説明

輸液装置

【課題】 従来の輸液装置では、チューブの脱着時に固定された内壁と公転するローラとの隙間にチューブを挿入する際には、ロータを回しながら徐々にチューブを挿入するものであるため手間がかかり、誤装着の懸念もあった。また、チューブ装着時にはガイドローラとチューブとの衝突は避けられない。
【解決手段】 本発明の輸液装置は、チューブをしごく内壁部材とローラとの隙間が拡大可動可能であり、チューブのガイドローラが屈折可動可能であってチューブの脱着操作を容易にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液装置に係り特に原動機の回転により、薬液、血液等を搬送するチューブをしごくローラを公転駆動させ、薬液、血液等を人体に注入する輸液装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チューブは、固定された内壁と公転するローラとの隙間に装着され、公転するローラにしごかれることにより薬液等が送出される。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−268887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながらこのような従来のものではチューブを装着する隙間はチューブが潰れるほどの隙間になるよう設定されているため、ローラを有するロータを回しながら上記隙間に徐々にチューブを挿入する必要があり、チューブの装着には、時間がかかり、装着性は良くない状況である。
【0005】
また、チューブの取り外しについても装着と同様であり、狭い隙間に狭まっているチューブを、固定された内壁と公転するローラとの隙間から取り出すには、相当な引き出し力及びチューブの損傷に気を付ける等、作業性が悪い状況である。
【0006】
また、チューブ挿入の際チューブがローラの移動軌跡から外れない位置に挿入されるようロータ外周にチューブのガイドローラを設けているものでは、チューブ挿入の際チューブがガイドローラに接触してその挿入に支障を生ずると共に、チューブの誤装着や傷みを生ずるおそれがあった。
【0007】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の輸液装置は、原動機にて1個以上のローラを有するロータを回転させ、ローラと内壁でチューブをしごき液体を送出させる輸液装置であって、チューブがローラの回転軌跡から外れないようにするために設けられたガイドを有し、このガイドが屈折可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の輸液装置は、チューブをしごく内壁の少なくとも一部をローラから離接自在ならしめたことを特徴とする。
【0010】
上記ガイドは、支持軸によって支持されており、この支持軸の一部がピンを介してロータに傾動自在に支持されており、上記支持軸の遊端が上記ロータに形成した弧状のガイド溝に沿って移動自在であることを特徴とする。
【0011】
また、上記ガイドが支持軸によって支持されており、この支持軸が屈折可能な弾性体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の輸液装置においては、内壁部分とローラとの隙間を極めて簡単、容易に拡大することができるので、操作性を向上させることが可能であると共に、チューブのガイドローラが屈折可能であるためチューブ挿入の際のチューブの傷みを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1及び図2において1は板状のロータ、2はこのロータ1の外周からその一部がはみ出るよう外周近くに回転自在に枢支した円周方向に互いに離間した複数個の例えば3個のローラ、3はハウジング本体、4は上記ローラ2を含むロータ1の外周をその少なくとも180°に亘り取り囲むよう上記ハウジング本体3に形成した内壁面、5は上記ハウジング本体3の一端に形成した開口、6は上記ハウジング本体3の内壁面4と、上記ロータ1の外周面間に形成される所望の間隙、7は上記ロータ1を回転せしめる駆動源、8は上記ハウジング本体3の開口5から上記間隙6内に挿入し、上記ロータ1を取り巻くようにした、薬液、血液等を搬送するチューブ、9は上記チューブ8挿入の際、チューブ8が上記ローラ2の移動軌跡から外れない位置にガイドするよう上記ロータ1の外周に設けたガイドローラを示し、本発明においては上記ハウジング本体3の一端開口5に対向する上記内壁面4の一部分4′を含む内壁部分10を上記ハウジング本体3から分離せしめ、これをスライド手段11によって上記ハウジング本体3に対し、その一端開口5に接近するX方向にスライド自在ならしめると共に、上記ガイドローラ9を屈折可能ならしめる。
【0015】
上記スライド手段11は、上記内壁部分10を上記ハウジング本体3に相対的に上記ハウジング本体3の一端開口5に接近するX方向にガイドせしめるガイドロッド12と、上記ハウジング本体3に回動自在に枢支した、上記内壁部分10を貫通して延びる回転軸13と、この回転軸13にその基部を固定した回動レバー14と、上記内壁部分10内に形成した空洞部内に配置されたその基部を上記回転軸13に固定したカムとにより構成し、回動レバー14を図2に示す位置から反時計方向に回動すれば、空洞部内でカムが反時計方向に回動し、その先端部が内壁部分10を回転軸13を基点として上記X方向に押し、図3及び図4に示すようにチューブ8をロータ1上のローラ2に押し付けるようになり、ロータ1の回転によってチューブ8は上記隙間6内でしごかれ、チューブ8内の液体が送出されるようになる。
【0016】
また、上記ガイドローラ9は図5に示すように、ガイド軸15に回動自在に支持せしめ、このガイド軸15の上記ガイドローラ9側部分を上記ロータ1の外周部分にピン16を介して傾動自在に枢支し、上記ガイド軸15の遊端部にピン17を設け、このピン17を上記ロータ1内に形成した弧状ガイド溝18に移動自在に係合せしめ、チューブ8挿入の際チューブ8が上記ガイドローラ9に接触した場合図5に示す状態から図6に示す状態にガイドローラ9が傾動し、チューブ8が正しく装着された後はトーションバネ(図示せず)等により図5に示す位置に復帰されるようにする。
【0017】
なお、上記ガイド溝18等を設けることなく上記ガイド軸15を弾性体により構成して図7の状態から図8の状態に上記ガイドローラ9が変位されるようにしても良い。
【0018】
本発明の輸液装置によれば、回動レバー14を図4に示す位置から図2に示すように回転軸13を中心に時計方向に回動したとき内壁部分10が反X方向に移動してロータ1との間に十分な隙間が形成されるようになるため、チューブ8の脱着が極めて容易となり、操作性を向上することができると共に、チューブ8挿入の際、チューブ8が上記ガイドローラ9に接触した場合ガイドローラ9が傾動し、その後は復帰されるようにしたのでチューブ8を正しく装着でき、また、装着の際チューブ8に傷を付けるおそれがない。
【0019】
なお、上記回動レバー14は手動で操作するほか従来既知の手段で電動化することも可能である。
【0020】
また、チューブしごき動作中に内壁部分10に加わる反力は上記回転軸13によって受けるか、または反力のベクトル方向をカムの回転軸中心方向に向けることにより対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の輸液装置の横断平面図である。
【図2】図1に示す輸液装置の縦断正面図である。
【図3】本発明の輸液装置の運転状態における横断平面図である。
【図4】図3に示す輸液装置の縦断正面図である。
【図5】本発明の輸液装置におけるガイドローラの説明図である。
【図6】図5に示すガイドローラの動作説明図である。
【図7】本発明の輸液装置におけるガイドローラの他の実施例の説明図である。
【図8】図7に示すガイドローラの動作説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 ロータ
2 ローラ
3 ハウジング本体
4 内壁面
4′ 一部分
5 開口
6 間隙
7 駆動源
8 チューブ
9 ガイドローラ
10 内壁部分
11 スライド手段
12 ガイドロッド
13 回転軸
14 回動レバー
15 ガイド軸
16 ピン
17 ピン
18 弧状ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機にて1個以上のローラを有するロータを回転させ、ローラと内壁でチューブをしごき液体を送出させる輸液装置であって、チューブがローラの回転軌跡から外れないようにするために設けられたガイドを有し、このガイドが屈折可能であることを特徴とする輸液装置。
【請求項2】
チューブをしごく内壁の少なくとも一部をローラから離接自在ならしめたことを特徴とする請求項1記載の輸液装置。
【請求項3】
上記ガイドが支持軸によって支持されており、この支持軸の一部がピンを介してロータに傾動自在に支持されており、上記支持軸の遊端が上記ロータに形成した弧状のガイド溝に沿って移動自在であることを特徴とする請求項1または2記載の輸液装置。
【請求項4】
上記ガイドが支持軸によって支持されており、この支持軸が屈折可能な弾性体であることを特徴とする請求項1または2記載の輸液装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−95031(P2006−95031A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283911(P2004−283911)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000228730)日本サーボ株式会社 (276)
【Fターム(参考)】