説明

転写装置および画像形成装置

【課題】転写ローラーの凹部内に液体現像剤が堆積するのを効果的に抑制しつつ、画像形成装置を小型コンパクトにかつ安価に製造する。
【解決手段】転写装置は、凹部9eを有するとともに液体現像剤の像を転写材に転写する転写ローラー9と、転写後の転写ローラー9に残留する残留トナーを除去する転写ローラークリーニングローラー14cを有する転写ローラークリーニング部14と、凹部9eが転写ローラークリーニングローラー9cに対向するとき、転写ローラークリーニングローラー9cを凹部9e内に進入させるとともに転写ローラークリーニングローラー9cの凹部9e内への進入量を最大進入量t1に規制する転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14gおよびクリーニング部本体回動規制部材14iとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹部を有するとともにトナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて現像された像が転写される転写ローラーを備える転写装置および画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、凹部を有する感光体に形成された潜像を液体トナーにより現像してトナー像を形成し、凹部を有する転写ローラーを感光体に当接させるとともに回転させることでトナー像を転写ローラーに転写し、転写ローラーに転写されたトナー像を転写紙等の転写材に転写する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、感光体に形成されたトナー像が転写ローラーに転写された後、感光体が感光体クリーニングローラーでクリーニングされて、感光体に残留する残留液体トナーが除去される。また、転写ローラーに転写されたトナー像が転写材に転写された後、転写ローラーが転写ローラークリーニングローラーでクリーニングされて、転写ローラーに残留する残留液体トナーが除去される。
【0004】
しかし、感光体が感光体クリーニングローラーでクリーニングされても残留液体トナーが完全に除去されることはなく、残留液体トナーは感光体に設けられた感光体の凹部内に堆積される。そして、画像形成装置が長時間使用されると、感光体の凹部内に堆積された液体トナーは凹部外に滲みだして、感光体の周辺の部材を汚してしまう。そこで、特許文献1に記載の画像形成装置では、ウエブクリーニング装置で感光体の凹部内をクリーニングしたり、吸引ポンプで感光体の凹部内に堆積した液体トナーを吸引したりして、感光体の凹部内の液体トナーを除去している。なお、特許文献1には転写ローラーの凹部内に堆積される液体トナーについては言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−317980号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の画像形成装置では、転写ローラーの凹部以外の外周面が感光体に当接される。このため、感光体のトナー像が転写ローラーに転写された後、感光体に残留する残留液体トナーが転写ローラーに転写される。その場合、凹部に転写ローラーの回転方向側に隣接する転写ローラーの外周面に転写された液体トナーは凹部に移動して転写ローラーの凹部内に堆積する。そして、画像形成装置が長時間使用されると、転写ローラーの凹部内に堆積した液体トナーは凹部外に滲みだして、転写ローラーの周辺の部材を汚してしまう。そこで、特許文献1に記載の感光体の凹部のクリーニングに用いられるウエブクリーニング装置や吸引ポンプを転写ローラーの凹部のクリーニングに適用することが考えられる。
【0007】
しかしながら、ウエブクリーニング装置や吸引ポンプは比較的大型であるとともに構造が複雑である。このため、大きなスペースが必要となるばかりでなく、コストが高いという問題がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、転写ローラーの
凹部内に堆積する液体現像剤を効果的に除去しつつ、小型コンパクトにかつ安価に製造することのできる転写装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するために、本発明に係る転写装置および画像形成装置によれば、液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ローラーの凹部がクリーニング部材に対向しない位置にあるときは、クリーニング部材は像担持体ローラーの凹部を除く周面に当接される。したがって、像が転写材に転写された後の像担持体ローラーの凹部を除く周面をクリーニング部材によりクリーニングすることが可能となる。これにより、転写後の像担持体ローラーに付着する残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)を除去することができる。また、像担持体ローラーの凹部がクリーニング部材に対向する位置にあるときは、クリーニング部材位置規制部により、像担持体ローラークリーニング部材が像担持体ローラーの凹部内に進入されるとともに、像担持体ローラークリーニング部材の凹部内への進入量が予め定められた最大進入量に規制される。つまり、クリーニング部材位置規制部により、像担持体ローラークリーニング部材の凹部内への進入位置が規制される。したがって、この像担持体ローラークリーニング部材により、像担持体ローラーの凹部を除く周面から凹部内へ進入した直後の凹部の傾斜面の領域に堆積しがちな残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)を効果的に除去することが可能となる。これにより、凹部内に残留液体現像剤が溜まることを防止することができるとともに、残留液体現像剤が凹部から滲み出してくることも防止できる。更に、このように残留液体現像剤が凹部内に堆積することがほとんどないので、画像形成装置が長期間使用されても、凹部内に残留液体現像剤が堆積することにより、像担持体ローラー以外の他のローラの汚染や転写材の汚染等の像担持体ローラーの周辺の部材の汚染をより効果的に防止することが可能となる。その結果、凹部内に堆積する残留液体現像剤による画像欠陥を防止でき、高画質の画像を得ることができる。
【0010】
このようにして、本発明の転写装置および画像形成装置では、残留液体現像剤が凹部内に堆積することがほとんどないので、前述の特許文献1に記載されているようなウエブクリーニング機構や吸引ポンプを不要にすることができ、画像形成装置を簡単な構造とすることができる。そして、画像形成装置が簡単な構造になることから、高い信頼性を得ることができるとともに省スペース化を図ることができる安価な画像形成装置を実現することができる。
【0011】
更に、像担持体ローラーの凹部がキャリアー液を塗布する塗布部材に対向しない位置にあるときは、塗布部材は像担持体ローラーの凹部を除く周面に当接される。したがって、転写後の像担持体ローラーの凹部を除く周面に、残留トナーを除去しやすくするためのキャリアー液を塗布部材により塗布することが可能となる。これにより、転写後の像担持体ローラーに付着する残留トナーを一層効果的に除去することができる。また、像担持体ローラーの凹部が塗布部材に対向する位置にあるときは、塗布部材位置規制部により、塗布部材が像担持体ローラーの凹部内に進入されるとともに、液塗布部材の凹部内への進入量が予め定められた第2の最大進入量に規制される。その場合、塗布部材の第2の最大進入量がクリーニング部材の最大進入量より小さいので、キャリアー液を像担持体ローラーのほぼ前述の領域内に堆積させることが可能となる。したがって、塗布部材によって凹部内の像担持体ローラーに塗布されたキャリアー液をクリーニング部材により効果的に除去することができる。これにより、一層高画質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかる転写装置の実施の形態の一例を備える画像形成装置の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す例の転写ローラークリーニングローラーを支持する支持フレームの転写ローラーに対する位置決めを説明する断面図である。
【図3】図1に示す例の転写ローラークリーニングローラーを支持する支持フレームの転写ローラーに対する位置決めを説明する斜視図である。
【図4】図1に示す例の転写ローラークリーニングローラーを支持する支持フレームの転写ローラーに対する位置決めを説明する部分正面図である。
【図5】図1に示す例の転写ローラークリーニング部およびキャリアー液塗布部を示す斜視図である。
【図6】図1に示す例の転写ローラークリーニング部およびキャリアー液塗布部を示す断面図である。
【図7】図1に示す例の転写ローラークリーニングローラーおよびキャリアー液塗布ローラーの凹部内への進入を説明する断面図である。
【図8】(a)は図1に示す例の凹部内に進入した転写ローラークリーニングローラーによる凹部内に堆積した液体現像剤を除去する前の状態を示す図、(b)は転写ローラークリーニングローラーによる凹部内に堆積した液体現像剤を除去した状態を示す図である。
【図9】本発明の転写装置の実施の形態の他の例を部分的に示す部分図である。
【図10】(a)は図9に示す例の凹部が転写ローラークリーニングローラーに対向しない位置にある状態を示す図、(b)は図9に示す例の凹部が転写ローラークリーニングローラーに対向する位置にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明にかかる転写装置の実施の形態の一例を備える画像形成装置の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。以下の説明において、各回転方向および各移動方向は、各図に矢印で示された方向である。
【0014】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、静電潜像を担持する潜像担持体である感光体2を備えている。この感光体2は図示しない駆動源により駆動されて反時計回りに回転する。
【0015】
感光体2の周囲には帯電部3が配設されている。更に、帯電部3から、感光体2の回転方向に向かって、順に、露光部4、現像部5、感光体スクイーズ部6、一次転写部7、および感光体クリーニング部8が配設されている。なお、図1に図示されないが、一次転写部7と感光体クリーニング部8との間には、感光体2を除電する除電部が配設される。
【0016】
帯電部3はスコロトロンまたはコロトロン等の帯電部材で、感光体2の表面を一様に帯電する。また、露光部4はレーザー光等の潜像形成部材で、感光体2の一様帯電された表面に、静電潜像を形成する。
【0017】
現像部5は、液体現像剤貯留部5a、アニロックスローラー5b、現像剤量規制部材5c、中間ローラー5d、現像ローラー5e、中間ローラークリーニング部5f、現像ローラークリーニング部5g、および液体現像剤回収部5hを有する。液体現像剤貯留部5aは撹拌ローラー5iで撹拌されたトナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を貯留する。アニロックスローラー5bは反時計回りに回転されて液体現像剤貯留部5aに貯留されている液体現像剤を汲み上げる。現像剤量規制部材5cはアニロックスローラー5bで汲み上げられた液体現像剤の量を規制する。中間ローラー5dは反時計回りに回転される。そして、中間ローラー5dには、現像剤量規制部材5cで量規制されるとともにアニロックスローラー5cにより搬送される液体現像剤が供給される。現像ローラー5eは時計回りに回転されて中間ローラー5dから液体現像剤が供給される。そして、現像ローラー5eと感光体2とで形成される現像ニップにおいて、現像ローラー5eは供給された液体現像
剤で感光体2に形成された静電潜像を現像して感光体2にトナー像を形成する。
【0018】
中間ローラークリーニング部5fは中間ローラー5dをクリーニングする。すなわち、中間ローラークリーニング部5fは、現像ローラー5eに液体現像剤を供給した後の中間ローラー5dに残留する液体現像剤を中間ローラークリーニングブレード5jで除去する。現像ローラークリーニング部5gは現像ローラー5eをクリーニングする。すなわち、現像ローラークリーニング部5gは、感光体2の静電潜像を現像した後の現像ローラー5eに残留する液体現像剤を現像ローラークリーニングローラー5kで除去する。そして、現像ローラークリーニングローラー5kに付着した液体現像剤は現像ローラークリーニングブレード5mで除去される。液体現像剤回収部5hは中間ローラークリーニング部5fで除去された液体現像剤および現像ローラークリーニング部5gで除去された液体現像剤を回収して貯留する。
【0019】
更に、感光体スクイーズ部6は、第1の感光体スクイーズ部6a、第2の感光体スクイーズ部6b、第1の感光体スクイーズローラー6c、第2の感光体スクイーズローラー6d、第1の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6e、第1の感光体スクイーズ貯留部6f、第2の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6g、第2の感光体スクイーズ貯留部6hを有する。
【0020】
第1の感光体スクイーズローラー6cは現像ニップから感光体2の回転方向側に所定距離離れた位置に感光体2に当接されて配設される。そして、第1の感光体スクイーズローラー6cは感光体2をスクイーズして現像部5から現像された液体現像剤のキャリアー液および非画像部のトナー等を除去する。第1の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6eは第1の感光体スクイーズローラー6cをクリーニングして、第1の感光体スクイーズローラー6cに付着する液体現像剤を除去する。第1の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6eで除去された液体現像剤は第1の感光体スクイーズ貯留部6fに貯留される。第1の感光体スクイーズ貯留部6fに貯留された液体現像剤は現像部5の液体現像剤回収部5hに回収される。
【0021】
第2の感光体スクイーズローラー6dは第1の感光体スクイーズローラー6cから感光体2の回転方向側に所定距離離れた位置に感光体2に当接されて配設される。そして、第2の感光体スクイーズローラー6dは第1の感光体スクイーズローラー6cでスクイーズされた感光体2をスクイーズして液体現像剤(主に、キャリアー液)を除去する。第2の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6gは第2の感光体スクイーズローラー6dをクリーニングして、第2の感光体スクイーズローラー6dに付着する液体現像剤を除去する。第2の感光体スクイーズローラークリーニングブレード6gで除去された液体現像剤は第2の感光体スクイーズ貯留部6hに貯留される。第2の感光体スクイーズ貯留部6hに貯留された液体現像剤は現像部5の液体現像剤回収部5hに回収される。
【0022】
一次転写部7には、液体現像剤で現像された像を担持するとともに時計回りに回転する像担持体ローラーである転写ローラー9が配設される。図2ないし図4に示すように、転写ローラー9は、円柱状の基材9aおよび一定厚みまたは略一定厚みの弾性部材であるブランケットシート9bを有する。基材9aはその軸方向両端部に設けられるとともに連続した横断面円形の外周面で形成された一対のカムフォロアー当接部9c,9d、および軸
方向で一対のカムフォロアー当接部9c,9dの間の基材9a周面に設けられた凹部9e
を有する。ブランケットシート9bは、その両端部がそれぞれ凹部9e内に軸方向に延設された一対の巻取軸9f、9gに巻き取られて固定される。したがって、この凹部9eにより転写ローラー9の外周面に不連続部が形成される。そして、ブランケットシート9bは所定の張力が付与されて凹部9eおよびカムフォロアー当接部9c,9dを除く基材9
aの外周面の一部に密着して巻き付けられて貼着される。その場合、基材9aの外周面に
貼着されたブランケットシート9bの外径とカムフォロアー当接部9c,9dの各外径と
が同じまたは略同じにされている。
【0023】
更に、転写ローラー9の凹部9eにはシート状のカバー部材9hが設けられる。このカバー部材9hは凹部9eの開口端の内側近傍においてブランケットシート9bの両端部間の間隙を覆うように配設される。
【0024】
一次転写部7では、感光体2と転写ローラー9がそれぞれ予め定められた所定の食い込み量となるように定位置に位置決めされて画像形成装置1の装置本体(不図示)に回転可能に軸支されている。その場合、図1に示すように感光体2と転写ローラー9との食い込みにより、一次転写ニップ7aが形成される。そして、一次転写ニップ7aにより、感光体2に転写されたトナー像が転写ローラー9に転写される。
【0025】
一次転写部7より転写ローラー9の回転方向に向かって所定の位置に二次転写部10が配設される。二次転写部10は転写ローラー9と二次転写ローラー11を有する。そして、転写ローラー9と二次転写ローラー11は、それぞれ予め定められた所定の食い込み量となるように定位置に位置決めされて画像形成装置1の装置本体に回転可能に軸支されている。その場合、転写ローラー9と二次転写ローラー11との食い込みにより、二次転写ニップ10aが形成される。そして、二次転写ニップ10aにより、転写ローラー9に転写されたトナー像が転写紙等の転写材12に転写される。図示しないが、二次転写部10で転写材12に転写されたトナー像は、液体現像剤を用いた従来の画像形成装置と同様に定着部で定着される。これにより、画像が転写材12に形成される。
【0026】
感光体クリーニング部8は感光体2をクリーニングする。すなわち、感光体クリーニング部8は、一次転写後に感光体2に残留する液体現像剤を感光体クリーニングブレード8aで除去する。そして、除去された液体現像剤は液体現像剤回収部8bに貯留される。
【0027】
図1ないし図4に示すように二次転写部10より転写ローラー9の回転方向側には、一対の第1および第2の支持フレーム13a,13bが画像形成装置1の装置本体(不図示
)に設けられる。その場合、第1および第2の支持フレーム13a,13bは連結軸13
cで互いに一体的に連結されている。また、第1および第2の支持フレーム13a,13
bは装置本体に回動軸13dにより一体回動するように設けられる。第1および第2の支持フレーム13a,13bには、それぞれ第1ないし第4のカムフォロアー13e,13f;13g,13hが、それぞれ対応する第1および第2の支持フレーム13a,13bの対
向面(内面側)に位置して回転するように設けられる。その場合、第1および第2のカムフォロアー13e,13fは転写ローラー9の一方のカムフォロアー当接部9cの外周面
に当接するとともに、第3および第4のカムフォロアー13g,13hは転写ローラー9
の他方のカムフォロアー当接部9dの外周面に当接する。
【0028】
各第1および第2の支持フレーム13a,13bと装置本体との間には、それぞれ第1
および第2の付勢スプリング13i,13jが縮設される。そして、各第1および第2の
支持フレーム13a,13bは、それぞれ第1および第2の付勢スプリング13i,13jの付勢力で回動軸13dを中心に反時計回りに回動するように付勢される。これにより、第1ないし第4のカムフォロアー13e,13f;13g,13hが、それぞれ対応する転
写ローラー9のカムフォロアー当接部9c,9dの外周面に当接する。したがって、第1
および第2の支持フレーム13a,13bが凹部9eの位置に関係なく転写ローラー9に
対して位置決めされる。
【0029】
図1、図5ないし図7に示すように、第1および第2の支持フレーム13a,13bの
間には転写ローラークリーニング部14が配設される。この転写ローラークリーニング部
14は、クリーニング部材支持フレームである第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14b、本発明の転写ローラークリーニング部材である転写ローラークリー
ニングローラー14c、転写ローラークリーニングブレード14d、転写ローラー9の液体現像剤回収部14e、本発明の軸部材である回動軸14f、第1および第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14g,14h、第1および第2のクリーニング
部本体回動規制部材14i,14j、および第1および第2のクリーニング部本体付勢ス
プリング14k,14m(符号14mは図示しないが、第2の支持フレーム13b側に配
設される第2のクリーニング部本体付勢スプリングを示し、第1の支持フレーム13b側に配設される第1のクリーニング部本体付勢スプリング14kと同じである。説明の便宜上、明細書では符号14mを用いる。)を有する。
【0030】
第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bは第1および第2の支持
フレーム13a,13bに回動軸14fにより回動するように設けられる。転写ローラー
クリーニングローラー14cは第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,1
4bに回転するように設けられる。転写ローラークリーニングブレード14dは転写ローラークリーニングローラー14cに当接されて第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bに設けられる。液体現像剤回収部14eは、第1および第2のクリー
ニング部本体フレーム14a,14bに設けられる。
【0031】
第1および第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14g,14hは、
それぞれ対応する第1および第2の支持フレーム13a,13bに固定される。また、第
1および第2のクリーニング部本体回動規制部材14i,14jは、それぞれ第1および
第2のクリーニング部本体回動規制軸部14n,14oを有する。第1のクリーニング部
本体回動規制軸部14nは、対応する第1の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14gを摺動可能に貫通するとともに第1のクリーニング部本体フレーム14aに相対回動可能に連結される。第2のクリーニング部本体回動規制軸部14oは、対応する第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14hを摺動可能に貫通するとともに第2のクリーニング部本体フレーム14bに相対回動可能に連結される。更に、第1および第2のクリーニング部付勢スプリング14k,14mは、それぞれ対応する第1およ
び第2のクリーニング部本体回動規制軸部14n,14oに嵌合されるとともに第1およ
び第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14g,14hと第1および第
2のクリーニング部本体フレーム14a,14bとの間に伸縮するように縮設される。こ
れにより、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mは、それ
ぞれ対応する第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bに付勢力を作
用する。
【0032】
図6に示すように、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bは、
それぞれ対応する第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mの
付勢力で回動軸14fを中心に回動するように付勢される。このとき、転写ローラークリーニングローラー14cが凹部9eを除く転写ローラー9の連続した外周面のブランケットシート9bに当接する位置にあるときは、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mの動作長は動作長x1である。
【0033】
そして、第1および第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14g,1
4hと第1および第2のクリーニング部本体回動規制部材14i,14jとの間に塗布部
側クリアランスが設けられることにより、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bは、第1および第2のクリーニング部本体回動規制部材14i,14jに規制されることなく回動する。その結果、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mの付勢力が第1および第2のクリーニング部本体回動規制部材14i,14jに影響されることなく第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14
bに作用する。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cが転写ローラー9の外周面に第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mの付勢力
による定荷重で当接される。
【0034】
転写ローラークリーニングローラー14cは転写ローラー9の外周面に当接された状態で転写ローラー9の回転に対してカウンタ回転する。そして、この転写ローラークリーニングローラー14cはカウンタ回転により、二次転写終了後に転写ローラー9をクリーニングして転写ローラー9に残留する液体現像剤を除去する。その場合、転写ローラークリーニングローラー14cはバイアスが印加される。これにより、転写ローラークリーニングローラー14cによる残留トナーの除去率が向上される。転写ローラークリーニングローラー14cに印加されるバイアスは、転写ローラー9に感光体2からトナー像を転写するためのバイアスが印加されるが、例えばトナーがプラス極性である場合は、転写ローラー9に印加されるバイアスの電位より低い電位である。転写ローラークリーニングブレード14dは転写ローラークリーニングローラー14cをクリーニングして転写ローラークリーニングローラー14cに付着する液体現像剤を除去する。液体現像剤回収部14eは、転写ローラークリーニングローラー14cから除去された液体現像剤を回収して貯留する。
【0035】
また、図7に示すように転写ローラー9の外周面の不連続部である凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向する位置にあるときは、ブランケットシート9bが凹部9e内に進入しているため、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bは第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mの付勢力により転写ローラークリーニングローラー14cが回動して凹部9e内に進入する。すると、第1および第2のクリーニング部本体回動規制部材14i,14jが移動して第1およ
び第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14g,14hに当接する。し
たがって、第1および第2のクリーニング部本体フレーム14a,14bはそれらの回動
が規制されて停止する。このとき、前述のように第1および第2の支持フレーム13a,
13bが凹部9eの位置に関係なく転写ローラー9に対して位置決めされている。その結果、転写ローラークリーニングローラー14cは凹部9e内への進入が規制されてブランケットシート9bから離間するとともに、カバー部材9hに当接しない。その場合、転写ローラークリーニングローラー14cの外周面の凹部9e内への最大進入量は、最大進入量t1に規制される。すなわち、転写ローラー9の凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向するとき、転写ローラークリーニングローラー14cは凹部9eを除く転写ローラー9の周面から凹部9eに延長した仮想周面よりも転写ローラー9の軸中心側に位置される。こうして、第1および第2のクリーニング部本体回動規制部材14i,14jと第1および第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14g,14hとにより、本発明のクリーニング部材位置規制部材およびクリーニング部材位置規制部が構成される。
【0036】
更に図1、図5ないし図7に示すように、二次転写部10より転写ローラー9の回転方向側で転写ローラークリーニング部14より転写ローラー9の回転方向側と反対方向側には、キャリアー液塗布部であるキャリアー液塗布部15が配設される。このキャリアー液塗布部15は、第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15b、キャリアー液貯留
部15c、キャリアー液供給ローラー15d、キャリアー液塗布ローラー15e、回動軸15f、第1および第2のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材15g,15h、第1
および第2の塗布部本体回動規制部材15i,15j、および第1および第2の塗布部本
体付勢スプリング15k,15m(符号15mは図示しないが、第2の支持フレーム13
b側に配設される第2の塗布部本体付勢スプリングを示し、第1の支持フレーム13b側に配設される第1の塗布部本体付勢スプリング15kと同じである。説明の便宜上、明細書では符号15mを用いる。)を有する。
【0037】
第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bは、第1および第2の支持フレー
ム13a,13bに回動軸15fにより回動するように設けられる。キャリアー液貯留部
15cは転写ローラー9に塗布するキャリアー液であるキャリアー液を貯留する。キャリアー液供給ローラー15dは第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bに回転
するように設けられる。そして、キャリアー液供給ローラー15dは回転することでキャリアー液貯留部15c内に貯留されたキャリアー液を汲み上げてキャリアー液塗布ローラー15eに供給する。
【0038】
キャリアー液塗布ローラー15eはキャリアー液供給ローラー15dに当接されて第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bに設けられる。キャリアー液供給ローラ
ー15dおよびキャリアー液塗布ローラー15eは塗布部本体フレーム15aに、互いにトレイル回転するように設けられる。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eは転写ローラー9の回転に対してトレイル回転する。
【0039】
また、転写ローラークリーニングローラー14cはキャリアー液塗布ローラー15eより鉛直上方となるように配設される。具体的には、転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9との当接位置がキャリアー液塗布ローラー15eより鉛直上方となるように配設される。
【0040】
第1および第2のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材15g,15hは、それぞれ
対応する第1および第2の支持フレーム13a,13bに固定される。また、第1および
第2の塗布部本体回動規制部材15i,15jは、それぞれ第1および第2の塗布部本体
回動規制軸部15n,15oを有する。第1の塗布部本体回動規制軸部15nは、対応す
る第1のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材15gを摺動可能に貫通するとともに第1の塗布部本体フレーム15aに相対回動可能に連結される。第2の塗布部本体回動規制軸部15oは、対応する第2のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材15hを摺動可能に貫通するとともに第2の塗布部本体フレーム15bに相対回動可能に連結される。更に、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mは、それぞれ対応する第1
および第2の塗布部本体回動規制軸部15n,15oに嵌合されるとともに第1および第
2のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材15g,15hと第1および第2の塗布部本
体フレーム15a,15bとの間に伸縮するように縮設される。これにより、第1および
第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mは、それぞれ対応する第1および第2の
塗布部本体フレーム15a,15bに付勢力を作用する。
【0041】
図6に示すように、第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bはそれぞれ対
応する第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの付勢力で回動軸15
fを中心に回動するように付勢される。これにより、キャリアー液塗布ローラー15eが転写ローラー9のブランケットシート9bの外周面に当接される。このとき、キャリアー液塗布ローラー15eが凹部9eを除く連続部であるブランケットシート9bに当接する位置にあるときは、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの動作長
は動作長x2である。その場合、この例の画像形成装置1の転写装置では、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mの動作長x1は、第1および第2
の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの動作長x2より短い(x1<x2)。
【0042】
第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mと第1および第2
の塗布部本体付勢スプリング15k,15mが同じスプリングで構成された場合、このよ
うに第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mの動作長x1が
第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの動作長x2より短くされる
ことにより、第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mの付勢
力が比較的大きい。したがって、転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9への当接力が大きい。これにより、二次転写後に転写ローラー9に残留する残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)および塗布されたキャリアー液が転写ローラークリーニングローラー14cと転写ローラー9との間をほとんど通過しない。その結果、転写ローラークリーニングローラー14cによる転写ローラー9のクリーニング性が良好になる。また、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの付勢力が比
較的小さい。したがって、キャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接力が小さい。
【0043】
そして、第1および第2のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材15g,15hと第
1および第2の塗布部本体回動規制部材15i,15jとの間に塗布部側クリアランスが
設けられることにより、第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bは、第1お
よび第2の塗布部本体回動規制部材15i,15jに規制されることなく回動する。




その結果、第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの付勢力が第1お
よび第2の塗布部本体回動規制部材15i,15jに影響されることなく第1および第2
の塗布部本体フレーム15a,15bに作用する。これにより、キャリアー液塗布ローラ
ー15eが転写ローラー9の外周面に第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの付勢力による定荷重で当接される。その場合、クリーニング部本体フレーム1
4a,14bの回動軸14fと第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bの回動軸15fとが独立して設けられるので、転写ローラークリーニングローラー14cの転写ローラー9への当接荷重とキャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接荷重は互いに独立する。
【0044】
キャリアー液塗布ローラー15eはトレイル回転により、キャリアー液供給ローラー15dから供給されたキャリアー液を二次転写終了後の転写ローラー9のブランケットシート9bの外周面に塗布する。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9への当接力が小さいことから、キャリアー液が転写ローラー9により一層効果的に塗布される。その結果、キャリアー液塗布ローラー15eによる転写ローラー9へのキャリアー液塗布性が良好となる。
【0045】
また、図7に示すようにキャリアー液塗布ローラー15eが転写ローラー9の外周面の不連続部である凹部9eに対向してブランケットシート9bに当接しない位置にあるときは、第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bが第1および第2の塗布部本体
付勢スプリング15k,15mの付勢力により回動する。
【0046】
また図7に示すように、転写ローラー9の外周面の不連続部である凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向する位置にあるときは、前述の転写ローラークリーニングローラー14cの場合と同様に、第1および第2の塗布部本体フレーム15a,15bは
第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの付勢力によりキャリアー液
塗布ローラー15eが回動して凹部9e内に進入する。すると、第1および第2の塗布部本体回動規制部材15i,15jが移動して第1および第2のキャリアー液塗布ローラー
位置決め部材15g,15hに当接する。したがって、第1および第2の塗布部本体フレ
ーム15a,15bはそれらの回動が規制されて停止する。このとき、前述のように第1
および第2の支持フレーム13a,13bが凹部9eの位置に関係なく転写ローラー9に
対して位置決めされている。その結果、キャリアー液塗布ローラー15eは凹部9e内への進入が規制されてブランケットシート9bから離間するとともに、カバー部材9hに当
接しない。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eの外周面の凹部9e内への最大進入量は、第2の最大進入量t2に規制される。すなわち、転写ローラー9の凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向するとき、キャリアー液塗布ローラー15eは前述の仮想周面よりも転写ローラー9の軸中心側に位置される。そして、このときにも第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,14mの動作長y1は、第1およ
び第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの動作長y2より短い(y1<y2)

【0047】
そして、この例の画像形成装置1では、転写ローラークリーニングローラー14cの最大進入量t1はキャリアー液塗布ローラー15eの第2の最大進入量t2より大きい(t1>t2)。転写ローラークリーニングローラー14cが凹部9eを除く転写ローラー9の周面に当接するときの第1および第2のクリーニング部本体付勢スプリング14k,1
4mの動作長x1が、キャリアー液塗布ローラー15eが凹部9eを除く転写ローラー9の周面に当接するときの第1および第2の塗布部本体付勢スプリング15k,15mの動
作長x2より短い(x1>x2)ためである。したがって、最大進入量t1に位置が規制された転写ローラークリーニングローラー14cから転写ローラー9の軸中心までの転写ローラークリーニングローラー14cの径方向の距離は、第2の最大進入量t2に位置が規制されたキャリアー液塗布ローラー15eから転写ローラーの軸中心までの距離よりも短い。こうして、第1および第2のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材15g,15
hと第1および第2の塗布部本体回動規制部材15i,15jとにより、本発明の塗布部
材位置規制部材が構成される。
【0048】
ところで、図8(a)に示すように転写ローラー9の凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eの転写ローラー9との当接位置を通過する際に、残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)およびキャリアー液塗布ローラー15eにより塗布されたキャリアー液は、ブランケットシート9bが凹部9eを除く転写ローラー9の外周面から凹部9e内へ進入した直後のブランケットシート9bの傾斜面の領域AおよびBに堆積しがちとなる。
【0049】
したがって、前述のように転写ローラークリーニングローラー14cの凹部9e内への最大進入量t1がキャリアー液塗布ローラー15eの凹部9e内への第2の最大進入量t2より大きいと、図8(a)に示すように凹部9e内へ大きく進入した転写ローラークリーニングローラー14cによってまず領域Aに堆積したトナーおよびキャリアー液が転写ローラークリーニングローラー14cによって効率よく除去されるか、領域Bに移動する(このため、領域Aにおける残留液体現像剤および塗布キャリアー液は図8(a)には示されてない)。次に、図8(b)に示すように領域Bが転写ローラークリーニングローラー14cの当接位置に来ることで、領域Aに堆積したトナーおよびキャリアー液が転写ローラークリーニングローラー14cによって効率よく除去される。
【0050】
このようにこの例の転写装置および画像形成装置1では、最大進入量t1は、凹部9e内へ最大進入量t1だけ進入した転写ローラークリーニングローラー14cが領域AおよびBに堆積したトナーおよびキャリアー液を除去するように定められる。また、第2の最大進入量t2は、凹部9e内へ第2の最大進入量t2だけ進入したキャリアー液塗布ローラー15eがトナーおよびキャリアー液を凹部9e内のブランケットシート9b上の領域AおよびB内に堆積するように定められる。具体的には、これらの最大進入量t1および第2の最大進入量t2は、例えば実験によって得られたデータ等により定める。
以上のように、この例の転写装置は、転写ローラー9、転写ローラークリーニング部14、キャリアー液塗布部15を有する。
【0051】
この例の転写装置および画像形成装置1によれば、転写ローラー9の凹部9eが転写ロ
ーラークリーニングローラー14cに対向しない位置にあるときは、転写ローラークリーニングローラー14cは転写ローラー9の凹部9eを除く外周面に当接される。したがって、二次転写後の転写ローラー9の凹部9eを除く外周面を転写ローラークリーニングローラー14cによりクリーニングすることが可能となる。これにより、二次転写後の転写ローラー9に付着する残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)を除去することができる。また、転写ローラー9の凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向する位置にあるときは、転写ローラークリーニングローラー14cは転写ローラー9の凹部9e内に進入する。このとき、第1および第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材14g,14hと第1および第2のクリーニング部本体回動規制部材1
4i,14jにより、転写ローラークリーニングローラー14cの凹部9e内への進入量
が最大進入量t1に規制される。したがって、この転写ローラークリーニングローラー14cにより、凹部9eを除く転写ローラー9の外周面から凹部9e内へ進入した直後のブランケットシート9bの傾斜面の領域AおよびBに堆積しがちな残留液体現像剤(残留トナー、残留キャリアー液)および塗布キャリアー液を効果的に除去することが可能となる。これにより、凹部9e内に残留液体現像剤および塗布キャリアー液が溜まることを防止することができるとともに、残留液体現像剤および塗布キャリアー液が凹部9eから滲み出してくることも防止できる。更に、このように残留液体現像剤および塗布キャリアー液が凹部9e内に堆積することがほとんどないので、画像形成装置1が長期間使用されても、凹部9e内に残留液体現像剤および塗布キャリアー液が堆積することにより、転写ローラー9以外の他のローラの汚染や転写材12の汚染等の転写ローラー9の周辺の部材の汚染をより効果的に防止することが可能となる。その結果、凹部9e内に堆積する残留液体現像剤および塗布キャリアー液による画像欠陥を防止でき、高画質の画像を得ることができる。
【0052】
更に、転写ローラー9の凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向しない位置にあるときは、キャリアー液塗布ローラー15eは転写ローラー9の凹部9eを除く外周面に当接される。したがって、二次転写後の転写ローラー9の凹部9eを除く外周面に、残留トナーを除去しやすくするためのキャリアー液をキャリアー液塗布ローラー15eにより塗布することが可能となる。これにより、二次転写後の転写ローラー9に付着する残留トナーを効果的に除去することができる。また、転写ローラー9の凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向する位置にあるときは、キャリアー液塗布ローラー15eは転写ローラー9の凹部9e内に進入する。このとき、第1および第2のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材15g,15hと第1および第2のキャリアー液塗布部本体回動
規制部材15i,15jにより、キャリアー液塗布ローラー15eの凹部9e内への進入
量が第2の最大進入量t2に規制される。その場合、キャリアー液塗布ローラー15eの第2の最大進入量t2が転写ローラークリーニングローラー14cの最大進入量t1より小さいので、キャリアー液はブランケットシート9bのほぼ前述の領域AおよびB内に堆積させることが可能となる。したがって、この転写ローラークリーニングローラー15eにより、キャリアー液塗布ローラー15eによって凹部9e内のブランケットシート9bに塗布されたキャリアー液を効果的に除去することができる。これにより、一層高画質の画像を得ることができる。
【0053】
このようにして、この例の転写装置および画像形成装置1では、残留液体現像剤および塗布キャリアー液が転写ローラー9の凹部9e内に堆積することがほとんどないので、前述の特許文献1に記載されているようなウエブクリーニング機構や吸引ポンプを不要にすることができ、転写装置および画像形成装置1を簡単な構造とすることができる。そして、転写装置および画像形成装置1が簡単な構造になることから、転写装置および画像形成装置1の高い信頼性を得ることができるとともに省スペース化を図ることができる安価な転写装置および画像形成装置を実現することができる。
【0054】
図9は本発明の転写装置の実施の形態の他の例を部分的に示す部分図、図10(a)は図9に示す例の凹部が転写ローラークリーニングローラーに対向しない位置にある状態を示す図、図10(b)は図9に示す例の凹部が転写ローラークリーニングローラーに対向する位置にある状態を示す図である。
【0055】
図9に示すように転写ローラークリーニングローラー14cの両端の回転軸14pに、それぞれ本発明のコロ部材である第1および第2のクリーニングローラー側ギャップコロ14q,14rが回転可能に設けられる(符号14qは図示しないが、第2のクリーニン
グローラー側ギャップコロ14rと反対側の端の回転軸14pに配設される第1のクリーニングローラー側ギャップコロを示し、この第1のクリーニングローラー側ギャップコロは第2のクリーニングローラー側ギャップコロ14rと同じである。説明の便宜上、明細書では符号14qを用いる。)。
【0056】
この例の転写ローラークリーニングローラー14cも凹部9eを除くブランケットシート9bの外周面に当接するとともに、凹部9e内に進入するようにされている。その場合、図10(a)に示すように転写ローラー9の凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向しない位置にあるときは、転写ローラークリーニングローラー14cが凹部9eを除く転写ローラー9の外周面のブランケットシート9bに当接する。これにより、第1および第2のクリーニングローラー側ギャップコロ14q,14rはそれぞれ転
写ローラー9のカムフォロアー当接部9c,9dから離間し、第1および第2のクリーニ
ングローラー側ギャップコロ14q,14rの外周面とカムフォロアー当接部9c,9dの外周面との間にクリーニングローラー側ギャップG1が形成される。
【0057】
また、図10(b)に示すように転写ローラー9の凹部9eが転写ローラークリーニングローラー14cに対向する位置にあるときは、転写ローラークリーニングローラー14cが凹部9e内に進入する。そして、第1および第2のクリーニングローラー側ギャップコロ14q,14rの外周面がそれぞれ転写ローラー9のカムフォロアー当接部9c,9dに当接し、クリーニングローラー側ギャップG1が消滅する。このように第1および第2のクリーニングローラー側ギャップコロ14q,14rがカムフォロアー当接部9c,9dに当接することで、転写ローラークリーニングローラー14cの凹部9e内への進入量が予め定められた最大進入量に規制される。このときの転写ローラークリーニングローラー14cの凹部9e内への最大進入量は、前述の図7に示す例と同じ最大進入量t1である。こうして、第1および第2のクリーニングローラー側ギャップコロ14q,14rによ
り、転写ローラークリーニング部材位置規制部が構成される。
【0058】
一方、図9に示すようにキャリアー液塗布ローラー15eの両端の回転軸15pに、それぞれ本発明の第2のコロ部材である第1および第2の塗布ローラー側ギャップコロ15q,15rが回転可能に設けられる(符号15qは図示しないが、第2の塗布ローラー側
ギャップコロ15rと反対側の端の回転軸15pに配設される第1の塗布ローラー側ギャップコロを示し、この第1の塗布ローラー側ギャップコロは第2の塗布ローラー側ギャップコロ15rと同じである。説明の便宜上、明細書では符号15qを用いる。)。
【0059】
この例のキャリアー液塗布ローラー15eも凹部9eを除くブランケットシート9bの外周面に当接するとともに、凹部9e内に進入するようにされている。その場合、図10(a)に示すように転写ローラー9の凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向しない位置にあるときは、キャリアー液塗布ローラー15eが凹部9eを除く転写ローラー9の外周面のブランケットシート9bに当接する。これにより、第1および第2の塗布ローラー側ギャップコロ15q,15rはそれぞれ転写ローラー9のカムフォロアー当接
部9c,9dから離間し、第1および第2の塗布ローラー側ギャップコロ15q,15rの外周面とカムフォロアー当接部9c,9dの外周面との間に塗布ローラー側ギャップG2
が形成される。この例の画像形成装置1の転写装置では、塗布ローラー側ギャップG2はクリーニングローラー側ギャップG1より小さい(G2<G1)。
【0060】
また、図10(b)に示すように転写ローラー9の凹部9eがキャリアー液塗布ローラー15eに対向する位置にあるときは、キャリアー液塗布ローラー15eが凹部9e内に進入する。そして、第1および第2の塗布ローラー側ギャップコロ15q,15rの外周
面がそれぞれ転写ローラー9のカムフォロアー当接部9c,9dに当接し、塗布ローラー
側ギャップG2が消滅する。このように第1および第2の塗布ローラー側ギャップコロ15q,15rがカムフォロアー当接部9c,9dに当接することで、キャリアー液塗布ローラー15eの凹部9e内への進入量が予め定められた最大進入量に規制される。このときのキャリアー液塗布ローラー15eの凹部9e内への最大進入量は、前述の図7に示す例と同じ第2の最大進入量t2である。こうして、第1および第2の塗布ローラー側ギャップコロ15q,15rにより、本発明の塗布部材位置規制部材および塗布部材位置規制部
が構成される。
【0061】
そして、この例の転写装置および画像形成装置1においても、クリーニングローラー側ギャップG1つまり最大進入量t1は、凹部9e内へ最大進入量t1だけ進入した転写ローラークリーニングローラー14cが領域AおよびBに堆積したトナーおよびキャリアー液を除去するように予め定められる。また、塗布ローラー側ギャップG2つまり第2の最大進入量t2は、凹部9e内へ第2の最大進入量t2だけ進入したキャリアー液塗布ローラー15eがトナーおよびキャリアー液を凹部9e内のブランケットシート9b上の領域AおよびB内に堆積するように予め定められる。具体的には、これらのクリーニングローラー側ギャップG1および塗布ローラー側ギャップG2は例えば実験によって得られたデータ等により定める。
この例の転写装置および画像形成装置1の他の構成、他の動作、および他の作用効果は、いずれも前述の例の画像形成装置1と同じである。
【0062】
なお、本発明の転写装置および画像形成装置は、前述の実施の形態の各例に限定されることはない。例えば、前述の実施の形態の各例ではキャリアー液をキャリアー液塗布ローラーに供給するキャリアー液供給部材としてキャリアー液供給ローラー15dを用いているが、キャリアー液をキャリアー液塗布ローラーに滴下するキャリアー液滴下部材等の他のキャリアー液供給部材を用いることもできる。また、前述の実施の形態の各例では液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ローラーを転写ローラー9に適用して説明しているが、本発明の像担持体ローラーは感光体2に適用することもできる。要は、本発明の転写装置および画像形成装置は、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…画像形成装置、2…感光体、3…帯電部、4…露光部、5…現像部、6…感光体スクイーズ部、7…一次転写部、8…感光体クリーニング部、5e…現像ローラー、6a…第1の感光体スクイーズローラー、6c…第2の感光体スクイーズローラー、9…転写ローラー、9a…基材、9b…ブランケットシート、9c,9d…カムフォロアー当接部、9
e…凹部、10…二次転写部、10a…二次転写ニップ、11…二次転写ローラー、12…転写材、13a…第1の支持フレーム、13b…第2の支持フレーム、13e…第1のカムフォロアー、13f…第2のカムフォロアー、13g…第3のカムフォロアー、13h…第4のカムフォロアー、13i…第1の付勢スプリング、13j…第2の付勢スプリング、14…転写ローラークリーニング部、14a…第1のクリーニング部本体フレーム、14b…第2のクリーニング部本体フレーム、14c…転写ローラークリーニングローラー、14g…第1の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材、14h…第2の転写ローラークリーニングローラー位置決め部材、14i…第1のクリーニング部本体回
動規制部材、14j…第2のクリーニング部本体回動規制部材、14k…第1のクリーニング部本体付勢スプリング、14m…第2のクリーニング部本体付勢スプリング、14n…第1のクリーニング部本体回動規制軸部、14o…第2のクリーニング部本体回動規制軸部、14p…回転軸、14q…第1のクリーニングローラー側ギャップコロ、14r…第2のクリーニングローラー側ギャップコロ、15…キャリアー液塗布部、15a…第1の塗布部本体フレーム、15b…第2の塗布部本体フレーム、15d…キャリアー液供給ローラー、15e…キャリアー液塗布ローラー、15g…第1のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材、15h…第2のキャリアー液塗布ローラー位置決め部材、15i…第1の塗布部本体回動規制部材、15j…第2の塗布部本体回動規制部材、15k…第1の塗布部本体付勢スプリング、15m…第2の塗布部本体付勢スプリング、15n…第1の塗布部本体回動規制軸部、15o…第2の塗布部本体回動規制軸部、15p…回転軸、15q…第1の塗布ローラー側ギャップコロ、15r…第2の塗布ローラー側ギャップコロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に凹部を有し、トナー及びキャリアー液を含む液体現像剤で現像された像を担持する像担持体ローラーと、
前記像担持体ローラーに担持された前記像を転写材に転写する転写部と、
前記像を前記転写材に転写した前記像担持体ローラーに当接して前記像担持体ローラーをクリーニングするクリーニング部材と、
前記像担持体ローラーの前記凹部が前記クリーニング部材に対向するとき、前記凹部を除く前記像担持体ローラーの周面から前記凹部に延長した仮想周面よりも前記像担持体ローラーの軸中心側に前記クリーニング部材を位置させる位置規制部材と、
を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、
周面に凹部を有し、前記現像部で現像された像を担持する像担持体ローラーと、
前記像担持体ローラーに担持された前記像を転写材に転写する転写部と、
前記像を前記転写材に転写した前記像担持体ローラーに当接して前記像担持体ローラーをクリーニングするクリーニング部材と、
前記像担持体ローラーの前記凹部が前記クリーニング部材に対向するとき、前記凹部を前記像担持体ローラーの周面から前記凹部に延長した仮想周面よりも前記像担持体ローラーの軸中心側に前記クリーニング部材を位置させるクリーニング部材位置規制部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記転写部で前記像を転写材に転写した前記像担持体ローラーと当接して前記像担持体ローラーにキャリアー液を路付する塗布部材と、
前記像担持体ローラーの前記凹部が前記塗布部材に対向するとき、前記仮想周面よりも前記像担持体ローラーの軸中心側に前記塗布部材を位置させる塗布部材位置規制部材と、を有し、
前記クリーニング部材は、前記塗布部材でキャリアー液が塗布された前記像担持体ローラーをクリーニングする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニング部材位置規制部で位置が規制された前記クリーニング部材から前記像担持体ローラーの軸中心までの前記像担持体ローラーの径方向の距離は、前記塗布部材位置規制部で位置が規制された前記塗布部材から前記像担持体ローラーの軸中心までの距離よりも短い請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記クリーニング部材を支持して回動するクリーニング部材支持フレームを備え、
前記クリーニング部材位置規制部は、前記クリーニング部材支持フレームを支持するとともに前記クリーニング部材支持フレームを回動させる軸部材、および前記軸部材の移動を規制する規制部材を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記クリーニング部材位置規制部は前記像担持体ローラーの回転方向と同方向に回転するクリーニングローラーであり、
前記クリーニング部材位置規制部は、前記クリーニングローラーに配設されるコロ部材を有する請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記塗布部材は、前記像担持体ローラーの回転方向と逆方向に回転する塗布ローラーであり、
前記塗布部材位置規制部は、前記塗布ローラーに配設された第2のコロ部材を有する請求項3乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−198377(P2012−198377A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62373(P2011−62373)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】