説明

車載表示装置

【課題】取り付けの作業性が良い車載表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る車載表示装置1は、メッセージを表示する電光表示器10と、前記電光表示器10に結合された支持アーム30と、前記支持アーム30に結合され、粘着体51及び吸着体の少なくとも一方を有する取付部50と、を備え、前記電光表示器10及び取付部50の少なくとも一方が前記支持アーム30に着脱自在に結合されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種メッセージを他の車両の運転者や歩行者等に伝えるために、自動車内の所望の位置に取り付けて使用される車載表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種メッセージを他の車両の運転者や歩行者等に伝えるために、自動車内の所望の位置に取り付けて使用される車載表示装置が種々提案されている。例えば、この種の車載表示装置である特許文献1の自動車用メッセージ表示器は、表示装置本体に連結された支持アームを備えており、この支持アームに設けられた吸盤を取付面に吸着させることによって取り付けられるようになっている。
【特許文献1】特開平9−301058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、特許文献1の車載表示装置を取り付ける際には、作業者が表示装置本体を支持しつつ吸盤の取付面への吸着作業を行わなければならず、作業性が悪いという問題があった。特に、このような車載表示装置は、使用者の運転時の視界を極力妨げないように、バックミラーの裏側や、フロントガラスとダッシュボードとの間の前方の狭い空間に取り付けられる場合が多く、この場合には、表示装置本体が取付作業の邪魔にもなり、このような問題が顕著であった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、取り付けの作業性が良い車載表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車載表示装置は、メッセージを表示する電光表示器と、前記電光表示器に結合された支持アームと、前記支持アームに結合され、粘着体及び吸着体の少なくとも一方を有する取付部と、を備え、前記電光表示器及び取付部の少なくとも一方が前記支持アームに着脱自在に結合されていることを特徴とする。
【0006】
上記車載表示装置において、前記電光表示器は、前記支持アームが着脱可能に結合される複数の被結合部を有していることが好ましい。
【0007】
また、前記支持アームは、前記電光表示器及び取付部の少なくとも一方に対して角度調整自在に結合されていることが好ましい。
【0008】
さらに、上記車載表示装置において、前記支持アームは、フレキシブルアームによって構成してもよく、また、少なくとも1つの自在継手を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車載表示装置によれば、電光表示器及び取付部の少なくとも一方が支持アームに着脱自在に結合されているため、車載表示装置の車内への取り付けの作業性が良い。
【0010】
すなわち、例えば、電光表示器及び取付部が支持アームに対してそれぞれ着脱自在に結合されている場合は、これらを支持アームから分離し、取付部を取付面に取り付けた後、支持アーム、電光表示器をこの順で再び結合して取り付けていくことができる。そのため、従来例のように、取付作業者が表示装置本体(電光表示器)を支持しつつ取付作業を行う必要がないので、作業性が良い。また、このように電光表示器を最後に取り付けることができるので、特に、バックミラーの裏側や、フロントガラスとダッシュボードとの間の前方の狭い空間に車載表示装置を取り付ける場合には、取付部及び支持アームの取り付け作業時に電光表示器が邪魔になることがなく、作業性の向上が顕著となる。
【0011】
また、電光表示器及び取付部のいずれか一方のみが支持アームに着脱自在に結合されている場合であっても、電光表示器を最後に取り付けることができるため、作業性を良好にするという同様の効果を得ることができる。
【0012】
また、本発明の車載表示装置の取付部は、粘着体及び吸着体の少なくとも一方を有しており、これによって取付面に取り付け可能であるため、その取り付けは非常に容易である。
【0013】
本発明の車載表示装置において、電光表示器が、支持アームを着脱自在に結合する複数の被結合部を有するように構成すると、車載表示装置の取り付けの自由度が大きくなる。例えば、電光表示器の上面及び下面に被結合部を設けた場合は、車載表示装置の所望の取り付け形態によって、支持アームによって電光表示器を上方から吊り下げ支持したり、下方から支持したりすることが選択可能となる。
【0014】
また、支持アームを、前記電光表示器及び取付部の少なくとも一方に対して角度調整自在に結合するように構成すると、取付面の角度に関係なく、電光表示器を所望の位置及び方向にすることができる。また、支持アームをフレキシブルアームによって構成した場合も同様の効果を得ることができ、支持アームが少なくとも1つの自在継手を備えるように構成した場合も同様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る車載表示装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る車載表示装置の斜視図である。
【0016】
本実施形態に係る車載表示装置は、自動車内のダッシュボードやフロントガラス、リアガラス等の所望の位置に取り付け、各種メッセージを電光表示させて他の車両の運転者や歩行者に伝えるためのものである。
【0017】
図1に示すように、この車載表示装置1は、各種メッセージを電光表示する電光表示器10と、これを支持するための支持アーム30と、この支持アーム30を所望の位置に取り付けるための取付部50とを備えている。
【0018】
電光表示器10は、箱形のハウジング11を有しており、ハウジング11の前面11aには、図1に示すように例えばハート形状や「Thanks」等の各種メッセージを表示するように複数の発光ダイオード等のランプ13が配置されている。ランプ13は、この表示装置1とは別に設けられた有線又は無線の制御装置(図示せず)により、点灯・消灯等を遠隔操作可能に構成されている。また、ハウジング11の上面11b及び下面11cには、支持アーム30が結合される被結合部11d,11dがそれぞれ設けられており、この被結合部11d,11dは、磁石につく性質を有する金属等で構成されている。
【0019】
支持アーム30は、棒状に延びるアーム本体31と、その一端部及び他端部にそれぞれ自在継手によって連結された板状の第一の結合部材33及び第二の結合部材35とを備えている。この自在継手は、連結された各部材に所定以上の力がかかったときに各部材が相対的に動くように構成されているが、所定より小さい力では各部材が動かずその位置関係が維持されるように構成されている。これにより、後述するように取付作業者の手によって支持アーム30を所望の姿勢にすることができる一方、取付作業が完了した後は、電光表示器10を所望の位置に保持するようになっている。
【0020】
第一の結合部材33及び第二の結合部材35におけるアーム本体31が連結されている面と反対側の面には、図1に示すように、第一の磁石34及び第二の磁石36がそれぞれ固着して設けられている。第一の磁石34は、磁力によって電光表示器10の上面11b及び下面11cの被結合部11d,11dと選択的に、着脱自在に結合するようになっている。なお、図1では、電光表示器10の上面11bの被結合部11dに結合する場合を実線で、下面11cの被結合部11dに結合する場合を一点差線で示している。
【0021】
取付部50は、磁石につく性質を有する金属板等で構成され、これにより、第二の磁石36が磁力によって着脱自在に結合されるようになっている。
【0022】
また、取付部50における第二の磁石36と結合する面と反対側の面には、両面粘着フィルム51(粘着体)が貼り付けられており、この面が自動車内の所望の位置に貼り付けられるようになっている。
【0023】
次に、上記のように構成された車載表示装置1の自動車内への取付手順を図2を参照しつつ説明する。図2は、車載表示装置1をバックミラーMの裏側のフロントガラスFに取り付ける場合の手順を示すものである。
【0024】
この場合、図2(a)に示すように、まず、取付部50を両面粘着フィルム51によってフロントガラスFに貼り付ける。次いで、図2(b)に示すように、支持アーム30の第二の結合部材35を第二の磁石36によって取付部50に結合するとともに、自在継手によって連結されたアーム本体31及び第一の結合部材33を所望の姿勢となるように動かして配置する。そして、図2(c)に示すように、第一の結合部材33の第一の磁石34によって第一の結合部材33に、電光表示器10の上面11bの被結合部11dを結合する。こうすることで、電光表示器10が支持アーム30によって所望の位置で保持され、車載表示装置1が吊り下げ支持された状態で取り付けられる。
【0025】
本実施形態に係る車載表示装置1は、様々な取付形態で取り付け可能であり、例えば図3に示すように、取付部50をダッシュボードDに取り付け、フロントガラスFとダッシュボードDとの間に電光表示器10を配置して、下方から支持するように取り付けることも可能である。この場合も、図2で説明したのと同様に、取付部50、支持アーム30、電光表示器10をこの順で取り付けるが、支持アーム30は、電光表示器10の下面11cの被結合部11dと結合される。
【0026】
また、このように車載表示装置1を下方から支持した状態で取り付ける場合、例えば図4に示すように、取付部50をフロントガラスFに貼り付けることもできる。
【0027】
以上のように、本実施形態の車載表示装置1によれば、電光表示器10及び取付部50がそれぞれ支持アーム30に着脱自在に結合されているため、これらを支持アーム30から分離し、取付部50を車内所望の取付面に取り付けた後、支持アーム30、電光表示器10をこの順で再び結合して取り付けていくことができる。そのため、従来例のように、取付作業者が表示装置本体(電光表示器10)を支持しつつ取付作業を行う必要がないので、作業性が良い。また、このように電光表示器10を最後に取り付けることができるので、特に、バックミラーMの裏側や、フロントガラスFとダッシュボードDとの間といった狭い空間に車載表示装置1を取り付ける場合(図2〜4参照)には、取付部50及び支持アーム30の取り付け作業時に電光表示器10が邪魔にならず、作業性の向上がより顕著となる。
【0028】
さらに、本実施形態では、電光表示器10及び取付部50と支持アーム30とが、磁力によって結合されているため、これらの着脱が容易である。また、車載表示装置1の取付部50は、両面粘着フィルム51によって取付面に取り付けられるため、その取り付けも容易である。
【0029】
また、本実施形態の電光表示器10では、上面11b及び下面11cに被結合部11d,11dが設けられており、例えば図2〜4に示すように所望の取付形態に応じて、支持アーム30を結合する被結合部11d,11dを選択することができるので、車載表示装置1の取り付けの自由度が大きくなっている。
【0030】
また、支持アーム30は、第一の結合部材33及び第二の結合部材35が自在継手によってそれぞれアーム本体31に結合され、角度調整自在に構成されているので、取付面の角度に関係なく、電光表示器1を所望の位置及び方向にすることができる。
【0031】
以上、本発明に係る車載表示装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。上記実施形態では、電光表示器10及び取付部50が支持アーム30に対してそれぞれ着脱自在に結合されているが、電光表示器10及び取付部50のいずれか一方のみが支持アームに着脱自在に結合されていてもよい。この場合であっても、電光表示器10を最後に取り付けることができるため、作業性を良好にするという同様の効果を得ることができる。
【0032】
着脱自在に結合する構成として、上記実施形態では、磁力によって結合する構成を例示しているが、これに限定されず、例えば、電光表示器10及び取付部50と支持アーム30とを、面ファスナ等の各種係合手段によって着脱自在に結合するように構成してもよい。
【0033】
また、電光表示器10には、上面11b及び下面11cの2箇所に被結合部11dが設けられているが、これに限定されるものではなく、1箇所であっても、3箇所以上に設けられていてもよい。複数の被結合部11dを設けた場合は、所望の取付形態に応じて、支持アーム30を結合する被結合部11dを選択することが可能となり、取り付けの自由度が大きくなる。
【0034】
また、支持アーム30は、アーム本体31の両端と、第一の結合部材33及び第二の結合部材35とを自在継手によってそれぞれ結合しているが、これに限定されるものではなく、電光表示器10及び取付部50の少なくとも一方に対して角度調整自在に結合するように構成されていればよい。例えば、アーム本体31の一端を固着し、他端のみを自在継手によって結合してもよい。或いは、アーム本体31を複数に分割し、分割された部材同士をそれぞれ自在継手によって結合するように構成してもよい。
【0035】
角度調節自在に結合する構成としては、上記のように自在継手によるものに限らず、図5に示すように、第二の結合部材35とアーム本体31とをボルトBによって結合し、ボルトBを軸にして揺動するように構成してもよい。このように構成する場合、ボルトBを締め込むことによって第二の結合部材35とアーム本体31とがしっかりと固定されるようにしてもよい。ここでは、第二の結合部材35について説明したが、第一の結合部材33に対しても同様に構成してもよい。また、支持アーム30は、フレキシブルアーム(図示せず)によって構成してもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、取付部50が支持アーム30と着脱自在に構成されているので、例えば、取付部50を複数個準備してフロントガラスやリアガラス等に予め取り付けておき、電光表示器10及び支持アーム30を所望の取付部50に適宜付け替えて、車載表示装置1を所望の使用形態に応じた位置で使用することもできる。
【0037】
また、上記実施形態では、本発明の粘着体として両面粘着フィルム51を設けているが、これに替えて、吸盤等の吸着体を設けてもよい。或いは、取付部50にこれらを組み合わせて設けてもよい。
【0038】
また、支持アーム30は、図6に示すように、第二の結合部材35及び第二の磁石36を分割し、アーム本体31の端部に結合された棒状部材32を介して離間して配置するように構成してもよい。こうすることで、アーム本体31における第二の結合部材35側の端部を配置しようとする位置に、取付部50(図6に図示せず)を取り付けられない場合でも、その位置を回避するように取付部50(この場合は、2つ)を配置して支持アーム30を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載表示装置の斜視図である。
【図2】図1の車載表示装置の取付手順を説明する側面図である。
【図3】図1の車載表示装置の取付形態の一例を示す側面図である。
【図4】図1の車載表示装置の取付形態の一例を示す側面図である。
【図5】図1の車載表示装置の変形例を示す斜視図である。
【図6】図1の車載表示装置の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 車載表示装置
10 電光表示器
11d 被結合部
30 支持アーム
31 アーム本体
33 第一の結合部材
34 第一の磁石
35 第二の結合部材
36 第二の磁石
50 取付部
51 粘着体
B ボルト
F フロントガラス
M バックミラー
D ダッシュボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージを表示する電光表示器と、
前記電光表示器に結合された支持アームと、
前記支持アームに結合され、粘着体及び吸着体の少なくとも一方を有する取付部と、を備え、
前記電光表示器及び取付部の少なくとも一方が前記支持アームに着脱自在に結合されていることを特徴とする、車載表示装置。
【請求項2】
前記電光表示器は、前記支持アームが着脱可能に結合される複数の被結合部を有することを特徴とする、請求項1に記載の車載表示装置。
【請求項3】
前記支持アームは、前記電光表示器及び取付部の少なくとも一方に対して角度調整自在に結合されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車載表示装置。
【請求項4】
前記支持アームは、フレキシブルアームによって構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の車載表示装置。
【請求項5】
前記支持アームは、少なくとも1つの自在継手を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の車載表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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