説明

農作物品質測定装置

【課題】投光部から果菜類を透過せずに受光部へ向かう光を簡単な構成で遮断可能であるとともに、農作物を損傷させない構成の農作物品質測定装置を提供する。
【解決手段】農作物品質測定装置は、パン70と、搬送ベルト31と、投光部と、受光部と、遮光円板45と、を備える。搬送ベルト31は、農作物80が入れられたパン70を搬送する。投光部は、搬送ベルト31により搬送されるパン70内の農作物80に照射光を照射する。受光部は、投光部による照射光が農作物80を透過した光であって、投光部による照射光と進行方向が異なる光である測定対象光を受光する。遮光円板45は、農作物80を透過せずに投光部から受光部へ向かう光を遮断可能な位置に配置され、搬送されるパン70と接触して当該パン70から力を受けることによって回転する。パン70の側面には、農作物80を透過した測定対象光を通過させるための切欠き部70aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の品質を測定する農作物品質測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、果実や野菜を始めとした農作物に含まれる糖度等を非破壊で測定する装置が知られている。この種の装置は、農作物に赤外光等を照射し、その透過光を分析することによって、当該農作物に含まれる糖度等を測定することができる。特許文献1は、この種の果菜類品質測定装置を開示する。
【0003】
特許文献1が開示する果菜類品質測定装置は、搬送手段と、測定光照射手段と、受光部と、遮光手段と、光分析装置と、を備える。搬送手段は、ベルトコンベア等であり、果菜類を搬送するために用いられる。測定光照射手段は、搬送される果菜類と同等の高さに配置されており、果菜類の側面に測定用の光を照射する。受光部は、搬送される果菜類の上方に配置されており、果菜類を上方へ透過した光を受光する。遮光手段は、農作物を透過せずに受光部に向かう光を遮断する。光分析装置は、受光部によって受光された光を分析して、果菜類の糖度等を検出する。
【0004】
これにより、搬送手段によって搬送される果菜類の品質を非破壊で測定することができる。
【0005】
また、特許文献1に示す遮光手段は、1対の円板状の駆動回転体で構成されている。駆動回転体は、受光部を挟んで向かい合うようにして配置されている。また、駆動回転体の外周部にはブラシ部が形成されている。駆動回転体は、このブラシ部を果菜類の上面に接触させた状態で、搬送手段の搬送速度と同期して回転するように構成されている。
【0006】
この構成により、ブラシ部を果菜類と接触させることで、当該ブラシ部と果菜類との間に隙間が発生することを防止できる。従って、投光部から果菜類を透過せずに受光部へ向かう光を適切に遮ることができる。また、駆動回転体を搬送手段と同期回転させることにより、果菜類がブラシ部に擦られることを防止して、当該果菜類の損傷を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−46936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の果菜類品質測定装置では、果菜類にブラシ部が直接接触するため、果菜類の表面に傷が付いたり、果菜類の品質が劣化してしまうことがある。
【0009】
また、特許文献1の構成では、駆動回転体を駆動するためのモータが必要になるとともに、このモータを搬送手段と同期させて回転する制御が必要になる。そのため、構成が複雑になってしまい、装置コストが増大してしまう。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、投光部から果菜類を透過せずに受光部へ向かう光を簡単な構成で遮断可能であるとともに、農作物を損傷させない構成の農作物品質測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、以下の構成の農作物品質測定装置が提供される。即ち、この農作物品質測定装置は、収容容器と、搬送部と、投光部と、受光部と、遮光部と、を備える。前記収容容器は、農作物を入れるためのものである。前記搬送部は、農作物が入れられた前記収容容器を搬送する。前記投光部は、前記搬送部により搬送される前記収容容器内の農作物に照射光を照射する。前記受光部は、前記投光部による照射光が農作物を透過した光であって、前記投光部による照射光と進行方向が異なる光である測定対象光を受光する。前記遮光部は、農作物を透過せずに前記投光部から前記受光部へ向かう光を遮断可能な位置に配置され、前記搬送部により搬送される前記収容容器と接触して当該収容容器から力を受けることによって回転する。前記収容容器の側面には、前記投光部による照射光、又は農作物を透過した測定対象光を通過させるための切欠き部が形成されている。
【0013】
これにより、収容容器に切欠き部が形成されているので、遮光部と収容容器とが接触している状態においても、この切欠き部を通して農作物に照射光を照射する(又は測定対象光を受光する)ことができる。また、収容容器(パン等)と接触することで遮光部が回転するため、遮光部を回転駆動するモータ等が不要となる。従って、構成を簡素化してコストを低減することができる。また、遮光部と農作物との接触が通常は起こらないため、農作物の損傷を防止できる。
【0014】
前記の農作物品質測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記遮光部の少なくとも外周部は遮光性及び弾性を有する素材によって構成されている。前記搬送部による前記収容容器の搬送途中において、前記外周部が前記収容容器から力を受けて潰れるように弾性変形する。
【0015】
これにより、収容容器の形状に個体差がある場合においても、遮光部の外周部の弾性変形によって、この個体差を吸収することができる。従って、例えば収容容器が通常よりも大きい場合でも、収容容器が遮光部に引っ掛かることない。一方、収容容器が通常よりも小さい場合でも、外周部の潰れ量が小さくなるだけであり、遮光部と収容容器との間に隙間が発生しない。また、容易に変形する素材(スポンジ等)で外周部を構成することにより、当該外周部と農作物とが仮に接触しても、当該農作物が損傷することを防止できる。また、切欠き部の形成箇所が外周部に食い込むため、収容容器から遮光部へ力を滑りなく伝達し、遮光部の円滑な回転を実現することができる。
【0016】
前記の農作物品質測定装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この農作物品質測定装置は、互いに向かい合うように配置された2つの前記遮光部を備える。前記投光部又は前記受光部は、2つの前記遮光部の間であって、当該遮光部の端部近傍に配置される。
【0017】
これにより、農作物の上方に投光部(又は受光部)が配置され、かつ、農作物と同等の高さに複数の受光部(又は投光部)が配置される構成(即ち、農作物品質測定装置に一般的に採用される構成)に、本発明を適用することができる。
【0018】
前記の農作物品質測定装置においては、2つの前記遮光部は、前記投光部又は前記受光部に近づくに従って、前記遮光部同士が離れるように配置されることが好ましい。
【0019】
これにより、投光部又は受光部を配置するためのスペースを大きく確保することが可能となるので、コンパクトな農作物品質測定装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る農作物品質測定装置の構成を示す斜視図。
【図2】農作物品質測定装置の側面図。
【図3】投光部及び受光部の近傍を示す拡大側面図。
【図4】投光部及び受光部の近傍を示す拡大正面図。
【図5】搬送されるパンと遮光円板とが接触するときの状態を示す側面図。
【図6】変形例に係る農作物品質測定装置の投光部及び受光部の近傍を示す拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る農作物品質測定装置の構成を示す斜視図である。図2は、農作物品質測定装置の側面図である。
【0022】
農作物品質測定装置1は、農作物に赤外光を照射して得られた透過光を分析することで、この農作物の糖度等を非破壊で測定できる装置である。農作物とは、果実及び野菜等(果菜類)を示しており、例えば、イチゴ、りんご、トマト、及びナス等が農作物に含まれる。以下、農作物品質測定装置1の詳細な構成について説明する。
【0023】
農作物品質測定装置1は、図1に示すように、脚部11と、この脚部11によって支持される1対のフレーム12を備える。フレーム12は、互いに向かい合うように配置されており、それぞれの下端部同士が板状部材13によって接続されている。フレーム12は水平に細長く形成されており、農作物品質測定装置1は、このフレーム12の長手方向の一側(上流側)から他側(下流側)へ農作物を搬送可能となっている。なお、以下の説明では、農作物の搬送方向上流側及び下流側を単に「上流側」「下流側」と称することがある。
【0024】
農作物品質測定装置1は、フレーム12の長手方向に沿って農作物を搬送するための構成として、図1及び図2に示すように、1対の搬送ベルト(搬送部)31と、ベルト駆動部32と、駆動軸33と、従動軸34〜37と、を備える。
【0025】
1対の搬送ベルト31は、フレーム12の長手方向に沿うように、かつ、互いに向かい合うように配置されている。この搬送ベルト31には、測定対象である農作物80が収容されたパン(収容容器)70を載せることができる。
【0026】
パン70は、図1及び図2に示すように、上部が開放された円筒状の部材である。また、パン70の上端部であって、搬送方向に向かって左側と右側には、上方を開放させた切欠き部70aがそれぞれ形成されている。なお、パン70の上面は後述の遮光円板45(図2を参照)に接触することが可能であるため、以下の説明では、パン70の上面(又は上面のうち遮光円板45に接触可能な一部の面)を接触面70bと称することがある。
【0027】
ベルト駆動部32は、図1及び図2に示すように、フレーム12の下流側の端部近傍であって、当該フレーム12の下部に取り付けられている。ベルト駆動部32は図略のモータを備えており、このモータの駆動力によって搬送ベルト31を動かすことができる。このモータが発生させた駆動力は、初めに、図2に示す駆動軸33に伝達される。また、この図2に示すように、この駆動軸33の上流側の斜め上方であって、ベルト駆動部32の壁面には、従動軸37が回動可能に取り付けられている。
【0028】
1対のフレーム12の間であって、当該フレーム12の上流側の端部近傍には、従動軸35が回動可能に取り付けられている。一方、1対のフレーム12の間であって、当該フレーム12の下流側の端部近傍には、従動軸34が回動可能に取り付けられている。また、図2に示すように、1対のフレーム12の間であって、ベルト駆動部32のやや上流側には、従動軸36が回動可能に取り付けられている。
【0029】
上記の駆動軸33及び従動軸34〜37には、搬送ベルト31が巻き掛けられる。そして、モータの駆動力によって駆動軸33を図2に示す方向に回転させることにより、パン70及び農作物80を上流側から下流側へ移動させる方向に搬送ベルト31を動かすことができる。
【0030】
次に、農作物品質測定装置1が備える筐体22及びその内部の構成について、図1から図4までを参照して説明する。図3は、測定に用いる光の投光及び受光を行う箇所(具体的には後述の投光部44及び受光部46)の近傍を示す拡大側面図である。図4は、投光部44及び受光部46の近傍を示す拡大正面図である。なお、図4は、農作物品質測定装置1の内部を搬送方向上流側から見た図であり、図を判り易くするために、筐体22、遮光カーテン62、及びベルト駆動部32等を省略している(又は鎖線で示している)。
【0031】
筐体22は、箱状の部材であり、図1に示すように、農作物品質測定装置1の搬送方向中央部を覆うように配置されている。この筐体22の内部には、農作物の品質の測定を行う光学機器と、当該光学機器を取り付ける(支持する)ための部材と、が配置されている。
【0032】
図1及び図2に示すように、筐体22の上流側の面には、上流側開口部22aが形成されている。また、下流側の面には、上流側開口部22aと対応する位置に下流側開口部22bが形成されている。フレーム12及び搬送ベルト31等は、この上流側開口部22a及び下流側開口部22bを通過するように配置される。また、上流側開口部22a及び下流側開口部22bには、筐体22内部への光の侵入を防止するための遮光カーテン62がそれぞれ取り付けられている。遮光カーテン62は、可撓性を有する素材で構成されており、上下方向に複数の切り込みが入れられている。この構成により、パン70及び農作物80が開口部22a,22bを通過できるようにすることができる。
【0033】
次に、筐体22の内部の構成について説明する。筐体22内には、光学機器を取り付けるための部材として、図3及び図4に示すように、柱部24と、接続板25と、投光部取付部材26と、クランク状部材27と、遮光円板取付部材28と、受光部取付部材29と、が配置されている。また、筐体22内には、光学機器として、図2等に示すように、測定ケース41と、光源42と、光ファイバ43,47と、投光部44と、遮光円板(遮光部)45と、受光部46と、光分析部48と、を備えている。
【0034】
初めに、光学機器を取り付けるための部材について説明する。柱部24は、図2に示すように、筐体22の内部に形成された水平面22cから上方に向かって延びる部材である。筐体22内には、図4に示すように、互いに向かい合う1対の柱部24が配置されており、この柱部24の上部同士は接続板25によって互いに接続されている。また、1対の柱部24には、図3及び図4に示すように、クランク状部材27と、受光部取付部材29と、がそれぞれ取り付けられている。つまり、農作物品質測定装置1は、2つのクランク状部材27と、2つの受光部取付部材29と、を備える。
【0035】
接続板25には、図3及び図4に示すように、投光部取付部材26が取り付けられている。投光部取付部材26は、1枚の平板を直角に折り曲げたL字状の部材である。投光部取付部材26は、前記L字の一辺側において、接続板25の中央部に取り付けられている。前記L字状の他辺側には、投光部44が取り付けられている。
【0036】
クランク状部材27は、図3に示すように、1枚の平板を2箇所折り曲げた断面クランク状の部材である。クランク状部材27は、上側(投光部側)において、柱部24に取り付けられている。また、クランク状部材27には、下側(受光部側)において、遮光円板取付部材28が取り付けられている。
【0037】
遮光円板取付部材28は、1枚の平板を直角に折り曲げたL字状の部材である。遮光円板取付部材28は、前記L字状の一辺側において、前記クランク状部材27に取り付けられている。前記L字状の他辺側には、遮光円板45のシャフト45aが取り付けられている。シャフト45aは、図略のベアリングを介して遮光円板45に接続されているため、遮光円板45はシャフト45aに対して自由に回転することができる。
【0038】
上述のように筐体22内にはクランク状部材27が2つ配置されており、図4に示すように、それぞれのクランク状部材27に遮光円板取付部材28が取り付けられている。また、2つの遮光円板取付部材28には、それぞれ遮光円板45が取り付けられている。本実施形態では、遮光円板45の回転軸線は水平ではなく傾斜している。また、2つの遮光円板45が有する回転軸線は互いに平行に配置されておらず、この結果、2つの遮光円板45は、上側(投光部側)に向かうにつれて互いの間隔が広がるように配置されている。
【0039】
この構成により、遮光円板45の上側の領域を有効に活用することができる。ただし、遮光円板45の向きは任意であり、例えば、2つの遮光円板45の回転軸線同士を一致させるように水平に配置しても良い(図6の変形例を参照)。
【0040】
受光部取付部材29は、1枚の平板を直角に折り曲げたL字状の部材である。受光部取付部材29は、前記L字状の一辺側において、柱部24に取り付けられている。また、前記L字状の他辺側には取付孔が形成されており、この取付孔に受光部46が取り付けられている。
【0041】
上述のように筐体22内には受光部取付部材29が2つ配置されており、図4に示すように、それぞれの受光部取付部材29に受光部46が取り付けられている。2つの受光部46は、搬送ベルト31を挟んで同じ高さに配置されている。また、それぞれの受光部46は、搬送ベルト31の載せられたパン70の切欠き部70aと同じ高さが受光箇所となる位置に配置されている。
【0042】
次に、図2から図5までを参照して、筐体22の内部に配置される光学機器について説明する。図5は、搬送されるパン70と遮光円板45とが接触するときの状態を示す側面図である。なお、本実施形態の農作物品質測定装置1において、筐体22内に対で配置される遮光円板45、受光部46等の構成はそれぞれ互いに同等の構成となっているため、以下の説明では、一方のみを代表して説明することがある。
【0043】
測定ケース41は、図2に示すように筐体22の底面に設置されており、赤外光を出射可能な光源42と、農作物80を透過した光(透過光)を分析する光分析部48と、を備えた構成となっている。光源42には光ファイバ43が接続されており、この光ファイバ43は、光源42と、筐体22の上端近傍に配置された投光部44と、を接続している。
【0044】
投光部44は、上述のように、前記投光部取付部材26に取り付けられている。光源42からの光は、この投光部44から下側に向けて出射される。これにより、投光部44の下方を通過するパン70内の農作物80に、光(照射光)を照射することができる。
【0045】
遮光円板45は、上述のように、遮光円板取付部材28に回転可能に取り付けられている。遮光円板45は、投光部44から出射された光のうち、農作物80の表面で反射した光等が受光部46に入射しないように遮るための部材である。なお、遮光円板45の構成及び動作の詳細については後述する。
【0046】
受光部46は、上述のように受光部取付部材29に取り付けられている。受光部46は、農作物80を透過した光である透過光を受光する。具体的には、図4に示すように、パン70の切欠き部70aを通過した透過光を受光する。また、受光部46は、光ファイバ47を介して、測定ケース41内の光分析部48に接続されている。
【0047】
光分析部48は、受光部46が受光した透過光を分析することにより、農作物の糖度を測定することができる。具体的には、赤外光のうち所定波長の光はショ糖の濃度に応じて吸収されるため、果実を透過する前後において、この所定波長の光がどの程度吸収されたかを測定することで、果実のショ糖濃度(糖度)を得ることができる。また、遮光円板45の作用により、光分析部48には、農作物80の表面で反射した光や、投光部44から直接的に受光部46へ向かう光等を遮ることができる。従って、農作物80を透過した透過光のみを分析することができるので、農作物80の糖度を精度良く測定することができる。
【0048】
遮光円板45は、図3に示すように、円板状に形成されている。遮光円板45は、内側(中心側)から、シャフト45aと、内側回転体45bと、外側回転体(外周部)45cと、で構成される。シャフト45aは、前記遮光円板取付部材28に回転可能に取り付けられる。内側回転体45bは、例えばウレタンゴム製の部材であり、シャフト45aの回転に従って回転する。外側回転体45cは、例えばスポンジ製の部材であり、シャフト45a及び内側回転体45bとともに回転する。
【0049】
また、本実施形態における遮光円板45は、シャフト45aによって回転可能に支持されているだけであって、モータ等によって駆動されるものではない。即ち、遮光円板45は、パン70の接触面70bと接触することにより、当該パン70から力を受けて回転するようになっている。
【0050】
以下、パン70の搬送に伴う遮光円板45の回転動作を説明する。図5に示すように、本実施形態では、パン70の上端部(即ち接触面70b)よりも、当該遮光円板45の下端部の方が下方になるようなレイアウトとなっている。
【0051】
そのため、図5(a)の状態から搬送ベルト31に沿ってパン70が搬送されていくと、図5(b)に示すように、パン70が外側回転体45cに接触するようになる。この状態でパン70が更に下流側に搬送されることにより、遮光円板45は、パン70から力を受けて、図5(b)に矢印で示す方向に回転する。即ち、遮光円板45は、外側回転体45cと接触面70bとの間に発生する摩擦力によって、パン70の搬送とともに回転する。このように遮光円板45を回転させることにより、パン70と遮光円板45とが擦れること(又は引っ掛かること)を回避できるので、パン70及び遮光円板45が摩耗(又は破損)することを防止できる。また、駆動装置を用いることなく遮光円板45をパン70の搬送に従って回転させることができるので、低コスト化を実現することができる。
【0052】
なお、遮光円板45の外側回転体45cはスポンジ製であるため、パン70が遮光円板45の下方を搬送される過程において、当該外側回転体45cは、図5(b)及び図5(c)に示すように、パン70から力を受けて容易に弾性変形する。このように遮光円板45が接触面70bに対して密着するので、確実な遮光を実現し、糖度を正確に測定することができる。また、パン70の高さに多少の個体差(バラツキ)があった場合でも、外側回転体45cの弾性変形によって当該個体差を吸収して、遮光円板45の適切な回転及び遮光効果を維持することができる。
【0053】
図5(c)は、図5(b)に示す状態からパン70が更に下流側に搬送されて、遮光円板45の真下(即ち投光部44の真下)に位置した様子を示している。この図5(c)の状態が図4に対応しており、この状態で糖度の測定が行われる。このときは図5(c)に示すように、遮光円板45の外側回転体45cが切欠き部70aの内部に向けて膨らむように突出しているが、切欠き部70aを完全に塞ぐことはないので、受光部46は、農作物80を透過した光を問題なく受光することができる。
【0054】
また、図5(c)のタイミングにおいては、パン70に形成された切欠き部70aの境界部分が遮光円板45に食い込んでいる。従って、パン70の搬送によって、遮光円板45を滑りなく確実に回転させることができる。
【0055】
また、図4に示すように、対で配置された遮光円板45の下端部同士の間隔は、円筒状のパン70の外径とほぼ等しくなっており、当該パン70の内径(農作物80の大きさ)よりは若干大きくなっている。従って、通常は、農作物80が遮光円板45に直接接触することはないので(図4を参照)、農作物80の品質を好適に保つことができる。ただし、例えば振動が加わった場合には、農作物80が遮光円板45に接触することも考えられるが、上記のように外側回転体45cが弾性変形可能であるので、当該農作物80の損傷も防止することができる。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態の農作物品質測定装置1は、パン70と、搬送ベルト31と、投光部44と、受光部46と、遮光円板45と、を備える。パン70は、農作物80を入れるためのものである。搬送ベルト31は、農作物80が入れられたパン70を搬送する。投光部44は、搬送ベルト31により搬送されるパン70内の農作物80に照射光を照射する。受光部46は、投光部44による照射光が農作物80を透過した光であって、投光部44による照射光と進行方向が異なる光である測定対象光を受光する。遮光円板45は、農作物80を透過せずに投光部44から受光部46へ向かう光を遮断可能な位置に配置され、搬送ベルト31により搬送されるパン70と接触して当該パン70から力を受けることによって回転する。パン70の側面には、投光部44による照射光、又は農作物80を透過した測定対象光を通過させるための切欠き部70aが形成されている。
【0057】
これにより、パン70に切欠き部70aが形成されているので、遮光円板45とパン70とが接触している状態においても、この切欠き部70aを通して測定対象光を受光することができる。また、パン70と接触することで遮光円板45が回転するため、遮光円板45を回転駆動するモータ等が不要となる。従って、構成を簡素化してコストを低減することができる。また、遮光円板45と農作物80との接触が通常は起こらないため、農作物80の損傷を防止できる。
【0058】
また、本実施形態の農作物品質測定装置1においては、遮光円板45の少なくとも外側回転体45cは遮光性及び弾性を有する素材によって構成されている。搬送ベルト31によるパン70の搬送途中において、外側回転体45cがパン70から力を受けて潰れるように弾性変形する。
【0059】
これにより、パン70の形状に個体差がある場合においても、外側回転体45cの弾性変形によって、この個体差を吸収することができる。また、本実施形態では、容易に変形するスポンジで外側回転体45cが構成されているため、当該外側回転体45cと農作物80とが仮に接触しても、当該農作物80が損傷することを防止できる。また、切欠き部70aの搬送方向上流側の端部に外側回転体45cが食い込むため、当該外側回転体45cから遮光円板45へ力を伝達し易くすることができる。
【0060】
また、本実施形態の農作物品質測定装置1においては、互いに向かい合うように配置された2つの遮光円板45を備える。投光部44は、2つの遮光円板45の間であって、当該遮光円板45の(上側の)端部近傍に配置される。
【0061】
これにより、農作物の上方に投光部44が配置され、かつ、農作物と同等の高さに2つの受光部46が配置された本実施形態の構成(一般的な構成)において、上記の効果を発揮させることができる。
【0062】
また、本実施形態の農作物品質測定装置1においては、2つの遮光円板45は、投光部44に近づくに従って、遮光円板45同士が離れるように配置される。
【0063】
これにより、投光部44を配置するためのスペースを大きく確保することが可能となるので、コンパクトな農作物品質測定装置1を実現できる。
【0064】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0065】
遮光円板45に加え、シャッタ部材を投光部44の下方に配置しても良い。シャッタ部材とは、当該投光部44から出射された光によって農作物80が照射されないように当該光を遮る位置と、投光部44から出射された光によって農作物80が照射されるように退避した位置と、の間で位置を切替可能に構成される部材である。
【0066】
内側回転体45b及び外側回転体45cは、遮光性を有する素材であれば、他の素材で構成されていても良い。また、外側回転体45cは、上述の効果(パン70の個体差を吸収すること及び農作物80を損傷させないこと)を発揮させるために、弾性を有するとともに変形し易い素材であることが好ましい。
【0067】
上記実施形態の構成に代えて、例えば、搬送される農作物80と同程度の高さに投光部を配置し、当該農作物80の上方に受光部を配置する構成にしても良い。また、搬送される農作物80と同程度の高さに配置される投光部又は受光部の個数は2個に限られず、1個、又は3個以上とすることができる。
【0068】
パン70については、投光部による照射光又は農作物を透過した測定対象光を通過させることが可能な切欠き部が形成されている限り、その形状を任意に変更することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 農作物品質測定装置
31 搬送ベルト(搬送部)
44 投光部
45 遮光円板(遮光部)
45a シャフト
45b 内側回転体
45c 外側回転体(外周部)
46 受光部
70 パン(収容容器)
80 農作物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を入れるための収容容器と、
農作物が入れられた前記収容容器を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記収容容器内の農作物に照射光を照射する投光部と、
前記投光部による照射光が農作物を透過した光であって、前記投光部による照射光と進行方向が異なる光である測定対象光を受光する受光部と、
農作物を透過せずに前記投光部から前記受光部へ向かう光を遮断可能な位置に配置され、前記搬送部により搬送される前記収容容器と接触して当該収容容器から力を受けることによって回転する遮光部と、
を備え、
前記収容容器の側面には、前記投光部による照射光、又は農作物を透過した測定対象光を通過させるための切欠き部が形成されていることを特徴とする農作物品質測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の農作物品質測定装置であって、
前記遮光部の少なくとも外周部は遮光性及び弾性を有する素材によって構成されており、
前記搬送部による前記収容容器の搬送途中において、前記外周部が前記収容容器から力を受けて潰れるように弾性変形することを特徴とする農作物品質測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の農作物品質測定装置であって、
互いに向かい合うように配置された2つの前記遮光部を備え、
前記投光部又は前記受光部は、2つの前記遮光部の間であって、当該遮光部の端部近傍に配置されることを特徴とする農作物品質測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の農作物品質測定装置であって、
2つの前記遮光部は、前記投光部又は前記受光部に近づくに従って、前記遮光部同士が離れるように配置されることを特徴とする農作物品質測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185071(P2012−185071A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49161(P2011−49161)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】