説明

軽量の木材材料

本発明は、木材チップ、木材材料に対して30〜92.5質量%(前記木材チップは0.4〜0.85g/cm3の平均密度を有する)、充填剤としてのポリスチレン及び/又はスチレン共重合体、木材材料に対して2.5〜20質量%(前記充填剤は10〜100kg/m3の嵩密度を有する)、及び結合剤、木材材料に対して5〜50質量%を有し、前記軽量の木材材料の平均密度は600kg/m3以下である軽量の木材材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材粒子、木材材料に対して30〜95質量%(前記木材粒子は0.4〜0.85g/cm3の平均密度を有する)、充填剤としてポリスチレン及び/又はスチレン共重合体、木材材料に対して2.5〜20質量%(前記充填剤は10〜100kg/m3の嵩密度を有する)、及び結合剤、木材材料に対して2.5〜50質量%を含有する軽量の木材材料に関し、その際、前記木材材料の平均密度は600kg/m3以下である。
【0002】
木材材料は、無垢の木材とは別の低コストでかつ資源を大切にする選択肢であり、特に家具製造において、ラミネート床において及び建設材料として特に重要となっている。出発物質として、異なる強度の木材粒子、例えば多様な木材からなる木材チップ又は木材ファイバーが用いられる。このような木材粒子は、通常では天然及び/又は合成の結合剤と共に及び場合により他の添加剤を添加しながら、ボードの形又はストランドの形の木材材料にプレス成形される。
【0003】
軽量の木材材料についての工業的な必要性は、数年来、特に組み立て式家具(Mitnahmemoebel)、つまり、エンドユーザーによる家具の即金払いと持ち帰りが人気となって以来、絶え間なく高まっている。さらに、原油価格の高騰(この原油価格の高騰は例えば輸送コストの持続的な値上がりを引き起こす)により、軽量の木材材料の需要が高まっている。
【0004】
要約すると、軽量の木材材料は次の理由から大きな意義がある:
軽量の木材材料により、例えば家具の梱包、輸送、解梱又は組立の場合に、エンドユーザーによる製品の取り扱いは簡単になる。軽量の木材材料により輸送コスト及び梱包コストは低下し、さらに軽量の木材材料の製造の際に材料コストも節約することができる。軽量の木材材料により、例えば輸送手段中で使用する場合に、前記輸送手段のエネルギー消費量を少なくすることができる。さらに、軽量の木材材料を使用することで、例えばキッチンにおいて現在流行している厚い作業ボード及び側面のような材料費用のかかる装飾部分を低コストで提供できる。
【0005】
先行技術において、木材材料の密度を低減する多くの提案がなされている。
【0006】
軽量の(木材)材料として、例えば管状チップボード(Roehrenspanplatten)及びハニカムボードが挙げられる。その特別な特性により、管状チップボードは主にドアの製造の場合に内層として使用されている。前記材料の欠点は、低すぎるねじ引き抜き抵抗(Schraubenauszugswiderstand)であり、このねじ引き抜き抵抗は金具の固定を困難にし、かつ縁付けを困難にする。
【0007】
さらに、先行技術では、木材材料の密度を、接着剤又は木材チップへの添加物により低減することが提案されている。
【0008】
CH 370229には、木材チップ又は木材ファイバー、結合剤及び充填剤として用いられる多孔性プラスチックからなる、軽量でかつ同時に耐圧性の圧縮成形材料が記載されている。前記圧縮成形材料の製造のために、木材チップ又は木材ファイバーを結合剤及び発泡可能な又は部分的に発泡可能なプラスチックと混合し、得られた混合物を高温でプレス成形する。結合剤として、木材の接着のために適した全ての通常の結合剤、例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂を使用できる。充填剤としては、発泡可能な又は既に発泡されたプラスチック粒子、有利に膨張可能な熱可塑性樹脂、例えばスチレン重合体が挙げられる。使用されたプラスチックの粒度は、一般に予備発泡されたプラスチックの場合に0.6〜10mmである。前記プラスチックは、木材チップに対して0.5〜5質量%の量で使用される。実施例に記載されたボードは、18〜21mmの厚さで、220kg/m3〜430kg/m3の密度及び3.6N/mm2〜17.7N/mm2の平均曲げ強さを有する。横方向引張強さは、実施例中に記載されていない。
【0009】
WO 02/38676は、1mmより小さい粒径を有する発泡可能な又は既に発泡したポリスチレン5〜40質量%、リグノセルロース含有材料60〜95質量%及び結合剤を混合し、高めた温度でかつ高めた圧力でプレス成形して最終的な製品にする、軽量の製品を製造する方法を記載しており、その際、前記ポリスチレンは溶融し、かつ一方でリグノセルロース含有材料を含浸し、他方で前記製品の表面に移行することにより硬質で耐水性の皮膜を形成する。結合剤として、特に尿素ホルムアルデヒド樹脂又はメラミンホルムアルデヒド樹脂を使用することができる。実施例中には、4.5mmの厚さ及び1200kg/m3の密度を有する製品が記載されている。
【0010】
US 2005/0019548は、低い密度を有する充填剤の使用下での軽量のOSBボードを記載している。結合剤として、ポリマーの結合剤、例えば4,4−ジフェニル−メタン−ジイソシアナート樹脂を記載している。前記充填剤として、ガラス、セラミック、パーライト又はポリマーの材料が記載されている。このポリマーの材料は、OSBボードに対して0.8〜20質量%の量で使用される。ポリマーの材料として、実施例中には、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン又はポリアクリルニトリルからなる材料のDualiteが使用される。5%の質量の減少が記載されている。実施例中で、607〜677kg/m3の密度及び0.31〜0.59N/mm2の横方向引張強さを有するOSBボードが記載されている。
【0011】
US 2003/24443は、木材チップ、結合剤及び充填剤からなる材料を開示している。充填剤として、特にスチレンベースのポリマーが挙げられている。木材チップと結合剤との間の体積比は有利に1:1である。先行技術からなる他のボードも記載されており、その際、結合剤:木材チップの体積比は90:10である。先行技術からなるこのボードは、984kg/m3の密度を有する。結合剤として、特に熱硬化性樹脂が記載されている。本発明による実施例において、結合剤対木材チップの体積比45:55を有する、887kg/m3の密度を有するボードが記載されている。
【0012】
JP 06031708は軽量の木材材料を記載し、その際、三層チップボードの中間層のために、木材粒子100質量部及び合成樹脂発泡体からなる粒子5〜30質量部とからなる混合物を使用し、その際、前記樹脂粒子は0.3g/cm3以下の比重を有しかつ少なくとも30kg/cm2の圧縮強さを有する。さらに、前記木材粒子の比重は0.5g/cm3の値を上回るべきではないことが記載されている。
【0013】
実施例中では、0.35g/cm3の密度を有するニホンヒマラヤスギからなる木材チップを使用して、製造された木材材料の4.7〜4.9kg/m3の機械的強度が達成されている。0.6g/cm3の平均密度を有するラワン材及びカポール材の木材粒子を使用して、製造された木材材料の3.7kg/m3の機械的強度を達成することができた。
【0014】
前記先行技術の欠点は、要約すると、一方で、記載された軽量の(木材)材料は、家具製造のために低すぎる機械的強度、例えば低すぎるねじ引き抜き抵抗を有することにある。他方で、先行技術に記載された木材材料は、まだ600kg/m3を超える高い密度を有している。さらに、先行技術において、軽量の木材材料の製造のために、欧州市場では通常でない、0.5g/cm3未満の低い密度を有する木材を使用している。
【0015】
低すぎる機械的強度により、例えば前記構成部材の破断又は引裂が生じることがある。さらに、この構成部材は、穿孔又は鋸断の際に他の木材材料が付加的に剥離する傾向がある。この材料の場合、金具の打ち付けの固定が困難である。
【0016】
従って、本発明の課題は、市販の木材材料と比較して、同じく良好な機械的強度で5〜40%低い密度を有する軽量の木材材料を提供することであった。この機械的強度は、例えば横方向引張強さの測定により決定することができる。さらに、この軽量の木材材料は欧州原産の木材の使用下で製造するのが好ましい。従って、この軽量の木材材料は、0.5g/cm3以上の密度を有する比較的重い木材を使用して、軽量の木材を使用して製造したJP 06031708による木材材料と同等の低い密度及び同等の高い機械的強度を有しするのが好ましい。さらに、この軽量の木材材料の膨潤値及び吸水率はその僅かな密度によって不利な影響が及ぼされないのが好ましい。
【0017】
前記課題は、木材チップ、木材材料に対して30〜95質量%(前記木材チップは0.4〜0.85g/cm3の平均密度を有する)、充填剤としてのポリスチレン及び/又はスチレン共重合体、木材材料に対して2.5〜20質量%(前記充填剤は10〜100kg/m3の嵩密度を有する)、及び結合剤、木材材料に対して2.5〜50質量%を有し、前記軽量の木材材料の平均密度は600kg/m3以下である軽量の木材材料により解決された。
【0018】
結合剤の質量表示は、結合剤の固体含有量に対する。木材粒子の平均密度は、12%の木材湿度に対する。さらに、木材粒子の平均密度は、使用された全ての木材粒子に関する平均の密度に対する。
【0019】
本発明による木材材料は、有利に200〜600kg/m3、特に200〜575kg/m3、特に有利に250〜550kg/m3、殊に300〜500kg/m3の平均密度を有する。
【0020】
本発明による木材材料の横方向引張強さは、有利に0.3N/mm2より大きく、特に0.4N/mm2より大きく、特に有利に0.5N/mm2より大きく、殊に0.6N/mm2より大きい。前記横方向引張強さの測定は、EN 319により行われる。
【0021】
木材材料として、0.4〜0.85g/cm3の平均密度を有する木材ベニアから製造される全ての材料、例えば化粧ボード又は合板ボード、0.4〜0.85g/cm3の平均密度を有する木材チップから製造された木材材料、例えばチップボード又はOSBボード、木材ファイバー材料、例えばLDFボード、MDFボード及びHDFボードが挙げられる。チップボード及びファイバーボード、特にチップボードが有利である。
【0022】
前記木材粒子の平均密度は、有利に0.4〜0.8g/cm3、特に0.4〜0.75g/cm3、殊に0.4〜0.6g/cm3である。
【0023】
木材粒子の製造のために、例えばトウヒ材、ブナ材、マツ材、カラマツ材又はモミ材、有利にトウヒ材及び/又はブナ材、殊にトウヒ材が使用される。
【0024】
この充填剤のポリスチレン及び/又はスチレン共重合体は、当業者に公知の全ての重合法により製造することができる[例えば、Ullmann’s Encyclopedia, Sixth Edition, 2000 Electronic Release参照]。例えば、この製造は自体公知の方法で懸濁重合及び/又は押出法により行われる。
【0025】
この懸濁重合の場合に、スチレンを、場合により他のコモノマーの添加下で、水性懸濁液中で通常の懸濁液安定剤の存在でラジカル生成する触媒を用いて重合させる。前記発泡剤及び場合により他の添加剤は、この場合、重合の際に一緒に装入されるか又は重合の進行において又は前記重合の完了後にバッチに添加することができる。この得られたビーズ状の場合により膨張可能なスチレン重合体を、重合の完了後に水相から分離し、洗浄し、乾燥しかつ篩別する。
【0026】
押出法の場合には、前記発泡剤を例えば押出機を介して前記ポリマー中に混入し、ノズルプレートを通して押出し、粒子又はストランドに造粒する。
【0027】
前記充填剤のポリスチレン又はスチレン共重合体は特に有利に膨張可能である。
【0028】
発泡剤として、当業者に公知の全ての発泡剤、例えばC3〜C6−炭化水素、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン及び/又はヘキサン、アルコール、ケトン、エーテル又はハロゲン化炭化水素を使用することができる。有利に、市販されたペンタン異性体混合物が使用される。
【0029】
さらに、前記スチレン重合体に、添加剤、成核剤、可塑剤、難燃剤、可溶性又は不溶性無機及び/又は有機染料及び顔料、例えばIR吸収剤、例えばカーボンブラック、黒鉛又はアルミニウム粉を一緒に又は空間的に別個に添加物として添加してもよい。
【0030】
場合により、スチレン共重合体を使用することもでき、有利にこのスチレン共重合体は重合により組み込まれたポリスチレンを少なくとも50質量%、有利に少なくとも80質量%を有する。コモノマーとして、例えばα−メチルスチレン、環原子がハロゲン化されたスチレン、アクリルニトリル、アクリル酸又はメタクリル酸と、1〜8個のC原子を有するアルコールとのエステル、N−ビニルカルバゾール、マレイン酸(無水物)、(メタ)アクリルアミド及び/又は酢酸ビニルが挙げられる。
【0031】
有利に前記ポリスチレン及び/又はスチレン共重合体は、少量の枝分かれ鎖が組み込まれていてもよく、つまり、1つ以上、有利に2つの二重結合を有する化合物、例えばジビニルベンゼン、ブタジエン及び/又はブタンジオールジアクリラートを重合により組み込んで含有していてもよい。この枝分かれ鎖は、一般にスチレンに対して0.005〜0.05モル%の量で使用される。
【0032】
有利に、EP-B 106 129及びDE-A 39 21 148に記載されているような分子量及び分子量分布を有するスチレン(共)重合体が使用される。有利に、190000〜400000g/molの範囲内の分子量を有するスチレン(共)重合体が使用される。
【0033】
多様なスチレン(共)重合体の混合物も使用することができる。
【0034】
有利に、スチレンポリマーとして、ガラス様に透明なポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アニオン重合されたポリスチレン又は耐衝撃性ポリスチレン(A−IPS)、スチレン−α−メチルスチレンコポリマー、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、スチレン−アクリルニトリル(SAN)、アクリルニトリル−スチレン−アクリルエステル(ASA)、メタクリラート−ブタジエン−スチレン(MBS)、メチルメタクリラート−アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)重合体又はこれらの混合物又はポリエチレンエーテル(PPE)との混合物が使用される。
【0035】
ポリスチレンとして、特に有利に、BASF Aktiengesellschaft社のStyropor(R)、Neopor(R)及び/又はPeripor(R)が使用される。
【0036】
有利に、既に予備発泡されたポリスチレン及び/又はスチレン共重合体を使用する。一般に、予備発泡されたポリスチレンは、当業者に公知の全ての方法(例えばDE 845264)により製造することができる。予備発泡されたポリスチレン及び/又はスチレン共重合体の製造のために、膨張可能なスチレン共重合体を公知のように、例えば熱風又は有利に蒸気を用いてその軟化点を上回る温度に加熱することにより膨張させる。
【0037】
予備発泡されたポリスチレン又はスチレン共重合体は、有利に10〜100kg/m3、特に15〜80kg/m3、特に有利に20〜70kg/m3、殊に30〜60kg/m3の嵩密度を有する。
【0038】
予備発泡されたポリスチレン又はスチレン共重合体は、有利に0.25〜10mm、特に0.5〜5mm、殊に0.75〜3mmの平均直径を有する球又はビーズの形で使用される。
【0039】
予備発泡されたポリスチレン球又はスチレン共重合体球は、有利に体積あたり僅かな表面積を有し、例えば球状の粒子又は楕円状の粒子の形である。
【0040】
予備発泡されたポリスチレン球又はスチレン共重合体球は、有利に独立気泡である。DIN-ISO 4590による連続気孔率は30%より低い。
【0041】
特に有利に、(予備発泡された)ポリスチレン又はスチレン共重合体は、帯電防止被覆を有している。
【0042】
帯電防止剤として、技術的に通常でかつ慣用の物質を使用することができる。この例はN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−C12〜C18−アルキルアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸の塩化コリンエステル、C12〜C20−アルキルスルホン酸塩、アンモニウム塩である。
【0043】
適当なアンモニウム塩は、窒素原子に、アルキル基の他に、1〜3個のヒドロキシル基含有有機基を有する。
【0044】
適当な第4級アンモニウム塩は、任意のアニオン、例えば塩化物、臭化物、酢酸塩、メチル硫酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩と共に、例えば窒素原子カチオンに1〜3個、有利に2個の、同じ又は異なる1〜12個の、有利に1〜10個のC原子を有するアルキル基、及び1〜3個、有利に2個の、同じ又は異なるヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルキルポリオキシアルキレン基を結合して含有するようなものである。
【0045】
前記のヒドロキシアルキル基及びヒドロキシアルキルポリオキシアルキレン基は、窒素結合した水素原子のオキシアルキル化により生じ、かつ1〜10個のオキシアルキレン基、特にオキシエチレン基及びオキシプロピレン基から誘導されるようなものである。
【0046】
特に有利に、帯電防止剤として、第4級アンモニウム塩又はアルカリ金属塩、特にC12〜C20−アルカンスルホン酸塩のナトリウム塩、例えばBayer AG社の乳化剤K30、又はこれらの混合物が使用される。この帯電防止剤は、一般に純物質としても、水溶液の形でも添加することができる。
【0047】
この帯電防止剤は、ポリスチレン又はスチレン共重合体の製造方法の際に、通常の添加剤と同様に添加することができるか、又はポリスチレン粒子の製造後に被覆として塗布することができる。
【0048】
この帯電防止剤は、ポリスチレン又はスチレン共重合体に対して、有利に0.05〜6質量%、特に0.1〜4質量%の量で使用される。
【0049】
充填剤のポリスチレン及び/又はスチレン共重合体は、有利に本発明による木材材料中に均一に分配されて存在する。
【0050】
この充填剤球は、有利に木材材料へのプレス成形の後でも溶融していない状態で存在する。場合により、もちろん木材材料の表面に存在する充填剤球の溶融は生じることがある。
【0051】
結合剤として、木材材料の製造のための当業者に公知の全ての結合剤を使用することができる。有利に、結合剤としてホルムアルデヒド含有の接着剤、例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン含有の尿素ホルムアルデヒド樹脂が使用される。尿素ホルムアルデヒド樹脂を使用するのが有利である。例えば、結合剤として、BASF Aktiengesellschaft社のKaurit(R) Leimが使用される。
【0052】
前記結合剤の固体含有量は、通常では25〜100質量%、特に50〜70質量%である。
【0053】
本発明による軽量の木材材料は、木材粒子、木材材料に対して有利に55〜92.5質量%、特に60〜90質量%、殊に70〜85質量%(前記木材粒子は0.4〜0.85g/cm3、有利に0.4〜0.75g/cm3、特に0.4〜0.6g/cm3の平均密度を有する)、ポリスチレン及び/又はスチレン共重合体の添加剤、木材材料に対して5〜15質量%、特に8〜12質量%(前記充填剤は10〜100kg/m3、特に20〜80kg/m3、殊に30〜60kg/m3の嵩密度を有する)、及び結合剤、木材材料に対して2.5〜40質量%、特に5〜25質量%、殊に5〜15質量%を有し、前記軽量の木材材料の平均密度は600kg/m3以下、特に575kg/m3以下、殊に550kg/m3以下である。
【0054】
全ての質量表示は乾燥物質に対する。
【0055】
場合により、本発明による木材材料中で他の市販の当業者に公知の添加剤が存在していてもよい。
【0056】
木材材料の厚さは適用分野と共に変化するが、一般に0.5〜50mmの範囲内にある。
【0057】
200〜650kg/m3の密度を有する本発明による軽量の木材材料の横方向引張強さは、有利に(0.002×D−0.55)N/mm2よりも大きく、特に(0.002×D−0.45)N/mm2よりも大きく、殊に(0.0022×D−0.45)N/mm2よりも大きい。
【0058】
膨潤値は、充填剤なしで同じ密度のプレートの膨潤値よりも、有利に10%低く、特に20%低く、殊に30%低い。
【0059】
さらに、本発明は、少なくとも3つの層を有する材料に関し、その際、少なくとも1つ又は複数の中間層は、木材粒子、木材材料に対して30〜95質量%(前記木材粒子は0.4〜0.85g/cm3の平均密度を有する)、充填剤としてのポリスチレン/スチレン共重合体、木材材料に対して2.5〜20質量%(前記充填剤は10〜100kg/m3の嵩密度を有する)及び結合剤、木材材料に対して2.5〜50質量%を有し、その際、前記軽量の木材材料の平均密度は600kg/m3以下である。
【0060】
有利に外側の層は充填剤を有していない。
【0061】
有利に前記材料は3つの層を有し、その際、外側のカバー層は合わせて、前記複合材の全体の厚さの5〜50%、特に15〜45%、殊に30〜40%、中間層は有利に前記複合材の全体の厚さの50〜95%、特に55〜85%、殊に60〜70%である。
【0062】
さらに、本発明は、10〜100kg/m3の嵩密度を有する予備発泡されたポリスチレン及び/又はスチレン共重合体を、結合剤及び0.4〜0.85g/cm3の密度を有する木材粒子と混合し、引き続き高めた温度及び高めた圧力で木材材料にプレス成形することを特徴とする、軽量の木材材料の製造方法に関する。
【0063】
有利に、(予備発泡された)ポリスチレン及び/又はスチレン共重合体は、結合剤及び/又は木材粒子との混合の前に、帯電防止被覆が設けられている。
【0064】
場合により、木材チップケーキはプレス成形の前に冷間で予備圧縮される。このプレス成形は、当業者に公知の全ての方法で行うことができる。通常では、木材粒子ケーキを150℃〜230℃のプレス温度で所望の厚さにプレス成形する。このプレス時間は、通常ではボード厚さ1mmあたり3〜15秒である。
【0065】
さらに、本発明は、家具、梱包材の製造のため、住宅建築における又は室内改装における、本発明による木材材料の使用に関する。
【0066】
本発明の利点は、良好な機械的安定性で本発明による木材材料の低い密度にある。さらに、本発明による木材材料は簡単に製造でき;存在する装置を本発明による木材材料の製造のために交換する必要はない。
【0067】
実施例
A) 充填剤の製造
A1.1) 帯電防止剤を備えた発泡可能なポリスチレンの製造
表1にまとめられている市販の発泡可能なポリスチレンを使用する。
【0068】
A1.2) 帯電防止剤なしの発泡可能なポリスチレンの製造
発泡可能なポリスチレンを、例えばEP 981 574に記載されたと同様に製造した。製造の間又は製造後の帯電防止剤の添加は行わなかった。
【0069】
A2) 予備発泡されたポリスチレンの製造
実施例A1により得られたポリスチレン粒子を水蒸気で連続的予備発泡装置中で処理した。予備発泡されたポリスチレン球の嵩密度は、蒸気圧及び蒸気処理時間を変えることにより調節した。次の表1にまとめられた予備発泡されたポリスチレン粒子を製造した。
【0070】
表1:予備発泡されたポリスチレン粒子
【表1】

【0071】
A3) 粉砕されたポリスチレンの製造
A3.1) 押し出されたポリスチレンフォーム(充填剤6)
Styrodur(R)としてBASF社から入手可能な押し出されたPSフォーム(嵩密度約30kg/m3)を、インパクトミル(Pallmann Prallmuehle Typ PP)中で平均粒径0.2〜2mmにまで粉砕した。
【0072】
A3.2) ポリウレタンフォーム(充填剤7):
9cm×40cm×70cmのサイズの絶縁体用の、密度33kg/m3のリサイクルされた市販のポリウレタンフォームを、カッティングミル(Schneidmuehle Retsch SM2000)中で平均粒径0.2〜2mmにまで粉砕した。
【0073】
B) 木材材料の製造
B1) US 2005/0019548による木材材料
US 2005/0019548開示された特徴を、表2中にまとめた。(実施例1〜3)
B2) JP 06031708による木材材料
JP 06031708開示された特徴を、表2中にまとめた。(実施例4〜5)
B3) 充填剤あり及びなしの木材材料
B3.1) 使用材料の混合
ミキサー中で表2によるチップ又はファイバー450g及び場合により表2による充填剤を混合した。引き続き、Kaurit(R)-Leim 340 100部及び52%硝酸アンモニウム水溶液4部及び水10部からなる接着剤液剤58.8gを添加した。
【0074】
B3.2) 接着剤を添加されたチップ又はファイバーのプレス成形
接着剤を添加されたチップ又はファイバーを30×30cmの型中で冷間で予備圧縮した。引き続きホットプレス中でプレス成形した(プレス温度190℃、プレス時間210秒)。ボードの目標厚さはそれぞれ16mmであった。
【0075】
C) 木材材料の試験
C1) 密度
密度の測定は、製造後に24時間にEN 1058により行った。
【0076】
C2) 横方向引張強さ
前記横方向引張強さの測定は、EN 319により行われる。
【0077】
C3) 膨潤値及び吸水率
膨潤値及び吸水率の測定は、DIN EN 317により行った。
【0078】
表2:軽量の木材材料
【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材チップ、木材材料に対して30〜92.5質量%(前記木材チップは0.4〜0.85g/cm3の平均密度を有する)、充填剤としてのポリスチレン及び/又はスチレン共重合体、木材材料に対して2.5〜20質量%(前記充填剤は10〜100kg/m3の嵩密度を有する)、及び結合剤、木材材料に対して5〜50質量%を有し、軽量の木材材料の平均密度は600kg/m3以下である軽量の木材材料。
【請求項2】
充填剤として、直径0.25〜10mmを有する予備発泡された充填剤ビーズ又は充填剤球を使用する、請求項1記載の軽量の木材材料。
【請求項3】
充填剤ビーズ又は充填剤球は帯電防止被覆を有する、請求項1又は2記載の軽量の木材材料。
【請求項4】
木材粒子は0.4〜0.75g/cm3の平均密度を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の軽量の木材材料。
【請求項5】
木材材料の横方向引張強さは0.4N/mm2より大きい、請求項1から4までのいずれか1項記載の軽量の木材材料。
【請求項6】
木材材料の密度は250〜550kg/m3である、請求項1から5までのいずれか1項記載の軽量の木材材料。
【請求項7】
木材チップ、木材材料に対して55〜92.5質量%(前記木材チップは0.4〜0.6g/cm3の平均密度を有する)、充填剤としてのポリスチレン及び/又はスチレン共重合体、木材材料に対して5〜15質量%(前記充填剤は15〜80kg/m3の嵩密度を有する)、及び結合剤、木材材料に対して2.5〜40質量%を有し、軽量の木材含有材料の平均密度は550kg/m3以下である、請求項1から5までのいずれか1項記載の軽量の木材材料。
【請求項8】
1つ又は複数の中間層が請求項1から7までのいずれか1項記載の木材材料を有し、外側のカバー層は充填剤を有していない、少なくとも3つの木材材料層を有する複合材。
【請求項9】
10〜100kg/m3の嵩密度を有する予備発泡されたポリスチレン及び/又はスチレン共重合体を、結合剤及び0.4〜0.85g/cm3の平均密度を有する木材粒子と混合し、引き続き高めた温度及び高めた圧力で木材材料にプレス成形することを特徴とする、軽量の木材材料の製造方法。
【請求項10】
家具の製造のため、梱包材の製造のため、住宅建築における又は室内改装における、請求項1から7までのいずれか1項記載の軽量の木材材料又は請求項8記載の複合材の使用。

【公表番号】特表2010−506757(P2010−506757A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532808(P2009−532808)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061165
【国際公開番号】WO2008/046890
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】