説明

輸液ポンプ

【課題】ポンプ落下等に起因する流量異常を、看護師等の医療従事者に知らせることが可能なフィンガ式の輸液ポンプを提供する。
【解決手段】ポンプ本体1に輸液チューブTを装着し、扉を閉鎖した状態で、最後退位置にあるフィンガ21の先端21bと扉12の押圧板24との間の間隔を距離センサ6によって検出する。そして、その間隔の検出値が所定の許容値よりも大きい場合に、流量異常を報知する。このような構成により、輸液ポンプの落下等によって、扉を閉鎖した状態でのポンプ機構のフィンガ21の先端21bと押圧板24との間の間隔が大きくなり、ポンプ機構にて輸液を送り出す量(輸液流量)が急上昇する異常が発生した場合には、その流量異常を、看護師等の医療従事者に知らせることが可能となり、輸液流量が異常な状態での輸液を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペリスタルティック式(蠕動式)の輸液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の薬液を体内に注入する場合などに用いる輸液ポンプとしては、例えば、機械的注入式輸液ポンプ、重力を利用した自然滴下式輸液ポンプ、予圧注入式輸液ポンプなどの種々の方式のものが知られている。
【0003】
機械的注入式輸液ポンプとしては、シリンジのピストンを押圧して輸液を行うシリンジ式輸液ポンプや、ペリスタルティック式輸液ポンプがある。また、ペリスタルティック式輸液ポンプには、ローラを備えたロータ等により輸液チューブを押圧して輸液を行うローラ式輸液ポンプ、及び、フィンガ式輸液ポンプがある。
【0004】
これら輸液ポンプのうち、フィンガ式輸液ポンプは、例えば、ポンプ本体に配列された複数のフィンガ、その各フィンガを個別に進退駆動するカム、及び、ポンプの扉側に設けられ、その扉を閉じた状態で上記複数のフィンガの先端部に対向して配置される押圧板などを有するポンプ機構を備え、輸液バッグに接続された輸液チューブ(例えば、ポリ塩化ビニルやポリブタジエン製)を、ポンプ本体(複数のフィンガの前面側)に装着し扉を閉じることにより、輸液チューブを上記複数のフィンガと押圧板との間に配置するようになっている。そして、この状態で、各フィンガをカムにて個別に進退駆動することにより、輸液チューブを各フィンガで順次押圧して輸液を蠕動運動にて送り出すことができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−076596号公報
【特許文献2】特開平11−342199号公報
【特許文献3】特開2008−113726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フィンガ式の輸液ポンプでは、一般に、扉がポンプ本体にヒンジを介して揺動自在に支持されており、例えば、輸液を床などに落とした際に、その落下の衝撃によりヒンジ部分に「がた」が生じる場合がある。また、長期の使用等により扉開閉の累積回数が多くなった場合にもヒンジ部分に「がた」が生じる場合がある。このようにしてヒンジ部分に「がた」が生じると、扉を閉鎖した状態でのポンプ機構のフィンガ先端と押圧板との間の間隔(距離)が大きくなる場合がある。こうした状況になると、輸液ポンプの運転中に、最前進位置に移動するフィンガによって輸液チューブが完全に閉塞されなくなってしまい、輸液の自由落下であるフリーフローが発生し、輸液の流量が急上昇してしまうおそれがある。
【0007】
また、輸液ポンプ落下の衝撃等によって扉が変形した場合にも、扉の閉鎖状態でのポンプ機構のフィンガ先端と押圧板との間の間隔が大きくなる場合があって、この場合も同様に輸液流量の急上昇が生じるおそれがある。
【0008】
そして、このような輸液流量の異常を、看護師等が気づかずに輸液を行うと、予定量の輸液(正常な輸液)を行うことができなくなるおそれがある。
【0009】
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、ポンプ落下等に起因する輸液流量の異常を、看護師等の医療従事者に知らせることが可能なフィンガ式の輸液ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一方向に配列された複数のフィンガと、その各フィンガを個別に進退駆動するカムと、前記複数のフィンガの前面側を開閉自在に閉鎖する扉に設けられ、前記扉を閉鎖した状態で前記複数のフィンガの先端部に対向して配置される押圧板とを有するポンプ機構を備え、前記扉の閉鎖により前記ポンプ機構の複数のフィンガと前記押圧板との間に輸液チューブを配置した状態で、前記各フィンガを輸液チューブに対して進退駆動することにより輸液を蠕動運動で送り出す輸液ポンプを前提としており、このような輸液ポンプにおいて、前記扉が閉鎖している状態で、前記ポンプ機構のフィンガの先端と前記押圧板との間の間隔に関する値が所定の許容値よりも大きい場合に異常を報知する異常報知手段(例えば、制御部3、表示パネル121及びブザー装置9等)を備えていることを技術的特徴としている。
【0011】
本発明によれば、扉が閉鎖状態であるときのポンプ機構のフィンガ先端と扉側の押圧板との間の間隔に関する値が所定の許容値よりも大きい場合には異常を報知するので、輸液ポンプの落下等により、扉閉鎖状態でのフィンガ先端と押圧板との間の間隔が大きくなって輸液流量が急上昇する異常が発生した場合には、その異常を、看護師等の医療従事者に知らせることができる。これによって輸液流量が異常な状態での輸液を防止することができる。
【0012】
ここで、扉閉鎖状態でのフィンガ先端と押圧板との間の間隔に対して設定する上記許容値は、例えば、ポンプ落下等に起因する輸液流量の急上昇(フリーフロー)が発生しない間隔(フィンガ先端と押圧板との間隔)の上限値を実験・計算等によって取得しておき、その上限値を考慮して設定すればよい。
【0013】
本発明の具体的な構成として、扉の閉鎖状態で最後退位置または最前進位置にあるフィンガの先端と押圧板との間の間隔を検出する間隔検出手段(例えば、距離センサ)を備えさせ、扉が閉鎖している状態のときに、前記間隔検出手段によって検出されるフィンガの先端と扉側の押圧板との間の間隔が所定の許容値よりも大きい場合は異常を報知するという構成を挙げることができる。
【0014】
この場合、ポンプ機構の複数のフィンガの上流側(輸液送り方向の上流側)と下流側の2箇所に間隔検出手段(距離センサ)を配置しておくと、扉のヒンジ部分のがたつきにより、扉がポンプ本体(前面壁)に対して斜めに傾いた場合であっても、それら2つの間隔検出手段(距離センサ)の検出値に基づいて、扉の閉鎖状態でのフィンガの先端と扉側の押圧板との間の間隔が正常の範囲内(許容値内)であるか否かを正確に判定することができる。
【0015】
また、ポンプ機構のフィンガ先端と扉側の押圧板との間の間隔と、ポンプ本体の前面壁と扉側の押圧板との間の間隔とには相関があるので、その前面壁と押圧板との間の間隔を検出し、この検出値が許容値よりも大きい場合に輸液流量の異常を報知するようにしてもよい。
【0016】
他の具体的な構成として、扉の閉鎖状態でポンプ機構のフィンガ先端と扉側の押圧板との間の間隔が許容値よりも大きい場合にオン状態になるリミットスイッチを備えさせ、扉が閉鎖しているときに上記リミットスイッチがオン状態である場合に輸液流量の異常を報知するという構成を挙げることができる。なお、この場合、扉の閉鎖状態でポンプ機構のフィンガ先端と扉側の押圧板との間の間隔が許容値よりも大きい場合にオフ状態になるリミットスイッチを用いてもよい。
【0017】
また、本発明の他の解決手段として、一方向に配列された複数のフィンガと、その各フィンガを個別に進退駆動するカムと、前記複数のフィンガの前面側を開閉自在に閉鎖する扉に設けられ、前記扉を閉鎖した状態で前記複数のフィンガの先端部に対向して配置される押圧板とを有するポンプ機構を備え、前記扉の閉鎖により前記ポンプ機構の複数のフィンガと前記押圧板との間に輸液チューブを配置した状態で、前記各フィンガを輸液チューブに対して進退駆動することにより輸液を蠕動運動で送り出す輸液ポンプにおいて、前記扉の閉鎖状態で前記押圧板が輸液チューブから受ける圧力を検出する圧力検出手段(例えば、感圧センサ)を備え、前記扉が閉鎖している状態のときに前記圧力検出手段によって検出される圧力が所定の許容値よりも小さい場合に異常を報知するという構成を挙げることができる。
【0018】
この発明では、扉が閉塞状態であるときに、最前進位置にあるフィンガの先端と扉側の押圧板との間の間隔が正常である場合には、押圧板が輸液チューブから受ける圧力は最大であり、これに対し、上記した理由(輸液ポンプの落下時の衝撃等)によって、扉閉鎖状態でのフィンガ先端と押圧板との間の間隔が大きくなった場合には、押圧板に作用する圧力が低下する、という点に着目して、扉が閉鎖している状態のときに、上記圧力検出手段によって検出される圧力(押圧板に作用する圧力)が所定の許容値よりも小さい場合に異常を報知する点に特徴がある。
【0019】
この発明においても、輸液ポンプの落下等により、扉閉鎖状態でのフィンガ先端と押圧板との間の間隔が大きくなって輸液流量が急上昇する異常が発生した場合には、その異常を、看護師等の医療従事者に知らせることができる。これによって輸液流量が異常な状態での輸液を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、輸液ポンプ落下等に起因する輸液流量の異常を、看護師等の医療従事者に知らせることができる。これによって輸液流量が異常な状態での輸液を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の輸液ポンプの一例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の輸液ポンプの一例を示す概略構成図である。この図2では輸液ポンプの扉を開いた状態を示している。
【図3】図2に示す扉においてロックレバーをロック側に操作した状態を示す図である。
【図4】図3のX矢視図である。
【図5】本発明の輸液ポンプの一例を示す概略構成図である。この図5では輸液ポンプの扉を閉じた状態を示している。なお、図5では扉の図示は省略している。
【図6】本発明の輸液ポンプに適用するポンプ機構の構造を示す図である。
【図7】ポンプ機構のフィンガの動作を示す図である。なお、図7は各フィンガをカム軸と直交する面で切断した断面図である。
【図8】ポンプ機構の動作説明図である。
【図9】ポンプ機構の動作説明図である。
【図10】輸液ポンプの制御系の一例を示す図である。
【図11】ポンプ機構のフィンガ、押圧板、及び、距離センサの位置関係を示す図である。なお、図11はポンプ機構のカム軸と直交する面で切断した断面図を示している。
【図12】本発明の輸液ポンプの他の例を示す概略構成図である。この図2では輸液ポンプの扉を開いた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[実施形態1]
本発明の輸液ポンプの一例について図1〜図11を参照して説明する。
【0024】
この例の輸液ポンプ1は、ペリスタルティックフィンガ式の輸液ポンプであって、ポンプ本体(ケーシング)11と、このポンプ本体11の前面側(チューブ取付位置)を閉鎖する扉12とを備えている。扉12はヒンジ13,13を介してポンプ本体11に揺動自在(回転自在)に支持されており、ポンプ本体11の前面側を完全に閉鎖する位置から、完全開放位置(例えば、180°開く位置)までの間において揺動可能となっている。ポンプ本体11及び扉12には、扉12を閉めたときに、その閉塞状態を保持するための扉ロック機構5が設けられている。扉ロック機構5については後述する。
【0025】
ポンプ本体11にはチューブ装着ガイド(ガイド溝)111が設けられている。チューブ装着ガイド111は、輸液送り方向の上流側から順に、上流側ガイド部111a、この上流側ガイド部111aから矩形状に拡大したポンプ部111b、及び、下流側ガイド部111cを備えている。ポンプ部111bには、後述するポンプ機構2のフィンガ21・・21の先端部が臨んでいる。
【0026】
チューブ装着ガイド111の上流側ガイド部111aは、横方向に湾曲した形状(曲り形状)に形成されている。また、ポンプ部111bの下流側の下流側ガイド部111cは上下方向に直線状に延びる形状に形成されている。上流側ガイド部111aの溝幅及び下流側の下流側ガイド部111cの溝幅は、それぞれ、薬液バッグに接続される輸液チューブ(例えば、ポリ塩化ビニルやポリブタジエン製)Tの外径に対応する大きさとなっており、これら上流側ガイド部111a及び下流側ガイド部111cに輸液チューブTを嵌め込むことによって、輸液ポンプ1に輸液チューブTを装着することができる。
【0027】
上流側ガイド部111aにはチューブクランプ112が設けられている。チューブクランプ112は、輸液ポンプ1へのチューブ装着時に、輸液チューブTを一時的に保持する部材であり、チューブ装着後に扉12を閉じた際に自動的にクランプが解除されるようになっている。なお、チューブクランプ112の近傍には、クランプレバー(図示せず)が設けられており、輸液チューブTの装着の際に、そのクランクレバーを操作することによりチューブクランプ112を開放状態にすることができる。
【0028】
ポンプ本体11の側端部(ヒンジ13とは反対側の端部)には、後述する扉ロック機構5のロックレバー51が入り込むことが可能なレバー収容凹部11aが設けられている。さらに、そのレバー収容凹部11aの内部側に、後述するロック片52が入り込むことが可能なロック室11bが設けられている。ロック室11bの上部には、ロック片52のロック爪53が引っ掛かる係止片54が設けられている。
【0029】
一方、扉12の側端部(ヒンジ13とは反対側の端部)にロックレバー51が配置されている。ロックレバー51は、回転軸51aを中心として回動自在に設けられており、図2に示すロック開放位置(非ロック位置)から、扉12をロックするロック位置(図3及び図5に示す位置)までの間において揺動可能(例えば、略90°揺動可能)となっている。ロックレバー51にはロック片52が一体形成されている。ロック片52の先端部にはロック爪53が設けられており、ロックレバー51を操作してロック位置に配置したときに、ロック爪53が上記したポンプ本体11に設けた係止片54に係合して(図5参照)、扉12が完全閉鎖状態に保持される。そして、これらロックレバー51、ロック片52、ロック爪53、及び、上記ポンプ本体11の係止片54によって扉ロック機構5が構成されており、そのロックレバー51を操作することによって扉ロック機構5をロック位置または非ロック位置に配置することができる。
【0030】
また、扉12の内面側には押圧板24が設けられている。押圧板24は、扉12を閉じた状態で上記ポンプ機構2のフィンガ21(最後退位置のフィンガ21)の先端21bに対して所定の間隔Ga(図11参照)をあけて対向するようになっている。また、押圧板24には矩形の被検出部241が一体形成されている。被検出部241の被検出面241aは押圧板24の押圧面(前面)と同一平面上にある。そして、被検出部241は、ポンプ本体11に配置した距離センサ6(詳細は後述する)に対応する位置に設けられており、扉12を閉鎖した状態で、被検出部241の被検出面241aと距離センサ6の検出面6aとが対向するようになっている(図5及び図11参照)。
【0031】
以上の構成の輸液ポンプ1に輸液チューブTをセットする際には、扉12を開き、薬液バッグに接続された輸液チューブTを、[上流側ガイド部111a]→[チューブクランプ112]→[ポンプ部111b]→[下流側ガイド部111c]の順に嵌め込むことによって輸液チューブTを装着する。このようなチューブ装着が終了した後に、扉12を閉め、扉ロック機構5によって扉12を閉鎖状態にロックすることにより、輸液チューブTのセッティングを完了する。なお、この例では、上述したように、扉12を閉塞した状態では、上流側ガイド部111aのチューブクランプ112は開放される。また、輸液完了後などにおいて、扉12を開いたときには、チューブクランプ112によって輸液チューブTが閉塞され、いわゆるフリーフローが防止される。
【0032】
−ポンプ機構−
次に、ポンプ機構2の具体的な例について図6〜図9を参照して説明する。なお、図6〜図9において、偏心カム22については切断しないで表記している。
【0033】
ポンプ機構2は、一方向(上記ポンプ本体11に装着した輸液チューブTに沿う方向)に沿って配列された複数(図6に示す例では13個)のフィンガ21・・21、その各フィンガ21をそれぞれ個別に進退駆動するための偏心カム22・・22、各偏芯カム22を回転するカム軸23、上記した押圧板24、及び、保持フレーム20などによって構成されている。
【0034】
保持フレーム20の前面側には各フィンガ21に対応する位置に開口部20a・・20aが設けられており、この開口部20aを通じて各フィンガ21の先端部が保持フレーム20の前面側(輸液チューブT側)に臨んでいる。また、これら複数のフィンガ21・・21の軸方向(カム軸23の軸心方向)の移動は保持フレーム20によって規制されている。なお、各フィンガ21は板状の部材であって、相互に摺動しながら個別に移動(進退移動)可能となっている。
【0035】
各フィンガ21にはそれぞれカム穴21aが形成されている。その各カム穴21aには、それぞれ円板状の偏心カム22が嵌め込まれている。各偏心カム22はカム穴21a内において回転可能であり、これら偏心カム22・・22は上記カム軸23に回転一体に取り付けられている。
【0036】
各偏心カム22は、その円板の中心がカム軸23に対して偏心しており、図7に示すように、カム軸23が1回転(360°回転)すると、フィンガ21の先端部が最前進位置(チューブ閉塞位置)と最後退位置(チューブ完全開放位置)との間を1回往復するようになっている。そして、これらの複数の偏心カム22は相互に所定の位相差(カム軸23の回転方向の位相差)をもってカム軸23に取り付けられている。具体的には、偏心カム22・・22は、カム軸23の軸方向に並ぶ複数のフィンガ21・・21の先端部が略正弦波に沿うような位相差(360°/偏心カム22の数)でカム軸23に取り付けられている。なお、図7には、カム軸23が90°回転するごとのフィンガ21の位置を示している。
【0037】
上記ポンプ機構2のカム軸23は、図6に示すように、上下方向(複数のフィンガ21・・21の配列方向)に沿って設けられている。カム軸23の下端部は、保持フレーム20に設けられたベアリング26によって回転自在に支持されている。カム軸23の上側部分は、保持フレーム20の壁体を貫通して上方に突出している。そのカム軸23の貫通部分にはベアリング25が設けられており、そのベアリング25によってカム軸23の上側部分が回転自在に支持されている。
【0038】
カム軸23の上端部にはタイミングプーリ(従動プーリ)201が回転一体に取り付けられている。このカム軸23のタイミングプーリ201と、電動モータ(例えばステッピングモータ)4の回転軸41に回転一体に取り付けられたタイミングプーリ(駆動プーリ)202との間にタイミングベルト203が巻き掛けられており、その電動モータ4の駆動によりカム軸23が回転する。電動モータ4は制御部3によって駆動制御(回転数制御)される。なお、この例において、電動モータ4には、輸液ポンプ1に内蔵の電池または商用電源からの電力が供給されるようになっている。
【0039】
そして、電動モータ4の駆動によりカム軸23が回転すると、各偏心カム22がフィンガ21のカム穴21a内で回転する。この偏心カム22の偏心回転に伴って、各フィンガ21が上流側(輸液送り方向の上流側)から下流側にかけて順次前進・後退していく。具体的には、図8(A)、(B)及び図9(A)、(B)に示すように、フィンガ21の先端部が上流側から下流側に蠕動波状に移動していく。このようなフィンガ21・・21の進退移動(往復移動)によって、これらフィンガ21・・21の先端部と押圧板24との間に配置された輸液チューブTに蠕動運動が付与され、当該輸液チューブT内の輸液が上流側から下流側へと送り出されていく。なお、この例では、輸液チューブTがフィンガ21・・21から受ける過負荷を軽減するために、押圧板24とベース板15との間に緩衝シート24aが設けられている。
【0040】
ここで、この例の輸液ポンプ1においては、電動モータ4が停止状態のときに、ポンプ機構2の複数のフィンガ21・・21のうち、1つのフィンガ21もしくは2つのフィンガ21が最前進位置(チューブ完全閉塞位置)に配置され、扉12を閉鎖した状態で、ポンプ機構2の1つのフィンガ21もしくは2つのフィンガ21によって輸液チューブTが完全閉塞される。
【0041】
−制御部等の構成−
制御部3は、マイクロコンピュータ等を主体として構成されている。制御部3には、図10に示すように、ポンプ本体11の装着された輸液チューブT内に混入した気泡を検出する気泡センサ(例えば超音波センサ)7、扉12の閉鎖状態などを検出する閉塞センサ8、後述する距離センサ6などが接続されており、その各センサの出力信号が制御部3に入力される。
【0042】
また、制御部3には、上記したポンプ機構2の駆動用の電動モータ4、ブザー装置9、及び、扉12の前面に設置された表示操作部120(図1参照)などが接続されている。表示操作部120は、表示パネル(液晶ディスプレイ)121と、操作パネル122とを備えている。
【0043】
そして、制御部3は、表示操作部120の操作パネル122の操作にて設定(入力)された輸液流量(単位時間当たりの輸液の送り量)の設定値に応じて、ポンプ駆動機構2の電動モータ4の回転数を制御することにより輸液流量を可変に調整する。この例では、例えば輸液流量を1mL/h〜1200mL/hの範囲内において、[1mL/h]単位で設定することができる。
【0044】
また、制御部3は、表示操作部120の表示パネル121に、「輸液流量(注入量)」や「注入積算時間」などの動作情報を表示する処理、気泡センサ7の出力信号に基づいて輸液チューブT内に混入した気泡の長さを認識し、その気泡長さが所定値以上の気泡が存在する場合には、気泡異常を表示パネル121に表示すると同時にブザー装置9を作動する処理、及び、閉塞センサ8の出力信号に基づいて、例えば、扉12が確実に閉じているか否かの情報を表示パネル121に表示する処理などを行う。
【0045】
さらに、制御部3は、距離センサ6の出力信号に基づいて、後述する処理により、「流量異常」を表示パネル121に表示するとともに、ブザー装置9を作動する処理を行う。
【0046】
−特徴部分−
次に、この例の輸液ポンプ1の特徴部分について説明する。
【0047】
まず、このフィンガ式の輸液ポンプ1において、ポンプ本体11に輸液チューブTを装着し、扉12を閉鎖した状態で、ポンプ機構2の複数のフィンガ21・・21のうち、最後退位置(チューブ完全開放位置)にあるフィンガ21の先端21bと、扉12側の押圧板24(フィンガ21側の面)との間の間隔Ga(図11(A)参照)を、輸液チューブT(真円状態)の直径(外径)と同じ寸法としている。また、図11(B)に示すように、1つのフィンガ21が最後退位置(チューブ完全開放位置)から最進退位置(チューブ完全閉塞位置)に移動した状態でのフィンガ21の先端21bと押圧板24との間の間隔Gbを、輸液チューブTの肉厚tの2倍よりも所定量だけ小さい寸法(Gb<2t)となるように設定している。なお、図11及び図7に示す「St」はフィンガ21の最後退位置から最進退位置のストロークである。
【0048】
ここで、この例の輸液ポンプ1においては、扉12はポンプ本体11にヒンジ13,13を介して揺動自在に支持されており、輸液ポンプ1を床等に落とした際に、その落下の衝撃によりヒンジ部分に「がた」が生じる場合がある。また、長期の使用等により扉開閉の累積回数が多くなった場合にもヒンジ部分に「がた」が生じる場合がある。このようにしてヒンジ部分に「がた」が生じると、扉12を閉鎖した状態でのポンプ機構2のフィンガ21の先端21bと扉12側の押圧板24との間の間隔が大きくなる場合がある(図11(C)参照)。こうした状況になると、輸液ポンプの運転中に、最前進位置に移動するフィンガ21によって輸液チューブTが完全に閉塞されなくなってしまい、輸液の自由落下であるフリーフローが発生し、輸液の流量が急上昇してしまうおそれがある。
【0049】
また、輸液ポンプ落下の衝撃等によって扉12が変形した場合にも、扉12の閉鎖状態でのポンプ機構2のフィンガ21の先端21bと扉12側の押圧板24との間の間隔が大きくなる場合があって、この場合も同様に輸液流量の急上昇が生じるおそれがある。
【0050】
そして、以上のような輸液流量の異常を、看護師等が気づかずに輸液を行うと、予定量の輸液(正常な輸液)を行うことができなくなるおそれがある。
【0051】
このような点を考慮し、この例では、輸液ポンプ1の落下等に起因する輸液流量の異常(流量急上昇)が発生した場合には、その異常を、看護師等の医療従事者に知らせることができるようにする。その具体的な構成について以下に説明する。
【0052】
この例の輸液ポンプ1では、図2、図5及び図11に示すように、ポンプ本体11に距離センサ6を設けている。この距離センサ6は、ポンプ部111bの側方近傍で、そのポンプ部111bの上下方向(輸液送り方向)の中央部に配置されている。
【0053】
距離センサ6は、検出面6aから被検出面までの距離を検出する反射型の光電センサである。距離センサ6の検出面6aは、図11(A)に示すように、ポンプ機構2の複数のフィンガ21・・21のうちの最後退位置(チューブ完全開放位置)にあるフィンガ21の先端21bと一致している。つまり、距離センサ6の検出面6aと、最後退位置にあるフィンガ21の先端21bとは、ポンプ本体11の前面壁110(図2等参照)と平行な同一の平面上に位置している。
【0054】
また、上述したように、扉12を閉鎖した状態で、距離センサ6の検出面6aと扉12側の押圧板24に設けた被検出面241aとが対向するようになっており、この状態で、距離センサ6によって、当該距離センサ6の検出面6aと押圧板24の被検出面241aとの間の間隔(距離)、つまり、扉12の閉鎖状態において最後退位置にあるフィンガ21の先端21bと扉12側の押圧板24との間の間隔(Ga)が検出される。この距離センサ6の出力信号は制御部3に入力される。
【0055】
制御部3は、扉12の閉塞状態での上記距離センサ6の出力信号に基づいて、当該距離センサ6の検出面6aと押圧板24の被検出面241aとの間の間隔(フィンガ21の先端21bと押圧板24の押圧面との間隔)が、所定の許容値Gathよりも大きいか否かを判定し、距離センサ6にて検出される間隔が許容値Gathよりも大きい場合には、図1及び図10に示す表示操作部120の表示パネル121に「流量異常」を表示するとともに、ブザー装置9を作動して、看護師等の医療従事者に異常を知らせる。
【0056】
なお、このような異常報知に加えて、扉12の閉塞状態での上記距離センサ6の検出値(フィンガ21の先端21bと押圧板24の押圧面との間隔)が上記許容値Gathよりも大きい場合には、ポンプ機構2の電動モータ4の駆動を禁止するようにしてもよい。
【0057】
ここで、上記許容値Gathについては、例えば、扉12の閉塞状態で最前進位置(チューブ完全閉塞位置)にあるフィンガ21の先端21bと押圧板24の押圧面との間の間隔(Gb:図11参照)をパラメータとして、フリーフロー(ポンプ落下等に起因するフリーフロー)が発生しない間隔(フィンガ先端と押圧面との間隔)の上限値GbLIMを、予め実験・計算等によって取得しておき、その結果を基に適合して設定する。例えば、許容値Gathを[Gath=St+GbLIM−マージン]と設定する。なお、「St」はフィンガ21の最後退位置から最進退位置のストロークである(図7及び図11参照)。
【0058】
以上のように、この例の輸液ポンプによれば、輸液ポンプ1の落下等によって、扉閉鎖状態でのフィンガ先端21bと押圧板24との間の間隔が大きくなって輸液流量が急上昇する異常が発生した場合には、その異常を、看護師等の医療従事者に知らせることができる。これによって輸液流量が異常な状態での輸液を防止することができ、患者に過剰に輸液が投与されてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0059】
−変形例−
以上の例では、距離センサ6(被検出面241a)を1箇所に配置しているが、これに限定されず、ポンプ部111bの上流側端部及び下流側端部の2箇所に距離センサ6を配置してもよい。この場合、ヒンジ13部分のがたつきにより、扉12がポンプ本体11の前面壁110に対して斜めに傾いた場合であっても、それら2つの距離センサ6の検出値に基づいて、扉12の閉鎖状態でのポンプ機構2のフィンガ21の先端と扉12側の押圧板24との間の間隔が正常の範囲内(許容値内)であるか否かを正確に判定することができる。
【0060】
以上の例では、扉12の閉鎖状態において最後退位置にあるフィンガ21の先端21bと扉12側の押圧板24との間の間隔を検出しているが、これに限定されず、扉12の閉鎖状態において最前進位置にあるフィンガ21の先端21bと扉12側の押圧板24との間の間隔を距離センサによって検出するようにしてもよい。この場合も、距離センサで検出される間隔が許容値(上記GbLIM−マージン)よりも大きい場合には、上記表示操作部120の表示パネル121に「流量異常」を表示するとともに、ブザー装置9を作動して、看護師等の医療従事者に異常を知らせるようにすればよい。
【0061】
なお、扉12を閉鎖した状態において、ポンプ機構2のフィンガ21の先端21bと扉12側の押圧板24との間の間隔と、ポンプ本体11の前面壁110と扉12側の押圧板24との間の間隔とには相関があるので、その前面壁110と押圧板24との間の間隔を距離センサ等によって検出し、その検出値が許容値よりも大きい場合に輸液流量の異常を報知するようにしてもよい。
【0062】
以上の例では、距離センサ6として、反射型の光電センサを用いているが、これに限られることなく、例えば、静電容量センサや超音波センサなど、他の方式の距離センサを用いてもよい。
【0063】
以上の例では、距離センサ6を用い、その距離センサ6の検出値が許容値よりも大きい場合に流量異常を報知するようにしているが、このような距離センサ6に替えてリミットスイッチを用いてもよい。
【0064】
この場合、例えば、図2及び図5に示す距離センサ6の配置位置に、リミットスイッチ60(図示せず)を設け、扉12が閉鎖している状態で、リミットスイッチ60のアクチュエータが押圧板24の被検出部241に当接するようにする。そして、フィンガ21の先端と扉12側の押圧板24との間の間隔が上記許容値Gath以内であるときにはリミットスイッチ60がオフ状態になるようにし、フィンガ21の先端21bと押圧板24との間の間隔が上記許容値Gathよりも大きくなった場合に、上記リミットスイッチ60のアクチュエータが上記押圧板24の被接触部241から離れて、リミットスイッチ60がオン状態になるように構成する。この例においても、扉12が閉鎖しているときに、リミットスイッチ60がオン状態である場合には、上記表示操作部120の表示パネル121に「流量異常」を表示するとともに、ブザー装置9を作動して、看護師等の医療従事者に異常を知らせるようにすればよい。
【0065】
なお、この例において、扉12の閉鎖状態でポンプ機構2のフィンガ21の先端21bと扉21側の押圧板24との間の間隔が許容値よりも大きい場合にオフ状態になるリミットスイッチを用いてもよい。
【0066】
[実施形態2]
次に、本発明の輸液ポンプの別の例について図12を参照して説明する。
【0067】
この例の輸液ポンプ100は、上記した[実施形態1]と同様に、ペリスタルティックフィンガ式の輸液ポンプであって、ポンプ本体(ケーシング)11と、このポンプ本体11の前面側(チューブ取付位置)を閉鎖する扉12とを備えている。扉12には、押圧板24が設けられており、扉12を閉鎖した状態で、ポンプ機構2の複数のフィンガ21・・21に押圧板24が対向するようになっている。
【0068】
この例の輸液ポンプ100において、以下に説明する構成以外については、上記した[実施形態1]と同様な構成であるので、その具体的な説明は省略する。
【0069】
扉12に設けた押圧板24には、感圧センサ206が埋め込まれている。感圧センサ206は、扉12を閉鎖した状態で、ポンプ本体11のポンプ部111bに装着の輸液チューブTに当接する位置、つまり、押圧板24の幅方向の略中央部に上下方向(輸液チューブTが沿う方向)に沿って配置されている。また、感圧センサ206の感圧面206aは押圧板24の押圧面(表面)と同一の平面上にある。この感圧センサ206の出力信号は上記制御部3に入力される。
【0070】
なお、感圧センサ206としては、例えば、圧電素子タイプの感圧センサであってもよいし、感圧導電性インクをセンサ部とし、荷重による抵抗値変化を検出する感圧センサであってもよい。また、他の方式の感圧センサを用いてもよい。
【0071】
上述したように、この例の輸液ポンプ100では、ポンプ機構2の複数のフィンガ21・・21のうち、1つのフィンガ21(もしくは2つのフィンガ21)が最前進位置(チューブ完全閉塞位置)に配置されるようになっているので、ポンプ本体11のポンプ部111bに輸液チューブTを装着し、扉12を閉じた状態では、ポンプ機構2の1つのフィンガ21もしくは2つのフィンガ21によって輸液チューブTが完全閉塞され、そのチューブ閉塞により、扉12に配置の押圧板24に輸液チューブTからの圧力が作用する。
【0072】
ここで、この例の輸液ポンプ100において、扉12の閉塞状態で、最前進位置にあるフィンガ21の先端21bと扉12側の押圧板24との間の間隔Gb(図11(B)参照)が正常である場合には、押圧板24が輸液チューブTから受ける圧力は最大である。これに対し、上記した理由(輸液ポンプ100の落下時の衝撃等)によって、扉12を閉鎖した状態でのポンプ機構2のフィンガ21の先端21bと押圧板24との間の間隔が大きくなった場合(図11(C)の状態になった場合)には押圧板24に作用する圧力が低下する。
【0073】
このような点に着目して、この例では、扉12の閉鎖状態において押圧板24に作用する圧力を感圧センサ206によって検出し、その検出した圧力(押圧板24に作用する圧力)に基づいて、輸液流量の異常(流量急上昇)を報知するように構成している。
【0074】
具体的には、上記制御部3において、扉12の閉塞状態での上記感圧センサ206の出力信号に基づいて、押圧板24に作用している圧力が、所定の許容値Pthよりも小さいか否かを判定し、押圧板24に作用している圧力(感圧センサ206による検出値)が許容値Pthよりも小さい場合には、上記した表示操作部120の表示パネル121に「流量異常」を表示するとともに、ブザー装置9を作動して、看護師等の医療従事者に異常を知らせる。
【0075】
ここで、上記許容値Pthについては、例えば、扉12の閉鎖状態で最前進位置(チューブ完全閉塞位置)にあるフィンガ21の先端21bと押圧板24との間の間隔と、押圧板24が輸液チューブT(1つのフィンガ21と押圧板24との間の輸液チューブT)から受ける圧力との関係を、実験・計算等によって取得しておき、その間隔と圧力との関係から、上記したフリーフローが発生しない間隔の上限値GbLIMに相当する圧力下限値PLIM(押圧板24に作用する圧力)を求める。そして、その結果を基に、扉12の閉鎖状態で押圧板24に作用する圧力に対する許容値Pthを設定する。例えば、許容値Pthを[Pth=PLIM+マージン]と設定する。
【0076】
以上のように、この例の輸液ポンプ100においても、輸液ポンプ100の落下等によって、扉閉鎖状態でのフィンガ先端21bと押圧板24との間の間隔が大きくなって輸液流量が急上昇する異常が発生した場合には、その異常を、看護師等の医療従事者に知らせることができる。これによって輸液流量が異常な状態での輸液を防止することができ、患者に過剰に輸液が投与されてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0077】
なお、この例においても、扉12の閉鎖状態での上記感圧センサ206による圧力検出値が上記許容値Pthよりも小さい場合には、ポンプ機構2の電動モータ4の駆動を禁止するようにしてもよい。
【0078】
以上の例では、押圧板24に作用する圧力を、押圧板24の前面に設けた感圧センサ206にて検出しているが、本発明はこれに限られることなく、押圧板24の背面側などに歪ゲージ等の荷重検出センサを配置して、押圧板24に作用する圧力を検出するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、複数のフィンガと押圧板との間にセットした状態で、各フィンガをカムにて個別に進退駆動することにより、輸液チューブを各フィンガで順次押圧して輸液を蠕動運動にて送り出すペリスタルティックフィンガ式の輸液ポンプに利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 輸液ポンプ
11 ポンプ本体
12 扉
13 ヒンジ
120 表示操作部
121 表示パネル
2 ポンプ機構
21 フィンガ
21a カム穴
21b 先端
22 偏心カム
24 押圧板
241 被検出部
241a 被検出面
3 制御部
5 扉ロック機構
6 距離センサ(間隔検出手段)
6a 検出面
60 リミットスイッチ
206 感圧センサ(圧力検出手段)
9 ブザー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配列された複数のフィンガと、その各フィンガを個別に進退駆動するカムと、前記複数のフィンガの前面側を開閉自在に閉鎖する扉に設けられ、前記扉を閉鎖した状態で前記複数のフィンガの先端部に対向して配置される押圧板とを有するポンプ機構を備え、前記扉の閉鎖により前記ポンプ機構の複数のフィンガと前記押圧板との間に輸液チューブを配置した状態で、前記各フィンガを輸液チューブに対して進退駆動することにより輸液を蠕動運動で送り出す輸液ポンプにおいて、
前記扉が閉鎖している状態で、前記ポンプ機構のフィンガの先端と前記押圧板との間の間隔に関する値が所定の許容値よりも大きい場合に異常を報知する異常報知手段を備えていることを特徴とする輸液ポンプ。
【請求項2】
請求項1記載の輸液ポンプにおいて、
前記扉の閉鎖状態で最後退位置または最前進位置にあるフィンガの先端と前記押圧板との間の間隔を検出する間隔検出手段を備え、
前記扉が閉鎖している状態のときに、前記間隔検出手段によって検出される前記フィンガの先端と前記押圧板との間の間隔が所定の許容値よりも大きい場合は異常を報知することを特徴とする輸液ポンプ。
【請求項3】
請求項1記載の輸液ポンプにおいて、
前記扉の閉鎖状態で前記ポンプ機構のフィンガの先端と前記押圧板との間の間隔が許容値よりも大きい場合にオン状態またはオフ状態になるリミットスイッチを備え、前記扉が閉鎖しているときに前記リミットスイッチがオン状態またはオフ状態である場合は異常を報知することを特徴とする輸液ポンプ。
【請求項4】
一方向に配列された複数のフィンガと、その各フィンガを個別に進退駆動するカムと、前記複数のフィンガの前面側を開閉自在に閉鎖する扉に設けられ、前記扉を閉鎖した状態で前記複数のフィンガの先端部に対向して配置される押圧板とを有するポンプ機構を備え、前記扉の閉鎖により前記ポンプ機構の複数のフィンガと前記押圧板との間に輸液チューブを配置した状態で、前記各フィンガを輸液チューブに対して進退駆動することにより輸液を蠕動運動で送り出す輸液ポンプにおいて、
前記扉の閉鎖状態で前記押圧板が輸液チューブから受ける圧力を検出する圧力検出手段を備え、前記扉が閉鎖している状態のときに前記圧力検出手段によって検出される圧力が所定の許容値よりも小さい場合に異常を報知することを特徴とする輸液ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−249651(P2012−249651A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122190(P2011−122190)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】