説明

農作業機

【課題】土作業体の作業深さを容易に変更できる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、トラクタ2の後部の作業機昇降支持部3に連結する作業機本体11と、この作業機本体11に対して上下動可能で地表面G下に挿入する土作業体12とを備える。作業機本体11は、ピン当接部22およびピン挿入孔部を有する。土作業体12は、高さ位置の異なる複数の第1孔部28およびこれら複数の第1孔部28に対応する複数の第2孔部29を有する。また、農作業機1は、第1孔部28に挿入しピン当接部22との当接により土作業体12の作業機本体11に対する下動を規制する第1ピン31を備える。さらに、農作業機1は、互いに対向する第2孔部29およびピン挿入孔部に挿入し土作業体12の作業機本体11に対する上下動を規制する第2ピン32を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土作業体の作業深さを容易に変更できる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行車であるトラクタの後部の作業機昇降支持部(3点リンクヒッチ部)に連結して使用する農作業機として、例えば下記の特許文献1に記載された部分深耕機(サブソイラ作業機)が知られている。
【0003】
この特許文献1に記載された部分深耕機は、ピン挿入孔部を有しトラクタの作業機昇降支持部に連結される作業機本体と、高さ位置の異なる上下方向に並んだ複数の孔部を上端側に有し作業機本体に対して上下動可能に設けられ下端側が地表面下に挿入された状態で土作業である土破砕作業をする土作業体と、互いに対向する孔部およびピン挿入孔部に挿脱可能に挿入され土作業体の作業機本体に対する上下動を規制するロックピンとを備えている。
【0004】
そして、例えば土作業体の作業深さを一の作業深さからこの一の作業深さより浅い他の作業深さへ変更する際には、互いに対向する一の作業深さに応じた孔部およびピン挿入孔部からピンを取り外した後、作業者2〜3人がかりで土作業体を作業機本体に対して所望の高さまで上動させ、その状態で、互いに対向する他の作業深さに応じた孔部およびピン挿入孔部にピンを挿入するようにしている。
【特許文献1】特開平9−322601号公報(図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、作業者2〜3人がかりで、比較的重い土作業体を作業機本体に対して所望の高さまで持ち上げる必要があり、土作業体の作業深さの変更に手間がかかる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、土作業体の作業深さを容易に変更できる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、ピン当接部およびピン挿入孔部を有し、走行車の作業機昇降支持部に連結される作業機本体と、高さ位置の異なる複数の第1孔部およびこれら複数の第1孔部に対応する複数の第2孔部を有し、前記作業機本体に対して上下動可能に設けられ、少なくとも一部が地表面下に挿入された状態で土作業をする土作業体と、前記第1孔部に挿脱可能に挿入され、前記ピン当接部との当接により前記土作業体の前記作業機本体に対する下動を規制する第1ピンと、互いに対向する前記第2孔部および前記ピン挿入孔部に挿脱可能に挿入され、前記土作業体の前記作業機本体に対する上下動を規制する第2ピンとを備え、前記土作業体の作業深さを一の作業深さから他の作業深さへ変更する場合には、前記第2ピンを互いに対向する前記一の作業深さに応じた前記第2孔部および前記ピン挿入孔部から取り外し、この第2ピンの取り外し後、前記作業機昇降支持部の作動によって前記作業機本体を下降させることにより前記土作業体の下端部を地表面に当てて前記土作業体を前記作業機本体に対して上動させてから、前記第1ピンを前記一の作業深さに応じた前記第1孔部から前記他の作業深さに応じた前記第1孔部に付け替え、次いで前記作業機昇降支持部の作動によって前記作業機本体を上昇させることにより前記第1ピンが前記ピン当接部に当接するまで前記土作業体を前記作業機本体に対して下動させてから、前記第2ピンを互いに対向する前記他の作業深さに応じた前記第2孔部および前記ピン挿入孔部に挿入するものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、作業機本体に着脱可能に取り付けられ、土作業体の後方で土作業をする追加土作業体を備え、前記土作業体は、第1ピンが挿脱可能に挿入される第3孔部を有し、前記第3孔部に前記第1ピンが挿入されるとともにこの第1ピンとピン当接部とが互いに当接し、かつ前記土作業体の全体が地表面上に位置した状態時に、前記追加土作業体の前記作業機本体に対する着脱が行われるものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項1または2記載の農作業機において、土作業体は、上下方向長手状のナイフと、このナイフの下端部に設けられたチゼルとを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、比較的重い土作業体を作業機本体に対して人力で持ち上げる必要がなく、土作業体の作業深さを容易に変更できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、土作業体の作業深さを容易に変更できるばかりでなく、追加土作業体を作業機本体に対して容易に着脱できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、ナイフおよびチゼルを有する比較的重い土作業体の作業深さを容易に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の農作業機の一実施の形態を図1ないし図6を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図6において、1は農作業機で、この農作業機1は、走行車であるトラクタ2の後部の作業機昇降支持部3に連結されトラクタ2の前進走行により前方に移動しながら例えば圃場の土を破砕するサブソイラ等の部分深耕機である。
【0015】
トラクタ2は、車体であるトラクタ本体(図示せず)を備えている。トラクタ本体の前後部における左右両側には、走行輪である車輪5がそれぞれ回転可能に設けられている。トラクタ本体の後端部には、農作業機1を昇降可能に支持する3点リンクヒッチ部等の作業機昇降支持部3が設けられている。作業機昇降支持部3は、図示しない油圧手段によって前端側の回動支点6,7を中心として上下回動する上部リンク8および左右の下部リンク9を有している。
【0016】
農作業機1は、トラクタ2の後部の作業機昇降支持部3に脱着可能に連結された作業機本体11と、作業機本体11にこの作業機本体11に対して上下動可能に設けられ、少なくとも一部、すなわち例えば下端側が地表面G下に挿入され、圃場の状態に応じて所望の作業深さに設定された状態で土作業である土破砕作業をする上下方向長手状の土作業体12とを備えている。
【0017】
作業機本体11は、例えば角パイプ等にて構成された左右方向長手状の主フレーム部14を有している。主フレーム部14には、トラクタ2の作業機昇降支持部3に連結された走行車連結部である3点連結部15が設けられている。3点連結部15は、上部リンク8に回動可能に連結された上部連結部16および下部リンク9に回動可能に連結された左右の下部連結部17を有している。また、主フレーム部14には、土作業体12を上下動可能に保持する保持部18が設けられている。保持部18は、上下方向に向って開口する開口部19を有し、この開口部19に土作業体12の上端側がこの開口部19に沿って上下方向にスライド可能に嵌挿されている。また、保持部18の略中央部には、左右方向に向って開口するピン挿入孔部21が形成されている(図2等参照)。さらに、保持部18の上面部には、ピン当接部22が形成されている。
【0018】
土作業体12は、上下方向長手状のシャンク等のナイフ25と、このナイフ25の下端部に設けられ圃場の土中である地表面G下を移動しながら土破砕作業をする破砕爪等のチゼル26とを有している。ナイフ25は、農作業機1の左右方向を厚さ方向とする板形状で、作業機本体11の保持部18の開口部19にこの開口部19に沿って上下方向にスライド可能に嵌挿されている。
【0019】
そして、ナイフ25の上部後側には、左右方向に向って開口しそれぞれ高さ位置の異なる複数、例えば5つの第1孔部28が互いに等間隔をおいて上下方向に並んで形成されている。また、ナイフ25の上部前側には、左右方向に向って開口し複数の第1孔部28に対応してそれぞれ高さ位置の異なる複数、例えば5つの第2孔部29が互いに等間隔をおいて上下方向に並んで形成されている。これら5つの第2孔部29は、対応する5つの第1孔部28に対して下方にずれて配置され、例えば1番上の第2孔部29と上から4番目の第1孔部28とが略同じ高さ位置に位置する。
【0020】
また、農作業機1は、土作業体12のナイフ25の第1孔部28に挿脱可能に挿入され作業機本体11のピン当接部22との当接により土作業体12の作業機本体11に対する下動を規制するストッパピン等の第1ピン31と、互いに対向する第2孔部29およびピン挿入孔部21に挿脱可能に挿入され土作業体12の作業機本体11に対する上下動を規制する止めピン等の第2ピン32とを備えている。そして、これら第1ピン31および第2ピン32の挿入位置の変更により土作業体12の作業機本体11に対する上下位置が調整可能で、土作業体12の作業深さを圃場の状態等に応じて変更可能となっている。
【0021】
次に、土作業体12の作業深さを図1に示す一の作業深さAからこの一の作業深さAより浅い図6に示す他の作業深さBへ変更する場合について図面を参照して説明する。
【0022】
作業者は、まず、図1に示す一の作業深さAの作業状態から、トラクタ2の作業機昇降支持部3の作動によって作業機本体11を上昇させることにより土作業体12の全体を地表面G、すなわち例えば圃場面上に位置させ、この状態で第2ピン32を互いに対向する一の作業深さAに応じた第2孔部29およびピン挿入孔部21から取り外す。この状態を図2に示し、この状態では、第1ピン31にて土作業体12の作業機本体11に対する下動が規制されているが、第2ピン32が取り外されているため、土作業体12は作業機本体11に対して上動可能である。
【0023】
なお、土作業体12の全体が地表面G上に位置すると、土作業体12は第1ピン31にて支持され、第2ピン32には負荷がかからないため、第2ピン32を容易に取り外すことが可能である。
【0024】
次いで、作業者は、図3に示すように、第2ピン32を取り外した状態のまま、トラクタ2の作業機昇降支持部3の作動によって作業機本体11を下降させることにより土作業体12の下端部のチゼル26を地表面Gに当てて土作業体12を作業機本体11に対して上動させてから、第1ピン31を一の作業深さAに応じた第1孔部28から他の作業深さBに応じた第1孔部28に付け替える。すなわち、トラクタ2の作業機昇降支持部3で作業機本体11を下降させると、土作業体12は、地表面Gとの当接により地表面Gに押されて作業機本体11に対して上動し、5つの第1孔部28のすべてが作業機本体11の保持部18より上方に位置した状態となる。この状態で、作業者は、第1ピン31を一の作業深さAに応じた第1孔部28から取り外し、この取り外した第1ピン31を今度は他の作業深さBに応じた第1孔部28に挿入する。
【0025】
次いで、作業者は、図4に示すように、トラクタ2の作業機昇降支持部3の作動によって作業機本体11を上昇させることにより他の作業深さBに応じた第1孔部28に挿入された第1ピン31が保持部18のピン当接部22に当接するまで土作業体12を作業機本体11に対して下動させ、更なる作業機本体11の上昇により第1ピン31をピン当接部22で押し上げて土作業体12の全体を地表面Gから浮かせて地表面G上に位置させてから、図5に示すように第2ピン32を互いに対向する他の作業深さBに応じた第2孔部29およびピン挿入孔部21に挿入する。
【0026】
すなわち、トラクタ2の作業機昇降支持部3で作業機本体11を上昇させると、土作業体12が作業機本体11に対して下動し、他の作業深さBに応じた第1孔部28に挿入された第1ピン31が、作業機本体11の保持部18のピン当接部22に当接する。第1ピン31とピン当接部22とが互いに当接すると、他の作業深さBに応じた第2孔部29とピン挿入孔部21とが互いに対向する。そして、これら互いに対向する他の作業深さBに応じた第2孔部29およびピン挿入孔部21に対して第2ピン32を挿入すると、この第2ピン32にて土作業体12の作業機本体11に対する上下動が規制される。
【0027】
そして、図6に示すように、トラクタ2の作業機昇降支持部3で作業機本体11を下降させてから、トラクタ2を前進走行させると、土作業体12は、他の作業深さBの作業状態となって土破砕作業を行う。
【0028】
このように農作業機1によれば、従来とは異なり作業者が比較的重い土作業体12を作業機本体11に対して人力で持ち上げる必要がなく、土作業体12の作業深さを容易に変更でき、作業者の負担の軽減を図ることができる。
【0029】
また、第1ピン31とピン当接部22との当接により土作業体12の作業機本体11に対する下動が規制されるため、第2ピン32を誤って抜いても土作業体12が落下せず、安全性に優れている。
【0030】
次に、本発明の農作業機の他の実施の形態を図7ないし図13を参照して説明する。
【0031】
図7ないし図13に示す農作業機1は、土作業体12の後方で土作業をするロータリ等の追加土作業体41を作業機本体11に着脱可能に取り付けることができる構成となっている。なお、上記一の実施の形態と同一の構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0032】
図7等に示すように、作業機本体11の上部連結部16には1本のトップリンク42の前端部が回動可能に連結され、作業機本体11の左右の下部連結部17には左右のロワーアーム43の前端部が回動可能にそれぞれ連結されている。
【0033】
そして、図11等に示すように、作業機本体11のトップリンク42の後端部は、追加土作業体41の上部連結部44に回動可能に連結され、作業機本体11の左右のロワーアーム43の後端部に形成され上方に向って凹状をなすフック部43aは、追加土作業体41の下部連結部45に回動可能にそれぞれ連結される。なお、ロワーアーム43の後端部の高さ位置は、作業機本体11に形成された複数、例えば3つの孔部48に対する高さ調整用ピン49の挿入位置の変更により調整可能となっている。
【0034】
また、図7等に示すように、作業機本体11には、鎮圧輪46が着脱可能に取り付けられている。この鎮圧輪46は、アーム部46aと、このアーム部46aの下端部に回転可能に設けられた回転部46bとにて構成されている。
【0035】
さらに、土作業体12のナイフ25の上下方向略中央部後側には、追加土作業体41の作業機本体11に対する着脱に際して第1ピン31が挿脱可能に挿入される第3孔部50が形成されている。そして、第3孔部50に第1ピン31が挿入されるとともにこの第1ピン31とピン当接部22とが互いに当接し、かつ土作業体12の全体が地表面G上に位置した状態で、追加土作業体41の作業機本体11に対する着脱が行われる(図10参照)。
【0036】
一方、追加土作業体41は、図10等に示すように、作業機本体11に着脱可能に取り付けられる本体51、本体51に着脱可能に取り付けられたゲージ輪52、本体51のチェーンケース部55およびブラケット部(図示せず)間に回転可能に設けられ耕耘作業をする耕耘体53、本体51のカバー部(図示せず)の後端部に上下回動可能に設けられ整地作業をする整地体54等を有している。
【0037】
次に、作業機本体11に追加土作業体41を取り付ける場合について図面を参照して説明する。
【0038】
作業者は、まず、図7に示す土作業体12のみによる単一の作業状態から、トラクタ2の作業機昇降支持部3の作動によって作業機本体11を上昇させることにより土作業体12の全体を地表面G上に位置させ、この状態で第2ピン32を互いに対向する第2孔部29およびピン挿入孔部21から取り外す。この状態を図8に示し、この状態では、第1ピン31にて土作業体12の作業機本体11に対する下動が規制されているが、第2ピン32が取り外されているため、土作業体12は作業機本体11に対して上動可能である。なお、土作業体12の全体が地表面G上に位置すると、土作業体12は第1ピン31にて支持され、第2ピン32には負荷がかからないため、第2ピン32を容易に取り外すことが可能である。
【0039】
次いで、作業者は、図9に示すように、第2ピン32を取り外した状態のまま、トラクタ2の作業機昇降支持部3の作動によって作業機本体11を下降させることにより土作業体12の下端部のチゼル26を地表面Gに当てて土作業体12を第3孔部50に第1ピン31を挿入可能な位置まで作業機本体11に対して上動させてから、第1ピン31を第1孔部28から第3孔部50に付け替え、また鎮圧輪46を作業機本体11から取り外す。
【0040】
すなわち、トラクタ2の作業機昇降支持部3で作業機本体11を下降させると、土作業体12は、地表面Gとの当接により地表面Gに押されて作業機本体11に対して上動し、5つの第1孔部28と第3孔部50とが作業機本体11の保持部18より上方に位置した状態となる。この状態で、作業者は、第1ピン31を第1孔部28から取り外し、この取り外した第1ピン31を今度は第3孔部50に挿入する。
【0041】
次いで、作業者は、トラクタ2の作業機昇降支持部3の作動によって作業機本体11を若干上昇させることにより第3孔部50に挿入された第1ピン31が保持部18のピン当接部22に当接するまで土作業体12を作業機本体11に対して下動させ、更なる作業機本体11の上昇により第1ピン31をピン当接部22で押し上げ、土作業体12の全体を地表面Gから浮かせて地表面G上に位置させ、また高さ調整用ピン49を孔部48から取り外す。
【0042】
この状態を図10に示し、この状態でトラクタ2をバック走行させると、作業機本体11が追加土作業体41に向って移動し、作業機本体11と追加土作業体41とが接近した状態で追加土作業体41が作業機本体11に対して取り付けられる。すなわち、作業者は、トラクタ2のバック走行で作業機本体11を追加土作業体41に接近移動させた後、作業機本体11のトップリンク42の後端部を追加土作業体41の上部連結部44に連結し、作業機本体11の左右のロワーアーム43の後端部のフック部43aを追加土作業体41の下部連結部45に連結する。
【0043】
次いで、作業者は、図11に示すように、トラクタ2の作業機昇降支持部3の作動によって作業機本体11を若干下降させることにより土作業体12の下端部のチゼル26を地表面Gに当てて土作業体12を作業機本体11に対して上動させ、この状態で、第1ピン31を第3孔部50から選択した一の第1孔部28に付け替えるとともに、高さ調整用ピン49を選択した一の孔部48に挿入する。
【0044】
次いで、作業者は、図12に示すように、トラクタ2の作業機昇降支持部3の作動によって作業機本体11を上昇させることにより、第1ピン31が保持部18のピン当接部22に当接するまで土作業体12を作業機本体11に対して下動させ、更なる作業機本体11の上昇により第1ピン31をピン当接部22で押し上げて土作業体12の全体を地表面Gから浮かせて地表面G上に位置させてから、第2ピン32を互いに対向する第2孔部29およびピン挿入孔部21に挿入し、またゲージ輪52を本体51から取り外す。すなわち、トラクタ2の作業機昇降支持部3で作業機本体11を上昇させると、土作業体12が作業機本体11に対して下動し、第1孔部28に挿入された第1ピン31が作業機本体11の保持部18のピン当接部22に当接する。第1ピン31とピン当接部22とが互いに当接すると、その第1孔部28に対応する作業深さに応じた第2孔部29とピン挿入孔部21とが互いに対向する。そして、これら互いに対向する第2孔部29およびピン挿入孔部21に対して第2ピン32を挿入すると、この第2ピン32にて土作業体12の作業機本体11に対する上下動が規制される。
【0045】
そして、図13に示すように、トラクタ2の作業機昇降支持部3で作業機本体11を下降させてから、トラクタ2を前進走行させると、土作業体12にて土破砕作業が行われるとともに、追加土作業体41にて耕耘整地作業が行われる。
【0046】
なお、追加土作業体41を作業機本体11から取り外す場合は、上記追加土作業体41を作業機本体11に取り付ける場合の手順の逆を行えばよい。また、土作業体12のみによる単一の作業状態時において、土作業体12の作業深さの変更は、上記一の実施の形態と同じ手順で行うことができる。
【0047】
そして、この農作業機1によれば、土作業体12の作業深さを容易に変更できるばかりでなく、追加土作業体41を作業機本体11に対して容易に着脱でき、作業者の負担をより一層軽減できるとともに、作業効率が向上する。
【0048】
なお、上記いずれの実施の形態においても、土作業体12は、圃場の土を破砕して持ち上げて反転放てきするものや、圃場の土中に孔を形成する弾丸暗きょ穿孔機等でもよく、また追加土作業体41の種類も任意である。
【0049】
また、土作業体12が有する第1孔部28および第2孔部29の数は、5つには限定されず、6つ以上でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の一の作業深さに設定された状態の側面図である。
【図2】同上農作業機の作業深さを変更する際の手順を示す説明図である。
【図3】図2に続く説明図である。
【図4】図3に続く説明図である。
【図5】図4に続く説明図である。
【図6】同上農作業機の他の作業深さに設定された状態の側面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る農作業機の土作業体のみで作業をする状態の側面図である。
【図8】同上農作業機の作業機本体に追加土作業体を取り付ける際の手順を示す説明図である。
【図9】図8に続く説明図である。
【図10】図9に続く説明図である。
【図11】図10に続く説明図である。
【図12】図11に続く説明図である。
【図13】同上農作業機の土作業体および追加土作業体で作業をする状態の側面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 農作業機
2 走行車であるトラクタ
3 作業機昇降支持部
11 作業機本体
12 土作業体
21 ピン挿入孔部
22 ピン当接部
25 ナイフ
26 チゼル
28 第1孔部
29 第2孔部
31 第1ピン
32 第2ピン
41 追加土作業体
50 第3孔部
A 一の作業深さ
B 他の作業深さ
G 地表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン当接部およびピン挿入孔部を有し、走行車の作業機昇降支持部に連結される作業機本体と、
高さ位置の異なる複数の第1孔部およびこれら複数の第1孔部に対応する複数の第2孔部を有し、前記作業機本体に対して上下動可能に設けられ、少なくとも一部が地表面下に挿入された状態で土作業をする土作業体と、
前記第1孔部に挿脱可能に挿入され、前記ピン当接部との当接により前記土作業体の前記作業機本体に対する下動を規制する第1ピンと、
互いに対向する前記第2孔部および前記ピン挿入孔部に挿脱可能に挿入され、前記土作業体の前記作業機本体に対する上下動を規制する第2ピンとを備え、
前記土作業体の作業深さを一の作業深さから他の作業深さへ変更する場合には、前記第2ピンを互いに対向する前記一の作業深さに応じた前記第2孔部および前記ピン挿入孔部から取り外し、
この第2ピンの取り外し後、前記作業機昇降支持部の作動によって前記作業機本体を下降させることにより前記土作業体の下端部を地表面に当てて前記土作業体を前記作業機本体に対して上動させてから、前記第1ピンを前記一の作業深さに応じた前記第1孔部から前記他の作業深さに応じた前記第1孔部に付け替え、
次いで前記作業機昇降支持部の作動によって前記作業機本体を上昇させることにより前記第1ピンが前記ピン当接部に当接するまで前記土作業体を前記作業機本体に対して下動させてから、前記第2ピンを互いに対向する前記他の作業深さに応じた前記第2孔部および前記ピン挿入孔部に挿入する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
作業機本体に着脱可能に取り付けられ、土作業体の後方で土作業をする追加土作業体を備え、
前記土作業体は、第1ピンが挿脱可能に挿入される第3孔部を有し、
前記第3孔部に前記第1ピンが挿入されるとともにこの第1ピンとピン当接部とが互いに当接し、かつ前記土作業体の全体が地表面上に位置した状態時に、前記追加土作業体の前記作業機本体に対する着脱が行われる
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
土作業体は、上下方向長手状のナイフと、このナイフの下端部に設けられたチゼルとを有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の農作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2008−271928(P2008−271928A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122712(P2007−122712)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】