説明

車輌燃費情報管理方法、車輌燃費情報管理システム、車輌燃費情報管理プログラム

【課題】 本発明は、燃費情報を管理し、車輌における燃費の変化を監視することができる車輌燃費情報管理方法、車輌燃費情報管理システム、車輌燃費情報管理プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の車輌燃費情報管理システム1は、車輌に取り付けられた車載器2と、車載器2から送信された情報に基づき車輌の燃費情報を管理するサーバ3と、車輌の所有管理を行う車輌管理会社側の端末4とがネットワーク5を介して接続され、車載器2により検出された車輌自体の挙動を示す挙動情報と車輌の走行した位置に関する情報とに基づいてサーバ3は消費燃費値を算出し燃費情報を管理することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌の燃費情報を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くのガソリンスタンドには料金精算のためのPOSシステムが導入されている。POSシステムにより、給油量と給油料金とを一括して管理することができる。給油量と給油料金とは領収書に明記されるため、運転手や運転手の雇用主はその領収書に基づき、車輌の燃費や燃料に係る経費を算出することができる。
【0003】
また、燃費や燃料経費を管理することは、車輌の整備・管理を行うことにもつながる。例えば、所定期間において、給油の回数や量が多かったり、給油料金が高額になる車輌があった場合、その車輌に燃料系統の故障や異常があると考えられる。
【0004】
このように、燃費や燃料経費の変動を管理することにより、車輌に起こっている異常を早期に発見することができる。
また、近年においてPOSシステムを導入していないガソリンスタンドも未だある。精算処理にPOSシステムを利用しない場合、ガソリンスタンドの店員が手書きによって作成した給油伝票により掛売り処理となる。
【0005】
ところが、このような方法では、給油に来訪したトラックやタクシー等の従業員たる運転手とガソリンスタンドの店員とが結託し、実際の給油料よりも過度な請求(通称:カラ売り)をおこし、運転手の雇い主から不当な利益を得るという犯罪がおこなわれることも考えられる。
【0006】
例えば、実際には50リットルの給油に対して、100リットルの売り上げ伝票及び請求書を作成すると、ガソリンスタンドの店員は、差し引き50リットル分の売り上げ利益と50リットルの燃料を不当に得ることができる。さらに、ガソリンスタンドの店員は、売り上げ利益の中から運転手に手当てを支払う。
【0007】
その他にも、給油後に、燃料タンクから燃料の一部を抜き取るというような不正行為も考えられる。
【0008】
上述したような、車輌の異常の早期発見又は不正行為を防止するために、
(1)車輌の給油口にIDタグ(RFID)と給油機の給油ノズル(ガン)部分にスキャナを取り付け、アナログの給油機の流量センサにA/D変換装置を設け、通信網を介して給油情報を送信する方法(簡易POS)、
(2)車輌に注入される給油量を給油口と燃料タンク間に取り付けた流量センサで計測する方法、
(3)燃料タンク内にフロートセンサを取り付け、燃料残量を常時監視する方法、
(4)トラックのECUから集められる燃料噴出量を車載器で管理する方法、
等が考えられる。
【特許文献1】特開2001−194204号公報
【特許文献2】特開2003−6691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上述した方法では、流量センサやフロートセンサを用いるため、車輌の振動や、車輌の種類などにより生じる誤差により正確な燃料量を検知することができず、犯罪の防止を防ぐための有益な方法とはなり得なかった。
【0010】
そこで、本発明は、燃費情報を管理し、車輌における燃費の変化を監視することができる車輌燃費情報管理方法、車輌燃費情報管理システム、車輌燃費情報管理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、すなわち本発明は、車輌に取り付けられ、車輌の走行に伴う情報を検出する車載器からネットワークを介して送信された情報に基づき前記車輌の燃費情報を管理するサーバが、車載器により検知された車輌の走行情報を受信するステップと、走行情報に基づき消費燃費値を算出するステップと、車輌の給油情報を受信するステップとを実行し、車輌の燃費情報を管理する車輌燃費情報管理方法である。
【0012】
本発明の方法を利用する場合は毎回の給油が満タンであることを前提とし、今回の給油量から給油までの期間の燃費を算出する。このとき、燃料の給油量からだけでなく、その車輌に取り付けられた車載器から送信された車輌の走行情報も加味してその車輌の燃費を算出する。尚、給油情報の提供は、実際に給油を行うガソリンスタンド,車輌の所有管理を行う車輌管理会社,車輌の運転者等いずれのものが行ってもよい。
【0013】
本発明に係る車輌の走行情報には、車輌の走行に伴う挙動情報と車輌の走行位置情報とが含まれている。この挙動情報には、その車輌のアクセル開度に関する情報(アクセル開度情報),車輌の加速度変化についての情報(加速度変化情報),車輌のブレーキ回数(車輌停止情報),車輌のアイドリング時間,走行時の車輌の振動情報の少なくとも一つが含まれる。
【0014】
車載器には、これらの情報を検知するための挙動検知センサが設けられている。挙動検知センサとして、車輌のハンドル操作による旋回度を検知するジャイロセンサと、アクセル開度,加速度を検知する加速度センサと、ブレーキの操作回数をカウントするブレーキセンサと、アイドリングの時間を計測するタイマーと、走行時の車輌の振動を計測する振動計測センサとを例示できる。この他にも、燃費に影響のあるエアコンのON/OFFを検知するセンサや、走行時における車輌の貨物積載情報を検知する重量センサ等も挙動検知センサとすると好ましい。
【0015】
また、本発明に係る車輌の走行位置情報には、車輌が走行した位置(緯度、経度)に関する情報(走行位置情報),車輌の走行した距離に関する情報(走行距離情報),車輌の走行速度に関する情報(走行速度情報),今回の給油までに車輌が走行した時間数(走行時間情報)の少なくとも一つが含まれる。
【0016】
車載器には、これらの情報を検知するための位置情報検知装置が設けられている。この位置情報検知装置は、衛星からの電波を利用して地球上での電波受信者の位置を三次元測定するGPS(Global Positioning System)や、車載器とサーバと間での通信モジュ
ールとしては、GPRS(General Packet Radio Service)や無線LAN等を好適に
用いることができる。勿論、車輌の走行情報を検知するための通信技術はこれらに限られるものではなく、パケットによる通信技術やインターネットなどの通信モジュールとすることも可能である。
【0017】
このように、本発明によれば、車輌の走行状態と消費した燃料とからより正確な値に近
い消費した燃費を算出することができる。そして、これにより、今回の給油までの間の燃費が著しく悪い車輌が発見された場合、車輌の燃料系統の部品に異常や故障、または燃料の抜き取りやカラ売り等の不正行為がなされている可能性があると判断することができる。つまり、本発明によれば、車輌の異常・故障、または不正行為を早期に発見することができる。尚、このような異常がみられた場合、サーバが車輌管理会社に警告を送信する構成とすると好ましい。
【0018】
また、位置情報検知装置をGPSとした場合、サーバは、サーバが有する地図情報に車載器から送信された走行位置情報を関連付けて消費燃費値を算出するステップ実行する構成とすることもできる。
【0019】
このように、地図情報と走行位置とを関連付けることにより、例えば、燃費を左右する未舗装の道の走行やアップダウンの激しい山道の走行の有無を把握できる。このような、燃費を低減させるような場所の走行があった場合、この情報も加味して消費燃費値を算出することができるため、誤差が極めて少なく、より正確な燃費を算出することができる。
【0020】
また、本発明に係るサーバは、車輌を特定する情報に、その車輌の挙動情報及び走行位置情報を関連づけるステップを有してもよい。
【0021】
このように、挙動情報及び走行位置情報を車輌毎に記録しておくことにより、その車両の走行パターンが明確となる。例えば、挙動情報により、年間を通してアクセルを踏む回数が多いこの車輌は山道を多く走る車輌と考えられる。そのため、この車輌の消費燃費値は低くなる。そして、急にこの走行パターンが変化した場合は、走行範囲が変化したのか、不正行為が行われているのか、というような予測を立て、不正行為であればそれを早期に発見することができる。
【0022】
また、本発明の車輌燃料管理システムは、走行時における車輌の貨物積載情報を検知する重量センサを有し、サーバは、重量センサにより検知された貨物積載情報に基づき消費燃費値を算出するステップを有する構成とすることもできる。尚、この重量センサは、車載器と一体型としてもよいし、車輌に単独で取り付けてもよい。
【0023】
これにより、本発明のサーバは、貨物量に応じて変化する実際の消費燃費をその変化に応じて算出することができる。
【0024】
また、本発明は、車輌に取り付けられ、車輌の走行に伴う情報を検出する車載器からネットワークを介して送信された情報に基づき車輌の燃費情報を管理するシステムであって、車載器により検知された車輌の走行情報を受信する走行情報受信手段と、走行情報に基づき消費燃費値を算出する消費燃費算出手段と、給油情報を受信する給油情報受信手段とを有する車輌燃費情報管理システムである。
【0025】
尚、本発明は、ネットワークを介さないシステムとしても実現可能である。つまり、本発明は、車輌に取り付けられ、車輌の走行に伴う情報を検出する車載器から検出された情報に基づき車輌の燃費情報を管理するシステムであって、車載器により検知された車輌の走行情報を検出する走行情報検出手段と、走行情報に基づき消費燃費値を算出する消費燃費算出手段と、給油情報を検出する給油情報検出手段とを有する車輌燃費情報管理システムとすることもできる。
【0026】
また、本発明は、車輌に取り付けられ、車輌の走行に伴う情報を検出する車載器からネットワークを介して送信された情報に基づき前記車輌の燃費情報を管理するサーバが、車載器により検知された車輌の走行情報を受信するステップと、走行情報に基づき消費燃費
値を算出するステップと、車輌の給油情報を受信するステップとを実行し、車輌の燃費情報を管理する車輌燃費情報管理プログラムである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、車輌の走行に伴う各種の情報から消費燃費を算出し、その情報を管理することができるため、燃料の抜き取り等の不正行為が行われていないかを監視することができる。そして、本発明は、燃費情報をサーバが監視していることが抑止力となり、給油に対する不正行為を未然に防ぐことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本実施形態の車輌燃費情報管理方法、車輌燃費情報管理システム、車輌燃費情報管理プログラムについて図面を参照し説明する。尚、本実施形態中では、車輌は運転者の所有ではなく、車輌の所有管理を行う車輌管理会社が存在することとして説明する。加えて、本実施形態では、給油の支払は現金で行うものとして説明する。
【0029】
<システム概要>
まず、本実施形態の車輌燃費情報管理システムの概要について説明する。
図1に本実施形態のシステム1概念図を示す。本実施形態の車輌燃費情報管理システム1は、車輌に取り付けられた車載器2と、車載器2から送信された情報に基づき車輌の燃費情報を管理するサーバ3と、車輌の所有管理を行う車輌管理会社側の端末4とがネットワーク(インターネットまたは衛星通信網)5を介して接続されている。
【0030】
車載器は、車輌の走行に伴う走行情報を検知する。この走行情報は、車輌自体の挙動を示す挙動情報と、車輌の走行した位置に関する情報とを含んでいる。これらの情報は、ネットワーク5を介してサーバに送信される。
【0031】
また、ガソリンスタンドでは、対象となる車輌が給油すると、図2に示す、給油日時,運転者,車輌番号,給油量,金額を含む領収書を店員が作成し、その領収書を運転者に手渡す。尚、この領収書の作成は手書きでもかまわない。
【0032】
そして、運転者はこの領収書を車輌の所有管理を行っている車輌管理会社に提出する。車輌管理会社は、この領収書の内容(給油情報)を端末4を介してサーバ3に送信する。
【0033】
給油情報を受信したサーバ3は、給油情報の中の給油量と、前記走行情報に含まれている走行距離とから消費された燃費を算出する。
【0034】
これにより、給油した日時前後の消費燃費の変化からその車輌は正常な運行を行ったか
否かを推測することができる。つまり、給油した日時の前後の消費燃費値に差がある場合、その車輌は所定期間中に走行に関する変化が起こったと考えられる。例えば、給油前の消費燃費値に比べて給油後の消費燃費値が著しく低い場合、給油後に車輌の燃料タンクやエンジン系統の故障・異常や、燃料を抜き取られたり、実際の給油量と請求上の給油量とに食い違いがあったりというような不正行為が行われたと考えられる。
【0035】
このように、本発明によれば、車輌の走行情報や燃費情報を管理することにより、燃料消費の異常状態を早期に発見することが出来るようになる。尚、燃料の異常状態とは、例えば、燃料の抜き取りや燃料のカラ売り等の不正な行為が行われた状態のことを意味する。
【0036】
以上が、本実施形態の車輌燃費情報管理システム1の概要である。
【0037】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態の車輌燃費情報管理システム1のハードウェア構成について説明する。
図3に示すように、本実施形態の車輌燃費情報管理システム1は、インターネット5を介して車載器2とサーバ3とが情報のやり取りを行う。
【0038】
まず、車載器2のハードウェア構成について説明する。車載器2は、車載器2全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)6と、インターネット5に接続しサーバ
3との情報の送受信のインターフェースとなる通信モジュール7と、車輌の走行情報(挙動情報及び走行位置情報を含む)を検出する各種センサと、センサにより検出された情報を記録するメモリ8とを備えている。
【0039】
通信モジュール7はGPRS(General Packet Radio Service)アンテナ9を有し
、このアンテナ9により電波を受信しサーバ3との通信を行う。
【0040】
メモリ8は、車載器2本体に内蔵されるタイプのメモリに限らず、取り外し自在なカード式のメモリとすることもできる。尚、本実施形態のメモリ8はカード式のメモリを用いることとする。加えて、本実施形態のメモリ8に記録されたデータは、一日に一度の割合で通信モジュール7からサーバ3にアップロードされることとする。勿論、データのアップロードは一日に一度ではなく定期的に行ったり、車輌に応じてアップロードの時期及び回数を設定するようにしてもよいこともできる。
【0041】
また、本実施形態の各種センサには、車輌の走行位置情報を衛星を利用して検知するGPS受信機(位置情報検知装置)10と、車輌のハンドル操作による旋回度を検知するジャイロセンサ11と、車輌の加速度,アクセル開度を検知する加速度センサ12と、ブレーキの操作回数をカウントするブレーキセンサ13と、アイドリングの時間を計測するアイドリング測定装置(タイマー)14と、エアコンのON/OFFを検知するエアコンON/OFセンサ15と、走行時の車輌の振動を計測する振動計測センサ16と、走行時における車輌の貨物積載情報を検知する重量センサ17とを含む各種挙動センサとがある。尚、GPS受信機10には、衛星からの電波を受信する専用のアンテナ18が設けられている。
【0042】
これらのセンサから検出された車輌の挙動情報や走行位置情報は、対象となる車輌の燃費を算出するために使用される。
以上が車載器2のハードウェア構成である。
【0043】
次に、本実施形態のサーバ3のハードウェア構成について説明する。
本実施形態のサーバ3は、サーバ3全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)19と、メインメモリ(MM)20とからなる演算処理部21を備える。この演算処
理部21により、各種データから燃費を算出する。
【0044】
また、サーバ3には、サーバ3が正常に起動するために必要なオペレーティングシステム(OS)と、一般に用いられる他のアプリケーションプログラムとを格納したROM(Read Only Memory)22と、サーバ3の制御に伴う情報を一時的に格納するRAM(Random Access Memory)23とが設けられている。これらのプログラムやアプリケーションは、演算処理部21により実行される。
【0045】
また、サーバ3は、各種データやプログラムを格納するハードディスク24を有している。ハードディスク24内には、各種のデータベースが構築されている。本実施形態に係るデータベースには、車載器2に設けられたGPS受信機10により検出された車輌の走
行位置情報を格納する走行位置情報データベースと、ジャイロセンサ11により検出された車輌の旋回度情報を格納する旋回度情報データベースと、加速度センサ12により検出された車輌の走行時における加速度情報を格納する加速度情報データベースと、ブレーキセンサ13により検出されたブレーキの回数を格納するブレーキ情報データベースと、アイドリング測定装置14によりカウントされたアイドリング時間情報を格納するアイドリング情報データベースと、エアコンのON/OFFセンサにより検出されたエアコンのON/OFF情報を格納するエアコン情報データベースと、振動計測センサ16により検出された走行時における車輌の振動情報を格納する振動情報データベースと、重量センサにより検出された車輌の走行時における貨物重量情報を格納する貨物情報データベースとがある(何れも不図示)。
【0046】
尚、これらのデータベース内に格納された情報は、車台番号等の車輌を特定する情報をインデックスとして互いに関連づいていることとする。これにより、車輌毎に車輌の走行情報や算出した燃費情報を管理することができる。さらに、サーバ3のハードディスク24には、車輌を特定する情報(例えば車種・年式等)毎に分けて消費燃費情報及び走行情報(走行位置情報と挙動情報を含む)を管理する車輌別マスターが設けられている。車種・年式に分ける例としては、車輌の車種をガソリン車,ディーゼル車,大型ディーゼル車、或いは車輌名毎や車体の形状(タイプ)毎に分類するというような分類例が考えられる。
【0047】
また、サーバ3のハードディスク24内には、車輌管理会社側の端末4から送信された車輌毎の給油情報を格納する給油情報データベースも構築されている。
【0048】
さらに、サーバ3には、各種情報を入力するマウスやキーボード等の入力装置25と、各種情報を画面に出力するディスプレイや書面に出力するプリンタ等の出力装置26とも設けられている。
【0049】
以上が、サーバ3のハードウェア構成である。尚、本実施形態における車輌管理会社側の端末4は、インターネット接続の可能な既存のパーソナルコンピュータであるとし、説明は割愛する。
【0050】
<車輌燃費情報管理方法>
次に、本実施形態の車輌燃費情報管理システム1による情報の管理方法について図4に示すサーバ3の処理フローをコアとして説明する。尚、以下の説明では、車輌の給油量は満タンであることを前提とする。
【0051】
まず、サーバ3の通信インターフェース27は、車載器2から走行情報を随時受信する(S01)。すると、サーバ3のCPU19では、受信した各種走行情報を各データベースに記録する処理を実行する(S02)。
【0052】
車載器2から受信した走行情報は、図5,6に示す走行管理集計表画面Aとしてサーバ3から車輌管理会社側の端末4の画面に出力される。画面Aには、車輌の運転者の氏名、車輌番号、枝番号、入庫・出庫時間、走行距離(SR:GPSを利用して計測された走行距離)運転時間、運行時間、最長連続運転時間、平均速度、最高速度、アイドリング時間、急アクセル回数、増加分の使用燃料量等が表示される。尚、車輌番号、枝番号、入庫・出庫時刻は車輌管理会社側の端末4から送信されるものとする。加えて、オドメータから算出された走行距離情報を画面Aに表示させるためには別途入力を要する。
【0053】
また、車載器2から送信された走行情報は、図7に示す走行チャートとしてもサーバ3が車輌管理会社側の端末4のディスプレイに表示させる。走行チャートを示す画面Bには
、縦に走行状態,走行速度軸をとり、横に時間軸をとったグラフが表示されている。走行状態には、一般走行,アイドリング,エンジンOFFの状態が含まれる。
【0054】
これらの画面A又は画面Bを閲覧することにより、対象となる車輌の走行状態が概ね把握することができる。
【0055】
次に、燃料が満タンの状態から次の給油が必要となるくらい走行した車輌がガソリンスタンドで給油を行ったとする。このとき、ガソリンスタンドでは、図2に示すような、給油日時,運転者,車輌番号,給油量,給油金額の内容を含む領収書を作成する。この領収書は運転者に手渡され、運転者はこの領収書を車輌管理会社に提出する。
【0056】
すると、車輌管理会社は、この領収書の内容(給油情報)を端末4を介してサーバ3に送信する。すると、サーバ3の通信インターフェース27は、給油情報を受信し(S03)、CPU19は受信した給油情報を給油情報データベースに格納する。
【0057】
次に、サーバ3の演算処理部21は、受信した給油情報と走行情報中の走行距離情報から消費された消費燃費値を算出する(S04)。消費燃費は、(走行距離)÷(今回の給油量−挙動による燃料負荷)という計算式を用いて演算される。CPU19は、算出した消費燃費値を車輌別マスターに格納する(S05)。
【0058】
算出された消費燃費値は車輌管理会社側の端末4に送信される(S06)。この消費燃費値の推移は、図8に示す燃費計算チャートとして車輌管理会社側の端末4のディスプレイに表示される。燃費計算チャートが表示される画面Cは、縦に走行状態軸をとり、横に時間軸を取ったグラフMと、縦に燃費(1リットル当たりの走行距離)軸をとり、横に時間軸を取ったグラフNとの二つのグラフが同時に表示される。グラフNには、給油した時間に目印が付される。
【0059】
このように、本実施形態の車輌燃費情報管理システム1,方法,プログラムによれば、消費燃費値が給油前後に著しく変化している場合は、その車輌に不正行為がなされている可能性があると判断することができる。
【0060】
これにより、燃料を抜き取られたり、燃料のカラ売りをされたりという不正行為を早期に発見することができるようになる。
【0061】
また、本実施形態の車輌燃費情報管理システム1,方法,プログラムによれば、車載器2からの走行情報がサーバ3により管理されるため、車載器2を車輌に搭載することが燃料の抜き取りをおこなう不正者に対する抑止力となり、不正行為を未然に防止することができる。
【0062】
また、本実施形態の車輌燃費情報管理システム1,方法,プログラムによれば、サーバ3が給油情報を管理する構成をなすため、従来のように、車輌毎の「車輌別基礎燃費」や「車輌年式の経過による燃費の劣化」を考慮せずとも、ダイレクトにその車輌の燃費を算出することができる。尚、この値は、オドメータの値から算出される燃費と比較することにより、本システム1と同様の効果を得られると共にオドメータが改竄されたか否かを判断する基準ともなる。
【0063】
加えて、本実施の形態の車輌燃費情報管理システム1,方法,プログラムにおけるサーバ3が不正行為が行われている車輌に対して、車輌管理会社の端末4に警告を送信する構成としてもよい。
【0064】
これにより車輌を車輌管理会社とサーバとで二元的に管理を行うことができ、不正行為が行われていると疑われる車輌を早期に発見することが可能となり、不正行為による損害(車輌管理会社に対する架空の請求等)を極力防ぐことができる。
【0065】
加えて、本実施の形態の車輌燃費情報管理システム1,方法,プログラムによれば、POSシステムの確立していないガソリンスタンドであっても、間接的にサーバ3に給油情報を提供することができる。
【0066】
<その他の実施の態様1>
その他の実施の態様1として、サーバ3に地図データをもたせ、この地図情報と上述した走行情報とを組み合わせて消費燃費を算出する構成としてもよい。
【0067】
例えば、道路の舗装情報や土地の高低差情報を持った地図データと、車載器2から送信された走行位置情報と重ね合わせることにより、舗装されていない高低差の激しい道を走行したことが推測される。これにより、消費燃費は、舗装された平らな道路を走行したときよりも低く算出される。
【0068】
このように、車載器2から送信された情報と地図データとを組み合わせることにより、より緻密な消費燃費を算出することができる。これにより信憑性の高い消費燃料を算出することができる。このような構成はカーナビゲーションシステムと本実施形態の車輌燃費情報管理システムとを連動させることにより実現が可能となる。
【0069】
また、その他の態様として、ネットワークを介さない車輌燃費情報管理システムを挙げることが出来る。この場合、車輌に取り付けられる車載器に、車輌の走行情報を検出する走行情報検出手段と、走行情報に基づき消費燃費値を算出する消費燃費算出手段と、給油情報を検出する給油情報検出手段とを設ける構成とする。そして、車載器により検出・算出されたデータを取り外し可能なメモリに記録する。このメモリを車輌の運転手が車輌管理会社(雇用主等)に直接渡し、車輌の燃費情報を管理するというような構成とすることもできる。
【0070】
これにより、ネットワーク環境が整わない場所であっても、本システムの利用が可能となる。
【0071】
<その他の実施の態様2>
その他の実施の態様2として、サーバ3による、車載器から送信された走行情報や車輌情報(車種,年式,グレード等)に基づき、その車輌の推定燃費値を算出するステップと、推定燃費値と消費燃費値とを比較するステップとを含む態様としてもよい。この場合、推定燃費値と消費燃費値との差が50%以上となった場合には、車輌に不正行為が行われていたり、或いは燃料系統の故障等を疑うことができる。
【0072】
このように、推定燃費値が消費燃費値の基準となるため、特にこれらの値を同一のグラフ上に表した場合、燃費情報の推移が明らかとなり、車輌の管理内容を明確化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態の車輌燃費情報管理システムの概念図である。
【図2】本実施形態に係る給油情報を示す表である。
【図3】本実施形態の車輌燃費情報管理システムのハードウェア構成図である。
【図4】本実施形態に係るサーバの処理フローチャートである。
【図5】本実施形態に係る走行管理集計表を表示した画面Aを示す図である。
【図6】本実施形態に係る走行管理集計表を表示した画面Aを示す図である。
【図7】本実施形態に係る運行チャートを示すグラフを表示した画面Bを示す図である。
【図8】本実施形態に係る燃費計算チャートを示すグラフを表示した画面Cを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 車輌燃費情報管理システム
2 車載器
3 サーバ
4 端末
5 インターネット(ネットワーク)
6 CPU
7 通信モジュール
8 メモリ
9 アンテナ
10 受信機
11 ジャイロセンサ
12 加速度センサ
13ブレーキセンサ
14 アイドリング測定装置
15 エアコンON/OFFセンサ
16 振動計測センサ
17 重量センサ
18 GPSアンテナ
19 CPU
20 メインメモリ
21 演算処理部
22 ROM
23 RAM
24 ハードディスク
25 入力装置
26 出力装置
A,B,C 画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌に取り付けられ、車輌の走行に伴う情報を検出する車載器からネットワークを介して送信された情報に基づき前記車輌の燃費情報を管理するサーバが、
前記車載器により検知された車輌の走行情報を受信するステップと、
前記走行情報に基づき消費燃費値を算出するステップと、
前記車輌の給油情報を受信するステップと
を実行し車輌の燃費情報を管理する車輌燃費情報管理方法。
【請求項2】
前記サーバが
前記走行情報に基づき推定燃費値を算出するステップと、
前記消費燃費値と前記推定燃費値とを比較するステップとを実行し、比較結果に基づいて車輌の燃費情報を管理することを特徴とする請求項1に記載の車輌燃費情報管理方法。
【請求項3】
前記車載器は、前記走行情報に含まれる前記車輌の走行に伴う挙動情報を検知する挙動検知センサを有し、
前記挙動検知センサは、前記挙動情報に含まれる、前記車輌のアクセル開度情報,前記車輌の加速度変化情報,前記車輌の停止情報,前記車輌のアイドリング時間,前記車輌の振動情報のうち少なくとも一つを検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌燃費情報管理方法。
【請求項4】
前記車載器は、前記車輌の走行位置情報を検知する位置情報検知装置を有し、
前記位置検知装置は、前記走行情報に含まれる前記車輌の走行位置情報,前記車輌の走行距離情報,前記車輌の走行速度情報,前記車輌の走行時間情報のうち少なくとも一つを検知することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車輌燃費情報管理方法。
【請求項5】
前記サーバは地図情報を有し、
前記車載器から送信された前記走行位置情報と前記地図情報とを関連づけて前記推定燃費値を算出するステップを有する請求項4に記載の車輌燃費情報管理方法。
【請求項6】
前記サーバは、前記車輌を特定する情報に、その車両の前記挙動情報及び前記走行位置情報とを関連づけるステップを有することを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の車輌燃費情報管理方法。
【請求項7】
前記車載器は走行時における前記車輌の貨物積載情報を検知する重量センサを有し、
前記サーバは、前記重量センサにより検知された貨物積載情報に基づき推定燃費値を算出するステップを実行する請求項1〜6の何れかに記載の車輌燃費情報管理方法。
【請求項8】
車輌に取り付けられ、車輌の走行に伴う情報を検出する車載器からネットワークを介して送信された情報に基づき前記車輌の燃費情報を管理するシステムであって、
前記車載器により検知された車輌の走行情報を受信する走行情報受信手段と、
前記走行情報に基づき消費燃費値を算出する消費燃費算出手段と、
前記車輌の給油情報を受信する給油情報受信手段と
を有する車輌燃費情報管理システム。
【請求項9】
車輌に取り付けられ、車輌の走行に伴う情報を検出する車載器からネットワークを介して送信された情報に基づき前記車輌の燃費情報を管理するサーバが、
前記車載器により検知された車輌の走行情報を受信するステップと、
前記走行情報に基づき消費燃費値を算出するステップと、
前記車輌の給油情報を受信するステップと
を実行し、車輌の燃費情報を管理する車輌燃費情報管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−48541(P2006−48541A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231511(P2004−231511)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(594057314)翼システム株式会社 (22)
【Fターム(参考)】