説明

輸液バッグ

【解決課題】看護師等による取り扱いが容易で、易剥離部の開通忘れを確実に防止し得る輸液バッグを提供する。
【解決手段】輸液バッグ10は、ICチップとICチップに接続されるアンテナ43とを有し、易剥離部31の一面側に配設されるICタグ40と、易剥離部31の他面側に配設される金属材50と、を備え、易剥離部31の未開通時に、アンテナ43と金属材50とが近接されて、通信を妨害されていたICタグ40が、易剥離部31の開通に伴って、アンテナ43と金属材50とが所定間隔に離間され、通信を開始可能とされることにより、易剥離部31の開通状況を管理できるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開通可能な易剥離部を介して区画された複数の収容室を有する輸液バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者に点滴投与される輸液製剤において、使用直前に混合するのが望ましい薬剤があることが知られている。例えば、アミノ酸成分を含む薬剤とブドウ糖成分を含む薬剤とを予め混合して長時間放置すると、メイラード反応等による不都合を生ずることがある。このような場合には、混合前の各薬剤を別々に収容できる複数の収容室を備えた輸液バッグが用いられることが多い。この種の輸液バッグでは、開通可能な易剥離部を介して収容室が区画されており、使用時に収容室を押圧等することで、易剥離部が剥離開通されて各薬剤を混合できるようになっている。
【0003】
上記の輸液バッグは、通常、特定の収容室のみが注出口に連続する構造であることから、使用時に易剥離部の開通がなされず、混合されていない薬剤が患者に点滴投与される、といった医療過誤を生じるおそれがある。
【0004】
これに対して、輸液バッグを吊り下げるための吊下孔を「保護部材」で覆い、易剥離部が開通されないと、輸液バッグを使用できないようにしたものが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−245677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載される輸液バッグは、易剥離部を開通させた後、さらに混合した薬剤を所定位置に移動等させて「保護部材」を取り払った上で、吊下孔を露出させるように構成されているため、医療現場で看護師等が用いるには、操作が煩雑であり、取り扱いが難しいものであった。また、このような「保護部材」を設けても、看護師等が「保護部材」を強引に破壊してしまい、易剥離部の開通を忘れることがあった。
【0007】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的とするところは、看護師等による取り扱いが容易で、易剥離部の開通忘れを確実に防止し得る輸液バッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の輸液バッグは、開通可能な易剥離部を介して区画された複数の収容室を有する輸液バッグであって、ICチップと該ICチップに接続されるアンテナとを有し、該易剥離部の一面側に配設されるICタグと、該ICタグに対応して、該易剥離部の他面側に配設される金属材と、を備え、該易剥離部の未開通時に、該アンテナと該金属材とが近接されて、通信を妨害されていた該ICタグが、該易剥離部の開通に伴い、該アンテナと該金属材とが所定間隔に離間されて、通信を開始可能とされることにより、該易剥離部の開通状況を管理できるように構成されている。
【0009】
上記本発明の輸液バッグは、該ICタグの通信に利用される周波数帯が、13.56MHzであることが好ましい。
【0010】
また、上記本発明の輸液バッグは、該金属材が、金属箔からなることが好ましい。
【0011】
また、上記本発明の輸液バッグは、該アンテナが、該金属材を該ICタグの方向に投影してできる投影図の内方に位置するように、該ICタグと該金属材とが配設されることが好ましい。
【0012】
また、上記本発明の輸液バッグは、該ICタグと該金属材とを少なくとも二組備え、該ICタグが、該易剥離部の両面側に配設されることが好ましい。
【0013】
また、上記本発明の輸液バッグは、該易剥離部の開通に伴い、該収容室に収容されていた内容物が混合されてできる輸液製剤の介在により、該ICタグが、所定時間継続して通信可能に構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、看護師等による取り扱いが容易で、易剥離部の開通忘れを確実に防止し得る輸液バッグを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る輸液バッグを示す正面斜視図である。
【図2】実施形態に係る輸液バッグを示す背面斜視図である。
【図3】実施形態に係る輸液バッグを示す側面断面図である。
【図4】実施形態に係る輸液バッグの使用状況を示す図である。
【図5】他の実施形態に係る輸液バッグを示す斜視図である。
【図6】他の実施形態に係る輸液バッグを示す斜視図である。
【図7】他の実施形態に係る輸液バッグを示す斜視図である。
【図8】他の実施形態に係る輸液バッグを示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図4を参照して詳細に説明する。図1〜図4は本実施形態に係る輸液バッグ10を示しており、図1は正面斜視図、図2は背面斜視図、図3は側面断面図、図4は使用状況を示す図である。
なお、本発明における「ICタグ」は、RFID(Radio Frequency Identification)
に使用されるデータキャリアで、誘導電磁界または電波によって、外部と非接触通信が可能な情報媒体である。この「ICタグ」は、非接触ICタグ、無線ICタグ、RFIDタグ、RFタグ、電子タグ等様々に呼ばれることがあるが、本明細書では代表して「ICタグ」の用語を用いるものとする。
【0017】
図1〜図3に示すように、本実施形態の輸液バッグ10は、袋容器状をなすバッグ本体20と、バッグ本体20の所定箇所に配設されるICタグ40および金属材50と、を主として備えている。
【0018】
バッグ本体20は、熱可塑性樹脂製フィルムからなり、図1〜図3に示すように、四方の周縁部22をヒートシールされるとともに、その内方に、周縁部22と連続する仕切部23が横設されている。これにより、バッグ本体20は、上下に区画された第1収容室25、第2収容室26を有する。
【0019】
図1〜図3に示すように、第1収容室25、第2収容室26は、それぞれ内容物として薬剤25a、26aを密封収容している。薬剤25a、26aは、例えばアミノ酸液と還元糖液の組み合わせであるが、液体に限らず、ゲル状の流動体を収容するようにしてもよい。また、薬剤25a、26aの何れか一方を粉粒体等とすることもできる。
【0020】
周縁部22の上辺には、バッグ本体20を図3に示す如くの鉛直状に吊り下げるための吊下孔28が穿設されている。吊下孔28に替えて、適宜のフック等を用いてもよい。バッグ本体20の下方には、第2収容室26に連通し、輸液チューブ(図示せず)等に接続可能な注出口29が付設されている。
【0021】
輸液バッグ10では、仕切部23が、周縁部22と同様にヒートシールによって形成されるが、開通可能な易剥離部31を有している。易剥離部31においては、他の部分のヒートシールに比べてシール強度が弱くされ、相対的に剥離し易くなっている。例えば、易剥離部31について他の部分よりも加熱温度を低くする、押圧力を下げる、押圧時間を短くする、あるいはこれらを適宜組み合わせることにより、シール強度を調節することができ、同一の構成素材で強シール領域と弱シール領域を形成することが可能となる。
易剥離部31を含むバッグ本体20の構成素材として、ヒートシール性の観点からは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン等からなる単層ないし複層フィルムが好適に用いられる。但し、これらの合成樹脂以外の素材やシール強度を調節可能な他のシール手段(例えば接着剤)を適宜用いるようにしてもよい。
【0022】
この実施形態では、図1〜図2に示すように、仕切部23の大半に亘って易剥離部31が形成されている。第1収容室25、第2収容室26の何れかに外圧を加えることにより、易剥離部31が剥離開通され、第1収容室25と第2収容室26とを連通させることができる(図4参照)。
【0023】
図1〜図3に示すように、易剥離部31の正面側および背面側には、それぞれICタグ40およびICタグ40に対応する金属材50が配設されている。これらのICタグ40と金属材50とは、易剥離部31の剥離面32を挟んで対向する(図3参照)。必要に応じ、カバーフィルム(図示せず)等を用いて、ICタグ40や金属材50を被覆保護するようにしてもよい。
【0024】
ICタグ40および金属材50は、ごく薄い矩形ラベル状をなし、図示しない粘着剤または接着剤を介して、易剥離部31の外表面に貼付されている。このような態様であれば、バッグ本体20を製造後に、ICタグ40と金属材50とを後付けできるため、既存設備を利用して、輸液バッグ10を簡単に製造することが可能となる。
【0025】
ICタグ40は、図1に示すように、ICチップ42と、このICチップ42に接続されるループ状のアンテナ43とを基材シートに搭載してなる。ICチップ42は、図示しない記憶手段や制御手段を有し、少なくとも輸液バッグ10を識別するための識別データ(固有IDその他のコードや番号、輸液バッグ10の種類、薬剤25a、26aの名称・容量等に係るデータ)を記憶している。アンテナ43は、アンテナパターンの印刷またはエッチング加工等によって形成される。輸液バッグ10は、輸送時等において、仕切部23で二つ折りにされることがあるため、ICタグ40の上下幅はなるべく小さくして、アンテナ43の折れ曲り等を避けるのが好ましい。
【0026】
本実施形態のICタグ40は、周波数帯として13.56MHz(短波帯)を利用する電磁誘導方式にて通信をおこなうものである。ICタグ40自体は電池を備えていないが、外部から供給される電波による磁束をアンテナ43内に交差させ、磁界エネルギーを得て起電力を発生させることで、所定データの送受信等をおこなえるようになっている。このようなICタグ40は、電池を内蔵する場合に比べ、安価で小型化が可能であり、保守管理も容易なことから、輸液バッグ10を構成するのに好適である。
【0027】
ICタグ40の通信に利用される周波数帯は、上記の13.56MHz(短波帯)に限られるものではないが、2.45GHz(マイクロ波帯)は電波の直進性が強いため通信角度範囲が狭く、860〜960MHz(UHF帯)は長距離通信が可能である一方、ICタグが大きくなる。また、後述する金属材50のような金属の影響を比較的受け難いため、本発明が期待する作用効果を奏し得ないおそれがある。
【0028】
これに対して、上記の13.56MHz(短波帯)や135KHz未満(長波帯)の周波数帯を利用する電磁誘導方式のものは、通信角度範囲が広いため、輸液バッグ10にとって好都合である。中でも上記の13.56MHz(短波帯)の周波数帯の場合、ICタグ40の薄型化が可能で加工もし易く、必要な通信距離も十分に確保できる。しかも、13.56MHz(短波帯)の周波数帯のものは、金属の影響を受け易く、金属以外の物質透過性に優れることから、特に適していると言える。
【0029】
金属材50は、易剥離部31の未開通時(図3参照)に、ICタグ40の外部との通信を妨害する働きをするものである。金属材50は、好適にはアルミニウム箔であるが、ICタグ40のアンテナ43に近接されたときに、その通信を妨害し得るものであれば、金属の種類や形状等に限定はない。使用可能な金属としては、アルミニウムの他に、例えば鉄、ニッケル、銅、亜鉛、銀、金等が挙げられる。
【0030】
金属材50は、易剥離部31への配設の点を考慮すると、薄い平板状のものが好ましい。金属を蒸発させて基板上に付着させた蒸着材を用いてもよいが、金属を加圧成形してなる圧延材の方が、ICタグ40の通信を確実に妨害し得るため好ましい。本実施形態のように、金属材50として、アルミニウム箔等の金属箔を用いる場合には、さらに軽量となるだけでなく、易剥離部31への追従性が向上して薄落し難くなるため、特に好ましい。金属箔に紙、繊維、樹脂等を適宜積層して金属材50を構成するようにしてもよい。
【0031】
金属材50と、上記したICタグ40とは、所定の位置関係となるように配設するのがよい。すなわち、ICタグ40のアンテナ43が、金属材50をICタグ40の方向に投影してできる投影図の内方に位置するように配設するのが好ましい。本実施形態では金属材50と同一の輪郭線を持つ矩形状の投影図ができるが、アンテナ43の外周縁が、この投影図の外周縁から所定寸法だけ内方に位置するようになっている(図1〜図3参照)。アンテナ43の外周縁が、この投影図の外周縁に略一致する、あるいはアンテナ43が、この投影図の外周縁から突出する部分を持つような位置関係にある場合には、アンテナ43と金属材50とが近接されても、ICタグ40の通信を確実に妨害できないおそれがある。
【0032】
次に、上記の如く構成される輸液バッグ10の使用方法の一例について説明する。
易剥離部31の未開通時、図3に示すように、ICタグ40のアンテナ43と金属材50とは、最も近接した状態にある。本実施形態では、アンテナ43と金属材50との間隔dは、約0.5mmである。このため、外部から所定の電波が供給されても、金属材50に発生する渦電流によって磁束の数が減少する等して、アンテナ43周辺の磁界が乱れてしまう。したがって、ICタグ40は、所要の起電力を得ることができず、外部との通信を妨害された状態となっている。
【0033】
ICタグ40の通信を妨害するために許容されるアンテナ43と金属材50との間隔は、ICタグ40の性能やバッグ本体20の材質等によっても左右されるが、例えば本実施形態のような周波数帯13.56MHzの場合、一般には3mm程度未満、好ましくは2mm程度未満と考えられる。これに対し上記間隔dは、バッグ本体20の構成素材として上記一定の合成樹脂を用いると、通常、数十μm〜1mm程度となる。よって、ICタグ40は、金属材50によって確実に通信を妨害され得る。
【0034】
輸液バッグ10の使用時には、第1収容室25、第2収容室26の何れかを手のひら等で押圧して、図4に示すように、易剥離部31を剥離開通させる。易剥離部31の開通により、第1収容室25の薬剤25aと第2収容室26の薬剤26aとが混合されて輸液製剤36ができる。輸液バッグ10は、図示しない輸液スタンドに吊り下げられ、注出口29を介して、輸液製剤36が患者に点滴投与される。
【0035】
図4に示すように、易剥離部31の開通に伴い、剥離面32、32が離間されるとともに、ICタグ40のアンテナ43と金属材50とが間隔dに離間される。これによって、ICタグ40のアンテナ43は金属材50からの影響を免れることができる。したがって、アンテナ43は、外部から供給される所定の電波による磁界エネルギーを得て、所要の起電力を発生させることができるようになり、ICタグ40が外部との通信を開始可能とされるのである。ICタグ40の通信が開始可能となるために必要とされるアンテナ43と金属材50との間隔は、本実施形態のような周波数帯13.56MHzの場合、一般には3〜5mm程度以上、好ましくは10mm程度以上と考えられる。これに対し上記間隔dは、輸液製剤36が速やかに形成されるよう、通常、20〜30mm程度以上は確保されるため、ICタグ40は、確実に通信を開始可能となる。
【0036】
したがって、例えば上記輸液スタンドの適宜位置に、このICタグ40用に所定の磁界を発生させ得るリーダライタ46(図4参照)を設けておくと、ICタグ40の通信開始をフラグとして、輸液バッグ10における易剥離部31の開通状況を容易かつ確実に管理できる。リーダライタ46を、図示しない管理サーバにネットワーク接続等しておけば、易剥離部31の開通状況を医師等がリアルタイムに管理したり、開通履歴を蓄積してトレースすることも可能となる。リーダライタ46を一体化したPDA(携帯情報端末)を看護師等が携帯するようにしてもよく、さらに、このPDAを異常時に警告音等を発する構成としておけば、看護師等が易剥離部31の未開通を素早く察知して、迅速な処置をおこなうことができる。その他、リーダライタ46と輸液ポンプ(図示せず)等を連係させ、ICタグ40の通信開始が確認されるまで、点滴投与がおこなわれないようにしてもよい。
【0037】
上記の説明から明らかなとおり、輸液バッグ10によれば、看護師等が使用する際に、従来のような「保護部材」を取り払う等の特別な操作を何ら要しないため、取り扱いがきわめて容易である。看護師等が「保護部材」を強引に破壊してしまうといったおそれもなく、所定のICタグ40および金属材50による作用さらには易剥離部31の構造等が相俟って、易剥離部31の開通忘れを確実に防止することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態の輸液バッグ10では、易剥離部31の開通に伴い、剥離面32、32間に輸液製剤36が点滴開始後もしばらく介在するように、輸液製剤36の容量等が設定されている(図4参照)。その間、ICタグ40のアンテナ43と金属材50との間隔dも略保たれ、ICタグ40が、継続してリーダライタ46と通信可能となる。したがって、ICタグ40の誤通信等が起こり難いものとなる。
とりわけ本実施形態の輸液バッグ10では、第1収容室25、第2収容室26が上下に並設されており、輸液製剤36が第1収容室25から第2収容室26に向けて自然流下され得るため、剥離面32、32が離間した状況を維持し易い。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態においては、ICタグ40と金属材50とを一組のみ配設したが、これを二組以上配設することもできる。図5は、他の実施形態に係る輸液バッグ60の例を示しており、上記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付している(以下の図においても同様)。この輸液バッグ60では、一組目のICタグ40と金属材50とが易剥離部31における一の位置に配設されるとともに、これらから適宜の間隔を隔てて、さらに二組目のICタグ40と金属材50とが配設されている。しかも、二つの組のICタグ40、40が、易剥離部31の両面側(正面側と背面側)にそれぞれ配設されている。このような輸液バッグ60であれば、ICタグ40による通信範囲を前後上下左右等の殆ど全方向へと拡大でき、より確実な通信が可能となる。また、看護師等がバッグ本体20の何れの面にICタグ40が付されているかを全く気にしなくて済み、取り扱いが一層容易となる。
【0040】
また、上記実施形態においては、収容室25、26を上下に並設したが、収容室の配置はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示す輸液バッグ64のように、縦長の易剥離部67を介して収容室65、66を左右に区画形成し、易剥離部67にICタグ40および金属材50を配設してもよい。
【0041】
また、収容室を3室以上有するものであっても本発明は適用できる。図7には、このような輸液バッグ70の例を示している。輸液バッグ70では、逆さT字状の易剥離部74によって収容室71、72、73を区画形成し、易剥離部74の適当な個所にICタグ40および金属材50を配設している。
【0042】
また、上記実施形態においては、ICタグ40および金属材50を、易剥離部31の外表面に貼付した態様について説明したが、例えば、図8に示す輸液バッグ78のような構成を採用することもできる。輸液バッグ78では、バッグ本体20が、外層フィルム79と内層フィルム80との少なくとも2層構成をなす複合フィルム81を用いて形成されている。そして、易剥離部31においては、薄型ラベル状のICタグ83および金属箔からなる金属材85が、図示しない接着剤等を介して、それぞれ外層フィルム79と内層フィルム80との間にラミネートされている。このような輸液バッグ78によれば、ICタグ83のアンテナ(図示せず)と金属材85との間隔dをより小さく形成することが可能となる。よって、易剥離部31の未開通時に、ICタグ83の通信を一層確実に妨害することができる。また、輸液バッグ78の輸送時等において、ICタグ83や金属材85が剥落したり、損傷するおそれを低下させることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 輸液バッグ
20 バッグ本体
25、26 収容室
25a、26a 薬剤
31 易剥離部
32 剥離面
36 輸液製剤
40 ICタグ
42 ICチップ
43 アンテナ
50 金属材
、d 間隔



【特許請求の範囲】
【請求項1】
開通可能な易剥離部を介して区画された複数の収容室を有する輸液バッグであって、
ICチップと該ICチップに接続されるアンテナとを有し、該易剥離部の一面側に配設されるICタグと、
該ICタグに対応して、該易剥離部の他面側に配設される金属材と、を備え、
該易剥離部の未開通時に、該アンテナと該金属材とが近接されて、通信を妨害されていた該ICタグが、該易剥離部の開通に伴い、該アンテナと該金属材とが所定間隔に離間されて、通信を開始可能とされることにより、該易剥離部の開通状況を管理できるようになされた輸液バッグ。
【請求項2】
該ICタグの通信に利用される周波数帯が、13.56MHzである請求項1に記載の輸液バッグ。
【請求項3】
該金属材が、金属箔からなる請求項2に記載の輸液バッグ。
【請求項4】
該アンテナが、該金属材を該ICタグの方向に投影してできる投影図の内方に位置するように、該ICタグと該金属材とが配設される請求項3に記載の輸液バッグ。
【請求項5】
該ICタグと該金属材とを少なくとも二組備え、
該ICタグが、該易剥離部の両面側に配設される請求項4に記載の輸液バッグ。
【請求項6】
該易剥離部の開通に伴い、該収容室に収容されていた内容物が混合されてできる輸液製剤の介在により、該ICタグが、所定時間継続して通信可能となされた請求項4乃至5の何れかに記載の輸液バッグ。







【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−4860(P2011−4860A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149818(P2009−149818)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000137904)株式会社ミューチュアル (37)
【Fターム(参考)】