説明

車載AVシステム

【課題】起動時のレジュームによるユーザの嗜好の意図せざる露呈を防止する「車載AVシステム」提供する。
【解決手段】AV制御装置112は、車内カメラ107で撮影した現在のドライバの顔の映像から、当該ドライバが前回の車載AVシステムの稼働開始時のドライバと同じ人物であるかどうかを判定すると共に、自動車の搭乗者がドライバのみであるかどうかを調べる。そして、ドライバが前回のドライバと同じ人物であり、かつ、自動車の搭乗者がドライバのみであれば、メディアプレイヤ103の出力を前回の車載AVシステムの動作停止時の状態にレジュームし、他の場合には、メディアプレイヤ103に、予め定めたソースのAVコンテンツの出力を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載AVシステムにおいて起動時の出力状態を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載AVシステムにおいて起動時の出力状態を制御する技術としては、車載AVシステムの電源オフ時の出力の状態(出力中のソース、音量等)を記憶しておき、次回の起動時に、記憶しておいた状態に、車載AVシステムの出力状態をレジュームする技術が広く用いられている。
【0003】
また、車載AVシステムに関する技術としては、記録装置に記録されている楽曲の一覧を表示し、一覧上で選択された楽曲を再生する車載AVシステムにおいて、自動車の同乗者を識別し、前記楽曲の一覧の表示をユーザから指示されたときに、識別した同乗者に対して予め登録されている楽曲を除外した形態で、前記楽曲の一覧を表示する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-17638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、車載AVシステムの電源オフ時の出力の状態(出力中のソース、音量等)を記憶しておき、起動時に、記憶しておいた状態に、車載AVシステムの出力状態をレジュームする場合には、たとえば、以下のような状況が生じえる。
すなわち、一人で自動車を運転しながら自分の好きなソースX(たとえば、CD-DA)の楽曲を聞いていたユーザAが自動車の利用を停止した後、当該ユーザAが、知人Bと共に自動車に再搭乗し、自動車の利用を開始したときに、ユーザAの意図に反して、ソースXの楽曲の出力が自動的に開始されてしまい、当該ソースXの楽曲の出力によって、ユーザAの楽曲の嗜好に関するプライバシーが知人Bに察知されてしまうといった状況が生じることがある。
【0006】
そこで、本発明は、起動時に出力状態をレジュームする車載AVシステムにおいてユーザの嗜好の、意図せざる露呈を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される車載AVシステムに、AVコンテンツの複数のソースと、前記複数のソースのうちから、ユーザによって選択されたソースを現用ソースとして設定する現用ソース設定手段と、現用ソースとして設定されているソースのAVコンテンツを出力するAVコンテンツ出力手段と、前記自動車のドライバを識別するドライバ識別手段と、前記自動車の搭乗者が複数であるか否かを識別する搭乗者数識別手段と、当該車載AVシステムの動作期間中に、前記ドライバ識別手段が識別したドライバを、前回ドライバとして登録する前回ドライバ登録手段と、当該車載AVシステムの起動時に、前記ドライバ識別手段が識別したドライバが、前記前回ドライバ登録手段が登録している前回ドライバと一致し、かつ、前記搭乗者数識別手段が前記自動車の搭乗者が複数でないと判定している場合にレジューム可と判定し、他の場合にレジューム不可と判定するレジューム可否判定手段と、当該車載AVシステムの起動時に、前記複数のソースのうちの一つのソースを現用ソースに設定し、前記AVコンテンツ出力手段に、現用ソースとして設定したソースのAVコンテンツの出力を開始させる起動時出力ソース設定手段とを設け、前記起動時出力ソース設定手段において、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム可と判定した場合に、当該車載AVシステムの前回の動作停止時に前記現用ソースとして設定されていたソースを前記現用ソースに設定し、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記複数のソースのうちの予め定めた特定のソースを前記現用ソースに設定するようにしたものである。
【0008】
このような車載AVシステムによれば、車載AVシステムの起動時に、ドライバが前回の車載AVシステムの利用時のドライバと同じでない場合や、自動車の搭乗者が複数である場合には、車載AVシステムの出力のレジュームは行わずに、予め定めたソースのAVコンテンツの出力を開始する。
【0009】
よって、たとえば、一人で自動車を運転しながら車載AVシステムを利用していたユーザが自動車の利用を停止した後、再度、知人と共に自動車に搭乗し、自動車の利用を開始した時に、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツの出力が自動的に開始されてしまい、当該ユーザのAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーが、同乗した知人に察知されてしまうといった状況の発生を抑止することができる。
【0010】
また、本発明は前記課題達成のために、自動車に搭載される車載AVシステムに、AVコンテンツの複数のソースと、前記複数のソースのうちから、ユーザによって選択されたソースを現用ソースとして設定する現用ソース設定手段と、現用ソースとして設定されているソースのAVコンテンツを出力するAVコンテンツ出力手段と、前記自動車の搭乗者を識別する搭乗者識別手段と、当該車載AVシステムの動作期間中に、前記搭乗者識別手段が識別した搭乗者を、前回搭乗者として登録する前回搭乗者登録手段と、当該車載AVシステムの起動時に、前記搭乗者識別手段が識別した搭乗者に、前記前回搭乗者登録手段が登録している前回搭乗者に含まれない搭乗者が含まれている場合にレジューム不可と判定し、含まれていない場合にレジューム可と判定するレジューム可否判定手段と、当該車載AVシステムの起動時に、前記複数のソースのうちの一つのソースを現用ソースに設定し、前記AVコンテンツ出力手段に、現用ソースとして設定したソースのAVコンテンツの出力を開始させる起動時出力ソース設定手段とを設け、前記起動時出力ソース設定手段において、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム可と判定した場合に、当該車載AVシステムの前回の動作停止時に前記現用ソースとして設定されていたソースを前記現用ソースに設定し、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記複数のソースのうちの予め定めた特定のソースを前記現用ソースに設定するようにしたものである。
【0011】
このような車載AVシステムによれば、車載AVシステムの起動時に、自動車の搭乗者のうちに、前回の車載AVシステムの利用時の搭乗者で無かったものが含まれている場合には、車載AVシステムの出力のレジュームは行わずに、予め定めたソースのAVコンテンツの出力を開始する。
【0012】
よって、自動車の利用を開始した時に、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツの出力が自動的に開始されてしまい、前回車載AVシステムを利用していたユーザのAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーが、前回の車載AVシステムの利用時の搭乗者以外の者に察知されてしまうといった状況の発生を抑止することができる。ここで、前回の車載AVシステムの利用時の搭乗者は、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツを既に聞いているので、これらの者に対して、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツを知られても支障はない。
【0013】
また、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される車載AVシステムに、AVコンテンツの複数のソースと、前記複数のソースのうちから、ユーザによって選択されたソースを現用ソースとして設定する現用ソース設定手段と、現用ソースとして設定されているソースのAVコンテンツを出力するAVコンテンツ出力手段と、ユーザが予め設定した1または複数の人物を識別するための識別情報を登録した識別テーブルと、前記自動車の搭乗者を識別する搭乗者識別手段と、当該車載AVシステムの起動時に、前記搭乗者識別手段が識別した搭乗者に、前記識別テーブルに識別情報が登録されていない人物が含まれている場合にレジューム不可と判定し、含まれていない場合にレジューム可と判定するレジューム可否判定手段と、
当該車載AVシステムの起動時に、前記複数のソースのうちの一つのソースを現用ソースに設定し、前記AVコンテンツ出力手段に、現用ソースとして設定したソースのAVコンテンツの出力を開始させる起動時出力ソース設定手段とを設け、前記起動時出力ソース設定手段において、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム可と判定した場合に、当該車載AVシステムの前回の動作停止時に前記現用ソースとして設定されていたソースを前記現用ソースに設定し、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記複数のソースのうちの予め定めた特定のソースを前記現用ソースに設定するようにしたものである。
【0014】
このような車載AVシステムによれば、車載AVシステムの起動時に、自動車の搭乗者のうちに、ユーザが予め登録した人物で無かったものが含まれている場合には、車載AVシステムの出力のレジュームは行わずに、予め定めたソースのAVコンテンツの出力を開始する。
【0015】
よって、ユーザが予めAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーを知られても支障がない人物のみを登録しておくことにより、自動車の利用を開始した時に、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツの出力が自動的に開始されてしまい、前回車載AVシステムを利用していたユーザのAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーが、AVコンテンツの嗜好に関するプライバシーを知られたくない者に察知されてしまうといった状況の発生を抑止することができる。
【0016】
ここで、このような識別テーブルを備えた車載AVシステムは、さらに、当該車載AVシステムの起動時に、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記複数のソースのうちの、無効化対象ソースとして予め設定されているソースの無効を設定するソース無効化手段を設けると共に、前記現用ソース設定手段は、無効が設定されているソースを前記現用ソースとして設定しないように構成し、ユーザのAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーに関わるソースを、当該プライバシーを知られたくない者に対して完全に隠蔽するようにしてもよい。
【0017】
また、以上の車載AVシステムは、当該車載AVシステムに、前記ソースとして、AVコンテンツを記録した記録装置と、AVコンテンツを受信する放送受信機とを設けると共に、前記起動時出力ソース設定手段において、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記放送受信機を前記現用ソースに設定するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、起動時に出力状態をレジュームする車載AVシステムにおいてユーザの嗜好の、意図せざる露呈を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る車載AVシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載AVシステムが備えるテーブルを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る起動時出力ソース設定処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る起動時出力ソース設定処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る起動時出力ソース設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1aに本実施形態に係る車載AVシステムの構成を示す。
図示するように、車載AV(Audio Visual)システムは、スピーカ101、モニタ102、AVコンテンツの複数のソース、各ソースのAVコンテンツをスピーカ101やモニタ102に再生出力するメディアプレイヤ103、操作部104、テーブル記憶部105、マイクロフォン106、車内カメラ107、シート荷重センサ108、ドア開閉センサ109、無線通信装置110、記憶装置111、以上の各部を制御するAV制御装置112とを有している。
【0021】
ここで、車載AVシステムは、AVコンテンツのソースとしては、CDやDVDを再生するディスク再生装置121や、オーディオ放送を受信するラジオチューナ122、TV放送を受信するTVチューナ123を備えている。ここで、ディスク再生装置121のAVコンテンツはディスク再生装置121に装着されているCDやDVDに記録されているオーディオコンテンツやビデオコンテンツであり、ラジオチューナ122とTVチューナ123のAVコンテンツは各放送チャネルで放送されている各番組である。
【0022】
また、記録装置に記録されているオーディオコンテンツのライブラリであるオーディオライブラリや、記録装置に記録されているビデオコンテンツのライブラリであるビデオライブラリも、AVコンテンツのソースとなる。また、無線通信装置110が提供するBluetooth(登録商標)や、WIFIなどの無線インタフェースを介して車載AVシステムに接続されたポータブルプレイヤ20に記録されているオーディオライブラリやビデオライブラリも、AVコンテンツのソースとなる。なお、オーディオライブラリのAVコンテンツは当該オーディオライブラリに含まれるオーディオコンテンツであり、ビデオイブラリのAVコンテンツは当該ビデオライブラリに含まれるビデオコンテンツである。
【0023】
そして、AV制御装置112は、ユーザが操作部104の操作によって選択したソースを現用ソースに設定し、現用ソースのAVコンテンツをメディアプレイヤ103にスピーカ101やモニタ102に再生出力させる制御を行う。
次に、図1bに示すように、マイクロフォン106は車内に設置され車内の音声を収集する。また、車内カメラ107は自動車の各シートの搭乗者を撮影するように車内に設置される。また、シート荷重センサ108は、自動車の各シートに加えられた荷重を検出する。また、ドア開閉センサ109は、自動車の各ドアの開閉を検出する。
【0024】
次に、テーブル記憶部105には、レジューム状態テーブルと、リセット状態テーブルと、前回ドライバ情報とが記録される。
図2aに示すようにレジューム状態テーブルは、ソースのエントリとソース出力状態とのエントリを有し、AV制御装置112は、車載AVシステムの動作停止時に、レジューム状態テーブルのソースのエントリに、メディアプレイヤ103が出力中のソースを登録し、レジューム状態テーブルのソース出力状態のエントリに、その時点におけるメディアプレイヤ103のソースの出力状態を登録する。ここで、ソース出力状態のエントリに登録するメディアプレイヤ103のソースの出力状態としては、車載AVシステムの動作停止時にメディアプレイヤ103が出力中のソースが、ラジオチューナ122やTVチューナ123である場合には、出力中の放送チャネルの識別を登録し、車載AVシステムの動作停止時にメディアプレイヤ103が出力中のソースが、ディスク再生装置121やオーディオライブラリやビデオライブラリである場合には、出力中のAVコンテンツ(オーディオコンテンツやビデオコンテンツ)の識別と、出力中のAVコンテンツの出力中のタイムコード(再生位置)を登録する。
【0025】
次に、図2bに示すようにリセット状態テーブルには、ソースの識別が登録されるソースのエントリと、上述したメディアプレイヤ103のソースの出力状態が登録されるソース出力状態のエントリを有する。
ここで、リセット状態テーブルのソースとソース出力状態とのエントリには、メディアプレイヤ103において、リセット状態テーブルのソースのエントリに登録されたソースを現用ソースとして、リセット状態テーブルのソース出力状態のエントリに登録された出力状態で、AVコンテンツの出力を開始した場合に、出力されるAVコンテンツが、嗜好性の低い、すなわち万人向けで差し障りのないAVコンテンツとなるように選択した値を、予め登録する。すなわち、たとえば、リセット状態テーブルのソースのエントリには、ラジオチューナ122の識別を、ソース出力状態のエントリには、公共ラジオ放送の放送チャネルの識別を予め登録する。
【0026】
ただし、リセット状態テーブルの内容はユーザが任意に設定可能としてもよい。すなわち、たとえば、AV制御装置112が、操作部104を介したユーザのリセット状態登録要求に応答して、表示装置にソースとソース出力状態設定用の適当なメニューを表示し、当該メニュー上で受け付けたユーザ操作に応じて、リセット状態テーブルのソースのエントリにユーザが選択したソースの識別を登録し、リセット状態テーブルのソース出力状態のエントリにユーザが選択したメディアプレイヤ103のソースの出力状態を登録するようにしてもよい。
【0027】
次に、図2cに示すように、前回ドライバ情報には、次に述べる起動時出力ソース設定処理によって、車載AVシステムの動作時のドライバの人物同定用の特徴を表すユーザ識別情報が登録され、当該登録は、少なくとも、次回の車載AVシステムの起動時点まで維持される。
以下、この起動時出力ソース設定処理について説明する。
ここで、この起動時出力ソース設定処理は、自動車のアクセサリ電源がオンされて、車載AVシステムが起動され稼働開始したときに開始される処理である。
図3に、起動時出力ソース設定処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、車内カメラ107で撮影した現在のドライバの顔の映像から、当該ドライバの人物同定用の特徴を検出する(ステップ302)。
そして、検出した特徴と、前回ドライバ情報に登録されているユーザ識別情報とより、現在のドライバと、前回の車載AVシステムの稼働開始時のドライバすなわち前回の車載AVシステムの動作時のドライバとが同じ人物であるかどうかを判定する(ステップ304)。
【0028】
そして、同じであれば、自動車の搭乗者が複数であるかどうかを調べる(ステップ306)。自動車の搭乗者が複数であるかどうかは、シート荷重センサ108によって検出した人物が着座しているシート数が複数である場合に搭乗者が複数であると判定したり、車内カメラ107で撮影した映像に対して人物認識処理を行って算出した車内の人物数が複数である場合に搭乗者が複数であると判定したり、ドア開閉センサ109によって直前期間にドライバ用のドア以外のドアが開閉された場合に搭乗者が複数であると判定すること等より行うことができる。
【0029】
そして、現在のドライバと、前回の車載AVシステムの稼働開始時のドライバすなわち前回の車載AVシステムの動作時のドライバとが同じ人物であって(ステップ304)、かつ、搭乗者が複数でない、すなわち、搭乗者がドライバのみである場合には(ステップ306)、レジューム状態テーブルのソースのエントリに登録されているソースを現用ソースとして設定する(ステップ308)。
【0030】
そして、メディアプレイヤ103に、レジューム状態テーブルのソース出力状態のエントリに登録された出力状態からの、現用ソースのAVコンテンツのスピーカ101やモニタ102への出力を開始させる(ステップ310)。これによって、車載AVシステムの出力は、前回の車載AVシステムの動作停止時の状態にレジュームし、前回の車載AVシステムの動作停止時に出力していたAVコンテンツの出力が再開される。
【0031】
そして、今回ステップ302で検出したドライバの特徴に、前回ドライバ情報のユーザ識別情報を更新し(ステップ312)、処理を終了する。
一方、現在のドライバと、前回の車載AVシステムの稼働開始時のドライバすなわち前回の車載AVシステムの動作時のドライバとが同じ人物でないか(ステップ304)、または、搭乗者が複数である、すなわち、ドライバ以外の搭乗者がいる場合には(ステップ306)、リセット状態テーブルのソースのエントリに登録されているソースを現用ソースとして設定する(ステップ314)。
【0032】
そして、メディアプレイヤ103に、リセット状態テーブルのソース出力状態のエントリに登録された出力状態からの、現用ソースのAVコンテンツのスピーカ101やモニタ102への出力を開始させる(ステップ316)。この結果、車載AVシステムの出力は、前回の車載AVシステムの動作停止時の状態にレジュームせずに、リセット状態テーブルの登録内容に従って、嗜好性の低い、万人向けで差し障りのないAVコンテンツを出力する形態で開始される。
【0033】
そして、今回ステップ302で検出したドライバの特徴に、前回ドライバ情報のユーザ識別情報を更新し(ステップ312)、処理を終了する。
以上、AV制御装置112が行う起動時出力ソース設定処理について説明した。
ただし、以上の起動時出力ソース設定処理のステップ312の前回ドライバ情報の更新は行わないようにし、代わりに、車載AVシステムの動作停止時に、車内カメラ107でドライバの顔の映像を撮影し、撮影したドライバの顔の映像から検出した当該ドライバの人物同定用の特徴に、前回ドライバ情報のユーザ識別情報を更新する処理を行うようにしてもよい。
このような起動時出力ソース設定処理によれば、車載AVシステムの起動時に、ドライバが前回の車載AVシステムの利用時のドライバと同じでない場合や、自動車の搭乗者が複数である場合には、車載AVシステムの出力のレジュームは行わずに、予め定めたソースのAVコンテンツの出力を開始する。
【0034】
よって、たとえば、一人で自動車を運転しながら車載AVシステムを利用していたユーザが自動車の利用を停止した後、再度、知人と共に自動車に搭乗して、自動車の利用を開始した時に、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツの出力が自動的に開始されてしまい、当該ユーザのAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーが、同乗した知人に察知されてしまうといった状況の発生を抑止することができる。
【0035】
ところで、以上の起動時出力ソース設定処理は、以下の第2の実施例や第3の実施例のように行うようにしてもよい。
まず、起動時出力ソース設定処理の第2の実施例について説明する。
第2の実施例では、テーブル記憶部105には、図2cに示した前回ドライバ情報に代えて、図2dに示す前回搭乗者情報を記憶するようにする。
ここで、前回搭乗者情報には、次に述べる起動時出力ソース設定処理によって、車載AVシステムの動作時の搭乗者全員の人物同定用の特徴を表すユーザ識別情報が登録され、当該登録は、少なくとも、次回の車載AVシステムの起動時点まで維持される。
そして、起動時出力ソース設定処理は、図4に示すように行う。
すなわち、まず、車内カメラ107で撮影した現在の搭乗者全員の顔の映像から、現在の搭乗者全員の人物同定用の特徴を検出する(ステップ402)。
そして、検出した特徴と、前回搭乗者情報に登録されているユーザ識別情報とより、現在の搭乗者の全てが、前回の車載AVシステムの稼働開始時の搭乗者すなわち前回の車載AVシステムの動作時の搭乗者に含まれるかどうかを判定する(ステップ404)。
そして、現在の搭乗者の全てが前回の車載AVシステムの動作時の搭乗者に含まれる場合には(ステップ404)、レジューム状態テーブルのソースのエントリに登録されているソースを現用ソースとして設定する(ステップ406)。
そして、メディアプレイヤ103に、レジューム状態テーブルのソース出力状態のエントリに登録された出力状態からの、現用ソースのAVコンテンツのスピーカ101やモニタ102への出力を開始させる(ステップ408)。
そして、前回搭乗者情報をクリアした上で、今回ステップ402で検出した各搭乗者の特徴をユーザ識別情報として、前回搭乗者情報に登録し(ステップ410)、処理を終了する。
一方、現在の搭乗者の全てが前回の車載AVシステムの動作時の搭乗者に含まれない場合、すなわち、前回の車載AVシステムの動作時に搭乗していなかった人物が搭乗している場合には(ステップ404)、リセット状態テーブルのソースのエントリに登録されているソースを現用ソースとして設定する(ステップ412)。
【0036】
そして、メディアプレイヤ103に、リセット状態テーブルのソース出力状態のエントリに登録された出力状態からの、現用ソースのAVコンテンツのスピーカ101やモニタ102への出力を開始させる(ステップ414)。
そして、前回搭乗者情報をクリアした上で、今回ステップ402で検出した各搭乗者の特徴をユーザ識別情報として、前回搭乗者情報に登録し(ステップ410)、処理を終了する。
以上、起動時出力ソース設定処理の第2の実施例について説明した。
なお、以上の起動時出力ソース設定処理のステップ410の前回搭乗者情報の更新は行わないようにし、代わりに、車載AVシステムの動作停止時に、前回搭乗者情報をクリアし、車内カメラ107で搭乗者全員の顔の映像を撮影し、撮影した搭乗者全員の顔の映像から検出した各搭乗者の人物同定用の特徴を、ユーザ識別情報として、前回搭乗者情報に登録する処理を行うようにしてもよい。
このような起動時出力ソース設定処理によれば、車載AVシステムの起動時に、自動車の搭乗者のうちに、前回の車載AVシステムの利用時の搭乗者で無かったものが含まれている場合には、車載AVシステムの出力のレジュームは行わずに、予め定めたソースのAVコンテンツの出力を開始する。
【0037】
よって、自動車の利用を開始した時に、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツの出力が自動的に開始されてしまい、前回車載AVシステムを利用していたユーザのAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーが、前回の車載AVシステムの利用時の搭乗者以外の者に察知されてしまうといった状況の発生を抑止することができる。ここで、前回の車載AVシステムの利用時の搭乗者は、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツを既に聞いているので、これらの者に対して、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツを知られても支障はない。
【0038】
次に、起動時出力ソース設定処理の第3の実施例について説明する。
第3の実施例では、テーブル記憶部105には、図2cに示した前回ドライバ情報に代えて、図2eに示す登録ユーザテーブルと、2fに示すステルスソーステーブルを記憶するようにする。
ここで、登録ユーザテーブルには、ユーザによって、予め、当該ユーザが承認した人物(たとえば、家族)の人物同定用の特徴を表すユーザ識別情報が登録される。
また、ステルスソーステーブルには、ユーザが、承認した人物以外の人物に隠蔽したいと希望する任意のソースの識別が登録される。ただし、リセット状態テーブルのソースのエントリに登録されたソースは、ステルスソーステーブルには登録しないようにする。
また、ソースの無効の設定を可能とし、AV制御装置112は、無効が設定されているソースについては、ユーザ操作による現用ソースとしての選択を受け付けないようにする。
そして、起動時出力ソース設定処理は、図5に示すように行う。
すなわち、まず、車内カメラ107で撮影した現在の搭乗者全員の顔の映像から、現在の搭乗者全員の人物同定用の特徴を検出する(ステップ502)。
そして、検出した特徴と、登録ユーザテーブルに登録されているユーザ識別情報とより、現在の搭乗者の全てが、登録ユーザテーブルにユーザ識別情報が登録されている人物、すなわち、予め承認された人物であるかどうかを判定する(ステップ504)。
そして、現在の搭乗者の全てが予め承認された人物であれば(ステップ504)、レジューム状態テーブルのソースのエントリに登録されているソースを現用ソースとして設定し、全てのソースの無効の設定を解除する(ステップ506)。
そして、メディアプレイヤ103に、レジューム状態テーブルのソース出力状態のエントリに登録された出力状態からの、現用ソースのAVコンテンツのスピーカ101やモニタ102への出力を開始させ(ステップ508)、処理を終了する。
一方、現在の搭乗者の全てが予め承認された人物でない場合、すなわち、承認されていない人物が搭乗している場合には(ステップ504)、リセット状態テーブルのソースのエントリに登録されているソースを現用ソースとして設定すると共に、ステルスソーステーブルに登録されているソースの無効を設定する(ステップ510)。
【0039】
そして、メディアプレイヤ103に、リセット状態テーブルのソース出力状態のエントリに登録された出力状態からの、現用ソースのAVコンテンツのスピーカ101やモニタ102への出力を開始させ(ステップ512)、処理を終了する。
以上、起動時出力ソース設定処理の第3の実施例について説明した。
このような起動時出力ソース設定処理によれば、車載AVシステムの起動時に、自動車の搭乗者のうちに、ユーザが予め登録した人物で無かったものが含まれている場合には、車載AVシステムの出力のレジュームは行わずに、予め定めたソースのAVコンテンツの出力を開始する。
【0040】
よって、ユーザが予めAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーを知られても支障がない人物のみを登録しておくことにより、自動車の利用を開始した時に、前回の車載AVシステムの利用時に出力していたソースのAVコンテンツの出力が自動的に開始されてしまい、前回車載AVシステムを利用していたユーザのAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーが、AVコンテンツの嗜好に関するプライバシーを知られたくない者に察知されてしまうといった状況の発生を抑止することができる。
【0041】
また、車載AVシステムの起動時に、自動車の搭乗者のうちに、ユーザが予め登録した人物で無かったものが含まれている場合に、ステルスソーステーブルに登録されているソースの無効を設定することにより、ユーザのAVコンテンツの嗜好に関するプライバシーに関わるソースを、当該プライバシーを知られたくない者に対して完全に隠蔽することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態では、人物同定に、車内カメラ107で撮影した映像の特徴を用いたが、これはマイクロフォン106で収集した音声の特徴や、無線通信装置110に接続したポータブルプレイヤ20などの外部装置の識別を、人物の同定に利用するようにすることもできる。
【符号の説明】
【0043】
101…スピーカ、102…モニタ、103…メディアプレイヤ、104…操作部、105…テーブル記憶部、106…マイクロフォン、107…車内カメラ、108…シート荷重センサ、109…ドア開閉センサ、110…無線通信装置、111…記憶装置、112…AV制御装置、121…ディスク再生装置、122…ラジオチューナ、123…TVチューナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される車載AVシステムであって、
AVコンテンツの複数のソースと、
前記複数のソースのうちから、ユーザによって選択されたソースを現用ソースとして設定する現用ソース設定手段と、
現用ソースとして設定されているソースのAVコンテンツを出力するAVコンテンツ出力手段と、
前記自動車のドライバを識別するドライバ識別手段と、
前記自動車の搭乗者が複数であるか否かを識別する搭乗者数識別手段と、
当該車載AVシステムの動作期間中に、前記ドライバ識別手段が識別したドライバを、前回ドライバとして登録する前回ドライバ登録手段と、
当該車載AVシステムの起動時に、前記ドライバ識別手段が識別したドライバが、前記前回ドライバ登録手段が登録している前回ドライバと一致し、かつ、前記搭乗者数識別手段が前記自動車の搭乗者が複数でないと判定している場合にレジューム可と判定し、他の場合にレジューム不可と判定するレジューム可否判定手段と、
当該車載AVシステムの起動時に、前記複数のソースのうちの一つのソースを現用ソースに設定し、前記AVコンテンツ出力手段に、現用ソースとして設定したソースのAVコンテンツの出力を開始させる起動時出力ソース設定手段とを有し、
前記起動時出力ソース設定手段は、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム可と判定した場合に、当該車載AVシステムの前回の動作停止時に前記現用ソースとして設定されていたソースを前記現用ソースに設定し、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記複数のソースのうちの予め定めた特定のソースを前記現用ソースに設定することを特徴とする車載AVシステム。
【請求項2】
自動車に搭載される車載AVシステムであって、
AVコンテンツの複数のソースと、
前記複数のソースのうちから、ユーザによって選択されたソースを現用ソースとして設定する現用ソース設定手段と、
現用ソースとして設定されているソースのAVコンテンツを出力するAVコンテンツ出力手段と、
前記自動車の搭乗者を識別する搭乗者識別手段と、
当該車載AVシステムの動作期間中に、前記搭乗者識別手段が識別した搭乗者を、前回搭乗者として登録する前回搭乗者登録手段と、
当該車載AVシステムの起動時に、前記搭乗者識別手段が識別した搭乗者に、前記前回搭乗者登録手段が登録している前回搭乗者に含まれない搭乗者が含まれている場合にレジューム不可と判定し、含まれていない場合にレジューム可と判定するレジューム可否判定手段と、
当該車載AVシステムの起動時に、前記複数のソースのうちの一つのソースを現用ソースに設定し、前記AVコンテンツ出力手段に、現用ソースとして設定したソースのAVコンテンツの出力を開始させる起動時出力ソース設定手段とを有し、
前記起動時出力ソース設定手段は、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム可と判定した場合に、当該車載AVシステムの前回の動作停止時に前記現用ソースとして設定されていたソースを前記現用ソースに設定し、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記複数のソースのうちの予め定めた特定のソースを前記現用ソースに設定することを特徴とする車載AVシステム。
【請求項3】
自動車に搭載される車載AVシステムであって、
AVコンテンツの複数のソースと、
前記複数のソースのうちから、ユーザによって選択されたソースを現用ソースとして設定する現用ソース設定手段と、
現用ソースとして設定されているソースのAVコンテンツを出力するAVコンテンツ出力手段と、
ユーザが予め設定した1または複数の人物を識別するための識別情報を登録した識別テーブルと、
前記自動車の搭乗者を識別する搭乗者識別手段と、
当該車載AVシステムの起動時に、前記搭乗者識別手段が識別した搭乗者に、前記識別テーブルに識別情報が登録されていない人物が含まれている場合にレジューム不可と判定し、含まれていない場合にレジューム可と判定するレジューム可否判定手段と、
当該車載AVシステムの起動時に、前記複数のソースのうちの一つのソースを現用ソースに設定し、前記AVコンテンツ出力手段に、現用ソースとして設定したソースのAVコンテンツの出力を開始させる起動時出力ソース設定手段とを有し、
前記起動時出力ソース設定手段は、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム可と判定した場合に、当該車載AVシステムの前回の動作停止時に前記現用ソースとして設定されていたソースを前記現用ソースに設定し、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記複数のソースのうちの予め定めた特定のソースを前記現用ソースに設定することを特徴とする車載AVシステム。
【請求項4】
請求項3記載の車載AVシステムであって、
当該車載AVシステムの起動時に、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記複数のソースのうちの、無効化対象ソースとして予め設定されているソースの無効を設定するソース無効化手段を有し、
前記現用ソース設定手段は、無効が設定されているソースを前記現用ソースとして設定しないことを特徴とする車載AV装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の車載AVシステムであって、
当該車載AVシステムは、前記ソースとして、AVコンテンツを記録した記録装置と、AVコンテンツを受信する放送受信機とを有し、
前記起動時出力ソース設定手段は、前記レジューム可否判定手段が前記レジューム不可と判定した場合に、前記放送受信機を前記現用ソースに設定することを特徴とする車載AVシステム。
【請求項6】
自動車に搭載されるコンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
請求項1、2、3、4または5記載の車載AVシステムとして機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate