説明

車輌用灯具

【課題】 光の利用効率の向上を図る。
【解決手段】 光源として設けられた発光ダイオード13と、発光ダイオードから出射された光を反射する反射面として第1の反射面15と第2の反射面16と第3の反射面17が形成されたリフレクター14とを設け、第1の反射面は第1の焦点15aと第2の焦点15bを有し第1の焦点を発光ダイオードに一致させ、第2の反射面は第1の反射面に連続して形成されると共に一つの焦点16aを有し該焦点を第1の反射面の第1の焦点に一致させ、第3の反射面は第2の反射面を挟んで第1の反射面の反対側において第2の反射面に連続して形成されると共に一つの焦点17aを有し該焦点を第1の反射面の第2の焦点に一致させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用灯具に関する。詳しくは、リフレクターに三つの反射面を形成し一部の光を2回反射させて光の利用効率の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用灯具には、例えば、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に光源、リフレクター及びシェードを備え、光源から出射された光をリフレクターで反射させてカバーを介して出射すると共に反射された一部の光をシェードによって遮蔽するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された車輌用灯具にあっては、灯具外筐の内部に下方を向いた状態で発光ダイオードが配置され、該発光ダイオードから出射された光がリフレクターの反射面で反射されて前方へ向けて出射される。このとき発光ダイオードから出射された光の一部は発光ダイオードの前側に配置されたシェードによって遮蔽され、幻惑光の発生が防止されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−207528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された車輌用灯具にあっては、発光ダイオードから出射された光の一部がシェードによって遮蔽される構成とされているため、発光ダイオードから出射された光の利用効率が低いと言う問題がある。
【0006】
そこで、本発明車輌用灯具は、上記した問題点を克服し、光の利用効率の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
車輌用灯具は、上記した課題を解決するために、光源として設けられた発光ダイオードと、発光ダイオードから出射された光を反射する反射面として第1の反射面と第2の反射面と第3の反射面が形成されたリフレクターとを設け、第1の反射面は第1の焦点と第2の焦点を有し第1の焦点を発光ダイオードに一致させ、第2の反射面は第1の反射面に連続して形成されると共に一つの焦点を有し該焦点を第1の反射面の第1の焦点に一致させ、第3の反射面は第2の反射面を挟んで第1の反射面の反対側において第2の反射面に連続して形成されると共に一つの焦点を有し該焦点を第1の反射面の第2の焦点に一致させたものである。
【0008】
従って、車輌用灯具にあっては、発光ダイオードから出射された光の一部が第1の反射面で反射された後に第3の反射面で反射される。
【発明の効果】
【0009】
本発明車輌用灯具は、光源として設けられた発光ダイオードと、前記発光ダイオードから出射された光を反射する反射面として第1の反射面と第2の反射面と第3の反射面が形成されたリフレクターとを備え、前記第1の反射面は第1の焦点と第2の焦点を有し前記第1の焦点が前記発光ダイオードに一致され、前記第2の反射面は前記第1の反射面に連続して形成されると共に一つの焦点を有し該焦点が前記第1の反射面の前記第1の焦点に一致され、前記第3の反射面は前記第2の反射面を挟んで前記第1の反射面の反対側において前記第2の反射面に連続して形成されると共に一つの焦点を有し該焦点が前記第1の反射面の前記第2の焦点に一致されたことを特徴とする。
【0010】
従って、発光ダイオードから出射された光が、第1の反射面及び第3の反射面で2回反射されて照射されるか又は第2の反射面で反射されて照射されるため、シェードを設けて発光ダイオードから出射された光の一部を遮蔽する必要がなく、光の利用効率の向上を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載した発明にあっては、前記第1の反射面を楕円反射面に形成し、前記第2の反射面及び前記第3の反射面をそれぞれ放物反射面に形成したので、リフレクターの機能性の向上による光の利用効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0013】
以下に示した最良の形態は、本発明車輌用灯具を車輌用前照灯に適用したものである。尚、本発明の適用範囲は車輌用前照灯に限られることはなく、光源として用いられる発光ダイオードと該発光ダイオードから出射された光を反射するリフレクターとを備える各種の車輌用灯具に広く適用することができる。
【0014】
車輌用灯具(車輌用前照灯)1、1は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0015】
車輌用灯具1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2と該ランプハウジング2の開口面を閉塞するカバー3とを備えている。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、該灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。
【0016】
灯室5には第1の灯具ユニット6と第2の灯具ユニット7が上下に配置されている。
【0017】
第1の灯具ユニット6は第1の発光ダイオード8と第1のリフレクター9とシェード10と投影レンズ11を有し、光を投影レンズ11によって投影して照射する所謂プロジェクター型の灯具ユニットである。
【0018】
第1の発光ダイオード8は保持部材12に配置されている。保持部材12は所要の各部を配置する配置部として機能する他、灯室5において生じる熱を車輌用灯具1の外部へ放出するヒートシンクとして機能する。保持部材12は、特に、第1の発光ダイオード8及び後述する第2の発光ダイオードの点灯時に発生する熱を外部へ放出するヒートシンクとして機能する。
【0019】
保持部材12は放熱性の高い金属材料によって形成され、配置ベース部12aと該配置ベース部12aの前面から前方へ突出され横倒しL字状に形成された配置用突部12bとを有している。第1の発光ダイオード8は上向きの状態で配置ベース部12aの上面に配置されている。
【0020】
第1のリフレクター9は保持部材12の上方に配置され、内面が反射面9aとして形成されている。反射面9aは放物面又は楕円面に形成されている。
【0021】
シェード10は保持部材12の上半部の前方に配置されている。
【0022】
投影レンズ11は図示しないホルダーに保持された状態で第1のリフレクター9の前方に配置されている。
【0023】
第1の灯具ユニット6において、第1の発光ダイオード8から出射された光は、一部を除いて第1のリフレクター9の反射面9aで反射されてシェード10の上面付近に存在する焦点に集光され、投影レンズ11によって投影されカバー3を透過されて前方へ向けて照射される。このとき第1の発光ダイオード8から出射された光の一部は、シェード10によって遮蔽される。
【0024】
第2の灯具ユニット7は第2の発光ダイオード13と第2のリフレクター14を有し、光を第2のリフレクター14で反射して照射する所謂パラボラ型の灯具ユニットである。
【0025】
第2の発光ダイオード13は保持部材12の配置用突部12bにおける後面に後向きの状態で配置されている。第2の発光ダイオード13は、例えば、左右に並んだ四つの発光部13a、13a、・・・を有している(図2参照)。
【0026】
上記したように、第1の灯具ユニット6の第1の発光ダイオード8をヒートシンクとして機能する保持部材12の配置ベース部12aに配置し、第2の灯具ユニット7の第2の発光ダイオード13を配置用突部12bに配置することにより、第1の発光ダイオード8と第2の発光ダイオード13をヒートシンクとして機能する各別の部材に配置する必要がなく、部品点数の増加を伴うことなく良好な放熱性を確保することができる。
【0027】
第2のリフレクター14は保持部材12の配置ベース部12aの前方に配置され、第1の反射面15、第2の反射面16及び第3の反射面17を有している(図1、図3及び図4参照)。第1の反射面15は、例えば、楕円反射面であり、第2の反射面16及び第3の反射面17は、例えば、放物反射面である。
【0028】
第1の反射面15は第2の発光ダイオード13の後方に位置され、第1の焦点15aと第2の焦点15bの二つの焦点を有している。第1の反射面15の第1の焦点15aは第2の発光ダイオード13に一致されている。具体的には、第1の焦点15aは、例えば、第2の発光ダイオード13の左右方向における中央の下縁に一致されている(図2参照)。
【0029】
第2の反射面16は第1の反射面15の下側に連続して位置され、一つの焦点16aを有している。第2の反射面16の焦点16aは第1の反射面15の第1の焦点15aに一致されている。従って、焦点16aは、例えば、第2の発光ダイオード13の左右方向における中央の下縁に一致されている(図2参照)。
【0030】
第3の反射面17は第2の反射面16の下側に連続して位置され、一つの焦点17aを有している。第3の反射面17の焦点17aは第1の反射面15の第2の焦点15bに一致されている(図1参照)。第3の反射面17の上端部には略前方を向く段差面17b、17b、・・・が形成されている(図3及び図4参照)。段差面17b、17b、・・・は第2の発光ダイオード13から出射された光が入射されない非入射面とされている。
【0031】
第2のリフレクター14における第2の反射面16と第3の反射面17の境界部18及び第1の反射面15の上端は、図1に示すように、第2の発光ダイオード13の出射面を通る平面19が横切る位置に形成されている。
【0032】
第3の反射面17の下端には略前方へ延びる遮蔽部材20が連続されている。遮蔽部材20は灯室5の下端部に配置される図示しない部材を覆い隠すための部材であり、また、遮蔽部材20には第2の発光ダイオード13から出射された光が入射されない。
【0033】
第2の灯具ユニット7において、第2の発光ダイオード13から出射された光の一部は、図5に示すように、第2のリフレクター14の第1の反射面15で反射されて第3の反射面17へ向かい、該第3の反射面17で再度反射されカバー3を透過されて前方へ向けて照射される。
【0034】
また、第2の灯具ユニット7において、第2の発光ダイオード13から出射され第1の反射面15へ向かわなかった光は、図6に示すように、第2のリフレクター14の第2の反射面16で反射されカバー3を透過されて前方へ向けて照射される。
【0035】
従って、第2の灯具ユニット7において、第2の発光ダイオード13から出射された光は、全て第3の反射面17又は第2の反射面16で反射され前方へ向けて照射される。
【0036】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、第2のリフレクター14に第1の反射面15、第2の反射面16及び第3の反射面17を形成し、第1の反射面15の第1の焦点15aを第2の発光ダイオード13に一致させ、第2の反射面16の焦点16aを第1の焦点15aに一致させ、第3の反射面17の焦点17aを第1の反射面15の第2の焦点15bに一致させている。
【0037】
従って、上記したように、第2の発光ダイオード13から出射された光は、第1の反射面15及び第3の反射面17で2回反射されて前方へ向かうか又は第2の反射面16で反射されて前方へ向かうため、シェードを設けて第2の発光ダイオード13から出射された光の一部を遮蔽する必要がなく、光の利用効率の向上を図ることができる。
【0038】
また、第2の発光ダイオード13から出射された光の利用効率の向上を目的として、全ての光を1回反射させて照射するために第2のリフレクター14の反射面を前斜め下方へ延びるように大きく形成する必要がなく、車輌用灯具1の大型化を回避することが可能である。
【0039】
さらに、第2の灯具ユニット7にシェードを設ける必要がないため、その分、車輌用灯具1の小型化を図ることができる。また、シェードを設ける場合には、第2の発光ダイオード13及び第2のリフレクター14とシェードとの高い位置精度が必要となるが、車輌用灯具1にあっては、シェードを設けていないため、このような位置精度の考慮が不要となり、製造コストの低減及び組立作業の容易化を図ることができる。
【0040】
加えて、第2のリフレクター14の第1の反射面15を楕円反射面に形成し第2の反射面16及び第3の反射面17を放物反射面に形成することにより、第2の発光ダイオード13から出射された光を第1の反射面15と第3の反射面17で2回反射させると共に第2の反射面16で1回反射させることができ、第2のリフレクター14の機能性の向上による光の利用効率の向上を図ることができる。
【0041】
尚、上記には、第2の灯具ユニット7において、第2のリフレクター14を第2の発光ダイオード13の後方側から下方側へ延びるように配置した例を示したが、逆に、第2のリフレクターを第2の発光ダイオード13の後方側から上方側へ延びるように配置することも可能である。
【0042】
また、上記したように、第1の灯具ユニット6の下方に第2の灯具ユニット7を配置することにより、車輌用灯具1の左右方向及び前後方向における長さを短縮化することができる。
【0043】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図2乃至図6と共に本発明車輌用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は、概略縦断面図である。
【図2】第2の発光ダイオードの配置状態を示す拡大斜視図である。
【図3】第2のリフレクターの拡大斜視図である。
【図4】第2のリフレクターの概略側面図である。
【図5】第2の発光ダイオードから出射され第1の反射面で反射される光の経路を示す光路図である。
【図6】第2の発光ダイオードから出射され第2の反射面で反射される光の経路を示す光路図である。
【符号の説明】
【0045】
1…車輌用灯具、13…第2の発光ダイオード、14…第2のリフレクター、15…第1の反射面、15a…第1の焦点、15b…第2の焦点、16…第2の反射面、16a…焦点、17…第3の反射面、17a…焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源として設けられた発光ダイオードと、
前記発光ダイオードから出射された光を反射する反射面として第1の反射面と第2の反射面と第3の反射面が形成されたリフレクターとを備え、
前記第1の反射面は第1の焦点と第2の焦点を有し前記第1の焦点が前記発光ダイオードに一致され、
前記第2の反射面は前記第1の反射面に連続して形成されると共に一つの焦点を有し該焦点が前記第1の反射面の前記第1の焦点に一致され、
前記第3の反射面は前記第2の反射面を挟んで前記第1の反射面の反対側において前記第2の反射面に連続して形成されると共に一つの焦点を有し該焦点が前記第1の反射面の前記第2の焦点に一致された
ことを特徴とする車輌用灯具。
【請求項2】
前記第1の反射面を楕円反射面に形成し、
前記第2の反射面及び前記第3の反射面をそれぞれ放物反射面に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−123392(P2010−123392A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295861(P2008−295861)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】