軟骨下支持構造を有する、凸状関節骨面の骨折を固定するためのシステム
【課題】 解剖学的構造上、上腕骨に適合した上腕骨折固定システムを提供する。
【解決手段】 凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部、特に上腕骨近位の骨折のために骨折固定システムが提供される。システムは、長骨の頭部の実質的に反対側において長骨に、かつ、骨折部の第1の側に配置できるプレート要素と、プレートから頭部の中へと、そして骨折部を横切るように延びる支柱要素とを有する。
【解決手段】 凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部、特に上腕骨近位の骨折のために骨折固定システムが提供される。システムは、長骨の頭部の実質的に反対側において長骨に、かつ、骨折部の第1の側に配置できるプレート要素と、プレートから頭部の中へと、そして骨折部を横切るように延びる支柱要素とを有する。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願のクロスリファレンス〕
本発明は、2004年1月23日出願の米国特許仮出願第60/538,589号、2004年2月20日出願の米国特許仮出願第60/546,127号、2004年8月2日出願の米国特許仮出願第60/598,110号、および2005年1月7日出願の米国特許仮出願(代理人整理番号HAN−034P)の利益を主張するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
1.発明の分野
本発明は、概して手術機器に関するものである。より詳しくは、本発明は、骨折固定システムに関するものであり、このシステムは、整形用プレート(orthopedic plate)と、そのプレートを骨および腱にしっかりと固定するための付随する締結具を有する。
【0003】
2.技術の状況
上腕骨近位は、上腕骨の上部、つまり、一般に肩領域として知られている、人体の上腕を含む。上腕骨近位骨折は、通常、運動中の事故のような外傷性傷害で生じ、骨量が減るために歳とともに頻度が増える。上腕骨近位骨折の治療では、骨折部位を露出させて骨折を整復し、そして、プレートまたは他の手段を骨の上に配置して、整復した位置で治癒するように骨折を固定する。骨折の整復では、骨の骨折した部分の位置を再び合わせ、その元の位置または同様の安定な位置に配置することを含む。骨折の固定では、プレートを骨折した部分に被せるように配置し、プレートを骨折した骨と、隣接する骨折していない骨に骨ネジで固定することを含む。
【0004】
従来の固定用プレートには、上腕骨近位に利用する場合、いくつかの欠点があった。一般的に、従来の固定用プレートは、上腕骨の解剖学的構造と形状が十分に合っておらず、上腕骨骨折を固定するための構造的剛性を得るのに必要なサイズで用意した場合には、外科医が形状を調整することが容易でない。さらに、このようなプレートでは大きなネジが必要であり、このような大きさのネジは、下にある骨粗鬆症の骨にしっかりと取り付けることはできない。
【0005】
上腕骨近位の外形に特に合わせて作られた2つのプレートにペンシルバニア州パオリ(Paoli, PA)のシンセス(Synthes)が出している固定用上腕骨近位プレート(LPHP)とフィロス(PHILOS)がある。これらのプレートには、いくつかの定角締結具を入れる近位頭部があり、これらの締結具は、上腕骨の丸い頭部に、関節面に垂直に伸び、プレートとネジ結合する。特に骨粗鬆症の骨では、締結具が骨を貫通し、上腕骨の頭部と肩のソケットの間の関節空間に入る傾向がある。これは、大きな痛みを生じさせることがあり、また、整形上のより大きな損傷を生じる可能性がある。このような損傷により、上腕骨骨折の適切な治癒が阻害されたり、長引いたり、適切に治癒しなかったりすることがある上に、患者が余計な苦痛を受けたり、外傷後関節炎になったりする。
【0006】
〔発明の概要〕
よって、本発明の目的は、解剖学的に、上腕骨に適合した上腕骨骨折固定システムを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、上腕骨近位骨折を支持するための安定な枠を提供する上腕骨骨折固定システムを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、プレートを貫通する締結具が関節面を突き破らない上腕骨骨折固定システムを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、締結具の上腕骨の頭部への位置を合わせがしやすい上腕骨折固定システムを提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、締結具が上腕骨の頭部に適切に埋め込まれた時の触覚を、外科医にもたらす上腕骨折固定システムを提供することである。
【0011】
詳しく後述するこれらの目的によれば、上腕骨骨折固定システムが提供され、このシステムは、プレート、複数のコーティカルスクリュー(cortical screws)、プレートを上腕骨に連結して、骨折を固定するための複数の支柱を有する。このシステムは、後述するように、Kワイヤと縫合材をも有することが好ましい。
【0012】
プレートには複数の支柱用穴部が設けられている。支柱は、各支柱用穴部について用意されており、プレートの頭部を肩の関節面にほぼ垂直に貫通する。本発明の好ましい態様によれば、支柱に、関節面の軟骨下骨を支持する支持手段を設けることができる。このような支持手段を設けた場合、支柱が有する頭部は、支持手段が、常に、プレートおよび解剖学的形態に対して特定の方向を向き、好ましくは前後面と位置が揃うように、支柱用穴部に対して特定の回転方向に固定できることが好ましい。
【0013】
本発明の他の好ましい態様によれば、頭部が複数の位置合わせ用穴部を有し、この穴部は、個々のKワイヤが特定の向きで密接に入るような大きさに作られている。位置合わせ用穴部を通る軸の配置の向き、そしてその結果、そこに通されたKワイヤは、プレートの頭部に連結させたとき、支柱によって画定される空間に密接に一致する。
【0014】
骨折を整復した後であって支柱用の穴を開ける前に、外科医は、プレートの頭部にある位置合わせ用の穴部にKワイヤを差し直し、プレートの頭部の向きを上腕骨の頭部に対して一時的に固定する。いったん配置をこのように固定したら、例えばX線透視下で骨折を検査し、骨折が解剖学的に正しい方法で整復されているかどうか、および、Kワイヤが解剖学的形態に対して適切に配置されているかどうかを確認する。X線透視下で観察したKワイヤは、骨折および関節面に対して支柱が適切に配置されるかどうかを示す。配置が正しい場合には、Kワイヤで骨折部上のプレートの位置を維持し、その間に支柱用の穴を開ける。配置が最適でなければ、Kワイヤを取り除くことができるので、外科医には、Kワイヤの位置および/または向きを改めて再び差し込む機会がある。各Kワイヤは、直径が比較的小さいので、差し込むという処理で骨は著しい損傷を受けず、外科医は、最初に差し込んだ位置および/または向きに拘束されることはない。プレートをKワイヤを使って適切に位置決めしたら、プレート、支柱、それに、もしあれば支持手段を埋め込むことができ、そしてKワイヤを取り去ることができる。
【0015】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、頭部は、低くしてある近位凹部と、周りに穴がある複数の縫合ガイドとを有する。凹部により縫合ガイドが骨の表面から持ち上げられ、外科医が縫合材付きの針を縫合ガイドと、プレートおよび骨の間に通すことができるようになり、腱と骨片をプレートに縫合することが可能になる。
【0016】
固定システムを埋め込んだ状態では、支柱は関節面に垂直に向けられているが、関節面を突き破るほどには延びていない。
【0017】
本発明のさらに他の目的および利点は、詳細な説明を添付図面とともに参照することにより当業者に明らかになるであろう。
【0018】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
図1を参照すると、本発明による上腕骨近位骨折固定システムの一実施形態510が示されている。このシステム510には上腕骨プレート512があり、上腕骨プレート512はその頭部534に1つ以上の支柱用孔部536を備えており、また、上腕骨プレート512のシャフト部分530に沿ってネジ孔532を備えている。管状の支柱514が各支柱用孔部536に対して用意されている。図1および図2を参照すると、支柱514は、一対のアーム560を有しており、この一対のアーム560は、支柱514の遠位端部562近傍にある軸561中心に回転可能に連結されている。3つ以上のアームを有する実施形態を提供することもできる。各アーム560には、その旋回軸561のほぼ近傍にカムフォロアー面564がある。このカムフォロアー面564に遠位方向かつ横方向の力がかかると、図1に示し、かつ、後述するように、アーム560が放射方向に開いた配置へと動く。支柱514には窓部566があり、アーム560が閉じた位置にあると(図2)、腕部560が支柱の他の部分と同一平面上となれるようになっている。図2を参照すると、支柱に雌ねじ568もある。
【0019】
図3を参照すると、位置決めねじ(set screw)570が設けられており、この位置決めねじ570は、雌ねじ568と係合するものであり、また、カム572が設けられた遠位端部を有している。カム572は、カムフォロアー面564と接触して、アーム560を放射方向外側へ動かし、開いた配置にする。開いた配置では、アーム560は、それぞれ、支柱514に対して実質的に90度まで広がることができる。つまり、アーム560は、関節面に対してほぼ平行に広がることができ、また、好ましくは、前後面内に広がることができる。もっとも、各アーム560と支柱514の間の角度が鋭角であり、好ましくは約60°から89°であり、これにより、上腕骨頭部の関節面の輪郭をアームがよりよく近似することの方がさらに好ましい。アーム560は、骨で囲まれるが、この骨は、多くの場合、海綿状の、すなわち、脆い骨粗鬆症の骨であり、アームはその中で動くことができる。図示のアーム560は、比較的幅が広く、いったん開いた配置へ動かせば、骨折を非常によく固定し、関節の骨面を良好に支える。ただし、骨の中で動かしやすいように、アームを図示したものより比較的薄くすることもできる。さらに、位置決めねじは、内腔部574と、窓部566に整列した遠位開口部576をオプションとして有していてもよい。この内腔部574および開口部576を通して、好ましくは生分解性である骨セメント、または、好ましくは速結性(quick-setting)である他の充填剤を(矢印で示したように)アーム560の開口部が作る空間に注入して整復した骨折部をさらに固定することができる。
【0020】
図4を参照すると、埋め込んだ後に支柱514とそのアーム560を骨から除去することが必要、または、望ましくなった場合には、位置決めねじ570を回して支柱514から取り去り、そして次に支柱を骨から引き抜く。位置決めねじ570を取り除いた状態では、アーム560は、窓部566の上端部に向かって上方に回転することができ、支柱を引き抜くときに、支柱514の遠位端562に当たって止まる。
【0021】
次に、図5から図11を参照すると、他の展開可能な支柱714が示されている。支柱714の外側部分は、近位管状後端部802(図6Aおよび図6B)と、中央管部804(図7)と、遠位先端部806(図8)とを有する。図6Aおよび図6Bを参照すると、後端部802は、頭部807を有しており、頭部807は、(より詳しく後述するように)支柱802を回転して上腕骨プレートに対して合わせる基準構造部、例えば扇形のくぼみ808を備えている。また、後端部802は、中径部分809と小径部分810に段階的に小さくなっている。小径部分810は、対称位置に配置された2つのくぼみ812を画定している。後端部802の遠位端部は、雌ねじ817をさらに有している。管部804は、小径部分810に被せるように設置させられており、また、遠位方向を向いている2つの翼状部814を有している。翼状部814は、くぼみ812と係合して後端部802の中径部分809と同一平面となるよう係合した状態で後端部802に管部804を固定する。管部804には、一対の窓部852がある。先端部806は、これについてはさらに後述するが、管部804の遠位端に入るように延びており、ピン818によって管部の所定位置に固定されている。ピン818は、それぞれ管部804と先端部806にある穴部819と821を貫通している。
【0022】
図5および図9を参照すると、送りねじ820が支柱714の後端部802に設けられている。送りねじ820は、近位係合ソケット822を有しており、これは、例えば、四角または六角のソケットであり、送りねじ820を工具を使って後端部802に対して回しやすくしている。また、送りねじ820は、後端部802の雌ねじ817に係合するねじ付き中央部823と、遠位段付き頭部824を有する。頭部824は、カプラー828のネスト部(nest)826に嵌り、ネスト部826に対して回転可能である。カプラー828は、雄部、雌部の両方を有する2つの要素829(図10)によって画定されている。要素829は、それぞれ、支柱部834と、ソケット部836とを有する。この支柱834部と、ソケット部836は、同様の要素の対応する部分にはまる。雄部、雌部の両方を有する要素829の各々は、トラック部837および/またはスロット部838をさらに規定している。後述するように、スロット部838には、アンカー840の一部が可動に連結される。
【0023】
図11を参照すると、骨アンカー840は、カプラー828のスロット838の内部で移動できるような大きさに作られた近位軸部842を有し、かつ、カプラーのトラック837に沿ってその上を移動するように設計された後端部843を有する。アンカー840は、ある弧に沿って湾曲しており、また、各アンカー840は、比較的鋭く、骨を突き通る端部844を有する。アンカーは金属製であることが好ましいが、セラミックまたは硬い生体吸収性材料から作られていてもよい。図8および図11を参照すると、先端部806は2つのアンカーガイド850を画定しており、これらアンカーガイド850は、それぞれ、アンカー840の凸状の側面845の湾曲に対応するように湾曲している。管部804は、2つの窓部852を規定している。窓部852は、アンカー840の断面形状に対応しており、アンカー840は、窓部852を通って支柱714の外へと進むことができる。
【0024】
図12および図13を参照すると、送りねじ820は、後端部802の中で回して前進させ、これによりカプラー828を管部804の中で前へ進める。カプラー804が進むにつれ、アンカー840が前方へ押され、ガイド850に接触して、窓852(図7)の外へと外向きに、つまり、支柱714の軸部に対してほぼ横向きに向きが変わる。本発明の一態様によれば、アンカー840が前方に動いて軸842の回りに回転すると、管部804内部のアンカー840の回転軸が、特に図5に示した最初の位置に対して(カプラーの上にある波線の円形のマークで示してあるように)変化する。これは、カプラー828のスロット838の内部で横向きに動くという軸842の機能より達成される。図13を参照すると、完全に展開した場合、アンカー840は、好ましくは管部804の直径の2〜3.5倍外に突出する。好ましい実施形態では、管部804が直径4mmであり、アンカー840は、各々、約10mm突出する。
【0025】
次に、図14を参照すると、上腕骨プレート702が、複数の支柱714が取り付けられていて、かつ、アンカー840を展開した状態で示されている。支柱714は、プレート702に任意の適切な方法で固定することができる。もっとも、支柱714は、展開したアンカー840が予め定められた向きを向くように、たとえば、図示のように互いにほぼ並行であるように、プレート702に対して固定されることが好ましい。さらに、各支柱714は、プレート712に対してねじ結合を用いることなく固定することが好ましい。これは、(i)部品が動かないように、かつ、固く互いに連結され、かつ、(ii)ロックすることにより支柱が確実に予め定められた回転方向を向くような、ねじ結合を機械加工することが難しいからである。上記に拘わらず、同じ結果が得られるように、つまり、支柱をプレートに完全に設置したときに予め定められた回転位置が得られるように、入口位置と終端位置とを配置して、かつ、必要な公差で支柱とプレートの間のねじ結合を機械加工することは、間違いなく可能であり、かつ、本発明の範囲内である。
【0026】
本発明の好ましい態様によれば、支柱714が支柱用穴部736に対して一回完全に回転しないうちに、より好ましくは、0°から90°回転するうちに、支柱714とそれぞれの支柱用穴部736が固定されることが好ましい。
【0027】
支柱を固定する方法の1つは、各支柱をプレートに固定するのにカムを用いるというものである。図15を参照すると、好ましいカム856は、ほぼ円筒状であるが、カムの外周の約270°にわたって半径が螺旋状に大きくなる外壁部858を有する。カム856は、カムがその回りを回る下部ピン(不図示)と、ドライバーのための上部六角スロット860とをさらに有する。
【0028】
図14、図16および図17を参照すると、各支柱714に対して、プレート702が支柱用穴部736と、隣接する凹部状のカムスロット862とを有している。カムスロット862には、センタリングホール863があり、このセンタリングホール863には、センタリングピンが入る。カム856およびカムスロット862の形状により、いったんカムをカムスロットに入れると、カムがカムスロットの中に本質的に閉じこめられる。支柱714を支柱用穴部736に挿入する前に、カム856を回して、カム856の径がもっとも小さいところが支柱用穴部の方を向いて配置されるようにする。支柱714は、支柱用穴部736に差し込み、支柱の後端部802にある扇形のくぼみ808がカム856の外面の当たりにはまるように配置し、そして、支柱用穴部の中に完全に押し込む。次にカム856をドライバーを使って回し、カムの径がより大きい部分と支柱とが接触して支柱714をプレート702に効果的に固定するのにそれらが十分に接触するようにする。
【0029】
次に図18から図20までを参照すると、支柱をプレートに対して回転方向および軸方向に固定するためのシステムの他の実施形態が示されている。このようなシステムによれば、支柱914は、支柱714に関して前述したのと実質的に同じである。支柱714(図5)と異なり、支柱914の後端部1002は、耳部1008を有し、かつ、弾力があり、径方向外側に向けられた留め金1009の円形の配列を有する。さらに、図21を参照すると、支柱914の後端部1002は、直径に沿った内腔部1011を有する。これは、より詳しく後述するように、必要な場合に埋め込んだ支柱を取り除きやすくするためである。さらに図21を参照すると、このシステムは、位置決めねじ1056を有する。位置決めねじ1056は、これも後述するように、支柱914をプレート902に対して固定する。位置決めねじ1056は、凹部1058を有し、この凹部1058には、留め金1009が係合するが、締めつけ1056は、留め金に対して回ることができる。
【0030】
図22を参照すると、プレート902の各支柱用穴部936は、直径が段状に変化していて上部の大径部分内にねじ1060と、直径に沿った2つの耳部1062とを有している。支柱914は、耳部1008が耳部1062と整列するように支柱用穴部936に挿入される。これにより、後でアンカーを広げたときに(図18)アンカーの位置が適切に整列していることが保証される。次に、位置決めねじ1056をねじ1060と係合した状態で回して支柱914が所定位置に不動に固定されるまで回す。
【0031】
支柱914を取り去ることが必要な場合には、位置決めねじ1056を回して係合を解除する。このようにして、位置決めねじを支柱からはずすことができる。このようなことが起きた場合には、(不図示)工具を直径に沿った内腔部1011に挿入して、ひっぱり、支柱を骨および穴部936から引き抜く。
【0032】
次に、図23から図28を参照すると、固定システムの他の実施形態1200が上腕骨1300に取り付けられているところが示されている。図23および図24を参照すると、システム1200は、6個の支柱用穴部を備えた頭部1234があるプレート1202を有する。6個の支柱用穴部には、ねじ付き頭部を有する支柱を入れられるように設計された中央支柱用穴部1236a、1236b、1236c、1236d(以下、まとめて1236という)と、近位および遠位支柱1237a、1237b(以下、まとめて1237という)とを有する。近位および遠位支柱1237a、1237bは、展開可能なアンカーをオプションとして有することができる支柱を入れるための支柱用穴部936(図22)と実質的に同様であることが好ましい。つまり、支柱用穴部1237は、支柱の角度位置を固定するシステムを有することが好ましい。このようなシステムは、図25および図26に示すように(関節面の軟骨下骨を支持するための何らかの展開可能な支持手段を備えていても、いなくても)従来の頭部にネジが付いている支柱が入れられるようにも構成されている。さらに、いずれの支持手段もない支柱が使用されている場合、支柱用穴部には、角度の割り出しを行う、すなわち、支柱を正確に固定するためのいかなるシステムも必要ない。さらに図25および図26を参照すると、中央支柱用穴部1236a、1236b、1236c、1236dは、支柱1214a、1214b、1214c、1214dによって図示されている軸を画定している。これらの軸は、相互に角度的に傾いており、支柱が横方向にも縦方向にも反れる(diverge)ようにしている。近位および遠位支柱用穴部1237a、1237bは、支柱1215a、1215bで図示するように、好ましくは、横方向に整列していて、角度上一点に向かう軸を画定している。
【0033】
図24を参照すると、頭部1234には、5つの位置合わせ用穴部1218a、1218b、1218c、1218d、1218e(以下、まとめて1218という)がさらに設けられている。各位置合わせ用穴部は、一定の軸に沿ってKワイヤ(支柱用穴部のためのそれぞれの支柱より実質的に細い)を密接に入れられるような大きさにしてある。具体的には、1218eの軸は、上腕頭の関節面の中央へ向けられている。位置合わせ用の穴部1218は、プレートの頭部1234内でKワイヤの経路を表すような角度に向けられている。このKワイヤの経路は、支柱のさまざまな輪郭を示したり、関心がある場所を埋め込んだ支柱に対して相対的に特定したりする。より具体的には、図24から図26に示すように、穴部1218b、1218cに配置されたKワイヤ1220、1222は、支柱1214a、1214b、1214c、1214dの上下の境界を画定している。一方、穴部1218eに配置されたKワイヤ1224は、関節面の中央に向けられており、近位および遠位の支柱用穴部1215a、1215bの軸が集中する中央の場所を画定している。
【0034】
図24および図27にもっともよく示されているように、幅の狭い用縫合用レール1240が頭部1234の近位部分の周囲に広がっている。縫合用レール1240は、縫合針をレールに通しやすいように頭部の下面1250より高くしてあり、比較的低くあまり目立たない外形とするように上面1252に対してくぼませてある。
【0035】
図27から図29を参照すると、デルト−ペクトラル・アプローチ(delto-pectoral approach)による使用時には、骨折部を露出させて壊死組織を切除する。牽引および直接操作を用いて、骨折を整復し、軟骨下骨の関節面1350と、上腕骨(humeral shaft)1352の間の解剖学的関係をその角度上の配列および後傾(retroversion)の両方について回復する。次に、プレート1202の位置を上腕骨1300上で定め、好ましくは、結節間溝のすぐ後ろであって、棘下筋の付着点(insertion)の下約1.5〜2.0cmに定める。次にプレートを例えばプレートのシャフト部に差し込んだ2.0mmの固定用Kワイヤまたは非固定用の細長いねじ穴1232aに暫定的に差し込んだコーティカルスクリューを用いて遠位の骨片に仮止めする。次に、整復した状態をプレートの頭部1234にある一定角度のKワイヤ穴部に通して近位の骨片部に差し込んだKワイヤ1220、1222,1224によって固定する。複数のワイヤを用いて最終的な支柱の位置を先取りしてもよい。
【0036】
位置合わせ用穴部の軸は、隣接する支柱用穴部の軸に対応している。好ましくは、前後画像および軸方向画像の両方を用いてKワイヤ1220,1222,1224をX線透視下で見て、支柱が適切に配置されるかどうかの目安とする。配置が正確である場合、Kワイヤで骨折部上のプレートの位置を保持する。したがって、支柱用穴部をその位置および向きが適切であるとの確信を持って開けることができる。配置が最適でない場合、Kワイヤを取り外し、外科医がプレートを再配置することができ、および/またはKワイヤの向きを改めて、再び穴を開けることができる。各Kワイヤの直径が比較的小さいので、骨が穴あけ工程によって著しい損傷を受けることはなく、外科医は、最初に穴を開けた位置および/または向きに拘束されることはない。整形用プレートのための位置合わせ用穴部およびそこに通されたKワイヤの使用については、2003年10月21日に出願された米国特許出願第10/689,797号、2003年9月17日に出願された第10/664,371号および2004年11月10日に出願された第10/985,598号に、より詳細に記載されている。これらの特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
プレート1212のシャフト部1230は、次にコーティカルスクリューを細長い穴部1232aに完全に差し込むことにより、上腕骨幹1352に固定する。シャフト部を固定するのに使用したKワイヤは全て取り去る。
【0038】
ドリルガイド(不図示)を使用して、支柱用の穴部を開ける。深さゲージ(不図示)を使用して、開けた穴の深さを測定する。適当な長さの支柱1214a、1214b、1214c、1214d、1215a、1215bをドライバーを用いて挿入する。支柱の遠位端は、軟骨下骨1350の関節面の4〜6mm下にあることが好ましい。その後、骨折の整復と支柱の配置が正しく行われていることをX線撮影により確認する。
【0039】
図28および図29を参照すると、支柱1215a,1215bが展開可能なアンカーを有しており場合、外科医は、アンカー1340を展開して軟骨下骨1350の関節面が支持されるようにする。実際には、頭部1234にあるKワイヤ1220、1222,1224をアンカーを展開する前に取り去ることが好ましい。
【0040】
プレートの遠位部分を上腕骨の骨幹1352に固定するのに使用する残りのコーティカルスクリューのためのさらに別の穴もあけられる。
【0041】
次に、必要である場合は、粗面(tuberosities)を整復してプレートの縫合レール1240に縫合糸またはワイヤを使って固定する。
【0042】
次に最終的なX線像を撮影して、適当な外科手技を使用して外科創傷を閉じる。
【0043】
次に、図30を参照すると、ショルダープレートの他の実施形態1402が示されている。プレート1402は、特徴がプレート1202と実質的に同様であるが、いくつかの重要な構造的な違いがある。第1に、頭部1434の近位端部が側面開口部を備えた3つの別個のほぼ放射状に配置された縫合ガイド1440を有する。ガイド1440は、間隔をおいて配置されており、隣接するガイドに妨げられることなく針をそこに通すことができる。第2に、中央Kワイヤ開口部1418eの前後にさらに別のKワイヤ開口部1418f、1418gが設けられていて、支柱を挿入する前に骨内における支柱の配置をX線透視で画像化するためのさらに別のKワイヤを使用可能にしている。この補足的な開口部1418f、1418gは、外科的なアプローチで1つ以上の他の開口部を使用することが困難である場合に、特に有用となることがある。第3に、骨ねじ穴部1460は、コーティカルスクリューと、そのコーティカルスクリューを別個に締めつけ固定できるようにする位置決めねじ(不図示)とともに使用することができる。あるいは、他の従来型のコーティカルスクリューを使用してもよい。
【0044】
なお、このショルダープレートのいずれも共通モデルではなく、上述したプレートが左腕か右腕に配置するよう構成されており、両方に配置するようには構成されていないことが留意される。よって、各プレートは、実質的にまっすぐなエッジを有している。プレートの頭部を棘上筋の付着点下1.5〜2.0cmのところに配置し、まっすぐなエッジを結節間溝のすぐ後ろに合わせると、プレートを上腕骨の上に適切に配置したことが保証される。例えば、図30において、直線的なエッジは、エッジ1470であり、その反対側が若干湾曲したエッジ1472である。本明細書で記載した他のショルダープレートは、対応する直線的なエッジと湾曲したエッジを有し、上述にしたがって配置すると、望ましい配置となる。さらに、プレートの頭部をこのように棘上筋の付着点に対して非常に離れたところに配置することにより(このことは従来技術において間隔がずっと短かったことと相違する)、腕を上げたときにプレートの頭部と肩峰との潜在的な干渉が最小となる。
【0045】
図31を参照すると、上腕骨骨折固定システムの他の実施形態1510が肩1500に取り付けられていて、支柱1514が骨折部1502を横切るように延びている状態が示されている。このシステム1510には、装置1512があり、この装置1512は、プレート状の頭部1534と、首部1515と、シャフト部1530とを有する。装置の首部1515は、骨折部1502のすぐ下で病巣内(intrafocally)に設置されるように頭部1534に取り付けられている。この首部1515が前方の位置にあるためにプレート状頭部1534にある1つ以上の支柱用穴部1537が首部1515を貫通している。支柱用穴部1537は、互いに軸方向かつ角度方向にずれていることが好ましい。先の実施形態と異なり、装置1512のシャフト部1530は、髄内釘を画定しており、この髄内釘は(骨折部を通して)病巣内に挿入して、次に、上腕骨近位の髄管内に入れられるような大きさに作られている。このように、装置1512は、「ネールプレート」である。シャフト1530は、頭部の下端部ではなく、頭部1534の下部の中央の位置から延びていることが好ましい。シャフト部1530は、髄管に入れやすいように先細りとなっていることが好ましく、かつ、滑らかな湾曲部1532で終端している。この湾曲部1532により、シャフト部の端部を病巣内に入れることが容易であり、かつ、髄管1504にさらに挿入することが容易である。さらに、シャフト部1530は、頭部1534に対して位置がずれていることが好ましい。これは、シャフト部1530は骨内に置くことが意図されていて、頭部1534は骨の表面に置くことが意図されているからである。締結部を入れるために、穴部1560、1562がシャフト部に設けられている。穴部1560、1562は、ねじが切られていて、それ故に機械ねじを入れられるように構成されていることが好ましい。この機械ねじは、シャフト部1530を骨皮質に押しつけるように引っ張ることができる。代わりに、ねじが切られていない穴を使用して、シャフト部を上腕皮質骨に取り付けるのに標準的なコーティカルスクリューを設けることであってもよい。「ネールプレート」は、2002年12月10日に出願した共有に係る米国特許出願第10/315,787号により詳しく記載されており、この出願は、参照することにより本明細書にその全体が組み込まれる。
【0046】
本明細書では、骨折固定システム、および、骨折、特に上腕骨の骨折を固定する方法の実施形態を説明および図示した。本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明をその実施形態に限定する意図はない。これは、本発明の範囲が当該技術が許す限り広いことが意図されているからであり、また、明細書がそのように読まれることが意図されているからである。よって、好ましい実施形態は、上腕骨骨折の固定システムに関するものであるが、当然のことながら、本システムは、凸状形状を有するあらゆる関節面の骨折に適応させることができる。したがって、本発明のシステムは、大腿頭骨の骨折を処置するのに同じように用いることができる。このような変形例では、頭部を解剖学的構造に適切に設置できるように、頭部とシャフト部の間の角度が異なることがある。さらに、特定の実施形態に関連して、特定の数の支柱とコーティカルスクリューを開示したが、必要な支柱は1つだけであり、設けるコーティカルスクリュー用の穴部、および/または、使用するねじを増減できることは分かるであろう。シャフト部を骨に取り付けるのにコーティカルスクリューを開示したが、他の締結具を同様に用いることができる。さらに、用語「支柱」および「釘」を本発明の特定の要素を説明するのに用いたが、このような用語は、便宜上用いたものであり、特許請求の範囲で使用した場合には、特定の構造を与えることを意図してはいない。よって、「支柱」とは、プレートに取り付けられたシャフト状のあらゆる締結具であると幅広く解釈することが意図されている。同様に、「釘」とは、支柱の1つを横切るように延びていて、(i)このような支柱に連結されている、および/または、(ii)支柱内に形成した横穴を貫通する、あらゆるシャフト状の要素であると幅広く解釈することが意図されている。よって、釘は、ネジ、ネジが切られていない棒材、Kワイヤその他であってもよい。
【0047】
さらに、左側の上腕骨プレートを示したが、当然ながら、右側上腕骨プレートは、図示した左側プレートのほぼ鏡像である。さらに、本システムを骨折に対して使用することに関して説明したが、当然のことながら、本システムは、上腕骨近位や、凸形状の関節面を有する他の骨の骨切り術および癒合不全の処置に用いることもできる。したがって、特許請求の範囲で記載した範囲から逸脱することなく、本発明にさらに別の変更を施すことができることは、当業者には分かるであろう。
【0048】
〔実施の態様〕
(1) 凸状関節表面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムにおいて、
a)プレートと、
b)前記プレート部分から延びており、遠位部分を有する支柱要素と、
c)前記支柱要素の前記遠位部分から広げることができ、前記軟骨下骨を支持するように向けられており、かつ、十分剛性を有する支持要素と、
を備えている、システム。
(2) 実施態様1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記支柱要素内に入れることができる、システム。
(3) 実施態様1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記関節面に実質的に平行に延びるように構成されている、システム。
【0049】
(4) 実施態様1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記支柱要素の直径方向に反対の両側から広げることができる、システム。
(5) 実施態様1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は湾曲していて凸状側面と凹状側面を画定しており、前記支持要素の前記凹状側面が前記プレートと対向している、システム。
(6) 凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムにおいて、
a)プレートと、
b)前記プレート部分から延びており、遠位部分を有する少なくとも2つの支柱要素であって、各々の前記支柱要素が、非展開配置と展開配置の間で動かすことができるように連結されている支持要素を有する、支柱要素と、
を具備し、
前記展開配置では、前記支柱要素と前記支持要素が、前記非展開配置のときよりも大きな、軟骨下骨を支持するための表面領域を画定する、
システム。
【0050】
(7) 骨折固定システムにおいて、
a)支柱用穴部を有するプレートと、
b)前記支柱用穴部に挿入可能な支柱と、
c)前記支柱を前記支柱用穴部の中で、予め定められた向きにおいて、回転可能に(rotationally)固定する第1手段と、
d)前記支柱用穴部に入っている前記支柱の一部を押圧するために前記プレートに連結されている第2手段と、
を備えている、システム。
(8) 凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムのためのプレートにおいて、
a)上面および下面を有する頭部と、
b)前記頭部から延びるシャフト部と、
c)前記頭部周りに配置された複数の縫合補助部であって、前記頭部の前記下面に対して相対的に高くなっている、複数の縫合補助部と、
を具備する、プレート。
【0051】
(9) 実施態様8記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、互いに別個のものである、プレート。
(10) 実施態様9記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、前記頭部に所定点の周りに実質的に放射状に配置されている、プレート。
(11) 実施態様9記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、縫合用の横開口部を有する、プレート。
(12) 骨折固定システム用のプレートにおいて、
6つの支柱用穴部が設けられた頭部であって、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは前方支柱用穴部であり、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは後方支柱用穴部であり、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは前記前方支柱用穴部と前記後方支柱用穴部の間の中間支柱用穴部であり、前記2つの中間支柱用穴部のうちの一方は最も近位の支柱用穴部であり、前記2つの中間支柱用穴部の他方は最も遠位の支柱用穴部であり、前記前方および後方支柱用穴部の軸は固定されていて、互いから反れており、前記中間支柱用穴部の軸は互いの方へ収束している、頭部と、
複数の骨ネジ用穴部を有するシャフト部と、
を備える、プレート。
【0052】
(13) 骨折固定システムのためのプレートにおいて、
頭部と、前記頭部に対して傾いているシャフト部と、前方側面と、後方側面とを備え、前記頭部の前記後方側面は湾曲しており、前記頭部の前記前方側面および前記シャフト部が直線を画定している、システム。
(14) 固定装置において、
頭部およびシャフト部を備えており、前記頭部は首部により前記シャフト部から横方向および長手方向に位置がずれており、
前記頭部は少なくとも1つの支柱用穴部を有し、前記少なくとも1つの支柱用穴部は前記首部をも完全に貫通しており、
前記シャフト部は、前記首部から遠ざかる方向において、断面領域が先細りとなっている、固定装置。
【0053】
(15) 実施態様14記載の固定装置において、
前記頭部および前記シャフト部は、互いにほぼ平行である、固定装置。
(16) 上腕骨近位骨折の固定方法において、
a)頭部およびシャフト部を有し、一方の側面が実質的に直線的なエッジを画定するプレートを用意する段階と、
b)棘上筋の付着点下1.5〜2.0cmのところに、前記プレートの前記直線的なエッジを結節間溝のすぐ後ろに位置を合わせた状態で、前記プレートを前記上腕骨に配置する段階と、
c)前記プレートを前記上腕骨に連結する段階と、
を含む、方法。
【0054】
(17) 上腕骨近位骨折を固定する方法において、
a)固定装置を用意する段階と、
b)前記固定装置の少なくとも一部を上腕骨の髄管の病巣内に挿入する段階と、
c)前記骨折を整復する段階と、
d)前記固定装置を前記上腕骨に固定する段階と、
を含む、方法。
(18) 実施態様17記載の方法において、
前記固定装置を用意する段階には、プレート部分と釘部分を有する装置を用意する段階が含まれ、前記挿入する段階には、前記プレート部分が前記上腕骨の外側に配置されている間に前記釘部分を前記髄管に挿入する段階が含まれる、方法。
【0055】
(19) 上腕頭を有する上腕骨近位に使用するための固定用プレートにおいて、
複数の支柱用穴部と、少なくとも1つのKワイヤ位置合わせ用穴部がある頭部であって、前記少なくとも1つのKワイヤ位置合わせ用穴部は前記頭部の中央部分に設けられていて、一本のKワイヤが密接に入る大きさにしてあり、前記上腕頭の関節面の中央に前記Kワイヤを向ける、頭部と、
少なくとも1つのコーティカルスクリュー用穴部を有するシャフト部と、
を備える、プレート。
【0056】
(20) 上腕頭を有する上腕骨近位の骨折を治療するための方法において、
固定装置を用意する段階であって、前記装置は、前記上腕頭に固定用支柱を入れるための複数の支柱用穴部と、Kワイヤ位置合わせ用穴部を有し、前記Kワイヤ位置合わせ用穴部は一本のKワイヤが密接に入る大きさにしてあり、前記上腕頭の関節面の中央に前記Kワイヤを向ける、固定装置を用意する段階と、
Kワイヤを前記Kワイヤ位置合わせ用穴部に挿入し、前記関節面の中央まで通す段階と、を含む、方法。
【0057】
(21) 上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
a)支柱用穴部がある頭部と、少なくとも1つの骨ネジ用穴部があるシャフト部とを有する上腕骨近位プレートと、
b)前記支柱用穴部に挿入可能な支柱と、
c)前記支柱を前記支柱用穴部の中で予め定められた向きで回転可能に固定する第1手段と、
d)前記支柱に連結されており、前記支柱まで横方向に延びる第2手段と、
を備える、システム。
(22) 実施態様21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段がカムを有する、システム。
【0058】
(23) 実施態様21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段が位置決めねじを有する、システム。
(24) 実施態様21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段が前記支柱用穴部および前記支柱に加工されたネジ部を有する、システム。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による上腕骨近位固定システムの一実施形態の斜視図である。
【図2】図1の実施形態用の展開可能な支柱を非展開配置で示した模式的な断面図である。
【図3】図1の実施形態用の展開可能な支柱を展開配置で示した模式的な断面図である。
【図4】図1の実施形態用の展開可能な支柱を解除配置で示した模式的な断面図である。
【図5】展開可能な支柱の他の実施形態を、展開可能なアンカーを非展開配置で示した縦断面図である。
【図6A】図5の展開可能な支柱の後端部の斜視図である。
【図6B】図5の展開可能な支柱の後端部の縦断面図である。
【図7】図5の展開可能な支柱の中央管部の斜視図である。
【図8】図5の展開可能な支柱の遠位先端部の斜視図である。
【図9】図5の展開可能な支柱の送りネジの斜視図である。
【図10】図5の展開可能な支柱のカプラーの斜視図である。
【図11】図5の展開可能な支柱の骨アンカーの斜視図である。
【図12】図5の展開可能な支柱を一部を展開した配置で示している縦断面図である。
【図13】図5の展開可能な支柱を完全に展開した配置で示している縦断面図である。
【図14】本発明の他のシステムの斜視図であり、展開可能な支柱が図13のように配置されている状態を示している。
【図15】図14のシステムのためのカムの斜視図である。
【図16】図14のシステムのプレートの平面図である。
【図17】図16の線17−17に沿った縦断面図である。
【図18】本発明の他のシステムの斜視図であり、支柱が展開配置にある状態を示している。
【図19】図18に示したシステムで使用する展開可能な支柱の後端部の斜視図である。
【図20】図19の後端部の縦断面図である。
【図21】図18に示したシステムの後端部と位置決めネジの拡大破断断面図である。
【図22】図18に示したシステムの破断部分断面斜視図である。
【図23】骨の適所にある、本発明の上腕骨近位骨折固定システムの他の実施形態を示す横斜視図である。
【図24】図23のシステムのプレートの斜視図である。
【図25】図23の固定システムの上面図であり、埋め込まれた状態が示されている。
【図26】図23の固定システムの、骨内部から見た中間図(medial view)である。
【図27】図23の埋め込まれた固定システムの他の図である。
【図28】図25と同様の図であって、アンカーが展開された状態のシステムを示している。
【図29】図26と同様の図であって、アンカーが展開された状態のシステムを示している。
【図30】本発明の上腕骨近位骨折固定システムの他の実施形態を示す斜視図である。
【図31】本発明の上腕骨近位骨折固定システムのネールプレート型実施形態の模式的な断面図である。
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願のクロスリファレンス〕
本発明は、2004年1月23日出願の米国特許仮出願第60/538,589号、2004年2月20日出願の米国特許仮出願第60/546,127号、2004年8月2日出願の米国特許仮出願第60/598,110号、および2005年1月7日出願の米国特許仮出願(代理人整理番号HAN−034P)の利益を主張するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
1.発明の分野
本発明は、概して手術機器に関するものである。より詳しくは、本発明は、骨折固定システムに関するものであり、このシステムは、整形用プレート(orthopedic plate)と、そのプレートを骨および腱にしっかりと固定するための付随する締結具を有する。
【0003】
2.技術の状況
上腕骨近位は、上腕骨の上部、つまり、一般に肩領域として知られている、人体の上腕を含む。上腕骨近位骨折は、通常、運動中の事故のような外傷性傷害で生じ、骨量が減るために歳とともに頻度が増える。上腕骨近位骨折の治療では、骨折部位を露出させて骨折を整復し、そして、プレートまたは他の手段を骨の上に配置して、整復した位置で治癒するように骨折を固定する。骨折の整復では、骨の骨折した部分の位置を再び合わせ、その元の位置または同様の安定な位置に配置することを含む。骨折の固定では、プレートを骨折した部分に被せるように配置し、プレートを骨折した骨と、隣接する骨折していない骨に骨ネジで固定することを含む。
【0004】
従来の固定用プレートには、上腕骨近位に利用する場合、いくつかの欠点があった。一般的に、従来の固定用プレートは、上腕骨の解剖学的構造と形状が十分に合っておらず、上腕骨骨折を固定するための構造的剛性を得るのに必要なサイズで用意した場合には、外科医が形状を調整することが容易でない。さらに、このようなプレートでは大きなネジが必要であり、このような大きさのネジは、下にある骨粗鬆症の骨にしっかりと取り付けることはできない。
【0005】
上腕骨近位の外形に特に合わせて作られた2つのプレートにペンシルバニア州パオリ(Paoli, PA)のシンセス(Synthes)が出している固定用上腕骨近位プレート(LPHP)とフィロス(PHILOS)がある。これらのプレートには、いくつかの定角締結具を入れる近位頭部があり、これらの締結具は、上腕骨の丸い頭部に、関節面に垂直に伸び、プレートとネジ結合する。特に骨粗鬆症の骨では、締結具が骨を貫通し、上腕骨の頭部と肩のソケットの間の関節空間に入る傾向がある。これは、大きな痛みを生じさせることがあり、また、整形上のより大きな損傷を生じる可能性がある。このような損傷により、上腕骨骨折の適切な治癒が阻害されたり、長引いたり、適切に治癒しなかったりすることがある上に、患者が余計な苦痛を受けたり、外傷後関節炎になったりする。
【0006】
〔発明の概要〕
よって、本発明の目的は、解剖学的に、上腕骨に適合した上腕骨骨折固定システムを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、上腕骨近位骨折を支持するための安定な枠を提供する上腕骨骨折固定システムを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、プレートを貫通する締結具が関節面を突き破らない上腕骨骨折固定システムを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、締結具の上腕骨の頭部への位置を合わせがしやすい上腕骨折固定システムを提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、締結具が上腕骨の頭部に適切に埋め込まれた時の触覚を、外科医にもたらす上腕骨折固定システムを提供することである。
【0011】
詳しく後述するこれらの目的によれば、上腕骨骨折固定システムが提供され、このシステムは、プレート、複数のコーティカルスクリュー(cortical screws)、プレートを上腕骨に連結して、骨折を固定するための複数の支柱を有する。このシステムは、後述するように、Kワイヤと縫合材をも有することが好ましい。
【0012】
プレートには複数の支柱用穴部が設けられている。支柱は、各支柱用穴部について用意されており、プレートの頭部を肩の関節面にほぼ垂直に貫通する。本発明の好ましい態様によれば、支柱に、関節面の軟骨下骨を支持する支持手段を設けることができる。このような支持手段を設けた場合、支柱が有する頭部は、支持手段が、常に、プレートおよび解剖学的形態に対して特定の方向を向き、好ましくは前後面と位置が揃うように、支柱用穴部に対して特定の回転方向に固定できることが好ましい。
【0013】
本発明の他の好ましい態様によれば、頭部が複数の位置合わせ用穴部を有し、この穴部は、個々のKワイヤが特定の向きで密接に入るような大きさに作られている。位置合わせ用穴部を通る軸の配置の向き、そしてその結果、そこに通されたKワイヤは、プレートの頭部に連結させたとき、支柱によって画定される空間に密接に一致する。
【0014】
骨折を整復した後であって支柱用の穴を開ける前に、外科医は、プレートの頭部にある位置合わせ用の穴部にKワイヤを差し直し、プレートの頭部の向きを上腕骨の頭部に対して一時的に固定する。いったん配置をこのように固定したら、例えばX線透視下で骨折を検査し、骨折が解剖学的に正しい方法で整復されているかどうか、および、Kワイヤが解剖学的形態に対して適切に配置されているかどうかを確認する。X線透視下で観察したKワイヤは、骨折および関節面に対して支柱が適切に配置されるかどうかを示す。配置が正しい場合には、Kワイヤで骨折部上のプレートの位置を維持し、その間に支柱用の穴を開ける。配置が最適でなければ、Kワイヤを取り除くことができるので、外科医には、Kワイヤの位置および/または向きを改めて再び差し込む機会がある。各Kワイヤは、直径が比較的小さいので、差し込むという処理で骨は著しい損傷を受けず、外科医は、最初に差し込んだ位置および/または向きに拘束されることはない。プレートをKワイヤを使って適切に位置決めしたら、プレート、支柱、それに、もしあれば支持手段を埋め込むことができ、そしてKワイヤを取り去ることができる。
【0015】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、頭部は、低くしてある近位凹部と、周りに穴がある複数の縫合ガイドとを有する。凹部により縫合ガイドが骨の表面から持ち上げられ、外科医が縫合材付きの針を縫合ガイドと、プレートおよび骨の間に通すことができるようになり、腱と骨片をプレートに縫合することが可能になる。
【0016】
固定システムを埋め込んだ状態では、支柱は関節面に垂直に向けられているが、関節面を突き破るほどには延びていない。
【0017】
本発明のさらに他の目的および利点は、詳細な説明を添付図面とともに参照することにより当業者に明らかになるであろう。
【0018】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
図1を参照すると、本発明による上腕骨近位骨折固定システムの一実施形態510が示されている。このシステム510には上腕骨プレート512があり、上腕骨プレート512はその頭部534に1つ以上の支柱用孔部536を備えており、また、上腕骨プレート512のシャフト部分530に沿ってネジ孔532を備えている。管状の支柱514が各支柱用孔部536に対して用意されている。図1および図2を参照すると、支柱514は、一対のアーム560を有しており、この一対のアーム560は、支柱514の遠位端部562近傍にある軸561中心に回転可能に連結されている。3つ以上のアームを有する実施形態を提供することもできる。各アーム560には、その旋回軸561のほぼ近傍にカムフォロアー面564がある。このカムフォロアー面564に遠位方向かつ横方向の力がかかると、図1に示し、かつ、後述するように、アーム560が放射方向に開いた配置へと動く。支柱514には窓部566があり、アーム560が閉じた位置にあると(図2)、腕部560が支柱の他の部分と同一平面上となれるようになっている。図2を参照すると、支柱に雌ねじ568もある。
【0019】
図3を参照すると、位置決めねじ(set screw)570が設けられており、この位置決めねじ570は、雌ねじ568と係合するものであり、また、カム572が設けられた遠位端部を有している。カム572は、カムフォロアー面564と接触して、アーム560を放射方向外側へ動かし、開いた配置にする。開いた配置では、アーム560は、それぞれ、支柱514に対して実質的に90度まで広がることができる。つまり、アーム560は、関節面に対してほぼ平行に広がることができ、また、好ましくは、前後面内に広がることができる。もっとも、各アーム560と支柱514の間の角度が鋭角であり、好ましくは約60°から89°であり、これにより、上腕骨頭部の関節面の輪郭をアームがよりよく近似することの方がさらに好ましい。アーム560は、骨で囲まれるが、この骨は、多くの場合、海綿状の、すなわち、脆い骨粗鬆症の骨であり、アームはその中で動くことができる。図示のアーム560は、比較的幅が広く、いったん開いた配置へ動かせば、骨折を非常によく固定し、関節の骨面を良好に支える。ただし、骨の中で動かしやすいように、アームを図示したものより比較的薄くすることもできる。さらに、位置決めねじは、内腔部574と、窓部566に整列した遠位開口部576をオプションとして有していてもよい。この内腔部574および開口部576を通して、好ましくは生分解性である骨セメント、または、好ましくは速結性(quick-setting)である他の充填剤を(矢印で示したように)アーム560の開口部が作る空間に注入して整復した骨折部をさらに固定することができる。
【0020】
図4を参照すると、埋め込んだ後に支柱514とそのアーム560を骨から除去することが必要、または、望ましくなった場合には、位置決めねじ570を回して支柱514から取り去り、そして次に支柱を骨から引き抜く。位置決めねじ570を取り除いた状態では、アーム560は、窓部566の上端部に向かって上方に回転することができ、支柱を引き抜くときに、支柱514の遠位端562に当たって止まる。
【0021】
次に、図5から図11を参照すると、他の展開可能な支柱714が示されている。支柱714の外側部分は、近位管状後端部802(図6Aおよび図6B)と、中央管部804(図7)と、遠位先端部806(図8)とを有する。図6Aおよび図6Bを参照すると、後端部802は、頭部807を有しており、頭部807は、(より詳しく後述するように)支柱802を回転して上腕骨プレートに対して合わせる基準構造部、例えば扇形のくぼみ808を備えている。また、後端部802は、中径部分809と小径部分810に段階的に小さくなっている。小径部分810は、対称位置に配置された2つのくぼみ812を画定している。後端部802の遠位端部は、雌ねじ817をさらに有している。管部804は、小径部分810に被せるように設置させられており、また、遠位方向を向いている2つの翼状部814を有している。翼状部814は、くぼみ812と係合して後端部802の中径部分809と同一平面となるよう係合した状態で後端部802に管部804を固定する。管部804には、一対の窓部852がある。先端部806は、これについてはさらに後述するが、管部804の遠位端に入るように延びており、ピン818によって管部の所定位置に固定されている。ピン818は、それぞれ管部804と先端部806にある穴部819と821を貫通している。
【0022】
図5および図9を参照すると、送りねじ820が支柱714の後端部802に設けられている。送りねじ820は、近位係合ソケット822を有しており、これは、例えば、四角または六角のソケットであり、送りねじ820を工具を使って後端部802に対して回しやすくしている。また、送りねじ820は、後端部802の雌ねじ817に係合するねじ付き中央部823と、遠位段付き頭部824を有する。頭部824は、カプラー828のネスト部(nest)826に嵌り、ネスト部826に対して回転可能である。カプラー828は、雄部、雌部の両方を有する2つの要素829(図10)によって画定されている。要素829は、それぞれ、支柱部834と、ソケット部836とを有する。この支柱834部と、ソケット部836は、同様の要素の対応する部分にはまる。雄部、雌部の両方を有する要素829の各々は、トラック部837および/またはスロット部838をさらに規定している。後述するように、スロット部838には、アンカー840の一部が可動に連結される。
【0023】
図11を参照すると、骨アンカー840は、カプラー828のスロット838の内部で移動できるような大きさに作られた近位軸部842を有し、かつ、カプラーのトラック837に沿ってその上を移動するように設計された後端部843を有する。アンカー840は、ある弧に沿って湾曲しており、また、各アンカー840は、比較的鋭く、骨を突き通る端部844を有する。アンカーは金属製であることが好ましいが、セラミックまたは硬い生体吸収性材料から作られていてもよい。図8および図11を参照すると、先端部806は2つのアンカーガイド850を画定しており、これらアンカーガイド850は、それぞれ、アンカー840の凸状の側面845の湾曲に対応するように湾曲している。管部804は、2つの窓部852を規定している。窓部852は、アンカー840の断面形状に対応しており、アンカー840は、窓部852を通って支柱714の外へと進むことができる。
【0024】
図12および図13を参照すると、送りねじ820は、後端部802の中で回して前進させ、これによりカプラー828を管部804の中で前へ進める。カプラー804が進むにつれ、アンカー840が前方へ押され、ガイド850に接触して、窓852(図7)の外へと外向きに、つまり、支柱714の軸部に対してほぼ横向きに向きが変わる。本発明の一態様によれば、アンカー840が前方に動いて軸842の回りに回転すると、管部804内部のアンカー840の回転軸が、特に図5に示した最初の位置に対して(カプラーの上にある波線の円形のマークで示してあるように)変化する。これは、カプラー828のスロット838の内部で横向きに動くという軸842の機能より達成される。図13を参照すると、完全に展開した場合、アンカー840は、好ましくは管部804の直径の2〜3.5倍外に突出する。好ましい実施形態では、管部804が直径4mmであり、アンカー840は、各々、約10mm突出する。
【0025】
次に、図14を参照すると、上腕骨プレート702が、複数の支柱714が取り付けられていて、かつ、アンカー840を展開した状態で示されている。支柱714は、プレート702に任意の適切な方法で固定することができる。もっとも、支柱714は、展開したアンカー840が予め定められた向きを向くように、たとえば、図示のように互いにほぼ並行であるように、プレート702に対して固定されることが好ましい。さらに、各支柱714は、プレート712に対してねじ結合を用いることなく固定することが好ましい。これは、(i)部品が動かないように、かつ、固く互いに連結され、かつ、(ii)ロックすることにより支柱が確実に予め定められた回転方向を向くような、ねじ結合を機械加工することが難しいからである。上記に拘わらず、同じ結果が得られるように、つまり、支柱をプレートに完全に設置したときに予め定められた回転位置が得られるように、入口位置と終端位置とを配置して、かつ、必要な公差で支柱とプレートの間のねじ結合を機械加工することは、間違いなく可能であり、かつ、本発明の範囲内である。
【0026】
本発明の好ましい態様によれば、支柱714が支柱用穴部736に対して一回完全に回転しないうちに、より好ましくは、0°から90°回転するうちに、支柱714とそれぞれの支柱用穴部736が固定されることが好ましい。
【0027】
支柱を固定する方法の1つは、各支柱をプレートに固定するのにカムを用いるというものである。図15を参照すると、好ましいカム856は、ほぼ円筒状であるが、カムの外周の約270°にわたって半径が螺旋状に大きくなる外壁部858を有する。カム856は、カムがその回りを回る下部ピン(不図示)と、ドライバーのための上部六角スロット860とをさらに有する。
【0028】
図14、図16および図17を参照すると、各支柱714に対して、プレート702が支柱用穴部736と、隣接する凹部状のカムスロット862とを有している。カムスロット862には、センタリングホール863があり、このセンタリングホール863には、センタリングピンが入る。カム856およびカムスロット862の形状により、いったんカムをカムスロットに入れると、カムがカムスロットの中に本質的に閉じこめられる。支柱714を支柱用穴部736に挿入する前に、カム856を回して、カム856の径がもっとも小さいところが支柱用穴部の方を向いて配置されるようにする。支柱714は、支柱用穴部736に差し込み、支柱の後端部802にある扇形のくぼみ808がカム856の外面の当たりにはまるように配置し、そして、支柱用穴部の中に完全に押し込む。次にカム856をドライバーを使って回し、カムの径がより大きい部分と支柱とが接触して支柱714をプレート702に効果的に固定するのにそれらが十分に接触するようにする。
【0029】
次に図18から図20までを参照すると、支柱をプレートに対して回転方向および軸方向に固定するためのシステムの他の実施形態が示されている。このようなシステムによれば、支柱914は、支柱714に関して前述したのと実質的に同じである。支柱714(図5)と異なり、支柱914の後端部1002は、耳部1008を有し、かつ、弾力があり、径方向外側に向けられた留め金1009の円形の配列を有する。さらに、図21を参照すると、支柱914の後端部1002は、直径に沿った内腔部1011を有する。これは、より詳しく後述するように、必要な場合に埋め込んだ支柱を取り除きやすくするためである。さらに図21を参照すると、このシステムは、位置決めねじ1056を有する。位置決めねじ1056は、これも後述するように、支柱914をプレート902に対して固定する。位置決めねじ1056は、凹部1058を有し、この凹部1058には、留め金1009が係合するが、締めつけ1056は、留め金に対して回ることができる。
【0030】
図22を参照すると、プレート902の各支柱用穴部936は、直径が段状に変化していて上部の大径部分内にねじ1060と、直径に沿った2つの耳部1062とを有している。支柱914は、耳部1008が耳部1062と整列するように支柱用穴部936に挿入される。これにより、後でアンカーを広げたときに(図18)アンカーの位置が適切に整列していることが保証される。次に、位置決めねじ1056をねじ1060と係合した状態で回して支柱914が所定位置に不動に固定されるまで回す。
【0031】
支柱914を取り去ることが必要な場合には、位置決めねじ1056を回して係合を解除する。このようにして、位置決めねじを支柱からはずすことができる。このようなことが起きた場合には、(不図示)工具を直径に沿った内腔部1011に挿入して、ひっぱり、支柱を骨および穴部936から引き抜く。
【0032】
次に、図23から図28を参照すると、固定システムの他の実施形態1200が上腕骨1300に取り付けられているところが示されている。図23および図24を参照すると、システム1200は、6個の支柱用穴部を備えた頭部1234があるプレート1202を有する。6個の支柱用穴部には、ねじ付き頭部を有する支柱を入れられるように設計された中央支柱用穴部1236a、1236b、1236c、1236d(以下、まとめて1236という)と、近位および遠位支柱1237a、1237b(以下、まとめて1237という)とを有する。近位および遠位支柱1237a、1237bは、展開可能なアンカーをオプションとして有することができる支柱を入れるための支柱用穴部936(図22)と実質的に同様であることが好ましい。つまり、支柱用穴部1237は、支柱の角度位置を固定するシステムを有することが好ましい。このようなシステムは、図25および図26に示すように(関節面の軟骨下骨を支持するための何らかの展開可能な支持手段を備えていても、いなくても)従来の頭部にネジが付いている支柱が入れられるようにも構成されている。さらに、いずれの支持手段もない支柱が使用されている場合、支柱用穴部には、角度の割り出しを行う、すなわち、支柱を正確に固定するためのいかなるシステムも必要ない。さらに図25および図26を参照すると、中央支柱用穴部1236a、1236b、1236c、1236dは、支柱1214a、1214b、1214c、1214dによって図示されている軸を画定している。これらの軸は、相互に角度的に傾いており、支柱が横方向にも縦方向にも反れる(diverge)ようにしている。近位および遠位支柱用穴部1237a、1237bは、支柱1215a、1215bで図示するように、好ましくは、横方向に整列していて、角度上一点に向かう軸を画定している。
【0033】
図24を参照すると、頭部1234には、5つの位置合わせ用穴部1218a、1218b、1218c、1218d、1218e(以下、まとめて1218という)がさらに設けられている。各位置合わせ用穴部は、一定の軸に沿ってKワイヤ(支柱用穴部のためのそれぞれの支柱より実質的に細い)を密接に入れられるような大きさにしてある。具体的には、1218eの軸は、上腕頭の関節面の中央へ向けられている。位置合わせ用の穴部1218は、プレートの頭部1234内でKワイヤの経路を表すような角度に向けられている。このKワイヤの経路は、支柱のさまざまな輪郭を示したり、関心がある場所を埋め込んだ支柱に対して相対的に特定したりする。より具体的には、図24から図26に示すように、穴部1218b、1218cに配置されたKワイヤ1220、1222は、支柱1214a、1214b、1214c、1214dの上下の境界を画定している。一方、穴部1218eに配置されたKワイヤ1224は、関節面の中央に向けられており、近位および遠位の支柱用穴部1215a、1215bの軸が集中する中央の場所を画定している。
【0034】
図24および図27にもっともよく示されているように、幅の狭い用縫合用レール1240が頭部1234の近位部分の周囲に広がっている。縫合用レール1240は、縫合針をレールに通しやすいように頭部の下面1250より高くしてあり、比較的低くあまり目立たない外形とするように上面1252に対してくぼませてある。
【0035】
図27から図29を参照すると、デルト−ペクトラル・アプローチ(delto-pectoral approach)による使用時には、骨折部を露出させて壊死組織を切除する。牽引および直接操作を用いて、骨折を整復し、軟骨下骨の関節面1350と、上腕骨(humeral shaft)1352の間の解剖学的関係をその角度上の配列および後傾(retroversion)の両方について回復する。次に、プレート1202の位置を上腕骨1300上で定め、好ましくは、結節間溝のすぐ後ろであって、棘下筋の付着点(insertion)の下約1.5〜2.0cmに定める。次にプレートを例えばプレートのシャフト部に差し込んだ2.0mmの固定用Kワイヤまたは非固定用の細長いねじ穴1232aに暫定的に差し込んだコーティカルスクリューを用いて遠位の骨片に仮止めする。次に、整復した状態をプレートの頭部1234にある一定角度のKワイヤ穴部に通して近位の骨片部に差し込んだKワイヤ1220、1222,1224によって固定する。複数のワイヤを用いて最終的な支柱の位置を先取りしてもよい。
【0036】
位置合わせ用穴部の軸は、隣接する支柱用穴部の軸に対応している。好ましくは、前後画像および軸方向画像の両方を用いてKワイヤ1220,1222,1224をX線透視下で見て、支柱が適切に配置されるかどうかの目安とする。配置が正確である場合、Kワイヤで骨折部上のプレートの位置を保持する。したがって、支柱用穴部をその位置および向きが適切であるとの確信を持って開けることができる。配置が最適でない場合、Kワイヤを取り外し、外科医がプレートを再配置することができ、および/またはKワイヤの向きを改めて、再び穴を開けることができる。各Kワイヤの直径が比較的小さいので、骨が穴あけ工程によって著しい損傷を受けることはなく、外科医は、最初に穴を開けた位置および/または向きに拘束されることはない。整形用プレートのための位置合わせ用穴部およびそこに通されたKワイヤの使用については、2003年10月21日に出願された米国特許出願第10/689,797号、2003年9月17日に出願された第10/664,371号および2004年11月10日に出願された第10/985,598号に、より詳細に記載されている。これらの特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
プレート1212のシャフト部1230は、次にコーティカルスクリューを細長い穴部1232aに完全に差し込むことにより、上腕骨幹1352に固定する。シャフト部を固定するのに使用したKワイヤは全て取り去る。
【0038】
ドリルガイド(不図示)を使用して、支柱用の穴部を開ける。深さゲージ(不図示)を使用して、開けた穴の深さを測定する。適当な長さの支柱1214a、1214b、1214c、1214d、1215a、1215bをドライバーを用いて挿入する。支柱の遠位端は、軟骨下骨1350の関節面の4〜6mm下にあることが好ましい。その後、骨折の整復と支柱の配置が正しく行われていることをX線撮影により確認する。
【0039】
図28および図29を参照すると、支柱1215a,1215bが展開可能なアンカーを有しており場合、外科医は、アンカー1340を展開して軟骨下骨1350の関節面が支持されるようにする。実際には、頭部1234にあるKワイヤ1220、1222,1224をアンカーを展開する前に取り去ることが好ましい。
【0040】
プレートの遠位部分を上腕骨の骨幹1352に固定するのに使用する残りのコーティカルスクリューのためのさらに別の穴もあけられる。
【0041】
次に、必要である場合は、粗面(tuberosities)を整復してプレートの縫合レール1240に縫合糸またはワイヤを使って固定する。
【0042】
次に最終的なX線像を撮影して、適当な外科手技を使用して外科創傷を閉じる。
【0043】
次に、図30を参照すると、ショルダープレートの他の実施形態1402が示されている。プレート1402は、特徴がプレート1202と実質的に同様であるが、いくつかの重要な構造的な違いがある。第1に、頭部1434の近位端部が側面開口部を備えた3つの別個のほぼ放射状に配置された縫合ガイド1440を有する。ガイド1440は、間隔をおいて配置されており、隣接するガイドに妨げられることなく針をそこに通すことができる。第2に、中央Kワイヤ開口部1418eの前後にさらに別のKワイヤ開口部1418f、1418gが設けられていて、支柱を挿入する前に骨内における支柱の配置をX線透視で画像化するためのさらに別のKワイヤを使用可能にしている。この補足的な開口部1418f、1418gは、外科的なアプローチで1つ以上の他の開口部を使用することが困難である場合に、特に有用となることがある。第3に、骨ねじ穴部1460は、コーティカルスクリューと、そのコーティカルスクリューを別個に締めつけ固定できるようにする位置決めねじ(不図示)とともに使用することができる。あるいは、他の従来型のコーティカルスクリューを使用してもよい。
【0044】
なお、このショルダープレートのいずれも共通モデルではなく、上述したプレートが左腕か右腕に配置するよう構成されており、両方に配置するようには構成されていないことが留意される。よって、各プレートは、実質的にまっすぐなエッジを有している。プレートの頭部を棘上筋の付着点下1.5〜2.0cmのところに配置し、まっすぐなエッジを結節間溝のすぐ後ろに合わせると、プレートを上腕骨の上に適切に配置したことが保証される。例えば、図30において、直線的なエッジは、エッジ1470であり、その反対側が若干湾曲したエッジ1472である。本明細書で記載した他のショルダープレートは、対応する直線的なエッジと湾曲したエッジを有し、上述にしたがって配置すると、望ましい配置となる。さらに、プレートの頭部をこのように棘上筋の付着点に対して非常に離れたところに配置することにより(このことは従来技術において間隔がずっと短かったことと相違する)、腕を上げたときにプレートの頭部と肩峰との潜在的な干渉が最小となる。
【0045】
図31を参照すると、上腕骨骨折固定システムの他の実施形態1510が肩1500に取り付けられていて、支柱1514が骨折部1502を横切るように延びている状態が示されている。このシステム1510には、装置1512があり、この装置1512は、プレート状の頭部1534と、首部1515と、シャフト部1530とを有する。装置の首部1515は、骨折部1502のすぐ下で病巣内(intrafocally)に設置されるように頭部1534に取り付けられている。この首部1515が前方の位置にあるためにプレート状頭部1534にある1つ以上の支柱用穴部1537が首部1515を貫通している。支柱用穴部1537は、互いに軸方向かつ角度方向にずれていることが好ましい。先の実施形態と異なり、装置1512のシャフト部1530は、髄内釘を画定しており、この髄内釘は(骨折部を通して)病巣内に挿入して、次に、上腕骨近位の髄管内に入れられるような大きさに作られている。このように、装置1512は、「ネールプレート」である。シャフト1530は、頭部の下端部ではなく、頭部1534の下部の中央の位置から延びていることが好ましい。シャフト部1530は、髄管に入れやすいように先細りとなっていることが好ましく、かつ、滑らかな湾曲部1532で終端している。この湾曲部1532により、シャフト部の端部を病巣内に入れることが容易であり、かつ、髄管1504にさらに挿入することが容易である。さらに、シャフト部1530は、頭部1534に対して位置がずれていることが好ましい。これは、シャフト部1530は骨内に置くことが意図されていて、頭部1534は骨の表面に置くことが意図されているからである。締結部を入れるために、穴部1560、1562がシャフト部に設けられている。穴部1560、1562は、ねじが切られていて、それ故に機械ねじを入れられるように構成されていることが好ましい。この機械ねじは、シャフト部1530を骨皮質に押しつけるように引っ張ることができる。代わりに、ねじが切られていない穴を使用して、シャフト部を上腕皮質骨に取り付けるのに標準的なコーティカルスクリューを設けることであってもよい。「ネールプレート」は、2002年12月10日に出願した共有に係る米国特許出願第10/315,787号により詳しく記載されており、この出願は、参照することにより本明細書にその全体が組み込まれる。
【0046】
本明細書では、骨折固定システム、および、骨折、特に上腕骨の骨折を固定する方法の実施形態を説明および図示した。本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明をその実施形態に限定する意図はない。これは、本発明の範囲が当該技術が許す限り広いことが意図されているからであり、また、明細書がそのように読まれることが意図されているからである。よって、好ましい実施形態は、上腕骨骨折の固定システムに関するものであるが、当然のことながら、本システムは、凸状形状を有するあらゆる関節面の骨折に適応させることができる。したがって、本発明のシステムは、大腿頭骨の骨折を処置するのに同じように用いることができる。このような変形例では、頭部を解剖学的構造に適切に設置できるように、頭部とシャフト部の間の角度が異なることがある。さらに、特定の実施形態に関連して、特定の数の支柱とコーティカルスクリューを開示したが、必要な支柱は1つだけであり、設けるコーティカルスクリュー用の穴部、および/または、使用するねじを増減できることは分かるであろう。シャフト部を骨に取り付けるのにコーティカルスクリューを開示したが、他の締結具を同様に用いることができる。さらに、用語「支柱」および「釘」を本発明の特定の要素を説明するのに用いたが、このような用語は、便宜上用いたものであり、特許請求の範囲で使用した場合には、特定の構造を与えることを意図してはいない。よって、「支柱」とは、プレートに取り付けられたシャフト状のあらゆる締結具であると幅広く解釈することが意図されている。同様に、「釘」とは、支柱の1つを横切るように延びていて、(i)このような支柱に連結されている、および/または、(ii)支柱内に形成した横穴を貫通する、あらゆるシャフト状の要素であると幅広く解釈することが意図されている。よって、釘は、ネジ、ネジが切られていない棒材、Kワイヤその他であってもよい。
【0047】
さらに、左側の上腕骨プレートを示したが、当然ながら、右側上腕骨プレートは、図示した左側プレートのほぼ鏡像である。さらに、本システムを骨折に対して使用することに関して説明したが、当然のことながら、本システムは、上腕骨近位や、凸形状の関節面を有する他の骨の骨切り術および癒合不全の処置に用いることもできる。したがって、特許請求の範囲で記載した範囲から逸脱することなく、本発明にさらに別の変更を施すことができることは、当業者には分かるであろう。
【0048】
〔実施の態様〕
(1) 凸状関節表面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムにおいて、
a)プレートと、
b)前記プレート部分から延びており、遠位部分を有する支柱要素と、
c)前記支柱要素の前記遠位部分から広げることができ、前記軟骨下骨を支持するように向けられており、かつ、十分剛性を有する支持要素と、
を備えている、システム。
(2) 実施態様1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記支柱要素内に入れることができる、システム。
(3) 実施態様1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記関節面に実質的に平行に延びるように構成されている、システム。
【0049】
(4) 実施態様1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記支柱要素の直径方向に反対の両側から広げることができる、システム。
(5) 実施態様1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は湾曲していて凸状側面と凹状側面を画定しており、前記支持要素の前記凹状側面が前記プレートと対向している、システム。
(6) 凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムにおいて、
a)プレートと、
b)前記プレート部分から延びており、遠位部分を有する少なくとも2つの支柱要素であって、各々の前記支柱要素が、非展開配置と展開配置の間で動かすことができるように連結されている支持要素を有する、支柱要素と、
を具備し、
前記展開配置では、前記支柱要素と前記支持要素が、前記非展開配置のときよりも大きな、軟骨下骨を支持するための表面領域を画定する、
システム。
【0050】
(7) 骨折固定システムにおいて、
a)支柱用穴部を有するプレートと、
b)前記支柱用穴部に挿入可能な支柱と、
c)前記支柱を前記支柱用穴部の中で、予め定められた向きにおいて、回転可能に(rotationally)固定する第1手段と、
d)前記支柱用穴部に入っている前記支柱の一部を押圧するために前記プレートに連結されている第2手段と、
を備えている、システム。
(8) 凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムのためのプレートにおいて、
a)上面および下面を有する頭部と、
b)前記頭部から延びるシャフト部と、
c)前記頭部周りに配置された複数の縫合補助部であって、前記頭部の前記下面に対して相対的に高くなっている、複数の縫合補助部と、
を具備する、プレート。
【0051】
(9) 実施態様8記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、互いに別個のものである、プレート。
(10) 実施態様9記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、前記頭部に所定点の周りに実質的に放射状に配置されている、プレート。
(11) 実施態様9記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、縫合用の横開口部を有する、プレート。
(12) 骨折固定システム用のプレートにおいて、
6つの支柱用穴部が設けられた頭部であって、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは前方支柱用穴部であり、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは後方支柱用穴部であり、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは前記前方支柱用穴部と前記後方支柱用穴部の間の中間支柱用穴部であり、前記2つの中間支柱用穴部のうちの一方は最も近位の支柱用穴部であり、前記2つの中間支柱用穴部の他方は最も遠位の支柱用穴部であり、前記前方および後方支柱用穴部の軸は固定されていて、互いから反れており、前記中間支柱用穴部の軸は互いの方へ収束している、頭部と、
複数の骨ネジ用穴部を有するシャフト部と、
を備える、プレート。
【0052】
(13) 骨折固定システムのためのプレートにおいて、
頭部と、前記頭部に対して傾いているシャフト部と、前方側面と、後方側面とを備え、前記頭部の前記後方側面は湾曲しており、前記頭部の前記前方側面および前記シャフト部が直線を画定している、システム。
(14) 固定装置において、
頭部およびシャフト部を備えており、前記頭部は首部により前記シャフト部から横方向および長手方向に位置がずれており、
前記頭部は少なくとも1つの支柱用穴部を有し、前記少なくとも1つの支柱用穴部は前記首部をも完全に貫通しており、
前記シャフト部は、前記首部から遠ざかる方向において、断面領域が先細りとなっている、固定装置。
【0053】
(15) 実施態様14記載の固定装置において、
前記頭部および前記シャフト部は、互いにほぼ平行である、固定装置。
(16) 上腕骨近位骨折の固定方法において、
a)頭部およびシャフト部を有し、一方の側面が実質的に直線的なエッジを画定するプレートを用意する段階と、
b)棘上筋の付着点下1.5〜2.0cmのところに、前記プレートの前記直線的なエッジを結節間溝のすぐ後ろに位置を合わせた状態で、前記プレートを前記上腕骨に配置する段階と、
c)前記プレートを前記上腕骨に連結する段階と、
を含む、方法。
【0054】
(17) 上腕骨近位骨折を固定する方法において、
a)固定装置を用意する段階と、
b)前記固定装置の少なくとも一部を上腕骨の髄管の病巣内に挿入する段階と、
c)前記骨折を整復する段階と、
d)前記固定装置を前記上腕骨に固定する段階と、
を含む、方法。
(18) 実施態様17記載の方法において、
前記固定装置を用意する段階には、プレート部分と釘部分を有する装置を用意する段階が含まれ、前記挿入する段階には、前記プレート部分が前記上腕骨の外側に配置されている間に前記釘部分を前記髄管に挿入する段階が含まれる、方法。
【0055】
(19) 上腕頭を有する上腕骨近位に使用するための固定用プレートにおいて、
複数の支柱用穴部と、少なくとも1つのKワイヤ位置合わせ用穴部がある頭部であって、前記少なくとも1つのKワイヤ位置合わせ用穴部は前記頭部の中央部分に設けられていて、一本のKワイヤが密接に入る大きさにしてあり、前記上腕頭の関節面の中央に前記Kワイヤを向ける、頭部と、
少なくとも1つのコーティカルスクリュー用穴部を有するシャフト部と、
を備える、プレート。
【0056】
(20) 上腕頭を有する上腕骨近位の骨折を治療するための方法において、
固定装置を用意する段階であって、前記装置は、前記上腕頭に固定用支柱を入れるための複数の支柱用穴部と、Kワイヤ位置合わせ用穴部を有し、前記Kワイヤ位置合わせ用穴部は一本のKワイヤが密接に入る大きさにしてあり、前記上腕頭の関節面の中央に前記Kワイヤを向ける、固定装置を用意する段階と、
Kワイヤを前記Kワイヤ位置合わせ用穴部に挿入し、前記関節面の中央まで通す段階と、を含む、方法。
【0057】
(21) 上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
a)支柱用穴部がある頭部と、少なくとも1つの骨ネジ用穴部があるシャフト部とを有する上腕骨近位プレートと、
b)前記支柱用穴部に挿入可能な支柱と、
c)前記支柱を前記支柱用穴部の中で予め定められた向きで回転可能に固定する第1手段と、
d)前記支柱に連結されており、前記支柱まで横方向に延びる第2手段と、
を備える、システム。
(22) 実施態様21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段がカムを有する、システム。
【0058】
(23) 実施態様21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段が位置決めねじを有する、システム。
(24) 実施態様21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段が前記支柱用穴部および前記支柱に加工されたネジ部を有する、システム。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による上腕骨近位固定システムの一実施形態の斜視図である。
【図2】図1の実施形態用の展開可能な支柱を非展開配置で示した模式的な断面図である。
【図3】図1の実施形態用の展開可能な支柱を展開配置で示した模式的な断面図である。
【図4】図1の実施形態用の展開可能な支柱を解除配置で示した模式的な断面図である。
【図5】展開可能な支柱の他の実施形態を、展開可能なアンカーを非展開配置で示した縦断面図である。
【図6A】図5の展開可能な支柱の後端部の斜視図である。
【図6B】図5の展開可能な支柱の後端部の縦断面図である。
【図7】図5の展開可能な支柱の中央管部の斜視図である。
【図8】図5の展開可能な支柱の遠位先端部の斜視図である。
【図9】図5の展開可能な支柱の送りネジの斜視図である。
【図10】図5の展開可能な支柱のカプラーの斜視図である。
【図11】図5の展開可能な支柱の骨アンカーの斜視図である。
【図12】図5の展開可能な支柱を一部を展開した配置で示している縦断面図である。
【図13】図5の展開可能な支柱を完全に展開した配置で示している縦断面図である。
【図14】本発明の他のシステムの斜視図であり、展開可能な支柱が図13のように配置されている状態を示している。
【図15】図14のシステムのためのカムの斜視図である。
【図16】図14のシステムのプレートの平面図である。
【図17】図16の線17−17に沿った縦断面図である。
【図18】本発明の他のシステムの斜視図であり、支柱が展開配置にある状態を示している。
【図19】図18に示したシステムで使用する展開可能な支柱の後端部の斜視図である。
【図20】図19の後端部の縦断面図である。
【図21】図18に示したシステムの後端部と位置決めネジの拡大破断断面図である。
【図22】図18に示したシステムの破断部分断面斜視図である。
【図23】骨の適所にある、本発明の上腕骨近位骨折固定システムの他の実施形態を示す横斜視図である。
【図24】図23のシステムのプレートの斜視図である。
【図25】図23の固定システムの上面図であり、埋め込まれた状態が示されている。
【図26】図23の固定システムの、骨内部から見た中間図(medial view)である。
【図27】図23の埋め込まれた固定システムの他の図である。
【図28】図25と同様の図であって、アンカーが展開された状態のシステムを示している。
【図29】図26と同様の図であって、アンカーが展開された状態のシステムを示している。
【図30】本発明の上腕骨近位骨折固定システムの他の実施形態を示す斜視図である。
【図31】本発明の上腕骨近位骨折固定システムのネールプレート型実施形態の模式的な断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムにおいて、
a)プレートと、
b)前記プレート部分から延びており、遠位部分を有する支柱要素と、
c)前記支柱要素の前記遠位部分から広げることができ、前記軟骨下骨を支持するように向けられており、かつ、十分剛性を有する支持要素と、
を備えている、システム。
【請求項2】
請求項1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記支柱要素内に入れることができる、システム。
【請求項3】
請求項1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記関節面に実質的に平行に延びるように構成されている、システム。
【請求項4】
請求項1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記支柱要素の直径方向に反対の両側にある広げることができる、システム。
【請求項5】
請求項1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は湾曲していて凸状側面と凹状側面を画定しており、前記支持要素の前記凹状側面が前記プレートと対向している、システム。
【請求項6】
凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムにおいて、
a)プレートと、
b)前記プレート部分から延びており、遠位部分を有する少なくとも2つの支柱要素であって、各々の前記支柱要素が、非展開配置と展開配置の間で動かすことができるように連結されている支持要素を有する、支柱要素と、
を具備し、
前記展開配置では、前記支柱要素と前記支持要素が、前記非展開配置のときよりも大きな、軟骨下骨を支持するための表面領域を画定する、
システム。
【請求項7】
骨折固定システムにおいて、
a)支柱用穴部を有するプレートと、
b)前記支柱用穴部に挿入可能な支柱と、
c)前記支柱を前記支柱用穴部の中で、予め定められた向きにおいて、回転に関して固定する第1手段と、
d)前記支柱用穴部に入っている前記支柱の一部を押圧するために前記プレートに連結されている第2手段と、
を備えている、システム。
【請求項8】
凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムのためのプレートにおいて、
a)上面および下面を有する頭部と、
b)前記頭部から延びるシャフト部と、
c)前記頭部周りに配置された複数の縫合補助部であって、前記頭部の前記下面に対して相対的に高くなっている、複数の縫合補助部と、
を具備する、プレート。
【請求項9】
請求項8記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、互いに別個のものである、プレート。
【請求項10】
請求項9記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、前記頭部に所定点の周りに実質的に放射状に配置されている、プレート。
【請求項11】
請求項9記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、縫合用の横開口部を有する、プレート。
【請求項12】
骨折固定システム用のプレートにおいて、
6つの支柱用穴部が設けられた頭部であって、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは前方支柱用穴部であり、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは後方支柱用穴部であり、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは前記前方支柱用穴部と前記後方支柱用穴部の間の中間支柱用穴部であり、前記2つの中間支柱用穴部のうちの一方は最も近位の支柱用穴部であり、前記2つの中間支柱用穴部の他方は最も遠位の支柱用穴部であり、前記前方および後方支柱用穴部の軸は固定されていて、互いから反れており、前記中間支柱用穴部の軸は互いの方へ収束している、頭部と、
複数の骨ネジ用穴部を有するシャフト部と、
を備える、プレート。
【請求項13】
骨折固定システムのためのプレートにおいて、
頭部と、前記頭部に対して傾いているシャフト部と、前方側面と、後方側面とを備え、前記頭部の前記後方側面は湾曲しており、前記頭部の前記前方側面および前記シャフト部が直線を画定している、システム。
【請求項14】
固定装置において、
頭部およびシャフト部を備えており、前記頭部は首部により前記シャフト部から横方向および長手方向に位置がずれており、
前記頭部は少なくとも1つの支柱用穴部を有し、前記少なくとも1つの支柱用穴部は前記首部をも完全に貫通しており、
前記シャフト部は、前記首部から遠ざかる方向において、断面領域が先細りとなっている、
固定装置。
【請求項15】
請求項14記載の固定装置において、
前記頭部および前記シャフト部は、互いにほぼ平行である、固定装置。
【請求項16】
上腕骨近位骨折の固定方法において、
a)頭部およびシャフト部を有し、一方の側面が実質的に直線的なエッジを画定するプレートを用意する段階と、
b)棘上筋の付着点下1.5〜2.0cmのところに、前記プレートの前記直線的なエッジを結節間溝のすぐ後ろに位置を合わせた状態で、前記プレートを前記上腕骨に配置する段階と、
c)前記プレートを前記上腕骨に連結する段階と、
を含む、方法。
【請求項17】
上腕骨近位骨折を固定する方法において、
a)固定装置を用意する段階と、
b)前記固定装置の少なくとも一部を上腕骨の髄管の病巣内に挿入する段階と、
c)前記骨折を整復する段階と、
d)前記固定装置を前記上腕骨に固定する段階と、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、
前記固定装置を用意する段階には、プレート部分と釘部分を有する装置を用意する段階が含まれ、前記挿入する段階には、前記プレート部分が前記上腕骨の外側に配置されている間に前記釘部分を前記髄管に挿入する段階が含まれる、方法。
【請求項19】
上腕頭を有する上腕骨近位に使用するための固定用プレートにおいて、
複数の支柱用穴部と、少なくとも1つのKワイヤ位置合わせ用穴部がある頭部であって、前記少なくとも1つのKワイヤ位置合わせ用穴部は前記頭部の中央部分に設けられていて、一本のKワイヤが密接に入る大きさにしてあり、前記上腕頭の関節面の中央に前記Kワイヤを向ける、頭部と、
少なくとも1つのコーティカルスクリュー用穴部を有するシャフト部と、
を備える、プレート。
【請求項20】
上腕頭を有する上腕骨近位の骨折を治療するための方法において、
固定装置を用意する段階であって、前記装置は、前記上腕頭に固定用支柱を入れるための複数の支柱用穴部と、Kワイヤ位置合わせ用穴部を有し、前記Kワイヤ位置合わせ用穴部は一本のKワイヤが密接に入る大きさにしてあり、前記上腕頭の関節面の中央に前記Kワイヤを向ける、固定装置を用意する段階と、
Kワイヤを前記Kワイヤ位置合わせ用穴部に挿入し、前記関節面の中央まで通す段階と、
を含む、方法。
【請求項21】
上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
a)支柱用穴部がある頭部と、少なくとも1つの骨ネジ用穴部があるシャフト部とを有する上腕骨近位プレートと、
b)前記支柱用穴部に挿入可能な支柱と、
c)前記支柱を前記支柱用穴部の中で予め定められた向きで回転可能に固定する第1手段と、
d)前記支柱に連結されており、前記支柱まで横方向に延びる第2手段と、
を備える、システム。
【請求項22】
請求項21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段がカムを有する、システム。
【請求項23】
請求項21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段が位置決めねじを有する、システム。
【請求項24】
請求項21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段が前記支柱用穴部および前記支柱に加工されたネジ部を有する、システム。
【請求項1】
凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムにおいて、
a)プレートと、
b)前記プレート部分から延びており、遠位部分を有する支柱要素と、
c)前記支柱要素の前記遠位部分から広げることができ、前記軟骨下骨を支持するように向けられており、かつ、十分剛性を有する支持要素と、
を備えている、システム。
【請求項2】
請求項1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記支柱要素内に入れることができる、システム。
【請求項3】
請求項1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記関節面に実質的に平行に延びるように構成されている、システム。
【請求項4】
請求項1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は、前記支柱要素の直径方向に反対の両側にある広げることができる、システム。
【請求項5】
請求項1記載の骨折固定システムにおいて、
前記支持要素は湾曲していて凸状側面と凹状側面を画定しており、前記支持要素の前記凹状側面が前記プレートと対向している、システム。
【請求項6】
凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムにおいて、
a)プレートと、
b)前記プレート部分から延びており、遠位部分を有する少なくとも2つの支柱要素であって、各々の前記支柱要素が、非展開配置と展開配置の間で動かすことができるように連結されている支持要素を有する、支柱要素と、
を具備し、
前記展開配置では、前記支柱要素と前記支持要素が、前記非展開配置のときよりも大きな、軟骨下骨を支持するための表面領域を画定する、
システム。
【請求項7】
骨折固定システムにおいて、
a)支柱用穴部を有するプレートと、
b)前記支柱用穴部に挿入可能な支柱と、
c)前記支柱を前記支柱用穴部の中で、予め定められた向きにおいて、回転に関して固定する第1手段と、
d)前記支柱用穴部に入っている前記支柱の一部を押圧するために前記プレートに連結されている第2手段と、
を備えている、システム。
【請求項8】
凸状関節面を画定する軟骨下骨を有する長骨の頭部の骨折のための骨折固定システムのためのプレートにおいて、
a)上面および下面を有する頭部と、
b)前記頭部から延びるシャフト部と、
c)前記頭部周りに配置された複数の縫合補助部であって、前記頭部の前記下面に対して相対的に高くなっている、複数の縫合補助部と、
を具備する、プレート。
【請求項9】
請求項8記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、互いに別個のものである、プレート。
【請求項10】
請求項9記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、前記頭部に所定点の周りに実質的に放射状に配置されている、プレート。
【請求項11】
請求項9記載のプレートにおいて、
前記縫合補助部は、縫合用の横開口部を有する、プレート。
【請求項12】
骨折固定システム用のプレートにおいて、
6つの支柱用穴部が設けられた頭部であって、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは前方支柱用穴部であり、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは後方支柱用穴部であり、前記6つの支柱用穴部のうちの2つは前記前方支柱用穴部と前記後方支柱用穴部の間の中間支柱用穴部であり、前記2つの中間支柱用穴部のうちの一方は最も近位の支柱用穴部であり、前記2つの中間支柱用穴部の他方は最も遠位の支柱用穴部であり、前記前方および後方支柱用穴部の軸は固定されていて、互いから反れており、前記中間支柱用穴部の軸は互いの方へ収束している、頭部と、
複数の骨ネジ用穴部を有するシャフト部と、
を備える、プレート。
【請求項13】
骨折固定システムのためのプレートにおいて、
頭部と、前記頭部に対して傾いているシャフト部と、前方側面と、後方側面とを備え、前記頭部の前記後方側面は湾曲しており、前記頭部の前記前方側面および前記シャフト部が直線を画定している、システム。
【請求項14】
固定装置において、
頭部およびシャフト部を備えており、前記頭部は首部により前記シャフト部から横方向および長手方向に位置がずれており、
前記頭部は少なくとも1つの支柱用穴部を有し、前記少なくとも1つの支柱用穴部は前記首部をも完全に貫通しており、
前記シャフト部は、前記首部から遠ざかる方向において、断面領域が先細りとなっている、
固定装置。
【請求項15】
請求項14記載の固定装置において、
前記頭部および前記シャフト部は、互いにほぼ平行である、固定装置。
【請求項16】
上腕骨近位骨折の固定方法において、
a)頭部およびシャフト部を有し、一方の側面が実質的に直線的なエッジを画定するプレートを用意する段階と、
b)棘上筋の付着点下1.5〜2.0cmのところに、前記プレートの前記直線的なエッジを結節間溝のすぐ後ろに位置を合わせた状態で、前記プレートを前記上腕骨に配置する段階と、
c)前記プレートを前記上腕骨に連結する段階と、
を含む、方法。
【請求項17】
上腕骨近位骨折を固定する方法において、
a)固定装置を用意する段階と、
b)前記固定装置の少なくとも一部を上腕骨の髄管の病巣内に挿入する段階と、
c)前記骨折を整復する段階と、
d)前記固定装置を前記上腕骨に固定する段階と、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、
前記固定装置を用意する段階には、プレート部分と釘部分を有する装置を用意する段階が含まれ、前記挿入する段階には、前記プレート部分が前記上腕骨の外側に配置されている間に前記釘部分を前記髄管に挿入する段階が含まれる、方法。
【請求項19】
上腕頭を有する上腕骨近位に使用するための固定用プレートにおいて、
複数の支柱用穴部と、少なくとも1つのKワイヤ位置合わせ用穴部がある頭部であって、前記少なくとも1つのKワイヤ位置合わせ用穴部は前記頭部の中央部分に設けられていて、一本のKワイヤが密接に入る大きさにしてあり、前記上腕頭の関節面の中央に前記Kワイヤを向ける、頭部と、
少なくとも1つのコーティカルスクリュー用穴部を有するシャフト部と、
を備える、プレート。
【請求項20】
上腕頭を有する上腕骨近位の骨折を治療するための方法において、
固定装置を用意する段階であって、前記装置は、前記上腕頭に固定用支柱を入れるための複数の支柱用穴部と、Kワイヤ位置合わせ用穴部を有し、前記Kワイヤ位置合わせ用穴部は一本のKワイヤが密接に入る大きさにしてあり、前記上腕頭の関節面の中央に前記Kワイヤを向ける、固定装置を用意する段階と、
Kワイヤを前記Kワイヤ位置合わせ用穴部に挿入し、前記関節面の中央まで通す段階と、
を含む、方法。
【請求項21】
上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
a)支柱用穴部がある頭部と、少なくとも1つの骨ネジ用穴部があるシャフト部とを有する上腕骨近位プレートと、
b)前記支柱用穴部に挿入可能な支柱と、
c)前記支柱を前記支柱用穴部の中で予め定められた向きで回転可能に固定する第1手段と、
d)前記支柱に連結されており、前記支柱まで横方向に延びる第2手段と、
を備える、システム。
【請求項22】
請求項21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段がカムを有する、システム。
【請求項23】
請求項21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段が位置決めねじを有する、システム。
【請求項24】
請求項21記載の上腕骨近位骨折固定システムにおいて、
前記第1手段が前記支柱用穴部および前記支柱に加工されたネジ部を有する、システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2007−518537(P2007−518537A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551337(P2006−551337)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/002074
【国際公開番号】WO2005/072284
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/002074
【国際公開番号】WO2005/072284
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
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