には球状凹部34との間で十分な摩擦を持っていることから図8において起立〜倒伏に至る途中の任意の回動位置で停止させることもでき、ユーザーの視線方向等に応じたより好適な回動位置にナビゲーション装置1を配置することができる。尚、実施例2において球状凹部34の上部の開放領域を広げることで図8における回動方向と交差する方向(図8における手前〜奥にかけて)に回動させるような構成を加えることも可能である。また、ボール部39から上部プレート部38への軸心を、中心とした軸まわりの方向にも回転可能である。例えば、図7の状態であれば、ボール部29の中心を通り、真上から真下の方向を軸として、その軸まわりに、ダッシュボードDと平行な平面内で回転させることができる。
そして、これら各方向への回転は組み合わせて行うことができるので、第2のマグネットシート37をはがすこと無く容易に方向を調整できる。しかもこの調整は、第1の吸着プレート9を第1のマグネットシート21に吸着保持させる位置の調整と併せて行うことできる。したがって、運転者は、ナビゲーション装置1の向きや位置を、そのモニター3の表示を見やすい向きや位置、ボタン等の操作をしやすい向きや位置に、随時、容易に調整することができる。
【0023】
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例3では上記実施例1又は2と異なるスタンド41について説明する。上記実施例1又は2と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図9及び図10に示すように、支持具としての実施例3のスタンド41は支持部としてのベースプレート42と張り出し部としての支持アーム43から構成されている。スタンド41は側面視でL字状の外観を呈する。ベースプレート42と支持アーム43はそれぞれプラスチック製の正方形の平面形状を有する板体とされている。ベースプレート42の前端上面には左右一対の第1の軸受け部44a、44bがベースプレート42と一体的に形成されている。支持アーム43の下端には左右一対の第2の軸受け部45a、45bが支持アーム43と一体的に形成されている。第2の軸受け部45a、45bの間隔は第1の軸受け部44a、44bよりも第1の軸受け部44a、44bの厚み分だけ短く構成されている。従って、組み立て状態では第1の軸受け部44aの内面と第2の軸受け部45aの外面が、また第1の軸受け部44bの内面と第2の軸受け部45bの外面がそれぞれ近接位置で対面配置されることとなる。支持アーム43は第1及び第2の軸受け部44a、44b、45a、45bを介して連結機構47によってベースプレート42に対して回動可能に連結されている。ベースプレート42の底面には図示しないが実施例1及び2と同様に収容凹部が形成され、磁力による吸着作用で任意の位置に設置可能とされている。
図9に示すように、連結機構47はシャフト48、シャフトホルダー49、スリーブ50、及び調整ねじ51から構成されている。シャフト48は第1及び第2の軸受け部44、45のすべてを貫通する回動軸となる部材であって、六角形状のヘッド48aを有するとともに先端寄り外周に切り欠き状の回り止め48bが形成されている。シャフト48先端には調整ねじ51が螺合される図示しないねじ穴が形成されている。支持アーム43の外面43aには実施例1と同様の第1のマグネットシート21及びクッションリング22が配設されている。
【0024】
支持アーム43は次のようにベースプレート42に連結され所定の回動位置で保持される。
まず、第1の軸受け部44aの凹部52内にスリーブ50及びシャフトホルダー49の順で嵌挿させる。スリーブ50の回り止め50aは支持アーム43の第2の軸受け部45a内に係合されることとなる。次いで、支持アーム43をその第2の軸受け部45a、45bがベースプレート42側の第1の軸受け部44a、44bと照合するように配置し、第1の軸受け部44a側からシャフト48を挿通する。シャフト48のヘッド48aはシャフトホルダー49内の六角凹部49aに係合される。そして、第1の軸受け部44bの外方から調整ねじ51をシャフト48先端に螺合させこれによってシャフト48を第1の軸受け部44a、44bに対して締め付けていくようにする。締め付けに伴ってシャフトホルダー49はヘッド48aに押動されてスリーブ50方向に移動し、スリーブ50に形成された第1の噛合面53はシャフトホルダー49の対向する第2の噛合面54と密着するようになり、スリーブ50の回動が規制されることとなる。スリーブ50の回り止め50aは第2の軸受け部45a内に係合されているため、支持アーム43の回動が阻止されることとなる。
このような構成であれば調整ねじ51を緩めることでスリーブ50とシャフトホルダー49の噛合面53、54の密着が解除できるため支持アーム43を任意の回動位置(位相位置)に配置することができ、調整ねじ51を締めることによって噛合面53、54が密着されてその回動位置が保持されることとなる。
このような構成のスタンド41を使用した支持構造では上記実施例1の(1)〜(6)と同様の効果が奏されるとともに、支持アーム43は第2の軸受け部45a、45bを回動基部として図9の実線で示す起立した状態から破線で示すように前後方向に自在に回動させることができるため、ナビゲーション装置1を使用しない場合には支持アーム33をベースプレート42に重ねた状態としたり、その他、任意の位置に保持させることができる。また、ベースプレート42から支持アーム43のみを取り外しておくことも可能である。
【0025】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・支持部に対して張り出し部が側面視においてL字状に構成することで、図11(a)に示すように、ダッシュボードの上面に支持部をセットした場合に張り出し部を縁寄りに面して配置してもダッシュボードから支持部がはみ出すことがなく、より張り出し部をユーザー側に接近させることができる。また、図12(a)に示すように支持部を上下反転させた構成とする際にも図12(b)のように支持部がユーザー側に突出することがなくなる。図12(a)に示すように支持部を上下反転させた構成としては、例えば、図1、図3等に示したスタンド11の底面12側に設けた収容凹部14と第2の吸着プレート15からなる部分を、ベースプレート12の天板12a上に設けるようにしてもよい。底面12側に設けるか天板12a上に設けるかは、任意に選択でき、いずれか一方としてもよいし、両方を設けるようにしてもよい。両方を設ければ、図11(a)のような設置状態と図12(a)のような設置状態の双方を採ることができる。この場合、吸着されない側の収容凹部は、上面側から見えてしまうので、例えば、この上面側になる収容凹部内を埋める部材を設けるとよく、例えば、この部材は第3の吸着保持部としての第2のマグネットシート25と同形状の部材とするとよい。このようにすれば、この部材が、上面側から見える収容凹部を埋めて、見た目を改善することができる。なお、当該部材の底面側は磁石又は磁性体の少なくとも一方からなる素材とするとよく、当該部材の上面側は、天板12aと同化する素材とするとよい。
【0026】
・スタンド11、31、41の形状について、上記は一例である。
・第2のマグネットシート25をデザイン化(表面に模様を塗装したり、印刷したり、樹脂等でのコーティングしたり、形状に矩形以外の様々な形状とする)するようにすることが好ましい。それによって、かえって第2のマグネットシート25をワンポイントマークとして積極的に利用することが可能である。また、逆にこの第2のマグネットシート25の模様や表面処理等の形態は、車と同化する形態とするのも特によい。特に車室内に存在する物、例えばダッシュボードの模様や、車内にある吹き出し口、スピーカーの孔を模した形態とするとよい。
・ナビゲーション装置1の上記形状は一例であって、他のナビゲーション装置更にナビゲーション装置以外の車載用電子機器に応用することも自由である。
・固定手段として磁力以外の手段を使用することも自由である。
・ナビゲーション装置1の背面の第1の吸着プレート9の位置や占める面積は適宜変更可能である。
・吸着プレート9、15、36やマグネットシート21、25、37は他の形状や材質であっても構わない。
・クッションリング22の形状や素材については上記は一例である。マグネットシート21、25、37の形状変形に伴って適宜弾性摩擦部材の形状を変形することは自由である。
・上記ではスタンド11、31はダッシュボードDの上面に設置する例で説明したが、ダッシュボードDの上面以外の位置に設置することも自由である。
・その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0027】
1…車載用電子機器としてのナビゲーション装置、9…第1の吸着保持部としての第1の吸着プレート、11、31、41…支持具としてのスタンド、12、42…支持部としてのベースプレート、13…張り出し部としての支持プレート、21…第2の吸着保持部としてのマグネットシート、15、36…固定手段(第4の吸着保持部)を構成する吸着プレート、25、37…固定手段(第3の吸着保持部)を構成するマグネットシート、32…支持部としての台座、33、43…張り出し部としての支持アーム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビジュアル情報をユーザーに目視させる機能を有した例えばナビゲーション装置、マイクロ波検出器又はETCのような車載用電子機器を車両内において支持するための支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ナビゲーション装置やマイクロ波検出器のような車載用電子機器を車両内の所定位置に安定的に支持させるために、従来からいくつもの支持手段が提案されている。このような支持手段として磁石の磁力を利用して車載用電子機器を吸着して支持するものがある。
例えば、特許文献1にはダッシュボードの所定位置にマグネット1を装着し、セルホーンのバッテリ部分をマグネット1の磁力で吸着して保持する技術が開示されている。また、特許文献2にはダッシュボードの所定位置に磁石10を装着し、電子機器6の磁性体11を磁石10の磁力で吸着して保持するという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−59083号公報
【特許文献2】実用新案登録第3051629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2ではいずれも薄板状の磁石を直接ダッシュボードに装着し、その磁石に対して車載用電子機器を吸着させるというものである。そのため、車載用電子機器の配置位置はどうしてもダッシュボードの表面に近接した場所に限定されてしまうため、磁石を利用した車載用電子機器の支持構造において機器のモニタ−部や操作部の位置をダッシュボードの表面から離したより見やすい位置やより操作しやすい位置に配置したいという要望があった。また、特許文献1及び2ではいずれも磁石を直接ダッシュボードに装着するため、これら特許文献1及び2の図に示すようにダッシュボードのユーザーに対面した壁面に磁石を露出させなくてはならない。この位置は見やすさや操作しやすさから車載用電子機器の支持位置としては妥当ではあるが、同時に計器類を備えたインパネが配置されていたりエアコンの吹き出し口があったりしてスペース的に余裕がない場合が多く、車種によってはユーザーの望む位置に配置することができなかった。更にインパネ周りに磁石を配置することを美観上好ましく思わないユーザーもあった。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その目的は、車載用電子機器をより好適な位置に配置することのできる磁石による吸着力を利用した車載用電子機器の支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の手段では、車両内の所定位置に固定される支持具に対して車載用電子機器を車両内において支持するための支持構造であって、前記車載用電子機器は背面に磁石又は磁性体の少なくとも一方からなる第1の吸着保持部を有し、前記支持具は車両内部の任意の取り付け位置に固定手段を介して固定される支持部と、前記支持部から延出される張り出し部とを備え、前記張り出し部には磁石又は磁性体からなる第2の吸着保持部が形成され、前記車載用電子機器を前記第1の吸着保持部と前記第2の吸着保持部との磁力による吸着作用によって支持させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成においては、まず支持具について車両内部の任意の取り付け位置に固定手段を介して支持部を固定し、その状態で張り出し部が延出されるため、その張り出し部の第2の吸着保持部に対して車載用電子機器の形成された第1の吸着保持部を磁石と磁性体の関係で吸着保持させるようにする。
このような構成であれば、支持部から張り出し部が延出され、車載用電子機器を実際に支持する第2の吸着保持部はその張り出し部に形成されているため、車載用電子機器を支持部から十分離間した位置に配置させることができ、車載用電子機器の配置位置に裕度ができ、必ずしも車載用電子機器をダッシュボードのユーザーに対面した壁面に配置しなくともよい。第1及び第2の吸着保持部は互いに磁石又は磁性体の関係であれば磁力で吸着されることとなるため、互いに対の関係になればどちらが磁石であっても磁性体であっても構わず、一方の吸着保持部に磁石又は磁性体が混在することもありうる。
固定手段としては磁石と磁性体の磁力による吸着作用を利用するもの、両面テープを使用するもの、吸盤を使用するもの、粘着パッドを使用するもの等が想定される。
支持部の車両内部の任意の取り付け位置としては最も想定される位置としてはダッシュボードの上面である。但し、ダッシュボードのユーザーに対面した壁面に支持部を固定するように使用することも自由である。
【0006】
第2の手段では第1の手段に加えて、前記第1の吸着保持部と前記第2の吸着保持部とが密着する際に前記車載用電子機器側の背面と前記張り出し部との間で圧縮される弾性摩擦部材を前記張り出し部側又は前記背面側の少なくともいずれか一方に配設したことをその要旨とする。
このような構成とすることで、第1の吸着保持部と第2の吸着保持部とが密着している状態で、弾性摩擦部材が圧縮されて張り出し部と背面との間に介在することとなるため、弾性摩擦部材による摩擦によって両吸着保持部間の横すべりが防止されることとなり、車載用電子機器を支持させた位置にしっかりと保持させることが可能となる。
ここに、弾性摩擦部材としては例えば、合成ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン等の発泡性材料が挙げられる。
【0007】
第3の手段では第2の手段に加えて、前記弾性摩擦部材は前記張り出し部側に装着され、前記第2の吸着保持部を外周方向から包囲していることをその要旨とする。
このような構成であれば、密着させた第1の吸着保持部と第2の吸着保持部とを互いにスライドさせた場合にどのような方向に対しても均等に摩擦力が作用することとなり、張り出し部がどのような向き(傾き)に延出されていても両吸着保持部間の横すべりを効果的に防止することができる。特に、第1の吸着保持部は、弾性摩擦部材の包囲する部位よりも大きく構成するとよい。このようにすれば、弾性摩擦部材の包囲する部位全体が、第1の吸着保持部に接することとなり、両吸着保持部間の横すべりをさらに効果的に防止することができる。
【0008】
第4の手段では第1〜3のいずれかの手段に加えて、前記固定手段は車両側の任意の取り付け位置に設置される磁石又は磁性体のいずれかから構成される薄板状の第3の吸着保持部と、前記支持部の底面に配設された磁石又は磁性体からなる第4の吸着保持部とから構成され、前記支持部を前記第3の吸着保持部と前記第4の吸着保持部との磁力による吸着作用によって前記第3の吸着保持部の設置位置に固定させるようにしたことをその要旨とする。
この構成は固定手段として磁石と磁性体の磁力による吸着作用を利用するものの具体的構成を示すものである。このような磁力による吸着作用を利用ことによって支持部及び張り出し部は車載用電子機器を使用しない場合に一旦取り外すことができ、また、再度の取り付けも簡単に行うことができる。なお、第3の吸着保持部の車両側の面は例えば粘着面とするとよい。この粘着面は例えば両面テープ、接着剤、または、ゲル素材によって形成するとよい。
【0009】
第5の手段では第1〜4のいずれかの手段に加えて、前記支持部の底面には収容凹部が形成されており、前記収容凹部内の天井位置には前記第4の吸着保持部が配設されるとともに、前記第3の吸着保持部の厚みよりも前記収容凹部の上下幅を広く形成し、前記第3の吸着保持部と前記第4の吸着保持部との吸着状態において前記第3の吸着保持部が前記収容凹部内に収容されることをその要旨とする。
第3の吸着保持部は支持部を固定する位置に前もって固定されており、支持部をその位置に配置する前には外部に露出されているが、支持部の収容凹部を第3の吸着保持部に照合させて配置することで第3の吸着保持部は支持部に覆われ、なおかつ第4の吸着保持部と第3の吸着保持部の吸着によって支持部はその位置で支持されることとなる。
これによって支持部を所定位置に固定した段階で第3の吸着保持部は支持部の収容凹部によって覆われて目視がされなくなる。
【0010】
第6の手段では第1〜5のいずれかの手段に加えて、前記収容凹部の内周位置には前記第3の吸着保持部を収容した際に前記第3の吸着保持部との相対的な横ずれを防止するための横ずれ防止手段が設けられていることをその要旨とする。
第3の吸着保持部と第4の吸着保持部との磁力による吸着であるため、車両にかかる加速度の影響でどうしても支持部は第3の吸着保持部に対して横ずれしやすくなるが、このような構成とすることによって支持部が固定された位置から横ずれしてしまうことがなくなる。
【0011】
第7の手段では第1〜6のいずれかの手段に加えて、前記張り出し部は前記支持部の端部位置にその基部が連結された状態で立設されていることをその要旨とする。
この構成は支持部に対する張り出し部のより具体的な形状を示すものである。このように支持部に対して張り出し部が側面視においてL字状に配置されることによって、例えば図11(a)に示すように、ダッシュボードの上面に支持部をセットした場合に張り出し部を縁寄りに面して配置してもダッシュボードから支持部がはみ出すことがなく、より張り出し部をユーザー側に接近させることができる。L字状でない場合には図11(b)のようにダッシュボードから支持部がはみ出してしまう場合もある。また、図12(a)に示すように支持部を上下反転させて使用する際にも図12(b)のように支持部がユーザー側に突出することがなくなる。
【0012】
第8の手段では第1〜7のいずれかの手段に加えて、前記張り出し部は前記支持部に対してその基部を中心に回動可能に支持されていることをその要旨とする。
これによって張り出し部を回動させて車載用電子機器をより最適な位置に移動させたり、車載用電子機器を張り出し部に支持させていない場合に使用していない張り出し部を寝かせておくことも可能となる。
【発明の効果】
【0013】
上記請求項1〜8の発明によれば、支持部から延出された張り出し部に形成された第2の吸着保持部に対して車載用電子機器を磁力によって吸着させることができるため、従来に比べて車載用電子機器をより好適な位置に配置することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1の支持構造であってポータブルナビゲーション装置とスタンドとのダッシュボード上での配置関係を説明する斜視説明図。
【図2】実施例1においてポータブルナビゲーション装置を様々な姿勢で支持した状態を説明する正面図。
【図3】実施例1のスタンドの断面図。
【図4】実施例1のスタンドの底面図。
【図5】実施例1のスタンドに配設された第1のマグネットシート及びクッションリングの正面図。
【図6】(a)は第1のマグネットシート及びクッションリングのみを断面(図5のA−A線)で示す実施例1のスタンドへのポータブルナビゲーション装置の装着前あるいは取り外し後であり、(b)は同じく装着状態を説明する説明図。
【図7】実施例2のスタンドをダッシュボード上に載置させる直前の断面図。
【図8】実施例2のスタンドをダッシュボード上に載置させた状態の断面図。
【図9】実施例3のスタンドの分解斜視図。
【図10】実施例3のスタンドの側面図。
【図11】(a)及び(b)は本発明の作用及び効果を説明する説明図。
【図12】(a)及び(b)は本発明の作用及び効果を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を車載用電子機器としてのポータブルナビゲーション装置(いわゆるPND:Portable Navigation Device)をダッシュボードに支持させる際の具体的な実施例を図面に基づいて説明する。
(実施例1)
図1及び図2に示すように、ポータブルナビゲーション装置(以下、単にナビゲーション装置とする)1は扁平な直方体形状の外形の筐体2を外形を備え、筐体2の前面にモニター3が形成されている。筐体2の周囲端面にはインターフェースとしての種々の操作手段としてのボタンや接続端子部等が形成されている。具体的には図1に示すように、上部端面2aにはメニューボタン4が配設され、側部端面2bにはSDカード用スロット5、電源ボタン6、ステレオヘッドフォーン用端子7、USB端子8等が形成されている。筐体2の背面側であって中央を含む3/5程度の領域には鉄−ニッケル系合金を主体とした合金製の第1の吸着保持部としての第1の吸着プレート9が配設されている。第1の吸着プレート9は長方形形状の薄板体であって、上下幅がちょうど筐体2の背面側上下幅と一致する。
【0016】
図1〜図4に示すように、ポータブルナビゲーション装置1が支持される支持具としてのスタンド11は、底側が開放された中空に構成されたプラスチック製の一体成型品であって、支持部としてのベースプレート12と、ベースプレート12の前端位置から上方に向って立設された張り出し部としての支持プレート13から構成されている。スタンド11は側面視でL字状の外観を呈する。ベースプレート12は略正方形形状の天板12aと、天板12aを三方から包囲するように下垂した横長長方形形状の小壁部12bから構成されており、先端寄りで支持プレート13の基部と一体化されている。ベースプレート12は全体として扁平なケース状の外観を呈している。図3及び図4に示すように、ベースプレート12内には底面側に開放されている収容凹部14が形成されている。収容凹部14は三方を小壁部12bで包囲されるとともに一方を天板12aから下垂されるリブ16によって正方形形状に包囲された空間とされている。小壁部12bとリブ16によって横ずれ防止手段が実現されている。
収容凹部14内の天井面14aには鉄−ニッケル系合金を主体とした第4の吸着保持部としての合金製の第2の吸着プレート15が貼着されている。
図1及び図3に示すように、支持プレート13はベースプレート12の先端寄りを基部としてベースプレート12の底面12cに対して直交する略正方形形状の前面壁13aと、前面壁13aに対して若干斜状に配置された略長方形形状の後面壁13bと、前面壁13a及び後面壁13bの間を連結する三方に配置された小壁部13cから構成されている。支持プレート13の内側には支持プレート13の強度を上げるための構造として補強リブ17が形成されている。
【0017】
支持プレート13の前面壁13a外面側の上部位置には第2の吸着保持部としての第1のマグネットシート21が配設されている。図5に示すように、第1のマグネットシート15は粉体状の強磁性体を合成ゴムに練り込んだ板状の磁石材料であって、隅丸長方形形状の平面形状とされている。第1のマグネットシート21の周囲には弾性摩擦部材としての発泡ウレタン製のクッションリング22が貼着されている。図6(a)に示すように、クッションリング22は第1のマグネットシート15の面(つら)から若干外方に突出させられている。
本実施例1では図1に示すようにこのようなスタンド11のベースプレート12の底面12cに形成された収容凹部14の形状に対応する第3の吸着保持部としての第2のマグネットシート25が用意されている。第2のマグネットシート25は第1のマグネットシート21と同素材から構成されている。第2のマグネットシート25は収容凹部14の縦・横・高さの内寸に対して若干小寸法の相似形状に構成されている。第2のマグネットシート25の裏面には図示しない粘着面が形成されている。
【0018】
次に上記の構成のナビゲーション装置1を車両のダッシュボード近傍に配置する場合の設置方法について説明する。
図1に示すように、ダッシュボードDの上面の所定の位置に第2のマグネットシート25を貼着する。そして、スタンド11のベースプレート12をこの第2のマグネットシート25の位置に収容凹部14を照合させるように載置する。本実施例1では図1のように支持プレート13の前面壁13aがダッシュボードDの縁方向(つまり座席方向)を向くようにベースプレート12を第2のマグネットシート25の上に載置する。すると収容凹部14内の第2の吸着プレート15が第2のマグネットシート25の磁力に吸引されて吸着状体となることでスタンド11はダッシュボードD上に固定されることとなる。このようにスタンド11が固定されると支持プレート13はダッシュボードDの縁付近に垂直方向に起立状態で保持されることとなる。
次いで、ナビゲーション装置1を支持プレート13に対して取り付ける。ナビゲーション装置1の背面側を支持プレート13の前面壁13aに対面させ任意の姿勢(回転位置)で第1の吸着プレート9を第1のマグネットシート21に吸着保持させるようにする。例えば、図2の実線位置pで示すように左右方向に長尺方向を配置することも可能であり、破線位置rで示すように90度回転させた位置に配置することも可能であり、破線位置qで示すように実線位置pに対するスライド移動させた位置に配置することも可能である。もちろん、これら以外の姿勢であっても構わない。また、一旦吸着させてから取り外して別の姿勢にすることも可能である。
ナビゲーション装置1の支持プレート13への吸着に伴って、第1のマグネットシート21の周囲に配設されたクッションリング22がナビゲーション装置1の筐体2によって図6(b)のように第1のマグネットシート21の高さ位置まで(つまり面一となる位置まで)圧縮されることとなる。ナビゲーション装置1を取り外すことで圧縮されたクッションリング22は図6(a)の状態に復帰する。
【0019】
以上のような構成の実施例1の支持構造では次のような効果が奏される。
(1)従来の支持プレートを有さないケースではダッシュボードのユーザーに対面した壁面に第2のマグネットシート25のような固定手段を配置しなくてはならなかったが、本実施例1ではベースプレート12の前端から支持プレート13が起立するような構成で、その支持プレート13に対してナビゲーション装置1を装着することができるためダッシュボードDの上に第2のマグネットシート25を配置させることができ、第2のマグネットシート25が座席側から目視されにくい(目立ちにくい)ものとなっている。
(2)支持プレート13がベースプレート12から起立し、その上部寄りに第1のマグネットシート21が配設されているため、結果として支持プレート13からかなり上方位置にナビゲーション装置1を配置させることができるため、ユーザーはより上位位置でナビゲーション装置1のモニター3を目視できる。そして、上記のように任意の姿勢でナビゲーション装置1を配置することができる。
(3)例えば、ダッシュボードDの運転席寄りの端部(図1でダッシュボードDを示す線)に沿って第2のマグネットシート25をダッシュボードDに貼りつけ、これに収容凹部14を合わせて、収容凹部14内の第2の吸着プレート15と第2のマグネットシート25とを吸着させて設置する。
このように設置することで、支持プレート13の前面壁13aはダッシュボードDの位置から運転席側にやや突出した状態となる。そして、この状態で、ナビゲーション装置1の背面側を支持プレート13の前面壁13aに対面させ、図2の実線位置pよりも下の位置(破線位置qとは反対方向)で、第1の吸着プレート9を第1のマグネットシート21に吸着保持させるようにする。あるいは、90度回転させた位置であって図2の破線位置rよりも下の位置で、第1の吸着プレート9を第1のマグネットシート21に吸着保持させるようにする。このようにすれば、低い位置にナビゲーション装置1を設置することができるので、運転の妨げにならず、運転席側から見てダッシュボード上にはなにもないかのようにすっきりとする。特にナビゲーション装置1の表面側の短手方向の長さよりも、支持プレート13の前面壁13aの長手方向の長さを短くすると、ナビゲーション装置1を回転させない場合と、90度回転させた場合のいずれであっても、運転席側からスタンドが隠され、見えない状態となるので好ましい。
【0020】
(4)ナビゲーション装置1は磁力による吸着で支持プレート13に支持されるため、車両の揺れによって保持させた位置からどうしてもずれやすくなってしまうが、本実施例では第1のマグネットシート21に周囲にはクッションリング22配設されて、ナビゲーション装置1によって圧縮されているため、ナビゲーション装置1を支持プレート13に対してスライドさせる方向への動きに対して摩擦による抵抗力が発生し、保持させた位置から横ずれすることがなくなる。また、第1のマグネットシート21自体は直接第1の吸着プレート9に吸着されるため、吸着力が弱まることもない。
(5)ナビゲーション装置1を使用しない場合にはナビゲーション装置1を支持プレート13から簡単に取り外すことができ、スタンド11自体も使用しない場合にはダッシュボードDから簡単に取り外すことができる。
(6)第2のマグネットシート25は支持プレート13によって覆われて見えなくなるため、あたかもスタンド11がダッシュボードDに初めから取り付けられているような一体感がある。また、第2のマグネットシート25はほぼ隙間なく収容凹部14内に収容されるため一旦固定した支持プレート13が横ずれすることがない。
【0021】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では上記実施例1と異なる構成のみ詳細に説明し、上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図7に示すように、支持具としての実施例2のスタンド31は支持部としての台座32と張り出し部としての支持アーム33から構成されている。台座32は弾性を有する合成ゴム製の中実部材であって、伏せた碗形状に構成されている。台座32の表面は適度の摩擦係数を有するものとする。台座32の中央位置には上方が開放された球状凹部34が形成されている。台座32の底面32aには収容凹部35が形成されている。収容凹部35内の天井面35aには鉄−ニッケル系合金を主体とした合金製の第4の吸着保持部としての第2の吸着プレート36が貼着されている。収容凹部35の内寸はダッシュボードD側に貼着される第3の吸着保持部としての第2のマグネットシート37の外形形状とほぼ相似形状(第2のマグネットシート37の寸法が若干小さい)とされている。
支持アーム33は平板状の上部プレート部38と上部プレート部38の基部に一体的に形成されたボール部39から構成されている。ボール部39は球状凹部34の内径よりも若干大きめに構成され、球状凹部34に対して無理嵌め状に嵌合されている。上部プレート部38の外面38aには実施例1と同様の第1のマグネットシート21及びクッションリング22が配設されている。
【0022】
このような構成のスタンド31を使用した支持構造では上記実施例1の(1)〜(6)と同様の効果が奏されるとともに、支持アーム33はボール部39を回動基部として図7の実線で示す起立した状態から破線で示す一方向に倒伏した状態へ回動させることができるため、ナビゲーション装置1を使用しない場合には支持アーム33を倒伏した(畳んだ)コンパクトな状態とすることができる。また、ボール部39が回転する際には球状凹部34との間で十分な摩擦を持っていることから図8において起立〜倒伏に至る途中の任意の回動位置で停止させることもでき、ユーザーの視線方向等に応じたより好適な回動位置にナビゲーション装置1を配置することができる。尚、実施例2において球状凹部34の上部の開放領域を広げることで図8における回動方向と交差する方向(図8における手前〜奥にかけて)に回動させるような構成を加えることも可能である。また、ボール部39から上部プレート部38への軸心を、中心とした軸まわりの方向にも回転可能である。例えば、図7の状態であれば、ボール部29の中心を通り、真上から真下の方向を軸として、その軸まわりに、ダッシュボードDと平行な平面内で回転させることができる。
そして、これら各方向への回転は組み合わせて行うことができるので、第2のマグネットシート37をはがすこと無く容易に方向を調整できる。しかもこの調整は、第1の吸着プレート9を第1のマグネットシート21に吸着保持させる位置の調整と併せて行うことできる。したがって、運転者は、ナビゲーション装置1の向きや位置を、そのモニター3の表示を見やすい向きや位置、ボタン等の操作をしやすい向きや位置に、随時、容易に調整することができる。
【0023】
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例3では上記実施例1又は2と異なるスタンド41について説明する。上記実施例1又は2と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図9及び図10に示すように、支持具としての実施例3のスタンド41は支持部としてのベースプレート42と張り出し部としての支持アーム43から構成されている。スタンド41は側面視でL字状の外観を呈する。ベースプレート42と支持アーム43はそれぞれプラスチック製の正方形の平面形状を有する板体とされている。ベースプレート42の前端上面には左右一対の第1の軸受け部44a、44bがベースプレート42と一体的に形成されている。支持アーム43の下端には左右一対の第2の軸受け部45a、45bが支持アーム43と一体的に形成されている。第2の軸受け部45a、45bの間隔は第1の軸受け部44a、44bよりも第1の軸受け部44a、44bの厚み分だけ短く構成されている。従って、組み立て状態では第1の軸受け部44aの内面と第2の軸受け部45aの外面が、また第1の軸受け部44bの内面と第2の軸受け部45bの外面がそれぞれ近接位置で対面配置されることとなる。支持アーム43は第1及び第2の軸受け部44a、44b、45a、45bを介して連結機構47によってベースプレート42に対して回動可能に連結されている。ベースプレート42の底面には図示しないが実施例1及び2と同様に収容凹部が形成され、磁力による吸着作用で任意の位置に設置可能とされている。
図9に示すように、連結機構47はシャフト48、シャフトホルダー49、スリーブ50、及び調整ねじ51から構成されている。シャフト48は第1及び第2の軸受け部44、45のすべてを貫通する回動軸となる部材であって、六角形状のヘッド48aを有するとともに先端寄り外周に切り欠き状の回り止め48bが形成されている。シャフト48先端には調整ねじ51が螺合される図示しないねじ穴が形成されている。支持アーム43の外面43aには実施例1と同様の第1のマグネットシート21及びクッションリング22が配設されている。
【0024】
支持アーム43は次のようにベースプレート42に連結され所定の回動位置で保持される。
まず、第1の軸受け部44aの凹部52内にスリーブ50及びシャフトホルダー49の順で嵌挿させる。スリーブ50の回り止め50aは支持アーム43の第2の軸受け部45a内に係合されることとなる。次いで、支持アーム43をその第2の軸受け部45a、45bがベースプレート42側の第1の軸受け部44a、44bと照合するように配置し、第1の軸受け部44a側からシャフト48を挿通する。シャフト48のヘッド48aはシャフトホルダー49内の六角凹部49aに係合される。そして、第1の軸受け部44bの外方から調整ねじ51をシャフト48先端に螺合させこれによってシャフト48を第1の軸受け部44a、44bに対して締め付けていくようにする。締め付けに伴ってシャフトホルダー49はヘッド48aに押動されてスリーブ50方向に移動し、スリーブ50に形成された第1の噛合面53はシャフトホルダー49の対向する第2の噛合面54と密着するようになり、スリーブ50の回動が規制されることとなる。スリーブ50の回り止め50aは第2の軸受け部45a内に係合されているため、支持アーム43の回動が阻止されることとなる。
このような構成であれば調整ねじ51を緩めることでスリーブ50とシャフトホルダー49の噛合面53、54の密着が解除できるため支持アーム43を任意の回動位置(位相位置)に配置することができ、調整ねじ51を締めることによって噛合面53、54が密着されてその回動位置が保持されることとなる。
このような構成のスタンド41を使用した支持構造では上記実施例1の(1)〜(6)と同様の効果が奏されるとともに、支持アーム43は第2の軸受け部45a、45bを回動基部として図9の実線で示す起立した状態から破線で示すように前後方向に自在に回動させることができるため、ナビゲーション装置1を使用しない場合には支持アーム33をベースプレート42に重ねた状態としたり、その他、任意の位置に保持させることができる。また、ベースプレート42から支持アーム43のみを取り外しておくことも可能である。
【0025】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・支持部に対して張り出し部が側面視においてL字状に構成することで、図11(a)に示すように、ダッシュボードの上面に支持部をセットした場合に張り出し部を縁寄りに面して配置してもダッシュボードから支持部がはみ出すことがなく、より張り出し部をユーザー側に接近させることができる。また、図12(a)に示すように支持部を上下反転させた構成とする際にも図12(b)のように支持部がユーザー側に突出することがなくなる。図12(a)に示すように支持部を上下反転させた構成としては、例えば、図1、図3等に示したスタンド11の底面12側に設けた収容凹部14と第2の吸着プレート15からなる部分を、ベースプレート12の天板12a上に設けるようにしてもよい。底面12側に設けるか天板12a上に設けるかは、任意に選択でき、いずれか一方としてもよいし、両方を設けるようにしてもよい。両方を設ければ、図11(a)のような設置状態と図12(a)のような設置状態の双方を採ることができる。この場合、吸着されない側の収容凹部は、上面側から見えてしまうので、例えば、この上面側になる収容凹部内を埋める部材を設けるとよく、例えば、この部材は第3の吸着保持部としての第2のマグネットシート25と同形状の部材とするとよい。このようにすれば、この部材が、上面側から見える収容凹部を埋めて、見た目を改善することができる。なお、当該部材の底面側は磁石又は磁性体の少なくとも一方からなる素材とするとよく、当該部材の上面側は、天板12aと同化する素材とするとよい。
【0026】
・スタンド11、31、41の形状について、上記は一例である。
・第2のマグネットシート25をデザイン化(表面に模様を塗装したり、印刷したり、樹脂等でのコーティングしたり、形状に矩形以外の様々な形状とする)するようにすることが好ましい。それによって、かえって第2のマグネットシート25をワンポイントマークとして積極的に利用することが可能である。また、逆にこの第2のマグネットシート25の模様や表面処理等の形態は、車と同化する形態とするのも特によい。特に車室内に存在する物、例えばダッシュボードの模様や、車内にある吹き出し口、スピーカーの孔を模した形態とするとよい。
・ナビゲーション装置1の上記形状は一例であって、他のナビゲーション装置更にナビゲーション装置以外の車載用電子機器に応用することも自由である。
・固定手段として磁力以外の手段を使用することも自由である。
・ナビゲーション装置1の背面の第1の吸着プレート9の位置や占める面積は適宜変更可能である。
・吸着プレート9、15、36やマグネットシート21、25、37は他の形状や材質であっても構わない。
・クッションリング22の形状や素材については上記は一例である。マグネットシート21、25、37の形状変形に伴って適宜弾性摩擦部材の形状を変形することは自由である。
・上記ではスタンド11、31はダッシュボードDの上面に設置する例で説明したが、ダッシュボードDの上面以外の位置に設置することも自由である。
・その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0027】
1…車載用電子機器としてのナビゲーション装置、9…第1の吸着保持部としての第1の吸着プレート、11、31、41…支持具としてのスタンド、12、42…支持部としてのベースプレート、13…張り出し部としての支持プレート、21…第2の吸着保持部としてのマグネットシート、15、36…固定手段(第4の吸着保持部)を構成する吸着プレート、25、37…固定手段(第3の吸着保持部)を構成するマグネットシート、32…支持部としての台座、33、43…張り出し部としての支持アーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の所定位置に固定される支持具に対して車載用電子機器を車両内において支持するための支持構造であって、
前記車載用電子機器は背面に磁石又は磁性体の少なくとも一方からなる第1の吸着保持部を有し、
前記支持具は車両内部の任意の取り付け位置に固定手段を介して固定される支持部と、前記支持部から延出される張り出し部とを備え、前記張り出し部には磁石又は磁性体からなる第2の吸着保持部が形成され、前記車載用電子機器を前記第1の吸着保持部と前記第2の吸着保持部との磁力による吸着作用によって支持させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器用の支持構造。
【請求項2】
前記第1の吸着保持部と前記第2の吸着保持部とが密着する際に前記車載用電子機器側の前記背面と前記張り出し部との間で圧縮される弾性摩擦部材を前記張り出し部側又は前記背面側の少なくともいずれか一方に配設したことを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項3】
前記弾性摩擦部材は前記張り出し部側に装着され、前記第2の吸着保持部を外周方向から包囲していることを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項4】
前記固定手段は車両側の任意の取り付け位置に設置される磁石又は磁性体のいずれかから構成される薄板状の第3の吸着保持部と、前記支持部の底面に配設された磁石又は磁性体からなる第4の吸着保持部とから構成され、前記支持部を前記第3の吸着保持部と前記第4の吸着保持部との磁力による吸着作用によって前記第3の吸着保持部の設置位置に固定させるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項5】
前記支持部の底面には収容凹部が形成されており、前記収容凹部内の天井位置には前記第4の吸着保持部が配設されるとともに、前記第3の吸着保持部の厚みよりも前記収容凹部の上下幅を広く形成し、前記第3の吸着保持部と前記第4の吸着保持部との吸着状態において前記第3の吸着保持部が前記収容凹部内に収容されることを特徴とする請求項4に記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項6】
前記収容凹部の内周位置には前記第3の吸着保持部を収容した際に前記第3の吸着保持部との相対的な横ずれを防止するための横ずれ防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項7】
前記張り出し部は前記支持部の端部位置にその基部が連結された状態で立設されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項8】
前記張り出し部は前記支持部に対してその基部を中心に回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の車載用電子機器の支持構造。
【請求項1】
車両内の所定位置に固定される支持具に対して車載用電子機器を車両内において支持するための支持構造であって、
前記車載用電子機器は背面に磁石又は磁性体の少なくとも一方からなる第1の吸着保持部を有し、
前記支持具は車両内部の任意の取り付け位置に固定手段を介して固定される支持部と、前記支持部から延出される張り出し部とを備え、前記張り出し部には磁石又は磁性体からなる第2の吸着保持部が形成され、前記車載用電子機器を前記第1の吸着保持部と前記第2の吸着保持部との磁力による吸着作用によって支持させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器用の支持構造。
【請求項2】
前記第1の吸着保持部と前記第2の吸着保持部とが密着する際に前記車載用電子機器側の前記背面と前記張り出し部との間で圧縮される弾性摩擦部材を前記張り出し部側又は前記背面側の少なくともいずれか一方に配設したことを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項3】
前記弾性摩擦部材は前記張り出し部側に装着され、前記第2の吸着保持部を外周方向から包囲していることを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項4】
前記固定手段は車両側の任意の取り付け位置に設置される磁石又は磁性体のいずれかから構成される薄板状の第3の吸着保持部と、前記支持部の底面に配設された磁石又は磁性体からなる第4の吸着保持部とから構成され、前記支持部を前記第3の吸着保持部と前記第4の吸着保持部との磁力による吸着作用によって前記第3の吸着保持部の設置位置に固定させるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項5】
前記支持部の底面には収容凹部が形成されており、前記収容凹部内の天井位置には前記第4の吸着保持部が配設されるとともに、前記第3の吸着保持部の厚みよりも前記収容凹部の上下幅を広く形成し、前記第3の吸着保持部と前記第4の吸着保持部との吸着状態において前記第3の吸着保持部が前記収容凹部内に収容されることを特徴とする請求項4に記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項6】
前記収容凹部の内周位置には前記第3の吸着保持部を収容した際に前記第3の吸着保持部との相対的な横ずれを防止するための横ずれ防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項7】
前記張り出し部は前記支持部の端部位置にその基部が連結された状態で立設されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持構造。
【請求項8】
前記張り出し部は前記支持部に対してその基部を中心に回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の車載用電子機器の支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−25177(P2012−25177A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162468(P2010−162468)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
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