説明

農作業機の給電システム

【課題】トラクタに装着して農作業を行う作業機をトラクタから脱着する際に、給電のためのハーネスの取り付け、取り外しが不要となる農作業機の給電システムを提供することを目的とする。
【解決手段】トラクタ1に装着して農作業を行いトラクタ1と脱着可能な作業機2と、トラクタ1側に設置されトラクタ1に有する電源11と接続される送電システム15と、トラクタ1側に設置され送電システム15と接続される送信デバイス16と、作業機2に設置される受信デバイス23と、作業機2に設置され受信デバイス23と接続される受電システム22と、作業機2に設置され受電システム22から伝送される電力により作動する出力機器80とを有し、送信デバイス16と受信デバイス23の間はワイヤレスで電力伝送され、送電システム15と受電システム22は、ワイヤレスで電力伝送のための電力の変換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機の給電システムに関し、特に、トラクタに装着して農作業を行う作業機をトラクタから脱着する際に、給電のためのハーネスの取り付け、取り外しが不要となる農作業機の給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに装着して農作業を行う作業機では、その作業機が有するアクチュエータ等の電源としてトラクタ側に設置されたバッテリーを使用していることが多い。このとき、トラクタ側のバッテリーとは、ハーネスを介して供給されていた。
【0003】
一方、作業機は、農作業の内容によって、別の種類の作業機をトラクタに付け替えて農作業を行う。そのため、トラクタに配置したバッテリーと作業機を接続するハーネスは、途中にコネクタを設け作業機を取り替える際に脱着可能となっている場合が多い。例えば、トラクタ側からのハーネスと作業機側のハーネスを接続するコネクタの一例は、特許文献1に記載されている。
【0004】
更に、従来のコネクタの具体的な一例を図14と、図15で示す。図14は、側面図を示し、(a)が接続前の状態、(b)が接続後の状態を示す。図15は、接続面側の正面図を示し、(a)がメス側コネクタ、(b)がオス側コネクタを示す。図に示されるように、メス側コネクタ210が有する凹部211にオス側コネクタ220の挿入部221を挿入する。すると、マイナス配線213a及びプラス配線213bにそれぞれ接続されているメス側コネクタ210の二つのプラグ212が、マイナス配線223a及びプラス配線223bにそれぞれ接続されているオス側コネクタ220の二つの差し込み口222に挿入されて、これらの二つのコネクタ(210、220)が接続される。なお、プラグ212は凹部211内に配置され、差し込み口222は挿入部221先端から内部に向けて配置されている。このように凹部211に挿入部221を挿入する構成により確実に接続できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−232796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作業者は、トラクタに作業機を付け替える際に、トラクタと作業機の間にあるコネクタを取り外し、作業機を取り外し、さらに、別の作業機を取り付けた後、別の作業機のコネクタをトラクタ側からのコネクタと接続する必要がある。これは、脱着する際にそれぞれ一度トラクタから降りる必要があるため、かなりの手間がかかる。さらに、このコネクタの取り外しを忘れて、作業機をトラクタから取り外すとハーネスの断線や破損の原因にもなる。また、農作業機は主に野外で使用するため、取り外しできるコネクタ部での浸水の問題も生じやすい。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着して農作業を行う作業機をトラクタから脱着する際に、給電のためのハーネスの取り付け、取り外しが不要となる農作業機の給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の農作業機の給電システムは、トラクタに装着して農作業を行い前記トラクタと脱着可能な作業機と、前記トラクタ側に設置され前記トラクタに有する電源と接続される送電システムと、前記トラクタ側に設置され前記送電システムと接続される送信デバイスと、前記作業機に設置される受信デバイスと、前記作業機に設置され前記受信デバイスと接続される受電システムと、前記作業機に設置され前記受電システムから伝送される電力により作動する出力機器とを有し、前記送信デバイスと前記受信デバイスの間はワイヤレスで電力伝送され、前記送電システムと前記受電システムは前記ワイヤレスで電力伝送のための電力の変換を行うことを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の農作業機の給電システムは、前記送信デバイスと前記送電システム、及び、前記受信デバイスと前記受電システムの組み合わせのうち少なくとも一方は一体に構成されることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機の給電システムは、前記作業機に設置され前記受電システムからの電力を蓄える蓄電装置を有し、前記蓄電装置から前記出力機器へ蓄えた電力が供給されることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機の給電システムは、前記トラクタに配置される無線送信部と、前記作業機に設置され前記無線送信部からの無線による操作信号を受信する無線受信部と、前記作業機に設置され前記無線受信部が受信した操作信号に基づき前記出力機器を制御する制御部とを有することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機の給電システムは、前記電源はトラクタが有するバッテリーであり、前記送電システムは、前記バッテリーと接続されることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機の給電システムは、前記電源は、トラクタが有するバッテリーからトラクタのエンジン始動のスイッチを介して電力が供給されるトラクタの外部電源であり、前記送電システムは、前記外部電源と接続されることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機の給電システムは、前記送信デバイスは、トラクタ後部に備えられ前記作業機と脱着を可能とする連結装置の近傍に設置され、前記受信デバイスは、前記作業機に備えられ前記連結装置と脱着するための連結器具の近傍に配置されることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の農作業機の給電システムは、前記送信デバイス又は前記受信デバイスのいずれか一方のデバイスの周囲から前方に向かって外側へ傾斜して他方のデバイスを対向する位置に案内する案内傾斜面を有する案内部材を備えることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機の給電システムは、前記案内傾斜面は、先端へ向けて径が大きくなっていく円筒形であることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機の給電システムは、前記案内傾斜面は、外側へ一定角度を有して前方に張り出す板状の部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トラクタに装着して農作業を行う作業機をトラクタから脱着する際に、給電のためのハーネスの取り付け、取り外しが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の農作業機の給電システムにおける全体構成図である。
【図2】本発明の農作業機の給電システムが適用される作業機の一例を示す正面図である。
【図3】本発明の農作業機の給電システムが適用される作業機の一例を示す平面図である。
【図4】本発明の農作業機の給電システムが適用されるトラクタに作業機を装着した状態の一例を示す側面図である。
【図5】連結装置と作業機の関係の一例を示した平面図である。
【図6】連結装置の拡大図であり、(a)が側面図、(b)が正面図である。
【図7】実施例2の農作業機の給電システムにおける全体構成図である。
【図8】実施例3の農作業機の給電システムにおける全体構成図である。
【図9】実施例4の農作業機の給電システムにおける全体構成図である。
【図10】実施例5の送信デバイスと受信デバイス間を示す斜視図である。
【図11】実施例6の送信デバイスと受信デバイス間を示す側面図である。
【図12】実施例6の案内部材の正面図である。
【図13】実施例7の送信デバイスと受信デバイス間を示す側面図である。
【図14】従来のコネクタの一例を示す側面図である。(a)が接続前の状態、(b)が接続後の状態を示す。
【図15】従来のコネクタの一例を示す接続面側の正面図である。(a)がメス側コネクタ、(b)がオス側コネクタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1の農作業機の給電システムにおける全体構成図である。トラクタ1の後部には、作業機2が装着されている。作業機2はトラクタからのPTO動力を利用するなどして農作業を行う。トラクタ1には、無線送信部10と、トラクタバッテリー11と、外部電源ハーネス12と、送電システム15と、送信デバイス16とを有している。作業機2には、無線受信部20と、制御部21と、受電システム22と、受信デバイス23と、出力機器であるアクチュエータ80とを有している。
【0015】
無線送信部10は、情報を無線送信可能な装置である。操作スイッチ等を有する操作部と一体とすることにより、作業者が操作スイッチを操作した時の情報が無線送信により無線受信部20へ送信される。なお、操作部と送信部は、配線等を通じ別体とすることも可能である。
【0016】
トラクタバッテリー11は、トラクタ1に設置されており、トラクタ1に必要な電気も供給することが可能な電源である。外部電源ハーネス12は、一端がトラクタバッテリー11と接続され他端が接続部12aのコネクタとなっているハーネス(配線)であり、途中にスイッチ13を介している。これにより、スイッチ13がONになった時のみ、トラクタバッテリー11の電力が、外部電源接続部12a側に供給される。スイッチ13はトラクタ1のエンジン始動のスイッチと共有でき、例えば、エンジン始動のためのキーを回転させるときにONとなるキースイッチの構成とすることができる。これにより、トラクタのキースイッチ(エンジンの始動スイッチ)がONになっているとき電力を供給でき、接続部12aは外部電源として各種の機器に接続可能となっている。接続部12aの形状は、例えば、日農工規格で規定されるコネクタ形状とすることができる。トラクタの外部電源は、トラクタのスイッチ13がONの時のみ、外部電源接続部12a側に電力が供給されるため、トラクタ1による作業を行わないときの無駄な電力消費を防止できる。
【0017】
送電システム15と送信デバイス16は接続ハーネス(送信側)17を介して接続されている。送電システム15は、外部電源ハーネス12(の接続部12a)と接続可能であり、外部電源からの電力を送信デバイス16から送信するための変換を行う。そして、送信デバイス16からは、空間を伝わるエネルギーとして作業機2側の受信デバイス23へ伝送する。
【0018】
受電システム22と受信デバイス23は接続ハーネス(受信側)24を介して接続されている。受信デバイス23で受け取ったエネルギーは、電気的エネルギーとして受電システム22へ送信され、受電システム22で、アクチュエータ80等で使用する規格の電力に変換され、制御部21へ送られる。
【0019】
送信デバイス16と受信デバイス23間で行う、ワイヤレス給電の方式について説明する。ワイヤレス給電の種類として、例えば、「磁気共鳴」、「電磁誘導」、「マイクロ波・レーザ光」の方式が挙げられる。「電磁誘導」の方式は、電磁誘導により一次側のコイルから二次側のコイルに電力を送る方式であり、離間距離が短いが、比較的大きな電力が送れ、様々な機器で実用化されているためコストが安いメリットもある。「磁気共鳴」の方式は、共振を利用して電力を伝送する方式で、離間距離が10〜50cm程度と比較的長い特徴がある。さらに、10W〜1KW位の電力が送れ、送受信の位置が(角度やずれ)がかなりあっても効率はあまり落ちないが、距離が変わると比例して効率が落ちる性質がある。「マイクロ波・レーザ光(無線)」の方式は、マイクロ波やレーザ光による送電を行い、離間距離が、例えば、1〜10cm程度とれるが、送れる電力が少ない性質がある。
【0020】
これらの方式を適用させる場合、送電システム15、送信デバイス16、受電システム22、受信デバイス23はそれぞれ、これらの方式に合うように構成される。例えば、「磁気共鳴」の方式であるならば、送信デバイス16と受信デバイス23をコイルで構成し、送電システム15は一定の周波数を発生させるためのシステムとし、受電システム22は整流して制御部21へ電力を供給する。また、「電磁誘導」の方式なら、送信デバイス16を一次側コイル、受信デバイス23を二次側コイルとして、送電システム15は交流を発生させ、受電システム22で整流するシステムが挙げられる。
【0021】
トラクタ1側での作業者の操作部の操作による情報(操作信号)は、無線送信部10から、無線受信部20へ送られる。そして、制御部21では、その情報をもとに、アクチュエータ80の制御を行う。このときのアクチュエータ80や制御部21、無線受信部20で必要な電力は、受電システム22から送られてくる。また、無線受信部20は送信機能を有し無線送信部10へ制御部21から得られる情報等を送信させ、無線送信部10は受信機能を有し無線受信部20から作業機2側の情報を受信して表示させてもよい。
【0022】
制御部21は、無線受信部20で受信した操作信号をもとに、アクチュエータ80の制御を行う。制御部21は、制御のために必要な電子デバイス等で構成され、コントロールボックスとしてボックス内に格納して独立させることができる。一方、無線受信部20や受電システム22と一体に構成することも可能である。
【0023】
アクチュエータ80は、作業機に設置され、具体例は後述する。なお、アクチュエータ80には、アクチュエータ以外の出力機器であっても電力を使用するものであれば、LED、ブザー、センサー等も適用できる。
【0024】
図2は、本発明の農作業機の給電システムが適用される作業機の一例を示す正面図である。図3は、本発明の農作業機の給電システムが適用される作業機の一例を示す平面図である。図2と3の作業機2は折りたたみ機構を備えた代掻き機50であり、入力軸51側をトラクタ1に装着し、カバー52や均平板53の内で代掻き爪が回転することにより代掻き作業を行う。
【0025】
電動油圧シリンダ56は、シリンダが伸び縮みすることにより、回動機構57を作用させサイド作業部55を(図2の左側のように)上側に折りたたみ、代掻き機50の全幅を短くすることができる。延長レーキ開閉装置60は、内部のモーターが回転することにより、制御バー62やワイヤ63を介して延長レーキ61を回動軸61aを中心に左右に回動させ、延長レーキ61を使用するか否かを選択することができる。土引きユニット66は、内部のモーターの回転により土引き部67等を介してレーキ65の上下動を制御し、土引きを調整することができる。
【0026】
これら、電動油圧シリンダ56や、延長レーキ開閉装置60(のモーター)、土引きユニット66(のモーター)をアクチュエータ80として、操作することができ、効率のよい農作業を行うことができる。
【0027】
図4は、本発明の農作業機の給電システムが適用されるトラクタ1に作業機2(50)を装着した状態の一例を示す側面図である。図5は、連結装置30と作業機2(50)の関係の一例を示した平面図である。図6は、連結装置30の拡大図である。なお、図4は、トラクタ1のタイヤ3を図示しそれより前方の図は省略してある。
【0028】
トラクタ1に連結装置30を取り付けて作業機2を装着すると、作業者は、トラクタ1から降りずに、作業機2の脱着をすることができる。ここで、本発明の農作業機の給電システムを連結装置30等に適用する場合について説明する。
【0029】
連結装置30は、上部中央に上部が開口したトップフック31を有し、下部の左右に、それぞれ側板34に取り付けられるフック44を有している。トップフック31と側板34は、メインパイプ33により接合され、左右の側板34は連結パイプ36により接合されている。連結パイプ36の中央には、ジョイントを取り付けるためのジョイント固定板37が接合されている。トップフック31の横側には、ハンドル41が設置され、ハンドル41をトラクタ側に引くと、リンク機構42、連結棒43を介してフック44が回動軸44aを中心に下側に回動し、側板34に有する溝38の入口を開口する。ハンドル41を戻す(押す)と、側板34とフック44の間に設けられたねじりバネ45の力でフック44が回動し溝38の入口を閉じる。また、ハンドルは、ロックピン46を回すとロックされ、引けないようになる。フック44の背面には取付孔32を有し、側板34には、取付ピン35を有している。
【0030】
トラクタ1のトップリンク5の先端を連結装置30の取付孔32に取り付け、トラクタ1のロワリンク6の先端を連結装置30の取付ピン35に取り付ければ、トラクタ1に連結装置30が取り付けられる。
【0031】
一方、作業機2側では、連結装置30に装着させるための連結器具(マスト71、ヒッチ73)を備える。代掻き機50で例示して説明すると、マスト71は、入力軸51が備えられているミッションケース75の上部に取り付けられ、左右のヒッチ73は、それぞれミッションケース75の両端にあるフレームパイプ76に接合された取付板77に取り付けられる。マスト71の先端には、トップピン72が備えられ、ヒッチ73先端には、ロワピン74が備えられている。
【0032】
作業者は、連結装置30をトラクタ1に取り付けた状態で、ハンドル41を引き、トラクタ1の運転席でロワリンク6を操作し連結装置30を上昇させて、下側から、トップフック31をトップピン72に引っかける。すると、ロワピン74が溝38に入り、ジョイント7の先端も、入力軸51に挿入される。これにより作業機2が三点で支持される。そして、ハンドル41を戻して(押して)ロックピン46でロックすれば装着が完了する。取り外しは、ロックピン46のロックを外しハンドル41を引き、連結装置30を下降させることで行える。
【0033】
このとき、送信デバイス16を連結装置30側に取り付け、受信デバイス23を代掻き機50(作業機2)側に設置して、連結装置30に作業機2を取り付けた場合に、送信デバイス16と受信デバイス23がワイヤレスで給電できる位置になるようにしておけば、作業者は、トラクタ1に作業機2を脱着する際に、トラクタ1から降りて、給電のための接続をする必要がない。さらに、アクチュエータ80の操作は、無線送信部10を用いて無線により行えば、作業者は、操作のためのハーネスの配線作業も必要がなくなり、いち早く農作業を行うことができる。送信デバイス16と受信デバイス23の取り付けは、例えば、送信デバイス16は、連結装置30のメインパイプ33や連結パイプ36から取付板を出して取り付けたり、受信デバイス23は、マスト71やヒッチ73から取付板を出して取り付ける等することにより可能となる。また、他の機能を有するオート装置を図5の中心Oより左側に取り付ければ、送信デバイス16は、反対側の図5の中心Oより右側に取り付けすればよい。なお、送信デバイス16や受信デバイス23は、送電システム15や受電システム22と別体としているため、取り付け近傍のスペースを大きく取る必要がなくなる。そして、従来例のようにコネクタを接続しなくてよいので、接点がなく、浸水の問題が生じない。
【0034】
なお、送電システム15とトラクタバッテリー11の間の接続は、スイッチ13を介在する外部電源ハーネス12により行うことを説明したが、これ以外に、トラクタ1に外部電源機構を有していないときなどは、送電システム15とトラクタバッテリー11をなにも介在しないハーネスで直接接続してもよい。
【実施例2】
【0035】
図7は、実施例2の農作業機の給電システムにおける全体構成図である。実施例2では、実施例1と異なる点について説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0036】
実施例2では、作業機2において、受電システム22と制御部21の間に、蓄電装置25が接続されている。送信デバイス16、受信デバイス23を通じて供給される電力は一旦蓄電装置25に蓄えられる。送信デバイス16と受信デバイス23を通じて供給される電力は限られており、一度にアクチュエータ80等で必要とする電力を供給できない場合がある。この場合でも、蓄電装置25に一旦電気を貯めておくことで、アクチュエータ80等で大きな出力が必要なときにも対応することができ、適用の幅が広がる。このとき、受電システム22で変換される電力は、アクチュエータ80等で使用する規格の電力より低い電力であっても蓄電装置25に充電できるだけの電力があればよい。
【0037】
蓄電装置25は、蓄電機能のある装置であり、ニッケル水素電池や鉛蓄電池、リチウムイオン電池、リチウム電池等で構成されるバッテリーや、キャパシタなどが適用できる。
【実施例3】
【0038】
図8は、実施例3の農作業機の給電システムにおける全体構成図である。実施例3では、実施例2と異なる点について説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0039】
実施例3では、トラクタ1側において、外部電源ハーネス12の接続部12aと、送電システム15との間に、分岐ハーネス18を介在させる。外部電源ハーネス12の接続部12aと分岐ハーネス18の接続部18aを接続し、そこから分岐した分岐ハーネス18の一方の接続部18bを送電システム15に接続し、他方の接続部18cを無線送信部10へ接続する。これにより、無線送信部10の電力も外部電源から供給され、無線送信部10の電源を確保できる。
【実施例4】
【0040】
図9は、実施例4の農作業機の給電システムにおける全体構成図である。実施例4では、実施例1と異なる点について説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0041】
実施例4では、実施例1における送電システム15と送信デバイス16を一体として、送電装置19とし、実施例1における受電システム22と受信デバイス23を一体として、受電装置26とした。すなわち、送電装置19は、送電システム15と送信デバイス16を内蔵し、受電装置26は、受電システム22と受信デバイス23を内蔵していることになる。送電装置19は、送電側ハーネス27の一端と接続され、送電側ハーネス27の他端の接続部27aは外部電源ハーネス12の接続部12aと接続されている。一方、受電装置26は、受電側ハーネス28を介して制御部21と直接接続されている。これら、一体として製造できるため、コストを安くすることができる。これは、特に、「電磁誘導」等の小型化が期待される方式で有効である。なお、送電装置19に内蔵される送信デバイスと受電装置26に内蔵される受信デバイスの取り付け位置の関係は、実施例1と同様である。また、この送電装置19や受電装置26は、実施例2、3でも同様に適用可能である。また、送電装置19と受電装置26の一方のみを適用して一体化としてもよい。
【実施例5】
【0042】
図10は、実施例5の送信デバイス16と受信デバイス23間を示す斜視図である。
【0043】
受信デバイス23の回りには、第1案内部材100が装着されている。第1案内部材100は、一方が末広がりの円筒形であって、先端部102から後端部103へ向けて円筒部の径が大きくなる第1案内傾斜面101を有している。また、実施例5の受信デバイス23は外形が円筒形となっており、第1案内部材100の内部に配置されている。
【0044】
一方、送信デバイス16の先端側には、第2案内部材110が装着されている。第2案内部材110も、一方が末広がりの円筒形であって、送信デバイス16側の後端底部113から、先端開口部112へ向けて円筒部の径が大きくなってゆく第2案内傾斜面111を有している。なお、第2案内傾斜面111の傾斜角は、第1案内傾斜面101の傾斜角と同じか、もしくは、これより大きな角度となっている。
【0045】
これらの構成により、受信デバイス23を送信デバイス16に近づけたとき、受信デバイス23の位置が多少ずれても、第1案内部材100の先端部102もしくは第1案内傾斜面101が、第2案内部材110の第2案内傾斜面111の内側側面に当接して案内される。このため、送信デバイス16の端面と受信デバイス23の端面を確実に正対させて配置することが可能となる。そして、第2案内部材110の後端底部113と第1案内部材100の先端部102が、近い位置でより確実な電力の供給を可能とする。
【0046】
なお、第1案内部材100を送信デバイス16に、第2案内部材110を受信デバイス23に設ける構成としてもよい。
【実施例6】
【0047】
図11は、実施例6の送信デバイス16と受信デバイス23間を示す側面図である。図12は、実施例6の案内部材140の正面図である。
【0048】
案内部材140は、内部が中空となっている角柱である胴部141と、胴部141と連続し胴部141のそれぞれの端部の辺から連続して外側へ一定角度を有して前方に張り出す板状の案内傾斜面142を4つ有している。
【0049】
実施例6の送信デバイス16は、角柱形状であり、その周りに案内部材140の胴部141が装着される。このとき、送信デバイス16の先端側に、案内傾斜面142を装着する。
【0050】
実施例6の受信デバイス23も、角柱形状であり、先端の角を丸めた形状(23a)にして案内されやすくしてもよい。
【0051】
これらの構成により、受信デバイス23を送信デバイス16に近づけたとき、位置が多少ずれても、受信デバイス23の先端部が、案内部材140の案内傾斜面142の内側側面に当接して案内される。これにより、送信デバイス16が受信デバイス23に当接する程度の位置まで近づけて配置することが可能となり、近い位置でより確実な電力の供給を可能とする。
【0052】
なお、案内部材140は受信デバイス23側に設ける構成としてもよい。
【実施例7】
【0053】
図13は、実施例7の送信デバイス16と受信デバイス23間を示す側面図である。実施例7では、送信デバイス16を図14、15で示した従来のメス側コネクタ210に接続する構成を示す。
【0054】
実施例7の送信デバイス16は、接続ハーネス17側に挿入部16aが付設されており、メス側コネクタ210の凹部211に挿入可能な構成となっている。挿入部16aの構成は、従来の挿入部221と同様の構成である。
【0055】
これらの構成により、従来のメス側コネクタ210はそのまま使用して、送信デバイス16を装着することが可能となる。
【0056】
以上の実施例5〜7は、実施例1〜4にそのまま適用することができる。なお、実施例4に適用するときは、送信デバイス16を送電装置19、受信デバイス23を受電装置26として適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 トラクタ
2 作業機
10 無線送信部
11 トラクタバッテリー
12 外部電源ハーネス
13 スイッチ
15 送電システム
16 送信デバイス
18 分岐ハーネス
19 送電装置
20 無線受信部
21 制御部
22 受電システム
23 受信デバイス
25 蓄電装置
26 受電装置
30 連結装置
50 代掻き機
56 電動油圧シリンダ
60 レーキ開閉装置
66 土引きユニット
71 マスト
73 ヒッチ
80 アクチュエータ
100 第1案内部材
101 第1案内傾斜面
110 第2案内部材
111 第2案内傾斜面
140 案内部材
142 案内傾斜面
210 メス側コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して農作業を行い前記トラクタと脱着可能な作業機と、前記トラクタ側に設置され前記トラクタに有する電源と接続される送電システムと、前記トラクタ側に設置され前記送電システムと接続される送信デバイスと、前記作業機に設置される受信デバイスと、前記作業機に設置され前記受信デバイスと接続される受電システムと、前記作業機に設置され前記受電システムから伝送される電力により作動する出力機器とを有し、
前記送信デバイスと前記受信デバイスの間はワイヤレスで電力伝送され、前記送電システムと前記受電システムは前記ワイヤレスで電力伝送のための電力の変換を行うことを特徴とする農作業機の給電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機の給電システムにおいて、
前記送信デバイスと前記送電システム、及び、前記受信デバイスと前記受電システムの組み合わせのうち少なくとも一方は一体に構成されることを特徴とする農作業機の給電システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機の給電システムにおいて、
前記作業機に設置され前記受電システムからの電力を蓄える蓄電装置を有し、前記蓄電装置から前記出力機器へ蓄えた電力が供給されることを特徴とする農作業機の給電システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の農作業機の給電システムにおいて、
前記トラクタに配置される無線送信部と、前記作業機に設置され前記無線送信部からの無線による操作信号を受信する無線受信部と、前記作業機に設置され前記無線受信部が受信した操作信号に基づき前記出力機器を制御する制御部とを有することを特徴とする農作業機の給電システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の農作業機の給電システムにおいて、
前記電源はトラクタが有するバッテリーであり、前記送電システムは、前記バッテリーと接続されることを特徴とする農作業機の給電システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の農作業機の給電システムにおいて、
前記電源は、トラクタが有するバッテリーからトラクタのエンジン始動のスイッチを介して電力が供給されるトラクタの外部電源であり、前記送電システムは、前記外部電源と接続されることを特徴とする農作業機の給電システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の農作業機の給電システムにおいて、
前記送信デバイスは、トラクタ後部に備えられ前記作業機と脱着を可能とする連結装置の近傍に設置され、
前記受信デバイスは、前記作業機に備えられ前記連結装置と脱着するための連結器具の近傍に配置されることを特徴とする農作業機の給電システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の農作業機の給電システムにおいて、
前記送信デバイス又は前記受信デバイスのいずれか一方のデバイスの周囲から前方に向かって外側へ傾斜して他方のデバイスを対向する位置に案内する案内傾斜面を有する案内部材を備えることを特徴とする農作業機の給電システム。
【請求項9】
請求項8に記載の農作業機の給電システムにおいて、
前記案内傾斜面は、先端へ向けて径が大きくなっていく円筒形であることを特徴とする農作業機の給電システム。
【請求項10】
請求項8に記載の農作業機の給電システムにおいて、
前記案内傾斜面は、外側へ一定角度を有して前方に張り出す板状の部材であることを特徴とする農作業機の給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−217742(P2011−217742A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64557(P2011−64557)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】