説明

輸液装置

【課題】輸液中に異常が発生した場合に、その異常に対して適切な対応方法をとることができるようにし、輸液治療の安全性を向上させる。
【解決手段】輸液装置1は、表示部11と、複数種の異常をそれぞれ検出する異常検出部8,9,13,14,15と、異常検出部8,9,13,14,15の信号に基づいて表示部11を制御する制御部12とを有している。異常検出部8,9,13,14,15で検出した異常に対応する対応方法を示したメッセージを表示内容格納部12bより選択し、表示部11に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示に特徴を有する輸液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、医療現場には多くの医療機器が設置されており、これらの機器が出す警報や警告は、医療行為を行う上で極めて重要なものである為、医師や看護師等は、即座に機器の状況を判断し対応する必要がある。特に、複数の機器が同時に異常を知らせる場合には、より緊急性の高いものはどれかという優先順位を的確に判断し、それに対応しなければならない。
【0003】
このことに対し、例えば特許文献1では、複数の輸液装置が異常警報等を出した時に、これらの輸液装置の動作状況を監視する輸液制御装置が、警報等の種類によって重要度を判断し、その判断結果を表示制御装置に伝え、その判断結果における表示データを表示制御装置から各輸液装置に設けられた表示部に送信し、そして、表示部に警報の重要度等が表示されるようになっている。これにより、複数の輸液装置が同時に異常警報等を出しても、医師や看護師等はどの輸液装置について緊急に対応しなければならないかを判断できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−7623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、緊急時において即座に対応すべき機器を判別できたとしても、その後の対応は、医師や看護師等の判断により行われるものである。よって、機器に発生した異常の原因が複数存在する場合、不慣れな使用者が誤って機器を操作したり、緊急で且つ緊迫した状況下で、医師や看護師等が誤った方法によって機器を操作する可能性がある。また、ベテランの医師や看護師等においては、経験則に頼りすぎて現状を注視せずに異常の発生原因を誤って予測してしまい、ひいては、思い込みによる間違った対応を行い、かえって問題が悪化するといったことが考えられる。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、輸液中に異常が発生した場合に、その異常に対して適切な対応方法をとることができるようにし、輸液治療の安全性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明では、輸液容器内の液体を送るポンプ部を備え、該ポンプ部の動作により上記輸液容器内の液体をドリップチャンバーを経て患者に注入するように構成された輸液装置であって、表示部と、複数種の異常をそれぞれ検出する異常検出部と、該異常検出部の信号に基づいて上記表示部を制御する制御部とを有し、上記制御部には、上記異常検出部で検出する複数の異常の各々の対応方法が示されたメッセージを格納する表示内容格納部と、上記異常検出部で検出した異常に対応する対応方法を示したメッセージを上記表示内容格納部より選択し、上記表示部に表示させる演算部とが備えられ、上記異常検出部は、上記ドリップチャンバー内の液滴を検出する滴落検出器を有している構成とした。
【0008】
この構成によれば、ポンプ部によって輸液容器内の液体が患者に注入される場合に、輸液装置において何らかの異常が発生し異常検出部がその異常を検出すると、演算部が異常に対する対応方法を示したメッセージを表示内容格納部より選択し、選択したメッセージを表示部に表示させるので、医師や看護師等はそのメッセージを見ることによって発生した異常の対応方法を確認することが可能になる。これにより、不慣れな使用者の誤操作や、緊急且つ緊迫した状況下での装置の誤操作を減らすことが可能となるとともに、ベテランの医師等による思い込みに起因する装置の誤操作も減らすことが可能になる。
【0009】
また、輸液容器内の液体を送るポンプ部を備え、該ポンプ部の動作により上記輸液容器内の液体を患者に注入するように構成された輸液装置であって、表示部と、複数種の異常をそれぞれ検出する異常検出部と、該異常検出部の信号に基づいて上記表示部を制御する制御部とを有し、上記制御部には、上記異常検出部で検出する複数の異常の各々の対応方法についての注意事項が示されたメッセージを格納する表示内容格納部と、上記異常検出部で検出した異常に対応する対応方法についての注意事項を示したメッセージを上記表示内容格納部より選択し、上記表示部に表示させる演算部とが備えられている構成としてもよい。
【0010】
この構成によれば、第1の発明と同様に、輸液装置の異常検出部が異常を検出すると、演算部が発生した異常に対する対応方法についての注意事項を示したメッセージを表示内容格納部より選択し、選択したメッセージを表示部に表示させるので、医師や看護師等はそのメッセージを見ることによって発生した異常の対応方法についての注意事項を確認することが可能になる。これにより、不慣れな使用者の誤操作や、緊急且つ緊迫した状況下での装置の誤操作を減らすことが可能となるとともに、ベテランの医師等による思い込みに起因する装置の誤操作も減らすことが可能になる。
【0011】
また、ポンプ部の動作条件を入力する操作部を有し、表示内容格納部には、該操作部で行われる操作の各々に対応する確認メッセージが格納され、演算部は、該操作部で行われた操作に対応する確認メッセージを上記表示内容格納部より選択し、表示部に表示させる構成としてもよい。
【0012】
この構成によれば、入力した動作条件に対応するメッセージが表示部に表示されるので、医師や看護師等は自己の操作の正誤を確認しながら操作を行える。
【0013】
また、演算部は、操作部で行われる操作の各々に対応するメッセージを表示部に拡大して表示する構成としてもよい。
【0014】
この構成によれば、操作部での操作に対応するメッセージが表示部に拡大して表示されるので、医師や看護師等が、メッセージの内容を見間違うことを減少させることができる。
【0015】
また、演算部が、異常検出部で検出した異常について複数の原因を推定し、表示部に表示する構成としてもよい。
【0016】
この構成によれば、制御部が、異常検出部で検出した異常について複数の原因を推定し、表示部に表示するので、医師や看護師等は、異常発生時において、思い込みに起因する装置の誤操作を減らすことができる。
【0017】
また、原因の個数を表示部に表示する構成としてもよい。
【0018】
この構成によれば、異常検出部で検出した異常についての原因が複数推定される場合に、原因の個数を表示部に表示するので、医師や看護師等は、異常発生時において、思い込みにより原因を特定してしまうといったことを減らすことができる。
【0019】
また、表示内容格納部には、設定値が格納され、異常検出部が異常を検出したときに、演算部が設定値の表示を上記表示内容格納部より選択し、表示部に表示させる構成としてもよい。
【0020】
この構成によれば、異常検出部で異常を検出したときに、設定値を表示部に表示するので、医師や看護師等は、異常発生時において、その異常が操作者の設定ミスによるものであるか否かを判断できる。
【0021】
また、操作部には複数の設定値をそれぞれ設定する設定ボタンが設けられ、上記設定ボタンの色と、該設定ボタンで設定されて表示部に表示される設定値の表示色とが同系色である構成としてもよい。
【0022】
この構成によれば、操作部に設けられた設定ボタンと、その設定ボタンにより設定され、表示部に表示される設定値とが同系色であるので、医師や看護師等は、設定するボタンを判別し易く、誤操作を減らすことができる。
【0023】
また、表示内容格納部には、クレンメの開放の確認を促すメッセージが格納され、演算部が、輸液の開始時に、クレンメの開放の確認を促すメッセージを表示内容格納部より選択し、表示部に表示させる構成としてもよい。
【0024】
この構成によれば、輸液を開始する際に、操作者にクレンメの開放を確認するメッセージが表示されるので、クレンメを閉じたまま輸液を開始し、患者に対して薬液等が投与されないといったことを減らすことができる。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明によれば、輸液装置に異常が発生した時に、発生した異常の原因に対する対応方法を表示部において表示させることができるので、医師や看護師等は、発生した異常に対して適切な対応を行うことができ、輸液治療を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の輸液装置の正面図である。
【図2】本発明の輸液装置において、ケース部を開いた状態の斜視図である。
【図3】輸液装置のブロック図である。
【図4】輸液装置において、通常画面である表示部を示した図である。
【図5】輸液装置において、ポンプ部が未装着の場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図6】輸液装置において、設定した流量値が予定量よりも大きい場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図7】輸液装置において、操作者が一定時間操作をしない場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図8】輸液装置において、バッテリ電源により輸液装置を運転させる場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図9】輸液装置において、バッテリ電源の電圧が所定値以下となった場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図10】輸液装置において、異常発生時における対応時の注意事項が表示された表示部を示した図である。
【図11】輸液装置において、異常発生時において警報を解除しないままに次の操作を行った時の注意事項が表示された表示部を示した図である。
【図12】輸液装置において、異常発生時において発せられた警報音を停止した後の表示部を示した図である。
【図13】輸液装置において、発生した異常に対する原因が表示された表示部を示した図である。
【図14】輸液装置において、発生した異常に対する対応方法が表示された表示部を示した図である。
【図15】輸液装置において、発生した異常に対応した後に表示された表示部を示した図である。
【図16】輸液装置において、点滴数が多い場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図17】輸液装置において、異常発生時における対応時の注意事項が表示された表示部を示した図である。
【図18】輸液装置において、異常発生時における対応時の注意事項が表示された表示部を示した図である。
【図19】輸液装置において、発生した異常に対する原因が表示された表示部を示した図である。
【図20】輸液装置において、ボーラス送りの輸液を行うことによって輸液の量が予定量の設定値を超える場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図21】輸液装置において、プライミングの為に液体を送液する場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図22】輸液装置において、キーロックの操作を行った場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図23】輸液装置において、キーロックを解除する操作を行った場合のメッセージが表示された表示部を示した図である。
【図24】輸液装置において、異常発生時における対応時の注意事項が表示された表示部を示した図である。
【図25】輸液装置において発生した異常に対する原因と、その原因に対する対応方法が表示された表示部を示した図である。
【図26】輸液装置において発生した異常に対する原因と、その原因に対する対応方法が表示された表示部を示した図である。
【図27】輸液装置において、輸液開始時における注意事項が表示された表示部を示した図である。
【図28】輸液装置において、発生した異常に対する対応方法が表示された表示部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
図1及び図2は、本発明の輸液装置1を示すものであり、輸液装置1は、ケース部2と滴落検出器9(異常検出部)とから構成されている。ケース部2の内部には、ポンプ部4と、機械式クランプ部6と、電動式クランプ部7と、気泡検出センサ部(異常検出部)8と、制御部12(図3にのみ記載)とが設けられ、ケース部2の前面には操作ボタン部10と、カラー液晶パネル11とが設けられている。この輸液装置1は、輸液容器31からドリップチャンバー32とクレンメ34を経由し患者まで延びるチューブ33において、ドリップチャンバー32とクレンメ34との中間部に設けられるものである。輸液装置1の操作ボタン部10において、カラー液晶パネル11で設定内容を確認しながら、患者に注入する液体Lの流量等を設定し、その後ポンプ部4を作動させると、チューブ33にポンプ部4のポンプ作用が加わり、輸液容器31に貯留されている液体Lを、ドリップチャンバー32を経由して患者の体内へ注入することができるようになっている。
【0029】
尚、以下の説明では説明の便宜を図るため、特に示さない限り、「左」及び「右」は各図に示すように輸液装置1の左側及び右側を意味し、「前」及び「後」は各図に示すように輸液装置1の前側及び後側を意味するものとする。
【0030】
図2に示すように、ケース部2は、本体側ケース21と、ドア側ケース22と、ドアヒンジ23とから構成されている。
【0031】
本体側ケース21及びドア側ケース22は、略直方体の形状をしている。本体側ケース21におけるドア側ケース対向面21aの中央には、本体側ケース21に脱着可能であり、略長方形で上下方向に延びたポンプ部4が設けられている。ポンプ部4には、前側に突出する突条部41が、ポンプ部4の周縁に形成されている。この突条部41には、上下に切り欠き部41aが形成され、この上下に位置する切り欠き部41aに、チューブ33を嵌め込むようになっている。突条部41の内方は、本体側ケース21の内部に開口しており、左右に延びるフィンガ42が、上下方向に複数並んで設けられている。このフィンガ42、42、・・・は本体側ケース21の内部に設けられたカム機構(図示せず)により、上側のフィンガ42から下側のフィンガ42へと順番に、前後方向に可動するようになっている。
【0032】
ドア側ケース22における本体側ケース対向面22aには、ポンプ部4に対向する位置にチューブ押さえ部43が設けられており、ドア側ケース22を閉じると、チューブ押さえ部43と、フィンガ42、42、・・・とでチューブ33を挟み込み、フィンガ42が前後に可動することで、チューブ33が上から下に向けて順に適度に押し潰され、これにより、液体Lを患者に向けて送り出すことができるようになっている。
【0033】
ポンプ部4の下側には、機械式クランプ部6が設けられている。機械式クランプ部6は、左側半分において本体側ケース21の内部に開口する開口部61を有し、右側半分において前側に略直方体形状に突出するチューブ受け部64を有している。開口部61には、本体側ケース21の内部より前側に突出する機械式クランプ可動部62が設けられており、この機械式クランプ可動部62は左右に移動可能となっている。ドア側ケース22が開いた状態においては、機械式クランプ可動部62は、本体側ケース21の内部に設けられたバネ機構(図示せず)によって、右側に位置し、チューブ受け部64との間において、チューブ33を押し潰し、チューブ33内を液体Lが通過できないようにする。機械式クランプ可動部62の前端には、右側に突出する凸部63が設けられ、この凸部63は先端に行くほど細くなる形状となっている。また、チューブ受け部64には左側に凹部65が設けられ、機械式クランプ可動部62が右側に位置する時には、凸部63の先端が凹部65に嵌って、チューブ33を機械式クランプ部6から前側に引き出すことができないようになる。
【0034】
また、ドア側ケース22には、本体側ケース対向面22aにおいて、機械式クランプ部6に対向する位置に機械式クランプ干渉回避部66が設けられている。機械式クランプ干渉回避部66は、ドア側ケース22を閉じた時に、本体側ケース対向面22aが機械式クランプ部6と干渉しないように窪んでいる。そして、中央には突起67が、凸部63に対向する位置において、凸部63に向かって設けられており、ドア側ケース22を閉じると、突起67が凸部63と接触することによって、機械式クランプ可動部62が左側に位置するようになり、チューブ33が開放されるようになっている。
【0035】
ポンプ部4の上側には、電動式クランプ部7が設けられている。電動式クランプ部7は、左側部分において前側に略直方体形状に突出する左側突出部71が設けられ、右側部分において前側に略直方体形状に突出する右側突出部72が設けられ、この左側突出部71と右側突出部72との間をチューブ33が通過するようになっている。そして、左側突出部71と右側突出部72との間には本体側ケース21の内部に開口する開口部73が設けられ、チューブ33と右側突出部72との間から、開口部73より電動式クランプ可動部74が突出している。この電動式クランプ可動部74は、左側突出部71及び右側突出部72よりも前側に突出しており、本体側ケース21内に設けられた電動モータ(図示せず)により、左右に可動することが可能な構成となっている。
【0036】
また、ドア側ケース22には、本体側ケース対向面22aにおいて、電動式クランプ部7に対向する位置に電動式クランプ干渉回避部75が設けられている。電動式クランプ干渉回避部75は、ドア側ケース22を閉じた時に、本体側ケース対向面22aが電動式クランプ部7と干渉しないように窪んでいる。
【0037】
電動式クランプ部7の上部には、気泡検出センサ部8が設けられている。気泡検出センサ部8は、本体側ケース21のドア側ケース対向面21aに設けられた本体側気泡検出センサ部81と、ドア側ケース22の本体側ケース対向面22aに設けられたドア側気泡検出センサ部82とから構成される。本体側気泡検出センサ部81は、略正方形の形状をしており、中央に本体側センサ81aが設けられている。また、ドア側気泡検出センサ部82は、本体側ケース21側に向けて上下方向中央が緩やかに湾曲しており、その中央部にはドア側センサ82aが設けられている。本体側センサ81a及びドア側センサ82aは超音波センサであり、ドア側ケース22を閉じた時に、本体側センサ81aとドア側センサ82aとでチューブ33を挟み込んでチューブ33に超音波を透過させる。このときチューブ33を通過する液体L内に気泡が混在している場合、液体と気泡ではその透過率が異なることからその差を検出することで、液体L内の気泡の存在を検出することができるようになっている。
【0038】
また、図1に示すように、ドア側ケース22の前面部22bには、各種操作ボタンが設けられた操作ボタン部10と、操作ボタン部10の上方に輸液装置1の状態等を表示するカラー液晶パネル11とが設けられている。
【0039】
ドア側ケース22の前面部22bに設けられたカラー液晶パネル11は、輸液装置1の状態を表示したり、各設定値を表示したりするものである。カラー液晶パネル11の使用時における通常画面は、図4に示すように、流量表示部11aに、患者に投与する液体Lの設定流量を表示し、滴数表示部11bに、使用する輸液セットの種類を表示し、そして、予定量表示部11cは、患者に投与する液体Lの予定量を表示するようになっている。
【0040】
図1に示すように、操作ボタン部10には、輸液装置1を操作する為の各操作ボタンが設けられている。消音ボタン10aは、鈴のマークが施されたボタンであり、例えば、異常が発生した時に発生する警報を止める操作に使用するボタンである。警報内容ボタン10bは、エクスクラメーションマークが施されたボタンであり、例えば、異常が発生した時に、異常の発生原因について確認する場合に使用するボタンである。積算量クリアボタン10cは、患者に投与した輸液の積算量をゼロに戻すボタンである。積算量/予定量変更ボタン10dは、カラー液晶パネル11の予定量表示部11cの表示を、患者に投与を予定している予定量の表示から、投与している液体Lの積算量の表示に変更する為のボタンである。輸液セットボタン10eは、輸液セットの種類を設定するボタンである。例えば、輸液セットを60滴/mLのセットから20滴/mLのセットに変更した時に、設定変更を行う時に使用するものである。流量設定ボタン10fは、患者に投与する液体Lの流量の設定値を変更する際に使用するボタンである。予定量設定ボタン10gは、患者に投与する予定の量を予め設定しておく為に使用するボタンである。Lボタン10jは、操作ボタン部10の電源ボタン10lとLボタン10j以外のボタンの操作を無効にすることができるキーロックボタンである。Fボタン10iは、例えば、Lボタン10jとの組み合わせで、患者に対して一時的に輸液を注入するボーラス送りの設定をすることができるボタンである。早送りボタン10kは、チューブ33内のプライミングの為に液体Lを送液する場合に使用するボタンである。電源ボタン10lは、輸液装置1の電源のON/OFFを行う際に使用するボタンである。選択ボタン10mは、カラー液晶パネル11に表示されている表示内容を異なる表示に切り替えたりする際に使用するボタンである。開始/停止ボタン10nは、輸液の開始又は終了時に使用するボタンである。
【0041】
ここで、輸液セットボタン10eは、滴数表示部11bの表示色と同系色で設けられている。また、流量設定ボタン10fは、流量表示部11aの表示色と同系色で設けられている。また、予定量設定ボタン10gは、予定量表示部11cの表示色と同系色で設けられている。
【0042】
滴落検出器9は、略直方体形状をしており、中央部には、ドリップチャンバー32を挟み込むことができるように、上下方向に貫通し、前面の壁が取り除かれたドリップチャンバー保持部91を有している。このドリップチャンバー保持部91には、ドリップチャンバー32を挟んで、光学的な発光素子と受光素子とが対向して配置され、発光素子から受光素子に向けて発生される光が、ドリップチャンバー32内で落下する滴により遮断される際の受光量の変化により滴落を検出できるようになっている。輸液装置1では、滴落検出器9において、ドリップチャンバー32内で所定の時間内に計測される滴落数が第1の所定値を超えると注意信号が出され、第2の所定値を超えると異常とみなし、警告信号が出されるようになっている。
【0043】
次に、輸液装置1の制御部12について説明する。図3は輸液装置1のブロック図を示したものである。制御部12は、演算部12aと表示内容格納部12bとから構成されている。演算部12aは、気泡検出センサ部8と、滴落検出器9と、ドア開閉検出センサ部13(異常検出部)と、バッテリ電圧検出部14(異常検出部)と、ポンプ装着検出部15(異常検出部)とに接続され、これらのセンサから送られる信号を監視する。また、演算部12aは、操作ボタン部10と接続されており、操作ボタン部10で操作が行われると、その内容が演算部12aに送られてくるようになっている。また、演算部12aは表示内容格納部12bに接続されており、カラー液晶パネル11に表示させる表示内容を表示内容格納部12bより選択できるようになっている。さらに、演算部12aは、カラー液晶パネル11と、電動式クランプ部7と、ポンプ部4と、警報器5とに接続されている。演算部12aがカラー液晶パネル11に指令を出し、カラー液晶パネル11がその信号を受け取るとカラー液晶パネル11は画面の表示を切り替える。同様に、電動式クランプ部7に指令を出すと、電動式クランプ部7はクランプを可動/停止させ、ポンプ部4に指令を出すと、ポンプ部4はポンプを作動/停止させ、警報器5に指令を出すと、警報器5は警報音をON/OFFさせるようになっている。
【0044】
表示内容格納部12bには、カラー液晶パネル11に表示させる複数のメッセージが格納されている。例えば、図5に示すように、ポンプ部4を本体側ケース21に未装着のまま、輸液装置1の電源を投入した場合に表示するメッセージ”フィンガカセット未装着”が格納されている。また、図6に示すように、設定された流量が予定量より多い場合に表示する注意事項を示したメッセージ”流量値が予定量より大きいですが輸液を開始しますか?”が格納されている。また、図7に示すように、操作者が次の操作を所定の時間行わなかった場合に表示するメッセージ”操作忘れ”が格納されている。また、図8に示すように、バッテリ電源により、輸液装置1を運転させる場合に表示するメッセージ”バッテリ運転”が格納されている。また、図9に示すように、バッテリ電源の電圧が第1の所定値以下となった場合に表示するメッセージ”電池電圧”が格納されている。また、図10に示すように、気泡検出センサ部8から受け取った信号を異常と判断した場合に表示するメッセージ”気泡警報”と”対応時フリーフロー注意”とが格納されている。また、図11に示すように、異常時において警報を停止させる前にポンプ部4のポンプを作動させようとする場合に表示されるメッセージ”気泡警報”と”警報が解除されていないため運転を開始できません。(消音ボタン10aのアイコン表示)を押して警報を解除してください。”とが格納されている。また、図12に示すように、警報器5に対し警報音を停止するよう指令を出された場合に表示されるメッセージ”気泡警報(消音中)”が格納されている。また、図13に示すように、発生した異常に対する原因について説明するメッセージ”チューブが正しくセットされていない”が格納されている。また、図14に示すように、発生した異常に対して、その対応方法を説明するメッセージ”1.輸液セットのクレンメを閉じる。2.ドアを開け、チューブクランプを開放する”が格納されている。また、図15に示すように、異常処置後に表示されるメッセージ”(開始/停止ボタン10nのアイコン表示)を押すと輸液を開始します”が格納されている。また、図16に示すように、所定の時間内に計測される滴落数が第1の所定値を超えた時に表示されるメッセージ”点滴注意”及び”点滴数が多い”が格納されている。また、図17に示すように、滴落数異常が発生した時に、その異常に対する対応方法を表示するメッセージ”点滴警報”及び”対応時フリーフロー注意”が格納されている。また、図18に示すように、ドア側ケース22が開いている時に表示されるメッセージ”ドア警報”と”フリーフロー注意、クレンメを閉鎖し対応”が格納されている。また、図19に示すように、ドア警報が発生した時の原因を説明するメッセージ”運転中にドアが開いた”が格納されている。また、図20に示すように、ボーラス送りの輸液を行うことによって、輸液の量が予定量の設定値を超える場合に、注意事項として表示されるメッセージ”ボーラス中にKORになりますがよろしいですか?”が格納されている。また、図21に示すように、チューブ33内のプライミングの為に液体Lを送液する場合において表示されるメッセージ”早送りを行いますか?”と”<注意>早送り中は、気泡・滴下は検知しません”とが格納されている。また、図22に示すように、キーロックを行う際に表示するメッセージ”キーロック中”及び”3秒間押し続けると電源ボタン、キーロックボタン以外のボタン操作は無効となります”が格納されている。また、図23に示すように、キーロックを解除する際に表示するメッセージ”キーロックを解除します”及び”3秒間押し続けると全てのボタン操作が有効となります”が格納されている。また、図24に示すように、滴落数異常が発生した時に表示するメッセージ”点滴警報”と”滴数が多い”と”フリーフロー注意、クレンメを閉鎖し対応”とが格納されている。また、図25に示すように、滴落数異常の第1の原因とその対応方法を表示するメッセージ”滴落検出器の位置ズレ”及び”確認、修正して下さい”が格納されている。また、図26に示すように、滴落数異常の第2の原因とその対応方法を表示するメッセージ”輸液セット、設定の間違い”及び”輸液セット、輸液設定を確認してください”が格納されている。また、図27に示すように、ポンプ部4の運転開始時の注意事項を表示するメッセージ”クレンメを確認して下さい”が格納されている。また、図28に示すように、発生した異常に対して、その対応方法を説明するメッセージ”輸液セットの装着状態を確認し、ドアを確実に閉じてください”が格納されている。
【0045】
次に演算部12aにおける制御を詳細に説明する。ポンプ部4を本体側ケース21に未装着のまま、操作者によって、操作ボタン部10の電源ボタン10lが押されると、演算部12aはポンプ装着検出部15より信号を受け取り、表示内容格納部12bよりメッセージ”フィンガカセット未装着”を選択する。そして、図5に示すように、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、注意事項表示部11dを画面に表示し、その注意事項表示部11dに上記メッセージを表示するよう指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、画面上部に注意事項表示部11dを表示し、この注意事項表示部11dに上記メッセージを大きく表示する。
【0046】
操作者によって、操作ボタン部10において入力される設定値は、制御部12の演算部12aに送られる。演算部12aは、カラー液晶パネル11に、入力された設定値を表示するように指令を出す。図4に示すように、カラー液晶パネル11は、演算部12aから送られた信号に基づいて、画面中央の流量表示部11aに流量値を表示し、画面上部の滴数表示部11bに使用する輸液セットの種類を表示し、画面下部の予定量表示部11cに患者に投与する液体Lの予定量を表示する。その後、操作者が、開始/停止ボタン10nを押し、輸液開始の信号が入力されると、その信号を受け取った演算部12aは、入力された設定値に基づいて、ポンプ部4に動作指令を出し、ポンプ部4は、その信号に従ってポンプを作動させる。
【0047】
演算部12aは、所定の操作以外の操作の信号を受け取ると、表示内容格納部12bに格納されている各操作に対応する注意事項を表示したメッセージを選択し、カラー液晶パネル11に対し、その選択したメッセージを表示するように指令を出す。例えば、操作者が操作ボタン部10において患者に投与する液体Lの流量を予定量よりも大きく設定した場合、その信号を演算部12aが受け取ると、図6に示すように、演算部12aは、当該操作に対応するメッセージ”流量値が予定量より大きいですが輸液を開始しますか?”を表示内容格納部12bより選択する。そして、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、注意事項表示部11dを画面に表示し、その注意事項表示部11dに上記メッセージを表示するように指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、画面上部に注意事項表示部11dを表示し、それまで表示していた、流量表示部11aと、滴数表示部11bと、予定量表示部11cとを画面下部に縮小表示する。そして、注意事項表示部11dに上記メッセージを大きく表示する。
【0048】
ここで、操作者が、操作ボタン部10において設定値を入力し、その後操作者が次の操作を所定の時間行わなかった場合には、図7に示すように、演算部12aはメッセージ”操作忘れ”を表示内容格納部12bより選択する。そして、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、注意事項表示部11dを画面に表示し、その注意事項表示部11dに上記メッセージを表示するよう指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、画面上部に注意事項表示部11dを表示し、それまで表示していた、流量表示部11aと、滴数表示部11bと、予定量表示部11cとを画面下部に縮小表示する。そして、注意事項表示部11dに上記メッセージを大きく表示する。
【0049】
輸液装置1をバッテリ電源で運転している場合には、図8に示すように、演算部12aは、メッセージ”バッテリ運転”を表示内容格納部12bより選択する。そして、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、画面上部に上記メッセージを表示するよう指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、画面上部に上記メッセージを表示する。
【0050】
バッテリ電源の電圧が第1の所定値以下となると、図9に示すように、演算部12aはメッセージ”電池電圧”を表示内容格納部12bより選択する。そして、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、画面上部のメッセージ”バッテリ運転”をメッセージ”電池電圧”に置き換え、メッセージ”電池電圧”を点滅させるように指令を出す。同時に演算部12aは、警報器5に警報音を断続発鳴させるよう指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、画面上部のメッセージを”電池電圧”に置き換え、点滅表示させる。さらに、警報器5は、警報音を断続発鳴させる。
【0051】
バッテリ電源の電圧が第2の所定値以下となると、演算部12aは警報器5に警報音を連続発鳴に変更するよう指令を出す。その指令に基づいて、警報器5は、警報音を連続発鳴させる。
【0052】
また、演算部12aは、気泡検出センサ部8と、滴落検出器9と、ドア開閉検出センサ部13とから送られる信号を監視する。演算部12aは受け取る信号により正常か異常かを判断し、異常の場合は、表示内容格納部12bに格納されている当該異常に対応するメッセージを選択し、カラー液晶パネル11に対し、その選択したメッセージを表示するように指令を出す。カラー液晶パネル11は、当該指令に基づいて、注意事項表示部11d又は警告表示部11eを表示し、上記メッセージを表示する。このとき、既に表示していた流量表示部11aと、滴数表示部11bと、予定量表示部11cとはカラー液晶パネル11の画面下部に縮小表示されるか、又は、カラー液晶パネル11に表示されなくなる。
【0053】
例えば、演算部12aが、気泡検出センサ部8から受け取った信号を異常と判断した場合には、演算部12aはポンプ部4に対して動作停止指令を出し、警報器5に対して警報音を出すよう指令を出す。そして演算部12aは、当該異常に対応するメッセージである”気泡警報”と当該異常に対する対応時の注意事項であるメッセージ”対応時フリーフロー注意”とを表示内容格納部12bより選択する。ここでフリーフローとは、落差圧によって液体Lがチューブ33内を流れてしまう現象のことを言う。図10に示すように、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eを画面に表示し、その警告表示部11eに上記メッセージを表示するよう指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、画面上部に警告表示部11eを表示し、流量表示部11aと、滴数表示部11bと、予定量表示部11cとを画面下部に縮小表示する。そして、警告表示部11eに上記メッセージを大きく表示する。同時に、警告表示部11eの上部には気泡を検出していることを示す、気泡マーク11fが表示され、警告表示部11eの下部には、消音ボタン10a及び警報内容ボタン10bのアイコン表示がされる。
【0054】
この警報状態において、演算部12aは、ポンプ部4のポンプを作動させようとする信号を受け取ると、当該操作に対応するメッセージ”気泡警報”及び”警報が解除されていないため運転を開始できません。(消音ボタン10aのアイコン表示)を押して警報を解除してください。”を表示内容格納部12bより選択する。そして、図11に示すように、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eに上記メッセージを表示するよう指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、警告表示部11eに上記メッセージを表示する。演算部12aは、消音ボタン10aによる信号を受け取ると、警報器5に対し警報音を停止するよう指令を出し、上記操作に対応するメッセージ”気泡警報(消音中)”を表示内容格納部12bより選択する。そして、図12に示すように、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eに上記メッセージに表示するように指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、警告表示部11eに上記メッセージを大きく表示する。
【0055】
演算部12aは、警報内容ボタン10bからの信号を受け取ると、発生した異常に対する原因について説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eにおいて、その選択したメッセージを表示するよう指令を出す。気泡検出センサ部8により検出される異常の原因には、チューブが正しくセットされていない場合や、ポンプ部4で使用不可能なチューブがセットされた場合等があり、これらがメッセージとして表示される。ここで、図13に示すように、カラー液晶パネル11は、演算部12aの指令に基づいて、画面全体を警告表示部11eに変更し、画面中央に選択したメッセージを大きく表示する。また、警告表示部11eの画面下部中央には、警報内容ボタン10bのアイコンが表示され、画面下部右側には、選択ボタン10mのアイコンが表示される。演算部12aは、警報内容ボタン10bから信号を受け取ると、発生した異常に対応するその他の原因について説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、その選択したメッセージを警告表示部11eに表示するように指令を出す。このとき、演算部12aは、選択ボタン10mから信号を受け取ると、カラー液晶パネル11にその時表示されている異常原因を示したメッセージに対して、その対応方法を説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、その選択したメッセージを警告表示部11eに表示するように指令を出す。図14に示すように、カラー液晶パネル11は演算部12aの指令に基づいて、警告表示部11eの中央に選択したメッセージを大きく表示する。例えば、”1.輸液セットのクレンメを閉じる。2.ドアを開け、チューブクランプを開放する”というメッセージが表示される。このように、カラー液晶パネル11に対応方法のメッセージを表示させるようにしているので、不慣れな使用者の装置の誤操作や、医師や看護師等が緊急且つ緊迫した状況下において装置の誤操作を減らすことが可能となるとともに、ベテランの医師等による思い込みに起因する装置の誤操作も減らすことが可能になる。
【0056】
操作者によって、気泡発生に対する処置が行われた後、演算部12aは、消音ボタン10aから信号を受け取ると、メッセージ”(開始/停止ボタン10nのアイコン表示)を押すと輸液を開始します”を表示内容格納部12bより選択する。そして、図15に示すように、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eに上記メッセージを表示するように指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、警告表示部11eに上記メッセージを大きく表示する。その後、演算部12aは、開始/停止ボタン10nより信号を受け取ると、図27に示すように、メッセージ”クレンメを確認して下さい”を表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、注意事項表示部11dに上記メッセージを表示するように指令を出す。その指令に基づいて、カラー液晶パネル11は、注意事項表示部11dに上記メッセージを大きく表示する。その後、演算部12aは、図4に示す通常画面に戻す指令をカラー液晶パネル11に送り、その信号を受け取ったカラー液晶パネル11は、画面を通常画面に変更する。そして、演算部12aは、ポンプ部4に対し動作指令を出す。
【0057】
また、演算部12aが滴落検出器9から信号を受け取る場合、演算部12aは、ドリップチャンバー32内で所定の時間内に計測される滴落数が第1の所定値を超えたと判断すると、当該信号に対応するメッセージ”点滴注意”及び”点滴数が多い”を表示内容格納部12bより選択する。そして、図16に示すように、演算部12aは、カラー液晶パネル11に対し、注意事項表示部11dを表示させ、上記メッセージを注意事項表示部11dに表示するように指令を出す。その信号を受け取ったカラー液晶パネル11は、指令に基づいて画面上部を注意事項表示部11dとし、上記メッセージを注意事項表示部11dに大きく表示する。
【0058】
演算部12aは、ドリップチャンバー32内で所定の時間内に計測される滴落数が第2の所定値を超えたと判断すると、ポンプ部4に対して動作停止指令を出し、警報器5に警報音を発するよう指令を出し、電動式クランプ部7には、チューブ33を閉塞するよう指令を出す。そして、当該異常に対応するメッセージ”点滴警報”と当該異常に対する対応時の注意事項であるメッセージである”対応時フリーフロー注意”を表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eを画面に表示し、上記メッセージを警告表示部11eに表示するように指令を出す。図17に示すように、カラー液晶パネル11は指令に基づいて警告表示部11eを画面上部に表示し、その中に上記メッセージを大きく表示する。同時に、警告表示部11eの下部には、消音ボタン10a及び警報内容ボタン10bのアイコンが表示される。
【0059】
その後、演算部12aは、消音ボタン10aからの信号を受け取ると、警報器5に対し警報音を停止するよう指令を出し、その信号に基づいて警報器5は警報を停止する。演算部12aは、警報内容ボタン10bからの信号を受け取ると、発生した異常に対する原因について説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eにおいて、その選択したメッセージを表示するよう指令を出す。滴落検出器9により検出される異常の原因には、異なった輸液セットを装着されている場合や、液体Lに対して設定値が異なっている場合等があり、これらがメッセージとして表示される。カラー液晶パネル11は、演算部12aの指令に基づいて、画面全体を警告表示部11eに変更し、画面中央に選択したメッセージを大きく表示する。ここで、演算部12aは、警報内容ボタン10bから信号を受け取ると、発生した異常に対応するその他の原因について説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、その選択したメッセージを警告表示部11eに表示するように指令を出す。このとき、演算部12aは、選択ボタン10mから信号を受け取ると、カラー液晶パネル11にその時表示されている異常の原因を示したメッセージに対して、その対応方法を説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、その選択したメッセージを警告表示部11eに表示するように指令を出す。カラー液晶パネル11は演算部12aの指令に基づいて、警告表示部11eの中央に選択したメッセージを大きく表示する。例えば、”1.輸液セットのクレンメを閉じる。2.ドアを開け、チューブクランプを開放する”というメッセージが表示される。
【0060】
操作者によって滴落数異常の対処が行われた後、演算部12aは、消音ボタン10aより信号を受け取ると、メッセージ”(開始/停止ボタン10nのアイコン表示)を押すと輸液を開始します”を表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、当該メッセージを警告表示部11eに表示するように指令を出す。そして、図15に示すように、カラー液晶パネル11は、指令に基づいて上記メッセージを警告表示部11eに大きく表示する。同時に、演算部12aは電動式クランプ部7に対してチューブ33の閉塞を解除するように指令を出す。そして、演算部12aは、一定時間後に画面を図4に示す通常画面に戻す指令をカラー液晶パネル11に送り、開始/停止ボタン10nより信号を受け取ると、ポンプ部4に対し動作指令を出す。
【0061】
上記と同様に、ドア開閉検出センサ部13から送られてくる信号を演算部12aにおいて異常と判断した場合においても、演算部12aは、例えば、図18に示すように、異常に対する対応時の注意事項である”フリーフロー注意、クレンメを閉鎖し対応”のメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に当該メッセージを表示させるよう指令を出す。また、異常の原因が記載されたメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に、当該メッセージを表示させるように指令を出し、その指令に基づいて、カラー液晶パネル11が、上記メッセージを画面に表示する。例えば、図19に示すように、”運転中にドアが開いた”といったメッセージが表示される。このとき、演算部12aは、選択ボタン10mから信号を受け取ると、カラー液晶パネル11にその時表示されている異常原因を示したメッセージに対して、その対応方法を説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、その選択したメッセージを警告表示部11eに表示するように指令を出す。図28に示すように、カラー液晶パネル11は演算部12aの指令に基づいて、警告表示部11eの中央に選択したメッセージを大きく表示する。例えば、”輸液セットの装着状態を確認し、ドアを確実に閉じてください”というメッセージが表示される。
【0062】
次に、患者に対しボーラス送り(患者に対し一時的に一定の量を投与する方法)による液体Lの投与がされる場合、演算部12aは、Fボタン10iとLボタン10jからの信号を受け取ると、カラー液晶パネル11に対し、表示画面をボーラス送り設定画面に変更するよう指令を出す。カラー液晶パネル11は当該指令に基づいてボーラス送り設定画面を表示する。演算部12aは、ボーラス送りの設定値の入力信号を受け取り、そして、Fボタン10iと早送りボタン10kからの信号を同時に受け取ると、ポンプ部4に動作指令を出し、ポンプ部4は、その信号に従ってポンプを作動させる。このとき、演算部12aは、メッセージ”ボーラス送り”を表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、当該メッセージを表示するように指令を出す。カラー液晶パネル11は、その指令に基づいて、当該メッセージを画面に大きく表示する。
【0063】
ボーラス送りによる輸液を行うことによって、輸液の量が予定量の設定値を超える場合、演算部12aは、”ボーラス中にKORになりますがよろしいですか?”というメッセージを表示内容格納部12bより選択する。そして、カラー液晶パネル11に対し、注意事項表示部11dを表示し、上記メッセージを注意事項表示部11dに表示するように指令を出す。図20に示すように、カラー液晶パネル11は、当該指令に基づいて、メッセージを画面上部に大きく表示する。ここでKORとは患者に対して液体Lを微少に送り続ける機能のことを言う。
【0064】
また、演算部12aは、早送りボタン10kより信号を受け取ると、早送りに対しての注意事項を記載した早送り表示画面を表示内容格納部12bより選択する。そして、カラー液晶パネル11に対し、注意事項表示部11dを表示し、上記メッセージを注意事項表示部11dに表示するように指令を出す。図21に示すように、カラー液晶パネル11は、当該指令に基づいて、注意事項表示部11dに画面を変更し、画面上部に”早送りを行いますか?”というメッセージを大きく表示し、画面中央に”<注意>早送り中は、気泡・滴下は検知しません”というメッセージを大きく表示し、画面下部に、”早送り開始(選択ボタン10mのアイコン表示)”を表示する。
【0065】
また、演算部12aは、Lボタン10jより長押し信号を受け取ると、電源ボタン10l及びLボタン10jからの信号以外を受け付けないようにする。そして、演算部12aは、図22に示すように、”キーロック中”及び”3秒間押し続けると電源ボタン、キーロックボタン以外のボタン操作は無効となります”というメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、注意事項表示部11dを表示し、上記メッセージを注意事項表示部11dに表示するように指令を出す。カラー液晶パネル11は、指令に基づいて、注意事項表示部11dに画面を変更し、上記メッセージを表示する。
【0066】
演算部12aは、キーロック中において、Lボタン10jより長押し信号を受け取ると、キーロックを解除する。そして、演算部12aは、図23に示すように、”キーロックを解除します”及び”3秒間押し続けると全てのボタン操作が有効となります”というメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、注意事項表示部11dに上記メッセージを表示するように指令を出す。カラー液晶パネル11は、指令に基づいて、上記メッセージを表示する。
【0067】
次に、輸液装置1の使用時について説明する。まず、操作者は、輸液容器31と、ドリップチャンバー32と、チューブ33と、クレンメ34とを用意する。クレンメ34を閉じ、輸液装置1におけるドア側ケース22を開き、チューブ33を本体側ケース21にセットする。このとき、ドリップチャンバー32からクレンメ34まで繋がるチューブ33の一部を、気泡検出センサ部8における本体側センサ81aの前面を通り、電動式クランプ部7における左側突出部71と電動式クランプ可動部74との間を通過させる。そして、ポンプ部4の切り欠き部41aに嵌め込み、機械式クランプ部6における機械式クランプ可動部62とチューブ受け部64との間を通過させるようにする。チューブ33をセットした後、ドア側ケース22を閉じ、クレンメ34を開ける。また、滴落検出器9におけるドリップチャンバー保持部91にドリップチャンバー32をセットする。
【0068】
次に操作者は、操作ボタン部10における、電源ボタン10lを押し、電源を投入する。輸液装置1の起動時には、カラー液晶パネル11に、”起動中”のメッセージと、輸液装置1の制御方式と、警報器5の警報音量のレベルとが表示される。電源投入時において、予め設定してある定期点検期間が過ぎている場合には、”定期点検期間が過ぎました。バッテリをリフレッシュして下さい”という表示がなされ、操作者に注意が促される。
【0069】
電源が投入され、制御部12が立ち上がると、カラー液晶パネル11は、図4に示す通常画面となる。操作者は、使用する輸液セットの種類と、流量と、予定投与量とをカラー液晶パネル11を見ながら操作ボタン部10において入力する。まず、輸液セットボタン10eを押し、選択ボタン10mで使用する輸液セットの種類を設定する。次に、流量設定ボタン10fを押し、選択ボタン10mで流量の数値を設定する。そして、予定量設定ボタン10gを押し、選択ボタン10mで予定投与量の数値を設定する。
【0070】
設定値は、カラー液晶パネル11における流量表示部11aに流量値が表示され、滴数表示部11bに使用する輸液セットの種類が表示され、予定量表示部11cに患者に投与する輸液の予定量が表示される。その後、操作者が、開始/停止ボタン10nを押すと、入力された設定値に基づいて、ポンプ部4のポンプが作動する。このとき、図27に示すように、カラー液晶パネル11の画面上部が注意事項表示部11dとなり、”クレンメを確認して下さい”というメッセージが大きく表示され、操作者がクレンメ34を閉塞していないか注意を促す。また、例えば、操作者が操作ボタン部10において流量を予定量よりも大きく設定した場合、図6に示すように、カラー液晶パネル11の画面上部が注意事項表示部11dとなり、”流量値が予定量より大きいですが輸液を開始しますか?”というメッセージが大きく表示され、操作者がポンプ部4のポンプを作動させる前に注意を促す。このとき、流量表示部11aと、滴数表示部11bと、予定量表示部11cとは画面下部に縮小表示される。
【0071】
ここで、操作者により、操作ボタン部10において設定値を入力し、その後、次の操作を所定の時間行わなかった場合には、図7に示すように、カラー液晶パネル11の画面上部が注意事項表示部11dとなり、”操作忘れ”及び”開始されていない”というメッセージが大きく表示され、操作者に次の操作を行うように注意を促す。
【0072】
気泡検出センサ部8と、滴落検出器9と、ドア開閉検出センサ部13とから送られてくる信号に基づいて異常が検出されると、警報器5により警報が発せられ、カラー液晶パネル11には、表示上部に注意事項表示部11d又は警告表示部11eが表示され、操作者に異常が発生したことが知らされる。このとき、流量表示部11aと、滴数表示部11bと、予定量表示部11cとはカラー液晶パネル11の画面下部に縮小表示されるか、又は、カラー液晶パネル11に表示されなくなる。例えば、気泡検出センサ部8にて検出した信号に基づいて異常が検出されると、警報器5により警報が発せられ、図10に示すように、カラー液晶パネル11の画面上部が警告表示部11eとなり、警告表示部11eの中央に当該異常に対応するメッセージ”気泡警報”及び、当該異常に対して対応時の注意事項であるメッセージ”対応時フリーフロー注意”が大きく表示される。また、警告表示部11eの上部には、気泡を検出していることを示す気泡マーク11fを表示し、警告表示部11eの下部には、消音ボタン10a及び警報内容ボタン10bのアイコンが表示される。
【0073】
この警報状態において、開始/停止ボタン10nを押して、ポンプ部4のポンプを作動させようとすると、図11に示すように、警告表示部11eの中央に”気泡警報”及び”警報が解除されていないため運転を開始できません。(消音ボタン10aのアイコン表示)を押して警報を解除してください。”というメッセージが大きく表示され、操作者に警報音を停止させるよう促す。操作者が消音ボタン10aを押すと、警報音が停止し、図12に示すように、警告表示部11eの中央に”気泡警報(消音中)”と表示される。
【0074】
そして、操作者が警報内容ボタン10bを押すと、図13に示すように、カラー液晶パネル11全体が警告表示部11eとなり、画面中央において、発生した異常に対する原因について説明するメッセージが表示される。また、画面下部中央には、警報内容ボタン10bのアイコンが表示され、画面下部右側には、選択ボタン10mのアイコンが表示される。操作者が警報内容ボタン10bを押すと、発生した異常に対応するその他の原因について説明するメッセージが表示される。そして、操作者が選択ボタン10mを押すと、図14に示すように、警告表示部11eの中央において、その時表示されている異常の原因を示したメッセージに対して、その対応方法を説明するメッセージが大きく表示される。
【0075】
操作者が、気泡発生に対して対処を行った後、消音ボタン10aを押すと、図15に示すように、警告表示部11eには”(開始/停止ボタン10nのアイコン表示)を押すと輸液を開始します”というメッセージが大きく表示される。そして、操作者が開始/停止ボタン10nを押すとポンプ部4におけるポンプが作動し、患者に対し液体Lの投与が再開される。
【0076】
また、滴落検出器9では、ドリップチャンバー32内で所定の時間内に計測される滴落数が第1の所定値を超えると、図16に示すように、カラー液晶パネル11の上部が注意事項表示部11dとなり、”点滴注意”及び”点滴数が多い”というメッセージが大きく表示され、操作者に注意を促すようになっている。また、ドリップチャンバー32内で所定の時間内に計測される滴落数が第2の所定値を超えると、警報器5により警報が発せられ、図17に示すように、カラー液晶パネル11の上部が警告表示部11eとなり、警告表示部11eの中央に”点滴警報”と当該異常に対する対応時の注意事項であるメッセージである”対応時フリーフロー注意”というメッセージを表示され、下部には、消音ボタン10a及び警報内容ボタン10bのアイコンが表示される。
【0077】
ここで、操作者が消音ボタン10aを押すと、警報音が停止する。また、操作者が警報内容ボタン10bを押すと、発生した異常に対する原因について説明するメッセージが表示される。また、操作者が警報内容ボタン10bを押すと、発生した異常に対応するその他の原因について説明するメッセージが表示される。そして、操作者が選択ボタン10mを押すと、警告表示部11eの中央において、その時表示されている異常原因を示したメッセージに対して、その対応方法を説明するメッセージが大きく表示される。
【0078】
操作者が滴落数異常の対処を行った後、消音ボタン10aを押すと、図15に示すように、警告表示部11eには”(開始/停止ボタン10nのアイコン表示)を押すと輸液を開始します”というメッセージが大きく表示される。そして、操作者が開始/停止ボタン10nを押すとポンプ部4におけるポンプが作動し、患者に対して液体Lの投与が再開される。
【0079】
また、上記と同様に、ドア開閉検出センサ部13から送られる信号に基づいて異常が検出された場合においても、カラー液晶パネル11に異常の原因とそれに対応する対応方法が記載されたメッセージが表示されるようになっている。
【0080】
次に、患者に対しボーラス送りによる液体Lの投与を行う場合、操作者は、操作ボタン部10におけるFボタン10iとLボタン10jと同時に長押しし、カラー液晶パネル11にボーラス送り設定画面を表示させ、設定値を入力する。操作者が、Fボタン10i及び早送りボタン10kを同時に押すと、ポンプ部4は設定に従って作動する。このとき、カラー液晶パネル11には画面上部にメッセージ”ボーラス送り”が大きく表示される。図20に示すように、ボーラス送りによる輸液を行うことによって、輸液の量が予定量の設定値を超える場合、カラー液晶パネル11が、注意事項表示部11dとなり、表示上部にメッセージ”ボーラス中にKORになりますがよろしいですか?”が表示され、操作者に対し注意事項が示される。
【0081】
また、チューブ33内のプライミングを行う場合、操作者が操作ボタン部10にて早送りボタン10kを押すと、図21に示すように、カラー液晶パネル11全体が注意事項表示部11dとなる。そして、画面上部に”早送りを行いますか?”というメッセージが大きく表示され、画面中央に”<注意>早送り中は、気泡・滴下は検知しません”というメッセージが大きく表示され、画面下部に、”早送り開始(選択ボタン10mのアイコン表示)”が表示され、操作者に早送りを行ってよいか注意を促すようになっている。
【0082】
また、操作者が、操作ボタン部10のボタン操作を行えないようにするために、キーロック機能を使用する場合には、操作者が操作ボタン部10にてLボタン10jを長押しすると、図22に示すように、カラー液晶パネル11全体が注意事項表示部11dとなり、画面上部に”キーロック中”の表示がなされ、画面中央に、”3秒間押し続けると電源ボタン、キーロックボタン以外のボタン操作は無効となります”と表示される。そしてその後、電源ボタン10lとLボタン10j以外のボタン操作が行えなくなる。この状態において、操作者が、Lボタン10jを長押しすると、図23に示すように、注意事項表示部11dの画面上部に”キーロックを解除します”というメッセージが大きく表示され、画面中央に”3秒間押し続けると全てのボタン操作が有効となります”というメッセージが表示され、操作者にキーロックが解除されたことを知らせる。
【0083】
以上より、輸液装置1によれば、気泡検出センサ部8と、滴落検出器9と、ドア開閉検出センサ部13と、バッテリ電圧検出部14と、ポンプ装着検出部15とから送られてくる信号を、制御部12に設けられた演算部12aが受け取り、異常と判断すると、演算部12aが当該異常に対して、複数の異常の各々の対応方法が示されたメッセージが格納されている表示内容格納部12bから、上記異常内容に対応する対応方法を示したメッセージを選択し、カラー液晶パネル11にそのメッセージを表示させるようにしているので、医師や看護師等は、発生した異常に対して適切な対応を行うことができ、輸液治療を安全に行うことができる。
【0084】
また、上記と同様に、演算部12aが送られてくる信号に基づいて異常と判断すると、演算部12aが当該異常に対して、複数の異常の各々の対応方法についての注意事項が示されたメッセージが格納されている表示内容格納部12bから、上記異常内容に対応する対応方法についての注意事項を示したメッセージを選択し、カラー液晶パネル11にそのメッセージを表示させるようにしているので、医師や看護師等が異常の対応を行う前に、異常対応時の注意事項を確認することができ、これにより装置の誤操作を減少させ、安全な輸液治療を行うことができる。
【0085】
また、操作ボタン部10にて動作条件を入力し、演算部12aが、当該操作に対応する確認メッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11にそのメッセージを表示させるようにしているので、医師や看護師等は自己の操作の正誤を確認しながら操作をすることができるので、誤操作を減らすことができ、より安全な輸液治療を行うことができる。
【0086】
また、操作ボタン部10における操作に対応するメッセージが拡大してカラー液晶パネル11に表示されるので、医師や看護師等は、メッセージの内容を見間違うことで誤った対応等をすることが少なくなり、安全な輸液治療を行うことができる。
【0087】
また、制御部12が、気泡検出センサ部8等から送られてくる信号に基づいて異常と判断した場合において、複数の原因を推定し、カラー液晶パネル11に表示するので、医師や看護師等は、思い込みに起因する装置の誤操作を減らし、安全な輸液治療を行うことができる。
【0088】
また、演算部12aが、気泡検出センサ部8等から送られてくる信号に基づいて異常と判断した場合に、異常の原因の個数をカラー液晶パネル11に表示するので、医師や看護師等は、思い込みで原因を特定することが減り、安全な輸液治療を行うことができる。
【0089】
また、異常の原因が操作者の設定ミスによる場合に、設定値をカラー液晶パネル11に表示するので、医師や看護師等は、容易に異常の原因を推定でき、安全に輸液治療を行うことができる。
【0090】
また、操作ボタン部10に設けられた設定ボタンと、その設定ボタンにより設定され、カラー液晶パネル11に表示される設定値とが同系色であるので、医師や看護師等は、設定するボタンを判別し易く、誤操作を減らすことができ、安全な輸液治療を行うことができる。
【0091】
また、輸液を開始する際に、操作者にクレンメ34の開放を確認するメッセージがカラー液晶パネル11に表示されるので、クレンメ34を閉じたまま輸液を開始し、患者に対して薬液等が投与されないといったことを減らし、安全な輸液治療を行うことができる。
【0092】
尚、図24乃至図26に示す実施形態1の変形例のように、演算部12aが、警報内容ボタン10bからの信号を受け取ったときに、発生した異常に対する原因について説明するメッセージと、その原因に対する対応方法を説明するメッセージとを同時に、カラー液晶パネル11に表示させるようにしてもよい。
【0093】
図24に示すように、ドリップチャンバー32内で所定の時間内に計測される滴落数が第2の所定値を超え、演算部12aが異常と判断した場合、演算部12aは、ポンプ部4に対して動作停止指令を出し、警報器5に警報音を発するよう指令を出し、電動式クランプ部7には、チューブ33を閉塞するよう指令を出す。そして、当該異常に対応するメッセージ”点滴警報”と当該異常に対する対応時の注意事項であるメッセージである”対応時フリーフロー注意”を表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eを画面に表示し、上記メッセージを警告表示部11eに表示するように指令を出す。カラー液晶パネル11は指令に基づいて警告表示部11eを画面上部に表示し、その中に上記メッセージを大きく表示する。同時に、警告表示部11eの下部には、消音ボタン10a及び警報内容ボタン10bのアイコンが表示され、上記アイコンの下側に、流量表示部11aと、滴数表示部11bと、予定量表示部11cとを画面下部に縮小表示する。
【0094】
その後、演算部12aは、消音ボタン10aからの信号を受け取ると、警報器5に対し警報音を停止するよう指令を出し、その信号に基づいて警報器5は警報を停止する。演算部12aは、警報内容ボタン10bからの信号を受け取ると、発生した異常に対する原因について説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、さらに、その原因に対する対応方法を説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eにおいて、その選択したメッセージを表示するよう指令を出す。図25に示すように、カラー液晶パネル11は演算部12aの指令に基づいて、警告表示部11eの中央に選択したメッセージを大きく表示する。例えば、”滴落検出器の位置ずれ”というメッセージと、”確認、修正して下さい”というメッセージが表示される。同時に、原因が複数存在する場合は、個数表示11gが表示される。また、演算部12aは、選択ボタン10mから信号を受け取ると、その他の原因と、その原因に対する対応方法を説明するメッセージを表示内容格納部12bより選択し、カラー液晶パネル11に対し、警告表示部11eにおいて、その選択したメッセージを表示するよう指令を出す。図26に示すように、カラー液晶パネル11は演算部12aの指令に基づいて、警告表示部11eの中央に選択したメッセージを大きく表示する。例えば、”輸液セット設定の間違い”というメッセージと、”輸液セット、輸液設定を確認して下さい”というメッセージが表示される。
【0095】
このように、発生した異常に対し、その原因と対応方法を説明するメッセージを同一画面に表示することで、操作者の理解を早めることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように、本発明に係る輸液装置は、例えば、医療現場において患者に点滴を行うためのものとして適している。
【符号の説明】
【0097】
1 輸液装置
10 操作ボタン部(操作部)
10e 輸液セットボタン(設定ボタン)
10f 流量設定ボタン(設定ボタン)
10g 予定量設定ボタン(設定ボタン)
11 カラー液晶パネル(表示部)
12 制御部
12a 演算部
12b 表示内容格納部
2 ケース部
31 輸液容器
34 クレンメ
4 ポンプ部
8 気泡検出センサ部(異常検出部)
9 滴落検出センサ部(異常検出部)
13 ドア開閉検出センサ部(異常検出部)
14 バッテリ電圧検出部(異常検出部)
15 ポンプ装着検出部(異常検出部)
L 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液容器内の液体を送るポンプ部を備え、
該ポンプ部の動作により上記輸液容器内の液体をドリップチャンバーを経て患者に注入するように構成された輸液装置であって、
表示部と、
複数種の異常をそれぞれ検出する異常検出部と、
該異常検出部の信号に基づいて上記表示部を制御する制御部とを有し、
上記制御部には、
上記異常検出部で検出する複数の異常の各々の対応方法が示されたメッセージを格納する表示内容格納部と、
上記異常検出部で検出した異常に対応する対応方法を示したメッセージを上記表示内容格納部より選択し、上記表示部に表示させる演算部とが備えられ、
上記異常検出部は、上記ドリップチャンバー内の液滴を検出する滴落検出器を有していることを特徴とする輸液装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−52284(P2013−52284A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−276056(P2012−276056)
【出願日】平成24年12月18日(2012.12.18)
【分割の表示】特願2008−222542(P2008−222542)の分割
【原出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】