説明

軟骨修復

本発明は、軟骨修復用の組成物、その調製方法、およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟骨修復用の組成物、その調製方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
軟骨損傷はヒトでよく見られる。治療しなければ、この損傷は次第に悪化する可能性があり、変形性関節症などの慢性状態につながる可能性がある。損傷した軟骨を修復するために、いくつかの異なる治療法が現在用いられている。例示的な方法は、直接的にもしくは細胞送達ビヒクルを介して骨軟骨欠損に軟骨細胞もしくは間葉幹細胞を移植すること、または増殖因子を用いて修復過程を促進することを含む(Gaoら、Clinical Orthopaedics and Related Research 2004,S62−66)。修復組織の耐久性、初期の最適な増殖因子投与量の確実性、または複数の生体因子間の相互作用に関する知識が重要であり、また、時に問題となる(Gaoら、Clinical Orthopaedics and Related Research 2004,S62−66)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
軟骨を修復する能力を示す方法が継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、少なくとも一部は、特定の組成物を用いて軟骨を修復することができるという思いがけない発見に基づいている。
一態様では、本発明は、脱灰骨基質(DBM)とマクロマーの製剤とを含む組成物を特徴とし、ここで、マクロマーは、少なくとも1つの水溶性領域、少なくとも1つの生体分解性領域、および少なくとも1つの反応性重合性基を含む。
【0005】
別の態様では、本発明は、対象における軟骨欠損を修復する方法であって、欠損の部位において対象に有効量の組成物を投与することを含み、組成物は脱灰骨基質(DBM)とマクロマーの製剤とを含み、ここで、マクロマーは、少なくとも1つの水溶性領域、少なくとも1つの生体分解性領域、および少なくとも1つの反応性重合性基を含む、方法を特徴とする。
【0006】
いくつかの実施形態では、水溶性領域は、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、多糖、タンパク質、およびこれらの組合せから選択することができる。いくつかの実施形態では、水溶性領域はポリ(エチレングリコール)(PEG)であることができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、PEGは約3,500ダルトン〜約40,000ダルトンの平均分子量を有することができる。例えば、PEGは約25,000ダルトンの平均分子量を有することができる。他の実施形態では、PEGは約35,000ダルトンの平均分子量を有することができる。「約」によって、本発明者らは±4%を意味する。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つ以上の反応性重合性基は、エチレン性またはアセチレン性不飽和基、イソシアネート、エポキシド(オキシラン)、スルフヒドリル、スクシンイミド、マレイミド、アミン、イミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸およびリン酸基から選択することができる。例えば、1つ以上の反応性重合性基はエチレン性不飽和基であ
ることができる。いくつかの実施形態では、エチレン性不飽和基は、ビニル基、アリル基、不飽和モノカルボン酸、ジアクリレート、オリゴアクリレート、不飽和ジカルボン酸、および不飽和トリカルボン酸から選択することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、生体分解性領域は、少なくとも1つのカーボネートまたはジオキサノン残基結合を含むことができる。いくつかの実施形態では、カーボネート残基結合は、環式脂肪族カーボネートに由来することができる。例えば、カーボネート残基結合はポリ(トリメチレンカーボネート)残基であることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、トリメチレンカーボネートモノマー対各PEGのモル比は、約2:1〜約20:1であることができる。他の実施形態では、トリメチレンカーボネートモノマー対各PEGのモル比は約11:1〜約15:1であることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、生体分解性領域は、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、またはポリ(ホスホエステル)を含むことができる。いくつかの実施形態では、生体分解性領域はポリ(α−ヒドロキシ酸)を含むことができる。例えば、生体分解性領域はポリ(L−ラクチド)を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、ラクチドモノマー対各PEGのモル比は約1:1〜約8:1であることができる。いくつかの実施形態では、ラクチドモノマー対各PEGのモル比は約3:1〜約5:1であることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、生体分解性領域は、ポリ(L−ラクチド)およびポリ(トリメチレンカーボネート)を含むことができる。他の実施形態では、マクロマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、およびアクリレートエンドキャップを含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物は、重合を誘導するための開始剤をさらに含むことができ、ここで、開始剤は、(a)光開始剤;(b)化学開始剤;および(c)熱開始剤から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、開始剤は光開始剤であることができる。例えば、光開始剤はエオシンYであることができる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(Ciba)、(1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)(Wangs(登録商標))、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(SignamAldrich)、および2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(Ivy Fine Chemicals)から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、開始剤は化学開始剤であることができる。例えば、化学開始剤はレドックス化学反応を用いることができる。いくつかの実施形態では、化学開始剤は、鉄(II)および過酸化物を含むことができる。例えば、過酸化物は過酸化t−ブチルであることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、開始剤は熱開始剤である。いくつかの実施形態では、熱開始剤は、過酸化物族またはアゾ熱開始剤の族である。例えば、アゾ熱開始剤はアゾビスイソブチロナイト(AIBN)であることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、組成物はレオロジー調整剤をさらに含むことができる。例え
ば、レオロジー調整剤は、ヒアルロン酸(HA)またはカルボキシメチルセルロース(CMC)であることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物は医薬活性成分をさらに含むことができる。医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織増殖因子、インスリン増殖因子、抗酸化物質、抗生物質、または増殖因子の組合せであることができる。いくつかの実施形態では、医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βとBMP−2との組合せ、およびTGF−βとIGF−1との組合せから選択することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、組成物は水和形態であることができる。例えば、組成物はパテの形態であることができる。
いくつかの実施形態では、組成物は約60重量%〜約98重量%のマクロマーの製剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、マクロマーの製剤は約5重量%〜約15重量%のマクロマーを含むことができる。他の実施形態では、マクロマーの製剤は約5重量%〜約10重量%のマクロマーを含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は約2重量%〜約40重量%のDBMを含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物は約30重量%〜約40重量%のDBMを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、マクロマーの製剤は生体適合液を含むことができる。いくつかの実施形態では、生体適合液はPBSまたは水であることができる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、重合の工程をさらに含むことができ、ここで、重合は、(i)光重合;(ii)化学フリーラジカル重合;および(iii)熱フリーラジカル重合から選択される反応によって開始される。
【0023】
いくつかの実施形態では、重合は軟骨組織の部位で実施されることができる。いくつかの実施形態では、重合は投与の前に実施されることができる。他の実施形態では、重合は組成物の製造時に実施されることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、重合は可視光によって開始される。いくつかの実施形態では、重合は約10秒〜約120秒間開始される。例えば、重合は約30秒〜約50秒間開始される。
【0025】
いくつかの実施形態では、重合は長波長紫外線によって開始される。いくつかの実施形態では、重合は約20秒〜約60秒間開始される。
いくつかの実施形態では、重合は熱エネルギーによって開始される。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、組成物を凍結乾燥させて、非水和組成物を生じさせる工程をさらに含むことができる。例えば、非水和組成物は乾燥プラグの形態であることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、乾燥プラグは約85重量%〜約96重量%のDBMを含むことができる。いくつかの実施形態では、乾燥プラグは約92重量%〜約96重量%のDBMを含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、乾燥プラグは約1重量%〜約4重量%の重合マクロマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、乾燥プラグは約2重量%〜約4重量%の重合
マクロマーを含むことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、乾燥プラグは、DBMをマクロマーの製剤に添加して混合物を形成させること;混合物を鋳型に充填すること;マクロマーを鋳型の中で重合させること;および混合物を鋳型の中で凍結乾燥させることを含む工程によって調製することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、乾燥プラグは、乾燥プラグが約3MPaの圧縮率を示すことを特徴とすることができる。
いくつかの実施形態では、乾燥プラグは、乾燥プラグが約1.5MPaの最大圧縮応力を示すことをさらに特徴とすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物であることができる。いくつかの実施形態では、対象はヒトであることができる。
いくつかの実施形態では、欠損の部位は関節内の骨軟骨欠損であることができる。
【0032】
本明細書で使用する場合、「平均分子量」は、
Mw=ΣNi Mi/ΣNi Mi
(式中、Niは分子量Miの分子の数である)
によって算出することができる重量平均分子量(Mw)を指す。
【0033】
本明細書で使用する場合、「生体適合液」は、生理的に許容され、かつ許容されない細胞傷害を引き起こさない液体である。そのような液体の例は、水、緩衝液、生理食塩水、タンパク質溶液、および糖溶液である。
【0034】
本明細書で使用する場合、「領域」は、隣接するブロックとサブユニット組成が異なるマクロマーのブロックである。
本明細書で使用する場合、「生体分解性」材料は、正常なインビボの生理的条件下で、代謝、分解、または排泄することができる成分に分解する材料である。
【0035】
本明細書で使用する場合、「パテ」は、通常、堅いけれども柔軟性がある。これは、粉々に砕けない。これは、手で成形するか、または指圧で骨の空洞もしくは海綿状の隙間、軟骨欠損に押し込むことができる可鍛性の粘稠度を有する。
【0036】
本明細書で使用する場合、「ハイドロゲル」は、有機ポリマー(天然または合成)が、共有結合、イオン結合、または水素結合を介して架橋され、水分子を捕捉してゲルを形成する三次元の開格子構造を作るときに形成される物質である。
【0037】
本明細書で使用する場合、互換的に用いられる「対象」または「患者」という用語は、哺乳動物、好ましくは、マウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、および最も好ましくはヒトを含む、任意の動物を指す。
【0038】
本明細書で使用する場合、「有効量」という語句は、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって、組織、システム、動物、個体またはヒトで追求されている生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物、医薬品、または組成物の量を指す。
【0039】
本明細書で使用する場合、「修復」という用語は、限定するものではないが、組織の修復、再生、再構築、再構成または膨化を意味することが意図される。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および下記の説明で示されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲
から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、少なくとも一部は、特定の組成物を用いて軟骨を修復することができるという思いがけない発見に基づいている。
組成物
本明細書に記載の組成物は、脱灰骨基質(DBM)とマクロマーの製剤とを含み、ここで、マクロマーは、少なくとも1つの水溶性領域、少なくとも1つの生体分解性領域、および少なくとも1つの反応性重合性基を含む。
【0041】
本発明の組成物は、約2重量%〜約40重量%の脱灰骨基質(DBM)(例えば、約5%〜約40%、または約10%〜約40%、または約15%〜約40%、または約20%〜約40%)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約20重量%〜約40重量%のDBM(例えば、約25%〜約40%、または約30%〜約40%、または約35%〜約40%)を含むことができる。他の実施形態では、組成物は、約30重量%〜約40重量%のDBM(例えば、約32%、または約35%、または約38%、または約40%)を含むことができる。
【0042】
組成物は、約60重量%〜約98重量%のマクロマーの製剤(例えば、約60%〜約95%、または約60%〜約90%、または約60%〜約88%、または約60%〜約85%)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約65重量%〜約98重量%のマクロマーの製剤(例えば、約70%〜約98%、または約75%〜約98%、または約80%〜約98%)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約65重量%〜約95重量%のマクロマーの製剤(例えば、約70%〜約95%、または約70%〜約90%、または約75%〜約90%、または約80%〜約90%)を含む。いくつかの実施形態では、マクロマーの製剤は、約5重量%〜約20重量%のマクロマー(例えば、約5%〜約15%、または約5%〜約12%、または約5%〜約10%、または約5%〜約8%)を含むことができる。他の実施形態では、マクロマーの製剤は、約7重量%〜約15重量%のマクロマー(例えば、約9%〜約15%、または約10%〜約15%)を含むことができる。いくつかの実施形態では、マクロマーの製剤は、約5重量%〜約10重量%のマクロマー(例えば、約5%、または約7%、または約9%、または約10%)を含むことができる。
【0043】
マクロマーの製剤は、担体中のマクロマーを指す。いくつかの実施形態では、担体は、生体適合液を含む。生体適合液は、リン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)、水、または乳酸リンゲル液(LRS)であることができる。したがって、マクロマーは、生体適合液(例えば、PBSまたは水)の溶液中にあることができる。いくつかの実施形態では、生体適合液を非水和組成物に添加して、投与前に水和組成物を形成させることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、水和組成物を重合および凍結乾燥させて、乾燥プラグなどの非水和組成物を生じさせることもできる。
本発明の組成物が乾燥プラグの形態であるとき、組成物は、約85重量%〜約96重量%の脱灰骨基質(DBM)(例えば、約88%〜約96%、または約90%〜約96%、または約92%〜約96%、または約94%〜約96%)を含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、約92重量%〜約96重量%のDBM(例えば、約92%〜約95%、または約92%〜約94%)を含むことができる。
【0045】
乾燥プラグは、約1重量%〜約4重量%の重合マクロマーの製剤(例えば、約1.5%〜約4%、または約2%〜約4%、または約2.5%〜約4%、または約3%〜約4%)を含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、約2重量%〜約4重量%の重
合マクロマーの製剤(例えば、約2%、または約2.5%、または約3%、または約3.5%または約4%)を含む。
【0046】
本発明のマクロマーは、少なくとも1つの生体分解性領域に接続した少なくとも1つの水溶性領域を含む。いくつかの実施形態では、マクロマーは、1つの生体分解性領域に接続した1つの水溶性領域を含み、一方または両方の末端が重合性基でキャッピングされている。マクロマー中の水溶性領域は、マクロマーに組み込むのではなく、独立の分子として調製した場合に、水溶性となる水溶性の基またはブロックである。いくつかの実施形態では、マクロマーは、中心の水溶性領域と外側の2つの生体分解性領域とを含み、一方または両方の末端が重合性基でキャッピングされていてもよい。いくつかの実施形態では、中心の領域は生体分解性であってもよく、外側の領域は水溶性であってもよい。いくつかの実施形態では、マクロマーは、直線状または非直線状(例えば、樹状)に連結された水溶性領域と生体分解性領域の1つ以上を含んでいてもよい。
水溶性領域
マクロマーの水溶性領域またはブロックは、主にまたは完全に合成材料でできていることができる。いくつかの実施形態では、制御された組成および結合の合成材料は、より一貫性のある分解および放出特性のために、天然材料よりも好ましい。有用な合成材料の例としては、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(エチレングリコール)(すなわち、PEG)、部分的にまたは完全に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)−コポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー(例えば、Pluronics(商標))(ポロキサマーおよびメロキサポール)、ならびにポロキサミンから調製された合成材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、水溶性領域は、ポリ(エチレングリコール)(すなわち、PEG)から作られている。いくつかの実施形態では、マクロマーの少なくとも50%は、合成材料から形成されている(例えば、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%)。
【0047】
マクロマーの水溶性領域(例えば、PEG)は、約3,500ダルトン(Da)〜約40,000ダルトン(例えば、約3,500Da〜約35,000Da、または約3,500Da〜約30,000Da、または約3,500Da〜約25,000Da)の平均分子量を有することができる。いくつかの実施形態では、PEGは、約3,500Da〜約20,000Da(例えば、約3,500〜約15,000Da、または約3,500Da〜約10,000Da、または約3,500Da〜約5,000Da)の平均分子量を有することができる。例えば、PEGは、約35,000Daまたは約25,000Daの平均分子量を有することができる。
【0048】
マクロマーの水溶性領域は、天然材料に由来することもできる。有用な天然材料および改質天然材料としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキル化セルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロース)、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖または炭水化物(例えば、Ficoll(商標)、ポリスクロース、ヒアルロン酸およびその誘導体、デキストラン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、またはアルギネート)、ならびにタンパク質(例えば、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、またはオボアルブミン)が挙げられる。いくつかの実施形態では、天然材料のパーセンテージは、全水溶性領域の約50重量%を超えない。
生体分解性領域
生体分解性領域またはブロックは、正常なインビボの生理的条件下で、代謝、分解、および/または排泄し得る成分に分解する「生体分解性」材料でできている。本発明のマクロマーでは、少なくとも1つの生体分解性領域は、カーボネートまたはジオキサノン結合であることができる。カーボネートは、構造−O−C(O)−O−を有する官能基である。カーボネート出発材料は、トリメチレンカーボネート(TMC)などの、環状であるこ
とができる。重合性マクロマーに組み込まれた後、カーボネートは、少なくとも一部は、R−O−C(O)−O−R’(ここで、RおよびR’は、マクロマーの他の成分である)として現われる。いくつかの実施形態では、カーボネートは、水を放出することなく、ヒドロキシ末端ポリマーと反応することができる環状カーボネートである。好適な環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン)、プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、およびテトラメチレンカーボネート(1,3−ジオキセパン−2−オン)が挙げられる。
【0049】
カーボネート残基対各水溶性領域(例えば、PEG)のモル比は、約5:1〜約25:1(例えば、約5:1〜約20:1、または約5:1〜約15:1、または約5:1〜約10:1)である。いくつかの実施形態では、カーボネート残基対各水溶性領域のモル比は、約6:1〜約20:1(例えば、約8:1〜約20:1、または約10:1〜約15:1、または約11:1〜約15:1)である。他の実施形態では、カーボネート残基対各水溶性領域のモル比は約11:1〜約15:1である。
【0050】
いくつかの実施形態では、マクロマーの水溶性領域は本質的に生体分解性であってもよい。
生体分解性領域は、体内で無毒であるかまたは通常の代謝物として存在する材料を生じさせるヒドロキシ酸のモノマー、ポリマーおよびオリゴマーまたは他の生物分解性ポリマー(例えば、エステル、ペプチド、無水物、オルトエステル、およびホスホエステル結合)から構築することもできる。好適なポリ(ヒドロキシ酸)は、ポリ(グリコール酸)、ポリ(DL−乳酸)およびポリ(L−乳酸)である。他の好適な材料としては、ポリカーボネート(例えば、ポリ(トリメチレンカーボネート))、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、およびポリ(ホスホエステル)が挙げられる。ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(γ−ブチロラクトン)などのポリラクトン、およびポリ(β−ヒドロキシブチレート)も好適である。
【0051】
生体分解性領域はポリ(ヒドロキシ酸)であることができる。例えば、生体分解性領域はポリ(L−ラクチド)であることができる。いくつかの実施形態では、ラクチドモノマー対各水溶性領域のモル比は、約1:1〜約10:1(例えば、約1:1〜約8:1、または約3:1〜約8:1、または約5:1〜約8:1)である。いくつかの実施形態では、ラクチドモノマー対各水溶性領域のモル比は、約3:1〜約8:1(例えば、約3:1〜約5:1)である。いくつかの実施形態では、ラクチドモノマー対各水溶性領域のモル比は約3:1〜約5:1である。
【0052】
生体分解性領域またはブロックは、ポリ(L−ラクチド)とポリ(トリメチレンカーボネート)の両方を含むことができる。そのような生体分解性領域またはブロックを有するマクロマーは、結果として生じる重合マクロマー(例えば、ハイドロゲル)の分解までの時間を改変することができる。「ハイドロゲル」は、生体分解性であって、通常は、最大約5年以内に対象によって排除される重合マクロマーから形成されている。いくつかの実施形態では、生体分解性領域および末端基としてラクテート部分を含有するマクロマーは、インビボでの推定分解時間が約3カ月〜約4カ月の、結果として生じるハイドロゲルを提供する。いくつかの実施形態では、トリメチレンカーボネート部分またはジオキサノン部分を生体分解性領域として含有するマクロマーは、インビボでの推定分解時間が約6カ月〜約12カ月の、結果として生じるハイドロゲルを提供する。いくつかの実施形態では、カプロラクトン部分を生体分解性領域として含有するポリマーは、インビボでの推定分解時間が約1年〜約2年の、結果として生じるハイドロゲルを提供する。いくつかの実施形態では、生体分解性領域のないマクロマーは、インビボでの推定分解時間が少なくとも約2年の、結果として生じるハイドロゲルを提供することができる。したがって、本発明
の利点の1つは、生体分解性基の総量を変化させ、かつカーボネート結合またはエステル結合(これらは比較的ゆっくりと加水分解される)の数と低級ヒドロキシ酸結合(とりわけ、比較的速やかに加水分解されるグリコリドまたはラクチド)の数の比を選択することによって、マクロマーから形成されるハイドロゲルの分解時間を制御することができることである。
重合性基
重合性基は、自然にまたは光、熱もしくは他の活性化条件もしくは試薬の影響下で反応して、マクロマー連結を生じさせるさらなる共有結合を形成する能力を有する反応性官能基を含有する。例えば、重合性基は、マクロマーの溶液をハイドロゲルに変換することができる。ハイドロゲルは弾力性があり、さらには、弾力性があると同時に、わずかなポリマー濃度で軟部組織になじむ。
【0053】
重合性基は、フリーラジカル重合によって重合することができる基およびカチオン性または異方性重合によって重合することができる基を含む。好適な基としては、エチレン性またはアセチレン性不飽和基、イソシアネート、エポキシド(オキシラン)、スルフヒドリル、スクシンイミド、マレイミド、アミン、イミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸およびリン酸基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
エチレン性不飽和基としては、ビニル基(例えば、ビニルエーテル、N−ビニルアミド)、アリル基、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、および不飽和トリカルボン酸が挙げられる。不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸が挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸またはシトラコン酸が挙げられる。不飽和トリカルボン酸としては、アコニット酸が挙げられる。重合性基はまた、そのような材料の誘導体(例えば、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ならびに類似のビニルおよびアリル化合物)であってもよい。
【0055】
一般に、第2の重合性基に共有結合する重合性基であって、分解および反応を可能にするのに十分な時間、水にさらしたときに流動性を維持することができる重合性基はいずれも、好適なマクロマーを作る際に有用である。その優れた安定性と水溶液中でのゆっくりとした反応性のために、エチレン性不飽和反応基が好ましい。
【0056】
重合性基は、マクロマーの1つ以上の末端にあることができる。いくつかの実施形態では、重合性基は、マクロマーの中心にあることができる。
本明細書に記載のいくつかの代表的なマクロマー構造を下に示す。PEG、ラクテートおよびアクリレート単位は、説明目的のためにのみ用いられる。
いくつかの基本構造:
(CH−CH−O)=(PEG)
(C(O)O−(CH−O)または(O−(CH−OC(O))(方向依存性)=(TMC)
(CO−CH(CH)−O)または(O−CH(CH)−CO)(方向依存性)=ラクテート反復単位=(LA)
−CO−CH=CH=アクリレート末端基=AAセグメント化されたPEG/TMCコポリマー:
HO−(O−(CH−O−C(O))−[(CH−CH−O)−(C(O)−O−(CH−O)−HまたはHO−(TMC)−[(PEG)−(TMC)−H
セグメント化されたPEG/TMC/ラクテートターポリマー:
H−(O−CH(CH)−C(O))−(O−(CH−O−C(O))−[(CH−CH−O)−(C(O)−O−(CH−O)−(CO−C
H(CH)−O)−HまたはHO−(LA)−(TMC)−[(PEG)−(TMC)−(LA)−H
セグメント化されたPEG/TMCマクロマー(アクリレート化されている):
CH=CH−C(O)−(O−(CH−O−C(O))[(CH−CH−O)−(C(O)−(CH−O)−C(O)−CH=CHまたはAA−(TMC)−[(PEG)−(TMC)−AA
セグメント化されたPEG/TMC/ラクテートターポリマーマクロマー(アクリレート化されている):
AA−(LA)−(TMC)−[(PEG−(TMC)−(LA)−AA
いくつかの実施形態では、マクロマーは、約3,500Da〜40,000Da(例えば、25,000Daまたは35,000Da)の分子量の親水性ポリ(エチレングリコール)(PEG)のコアと、そのコアの両端に、1〜10個のカーボネート残基および場合により1〜5個のヒドロキシ酸残基、例えば、α−ヒドロキシ酸残基(例えば、乳酸残基)を含む延長部とを含み、ここで、延長部の全残基の総数は、マクロマーの水溶性を保持するのに十分小さく、通常、マクロマーの重量の約20%未満、より好ましくは10%以下である。これらの末端は、約50〜300Daの好ましい分子量を有するエチレン性不飽和(すなわち、炭素−炭素二重結合を含有する)キャップ、最も好ましくは55Daの分子量を有するアクリレート基でキャッピングされている。これらの材料は(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)Sawhneyらに対する米国特許第6,177,095号明細書に記載されている。(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)Sawhneyに対する米国特許第5,900,245号明細書も参照されたい。
【0057】
いくつかの実施形態では、組成物は、「FocalSeal(商標)」、すなわち、水溶液中で少なくとも約1g/100mlの溶解度を有し、少なくとも1つの水溶性領域と、インビボ条件下で加水分解可能な少なくとも1つの分解性領域と、マクロマー連結を生じさせるさらなる共有結合を形成する能力を有するフリーラジカル重合性末端基とを含む生体分解性重合性マクロマーであるマクロマーを含み、ここで、重合性末端基は、少なくとも1つの分解性領域によって相互に分離されている。例示的なFocalSeal(商標)組成物およびハイドロゲルは、米国特許第5,410,016号明細書、米国特許第6,083,524号明細書、および米国特許第7,022,343号明細書に記載されており、これらは全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。FocalSeal(商標)は、Genzyme Corporationから入手可能であり、FOCALSEAL(商標)−S、FOCALSEAL(商標)−L、およびFOCALSEAL(商標)−Mを含む、複数の等級で提供されている。全て、生体分解性結合によって接続されているモノマーで部分的に連結されたPEGのコアからなり、各々の末端において光重合性アクリレート基でキャッピングされている。これらは、コアPEGの分子量、PEG分子の数、ならびに生体分解性モノマーの数および組成に基づいて異なっている。FOCALSEAL(商標)−Sは、分子量19,400±4000ダルトンのPEGを含み、FOCALSEAL(商標)−LおよびFOCALSEAL(商標)−Mは、分子量35,000±5000ダルトンのPEGを含む。FOCALSEAL(商標)−Sは、各PEGに対して少なくとも6または7個のTMC分子、典型的には、各PEGに対して12〜13個のTMC分子の比のトリメチレンカーボネートモノマーと、典型的には、各PEG分子に対して4個のラクチド分子、最大では各PEGに対して5個のラクチドモノマーの比のラクチドモノマーとを含む。FOCALSEAL(商標)−SのTMC分子:ラクテート分子の比は、約12:4または3:1である。FOCALSEAL(商標)−Mは、PEGの分子量を除いて、FOCALSEAL(商標)−Sと同じである。FOCALSEAL(商標)−Lは、各PEGに対して10個未満、より典型的には、7個のTMC分子の比のTMC分子を含む。米国特許第6,083,524号明細書には、これらの材料の合成が詳細に記載されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物は、市販のFocalSeal−Lであるマクロマーを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、市販のFocalSeal−Sであるマクロマーを含む。他の実施形態では、1つ以上の市販のFocalSeal製品を別の製品とブレンドして(例えば、FocalSeal−LをFocalSeal−Sとブレンドして)、所望の特性(例えば、半減期および剛性)の組合せを提供する。
【0059】
いくつかの実施形態では、組成物は、医薬活性成分をさらに含むことができる。医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織増殖因子、インスリン増殖因子、抗酸化物質、抗生物質、または増殖因子の組合せであることができる。実施形態では、医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βとBMP−2の組合せ、およびTGF−βとIGF−1の組合せから選択することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物を、組織の増強および/または修復に用いることができる別の作用物質、例えば、ヒアルロン酸のゲル(例えば、hylan
B)またはコラーゲンとブレンドする。
【0061】
マクロマー含有組成物に添加することができる他の化合物としては、痛みに対処する薬物(例えば、リドカイン)、抗炎症薬、ステロイド、化学療法剤、またはボツリヌス毒素が挙げられるが、これらに限定されない。早過ぎる重合を防ぐ安定化剤(例えば、キノン、ヒドロキノン、またはヒンダードフェノール)を含めることができる。
組成物の調製
脱灰骨基質(DBM)は骨のタンパク質成分である。これは、当業者に周知の方法を用いて調製することができる。一般的な合成方法は文献中に見られる。Yeeら、Spine(2003),28(21)およびColnotら、Clinical Orthopaedics and Related Research(2005),435,69−78を参照されたい。例えば、脱灰骨基質(DBM)を、石灰化成分の大半は失うが、コラーゲンおよび非コラーゲンタンパク質(増殖因子を含む)を保持する、同種移植骨の酸抽出によって調製することができる。DBMは、破砕された顆粒、粉末またはチップとして処理することができる。DBMは、顆粒、ゲル、スポンジ材料またはパテとして使用するために処方することができ、また、保存用にフリーズドライすることができる。さらに、DBMは、Tissue Banks International(TBI),San Rafael,CaliforniaまたはExactech,Gainesville,Floridaなどの供給源から入手することができる。
【0062】
本発明の組成物は、脱灰骨基質(DBM)をマクロマー溶液、例えば、生体適合液(例えば、PBSまたは水)の溶液中のマクロマーに添加することによって調製することができる。あるいは、本発明の組成物は、生体適合液をDBMとマクロマーの乾燥混合物に添加することによって調製することができる。いくつかの実施形態では、光開始剤、または化学開始剤、または熱開始剤を組成物に添加することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、DBMとマクロマーの製剤とを含む組成物は、注射可能かつ成形可能なパテを生じさせる粘着性かつ凝集性の塊を形成することができる。望ましいパテは、圧力をかけてボール状のパテを絞り出すときに、「ドライ・エッジ」の兆候を少しも示すべきではない。組成物を約−40℃で保存し、遮光して、その安定性を維持し、貯蔵によるパテの分解(shelf−degradation of the putty)を防ぐことができる。手術で用いる場合、重合(例えば、光重合)の開始後に、パテを半固体塊に変換することができる。光重合が開始された場合、架橋反応の速度は、光の強度と曝露の持続時間によって決まる。いくつかの実施形態では、マクロマーをある程度架
橋させるのに、手術室の光に曝露させることで十分なこともある。
【0064】
重合後に、結果として生じる組成物を鋳型に充填することができる。鋳型は、テフロン(登録商標)製であることができる。充填された組成物を凍結乾燥させて、乾燥プラグを生じさせることができる。乾燥プラグは、多孔性の骨伝導性構造体である。これは、DBMとマクロマーの乾燥製剤であり、それゆえ、室温で高い安定性を有する。
【0065】
あるいは、重合前に、組成物を鋳型に充填し、重合させることができる。その後、鋳型中の重合した組成物を凍結乾燥させて、乾燥プラグを生じさせることができる。
いくつかの実施形態では、乾燥プラグは、脱灰骨基質(DBM)と架橋したFocalSeal−Sとを含む。乾燥プラグは、例えば、DBMを、0.1%濃度のビニルカプロラクタム(VC)を含む1%のFocalSeal−S溶液に添加することによって調製することができる。その後、DBMとFocalSeal−Sの混合物をテフロン(登録商標)の鋳型に充填し、光架橋し、その後、凍結乾燥させて、乾燥プラグを生じさせることができる。得られた乾燥プラグは、約2.2%(w/w)のFocalSeal−Sと、94.6%(w/w)のDBMと、3.2%(w/w)の塩と、VCとを含むことができる。調製された乾燥プラグは、以下の物理的特性を有することができる。
【0066】
【表1】

【0067】
本明細書に記載のマクロマーは、当業者に周知の手段を用いて合成することができる。一般的な合成方法は、文献中に、例えば、(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)米国特許第5,410,016号明細書(Hubbellら)、米国特許第4,243,775号明細書(Rosensaftら)、および米国特許第4,526,938号明細書(Churchillら)に見られる。例えば、ポリエチレングリコール骨格をトリメチレンカーボネート(TMC)または同様のカーボネートと反応させて、TMC−PEGポリマーを形成させることができる。TMC−PEGポリマーは、場合により、さらなる分解性基(例えば、ラクテート基(Jarrettら、米国特許第6,083,524号明細書))でさらに誘導体化してもよい。その後、末端ヒドロキシル基を3級アミンの存在下で塩化アクリロイルと反応させて、ポリマーをアクリレート末端基でエンドキャッピングすることができる。同様のカップリング化学反応を、他の水溶性ブロックと生体分解性ブロックと重合性基(特に、ヒドロキシル基を含有する重合性基)とを含有するマクロマーに対して利用することができる。
【0068】
ポリエチレングリコールをTMCおよびヒドロキシ酸の環状エステル(例えば、グリコリドまたはラクチド)と反応させる場合、反応は同時または連続的のいずれかであることができる。同時反応は、3つの成分の少なくとも部分的にランダムなコポリマーを生じさせる。PEGをTMCと反応させた後のラクチドの連続的付加は、TMCと1つ以上のPEGの内部コポリマーを生じさせる傾向がある。このコポリマーは、TMCに由来する結合によって接続された2つ以上のPEG残基を統計的に含み、ヒドロキシ酸部分が主に(TMC、PEG)領域の末端にある。
重合
本発明の組成物を、手術室から離れた場所で(例えば、組成物の製造場所で)重合させ
て、予め選択された形状にしてもよい。例えば、乾燥プラグは、DBMとマクロマーの製剤の混合物を充填する鋳型中でマクロマーを重合させ、次いで、この鋳型中でマクロマーを凍結乾燥させることによって調製することができる。いくつかの実施形態では、乾燥プラグは、乾燥プラグが約1.5MPaの最大圧縮応力を示すことができることを特徴とすることができる。
【0069】
手術室での投与の前に、組成物を重合させることもできる。いくつかの実施形態では、組成物を体内の軟骨組織の部位で重合させることができる。
組成物中のマクロマーをフリーラジカル(等方性)プロセスかまたは異方性プロセス(例えば、カチオン性重合)かのいずれかによって重合させることができる。いくつかの実施形態では、マクロマーをフリーラジカル重合によって重合させることができる。フリーラジカル重合のための重合性基は、アクリレート、ジアクリレート、オリゴアクリレート、メタクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、シンナメート、ジシンナメート、オリゴシンナメートであることができる。
【0070】
重合は、光重合、化学または熱フリーラジカル重合、レドックス反応、カチオン性重合、および活性基(例えば、イソシアネート)の化学反応を含む、任意の好都合な反応によって開始させることができる。いくつかの実施形態では、重合は、開始剤を用いて開始させることができる。「開始剤」という用語は、それが、適切な条件の下でマクロマーの重合をもたらす組成物であるという点において、本明細書では広い意味で用いられる。開始用の材料は、光開始剤、化学開始剤、熱開始剤、光増感剤、共触媒、連鎖移動剤、およびラジカル移動剤であってもよい。当技術分野で公知の開始剤は全て、プライミング技術の実施に好適である可能性がある。開始剤の極めて重要な特性は、開始剤が存在しなければ、重合が有用な速度で進行しないということである。
【0071】
光開始剤は、UV(紫外)光およびIR(赤外)光を含む、光に曝露されたときに、フリーラジカルを発生させることができる。いくつかの実施形態では、重合は、長波長紫外光(LWUV)または可視光(例えば、320nm以上、例えば、約365〜約550nm)によって開始される。短波長UV光よりも組織および他の生体材料へのダメージが少ないので、LWUVおよび可視光が好ましい。
【0072】
好適な光開始剤は、細胞毒性がなく、短時間(せいぜい分、最も好ましくは秒)のうちにマクロマーの重合を開始することができる光開始剤である。そのような光開始剤としては、エリスロシン、フロキシム、ローズベンガル、チオニン、カンファーキノン、エチルエオシン、エオシン、メチレンブルー、リボフラビン、2,2−ジメチル−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、もしくはIrgacure 651(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)として知られる2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、またはIrgacure類由来の任意の他の光開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、光開始剤はエオシンYである。いくつかの実施形態では、光開始剤はIrgacure類である。例えば、光開始剤は、Irgacure 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、Irgacure 184(1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)、Irgacure 819(フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)、およびIrgacure 907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1)から選択することができる。いくつかの実施形態では、マクロマーは、約1〜3重量%の光開始剤を必要とする。
【0073】
フリーラジカル活性官能基の重合を開始することができる別の代わりの部類の開始剤は、従来の化学開始剤系(例えば、レドックス系)を含む。レドックス系としては、例えば
、鉄(II)(例えば、グルコン酸第一鉄)および過酸化物(例えば、過酸化t−ブチルまたは過酸化水素)を挙げることができるが、これらに限定されない。場合によっては、関連するフリーラジカル開始反応を広範囲の温度にわたって妥当な速度で誘発することができ、また、0〜20℃の低温で誘発することすらできるので、重合にレドックス系を用いることが有利である。
【0074】
好適な熱開始剤の例としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、過酸化物(例えば、過酸化物ベンゾイル)などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、熱開始剤は、アゾビスイソブチロナイト(AIBN)である。他のよく知られたアゾ化合物も有用である。
【0075】
本明細書に記載の組成物の投与および本明細書に記載の組成物による患者の治療を容易にするために、マクロマーを医薬活性成分(例えば、予防剤、治療剤、または診断剤)の存在下で重合させ、結果として生じるポリマーが分解するときに、組み込まれた薬剤を制御された形で送達することができる。医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織増殖因子、インスリン増殖因子、抗酸化物質、抗生物質、または増殖因子の組合せであることができる。いくつかの実施形態では、医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βとBMP−2の組合せ、およびTGF−βとIGF−1の組合せから選択することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、組成物とともに共投与し得る医薬活性剤は、麻酔薬(例えば、リドカイン)および抗炎症薬(例えば、コルチゾン)であることができる。
本明細書に記載のマクロマーは、通常、溶解性および溶液粘度特性などの調整可能な特性を有する。水中での所与の溶液濃度について、粘度は、通常、末端結合の程度、TMC(および他の疎水性種)セグメントの長さ、および出発水溶性領域(例えば、PEG)の分子量によって影響を受ける。ハイドロゲルの係数は、架橋間の分子量によって影響を受ける。ハイドロゲル分解速度は、架橋可能な末端基を付加してマクロマーを形成させる前に、例えば、第2のより簡単に加水分解される重合領域(例えば、ラクテート、グリコレート、1,4−ジオキサノン)を、基本のPEG/TMCコポリマーの末端上にセグメントとして付加することによって改変することができる。
【0077】
場合によっては、マクロマーが適用部位によりしっかりと保たれるように、組織に適用する時に、マクロマーの粘度を増大させることが望ましい。マクロマー溶液の粘度を増大させるために用いることができるポリマーとしては、グリコサミノグリカン(GAG)(例えば、ヒアルロン酸(HA))、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デキストラン、デキストラン硫酸、およびポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、組織に適用する直前にマクロマー溶液に添加することができる。
使用方法
本発明の組成物を用いて、対象の軟骨を修復することができる。組成物は、軟骨組織の欠損または骨と軟骨欠損の組合せ(例えば、骨軟骨欠損)の部位において対象に投与することができる。本発明の組成物を用いて、骨または他の組織(例えば、半月板、靱帯、腱、および椎間板線維輪)の欠損を修復することもできる。有効投与量は、治療されている疾患状態によってならびに疾患の重症度、患者の年齢、体重および全般的状態などの因子に応じた担当医の判断によって決まる。
【0078】
本発明の組成物は、組織におよび/または軟骨修復を必要とする部位に直接適用してもよい。いくつかの実施形態では、体の治療部位を手術して先に異常な組織を除去した後、
本発明の組成物を欠損部分に配置してもよい。あるいは、手術で先に行う処置には、隣接する組織領域または血管新生領域を穿孔するか、それらを摩耗させるか、またはそれらにドリルで穴を開けて、細胞または骨髄がプラグまたはパテの中に遊走するための溝を作ることが含まれる。本発明の組成物を用いて、骨軟骨欠損、または微小骨折を含む欠損、または軟骨欠損を埋めることができる。
【0079】
組成物は、シリンジおよび針または種々の装置を用いて投与することができる。粘稠液を投与するために、Orentriech博士によって米国特許第4,664,655号明細書および同第4,758,234号明細書(これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているカープル装置などの、いくつかの送達装置が当技術分野で開発され、記載されている。さらに、医師にとって組成物の送達をなるべく簡単にするために、レバレッジド・インジェクション・ラチェット(leveraged injection ratchet)機構または電動送達機構を用いてもよい。組成物を2つの端部を有するシリンダー状の容器またはカートリッジに予め充填することが一般に好ましい。第1の端部は、プランジャーを受け入れるように構成され、その中に可動シールが配置されている。第2の端部または出口は、取外し可能なシールで被覆され、容器中の組成物を出口から出し、針または投与装置の他の中空チューブ部材を入れることを可能にするよう、針ハウジングに嵌合するように構成されている。組成物を、組成物を含有する装置を含むキットの形態で販売することができることも想定されている。前記組成物の出口と、組成物を排出する排出器と、組成物を動物内に投与する出口に嵌合している中空チューブ部材とを備える装置。
【0080】
ひとたび組成物が対象に投与されると、組成物は、例えば、組成物に光を当てることによって重合させることができる。対象を、投与された組成物の重合を開始する照明光に当てることができる。光照射を用いて重合を達成する場合、対象には、通常、少なくとも約10秒〜約120秒(例えば、少なくとも約10秒、少なくとも約15秒、少なくとも約20秒、少なくとも約25秒、少なくとも約30秒、少なくとも約35秒、少なくとも約45秒、少なくとも約60秒、少なくとも約90秒、または少なくとも約120秒)間、照明による光照射を施す。いくつかの実施形態では、光照射を用いて重合を達成することができる場合、対象には、少なくとも約30秒〜約50秒(例えば、少なくとも約30秒、少なくとも約35秒、少なくとも約40秒、少なくとも約45秒、または少なくとも約50秒)間、照明による光照射を施すことができる。対象に長波長紫外線を照射することによって重合を実施する場合、照射に、少なくとも約20秒〜約60秒(例えば、少なくとも約20秒、少なくとも約25秒、少なくとも約30秒、少なくとも約30秒、少なくとも約35秒、少なくとも約40秒、少なくとも約45秒、少なくとも約45秒、少なくとも約50秒、少なくとも約55秒、または少なくとも約60秒)かけることができる。
【0081】
少なくとも2回(例えば、3回、4回、または5回)の組成物の適用が対象に提供されるように、組成物を繰り返し対象に投与することもでき、その場合は、組成物を新たに投与するたびに組成物を重合させる。
【0082】
本明細書に記載の組成物は、任意の好都合な方法で包装することができ、かつ例えば、個別容器を単独でまたは適用装置と一緒に含むキットを形成していてもよい。それらを共凍結乾燥させて、暗所で保存させるか、または反応しないように別の方法で維持する場合を除き、マクロマーは、開始剤と別々に保存することが好ましい。希釈した開始剤は再構成流体中にあることができ、安定化剤はマクロマーまたはシリンジ中にあり、他の成分は、化学的適合性によって、どちらのバイアル中にあってもよい。DBMは、混合前の生理的に許容される流体(例えば、開始剤溶液または混合したマクロマー/開始剤溶液)で再構成されるべき粉末としてキットに含まれていてもよい。薬物が組成物中で送達されることになっている場合、薬物は、その安定性および保存要件によって、これらのバイアルの
いずれかの中、または個別容器の中にあってもよい。
【0083】
本明細書に開示された特徴は全て、任意の組合せで組み合わされてもよい。本明細書に開示された各々の特徴は、同一、同等、または同等の目的に適う代わりの特徴に置き換えられてもよい。したがって、別途明記されない限り、開示された各々の特徴は、包括的な一連の同等または同様の特徴の一例であるに過ぎない。
【0084】
前述の説明から、本明細書に記載されたものの他に、本発明の様々な変更が当業者に明白になるであろう。そのような変更もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における軟骨欠損を修復する方法であって、欠損の部位において対象に有効量の組成物を投与することを含み、前記組成物は、脱灰骨基質(DBM)とマクロマーの製剤とを含み、ここで、前記マクロマーは、少なくとも1つの水溶性領域、少なくとも1つの生体分解性領域、および少なくとも1つの反応性重合性基を含む、方法。
【請求項2】
前記水溶性領域が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、多糖、タンパク質、およびこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶性領域がポリ(エチレングリコール)(PEG)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PEGが約3,500ダルトン〜約40,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記PEGが約25,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記PEGが約35,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の反応性重合性基が、エチレン性またはアセチレン性不飽和基、イソシアネート、エポキシド(オキシラン)、スルフヒドリル、スクシンイミド、マレイミド、アミン、イミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸およびリン酸基から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の反応性重合性基がエチレン性不飽和基である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エチレン性不飽和基が、ビニル基、アリル基、不飽和モノカルボン酸、ジアクリレート、オリゴアクリレート、不飽和ジカルボン酸、および不飽和トリカルボン酸から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生体分解性領域が少なくとも1つのカーボネートまたはジオキサノン残基結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記カーボネート残基結合が環式脂肪族カーボネートに由来する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記カーボネート残基結合がポリ(トリメチレンカーボネート)残基である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
トリメチレンカーボネートモノマー対各PEGのモル比が約6:1〜約20:1である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
トリメチレンカーボネートモノマー対各PEGのモル比が約11:1〜約15:1である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記生体分解性領域が、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、またはポリ(ホスホエステル)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記生体分解性領域がポリ(α−ヒドロキシ酸)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記生体分解性領域がポリ(L−ラクチド)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ラクチドモノマー対各PEGのモル比が約1:1〜約8:1である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ラクチドモノマー対各PEGのモル比が約3:1〜約5:1である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記生体分解性領域がポリ(L−ラクチド)およびポリ(トリメチレンカーボネート)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記マクロマーが、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、およびアクリレートエンドキャップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、重合を誘導するための開始剤をさらに含み、ここで、前記開始剤は、(a)光開始剤;(b)化学開始剤;および(c)熱開始剤から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記開始剤が光開始剤である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記光開始剤がエオシンYである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記光開始剤が2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(DMAP)である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記化学開始剤がレドックス化学反応を用いる、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記化学開始剤が鉄(II)および過酸化物を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記過酸化物が過酸化t−ブチルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記開始剤が熱開始剤である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
熱開始剤が過酸化物族またはアゾ熱開始剤の族である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記アゾ熱開始剤がアゾビスイソブチロナイト(AIBN)である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物がレオロジー調整剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記レオロジー調整剤がHAまたはCMCである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が医薬活性成分をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記医薬活性成分が、骨形態形成タンパク質、組織増殖因子、インスリン増殖因子、抗酸化物質、抗生物質、または増殖因子の組合せである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記医薬活性成分が、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βとBMP−2との組合せ、およびTGF−βとIGF−1との組合せから選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が水和形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物がパテの形態である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、約60重量%〜約98重量%のマクロマーの製剤を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記マクロマーの製剤が約5重量%〜約15重量%のマクロマーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記マクロマーの製剤が約5重量%〜約10重量%のマクロマーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が約2重量%〜約40重量%のDBMを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が約30重量%〜約40重量%のDBMを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記マクロマーの製剤が生体適合液を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記生体適合液がPBSまたは水である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
重合の工程をさらに含み、ここで、前記重合は、(i)光重合;(ii)化学フリーラジカル重合;および(iii)熱フリーラジカル重合から選択される反応によって開始される、請求項37に記載の方法
【請求項47】
前記重合が軟骨組織の部位で行なわれる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記重合が投与の前に実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記重合が前記組成物の製造時に実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記重合が可視光によって開始される、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記重合が約10秒〜約120秒間開始される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記重合が約30秒〜約50秒間開始される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記重合が長波長紫外線によって開始される、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記重合が約20秒〜約60秒間開始される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記重合が熱エネルギーによって開始される、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
前記組成物を凍結乾燥させて、非水和組成物を生じさせる工程をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記非水和組成物が乾燥プラグの形態である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記乾燥プラグが約85重量%〜約96重量%のDBMを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記乾燥プラグが約92重量%〜約96重量%のDBMを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記乾燥プラグが約1重量%〜約4重量%の重合マクロマーを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記乾燥プラグが約2重量%〜約4重量%の重合マクロマーを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記乾燥プラグは、前記乾燥プラグが約3MPaの圧縮率を示すことを特徴とする、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記乾燥プラグは、前記乾燥プラグが約1.5MPaの最大圧縮応力を示すことをさらに特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記対象が哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項65】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項66】
前記欠損の部位が関節内の骨軟骨欠損である、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2013−502982(P2013−502982A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526813(P2012−526813)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/044969
【国際公開番号】WO2011/025650
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(500034653)ジェンザイム・コーポレーション (37)
【Fターム(参考)】