車載用電子機器
【課題】より簡易にビジュアル情報を表示したり、電力の消費を抑えながらも夜間や暗い場所でもビジュアル情報を目視することのできる車載用電子機器を提供すること。
【解決手段】運転状況に応じて前記カバープレート4の表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器としてのルームミラー装置において、カバープレート4の裏面にカバープレート4と重複状に透明プレート11を配置するとともに、透明プレート11の端面11a位置に複数のLED13を配置し、LED13からの照射光を透明プレート11の裏面に切り欠き状に形成された凹部17の反射面17aに反射させカバープレート4方向に導き、その反射光をビジュアル情報としてカバープレート4側から目視させるようにした。
【解決手段】運転状況に応じて前記カバープレート4の表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器としてのルームミラー装置において、カバープレート4の裏面にカバープレート4と重複状に透明プレート11を配置するとともに、透明プレート11の端面11a位置に複数のLED13を配置し、LED13からの照射光を透明プレート11の裏面に切り欠き状に形成された凹部17の反射面17aに反射させカバープレート4方向に導き、その反射光をビジュアル情報としてカバープレート4側から目視させるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されビジュアル情報をユーザーに目視させる機能を有した例えばナビゲーション装置、マイクロ波検出器又はETCのような車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ナビゲーション装置やマイクロ波検出器のような車載用電子機器は、内蔵する受信装置によって獲得した運転に関する位置情報を加工してユーザーに対してスピーカ装置から音声情報として報知したり目視できるビジュアル情報として表示するようにしている。ビジュアル情報の表示態様としては例えばナビゲーション装置のように液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイを備えディスプレイ面に地図画面を表示させるような詳細なビジュアル情報をユーザーに提供する場合がある。このようなビジュアル情報を表示できるディスプレイ部を備えた車両用情報表示装置の先行技術として例えば特許文献1を挙げる。特許文献1にはその図1に示すように、GPS受信機やマイクロ波検出装置を搭載した車載機器10が開示されており、車載機器10は得られたビジュアル情報を表示するために表示パネル15を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−286307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の表示パネル15のような詳細な情報をビジュアル化して表示させる装置を備える車載用電子機器は、自ずと高コスト化してしまう。ところが実際には、それほど詳細な情報でなく、例えば道路脇に設置された車両速度測定装置に接近した場合に、接近したことさえわかればよいならば、それほど詳細なビジュアル情報は必要ではない。そのため、車載用電子機器においてより簡易にビジュアル情報を表示する手段が求められていた。
また、上記特許文献1の車載機器10は電源を車両に備え付けのシガーライターのソケットから取り出すようにしているが、近年ではソーラーパネルを備えたモデルも多くなっている。そして、そのようなモデルではバックライトを備えた液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイでは電力を消費し過ぎて充電不足となってしまう可能性があるため、バックライトを使用しないディスプレイを用意したモデルを提供する必要がある。しかし、その場合には夜間や暗い場所での使用が困難となってしまう。そのため、バックライトを使用しなくとも夜間や暗い場所で使用できるビジュアル情報の表示手段が求められていた。また、純粋にそれらディスプレイにバックライトを併設すると高コスト化してしまうため、その点でも低価格で夜間や暗い場所で使用できるビジュアル情報の表示手段が求められていた。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その第1の目的は、より簡易にビジュアル情報を表示することができる車載用電子機器を提供することであり、第2の目的は電力の消費を抑えながらも夜間や暗い場所でもビジュアル情報を目視することのできる車載用電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の手段では、筐体前面に光透過性のカバープレートが取着された本体を備え、運転状況に応じて前記カバープレートの表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器において、前記カバープレートの裏面側に 同カバープレートと重複状に透明プレートを配置するとともに、前記透明プレートの端面位置に前記透明プレートの端面から内部方向に向って光を照射する1又は複数の光源を配置し、前記光源からの照射光を前記透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成された照射光受光部の反射面に反射させ、その反射光自体をビジュアル情報として前記カバープレートの表面方向から認識させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成では、透明プレートの端面において光源から透明プレート内部方向に照射された照射光は照射光受光部において一旦透明プレートから出て、照射光受光部の反射面に反射してカバープレートの表面方向から認識されることとなる。この認識された光をもってビジュアル情報とすることができる。光源は透明プレートの端面に面して配置されるため、車載用電子機器がかさばらず、なおかつ透明プレートの広い範囲の任意の位置に任意の個数の照射光受光部を設けてビジュアル情報とすることができ、簡易な構造であってもユーザーに十分なビジュアル情報を提供することができる。
ここに、光源は一色でも多色でもよい。光源として多色を使用した場合には照射光受光部が1つしかなくとも、色の違いで異なる意味のビジュアル情報を与えることが可能である。光源は低電力で高輝度を得られるLEDが最も好ましいが、他の光源を使用することも可能である。
照射光受光部は透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成されており、空気との界面に透明プレート内に出射された光が反射してカバープレート方向に指向する反射面を有していればそれほどの厳密な形状が要求されるものではない。但し、反射面が鏡面であって反射面の角度が透明プレートの面方向に対して45度程度であると、反射光はカバープレート方向に90度屈折させられ集中的に指向することとなるため、高輝度の光が得られる好ましい。反射面は鏡面であっても微細凹凸形状からなる白色散乱面、つまり乱反射する白濁面であってもよい。照射光受光部は実際に切削加工で形成しても成型品としてモールド成形によって形成するようにしてもよい。
【0006】
第2の手段では第1の手段に加えて、前記カバープレートの少なくとも前記透明プレートと重複された領域はハーフミラー層が形成されたハーフミラー領域とされており、前記透明プレートの背面にはミラー層が配設されていることをその要旨とする。
このような構成とすることで、カバープレート方向に屈折させられた反射光の一部がハーフミラー層で反射されて透明プレートを透過し、透明プレートの背面に配置されたミラー層によってカバープレート方向に全反射されることとなる。そして、その反射光は再びハーフミラー層で一部反射されるというハーフミラー層とミラー層の間での繰り返し反射が行われカバープレート方向から光を目視すると、合わせ鏡をした場合のように光の写り込みの連鎖が生じ、あたかも非常に奥行きがあるかのような錯覚視を見る者に与えることとなり、装飾的効果が大きくなる。このような効果を念頭におく場合には照射光受光部の反射面は鏡面でその角度が透明プレートの面方向に対して45度程度であるとカバープレート方向に指向する高輝度の光を得ることができ、光の写り込みが多くなるためより好ましい。
ハーフミラー層は可視光を透過光と反射光に分けることのできる膜体であって、透過率は適宜設定可能であるが、内部機構が透けて見えない程度の反射率を有することが好ましい。つまり、光源からの光の照射がない場合には少なくともカバープレートのハーフミラー領域は表面からは単に鏡として機能することが好ましい。
ハーフミラー層はカバープレートの少なくとも透明プレートと重複された領域に形成されておればよく 、必ずしもカバープレート全域に形成する必要はない。ハーフミラー層は例えば酸化金属膜や誘電体多層膜等から 構成されており、一般に蒸着法やスパッタリング法で成膜されるが、成膜方法は特に問うものではない。ミラー層は例えば金属あるいは酸化金属を蒸着法やスパッタリング法で成膜したものである。
【0007】
第3の手段では第2の手段に加えて、前記ミラー層は前記透明プレートから離間した後方位置に配設されていることをその要旨とする。
つまり、ハーフミラー層とミラー層の間隔を広く設定するということであり、これによって連鎖状の光の間隔も広がるため、奥行き感が増すこととなる。ハーフミラー層はカバープレート側に固定されているため、構造的にミラー層を透明プレートから離間させる方式が好ましい。また、透明プレートに密着させないことで透明プレートからの伝導熱によるミラー層の劣化を防止する意味もある。
【0008】
第4の手段では第1〜3のいずれかの手段に加えて、車両の運転状況に応じて得られる位置情報の種類の違いに基づいて前記光源の照射光の色を変えるようにしたことをその要旨とする。
このような構成であれば、カバープレート表面から目視される光が位置情報の種類の違いに基づいて変わるため、位置情報の重要さに応じた色の光を用いることで、ユーザーに位置情報の重要さを容易にかつ低コストで知らしめることが可能となる。
【0009】
第5の手段では第1〜4のいずれかの手段に加えて、前記透明プレートは複数の分割プレートに分割されて端面方向で隣接配置されており、前記分割プレート毎に前記光源と前記照射光受光部が形成されるとともに隣接する前記分割プレート間には光の透過を阻止するセパレータが配設され、一の前記分割プレートの前記照射光受光部に他の一の前記分割プレートの前記光源からの照射光が照射されないようにしたことをその要旨とする。
これによって各分割プレートはそれぞれ他の分割プレートの光に影響されない独立した状態でカバープレート表面に光を表示させることとなるため、異なる光源を同時に点灯させたとしても異なる分割プレートからの光がカバープレート表面で1つの照射光受光部において混ざりあうことはなく、また、分割プレートの領域毎に点灯と消灯をさせることもできるため、表現できる情報量が増えるためパターンを変えることでユーザーに種々の情報を提供することができる。
【0010】
第6の手段では第1〜5のいずれ かの手段に加えて、前記透明プレートは複数の分割プレートに分割されて厚み方向で隣接配置されており、各分割プレート毎に異なる前記光源が配設されていることをその要旨とする。
この場合も各分割プレートはそれぞれ他の分割プレートの光に影響されない独立した状態でカバープレート表面に光を表示させることとなるため、異なる光源を同時に点灯させたとしても各分割プレートに形成された照射光受光部に異なる分割プレートの光源の光を受けることはなく(但し、複数の分割プレートに形成された照射光受光部の位置が目視方向において一致しているような場合には異なる光源の光が混ざる可能性はある。これを避けるには各分割プレートの照射光受光部の位置が重複しないよう形成する必要がある)、また、分割プレートの領域毎に点灯と消灯をさせることもできるため、表現できる情報量が増えるためパターンを変えることでユーザーに種々の情報を提供することができる。
【0011】
第7の手段では、車両内に配置され、筐体前面に光透過性のカバープレートが取着された本体を備え、運転状況に応じて前記カバープレートの表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器において、前記カバープレートの裏面側に同カバープレート と重複状に透明プレートを配置するとともに、前記透明プレートの端面位置に前記透明プレートの端面から内部方向に向って光を照射する1又は複数の光源を配置し、前記光源からの照射光を前記透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成された照射光受光部の反射面に反射させ、その反射光によってビジュアル情報表示部を照明し前記カバープレートの表面方向から認識させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成では、透明プレートの端面において光源から透明プレート内部方向に照射された照射光は照射光受光部において一旦透明プレートから出て、照射光受光部の反射面に反射し、その反射光によってビジュアル情報表示部を照明することとなり、もってビジュアル情報を目視することができる。光源は透明プレートの端面に面して配置されるため、車載用電子機器がかさばらず、ビジュアル情報表示部用の照明の十分な省電力化を図ることが可能となる。
ここに、ビジュアル情報表示部と はデバイスとしての例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの文字等が表示される領域をいう。また、ここでは第1〜第6の手段における透明プレートをビジュアル情報表示部として照明することも想定しているものである。
【0012】
第8の手段では第7の手段に加えて、前記照射光受光部は前記ビジュアル情報表示部を包囲するように形成されていることをその要旨とする。
これによってビジュアル情報表示部は周囲から均等に照明可能となる。尚、この場合には光源はリング状の照射光受光部の全周囲から均等に照明されるように2以上の個数で間隔を開けて配置することが好ましい。
【0013】
第9の手段では第7又は8の手段に加えて、前記照射光受光部は遮蔽部材によって表面側から遮蔽されていることをその要旨とする。
これによってカバープレートを通して照射光受光部が目視されにくくなる。
【0014】
第10の手段では第7〜9のいずれかの手段に加えて、前記照射光受光部の反射面は微細凹凸形状からなる白色散乱面として形成されていることをその要旨とする。
ビジュアル情報表示部を照明するために使用する光であるため、照射光受光部の反射面は指向性のない乱反射するこのような白色散乱面が好ましいためである。
【0015】
第11の手段では第7〜10のいずれかの手段に加えて、前記ビジュアル情報表示部は液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイから構成され、前記カバープレートの少なくとも前記透明プレートと重複された領域はハーフミラー層が形成されたハーフミラー領域とされており、前記前記ビジュアル情報表示部は液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイの背面にはミラー層が配設されていることをその要旨とする。
このような構成とすることで、カバープレート方向に屈折させられた反射光の一部がハーフミラー層で反射されて透明プレートと液晶ディスプレイ(あるいは有機ELディスプレイ)を透過し、液晶ディスプレイ(あるいは有機ELディスプレイ)の背面に配置されたミラー層によってカバープレート方向に全反射されることとなる。そして、その反射光は再びハーフミラー層で一部反射されるというハーフミラー層とミラー層の間での繰り返し反射が行われカバープレート方向から光を目視すると、合わせ鏡をした場合のように光の写り込みの連鎖が生じ、あたかも非常に奥行きがあるかのような錯覚視を見る者に与えることとなり、装飾的効果が大きくなる。尚、ハーフミラー層及びミラー層の定義は上記と同様である。
【発明の効果】
【0016】
上記請求項1〜6の発明によれば、光源は透明プレートの端面に面して配置されるため、車載用電子機器がかさばらず、なおかつ透明プレートの広い範囲の任意の位置に任意の個数の照射光受光部を設けてビジュアル情報とすることができ、簡易な構造であってもユーザーに十分なビジュアル情報を提供することが可能となる。
上記請求項7〜11の発明によれば、光源は透明プレートの端面に面して配置されるため、車載用電子機器がかさばらず、なおかつバックライトを使用しなくともビジュアル情報表示部が明るく照らされることとなり、暗い環境下でもユーザーにビジュアル情報提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる実施例1〜3のルームミラー装置の(a)は斜視図、(b)は側面図。
【図2】実施例1〜3のルームミラー装置の概略構成を説明する平面分解図。
【図3】実施例1のルームミラー装置の要部拡大平面図。
【図4】実施例1〜3の凹部を説明する説明図。
【図5】(a)及び(b)は実施例1〜3の凹部によって描かれる一例としての文字の平面図。
【図6】実施例1〜3においてミラー間での反射によって光の写り込みが生じることを説明する説明図。
【図7】実施例2のルームミラー装置の要部拡大平面図。
【図8】実施例3のルームミラー装置の要部拡大正面図。
【図9】実施例4のルームミラー装置の概略構成を説明する平面分解図。
【図10】実施例4のルームミラー装置の要部拡大平面図。
【図11】実施例4において溝部の形状を説明する拡大説明図。
【図12】他の実施例のルームミラー装置の要部拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をルームミラー型のマイクロ波検出器として具体化した実施例を図面に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、図1(a)(b)及び図2に基づいてルームミラー型のマイクロ波検出器(以下、ルームミラー装置とする)1の概略構成について説明する。
車載用電子機器としてのルームミラー装置1は薄板長方形形状のリアケース2と、同リアケース2の前面に取着される長方形の外形を有するフロントフレーム3と、フロントフレーム3の更に前面に取着される長方形の外形を有するカバープレート4とによって本体 が構成されている。カバープレート4はプラスチック製(本実施例1では例えばポリカーボネート製とする)の透明でフラットな板材であって、裏面全域にハーフミラー層としてのハーフミラーフィルム5が蒸着形成されている。
リアケース2の背面には車両に標準装備されているルームミラーに対してルームミラー装置1を固定するための固定用クランプ7が配設されている。リアケース2の内面位置にはスピーカ装置8とGPSモジュール9とメイン基板10が水平方向に隣接して配設されている。
【0019】
フロントフレーム3の左右方向における側方位置には透明プレート11が配設されている。透明プレート11は同じくプラスチック製(本実施例1では例えばポリカーボネート製とする)の透明でフラットな長方形の外形を有する板材から構成されている。フロントフレーム3内であって透明プレート11に隣接した中央寄り位置にはLED用制御基板12が配設されている。LED用制御基板12側の透明プレート11の側部端面11aに面した位置には複数のLED13が配設されている。本実施例1ではLED13の数は5つとするが、LED13の数や配置位置は後述する凹部17の数や形成位置によって適宜変更可能である。LED13はLED用制御基板12に接続されている。LED13は発光部の中心軸線が側部端面11aに対して直交するように正対して配置されている。本実施例1のLED13は赤色と緑色の2色のチップからなる2色方式のLEDであり、赤色光と緑色光の2色を照射することができる。
メイン基板10はマイクロ波検出回路を内蔵するとともにアンテナを併設しており、GPSモジュール9によって取得した位置情報と併せて検出したマイクロ波に基づいて警報の必要性を判断し、LED用制御基板12を制御する。検出対象となる交通情報(車両速度測定装置の位置等)は重要度によって前もって軽重を付与して記憶されており、メイン基板10は検出した位置情報の重要度に応じて制御基板12に緑(注意喚起)と赤(要注意)のいずれかを点灯をさせる制御信号を出力する。LED用制御基板12はその制御信号に基づいてLED13の発光制御を実行する。
尚、図示は省略するが本実施例1のルームミラー装置1の電源はソーラー発電機(ソーラーパネル)から取得するものとする。
【0020】
次に、このような基本構成のルームミラー装置1の透明プレート11周辺の構成について、より詳細に説明する。
図3に示すように、透明プレート11はフロントフレーム3内に併設されたサイドフレーム15によってカバープレート4の背面から若干の隙間を開けた状態で支持されている。透明プレート11の裏面側(リアケース2側)には切り欠き状に成形した照射光受光部としての複数の凹部17が形成されている。凹部17は図4に示すように直角三角形の上下対向面を有する三角柱を横転させた形状に透明プレート11の裏面側平面に対して凹設されており、三角柱の斜面にあたる反射面17aは透明プレート11の表裏面に対して45度の角度とされている。反射面17aは鏡面とされている。各凹部17の向きはすべて統一されており、本実施例1では透明プレート11のLED用制御基板12側の側部端面11a方向に反射面17aが向くように(つまり、LED13から射出される光が反射面17a方向に指向するように)配置されている。本実施例1では凹部17は図5(a)に示すように表面側(カバープレート4側)から「WARNING」という文字に読めるように等間隔で配置されている。
透明プレート11の背面にはミラー層としてのミラーシート18が配設されている。ミラーシート18はサイドフレーム15によって透明プレート11との間に若干の隙間を開けた状態で支持されている。
【0021】
次に、上記のように構成したルームミラー装置1の作用について説明する。
ルームミラー装置1を車両標準装備のルームミラーに取り付けて走行しているものとする。特に交通に関してユーザーに報知すべき情報がない場合にはLED13は点灯されず、ユーザーはルームミラー装置1は車両標準装備のルームミラーと同等の機能を有するミラーとしてのみ使用する。この状態で、例えば自動車ナンバー自動読取装置(いわゆるNシステム)の設置場所に接近した場合にはLED13の緑色のランプが点灯し「WARNING」と緑色の光がカバープレート4上に表示され、同時にスピーカ装置から「Nシステムが近くに設置されています」という音声案内がされる。
ここに図6の概念図に示すように、LED13が点灯されるとその照射光は透明プレート11の側部端面11aから入射され、凹部17の反射面17aによって反射してカバープレート4方向に90度屈折させられる。そして、一部が透過光としてカバープレート4前面側に透過させられるとともに、一部の反射光は反射し、その結果ハーフミラーフィルム5とミラーシート18との間で繰り返し反射が行われることとなりカバープレート4方向から目視すると、奥行きがあるような緑の光の写り込みの連鎖が生じることとなる。
また、レーダ式の車両速度測定装置のマイクロ波を検出した場合にはLED13の赤色のランプが点灯し「WARNING」と赤色の光がカバープレート4上に表示される。同時にスピーカ装置から「速度取締装置が近くに設置されています」という音声案内がされる。赤色の「WARNING」の文字も上記と同様に奥行きがあるような赤い光の写り込みの連鎖が生じることとなる。
【0022】
以上のような構成の実施例1のルームミラー装置1では次のような効果が奏される。
(1)LED13の点灯によって、液晶ディスプレイ等に頼らなくともユーザーは交通情報を適宜ビジュアル情報として十分認識できるため不便さはなく、ディスプレイ関連の設備が不要となるためルームミラー装置1のコストが削減できる。
(2)LED13が点灯されることによって、単に文字のビジュアル情報がカバープレート4上に表示されるだけではなく、文字を構成する光が奥行きがあるように繰り返し反射して写りこむため、装飾的効果が大きくなるとともにユーザーの注意も大きく喚起することとなって、視覚認識機能が向上する。
(3)LED13は透明プレート11の側部端面11a位置に配置されており、透明プレート11の内部を通って照射光が凹部17の反射面17aに反射して90度屈曲されて表面に達するような構造であるため、前後方向の距離をそれほど必要とせず嵩張ることがない。
(4)交通情報の重要度に応じて点灯されるLED13の光の色を変更するようにしたため、ユーザーにおいて色の違いで容易に重要度の違いを認識することが可能となる。
【0023】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では上記実施例1と異なる構成のみ詳細に説明し、上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図7に示すように、実施例2のルームミラー装置1の透明プレート21は第1及び第2の分割プレート21A,21Bに2分割されており、厚み方向で隣接配置されている。
各分割プレート21A,21Bには反射面17aが同じ方向を向くように複数の凹部17が形成されている。第1の分割プレート21Aの反射面17aと対向する方向の端面21a位置 には複数のLED23が配設され、第2の分割プレート21Bの反射面17aと対向する方向の端面21a位置 には複数のLED24が配設されている。実施例2に おいては第1の分割プレート21A側に配置されたLED23は単色で赤色を照射するチップであり、第2の分割プレート21B側に配置されたLED24は単色で青色を照射するチップである。
【0024】
図5(a)に示すように、第1の分割プレート21A側の凹部17は表面側から「WARNING」という文字に読めるように等間隔で配置されており、図5(b)に示すように第2の分割プレート21B側の凹部17は「CAUTION」という文字に読めるように等間隔で配置されている。
実施例2においてはメイン基板10は検出した位置情報の重要度に応じて制御基板12に赤色のLED23(要注意)と青色のLED24 (注意喚起)のいずれかを点灯をさせる制御信号を出力するものとする。LED用制御基板12はその制御信号に基づいてLED13の発光制御を実行する。
このような構成のルームミラー装置1では、車両の走行中に例えば自動車ナンバー自動読取装置(いわゆるNシステム)の設置場所に接近した場合にはLED24の青色 のランプが点灯し「WARNING」と青色 の光が表示され、同時にスピーカ装置から「Nシステムが近くに設置されています」という音声案内がされる。一方、レーダ式の車両速度測定装置のマイクロ波を検出した場合にはLED23の赤色のランプが点灯し「CAUTION」と赤色の光が表示される。同時にスピーカ装置から「速度取締装置が近くに設置されています」という音声案内がされる。いずれの場合も実施例1と同様にハーフミラーフィルム5とミラーシート18との間で光の繰り返し反射が行われることとなりカバープレート4方向から目視すると、奥行きがあるような光の写り込みの連鎖が生じることとなる。各分割プレート21A,21Bの凹部17はできるかぎり光が混合しないよう各分割プレート21A,21Bの凹部17の位置は重複しないようずらすことが好ましい。このように分割プレート21A,21Bを重複配置することでスペース的に有利となる。
【0025】
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例3では上記実施例1と異なる構成のみ詳細に説明し、上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図8に示すように、実施例2の透明プレート31は第1及び第2の分割プレート31A,31Bに2分割されており、セパレータ32を介して端面方向で隣接配置されている。各分割プレート31A,31Bには反射面17aが同じ方向を向くように複数の凹部17が形成されている。第1の分割プレート31Aの反射面17aと対向する方向の端面31a位置には複数のLED33が配設され、第2の分割プレート31Bの反射面17aと対向する方向の端面31a位置には複数のLED34が配設されている。実施例3においては第1の分割プレート31A側に配置されたLED33は単色で赤色を照射するチップであり、第2の分割プレート31B側に配置されたLED34は単色で青色を照射するチップである。
このようにセパレータ32を配置することで、2つのLED33,34を同時に発光させたとしても、セパレータ32によって遮蔽されて例えばLED33の光が第2の分割プレート31Bの凹部17の反射面17aに及ぶことがなく、同一平面上にある異なる分割プレート31A,31B毎に明瞭に峻別された色のビジュアル情報(ここでは文字)を表示させることができる。また、2つの分割プレート31A,31Bに形成した凹部17の反射面17aの方向が異なればこのようなセパレータ42は不要であるが、その場合にはLED33,34を同じ方向には配置できない。つまり、スペースや配線の関係で2つのLED33,34の照射方向を変更することができない場合にも有利である。
【0026】
(実施例4)
次に、実施例4について説明する。実施例4では上記実施例1と異なる構成のみ詳細に説明し、上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図9に示すように、実施例4のルームミラー装置1は実施例1とは異なる構成として透明プレート41の背面にバックライト機能のない液晶ディスプレイ42を備えている。透明プレート41はプラスチック製(本実施例1では例えばアクリル製とする)の透明でフラットな長方形の外形を有する板材から構成されており、実施例1と同様にフロントフレーム3の左右方向における側方位置に配置されている。液晶ディスプレイ42は2枚のガラス板の間に液晶を封入した構成のデバイスであって、長方形の外形を有する板材である。いわゆる反射型液晶やメモリ液晶を用いるのが好ましい 。
図10及び図11に示すように、透明プレート41の表面側には照射光受光部としての溝部45が形成されている。溝部45は横断面V字状をなし、溝内部にブラスト加工が施されて反射面45aは曇りガラス状の白濁面とされている。尚、実施例4では溝部45で照射光は乱反射させられるため、溝部45を構成する対向する両面とも反射面45aとして機能する。溝部 45の輪郭形状は液晶ディスプレイ42の外郭形状よりも僅かに大きな相似形状の長方形形状であって、液晶ディスプレイ42を包囲するように配置されている。
実施例3のカバープレート4の裏面には実施例1のハーフミラーフィルム5が蒸着されている。ハーフミラーフィルム5には液晶ディスプレイ42を目視させるために蒸着がされていない窓部5aが形成されている。窓部5aの外郭形状は液晶ディスプレイ42の外郭形状よりも僅かに小さな相似形状の長方形形状とされている。本実施例4ではカバープレート4は透明プレート41と密着させられている。液晶ディスプレイ42の背面にはミラーシート18が配設されている。ミラーシート18はサイドフレーム15によって液晶ディスプレイ42との間に若干の隙間を開けた状態で支持されている 。
【0027】
透明プレート41の四方の端面41aに面した位置には白色LED47が発光部の中心軸線が端面41aに対して直交するように正対して配置されている。実施例3では図示しないLEDスイッチのON・OFF操作によって白色LED47が発光させられる。白色LED47が点灯されるとその照射光は透明プレート41の四方の端面41aから入射され、溝部45の反射面45aに乱反射し、液晶ディスプレイ42を照らすこととなる。その際に、液晶ディスプレイ42の周囲のハーフミラーフィルム5の存在する領域では反射光の一部が透過光としてカバープレート4前面側に透過させられるとともに、一部の反射光は反射し、その結果ハーフミラーフィルム5とミラーシート18との間で繰り返し反射が行われることとなりカバープレート4方向から目視すると、奥行きがあるような白色の光の写り込みの連鎖が生じることとなる。
【0028】
このような構成とすることで、実施例4のルームミラー装置1では次のような固有の効果が奏される。
(1)バックライト機能がなくとも夜間や暗いところで液晶ディスプレイ42を白色LED47を使用して目視することができるため、電力をあまり消費せず、かつ低コストでのルームミラー装置1を提供することが可能となる。
(2)溝部45は遮蔽部材(ここではハーフミラーフィルム5が相当)によって露出しないように遮蔽されているため、溝部45を照明として使用していない場合に表面側から目視しにくくなっており、機能的に不要な部分がユーザーの目に入らないため好ましい。この際、特に透明プレート41とカバープレート4の間に隙間がないことから、溝部45がハーフミラーフィルム5によって遮蔽され角度的に窓部5a側から見えにくくなっている。
(3)白色LED47の点灯時に液晶ディスプレイ42の周囲に奥行きがあるような白色の光の写り込みの連鎖が生じ、装飾的効果が大きくなるとともにユーザーの注意も大きく喚起することとなって、視覚認識機能が向上する。
【0029】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・実施例2ではセパレータ32を使用して隣接する分割プレート21A,21B方向への光の漏れを防止するようにしていたが、図11のように反射面17aの向きを変えることでセパレータ32を使用せずに同じ平面上で2色の色を互いに干渉しないように反射面17aに反射させるようにすることも可能である。
・透明プレート11,31,41に形成された凹部17や溝部45の形成面は表面側であってもよく、両方の面に形成するようにしてもよい。また、形状や位置は適宜変更可能である。
・透明プレート11,31,41の材質は透明で光が減衰しにくい透明なものであれば上記に限定されるものではない。
・実施例2や3で分割プレート21A,21B,31A,31Bの数は適宜変更可能である。
・実施例2と3とを組み合わせる。つまり分割プレート21A,21B,31A,31Bが厚み方向と端面方向の両方向に隣接配置されるような構成でもよい 。
・実施例4において液晶ディスプレイ42の代わりに有機ELディスプレイを使用することも可能である。その場合に透過型または半透過型のディスプレイを用いることが好ましい 。
・実施例4において奥行き効果を求めない場合には、ハーフミラーフィルム5の代わりに全反射する通常のミラー層を設けるようにしてもよい。
・実施例4においては白色LED47をそれほど厳密に端面31aに対して正対させる必要はない。白色LED47の光は溝部45の反射面45aに乱反射させるのであり、それほどの指向性が要求されないからである。
・実施例4において透明プレート41の代わりに液晶ディスプレイ42を構成するガラスを透明プレートと考えて使用することも可能である。
・実施例4においては液晶ディスプレイ42をビジュアル情報表示部として説明したが、実施例1の透明プレート11のような光自体を情報として表示するものをビジュアル情報表示部として更に周囲から照明するようにしてもよい。これによって照明効果に加えて装飾効果も向上することとなる 。
・実施例4において光の写り込みを行わない場合には、ハーフミラーフィルム5の代わりに黒色の印刷面を印刷してカバープレート4から内部が透けないようにすることが好ましい。
・ルームミラー装置1以外の車載用電子機器に応用することも可能である。例えば、ナビゲーション装置、マイクロ波検出器、ETC、ドライブレコーダ、車両用セキュリティ装置等に適用することが想定される 。
・その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0030】
1…ルームミラー装置、2…筐体の一部をなすリアケース、3…筐体の一部をなすフロントフレーム、4…カバープレート、11,31,41…透明プレート、13,23,24,33,34,47…光源としてのLED、17…照射光受光部としての凹部、45…照射光受光部としての溝部、17a,45a…反射面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されビジュアル情報をユーザーに目視させる機能を有した例えばナビゲーション装置、マイクロ波検出器又はETCのような車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ナビゲーション装置やマイクロ波検出器のような車載用電子機器は、内蔵する受信装置によって獲得した運転に関する位置情報を加工してユーザーに対してスピーカ装置から音声情報として報知したり目視できるビジュアル情報として表示するようにしている。ビジュアル情報の表示態様としては例えばナビゲーション装置のように液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイを備えディスプレイ面に地図画面を表示させるような詳細なビジュアル情報をユーザーに提供する場合がある。このようなビジュアル情報を表示できるディスプレイ部を備えた車両用情報表示装置の先行技術として例えば特許文献1を挙げる。特許文献1にはその図1に示すように、GPS受信機やマイクロ波検出装置を搭載した車載機器10が開示されており、車載機器10は得られたビジュアル情報を表示するために表示パネル15を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−286307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の表示パネル15のような詳細な情報をビジュアル化して表示させる装置を備える車載用電子機器は、自ずと高コスト化してしまう。ところが実際には、それほど詳細な情報でなく、例えば道路脇に設置された車両速度測定装置に接近した場合に、接近したことさえわかればよいならば、それほど詳細なビジュアル情報は必要ではない。そのため、車載用電子機器においてより簡易にビジュアル情報を表示する手段が求められていた。
また、上記特許文献1の車載機器10は電源を車両に備え付けのシガーライターのソケットから取り出すようにしているが、近年ではソーラーパネルを備えたモデルも多くなっている。そして、そのようなモデルではバックライトを備えた液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイでは電力を消費し過ぎて充電不足となってしまう可能性があるため、バックライトを使用しないディスプレイを用意したモデルを提供する必要がある。しかし、その場合には夜間や暗い場所での使用が困難となってしまう。そのため、バックライトを使用しなくとも夜間や暗い場所で使用できるビジュアル情報の表示手段が求められていた。また、純粋にそれらディスプレイにバックライトを併設すると高コスト化してしまうため、その点でも低価格で夜間や暗い場所で使用できるビジュアル情報の表示手段が求められていた。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その第1の目的は、より簡易にビジュアル情報を表示することができる車載用電子機器を提供することであり、第2の目的は電力の消費を抑えながらも夜間や暗い場所でもビジュアル情報を目視することのできる車載用電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の手段では、筐体前面に光透過性のカバープレートが取着された本体を備え、運転状況に応じて前記カバープレートの表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器において、前記カバープレートの裏面側に 同カバープレートと重複状に透明プレートを配置するとともに、前記透明プレートの端面位置に前記透明プレートの端面から内部方向に向って光を照射する1又は複数の光源を配置し、前記光源からの照射光を前記透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成された照射光受光部の反射面に反射させ、その反射光自体をビジュアル情報として前記カバープレートの表面方向から認識させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成では、透明プレートの端面において光源から透明プレート内部方向に照射された照射光は照射光受光部において一旦透明プレートから出て、照射光受光部の反射面に反射してカバープレートの表面方向から認識されることとなる。この認識された光をもってビジュアル情報とすることができる。光源は透明プレートの端面に面して配置されるため、車載用電子機器がかさばらず、なおかつ透明プレートの広い範囲の任意の位置に任意の個数の照射光受光部を設けてビジュアル情報とすることができ、簡易な構造であってもユーザーに十分なビジュアル情報を提供することができる。
ここに、光源は一色でも多色でもよい。光源として多色を使用した場合には照射光受光部が1つしかなくとも、色の違いで異なる意味のビジュアル情報を与えることが可能である。光源は低電力で高輝度を得られるLEDが最も好ましいが、他の光源を使用することも可能である。
照射光受光部は透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成されており、空気との界面に透明プレート内に出射された光が反射してカバープレート方向に指向する反射面を有していればそれほどの厳密な形状が要求されるものではない。但し、反射面が鏡面であって反射面の角度が透明プレートの面方向に対して45度程度であると、反射光はカバープレート方向に90度屈折させられ集中的に指向することとなるため、高輝度の光が得られる好ましい。反射面は鏡面であっても微細凹凸形状からなる白色散乱面、つまり乱反射する白濁面であってもよい。照射光受光部は実際に切削加工で形成しても成型品としてモールド成形によって形成するようにしてもよい。
【0006】
第2の手段では第1の手段に加えて、前記カバープレートの少なくとも前記透明プレートと重複された領域はハーフミラー層が形成されたハーフミラー領域とされており、前記透明プレートの背面にはミラー層が配設されていることをその要旨とする。
このような構成とすることで、カバープレート方向に屈折させられた反射光の一部がハーフミラー層で反射されて透明プレートを透過し、透明プレートの背面に配置されたミラー層によってカバープレート方向に全反射されることとなる。そして、その反射光は再びハーフミラー層で一部反射されるというハーフミラー層とミラー層の間での繰り返し反射が行われカバープレート方向から光を目視すると、合わせ鏡をした場合のように光の写り込みの連鎖が生じ、あたかも非常に奥行きがあるかのような錯覚視を見る者に与えることとなり、装飾的効果が大きくなる。このような効果を念頭におく場合には照射光受光部の反射面は鏡面でその角度が透明プレートの面方向に対して45度程度であるとカバープレート方向に指向する高輝度の光を得ることができ、光の写り込みが多くなるためより好ましい。
ハーフミラー層は可視光を透過光と反射光に分けることのできる膜体であって、透過率は適宜設定可能であるが、内部機構が透けて見えない程度の反射率を有することが好ましい。つまり、光源からの光の照射がない場合には少なくともカバープレートのハーフミラー領域は表面からは単に鏡として機能することが好ましい。
ハーフミラー層はカバープレートの少なくとも透明プレートと重複された領域に形成されておればよく 、必ずしもカバープレート全域に形成する必要はない。ハーフミラー層は例えば酸化金属膜や誘電体多層膜等から 構成されており、一般に蒸着法やスパッタリング法で成膜されるが、成膜方法は特に問うものではない。ミラー層は例えば金属あるいは酸化金属を蒸着法やスパッタリング法で成膜したものである。
【0007】
第3の手段では第2の手段に加えて、前記ミラー層は前記透明プレートから離間した後方位置に配設されていることをその要旨とする。
つまり、ハーフミラー層とミラー層の間隔を広く設定するということであり、これによって連鎖状の光の間隔も広がるため、奥行き感が増すこととなる。ハーフミラー層はカバープレート側に固定されているため、構造的にミラー層を透明プレートから離間させる方式が好ましい。また、透明プレートに密着させないことで透明プレートからの伝導熱によるミラー層の劣化を防止する意味もある。
【0008】
第4の手段では第1〜3のいずれかの手段に加えて、車両の運転状況に応じて得られる位置情報の種類の違いに基づいて前記光源の照射光の色を変えるようにしたことをその要旨とする。
このような構成であれば、カバープレート表面から目視される光が位置情報の種類の違いに基づいて変わるため、位置情報の重要さに応じた色の光を用いることで、ユーザーに位置情報の重要さを容易にかつ低コストで知らしめることが可能となる。
【0009】
第5の手段では第1〜4のいずれかの手段に加えて、前記透明プレートは複数の分割プレートに分割されて端面方向で隣接配置されており、前記分割プレート毎に前記光源と前記照射光受光部が形成されるとともに隣接する前記分割プレート間には光の透過を阻止するセパレータが配設され、一の前記分割プレートの前記照射光受光部に他の一の前記分割プレートの前記光源からの照射光が照射されないようにしたことをその要旨とする。
これによって各分割プレートはそれぞれ他の分割プレートの光に影響されない独立した状態でカバープレート表面に光を表示させることとなるため、異なる光源を同時に点灯させたとしても異なる分割プレートからの光がカバープレート表面で1つの照射光受光部において混ざりあうことはなく、また、分割プレートの領域毎に点灯と消灯をさせることもできるため、表現できる情報量が増えるためパターンを変えることでユーザーに種々の情報を提供することができる。
【0010】
第6の手段では第1〜5のいずれ かの手段に加えて、前記透明プレートは複数の分割プレートに分割されて厚み方向で隣接配置されており、各分割プレート毎に異なる前記光源が配設されていることをその要旨とする。
この場合も各分割プレートはそれぞれ他の分割プレートの光に影響されない独立した状態でカバープレート表面に光を表示させることとなるため、異なる光源を同時に点灯させたとしても各分割プレートに形成された照射光受光部に異なる分割プレートの光源の光を受けることはなく(但し、複数の分割プレートに形成された照射光受光部の位置が目視方向において一致しているような場合には異なる光源の光が混ざる可能性はある。これを避けるには各分割プレートの照射光受光部の位置が重複しないよう形成する必要がある)、また、分割プレートの領域毎に点灯と消灯をさせることもできるため、表現できる情報量が増えるためパターンを変えることでユーザーに種々の情報を提供することができる。
【0011】
第7の手段では、車両内に配置され、筐体前面に光透過性のカバープレートが取着された本体を備え、運転状況に応じて前記カバープレートの表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器において、前記カバープレートの裏面側に同カバープレート と重複状に透明プレートを配置するとともに、前記透明プレートの端面位置に前記透明プレートの端面から内部方向に向って光を照射する1又は複数の光源を配置し、前記光源からの照射光を前記透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成された照射光受光部の反射面に反射させ、その反射光によってビジュアル情報表示部を照明し前記カバープレートの表面方向から認識させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成では、透明プレートの端面において光源から透明プレート内部方向に照射された照射光は照射光受光部において一旦透明プレートから出て、照射光受光部の反射面に反射し、その反射光によってビジュアル情報表示部を照明することとなり、もってビジュアル情報を目視することができる。光源は透明プレートの端面に面して配置されるため、車載用電子機器がかさばらず、ビジュアル情報表示部用の照明の十分な省電力化を図ることが可能となる。
ここに、ビジュアル情報表示部と はデバイスとしての例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの文字等が表示される領域をいう。また、ここでは第1〜第6の手段における透明プレートをビジュアル情報表示部として照明することも想定しているものである。
【0012】
第8の手段では第7の手段に加えて、前記照射光受光部は前記ビジュアル情報表示部を包囲するように形成されていることをその要旨とする。
これによってビジュアル情報表示部は周囲から均等に照明可能となる。尚、この場合には光源はリング状の照射光受光部の全周囲から均等に照明されるように2以上の個数で間隔を開けて配置することが好ましい。
【0013】
第9の手段では第7又は8の手段に加えて、前記照射光受光部は遮蔽部材によって表面側から遮蔽されていることをその要旨とする。
これによってカバープレートを通して照射光受光部が目視されにくくなる。
【0014】
第10の手段では第7〜9のいずれかの手段に加えて、前記照射光受光部の反射面は微細凹凸形状からなる白色散乱面として形成されていることをその要旨とする。
ビジュアル情報表示部を照明するために使用する光であるため、照射光受光部の反射面は指向性のない乱反射するこのような白色散乱面が好ましいためである。
【0015】
第11の手段では第7〜10のいずれかの手段に加えて、前記ビジュアル情報表示部は液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイから構成され、前記カバープレートの少なくとも前記透明プレートと重複された領域はハーフミラー層が形成されたハーフミラー領域とされており、前記前記ビジュアル情報表示部は液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイの背面にはミラー層が配設されていることをその要旨とする。
このような構成とすることで、カバープレート方向に屈折させられた反射光の一部がハーフミラー層で反射されて透明プレートと液晶ディスプレイ(あるいは有機ELディスプレイ)を透過し、液晶ディスプレイ(あるいは有機ELディスプレイ)の背面に配置されたミラー層によってカバープレート方向に全反射されることとなる。そして、その反射光は再びハーフミラー層で一部反射されるというハーフミラー層とミラー層の間での繰り返し反射が行われカバープレート方向から光を目視すると、合わせ鏡をした場合のように光の写り込みの連鎖が生じ、あたかも非常に奥行きがあるかのような錯覚視を見る者に与えることとなり、装飾的効果が大きくなる。尚、ハーフミラー層及びミラー層の定義は上記と同様である。
【発明の効果】
【0016】
上記請求項1〜6の発明によれば、光源は透明プレートの端面に面して配置されるため、車載用電子機器がかさばらず、なおかつ透明プレートの広い範囲の任意の位置に任意の個数の照射光受光部を設けてビジュアル情報とすることができ、簡易な構造であってもユーザーに十分なビジュアル情報を提供することが可能となる。
上記請求項7〜11の発明によれば、光源は透明プレートの端面に面して配置されるため、車載用電子機器がかさばらず、なおかつバックライトを使用しなくともビジュアル情報表示部が明るく照らされることとなり、暗い環境下でもユーザーにビジュアル情報提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる実施例1〜3のルームミラー装置の(a)は斜視図、(b)は側面図。
【図2】実施例1〜3のルームミラー装置の概略構成を説明する平面分解図。
【図3】実施例1のルームミラー装置の要部拡大平面図。
【図4】実施例1〜3の凹部を説明する説明図。
【図5】(a)及び(b)は実施例1〜3の凹部によって描かれる一例としての文字の平面図。
【図6】実施例1〜3においてミラー間での反射によって光の写り込みが生じることを説明する説明図。
【図7】実施例2のルームミラー装置の要部拡大平面図。
【図8】実施例3のルームミラー装置の要部拡大正面図。
【図9】実施例4のルームミラー装置の概略構成を説明する平面分解図。
【図10】実施例4のルームミラー装置の要部拡大平面図。
【図11】実施例4において溝部の形状を説明する拡大説明図。
【図12】他の実施例のルームミラー装置の要部拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をルームミラー型のマイクロ波検出器として具体化した実施例を図面に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、図1(a)(b)及び図2に基づいてルームミラー型のマイクロ波検出器(以下、ルームミラー装置とする)1の概略構成について説明する。
車載用電子機器としてのルームミラー装置1は薄板長方形形状のリアケース2と、同リアケース2の前面に取着される長方形の外形を有するフロントフレーム3と、フロントフレーム3の更に前面に取着される長方形の外形を有するカバープレート4とによって本体 が構成されている。カバープレート4はプラスチック製(本実施例1では例えばポリカーボネート製とする)の透明でフラットな板材であって、裏面全域にハーフミラー層としてのハーフミラーフィルム5が蒸着形成されている。
リアケース2の背面には車両に標準装備されているルームミラーに対してルームミラー装置1を固定するための固定用クランプ7が配設されている。リアケース2の内面位置にはスピーカ装置8とGPSモジュール9とメイン基板10が水平方向に隣接して配設されている。
【0019】
フロントフレーム3の左右方向における側方位置には透明プレート11が配設されている。透明プレート11は同じくプラスチック製(本実施例1では例えばポリカーボネート製とする)の透明でフラットな長方形の外形を有する板材から構成されている。フロントフレーム3内であって透明プレート11に隣接した中央寄り位置にはLED用制御基板12が配設されている。LED用制御基板12側の透明プレート11の側部端面11aに面した位置には複数のLED13が配設されている。本実施例1ではLED13の数は5つとするが、LED13の数や配置位置は後述する凹部17の数や形成位置によって適宜変更可能である。LED13はLED用制御基板12に接続されている。LED13は発光部の中心軸線が側部端面11aに対して直交するように正対して配置されている。本実施例1のLED13は赤色と緑色の2色のチップからなる2色方式のLEDであり、赤色光と緑色光の2色を照射することができる。
メイン基板10はマイクロ波検出回路を内蔵するとともにアンテナを併設しており、GPSモジュール9によって取得した位置情報と併せて検出したマイクロ波に基づいて警報の必要性を判断し、LED用制御基板12を制御する。検出対象となる交通情報(車両速度測定装置の位置等)は重要度によって前もって軽重を付与して記憶されており、メイン基板10は検出した位置情報の重要度に応じて制御基板12に緑(注意喚起)と赤(要注意)のいずれかを点灯をさせる制御信号を出力する。LED用制御基板12はその制御信号に基づいてLED13の発光制御を実行する。
尚、図示は省略するが本実施例1のルームミラー装置1の電源はソーラー発電機(ソーラーパネル)から取得するものとする。
【0020】
次に、このような基本構成のルームミラー装置1の透明プレート11周辺の構成について、より詳細に説明する。
図3に示すように、透明プレート11はフロントフレーム3内に併設されたサイドフレーム15によってカバープレート4の背面から若干の隙間を開けた状態で支持されている。透明プレート11の裏面側(リアケース2側)には切り欠き状に成形した照射光受光部としての複数の凹部17が形成されている。凹部17は図4に示すように直角三角形の上下対向面を有する三角柱を横転させた形状に透明プレート11の裏面側平面に対して凹設されており、三角柱の斜面にあたる反射面17aは透明プレート11の表裏面に対して45度の角度とされている。反射面17aは鏡面とされている。各凹部17の向きはすべて統一されており、本実施例1では透明プレート11のLED用制御基板12側の側部端面11a方向に反射面17aが向くように(つまり、LED13から射出される光が反射面17a方向に指向するように)配置されている。本実施例1では凹部17は図5(a)に示すように表面側(カバープレート4側)から「WARNING」という文字に読めるように等間隔で配置されている。
透明プレート11の背面にはミラー層としてのミラーシート18が配設されている。ミラーシート18はサイドフレーム15によって透明プレート11との間に若干の隙間を開けた状態で支持されている。
【0021】
次に、上記のように構成したルームミラー装置1の作用について説明する。
ルームミラー装置1を車両標準装備のルームミラーに取り付けて走行しているものとする。特に交通に関してユーザーに報知すべき情報がない場合にはLED13は点灯されず、ユーザーはルームミラー装置1は車両標準装備のルームミラーと同等の機能を有するミラーとしてのみ使用する。この状態で、例えば自動車ナンバー自動読取装置(いわゆるNシステム)の設置場所に接近した場合にはLED13の緑色のランプが点灯し「WARNING」と緑色の光がカバープレート4上に表示され、同時にスピーカ装置から「Nシステムが近くに設置されています」という音声案内がされる。
ここに図6の概念図に示すように、LED13が点灯されるとその照射光は透明プレート11の側部端面11aから入射され、凹部17の反射面17aによって反射してカバープレート4方向に90度屈折させられる。そして、一部が透過光としてカバープレート4前面側に透過させられるとともに、一部の反射光は反射し、その結果ハーフミラーフィルム5とミラーシート18との間で繰り返し反射が行われることとなりカバープレート4方向から目視すると、奥行きがあるような緑の光の写り込みの連鎖が生じることとなる。
また、レーダ式の車両速度測定装置のマイクロ波を検出した場合にはLED13の赤色のランプが点灯し「WARNING」と赤色の光がカバープレート4上に表示される。同時にスピーカ装置から「速度取締装置が近くに設置されています」という音声案内がされる。赤色の「WARNING」の文字も上記と同様に奥行きがあるような赤い光の写り込みの連鎖が生じることとなる。
【0022】
以上のような構成の実施例1のルームミラー装置1では次のような効果が奏される。
(1)LED13の点灯によって、液晶ディスプレイ等に頼らなくともユーザーは交通情報を適宜ビジュアル情報として十分認識できるため不便さはなく、ディスプレイ関連の設備が不要となるためルームミラー装置1のコストが削減できる。
(2)LED13が点灯されることによって、単に文字のビジュアル情報がカバープレート4上に表示されるだけではなく、文字を構成する光が奥行きがあるように繰り返し反射して写りこむため、装飾的効果が大きくなるとともにユーザーの注意も大きく喚起することとなって、視覚認識機能が向上する。
(3)LED13は透明プレート11の側部端面11a位置に配置されており、透明プレート11の内部を通って照射光が凹部17の反射面17aに反射して90度屈曲されて表面に達するような構造であるため、前後方向の距離をそれほど必要とせず嵩張ることがない。
(4)交通情報の重要度に応じて点灯されるLED13の光の色を変更するようにしたため、ユーザーにおいて色の違いで容易に重要度の違いを認識することが可能となる。
【0023】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では上記実施例1と異なる構成のみ詳細に説明し、上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図7に示すように、実施例2のルームミラー装置1の透明プレート21は第1及び第2の分割プレート21A,21Bに2分割されており、厚み方向で隣接配置されている。
各分割プレート21A,21Bには反射面17aが同じ方向を向くように複数の凹部17が形成されている。第1の分割プレート21Aの反射面17aと対向する方向の端面21a位置 には複数のLED23が配設され、第2の分割プレート21Bの反射面17aと対向する方向の端面21a位置 には複数のLED24が配設されている。実施例2に おいては第1の分割プレート21A側に配置されたLED23は単色で赤色を照射するチップであり、第2の分割プレート21B側に配置されたLED24は単色で青色を照射するチップである。
【0024】
図5(a)に示すように、第1の分割プレート21A側の凹部17は表面側から「WARNING」という文字に読めるように等間隔で配置されており、図5(b)に示すように第2の分割プレート21B側の凹部17は「CAUTION」という文字に読めるように等間隔で配置されている。
実施例2においてはメイン基板10は検出した位置情報の重要度に応じて制御基板12に赤色のLED23(要注意)と青色のLED24 (注意喚起)のいずれかを点灯をさせる制御信号を出力するものとする。LED用制御基板12はその制御信号に基づいてLED13の発光制御を実行する。
このような構成のルームミラー装置1では、車両の走行中に例えば自動車ナンバー自動読取装置(いわゆるNシステム)の設置場所に接近した場合にはLED24の青色 のランプが点灯し「WARNING」と青色 の光が表示され、同時にスピーカ装置から「Nシステムが近くに設置されています」という音声案内がされる。一方、レーダ式の車両速度測定装置のマイクロ波を検出した場合にはLED23の赤色のランプが点灯し「CAUTION」と赤色の光が表示される。同時にスピーカ装置から「速度取締装置が近くに設置されています」という音声案内がされる。いずれの場合も実施例1と同様にハーフミラーフィルム5とミラーシート18との間で光の繰り返し反射が行われることとなりカバープレート4方向から目視すると、奥行きがあるような光の写り込みの連鎖が生じることとなる。各分割プレート21A,21Bの凹部17はできるかぎり光が混合しないよう各分割プレート21A,21Bの凹部17の位置は重複しないようずらすことが好ましい。このように分割プレート21A,21Bを重複配置することでスペース的に有利となる。
【0025】
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例3では上記実施例1と異なる構成のみ詳細に説明し、上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図8に示すように、実施例2の透明プレート31は第1及び第2の分割プレート31A,31Bに2分割されており、セパレータ32を介して端面方向で隣接配置されている。各分割プレート31A,31Bには反射面17aが同じ方向を向くように複数の凹部17が形成されている。第1の分割プレート31Aの反射面17aと対向する方向の端面31a位置には複数のLED33が配設され、第2の分割プレート31Bの反射面17aと対向する方向の端面31a位置には複数のLED34が配設されている。実施例3においては第1の分割プレート31A側に配置されたLED33は単色で赤色を照射するチップであり、第2の分割プレート31B側に配置されたLED34は単色で青色を照射するチップである。
このようにセパレータ32を配置することで、2つのLED33,34を同時に発光させたとしても、セパレータ32によって遮蔽されて例えばLED33の光が第2の分割プレート31Bの凹部17の反射面17aに及ぶことがなく、同一平面上にある異なる分割プレート31A,31B毎に明瞭に峻別された色のビジュアル情報(ここでは文字)を表示させることができる。また、2つの分割プレート31A,31Bに形成した凹部17の反射面17aの方向が異なればこのようなセパレータ42は不要であるが、その場合にはLED33,34を同じ方向には配置できない。つまり、スペースや配線の関係で2つのLED33,34の照射方向を変更することができない場合にも有利である。
【0026】
(実施例4)
次に、実施例4について説明する。実施例4では上記実施例1と異なる構成のみ詳細に説明し、上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。
図9に示すように、実施例4のルームミラー装置1は実施例1とは異なる構成として透明プレート41の背面にバックライト機能のない液晶ディスプレイ42を備えている。透明プレート41はプラスチック製(本実施例1では例えばアクリル製とする)の透明でフラットな長方形の外形を有する板材から構成されており、実施例1と同様にフロントフレーム3の左右方向における側方位置に配置されている。液晶ディスプレイ42は2枚のガラス板の間に液晶を封入した構成のデバイスであって、長方形の外形を有する板材である。いわゆる反射型液晶やメモリ液晶を用いるのが好ましい 。
図10及び図11に示すように、透明プレート41の表面側には照射光受光部としての溝部45が形成されている。溝部45は横断面V字状をなし、溝内部にブラスト加工が施されて反射面45aは曇りガラス状の白濁面とされている。尚、実施例4では溝部45で照射光は乱反射させられるため、溝部45を構成する対向する両面とも反射面45aとして機能する。溝部 45の輪郭形状は液晶ディスプレイ42の外郭形状よりも僅かに大きな相似形状の長方形形状であって、液晶ディスプレイ42を包囲するように配置されている。
実施例3のカバープレート4の裏面には実施例1のハーフミラーフィルム5が蒸着されている。ハーフミラーフィルム5には液晶ディスプレイ42を目視させるために蒸着がされていない窓部5aが形成されている。窓部5aの外郭形状は液晶ディスプレイ42の外郭形状よりも僅かに小さな相似形状の長方形形状とされている。本実施例4ではカバープレート4は透明プレート41と密着させられている。液晶ディスプレイ42の背面にはミラーシート18が配設されている。ミラーシート18はサイドフレーム15によって液晶ディスプレイ42との間に若干の隙間を開けた状態で支持されている 。
【0027】
透明プレート41の四方の端面41aに面した位置には白色LED47が発光部の中心軸線が端面41aに対して直交するように正対して配置されている。実施例3では図示しないLEDスイッチのON・OFF操作によって白色LED47が発光させられる。白色LED47が点灯されるとその照射光は透明プレート41の四方の端面41aから入射され、溝部45の反射面45aに乱反射し、液晶ディスプレイ42を照らすこととなる。その際に、液晶ディスプレイ42の周囲のハーフミラーフィルム5の存在する領域では反射光の一部が透過光としてカバープレート4前面側に透過させられるとともに、一部の反射光は反射し、その結果ハーフミラーフィルム5とミラーシート18との間で繰り返し反射が行われることとなりカバープレート4方向から目視すると、奥行きがあるような白色の光の写り込みの連鎖が生じることとなる。
【0028】
このような構成とすることで、実施例4のルームミラー装置1では次のような固有の効果が奏される。
(1)バックライト機能がなくとも夜間や暗いところで液晶ディスプレイ42を白色LED47を使用して目視することができるため、電力をあまり消費せず、かつ低コストでのルームミラー装置1を提供することが可能となる。
(2)溝部45は遮蔽部材(ここではハーフミラーフィルム5が相当)によって露出しないように遮蔽されているため、溝部45を照明として使用していない場合に表面側から目視しにくくなっており、機能的に不要な部分がユーザーの目に入らないため好ましい。この際、特に透明プレート41とカバープレート4の間に隙間がないことから、溝部45がハーフミラーフィルム5によって遮蔽され角度的に窓部5a側から見えにくくなっている。
(3)白色LED47の点灯時に液晶ディスプレイ42の周囲に奥行きがあるような白色の光の写り込みの連鎖が生じ、装飾的効果が大きくなるとともにユーザーの注意も大きく喚起することとなって、視覚認識機能が向上する。
【0029】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・実施例2ではセパレータ32を使用して隣接する分割プレート21A,21B方向への光の漏れを防止するようにしていたが、図11のように反射面17aの向きを変えることでセパレータ32を使用せずに同じ平面上で2色の色を互いに干渉しないように反射面17aに反射させるようにすることも可能である。
・透明プレート11,31,41に形成された凹部17や溝部45の形成面は表面側であってもよく、両方の面に形成するようにしてもよい。また、形状や位置は適宜変更可能である。
・透明プレート11,31,41の材質は透明で光が減衰しにくい透明なものであれば上記に限定されるものではない。
・実施例2や3で分割プレート21A,21B,31A,31Bの数は適宜変更可能である。
・実施例2と3とを組み合わせる。つまり分割プレート21A,21B,31A,31Bが厚み方向と端面方向の両方向に隣接配置されるような構成でもよい 。
・実施例4において液晶ディスプレイ42の代わりに有機ELディスプレイを使用することも可能である。その場合に透過型または半透過型のディスプレイを用いることが好ましい 。
・実施例4において奥行き効果を求めない場合には、ハーフミラーフィルム5の代わりに全反射する通常のミラー層を設けるようにしてもよい。
・実施例4においては白色LED47をそれほど厳密に端面31aに対して正対させる必要はない。白色LED47の光は溝部45の反射面45aに乱反射させるのであり、それほどの指向性が要求されないからである。
・実施例4において透明プレート41の代わりに液晶ディスプレイ42を構成するガラスを透明プレートと考えて使用することも可能である。
・実施例4においては液晶ディスプレイ42をビジュアル情報表示部として説明したが、実施例1の透明プレート11のような光自体を情報として表示するものをビジュアル情報表示部として更に周囲から照明するようにしてもよい。これによって照明効果に加えて装飾効果も向上することとなる 。
・実施例4において光の写り込みを行わない場合には、ハーフミラーフィルム5の代わりに黒色の印刷面を印刷してカバープレート4から内部が透けないようにすることが好ましい。
・ルームミラー装置1以外の車載用電子機器に応用することも可能である。例えば、ナビゲーション装置、マイクロ波検出器、ETC、ドライブレコーダ、車両用セキュリティ装置等に適用することが想定される 。
・その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0030】
1…ルームミラー装置、2…筐体の一部をなすリアケース、3…筐体の一部をなすフロントフレーム、4…カバープレート、11,31,41…透明プレート、13,23,24,33,34,47…光源としてのLED、17…照射光受光部としての凹部、45…照射光受光部としての溝部、17a,45a…反射面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体前面に光透過性のカバープレートが取着された本体を備え、運転状況に応じて前記カバープレートの表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器において、
前記カバープレートの裏面側に 同カバープレートと重複状に透明プレートを配置するとともに、前記透明プレートの端面位置に前記透明プレートの端面から内部方向に向って光を照射する1又は複数の光源を配置し、前記光源からの照射光を前記透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成された照射光受光部の反射面に反射させ、その反射光自体をビジュアル情報として前記カバープレートの表面方向から認識させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記カバープレートの少なくとも前記透明プレートと重複された領域はハーフミラー層が形成されたハーフミラー領域とされており、前記透明プレートの背面にはミラー層が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記ミラー層は前記透明プレートから離間した後方位置に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
車両の運転状況に応じて得られる位置情報の種類の違いに基づいて前記光源の照射光の色を変えるようにしたことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記透明プレートは複数の分割プレートに分割されて端面方向で隣接配置されており、前記分割プレート毎に前記光源と前記照射光受光部が形成されるとともに隣接する前記分割プレート間には光の透過を阻止するセパレータが配設され、一の前記分割プレートの前記照射光受光部に他の一の前記分割プレートの前記光源からの照射光が照射されないようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記透明プレートは複数の分割プレートに分割されて厚み方向で隣接配置されており、各分割プレート毎に異なる前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1〜5の いずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項7】
筐体前面に光透過性のカバープレートが取着された本体を備え、運転状況に応じて前記カバープレートの表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器において、
前記カバープレートの裏面側に 同カバープレートと重複状に透明プレートを配置するとともに、前記透明プレートの端面位置に前記透明プレートの端面から内部方向に向って光を照射する1又は複数の光源を配置し、前記光源からの照射光を前記透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成された照射光受光部の反射面に反射させ、その反射光によってビジュアル情報表示部を照明し前記カバープレートの表面方向から認識させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項8】
前記照射光受光部は前記ビジュアル情報表示部を包囲するように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の車載用電子機器。
【請求項9】
前記照射光受光部は遮蔽部材によって表面側から遮蔽されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の車載用電子機器。
【請求項10】
前記照射光受光部の反射面は微細凹凸形状からなる白色散乱面として形成されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項11】
前記ビジュアル情報表示部は液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイから構成され、前記カバープレートの少なくとも前記透明プレートと重複された領域はハーフミラー層が形成されたハーフミラー領域とされており、前記ビジュアル情報表示部は液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイの背面にはミラー層が配設されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項1】
筐体前面に光透過性のカバープレートが取着された本体を備え、運転状況に応じて前記カバープレートの表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器において、
前記カバープレートの裏面側に 同カバープレートと重複状に透明プレートを配置するとともに、前記透明プレートの端面位置に前記透明プレートの端面から内部方向に向って光を照射する1又は複数の光源を配置し、前記光源からの照射光を前記透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成された照射光受光部の反射面に反射させ、その反射光自体をビジュアル情報として前記カバープレートの表面方向から認識させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記カバープレートの少なくとも前記透明プレートと重複された領域はハーフミラー層が形成されたハーフミラー領域とされており、前記透明プレートの背面にはミラー層が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記ミラー層は前記透明プレートから離間した後方位置に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
車両の運転状況に応じて得られる位置情報の種類の違いに基づいて前記光源の照射光の色を変えるようにしたことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記透明プレートは複数の分割プレートに分割されて端面方向で隣接配置されており、前記分割プレート毎に前記光源と前記照射光受光部が形成されるとともに隣接する前記分割プレート間には光の透過を阻止するセパレータが配設され、一の前記分割プレートの前記照射光受光部に他の一の前記分割プレートの前記光源からの照射光が照射されないようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記透明プレートは複数の分割プレートに分割されて厚み方向で隣接配置されており、各分割プレート毎に異なる前記光源が配設されていることを特徴とする請求項1〜5の いずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項7】
筐体前面に光透過性のカバープレートが取着された本体を備え、運転状況に応じて前記カバープレートの表示領域に表示されるビジュアル情報をユーザーに目視させるようにした車載用電子機器において、
前記カバープレートの裏面側に 同カバープレートと重複状に透明プレートを配置するとともに、前記透明プレートの端面位置に前記透明プレートの端面から内部方向に向って光を照射する1又は複数の光源を配置し、前記光源からの照射光を前記透明プレートの少なくとも表裏いずれか一方の面に切り欠き状に形成された照射光受光部の反射面に反射させ、その反射光によってビジュアル情報表示部を照明し前記カバープレートの表面方向から認識させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項8】
前記照射光受光部は前記ビジュアル情報表示部を包囲するように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の車載用電子機器。
【請求項9】
前記照射光受光部は遮蔽部材によって表面側から遮蔽されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の車載用電子機器。
【請求項10】
前記照射光受光部の反射面は微細凹凸形状からなる白色散乱面として形成されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項11】
前記ビジュアル情報表示部は液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイから構成され、前記カバープレートの少なくとも前記透明プレートと重複された領域はハーフミラー層が形成されたハーフミラー領域とされており、前記ビジュアル情報表示部は液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイの背面にはミラー層が配設されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の車載用電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−180313(P2011−180313A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43721(P2010−43721)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
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