説明

転倒検知システム

パッシブ型の振動センサ、転倒の夫々の特徴を検知するための1つ以上の他のセンサ、及び転倒が起こったかを判断するために、前記1つ以上の他のセンサからの測定値を分析するためのプロセッサを有する転倒検知システムが供給される。ここで、このシステムは、前記転倒検知システムのユーザの動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサ及び/又はプロセッサに電力を選択的に供給するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転倒検知システムに関し、特に転倒検知システムのバッテリー寿命を向上させる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人がひどい転び方をして、医療支援を必要とする場合に検知することができるアクティビティ検知システムが必要である。多くの年配者は、緊急支援を必要とする場合に押すことができる個人救助ボタン(PHB)を持っていたとしても、年配者がひどい転び方をした場合、年配者はこのボタンに届かない又は押すことができないことがあり、このことは、起こっている転倒及びその人に差し伸べる支援から大幅に遅れることを意味している。
【0003】
故に、ユーザが着用する及び1つ以上のセンサによるユーザの動きの測定値に基づいて、そのユーザが転倒したかを判断する転倒検知システムが提案される。
【0004】
転倒は、少なくとも4つの特有な特徴により(通常は)特徴付けられる事象である。これら特徴は、大まかな時系列順に、(i)身体の急速な下方への加速、(ii)高度の減少、(iii)身体が地面に衝突するときの衝撃、(iv)直立状態から横になった状態への身体の向きの変化、である。
【0005】
年配のユーザのための着用可能な転倒検知システムの設計時、前記システムが容易に維持される、すなわちバッテリーを充電又は交換する必要性を減少させることにより、容易に維持されるようにすることが重要である。従って、この転倒検知システムのバッテリーの寿命をできる限り長く伸ばすことが望まれる。
【0006】
提案する転倒検知システムは、前記センサからの測定値を処理するためのマイクロ制御器又は制御器を持つ。多くの転倒検知システムにおいて、前記制御器は、複数のセンサから測定値を得て、転倒事象が起こったかを検知するために、幾つかの特徴を計算する。上手な電源管理のキーは、前記センサからの測定値をいつ及びどのように処理すべきかについて良い決定を下すことである。
【0007】
あるセンサから得られた測定値を用いて、残りの装置を"目覚めさせる"転倒検知システムが知られている。あるこのようなシステムは、第1のセンサがユーザの向きの急速な変化を検知する場合、スタンバイモードから目覚め、次いで衝撃を監視することができるヘルスウォッチ(http://www.health-watch.com/falldetector.html)により供給されるシステムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この転倒検知システムは、衝撃を検知するセンサを目覚めさせるために向きの変化を検知するセンサを使用すると共に、前記衝撃は向きの変化の前に起こり得ることも分かっているので、このシステムは全ての転倒の形式を検知できないかもしれない。
【0009】
追加の考察は、多くの転倒検知アルゴリズムは、転倒が起こったかを判断するとき、正しい結果に到達するために、ユーザの動きに関する履歴情報を必要とすることであり、並びに転倒がその時間フレーム内で起こる短い時間フレームを与える場合、前記システムが前記センサの1つ以上により検知される事象に対し素早く応答することが必要であることである。故に、サンプル間で転倒する事象を避けるために前記センサのサンプリングレートを適切なレベルに保つのと同様、前記履歴情報を収集及び記憶するために前記システムを常に目覚めさせておくことは、大量のエネルギーを使用する。
【0010】
故に、転倒検知システムのバッテリー寿命を向上させる方法及び装置の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、パッシブ型の振動センサ、つまり転倒の夫々の特徴を検知するための1つ以上の他のセンサ、及び転倒が起こったかを判断するために、前記1つ以上の他のセンサからの測定値を分析するためのプロセッサを有する転倒検知システムが供給され、このシステムは、この転倒検知システムのユーザの動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサ及び/又はプロセッサに電力を選択的に供給するように構成される。
【0012】
故に、動きが検知されるとき、転倒検知システム内の他の構成要素を稼働させるために、このパッシブ型の振動センサを使用することにより、このシステムの電力消費は、殆ど動きがない期間中、かなり減少する(及び故にバッテリー寿命が増大する)。
【0013】
ある実施例において、前記システムはさらに、パッシブ型の傾斜センサを有し、このシステムは、ユーザの動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサに電力を供給する、並びに前記傾斜センサからの測定値が転倒の特徴を示す場合、前記プロセッサに電力を供給するように構成される。
【0014】
代替実施例において、前記システムは、ユーザの動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサに電力を供給する、並びに転倒の特徴を特定するために前記他のセンサからの測定値を分析するためのプロセッサが低電力モードであるように前記プロセッサに電力を供給するように構成される。
【0015】
好ましくは、前記プロセッサは、前記他のセンサの1つからの測定値が転倒の特徴を示す場合、高電力モードに切り替わるように構成される。
【0016】
好ましくは、前記システムは、前記パッシブ型の振動センサが動きは終わったことを検知する場合、前記1つ以上の他のセンサ及びプロセッサに供給されている電力を停止するように構成される。
【0017】
代替実施例において、前記プロセッサは、簡単な低電力プロセッサ及びメインプロセッサを有し、前記システムは、動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記簡単なプロセッサに電力を供給するように構成される。
【0018】
好ましくは、前記簡単なプロセッサは、動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサのサンプリングレートを増大させるように構成される。
【0019】
好ましくは、前記簡単なプロセッサは、転倒の特徴を特定するために、前記1つ以上の他のセンサからの測定値を分析するように構成される。
【0020】
好ましくは、前記簡単なプロセッサは、この簡単なプロセッサが転倒の特徴を検知する場合、前記メインプロセッサを稼働させるように構成される。
【0021】
好ましくは、前記簡単なプロセッサは、動きが終わったことを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサのサンプリングレートを減少させるように構成される。
【0022】
好ましくは、前記1つ以上の他のセンサは加速度計及び/又はバロメータを有する。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、パッシブ型の振動センサ、転倒の夫々の特徴を検知するための1つ以上の他のセンサ、及び転倒が起こったかを判断するために、前記1つ以上の他のセンサからの測定値を分析するためのプロセッサを有する転倒検知システムを動作させる方法が提供され、この方法は、前記転倒検知システムのユーザの動きを検知するパッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサ及び/又はプロセッサに電力を選択的に供給するステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】転倒前、転倒中及び転倒後に起こる6つの状態の表現。
【図2】本発明の第1の実施例による転倒検知システムのブロック図。
【図3】図2に示される転倒検知システムを動作させる方法を説明するフローチャート。
【図4】図2に示される転倒検知システムを動作させる代替方法を説明するフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施例による転倒検知システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、単に例として、以下の図面を参照して説明される。
【0026】
本発明の態様によれば、ステートマシーンフレームワーク(state machine framework)は、転倒検知システムの電力効率に優れた動作を決めるのに使用される。図1は、転倒前、転倒中及び転倒後に起こる状態をプロセッサにより計算が実行される順に示す。それ故に、上述したように、最初は、例えば転倒検知システムのユーザが座っている又は横になっているときのように、殆ど動きがない。このユーザが立ち上がり、歩き始める場合、何らかの動きがあるだろう。ユーザが転倒し始める場合、下方への動きがあり、続いてユーザが地面に衝突したときの衝撃、高度の減少、ユーザの身体が直立状態から横になった状態に変化したときの向きの変化がある。この転倒が支援を必要とするほどひどかった場合、再び殆ど動きがなくなる。
【0027】
高度の減少を判断するために、前記衝撃の前後のデータを使用する必要があるので、前記ステートマシーンフレームワークは、高度の減少の計算が衝撃の検知の計算の後に起こることを示すことに注意されたい。
【0028】
転倒中に起こる異なる動きを検知するのに別々のセンサが使用される、例えば加速度計は下方の動き及び衝撃を検知することができ、バロメータは高度の減少を検知することができ、並びに傾斜センサは向きの変化を検知するのに使用されることができるので、前記ステートマシーンフレームワークは、転倒が起こったかを判断するのに必要とされる測定値をこれら様々なセンサが得るために、これら様々なセンサの電源をオンにする順番を決めるのに使用されることができる。言い換えると、多くの電力を必要とするセンサの動作を停止する時間を最大にすることが、転倒検知システムの電力消費を減少させる(及び故にバッテリー寿命を増大させる)のに役立つ。
【0029】
特に、ある条件が指定され、センサ(又は複数のセンサ)及びこれらセンサ(又は複数のセンサ)からの測定値を分析するプロセッサの電源をオンにするため、前記ある条件が満たされなければならないことがステートマシーン表現から分かる。前記条件が満たされるまで、前記センサ又はプロセッサは、殆ど電力を消費しないスタンバイモードのままでいることができる。
【0030】
本発明の全ての実施例において、転倒検知システムの電力消費を減少させることができる4つの一般原則がある。第1の原則は、動作するのに電力を必要とするアクティブ型のセンサに代わって、多くのパッシブ型のセンサ(すなわち動作するのに電気エネルギーを必要としないセンサ)をできるだけ多く使用することである。第2の原則は、活動を検知するのに前記パッシブ型のセンサを使用することであり、これらセンサがシステムにおける他のセンサ及び/又はプロセッサを目覚めさせることである。第3の原則は、最も電力効率が優れたアクティブ型のセンサが最初に目覚めることである(すなわちバロメータは一般的に加速度計よりも電力効率が優れていて、それで最初に目覚めるべきである)。第4の原則は、殆ど動きが起こらないとき、電力消費を最小限にするために、前記センサのサンプリングレートが現在の状態に依存して変化され得ることである。
【0031】
転倒検知システム2の第1の実施例が図2に示されている。この転倒検知システム2は、バッファ5に接続されるプロセッサ4を有し、このバッファ自体は複数のセンサ6、8、10及び12に接続されている。これらセンサの少なくとも1つは、パッシブ型のセンサであり、本実施例において、このパッシブ型のセンサは、転倒検知システム2のユーザの動きを検知し、簡単な"切り替え型の"センサとすることができる振動センサ6である。他のパッシブ型のセンサは、この転倒検知システム2の傾斜を検知する、特に転倒で生じるユーザの向きの変化を検知する傾斜センサ8である。本発明の幾つかの実施例において、この傾斜センサ8が転倒検知システム2から省略されることもできる。
【0032】
この転倒検知システムにおける残りのセンサ10、12は、アクティブ型のセンサであり、これはこれらセンサが動作するのに電力を必要とすることを意味している。センサ10はユーザが受ける加速度(例えば下方への動き及び衝撃)を測定する加速度計であり、センサ12は、ユーザの高度の変化を測定するバロメータである。前記傾斜センサ8と同様、前記バロメータ12は、ある実施において前記システム2から省略されることもでき、この場合、加速度計10からの測定値がユーザの高度の変化を推量するのに使用されることができる。
【0033】
前記複数のセンサ6、8、10及び12の各々はバッファ5に接続されているので、これらセンサによる測定値は、プロセッサ4により実施される転倒検知アルゴリズムに使用するためにこのバッファ5に記憶される。
【0034】
転倒検知システム2はさらに、プロセッサ4、加速度計10及びバロメータ12に接続され、これら構成要素に電源16からの電力を選択的に供給するための電力管理モジュール14も有する。この電力管理モジュール14は、前記振動センサ6及び傾斜センサ8にも接続され、これらセンサ6、8からの測定値に応じて動作する。この電力管理モジュール14は好ましくは、スイッチ及び電源16から僅かな電力しか消費しない論理回路の簡単な組み合わせを有する。
【0035】
最後に、この転倒検知システム2は、プロセッサ4に接続され、転倒を検知した場合に警報信号を送信するのに使用されるトランシーバ回路18を有する。
【0036】
転倒検知システム2の動作を説明するフローチャートが図3に示される。最初に、転倒に特有な如何なる動きが起こる又は検知される前に、電力管理モジュール14は、前記システム2を殆ど動きがない"スタンバイ"状態にする。この状態で、電力管理モジュール14は、プロセッサ4、加速度計10及びバロメータ12の電源をオフにするので、システム2は、電源16から殆ど電気エネルギーを使用していない。
【0037】
ステップ101において、パッシブ型の振動センサ6は、ユーザの動きを検知し、これが電力管理モジュール14に示される。次いで、ステップ103に示されるように、電力管理モジュール14は、加速度計10及びバロメータ12がバッファ5に測定値を収集及び記憶することを始めるように、これらセンサに電力を選択的に供給する。
【0038】
パッシブ型の傾斜センサ8が次いで、しきい値よりも上にある、ユーザの向きの変化を検知した場合(例えば転倒が起こった場合)、電力管理モジュール14は、バッファ5に記憶される、センサ6、8、10及び12により測定された測定値を用いて、プロセッサ4が転倒検知アルゴリズムの実施を始めるように、このプロセッサ4に電力を追加供給する(ステップ105及び107)。
【0039】
プロセッサ4により転倒が検知される場合、警報信号が出力されるように、前記トランシーバ回路18に電力が供給される(ステップ109)。この電力は好ましくは、プロセッサ4により前記トランシーバ回路18に選択的に供給されることができるが、電力管理モジュール14により代替的に前記トランシーバ回路18に供給されることもできる。
【0040】
一度警報信号が送出されると、電力管理モジュール14は、転倒検知システム2を、プロセッサ4、加速度計10及びバロメータ12が電源を切ったスタンバイモードに戻す(ステップ111)。
【0041】
転倒検知システム2の別の動作を説明するフローチャートが図4に示される。このシステム2において、プロセッサ4は、電源を切るモードに加え、2つの異なる動作モード、低電力モード及びフルパワーモードを有する。この説明において、傾斜センサ8は、このシステム2に存在していない。上述したように、転倒に特有な如何なる動きが起こる又は検知される前に、前記電力管理モジュール14は、システム2を殆ど動きがない"スタンバイ"状態にする。この状態で、電力管理モジュール14は、プロセッサ4、加速度計10及びバロメータ12の電源をオフにするので、システム2は、電源16から殆どエネルギーを使用していない。
【0042】
ステップ121において、パッシブ型の振動センサ6は、ユーザの動きを検知し、これが電力管理モジュール14に示される。次いで、ステップ123に示されるように、電力管理モジュール14は、加速度計10及びバロメータ12がバッファ5に測定値を収集及び記憶することを始めるように、これらセンサに電力を選択的に供給する。加えて、電力管理モジュール14は、プロセッサ4が低電力モードで動作するように、このプロセッサ4に電力を供給する。
【0043】
低電力モードで動作しているプロセッサ4は、加速度計10又はバロメータ12による測定値から、下方への動き、衝突、高度の減少又は転倒の何らかの他の特徴が起こったことを判断する場合、プロセッサ4は、バッファ5に記憶される、センサ6、10及び12により測定された測定値を用いて、プロセッサ4が転倒検知アルゴリズムの実施を始めるように、フルパワーモードに切り替わる(ステップ125及び127)。
【0044】
プロセッサ4がフルパワーモードで動作しているとき、このプロセッサ4により転倒が検知される場合、警報信号が送出されるように、前記トランシーバ回路18に電力が供給されることができる(ステップ129)。この電力は好ましくは、プロセッサ4により前記トランシーバ回路18に選択的に供給されることができるが、電力管理モジュール14により代替的に前記トランシーバ回路18に供給されることもできる。
【0045】
一度警報信号が送出されると、電力管理モジュール14は、転倒検知システム2を、プロセッサ4、加速度計10及びバロメータ12が電源を切ったスタンバイモードに戻る(ステップ131)。
【0046】
図5は、本発明の第2の実施例による転倒検知システムを示す。この実施例において、前記センサは定期的に測定値を得ることが必要なため、前記プロセッサは、転倒検知アルゴリズムを実施するときに利用可能である履歴測定値を持っている。
【0047】
この第2の実施例によるシステム20は、簡単な(シンプル)プロセッサ24及びメインプロセッサ26を含む処理ユニット22を有する。このシステム20は、複数のセンサ28、30及び32、すなわちパッシブ型の振動センサ、加速度計及びバロメータ夫々を有する。このシステム20はさらに傾斜センサを含むことができることを分かっている。これらセンサ28、30及び32の各々は、前記簡単なプロセッサ24に接続されている。
【0048】
前記システム20の電源34は、前記簡単なプロセッサ24にも接続され、この簡単なプロセッサ24はこの電力を、前記メインプロセッサ26、加速度計30及びバロメータ32に選択的に供給する。トランシーバ回路36は、このメインプロセッサ26に接続されている。本実施例の記載から、簡単なプロセッサ24は、図2に示される第1の実施例の電源管理モジュール14及びバッファ5を効果的に置き換えたことが分かる。
【0049】
上述したように、本実施例において、前記センサ30及び32は、履歴情報が利用可能であることを保証するために測定値を得ることが定期的に必要となる。振動センサ28が殆ど動きを検知しないとき、前記簡単なプロセッサ24は、他のセンサ30及び32が低いサンプリングレートを持つ、すなわち前記簡単なプロセッサ24のメモリに記憶される測定値を得るために、これら他のセンサがt秒毎に目覚めるように、これら他のセンサ30及び32を制御する。
【0050】
しかしながら、振動センサ28が動き(又はしきい値より上の動き)を検知する場合、この振動センサ28が前記簡単なプロセッサ24を目覚めさせることができるので、前記センサ30及び32が測定値を得るために、t秒(ここでt>t)毎に目覚めるように、これらセンサ30及び32のサンプリングレートを増大させる。簡単なプロセッサ24は、このアクションをいつでも行うことができる(すなわちセンサ30及び32が既にアクティブであるときだけではない)ので、前記サンプリングレートは、事象(動き)が起こるとすぐに増大することが可能である。この事象がたまたま転倒の開始である場合、第1の測定は、起こっている又は始まっている事象の約2ms以内に前記センサ30及び32により行われる。
【0051】
加えて、動きが起こるとき、前記簡単なプロセッサ24は、転倒の特徴の特定を試みるために、前記測定値の基礎的計算(例えばしきい値検査)を行う。この簡単なプロセッサ24が、転倒が起こったかもしれないと判断する(例えばしきい値よりも上の加速度が存在する又はユーザの高度が既定量よりも多く変化した)場合、このとき完全な転倒検知アルゴリズムが前記測定値に実施されるように、前記メインプロセッサに電力を供給する。
【0052】
前記メインプロセッサ26が、転倒は起こらなかったと判断する場合、このメインプロセッサ26はオフに切り替わり、この簡単なプロセッサ24は、転倒の他の潜在指標のために、前記センサ30及び32により測定される測定値の監視を続ける。
【0053】
前記メインプロセッサ26が、転倒は起こったと判断する場合、このメインプロセッサ26は、トランシーバ回路36に電力を供給し、警報信号が送信される。次いで、このメインプロセッサ26は電源を切る。
【0054】
振動センサ28により検知された動きが無くなる場合(簡単なプロセッサ24がメインプロセッサ26を目覚めさせたかどうか)、この簡単なセンサ24は、前記センサ30及び32を低いサンプリングレートに戻し、スリープ又はスタンバイモードになる。
【0055】
前記簡単なプロセッサ24が、転倒事象は起こったとは考えにくいと判断するが(例えば、前記しきい値検査が満足のいくものではない場合)、振動センサ28が動きは起こっていると示す場合、前記簡単なプロセッサ24は転倒の指標のための測定値の監視を続けるが、メインプロセッサ26を目覚めさせない。
【0056】
サンプリングが行われていないとき、簡単なプロセッサ24をできるだけ含んでいる(例えば、前記センサ30及び32が次の測定をいつ行うべきかを示すタイマーを除く)システム20の全ての可能な構成要素は、低電力モード又はスタンバイモードになるはずであるため、このシステム20の電力消費は大幅に減少する。
【0057】
それ故に、振動センサ28が殆ど動きはないことを示すとき、前記サンプリングレートは、エネルギーを節約するために減少する一方、エネルギーが必要になったらすぐに、サンプリングレートが増大する可能性を備える。
【0058】
故に、動きが検知されるとき、転倒検知システムの他の構成要素を稼働させるために、パッシブ型の振動センサを用いることにより、このシステムのバッテリー寿命を向上させるための方法及び装置を供給する。
【0059】
本発明は図面及び上述した説明において詳細に説明及び開示されている一方、このような説明及び開示は、説明的及び例示的であると考えるべきであり、限定的であると考えるべきではない。つまり、本発明は開示される実施例に限定されない。
【0060】
開示した実施例に対する変形例は、前記図面、前記開示及び付随する請求項の検討から、本発明を実施する当業者により理解及び達成されることができる。請求項において"有する"という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、複数あることを述べないことが、それが複数あることを排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが請求項において列挙した幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。ある方法が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの方法の組み合わせが上手く使用されることができないことを示しているのではない。請求項における如何なる参照符号もその範囲を限定すると考えるべきではない。コンピュータプログラムは、適切な媒体、例えば他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体に記憶/分配されてもよいが、他の形式、例えばインターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介して分配されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッシブ型の振動センサ、
転倒の夫々の特徴を検知するための1つ以上の他のセンサ、及び
転倒が起こったかを判断するために、前記1つ以上の他のセンサからの測定値を分析するためのプロセッサ
を有する転倒検知システムにおいて、
前記転倒検知システムのユーザの動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサ及び/又はプロセッサに電力を選択的に供給するように構成される転倒検知システム。
【請求項2】
パッシブ型の傾斜センサをさらに有する請求項1に記載の転倒検知システムにおいて、
ユーザの動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサに電力を供給する、及び前記傾斜センサからの測定値が転倒の特徴を示す場合、前記プロセッサに電力を供給するように構成される転倒検知システム。
【請求項3】
ユーザの動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサに電力を供給する、及び転倒の特徴を特定するために前記他のセンサからの測定値を分析するためのプロセッサが低電力モードであるように前記プロセッサに電力を供給するように構成される請求項1に記載の転倒検知システム。
【請求項4】
前記他のセンサの1つからの測定値が転倒の特徴を示す場合、高電力モードに切り替えるように構成される請求項3に記載の転倒検知システム。
【請求項5】
前記パッシブ型の振動センサが動きは終わったことを検知する場合、前記1つ以上の他のセンサ及びプロセッサに供給されている電力を停止するように構成される請求項1乃至4の何れか一項に記載の転倒検知システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、簡単な低電力プロセッサ及びメインプロセッサを有し、転倒検知システムは、動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記簡単なプロセッサに電力を供給するように構成される請求項1に記載の転倒検知システム。
【請求項7】
前記簡単なプロセッサは、動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサのサンプリングレートを増大させるように構成される請求項6に記載の転倒検知システム。
【請求項8】
前記簡単なプロセッサは、転倒の特徴を特定するために、前記1つ以上の他のセンサからの測定値を分析するように構成される請求項7に記載の転倒検知システム。
【請求項9】
前記簡単なプロセッサが転倒の特徴を検知する場合、前記簡単なプロセッサは、前記メインプロセッサを稼働させるように構成される請求項8に記載の転倒検知システム。
【請求項10】
前記簡単なプロセッサは、動きが終わったことを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサの前記サンプリングレートを減少させるように構成される請求項7、8又は9に記載の転倒検知システム。
【請求項11】
前記1つ以上の他のセンサは加速度計及び/又はバロメータを有する請求項1乃至10の何れか一項に記載の転倒検知システム。
【請求項12】
パッシブ型の振動センサ、転倒の夫々の特徴を検知するための1つ以上の他のセンサ、及び転倒が起こったかを判断するために、前記1つ以上の他のセンサからの測定値を分析するためのプロセッサを有する転倒検知システムを動作させる方法において、
前記転倒検知システムのユーザの動きを検知する前記パッシブ型の振動センサに応じて、前記1つ以上の他のセンサ及び/又はプロセッサに電力を選択的に供給するステップ
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−521349(P2011−521349A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509066(P2011−509066)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051924
【国際公開番号】WO2009/138941
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】