説明

軟質系処理物の減容袋詰め装置

【課題】
小規模施設向け減容袋詰め装置の課題として(1)機械的減容機構を使用しているため設備が高価かつ安全上の問題がある。(2)通常使用される減容後の収納袋が密閉型のプラ袋のため、収納袋へ軟質系処理物を詰め込む時内包する空気も封入され減容率を悪化させている。
【解決手段】
網状収納袋5へ吸引する袋詰めにより減容機械を不要とした。特に網状収納袋5に連通する吸引筒2b出口部の袋保持部を特殊な形状として、搬送空気の排出を安定化させた。更に吸引筒2a出口部に排気のための空間を積極的に形成する伸縮棒10を設けた。網状収納袋5の外側から吸引排気する事により内包する空気の排除と減圧吸引による減容が可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルム、紙くず、繊維くず等の軟質系処理物を風力にて、減容収納袋(以下収納袋と呼ぶ)に袋詰めする減容袋詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭等より排出された瓶、缶、ペットボトル、容器包装プラスチック類の資源ごみは、プラスチックのごみ袋(以下プラ袋と呼ぶ)につめられ再資源化中間施設に送られる場合が多い。再資源化中間施設においては、資源ごみが内在しているプラ袋を破袋した後、プラ袋、瓶、缶、ペットボトル、容器包装プラスチック等に選別回収している。
【0003】
選別後の資源物或いはその一部は、それぞれ用途に合った減容設備にて減容、収納され、トラック等で再生工場等へ運ばれる。しかしながら小規模施設では、高価な設備の導入は難しい。特に瓶、缶、ペットボトルの選別工程で発生するプラ袋は、重量的には少ないものの嵩張るためその処理に苦慮している。例えば、プラ袋詰めにて回収された瓶、缶、ペットボトルの選別では、作業員が先ずプラ袋を裂き、プラ袋を取り除く。取り除いたプラ袋は、作業員の近くに設置された容器或いは移送用プラ袋に投入されるが、嵩張るため頻繁に容器或いは移送用プラ袋を交換する必要がある他、容器或いは移送用プラ袋を一時保管するための広いスペースが必要となる。
【0004】
従来技術として、下記に示す(特許文献1)から(特許文献6)等が公開されている。特許文献1は油圧シリンダ等によりプレス板を資源ごみ圧縮室に押し込んで圧縮する装置に関するものである。特許文献2はスクリューを回転させて資源ごみを押し込み圧縮する装置に関するものである。特許文献3はスクリューによる圧縮時の受圧台と粉付プラ袋対応の集塵吸引ファンを設けている。特許文献4および特許文献5は、スクリュー圧縮搬送方式における収納袋の保持機構に関するものである。特許文献6は主として収納袋の形状、材質にかかわるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5-13696号公報
【特許文献2】登録実用新案第3022241号公報
【特許文献3】特開平6−269997号公報
【特許文献4】特開2006−151597号公報
【特許文献5】特開2006−327718号公報
【特許文献6】特開2009−227429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術に共通する課題として
(1)減容が終了した収納袋の開口部を固縛することが難しい。これは軟質系処理物による内圧がかかっており、袋入口から逆流するためである。減容率が高い大規模なプレス式圧縮減容機では、圧縮終了後第2のシリンダーにて圧縮方向と直角方向へ間欠的に押し出しながらバンドで固縛する方法等がとられている。しかしながら、これらの機構は極めて大掛かりなものとなり、高価かつ広い設置スペースが必要となる。
(2)通常使用される収納袋は、プラスチックフィルム製による密閉型のため、収納袋へ軟質系処理物を詰め込む時、空気も同時に封入され減容率を悪化させる一つの原因となっている。
(3)上記(1)、(2)の一解決策として上記特許文献6において、収納袋を空気が流通しうる素材で作成し、搬送圧縮手段の出口に連結した収納袋を密閉容器へ格納し、排気手段により収納袋内の空気を収納袋外へ積極的に排除する装置が提案されている。しかしながらスクリューコンベアやプレスによる搬送圧縮手段は装置全体のコストの半分以上を占める他、安全対策が不可欠となるため、更に簡易的な装置が求められている。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決し、特に小規模施設に最適な、風力による軟質系処理物の減容袋詰め装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は以下の手段により解決される.
請求項1の発明は、プラスチックフィルム及び紙様軟質系処理物を空気とともに吸引する吸引筒と、吸引送風機に連通する排気口を持ち周囲の一部を開閉自在とした密閉容器と、前記密閉容器内に前記吸引筒の出口に連通する網状収納袋の保持部と網状収納袋を設けたことを特徴としている。即ち、吸引送風機による吸引減容によりスクリューコンベアやプレス等機械的な圧縮手段を不要とした。
請求項2の発明は、請求項1に記載した網状収納袋の保持部が、空気が流通する多孔材から作られた下に広がる中空円錐台状であり、かつ前記保持部の中心軸上に沿って吸引筒を貫通させた事を特徴としている。この形状により、網状収納袋の固縛保持、取り外しが容易になる。また、網状収納袋内に内包される空気の第2の排出経路として有効である。
請求項3発明は、請求項2に記載する網状収納袋の保持部の中心軸に対して、斜め上から概ね45度で交差する伸縮可能な押し棒を配置したことを特徴としている。この押し棒にて間欠的に網状収納袋の貼りつきの一部を解除するとともに網状収納袋の中に吸引のため空間を作り出し、安定的に空気を収納袋から排出し、ワークAを詰め込むことができる。
請求項4の発明は、請求項2に記載する網状収納袋の保持部の中心軸に対して、斜め上から概ね45度で交差する空気噴出ノズルを配置したことを特徴としている。これは請求項3に記載する押し棒と同等の作用をするものである。機械的な押し棒に比べて機構が簡略化できる。
【発明の効果】
【0009】
風力による軟質系処理物の減容袋詰めを可能とした。スクリュー等機械的な減容を不要としたため、低コストかつ安全な簡易的減容袋詰め装置が実現できる。また、軟質系処理物の排出場所に設置する投入口と減容袋詰め装置本体を空気搬送フレキシブル管で連結する事も可能なため、装置の設置場所に関する制限を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における、第1の実施形態を示した軟質系処理物減容袋詰め装置の縦断面概略図である。
【図2】空気の流れを示す説明図である。
【図3】本発明における、第2の実施形態を示した軟質系処理物の減容袋詰め装置の縦断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の、第1の実施形態における軟質系処理物の減容袋詰め装置の縦断面概略図を図1に、空気の流れを図2に、第2の実施形態における軟質系処理物の減容袋詰め装置の縦断面概略を図3に示す。
【0012】
第1の実施形態における軟質系処理物の減容袋詰め装置について図1を用いて以下に詳述する。
本体1は軟質系処理物(以降ワークAと呼ぶ)が投入される吸引投入口2a、吸引筒2b、排気緩衝室3、排気緩衝室3を覆う形に設置され紐6にて固縛された網状収納袋5と、密閉容器7と、排気管8と、エアーシリンダー9と、ピストン10(押し棒)にて構成される。
【0013】
密閉容器7は、排気管8に連通する吸引送風機により減圧される。吸引投入口2aに投入されたワークAは空気ともに網状収納袋5へ吸引される。そのうち空気は網状収納袋5を通過し排気管8を通して排気される。この時、ワークAは吸引される時の流速により網状収納袋5の下部から堆積されるが、一部が網状収納袋5に貼りつき吸引が阻害されることがある。この張り付きは、吸引を一時的にとめることにより解除される。しかしながら吸引と吸引停止の頻繁な繰り返しは、作業効率上問題であり、貼りつき防止が本手法の最大の課題といえる。本発明における、吸引筒2bの出口の収納袋保持部は、この問題を大幅に改善している。
本発明によれば、吸入された空気は、網状収納袋5を通過する空気の第1の排気路に加え以下に示す第2の排気路を有する。図2に示す様に第2の排気路において、吸入された空気は、排気緩衝室3の底部の多孔床4aから排気緩衝室3に入り、周囲の多孔壁4b、排気管8を通って排気される。多孔床4a部付近は吸引されるワークA自身の下向きの流れにより空間が形成される。即ち、吸入されたワークAは中心部のある吸入筒2b出口から網状収納袋5内の下向き或いは円周方向へ逃げるため、噴出し部付近の多孔床4aにはワークAの張り付きが極めて少なくなり、空気の排出が持続できる。
【0014】
網状収納袋5の直径が800mm、深さが1000mm、吸引筒2bの直径が200mmの試作装置に1.5KWの吸引送風機を接続し減容率について実験した。無圧縮のワークAにくらべ嵩密度が5−6倍に、言い換えれば5−6分の1に減容袋詰めすることができた。
更に以下に示す機構により上記多孔床4aへのワークAの貼りつきを積極的に予防し、排気持続時間を延長し減容率をあげることができる。
ピストン10は吸引筒出口中心部付近のワークAを斜め下に強制的に押し付け、多孔床4aへのワークAの張り付きを予防するものである。ピストンをストローク200mm、2分間隔で伸縮させた時、10分の1以下に減容袋詰めすることができた。
【0015】
密閉容器7は6面体の箱状(図示せず)であり、一側面が開閉可能な扉となっている。網状収納袋5は排気緩衝室3の多孔壁4bを覆うように被せ、紐6にて固縛される。網状収納袋5の交換は前記扉を通して行われる。
吸引投入口2aは、本体1と離れた任意の場所に設置し、両者をフレキシブルチューブ等の搬送管にて連結することも可能である。一般にワークAの排出場所となる手選別部は、付加的機器等を新たに設置する空間がないことが多く上記機能は実用上重要である。
また、吸引送風機からの排気は、バグフィルター等を通して外部に排気される。
【0016】
減容袋詰めが終了した網状収納袋5は、先ず開口部を縛る紐6をゆるめ、排気緩衝室3の多孔壁4bから外し、次に、開口部の紐6にて巾着状に縛られる。これらは、一時保管、集積された後トラック等で再生工場へ運ばれる。網状収納袋5が軟質系処理物と同等の物質である等の理由で網状収納袋5を含めて再生原料となる場合を除いて、再生工場において軟質系処理物が取出される。この場合網状収納袋5は繰り返し使用される。
【0017】
第2の実施形態における軟質系処理物の減容袋詰め装置の縦断面概略を図3に示す。
本発明は、第1の実施形態における軟質系処理物の減容袋詰め装置と基本的には同等であるが、排気部が異なっている。図3に示すように、密閉容器7の底部付近に通気隔壁13を設け、この通気隔壁13と密閉容器7の底部との空間の側面に排気管8を配置してある。吸入投入口2から密閉容器7にはいった空気は密閉容器7の底部に向かって流れる。このため網状収納袋5に入ったワークAは網状収納袋5の底部に押し付けられ、吸引速度が増大する。この効果は網状収納袋5内のワークAが粗密の時ほど顕著である。
他の構造、機能は第1の実施形態における軟質系処理物の減容袋詰め装置と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明に係わる第1及び第2の実施形態における軟質系処理物の減容袋詰め装置は、廃棄プラスチック等の軟質系処理物の簡易減容機として使用できる。特に廃棄物の中間処理場の手選別部にて選別されたプラ袋の減容袋詰め装置として最適である。
【符号の説明】
【0019】
1:本体
2a:吸引投入口
2b:吸引筒
3:排気緩衝室
4a:多孔床
4b:多孔壁
5:網状収納袋
6:紐
7:密閉容器
8:排気管8
9:エアーシリンダー
10:ピストン
11:圧縮空気
12:ピストンの動き
13:通気隔壁
14:空気の流れ
15:吸引送風機へ
16:第2の排気路
A:ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルム及び紙様軟質系処理物を空気とともに吸引する吸引筒と、吸引送風機に連通する排気口を持ち周囲の一部を開閉自在とした密閉容器と、前記密閉容器内に前記吸引筒の出口に連通する網状収納袋の保持部と網状収納袋を設けたことを特徴とする軟質系処理物の減容袋詰め装置。
【請求項2】
請求項1に記載した網状収納袋の保持部が、空気を流通する多孔材により作られた下に広がる中空円錐台状であり、かつ前記中空円錐台の中心軸上に沿って吸引筒を貫通させた事を特徴とする請求項1に記載した軟質系処理物の減容袋詰め装置。
【請求項3】
請求項2に記載する網状収納袋の保持部の中心軸に対して、斜め上から概ね45度で交差する伸縮可能な押し棒を設けたことを特徴とする請求項2に記載した軟質系処理物の減容袋詰め装置。
【請求項4】
請求項2に記載する網状収納袋の保持部の中心軸に対して、斜め上から概ね45度で交差する空気噴出ノズルを設けたことを特徴とする請求項2に記載した軟質系処理物の減容袋詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−106815(P2012−106815A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255436(P2010−255436)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(305039747)
【Fターム(参考)】