説明

車載通信機

【課題】リモートキーレスシステムとタイヤ空気圧監視システムとの機能部を統合することができ、且つ車両状態に即して機能の切り替えを行うことができる車載通信機を提供する。
【解決手段】車載通信機20は、リモートキーレスシステム3と、タイヤ空気圧監視システム4とで共用され、これらシステムのうち一方の機能部として動作可能である。車載通信機20は、ドアの開閉の情報を取得するドア開閉取得部21dと、イグニッションのオンオフ状態を取得するイグニッション状態取得部21eと、ドア開閉履歴及びイグニッションのオンオフ状態に基づいて車両2が停止状態又は走行状態のどちらにあるのかを判定する車両状態判定部21cと、車両2が停止状態にあると判定するとき、リモートキーレスシステム3の機能とし、車両2が走行状態にあると判定するとき、タイヤ空気圧監視システム4の機能に切り替える制御機能切替部21bとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リモートキーレスシステムとタイヤ空気圧監視システムとに共用される車載通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される装置として、リモートキーレスシステムやタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)が知られている。なお、リモートキーレスシステムは、車両のユーザが携帯する電子キーを操作することで無線通信によって車両のドアロックを施錠又は解錠するシステムである。一方、タイヤ空気圧監視システムは、走行時に車両のタイヤに装着されたセンサからタイヤの空気圧や温度を無線通信によって取得して、運転者にタイヤの異常を報知するシステムである。
【0003】
リモートキーレスシステムは、電子キーから発信された施錠又は解錠の無線信号を受信可能な受信機と、受信した信号に含まれる操作情報とキー固有のIDコードとを取得してID照合を行い、ID照合成立時にはドアロックを制御するドアロック制御装置とが車両に設けられる。また、タイヤ空気圧監視システムは、タイヤに装着されたセンサが発信した空気圧と温度とを含む無線信号を受信可能な受信機と、受信した信号から空気圧と温度とを表示するとともに、異常時には警告するタイヤ空気圧監視制御装置とが車両に設けられる。
【0004】
近年、車両には上記以外にも多くの電装品が搭載されるため、それらの制御装置や受信機を統合した車載装置(車載通信機)が考案されている(例えば、特許文献1参照)。上記特許文献1に記載の車載装置では、リモートキーレスシステムの制御とタイヤ空気圧監視システムの制御とを1つの制御部(CPU)で切り替えることで部材を共用するため、いずれか一方の制御しか実行できない。そこで、この車載装置は、イグニッションがオフであるときにはリモートキーレスシステムを制御し、イグニッションがオンであるときにはタイヤ空気圧監視システムを制御するようにして、イグニッションスイッチによる制御の切り替えを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3789335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の車載装置では、例えばリモートエンジンスタータを搭載した車両において、車両の外部から無線通信によってエンジンを始動させるとイグニッションがオンとなり、リモートキーレスシステムの制御からタイヤ空気圧監視システムの制御に切り替わってしまう。このため、ユーザがリモートキーレスシステムによって車両のドアロックを解錠するために、電子キーを操作して無線信号を発信しても上記の車載装置は反応せず、リモートキーレスシステムによってドアロックを解錠することができないという問題があった。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リモートキーレスシステムとタイヤ空気圧監視システムとの機能部を統合することができ、且つ車両状態に即して機能の切り替えを行うことができる車載通信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、通信端末からの無線信号をトリガとして車両を動作させるリモートキーレスシステムと、タイヤから該タイヤの空気圧情報を含む無線信号を受信して空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムとで共用され、これらシステムのうち一方の機能部として動作可能な車載通信機において、ドアの開閉の情報を取得するドア開閉取得手段と、車両のイグニッションスイッチのオンオフ状態を取得するイグニッション操作状態取得手段と、前記ドア開閉取得手段が取得したドア開閉履歴、及び前記イグニッション操作状態取得手段が取得した前記イグニッションスイッチのオンオフ状態に基づき、前記車両が停止状態又は走行状態のどちらにあるのかを判定する判定手段と、前記車両が停止状態にあると前記判定手段が判定するとき、前記機能部を前記リモートキーレスの機能とし、前記車両が走行状態にあると前記判定手段が判定するとき、前記機能部を前記タイヤ空気圧監視システムの機能に切り替える切替手段とを備えたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、判定手段の判定結果を基に、車両が停止状態のときは車載通信機の機能部がリモートキーレスシステムに設定され、車両が走行状態になると、車載通信機の機能部がタイヤ空気圧監視システムに切り替えられる。よって、1つの車載通信機の機能部が2つのシステムで共用されるので、部品点数を削減することが可能となる。また、機能切り替えの条件をイグニッションスイッチのオンオフ状態とドア開閉履歴としたので、車両状態に即した適切な機能の切り替えが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載通信機において、前記判定手段は、前記イグニッションスイッチがオフ状態である場合、前記車両が停止状態と判定し、前記イグニッションスイッチがオン状態であるとともに、当該イグニッションスイッチがオン状態となる前の一定時間内に前記ドア開閉履歴がある場合、前記車両が走行状態と判定することをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、イグニッションスイッチがオン状態に操作されたとき、操作前の一定時間内にドア開閉履歴がなければ、車載通信機の機能がリモートキーレスシステムからタイヤ空気圧監視システムに切り替わらない。このため、例えばリモートエンジンスタータによってエンジンが始動したときは、ドア開閉がないエンジン始動となるので、ドア開閉履歴がなく、車載通信機の機能がリモートキーレスシステムを維持する。よって、車両の停止状態と走行状態とのどちらであるのかをより適切に判定することが可能となるので、車載通信機の機能切替の精度を高めることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車載通信機において、エンジンを始動するときに車内において操作する操作手段の操作有無を検出するエンジン始動操作検出手段を備え、前記判定手段は、前記イグニッションスイッチがオン状態となったとき、一定時間内にドア開閉履歴がなくとも、前記操作手段によるエンジン始動操作があったことが前記エンジン始動操作検出手段により検出されていれば、前記機能部を前記リモートキーレスシステムから前記タイヤ空気圧監視システムに切り替えることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、ドア開閉から一定時間が経過していても、操作手段を操作することでエンジンを始動させたときには、車載通信機の機能がタイヤ空気圧監視システムに切り替わる。よって、エンジンを始動操作したときには、必ず車載通信機がタイヤ空気圧監視システムに切り替わるので、切替精度を確保することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車載通信機において、前記機能部は、前記リモートキーレスシステムと前記タイヤ空気圧監視システムとに共用される制御部であり、前記切替手段は、当該制御部の機能を、前記リモートキーレスシステム及び前記タイヤ空気圧監視システムのいずれかを制御可能に切り替えることをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、両システムに共用する制御部を、システムに応じた制御に切り替えることが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載通信機において、前記機能部は、前記リモートキーレスシステムと前記タイヤ空気圧監視システムとに共用される受信機であり、前記切替手段は、当該受信機の機能を、前記リモートキーレスシステム及びタイヤ空気圧監視システムのいずれかを制御可能に切り替えることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、両システムに共用する受信機を、システムに応じた受信機能に切り替えることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リモートキーレスシステムとタイヤ空気圧監視システムとの機能部を統合した車載通信機において、車両状態に即して機能の切り替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】リモートキーレスシステム及びタイヤ空気圧監視システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】リモートキーレスシステムからタイヤ空気圧監視システムへの切り替え処理を示すフローチャート。
【図3】タイヤ空気圧監視システムからリモートキーレスシステムへの切り替え処理を示すフローチャート。
【図4】リモートキーレスシステム及びタイヤ空気圧監視システムの概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を車両に具体化した車載通信機の一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
図1に示されるように、車両2には、電子キー1のボタン操作で車両2に無線で施錠信号Sl又は解錠信号Sulを発信してドアロックの解錠又は施錠が実行されるリモートキーレスシステム3が設けられている。また、車両2には、タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)4が設けられている。そして、本実施例においては、リモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4との機能部である制御装置と受信機とが統合されている。なお、電子キー1が通信端末に相当する。
【0020】
車両2には、リモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4との両方の制御を行う統合ECU(Electronic Control Unit)21と、車両2の電源系を管理するメインボディECU22とが設けられている。統合ECU21には、車体等に埋設されてUHF(Ultra High Frequency)帯の電波(約312MHz)を受信可能なUHF受信機23が接続されている。統合ECU21には、例えばドアロック施解錠等を管理するメインボディECU22と、エンジンECU24とが車内LAN(Local Area Network)30を介して接続されている。なお、統合ECU21は、電子キー1との間で無線通信を行い、自身のメモリ21aに登録されたIDコードとを照らし合わせてID照合を行う。また、統合ECU21が制御部に相当する。
【0021】
一方、リモートキーレスシステム3に用いる電子キー1には、コントロールユニットとして通信制御部11が設けられている。通信制御部11には、電子キー1が持つ固有のキーコードとしてIDコードが登録されたメモリ11aが設けられている。通信制御部11には、通信制御部11の指令に従いUHF帯の電波(約312MHz)を発信可能なUHF発信部12が接続されている。電子キー1には、押しボタン式の施錠信号Slを発信させる施錠ボタン13と、解錠信号Sulを発信させる解錠ボタン14とが設けられている。施錠ボタン13と解錠ボタン14とは、通信制御部11に接続されている。UHF発信部12は、通信制御部11から得た通信データを変調し、電子キー1が持つ固有のIDコードの含まれたUHF帯の施錠信号Sl又は解錠信号Sulを発信する。
【0022】
施錠ボタン13が操作された際、電子キー1のUHF発信部12から施錠信号Slが発信される。統合ECU21は、UHF受信機23で施錠信号Slを受信すると、自身のメモリ21aに登録されたIDコードと電子キー1のIDコードとを照らし合わせてID照合を行い、ID照合成立を確認すると、メインボディECU22にドアロックの施錠指令を出力し、ドアロック装置31にドアロックを施錠させる。一方、解錠ボタン14が操作された際、電子キー1のUHF発信部12から解錠信号Sulが発信される。そして、解錠信号Sul内のIDコードのID照合が成立すると、解錠指令が統合ECU21からメインボディECU22に出力され、ドアロック装置31によりドアロックが解錠される。
【0023】
また、車両2の運転席には、車両2の電源状態(電源ポジション)を切り換える際に操作されるイグニッションスイッチ34が設けられている。イグニッションスイッチ34は、メカニカルキー35を挿入して、ロック位置から回動操作する毎に電源状態をACC(Accessory)オン→IG(IGnition)オン→エンジンスタートへ切り替え可能である。イグニッションスイッチ34がエンジンスタート位置に操作されると、エンジンが始動する。また、イグニッションスイッチ34には、操作を検知して、メインボディECU22に出力する操作検出スイッチ34aが設けられている。なお、イグニッションスイッチ34が操作手段に相当する。また、操作検出スイッチ34aがエンジン始動操作検出手段に相当する。
【0024】
イグニッションスイッチ34のスイッチ信号は、メインボディECU22及びエンジンECU24に出力されるとともに、車内LAN30を介して統合ECU21に出力される。イグニッションスイッチ34は、ACCリレー33がオンとなると、ACCオン信号SaccをエンジンECU24に出力するとともに、メインボディECU22を介して車内LAN30に出力する。また、イグニッションスイッチ34は、IGリレー32に基づく信号(IGオン信号Sio、IGオフ信号Sif)を、エンジンECU24に出力するとともに、メインボディECU22を介して車内LAN30に出力する。
【0025】
また、車両2の各タイヤには、タイヤ空気圧等の状態を検出するタイヤセンサ41,42,43,44が設けられている。タイヤセンサ41,42,43,44には、圧力センサ、温度センサ、加速度センサ、UHF送信機、これら部品を制御するコントローラ等が搭載されている。タイヤセンサ41,42,43,44は、内部に搭載された加速度センサが加速度を検出した際に、検出信号StpをUHF帯の電波(約315MHz)によって各センサ順に発信する。検出信号Stpには、タイヤの空気圧、温度、及びタイヤの固有ID(タイヤID)等が含まれている。また、加速度センサは、タイヤ径方向の加速度を検出可能となっている。
【0026】
車両2の運転席には、タイヤの空気圧等を運転者に表示する空気圧モニタ45が設置されている。統合ECU21は、タイヤセンサ41,42,43,44から送信された検出信号StpをUHF受信機23で受信すると、空気圧モニタ45に各タイヤの空気圧や温度を表示する。
【0027】
ここで、施錠信号Sl及び解錠信号Sul(以降、両者を併せてワイヤレス信号という)と、タイヤ空気圧監視システム4の検出信号Stpとで周波数が異なる値に設定されている。これは、リモートキーレスシステム3では確実な通信成立を優先し、タイヤ空気圧監視システム4では通信応答性を確保するためである。
【0028】
車両2には、統合ECU21の機能をリモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4とに用いる車載通信機20が設けられている。本例の車載通信機20は、イグニッションのオンオフ状態と、ドア開閉履歴とに基づき、統合ECU21の機能を切り替えるものである。更に換言するならば、本例の車載通信機20は、イグニッションスイッチ34がACCオン又はIGオンとなったとき、その時点から一定時間内にドア開閉履歴があったとき、統合ECU21の機能をリモートキーレスシステム3からタイヤ空気圧監視システム4に切り替える。
【0029】
本例のUHF受信機23は、電子キー1からの電波(約312MHz)と、タイヤセンサ41,42,43,44からの電波(約315MHz)という、周波数が異なる電波を1つのチューナで受信する。また、リモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4とでは、変調方式や送信速度等も異なる。そこで、UHF受信機23には、統合ECU21の切替指令に従って受信機能を切り替える受信機能切替部27が設けられている。受信機能切替部27は、統合ECU21からの切替信号に従って、UHF受信機23の機能をワイヤレス信号又は検出信号Stpのいずれかに対応した機能に設定する。なお、受信機能切替部27が受信機能切替手段として機能する。
【0030】
また、統合ECU21は、リモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4との両方を同時に制御することはできず、制御機能を切り替えて一方のみ制御する。このため、統合ECU21には、統合ECU21の制御機能を、リモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4とのいずれか一方の機能に切り替える制御機能切替部21bが設けられている。ここで、統合ECU21の制御機能を切り替えるとは、統合ECU21のCPUにて使用するプログラムを切り替え、且つUHF受信機23の受信機能を切り替える動作のことを言う。
【0031】
制御機能切替部21bは、車両2が走行状態であるか否かを判定する車両状態判定部21cの判定結果に基づいて機能を切り替える。具体的には、制御機能切替部21bは、車両状態判定部21cが走行状態と判定すればリモートキーレスシステム3からタイヤ空気圧監視システム4に切り替え、車両状態判定部21cが走行状態でない、言い換えれば停止状態と判定すればタイヤ空気圧監視システム4からリモートキーレスシステム3に切り替える。なお、車両状態判定部21cが判定手段として機能するとともに、制御機能切替部21bが切替手段として機能する。
【0032】
本実施例では、車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34がオン(ACCオン又はIGオン)であるか否かと、ドア開閉履歴があるか否かとに基づいて車両2が走行状態であるか否かを定期的に判定している。そこで、統合ECU21には、ドアカーテシランプスイッチ54からドアの開閉を取得するドア開閉取得部21dと、イグニッションの状態を取得するイグニッション状態取得部21eとが設けられている。ドア開閉取得部21dは、ドアカーテシランプスイッチ54からメインボディECU22を介して車内LAN30に出力されるドア開閉の情報を取得して、ドア開閉の有無を制御機能切替部21bに出力する。イグニッション状態取得部21eは、イグニッションスイッチ34からメインボディECU22を介して車内LAN30に出力されるイグニッション情報を取得して、制御機能切替部21bに出力する。なお、ドア開閉取得部21dがドア開閉取得手段に相当するとともに、イグニッション状態取得部21eがイグニッション操作状態取得手段に相当する。
【0033】
車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34がオンであること、且つドア開閉履歴があることとを確認すると、車両2は走行状態であると判定する。なお、車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34がオンになったときから一定時間内にドアを開閉した履歴があることを条件に車両2は停止状態であると判定する。そして、制御機能切替部21bは、統合ECU21の制御機能を、リモートキーレスシステム3の機能からタイヤ空気圧監視システム4の機能に切り替える。
【0034】
一方、車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34がオフである場合には、車両2は停止状態であると判定する。そして、制御機能切替部21bは、統合ECU21の制御機能を、タイヤ空気圧監視システム4の機能からリモートキーレスシステム3の機能に切り替える。
【0035】
さらに、車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34がオンとなったとき、一定時間内にドア開閉履歴がなくとも、キースイッチやプッシュスイッチの操作履歴があれば、統合ECU21の機能をリモートキーレスシステム3からタイヤ空気圧監視システム4に切り替える。なお、キーススイッチは、メカニカルキーが運転席のキーシリンダに挿し込まれたときにオンするスイッチである。また、プッシュスイッチは、キー操作フリーシステムを搭載した車両2において、エンジンを始動するときに操作するモーメンタリ式の押しスイッチである。なお、キー操作フリーシステムとは、車両2からの通信をトリガとして電子キー1と車両2とが無線によりID照合を自動で行う認証システムである。
【0036】
また、車両2には、リモートエンジンスタータ携帯機6のボタン操作で車両2に無線で始動信号Ses又は停止信号Setを発信してエンジンの始動及び停止が実行されるリモートエンジンスタータシステム5が設けられている。イグニッションスイッチ34には、リモートエンジンスタータシステム5の制御を行うリモートエンジンスタータ装置26が接続されている。
【0037】
一方、リモートエンジンスタータシステム5に用いるリモートエンジンスタータ携帯機6には、コントロールユニットとして通信制御部61が設けられている。通信制御部61には、リモートエンジンスタータ携帯機6が持つ固有のコードとしてIDコードが登録されたメモリ61aが設けられている。通信制御部61には、通信制御部61の指令に従いUHF帯の電波(約312MHz)を発信可能なUHF発信部62が接続されている。リモートエンジンスタータ携帯機6には、押しボタン式の始動信号Sesを発信させるスタートボタン63と、停止信号Setを発信させるストップボタン64とが設けられている。スタートボタン63とストップボタン64とは、通信制御部61に接続されている。UHF発信部62は、通信制御部61から得た通信データを変調し、リモートエンジンスタータ携帯機6が持つ固有のIDコードの含まれたUHF帯の始動信号Ses又は停止信号Setを発信する。
【0038】
スタートボタン63が操作された際、リモートエンジンスタータ携帯機6のUHF発信部62から始動信号Sesが発信される。リモートエンジンスタータ装置26は、始動信号Sesを受信すると、自身に登録されたIDコードとリモートエンジンスタータ携帯機6のIDコードとを照らし合わせてID照合を行い、ID照合成立を確認すると、イグニッションスイッチ34のIGリレー32をオンに切り替える。このため、IGオン信号SioがエンジンECU24に出力されるので、エンジンが始動する。
【0039】
また、このIGオン信号SioはメインボディECU22にも出力されるので、メインボディECU22はドアロックが施錠状態中のエンジン始動であることを認識する。そして、メインボディECU22は、車内LAN30にリモートエンジンスタータによるエンジン始動である旨のリモートエンジンスタータ作動信号Sresを出力する。これは、ドアの開閉がなかったり、車内における電子キー1のID照合が成立しなかったりと通常ではエンジンが始動されない状態においてエンジンが始動されることとなるので、車両2が異常と判断しないよう各種装置に伝えるためである。ここで、リモートエンジンスタータ装置26によってエンジンが始動されると、IGリレー32からIGオン信号SioがメインボディECU22を介して車内LAN30に出力される。
【0040】
一方、ストップボタン64が操作された際、リモートエンジンスタータ携帯機6のUHF発信部62から停止信号Setが発信される。リモートエンジンスタータ装置26は、停止信号Set内のIDコードのID照合成立を確認すると、イグニッションスイッチ34のIGリレー32をオフに切り替える。このため、IGオフ信号SifがエンジンECU24に出力されるので、エンジンが停止する。エンジンが停止されると、IGリレー32からIGオフ信号SifがメインボディECU22を介して車内LAN30に出力される。
【0041】
次に、本例のリモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4との動作を図2及び図3に従って説明する。
まず、駐車中の車両2は、リモートキーレスシステム3の機能を実行可能な状態となっている。すなわち、統合ECU21の制御機能は、通常状態においてリモートキーレスシステムの機能に設定されているので、統合ECU21の実行プログラムは、リモートキーレスシステム用のものが実行され、且つUHF受信機23は、電子キー1からの電波を受信可能な周波数に設定されている。
【0042】
リモートエンジンスタータシステム5によって駐車中の車両のエンジンを始動する場合には、リモートエンジンスタータ携帯機6のスタートボタン63を操作することで、UHF発信部12から始動信号Sesが発信される。車両2のリモートエンジンスタータ装置26は、始動信号Sesを受信すると、正規のリモートエンジンスタータ携帯機6であればイグニッションスイッチ34をIGオンに切り替える。よって、エンジンECU24はエンジンを始動する。
【0043】
図2に示されるように、統合ECU21の車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34(IGリレー32又はACCリレー33)がオンであるか否かを判断する(ステップS1)。すなわち、イグニッション状態取得部21eがIGオン信号Sio又はACCオン信号Saccを取得しているか否かを確認する。そして、車両状態判定部21cは、イグニッション状態取得部21eがIGオン又はACCオンを取得している(ステップS1:YES)ので、ステップS2に移行する。なお、車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34がオンでなければ(ステップS1:NO)、処理を終了する。
【0044】
車両状態判定部21cは、ドア開閉履歴があるか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、イグニッションスイッチ34がオンになったときから一定時間内にドア開閉の情報をドア開閉取得部21dが取得しているか否かを確認する。このとき、車両状態判定部21cは、上記のリモートエンジンスタータシステム5によってエンジンが始動されたので、ドア開閉履歴はなく(ステップS2:NO)、処理を終了する。よって、統合ECU21の制御機能切替部21bは、リモートキーレスシステム3の機能を制御可能な状態を維持する。
【0045】
続いて、運転者が乗り込んでエンジンを始動する場合には、リモートキーレスシステム3によってドアロックを解錠する。なお、メカニカルキー35によってドアロックを解錠してもよい。このとき、リモートエンジンスタータシステム5によって始動されているが、統合ECU21はリモートキーレスシステム3の機能を制御するようになっているので、電子キー1によってドアロックの施解錠が可能である。
【0046】
電子キー1の解錠ボタン14が操作されると、UHF発信部12から解錠信号Sulが送信される。統合ECU21は、UHF受信機23で解錠信号Sulを受信すると、ID照合を行い、ID照合が成立すれば、メインボディECU22を介してドアロック装置31に解錠させる。そして、ドアロック装置31はドアロックを解錠する。
【0047】
運転者がドアを開くと、駆動中のエンジンは防犯上停止する。このとき、車内LAN30には、IGオン信号Sioの出力が停止されるとともに、IGオフ信号Sifが出力される。そして、運転者が車内に乗り込んで、運転席のキーシリンダ(図示略)にメカニカルキー35を挿入して、エンジンを始動させるべくイグニッションスイッチ34をエンジンスタートまで回動操作すると、エンジンが始動する。このとき、車内LAN30には、IGオン信号Sio及びACCオン信号Saccが出力されている。そして、運転者は、車両2を走行させる。
【0048】
図2に示されるように、統合ECU21の車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34がオンであるか否かを判断する(ステップS1)。車両状態判定部21cは、運転者によるイグニッションスイッチ34への操作によってエンジンが始動されたので、イグニッション状態取得部21eがIGオン又はACCオンを取得し(ステップS1:YES)、ステップS2に移行する。なお、車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34がオンでなければ(ステップS1:NO)、処理を終了する。
【0049】
車両状態判定部21cは、ドア開閉履歴があるか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、ドア開閉取得部21dがドア開閉情報を取得しているか否かを確認する。そして、車両状態判定部21cは、ドア開閉履歴があるので(ステップS2:YES)、ステップS4に移行する。なお、車両状態判定部21cは、ドア開閉履歴がなければ(ステップS2:NO)、イグニッションスイッチ34への操作があるか否かを判断する(ステップS3)。車両状態判定部21cは、イグニッションがオンになったとき、一定時間内にドア開閉履歴がなくても、イグニッションスイッチ34への操作があれば(ステップS3:YES)、統合ECU21ステップS4へ移行する。一方、車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34への操作がなければ(ステップS3:NO)、処理を終了する。
【0050】
車両状態判定部21cは、車両2が走行状態であると判定する(ステップS4)。統合ECU21の制御機能切替部21bは、車両状態判定部21cの走行状態である旨の判定に基づいて、統合ECU21の制御機能を、リモートキーレスシステム3の機能からタイヤ空気圧監視システム4の機能に切り替える(ステップS5)。また、制御機能切替部21bは、UHF受信機23の受信機能を切り替えさせるべく切替指令を受信機能切替部27に出力する。受信機能切替部27は、UHF受信機23の受信機能を、タイヤ空気圧監視システム4の機能に切り替える(ステップS5)。よって、車両2は、タイヤ空気圧監視システム4の機能が実行可能となる。
【0051】
そして、車両2が走行を開始すると、タイヤが回転を始める。各タイヤのタイヤセンサ41,42,43,44は、タイヤが回転を開始したことを、内蔵の加速度センサ(図示略)により検出すると、検出信号Stpの送信を開始する。検出信号Stpは、各タイヤセンサ41,42,43,44から順番に送信され、車両走行期間中、この送信サイクルが繰り返し実行される。検出信号Stpがタイヤセンサ41,42,43,44からUHF受信機23に届くと、検出情報が統合ECU21に出力されて、空気圧や温度等が空気圧モニタ45に表示される。
【0052】
走行中の車両2は、タイヤ空気圧監視システム4の機能を実行可能な状態となっている。すなわち、統合ECU21はタイヤ空気圧監視システム4を制御するとともに、UHF受信機23はタイヤセンサ41,42,43,44からの電波を受信可能な周波数に設定されている。
【0053】
一方、走行していた車両2が駐車されて運転者が降車する場合には、運転者は、車両2を停車させてステアリングホイール(図示略)から手を離す。そして、運転者は、エンジンを停止させるべくイグニッションスイッチ34をロック位置まで始動時と反対方向へ回動操作すると、エンジンが停止する。このとき、車内LAN30には、IGオン信号Sio及びACCオン信号Saccの出力が停止されるとともに、IGオフ信号Sifが出力される。
【0054】
図3に示されるように、統合ECU21の車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34がオフであるか否かを判断する(ステップS11)。すなわち、イグニッション状態取得部21eがIGオフ信号Sifを取得しているか否かを確認する。そして、車両状態判定部21cは、運転者によるイグニッションスイッチ34への操作によってエンジンが停止されたので、イグニッション状態取得部21eがイグニッションオフを取得し(ステップS11:YES)、ステップS12に移行する。なお、車両状態判定部21cは、イグニッションがオフでなければ(ステップS11:NO)、処理を終了する。
【0055】
ステップS12において、車両状態判定部21cは、車両2が停止状態であると判定する。統合ECU21の制御機能切替部21bは、車両状態判定部21cの停止状態である旨の判定に基づいて、統合ECU21の制御機能を、タイヤ空気圧監視システム4の機能からリモートキーレスシステム3の機能へ切り替える(ステップS13)。また、制御機能切替部21bは、UHF受信機23の受信機能を切り替えさせるべく切替指令を受信機能切替部27に出力する。受信機能切替部27は、UHF受信機23の受信機能を、リモートキーレスシステム3に切り替える(ステップS13)。よって、車両2は、リモートキーレスシステム3の機能が実行可能となる。
【0056】
続いて、運転者が降車すると、リモートキーレスシステム3によってドアロックを施錠する。なお、メカニカルキー35によってドアロックを施錠してもよい。このとき、統合ECU21はリモートキーレスシステム3の機能を制御するようになっているので、電子キー1によってドアロックの施解錠が可能である。
【0057】
このとき、電子キー1の施錠ボタン13が操作されると、UHF発信部12から施錠信号Slが発信される。統合ECU21は、UHF受信機23で施錠信号Slを受信すると、ID照合を行い、ID照合が成立すれば、メインボディECU22を介してドアロック装置31に施錠させる。そして、ドアロック装置31はドアロックを施錠する。
【0058】
さて、本例の車載通信機20は、リモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4とのECU及び受信機をそれぞれ統合した。このため、各システム用にECU及び受信機を複数設けずに済むため、構成を簡素化できるとともに、設置スペースを少なくすることができる。また、ドア開閉履歴があるか否かと、イグニッションがオンオフのどちらにあるか否かとを判定条件としたので、最適な条件にて統合ECU21の機能を切り替えることができる。よって、エンジンスタータ機能にてエンジンを始動したときに、リモートキーレスシステム3が動作しない状況にならずに済む。
【0059】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)車両2に乗り込んだときのみ検出されるドア開閉履歴に基づいて車両2が走行しているか否かを車両状態判定部21cが判定する。そして、車両2が走行状態である際には制御機能切替部21bが車載通信機20をタイヤ空気圧監視システム4の機能に切り替え、車両2が停止状態である際には制御機能切替部21bが車載通信機20をリモートキーレスシステム3の機能に切り替える。このため、リモートキーレスシステム3の機能とタイヤ空気圧監視システム4の機能とを統合した車載通信機20において、車両状態に即した適切な機能の切り替えができる。
【0060】
(2)イグニッションがオンであることとドア開閉履歴があることを条件に車両2が走行状態であると判定する。このため、リモートエンジンスタータによるエンジン始動時には、ドア開閉履歴がないので、車両2の停止状態と走行状態とを適切に判定することができる。よって、機能切替の精度をより高めることができる。
【0061】
(3)ドア開閉から一定時間経過していても、イグニッションスイッチ34を操作することで操作検出スイッチ34aから操作検知信号が出力され、リモートキーレスシステム3からタイヤ空気圧監視システム4に切り替わる。このため、エンジン始動操作によって、車載通信機20がタイヤ空気圧監視システム4に必ず切り替わるので、切替精度を確保できる。
【0062】
(4)制御機能切替部21bが統合ECU21をリモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4とに応じた制御に切り替えることができる。
(5)制御機能切替部21bがUHF受信機23をリモートキーレスシステム3とタイヤ空気圧監視システム4とに応じた受信機能に切り替えることができる。
【0063】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記構成において、タイヤ空気圧監視システム4のタイヤセンサ41,42,43,44は自身に内蔵された加速度センサが加速度を検出した際に検出信号Stpを発信するようにした。しかしながら、図4に示されるように、タイヤセンサ41,42,43,44に起動信号Swkを送信するイニシエータ71,72,73,74を各タイヤに設けて、タイヤセンサ41,42,43,44は起動信号Swkをトリガとして検出信号Stpを発信するようにしてもよい。ここで、イニシエータ71,72,73,74を設けたタイヤ空気圧監視システム4においても、エンジンを始動して走り出さないと、タイヤセンサ41,42,43,44が車軸の陰になって起動信号SwkがUHF受信機23に受信されないおそれがある。このような場合には、イグニッションがオンであることのみを条件にタイヤ空気圧監視システム4に切り替えると、検出信号Stpを受信できないため、異常を報知する可能性がある。そこで、上記実施形態と同様に、車両状態判定部21cは、シフト位置がパーキング以外であるか否かと、パーキングブレーキが作動していないか否かと、イグニッションがオンであるか否かとに基づいて車両2が走行状態であるか否かを定期的に判定する。このようにすれば、上記実施形態と同様に、イグニッションがオンとなっただけでは走行状態と判断せず、車両状態に即してリモートキーレスシステムとタイヤ空気圧監視システムとを切り替えることができる。
【0064】
・上記実施形態において、一定時間は、車種、車両メーカによって任意に設定可能とし、例えば車両ツールによって変更可能としてもよい。
・上記実施形態において、ドア開閉履歴は、一定時間内を条件とすることに限らず、時間制限がなくてもよい。
【0065】
・上記実施形態において、エンジン始動操作検出手段は、イグニッションスイッチ34に限定されず、プッシュスイッチ等のエンジンを始動するときにユーザが行う行為を検出できるものであればよい。
【0066】
・上記構成において、エンジン始動操作検出手段を省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、エンジン始動操作としてイグニッションスイッチ34への操作を検出して、エンジン始動操作を条件に機能を切り替えた。しかしながら、エンジン始動操作に代えて、エンジン回転数を取得して、エンジン回転数が所定値以上であることを条件に機能を切り替えてもよい。また、エンジン始動操作に代えて、車速を取得して、車速が所定値以上であることを条件に機能を切り替えてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、車両状態判定部21cが車両状態を定期的に確認したが、イグニッションがオンしたことをトリガとして確認を開始してもよい。
・上記実施形態では、リモートキーレスシステム3が機能する際に、図2に示されるように、車両状態判定部21cがイグニッションの状態(ステップS1)、ドア開閉履歴(ステップS2)と順番に確認した。しかしながら、これらはいずれから確認してもよく、同時に確認してもよい。
【0068】
・上記実施形態では、リモートキーレスシステム3が機能する際に、図2に示されるように、車両状態判定部21cがイグニッションスイッチ34の操作(ステップS3)を確認したが、省略してもよい。
【0069】
・上記実施形態において、車両状態判定部21cは、イグニッションスイッチ34の操作によって変更されるイグニッションの状態に代えて、同じくイグニッションスイッチ34の操作によって変更されるアクセサリの状態を車両状態の判定条件としてもよい。なお、アクセサリがオン状態であるときに車両2が走行状態であると判定し、アクセサリがオフ状態であるときに車両2が停止状態であると判定する。
【0070】
・上記実施形態において、イグニッションスイッチ34は、ACCオン、IGオン、STオン(スタータオン)の3位置をとるものに限定されない。例えば、ACCオンが省略されたものでもよい。
【0071】
・上記実施形態では、ワイヤレス信号と検出信号Stpとの周波数を異ならせたが、例えば復調方式、暗号形式、送信速度等を異ならせてもよい。
・上記実施形態では、リモートキーレスシステム3の機能とタイヤ空気圧監視システム4の機能とのECU(統合ECU21)と、受信機(UHF受信機23)とのそれぞれを統合したが、いずれか一方のみを統合してもよい。すなわち、ECUは1つで受信機は2つの構成や、ECUは2つで受信機は1つの構成を採用してもよい。
【0072】
・上記実施形態において、リモートキーレスシステム3及びタイヤ空気圧監視システム4の周波数は、それぞれ312MHzと315MHzとしたが、仕様や法規等に合わせて任意に変更可能である。
【0073】
・上記実施形態において、リモートキーレスシステム3及びタイヤ空気圧監視システム4の周波数は、UHFに限定されず、例えばLF(Low Frequency)やHF(High Frequency)等を使用してもよい。
【0074】
・上記実施形態では、リモートエンジンスタータ装置26をイグニッションスイッチ34と直接接続したが、メインボディECU22等の他の装置に直接接続してもよい。また、バスバッファ等を介してリモートエンジンスタータ装置26をイグニッションスイッチ34に接続してもよい。
【0075】
・上記実施形態では、電子キー1によってリモートキーレスシステム3を、リモートエンジンスタータ携帯機6によってリモートエンジンスタータシステム5を遠隔操作したが、それぞれのシステムを1つの通信端末で遠隔操作してもよい。
【0076】
・上記構成において、リモートエンジンスタータシステム5を省略した構成を採用してもよい。
・上記構成において、電子キー1にLF帯の電波を受信可能なLF受信機を設けるとともに、車両2にLF帯の電波を車外に送信可能なLF発信機を設けてもよい。そして、統合ECU21は、リモートキーレスシステム3によってドアロックの施解錠が完了したことを確認すると、ドアロック施解錠完了通知信号をLF帯の電波により電子キー1に送信して、ドアロック施解錠完了を電子キー1にアンサーバックしてもよい。
【0077】
・上記構成において、電子キー1と車両2とが相互通信を行い、ドアロックの施解錠やエンジンの始動停止を許可又は実行するキーフリーシステムを搭載してもよい。
・上記構成において、通信端末は電子キー1に限らず、IDコードを無線により送信可能な端末であれば何でもよい。
【0078】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項1又は2に記載の車載通信機において、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段を備え、前記判定手段は、前記イグニッションスイッチがオン状態となったとき、一定時間内にドア開閉履歴がなくとも、所定回転数よりも大きくなったことが前記エンジン回転数検出手段により検出されていれば、前記機能部を前記リモートキーレスシステムから前記タイヤ空気圧監視システムに切り替えることを特徴とする車載通信機。
【0079】
同構成によれば、ドア開閉から一定時間が経過していても、エンジンを始動させて車両を走行させたときには、車載通信機の機能がタイヤ空気圧監視システムに切り替わる。よって、車両が走行したときには、必ず車載通信機がタイヤ空気圧監視システムに切り替わるので、切替精度を確保することが可能となる。
【0080】
(ロ)請求項1又は2に記載の車載通信機において、車速を検出する車速検出手段を備え、前記判定手段は、前記イグニッションスイッチがオン状態となったとき、一定時間内にドア開閉履歴がなくとも、所定車速よりも大きくなったことが前記車速検出手段により検出されていれば、前記機能部を前記リモートキーレスシステムから前記タイヤ空気圧監視システムに切り替えることを特徴とする車載通信機。
【0081】
同構成によれば、ドア開閉から一定時間が経過していても、エンジンを始動させて車両を走行させたときには、車載通信機の機能がタイヤ空気圧監視システムに切り替わる。よって、エンジンを始動操作したときには、必ず車載通信機がタイヤ空気圧監視システムに切り替わるので、切替精度を確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0082】
1…通信端末としての電子キー、2…車両、3…リモートキーレスシステム、4…タイヤ空気圧監視システム、5…リモートエンジンスタータシステム、11…通信制御部、12…UHF発信部、13…施錠ボタン、14…解錠ボタン、20…車載通信機、21…制御部としての統合ECU、21b…切替手段としての制御機能切替部、21c…判定手段としての車両状態判定部、21d…ドア開閉取得部、21e…イグニッション状態取得部、22…メインボディECU、23…UHF受信機、24…エンジンECU、26…リモートエンジンスタータ装置、27…受信機能切替手段としての受信機能切替部、30…車内LAN、31…ドアロック装置、32…IGリレー、33…ACCリレー、34…イグニッションスイッチ、34a…エンジン始動操作検出手段としての操作検出スイッチ、35…メカニカルキー、41,42,43,44…タイヤセンサ、45…空気圧モニタ、54…ドアカーテシランプスイッチ、61…通信制御部、62…UHF発信部、63…スタートボタン、64…ストップボタン、Sacc…ACCオン信号、Ses…始動信号、Set…停止信号、Sig…IGオン信号、Sif…IGオフ信号、Sl…施錠信号、Sul…解錠信号、Sres…リモートエンジンスタータ作動信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末からの無線信号をトリガとして車両を動作させるリモートキーレスシステムと、タイヤから該タイヤの空気圧情報を含む無線信号を受信して空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムとで共用され、これらシステムのうち一方の機能部として動作可能な車載通信機において、
ドアの開閉の情報を取得するドア開閉取得手段と、
車両のイグニッションスイッチのオンオフ状態を取得するイグニッション操作状態取得手段と、
前記ドア開閉取得手段が取得したドア開閉履歴、及び前記イグニッション操作状態取得手段が取得した前記イグニッションスイッチのオンオフ状態に基づき、前記車両が停止状態又は走行状態のどちらにあるのかを判定する判定手段と、
前記車両が停止状態にあると前記判定手段が判定するとき、前記機能部を前記リモートキーレスの機能とし、前記車両が走行状態にあると前記判定手段が判定するとき、前記機能部を前記タイヤ空気圧監視システムの機能に切り替える切替手段とを備えた
ことを特徴とする車載通信機。
【請求項2】
請求項1に記載の車載通信機において、
前記判定手段は、前記イグニッションスイッチがオフ状態である場合、前記車両が停止状態と判定し、前記イグニッションスイッチがオン状態であるとともに、当該イグニッションスイッチがオン状態となる前の一定時間内に前記ドア開閉履歴がある場合、前記車両が走行状態と判定する
ことを特徴とする車載通信機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載通信機において、
エンジンを始動するときに車内において操作する操作手段の操作有無を検出するエンジン始動操作検出手段を備え、
前記判定手段は、前記イグニッションスイッチがオン状態となったとき、一定時間内にドア開閉履歴がなくとも、前記操作手段によるエンジン始動操作があったことが前記エンジン始動操作検出手段により検出されていれば、前記機能部を前記リモートキーレスシステムから前記タイヤ空気圧監視システムに切り替える
ことを特徴とする車載通信機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車載通信機において、
前記機能部は、前記リモートキーレスシステムと前記タイヤ空気圧監視システムとに共用される制御部であり、前記切替手段は、当該制御部の機能を、前記リモートキーレスシステム及び前記タイヤ空気圧監視システムのいずれかを制御可能に切り替える
ことを特徴とする車載通信機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載通信機において、
前記機能部は、前記リモートキーレスシステムと前記タイヤ空気圧監視システムとに共用される受信機であり、前記切替手段は、当該受信機の機能を、前記リモートキーレスシステム及びタイヤ空気圧監視システムのいずれかを制御可能に切り替える
ことを特徴とする車載通信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−101707(P2012−101707A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252900(P2010−252900)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】