輸液用容器
【課題】破断可能部を有する薬剤容器を備え、破断可能部の破断操作時における破断端および基端部による軟質バッグへの損傷付与が防止された輸液用容器を提供する。
【解決手段】輸液用容器1は、軟質バッグ2に取り付けられた薬剤容器3を備える。薬剤容器は、薬剤収納部54、破断可能部56、破断操作のための操作部55を有する薬剤容器本体部5と、破断可能部56を先端部64において被包する筒状部6とを備える。筒状部は、破断可能部および操作部の基端部55aを被包する縮径先端部64と、縮径先端部を被包し、その先端を越えて延び、縮径先端部より露出する操作部の基端部分を被包し、操作部の破断操作中の破断可能部の破断端55bおよび操作部の基端部55aの軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部63を備える。
【解決手段】輸液用容器1は、軟質バッグ2に取り付けられた薬剤容器3を備える。薬剤容器は、薬剤収納部54、破断可能部56、破断操作のための操作部55を有する薬剤容器本体部5と、破断可能部56を先端部64において被包する筒状部6とを備える。筒状部は、破断可能部および操作部の基端部55aを被包する縮径先端部64と、縮径先端部を被包し、その先端を越えて延び、縮径先端部より露出する操作部の基端部分を被包し、操作部の破断操作中の破断可能部の破断端55bおよび操作部の基端部55aの軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部63を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部において輸液などの薬液に薬剤の調製や配合を行うことができる輸液用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者に輸液を行うに先だって、輸液剤の入ったバイアル瓶や軟質バッグ等に、予め輸液剤に配合することが困難な薬剤、例えば、ビタミン剤、抗生物質等の薬剤を混合、溶解させ、薬液を調製することが行われている。そして、このような薬液の調製を無菌的に、また、簡単な操作で行うため、薬液が収納された軟質バッグに薬液と混合する薬剤を収納した薬剤容器を取り付け、輸液の際、薬剤容器に設けられた破断可能部(脆弱部)を軟質バッグごしに折り曲げ、破断することにより薬剤容器と軟質バッグを連通させ薬剤と薬液とを混合するようにした輸液用容器が提案されている。
このような輸液用容器として、特開2003−010285号公報(特許文献1)には、破断操作部の強度が大きく(剛性である)、破断操作時の把持性、操作性に優れた破断操作部を有する輸液用容器が開示されている。
【0003】
また、特開2003−159309号公報(特許文献2)には、 一回の折り曲げ操作により確実に脆弱部を破断することができる薬剤容器を備える輸液用容器が提案されている。
また、本件出願人は、特開2007−222243号公報(特許文献3)に示すものを提案している。
この輸液用容器1は、薬液が収納された軟質バッグ2と、軟質バッグ2に取り付けられ薬液と混合するための薬剤11が収納された硬質の薬剤容器3を備える。薬剤容器3は、薬剤11が収納された中空の薬剤収納部30と薬剤収納部30の先端側に形成され破断により薬剤収納部30の内部の薬剤11を排出可能とする破断可能部33と破断可能部33より先端側に設けられ破断可能部33の破断操作を行うための操作部34とを有する薬剤容器本体部5と、破断可能部33に接触することなく破断可能部33を先端部63において同軸的に被包するとともに、先端部63より基端側にて薬剤容器本体部5または/および軟質バッグ2に固定された筒状部6を備える。そして、筒状部6の先端は、破断可能部より所定長操作部34側に位置するとともに、操作部34による破断可能部33の破断操作時における破断可能部33の破断部位の筒状部6からの露出を防止するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−010285号公報
【特許文献2】特開2003−159309号公報
【特許文献3】特開2007−222243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の輸液用容器は、十分な効果を有している。しかしながら、本発明者等が検討したところ、薬剤容器の破断可能部の破断操作時に、例えば、希ではあるが、破断可能部の破断部位(破断端)もしくは破断した操作部の基端部が、軟質バッグに強く押し当てられることにより、バックに損傷を与え、液漏れを起こす可能性があることがわかった。
そこで、本発明は、破断可能部を有する薬剤容器を備える輸液用容器であって、破断可能部の破断操作時において、破断可能部の破断端および操作部の基端部との接触に起因する軟質バッグの損傷が確実に防止された輸液用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 薬液が収納された軟質バッグと、該軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、前記薬剤容器は、前記薬剤が収納された中空の薬剤収納部と該薬剤収納部の先端側に形成され破断により前記薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と該破断可能部より先端側に設けられ該破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部と、前記破断可能部を先端部において同軸的に被包するとともに、前記薬剤容器本体部または前記軟質バッグに固定された筒状部とを備え、かつ前記筒状部は、先端に向かって縮径し、前記破断可能部および前記操作部の基端部を被包する縮径先端部と、前記縮径先端部より先端側に延び、前記縮径先端部より露出する前記操作部の基端部分を被包し、前記操作部の破断操作中の前記破断可能部の破断端および前記操作部の基端部の前記軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備える輸液用容器。
【0007】
(2) 前記筒状可撓性被包部は、前記縮径先端部を被包し、さらに、前記縮径先端部の先端を越えて、先端側に延び、前記縮径先端部より露出する前記操作部の基端部分を被包している上記(1)に記載の輸液用容器。
(3) 前記筒状可撓性被包部は、ほぼ同一内径にて延びるものもしくはテーパー状に拡径するように延びるものとなっている上記(1)または(2)に記載の輸液用容器。
(4) 前記破断可能部は、前記操作部の破断操作により該破断可能部のある点を支点として破断操作が開始され該支点と向かい合う部分より破断が開始し、かつ、前記破断可能部の破断の進行により、前記操作部と前記筒状部の前記縮径先端部との接点が第二の支点となり破断操作が進行することにより、前記操作部は前記破断可能部において前記薬剤容器本体部より分離されるものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の輸液用容器。
(5) 前記筒状部は、前記薬剤容器本体部および前記軟質バッグに固定されており、前記薬剤容器本体部は、前記筒状部を介して前記軟質バッグに取り付けられている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の輸液用容器。
(6) 前記筒状部の前記縮径先端部の内面には、該縮径先端部の前記先端より、前記薬剤容器本体部の前記破断可能部を越える位置まで延びる溝が形成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の輸液用容器。
【0008】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(7) 薬液が収納された軟質バッグと、該軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、前記薬剤容器は、前記薬剤が収納された中空の薬剤収納部と、該薬剤収納部の先端側に形成され破断により前記薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と、該破断可能部より先端側に設けられ該破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部を備え、前記薬剤収納部の先端部は、前記破断可能部に向かって縮径する縮径部となっており、前記薬剤容器本体部は、前記薬剤収納部より先端側に延び、前記破断可能部および前記操作部の基端部分を被包するとともに離間し、前記操作部の破断操作中の前記破断可能部の破断端および前記操作部の基端部の前記軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備える輸液用容器。
【0009】
(8) 前記筒状可撓性被包部は、ほぼ同一内径にて延びるものもしくはテーパー状に拡径するように延びるものとなっている上記(7)に記載の輸液用容器。
(9) 前記筒状可撓性被包部は、先端に向かって肉薄となっている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の輸液用容器。
(10) 前記薬剤容器は、前記薬剤容器本体部の開口部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有する排出ポートとなっている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の輸液用容器。
(11) 前記薬剤容器本体部の内部には、前記破断可能部の未破断時における前記薬剤容器本体部内への前記医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材が収納されている上記(10)に記載の輸液用容器。
(12) 前記輸液用容器は、前記軟質バッグ内の前記薬液もしくは前記薬液と前記薬剤の混合溶液を排出するための排出ポートを備えている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の輸液用容器。
【発明の効果】
【0010】
本発明の輸液用容器は、薬液が収納された軟質バッグと、軟質バッグに取り付けられ薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、薬剤容器は、薬剤が収納された中空の薬剤収納部と薬剤収納部の先端側に形成され破断により薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と破断可能部より先端側に設けられ破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部と、破断可能部を先端部において同軸的に被包するとともに、薬剤容器本体部または軟質バッグに固定された筒状部とを備え、かつ筒状部は、先端に向かって縮径し、破断可能部および操作部の基端部を被包する縮径先端部と、縮径先端部より先端側に延び、縮径先端部より露出する操作部の基端部分を被包し、操作部の破断操作中の破断可能部の破断端および操作部の基端部の軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備える。
また、本発明の輸液用容器は、薬液が収納された軟質バッグと、軟質バッグに取り付けられ薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、薬剤容器は、薬剤が収納された中空の薬剤収納部と、薬剤収納部の先端側に形成され破断により薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と、破断可能部より先端側に設けられ破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部を備え、薬剤収納部の先端部は、破断可能部に向かって縮径する縮径部となっており、薬剤容器本体部は、薬剤収納部より先端方向に延び、破断可能部および操作部の基端部分を被包するとともに離間し、操作部の破断操作中の破断可能部の破断端および操作部の基端部の軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備える。
本発明の輸液用容器では、破断操作時に、破断可能部の破断部位(破断端)もしくは破断した操作部の基端部が、軟質バッグの内面方向に強く押し当てられることがあったとしても、破断部位(破断端)および破断した操作部の基端部は、軟質バッグの内面に接触せず、筒状可撓性被包部に接触するため、破断部位(破断端)および破断した操作部の基端部により、軟質バッグが損傷を受けることを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施例の輸液用容器の正面図である。
【図2】図2は、図1の輸液用容器に使用される排出ポート機能付き薬剤容器の拡大正面図である。
【図3】図3は、図2の薬剤容器の側面図である。
【図4】図4は、図2の薬剤容器のA−A線断面図である。
【図5】図5は、図3の薬剤容器のB−B線拡大断面図である。
【図6】図6は、図3の薬剤容器のC−C線拡大断面図である。
【図7】図7は、図2の薬剤容器に使用される薬剤容器本体部の正面図である。
【図8】図8は、図2の薬剤容器に使用される筒状部の断面図である。
【図9】図9は、図2の薬剤容器に使用される針管侵入阻害部材の正面図である。
【図10】図10は、図9の針管侵入阻害部材の拡大平面図である。
【図11】図11は、図4の部分拡大図である。
【図12】図12は、本発明の実施例である輸液用容器の使用方法を説明するための断面図(破断中)である。
【図13】図13は、本発明の輸液容器に用いられる排出ポート機能付き薬剤容器の他の実施例の断面図である。
【図14】図14は、本発明の輸液容器に用いられる排出ポート機能付き薬剤容器の他の実施例の断面図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施例の輸液用容器の正面図である。
【図16】図16は、図15の輸液用容器に使用される薬剤容器の拡大正面図である。
【図17】図17は、図16の薬剤容器の断面図である。
【図18】図18は、本発明の他の実施例の輸液用容器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明の輸液用容器1は、薬液が収納された軟質バッグ2と、軟質バッグ2に取り付けられ薬液と混合するための薬剤8が収納された硬質の薬剤容器3を備える。薬剤容器3は、薬剤8が収納された中空の薬剤収納部54と薬剤収納部54の先端側に形成され破断により薬剤収納部54の内部の薬剤8を排出可能とする破断可能部56と破断可能部56より先端側に設けられ破断可能部56の破断操作を行うための操作部55とを有する薬剤容器本体部5と、破断可能部56に接触することなく破断可能部56を先端部64において同軸的に被包するとともに、薬剤容器本体部5または軟質バッグ2に固定された筒状部6とを備える。筒状部6は、先端に向かって縮径し、破断可能部56および操作部55の基端部55aを被包する縮径先端部64と、縮径先端部64より先端側に延び、縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包し、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部63を備えている。
【0013】
本発明の輸液用容器として、排出ポート機能付き薬剤容器を備える実施例を用いて説明する。
この実施例の輸液用容器1は、可撓性材料により形成され、内部に薬剤収納部である薬剤室11を有する軟質バッグ2と、軟質バッグ2の薬剤室11に取り付けられた排出ポート機能付き薬剤容器3と、薬剤室11に充填された薬液とを備える薬剤入り輸液用容器である。
また、図1に示すように、軟質バッグ2の一端側及び他端側には、シール部21,22が設けられている。また、上端側シール部21には、吊り下げ用開口25が設けられている。また、下端側シール部22の中央部分には排出ポート機能付き薬剤容器3を固定するための固定部24を備えている。
輸液用容器1の軟質バッグ2は、軟質合成樹脂により形成されている。軟質バッグ2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたものが好ましい。なお、軟質バッグ2は、例えば、ブロー成形法、共押出インフレーション法などの種々の方法により製造されたものでもよい。
軟質バッグ2は、水蒸気バリヤー性を有することが好ましい。水蒸気バリヤー性の程度としては、水蒸気透過度が、50g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であることが好ましく、より好ましくは10g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であり、さらに好ましくは1g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下である。この水蒸気透過度は、JISK7129(A法)に記載の方法により測定される。このように軟質バッグ2が水蒸気バリヤー性を有することにより、輸液用容器1の内部からの水分の蒸散が防止できる。その結果、充填される薬剤(具体的には、薬液)の減少、濃縮を防止することができる。また、輸液用容器1の外部からの水蒸気の侵入も防止することができる。
【0014】
このような軟質バッグ2の形成材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。そして、使用する樹脂材料は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性を有していることが好ましい。
本発明においては、軟質バッグ2の形成材料として、ポリオレフィンを含むものであるのが好ましい。軟質バッグ2の形成材料として、特に好ましいものとして、ポリエチレンまたはポリプロピレンに、スチレン−ブタジエン共重合体やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーあるいはエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−ブテン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマーをブレンドし柔軟化した軟質樹脂を挙げることができる。この材料は、高強度で柔軟性に富み、耐熱性(特に滅菌時の耐熱性)、耐水性が高い他、加工性が特に優れ、製造コストの低減を図ることができる点で好ましい。
【0015】
また、軟質バッグは、前述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また種々の目的で、複数の層(特に異種材料の層)を重ねた多層積層体であってもよい。多層積層体の場合、複数の樹脂層を重ねたものであってもよいし、少なくとも1層の樹脂層に金属層を積層したものであってもよい。複数の樹脂層を重ねたものの場合、それぞれの樹脂の利点を併有することができ、例えば、軟質バッグ2の耐衝撃性を向上させたり、耐ブロッキング性を付与したりすることができる。また、金属層を有するものの場合、軟質バッグ2のガスバリヤー性等を向上させることができる。例えば、アルミ箔等のフィルムが積層された場合、ガスバリヤー性の向上とともに、遮光性を付与したりすることができる。また、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物からなる層を形成した場合、ガスバリヤー性の向上とともに、軟質バッグ2の透明性を維持することができ、内部の視認性を確保することができる。なお、軟質バッグ2が多層積層体である場合、その内表面部分を形成する材料が、前述した材料であるのが好ましい。
軟質バッグ2を構成するシート材の厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過性、耐熱性等)等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜500μm程度であるのが好ましく、200〜360μm程度であるのがより好ましい。
また、輸液用容器1の容積は、内部に収納する薬剤の種類等によって異なるが、通常は、薬剤室の容積が、50〜5000ml程度であることが好ましい。
【0016】
排出ポート機能付き薬剤容器3は、軟質バッグ2内に充填された薬剤(薬液)に添加される薬剤の収納部および軟質バッグ内の薬液を排出するためのものである。
薬剤容器3は、図2ないし図7、図11および図12に示すように、薬剤容器本体部5と、筒状部6とからなる。薬剤容器3は、図1に示すように、軟質バッグ2と薬剤容器3の筒状部6が、軟質バッグ2を構成するシート材間に挿入され、液密状態に融着固定されている。また、薬剤容器3の操作部55が薬剤室11内に突出するものとなっている。そして、薬剤容器3の薬剤容器本体部5は、筒状部6に固定されている。具体的に、薬剤容器3の筒状部6は、超音波融着、高周波融着、熱融着等により軟質バッグ2に液密に取り付けられている。このように筒状部6を介して薬剤容器3を取り付けることにより、融着の際に発生する熱等のエネルギーの影響が薬剤収納部54内の薬剤8に及ぶことを防止することができる。
【0017】
薬剤容器本体部5は、薬剤収納部54と、破断可能部56と、操作部55とを有する筒状本体部51と、筒状本体部51の開口部を封止するとともに医療用針の接続(穿刺)が可能な排出口と、筒状本体部51内に収納された針管侵入阻害部材7と、筒状本体部51内に充填された薬剤8とを備えている。
そして、排出口は、医療用針管の接続(穿刺)が可能なシール部材53と、このシール部材53を筒状本体部51の開口部に固定するためのキャップ部材52とを備えている。そして、キャップ部材52は、その固定部(フランジ部58)が、筒状本体部51の基端部に設けられた固定部(フランジ部57)に、超音波融着、高周波融着、熱融着等により固定される。筒状本体部51の薬剤収納部54は、内部の薬剤が目視可能に透明に形成されていることが好ましい。また、筒状本体部51の薬剤収納部54は、常圧でもよいが、減圧または真空状態としてもよい。このように、薬剤収納部が減圧または真空状態であると、薬剤の変質分解・劣化等の防止効果が向上する。
収納される薬剤8としては、粉末、顆粒状などの固体状、液体状等いかなるものでもよい。薬剤としては、輸液剤に配合・溶解させるものであって、例えば抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリン等の抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正電解質、抗ウィルス薬、免疫賦活剤等が挙げられる。
そして、筒状本体部51の薬剤収納部54は、その先端が操作部55の基端部により閉塞されている。また、筒状本体部51の薬剤収納部54の先端部は、先端方向に向かって縮径するテーパー状先端部、言い換えれば、円錐台形状に形成されている。なお、先端内部形状としては、円錐台形状に限られず、ドーム状、略半球状、多角錐台形状等であってもよい。また、筒状本体部51の薬剤収納部54は、先端部を除きほぼ同一外径となっており、その基端には、環状に突出するフランジ部57が設けられている。
また、薬剤収納部54の容積は、1〜30mlであることが好ましい。また、薬剤収納部54の長さは、20〜70mmであることが好ましい。
【0018】
破断可能部56は、薬剤収納部54と操作部55の境界部付近に設けられた薄肉脆弱部である。実施例において、薄肉脆弱部(破断可能部)は、薬剤収納部54の先端部の外面に形成された環状溝により形成されている。このため、操作部55をバッグの外から折り曲げると、破断可能部56が切断され、薬剤収納部54から操作部55が分離する。また、溝形成部は、断面がV字状となっている。具体的には、溝形成部の断面V字角度は、30〜90°、特に、40〜50°であることが好ましい。このような角度に溝形成部を作製することにより、操作部55を折り曲げた際、破断可能部の中心に応力が集中して確実に破断するものとなる。また、溝形成部は、破断容易な形状であればいかなる形状のものであってもよく、実施例のようなV字形状に限られず半円形状、半楕円形状等であってもよい。また、溝形成部の肉厚を溝部形成部付近の肉厚より相対的に薄く作製することにより破断容易としてもよい。また、破断可能部を他の部分より脆弱な材料により作製してもよい。具体的には、多色成形によって、破断可能部付近のみ容易に破断可能な材料で環状に作製して、その他の部分を破断容易でない材料にて作製することが好ましい。また、本発明の実施例では、溝形成部は環状溝形成部であり薬剤収納部の外周面全周に連続して設けられているが、これに限られず断続的に設けられていてもよい。
【0019】
また、破断可能部56を形成する環状溝形成部の操作部55側の縁部は、面取り加工されていることが好ましい。具体的に、先端側外側面縁部は、丸みを帯びるように作製されていることが好ましい。このため、切断分離された操作部55により、特に破断操作時に、後述する筒状部6の筒状可撓性被包部63に損傷を与えることを防止する。
操作部55は、板状本体部と、板状本体部の両面に軸方向に沿って板状本体部と垂直に複数形成された補強部59を備えている。補強部59は、破断操作する際把持される把持部となり、基端から先端に向かって厚さが薄くなっている。また、補強部を有することにより操作部55は折り曲げ方向に変形しにくいものとなり、破断操作の際加えられた力は確実に破断可能部に集中する。
また、破断が開始される破断可能部付近の操作部は、操作部の破断操作中に筒状部の縮径先端部と実質的に接触しないものとなっていることが好ましい。具体的には、破断を開始する破断可能部56付近の操作部55は、操作部55の破断操作中に筒状部6の先端部内面と破断可能部56の支点と向かい合う部分側の操作部55とが、実質的に接触しないものであることが好ましい。実施例では、破断可能部56の操作部55側と筒状部先端部との間に若干隙間ができるように形成されているため接触しないものとなっている。
そして、破断可能部56は、操作部55の破断操作により破断可能部56のある点を支点として破断操作が開始され支点と向かい合う部分より破断が開始し、かつ、破断可能部の破断の進行により、操作部55と筒状部6の接点が第二の支点となり破断操作が進行することにより、操作部55は、破断可能部56において薬剤容器本体部5より分離されるものであることが好ましい。
【0020】
また、破断を開始する破断可能部56付近の操作部55は、操作部55の破断操作中に筒状部6の縮径先端部64の開口部内面と破断可能部56の支点と向かい合う部分側の操作部55とが、実質的に接触しないものであることが好ましい。実施例では、破断可能部56の操作部55側と縮径先端部64との間に若干隙間ができるように形成されているため接触しないものとなっている。
また、薬剤容器本体部5と筒状部6は、薬剤容器本体部5のフランジ部57の先端側面と筒状部6のフランジ部62の基端側面を、超音波融着、熱融着、高周波融着等することにより液密に接合されている。
また、この実施例の排出ポート機能付き薬剤容器3では、図2ないし図5および図7に示すように、薬剤容器本体部5の内部には、医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材7が収納されている。針管侵入阻害部材7は、破断可能部56の未破断時における薬剤容器本体部5内への医療用針管の侵入を阻害するものである。この実施例における針管侵入阻害部材7は、図9及び図10に示すように、薬剤容器本体部5の筒状本体部51の先端部内と当接可能な先端部を有する本体部71と、医療用針管の先端が当接可能な基端部72とを有するものである。
【0021】
そして、薬剤容器3(薬剤容器本体部5)の破断可能部56が未破断の状態(図1ないし図4の状態)において、シール部材53に医療用針管を穿刺した場合、針管の先端は針管侵入阻害部材7の基端部72に当接し、進入を阻止する。作業者は、医療用針管が穿刺不能状態であることより、薬剤容器本体部5の破断可能部56が未破断であることを認識することができる。そして、薬剤容器本体部5の破断可能部56が未破断の状態における医療用針管の薬剤容器本体部5への穿刺可能長さは、医療用針管の開口が排出ポート内部と連通しない長さであることが好ましい。
この例の針管侵入阻害部材7では、本体部71は、図9および図10に示すように、4つの軸方向に延びる板状部71a,71b,71c,71dを有する断面十字状のものとなっている。また、基端部72は、円盤状となっている。
そして、この針管侵入阻害部材7は、薬剤容器本体部5の破断可能部56の破断後、薬剤容器本体部5より流出可能なものとなっている。しかし、このようなものに限定されるものではない。また、針管侵入阻害部材7としては、破断可能部56の未破断の状態における医療用針管の薬剤容器本体部5への穿刺を規制するものであれば、上記の針管侵入阻害部材に限定されるものではない。
【0022】
筒状部6は、先端及び基端が開口した筒状であり、筒状本体部61と、先端に向かって縮径し、破断可能部56および操作部55の基端部55aを被包する縮径先端部64と、縮径先端部64を被包し、縮径先端部64の先端を越えて、先端側に延び、縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包し、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部63とを備えている。また、筒状本体部61の基端部には、フランジ部62が設けられている。
筒状部6は、図2ないし図8、図11および図12に示すように、先端及び基端が開口した筒状体である。そして、筒状部6の先端部は、縮径する縮径先端部64となっているとともに、薬剤容器本体部5の破断可能部56に接触することなく破断可能部56を被包している。さらに、筒状部6の縮径先端部64の先端は、破断可能部56より若干、操作部側に位置するとともに、操作部55による破断可能部56の破断操作時における破断可能部56の破断部位の筒状部6からの露出を防止するものとなっている。
また、この実施例の筒状部では、筒状部6の縮径先端部64は、破断可能部56に接触することなく破断可能部56を被包するものであり、かつ、破断可能部56の外径(または破断可能部56における薬剤容器本体部の中心軸を通る最小外径部の外径)をAmmとした場合に、筒状部6の縮径先端部64の先端は、破断可能部56より、0.4Amm〜Amm操作部55側に位置するものとなっている。特に、0.5Amm〜0.8Amm操作部55側に位置することが好ましい。上述の構成を有することにより、薬剤容器の破断可能部の破断操作時における破断可能部の破断端により、軟質バッグが損傷を受けることを防止する。
【0023】
筒状部6は、図8,図11に示すように、ほぼ同一外径の筒状本体部61と、筒状本体部61の先端に設けられたテーパー状に縮径する縮径先端部64と、縮径先端部64の中央部付近より、先端方向に延びる筒状可撓性被包部63と、筒状本体部61の基端部に設けられたフランジ部62とを備える。
そして、筒状可撓性被包部63は、図11に示すように、縮径先端部64の傾斜面に基端を有し、ほぼ同一内径にて先端方向に延びるものとなっている。また、筒状可撓性被包部63は、縮径先端部64の先端を越えて延び、縮径先端部64の先端部および縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包している。また、筒状可撓性被包部63の内面と縮径先端部64の先端および操作部55の基端部分間には、空隙があり、両者と接触しないものとなっている。このため、操作部55の破断操作中において、操作部55が変形しても、破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aは、軟質バッグ2の内面に接触することなく、筒状可撓性被包部63の内面に接触するものとなる。
そして、筒状可撓性被包部63は、可撓性を有しているため、操作部55と接触後に変形可能であるため、操作部55の破断操作を阻害することがない。よって、筒状可撓性被包部63により、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を、破断操作を阻害することなく規制する。このため、破断操作に起因する軟質バッグ2の損傷を防止する。そして、図8および図11に示すように、この実施例のものでは、筒状可撓性被包部63は、先端に向かって肉薄となっている。筒状可撓性被包部63は、先端側がより高い可撓性を有するもの(言い換えれば、柔軟)となっているため、破断部55の当接後の変形が容易であるとともに、基端側が、先端側に比べて、可撓性が低い、言い換えれば、先端側に比べて硬質なものとなっているので、操作部55の破断端55b、基端部55aにより、強く押圧されても破断することがない。また、筒状可撓性被包部63は、円筒状であることが望ましいが、楕円筒状、多角筒状であってもよい。また、筒状部6は、筒状本体部61部分にて軟質バッグ2に固着されており、筒状可撓性被包部63は、軟質バッグ2に固着されていない。
【0024】
さらに、この実施例における筒状部6は、図5に示すように、筒状部6の内面には、筒状部6の縮径先端部64の先端より、薬剤容器本体部5の破断可能部56を越える位置まで延びる溝64aが形成されている。この実施例では、溝64aは、複数形成されている。この溝64aを設けることにより、薬剤容器3の破断可能部56の破断時における薬剤容器3からの薬剤の排出が良好なものとなる。特に、本発明では、筒状部6の縮径先端部64が破断可能部56より所定距離突出部位に位置しているが、この溝を形成することにより、筒状部6の縮径先端部64が薬剤の排出の障害となることを確実に抑制する。
薬剤容器本体部5、筒状部6、針管侵入阻害部材7の構成材料としては、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、環状ポリオレフィン(具体的には、ZEONEX(日本ゼオン株式会社製)、APEL(三井化学株式会社製)、ポリプロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、安全性が高く、軟質バッグ2との密着性に優れるという点で、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルが好ましい。
【0025】
また、筒状部としては、図13の排出ポート機能付き薬剤容器3aが備える筒状部6aのようなものであってもよい。この薬剤容器3aと上述した薬剤容器3との相違は、筒状部6aの筒状可撓性被包部63aの形状のみである。
筒状部6aは、先端及び基端が開口した筒状であり、筒状本体部61と、先端に向かって縮径し、破断可能部56および操作部55の基端部55aを被包する縮径先端部64と、縮径先端部64の先端部より先端側に延び、縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包し、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部63aとを備えている。また、筒状本体部61の基端部には、フランジ部62が設けられている。
筒状部6aは、図13に示すように、先端及び基端が開口した筒状体である。そして、筒状部6aの先端部は、縮径する縮径先端部64となっているとともに、薬剤容器本体部5の破断可能部56に接触することなく破断可能部56を被包している。さらに、筒状部6aの縮径先端部64の先端は、破断可能部56より若干、操作部側に位置するとともに、操作部55による破断可能部56の破断操作時における破断可能部56の破断部位の筒状部6aからの露出を防止するものとなっている。また、この実施例の筒状部6aにおいても、上述した筒状部6と同様に、その縮径先端部64は、破断可能部56に接触することなく破断可能部56を被包している。
【0026】
そして、筒状可撓性被包部63aは、縮径先端部64の先端付近に基端を有し、先端側に向かってテーパー状に拡径するように延びるものとなっている。また、筒状可撓性被包部63aは、縮径先端部64の先端を越えて延び、縮径先端部64の先端部および縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包している。また、筒状可撓性被包部63aの内面と操作部55の基端部分間には、空隙があり、接触しないものとなっている。そして、操作部55の破断操作中において、操作部55が変形しても、破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aは、軟質バッグ2の内面に接触することなく、筒状可撓性被包部63aの内面に接触するものとなる。そして、筒状可撓性被包部63aは、可撓性を有しているため、操作部55と接触後に変形可能であるため、操作部55の破断操作を阻害することがない。よって、筒状可撓性被包部63aにより、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を、破断操作を阻害することなく規制する。このため、破断操作に起因する軟質バッグ2の損傷を防止する。そして、図13に示すように、筒状可撓性被包部63aは、先端に向かって肉薄となっている。このため、筒状可撓性被包部63aは、先端側がより高い可撓性を有するものとなっている。また、筒状可撓性被包部63aは、円錐状であることが望ましいが、楕円錐状、多角錐状であってもよい。
【0027】
また、本発明の輸液用容器に用いられる排出ポート機能付き薬剤容器としては、図14に示すようなタイプの排出ポート機能付き薬剤容器3bであってもよい。この薬剤容器3bでは、上述した薬剤容器3が備えていた筒状部6を持たないものとなっている。
この実施例における薬剤容器3bは、薬剤8が収納された中空の薬剤収納部54と、薬剤収納部54の先端側に形成され破断により薬剤収納部54の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部56と、破断可能部56より先端側に設けられ破断可能部56の破断操作を行うための操作部55とを有する薬剤容器本体部5aを備える。薬剤収納部54の先端部は、破断可能部56に向かって縮径する縮径部51aとなっている。さらに、薬剤容器本体部5aは、薬剤収納部54より先端方向に延び、破断可能部56および操作部55の基端部分を被包するとともに基端部分より離間し、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端および操作部55の基端部の軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部59を備えている。
そして、薬剤容器3bでは、薬剤容器本体部5aは、上述した薬剤容器5と同様に、薬剤収納部54と、破断可能部56と、操作部55とを有する筒状本体部51と、筒状本体部51の開口部を封止するとともに医療用針の接続(穿刺)が可能な排出口と、筒状本体部51内に収納された針管侵入阻害部材7と、筒状本体部51内に充填された薬剤8とを備えている。そして、この実施例の薬剤容器本体部5aは、筒状可撓性被包部59を備えている。また、排出口、薬剤収納部54、破断可能部56、操作部55、針管侵入阻害部材7については、上述したものと同じである。
【0028】
そして、筒状本体部51の薬剤収納部54は、その先端が操作部55の基端部により閉塞されている。また、筒状本体部51の薬剤収納部54の先端部は、先端方向に向かって縮径する縮径部51aとなっている。言い換えれば、薬剤収納部54の先端部は、円錐台形状に形成されている。なお、先端内部形状としては、円錐台形状に限られず、ドーム状、略半球状、多角錐台形状等であってもよい。また、筒状本体部51の薬剤収納部54は、先端部を除きほぼ同一外径となっており、その基端には、環状に突出するフランジ部57が設けられている。
そして、筒状可撓性被包部59は、縮径先端部51aを被包し、さらに、先端側に向かって延び、操作部55の基端部を被包するものとなっている。また、筒状可撓性被包部59の内面と操作部55の基端部分間には、空隙があり、接触しないものとなっている。そして、操作部55の破断操作中において、操作部55が変形しても、破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aは、軟質バッグ2の内面に接触することなく、筒状可撓性被包部59の内面に接触するものとなる。そして、筒状可撓性被包部59は、可撓性を有しているため、操作部55と接触後に変形可能であるため、操作部55の破断操作を阻害することがない。また、筒状可撓性被包部59は、円筒状であることが望ましいが、楕円筒状、多角筒状であってもよい。さらには、筒状可撓性被包部59は、図13に示した筒状部6aが有する筒状可撓性被包部63aのような円錐状、さらには、楕円錐状、多角錐状であってもよい。
【0029】
次に、輸液用容器1の使用方法について添付図面を参照して説明する。
図11は、本発明の輸液用容器に用いられている排出ポート機能付き薬剤容器3の筒状部の縮径先端部付近の部分拡大断面図である。図12は、本発明の実施例である輸液用容器の使用方法を説明するための断面図(破断中)である。
排出ポート機能付き薬剤容器3の筒状部6を一方の手で固定して他方の手で軟質バッグ2ごしに操作部55を把持して折り曲げるように操作する。図12に示すように、破断可能部56の折り曲げ方向側に位置する部分が支点となり操作部55が時計回りに回転して破断可能部56の折り曲げ方向と反対側に位置する部分(支点と向かい合う部分)の破断が開始される。破断の開始により、薬剤容器本体部5に収納されている薬剤は、薬剤容器本体部5と筒状部6間の空間および溝64aを通り、軟質バッグ2内の薬液収納部10に流入する。さらに、破断操作を進行させることにより、破断可能部56の全体が破断される。この破断可能部56の破断操作中において、破断可能部56の破断により形成される破断端55b、操作部55の基端部55aは、筒状可撓性被包部63内に位置し、筒状可撓性被包部63より露出せず、基端部55a、破断端55bが軟質バッグ2の内面と接触することがなく、軟質バッグ2に損傷を与えることもない。また、筒状可撓性被包部63は、可撓性を有するため、操作部55による破断操作の障害となることもない。
【0030】
本発明の輸液用容器として、排出ポートと、薬剤容器を個々に備える実施例について説明する。
図15は、本発明の他の実施例の輸液用容器の正面図である。図16は、図15の輸液用容器に使用される薬剤容器の拡大正面図である。図17は、図16の薬剤容器の断面図である。
この実施例の輸液用容器10は、薬液が収納された軟質バッグ2と、軟質バッグ2に取り付けられ薬液と混合するための薬剤98が収納された硬質の薬剤容器9と、排出ポート13とを備える。
排出ポート13は、薬液を排出するための部分である。排出ポート13は、先端(図15に示す下側)及び基端(図15に示す上側)が開口した筒状部材と、筒状部材の先端側に先端開口(混合溶液排出口)を密封するように配置された弾性部材と、弾性部材を固定するキャップ(弾性部材支持部材)からなる。弾性部材は、針管を刺通可能なものであり、必要時に針管を刺通して、薬剤室11内の混合溶液を輸液することができる。
【0031】
薬剤容器9は、図16および図17に示すように、薬剤容器本体部15と、筒状部16からなる。薬剤容器9は、筒状部16により軟質バッグ2に取り付けられている。具体的に、薬剤容器9の筒状部16は、超音波融着、高周波融着、熱融着等により軟質バッグ2の薬剤容器固定部に形成された固着部26により液密に取り付けられている。
薬剤容器本体部15は、薬剤収納部84と、破断可能部86と、操作部85とを有する筒状本体部81と、筒状本体部81の開口部を封止する蓋部17を備えている。筒状本体部81の基端部には、フランジ部87が設けられており、フランジ部87は、凹部状に作製され蓋部17を取り付ける蓋部取付部を有している。蓋部は、その蓋部取付部に液密に固定されている。筒状本体部81の薬剤収納部84は、常圧でもよいが、減圧または真空状態としてもよい。このように、薬剤収納部が減圧または真空状態であると、薬剤の変質分解・劣化等の防止効果が向上する。
収納される薬剤98としては、薬剤8にて説明したものが好適に使用される。
そして、筒状本体部81の薬剤収納部84は、その先端が操作部85の基端部により閉塞されている。また、筒状本体部81の薬剤収納部84の先端部は、先端方向に向かって縮径するテーパー状先端部、言い換えれば、円錐台形状に形成されている。なお、先端内部形状としては、円錐台形状に限られず、ドーム状、略半球状、多角錐台形状等であってもよい。また、筒状本体部81の薬剤収納部84は、先端部を除きほぼ同一外径となっており、その基端には、環状に突出するフランジ部87が設けられている。また、薬剤収納部84の容積は、1〜30mlであることが好ましい。また、薬剤収納部84の長さは、20〜70mmであることが好ましい。
破断可能部86は、上述した破断可能部56と同じであり、操作部85も上述した操作部55と同じであるので、上述の説明を参照するものとする。
また、薬剤容器本体部15と筒状部16は、薬剤容器本体部15のフランジ部87の先端側面と筒状部16のフランジ部92の基端側面を、超音波融着、熱融着、高周波融着等することにより液密に接合されている。
【0032】
筒状部16は、先端及び基端が開口した筒状であり、筒状本体部91と、先端に向かって縮径し、破断可能部86および操作部85の基端部85aを被包する縮径先端部94と、縮径先端部94を被包し、縮径先端部94の先端を越えて、先端側に延び、縮径先端部94より露出する操作部85の基端部分を被包し、操作部85の破断操作中の破断可能部86の破断端および操作部85の基端部85aの軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部93とを備えている。また、筒状本体部91の基端部には、フランジ部92が設けられている。
筒状部16は、図16および図17に示すように、先端及び基端が開口した筒状体である。そして、筒状部16の先端部は、縮径する縮径先端部94となっているとともに、薬剤容器本体部15の破断可能部86に接触することなく破断可能部86を被包している。さらに、筒状部16の縮径先端部94の先端は、破断可能部86より若干、操作部側に位置するとともに、操作部85による破断可能部86の破断操作時における破断可能部86の破断部位の筒状部16からの露出を防止するものとなっている。
【0033】
筒状部16は、図16および図17に示すように、上述した筒状部6とほぼ同じものとなっている。このため、筒状部16は、ほぼ同一外径の筒状本体部91と、筒状本体部91の先端に設けられたテーパー状に縮径する縮径先端部94と、縮径先端部94の中央部付近より、先端方向に延びる筒状可撓性被包部93と、筒状本体部91の基端部に設けられたフランジ部92とを備える。
そして、筒状可撓性被包部93は、縮径先端部94の傾斜面に基端を有し、ほぼ同一内径にて先端方向に延びるものとなっている。また、筒状可撓性被包部93は、縮径先端部94の先端を越えて延び、縮径先端部94の先端部および縮径先端部94より露出する操作部85の基端部分を被包している。また、筒状可撓性被包部93の内面と縮径先端部94の先端および操作部85の基端部分間には、空隙があり、両者と接触しないものとなっている。このため、操作部85の破断操作中において、操作部85が変形しても、破断可能部86の破断端および操作部85の基端部は、軟質バッグ2の内面に接触することなく、筒状可撓性被包部93の内面に接触するものとなる。そして、筒状可撓性被包部93は、可撓性を有しているため、操作部85と接触後に変形可能であるため、操作部85の破断操作を阻害することがない。よって、筒状可撓性被包部93により、操作部85の破断操作中の破断可能部86の破断端および操作部85の基端部の軟質バッグ2の内面への接触を、破断操作を阻害することなく規制する。このため、破断操作に起因する軟質バッグ2への損傷付与を防止する。そして、この実施例のものでは、筒状可撓性被包部93は、先端に向かって肉薄となっている。このため、筒状可撓性被包部93は、先端側がより高い可撓性を有する(言い換えれば、柔軟)となっているため、操作部85との当接後の変形が容易であるとともに、基端側が、先端側に比べて、可撓性が低いもの(先端側に比べて硬質)となっているので、操作部85の破断端、基端部により、強く押圧されても破断することがない。また、筒状可撓性被包部93は、円筒状であることが望ましいが、楕円筒状、多角筒状、さらに、図13に示し、上述した薬剤容器3aの筒状部6aが備えるような、テーパー状に拡径する円錐状、さらには、楕円錐状、多角錐状であってもよい。
【0034】
また、この実施例における筒状部16においても、上述した筒状部6と同様に、図5に示すように、筒状部16の内面には、筒状部16の縮径先端部94の先端より、薬剤容器本体部15の破断可能部86を越える位置まで延びる溝を有するものであってもよい。
さらに、この実施例における輸液用容器においても、薬剤容器として、図14に示すような上述した筒状部を持たず、薬剤容器本体部が、薬剤収納部より先端方向に延び、破断可能部および操作部の基端部分を被包し、操作部の破断操作中の破断可能部の破断端および操作部の基端部の軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備えるものであってもよい。
薬剤容器本体部15、筒状部16、蓋部17の構成材料としては、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、環状ポリオレフィン[具体的には、ZEONEX(日本ゼオン株式会社製)、APEL(三井化学株式会社製)]、ポリプロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、安全性が高く、軟質バッグ2との密着性に優れるという点で、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルが好ましい。
【0035】
本発明の輸液用容器としては、図18に示すような輸液用容器20のようなタイプのものであってもよい。
図18は、本発明の他の実施例の輸液用容器の正面図である。
この実施例の医療用容器20は、可撓性材料により作成され、内部空間が剥離可能な仕切部109により第1の薬剤室101と第2の薬剤室102に区分された軟質バッグ(容器本体)2と、第1の薬剤室101側に固定された排出ポート機能付き薬剤容器3と、第2の薬剤室102側に固定された混注ポート18と、第1の薬剤室101に収納された第1の薬剤と、第2の薬剤室102に収納された第2の薬剤とを備えている。さらに、この実施例の医療用容器20は、第1の薬剤室101と排出ポート(薬剤容器)3との連通を阻害する剥離可能な連通阻害弱シール部106を備えている。
排出ポート機能付き薬剤容器3としては、上述したものが好適に使用される。また、混注ポート18としては、公知のものが使用できる。
そして、軟質バッグ2は、シート状筒状体により形成されており、収納部を区画する仕切部109を有し、収納部は、第1の薬剤室101と第2の薬剤室102に区画されている。さらに、医療用容器20では、排出ポート機能付き薬剤容器3の操作部55の上部を被包するように形成された剥離可能な連通阻害弱シール部106を備えている。なお、軟質バッグ2としては、仕切部109,連通阻害弱シール部106以外は、上述した軟質バッグと同じものが使用される。
この実施例では、連通阻害弱シール部106は、排出ポート機能付き薬剤容器3の上方を取り囲むように形成されている。この連通阻害弱シール部106により、第1の薬剤室101から隔離された第3室107が形成されている。この第3室107は、空室となっている。しかし、第3室には、所定の液体(例えば、生理食塩水)が入れられていてもよい。また、第3室は、乾燥状態でもよいが、滅菌のための微量の液体が充填されていてもよい。さらに、連通阻害弱シール部106に若干の水蒸気や薬剤が通る通路を形成し、第1の薬剤室101と上記のようなレベルで連通するものであってもよい。連通阻害弱シール部106は、シート材を帯状に熱シール(熱融着、高周波融着、超音波融着等)することにより形成することができる。
【0036】
連通阻害弱シール部106は、図18に示す実施例では、短辺が上側となる台形状に形成されている。また、連通阻害用弱シール部は、反転したU字形状、短辺が下側となる台形状、排出ポートが頂点となる三角形状、排出ポートが底辺となる三角形状、四角形状等の多角形状、略半円形状、略半楕円形状であってもよい。また、連通阻害弱シール部106のシール強度は、仕切部(仕切用弱シール部)109のシール強度と同等、若干大きいもしくは若干小さいものであることが好ましい。このようなものであれば、仕切部109が剥離されない状態にて薬液が投与されることがなく、かつ、容易な操作で投与準備を行うことができる。
また、連通阻害弱シール部106は、第1の薬剤室101もしくは第2の薬剤室102を押圧することにより、仕切部109の剥離とほぼ同時もしくは続いて連通阻害弱シール部106が剥離するものであることが好ましい。
そして、この実施例の医療用容器1では、図18に示すように、軟質バッグ2の側部中央部より、軟質バッグ2の中央方向に延びる2つの向かい合う側部突出シール部110を備えており、仕切部109は、2つの側部突出シール部110と接続し、軟質バッグ2の薬剤室の横方向全体を横切るように設けられている。そして、仕切部109は、剥離可能なシール部、言い換えれば、弱シール部となっている。
【符号の説明】
【0037】
1 輸液用容器
2 軟質バッグ
3 排出ポート機能付き薬剤容器
5 薬剤容器本体部
55 操作部
56 破断可能部
6 筒状部
63 筒状可撓性被包部
64 縮径先端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部において輸液などの薬液に薬剤の調製や配合を行うことができる輸液用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者に輸液を行うに先だって、輸液剤の入ったバイアル瓶や軟質バッグ等に、予め輸液剤に配合することが困難な薬剤、例えば、ビタミン剤、抗生物質等の薬剤を混合、溶解させ、薬液を調製することが行われている。そして、このような薬液の調製を無菌的に、また、簡単な操作で行うため、薬液が収納された軟質バッグに薬液と混合する薬剤を収納した薬剤容器を取り付け、輸液の際、薬剤容器に設けられた破断可能部(脆弱部)を軟質バッグごしに折り曲げ、破断することにより薬剤容器と軟質バッグを連通させ薬剤と薬液とを混合するようにした輸液用容器が提案されている。
このような輸液用容器として、特開2003−010285号公報(特許文献1)には、破断操作部の強度が大きく(剛性である)、破断操作時の把持性、操作性に優れた破断操作部を有する輸液用容器が開示されている。
【0003】
また、特開2003−159309号公報(特許文献2)には、 一回の折り曲げ操作により確実に脆弱部を破断することができる薬剤容器を備える輸液用容器が提案されている。
また、本件出願人は、特開2007−222243号公報(特許文献3)に示すものを提案している。
この輸液用容器1は、薬液が収納された軟質バッグ2と、軟質バッグ2に取り付けられ薬液と混合するための薬剤11が収納された硬質の薬剤容器3を備える。薬剤容器3は、薬剤11が収納された中空の薬剤収納部30と薬剤収納部30の先端側に形成され破断により薬剤収納部30の内部の薬剤11を排出可能とする破断可能部33と破断可能部33より先端側に設けられ破断可能部33の破断操作を行うための操作部34とを有する薬剤容器本体部5と、破断可能部33に接触することなく破断可能部33を先端部63において同軸的に被包するとともに、先端部63より基端側にて薬剤容器本体部5または/および軟質バッグ2に固定された筒状部6を備える。そして、筒状部6の先端は、破断可能部より所定長操作部34側に位置するとともに、操作部34による破断可能部33の破断操作時における破断可能部33の破断部位の筒状部6からの露出を防止するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−010285号公報
【特許文献2】特開2003−159309号公報
【特許文献3】特開2007−222243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の輸液用容器は、十分な効果を有している。しかしながら、本発明者等が検討したところ、薬剤容器の破断可能部の破断操作時に、例えば、希ではあるが、破断可能部の破断部位(破断端)もしくは破断した操作部の基端部が、軟質バッグに強く押し当てられることにより、バックに損傷を与え、液漏れを起こす可能性があることがわかった。
そこで、本発明は、破断可能部を有する薬剤容器を備える輸液用容器であって、破断可能部の破断操作時において、破断可能部の破断端および操作部の基端部との接触に起因する軟質バッグの損傷が確実に防止された輸液用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 薬液が収納された軟質バッグと、該軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、前記薬剤容器は、前記薬剤が収納された中空の薬剤収納部と該薬剤収納部の先端側に形成され破断により前記薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と該破断可能部より先端側に設けられ該破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部と、前記破断可能部を先端部において同軸的に被包するとともに、前記薬剤容器本体部または前記軟質バッグに固定された筒状部とを備え、かつ前記筒状部は、先端に向かって縮径し、前記破断可能部および前記操作部の基端部を被包する縮径先端部と、前記縮径先端部より先端側に延び、前記縮径先端部より露出する前記操作部の基端部分を被包し、前記操作部の破断操作中の前記破断可能部の破断端および前記操作部の基端部の前記軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備える輸液用容器。
【0007】
(2) 前記筒状可撓性被包部は、前記縮径先端部を被包し、さらに、前記縮径先端部の先端を越えて、先端側に延び、前記縮径先端部より露出する前記操作部の基端部分を被包している上記(1)に記載の輸液用容器。
(3) 前記筒状可撓性被包部は、ほぼ同一内径にて延びるものもしくはテーパー状に拡径するように延びるものとなっている上記(1)または(2)に記載の輸液用容器。
(4) 前記破断可能部は、前記操作部の破断操作により該破断可能部のある点を支点として破断操作が開始され該支点と向かい合う部分より破断が開始し、かつ、前記破断可能部の破断の進行により、前記操作部と前記筒状部の前記縮径先端部との接点が第二の支点となり破断操作が進行することにより、前記操作部は前記破断可能部において前記薬剤容器本体部より分離されるものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の輸液用容器。
(5) 前記筒状部は、前記薬剤容器本体部および前記軟質バッグに固定されており、前記薬剤容器本体部は、前記筒状部を介して前記軟質バッグに取り付けられている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の輸液用容器。
(6) 前記筒状部の前記縮径先端部の内面には、該縮径先端部の前記先端より、前記薬剤容器本体部の前記破断可能部を越える位置まで延びる溝が形成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の輸液用容器。
【0008】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(7) 薬液が収納された軟質バッグと、該軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、前記薬剤容器は、前記薬剤が収納された中空の薬剤収納部と、該薬剤収納部の先端側に形成され破断により前記薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と、該破断可能部より先端側に設けられ該破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部を備え、前記薬剤収納部の先端部は、前記破断可能部に向かって縮径する縮径部となっており、前記薬剤容器本体部は、前記薬剤収納部より先端側に延び、前記破断可能部および前記操作部の基端部分を被包するとともに離間し、前記操作部の破断操作中の前記破断可能部の破断端および前記操作部の基端部の前記軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備える輸液用容器。
【0009】
(8) 前記筒状可撓性被包部は、ほぼ同一内径にて延びるものもしくはテーパー状に拡径するように延びるものとなっている上記(7)に記載の輸液用容器。
(9) 前記筒状可撓性被包部は、先端に向かって肉薄となっている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の輸液用容器。
(10) 前記薬剤容器は、前記薬剤容器本体部の開口部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有する排出ポートとなっている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の輸液用容器。
(11) 前記薬剤容器本体部の内部には、前記破断可能部の未破断時における前記薬剤容器本体部内への前記医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材が収納されている上記(10)に記載の輸液用容器。
(12) 前記輸液用容器は、前記軟質バッグ内の前記薬液もしくは前記薬液と前記薬剤の混合溶液を排出するための排出ポートを備えている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の輸液用容器。
【発明の効果】
【0010】
本発明の輸液用容器は、薬液が収納された軟質バッグと、軟質バッグに取り付けられ薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、薬剤容器は、薬剤が収納された中空の薬剤収納部と薬剤収納部の先端側に形成され破断により薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と破断可能部より先端側に設けられ破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部と、破断可能部を先端部において同軸的に被包するとともに、薬剤容器本体部または軟質バッグに固定された筒状部とを備え、かつ筒状部は、先端に向かって縮径し、破断可能部および操作部の基端部を被包する縮径先端部と、縮径先端部より先端側に延び、縮径先端部より露出する操作部の基端部分を被包し、操作部の破断操作中の破断可能部の破断端および操作部の基端部の軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備える。
また、本発明の輸液用容器は、薬液が収納された軟質バッグと、軟質バッグに取り付けられ薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、薬剤容器は、薬剤が収納された中空の薬剤収納部と、薬剤収納部の先端側に形成され破断により薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と、破断可能部より先端側に設けられ破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部を備え、薬剤収納部の先端部は、破断可能部に向かって縮径する縮径部となっており、薬剤容器本体部は、薬剤収納部より先端方向に延び、破断可能部および操作部の基端部分を被包するとともに離間し、操作部の破断操作中の破断可能部の破断端および操作部の基端部の軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備える。
本発明の輸液用容器では、破断操作時に、破断可能部の破断部位(破断端)もしくは破断した操作部の基端部が、軟質バッグの内面方向に強く押し当てられることがあったとしても、破断部位(破断端)および破断した操作部の基端部は、軟質バッグの内面に接触せず、筒状可撓性被包部に接触するため、破断部位(破断端)および破断した操作部の基端部により、軟質バッグが損傷を受けることを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施例の輸液用容器の正面図である。
【図2】図2は、図1の輸液用容器に使用される排出ポート機能付き薬剤容器の拡大正面図である。
【図3】図3は、図2の薬剤容器の側面図である。
【図4】図4は、図2の薬剤容器のA−A線断面図である。
【図5】図5は、図3の薬剤容器のB−B線拡大断面図である。
【図6】図6は、図3の薬剤容器のC−C線拡大断面図である。
【図7】図7は、図2の薬剤容器に使用される薬剤容器本体部の正面図である。
【図8】図8は、図2の薬剤容器に使用される筒状部の断面図である。
【図9】図9は、図2の薬剤容器に使用される針管侵入阻害部材の正面図である。
【図10】図10は、図9の針管侵入阻害部材の拡大平面図である。
【図11】図11は、図4の部分拡大図である。
【図12】図12は、本発明の実施例である輸液用容器の使用方法を説明するための断面図(破断中)である。
【図13】図13は、本発明の輸液容器に用いられる排出ポート機能付き薬剤容器の他の実施例の断面図である。
【図14】図14は、本発明の輸液容器に用いられる排出ポート機能付き薬剤容器の他の実施例の断面図である。
【図15】図15は、本発明の他の実施例の輸液用容器の正面図である。
【図16】図16は、図15の輸液用容器に使用される薬剤容器の拡大正面図である。
【図17】図17は、図16の薬剤容器の断面図である。
【図18】図18は、本発明の他の実施例の輸液用容器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明の輸液用容器1は、薬液が収納された軟質バッグ2と、軟質バッグ2に取り付けられ薬液と混合するための薬剤8が収納された硬質の薬剤容器3を備える。薬剤容器3は、薬剤8が収納された中空の薬剤収納部54と薬剤収納部54の先端側に形成され破断により薬剤収納部54の内部の薬剤8を排出可能とする破断可能部56と破断可能部56より先端側に設けられ破断可能部56の破断操作を行うための操作部55とを有する薬剤容器本体部5と、破断可能部56に接触することなく破断可能部56を先端部64において同軸的に被包するとともに、薬剤容器本体部5または軟質バッグ2に固定された筒状部6とを備える。筒状部6は、先端に向かって縮径し、破断可能部56および操作部55の基端部55aを被包する縮径先端部64と、縮径先端部64より先端側に延び、縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包し、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部63を備えている。
【0013】
本発明の輸液用容器として、排出ポート機能付き薬剤容器を備える実施例を用いて説明する。
この実施例の輸液用容器1は、可撓性材料により形成され、内部に薬剤収納部である薬剤室11を有する軟質バッグ2と、軟質バッグ2の薬剤室11に取り付けられた排出ポート機能付き薬剤容器3と、薬剤室11に充填された薬液とを備える薬剤入り輸液用容器である。
また、図1に示すように、軟質バッグ2の一端側及び他端側には、シール部21,22が設けられている。また、上端側シール部21には、吊り下げ用開口25が設けられている。また、下端側シール部22の中央部分には排出ポート機能付き薬剤容器3を固定するための固定部24を備えている。
輸液用容器1の軟質バッグ2は、軟質合成樹脂により形成されている。軟質バッグ2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたものが好ましい。なお、軟質バッグ2は、例えば、ブロー成形法、共押出インフレーション法などの種々の方法により製造されたものでもよい。
軟質バッグ2は、水蒸気バリヤー性を有することが好ましい。水蒸気バリヤー性の程度としては、水蒸気透過度が、50g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であることが好ましく、より好ましくは10g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であり、さらに好ましくは1g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下である。この水蒸気透過度は、JISK7129(A法)に記載の方法により測定される。このように軟質バッグ2が水蒸気バリヤー性を有することにより、輸液用容器1の内部からの水分の蒸散が防止できる。その結果、充填される薬剤(具体的には、薬液)の減少、濃縮を防止することができる。また、輸液用容器1の外部からの水蒸気の侵入も防止することができる。
【0014】
このような軟質バッグ2の形成材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。そして、使用する樹脂材料は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性を有していることが好ましい。
本発明においては、軟質バッグ2の形成材料として、ポリオレフィンを含むものであるのが好ましい。軟質バッグ2の形成材料として、特に好ましいものとして、ポリエチレンまたはポリプロピレンに、スチレン−ブタジエン共重合体やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーあるいはエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−ブテン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマーをブレンドし柔軟化した軟質樹脂を挙げることができる。この材料は、高強度で柔軟性に富み、耐熱性(特に滅菌時の耐熱性)、耐水性が高い他、加工性が特に優れ、製造コストの低減を図ることができる点で好ましい。
【0015】
また、軟質バッグは、前述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また種々の目的で、複数の層(特に異種材料の層)を重ねた多層積層体であってもよい。多層積層体の場合、複数の樹脂層を重ねたものであってもよいし、少なくとも1層の樹脂層に金属層を積層したものであってもよい。複数の樹脂層を重ねたものの場合、それぞれの樹脂の利点を併有することができ、例えば、軟質バッグ2の耐衝撃性を向上させたり、耐ブロッキング性を付与したりすることができる。また、金属層を有するものの場合、軟質バッグ2のガスバリヤー性等を向上させることができる。例えば、アルミ箔等のフィルムが積層された場合、ガスバリヤー性の向上とともに、遮光性を付与したりすることができる。また、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物からなる層を形成した場合、ガスバリヤー性の向上とともに、軟質バッグ2の透明性を維持することができ、内部の視認性を確保することができる。なお、軟質バッグ2が多層積層体である場合、その内表面部分を形成する材料が、前述した材料であるのが好ましい。
軟質バッグ2を構成するシート材の厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過性、耐熱性等)等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜500μm程度であるのが好ましく、200〜360μm程度であるのがより好ましい。
また、輸液用容器1の容積は、内部に収納する薬剤の種類等によって異なるが、通常は、薬剤室の容積が、50〜5000ml程度であることが好ましい。
【0016】
排出ポート機能付き薬剤容器3は、軟質バッグ2内に充填された薬剤(薬液)に添加される薬剤の収納部および軟質バッグ内の薬液を排出するためのものである。
薬剤容器3は、図2ないし図7、図11および図12に示すように、薬剤容器本体部5と、筒状部6とからなる。薬剤容器3は、図1に示すように、軟質バッグ2と薬剤容器3の筒状部6が、軟質バッグ2を構成するシート材間に挿入され、液密状態に融着固定されている。また、薬剤容器3の操作部55が薬剤室11内に突出するものとなっている。そして、薬剤容器3の薬剤容器本体部5は、筒状部6に固定されている。具体的に、薬剤容器3の筒状部6は、超音波融着、高周波融着、熱融着等により軟質バッグ2に液密に取り付けられている。このように筒状部6を介して薬剤容器3を取り付けることにより、融着の際に発生する熱等のエネルギーの影響が薬剤収納部54内の薬剤8に及ぶことを防止することができる。
【0017】
薬剤容器本体部5は、薬剤収納部54と、破断可能部56と、操作部55とを有する筒状本体部51と、筒状本体部51の開口部を封止するとともに医療用針の接続(穿刺)が可能な排出口と、筒状本体部51内に収納された針管侵入阻害部材7と、筒状本体部51内に充填された薬剤8とを備えている。
そして、排出口は、医療用針管の接続(穿刺)が可能なシール部材53と、このシール部材53を筒状本体部51の開口部に固定するためのキャップ部材52とを備えている。そして、キャップ部材52は、その固定部(フランジ部58)が、筒状本体部51の基端部に設けられた固定部(フランジ部57)に、超音波融着、高周波融着、熱融着等により固定される。筒状本体部51の薬剤収納部54は、内部の薬剤が目視可能に透明に形成されていることが好ましい。また、筒状本体部51の薬剤収納部54は、常圧でもよいが、減圧または真空状態としてもよい。このように、薬剤収納部が減圧または真空状態であると、薬剤の変質分解・劣化等の防止効果が向上する。
収納される薬剤8としては、粉末、顆粒状などの固体状、液体状等いかなるものでもよい。薬剤としては、輸液剤に配合・溶解させるものであって、例えば抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリン等の抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正電解質、抗ウィルス薬、免疫賦活剤等が挙げられる。
そして、筒状本体部51の薬剤収納部54は、その先端が操作部55の基端部により閉塞されている。また、筒状本体部51の薬剤収納部54の先端部は、先端方向に向かって縮径するテーパー状先端部、言い換えれば、円錐台形状に形成されている。なお、先端内部形状としては、円錐台形状に限られず、ドーム状、略半球状、多角錐台形状等であってもよい。また、筒状本体部51の薬剤収納部54は、先端部を除きほぼ同一外径となっており、その基端には、環状に突出するフランジ部57が設けられている。
また、薬剤収納部54の容積は、1〜30mlであることが好ましい。また、薬剤収納部54の長さは、20〜70mmであることが好ましい。
【0018】
破断可能部56は、薬剤収納部54と操作部55の境界部付近に設けられた薄肉脆弱部である。実施例において、薄肉脆弱部(破断可能部)は、薬剤収納部54の先端部の外面に形成された環状溝により形成されている。このため、操作部55をバッグの外から折り曲げると、破断可能部56が切断され、薬剤収納部54から操作部55が分離する。また、溝形成部は、断面がV字状となっている。具体的には、溝形成部の断面V字角度は、30〜90°、特に、40〜50°であることが好ましい。このような角度に溝形成部を作製することにより、操作部55を折り曲げた際、破断可能部の中心に応力が集中して確実に破断するものとなる。また、溝形成部は、破断容易な形状であればいかなる形状のものであってもよく、実施例のようなV字形状に限られず半円形状、半楕円形状等であってもよい。また、溝形成部の肉厚を溝部形成部付近の肉厚より相対的に薄く作製することにより破断容易としてもよい。また、破断可能部を他の部分より脆弱な材料により作製してもよい。具体的には、多色成形によって、破断可能部付近のみ容易に破断可能な材料で環状に作製して、その他の部分を破断容易でない材料にて作製することが好ましい。また、本発明の実施例では、溝形成部は環状溝形成部であり薬剤収納部の外周面全周に連続して設けられているが、これに限られず断続的に設けられていてもよい。
【0019】
また、破断可能部56を形成する環状溝形成部の操作部55側の縁部は、面取り加工されていることが好ましい。具体的に、先端側外側面縁部は、丸みを帯びるように作製されていることが好ましい。このため、切断分離された操作部55により、特に破断操作時に、後述する筒状部6の筒状可撓性被包部63に損傷を与えることを防止する。
操作部55は、板状本体部と、板状本体部の両面に軸方向に沿って板状本体部と垂直に複数形成された補強部59を備えている。補強部59は、破断操作する際把持される把持部となり、基端から先端に向かって厚さが薄くなっている。また、補強部を有することにより操作部55は折り曲げ方向に変形しにくいものとなり、破断操作の際加えられた力は確実に破断可能部に集中する。
また、破断が開始される破断可能部付近の操作部は、操作部の破断操作中に筒状部の縮径先端部と実質的に接触しないものとなっていることが好ましい。具体的には、破断を開始する破断可能部56付近の操作部55は、操作部55の破断操作中に筒状部6の先端部内面と破断可能部56の支点と向かい合う部分側の操作部55とが、実質的に接触しないものであることが好ましい。実施例では、破断可能部56の操作部55側と筒状部先端部との間に若干隙間ができるように形成されているため接触しないものとなっている。
そして、破断可能部56は、操作部55の破断操作により破断可能部56のある点を支点として破断操作が開始され支点と向かい合う部分より破断が開始し、かつ、破断可能部の破断の進行により、操作部55と筒状部6の接点が第二の支点となり破断操作が進行することにより、操作部55は、破断可能部56において薬剤容器本体部5より分離されるものであることが好ましい。
【0020】
また、破断を開始する破断可能部56付近の操作部55は、操作部55の破断操作中に筒状部6の縮径先端部64の開口部内面と破断可能部56の支点と向かい合う部分側の操作部55とが、実質的に接触しないものであることが好ましい。実施例では、破断可能部56の操作部55側と縮径先端部64との間に若干隙間ができるように形成されているため接触しないものとなっている。
また、薬剤容器本体部5と筒状部6は、薬剤容器本体部5のフランジ部57の先端側面と筒状部6のフランジ部62の基端側面を、超音波融着、熱融着、高周波融着等することにより液密に接合されている。
また、この実施例の排出ポート機能付き薬剤容器3では、図2ないし図5および図7に示すように、薬剤容器本体部5の内部には、医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材7が収納されている。針管侵入阻害部材7は、破断可能部56の未破断時における薬剤容器本体部5内への医療用針管の侵入を阻害するものである。この実施例における針管侵入阻害部材7は、図9及び図10に示すように、薬剤容器本体部5の筒状本体部51の先端部内と当接可能な先端部を有する本体部71と、医療用針管の先端が当接可能な基端部72とを有するものである。
【0021】
そして、薬剤容器3(薬剤容器本体部5)の破断可能部56が未破断の状態(図1ないし図4の状態)において、シール部材53に医療用針管を穿刺した場合、針管の先端は針管侵入阻害部材7の基端部72に当接し、進入を阻止する。作業者は、医療用針管が穿刺不能状態であることより、薬剤容器本体部5の破断可能部56が未破断であることを認識することができる。そして、薬剤容器本体部5の破断可能部56が未破断の状態における医療用針管の薬剤容器本体部5への穿刺可能長さは、医療用針管の開口が排出ポート内部と連通しない長さであることが好ましい。
この例の針管侵入阻害部材7では、本体部71は、図9および図10に示すように、4つの軸方向に延びる板状部71a,71b,71c,71dを有する断面十字状のものとなっている。また、基端部72は、円盤状となっている。
そして、この針管侵入阻害部材7は、薬剤容器本体部5の破断可能部56の破断後、薬剤容器本体部5より流出可能なものとなっている。しかし、このようなものに限定されるものではない。また、針管侵入阻害部材7としては、破断可能部56の未破断の状態における医療用針管の薬剤容器本体部5への穿刺を規制するものであれば、上記の針管侵入阻害部材に限定されるものではない。
【0022】
筒状部6は、先端及び基端が開口した筒状であり、筒状本体部61と、先端に向かって縮径し、破断可能部56および操作部55の基端部55aを被包する縮径先端部64と、縮径先端部64を被包し、縮径先端部64の先端を越えて、先端側に延び、縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包し、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部63とを備えている。また、筒状本体部61の基端部には、フランジ部62が設けられている。
筒状部6は、図2ないし図8、図11および図12に示すように、先端及び基端が開口した筒状体である。そして、筒状部6の先端部は、縮径する縮径先端部64となっているとともに、薬剤容器本体部5の破断可能部56に接触することなく破断可能部56を被包している。さらに、筒状部6の縮径先端部64の先端は、破断可能部56より若干、操作部側に位置するとともに、操作部55による破断可能部56の破断操作時における破断可能部56の破断部位の筒状部6からの露出を防止するものとなっている。
また、この実施例の筒状部では、筒状部6の縮径先端部64は、破断可能部56に接触することなく破断可能部56を被包するものであり、かつ、破断可能部56の外径(または破断可能部56における薬剤容器本体部の中心軸を通る最小外径部の外径)をAmmとした場合に、筒状部6の縮径先端部64の先端は、破断可能部56より、0.4Amm〜Amm操作部55側に位置するものとなっている。特に、0.5Amm〜0.8Amm操作部55側に位置することが好ましい。上述の構成を有することにより、薬剤容器の破断可能部の破断操作時における破断可能部の破断端により、軟質バッグが損傷を受けることを防止する。
【0023】
筒状部6は、図8,図11に示すように、ほぼ同一外径の筒状本体部61と、筒状本体部61の先端に設けられたテーパー状に縮径する縮径先端部64と、縮径先端部64の中央部付近より、先端方向に延びる筒状可撓性被包部63と、筒状本体部61の基端部に設けられたフランジ部62とを備える。
そして、筒状可撓性被包部63は、図11に示すように、縮径先端部64の傾斜面に基端を有し、ほぼ同一内径にて先端方向に延びるものとなっている。また、筒状可撓性被包部63は、縮径先端部64の先端を越えて延び、縮径先端部64の先端部および縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包している。また、筒状可撓性被包部63の内面と縮径先端部64の先端および操作部55の基端部分間には、空隙があり、両者と接触しないものとなっている。このため、操作部55の破断操作中において、操作部55が変形しても、破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aは、軟質バッグ2の内面に接触することなく、筒状可撓性被包部63の内面に接触するものとなる。
そして、筒状可撓性被包部63は、可撓性を有しているため、操作部55と接触後に変形可能であるため、操作部55の破断操作を阻害することがない。よって、筒状可撓性被包部63により、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を、破断操作を阻害することなく規制する。このため、破断操作に起因する軟質バッグ2の損傷を防止する。そして、図8および図11に示すように、この実施例のものでは、筒状可撓性被包部63は、先端に向かって肉薄となっている。筒状可撓性被包部63は、先端側がより高い可撓性を有するもの(言い換えれば、柔軟)となっているため、破断部55の当接後の変形が容易であるとともに、基端側が、先端側に比べて、可撓性が低い、言い換えれば、先端側に比べて硬質なものとなっているので、操作部55の破断端55b、基端部55aにより、強く押圧されても破断することがない。また、筒状可撓性被包部63は、円筒状であることが望ましいが、楕円筒状、多角筒状であってもよい。また、筒状部6は、筒状本体部61部分にて軟質バッグ2に固着されており、筒状可撓性被包部63は、軟質バッグ2に固着されていない。
【0024】
さらに、この実施例における筒状部6は、図5に示すように、筒状部6の内面には、筒状部6の縮径先端部64の先端より、薬剤容器本体部5の破断可能部56を越える位置まで延びる溝64aが形成されている。この実施例では、溝64aは、複数形成されている。この溝64aを設けることにより、薬剤容器3の破断可能部56の破断時における薬剤容器3からの薬剤の排出が良好なものとなる。特に、本発明では、筒状部6の縮径先端部64が破断可能部56より所定距離突出部位に位置しているが、この溝を形成することにより、筒状部6の縮径先端部64が薬剤の排出の障害となることを確実に抑制する。
薬剤容器本体部5、筒状部6、針管侵入阻害部材7の構成材料としては、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、環状ポリオレフィン(具体的には、ZEONEX(日本ゼオン株式会社製)、APEL(三井化学株式会社製)、ポリプロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、安全性が高く、軟質バッグ2との密着性に優れるという点で、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルが好ましい。
【0025】
また、筒状部としては、図13の排出ポート機能付き薬剤容器3aが備える筒状部6aのようなものであってもよい。この薬剤容器3aと上述した薬剤容器3との相違は、筒状部6aの筒状可撓性被包部63aの形状のみである。
筒状部6aは、先端及び基端が開口した筒状であり、筒状本体部61と、先端に向かって縮径し、破断可能部56および操作部55の基端部55aを被包する縮径先端部64と、縮径先端部64の先端部より先端側に延び、縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包し、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部63aとを備えている。また、筒状本体部61の基端部には、フランジ部62が設けられている。
筒状部6aは、図13に示すように、先端及び基端が開口した筒状体である。そして、筒状部6aの先端部は、縮径する縮径先端部64となっているとともに、薬剤容器本体部5の破断可能部56に接触することなく破断可能部56を被包している。さらに、筒状部6aの縮径先端部64の先端は、破断可能部56より若干、操作部側に位置するとともに、操作部55による破断可能部56の破断操作時における破断可能部56の破断部位の筒状部6aからの露出を防止するものとなっている。また、この実施例の筒状部6aにおいても、上述した筒状部6と同様に、その縮径先端部64は、破断可能部56に接触することなく破断可能部56を被包している。
【0026】
そして、筒状可撓性被包部63aは、縮径先端部64の先端付近に基端を有し、先端側に向かってテーパー状に拡径するように延びるものとなっている。また、筒状可撓性被包部63aは、縮径先端部64の先端を越えて延び、縮径先端部64の先端部および縮径先端部64より露出する操作部55の基端部分を被包している。また、筒状可撓性被包部63aの内面と操作部55の基端部分間には、空隙があり、接触しないものとなっている。そして、操作部55の破断操作中において、操作部55が変形しても、破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aは、軟質バッグ2の内面に接触することなく、筒状可撓性被包部63aの内面に接触するものとなる。そして、筒状可撓性被包部63aは、可撓性を有しているため、操作部55と接触後に変形可能であるため、操作部55の破断操作を阻害することがない。よって、筒状可撓性被包部63aにより、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aの軟質バッグ2の内面への接触を、破断操作を阻害することなく規制する。このため、破断操作に起因する軟質バッグ2の損傷を防止する。そして、図13に示すように、筒状可撓性被包部63aは、先端に向かって肉薄となっている。このため、筒状可撓性被包部63aは、先端側がより高い可撓性を有するものとなっている。また、筒状可撓性被包部63aは、円錐状であることが望ましいが、楕円錐状、多角錐状であってもよい。
【0027】
また、本発明の輸液用容器に用いられる排出ポート機能付き薬剤容器としては、図14に示すようなタイプの排出ポート機能付き薬剤容器3bであってもよい。この薬剤容器3bでは、上述した薬剤容器3が備えていた筒状部6を持たないものとなっている。
この実施例における薬剤容器3bは、薬剤8が収納された中空の薬剤収納部54と、薬剤収納部54の先端側に形成され破断により薬剤収納部54の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部56と、破断可能部56より先端側に設けられ破断可能部56の破断操作を行うための操作部55とを有する薬剤容器本体部5aを備える。薬剤収納部54の先端部は、破断可能部56に向かって縮径する縮径部51aとなっている。さらに、薬剤容器本体部5aは、薬剤収納部54より先端方向に延び、破断可能部56および操作部55の基端部分を被包するとともに基端部分より離間し、操作部55の破断操作中の破断可能部56の破断端および操作部55の基端部の軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部59を備えている。
そして、薬剤容器3bでは、薬剤容器本体部5aは、上述した薬剤容器5と同様に、薬剤収納部54と、破断可能部56と、操作部55とを有する筒状本体部51と、筒状本体部51の開口部を封止するとともに医療用針の接続(穿刺)が可能な排出口と、筒状本体部51内に収納された針管侵入阻害部材7と、筒状本体部51内に充填された薬剤8とを備えている。そして、この実施例の薬剤容器本体部5aは、筒状可撓性被包部59を備えている。また、排出口、薬剤収納部54、破断可能部56、操作部55、針管侵入阻害部材7については、上述したものと同じである。
【0028】
そして、筒状本体部51の薬剤収納部54は、その先端が操作部55の基端部により閉塞されている。また、筒状本体部51の薬剤収納部54の先端部は、先端方向に向かって縮径する縮径部51aとなっている。言い換えれば、薬剤収納部54の先端部は、円錐台形状に形成されている。なお、先端内部形状としては、円錐台形状に限られず、ドーム状、略半球状、多角錐台形状等であってもよい。また、筒状本体部51の薬剤収納部54は、先端部を除きほぼ同一外径となっており、その基端には、環状に突出するフランジ部57が設けられている。
そして、筒状可撓性被包部59は、縮径先端部51aを被包し、さらに、先端側に向かって延び、操作部55の基端部を被包するものとなっている。また、筒状可撓性被包部59の内面と操作部55の基端部分間には、空隙があり、接触しないものとなっている。そして、操作部55の破断操作中において、操作部55が変形しても、破断可能部56の破断端55bおよび操作部55の基端部55aは、軟質バッグ2の内面に接触することなく、筒状可撓性被包部59の内面に接触するものとなる。そして、筒状可撓性被包部59は、可撓性を有しているため、操作部55と接触後に変形可能であるため、操作部55の破断操作を阻害することがない。また、筒状可撓性被包部59は、円筒状であることが望ましいが、楕円筒状、多角筒状であってもよい。さらには、筒状可撓性被包部59は、図13に示した筒状部6aが有する筒状可撓性被包部63aのような円錐状、さらには、楕円錐状、多角錐状であってもよい。
【0029】
次に、輸液用容器1の使用方法について添付図面を参照して説明する。
図11は、本発明の輸液用容器に用いられている排出ポート機能付き薬剤容器3の筒状部の縮径先端部付近の部分拡大断面図である。図12は、本発明の実施例である輸液用容器の使用方法を説明するための断面図(破断中)である。
排出ポート機能付き薬剤容器3の筒状部6を一方の手で固定して他方の手で軟質バッグ2ごしに操作部55を把持して折り曲げるように操作する。図12に示すように、破断可能部56の折り曲げ方向側に位置する部分が支点となり操作部55が時計回りに回転して破断可能部56の折り曲げ方向と反対側に位置する部分(支点と向かい合う部分)の破断が開始される。破断の開始により、薬剤容器本体部5に収納されている薬剤は、薬剤容器本体部5と筒状部6間の空間および溝64aを通り、軟質バッグ2内の薬液収納部10に流入する。さらに、破断操作を進行させることにより、破断可能部56の全体が破断される。この破断可能部56の破断操作中において、破断可能部56の破断により形成される破断端55b、操作部55の基端部55aは、筒状可撓性被包部63内に位置し、筒状可撓性被包部63より露出せず、基端部55a、破断端55bが軟質バッグ2の内面と接触することがなく、軟質バッグ2に損傷を与えることもない。また、筒状可撓性被包部63は、可撓性を有するため、操作部55による破断操作の障害となることもない。
【0030】
本発明の輸液用容器として、排出ポートと、薬剤容器を個々に備える実施例について説明する。
図15は、本発明の他の実施例の輸液用容器の正面図である。図16は、図15の輸液用容器に使用される薬剤容器の拡大正面図である。図17は、図16の薬剤容器の断面図である。
この実施例の輸液用容器10は、薬液が収納された軟質バッグ2と、軟質バッグ2に取り付けられ薬液と混合するための薬剤98が収納された硬質の薬剤容器9と、排出ポート13とを備える。
排出ポート13は、薬液を排出するための部分である。排出ポート13は、先端(図15に示す下側)及び基端(図15に示す上側)が開口した筒状部材と、筒状部材の先端側に先端開口(混合溶液排出口)を密封するように配置された弾性部材と、弾性部材を固定するキャップ(弾性部材支持部材)からなる。弾性部材は、針管を刺通可能なものであり、必要時に針管を刺通して、薬剤室11内の混合溶液を輸液することができる。
【0031】
薬剤容器9は、図16および図17に示すように、薬剤容器本体部15と、筒状部16からなる。薬剤容器9は、筒状部16により軟質バッグ2に取り付けられている。具体的に、薬剤容器9の筒状部16は、超音波融着、高周波融着、熱融着等により軟質バッグ2の薬剤容器固定部に形成された固着部26により液密に取り付けられている。
薬剤容器本体部15は、薬剤収納部84と、破断可能部86と、操作部85とを有する筒状本体部81と、筒状本体部81の開口部を封止する蓋部17を備えている。筒状本体部81の基端部には、フランジ部87が設けられており、フランジ部87は、凹部状に作製され蓋部17を取り付ける蓋部取付部を有している。蓋部は、その蓋部取付部に液密に固定されている。筒状本体部81の薬剤収納部84は、常圧でもよいが、減圧または真空状態としてもよい。このように、薬剤収納部が減圧または真空状態であると、薬剤の変質分解・劣化等の防止効果が向上する。
収納される薬剤98としては、薬剤8にて説明したものが好適に使用される。
そして、筒状本体部81の薬剤収納部84は、その先端が操作部85の基端部により閉塞されている。また、筒状本体部81の薬剤収納部84の先端部は、先端方向に向かって縮径するテーパー状先端部、言い換えれば、円錐台形状に形成されている。なお、先端内部形状としては、円錐台形状に限られず、ドーム状、略半球状、多角錐台形状等であってもよい。また、筒状本体部81の薬剤収納部84は、先端部を除きほぼ同一外径となっており、その基端には、環状に突出するフランジ部87が設けられている。また、薬剤収納部84の容積は、1〜30mlであることが好ましい。また、薬剤収納部84の長さは、20〜70mmであることが好ましい。
破断可能部86は、上述した破断可能部56と同じであり、操作部85も上述した操作部55と同じであるので、上述の説明を参照するものとする。
また、薬剤容器本体部15と筒状部16は、薬剤容器本体部15のフランジ部87の先端側面と筒状部16のフランジ部92の基端側面を、超音波融着、熱融着、高周波融着等することにより液密に接合されている。
【0032】
筒状部16は、先端及び基端が開口した筒状であり、筒状本体部91と、先端に向かって縮径し、破断可能部86および操作部85の基端部85aを被包する縮径先端部94と、縮径先端部94を被包し、縮径先端部94の先端を越えて、先端側に延び、縮径先端部94より露出する操作部85の基端部分を被包し、操作部85の破断操作中の破断可能部86の破断端および操作部85の基端部85aの軟質バッグ2の内面への接触を規制する筒状可撓性被包部93とを備えている。また、筒状本体部91の基端部には、フランジ部92が設けられている。
筒状部16は、図16および図17に示すように、先端及び基端が開口した筒状体である。そして、筒状部16の先端部は、縮径する縮径先端部94となっているとともに、薬剤容器本体部15の破断可能部86に接触することなく破断可能部86を被包している。さらに、筒状部16の縮径先端部94の先端は、破断可能部86より若干、操作部側に位置するとともに、操作部85による破断可能部86の破断操作時における破断可能部86の破断部位の筒状部16からの露出を防止するものとなっている。
【0033】
筒状部16は、図16および図17に示すように、上述した筒状部6とほぼ同じものとなっている。このため、筒状部16は、ほぼ同一外径の筒状本体部91と、筒状本体部91の先端に設けられたテーパー状に縮径する縮径先端部94と、縮径先端部94の中央部付近より、先端方向に延びる筒状可撓性被包部93と、筒状本体部91の基端部に設けられたフランジ部92とを備える。
そして、筒状可撓性被包部93は、縮径先端部94の傾斜面に基端を有し、ほぼ同一内径にて先端方向に延びるものとなっている。また、筒状可撓性被包部93は、縮径先端部94の先端を越えて延び、縮径先端部94の先端部および縮径先端部94より露出する操作部85の基端部分を被包している。また、筒状可撓性被包部93の内面と縮径先端部94の先端および操作部85の基端部分間には、空隙があり、両者と接触しないものとなっている。このため、操作部85の破断操作中において、操作部85が変形しても、破断可能部86の破断端および操作部85の基端部は、軟質バッグ2の内面に接触することなく、筒状可撓性被包部93の内面に接触するものとなる。そして、筒状可撓性被包部93は、可撓性を有しているため、操作部85と接触後に変形可能であるため、操作部85の破断操作を阻害することがない。よって、筒状可撓性被包部93により、操作部85の破断操作中の破断可能部86の破断端および操作部85の基端部の軟質バッグ2の内面への接触を、破断操作を阻害することなく規制する。このため、破断操作に起因する軟質バッグ2への損傷付与を防止する。そして、この実施例のものでは、筒状可撓性被包部93は、先端に向かって肉薄となっている。このため、筒状可撓性被包部93は、先端側がより高い可撓性を有する(言い換えれば、柔軟)となっているため、操作部85との当接後の変形が容易であるとともに、基端側が、先端側に比べて、可撓性が低いもの(先端側に比べて硬質)となっているので、操作部85の破断端、基端部により、強く押圧されても破断することがない。また、筒状可撓性被包部93は、円筒状であることが望ましいが、楕円筒状、多角筒状、さらに、図13に示し、上述した薬剤容器3aの筒状部6aが備えるような、テーパー状に拡径する円錐状、さらには、楕円錐状、多角錐状であってもよい。
【0034】
また、この実施例における筒状部16においても、上述した筒状部6と同様に、図5に示すように、筒状部16の内面には、筒状部16の縮径先端部94の先端より、薬剤容器本体部15の破断可能部86を越える位置まで延びる溝を有するものであってもよい。
さらに、この実施例における輸液用容器においても、薬剤容器として、図14に示すような上述した筒状部を持たず、薬剤容器本体部が、薬剤収納部より先端方向に延び、破断可能部および操作部の基端部分を被包し、操作部の破断操作中の破断可能部の破断端および操作部の基端部の軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備えるものであってもよい。
薬剤容器本体部15、筒状部16、蓋部17の構成材料としては、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、環状ポリオレフィン[具体的には、ZEONEX(日本ゼオン株式会社製)、APEL(三井化学株式会社製)]、ポリプロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、安全性が高く、軟質バッグ2との密着性に優れるという点で、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルが好ましい。
【0035】
本発明の輸液用容器としては、図18に示すような輸液用容器20のようなタイプのものであってもよい。
図18は、本発明の他の実施例の輸液用容器の正面図である。
この実施例の医療用容器20は、可撓性材料により作成され、内部空間が剥離可能な仕切部109により第1の薬剤室101と第2の薬剤室102に区分された軟質バッグ(容器本体)2と、第1の薬剤室101側に固定された排出ポート機能付き薬剤容器3と、第2の薬剤室102側に固定された混注ポート18と、第1の薬剤室101に収納された第1の薬剤と、第2の薬剤室102に収納された第2の薬剤とを備えている。さらに、この実施例の医療用容器20は、第1の薬剤室101と排出ポート(薬剤容器)3との連通を阻害する剥離可能な連通阻害弱シール部106を備えている。
排出ポート機能付き薬剤容器3としては、上述したものが好適に使用される。また、混注ポート18としては、公知のものが使用できる。
そして、軟質バッグ2は、シート状筒状体により形成されており、収納部を区画する仕切部109を有し、収納部は、第1の薬剤室101と第2の薬剤室102に区画されている。さらに、医療用容器20では、排出ポート機能付き薬剤容器3の操作部55の上部を被包するように形成された剥離可能な連通阻害弱シール部106を備えている。なお、軟質バッグ2としては、仕切部109,連通阻害弱シール部106以外は、上述した軟質バッグと同じものが使用される。
この実施例では、連通阻害弱シール部106は、排出ポート機能付き薬剤容器3の上方を取り囲むように形成されている。この連通阻害弱シール部106により、第1の薬剤室101から隔離された第3室107が形成されている。この第3室107は、空室となっている。しかし、第3室には、所定の液体(例えば、生理食塩水)が入れられていてもよい。また、第3室は、乾燥状態でもよいが、滅菌のための微量の液体が充填されていてもよい。さらに、連通阻害弱シール部106に若干の水蒸気や薬剤が通る通路を形成し、第1の薬剤室101と上記のようなレベルで連通するものであってもよい。連通阻害弱シール部106は、シート材を帯状に熱シール(熱融着、高周波融着、超音波融着等)することにより形成することができる。
【0036】
連通阻害弱シール部106は、図18に示す実施例では、短辺が上側となる台形状に形成されている。また、連通阻害用弱シール部は、反転したU字形状、短辺が下側となる台形状、排出ポートが頂点となる三角形状、排出ポートが底辺となる三角形状、四角形状等の多角形状、略半円形状、略半楕円形状であってもよい。また、連通阻害弱シール部106のシール強度は、仕切部(仕切用弱シール部)109のシール強度と同等、若干大きいもしくは若干小さいものであることが好ましい。このようなものであれば、仕切部109が剥離されない状態にて薬液が投与されることがなく、かつ、容易な操作で投与準備を行うことができる。
また、連通阻害弱シール部106は、第1の薬剤室101もしくは第2の薬剤室102を押圧することにより、仕切部109の剥離とほぼ同時もしくは続いて連通阻害弱シール部106が剥離するものであることが好ましい。
そして、この実施例の医療用容器1では、図18に示すように、軟質バッグ2の側部中央部より、軟質バッグ2の中央方向に延びる2つの向かい合う側部突出シール部110を備えており、仕切部109は、2つの側部突出シール部110と接続し、軟質バッグ2の薬剤室の横方向全体を横切るように設けられている。そして、仕切部109は、剥離可能なシール部、言い換えれば、弱シール部となっている。
【符号の説明】
【0037】
1 輸液用容器
2 軟質バッグ
3 排出ポート機能付き薬剤容器
5 薬剤容器本体部
55 操作部
56 破断可能部
6 筒状部
63 筒状可撓性被包部
64 縮径先端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液が収納された軟質バッグと、該軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、前記薬剤容器は、前記薬剤が収納された中空の薬剤収納部と該薬剤収納部の先端側に形成され破断により前記薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と該破断可能部より先端側に設けられ該破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部と、前記破断可能部を先端部において同軸的に被包するとともに、前記薬剤容器本体部または前記軟質バッグに固定された筒状部とを備え、かつ前記筒状部は、先端に向かって縮径し、前記破断可能部および前記操作部の基端部を被包する縮径先端部と、前記縮径先端部より先端側に延び、前記縮径先端部より露出する前記操作部の基端部分を被包し、前記操作部の破断操作中の前記破断可能部の破断端および前記操作部の基端部の前記軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備えることを特徴とする輸液用容器。
【請求項2】
前記筒状可撓性被包部は、前記縮径先端部を被包し、さらに、前記縮径先端部の先端を越えて、先端側に延び、前記縮径先端部より露出する前記操作部の基端部分を被包している請求項1に記載の輸液用容器。
【請求項3】
前記筒状可撓性被包部は、ほぼ同一内径にて延びるものもしくはテーパー状に拡径するように延びるものとなっている請求項1または2に記載の輸液用容器。
【請求項4】
前記破断可能部は、前記操作部の破断操作により該破断可能部のある点を支点として破断操作が開始され該支点と向かい合う部分より破断が開始し、かつ、前記破断可能部の破断の進行により、前記操作部と前記筒状部の前記縮径先端部との接点が第二の支点となり破断操作が進行することにより、前記操作部は前記破断可能部において前記薬剤容器本体部より分離されるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項5】
前記筒状部は、前記薬剤容器本体部および前記軟質バッグに固定されており、前記薬剤容器本体部は、前記筒状部を介して前記軟質バッグに取り付けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項6】
前記筒状部の前記縮径先端部の内面には、該縮径先端部の前記先端より、前記薬剤容器本体部の前記破断可能部を越える位置まで延びる溝が形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項7】
薬液が収納された軟質バッグと、該軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、前記薬剤容器は、前記薬剤が収納された中空の薬剤収納部と、該薬剤収納部の先端側に形成され破断により前記薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と、該破断可能部より先端側に設けられ該破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部を備え、前記薬剤収納部の先端部は、前記破断可能部に向かって縮径する縮径部となっており、前記薬剤容器本体部は、前記薬剤収納部より先端側に延び、前記破断可能部および前記操作部の基端部分を被包するとともに離間し、前記操作部の破断操作中の前記破断可能部の破断端および前記操作部の基端部の前記軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備えることを特徴とする輸液用容器。
【請求項8】
前記筒状可撓性被包部は、ほぼ同一内径にて延びるものもしくはテーパー状に拡径するように延びるものとなっている請求項7に記載の輸液用容器。
【請求項9】
前記筒状可撓性被包部は、先端に向かって肉薄となっている請求項1ないし8のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項10】
前記薬剤容器は、前記薬剤容器本体部の開口部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有する排出ポートとなっている請求項1ないし9のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項11】
前記薬剤容器本体部の内部には、前記破断可能部の未破断時における前記薬剤容器本体部内への前記医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材が収納されている請求項10に記載の輸液用容器。
【請求項12】
前記輸液用容器は、前記軟質バッグ内の前記薬液もしくは前記薬液と前記薬剤の混合溶液を排出するための排出ポートを備えている請求項1ないし9のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項1】
薬液が収納された軟質バッグと、該軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、前記薬剤容器は、前記薬剤が収納された中空の薬剤収納部と該薬剤収納部の先端側に形成され破断により前記薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と該破断可能部より先端側に設けられ該破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部と、前記破断可能部を先端部において同軸的に被包するとともに、前記薬剤容器本体部または前記軟質バッグに固定された筒状部とを備え、かつ前記筒状部は、先端に向かって縮径し、前記破断可能部および前記操作部の基端部を被包する縮径先端部と、前記縮径先端部より先端側に延び、前記縮径先端部より露出する前記操作部の基端部分を被包し、前記操作部の破断操作中の前記破断可能部の破断端および前記操作部の基端部の前記軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備えることを特徴とする輸液用容器。
【請求項2】
前記筒状可撓性被包部は、前記縮径先端部を被包し、さらに、前記縮径先端部の先端を越えて、先端側に延び、前記縮径先端部より露出する前記操作部の基端部分を被包している請求項1に記載の輸液用容器。
【請求項3】
前記筒状可撓性被包部は、ほぼ同一内径にて延びるものもしくはテーパー状に拡径するように延びるものとなっている請求項1または2に記載の輸液用容器。
【請求項4】
前記破断可能部は、前記操作部の破断操作により該破断可能部のある点を支点として破断操作が開始され該支点と向かい合う部分より破断が開始し、かつ、前記破断可能部の破断の進行により、前記操作部と前記筒状部の前記縮径先端部との接点が第二の支点となり破断操作が進行することにより、前記操作部は前記破断可能部において前記薬剤容器本体部より分離されるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項5】
前記筒状部は、前記薬剤容器本体部および前記軟質バッグに固定されており、前記薬剤容器本体部は、前記筒状部を介して前記軟質バッグに取り付けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項6】
前記筒状部の前記縮径先端部の内面には、該縮径先端部の前記先端より、前記薬剤容器本体部の前記破断可能部を越える位置まで延びる溝が形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項7】
薬液が収納された軟質バッグと、該軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された硬質の薬剤容器とを備える輸液用容器であって、前記薬剤容器は、前記薬剤が収納された中空の薬剤収納部と、該薬剤収納部の先端側に形成され破断により前記薬剤収納部の内部の薬剤を排出可能とする破断可能部と、該破断可能部より先端側に設けられ該破断可能部の破断操作を行うための操作部とを有する薬剤容器本体部を備え、前記薬剤収納部の先端部は、前記破断可能部に向かって縮径する縮径部となっており、前記薬剤容器本体部は、前記薬剤収納部より先端側に延び、前記破断可能部および前記操作部の基端部分を被包するとともに離間し、前記操作部の破断操作中の前記破断可能部の破断端および前記操作部の基端部の前記軟質バッグの内面への接触を規制する筒状可撓性被包部を備えることを特徴とする輸液用容器。
【請求項8】
前記筒状可撓性被包部は、ほぼ同一内径にて延びるものもしくはテーパー状に拡径するように延びるものとなっている請求項7に記載の輸液用容器。
【請求項9】
前記筒状可撓性被包部は、先端に向かって肉薄となっている請求項1ないし8のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項10】
前記薬剤容器は、前記薬剤容器本体部の開口部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有する排出ポートとなっている請求項1ないし9のいずれかに記載の輸液用容器。
【請求項11】
前記薬剤容器本体部の内部には、前記破断可能部の未破断時における前記薬剤容器本体部内への前記医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材が収納されている請求項10に記載の輸液用容器。
【請求項12】
前記輸液用容器は、前記軟質バッグ内の前記薬液もしくは前記薬液と前記薬剤の混合溶液を排出するための排出ポートを備えている請求項1ないし9のいずれかに記載の輸液用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−183180(P2012−183180A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47958(P2011−47958)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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