説明

軟性成形可能接着ペースト

本発明は、皮膚適用感圧ペースト組成物に関する。ペーストは、合計ペースト処方を基準として、10〜50%(w/w)の極性ポリエチレンコポリマーと極性油のブレンドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストーマと皮膚バリア間のシーリングとして用いることのできる軟性で成形が容易なペースト組成物に関する。さらに、組成物は、皮膚バリアを後に確実に取り付けるために凹凸のある皮膚領域を滑らかにするのに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
消化管における数多くの疾患についての手術に関連して、多くのケースにおいて、結腸、回腸または尿道は外科的に露出される結果となる。患者は、腹壁開口のままで、臓器を通して運ばれる体液や老廃物が、人工オリフィスや開口部を通して排出され、捕集袋に集められる。袋は、通常、ストーマに適合する入口開口部を有する接着ウェハまたはプレートによって、皮膚に貼り付いている。
【0003】
安全シールを与えるために、ストーマと皮膚バリア間の領域を充填する、または、器具を確実に取り付けることのできる平滑な表面を得るために、ストーマ周囲の凹凸のある腹部皮膚領域を構築するには、ペーストが用いられることが多い。
【0004】
かかるペーストは、十分に粘性とさせて、即時に皮膚に安全に取り付けられ、指の圧力で容易に成形でき、残渣を残すことなく、まとめて除去可能な組成物を有していなければならない。さらに、組成物は、皮膚に優しく、高吸湿レベル、およびストーマからの滲出液に皮膚が露出されないよう、高耐侵食性を有していなければならない。
【0005】
オストミーペーストは、スティック/ストリップまたはリングの形態で商業的に入手可能あり、例えば、Coloplastオストミーペースト、Eakin(登録商標)リング、Stomahesive(登録商標)ペーストが市販されている。
【0006】
国際公開第98/17329号パンフレットには、瘻孔またはオストミー器具に関連して用いられる低刺激性の実質的に非記憶パテ様接着剤のモールド可能な塊が記載されている。組成物は、ジ−ブロックコポリマーを主成分として有する1〜20wt.%のブロックコポリマー、5〜60wt.%の粘着付与液体成分および1〜10wt.%のろう状成分を含む。
【0007】
Eakin Cohesive(登録商標)、TG Eakin Limitedより入手可能な親水コロイド製品は、モールド可能で、成形が容易な吸湿皮膚バリアと言われている。Eakinのウェブサイト、http://www.eakin.co.ukから引用される情報によれば、伸張、圧縮またはモールド可能で、必要とされる正確な形状およびサイズに適合させることができる。Eakin Cohesiveは、活性成分は含有していないが、シールが適所にある間、除放される独特の炭水化物を含有するといわれており、有害な酵素を希釈し、胆汁や回腸液等の老廃物および体液から皮膚を保護する。製品は、ストーマ嚢および器具でシールとして、皮膚のひだおよび傷跡におけるパック剤として、排液チューブおよび瘻孔シールとして、および包帯適用前の創縁周囲の「額」として用いることができる。
【0008】
これらのペーストには、以下の2つの本質的な欠陥がある。
【0009】
1.元の形状に戻らないようにするため(非記憶)、ペーストは高レベルの可塑性を有する。しかしながら、使用後は、清浄にするのが難しい大量の残渣を皮膚に残さずに、まとめてペーストを除去できるのが望ましい。その理由のため、必要な吸湿速度および能力を得るためばかりでなく、使用中のペーストの形状を安定させ、除去後の皮膚に残る残渣を最小にするためにも、親水コロイドの形態の粒子は大量に添加される。大量の粒子によって、ペーストが硬くなり、最終使用者に、指/手の力がある程度必要とされる。皮膚に適合させるのにペーストを成形するのは時間の無駄であることが多い。
【0010】
2.ペーストは、最良の接着特性を達成し、健康な皮膚を維持するために、高吸湿性を有する。しかしながら、ペーストを非記憶のようにするのに必要なレベルの可塑性と組み合わせた必要な吸収レベルとは、滲出液と接触すると、親水コロイドの膨潤のために、容易に分解されるであろうことを意味する。耐侵食性が乏しいと、耐用年数が短くなり、漏れ易くなり、かつ/または使用者の皮膚を露出させて、攻撃的な産出物と接触し、皮膚の問題につながる。
【0011】
親水コロイド接着剤の耐侵食性を改善する方法として、架橋親水コロイドを用いることが記載されている。架橋親水コロイド(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デキトラン)は、架橋構造のために溶解しない。膨潤プロセス中、個々の粒子は、従って、ゲル様構造を得るが、架橋材料中の分子が、個々の粒子を構成する網目構造にロックされているため、粘着性ゲルは形成できない。しかしながら、滲出液との接触で、架橋親水コロイドは、粘着性ゲルがないことにより、浸出するため、従って、耐侵食性の効果は限定される。
【0012】
他の方法は、連続相の凝集性を増大するものである。それによって、連続相は、親水コロイドの膨潤中、分解する傾向が減る。この方法を用いる欠点は、増大した凝集性によって、吸収速度が低下し、最終的に、塑性変形の欠如により、滲出液との接触における過剰の膨潤のために、ペーストが皮膚との接触を失い、それが露出されることである。
【0013】
軟性透過性組成物を用いることにより、吸湿性や除去容易性を損なうことなく、また、その他可能性のある悪影響を取り込むことなく、成形が容易で、耐侵食性の改善されたペーストを生成できるということを意外にも知見した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、皮膚適用感圧ペースト組成物に関する。ペーストは、合計ペースト処方を基準として、10〜50%(w/w)の極性ポリエチレンコポリマーと極性油のブレンドを含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用いる軟性透過性組成物は、国際公開第2009/006901号パンフレットに記載されているような極性可塑油を含む極性ポリエチレンコポリマーである。国際公開第2009/006901号パンフレットに記載された組成物は、ホットメルト処理可能なものであり、10%(w/w)を超える極性可塑油および10〜50%の含量のポリエチレンコポリマーを含み、メルトフローインデックスは2g未満/10分(190℃/21.1N)である。
【0016】
これらの軟性透過性組成物自体は、ポリエチレンビニルコポリマーが高分子量であるため、オストミーペーストを作製するのに向いていない。これらの材料のみで作製されたペーストは、使用中に取扱うのができないでくらい軟性となるか、あるいは、成形手順後、所望の形態を維持するには、ペーストにとって弾性特性レベルが高くなりすぎるかのいずれかである。しかしながら、これらの材料を従来のペースト組成物と混合すると、好ましいレオロジー特性が意外にも達成される。
【0017】
本発明の一実施形態において、皮膚適用感圧ペースト組成物は、合計ペースト処方を基準として、10〜50%(w/w)の極性ポリエチレンコポリマーと極性油のブレンドを含む。
【0018】
軟性高透過性ポリエチレンコポリマー組成物を、他の非透過性連続相に導入すると、少ない量の親水コロイドを用いる、かつ/または吸湿速度を下げたり、ペーストの弾性特性に通常関連する損傷モード(成形ペーストの張力、体液と接触した際の過剰な膨潤)を取り込むことなく、ペーストの凝集性および軟性を増大することによって、より軟性のペーストを得ることができる。
【0019】
最終使用者にとって、これらの改善は、ペーストを必要な形態へとより容易に成形される(またはできる)ことを意味している。使用者の中には、腹部の皮膚に直接成形することができる人もおり、ストーマと接着ベースプレート間に、より安全なシール、または皮膚凹凸へのベースプレートのより確実な取付けを得ることができる。侵食によって漏れが促進されることが多いため、ペーストの耐侵食性の増大によってまた、使用者に安全も与えられる。さらに、身体からの攻撃的な滲出液と皮膚の接触が、オストミーの人の皮膚に問題を生じる主な原因であることが分かっている。この新たなタイプのペーストの耐侵食性によって、使用中、ストーマ周囲皮膚の露出がかなり少なくなり、健康な皮膚を維持するのに役に立つ。
【0020】
それぞれ、高透過性および非極性材料(連続相)の熱可塑性材料を組み合わせると、相分離または移動により、安定性の問題を生じ得る。しかしながら、エージング調査によれば、本発明によるこれらの組成物は、吸水、接着およびレオロジー特性に関して必要な安定性を有することが証明されている。動的機械分析によれば、非極性と高透過性部分の両方を組み合わせたレオロジー表現である|G*|およびtan(δ)の均一な曲線が示される。
【0021】
本発明の一実施形態において、極性ポリエチレンコポリマーと極性油のブレンドは、ブレンドの10%(w/w)を超える含量で、極性可塑油または複数の極性可塑油の組み合わせを含み、ポリエチレンコポリマーの含量は、ブレンドの10〜50%(w/w)であり、少なくとも1つのポリエチレンコポリマーが、2g未満/10分(190℃/21.1N)のメルトフローインデックスを有する。
【0022】
ブレンドは、国際公開第98/17329号パンフレットおよび国際公開第98/17212号パンフレットに記載されたもののような任意の従来のペーストまたはモールド可能な接着剤と混合してもよい。
【0023】
本発明の他の実施形態において、極性ポリエチレンコポリマーと極性油のブレンドは、ブレンドの10%(w/w)を超える含量で、極性可塑油または複数の極性可塑油の組み合わせを含み、ポリエチレンコポリマーの含量は、ブレンドの10〜50%(w/w)であり、極性ポリエチレンコポリマーが、2g未満/10分(190℃/21.1N)のメルトフローインデックスを有する。
【0024】
本発明の一実施形態において、連続形態の最終ペーストは、MVTR試験方法に従って測定したとき、1mmのシートについて、少なくとも150g/m2/24時間、好ましくは、少なくとも200g/m2/24時間の水蒸気透過率を示す。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、最終ペーストは、1Hz(1%変形、32℃)で1,000,000Pa未満、好ましくは、250,000Pa未満の複素弾性率|G*|を有する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、最終ペーストは、1Hz(1%変形、32℃)で0.9を超える、好ましくは、1.0を超えるtan(δ)を有する。
【0027】
ブレンドに用いる主なポリマーはポリエチレンコポリマーである。コポリマーは、高透水性を得るために、かなりの量の極性成分を含有していなければならない。
【0028】
本発明の一実施形態において、極性ポリエチレンコポリマーは、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル一酸化炭素、エチレン酢酸ブチル、エチレンビニルアルコール、エチルブチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート一酸化炭素およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
極性ポリエチレンコポリマーは、エチレン酢酸ビニルであるのが好ましい。
【0030】
極性ポリマーとは、MVTR試験方法に従って測定したとき、150μmのフィルムについて、50g/m2/日を超える水蒸気透過率のポリマーを意味する。
【0031】
本発明の一実施形態において、エチレン酢酸ビニルは、少なくとも40%(w/w)の酢酸ビニル、好ましくは、40〜80%(w/w)の酢酸ビニルの含量を有する。
【0032】
好ましくは、ペーストに用いる極性ポリエチレンコポリマーは、2g未満/10分(190℃/21.1N)のメルトフローインデックス(MFI)となるレベルの分子構造を有していなければならない。メルトフローインデックスは、ISO 1133およびASTM D1238にある方法により測定することができる。
【0033】
高分子量および低MFIのポリマーを用いる利点は、高分子量ポリマーによって、十分に高い凝集強度がペーストに確保できることである。
【0034】
最終ペーストの含量とは、ペースト組成物に用いる成分の合計重量に対する成分の重量パーセンテージを意味する。
【0035】
本発明の一実施形態において、極性ポリエチレンコポリマーの含量は、最終ペーストの5〜20%(w/w)である。
【0036】
本発明の他の実施形態において、極性ポリエチレンコポリマーは、250,000g/モルを超える分子量を有する。
【0037】
本発明の一実施形態において、ペースト組成物は、極性可塑油または複数の極性可塑油の組み合わせを、最終ペーストの5〜40%(w/w)の含量で含む。
【0038】
本発明の一実施形態において、ペースト組成物は、液体ロジン誘導体、芳香族オレフィンオリゴマー、植物および動物油および誘導体からなる群から選択される極性可塑油を含む。好ましい極性油は、エステル、エーテルおよびグリコールである。
【0039】
特に好ましい油は、アルファ−ブトキシ−ポリオキシプロピレン等のポリプロピレンオキシドである。ポリプロピレンオキシドは、ペースト組成物の高透過性に寄与する。
【0040】
本発明によるペースト組成物の中には、凝集性を付与する、主ポリマー以外の少量の追加の極性ポリマーを含むものがある。この、またはこれらの追加のポリマーは粘着性を付与する。これらの追加のポリマーは、任意であり、全ての目的について必要であるわけではない。
【0041】
本発明の一実施形態において、ペースト組成物は、低分子量、すなわち、MFI>2の極性ポリマーをさらに含む。
【0042】
低Mwポリマーをペーストに添加すると、ペーストと皮膚の間に大量の水分が存在するとき、有利であり得る。
【0043】
粘着付与樹脂等の追加の成分を組成物に添加してもよい。
【0044】
本発明の一実施形態において、ペースト組成物は、天然、変性または合成樹脂等の粘着付与樹脂、好ましくは、極性樹脂、例えば、ロジン、ロジンエステル、水素化ロジン、水素化ロジンエステルおよびかかる極性樹脂または純粋な芳香族モノマー樹脂の誘導体をさらに含む。
【0045】
粘着付与樹脂を添加すると、ペースト中の粘着性が制御される、すなわち、弾性率が低下し、ガラス転移温度が上がる。
【0046】
粘着付与樹脂の含量は、最終ペーストの0〜20%(w/w)である。好ましくは、ペーストは、樹脂を実質的に含まない。ペースト組成物が樹脂を含むとき、粘着付与樹脂の含量は、最終ペーストの0.1〜20%(w/w)が好ましい。
【0047】
本発明の他の実施形態において、ペースト組成物は、酸化防止剤、安定剤、フィラー、顔料、流動性改良剤および活性成分からなる群から選択されるその他の成分をさらに含む。
【0048】
本発明の好ましい一実施形態において、ペースト組成物は、極性活性成分を含む。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、親水コロイド等の吸収粒子をさらに含む。
【0050】
従来の親水コロイド接着剤およびペースト同様、マイクロコロイドをはじめとするたいていの液体吸収ポリマー粒子を用いることができる。
【0051】
より具体的には、親水コロイドは、グアーガム、ロカストビーンガム(LBG)、ペクチン、アルギン酸塩、ジャガイモデンプン、ゼラチン、キサンタン、カラヤゴム、セルロース誘導体(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース等のカルボキシメチルセルロースの塩)、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルアルコールおよび/またはポリエチレングリコールであってもよい。
【0052】
本発明の一実施形態において、親水コロイドの含量は、合計組成物の20〜60%(w/w)である。
【0053】
マイクロコロイド粒子は、例えば、マイクロコロイド粒子を含む接着組成物を開示している国際公開第02/066087号パンフレットから当該技術分野において周知されている。マイクロコロイド粒子は、20ミクロン未満の粒子サイズを有していてもよい。
【0054】
本発明の一実施形態において、感圧ペースト組成物は、合計処方を基準として、1〜10%(w/w)の主成分がジ−ブロックのブロックコポリマー、10〜35%(w/w)の粘着付与液体成分および1〜8%(w/w)のろう状成分を含む。
【0055】
主成分がジ−ブロックとは、ブロックコポリマー中のジ−ブロック含量が、ブロックコポリマーの合計量の25%(w/w)を超える、好ましくは、30%(w/w)を超える、より好ましくは、50%(w/w)を超えることを意味する。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、感圧ペースト組成物は、合計処方に基づいて、1〜10%(w/w)の30%を超えるジ−ブロック含量を有するブロックコポリマー、10〜35%(w/w)の粘着付与液体成分および1〜8%(w/w)のろう状成分を含む。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、感圧ペースト組成物は、合計処方に基づいて、5〜25%(w/w)の極性ポリエチレンコポリマー、5〜40%(w/w)の極性油、1〜10%(w/w)の主成分がジ−ブロックのブロックコポリマー、10〜35%(w/w)の粘着付与液体成分、1〜8%(w/w)のろう状成分および20〜60%(w/w)の親水コロイドを含む。
【0058】
ブロックコポリマーは、物理的な架橋を形成することのできる比較的硬質のポリマーのブロックと、軟質のポリマーのブロックとを含むコポリマーであってもよい。ブロックコポリマーの成分は、ブロックコポリマーに通常用いられるもの、例えば、SBS、SISまたはSEBSコポリマー、例えば、スチレンおよびブタジエン、イソプレンまたはエチレンブチレンコポリマーと同じであってもよい。好ましいコポリマーは、30%を超えるジ−ブロック成分含量を含むスチレン−エチレンブチレン−スチレンコポリマー(SEBS)である。
【0059】
粘着付与粘性液体成分は、好ましくは、ブロックコポリマーと相溶性のある粘性ポリマー材料である。粘着付与液体は、ポリブチレンまたはポリイソブチレンであってもよい。粘着付与粘性ポリマー成分の分子量は、GPCにより求めるとき、10,000〜120,000であるのが好ましい。
【0060】
ろう状成分は、例えば、鉱物ワックスまたはワセリンであってもよいが、好ましくは、好ましいブロックコポリマーSEBSと相溶性のある微晶質ワックスである。
【0061】
本発明はまた、上述した感圧ペースト組成物を含む医療機器にも関する。
【0062】
本発明によるペースト組成物を含む医療機器は、オストミー器具、集尿装置または糞管理装置であってもよい。
【0063】
実験
実験室方法
方法1:混合
接着剤を、F.Aoustin et Cie,11 Rue de Preaux76161 Darnetal,France製AoustinミキサーMX0.4(約200グラム含有)でコンパウンドした。ミキサーのチャンバ温度は約90℃であり、接着剤を30〜45rpmでコンパウンドした。
【0064】
極性ポリエチレンコポリマーと油のプレミックスを、過剰のPPO、プレミックス2および親水コロイドを一緒にミキサーに添加した。化合物を約30分間混合した。
【0065】
方法2:予備架橋Levameltの機械的分解
場合によっては、例えば、Levamelt500を用いたときは、予備架橋EVAの機械的分解を行う必要があった。ポリマーを、約10時間、冷Hermann Linden LKII0.5ミキサーで混合して、ポリマー鎖の機械的分解を行った。加熱システムには電源を入れず、混合速度は、低く、約20rpmに保って、ポリマーでの最良の機械的作業を確保した。ポリマーの分解の後、処理したポリマーの熱成形フィルムを目視検査した。少量のポリマーゲル塊のみが残るようになるまで、機械的処理を続けた。
【0066】
方法3:ガンマ照射
ポリマー1キロをビニール袋に入れた。袋を包装して、ガンマ照射業者、例えば、BGS Beta−Gamma Service,Wiehl,Germanyに送った。ポリマーに特定のガンマ線量、例えば、30kGyを照射した。ガンマ照射により、ポリマーのモル重量が増加する。ポリマーを戻し、油と混合して、上述した予備混合物を得た。
【0067】
方法4:吸湿の測定
2つの剥離ライナ間で約1±0.1mmの接着フィルムへと熱成形することにより、試料を作製した。
【0068】
穿孔具により、試料を穿孔した。試料サイズは、25×25mmであった。剥離ライナを除去した。試料を、スライドガラスに貼り付け、生理食塩水の入ったビーカーに入れ、37℃でインキュベータに入れた。
【0069】
計算:
試料を、経時で(M=(10分))秤量した。
25×25mmの試料については、面積は6.25cm2(表面端部は面積から除外した)であった。
吸湿は、次のようにして計算してもよい。
【数1】

【0070】
方法5:水蒸気透過率(MVTR)の測定
MVTRを、24時間にわたって、倒置カップ法を用いて、1平方メートル当たりのグラム(g/m2)で測定した。
【0071】
開口部を有する水および水蒸気不透性の容器またはカップを用いた。20mlの塩水(脱塩水中0.9%NaCl)を容器に入れ、開口部を試験接着フィルムでシールした。容器を、電気的に加熱した湿度キャビネットに入れ、容器またはカップを逆さまにして、水が接着剤と接触するようにした。キャビネットを、37℃および15%相対湿度(RH)に維持した。容器の重量損失は、時間の関数に従っていた。重量損失は、接着フィルムを通して伝わる水蒸気の蒸発によるものであった。この差を用いて、水蒸気透過率、すなわちMVTRを計算した。MVTRは、カップの開口部の面積で除算した時間当たりの重量損失として計算された(g/m2/24時間)。材料のMVTRは、材料の厚さの線形関数であった。このように、MVTRを記録して、材料を特徴付けるとき、MVTRを記録した材料の厚さも与えることが重要であった。1.0mmを対照として用いた。これより厚い、または薄い試料を測定する場合は、MVTRは、1.0mmの試料に対応するとして記録した。
【0072】
最後に、この方法を用いると、支持PUフィルムを使用することによるエラーを招いたことを注記しておく。接着剤/フィルムラミネートが、直列の2つの抵抗のシステムであったという事実を利用して、エラーを排除した。フィルムおよび接着剤は均質で、透過速度は、
1/P(測定)=1/P(フィルム)+1/P(接着剤)
で表すことができる。
【0073】
従って、接着剤のフィルム透過性および厚さを知ることにより、式
P(接着剤)=d(接着剤)/150ミクロン*1/(1/P(測定)−1/P(フィルム))
を用いて接着剤の本当の透過性(P(接着剤))(式中、d(接着剤)は、接着剤の実際に測定された厚さ、P(フィルム)は接着剤のないフィルムのMVTRおよびP(測定)は実際に測定したMVTR)を計算することができた。
【0074】
方法6:耐侵食性の測定
2つの剥離ライナ間で2±0.1mmの接着プレートへと熱成形することにより、試料を作製した。前記接着プレートを移し、非透過性ホイルで両側をラミネートした。
【0075】
穿孔具により、円形試料を穿孔し、室温(23℃)で、生理食塩水を入れた密閉ビーカーに入れた。ビーカーを回転させて、吸水が生じたのと同じ時間、試料の動的機械応力を加えた。
【0076】
18時間後、侵食部分を、mmで、半径方向に、中央孔から、試料の外周に向かって測定した。
【0077】
方法7:剥離損傷モードの測定:
剥離損傷モードを、試料を皮膚から剥離することにより測定した。
【0078】
接着剤の接着または凝集破壊である剥離損傷モードを目視観察した。凝集破壊の接着剤は、剥がすとき、基材に残渣を残す可能性があるため凝集破壊は望ましくなかった。
【0079】
2つの剥離ライナ間で約1±0.1mmの接着フィルムへと熱成形することにより、試験試料を作製した。前記接着フィルムを、30μmのポリウレタンフィルム上に転写コートした。
【0080】
試験試料を、前腕の内側に適用し、剥がす前、約2時間そのままにした。結果を、接着または凝集剥離損傷モードとして記録した。
【0081】
方法8:動的機械分析(DMA)ならびにG’およびtan(δ)の測定
パラメータ|G*|およびtan(δ)を次のようにして測定した。接着剤を、厚さ1mmのプレートに押しつけた。直径25mmの円形試料を切断し、Thermo Electron製RheoStress RS600レオメータに入れた。適用した形状は平行プレート25mmであり、変形は1%に固定して、測定が線形レジームで確実になされるようにした。測定は32℃で行った。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
結果
実施例1:
方法4、5、6、7および8に従って測定した。
【0085】
吸湿、水蒸気透過率(MVTR)、耐侵食性、剥離損傷モードおよびDMA。
【0086】
【表3】

【0087】
極性ポリエチレンコポリマー/PPO油プレミックスは、非極性プレミックス2より軟性であるが、より弾性である。従って、組成物10番から14番および27番は、非極性プレミックス2のみを含む15番に比べて、極性プレミックスの添加が増えるに伴い、高い弾性であるが、硬度の低下を示す。
【0088】
より可塑性の非極性プレミックス2をコンパウンディングした極性ポリエチレンコポリマーおよび極性可塑油により、蒸気透過の増大により、吸湿レベルを損なうことなく、低侵食性で、より弾性の組成物となることも観察できる。
【0089】
DMAの結果および剥離損傷モード試験によれば、10〜15番および27番(接着剥離損傷)等、最良の接着力、皮膚の凹凸やしわに対する容易な適合性、後に一体型で取り外すのに十分な凝集強度を備えたペーストを製造できるということが分かる。
【0090】
【表4】

【0091】
066.02、.04および.06について、ペーストの変形は、高レベルの弾性のために永久ではない。
【0092】
しかしながら、066.01、14番および27番は、ペーストとして良好に機能することが証明された。それらは、指の圧力で容易に成形され、凹凸のある腹部皮膚領域で容易に構築でき、皮膚バリアを凹凸のある腹部皮膚へ結合するのに用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合計ペースト処方を基準として、10〜50%(w/w)の極性ポリエチレンコポリマーと極性油のブレンドを含む皮膚適用感圧ペースト組成物。
【請求項2】
前記極性ポリエチレンコポリマーと極性油のブレンドが、極性可塑油または複数の極性可塑油の組み合わせを、前記ブレンドの10%(w/w)より多い含量で含み、前記ポリエチレンコポリマーの含量が、前記ブレンドの10〜50%(w/w)であり、少なくとも1つの極性ポリエチレンコポリマーが、2g未満/10分(190℃/21.1N)のメルトフローインデックスを有する請求項1に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項3】
前記極性ポリエチレンコポリマーと極性油のブレンドが、極性可塑油または複数の極性可塑油の組み合わせを、前記ブレンドの10%(w/w)より多い含量で含み、前記ポリエチレンコポリマーの含量が、前記ブレンドの10〜50%(w/w)であり、前記極性ポリエチレンコポリマーが、2g未満/10分(190℃/21.1N)のメルトフローインデックスを有する請求項1または2に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項4】
連続形態にある最終ペーストが、MVTR試験方法に従って測定したとき、1mmのシートについて、少なくとも150g/m2/24時間、好ましくは、少なくとも200g/m2/24時間の水蒸気透過率を示す請求項1〜3のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項5】
前記最終ペーストが、1Hz(1%変形、32℃)で1,000,000Pa未満、好ましくは、250,000Pa未満の複素弾性率|G*|を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項6】
前記最終ペーストが、1Hz(1%変形、32℃)で0.9を超える、好ましくは、1.0を超えるtan(δ)を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項7】
前記極性ポリエチレンコポリマーが、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル一酸化炭素、エチレン酢酸ブチル、エチレンビニルアルコール、エチルブチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート一酸化炭素およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項8】
前記極性ポリエチレンコポリマーが、エチレン酢酸ビニルである請求項7に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項9】
前記エチレン酢酸ビニルが、少なくとも40%(w/w)の酢酸ビニル、好ましくは、40〜80%(w/w)の酢酸ビニルの含量を有する請求項8に記載の感圧接着ペースト組成物。
【請求項10】
前記極性ポリエチレンコポリマーの含量が、前記最終ペーストの5〜20%(w/w)である請求項1〜9のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項11】
前記極性ポリエチレンコポリマーが、250,000g/モルを超える分子量を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項12】
前記極性可塑油が、液体ロジン誘導体、芳香族オレフィンオリゴマー、植物および動物油および誘導体からなる群から選択され、好ましくは、極性油はエステル、エーテルおよびグリコールであり、特に好ましくは、アルファ−ブトキシ−ポリオキシプロピレン等の酸化ポリプロピレンである請求項1〜11のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項13】
極性ポリエチレンコポリマーと極性油の比が1:1〜1:3である請求項1〜12のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項14】
前記組成物が、MFI>2(190℃/21.1N)の極性ポリマーをさらに含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項15】
前記組成物が、天然、変性または合成樹脂、好ましくは、ロジンエステル等の極性樹脂およびその誘導体または純芳香族モノマー樹脂等の粘着付与剤をさらに含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項16】
前記粘着付与剤の含量が、前記最終ペーストの0.1〜20%(w/w)である請求項15に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項17】
前記組成物が、酸化防止剤、安定剤、フィラー、顔料、流動性改良剤および活性成分からなる群から選択されるその他の成分をさらに含む請求項1〜16のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項18】
前記組成物が、親水コロイド等の吸収粒子をさらに含む請求項1〜17のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項19】
前記親水コロイドの含量が、前記合計組成物の20〜60%(w/w)である請求項18に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項20】
前記組成物が、合計処方を基準として、主成分がジ−ブロックである1〜10%(w/w)のブロックコポリマー、10〜35%(w/w)の粘着付与液体成分および1〜8%(w/w)のろう状成分を含む請求項1〜19のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項21】
前記組成物が、合計処方を基準として、5〜25%(w/w)の極性ポリエチレンコポリマー、5〜40%(w/w)の極性油、主成分がジ−ブロックである1〜10%(w/w)のブロックコポリマー、10〜35%(w/w)の粘着付与液体成分、1〜8%(w/w)のろう状成分および20〜60%(w/w)の親水コロイドを含む請求項1〜20のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の感圧ペースト組成物を含む医療機器。
【請求項23】
前記医療機器が、オストミー器具、集尿装置または糞管理装置である請求項22に記載の医療機器。

【公表番号】特表2012−511972(P2012−511972A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541094(P2011−541094)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/DK2009/050345
【国際公開番号】WO2010/069334
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)
【Fターム(参考)】