説明

転写方法、装置及びマスターディスクの検査方法

【課題】マスターディスクに付着した塵埃や繊維くず等の異物を高精度で判別する。
【解決手段】一対のホルダ部22によって保持された一対のマスターディスクの間に被転写用の磁気ディスク46を供給し、被転写用の磁気ディスクの両面にマスターディスクをそれぞれ圧接させ、圧接された被転写用の磁気ディスクとマスターディスクとに磁界を加えて一対のマスターディスク上の磁気パターンをそれぞれ被転写用の磁気ディスクの両面に転写させる磁気転写に使用されるマスターディスクの検査方法。光照射手段より照射光の光軸がマスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し1〜30度の角度をなすようにして照射光を照射し、照射された光の反射光を撮像素子により撮像してマスターディスクの表面の汚染状態を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写方法、装置及びマスターディスクの検査方法に係り、特に、ハードディスク装置等に用いられる磁気ディスクに、マスターディスクからフォーマット情報等の磁気情報パターンを転写する際の不良品の発生を防止するのに有効な転写方法、装置及びマスターディスクの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に普及しているハードディスクドライブに使用される磁気ディスク(ハードディスク)は、磁気ディスクメーカーよりドライブメーカーに納入された後、ドライブに組み込まれる前に、フォーマット情報やアドレス情報が書き込まれるのが一般的である。この書き込みは、磁気ヘッドにより行うこともできるが、これらのフォーマット情報やアドレス情報が書き込まれているマスターディスクより一括転写する方法が効率的であり、好ましい。
【0003】
従来、この種の磁気転写技術として各種の提案がなされている(たとえば、特許文献1〜3参照。)。このうち、特許文献1は、被転写用ディスクを自動搬送しながら両面にマスターディスクを密着させて磁気転写を行う際の作業効率を向上させる旨の提案である。特許文献2は、マスターディスクのサーボ領域をデータ領域よりも凸状に形成して、転写信号の信号脱落等の欠陥を防ぐ旨の提案である。
【0004】
ところが、このような従来技術においても、転写不良が多く転写歩留りが悪く、また、頻繁にマスターディスクを交換しなければならないという問題点が指摘されている。
【0005】
すなわち、磁気転写を行う際に、マスターディスクと転写されるハードディスク(スレーブディスク)とを密着させる必要があるが、この環境における清浄度が悪いと、微粒子やゴミ等により、転写不良となったり、マスターディスクの表面に傷等を発生させることが多い。
【0006】
特に、このようなマスターディスクの繰り返しの使用により、周辺環境で発生している塵埃や繊維くず等がマスターディスクの表面に付着しやすくなる。そして、塵埃や繊維くず等の異物がマスターディスクの表面に付着した状態でスレーブディスクと密着させた場合、異物を中心とした所定範囲において、マスターディスクとスレーブディスクとの密着が不十分となり、転写不良となりやすい。そして、記録した信号がサーボ信号の場合にはトラッキング機能が十分に得られずに信頼性が低下するという問題があった。
【0007】
また、マスターディスクとスレーブディスクとの密着を繰り返すことにより、上記異物のマスターディスク表面への付着力が増加していき、以降の密着転写において、同様の転写不良のものを再生産することとなりやすい。
【0008】
更に、上記異物のマスターディスク表面への付着により、マスターディスクの表面を変形させたり、マスターディスクの表面に傷を発生させたりし、マスターディスクの正常な機能を損う問題をも生じる。
【0009】
これに対し、特許文献3のように、検査部位にレーザ光を照射し、反射光をラインセンサの回転走査で取り込んだ画像によりマスターディスクの異物を検査する方法において、異物検査実行時に取り込んだ画像に対して、画像処理の段階でパターン溝部分をマスクエリアとして事前に画像処理ユニット内で登録しておき、その部分をマスクして、本来の異物による凸形状の欠陥部と切り分ける提案がなされている。
【特許文献1】特開2004−87099号公報
【特許文献2】特開2002−74655号公報
【特許文献3】特開2002−372501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このようなレーザ散乱方式による検査は、パターン部のようには凹凸があった場合、パターン部が異物と同様に光を反射し、パターン部と異物欠陥との区別が困難である。また、パターン部はマスクせざるを得ないため、品質上最も重要なサーボ領域の検査ができない。更に、パターン部の凸状部はデータ領域より高く形成されているため、より影響を受けやすいという問題点があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、マスターディスクより塵埃や繊維くず等の異物を容易に判別でき、これに対応して異物を容易に除去することにより、マスターディスクの寿命を飛躍的に向上させることができるとともに、密着転写作業の生産性を向上させることができる転写方法、装置及びマスターディスクの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、その表面に形成された多数の突起状パターンを有するマスターディスクをホルダ部により保持するディスク保持手段と、前記マスターディスクのパターンを被転写用ディスクに転写させる転写手段と、光照射手段より照射光の光軸が前記マスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなすようにして前記照射光を照射し、照射された光の反射光を撮像素子により撮像して前記マスターディスクの表面の汚染状態を検査する検査手段と、を具備したことを特徴とする転写装置を提供する。
【0013】
本発明によれば、マスターディスクの表面の汚染状態を検査する検査手段において、光軸がマスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなすようにして照射光が照射され、照射された光の反射光を撮像素子により撮像する。これにより、本来の異物と誤認され易いマスターディスク上の特定パターンからの反射光を減少させながら、品質に最も悪影響を与える特定パターン上の異物を高感度に検出できる。
【0014】
なお、「ディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度」とは、ディスクの表面(平面)に対する傾斜角度も、ディスクの表面(平面)における半径に対する傾斜角度も含み、ディスクの表面の被検査部分に仮想的に引いた半径線に対するトータルの傾斜角度が0度以上、30度以下であることを意味する。
【0015】
また、光軸の傾斜角度が0度であれば被検査部分が照射されないようにも考えられるが、光照射手段よりの光束は所定の断面サイズを有することより、被検査部分は有効に照射され得る。
【0016】
また、本発明は、ホルダ部に保持され、その表面に形成された多数の突起状磁性層パターンを有するマスターディスクに対向するように被転写用ディスクを供給する供給工程と、供給された前記被転写用ディスクに前記マスターディスクを圧接させて挟持する圧接工程と、前記ホルダ部に磁界を加えて前記マスターディスク上の磁気パターンを前記被転写用ディスクに転写させる転写工程と、光照射手段より照射光の光軸が前記マスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなすようにして前記照射光を照射し、照射された光の反射光を撮像素子により撮像して前記マスターディスクの表面の汚染状態を検査する検査工程と、を具備したことを特徴とする転写方法を提供する。
【0017】
また、このために、本発明は、その表面に形成された多数の突起状磁性層パターンを有するマスターディスクをホルダ部により保持するディスク保持手段と、前記ホルダ部に磁界を加えて前記マスターディスクの磁気パターンを被転写用ディスクに転写させる磁界印加手段と、光照射手段より照射光の光軸が前記マスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなすようにして前記照射光を照射し、照射された光の反射光を撮像素子により撮像して前記マスターディスクの表面の汚染状態を検査する検査手段と、を具備したことを特徴とする転写装置を提供する。
【0018】
本発明によれば、マスターディスクの表面の汚染状態を検査する検査手段において、光軸がマスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなすようにして照射光が照射され、照射された光の反射光を撮像素子により撮像する。これにより、本来の異物と誤認され易いマスターディスク上の特定パターンからの反射光を減少させながら、品質に最も悪影響を与える特定パターン上の異物を高感度に検出できる。
【0019】
なお、被転写用ディスクは、磁気ディスクのみならず、光ディスク(光磁気ディスクも含む)等の各種媒体を指すものである。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、本来の異物と誤認され易いマスターディスク上の特定パターンからの反射光を減少させながら、品質に最も悪影響を与える特定パターン上の異物を高感度に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面に従って、本発明に係る転写方法、装置及びマスターディスクの検査方法の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明に係る転写装置である磁気転写装置10の全体構成を示す斜視図であり、図2は、ディスク用カセットの概要を示す斜視図である。磁気転写装置10は、装置本体12とクリーンユニット14とよりなる。
【0022】
装置本体12は架台58を備え、この架台58上には水平方向に面をなすベース60が設けられている。なお、太い矢印で示される側が、装置本体12の前面である。この装置本体12は、周辺をクリーンユニット14に囲われ、清浄度が確保されるようになっている。
【0023】
クリーンユニット14の天井部には、装置の内部にクリーンエアを供給するクリーンエア送風ユニット(図示略)が設けられている。このクリーンエア送風ユニットは、HEPAフィルタやULPAフィルタ等のエアフィルタと、送風ファンにより構成され、装置の内部に、ダウンフローによる清浄度クラス100未満のクリーンエアが供給できるようになっている。
【0024】
クリーンエア送風ユニットより吹き出されたクリーンエアは、外部に排出されるようになっている。このため、図1に示されるように、ベース60上において、装置本体12の各機構が配置されていない空き領域には、排気手段としての排気ファン64が複数配設されている。
【0025】
ベース60の前端部には被転写用ディスクであるスレーブディスク40を収容する供給用カセット38、及び、磁気情報が転写され排出されたスレーブディスク40を回収するカセットとしての排出用カセット56が設けられている。供給用カセット38と排出用カセット56とは同一形状のものが採用されている。
【0026】
図2に示されるように、供給用カセット38及び排出用カセット56は、スレーブディスク40がディスクがなす面を対向させて複数枚収納可能となっている。すなわち、カセットの内面に並行して形成された複数の溝92、92…のそれぞれに、一枚ずつスレーブディスク40が遊挿されるようになっており、溝92がなす面によってスレーブディスク40の外周が保持され、複数のスレーブディスク40のそれぞれは互いに離間して配置されるようになっている。
【0027】
ベース60の上面の略中央部には、インデックステーブル50がベース60に対して垂直方向の軸により回転自在に取り付けられている。インデックステーブル50上には、一対のマスターディスク46と1枚のスレーブディスク40を保持する保持手段としてのホルダユニット22が、インデックステーブル50の回転方向に等間隔(90度おき)に4台配設されている。
【0028】
図3に断面図で示されるように、ホルダユニット22は、一対のホルダ部である固定側ホルダ23と移動側ホルダ24とよりなる。固定側ホルダ23及び移動側ホルダ24は、各々マスターディスク46を吸着または接着により外段取り等により位置決め固定し保持するとともに、スレーブディスク40を吸着保持し、マスターディスク46、46によってスレーブディスク40を密着状態で挟持させることができるようになっている。
【0029】
固定側ホルダ23及び移動側ホルダ24は、スレーブディスク40のそれぞれの主面に記録する磁気情報に対応するべく、固定側ホルダ23及び移動側ホルダ24のそれぞれに、記録されている情報が異なったマスターディスク46、46を固定する。そして、これらの2枚1組のマスターディスク46、46をスレーブディスク40のそれぞれの主面に密着させ挟み込むことができるようになっている。
【0030】
固定側ホルダ23は、円形カップ状の部材であり、カップ内にマスターディスク46を固定できるようになっている。移動側ホルダ24は、円盤状の部材であり、表面にマスターディスク46を固定できるようになっている。そして、固定側ホルダ23は、装置本体12に固定されている。一方、移動側ホルダ24は、駆動手段(図示略)を介して装置本体12に固定されており、固定側ホルダ23に対し接離可能に移動できるようになっている。
【0031】
以上で説明したホルダユニット22の構成により、スレーブディスク40を供給したり、取り外したりする際には、図3に示されるように、固定側ホルダ23と移動側ホルダ24とが所定距離だけ離れた位置にセットされ、後述するディスク供給ユニット26やディスク排出ユニット34によるスレーブディスク40のハンドリングが容易な状態にされる。
【0032】
図1の装置本体12において、インデックステーブル50は、図示しない駆動モータにより間欠的に回転駆動され、各ホルダユニット22が各割出位置に対応するように、各工程位置に順次送られて停止し、複数の作業が並行して行えるようになっている。インデックステーブル50は、4つのホルダユニット22が所定の4箇所の位置に常に配置されるように、間歇駆動される。すなわち、各ホルダユニット22は、90度移動毎に停止しするようになっている。
【0033】
更に、図1の装置本体12は、ベース60上面の一側部側(図1では、正面より左側)にディスク供給ユニット26を、ベース60上面の他側部側(図1では、正面より右側)にディスク排出ユニット34をそれぞれ備えている。
【0034】
ディスク供給ユニット26は、スレーブディスク40を途中で他のチャック機構に受け渡すことをせずに、供給用カセット38からマスターディスク46、46が取り付けられているホルダユニット22へ、直接搬送できるディスク供給手段である。
【0035】
ディスク排出ユニット34は、この逆に、磁気転写作業が完了したスレーブディスク40を途中で他のチャック機構に受け渡すことをせずに、ディスク排出カセット56に直接搬送できるディスク排出手段である。
【0036】
ディスク供給ユニット26により、供給用カセット38から取り出されたスレーブディスク40は、ホルダユニット22の固定側ホルダ23に予め装着されているマスターディスク46に対して、相対的に位置決めが行われ、マスターディスク46に設けられる空隙越しにホルダユニット22によって吸着されて受け渡され、マスターディスク46の磁気情報記録面とスレーブディスク40の磁気情報被転写面とが密着されて保持される。固定側ホルダ23の内側にはスレーブディスク40の内径付近を吸着する吸着溝(図示略)が設けられ、この吸着溝によりスレーブディスク40が吸着保持される。
【0037】
ディスク供給ユニット26は、図2に示されるように、スレーブディスク40の内径を把持するための2片の保持具であるチャック42a、42bからなるチャック機構42と、図1に示されるような、X−Y−Z軸の各ロボット27、28、29と、スレーブディスク40をX−Z平面内で180度回転するように、チャック42a、42bを回動させる、Y軸方向に回動軸を有するロータリシリンダ44から構成される。
【0038】
すなわち、ディスク供給ユニット26は、スレーブディスク40の内径を把持したチャック42a、42bを、ロータリシリンダ44により180度回転させ、スレーブディスク40及びチャック42の向きを反転するようになっている。
【0039】
ディスク排出ユニット34は、ホルダユニット22が開かれた後、磁気転写後のスレーブディスク40を受け取り、ディスク排出カセット56に対して直接搬送し収納するディスク取出手段である。
【0040】
ディスク排出ユニット34は、スレーブディスク40の内径を把持する2つの保持具であるチャック52a、52bからなるチャック機構52と、X−Y−Z軸の各ロボット35、36、37と、スレーブディスク40をY−Z平面内で180度回転させるようにチャック52a、52bを回動させる、X軸方向に回動軸を有するロータリシリンダ54から構成される。
【0041】
すなわち、ディスク排出ユニット34は、スレーブディスク40の内径を把持したチャック52a、52bを、ロータリシリンダ54により180度回転させ、スレーブディスク40及びチャック52の向きを反転するようになっている。
【0042】
図4に示されるように、ホルダユニット22の固定側ホルダ23の下面部には、基準マーク21Aが予め取り付けられており、ディスク供給ユニット26のチャック42a、42bには認識マーク21B、21Bが予め取り付けられている。基準マーク21Aと認識マーク21B、21Bは認識ユニット30で視覚認識される。
【0043】
この認識ユニット30は、ベース60上面で、ディスク供給用カセット38が設けられた側面と反対の側面に近い位置に配設されている。認識ユニット30は、ディスク供給ユニット26が搬送してきたスレーブディスク40をマスターディスク46に位置決めする際に、ホルダユニット22とディスク供給ユニット26のそれぞれに予め取り付けられた基準マーク21Aと認識マーク21B、21BをCCDカメラ等によって視覚的に認識する。
【0044】
認識ユニット30には位置決め手段としての制御手段30Aが接続され、制御手段30Aは認識された基準マーク21Aからマスターディスク46の中心を算出し、また、認識された認識マーク21B、21Bからスレーブディスク40の中心を算出する。そして、マスターディスク46とスレーブディスク40との中心が一致するように、ディスク供給ユニット26のY−Z軸のロボット28、29を駆動制御するようになっている。
【0045】
位置決めされたスレーブディスク40は、ディスク供給ユニット26のX軸ロボット27によって、固定側ホルダ23の内側に保持されているマスターディスク46に密着する位置まで移動し、固定側ホルダ23の内側に吸着保持される。
【0046】
このとき、固定側ホルダ23に設けられた基準マーク21Aと、固定側ホルダ23において保持されているマスターディスク46の中心位置との位置関係は、予め制御手段30Aにティーチングされている。
【0047】
一方、ディスク供給ユニット26に設けられた認識マーク21B、21Bとスレーブディスク40の中心位置との関係は、チャック機構42のチャッキング動作によってチャック42a、42bの当接する部位を結ぶ直線上にスレーブディスク40の中心があるものと見立てたときに、その中心位置と認識マーク21B、21Bとの関係が、制御手段30Aに予めティーチングされている。
【0048】
これらのティーチングされた位置関係を基に、間接的にスレーブディスク40とマスターディスク46との位置関係が算出されるようになっている。
【0049】
コイルユニット32、32は、ホルダユニット22を閉じて、ホルダユニット22の固定側ホルダ23と移動側ホルダ24とのそれぞれに固定されたマスターディスク46、46によって、スレーブディスク40を挟持した状態のものに対し、マスターディスク46、46とスレーブディスク40との積層方向からみて両側にコイルを離間して配置したものである。このコイルユニット32、32は、マスターディスク46、46とスレーブディスク40に対して、磁気転写作用を促進するための所定の強度の磁界を印加するものである。
【0050】
次に、本発明の特徴部分である、マスターディスク46、46の表面の汚染状態を検査する検査手段と、この検査手段により検査されたマスターディスク46、46の表面の汚染箇所を選択的にクリーニングするクリーニング手段について説明する。
【0051】
図1における、ディスク排出工程位置86のホルダユニット22の側面には、検査手段及びクリーニング手段が設けられている。なお、図1においては、検査手段のうち、撮像素子であるCCDカメラ16と光照射手段である照明手段17のみ図示されており、クリーニング手段は退避してホルダユニット22の反対側面にあることより、図示されていない。
【0052】
図5は、検査手段とホルダユニット22との位置関係を示す斜視図であり、図6は、同じく正面図であり、図7は、同じく平面図である。この検査手段は、撮像素子であるCCDカメラ16と、照明手段17と、ミラー18とよりなる。このうち、CCDカメラ16は、カメラ本体16Aとレンズ鏡筒16Bより構成される。このCCDカメラ16は、既述の制御手段30Aと接続されている。
【0053】
CCDカメラ16は、支持手段16Cにより支持されており、制御手段30Aの指示によりX軸回り及びZ軸回りに若干量回転可能となっており、マスターディスク46、46の双方の被検査部位に対応できるようになっている。
【0054】
更に、CCDカメラ16は、検査終了時に、ディスク排出ユニット34の各ロボット35、36、37と干渉しないように、退避可能となっている。
【0055】
このCCDカメラ16のレンズ鏡筒16Bに使用されるレンズの解像度及び明るさは重要である。したがって、このレンズとして0.5〜2倍の高解像度レンズを使用する場合、レンズの解像度は、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
【0056】
このレンズの明るさは、マスターディスク46、46の表面の汚染(付着物)の散乱光を検出するため、口径が大きい方が好ましく、F値で8以下が好ましく、F6以下がより好ましい。
【0057】
CCDカメラ16のセンサ部として、ラインイメージセンサ以外にエリアイメージセンサも使用できる。この場合、いずれのセンサであっても、センサの感度と画素数が大きいほど検出感度が上げられる。その意味で、センサの画素ピッチは10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。センサの画素数はラインイメージセンサでは5000〜8000画素が好ましく、エリアイメージセンサでは600万画素クラスが好ましい。
【0058】
なお、CCDカメラ16のセンサ部がラインイメージセンサの場合、回転したまま画像を取り込むが、エリアイメージセンサの場合には、停止して画像を取り込むか、高輝度ストロボで静止画像を取り込む必要がある。
【0059】
照明手段17は、ホルダユニット22により吸着保持されたマスターディスク46、46のうち、検査する方のマスターディスク46を斜方より照明するものである。この照明手段17としては、ハロゲン光光源が好ましく採用できる。特に、マスターディスク46、46の表面の汚染が微小な付着物である場合、これを検出できるべく、波長が600nm以下の緑、青成分が大きいメタルハライド光源が好ましく採用できる。
【0060】
照明手段17より照射される照明光の輝度も重要であり、少なくとも10万Lxのものが好ましい。照明光の輝度が10万Lx以上あると、サブミクロンクラスの付着物も検出が可能である。
【0061】
なお、照明手段17が1個設けられているが、照明手段17を2個設け、同一光軸上の反対側からも照明すると、マスターディスク46の被検査部位における輝度が向上するとともに、片側からの照明では反射しにくい付着物も光らせることができ、更に検出感度を上げられる。
【0062】
これ以外の構成として、反対側の照明手段の代わりに反射鏡を置く構成も採用できる。この場合、凹面鏡等の反射鏡で集光すれば、マスターディスク46の被検査部位を効率よく照明することができる。
【0063】
なお、照明手段17からの照明が結像用のミラー18に当たると、フレアなどのノイズ成分となるため、照明光はレンズ等で充分に絞り込む必要がある。
【0064】
また、照明手段17として、ハロゲン光光源に代えて高輝度レーザも使用できる。この場合、アルゴンレーザやYAG2倍波レーザ等の波長が短い方が検出感度の点で好ましい。
【0065】
また、偏光は被検査部位の面に平行であるS偏光を使用した方が、よりパターンの反射が減少する点で好ましい。偏光は通常の照明手段でもパターン反射を減少させる効果があるが、照明手段の明るさを充分に上げないと、輝度が減少し検出感度が下がる場合がある。同様に偏光板を乱反射時に発生するP偏光のみを通過するように、CCDカメラ16の受光レンズに付けてもよい。その場合も、光源の輝度をできるだけ上げておくことが好ましい。
【0066】
照明手段17は、図示しない支持手段により支持されており、制御手段30Aの指示によりX軸回り及びY軸回りに若干量回転可能となっており、マスターディスク46、46の双方の被検査部位に対応できるようになっている。そして、照明手段17の光軸がマスターディスク46の表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなして支持されるようになっている。
【0067】
ミラー18は、図示しない支持手段により、ホルダユニット22内部の2枚のマスターディスク46、46の間に配されている。このミラー18は、マスターディスク46の表面に対して傾斜して配されており、マスターディスク46の被検査部位の映像が、ミラー18を介してCCDカメラ16で撮像できる位置に配されている。
【0068】
このミラー18は、両表面が鏡面に形成されており、制御手段30Aの指示によりZ軸回りに若干量回転可能となっており、マスターディスク46、46の双方の被検査部位に対応できるようになっている。
【0069】
更に、ミラー18は、検査終了時に、ホルダユニット22内部の2枚のマスターディスク46、46の間より、外部に退避可能となっている。
【0070】
ミラー18のサイズは、CCDカメラ16のレンズ鏡筒16Bに使用されるレンズに見合った十分な大きさ(レンズ口径と同等)であることが好ましい。また、ミラー18は高精度な表面反射鏡であることが好ましい。
【0071】
ミラー18の表面精度は1/4波長以下が好ましく、1/10波長以下がより好ましい。なお、ホルダユニット22の開き間隔が充分であるか、片側ずつシフトできるなどの構造であれば、ミラー18を使わない方式がより望ましい。
【0072】
検査手段の以上の構成により、マスターディスク46のサーボ信号等の磁化パターンに対応して作製される凹凸パターンを含め、マスターディスク46の表面が検査可能となっている。そして、CCDカメラ16により撮像されたマスターディスク46の被検査部位の情報(欠点(汚染)およびその位置情報)が、既述の制御手段30Aに記憶されるようになっている。
【0073】
なお、検査手段として、上記の構成のもの以外に、たとえば、マスターディスク46の表面にレーザ光をスキャンして、この反射光をフォトマルやフォトダイオード等で捕らえ、反射光の変化で付着塵埃を検査する方法や、マスターディスク46の表面にハロゲン光等の光を照射して、CMOSラインイメージセンサ、エリアイメージセンサ等で反射光を捕らえて検査する方法等、公知の各種検査方法が採用できる。
【0074】
なお、この場合であっても、光照射手段の光軸がマスターディスク46の表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなして支持されるようになっていることが必要である。
【0075】
次に、クリーニング手段について説明する。図8は、クリーニング手段とホルダユニット22との位置関係を示す斜視図である。クリーニング手段は、エアノズル19と吸引ノズル20よりなる。
【0076】
エアノズル19は、先端部が小径の円筒状部材であり、図示しないエア供給源よりの高圧ジェット流を、マスターディスク46の被清浄化部位へ吹き付けできるようになっている。すなわち、エアノズル19は、図示しない支持手段により、ホルダユニット22内部の2枚のマスターディスク46、46の間に移動できるようになっており、また、制御手段30Aの指示によりX軸回り及びZ軸回りに若干量回転可能となっており、マスターディスク46、46の双方の被清浄化部位に対応できるようになっている。
【0077】
エアノズル19には、図示しないフィルタ及び超音波笛が内蔵されており、振動が付与されたクリーンエアが噴出できるようになっている。
【0078】
吸引ノズル20は、断面が矩形の薄い筒状部材であり、図示しない吸引手段に接続されている。この吸引ノズル20は、図示しない支持手段により、ホルダユニット22内部の2枚のマスターディスク46、46の間であって、エアノズル19に対向する位置に移動できるようになっており、エアノズル19により吹き付けられた高圧ジェット流のエア、及びマスターディスク46上の異物を吸引できるようになっている。
【0079】
クリーニング手段の以上の構成により、制御手段30Aに記憶された被検査部位の情報(欠点(汚染)およびその位置情報)にしたがって、マスターディスク46上の欠点(汚染)が選択的(局所的)に除去可能となっている。
【0080】
なお、クリーニング手段として、上記の構成のもの以外に、たとえば、ドライアイスの微粒子の吹き付け手段、エキシマレーザの部分的照射手段、弱粘着性を有するクリーニングローラ又はクリーニングシートを押し付ける構成のもの、クリーニングクロスによってワイピングする構成のもの、回転するマスターディスク46の表面にグライドヘッドを近接させるバーニッシング手段等、公知の各種クリーニング方法が採用できる。
【0081】
次に、上記のように構成された磁気転写装置の運転方法について説明する。図9は、磁気転写装置の運転方法について説明するフローチャートである。
【0082】
運転開始により、ディスク供給ユニット26のチャック機構42(チャック42a、42b)がディスク供給カセット38内のスレーブディスク40を把持して、順次1枚づつ取り出す(ステップS−10)。
【0083】
取り出されたスレーブディスク40は、ロータリシリンダ44の回動によりYZ平面内で反転された後、X軸ロボット27によって、ディスク供給工程位置82に配置された開かれたホルダユニット22により形成されたマスターディスク46、46間の空隙の、ホルダユニット22の開閉方向に直交する方向上まで移動され、Y軸ロボット28によって、マスターディスク46、46の間にある間隙に挿入される(ステップS−12)。
【0084】
このとき、ホルダユニット22の固定側ホルダ23と移動側ホルダ24の各内側には、それぞれマスターディスク46、46が予め外段取り等によって、ホルダユニット22の中心とマスターディスク46の中心とが一致する位置に精度良く吸着または接着にて固定されている。
【0085】
ホルダユニット22の固定側ホルダ23と移動側ホルダ24との間に供給されたスレーブディスク40は、ディスク供給ユニット26のX−Y−Z軸のロボットによってその中心が固定側ホルダ23の内側に固定されているマスターディスク46の中心とほぼ一致し、かつマスターディスク46との隙間が0.5mm程度となる認識位置に移動される。
【0086】
次いで、固定側ホルダ23の下面に予め取り付けられた基準マーク21Aと、ディスク供給ユニット26のチャック機構42(チャック42a、42b)に予め取り付けられた認識マーク21B、21Bが認識ユニット30によって認識される。
【0087】
この認識により、基準マーク21Aから算出されるマスターディスク46の中心と、チャック機構42の認識マーク21B、21Bから算出されるスレーブディスク40の中心とが一致するように、ディスク供給ユニット26のY−Z軸ロボット28、29により、スレーブディスク40が位置決めされる。
【0088】
次いで、スレーブディスク40は、ディスク供給ユニット26のX軸ロボット27によって、固定側ホルダ23の内側に固定されているマスターディスク46に密着する位置まで移動され、固定側ホルダ23の内側に吸着固定される。
【0089】
次いで、移動側ホルダ24をロボット70によって固定側ホルダ23に向かって移動させ、スレーブディスク40の両面を2枚のマスターディスク46、46で挟む。このようにして、スレーブディスク40の両面を2枚のマスターディスク46、46に対して密着させた状態で挟持する(ステップS−14)。
【0090】
次いで、インデックステーブル50を90度回転させ(ステップS−16)、ホルダユニット22を次工程の磁気転写工程位置84に位置決めする。そして、コイルユニット32、32をホルダユニット22の両側に移動させ(ステップS−18)、ホルダユニット22を回転させながら両側から磁界を加える(ステップS−20)。これにより、スレーブディスク40の両面にマスターディスク46、46の磁気情報パターンが磁気転写される。
【0091】
磁気転写後、コイルユニット32、32を初期の位置に退避させ(ステップS−22)、インデックステーブル50を90度回転させて、ホルダユニット22を次工程のディスク排出工程位置86に位置決めする(ステップS−24)。
【0092】
次いで、移動側ホルダ24を移動させて固定側ホルダ23から離間させる(ステップS−26)。このとき、磁気転写されたスレーブディスク40は、供給時と同様に固定側ホルダ23の内側に吸着されている。
【0093】
次いで、検査手段のミラー18をホルダユニット22内部の2枚のマスターディスク46、46の間に移動させるとともに、CCDカメラ16と、照明手段17とを適正位置に調整し、マスターディスク46の付着物検査を行い、被検査部位の情報(欠点(汚染)およびその位置情報)を、制御手段30Aに記憶させる(ステップS−28)。
【0094】
付着物検査の結果、制御手段30Aが良好(OK)と判断した場合には、定常フローの次ステップ(ステップS−30)に移り、制御手段30Aが不良(NG)と判断した場合には、クリーニング手段によるクリーニング工程(マスタークリーニング)に移る(ステップS−40)。
【0095】
クリーニング工程(ステップS−40)において、検査手段のミラー18をホルダユニット22内部の2枚のマスターディスク46、46の間より退避させるとともに、エアノズル19と吸引ノズル20をホルダユニット22内部の2枚のマスターディスク46、46の間の所定位置に移動させる。
【0096】
そして、エアノズル19より、振動が付与されたクリーンエアが噴出され、マスターディスク46上の異物を除去するとともに、吸引ノズル20により、吹き付けられた高圧ジェット流のエア、及びマスターディスク46上の異物を吸引する。これにより、マスターディスク46上の欠点(汚染)が選択的(局所的)に除去される。
【0097】
次いで、検査手段のミラー18をホルダユニット22内部の2枚のマスターディスク46、46の間に移動させるとともに、CCDカメラ16と、照明手段17とを適正位置に調整し、マスターディスク46の付着物の再検査を行う(ステップS−44)。
【0098】
付着物再検査の結果、制御手段30Aが良好(OK)と判断した場合には、定常フローの次ステップ(ステップS−30)に移り、制御手段30Aが不良(NG)と判断した場合(たとえば、連続して同じ部位のエラーが検出された場)には、自動運転を停止し、汚染されたマスターディスク46を新品のマスターディスク46に交換するとともに、汚染されたマスターディスク46のオフラインのクリーニングを行う(ステップS−46)。
【0099】
汚染されたマスターディスク46のオフラインのクリーニングを行う場合、欠陥(付着物)の情報は検査装置から位置情報としてLAN等を介してオフラインクリーナーに出力すればよい。また、マスターディスク46に位置決め用の孔やマークをあらかじめ施しておき、それを基にオンラインの場合の位置とオフラインの場合の位置を合わせることもできる。
【0100】
マスターディスク46のオフラインのクリーニングとしては、超音波洗浄ヘッドによるメガソニック振動を与えた液体洗浄、超音波加振ヘッドによる洗浄槽の液中又は気中での超音波振動洗浄、電解脱脂洗浄、超音波振動を与えた気体の吹き付け、トラック幅より大きい幅を持つグライドヘッドによるグライドクリーニング、グライドクリーニング後の超音波洗浄、エキシマレーザ照射による焼却洗浄、プラズマクリーニングなどが使用できる。
【0101】
なお、グライドヘッドの浮上量は40nm以下にして、グライドクリーニングするのが好ましい。また、上記のようなマスターディスク46の全体クリーニングは、新たなマスターディスク46を磁気転写装置10にセットする前に施すようにしてもよい。
【0102】
定常フローにおいて、次ステップ(ステップS−30)では、ディスク排出ユニット34のチャック52が、固定側ホルダ23と移動側ホルダ24との間に入り込み、スレーブディスク40の内径を把持する。そして、固定側ホルダ23のスレーブディスク40の吸着を解除し、ディスク排出ユニット34のチャック52をディスク排出ユニット34のX軸ロボット35で動かすことにより、スレーブディスク40を固定側ホルダ23のマスターディスク46から剥離する。
【0103】
次いで、スレーブディスク40がディスク排出ユニット34のチャック52により把持された状態で、Y軸ロボット36により、開かれたホルダユニット22の空隙からY軸方向に退避させる。そして、ロータリシリンダ54により、YZ平面内で、かつ装置外方を通る円弧の経路で180度回動され、チャック52を含めて上下方向の向きが反転される。
【0104】
次いで、スレーブディスク40及びチャック52がディスク排出ユニット34のX−Y−Zロボット35、36、37によってディスク排出カセット56上に移動し、スレーブディスク40をディスク排出カセット56内に順次1枚づつ収納する。
【0105】
上記の一連の動作は、順次インデックステーブル50を間欠回転させながら、ホルダユニット22を各工程位置に位置決めすることにより、各工程を並行して処理することができる。
【0106】
以上、本発明に係る磁気転写方法、装置及びマスターディスクの検査方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0107】
たとえば、上記実施形態において、新しいマスターディスク46のセット後は、保管時やセット時に、付着力がまだ弱い塵埃が付着することがあるので、転写を行う前に高圧エア等の比較的弱い全面クリーニングを行うとより良い。
【0108】
そして、その後、ステップS−28において初回検査を行い、欠点でないパターン反射や、パターン外での微小凹み等、品質に影響のない初期欠点を登録する。このデータを元に転写後の検査の初期からの増加のみを対象とし、過剰検出を抑える。これにより、パターンについても浮動2値化のベースとしても利用でき、更に過剰検査を抑えることができる。
【0109】
また、上記実施形態において、マスターディスク46の付着物検査とスレーブディスク40の排出とを同一の工程位置(図1における、ディスク排出工程位置86)で行っているが、これを別々の工程位置で行ってもよい。
【0110】
更に、上記実施形態において、磁気ディスクの転写について説明されているが、本発明は、磁気ディスクのみならず、光ディスク(光磁気ディスクも含む)等の各種媒体の転写にも好適に適用できる。
【0111】
また、磁気転写装置10の構成も、上記実施形態のロータリーインデックス方式に限定されるものではなく、インラインインデックス方式等各種の態様のものが採用できる。
【実施例】
【0112】
磁気転写装置10を使用して、マスターディスク46の付着物検査を行った。この際、本発明の実施例として、図5〜図7に示される検査手段(CCDカメラ16、照明手段17及びミラー18)を使用した。照明手段17として250Wのメタルハライド光源とファイバー及び集光レンズと赤外カットフィルターを使用した。
【0113】
照明手段17の光軸がマスターディスク46の表面の被検査部分における径方向に対し3度の角度をなすように調整した。より詳細には、ディスクの表面(平面)に対する傾斜角度が3度であり、ディスクの表面(平面)における半径に対する傾斜角度が0度であるように調整した。
【0114】
比較例として、同様に図5〜図7に示される検査手段(CCDカメラ16及びミラー18)を使用した。ただし、照明手段17に代えて、150Wのハロゲンランプとファイバー及び集光レンズと赤外カットフィルターを使用した。そして、この光源の光軸がマスターディスク46の表面の被検査部分における径方向に対し45度の角度をなすように調整した。
【0115】
図10は、CCDカメラ16により撮像した画像の例である。このうち、(A)は、比較例の結果であり、(B)は、実施例の結果である。
【0116】
図10(A)において、突起状磁性層パターンがライン状に高い反射を示すために、飽和してパターンの周辺までCCDの電荷が漏れていることが読み取れる。
【0117】
一方、図10(B)において、付着物の輝度が変わらずに、突起状磁性層パターンの輝度は十分に低下していることが読み取れる。
【0118】
図11は、図10の画像を2値化した後の画像である。図11の(A)及び(B)は、それぞれ図10の(A)及び(B)に対応する。
【0119】
図11(A)の比較例において、2値化した後でも、パターンの周辺までCCDの電荷が漏れている。したがって、比較例においては、パターン部分はマスクせざるを得ず多くの付着物を見逃す恐れがあることとなる。
【0120】
一方、図11(B)の実施例において、2値化した後において、付着物のみが検出されていることが読み取れる。
【0121】
なお、図12は、上記付着物検査に使用したマスターディスク46を示す図であり、(A)は、測定部位を示し、(B)は、(A)の円内の拡大図である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る磁気転写装置の一部を破断して示す斜視図
【図2】ディスク用カセットにスレーブディスクを出し入れする状態を示す斜視図
【図3】ホルダユニットの構成を示す断面図
【図4】マスターディスクとスレーブディスクとの位置合せ状態を示す斜視図
【図5】検査手段とホルダユニットとの位置関係を示す斜視図
【図6】同じく正面図
【図7】同じく平面図
【図8】クリーニング手段とホルダユニットとの位置関係を示す斜視図
【図9】磁気転写装置の運転方法について説明するフローチャート
【図10】CCDカメラにより撮像した画像の例
【図11】図10の画像を2値化した後の画像
【図12】付着物検査に使用したマスターディスクを示す図
【符号の説明】
【0123】
10…磁気転写装置、12…装置本体、14…クリーンユニット、16…CCDカメラ、17…照明手段、18…ミラー、19…エアノズル、20…吸引ノズル、22…ホルダユニット(保持手段)、23…固定側ホルダ、24…移動側ホルダ、26…ディスク供給ユニット、32…コイルユニット、34…ディスク排出ユニット、38…ディスク供給カセット、40…スレーブディスク(被転写用ディスク)、46…マスターディスク、56…ディスク排出カセット、70…ロボット(駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面に形成された多数の突起状パターンを有するマスターディスクをホルダ部により保持するディスク保持手段と、
前記マスターディスクのパターンを被転写用ディスクに転写させる転写手段と、
光照射手段より照射光の光軸が前記マスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなすようにして前記照射光を照射し、照射された光の反射光を撮像素子により撮像して前記マスターディスクの表面の汚染状態を検査する検査手段と、
を具備したことを特徴とする転写装置。
【請求項2】
その表面に形成された多数の突起状磁性層パターンを有するマスターディスクをホルダ部により保持するディスク保持手段と、
前記ホルダ部に磁界を加えて前記マスターディスクの磁気パターンを被転写用ディスクに転写させる磁界印加手段と、
光照射手段より照射光の光軸が前記マスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなすようにして前記照射光を照射し、照射された光の反射光を撮像素子により撮像して前記マスターディスクの表面の汚染状態を検査する検査手段と、
を具備したことを特徴とする転写装置。
【請求項3】
前記検査手段により検査された前記マスターディスクの表面の汚染箇所を選択的にクリーニングするクリーニング手段を具備した請求項1又は2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記ホルダ部によって保持された前記マスターディスクに対向するように被転写用ディスクを供給する供給手段と、
前記保持手段を作動させ、前記被転写用ディスクに前記マスターディスクを圧接させる駆動手段とを具備した請求項1、2又は3に記載の転写装置。
【請求項5】
ホルダ部に保持され、その表面に形成された多数の突起状磁性層パターンを有するマスターディスクに対向するように被転写用ディスクを供給する供給工程と、
供給された前記被転写用ディスクに前記マスターディスクを圧接させて挟持する圧接工程と、
前記ホルダ部に磁界を加えて前記マスターディスク上の磁気パターンを前記被転写用ディスクに転写させる転写工程と、
光照射手段より照射光の光軸が前記マスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなすようにして前記照射光を照射し、照射された光の反射光を撮像素子により撮像して前記マスターディスクの表面の汚染状態を検査する検査工程と、
を具備したことを特徴とする転写方法。
【請求項6】
その表面に形成された多数の突起状磁性層パターンを有するマスターディスクに対向するように被転写用ディスクを供給し、前記マスターディスクのパターンを前記被転写用ディスクに転写させるために使用されるマスターディスク表面の汚染状態を検査するマスターディスクの検査方法であって、
光照射手段より照射光の光軸が前記マスターディスクの表面の被検査部分における径方向に対し0〜30度の角度をなすようにして前記照射光を照射し、照射された光の反射光を撮像素子により撮像して前記マスターディスクの表面の汚染状態を検査することを特徴とするマスターディスクの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−127684(P2006−127684A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316852(P2004−316852)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】