説明

輻射パネル装置

【課題】輻射パネル装置として機能する上での熱効率の低下を抑制すると共に、ブリッジでの結露の発生を効果的に抑えることができる輻射パネル装置を提供する。
【解決手段】熱媒体流通管13を収容する複数のパネル3と、各パネル3を支持するブリッジとを備え、ブリッジには熱媒体流通管13の両端部15a,17aが挿通される孔部Hc,Hdが設けられた輻射パネル装置1であり、ブリッジとパネル3とは金属製であり、ブリッジとパネル3との間には断熱体27が配置されており、断熱体27は、ブリッジとパネル3とに挟持されると共に、熱媒体流通管13が挿通する挿通孔が形成された蓋部28と、挿通孔の縁に沿って蓋部28から突出すると共に、ブリッジの孔部Hc,Hdの周縁部7c,7dに対向する壁部31,32と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射暖房や輻射冷房を行う輻射パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輻射パネル装置として、内部に熱媒体を流通させる流路を有する複数のパネルが並設されたものが知られている。この輻射パネル装置では、複数のパネルと別途設置される熱源との間で熱媒体を循環させることによって各パネルに輻射機能を持たせ、これらのパネルによる輻射暖房及び輻射冷房によって居室などの空調を行う。例えば、特許文献1には、金属製の複数のパネルと、複数のパネルの上端を支持する金属製のブリッジとを備えた輻射パネル装置が開示されている。また、この輻射パネル装置では、パネルとブリッジとの間に断熱部材が配置されており、パネルとブリッジとの間での伝熱が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−243127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の輻射パネル装置では、ブリッジの配管挿入孔の周縁部に熱媒体流通路を形成する配管が接することとなり、当該熱媒体流通路の熱がブリッジの周縁部に伝達されることとなって、パネルに供給すべき熱効率が低下するという問題がある。また、冷媒を流通させる場合には、ブリッジまで冷やされてしまい、当該ブリッジにまで結露を生じさせてしまうという問題がある。この際、ブリッジを居室の天井に沿って設けるなどする場合には、ブリッジの結露が落下することとなり、輻射パネル装置周囲に跳ねて汚しかねないという問題もある。
【0005】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、熱媒体の流通管を介してパネルとブリッジとの間に熱橋が生じるのを防止し、その結果として、輻射パネル装置として機能する上での熱効率の低下を抑制すると共に、ブリッジでの結露の発生を効果的に抑えることができる輻射パネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱媒体の流通管を収容する複数の長尺状のパネルと、横架状に設けられて各パネルの一方の端部を支持するブリッジとを備え、ブリッジにはパネルの一方の端部に対向する位置に孔部が設けられ、流通管は、両方の端部がパネルの一方の端部から突出すると共に、孔部に挿通した状態でパネルに収容されている、輻射パネル装置であって、ブリッジとパネルとは金属製であり、ブリッジとパネルとの間には断熱体が配置されており、断熱体は、ブリッジとパネルとに挟持されると共に、流通管が挿通する挿通孔が形成された本体部と、挿通孔の縁に沿って本体部から突出すると共に、ブリッジの孔部の周縁部に対向する壁部と、を有することを特徴とする。
【0007】
断熱体の壁部は、流通管が挿通する挿通孔の縁に沿って突出している。つまり、挿通孔を環状に包囲するように壁部が立設されるので、壁部で囲まれた内側に流通管が配置された状態になる。さらに、壁部はブリッジの孔部の周縁部に対向して配置されているので、ブリッジの孔部の周縁部と流通管との間に壁部が介在する状態になり、流通管はブリッジに対して非接触となる。従って、流通管を介しての熱橋が、金属製のパネルと金属製のブリッジとの間に生じることを防止できる。その結果、輻射パネル装置として機能する上での熱効率の低下を招く伝熱を抑制すると共に、ブリッジでの結露の発生を効果的に抑えることができる。
【0008】
さらに、断熱体の本体部には、流通管の両方の端部それぞれが挿通される一対の挿通孔が形成されており、壁部は、一対の挿通孔それぞれに対応して一対が設けられていると好適である。この構成では、流通管の両方の端部それぞれとブリッジとの間での熱橋の発生を一対の壁部で、より確実に抑止することができる。
【0009】
さらに、ブリッジには、一対の壁部それぞれに対応して一対の孔部が形成されており、壁部は、対応する孔部に嵌合されると好適である。この構成では、一対の壁部がそれぞれ孔部に嵌合されることになるので、断熱体のブリッジに対する取り付け姿勢を安定させることができる。
【0010】
さらに、断熱体は、樹脂材料からなり、且つパネルの一方の端部の開口を覆うキャップ状に形成されていると好適である。断熱体をキャップ状に形成することで、簡単にパネルの端部に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輻射パネル装置として機能する上での熱効率の低下を抑制すると共に、ブリッジでの結露の発生を効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る輻射パネル装置の斜視図である。
【図2】本実施形態に係り、断熱体を介してパネルの上端部がブリッジに取り付けられた状態を示す分解斜視図である。
【図3】本実施形態に係り、断熱体を介してパネルの上端部がブリッジに取り付けられた状態を示し、パネルの上端部を一部破断して示す側面図である。
【図4】本実施形態に係る断熱体を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のb−b線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1に示されるように、輻射パネル装置1は、水などの熱媒体を循環させて室内の冷暖房を行う冷暖房装置に組み込まれている。輻射パネル装置1は、例えば、室内の一角に設置される。輻射パネル装置1は、複数のパネル3を有し、それらが等間隔に整列し、列の両脇には支柱となる支柱パネル体5が立設されている。支柱パネル体5は、床から天井まで届く長さを有している。
【0015】
パネル3、及び支柱パネル体5の上端は天井に埋設されたブリッジ7に直接固定されており、支柱パネル体5の下端はL字形のブラケットにより床に固定されている。また、隣接する各パネル3同士、及びパネル3と支柱パネル体5とは、連結部材9により互いに連結されている。さらに、各パネル3の下方には、上方が開放された溝状の結露受け11が設けられており、結露受け11は排水口に連通している。結露受け11は、パネル3の表面に発生する結露水を受け止め、溝の底部に設けた排水口より床下に排水する。
【0016】
パネル3内には(図2参照)、熱媒体が通過する熱媒体流通管(流通管)13が収容されており、熱媒体流通管13は、ブリッジ7上に配置された熱媒体循環用の管路(図示省略)に接続されている。この管路は、熱媒体の循環装置や熱交換装置(熱源)に接続されており、熱媒体の循環ラインを構成する。
【0017】
次に、図2、及び図3を参照して熱媒体流通管13、及びパネル3の詳細を説明すると共に、複数のパネル3とブリッジ7との取付け構造について説明する。
【0018】
熱媒体流通管13は、架橋ポリエチレンを主材として構成される管状部材であるが、他のポリオレフィン系等の樹脂材料、例えばポリブデンを主材として形成することも可能である。
【0019】
熱媒体流通管13はU字状であり、往路部15、復路部17、そして往路部15と復路部17とを連絡する連絡部とを有する。往路部15は、パネル3内で、パネル3の延設方向(長手方向)に沿って延在し、パネル3の上方から下方へ向かって延びる直線状の管路部分である。また、復路部17は、パネル3内で、パネル3の延設方向(長手方向)に沿って延在し、パネル3の下方から上方へ向かって延びる直線状の管路部分である。さらに、連絡部は、パネル3内の下部で、往路部15及び復路部17を連絡するU字状に湾曲した管路部分である。往路部15及び復路部17の上方の端部15a,17aは、パネル3の上端部3aの開口を抜けて外方へ突き出している。
【0020】
パネル3は、熱媒体流通管13を収容する縦長(長尺状)で中空(筒状)の部材であり、アルミニウムやステンレスなどの金属を、例えば押出成形することで形成される。パネル3は、ブリッジ7に取り付けられた状態で長手方向が鉛直方向を向くように配置され、水平方向に沿った断面(以下、「横断面」)が扁平となる。以下、パネル3の扁平な横断面形状において、パネル3の厚みを示す方向をパネル3の「厚さ方向」と称し、厚さ方向に直交する方向をパネル3の「幅方向」と称する。
【0021】
パネル3の外壁19は、断面が尖円弧状で幅方向外側へ向かうに連れて先細りとなる左右の尖頭壁部20,21と、左右一対の尖頭壁部20,21同士を連結すると共に、厚さ方向で対向配置された一対の中央壁部22とを備えている。尖頭壁部20,21の外面には、外気に対する伝熱面積を広げると共に結露水を下方へ伝える複数のフィン23が鉛直方向に沿って延設されている。この複数のフィン23は外壁19を内面から外側へ向かって突出させることによって形成されている。
【0022】
パネル3の内部には、一方の尖頭壁部20の内側において熱媒体流通管13の往路部15をガイドして保持するためのガイド部3dが形成されている。ガイド部3dは、パネル3の長手方向(鉛直方向)に延在すると共に断面が略半円状に形成されている。また、パネル3の内部には、ガイド部3dと協働して往路部15を保持するガイド部材3eが配置されている。ガイド部材3eは、断面略半円状で、且つパネル3の長手方向(鉛直方向)に延在する長尺部材である。ガイド部材3eは、ガイド部3dに対向する所定位置に挿入され、ガイド部3dとの間に往路部15が収まる略円柱状の空間であるガイド孔Gを形成する。ガイド孔Gの径は、往路部15の外径と略同一とされている。
【0023】
また、他方の尖頭壁部21の内側においても同様にガイド部3d、及びガイド部3dと協働して熱媒体流通管13の復路部17を保持するガイド部材3eが配置されている。ガイド部3dとガイド部材3eとの間には、復路部17が収まる略円柱状の空間であるガイド孔Gが形成され、このガイド孔Gの径は、復路部17と略同一とされている。
【0024】
パネル3の上端部3a、及び下端には、略六角形状の締付孔3fが形成されている。締付孔3fは、上端部3aに一対、下端に一対がそれぞれ形成されており、上端部3aの締付孔3fを例に説明すると、締付孔3fは、尖頭壁部20,21の先細りしている先端位置の内側に形成され、上方からねじ25が螺入される。
【0025】
パネル3内に収容された熱媒体流通管13は、往路部15の上方の端部15a及び復路部17の上方の端部17aが、ブリッジ7を貫通して上方に突出している。往路部15及び復路部17の上方の端部15a,17aは、各パネル3の熱媒体流通管13同士をブリッジ7上で連結するための連結代としての機能を有している。
【0026】
ブリッジ7は、横架状に設けられて各パネル3の上端部3a(一方の端部)を支持する。ブリッジ7は、水平面上に配置された長尺の底板部7aと、底板部7a上に立設されると共に、底板部7aの長手方向に沿って配置された一対のリブ壁7bとを備えている。ブリッジ7は、アルミニウムやステンレスなどの金属を押出成形することによって形成されている。なお、本実施形態では、「金属製のブリッジ」の例示として、底板部7aとリブ壁7bとを含めた全体が金属製である場合を例示するが、ブリッジ7の主要部分、例えば、底板部7aが金属製であるが、リブ壁7bは金属以外の材料からなる態様も含まれる。
【0027】
底板部7aは、長手方向の寸法が一対の支柱パネル体5の間隔相当とされ、幅方向(長手方向に直交する方向)の寸法がパネル3の幅方向の寸法よりも大きくされている。また、リブ壁7bは、底板部7aの上面において底板部7aの幅方向で互いに対向するように立設されている。リブ壁7bの長さは底板部7aの長手方向の長さと略同一とされると共に、リブ壁7b同士の間の距離はパネル3の幅方向の大きさと略同一とされている。
【0028】
ブリッジ7の底板部7aには、複数のパネル3それぞれの上端部3aに対向する位置に一対の孔部Hc,Hdが形成されている。一対の孔部Hc,Hdは、熱媒体流通管13の往路部15及び復路部17が挿通する孔である。また、底板部7aには、複数のパネル3それぞれの上端部3aに対向する位置に一対のねじ貫通孔7fが形成されている。一対の孔部Hc,Hd、及び一対のねじ貫通孔7fは、一枚のパネル3に対応した一つの孔グループを構成し、複数の孔グループは、並設される複数のパネル3の配置に対応し、例えば、底板部7aの長手方向に沿って等間隔となるように設けられている。
【0029】
一つの孔グループを例に説明すると、孔部Hcはパネル3内の往路部15用のガイド孔Gに対応し、孔部Hdは復路部17用のガイド孔Gに対応する位置に形成されている。また、一対のねじ貫通孔7fはパネル3の一対の締付孔3fに対応する位置に形成されている。
【0030】
孔部Hc,Hdは、パネル3の厚さ方向に対応する方向の径寸法(内径)が、熱媒体流通管13の往路部15、及び復路部17の外径よりも大きく、さらに、パネル3の幅方向に対応する方向の径寸法が、上記の内径よりも大となる長円状のルーズ孔である。これにより、熱媒体流通管13の連結代の拘束が緩められることとなって当該連結代のブリッジ7上での取り回しが容易となる。なお、ブリッジ7の上部には、熱媒体流通管13を取り囲んだ状態で適宜に断熱材が配置されている。
【0031】
パネル3の上端部3aとブリッジ7との間には断熱体27が配置されている。断熱体27は、例えばASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート)やAES(アクリロニトリル−エチレンプロピレンジエン−スチレン)などを主成分とする樹脂から構成されており、パネル3とブリッジ7との間の伝熱を抑制する機能を有している。
【0032】
断熱体27は、パネル3の上端部3aを覆うようにキャップ状に形成されている。また、断熱体27は、パネル3とブリッジ7との間で挟持され、且つパネル3の上端部3aを覆う蓋部(本体部)28と、蓋部28に形成されると共に、熱媒体流通管13の往路部15、及び復路部17がそれぞれ挿通される一対の挿通孔29,30とを備えている。
【0033】
蓋部28は、上下方向から見た場合に、パネル3の横断面における外形に倣って同一の外形を有する扁平の板状部材である。以下、パネル3の幅方向に対応する方向を断熱体27、または蓋部28の「長手方向」と称し、パネル3の厚さ方向に対応する方向を断熱体27、または蓋部28の「短手方向」と称する。
【0034】
蓋部28は、尖円弧状に形成されると共に長さ方向外側へ向かうに連れて先細りの輪郭を有する左右の尖板部28aと、左右の尖板部28a同士を連結する平板部28bとを備えている。尖板部28aの外周にはパネル3の複数のフィン23に対応する位置及び形状の複数の突出部28cが設けられている。これらの突出部28cは、断熱体27をパネル3の上端部3aに取り付けた際にパネル3のフィン23と連結される。
【0035】
蓋部28には、パネル3に設けた往路部15用のガイド孔G、及びブリッジ7の孔部Hcに対応して、挿通孔29が形成されている。挿通孔29は、蓋部28の長手方向に長い長円状のルーズ孔として形成されている。また、挿通孔29は、短手方向の内径寸法が往路部15の外径よりも大きく、且つ全周に亘ってブリッジ7の孔部Hcよりも寸法が小さくなっている。同様に、蓋部28には、復路部17用のガイド孔Gに対応して、復路部17を挿通させる挿通孔30が形成されている。挿通孔30は、蓋部28の長手方向に長い長円状のルーズ孔として形成されており、短手方向の内径寸法が復路部17の外径よりも大きく、且つ全周に亘ってブリッジ7の孔部Hdよりも寸法が小さくなっている。なお、蓋部28には、パネル3の締付孔3fに重なるように、ねじ挿通孔28dが形成されている。
【0036】
また、断熱体27は、挿通孔29,30の縁に沿って蓋部28から上方に突出する壁部31,32を備えている。本実施形態では、熱媒体流通管13の往路部15、及び復路部17それぞれに対応して、一対の挿通孔29,30が設けられているため、各挿通孔29,30に対応して一対の壁部31,32が設けられている。
【0037】
壁部31,32は、長円状の挿通孔29,30を環状に包囲するように立設されている。壁部31,32は、ブリッジ7の孔部Hc,Hdに嵌合可能な外形、及び外径寸法を有し、蓋部28がパネル3及びブリッジ7によって挟持された際に、孔部Hc,Hdに嵌合される。その結果、壁部31,32は、ブリッジ7の孔部Hc,Hdの周縁部7c,7dに対向する状態となり、熱媒体流通管13の往路部15、または復路部17がブリッジ7に接触してしまうのを防ぐ。なお、本実施形態では、孔部Hc,Hdの周縁部7c,7dに壁部31,32が対向する状態として、周縁部7c,7dと壁部31,32とが当接する状態を例示するが、周縁部7c,7dと壁部31,32との間に数mm程度の僅かな隙間が生じている態様も含まれる。また、壁部31,32の高さは、ブリッジ7の底板部7aの板厚と同一、または底板部7aの板厚よりも僅かに大きくなっている。
【0038】
パネル3をブリッジ7に組み付ける際には、パネル3の内部に熱媒体流通管13が所定位置まで挿入され、パネル3の上端部3aから突き出ている往路部15、及び復路部17の端部15a,17aが、断熱体27の挿通孔29にそれぞれ通される。続いて、パネル3の上端部3aがブリッジ7の対応位置、すなわち、対応する孔部Hc,Hdやねじ貫通孔7fが設けられた位置に合わされ、パネル3の上端部3aとブリッジ7との間で断熱体27の蓋部28を挟持すべく配置される。
【0039】
この状態で、断熱体27に設けられた一対の壁部31,32は、それぞれ往路部15、または復路部17を環状に囲むと共に、ブリッジ7の孔部Hc,Hdに嵌め込まれる。その結果、壁部31,32は、往路部15、または復路部17とブリッジ7との間に介在する状態になり、往路部15、または復路部17がブリッジ7に直接接触するのを防ぎ、パネル3とブリッジ7との間に熱媒体流通管13を介した熱橋が生じるのを防ぐ。
【0040】
また、パネル3とブリッジ7との間で断熱体27の蓋部28が挟持された状態において、パネル3の締付孔3f、断熱体27のねじ挿通孔28d、及びブリッジ7のねじ貫通孔7fは同一軸線上に並び、上方からねじ25が通される。ねじ25はパネル3の締付孔3fに螺合され、パネル3、及び断熱体27はブリッジ7に組み付けられる。同様にして、複数のパネル3はブリッジ7に組み付けられ、さらに、ブリッジ7上に付き出た往路部15、及び復路部17は端部15a,17aは連結代として機能し、熱媒体の循環経路を形成すべく適宜に連結される。
【0041】
以上、本実施形態に係る輻射パネル装置1では、断熱体27の壁部31,32がブリッジ7の孔部Hc,Hdに嵌め込まれ、孔部Hc,Hdの周縁部7c,7dに対向した状態になる。そして、壁部31,32は、熱媒体流通管13の往路部15、または復路部17が挿通する挿通孔29,30を環状に包囲するように蓋部28から立設されるので、往路部15、または復路部17は、少なくともブリッジ7を貫通する箇所において、壁部31,32に囲まれた状態になる。
【0042】
つまり、往路部15、または復路部17とブリッジ7の孔部Hc,Hdの周縁部7c,7dとの間に壁部31,32が配置された状態になり、往路部15、または復路部17はブリッジ7に対して非接触となる。従って、熱媒体流通管13を介しての熱橋が、金属製のパネル3と金属製のブリッジ7との間に生じることが防止される。その結果として、パネル3とブリッジ7との間での伝熱が抑えられ、輻射パネル装置1として機能する上での熱効率の低下を招く伝熱を抑制すると共に、ブリッジ7での結露の発生を効果的に抑えることができる。
【0043】
さらに、ブリッジ7の孔部Hc,Hdの周縁部7c,7dにエッジが立っていたとしても、周縁部7c,7dと熱媒体流通管13との間に壁部31,32が物理的に介在することになるので、熱媒体流通管13と周縁部7c,7dとの接触によって傷が付くのを防止できる。
【0044】
また、本実施形態では、一対の挿通孔29それぞれに対応して一対の壁部31,32が設けられているので、一対の壁部31,32によって往路部15、及び復路部17の両方の端部15a,17aそれぞれとブリッジ7との間での熱橋の発生をより確実に抑止することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るブリッジ7には、一対の壁部31,32それぞれに対応して一対の孔部Hc,Hdが形成されており、壁部31,32は、対応する孔部Hc,Hdの周縁部7c,7dに嵌合されることになるので、断熱体27のブリッジ7に対する取り付け姿勢を安定させることができる。
【0046】
また、壁部31,32が孔部Hc,Hdに嵌まり込むことでブリッジ7に対しパネル3が仮固定され、ブリッジ7に対するパネル3の相対的な横移動が抑制されると共に、ボルト25を挿通すべきブリッジ7側のねじ貫通孔7fと断熱体(キャップ)27側のねじ挿通孔28dの中心軸を同一直線状に位置させた状態を維持することができ、ボルト締結の容易化が図られている。
【0047】
また、本実施形態に係る断熱体27は、樹脂材料からなり、且つパネル3の上端部3aの開口を覆うキャップ状に形成されているので、簡単にパネル3の上端部3aに取り付けることができる。
【0048】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態のみに限定されない。例えば、上記の実施形態では、流通管の両方の端部に対応して、一対の挿通孔、一対の壁部、及び一対の孔部が形成された態様を例示した。しかしながら、例えば、断熱体の一つの挿通孔に流通管の両方の端部が挿通される態様であってもよく、また、一つの壁部が流通管の両方の端部を環状に取り囲み、さらに、この一つの壁部が、一つの孔部の周縁部に対向して配置されるようにしてもよい。また、壁部の先端部がピン状で、ブリッジの孔部の周縁部に引っ掛かる構成を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
戸建住宅や集合住宅だけでなく、事務所ビル、及び公共建物に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…輻射パネル装置、3…パネル、3a…パネルの上端部、7…ブリッジ、13…熱媒体流通管(流通管)、15a…往路部の上方の端部、17a…復路部の上方の端部、27…断熱体、28…蓋部(本体部)、29,30…挿通孔、31,32…壁部、Hc,Hd…孔部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体の流通管を収容する複数の長尺状のパネルと、横架状に設けられて前記各パネルの一方の端部を支持するブリッジとを備え、前記ブリッジには前記パネルの前記一方の端部に対向する位置に孔部が設けられ、前記流通管は、両方の端部が前記パネルの前記一方の端部から突出すると共に、前記孔部に挿通した状態で前記パネルに収容されている、輻射パネル装置であって、
前記ブリッジと前記パネルとは金属製であり、前記ブリッジと前記パネルとの間には断熱体が配置されており、
前記断熱体は、前記ブリッジと前記パネルとに挟持されると共に、前記流通管が挿通する挿通孔が形成された本体部と、前記挿通孔の縁に沿って前記本体部から突出すると共に、前記ブリッジの前記孔部の周縁部に対向する壁部と、を有することを特徴とする輻射パネル装置。
【請求項2】
前記本体部には、前記流通管の両方の端部それぞれが挿通される一対の前記挿通孔が形成されており、
前記壁部は、前記一対の挿通孔それぞれに対応して一対が設けられていることを特徴とする請求項1記載の輻射パネル装置。
【請求項3】
前記ブリッジには、前記一対の壁部それぞれに対応して一対の前記孔部が形成されており、
前記壁部は、対応する前記孔部に嵌合されることを特徴とする請求項1または2記載の輻射パネル装置。
【請求項4】
前記断熱体は、樹脂材料からなり、且つ前記パネルの前記一方の端部の開口を覆うキャップ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の輻射パネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−242070(P2012−242070A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116233(P2011−116233)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】