説明

車載通信装置および通信方法

【課題】各車両の情報を適切に収集し、情報センターに送信することができる車載通信装置を提供する。
【解決手段】自車両の車両情報を取得する自車両情報取得手段と、自車両周辺に存在する他車両から、車車間通信を介して、該他車両の車両情報を取得する他車両情報取得手段と、自車両の車両情報と他車両の車両情報とに基づいて、自車両と自車両の走行状態と合致する他車両とからなる車両群の中から、該車両群を代表する代表車両を設定する代表車両設定手段と、自車両が代表車両に設定された場合に、車両群を構成する各車両から、情報センターに送信するための情報を収集する収集手段と、収集手段により収集された情報を、情報センターに送信する第1送信手段と、他車両が代表車両に設定された場合に、情報センターに送信するための情報を、代表車両に設定された他車両に送信する第2送信手段と、を備えることを特徴とする車載通信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載通信装置および通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の車両の情報を情報センターに集約する際に、複数の車両の情報を1台の車両に集め、集めた複数の車両の情報を、この1台の車両から、情報センターに送信する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−182940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、各車両の情報を、自車両周辺に存在する車両から収集するため、自車両周辺の車両状況によっては、情報収集の対象となる車両が頻繁に変わってしまう場合があり、その結果、各車両から情報を収集し、情報センターに送信するための処理負荷が大きくなり、各車両の情報を適切に収集し、情報センターに送信できない場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、各車両の情報を適切に収集し、情報センターに送信することができる車載通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両と自車両の走行状態と合致する他車両とからなる車両群の中から、代表車両を設定し、自車両が代表車両に設定された場合には、車両群を構成する各車両から、情報センターに送信するための情報を収集して、収集した情報を情報センターに送信し、他車両が代表車両に設定された場合には、情報センターに送信するための情報を、代表車両に設定された他車両に送信することで、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、情報センターに送信するための情報を収集する車両を、自車両の走行状態と合致する車両とすることで、情報収集の対象となる車両が頻繁に変更されることを有効に防止することができるため、情報センターに送信するための情報を適切に収集し、情報センターに送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る車載通信装置を示す構成図である。
【図2】本実施形態に係る通信処理を示すフローチャートである。
【図3】代表車両が、情報センターに送信するための情報を収集対象車両から収集し、収集した情報を情報センターに送信する場面を示す図である。
【図4】ステップS103の代表車両判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車載通信装置の構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る車載通信装置100は、GPSユニット110、地磁気センサ120、車速センサ130、地図情報データベース140、制御装置150、情報センター用通信装置160、車車間通信装置170から構成されている。これらの各構成は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行うことができる。
【0011】
GPS(Global Positioning System)ユニット110は、図示しない複数の衛星通信から送信される電波を検出して、自車両の位置情報を取得する。GPSユニット110により取得された自車両の位置情報は、制御装置150に送信される。
【0012】
地磁気センサ120は、地磁気を測定することによって自車両の進行方向を検出する。地磁気センサ120により検出された自車両の進行方向の情報は、制御装置150に送信される。
【0013】
車速センサ130は、自車両の車速(走行速度)を検出する。車速センサ130により検出された自車両の車速情報は、制御装置150に送信される。
【0014】
地図情報データベース140には、地図データが格納されている他、各道路の道路リンク情報などの道路情報が格納されている。
【0015】
制御装置150は、本実施形態に係る通信処理を実行するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0016】
制御装置150は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、自車両の車両情報を取得する自車両情報取得機能、自車両周辺に存在する他車両の車両情報を取得する他車両情報取得機能、代表車両を設定する代表車両設定機能、情報センター200に送信するための情報を収集する収集機能、情報センター200に送信するための情報を情報センター200に送信する情報センター送信機能、および情報センター200に送信するための情報を代表車両である他車両に送信する代表車両送信機能を備える。以下に、制御装置150が備える各機能について説明する。
【0017】
自車両情報取得機能は、自車両の車両情報を取得する。具体的には、自車両情報取得機能は、自車両の車両情報として、自車両の位置、進行方向、および走行速度を、それぞれGPSユニット110、地磁気センサ120、および車速センサ130から取得する。また、自車両情報取得機能は、取得した自車両の位置および進行方向に基づいて、自車両の車両情報として、自車両が走行する道路の道路リンク情報を、地図情報データベース140から取得する。さらに、自車両情報取得機能は、自車両の車両情報として、情報センター200との通信速度、制御装置150の演算処理速度、および自車両が代表車両であった際の収集対象車両の車両台数などの優先度情報を取得する。なお、収集対象車両とは、代表車両により、情報センター200に送信するための情報が収集される車両である(以下の説明においても同様)。
【0018】
他車両情報取得機能は、車車間通信装置170を介して、自車両と車車間通信可能な自車両周辺の他車両から、各他車両の車両情報を取得する。具体的には、他車両情報取得機能は、他車両の車両情報として、他車両の位置、他車両の進行方向、他車両の走行速度、他車両が走行する道路の道路リンク情報、および他車両の優先度情報を取得する。
【0019】
代表車両設定機能は、自車両および自車両周辺に存在する他車両の中から、これら車両の情報を収集し、収集した情報を情報センター200に代表して送信する車両である代表車両を設定する。具体的には、代表車両設定機能は、まず、自車両情報取得機能により取得した自車両の車両情報と、他車両情報取得機能により取得した他車両の車両情報とに基づいて、自車両周辺に存在する車両のうち、自車両の走行状態と合致する他車両を抽出する。例えば、代表車両設定機能は、自車両の車両情報に含まれる自車両の走行速度、自車両の進行方向、および自車両が走行している道路リンク情報と、他車両の車両情報に含まれる他車両の走行速度、他車両の進行方向、および他車両が走行している道路リンク情報とをそれぞれ比較することで、自車両と進行方向が同じであり、かつ、自車両と同じ道路を走行している他車両のうち、自車両の走行速度との差が所定値以下である他車両を、自車両の走行状態と合致する他車両として抽出することができる。なお、自車両と進行方向が同じとは、道路上において自車両と同じ方向に向かっていること(自車両と逆方向に走行していないこと)を意味するものである。
【0020】
そして、代表車両設定機能は、自車両の車両情報に含まれる自車両の優先度情報と、他車両の車両情報に含まれる他車両の優先度情報とに基づいて、自車両および自車両の走行状態と合致する他車両の中から、代表車両を設定する。例えば、代表車両設定機能は、各車両の情報センター200との通信速度、制御装置150の演算処理速度、および各車両が代表車両であった際の収集対象車両の車両台数などの優先度情報に基づいて、各車両の優先度を決定し、この優先度が最も高い車両を代表車両として設定することができる。なお、情報センター200との通信速度および制御装置150の演算処理速度は、その速度が速いほど、また、代表車両であった際の収集対象車両の車両台数はその数が多いほど、各車両の優先度は高く決定される。
【0021】
収集機能は、代表車両設定機能により自車両が代表車両に設定された場合に、自車両および自車両の走行状態と合致する収集対象車両から、情報センター200に送信するための情報を収集する。例えば、収集機能は、情報センター200に送信するための情報を、自車両の各車載装置から取得するとともに、車車間通信装置170を介して、収集対象車両から取得することができる。また、収集機能は、情報センター200に送信するための情報を収集する際に、自車両が走行中であるか、または、停車中であるかを判断し、該判断結果に応じて、自車両および収集対象車両から収集する情報センター200に送信するための情報を異ならせる。例えば、収集機能は、自車両が走行中である場合には、情報センター200に送信するための情報として、現在の車両の走行状態に関する車両の位置、走行速度、およびエネルギー残量などのリアルタイム性が要求される情報を収集し、自車両が停車中である場合には、情報センター200に送信するための情報として、車両の使用履歴に関する累積エンジン駆動時間、累積バッテリ駆動時間、および累積走行距離などのリアルタイム性が要求されない情報を収集することができる。なお、各車両の位置および走行速度は、自車両情報取得機能により取得された自車両の位置および走行速度と、他車両情報取得機能により取得され他車両の位置および走行速度とを用いてもよい。
【0022】
情報センター送信機能は、代表車両設定機能により自車両が代表車両に設定された場合に、収集機能により収集された情報を、情報センター通信装置160を介して、情報センター200に送信する。
【0023】
代表車両送信機能は、代表車両設定機能により他車両が代表車両に設定された場合に、代表車両である他車両の要求に応じて、情報センター200に送信するための情報を、車車間通信装置170を介して、代表車両である他車両に送信する。
【0024】
情報センター用通信装置160は、車両外部に設置された情報センター200と通信し、情報センター200と情報の授受を行う。具体的には、情報センター用通信装置160は、自車両が代表車両に設定された場合に、情報センター200に送信するための情報を制御装置150から取得し、取得した情報を情報センター200に送信する。
【0025】
車車間通信装置170は、自車両と他車両との間の通信を行う。具体的には、車車間通信装置170は、自車両周辺の他車両から、他車両の車両情報や情報センター200に送信するための情報を受信し、受信した情報を制御装置150に送信する。また、車車間通信装置170は、他車両が代表車両に設定された場合に、制御装置150から、自車両の車両情報や情報センター200に送信するための情報を取得し、取得した情報を、代表車両に設定された他車両に送信する。なお、車車間通信装置170として、例えば、無線LANを介して他車両と通信可能な無線通信装置を用いることができる。
【0026】
続いて、図2を参照して、本実施形態に係る通信処理について説明する。図2は、本実施形態に係る通信処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態に係る通信処理は、制御装置150により、一定の時間間隔ごとに繰り返し行われる。以下においては、図3に示す場面例を例示して、本実施形態に係る通信処理について説明する。ここで、図3は、代表車両が、情報センター200に送信するための情報を、代表車両の走行条件と合致する収集対象車両から収集し、収集した情報を情報センター200に送信する場面を示す図である。なお、図3に示す場面例においては、第1車両から第5車両までの各車両は、互いに車車間通信が可能となっているとともに、第1車両から第5車両までの各車両は、走行速度、進路方向、および走行している道路が、互いに同じであるものとして説明を行う。また、図3に示す場面例においては、第1車両から第5車両までの各車両のうち、第3車両が代表車両に設定されるものとする。
【0027】
まず、ステップS101では、自車両情報取得機能により、自車両の車両情報の取得が行われる。具体的には、自車両情報取得機能は、自車両の車両情報として、自車両の位置、進行方向、走行速度、および自車両が走行している道路リンク情報を、それぞれ、GPSユニット110、地磁気センサ120、車速センサ130、地図情報データベース140から取得する。さらに、自車両情報取得機能は、自車両の車両情報として、情報センター200との通信速度、制御装置150の演算処理速度、および自車両が代表車両であった際の収集対象車両の車両台数などの優先度情報を、制御装置150のROMおよびRAMから取得する。
【0028】
ステップS102では、他車両情報取得機能により、自車両周辺に存在する他車両から、他車両の車両情報の取得が行われる。具体的には、他車両情報取得機能は、車車間通信装置170を介して、他車両の車両情報として、他車両の位置、他車両の進行方向、他車両の走行速度、他車両が走行する道路の道路リンク情報、および他車両の優先度情報を取得する。例えば、図3に示す場面例において、第3車両が自車両である場合に、第3車両は、自車両周辺に存在する第1車両、第2車両、第4車両、および第5車両から、各車両の車両情報を取得する。
【0029】
そして、ステップS103では、代表車両設定機能により、代表車両である車両を判定するための代表車両判定処理が行われる。以下に、図4を参照して、ステップS103の代表車両判定処理について説明する。なお、図4は、ステップS103の代表車両判定処理を示すフローチャートである。
【0030】
まず、ステップS201では、前回処理時に代表車両が設定されたか否かの判断が行われる。前回処理時に代表車両が設定された場合はステップS202に進み、一方、前回処理時に代表車両が設定されていない場合はステップS209に進む。
【0031】
ステップS202では、前回処理時に代表車両に設定された車両が、自車両であるか否かの判定が行われる。前回処理時に代表車両に設定された車両が自車両である場合は、ステップS203に進み、一方、前回処理時に代表車両に設定された車両が自車両でない場合は、ステップS206に進む。
【0032】
ステップS203では、前回処理時に収集対象車両であった他車両が、今回処理時においても、自車両周辺に存在するか否かの判断が行われる。例えば、代表車両設定機能は、今回処理時において、前回処理時に収集対象車両であった他車両が1台でも存在する場合に、前回処理時に収集対象車両であった他車両が、今回処理時においても、自車両周辺に存在すると判断することができる。そして、前回処理時に収集対象車両であった他車両が、今回処理時においても、自車両周辺に存在する場合には、ステップS204に進み、ステップS204において、前回処理時と同様に、自車両が代表車両に設定され、続くステップS205において、自車両が代表車両として判定される。一方、ステップS203において、前回処理時に収集対象車両であった他車両が、今回処理時において、自車両周辺に存在しないと判断された場合には、ステップS209に進む。なお、前回処理時に収集対象車両であった他車両が、今回処理時においても自車両周辺に存在するか否かを判断する方法は、上記方法に限定されず、例えば、今回処理時に収集対象車両となる全ての車両が、前回処理時において収集対象車両であったか否かを判断し、今回処理時に収集対象車両となる車両うち一部の車用でも、前回処理時に収集対象車両ではなかった場合には、前回処理時に収集対象車両であった他車両が、今回処理時において自車両周辺に存在しないと判断してもよい。
【0033】
また、ステップS202において、前回処理時に代表車両として設定された車両が自車両でないと判断された場合は、ステップS206に進む。ステップS206では、前回処理時に代表車両に設定された他車両が、自車両周辺に存在するか否かの判断が行われる。前回処理時に代表車両に設定された他車両が、自車両周辺に存在する場合は、ステップS207に進み、ステップS207において、前回処理時と同様に、前回処理時に代表車両に設定された他車両が、今回処理時においても、代表車両として設定され、続くステップS208において、前回処理時に代表車両に設定された他車両が、今回処理時においても、代表車両として判定される。
【0034】
一方、ステップS206において、前回処理時に代表車両に設定された他車両が、自車両周辺に存在しないと判断された場合は、ステップS209に進む。同様に、ステップS201において、前回処理時に代表車両が設定されていないと判断された場合、および、ステップS203において、前回処理時に収集対象車両であった他車両が、自車両周辺に存在していないと判断された場合も、ステップS209に進む。
【0035】
ステップS209では、自車両と車車間通信が可能な他車両のうち、自車両の走行状態と合致する他車両の抽出が行われる。例えば、図3に示す場面例において、自車両が第3車両である場合に、代表車両設定機能は、自車両である第3車両の車両情報と、第1車両、第2車両、第4車両、および第5車両の車両情報とを比較することで、第3車両と進行方向が同じであり、かつ、第3車両と同じ道路を走行している他車両のうち、第3車両の走行速度との差が所定値以下である他車両を、自車両と走行状態が合致する他車両として抽出する。ここで、図3に示す場面例において、第1車両、第2車両、第4車両、および第5車両は、第3車両と走行速度、進行方向、および走行している道路が同じため、第3車両の走行状態と合致する他車両として抽出される。
【0036】
そして、ステップS210では、自車両およびステップS209で抽出された他車両の中から、情報センター200に送信するための情報を収集し、収集した情報を情報センター200に代表して送信する代表車両の設定が行われる。例えば、図3に示す場面例において、第3車両が自車両である場合、第3車両は、第1車両から第5車両までの各車両の情報センター200との通信速度、制御装置150の演算処理速度、および各車両が代表車両であった際の収集対象車両の車両台数などの優先度情報に基づいて、各車両の優先度を決定し、優先度が最も高い車両を、代表車両として設定する。なお、図3に示す場面例では、第1車両から第5車両までの各車両のうち、自車両である第3車両の優先度が最も高く決定され、優先度が最も高い第3車両が代表車両として設定される。
【0037】
ステップS211では、ステップS210において代表車両が設定されたか否かの判定が行われる。代表車両が設定された場合は、ステップS212に進む。一方、代表車両が設定されなかった場合は、ステップS215に進み、ステップS215で、代表車両を設定できないものと判定される。なお、代表車両が設定されない場合としては、例えば、自車両周辺に、自車両と車車間通信可能な他車両が1台も存在しない場合などが挙げられる。
【0038】
ステップS212では、ステップS210において自車両が代表車両として設定されたか否かの判定が行われる。自車両が代表車両に設定されたと判断された場合は、ステップS213に進み、ステップS213において、自車両が代表車両と判定される。一方、ステップS212において、自車両が代表車両に設定されていないと判断された場合は、ステップS214に進み、ステップS214で、代表車両に設定された他車両が、代表車両と判定される。例えば、図3に示す場面例において、自車両が第3車両である場合、第3車両が代表車両として設定されるため(ステップS210)、自車両が代表車両に設定されたと判断され(ステップS212=YES)、第3車両が代表車両として判定される(ステップS213)。一方、図3に示す場面例において、自車両が第1車両である場合、他車両である第3車両が代表車両として設定されるため(ステップS210)、自車両が代表車両に設定されたと判断されず(ステップS212=NO)、他車両である第3車両が、代表車両として判定される(ステップS214)。
【0039】
図2に戻り、ステップS104では、ステップS103の代表車両判定処理の判定結果に基づいて、代表車両が設定されたか否かの判断が行われる。代表車両が設定された場合は、ステップS105に進み、一方、代表車両が設定されていない場合は、ステップS109に進む。図3に示す場面例では、第3車両が代表車両として設定されるため、ステップS105に進むこととなる。
【0040】
ステップS105では、ステップS103の代表車両判定処理の判定結果に基づいて、代表車両が自車両であるか否かの判断が行われる。代表車両が自車両である場合は、ステップS106に進み、一方、代表車両が自車両ではない場合は、ステップS108に進む。図3に示す場面例において、自車両が第3車両である場合は、第3車両が代表車両として判定されるため、代表車両は自車両であると判断されて、ステップS106に進む。一方、図3に示す場面例において、自車両が第1車両である場合は、代表車両は自車両ではないと判断されて、ステップS108に進む。
【0041】
ステップS106では、自車両が代表車両として判定されているため、収集機能により、情報センター200に送信するための情報が、自車両および自車両の走行状態と合致する収集対象車両から収集される。また、本実施形態において、収集機能は、自車両が走行中であるか、または、停車中であるかを判断し、該判断結果に応じて、自車両および収集対象車両から収集する情報センター200に送信するための情報を異ならせる。例えば、図3に示す場面例において、第3車両が自車両である場合、代表車両である第3車両は、第3車両が走行中である場合に、情報センター200に送信するための情報として、自車両の位置、走行速度、およびエネルギー残量などのリアルタイム性が要求される情報を、自車両に搭載された各車載装置から取得するとともに、車車間通信装置170を介して、収集対象車両である第1車両、第2車両、第4車両および第5車両から、各車両の位置、走行速度、およびエネルギー残量などのリアルタイム性が要求される情報を収集する。また、第3車両が停車中である場合に、代表車両である第3車両は、情報センター200に送信するための情報として、累積エンジン駆動時間、累積バッテリ駆動時間、および累積走行距離などのリアルタイム性が要求されない累積使用情報を、自車両に搭載された各車載装置から取得するとともに、車車間通信装置170を介して、収集対象車両である第1車両、第2車両、第4車両および第5車両から、各車両の累積エンジン駆動時間、累積バッテリ駆動時間、および累積走行距離などのリアルタイム性が要求されない累積使用情報を収集する。
【0042】
そして、ステップS107では、情報センター送信機能により、ステップS106において収集された情報が、情報センター用通信装置160を介して、情報センター200へと送信される。図3に示す場面例では、収集対象車両である第1車両、第2車両、第4車両および第5車両から収集した情報と、代表車両である第3車両において取得した情報とが、代表車両である第3車両により、情報センター用通信装置160を介して、情報センター200に送信される。これにより、情報センター200により、車載通信装置100から送信された情報が受信され、受信された情報が、情報センター200が備える記憶装置(不図示)に記憶される。
【0043】
一方、ステップS105において、自車両が代表車両ではないと判断された場合は、ステップS108に進む。ステップS108では、代表車両送信機能により、情報センター200に送信するための自車両の情報が、車車間通信装置170を介して、代表車両である他車両に送信される。これにより、代表車両である他車両により、情報センター200に送信するための自車両の情報が、情報センター200に送信されることとなる。なお、代表車両送信機能は、情報センター200に送信するための情報を代表車両である他車両に送信する際に、代表車両による要求に応じて、情報センター200に送信するための情報を異ならせる。例えば、情報センター200に送信するための情報として、代表車両により、リアルタイム性が要求される自車両の位置、走行速度、およびエネルギー残量などの情報が要求された場合には、これらの情報を自車両の各車載装置から取得し、代表車両に送信する。また、代表車両送信機能は、情報センター200に送信するための情報として、代表車両により、リアルタイム性が必要とされない累積エンジン駆動時間、累積バッテリ駆動時間、累積走行距離などの累積使用情報が要求された場合は、これらの情報を自車両の各車載装置から取得し、代表車両に送信する。
【0044】
また、ステップS104において、ステップS103の代表車両判定処理の結果、代表車両が設定されていないと判断された場合は、ステップS109に進む。ステップS109では、他車両から情報センター200に送信するための情報を収集することなく、情報センター送信機能により、情報センター200に送信するための自車両の情報が、情報センター200に送信される。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る車載通信装置100は、自車両と車車間通信可能な他車両のうち、自車両の走行状態と合致する他車両を抽出し、自車両および抽出した他車両の中から代表車両を設定する。そして、自車両が代表車両に設定された場合には、自車両および自車両の走行状態と合致する収集対象車両から、情報センター200に送信するための情報を収集し、収集した情報を情報センター200に送信する。このように、本実施形態によれば、情報センター200に送信するための情報を収集する収集対象車両を、自車両の走行状態と合致する他車両とすることで、収集対象車両が頻繁に変更されることを有効に防止することができるため、情報センター200に送信するための情報を適切に収集し、情報センター200に送信することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、情報センター200との通信速度、制御装置150の演算処理速度、および各車両が代表車両であった際の収集対象車両の台数などの優先度情報に基づいて、各車両の優先度を決定し、優先度が最も高い車両を、代表車両として設定することで、情報を収集し、収集した情報を情報センター200に送信する能力の高い車両を代表車両に設定することができ、情報センター200に送信するための情報をより適切に収集し、情報センター200に送信することができる。加えて、本実施形態によれば、前回処理時に代表車両であった車両が存在する場合に、前回処理時に代表車両であった車両を代表車両として設定することができるため、代表車両の設定するための処理を軽減することができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る車載通信装置100は、自車両が代表車両に設定されている場合に、自車両と走行している道路が同じなどの自車両の走行状態と合致する収集対象車両の情報を収集し、情報センター200に送信する。そのため、情報センター200に送信される情報は、自車両と走行している道路が同じなどの自車両の走行状態が合致する車両の情報となるため、情報センター200において、代表車両から送信された情報を、車両が走行している道路などの車両の走行状態ごとに分ける必要がなくなり、情報センター200における演算負荷を軽減することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る車載通信装置100は、自車両が代表車両である場合に、自車両が走行中であるか、または、停車中であるかを判断し、該判断結果に応じて、自車両および収集対象車両から収集する情報センター200に送信するための情報を異ならせる。例えば、自車両が走行中である場合には、情報センター200に送信するための情報として、現在の車両の走行状態に関する各車両の位置、走行速度、エネルギー残量などのリアルタイム性が要求される情報が収集される一方、自車両の走行状態が停車中である場合には、車両の使用履歴に関する各車両の累積エンジン駆動時間、累積バッテリ駆動時間、および累積走行距離などのリアルタイム性が要求されない情報が収集される。このように、本実施形態では、自車両が走行中である場合には、リアルタイムが要求される情報を優先して収集し、情報センター200に送信することができるため、情報センター200に送信するための情報を効率的かつ安定して収集し、情報センター200に送信することができる。
【0049】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0050】
例えば、上述した実施形態では、情報センター用通信装置160および車車間通信装置170をそれぞれ別々に有する構成としているが、この構成に限定されず、例えば、車車間通信機能および情報センター200との通信機能を兼ね備える通信装置を有する構成としてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、自車両の走行状態と合致する他車両を抽出する際に、自車両と進行方向が同じであり、かつ、自車両と同じ道路を走行している他車両のうち、自車両の走行速度との差が所定値以下である他車両を、自車両と走行状態が合致する他車両として抽出しているが、これに限定されるものではなく、例えば、自車両の車両状態(走行中であるかまたは停車中であるか)と同じであるか、自車両の走行予定経路と同じであるか、または、自車両の充電完了時間と同じであるかなどを判断することで、自車両の走行状態と合致する他車両を抽出してもよい。
【0052】
さらに、本実施形態に係る車載通信装置100が適用される車両は、特に限定されず、例えば、電気自動車、ハイブリッド車両、およびエンジン車両などに適用することができる。
【0053】
なお、上述した実施形態の制御装置150の自車両情報取得機能は本発明の自車両情報取得手段に、他車両情報取得機能は本発明の他車両情報取得手段に、代表車両設定機能は本発明の代表車両設定手段に、収集機能は本発明の収集手段に、情報センター送信機能は本発明の第1送信手段に、代表車両送信機能は本発明の第2送信手段に、それぞれ相当する。
【符号の説明】
【0054】
110…GPSユニット
120…地磁気センサ
130…車速センサ
140…地図情報データベース
150…制御装置
160…情報センター用通信装置
170…車車間通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の車両情報を取得する自車両情報取得手段と、
自車両周辺に存在する他車両から、車車間通信を介して、該他車両の車両情報を取得する他車両情報取得手段と、
前記自車両の車両情報と前記他車両の車両情報とに基づいて、自車両と自車両の走行状態と合致する他車両とからなる車両群の中から、該車両群を代表する代表車両を設定する代表車両設定手段と、
前記代表車両設定手段により自車両が前記代表車両に設定された場合に、前記車両群を構成する各車両から、情報センターに送信するための情報を収集する収集手段と、
前記収集手段により収集された情報を、情報センターに送信する第1送信手段と、
前記代表車両設定手段により他車両が前記代表車両に設定された場合に、情報センターに送信するための情報を、前記代表車両に設定された他車両に送信する第2送信手段と、を備えることを特徴とする車載通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載通信装置であって、
前記自車両の車両情報および前記他車両の車両情報は、車両の位置、進行方向、および走行速度の情報を含み、
前記代表車両設定手段は、前記自車両の車両情報と前記他車両の車両情報とを比較して、少なくとも、自車両と進行方向が同じであり、かつ、自車両と同じ道路を走行している他車両のうち、自車両の走行速度との差が所定値以下である他車両を、前記自車両の走行状態と合致する他車両であると判断することを特徴とする車載通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車載通信装置であって、
前記収集手段は、自車両が走行中であるか、または、停車中であるかを判断し、該判断結果に応じて、前記車両群を構成する各車両から収集する前記情報センターに送信するための情報を異ならせることを特徴とする車載通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載通信装置であって、
前記収集手段は、前記情報センターに送信するための情報として、自車両が走行中である場合には、現在の車両の走行状態に関する情報を収集し、自車両が停車中である場合には、車両の使用履歴に関する情報を収集することを特徴とする車載通信装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の車載通信装置であって、
前記自車両の車両情報および前記他車両の車両情報は、情報センターとの通信速度および演算処理速度の情報を含み、
前記代表車両設定手段は、前記情報センターとの通信速度および前記演算処理速度の情報に基づいて、前記車両群の中から前記代表車両を設定することを特徴とする車載通信装置。
【請求項6】
自車両と自車両の走行状態と合致する他車両とからなる車両群の中から、該車両群を代表する代表車両を設定し、
自車両が前記代表車両に設定された場合には、前記車両群を構成する車両から、情報センターに送信するための情報を収集して、収集した情報を情報センターに送信し、
他車両が前記代表車両に設定された場合には、情報センターに送信するための情報を前記代表車両に設定された他車両に送信することを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−133726(P2012−133726A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287391(P2010−287391)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】