説明

軽量気泡コンクリート

【課題】圧縮強度および断熱性能の少なくとも一方を向上させた軽量気泡コンクリートを提供する。
【解決手段】本発明は、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合が5容積%以上95容積%以下であるとともに、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm未満の気泡の割合が5容積%以上95容積%以下であり、かつ、嵩密度が300kg/m〜700kg/mであることを特徴とする軽量気泡コンクリートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量気泡コンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
軽量な気泡コンクリート(以下、「軽量気泡コンクリート」という)は、たとえば、珪酸質原料及び石灰質原料を含む主原料に起泡剤を用いて作製した気泡を導入する工程を経る方法(たとえば特許文献1および2を参照:プレフォーム法)や、珪酸質原料及び石灰質原料を含む主原料とともにアルミニウム粉末を発泡剤として用いる方法(アルミ発泡法)などにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−42565号公報
【特許文献2】特開平7−69754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プレフォーム法により製造した軽量気泡コンクリートは、アルミ発泡法により製造した軽量気泡コンクリートよりも気泡径の小さい独立気泡を含むため、高い断熱性を有するが、半硬化体をオートクレーブ養生する際に蒸気が半硬化体の内部の深いところまで浸透し難い。そのため、プレフォーム法で軽量気泡コンクリートを作製する際には、養生時間を長くしないと、軽量気泡コンクリートの内部に亀裂が生じたり、養生不足によりトバモライトの生成が悪くなり、軽量気泡コンクリートの圧縮強度が低下するだけでなく断熱性も低下してしまうという問題があった。
【0005】
オートクレーブ養生に要する時間を短縮する方法としては、アルミ発泡法において、高温高圧蒸気養生に先だち、釜内部を大気圧以下に減圧(以下「真空引き」という)して、予め気泡内の余剰水分や気体を除去することが行われている。しかしながら、プレフォーム法により作製した半硬化体中に形成された微細な独立性の高い気泡は密閉性が高いため、プレフォーム法において、アルミ発泡法と同様に、高温高圧蒸気養生に先立ち真空引きを行うと、外部からの真空引きの圧力により気泡が破裂して半硬化体に亀裂が発生するという問題があった。
【0006】
一方、アルミ発泡法により製造した軽量気泡コンクリートは、プレフォーム法により製造した軽量気泡コンクリートよりも気泡径が大きく、連通性のある気泡を含むため、オートクレーブ養生の際にトバモライトの生成が促進され、優れた圧縮強度を有する。しかしながら、上述したようにアルミ発泡法により製造した軽量気泡コンクリートは、プレフォーム法により製造した軽量気泡コンクリートと比較すると気泡の連続性が高いため断熱性が低いという欠点を有している。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、圧縮強度および断熱性能のうち少なくとも一方を向上させた軽量気泡コンクリートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡と、気泡径が0.5m未満の気泡と、を所定の割合で含み、かつ、嵩密度を300kg/m〜700kg/mに設定することで、軽量気泡コンクリートの圧縮強度および断熱性能の少なくとも一方を向上させることができるという知見を得た。本発明は、かかる新規な知見に基づくものである。なお、本発明において気泡とは気泡径が2.0mm以下のものを意味する。
【0009】
すなわち、本発明は、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合が5容積%以上95容積%以下であるとともに、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm未満の気泡の割合が5容積%以上95容積%以下であり、かつ、嵩密度が300kg/m〜700kg/mであることを特徴とする軽量気泡コンクリートである。
【0010】
本発明の軽量気泡コンクリートには、全気泡の総容積に対して、5〜95容積%の気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡と、95〜5容積%の気泡径が0.5mm未満の気泡と、が含まれており、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡がオートクレーブ養生の際の蒸気の浸透を向上させてトバモライトの生成を促進することで圧縮強度を向上させ、気泡径が0.5mm未満の気泡が断熱性能を向上させる。
【0011】
軽量気泡コンクリートの嵩密度が小さすぎると、十分な圧縮強度が得られなくなることがあり、嵩密度が700kg/mを超えると十分な断熱性能が得られなくなることがあるが、本発明では、軽量気泡コンクリートの嵩密度を300kg/m以上、700kg/mとすることにより十分な断熱性能および圧縮強度を有するものとすることができる。
その結果、本発明によれば、断熱性能および圧縮強度のうち、少なくとも一方を向上させた軽量気泡コンクリートを提供することができる。
【0012】
本発明は以下の構成とするのが好ましい。
嵩密度を300kg/m以上500kg/m未満とし、かつ、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合P(容積%)を、15≦P≦0.1Y+45(Yは嵩密度kg/mを示す)とするか、あるいは、嵩密度を500kg/m以上700kg/m以下とし、かつ、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合P(容積%)を、0.1Y−35≦P≦95とする。
このような構成とすると、圧縮強度および断熱性能をともに向上させた軽量気泡コンクリートを提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、圧縮強度および断熱性能の少なくとも一方を向上させた軽量気泡コンクリートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の軽量気泡コンクリートのマイクロスコープ写真
【図2】比較例9の軽量気泡コンクリートのマイクロスコープ写真
【図3】比較例10の軽量気泡コンクリートのマイクロスコープ写真
【図4】実施例および比較例の結果を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の軽量気泡コンクリートは、全気泡の総容積に対して気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合が5容積%以上95容積%以下であるとともに、気泡径が0.5mm未満の気泡の割合が5容積%以上95容積%以下であり、かつ、嵩密度が300kg/m〜700kg/mであることを特徴とする。
【0016】
軽量気泡コンクリートの嵩密度が小さすぎると(たとえば嵩密度が300kg/m未満の場合)、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合を増やしても十分な圧縮強度が得られないことがあり、嵩密度が大きすぎると(たとえば嵩密度が700kg/mを超える場合)、気泡径が0.5mm未満の気泡の割合を増やしても、十分な断熱性能が得られなくなったり、亀裂が発生しやすくなる。本発明では、嵩密度を300kg/m〜700kg/mに設定しているので、上述のような問題点が生じることがない。
【0017】
さらに、本発明では、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡と、気泡径が0.5mm未満の気泡とを所定の割合で含む構成としている。詳細は実施例において説明するが、軽量気泡コンクリートを、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡を全気泡の総容積に対して5容積%以上の割合で含む構成とするだけで、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡を全く含まないものよりも断熱性能を悪化させることなく圧縮強度を向上させることができる。また、気泡径が0.5mm未満の気泡を全気泡の総容積に対して5容積%以上の割合で含む構成とするだけで、気泡径が0.5mm未満の気泡を全く含まないものよりも圧縮強度を悪化させることなく、断熱性能を向上させることができる。
【0018】
全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm未満の気泡の割合が95容積%を超える場合や、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合が5容積%未満の場合には、圧縮強度が低下し、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合が95容積%を超える場合や、気泡径が0.5mm未満の気泡の割合が5容積%未満の場合には、断熱性能が低下する。
【0019】
本発明において、嵩密度を300kg/m以上500kg/m未満とし、かつ、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合P(容積%)を、15≦P≦0.1Y+45(Yは嵩密度kg/mを示す)とするか、あるいは、嵩密度を500kg/m以上700kg/m以下とし、かつ、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合P(容積%)を、0.1Y−35≦P≦95とすると、圧縮強度および断熱性能をともに向上させた軽量気泡コンクリートを提供することができ、好ましい。
【0020】
本発明の軽量気泡コンクリートは、たとえば以下の方法により作製することができる。
まず、起泡剤を用いることにより気泡を含む気泡液を作製し(気泡液作製工程)、珪酸質原料および前記石灰質原料を含む固形成分に対して水を加えて攪拌してなる第1のスラリーに気泡液を添加して攪拌した後、アルミニウム粉末を混入して攪拌することにより気泡を内在した原料スラリーを得る。次に、原料スラリーを型内に打設する工程を実行することにより得られる半硬化体をオートクレーブ養生すると、本発明の軽量気泡コンクリートが得られる(第1の方法)。
【0021】
また、本発明の軽量気泡コンクリートは、珪酸質原料および石灰質原料を含む固形成分に対して水を加えるとともに、起泡剤を添加して攪拌した後、アルミニウム粉末を添加して攪拌することにより気泡を内在した原料スラリーを得る工程と、原料スラリーを型内に打設する工程と、を実行することにより得られる半硬化体をオートクレーブ養生することにより得られる(第2の方法)。
以下、第1の方法および第2の方法について、それぞれ、具体的に説明する。
【0022】
(第1の方法)
珪酸質原料および石灰質原料を含む固形成分に対して水を加えて攪拌して第1のスラリーを作製する工程(第1のスラリー作製工程)を実行する。
第1のスラリーの材料である珪酸質原料としては、珪石、珪砂、スラグ、フライアッシュなどのSiOを含む原料として公知のものの粉末または粒状物を一種類または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
石灰質原料としては、生石灰、消石灰、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、その他の各種ポルトランドセメント等の粉末または粒状物を一種類または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
第1のスラリーの材料としては、珪酸質原料、石灰質原料以外に、石膏、補強用繊維、繰り返し原料(原料スラリーを発泡硬化させて得られる半硬化体を、ピアノ線で切断した際に発生する不要な部分)や、不要となった軽量気泡コンクリートの粉末(半硬化体を養生して得られる軽量気泡コンクリートを切断した際に発生する不要な部分)を用いてもよい。これらの材料を用いると、原料スラリーの発泡が安定する上に、原料費を節約できるので、好ましい。
また、第1のスラリーの材料としては上記固形成分や水以外に、整泡剤や減水剤などを用いることができる。
第1のスラリーは、上記固形成分に所定量の水(水の量については後述する)を加えて攪拌することにより得られる。
【0025】
第1のスラリー作製工程の前後、または第1のスラリー作製工程と同時に、起泡剤を用いて気泡を含む気泡液を作製する(気泡液作製工程)。起泡剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコール硫酸塩、タンパク系化合物等を用いることができる。
【0026】
気泡液作製工程においては、起泡剤と必要に応じて水を用いて、公知の気泡発生装置により気泡を発生させ気泡を含む気泡液を作製する。気泡液には増粘剤を混入してもよい。増粘剤が作用して気泡液中の気泡の周りに膜ができ、これにより気泡を壊れにくくするとともに、気泡の合体を防止することができる。
【0027】
第1のスラリー作製工程および気泡液作製工程において使用する水の総量は、全固形成分(珪酸質原料、石灰質原料、アルミニウム粉末、および石膏などの固形成分)100質量部に対して、50〜90質量部とするのが好ましい。
【0028】
次に、第1のスラリー作製工程で得られた第1のスラリーに、気泡液作製工程により得られた気泡液を添加して攪拌した後、アルミニウム粉末を混入して攪拌することにより気泡を内在した原料スラリーを得る工程を実行する(原料スラリー作製工程)。
アルミニウム粉末としては、一般的な軽量気泡コンクリートの製造に用いられるものを用いることができる。
【0029】
原料スラリー作製工程において、全固形成分100質量部に対して、起泡剤を0.05質量部以下添加するとともに、アルミニウム粉末を0.09質量部以下添加するのが好ましい。起泡剤およびアルミニウム粉末の添加量を上述の範囲とすると、アルミ発泡法やプレフォーム法だけで製造された嵩密度が同じ軽量気泡コンクリートに比べて圧縮強度と熱伝導性をともに向上させた軽量気泡コンクリートが得られるからである。
【0030】
次に、原料スラリー作製工程を経て得られた原料スラリーを所定形状の型内に打設する工程(打設工程)を実行する。
打設工程を実行した後、発泡が完了し高さが変わらなくなり、かつ、ハンドリングが可能となるまで、原料スラリーを半硬化養生させることにより半硬化体を作製する(半硬化体作製工程)。
【0031】
次に、半硬化体を、180℃〜190℃、0.9MPa〜1.2MPaで4時間〜24時間オートクレーブ養生する(オートクレーブ養生工程)。なお、第1の方法においては必ずしも必要ではないが、オートクレーブ工程に先だって、真空引き(30分〜120分、0.001MPa〜0.004MPa)を行ってもよい。真空引きにより生産性が向上する。
【0032】
オートクレーブ養生工程を経た後、本発明の軽量気泡コンクリートが得られる。
第1の方法により本発明の軽量気泡コンクリートを作製すると、気泡液を第1のスラリーとは別に作製してから攪拌するので、気泡作製時間が短くてすむというメリットがある。
【0033】
(第2の方法)
まず、珪酸質原料および石灰質原料を含む固形成分に対して水を加えるとともに、起泡剤を添加して攪拌した後、アルミニウム粉末を添加して攪拌することにより気泡を内在した原料スラリーを得る(原料スラリー作製工程)。
珪酸質原料、石灰質原料、起泡剤、アルミニウム粉末としては、それぞれ、第1の方法と同様のものを用いることができる。
【0034】
固形成分としては、珪酸質原料および石灰質原料以外に、石膏、補強用繊維、繰り返し原料(原料スラリーを発泡硬化させて得られる半硬化体を、ピアノ線で切断した際に発生する不要な部分)や、不要となった軽量気泡コンクリートの粉末(半硬化体を養生して得られる軽量気泡コンクリートを切断した際に発生する不要な部分)を用いてもよい。これらの材料を用いると、原料スラリーの発泡が安定する上に、原料費を節約できるので、好ましい。また、原料スラリーの材料としては上記固形成分や水以外に、整泡剤や減水剤などを用いることができる。
【0035】
固形成分に対して加える水の量は、全固形成分(珪酸質原料、石灰質原料、アルミニウム粉末、および石膏などの固形成分)100質量部に対して50〜90質量部である。
【0036】
原料スラリー作製工程における、起泡剤およびアルミニウム粉末の添加量は、全固形成分100質量部に対して、起泡剤を0.05質量部以下添加するとともに、アルミニウム粉末を0.09質量部以下添加するのが好ましい。起泡剤およびアルミニウム粉末の添加量を上述の範囲とすると、圧縮強度と断熱性能をともに向上させた軽量気泡コンクリートが得られるからである。
【0037】
次に、原料スラリー作製工程を経て得られた原料スラリーを所定形状の型内に打設する工程(打設工程)を実行する。
【0038】
打設工程を実行した後、発泡が完了し高さが変わらなくなり、かつ、ハンドリングが可能となるまで、原料スラリーを半硬化養生させることにより半硬化体を作製する(半硬化体作製工程)。
【0039】
次に、半硬化体を、180℃〜190℃、0.9MPa〜1.2MPaで4時間〜24時間オートクレーブ養生する(オートクレーブ養生工程)。なお、第2の方法においては必ずしも必要ではないが、オートクレーブ工程に先だって、真空引き(30分〜120分、0.001MPa〜0.004MPa)を行ってもよい。真空引きにより生産性が向上する。
【0040】
オートクレーブ養生工程を経た後、本発明の軽量気泡コンクリートが得られる。
第2の方法において、起泡剤は原料スラリーの材料に混合されるので、第2の方法で本発明の軽量気泡コンクリートを作製すると、気泡発生装置を必要とせず設備費がかからないというメリットがある。
【0041】
<実施例>
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。以下の方法により、種々の嵩密度の軽量気泡コンクリートを作製し、評価試験を行った。
(1)軽量気泡コンクリートの作製および軽量気泡コンクリートに含まれる気泡の容積比率の測定
(i)実施例1(嵩密度300kg/mの軽量気泡コンクリートの作製)
ミキサー中に、5質量部の石膏と、繰り返し原料(実施例1に対応する半硬化体の切断の際に発生する不要部分)を水と混合してスラリーとしたもの(固形成分20質量部)と、60質量部の水と、を入れた後、起泡剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩)を、有効固形分換算で0.0039質量部添加し、3分間攪拌することにより起泡させ一次スラリーを得た。
【0042】
この一次スラリーに、珪石粉末45質量部、生石灰粉末10質量部、セメント20質量部およびアルミニウム粉末0.1256質量部を加えて1分間混合することにより原料スラリーを得た。
次に、原料スラリーを型枠に打設して、発泡・硬化させ半硬化体を作製した。発泡が完了し高さが変わらなくなり、かつ、ハンドリングが可能となったところで、型枠から脱型した半硬化体を、ピアノ線で所定形状に切断した。
【0043】
次に、半硬化体をオートクレーブで、30分間、0.002MPaの条件で真空引きした後、1.024MPa(10気圧)、180℃で、4時間の養生を行うことにより、嵩密度が300kg/mの軽量気泡コンクリート(実施例1の軽量気泡コンクリート)を得た。
【0044】
(ii)気泡の容積率(容積の割合)の算出
(i)で得られた軽量気泡コンクリートの一部を破断してその破断面を試験体の破断面(10mm×10mm)を、KEYENCE社製 デジタルマイクロスコープ VHXを用いて、50倍の倍率で観察し、気泡径が0.5mm未満の気泡Aの気泡数A1及び平均気泡径A2、ならびに、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの気泡数B1及び平均気泡径B2を求めた。これにより、10mm×10mm×10mmの軽量気泡コンクリート中の気泡Aの容積率および気泡Bの容積率を次の計算式により求めた。
1000mm中の気泡Aの気泡の数A3は、A3=A1×10/A2
であるので、
1000mm中の気泡Aの気泡容積A4は、A4=A3×4π/3×(A2/2)である。
なお、1000mm中の気泡Aの気泡の数A3は、面積が(10mm×10mm)の試験体の表面に存在する気泡Aの気泡数A1と、試験体の高さ(10mm)方向に存在する気泡Aの個数(10/A2)とを乗ずることにより求めた。
同様に、1000mm中の気泡Bの気泡の数B3はB3=B1×10/B2
であるので、
1000mm中の気泡Bの気泡容積B4は、B4=B3×4π/3×(B2/2)である。
なお、1000mm中の気泡Bの気泡の数B3は、面積が(10mm×10mm)の試験体の表面に存在する気泡Bの気泡数B1と、試験体の高さ(10mm)方向に存在する気泡Bの個数(10/B2)とを乗ずることにより求めた。
気泡Aの容積率(容積%)及び気泡Bの容積率(容積%)は以下のとおりである。
気泡Aの容積率=100×A4/(A4+B4)
=100×A3×A2/(A3×A2+B3×B2
気泡Bの容積率=100×B4/(A4+B4)
=100×B3×B2/(A3×A2+B3×B2
(i)で得られた軽量気泡コンクリートは、全気泡の総容積に対する気泡A(気泡径が0.5mm未満の気泡)の割合が5容積%であり、気泡B(気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡)の割合が95容積%であった。
【0045】
[実施例2〜95]
繰り返し原料として、その実施例に対応する半硬化体の切断の際に発生する不要部分を水で溶かして用い、起泡剤およびアルミニウム粉末を、表1、表2および表3の該当箇所に記載した量で用い、かつ、表1〜表3に記載の嵩密度となるように軽量気泡コンクリートを作製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜95の軽量気泡コンクリートをそれぞれ作製した。表1〜表3に記載の起泡剤の量は、有効固形分に換算した量である。
実施例2〜95の軽量気泡コンクリートについても実施例1の軽量気泡コンクリートと同様に、気泡Aの容積の割合および気泡Bの容積の割合をそれぞれ算出し、表1〜表3に示した。
(3)比較品の軽量気泡コンクリートの作製
[比較例1:アルミ発泡法による嵩密度300kg/mの軽量気泡コンクリートの作製]
ミキサー中に、5質量部の石膏と、繰り返し原料(比較例1に対応する半硬化体の切断の際に発生する不要部分)を水と混合してスラリーとしたもの(固形成分20質量部)と、60質量部の水と、を入れた後3分間攪拌することにより一次スラリーを得た。
【0046】
この一次スラリーに、珪石粉末45質量部、生石灰粉末10質量部、セメント20質量部およびアルミニウム粉末0.1322質量部を加えて1分間混合することにより原料スラリーを得た。
【0047】
次に、原料スラリーを型枠に打設して、発泡・硬化させ半硬化体を作製した。発泡が完了し高さが変わらなり、かつ、ハンドリングが可能となったところで、型枠から脱型した半硬化体を、ピアノ線で所定形状に切断した。
【0048】
次に、半硬化体をオートクレーブで、30分間、0.002MPaの条件で真空引きした後、1.024MPa(10気圧)、180℃で、4時間の養生を行うことにより、嵩密度が300kg/mの比較例1の軽量気泡コンクリートを得た。
比較例1の軽量気泡コンクリートの破断面を、実施例1の(ii)に記載の方法で観察したところ、気泡径0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bのみが認められた。つまり、気泡Aの容積の割合は0容積%で、気泡Bの容積の割合100容積%であった。
【0049】
[比較例3,5,7,9,11,13,15,17:アルミ発泡法による種々の嵩密度の軽量気泡コンクリートの作製]
繰り返し原料として、その比較例に対応する半硬化体の切断の際に発生する不要部分を水で溶かして用い、アルミニウム粉末を、表1〜表3の該当箇所に記載した量で用い、かつ、表1〜表3に記載の嵩密度となるように軽量気泡コンクリートを作製したこと以外は比較例1と同様にして、比較例3,5,7,9,11,13,15,17の軽量気泡コンクリートをそれぞれ作製した。
比較例3,5,7,9,11,13,15,17の軽量気泡コンクリートの破断面を、それぞれ実施例1の(ii)に記載の方法で観察したところ、比較例1と同様に、気泡径0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bのみが認められた。つまり、これらの比較例では、気泡Aの容積の割合は0容積%で、気泡Bの容積の割合100容積%であった。
【0050】
[比較例2:起泡剤を用いた方法による嵩密度300kg/mの軽量気泡コンクリートの作製]
ミキサー中に、5質量部の石膏と、繰り返し原料(比較例2に対応する半硬化体の切断の際に発生する不要部分)を水と混合してスラリーとしたもの(固形成分20質量部)と、60質量部の水と、を入れた後、起泡剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩)を、有効固形分換算で0.0778質量部添加し、3分間攪拌することにより起泡させ一次スラリーを得た。
【0051】
この一次スラリーに、珪石粉末45質量部、生石灰粉末10質量部、セメント20質量部を加えて1分間混合することにより原料スラリーを得た。
【0052】
次に、原料スラリーを型枠に打設して、発泡・硬化させ半硬化体を作製した。発泡が完了し高さが変わらなくなり、かつ、ハンドリングが可能となったところで、型枠から脱型した半硬化体を、ピアノ線で所定形状に切断した。
【0053】
次に、半硬化体をオートクレーブで、30分間、0.002MPaの条件で真空引きした後、1.024MPa(10気圧)、180℃で、4時間の養生を行うことにより、嵩密度が300kg/mの比較例2の軽量気泡コンクリートを得た。
比較例2の軽量気泡コンクリートの破断面を実施例1の(ii)に記載の方法で観察したところ、気泡径0.5mm未満の気泡Aのみが認められた。つまり、気泡Aの容積の割合は100容積%で、気泡Bの容積の割合は0容積%であった。
【0054】
[比較例4,6,8,10,12,14,16,18:起泡剤を用いた方法による種々の嵩密度の軽量気泡コンクリートの作製]
繰り返し原料として、その比較例に対応する半硬化体の切断の際に発生する不要部分を水で溶かして用い、起泡剤を、表1〜表3の該当箇所に記載した量で用い、かつ、表1〜表3に記載の嵩密度となるように軽量気泡コンクリートを作製したこと以外は比較例2と同様にして、比較例4,6,8,10,12,14,16,18の軽量気泡コンクリートをそれぞれ作製した。表1〜表3に記載の起泡剤の量は、有効固形分に換算した量である。
比較例4,6,8,10,12,14,16,18の軽量気泡コンクリートの破断面をそれぞれ、実施例1の(ii)に記載の方法で観察したところ、比較例2と同様に、気泡径0.5mm未満の気泡Aのみが認められた。つまり、これらの比較例では、気泡Aの容積の割合は100容積%で、気泡Bの容積の割合は0容積%であった。
【0055】
(4)評価試験
実施例1〜95の軽量気泡コンクリート及び比較例1〜18の軽量気泡コンクリートについて以下の評価試験を行った。
(評価試験1:軽量気泡コンクリートの破断面の観察)
実施例1〜95の軽量気泡コンクリートおよび比較例1〜18の軽量気泡コンクリートの一部をそれぞれ、破断してその破断面をマイクロスコープ[キーエンス(株)製、品番VHV−100]を用いて、25倍〜40倍の倍率で観察した。ここで、切断面ではなく破断面を観察するのは、気泡などがカッターの刃でつぶされる可能性があるからである。
【0056】
本発明の軽量気泡コンクリートの破断面と比較品の軽量気泡コンクリートの破断面とを比較した。図1のマイクロスコープ写真は、実施例48の軽量気泡コンクリートの破断面を撮影したものであり、図2のマイクロスコープ写真は、アルミ発泡法により作製した比較例9の軽量気泡コンクリートの破断面を撮影したものであり、図3のマイクロスコープ写真は、起泡剤を用いて作製した比較例10の軽量気泡コンクリートの破断面を撮影したものである。
【0057】
本発明の軽量気泡コンクリートには、図1に示すように、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡B(図2に示す軽量気泡コンクリートに生じる気泡と同程度の大きさの気泡)と、気泡径が0.5mm未満の気泡A(図3に示す軽量気泡コンクリートに生じる気泡と同程度の大きさの気泡)とが認められるとともに、連通性がある気泡2が認められた。他の実施例品でも同様であった。
【0058】
図2に示す比較例9の軽量気泡コンクリートでは、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bが認められ、図3に示す比較例10の軽量気泡コンクリートでは、気泡径が0.5mm未満の気泡Aと、明瞭な亀裂Kの発生が認められた。なお、本発明の軽量気泡コンクリートにおいては、図1からも明らかなように、亀裂の発生が認められなかった。
【0059】
(評価試験2:熱伝導率)
実施例1〜95の軽量気泡コンクリートおよび比較例1〜18の軽量気泡コンクリートから、縦200mm、横200mm、厚さ20mmの直方体状の試験片を切断し、この直方体状の試験片の熱伝導率を、JIS A 1412の熱流量計法に準拠して、測定温度20℃で測定し、測定値(W/mk)を表1〜表3に示した。測定機器としては、平板熱流法熱伝導率測定装置[英弘精機(株)製、オートΛHC−072]を用いた。
【0060】
各軽量気泡コンクリートの熱伝導率の測定値を、同じ嵩密度の比較例品であって、上記方法により算出した気泡径が0.5mm未満の気泡Aの容積率が100容積%の軽量気泡コンクリートの熱伝導率で除して熱伝導率比を算出し、この熱伝導率比の逆数を表1〜表3に示した。
【0061】
各実施例の熱伝導率比は、具体的には以下の式により算出した。
実施例1〜9の熱伝導率比=各測定値/比較例2の測定値
実施例10〜19の熱伝導率比=各測定値/比較例4の測定値
実施例20〜31の熱伝導率比=各測定値/比較例6の測定値
実施例32〜42の熱伝導率比=各測定値/比較例8の測定値
実施例43〜53の熱伝導率比=各測定値/比較例10の測定値
実施例54〜64の熱伝導率比=各測定値/比較例12の測定値
実施例65〜75の熱伝導率比=各測定値/比較例14の測定値
実施例76〜86の熱伝導率比=各測定値/比較例16の測定値
実施例87〜95の熱伝導率比=各測定値/比較例18の測定値
【0062】
熱伝導率比の逆数(表に記載の数値)が大きければ断熱性能が優れていることを意味する。熱伝導率比の逆数が1以上であれば、断熱性能が向上したと判断した。
【0063】
(評価試験3:圧縮強度)
実施例1〜95の軽量気泡コンクリートおよび比較例1〜18の軽量気泡コンクリートの中心部から、縦100mm、横100mm、高さ100mmの立方体状の試験片を切り出し、この立方体状の試験片の圧縮強度を、JIS A 5416に準拠して測定し測定値を表1〜表3に示した。測定機器としてはアムスラ―万能試験機[(株)東京試験機製作所製)を用いた。
【0064】
各軽量気泡コンクリートの圧縮強度の測定値(N/mm)を、同じ嵩密度の比較例品であって、上記方法により算出した気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの容積率が100容積%の軽量気泡コンクリートの圧縮強度で除して算出した圧縮強度比を、表1〜表3に示した。
比較例18の軽量気泡コンクリートについては破断面に大きな亀裂が入っていたため試験体を採取できず、圧縮強度を測定することができなかった。
【0065】
各実施例の圧縮強度比は具体的には以下の式により算出した。
実施例1〜9の圧縮強度比=各測定値/比較例1の測定値
実施例10〜19の圧縮強度比=各測定値/比較例3の測定値
実施例20〜31の圧縮強度比=各測定値/比較例5の測定値
実施例32〜42の圧縮強度比=各測定値/比較例7の測定値
実施例43〜53の圧縮強度比=各測定値/比較例9の測定値
実施例54〜64の圧縮強度比=各測定値/比較例11の測定値
実施例65〜75の圧縮強度比=各測定値/比較例13の測定値
実施例76〜86の圧縮強度比=各測定値/比較例15の測定値
実施例87〜95の圧縮強度比=各測定値/比較例17の測定値
【0066】
圧縮強度比の数値が大きければ圧縮強度が優れていることを意味する。圧縮強度比が1以上であれば、圧縮強度が向上したと判断した。
【0067】
圧縮強度測定後の試験片を105℃の乾燥炉に48時間入れて絶乾状態とし、そのときの質量と体積とを測定し、これらの値から嵩密度(kg/m)を算出して、所定の嵩密度であるかどうか確認した。その結果、すべての軽量気泡コンクリートにおいて、表1〜表3に記載の嵩密度のものが得られていた。
また、実施例1〜95の軽量気泡コンクリートの断熱性能と圧縮強度について総合的な判定(総合判定)を行い表1〜表3および図4のグラフに結果を示した。表1〜表3に記載の判定基準は以下の通りである。
○:断熱性能および圧縮強度のいずれか一方が向上した
◎:断熱性能および圧縮強度のいずれもが向上した
図4に示すグラフには、嵩密度(kg/m)を横軸にとり、気泡の割合(容積%)を縦軸(ただし、右側の縦軸は気泡径が0.5mm未満の気泡Aの割合、左側の縦軸は気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの割合)にとって、判定結果を示した。表1〜3に記載の総合判定が○のものはグラフ中では●、表1〜3に記載の総合判定が◎のものはグラフ中では○であり、比較例についてはグラフ中では×で示した。
グラフの読み方を説明すると、たとえば、右側の縦軸が90で左側の縦軸が10で横軸(嵩密度)が400のものは実施例30の軽量気泡コンクリートに相当し、このものの総合判定の結果が●で示されている(表では○)。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
(考察)
実施例4〜9、実施例12〜19、実施例22〜31、実施例33〜95の軽量気泡コンクリートは、気泡径が0.5mm未満の気泡Aの容積率が100容積%で同密度の軽量気泡コンクリート以上の断熱性能を有しており、これらの軽量気泡コンクリートでは、断熱性能が向上したといえる。
ここで、たとえば実施例4の軽量気泡コンクリートと同密度で、気泡径が0.5mm未満の気泡Aの容積率が100容積%の軽量気泡コンクリートとは、比較例2の軽量気泡コンクリートのことをいい、実施例12の軽量気泡コンクリートと同密度で気泡径が0.5mm未満の気泡Aの容積率が100容積%の軽量気泡コンクリートとは比較例4の軽量気泡コンクリートのことをいう。
また、実施例1〜7、実施例10〜18、実施例20〜29、実施例32〜40、施例43〜51、実施例54〜62、実施例65〜72、実施例76〜82、実施例87〜92の軽量気泡コンクリートは、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの容積率が100容積%で、同密度の軽量気泡コンクリート以上の圧縮強度を有しており、これらの軽量気泡コンクリートでは圧縮強度が向上したといえる。
ここで、たとえば実施例1の軽量気泡コンクリートと同密度で気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの容積率が100容積%の軽量気泡コンクリートとは、比較例1の軽量気泡コンクリートのことをいい、実施例10の軽量気泡コンクリートと同密度で気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの容積率が100容積%の軽量気泡コンクリートとは比較例3の軽量気泡コンクリートのことをいう。
【0072】
なお、実施例1〜3、実施例10〜11、実施例20〜21、実施例32の軽量気泡コンクリートは、気泡径が0.5mm未満の気泡Aの容積率が100容積%で同密度の軽量気泡コンクリートよりは断熱性能は劣るものの、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの容積率が100容積%で同密度の軽量気泡コンクリート以上の断熱性能を有していた。
また、実施例8〜9、実施例19、実施例30〜31、実施例41〜42、実施例52〜53、実施例63〜64、実施例73〜75、実施例83〜86、実施例93〜95の軽量気泡コンクリートは、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの容積率が100容積%で同密度の軽量気泡コンクリートよりは圧縮強度は劣るものの、気泡径が0.5mm未満の気泡Aの容積率が100容積%で同密度の軽量気泡コンクリート以上の圧縮強度を有していた。
これらの結果から、本発明によれば、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの容積率が100容積%で同密度の軽量気泡コンクリートよりも断熱性能が向上し、気泡径が0.5mm未満の気泡Aの容積率が100容積%で同密度の軽量気泡コンクリートよりも圧縮強度が向上するということがわかった。
【0073】
実施例品のうち、実施例4〜7、実施例12〜18、実施例22〜29、実施例33〜40、実施例43〜51、実施例54〜62、実施例65〜72、実施例76〜82、実施例87〜92の軽量気泡コンクリートでは、断熱性能と圧縮強度がともに向上した。
断熱性能および圧縮強度がともに向上した実施例品のうち、嵩密度が300kg/m以上500kg/m未満の実施例品(実施例4〜7、実施例12〜18、実施例22〜29、実施例33〜40)は、嵩密度をYkg/mとした場合に、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの割合P(容積%)が、15容積%以上で、(0.1Y+45)容積%以下であった(図4に示すグラフを参照)。
断熱性能および圧縮強度がともに向上した実施例品のうち、嵩密度が500kg/m以上700kg/m以下の実施例品(実施例43〜51、実施例54〜62、実施例65〜72、実施例76〜82、実施例87〜92)は、嵩密度をYkg/mとした場合に、気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの割合P(容積%)が、(0.1Y−35)容積%以上で、95容積%であった(図4に示すグラフを参照)。
この結果から、本発明では、嵩密度が300kg/m以上500kg/m未満であり、かつ、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの割合P(容積%)が、15≦P≦0.1Y+45であるか、あるいは、嵩密度が500kg/m以上700kg/m以下であり、かつ、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡Bの割合P(容積%)が、0.1Y−35≦P≦95であれば、断熱性能と圧縮強度をともに向上させることが可能であるということが分かった。
【符号の説明】
【0074】
A…気泡径が0.5mm未満の気泡
B…気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡
2…連通性がある気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合が5容積%以上95容積%以下であるとともに、全気泡の総容積に対する気泡径が0.5mm未満の気泡の割合が5容積%以上95容積%以下であり、かつ、嵩密度が300kg/m〜700kg/mであることを特徴とする軽量気泡コンクリート。
【請求項2】
前記嵩密度が300kg/m以上500kg/m未満であり、かつ、全気泡の総容積に対する前記気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合P(容積%)が、15≦P≦0.1Y+45(Yは嵩密度kg/mを示す)であるか、あるいは、
前記嵩密度が500kg/m以上700kg/m以下であり、かつ、全気泡の総容積に対する前記気泡径が0.5mm以上2.0mm以下の気泡の割合P(容積%)が、0.1Y−35≦P≦95であることを特徴とする請求項1に記載の軽量気泡コンクリート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−106885(P2012−106885A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256968(P2010−256968)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000185949)クリオン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】