説明

軒先材

【課題】屋根材の軒棟方向において最適な取り付け位置を簡単に決定することができ、太陽光発電パネルと屋根材の間に小動物が侵入することを防止でき、かつ空気の流通、雨水の排水を保持することができる、軒先材を提供する。
【解決手段】軒先材は、侵入防止下り壁と屋根材取付け部を一体化しており、その侵入防止下り壁は屋根材に設置する位置決め機能をもち、軒先材の屋根材取り付け部に屋根材を取り付けると、侵入防止下り壁の下端と屋根材の間に小鳥が入らない程度の隙間ができることを特徴とする。通気・排水機能を確保しながら、小動物の侵入防止を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネルと波状の屋根材とを一体化した屋根材付き太陽光発電パネルの設置に用いる軒先材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術について、図7により説明する。
【0003】
図7は、出願人が特願2010−030657として出願した技術であり、「屋根材付き太陽光発電パネル及び屋根材付き軒先材」の出願である。
明細書の段落番号0006において、「屋根材は、山部と谷部とを有しており、軒棟方向に連通する空間が形成されている」と、記載した。
この軒棟方向に連通する空間は、屋根面と太陽光発電パネルとの間の通気や排水をする役割を果たしている。太陽光発電パネルと屋根材との間に通気機能を備えることによって、温度上昇による発電効率の低下を抑える効果が得られる。同時に、排水機能を備えることによって、屋根材上に水をためることなく水下側に排水することができるので、屋根材や金具類の腐食を抑える効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2010−030657号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7に示した軒先材B1は、屋根材の水下端部と軒先材B1の折り下げ部15との間に間隔をあけて固定(一体化)するために、軒棟方向において最適な位置に取り付けられるよう、段差を設けている。しかし、その段差が小さいために、位置決めの機能を果たせず、軒先材B1の取り付け位置がずれてしまうことがあった。さらには、屋根材の水下端部が本来の取り付け位置を通り過ぎ、折り下げ部15に突き当たる位置まで行ってしまうこともある。屋根材の水下端部が折り下げ部15に突き当たる位置に、軒先材B1を取り付けてしまうと、通気や排水ができなくなってしまう。
また、屋根材の水下端部から軒棟方向に連通する空間に雀等の小動物が侵入し、通気や排水の妨げになる場合があった。
【0006】
本願は、軒先材を屋根材に取り付けるための位置決めが容易であり、かつ太陽光発電パネルと屋根材との間に小動物が侵入するのを防止できる軒先材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の軒先材は、太陽光発電パネルと波状の屋根材とを一体化した屋根材付き太陽光発電パネル用軒先材である。
屋根材取り付け部と侵入防止下り壁とが一体化されており、該侵入防止下り壁の水上側の面を屋根材の山部の水下端部に当接させて、前記屋根材取り付け部に屋根材の山部を取り付けたときに、前記侵入防止下り壁の下端部と屋根材の谷部との間に小動物が入らない隙間を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
軒先材を山部と谷部とを有する屋根材に取り付けるのに際し、段差ではなく侵入防止下り壁によって位置決めすることで、軒先材の取り付け位置がずれてしまったり、屋根材の水下端部が折り下げ部に突き当たる位置まで行ってしまうこともない。そのため、軒先材を屋根材に取り付けるのが簡単になる。
また、本願の軒先材は、侵入防止下り壁の下端と屋根材の谷間との間の隙間により通気・排水機能を保持しつつ、侵入防止下り壁により太陽光発電パネルと屋根材の間に小動物が侵入するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の軒先材を取り付ける屋根材の例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の軒先材の例を示す斜視図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】本発明の実施例である屋根材付き軒先材の説明図である。
【図6】本発明の実施例である屋根材付き軒先材を取り付けた状態を示す説明図である。
【図7】従来技術の説明図である。
【実施例】
【0010】
本願の軒先材の実施例について、図1、図2、図3、図4、図5、図6により説明する。
図1は、軒先材を取り付ける屋根材の斜視図である。図2は、図1に示した屋根材のA−A線断面図である。図3は、軒先材の斜視図である、図4は、図3に示した軒先材のB−B線断面図である。図5は、軒先材を屋根材に取り付けた状態を示す説明図である。図6は実施例である屋根材付き軒先材を示す説明図である。
【0011】
まず、図1及び図2で示した屋根材2は、山部22と谷部23とを交互に形成した波状のものであり、軒棟方向に連通する空間を有する。ただし、これは一例であり、山部22と谷部23とを有した波状のものであれば、谷部23を広くした形状又は、谷部23を狭くした形状でもよい。この屋根材2の山部22と谷部23は、太陽光発電パネルと屋根材2との間、また、軒先材1と屋根材2との間の通気・排水の機能を果たす。
【0012】
図3及び図4で示した軒先材1は、屋根材取り付け部13と侵入防止下り壁12とを一体化したものである。図4の例では、水上側に屋根材付き太陽光発電パネルと嵌合できる嵌合部14が形成され、水下側に屋根材端部が包み込まれる折り下げ部15が形成されている。屋根材取り付け部13と侵入防止下り壁12が一体化されていて通気・排水機能を妨げなければ、このように施工性を向上させる嵌合部14を設けたり、機能性や意匠性を向上させる折り下げ部15を設けてもよく、それらの形状は問わない。
【0013】
図5で示すように、屋根材2に、軒先材1を取り付ける。この際、軒先材1の侵入下り壁12の水上側の面を屋根材2の山部の水上端部に突き当てて、軒先材1の屋根材取り付け部13と屋根材2の山部とをリベットなどの止着具16によって固定する。なお、この固定は、止着具を用いずに溶接等で行ってもよい。
この軒先材1の侵入防止下り壁12は、水上側の面を屋根材2の山部の水下端部に突き当てるだけで、軒棟方向における最適な位置に軒先材1を取り付けられるよう、設計されている。
また、軒先材1の侵入防止下り壁12の高さは、軒先材1を屋根材2に取り付けた際、軒先材1の侵入防止下り壁12の下端部と屋根材2の谷部との間に、隙間ができるよう、設計しておく。なお、その隙間は小動物が侵入できない程度である。たとえば、侵入する小動物としては、雀が代表的である。市販の雀よけ製品の仕様によれば、約20ミリメートル以下の隙間であれば雀は侵入できないとされている。そのため、軒先材1の侵入防止下り壁12の下端部と屋根材2の谷部との隙間は、約20ミリメートル以下であることが望ましい。ただし、侵入の可能性のある小動物は様々であり、その大きさも異なるので、侵入が想定される小動物の大きさに応じて隙間の大きさを設定すればよい。
その結果、通気・排水機能を確保しながら、小動物の侵入を防止することができる。
【0014】
図6で示すように、軒先材1を屋根材2に取り付けることによって、それらを一体化した屋根材付き軒先材Aとしておき、屋根上に設置する。屋根上への設置に際しては、出願人が特願2010−030657として出願した技術である「屋根材付き太陽光発電パネル及び屋根材付き軒先材」の屋根材付き軒先材として利用することが望ましい。図4のように本願の軒先材1の水上側に嵌合部14を形成しておくことによって、特願2010−030657における屋根材付き軒先材として利用することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 軒先材
12 侵入防止下り壁
13 屋根材取り付け部
14 嵌合部
15 折り下げ部
16 止着具
2 屋根材
22 山部
23 谷部
A 屋根材付き軒先材
B 屋根材付き太陽光発電パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネルと波状の屋根材とを一体化した屋根材付き太陽光発電パネル用軒先材であって、
屋根材取り付け部と侵入防止下り壁とが一体化されており、
該侵入防止下り壁の水上側の面を屋根材の山部の水下端部に当接させて、
前記屋根材取り付け部に屋根材の山部を取り付けたときに、
前記侵入防止下り壁の下端部と屋根材の谷部との間に小動物が入らない隙間を形成することを特徴とする軒先材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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