説明

車載装置

【課題】共鳴音による不快感を低減する。
【解決手段】マイク12により集音された車室内の音を解析して車両の開状態の窓より車室内に流入する空気により発生する特定周波数の共鳴音を検出したと判定した場合、ドアECU43に開状態の窓と異なる窓の開口度合いを変更するように指示して車室内に流入した空気を車室外へ排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓の開閉制御を行う車載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置の外気導入状態または内気循環状態を判定するとともに車両の窓が閉じる方向に操作されたか否かを判定し、空調装置が外気導入状態であると判定され、かつ、車両の窓が閉じる方向に操作されたと判定された場合、空調装置のファンモータによる送風量を低下させることにより、車両の窓閉め動作時における車内の気圧変化を低減させ、乗員の耳が痛くなるような事態を回避するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−370516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両走行時に車両の一部の窓を開けると、車両の構造、車両の窓の開け方、車速等によって、ワーン、ワーン等といった不快な共鳴音が発生することがある。このような現象は、車両の窓より車室内に流入した空気が車室外へ排出されずに車室内に溜まることにより生じる。
【0005】
特に、近年の車両は密閉性が高くなっており、車両の窓より流入した空気が車室外へ排出されにくいため、このような共鳴音が発生しやすい。また、ハイブリッド車、電気自動車等の静音性の高い車両では、このような共鳴音が発生すると乗員に与える不快感も顕著なものとなってしまう。
【0006】
なお、上記特許文献1に記載された装置は、車両の窓閉め動作時における車内の気圧変化を低減させて、乗員の耳が痛くなるような事態を回避するものであり、上記したような不快な共鳴音を低減することはできない。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みたもので、共鳴音による不快感を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車室内の音を集音するマイクと、マイクにより集音された車室内の音を解析して車両の開状態の窓より車室内に流入する空気により発生する特定周波数の共鳴音を検出したか否かを判定する共鳴音判定手段と、車両の各窓の開閉状態を検出するとともに車両の各窓の開閉制御を行う窓開閉制御手段と、共鳴音判定手段により共鳴音を検出したと判定された場合、窓開閉制御手段に開状態の窓と異なる窓の開口度合いを変更するように指示して車室内に流入した空気を車室外へ排出させる空気排出指示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、マイクにより集音された車室内の音を解析して車両の開状態の窓より車室内に流入する空気により発生する特定周波数の共鳴音を検出したと判定された場合、窓開閉制御手段に開状態の窓と異なる窓の開口度合いを変更するように指示して車室内に流入した空気が車室外へ排出されるようになるので、共鳴音による不快感を低減することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、空気排出指示手段は、開口度合いを変更する窓が全開状態になる前に、共鳴音判定手段により共鳴音が発生していないと判定された場合、開口度合いを変更する窓に対する開閉制御を中止するように窓開閉制御手段に指示することを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、開口度合いを変更する窓が全開状態になる前に共鳴音が発生しなくなると、空気排出指示手段は、開口度合いを変更する窓に対する開閉制御を中止するように窓開閉制御手段に指示するので、開口度合いを変更する窓を全開にすることなく、共鳴音が発生しないようにすることが可能である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明では、車両の速度が規定値以上変化したか否かを判定する速度変化判定手段と、車両のいずれかの窓が開状態であるか否かを判定する窓開状態判定手段と、を備え、共鳴音判定手段は、速度変化判定手段により車両の速度が規定値以上変化したと判定され、かつ、窓開状態判定手段により車両のいずれかの窓が開状態であると判定された場合、マイクによる車両内の音の集音を開始して、共鳴音が発生したか否かを判定することを特徴としている。
【0013】
上記共鳴音は、車両の速度によって発生したり、発生しなくなったりするが、上記した構成によれば、車両の速度が規定値以上変化したと判定され、かつ、車両のいずれかの窓が開状態であると判定された場合、マイクによる車両内の音の集音を開始して、共鳴音が発生したか否かの判定が行われる。したがって、車両の速度が規定値以上変化して共鳴音が発生するようになっても、共鳴音が発生したか否かの判定が行われ、共鳴音が発生したと判定されると、車室内に流入した空気が車室外へ排出させるようになるので、共鳴音による不快感を低減することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明では、乗員が着座している座席位置および乗員が着座していない座席位置を特定する乗員位置特定手段を備え、空気排出指示手段は、乗員が着座していない座席位置に対応する窓を優先的に開状態にさせるように窓開閉制御手段に指示することを特徴としている。
【0015】
乗員が着座している座席位置に対応する窓を開状態にすると、冷房時や暖房時に冷房能力や暖房能力が低下して乗員を不快にさせてしまうことが考えられるが、上記した構成によれば、空気排出指示手段は、乗員が着座していない座席位置に対応する窓を優先的に開状態にさせるように窓開閉制御手段に指示するので、冷房能力や暖房能力の低下による乗員の不快感を緩和することが可能である。
【0016】
また、請求項5に記載の発明では、マイクは、ナビゲーション装置に接続された音声認識用のものであり、ナビゲーション装置に接続された車両LANに接続するための通信インタフェースを備え、共鳴音判定手段は、通信インタフェースを介してナビゲーション装置に接続されたマイクにより集音された車室内の音声情報を取得し、当該車室内の音声情報に基づいて車両の開状態の窓より車室内に流入する空気による共鳴音の発生を判定することを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、ナビゲーション装置に接続された音声認識用のマイクを用いて車室内の音声を集音し、当該マイクにより集音された車室内の音声情報に基づいて車両の開状態の窓より車室内に流入する空気による共鳴音の発生を判定するので、専用のマイクを備えることなく車室内に流入する空気による共鳴音の発生を判定することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明では、車両の窓のいずれかを開状態にするための操作があったか否かを判定する窓開閉操作判定手段と、窓開閉操作判定手段により車両の窓のいずれかを開状態にするための操作があったと判定された場合、マイクをオン状態にして車両内の音の集音を開始する集音開始手段と、共鳴音判定手段により共鳴音が発生していないと判定された場合、マイクをオフ状態にして車両内の音の集音を停止させる集音停止手段を備えたことを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、車両の窓のいずれかを開状態にするための操作があったと判定された場合、マイクをオン状態にして車両内の音の集音を開始し、共鳴音が発生していないと判定された場合、マイクをオフ状態にして車両内の音の集音を停止させるので、マイクにより消費される電力を低減するとともに、ナビゲーション装置に接続された音声認識用のマイクを占有しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載装置の構成を示す図である。
【図2】ナビゲーションECUの処理を示すフローチャートである。
【図3】共鳴音の発生について説明するための図である。
【図4】共鳴音を低減するために開口度合いを変更する窓の決定について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る車載装置の構成を図1に示す。本車載装置1は、車両の窓の開閉制御を自動で行い、車両の一部の窓を開けた状態で走行する際に発生する共鳴音を低減するものである。本実施形態における車両は、運転席、助手席、後部右側座席、後部左側座席に各ドアが設けられた4ドアタイプで、運転席、助手席、後部右側座席、後部左側座席の各座席位置に対応するドアに設けられた窓の開閉が可能となっている。
【0022】
本車載装置1は、ナビゲーション装置10、乗員位置検出装置30およびドア制御装置40を備えている。ナビゲーション装置10は、ナビゲーションECU(図中では、ナビECUと記す)11およびマイク12を備えており、乗員位置検出装置30は、着座センサ31およびシートECU32を備えており、ドア制御装置40は、ウィンドウスイッチ(図中では、ウィンドウSWと記す)41、ウィンドウモータ42およびドアECU43を備えている。
【0023】
ナビゲーションECU41、シートECU32およびドアECU43は、それぞれ車両LAN50に接続するための通信インタフェース(いずれも図示せず)を有しており、各通信インタフェースを介して車両LAN50に接続されている。
【0024】
ナビゲーションECU11、シートECU32およびドアECU43は、それぞれCPU、ROM、RAM、I/O等(いずれも図示せず)を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0025】
マイク12は、音声認識用として設けられたものであり、車室内の音を集音し、集音した車室内の音に応じた信号をナビゲーションECU11へ送出する。マイク12は、ナビゲーションECU11からの指示に応じてオン状態とオフ状態の切り替えが可能となっている。
【0026】
ナビゲーションECU11は、マイク12よりユーザの音声に応じた信号が入力されると、ユーザの音声に含まれるキーワードを音声認識して、認識したキーワードに基づく地図表示や認識したキーワードに基づく目的地設定等の各種処理を実施するようになっている。
【0027】
また、ナビゲーションECU11には、車両に搭載された車速センサ20より車速に応じた車速信号が入力されるようになっている。ナビゲーションECU11は、この車速センサ20より入力される車速信号に基づいて車両の走行速度を特定する。
【0028】
着座センサ31は、車両の各シートに設けられ、乗員の着座の有無を検出する。本実施形態における着座センサ31は圧力センサを用いて構成されており、この圧力センサにより乗員がシートに着座したときの圧力を検出して乗員の着座の有無を示す信号をシートECU32へ出力する。
【0029】
シートECU32は、車両の各シートに設けられた各着座センサ31より入力される信号に基づいて乗員の着座している座席位置および乗員の着座していない座席位置を特定する処理を実施する。
【0030】
ウィンドウスイッチ41は、車両に備えられた各窓の開閉を操作するためのスイッチであり、ユーザ操作に応じた信号をドアECU43へ出力する。このウィンドウスイッチ41は、運転席、助手席、後部右側座席、後部左側座席用に設けられた車両の各ドアに設けられている。
【0031】
ウィンドウモータ42は、車両の各窓を開閉するためのモータである。ウィンドウモータ42は、ドアECU43からの信号に応じて車両の各窓の開閉制御を行う。このウィンドウモータ42は、運転席、助手席、後部右側座席、後部左側座席用に設けられた車両の各ドア内に収納されている。
【0032】
ドアECU43は、ウィンドウスイッチ41に対する操作に応じて車両の各窓の開閉制御を行う窓開閉制御、車両の各窓の開閉状態を検出する窓開閉状態検出処理、ドアロックスイッチ(図示せず)に対する操作に応じて車両のドアの施錠または解錠を行うドアロック制御、ドアミラー格納スイッチ(図示せず)に対する操作に応じて車両の電動ドアミラーを格納するドアミラー格納制御等の各種処理を実施する。
【0033】
本ナビゲーションECU11は、マイク12を用いて車室内の音声を集音し、車室内の音の周波数から車両の開状態の窓より車室内に流入する空気による共鳴音の発生を判定すると、開状態の窓と異なる窓の開口度合いを変更させるようにドアECU42に指示して不快な共鳴音を低減する処理を実施する。
【0034】
図2に、この処理のフローチャートを示す。運転者の操作に応じて車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、ナビゲーション装置10、乗員位置検出装置30およびドア制御装置40は動作となり、ナビゲーションECU11は、図2に示す処理を開始する。
【0035】
まず、車両LAN50の通信バスを監視して、乗員による車両の窓のいずれかに対する開閉操作を検出したか否かを判定する(S100)。具体的には、車両LAN50の通信バスを監視してドアECU42から送信されるフレームに、車両の窓のいずれかに対する開閉操作の有無を特定するための情報が含まれるか否かに基づいて車両の窓のいずれかに対する開閉操作があったか否かを判定する。
【0036】
ここで、例えば、運転席の乗員が運転席のドアに設けられた窓を開けるために、ウィンドウスイッチ41を操作すると、S100の判定はYESとなり、次に、マイク12をオン状態にして車両内の音の集音を開始する(S102)。
【0037】
次に、マイク12により集音された車室内の音を解析して車両の開状態の窓より車室内に流入する空気により発生する特定周波数の共鳴音を検出したか否かを判定する(S104)。具体的には、連続する特定の可聴周波数帯の信号成分を有する共鳴音を検出したか否かを判定する。
【0038】
ここで、例えば、図3に示すように、車両の運転席の窓が開状態となっており、この開状態の窓より車室内に流入する空気により共鳴音が発生している場合、S104の判定はYESとなり、次に、開口度合いを変更する窓を決定する(S106)。本実施形態では、乗員が着座していない座席位置に対応する窓を優先し、予め定められた規定に従って開状態にする窓を決定する。また、開口度合いを変更する窓は、車室内に空気が流入している開状態の窓と異なる窓であり、閉状態の窓であっても、開状態となっている窓であってもよい。
【0039】
例えば、車両の運転席にのみ乗員が乗車しており、図4に示すように、運転席の窓が開状態となっている場合、乗員が着座しておらず、かつ、運転席の窓から車室内に流入した空気が直線的に流れて車室外へ排出される後部左側座席の窓を開口度合いを変更する窓として決定する。
【0040】
また、図示してないが、運転席と助手席に乗員が乗車しており、助手席の窓が開状態となっている場合には、乗員が着座しておらず、かつ、助手席の窓から車室内に流入した空気が直線的に流れて車室外へ排出される後部右側座席の窓を開口度合いを変更する窓として決定する。
【0041】
また、図示してないが、運転席と助手席と後部左側座席に乗員が乗車しており、運転席の窓が開状態となっている場合には、乗員が着座していない座席位置に対応する窓を優先するため、運転席の窓から車室内に流入した空気が直線的に流れて車室外へ排出される後部左側座席ではなく、乗員が着座していない後部右側座席の窓を開口度合いを変更する窓として決定する。
【0042】
次に、S106にて決定した窓を開状態にするようにドアECU43に窓開閉指示を出力し(S108)、S104の判定へ戻る。これにより、ドアECU43は、S106にて決定した窓を開閉制御するためのウィンドウモータ42を駆動する。このウィンドウモータ42の回転に応じて開口度合いを変更する窓が自動的に徐々に開き、車室内に流入した空気が車室外へ排出されるようになる。
【0043】
そして、再度、S104にて、共鳴音を検出したか否かを判定し、共鳴音が発生している場合には、S104の判定はYESとなり、ドアECU43に対する窓開閉指示を継続する。したがって、窓の開口部は徐々に大きくなっていく。
【0044】
また、窓の開閉制御により共鳴音の発生がなくなると、S104の判定はNOとなり、開口度合いを変更する窓が全開状態になる前であっても、開口度合いを変更する窓に対する制御を中止するとともにマイク12をオフ状態にして車両内の音の集音を停止させる(S110)。したがって、例えば、開口度合いを変更する窓が少し開いた状態で共鳴音の発生がなくなると、図4に示したように、共鳴音がなくなる程度で窓が少し開いた状態のままとなる。
【0045】
また、車両LAN50の通信バスを監視して、車両の窓のいずれかを開閉するための操作が検出されない場合、S100の判定はNOとなり、次に、車両の速度が規定値(例えば、時速20キロメートル)、以上変化したか否かを判定する(S112)。具体的には、車速センサ20より入力される車速信号に基づいて一定時間毎に車両の走行速度を特定する処理を実施し、前回特定した車両の走行速度と今回特定した車両の走行速度を比較して車両の速度が規定値以上変化したか否かを判定する。
【0046】
また、S114では、ドアECU43より車両の各窓の開閉状態を示す情報を取得して車両のいずれかの窓が開状態となっているか否かを判定する。
【0047】
したがって、車両の速度が規定値していない場合、S112の判定はNOとなり、S100へ戻る。また、車両の速度が規定値以上変化した場合であっても、車両の全ての窓が閉状態となっている場合には、S112の判定はYES、S114の判定はNOとなり、S100へ戻る。
【0048】
しかし、車両の速度が規定値以上変化し、車両のいずれかの窓が開状態となっている場合には、S112の判定はYES、S114の判定もYESとなり、S102へ進む。例えば、車両が走行を開始して一定期間内に車両の速度が時速30キロメートルに達し、S112にてYESと判定され、更に、車両のいずれかの窓が開状態となっており、S114にてYESと判定されると、マイク12をオン状態にして車両内の音の集音を開始し、共鳴音が発生したか否かの判定が実施される。ここで、共鳴音が発生していない場合には、S104の判定はNOとなり、マイク12をオフ状態にして車両内の音の集音を停止させ(S110)、S100へ戻る。
【0049】
また、更に、車両が速度を上げて、車両の速度が時速30キロメートルから一定期間内に時速60キロメートルに達し、S112にてYESと判定され、更に、車両のいずれかの窓が開状態となっており、S114にてYESと判定されると、マイク12をオン状態にして車両内の音の集音を開始し、共鳴音が発生したか否かの判定が実施される。ここで、共鳴音が発生している場合、S104の判定はYESとなり、開口度合いを変更する窓が決定され(S106)、この窓を開状態にする窓開閉指示が行われる(S108)。
【0050】
上記した構成によれば、マイクにより集音された車室内の音を解析して車両の開状態の窓より車室内に流入する空気により発生する特定周波数の共鳴音を検出したと判定された場合、窓開閉制御手段に開状態の窓と異なる窓の開口度合いを変更するように指示して車室内に流入した空気が車室外へ排出されるようになるので、共鳴音による不快感を低減することができる。
【0051】
また、開口度合いを変更する窓が全開状態になる前に共鳴音が発生しなくなると、ナビゲーションECU11は、開口度合いを変更する窓に対する開閉制御を中止するように窓ドアECU43に指示するので、開口度合いを変更する窓を全開にすることなく、共鳴音が発生しないようにすることが可能である。
【0052】
上記共鳴音は、車両の速度によって発生したり、発生しなくなったりするが、上記した構成によれば、車両の速度が規定値以上変化したと判定され、かつ、車両のいずれかの窓が開状態であると判定された場合、マイクによる車両内の音の集音を開始して、共鳴音が発生したか否かの判定が行われる。したがって、車両の速度が規定値以上変化して共鳴音が発生するようになっても、共鳴音が発生したか否かの判定が行われ、共鳴音が発生したと判定されると、車室内に流入した空気が車室外へ排出させるようになるので、共鳴音による不快感を低減することができる。
【0053】
また、乗員が着座している座席位置に対応する窓を開状態にすると、冷房時や暖房時に冷房能力や暖房能力が低下して乗員を不快にさせてしまうことが考えられるが、上記した構成によれば、ナビゲーションECU11は、乗員が着座していない座席位置に対応する窓を優先的に開状態にさせるようにドアECU43に指示するので、冷房能力や暖房能力の低下による乗員の不快感を緩和することが可能である。
【0054】
また、上記した構成によれば、ナビゲーション装置に接続された音声認識用のマイクを用いて車室内の音声を集音し、当該マイクにより集音された車室内の音声情報に基づいて車両の開状態の窓より車室内に流入する空気による共鳴音の発生を判定するので、専用のマイクを備えることなく車室内に流入する空気による共鳴音の発生を判定することができる。
【0055】
また、上記した構成によれば、車両の窓のいずれかを開状態にするための操作があったと判定された場合、マイクをオン状態にして車両内の音の集音を開始し、共鳴音が発生していないと判定された場合、マイクをオフ状態にして車両内の音の集音を停止させるので、マイクにより消費される電力を低減するとともに、ナビゲーション装置に接続された音声認識用のマイクを占有しないようにすることができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0057】
例えば、上記実施形態では、ナビゲーション装置に接続された音声認識用のマイク12を用いて車室内の音声を収集したが、共鳴音を判定するための専用のマイクを設け、このマイクを用いて車室内の音声を収集するようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、運転席、助手席、後部右側座席、後部左側座席に各ドアが設けられた4ドアタイプの車両を例に示したが、このような型の車両に限定されるものではない。
【0059】
また、上記実施形態では、車両の窓として、運転席、助手席、後部右側座席、後部左側座席の各座席位置に対応するドアに設けられた窓を開閉制御する構成を示したが、このような各座席位置に対応するドアに設けられた窓に限定されるものではなく、例えば、サンルーフ等、各座席位置に対応するドアに設けられた窓以外の窓を開閉制御するようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、開状態の窓と異なる窓を開状態にする例を示したが、車室内に空気が流入する窓と異なる開状態の窓の開口量を小さくしたり、大きくしたりする等、車室内に空気が流入する窓と異なる開状態の窓の開口度合いを変更して共鳴音を低減するようにしてもよい。
【0061】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S104が共鳴音判定手段に相当し、ドアECU43が窓開閉制御手段に相当し、S108が空気排出指示手段に相当し、S112が速度変化判定手段に相当し、S114が窓開状態判定手段に相当し、乗員位置検出装置30が乗員位置特定手段に相当し、S100が窓開閉操作判定手段に相当し、S102が集音開始手段に相当し、S110が集音停止手段に相当する。
【符号の説明】
【0062】
1 車載装置
10 ナビゲーション装置
11 ナビゲーションECU
12 マイク
20 車速センサ
30 乗員位置検出装置
31 着座センサ
32 シートECU
40 ドア制御装置
41 ウィンドウスイッチ
42 ウィンドウモータ
43 ドアECU
50 車両LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の音を集音するマイクと、
前記マイクにより集音された前記車室内の音を解析して車両の開状態の窓より車室内に流入する空気により発生する特定周波数の共鳴音を検出したか否かを判定する共鳴音判定手段と、
前記車両の各窓の開閉状態を検出するとともに前記車両の各窓の開閉制御を行う窓開閉制御手段と、
前記共鳴音判定手段により前記共鳴音を検出したと判定された場合、前記窓開閉制御手段に前記開状態の窓と異なる窓の開口度合いを変更するように指示して前記車室内に流入した空気を車室外へ排出させる空気排出指示手段と、を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記空気排出指示手段は、前記開口度合いを変更する窓が全開状態になる前に、前記共鳴音判定手段により前記共鳴音が発生していないと判定された場合、前記開口度合いを変更する窓に対する前記開閉制御を中止するように前記窓開閉制御手段に指示することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記車両の速度が規定値以上変化したか否かを判定する速度変化判定手段と、
前記車両のいずれかの窓が開状態であるか否かを判定する窓開状態判定手段と、を備え、
前記共鳴音判定手段は、前記速度変化判定手段により前記車両の速度が規定値以上変化したと判定され、かつ、前記窓開状態判定手段により前記車両のいずれかの窓が開状態であると判定された場合、前記マイクによる前記車両内の音の集音を開始して、前記共鳴音が発生したか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
乗員が着座している座席位置および乗員が着座していない座席位置を特定する乗員位置特定手段を備え、
前記空気排出指示手段は、前記乗員が着座していない座席位置に対応する窓を優先的に前記開状態にさせるように前記窓開閉制御手段に指示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車載装置。
【請求項5】
前記マイクは、ナビゲーション装置に接続された音声認識用のものであり、
前記ナビゲーション装置に接続された車両LANに接続するための通信インタフェースを備え、
前記共鳴音判定手段は、前記通信インタフェースを介して前記ナビゲーション装置に接続された前記マイクにより集音された前記車室内の音声情報を取得し、当該車室内の音声情報に基づいて前記車両の開状態の窓より車室内に流入する空気による共鳴音の発生を判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車載装置。
【請求項6】
前記車両の窓のいずれかを開状態にするための操作があったか否かを判定する窓開閉操作判定手段と、
前記窓開閉操作判定手段により前記車両の窓のいずれかを開状態にするための操作があったと判定された場合、前記マイクをオン状態にして前記車両内の音の集音を開始する集音開始手段と、
前記共鳴音判定手段により前記共鳴音が発生していないと判定された場合、前記マイクをオフ状態にして前記車両内の音の集音を停止させる集音停止手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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