説明

軌道の高低狂いの整正のための方法

本発明は、高低狂い(y−)の整正のための方法に関し、この場合に軌道は高低狂い(y−)の各値に依存した余剰持ち上げ(y+)だけ、最終的な目標位置(X)を越えて持ち上げられて、仮の目標位置(Xv)を形成した状態で突き固められる。次いで軌道安定化の範囲で軌道(2)のバラスト道床に種々の圧縮を与えて、所望の目標位置(X)を得るようになっている。これによって、もとの軌道高低狂い位置への軌道の戻りは避けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道の高低狂いの整正のための方法に関し、この場合に軌道は仮の目標位置へ持ち上げた状態で突き固められ、次いで軌道安定化の範囲で横振動と関連した静荷重の作用によって制御に基づき最終的な目標位置へ降下されるようになっている。
【0002】
米国特許第6154973号明細書に記載の軌道高低狂いの整正方法においては、軌道の突き固めの後に、大きな若しくは長波状の高低狂いを検出するために軌道位置を測定するようになっている。次いで軌道スタビライザーの投入によって最終的な目標位置への軌道の制御された降下を行うようになっており、この場合に静荷重若しくは横振動の変化によって大きな狂いは取り除かれる。
【0003】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の方法を改善して、軌道の整正された高さ位置を長く維持できるようにすることである。
【0004】
前記課題を解決するために本発明に基づく方法では、軌道は高低狂いの各値に依存した余剰持ち上げ量だけ、最終的な目標位置を越えて持ち上げられて、突き固められる。
【0005】
高低狂いに関連して軌道を意図的に余分に持ち上げ若しくは盛り上げることによって、軌道の高低狂いの大きな区分は、続いて行われる軌道安定化の範囲内で必然的に強く圧縮されることになる。これによって、軌道の高低狂いの大きな区分が車両通過時の負荷によって比較的に短期間に前の高低狂いの位置へ沈下してしまうようなことは避けられるようになっている。このような作用効果は、最小の追加費用で達成され、このことは極めて大きな利点である。
【0006】
本発明の実施態様を従属請求項に記載してある。本発明の1つの実施態様により、各余剰持ち上げの値及び場所的な位置は記憶されて、軌道安定化による軌道降下の制御に用いられる。本発明の有利な実施態様では、目標位置への軌道の降下のための軌道安定化の際に垂直な荷重若しくは負荷を高低狂いに依存して変化させるようになっている。本発明の別の実施態様では、目標位置への軌道の降下のための軌道安定化の際に横振動の振動数を高低狂いに依存して変化させるようになっている。本発明のさらに別の実施態様では、目標位置への軌道の降下のために、軌道安定化に用いられる機械の前進走行速度を高低狂いに依存して変化させるようになっている。
【0007】
次に本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明する。図面において、
図1は、軌道の高低狂い整正のための機械の側面図であり、
図2は、軌道の高低狂い若しくは軌道位置の推移を示す線図である。
【0008】
線路若しくは軌道2の高低狂い整正のための図1に示す機械1は、2つのフレーム部分3,4によって形成された1つの機械フレーム6並びにレール走行台車7を有している。作業方向8で見て前側のフレーム部分3は、枕木10の下側を突き固めるための突き固め装置9を備えている。後側のフレーム部分4に対応して安定化装置11を配置してあり、安定化装置は垂直方向の荷重によって軌道2に圧着されて、軌道に横方向振動を生ぜしめるようになっている。
【0009】
前側のフレーム部分3に設けられた突き固め装置9は、前側に設けられた軌道持ち上げ装置12と一緒に、サテライトフレーム13に配置されている。サテライトフレーム若しくは補助フレームは、前側の端部で駆動装置5によって長手方向移動可能にフレーム部分3に支承されているのに対して、後側の端部は固有のレール走行台車7に支えられている。前側のフレーム部分に結合された作業キャビン14を、レール走行台車上に配置してある、作業キャビンは制御装置15を備えている。軌道位置修正のために基準系17を設けてあり、基準系(基準装置)は測定軸16を有している。
【0010】
図2に示してあるダイヤグラムのx軸は、軌道の長さを表して、y軸は高低狂いを表している。軌道2の、基準系17によって記録された実際位置Xiは、高低狂いy−の種々の大きさの狂い値によって表されている。従来は一般的に、軌道は目標位置Xに持ち上げられて突き固められている。次いでこのような仮の目標位置Xは、静荷重及び振動の作用を受けて軌道安定化の範囲内で圧縮によって一様に降下される。
【0011】
本発明に基づく方法では、軌道2は高低狂いy−の各狂い値に依存する余剰持ち上げ量y+だけ、最終的な目標位置Xを超えて持ち上げられて、仮の目標位置Xvを形成した状態で突き固められる。この場合に重要なことは、距離測定装置18によって検出された場所的な各位置Xs、並びに高低狂いy−に依存する余剰持ち上げy+の値を記録して制御装置15にメモリーすることである。有利には、余剰高さy+は高低狂いy−に比例している。
【0012】
安定化装置11の投入による軌道2の降下は、実際に安定化装置と締め固め装置9との間の間隔dにわたって時間をずらして行われる。このために距離測定装置18によって記録された間隔dに依存して、記憶された各余剰高さy+を制御装置15から呼び出して、安定化装置11の静荷重並びに所定の振動数の横振動を、軌道2の最終的な目標位置Xが得られるまで作用させる。軌道の最終的な目標位置を達成したか否かは、後側のフレーム部分4に対応して配置された基準系20を用いて測定軸19と関連して検出される。高低狂いy−が大きい場合には、自動的に静荷重及び/又は振動数を高めるようになっている。これによって機械1の一定の前進運動にもかかわらず種々の圧縮を可能にしている。
【0013】
高低狂いy−に依存した若しくは比例した余剰持ち上げによって、軌道2がもとの、つまり突き固め施工の前に存在していた高低狂いの位置に戻ってしまうような傾向は確実に避けられ、それというのは高低狂いの大きな区分は高低狂いの小さな区分よりも強く圧縮されるからである。
【0014】
本発明に基づく方法は、安定化装置11が独立に走行可能な車両、いわゆる軌道スタビライザー上に配置されている場合にも実施され得るものである。この場合には、必要なデータ(場所的な位置及び余剰持ち上げの値)は無線で軌道スタビライザーに伝達される。高低狂いの大きい場合に目標位置Xへの軌道の強い降下を達成するために、軌道安定化装置若しくは軌道スタビライザーの前進走行速度を変化させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】軌道の高低狂い整正のための機械の側面図
【図2】軌道の高低狂いの推移を示す線図
【符号の説明】
【0016】
1 機械、 2 軌道、 3,4 フレーム部分、 5 駆動装置、 6 機械フレーム、 7 レール走行台車、 8 作業方向、 9 締め固め装置、 10 枕木、 11 安定化装置、 12 軌道持ち上げ装置、 13 サテライトフレーム、 17 基準系、 18 距離測定装置、 19 測定軸、 20 基準系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(2)の高低狂い(y−)の整正のための方法であって、軌道は仮の目標位置(Xv)へ持ち上げた状態で突き固められ、次いで軌道安定化の範囲で横振動と関連した静荷重の作用によって最終的な目標位置(X)へ降下されるようになっている形式のものにおいて、軌道(2)は高低狂い(y−)の各値に依存した余剰持ち上げ量(y+)だけ、最終的な目標位置(X)を越えて持ち上げられて、次いで突き固められることを特徴とする、軌道の高低狂いの整正のための方法。
【請求項2】
各余剰持ち上げの場所的な位置(Xs)及び値を記憶していて、軌道安定化による軌道降下の制御に用いる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
目標位置(X)への軌道(2)の降下のための軌道安定化の際に垂直な荷重を高低狂い(y−)に依存して変化させる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
目標位置(X)への軌道(2)の降下のための軌道安定化の際に横振動の振動数を高低狂い(y−)に依存して変化させる請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
目標位置(X)への軌道(2)の降下のために、軌道安定化に用いられる機械の前進走行速度を高低狂い(y−)に依存して変化させる請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−520862(P2008−520862A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541697(P2007−541697)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013218
【国際公開番号】WO2006/056215
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(390014421)フランツ プラツセル バーンバウマシーネン−インズストリーゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Franz Plasser Bahnbaumaschinen−Industriegesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3,Wien 1,Austria
【Fターム(参考)】