説明

農作物用の包装機

【課題】包装機に農作物を供給する供給作業に要する労力を軽減できるようにする。
【解決手段】供給口5Aを形成した載置台を上部に備えて載置台に載置した包装シートとともに供給口5Aから人為供給される農作物aを包装シートで包装する包装手段と、長尺の包装シートをロール状に巻き付けた状態のシートロールRから設定長さの包装シートを引き出して載置台に供給する供給手段とを備えた農作物用の包装機において、載置台をその一端側が他端側よりも低くなる傾斜姿勢で包装手段に装備し、載置台の上端の外側に供給手段を配備して、載置台の上端側から下端側に向けて包装シートを引き出し供給するように、供給手段を構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給口を形成した載置台を上部に備えて前記載置台に載置した包装シートとともに前記供給口から人為供給されるレタスやキャベツあるいはブロッコリなどの農作物を前記包装シートで包装する包装手段と、長尺の包装シートをロール状に巻き付けた状態のシートロールから設定長さの包装シートを引き出して前記載置台に供給する供給手段とを備えた農作物用の包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような農作物用の包装機では、載置台に相当する包装台を水平姿勢で包装手段の上部に配備するようにしていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−345022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、載置台を水平姿勢で装備することによって載置台に形成した供給口が真上向きになり、そのため、農作物を供給口から包装機内の包装手段に人為供給する際には、先ず、腕を大きく伸ばすようにして農作物を供給口の真上まで持ち運び、次に、腕を下げて農作物を供給口まで降ろした後に、農作物を載置台の包装シートとともに真上向きの供給口から包装機内の包装手段に押し込むようにして供給する必要がある。そして、農作物の包装作業は短い収穫時期に集中して行われることが多いために作業時間が長くなる傾向にあることから、このような動作による供給作業を強いることは、供給作業に要する労力を軽減する上において改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、包装機に農作物を供給する供給作業に要する労力を軽減できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段では、
供給口を形成した載置台を上部に備えて前記載置台に載置した包装シートとともに前記供給口から人為供給される農作物を前記包装シートで包装する包装手段と、長尺の包装シートをロール状に巻き付けた状態のシートロールから設定長さの包装シートを引き出して前記載置台に供給する供給手段とを備えた農作物用の包装機において、
前記載置台をその一端側が他端側よりも低くなる傾斜姿勢で前記包装手段に装備し、
前記載置台の上端の外側に前記供給手段を配備して、前記載置台の上端側から下端側に向けて前記包装シートを引き出し供給するように、前記供給手段を構成してある。
【0007】
この課題解決手段によると、載置台をその一端側が他端側よりも低くなる傾斜姿勢で装備することにより、載置台の一端側(下端側)に位置する包装機の外側箇所を作業位置とすれば、載置台に形成した供給口が載置台の傾斜に応じて作業位置に向かうようになることから、農作物を供給口から包装機内の包装手段に供給する際には、供給口に向けて腕を伸ばすようにするだけで農作物を供給口まで持ち運ぶことができ、その後、農作物を載置台の包装シートとともに作業位置向きの供給口から包装機内の包装手段に押し込むようにすることで包装手段に供給することができる。
【0008】
しかも、載置台を水平姿勢で装備する場合に比較して、載置台の大きさを同じ大きさにしながらも作業位置から供給口までの農作物の運び込みに要する距離を短くすることができる。
【0009】
又、例えば載置台の傾斜する端部の外側に供給手段を配備する場合には、載置台の傾斜に合わせてシートロールをその一端側ほど低くなる傾斜姿勢で装備し、その傾斜姿勢を維持した無理のある状態で設定長さの包装シートを載置台に引き出し供給する必要があることから、供給手段によるシートロールから載置台への包装シートの引き出し供給を適正かつ円滑に行うことが難しくなるが、この課題解決手段では、載置台の上端の外側に供給手段を配備することで、シートロールを水平姿勢で装備することができ、その水平姿勢を維持した無理のない状態で設定長さの包装シートを載置台に引き出し供給することができるので、供給手段によるシートロールから載置台への包装シートの引き出し供給を適正かつ円滑に行うことができる。
【0010】
その結果、供給手段によるシートロールから載置台への包装シートの引き出し供給を適正かつ円滑に行えるようにしながら、供給口を形成した載置台を水平姿勢で包装手段の上部に配備する場合に比較して、包装機に農作物を供給する供給作業に要する労力を軽減することができる。
【0011】
本発明の第2の課題解決手段では、上記第1の課題解決手段において、
包装後の農作物を機外に排出する排出シュートを備え、
前記包装手段の下部側に、前記供給口から人為供給された農作物を供給口近傍の受け取り位置から前記排出シュートに移載する下方の移載位置に搬送する昇降手段を備え、
前記昇降手段を前記載置台に対する垂直方向に昇降作動するように前記昇降手段の上部側が前記載置台の一端側に傾倒する傾斜姿勢で装備し、かつ、前記載置台の一端側に配備する外側板の下部側を前記昇降手段に近づけて、前記外側板の前記下部側が上部側よりも機体の内部側に位置するように構成してある。
【0012】
この課題解決手段によると、載置台の一端側(下端側)に配備する外側板の下部側に空間を形成することができ、これにより、載置台の一端側(下端側)に位置する包装機の外側箇所を作業位置とすれば、前述した空間を作業者が椅子などに座って作業する場合の足置き空間に利用することができ、結果、着座姿勢での作業においても作業者は無理なく包装機に接近することができ、供給口から包装機内の包装手段への農作物の人為供給が行い易くなる。
【0013】
つまり、載置台の一端側(下端側)に位置する包装機の外側箇所を作業位置とすれば、前述したように包装機に農作物を供給する供給作業に要する労力を軽減することができ、又、着座姿勢での作業においても無理なく包装機に接近することができて供給口から包装機内の包装手段への農作物の人為供給が行い易くなることから、供給作業に要する労力をより効果的に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】包装機の斜視図である。
【図2】包装機の縦断左側面図である。
【図3】包装シート供給前の状態を示す包装機上部の縦断左側面図である。
【図4】包装シート供給後の包装シート切断状態を示す包装機上部の縦断左側面図である。
【図5】農作物供給前の状態を示す包装機上部の縦断左側面図である。
【図6】農作物供給直後の状態を示す要部の縦断左側面図である。
【図7】農作物の包装状態を示す要部の縦断左側面図である。
【図8】農作物包装後の包装シート余剰部切断状態を示す要部の縦断左側面図である。
【図9】包装後の農作物排出シュート移載状態を示す要部の縦断左側面図である。
【図10】包装後の農作物排出状態及び切断余剰部排出状態を示す要部の縦断左側面図である。
【図11】農作物供給直後の状態を示す要部の縦断正面図である。
【図12】農作物の包装状態を示す要部の縦断正面図である。
【図13】農作物包装後の包装シート余剰部切断状態を示す要部の縦断正面図である。
【図14】包装後の農作物排出シュート移載状態を示す要部の縦断正面図である。
【図15】包装開始前の開閉装置及び排出手段の状態を示す要部の横断平面図である。
【図16】包装中の開閉装置及び排出手段の状態を示す要部の横断平面図である。
【図17】包装終了時の開閉装置及び排出手段の状態を示す要部の横断平面図である。
【図18】包装終了後の余剰部搬送中の開閉装置及び排出手段の状態を示す要部の横断平面図である。
【図19】包装終了後の余剰部放出前の開閉装置及び排出手段の状態を示す要部の横断平面図である。
【図20】シートロール載置部及び切断装置の構成を示す要部の斜視図である。
【図21】引き出し装置の構成を示す要部の斜視図である。
【図22】包装シート供給用の把持機構の復帰移動での包装シート切断用の固定台に対する移動経路を示す要部の縦断正面図である。
【図23】包装シート供給用の把持機構の供給移動での包装シート切断用の固定台に対する移動経路を示す要部の縦断正面図である。
【図24】排出手段の構成を示す要部の横断平面図である。
【図25】排出手段の構成を示す要部の斜視図である。
【図26】制御構成の一部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜19に示すように、本実施形態で例示する農作物用の包装機は、長尺の包装シート1をロール状に巻き付けた状態のシートロールRから設定長さの包装シート1を取り出して供給する供給手段A、前方の作業位置から人為供給されるレタスやキャベツあるいはブロッコリなどの農作物aを設定長さの包装シート1で包装する包装手段B、包装後の農作物aを機外に案内する案内手段C、包装後の包装シート1の余剰部1Aを機外に排出する排出手段D、及び、包装機の作動を制御する制御手段E、などを機体フレームFに装備して構成してある。包装シート1には、ポリプロピレン製やポリスチレン製などの透過性の樹脂フィルムを採用してある。
【0017】
図1〜5に示すように、供給手段Aは、シートロールRを載置するシートロール載置部2、シートロールRから設定長さの包装シート1を引き出して包装手段Bの上端部に供給する引き出し装置3、及び、引き出した包装シート1を設定長さに切断する切断装置4、などから構成して、作業位置から離れる側となる機体フレームFの後部側に配備してある。
【0018】
図1〜19に示すように、包装手段Bは、引き出し装置3が供給する包装シート1を載置する載置台5、載置台5の中央に形成した円形の供給口5Aから載置台上の包装シート1とともに供給される農作物aを受け取る受台6、受台6を昇降移動させる昇降手段としての昇降装置7、及び、開閉動作により受台上の農作物aを受台上の包装シート1で包装する開閉装置8、などから構成して、作業位置側となる機体フレームFの前部側に配備してある。
【0019】
図1〜14に示すように、案内手段Cは、包装後の農作物aを受台6から受け取って機外に案内する排出シュート9などから構成して機体フレームFにおける上下中間部の左側部位に配備してある。
【0020】
図8〜10及び図15〜19に示すように、排出手段Dは、包装した後の包装シート1の余剰部1Aを包装機の左前端上部に設定した排出位置に搬送する搬送装置10、及び、その排出位置から左側方の機外に向けて包装シート1の余剰部1Aを放出する放出装置11、などから構成して機体フレームFの前側上端部に配備してある。
【0021】
図1に示すように、制御手段Eは、CPU及びEEPROMなどを備えるマイクロコンピュータを利用して構成した制御装置12に制御プログラムとして備えてある。制御装置12は機体フレームFの右前端下部に配備してある。
【0022】
図1〜19に示すように、機体フレームFは、アングル鋼材やチャンネル鋼材などの各種の鋼材を枠状に組み付けて供給手段Aや包装手段Bなどを支持するように構成してある。機体フレームFには、包装機の前後左右の外側面を形成する前後左右の外側板13〜16、載置台5との間に包装シート供給用の空間を形成するように載置台5などを上方から覆う天板17、及び、包装機の移動を容易にする4つのキャスタ18、などを取り付けてある。
【0023】
図1〜5及び図20に示すように、シートロール載置部2は機体フレームFの後上端部に配備してある。シートロール載置部2には、シートロール載置部2の左右の両端部にわたって架設した前後の支持ローラ19などを備えてある。前後の支持ローラ19は、包装機の左右方向に幅方向を一致させた左右向き姿勢のシートロールRを下方から受け止め支持するように、前後方向に設定間隔を開けた状態でシートロール載置部2の底部に配備してある。又、シートロール載置部2の左下方に配備した電動式のシート供給用モータ20の作動でシート供給方向に回転するように、シート供給用モータ20にチェーン式のシート供給用伝動機構21を介して連係してある。
【0024】
図1〜5及び図21〜23に示すように、引き出し装置3は、機体フレームFの後下部に配備した左右向きの連動軸22を支点にして前後方向に一体揺動する左右の引き出しアーム23を備えている。
【0025】
左右の引き出しアーム23は、機体フレームFの左下部に配備した電動式の引き出し用モータ24を正転作動させると、シートロール載置部2と載置台5との間の待機位置から載置台5よりも前方のシート供給位置に向けて供給揺動し、引き出し用モータ24を逆転作動させると、前方のシート供給位置から後方の待機位置に向けて復帰揺動するように、左側の引き出しアーム23を引き出し用モータ24に屈伸式の引き出し用リンク機構25を介して連係してある。そして、待機位置からシート供給位置への供給揺動で起立姿勢から前傾姿勢に姿勢変更し、シート供給位置から待機位置への復帰揺動で前傾姿勢から起立姿勢に姿勢変更するように構成してある。
【0026】
左右の引き出しアーム23の上端部には、シートロールRから設定長さの包装シート1を引き出す際に、シートロールRにおける引き出し始端部の左右両端を把持する包装シート供給用の把持機構26を装備してある。
【0027】
左右の把持機構26は、各引き出しアーム23の上端に板状の固定部材27を備え、各引き出しアーム23の上端部における固定部材27の下側に固定部材27に対して上下揺動する可動部材28を配備して構成してある。左右の固定部材27は、その把持作用部である前側の底面にゴムなどの弾性体29を備えている。左右の可動部材28は、各引き出しアーム23の上端部に備えた左右向きの支点ピン30を支点にして上下揺動する揺動アーム31を備え、この揺動アーム31の前端に左右向きの把持ロッド32を内向きに突設し、この把持ロッド32を弾性体29に圧接付勢する引っ張りバネ33を引き出しアーム23と揺動アーム31とにわたって架設して構成してある。そして、左側の引き出しアーム23に備えた電動式の把持用モータ34を正転作動させると、左右の可動部材28が下方の把持解除位置から上方の把持位置に向けて一体揺動し、把持用モータ34を逆転作動させると、左右の可動部材28が上方の把持位置から下方の把持解除位置に向けて一体揺動するように、左右の可動部材28を把持用モータ34に把持用伝動機構35を介して連係してある。
【0028】
つまり、左右の把持機構26は、把持用モータ34を正転作動させることで把持解除状態から把持状態に切り換わり、把持用モータ34を逆転作動させることで把持状態から把持解除状態に切り換わるように構成してある。
【0029】
把持用伝動機構35は、把持用モータ34からの回転動力を、伝動ケース36に内蔵した伝動ギヤ(図示せず)により、左右の引き出しアーム23の下端部にわたって架設した左右向きの回転軸37に伝達し、回転軸37の回転運動を左右の連係アーム38及び左右の連係ロッド39により左右の可動部材28の揺動運動に変換するように構成してある。
【0030】
上記の構成により、引き出し装置3は、左右の引き出しアーム23が待機位置に位置する状態において把持用モータ34を正転作動させると、左右の把持機構26が把持解除状態から把持状態に切り換わってシートロールRの引き出し始端部を把持する。そして、その把持後に引き出し用モータ24を正転作動させると、左右の引き出しアーム23が待機位置からシート供給位置に向けて供給揺動し、この供給揺動でシートロールRから設定長さの包装シート1を引き出して載置台5に供給する。その供給後に把持用モータ34を逆転作動させると、左右の把持機構26が把持状態から把持解除状態に切り換わって包装シート1の引き出し始端部に対する把持を解除し、引き出した包装シート1を載置台5に載置する。その載置後に引き出し用モータ24を逆転作動させると、左右の引き出しアーム23が引き出した包装シート1を載置台5に載置した状態でシート供給位置から待機位置に向けて復帰揺動する。そして、この復帰揺動により左右の引き出しアーム23が左右の把持機構26を把持解除状態に維持した状態で待機位置に待機する。
【0031】
図1〜5及び図20〜23に示すように、切断装置4は、シートロール載置部2と載置台5との間に固定台40を固定配備し、この固定台40に対して揺動変位する押え具41及び切断具42を備えて構成してある。
【0032】
固定台40は、側面視U字状で機体フレームFの左右両端部にわたって架設してあり、その前後の各上端に包装シート1の切断箇所の前後を下方から受け止める横長の受部40Aを備えている。固定台40の左右両端部には、引き出し装置3に備えた左右の把持ロッド32の把持解除状態での通過を許容する切欠部40Bを形成してある。
【0033】
押え具41は、平面視コの字状に形成してあり、その両端部を挿通する左右向きの支軸43を支点にして上下揺動するように機体フレームFに装備してある。押え具41の遊端には、前後の受部40Aが受け止めた包装シート1の切断箇所の前後を揺動部材47の下降揺動に伴って前後の受部40Aに押え付けて固定する前後の押圧部材41Aを装備してある。前後の押圧部材41Aは、押え具41の遊端に吊り下げ装備した左右向きの帯状鋼板の底面にゴムスポンジなどの横長のクッション材を貼り付けて構成してある。
【0034】
切断具42は、平面視略コの字状に形成してあり、その両端側を挿通する左右向きの支軸43を支点にして上下揺動するように機体フレームFに装備してある。切断具42の遊端には、前後の押圧部材41Aの間に位置して、前後の押圧部材41Aが前後の受部40Aに押え付けて固定した包装シート1の前後の固定箇所の間を切断箇所として切断する横長の切断刃42Aを装備してある。そして、切断具42は、シートロール載置部2の左下方に配備した電動式の切断用モータ44を正転作動させると上方の待機位置から下限位置に向けて下降揺動し、切断用モータ44を逆転作動させると下限位置から上方の待機位置に向けて上昇揺動するように、その左端部を切断用モータ44に連係ロッド45及び連係アーム46を介して連係してある。
【0035】
押え具41は、上方の待機位置から前後の押圧部材41Aで包装シート1を前後の受部40Aに押え付ける押え位置に至るまでの間は切断具42と一体的に上下揺動するように切断具42に載置してある。そして、切断具42に載置した状態では、その押圧作用面が切断具42の刃先よりも下方に位置するように切断具42の刃先に対する押圧作用面の高さ位置を設定し、かつ、押え具41を切断具42に載置付勢する左右の引っ張りバネ47を押え具41と切断具42とにわたって架設することにより、切断具42の押え位置からの下降揺動量が大きくなるほど、包装シート1を前後の受部40Aに押え付ける押圧力が大きくなって、前後の受部40Aと前後の押圧部材41Aによる包装シート1の固定をより確実に行えるように構成してある。
【0036】
上記の構成により、切断装置4は、切断用モータ44を正転作動させると、切断具42とともに押え具41が待機位置から下降揺動し、この下降揺動で切断具42及び押え具41が押え位置に到達すると、押え具41の前後の押圧部材41Aが、固定台40の前後の受部40Aで受け止められている包装シート1の切断箇所の前後を前後の受部40Aに押え付けて固定する。そして、押え位置への到達後は、押え具41が固定台40に受け止められることで切断具42のみが下降揺動し、この下降揺動で切断具42が押え位置よりも下方に設定した包装シート切断用の切断位置を通過して下限位置に向かうことにより、前後の受部40Aと前後の押圧部材41Aとで固定した包装シート1の前後の固定箇所の間に位置する切断箇所を切断具42の切断刃42Aで切断する。又、このときの下降揺動では、左右の引っ張りバネ47の作用により、切断具42の押え位置からの下降揺動量が大きくなるほど、包装シート1を前後の受部40Aに押え付ける押え具41の押圧力が大きくなって包装シート1における切断箇所の前後位置を強固に固定することから、切断刃42Aによる包装シート1の切断箇所での切断が行い易くなる。そして、切断具42の下限位置への到達後に切断用モータ44を逆転作動させると、下限位置の切断具42が上昇揺動するとともに包装シート1を前後の受部40Aに押え付ける押え具41の押圧力が弱くなり、この上昇揺動で切断具42が押え位置に到達した後は、切断具42とともに押え具41が待機位置まで上昇揺動して待機位置で待機する。
【0037】
尚、図示は省略するが、切断用モータ44の作動による押え具41及び切断具42の上下揺動をより円滑にするために、切断具42を平面視コの字状に形成して、切断具42の両端部を切断用モータ44に連係するように構成してもよい。その連係構造としては、例えば、機体フレームFの左右両端部にわたる回転軸を装備し、この回転軸を切断用モータ44にチェーン式やギヤ式の伝動機構により連係し、回転軸の回転で切断具42が揺動するように回転軸の両端部を切断具42の両端部に左右の連係ロッド及び連係アームを介して連係するように構成することが考えられる。
【0038】
図1〜14に示すように、包装手段Bにおいて、載置台5は、その作業位置側である前端側が後端側よりも低くなる(前端側ほど低くなる)前下がり傾斜姿勢で機体フレームFの前側上端部に配備してある。載置台5の中央には、供給口5Aの中心に向けて延出する弾性変形可能な複数の舌片48Aを備えたゴム製の包装補助部材48を配備してある。包装補助部材48は、その各舌片48Aが農作物aとともに供給口5Aから供給される包装シート1に作用することにより、包装シート1を農作物aの表面に押し当てて包装シート1の周縁側を包装する農作物aの上方に設定した集束領域に押し寄せるようにしながら、農作物aを包装シート1とともに下方の受台6に案内するように構成してある。これにより、供給口5Aの近くまで運び込んだ農作物aを供給口5Aに落下供給すると、農作物aを無理に投げ入れたり押し込んだりしなくても、農作物aを包装シート1とともに受台6の所定位置に受け止め支持させた状態にすることができる。
【0039】
載置台5の上方に位置する天板17の前部側には載置台5に沿って傾斜する前下がり傾斜部17Aを備えてあり、この前下がり傾斜部17Aの中央には、載置台5の供給口5Aに対向して、載置台5の供給口5Aから受台6への農作物aの供給を可能にする円形の供給口17Bを形成してある。
【0040】
図2〜14に示すように、受台6は、平面視十字形で皿状に湾曲形成した板金材の表面にゴムスポンジなどのクッション材を貼り付けて構成してある。又、載置台5に沿って前下がり傾斜する載置姿勢と、この載置姿勢から左方向に揺動して左下がり傾斜する送り出し姿勢とに、前下がり傾斜姿勢の支軸49を支点にした姿勢切り換えが可能となるように支持台50に装備してある。そして、受台6と支持台50とにわたって、受台6を載置姿勢に復帰付勢する引っ張りバネ51を架設してある。
【0041】
昇降装置7は、載置台5の下方において載置台5に沿った前下がり傾斜姿勢で載置台5に対する垂直方向に昇降移動する昇降移動体52を備え、この昇降移動体52に支持台50を介して受台6を一体移動可能に載置してある。昇降移動体52の後端部には、載置台5に対する垂直姿勢で機体フレームFの後部側に固定配備した丸棒鋼材からなるガイド杆53に摺動可能に外嵌するボス部52Aを溶接してある。昇降移動体52の前端部には、載置台5に対する垂直姿勢で機体フレームFの前部側に固定配備したチャンネル材からなるガイドレール54に転動可能に内嵌するローラ55を装備してある。そして、昇降移動体52は、機体フレームFの左右中間後部に配備した電動式の昇降用モータ56を正転作動させると、ガイド杆53及びガイドレール54に沿って受け取り位置から移載位置に向けて下降移動し、昇降用モータ56を逆転作動させると、ガイド杆53及びガイドレール54に沿って移載位置から受け取り位置に向けて上昇移動するように、その後端を昇降用モータ56にチェーン式の昇降用伝動機構57を介して連係してある。
【0042】
受け取り位置は、供給口5Aから供給される包装前の農作物aの受台6による受け取りを可能にするために、供給口5Aの真下である機体フレームFの前側上部に設定してある。移載位置は、包装後の農作物aの受台6から排出シュート9への移載を可能にするために、受け取り位置の後下方に位置する排出シュート9の排出始端部の近傍となる機体フレームFの中央部に設定してある。
【0043】
つまり、昇降装置7は、昇降用モータ56の作動による昇降移動体52の昇降移動で昇降移動体52とともに受台6が前側上部の受け取り位置とその後下方の移載位置とにわたって載置台5に対する垂直方向に昇降移動するように、載置台5に対する垂直方向に沿った前傾姿勢で機体フレームFに装備してある。
【0044】
そして、このように昇降装置7を前傾姿勢で装備すると、昇降装置7の下部側ほど前方の作業位置から離れる後部側に位置するようになり、これを利用して、この包装機では、作業位置側に配備する前側の外側板13を、その下部側13Aが昇降装置7の下部側に近づいて、載置台5や開閉装置8などに対向する上部側13Bよりも作業位置から離れる後部側に位置するように屈曲形成してあり、これにより、包装機の作業位置側である前側の下部側に後側に凹んだ凹部13aを形成することができ、この凹部13aを作業者が椅子などに座って作業する場合の足置き空間に利用することができる(図1及び図2参照)。
【0045】
尚、包装機の前側の下部側に形成する凹部13aは、椅子などに座った作業者の膝から下の部分の入り込みを許容する上下長さを有するように形成してある。そして、載置台5及び天板17の各供給口5A,17Bの高さは、椅子などに座った作業者が農作物aを供給口5A,17Bに容易に供給することのできる高さ、例えば椅子などに座った作業者の肩よりも低い高さなどに設定してある。又、包装機の底部に人為操作式又は電動式などのジャッキを備えて、椅子の高さや椅子などに座った作業者の膝から下までの長さなどに応じて凹部13aの上下長さを調整できるように構成してもよい。
【0046】
図1及び図2に示すように、この包装機は、作業位置の反対側に配備する後側の外側板14に包装後の農作物aの機外への排出を可能にする排出口14Aを形成してある。又、この包装機においては、その後上部にシートロール載置部2やシート供給用モータ20などを配備することにより、シートロール載置部2やシート供給用モータ20などの下方である後側の下部側に空間が形成されている。そして、この空間を利用して、後側の外側板14を、その下部側14Bが昇降装置7の下部側に近づいて、シートロール載置部2やシート供給用モータ20などに対向する上部側14Cよりも前部側に位置するように屈曲形成してあり、これにより、包装機の後側の下部側に前側に凹んだ凹部14aを形成することができ、この凹部14aを、作業者がシートロールRを交換するときの足入れ空間や、後側の外側板14の下部側14Bに形成した排出口14Aから排出する包装後の農作物aを収容するケースのケース置き空間などに利用することができる。
【0047】
図2〜19に示すように、開閉装置8は、載置台5と受台6との間において載置台5に沿った前下がり傾斜姿勢で左右方向に摺動する左右の摺動体58を備えている。
【0048】
各摺動体58の後端部には、機体フレームFの後側上部に機体フレームFの左右両端部にわたって左右向きに架設した丸棒鋼材からなるガイド杆59に摺動可能に外嵌するボス部58Aを溶接してある。各摺動体58の前端部には、機体フレームFの前端上部に機体フレームFの左右両端部にわたって左右向きに架設した帯板鋼材からなるガイドレール60の後縁に転動可能に係合する左右のローラ61を装備してある。そして、各摺動体58は、機体フレームFの左後部に配備した電動式の包装用モータ62を正転作動させると、機体フレームFの左右両端側に設定した待機位置から機体フレームFの中央側に設定した封着切断位置に向けて閉じ方向に摺動し、包装用モータ62を逆転作動させると封着切断位置から待機位置に向けて開き方向に摺動するように、包装用モータ62にリンク式の包装用伝動機構63を介して連係してある。
【0049】
包装用伝動機構63は、包装用モータ62からの回転動力を連係アーム64及び連係ロッド65により右側の摺動体58の摺動運動に変換して右側の摺動体58に伝動し、右側の摺動体58の摺動運動を反転用の天秤アーム66及び連係ロッド67により左側の摺動体58の摺動運動(右側の摺動体58の摺動運動とは反対方向の摺動運動)に変換して左側の摺動体58に伝動するように構成してある。
【0050】
左右の摺動体58には、各摺動体58に固定した前後のスペーサ68を介してシャッタ部材69を摺動体58と同じ前下がり傾斜姿勢で載置してある。左右の摺動体58と左右のシャッタ部材69は、対応する摺動体58とシャッタ部材69との間にそれらの設定範囲内での左右方向への相対摺動を許容する融通手段(図示せず)を介装し、かつ、対応する摺動体58とシャッタ部材69とにわたって前後の引っ張りバネ70を左右向きに架設することにより、左右の摺動体58が閉じ方向に摺動する場合には前後の引っ張りバネ70を介して左右のシャッタ部材69が閉じ方向に摺動し、逆に、左右の摺動体58が開き方向に摺動する場合には融通手段の融通限界により左右のシャッタ部材69が対応する摺動体58と一体的に開き方向に摺動するように構成してある。
【0051】
図示は省略するが、融通手段の構成としては、例えば、スペーサ68の上部に左右のローラを備え、かつ、左右のシャッタ部材69に、左右のローラが係入する左右向きの長孔を、対応する摺動体58とシャッタ部材69との設定範囲内での左右方向への摺動を許容する長さに形成して構成することなどが考えられる。
【0052】
左右のシャッタ部材69は、左側のシャッタ部材69が右側のシャッタ部材69の上方に位置して、開閉摺動の際に左側のシャッタ部材69の下面と右側のシャッタ部材69の上面とが摺接するように上下に並べて配備してある。そして、左右のシャッタ部材69には、左右のシャッタ部材69を開き方向に摺動させた場合には受台6の上方を開放して受台6を供給口5Aに臨ませるようになり、かつ、左右のシャッタ部材69を閉じ方向に摺動させた場合には包装シート1の周縁側に作用するようになる凹部69Aを形成してある。各凹部69Aは、左右のシャッタ部材69の閉じ動作に伴って包装シート1の周縁側を包装する農作物aの上端部上方に設定した封着領域に寄せ集める略円弧状に形成してある。
【0053】
左右のシャッタ部材69において、それらから設定間隔をあけた下方の位置には、対応するシャッタ部材69と一体摺動する帯板状の押圧部材71を配備してある。左右の押圧部材71は、左右のシャッタ部材69が閉じ位置に到達した場合に、包装する農作物aの上端近くで包装シート1の周縁側を互いに押圧して圧接するとともに、この圧接により、左右のシャッタ部材69の閉じ方向への移動を阻止して、封着領域に寄せ集めた包装シート1の周縁側を封着領域に保持する隙間72を左右のシャッタ部材69の間に確保するように構成してある。
【0054】
左右の押圧部材71の下方には、機体フレームFの右端部に備えた前後の支軸73を支点にして左右の押圧部材71に沿って前後方向に揺動する前後の押し寄せアーム74を配備してある。前後の押し寄せアーム74には、右側の摺動体58に備えたローラ75が係入するカム孔74Aを形成してある。各カム孔74Aは、右側の摺動体58の閉じ動作に伴って、前後の押し寄せアーム74が機体フレームFの前後両端側に設定した待機位置から機体フレームFの中央側に設定した押し寄せ位置に向けて押し寄せ揺動し、かつ、右側の摺動体58の開き動作に伴って前後の押し寄せアーム74が押し寄せ位置から待機位置に向けて復帰揺動する状態が得られるように、対応するローラ75を案内する形状に形成してある。
【0055】
つまり、前後の押し寄せアーム74は、左右の摺動体58の閉じ動作に連動して包装シート1の周縁側を前後方向から封着領域に寄せ集めるようになり、かつ、左右の摺動体58の開き動作に連動して受台6の上方を開放して受台6を供給口5Aに臨ませるように構成してある。
【0056】
左右の摺動体58の前後中間部には、封着用のヒータ76をそれらが対向するように配備してある。左側のヒータ76の上部には、包装後の包装シート1の余剰部1Aを切断する切断刃77を装備してある。左右のヒータ76は、左右のシャッタ部材69が閉じ位置に到達した後の左右の摺動体58の封着切断位置(閉じ方向)への摺動に伴って、封着領域に寄せ集めた包装シート1の周縁側を圧接して熱融着するように構成してある。切断刃77は、左右のシャッタ部材69が閉じ位置に到達した後の左右の摺動体58の封着切断位置(閉じ方向)への摺動に伴って、封着領域に寄せ集めた包装シート1の周縁側の余剰部1Aを切断するように構成してある。
【0057】
上記の構成により、開閉装置8は、包装用モータ62を正転作動させると、左右の摺動体58とともに左右のシャッタ部材69が閉じ方向に摺動し、かつ、その摺動に連動して前後の押し寄せアーム74が押し寄せ揺動し、これらの動作で包装シート1の周縁側を封着領域に寄せ集めて農作物aを包装シート1で包装する。そして、左右のシャッタ部材69が閉じ位置に到達した後の左右の摺動体58の閉じ方向への摺動で、封着領域に寄せ集めた包装シート1の周縁側を熱融着により封着するとともに包装シート1の余剰部1Aを切断する。又、包装用モータ62を逆転作動させると、左右の摺動体58とともに左右のシャッタ部材69が開き方向に摺動し、かつ、その摺動に連動して前後の押し寄せアーム74が復帰揺動して、受台6の上方を開放して受台6を供給口5Aに臨ませることで、供給口5Aから受台6への農作物aの供給を可能にする。
【0058】
図2〜14に示すように、受台6を載置支持する支持台50には、受台6に供給した農作物aを、その供給により農作物aの下部側を包み込むようになる包装シート1とともに受台6に載置した状態に保持する保持機構78を装備してある。
【0059】
保持機構78は、支持台50に左右向きに装備した前後の支軸79を支点にして前後揺動する前後の保持アーム80を備えている。前後の保持アーム80は、保持作用する上端部にゴムスポンジなどのクッション材を貼り付けてある。又、前後の支軸79に外嵌した捻りバネ81により保持方向に揺動付勢してある。そして、支持台50に備えた電動式の保持用モータ82を正転作動させると、前後の保持アーム80が捻りバネ81の付勢力で保持方向に揺動し、保持用モータ82を逆転作動させると、前後の保持アーム80が捻りバネ81の付勢力に抗して保持解除方向に揺動するように、前後の保持アーム80の下端部を保持用モータ82に屈伸式のリンク機構83を介して連係してある。リンク機構83には、捻りバネ81の付勢力による前後の保持アーム80の保持方向への揺動を許容する長孔83Aを形成してある。
【0060】
上記の構成により、保持機構78は、保持用モータ82を正転作動させると、リンク機構83が伸長して捻りバネ81の付勢力による前後の保持アーム80の保持方向への揺動を許容し、これにより、前後の保持アーム80が保持方向に揺動して、受台6に供給した農作物aを、その大きさに関係なく、農作物aの下部側を包み込む包装シート1とともに受台6に載置した状態で保持する。又、保持用モータ82を逆転作動させると、リンク機構83が屈曲して捻りバネ81の付勢力に抗して前後の保持アーム80を保持解除方向に揺動させるようになり、これにより、前後の保持アーム80による農作物aの保持を解除する。
【0061】
図1〜14に示すように、排出シュート9は、受台6から受け取った包装後の農作物aを後側の外側板14に形成した排出口14Aに案内して排出口14Aから機外に排出するように構成してある。
【0062】
排出口14Aは、排出口14Aから排出する包装後の農作物aを排出口14Aの周辺で数多く堆積させることが可能になるように、後側の外側板14における比較的高い位置である上下中間部に形成してある。
【0063】
排出シュート9は、その排出終端部を排出口14Aの下縁の近くに配備した左右向きの支軸84を介して後側の外側板14に連結し、かつ、その排出始端部を昇降装置7の昇降移動体52から延出した支持部材85に載置することで、昇降移動体52の昇降移動に連動して左右向きの支軸84を支点にして上下揺動するように構成してある。そして、昇降移動体52が受け取り位置に上昇すると、所定の角度で前上がり傾斜する排出姿勢に切り換わり、昇降移動体52が移載位置に下降すると、横向きの受け取り姿勢に切り換わるように設定してある。
【0064】
又、機体フレームFには、昇降移動体52が移載位置に下降する際に受台6に下方から接当することで、受台6を引っ張りバネ51の付勢力に抗して載置姿勢から送り出し姿勢に切り換えて、包装後の農作物aを受台6から排出シュート9に移載する接当部材86を装備してある。
【0065】
上記の構成により、排出シュート9は、昇降装置7の昇降移動体52が移載位置に向けて下降すると、この下降に連動して排出姿勢から受け取り姿勢に切り換わり、かつ、このときの昇降移動体52の下降に連動して受台6が載置姿勢から送り出し姿勢に切り換わることで、包装後の農作物aを受台6から受け取る。その後、昇降装置7の昇降移動体52が受け取り位置に向けて上昇すると、この上昇に連動して受け取り姿勢から排出姿勢に切り換わり、受台6から受け取った包装後の農作物aを排出口14Aに案内して排出口14Aから機外に排出する。
【0066】
図8、図9、図15〜19、図24及び図25に示すように、搬送装置10は、機体フレームFの左上部に備えた支軸87を支点にして左側のシャッタ部材69の上面に沿って揺動する搬送アーム88を備え、この搬送アーム88の遊端に把持機構89を装備してある。
【0067】
搬送アーム88は、右側の摺動体58の摺動に連動して揺動するように右側の摺動体58に連係リンク90を介して連係してある。そして、この連係により、右側の摺動体58が待機位置に位置するときに、把持機構89が包装機の左前端部に位置する排出位置に位置し、右側の摺動体58が封着切断位置に位置するときに、把持機構89が前述した封着領域の左後方近傍に位置するようになる待機位置に位置し、右側の摺動体58の待機位置から封着切断位置への摺動に連動して排出位置から待機位置に向けて復帰揺動し、右側の摺動体58の封着切断位置から待機位置への摺動に連動して待機位置から排出位置に向けて搬送揺動するように構成してある。
【0068】
把持機構89は、搬送アーム88の遊端部に固定指91を備え、搬送アーム88の遊端部における固定指91よりも遊端側の位置に支軸92を支点にして把持位置と把持解除位置とにわたって左右のシャッタ部材69の上面に沿って揺動する可動指93を配備して構成してある。そして、搬送アーム88が排出位置と待機位置とにわたって揺動する際に、可動指93が把持位置に位置する把持状態に切り換わることで可動指93が封着領域を通過しなくなり、可動指93が把持解除位置に位置する把持解除状態に切り換わることで可動指93が封着領域を通過するように構成してある。
【0069】
連係リンク90は、右側の摺動体58と搬送アーム88とが連動する際の変位にかかわらず、左右のシャッタ部材69の凹部69Aが形成する開口領域を迂回するように屈曲させてある。
【0070】
搬送装置10には、搬送アーム88の揺動に連動して可動指93を揺動操作するカム式の可動指用操作機構94を備えてある。可動指用操作機構94は、搬送アーム88に備えた支軸95を支点にして載置台5に沿う方向に揺動するV字状の連係アーム96を備えている。そして、この連係アーム96の一端部にカムフォロア97を取り付けてあり、これにより、カムフォロア97を搬送アーム88に変位可能に装備してある。
【0071】
連係アーム96の他端部には連係孔(図示せず)を穿設してあり、この連係孔には、可動指93にピン連結した連係杆98を挿通してある。連係杆98には、連係アーム96の遊端を受け止める受部98Aを備え、かつ、連係アーム96の遊端を受部98Aに接当付勢する押しバネ99を外嵌装備してある。そして、これらの連係アーム96、連係杆98、受部98A、及び押しバネ99により、カムフォロア97の変位に連動して可動指93が開閉移動するようにカムフォロア97と可動指93とを連係する機械式の把持用連係手段100を構成してある。
【0072】
カムフォロア97は、連係アーム96の直上に載置台5に沿う前下がり傾斜姿勢で配備した固定板101のカム溝101Aに係入させてある。又、カムフォロア97をカム溝101Aに接当付勢する捻りバネ102を支軸95に外嵌してある。
【0073】
カム溝101Aには、搬送アーム88の揺動にかかわらず可動指93が把持解除位置に位置するようにカムフォロア97を案内する待機用把持解除領域101a、搬送アーム88の搬送揺動に伴って可動指93が把持解除位置から把持位置に急速に揺動するようにカムフォロア97を案内する把持操作領域101b、搬送アーム88の揺動にかかわらず可動指93が把持位置に位置するようにカムフォロア97を案内する把持領域101c、搬送アーム88の搬送揺動に伴って可動指93が把持位置から把持解除位置に徐々に揺動し、かつ、搬送アーム88の復帰揺動に伴って可動指93が把持解除位置から把持位置に徐々に揺動するようにカムフォロア97を案内する操作領域101d、及び、搬送アーム88の揺動にかかわらず可動指93が把持解除位置に位置するようにカムフォロア97を案内する排出用把持解除領域101eを、包装機の後部側から前部側に向けてその順に連なるように形成してある。
【0074】
固定板101の後部には、カム溝101Aの待機用把持解除領域101a及び把持操作領域101bへのカムフォロア97の接当を阻止するとともに、搬送アーム88の揺動にかかわらず可動指93が把持位置に位置するようにカムフォロア97を案内する案内板103を備えている。案内板103は、固定板101の後端部に備えた支軸104を支点にして揺動する。そして、固定板101と案内板103とにわたって架設した引っ張りバネ105の作用で固定板101に備えた固定ピン106に接当することで、カムフォロア97に案内作用する案内位置に位置するように構成してある。又、操作アーム89の搬送揺動に伴ってカムフォロア97が把持操作領域101bから把持領域101cに移動する際には、カムフォロア97との接触により引っ張りバネ105の付勢力に抗して案内位置から退避揺動することで、カムフォロア97の把持操作領域101bから把持領域101cへの移動を許容するように構成してある。
【0075】
案内板103の後部には、搬送アーム88が待機位置に位置するときに案内板103の案内領域からカム溝101Aの待機用把持解除領域101aへのカムフォロア97の移動を許容する凹部103Aを形成してある。そして、カムフォロア97が凹部103Aを通って案内板103の案内領域からカム溝101Aの待機用把持解除領域101aに移動することにより、可動指93が把持位置から把持解除位置に移動するように構成してある。
【0076】
カムフォロア97は、搬送アーム88が待機位置から把持機構89の可動指93が封着領域の通過を開始するまでの待機領域で搬送揺動する間はカム溝101Aの待機用把持解除領域101aを移動する。搬送アーム88が待機領域に続いて把持機構89の可動指93が封着領域を通過する把持領域で搬送揺動する間は、カム溝101Aの待機用把持解除領域101aから把持操作領域101bに移動して把持操作領域101bを移動する。搬送アーム88が把持領域に続いて排出位置にわたる排出領域で搬送揺動する間は、カム溝101Aの把持領域101cと操作領域101dと排出用把持解除領域101eとをその順に移動する。搬送アーム88が排出領域で復帰揺動する間は、カム溝101Aの排出用把持解除領域101eと操作領域101dと把持領域101cとをその順に移動する。搬送アーム88が把持領域及び待機領域で復帰揺動する間は案内板103の案内領域を移動し、搬送アーム88が復帰揺動で待機位置に到達するのに伴って、案内板103の案内領域からカム溝101Aの待機用把持解除領域101aに移動する。
【0077】
上記の構成により、搬送装置10は、右側の摺動体58の閉じ動作に連動して搬送アーム88が復帰揺動する復帰工程を行い、右側の摺動体58の開き動作に連動して搬送アーム88が搬送揺動する排出工程を行う。そして、復帰工程では、搬送アーム88が排出領域の排出終端側(以下、排出終端領域と称する)で復帰揺動する間は把持機構89が把持解除状態を維持し、搬送アーム88が排出領域の排出中間側(以下、排出中間領域と称する)で復帰揺動する間は把持機構89が把持解除状態から把持状態に徐々に切り換わり、搬送アーム88が排出領域の排出始端側(以下、排出始端領域と称する)と把持領域と待機領域とにわたって復帰揺動する間は、把持機構89が把持状態を維持する。そして、搬送アーム88が待機位置に到達するのに伴って把持機構89が把持状態から把持解除状態に切り換わる。又、排出工程では、搬送アーム88が待機領域で搬送揺動する間は、把持機構89が把持解除状態を維持して封着領域に向けて移動する。搬送アーム88が把持領域で搬送揺動する間は、把持機構89が把持解除状態から把持状態に切り換わりながら封着領域を通過する。搬送アーム88が排出始端領域で搬送揺動する間は把持機構89が把持状態を維持し、搬送アーム88が排出中間領域で搬送揺動する間は把持機構89が把持状態から把持解除状態に徐々に切り換わり、搬送アーム88が排出終端領域で搬送揺動する間は把持機構89が把持解除状態を維持する。
【0078】
放出装置11は、機体フレームFの左前部に備えた支軸107を支点して待機位置と放出位置とにわたって搬送アーム88の下面に沿って揺動する放出アーム108を備えている。
【0079】
放出アーム108は、搬送アーム88が排出終端領域で揺動するときに搬送アーム88に備えたカム部88Aに接当するカムフォロア109を備えている。又、機体フレームFと放出アーム108とにわたって架設した引っ張りバネ110の付勢力で待機位置に復帰し、かつ、搬送アーム88が排出終端領域で揺動する間、カムフォロア109がカム部88Aに接当する状態を維持して搬送アーム88と連動揺動するように構成してある。又、その支軸107を搬送アーム88の支軸87よりも排出位置(放出位置)側に配備し、かつ、その支軸107とカムフォロア109との間隔が、搬送アーム88における支軸87とカム部88Aとの間隔よりも小さくなるように設定することで、待機位置に位置する状態では、その遊端前方を搬送アーム88の把持機構89が通過することを許容し、又、搬送アーム88と連動揺動する状態では、搬送アーム88の揺動速度よりも速い速度で、かつ、搬送アーム88の揺動角度よりも大きい角度で揺動することで、その遊端部が把持機構89の真下を通過して把持機構89を追い越す状態が得られるように構成してある。
【0080】
つまり、カム部88A、カムフォロア109、及び引っ張りバネ110により、搬送アーム88の排出終端領域での揺動に連動して放出アーム108が開閉装置8に沿って把持機構89に対して追い越し揺動するように放出アーム108を搬送アーム88に連係する機械式の放出用連係手段111を構成してある。
【0081】
この構成により、放出装置11は、搬送揺動する搬送アーム88が排出終端領域に達すると、この排出終端領域での搬送アーム88の搬送揺動に連動して、放出アーム108が、その遊端部が先行する搬送アーム88の把持機構89の真下を把持機構89の指元側から指先側に通過して追い越す状態が得られるように待機位置から放出位置に向けて放出揺動(追い越し揺動)する。そして、この追い越し揺動により、搬送装置10により左前端上部の排出位置に搬送した包装シート1の余剰部1Aを、左側の板外側15の前端上部に形成した放出口15Aから機外に放出することができる。その後、搬送アーム88が排出終端領域で復帰揺動すると、この揺動に連動して、放出アーム108が、その遊端部が先行する搬送アーム88の把持機構89の真下を把持機構89の指先側から指元側に通過して追い越す状態が得られるように放出位置から待機位置に向けて復帰揺動(追い越し揺動)して待機位置で待機する。
【0082】
図示は省略するが、包装機の左側部には回収ネットの着脱を可能にする取付部を装備してあり、この取付部を利用して回収ネットを装備することにより、放出アーム108によって放出口15Aから包装機の左側方に放出する包装シート1の余剰部1Aを回収ネット内に回収することができる。
【0083】
図26に示すように、制御手段Eは、機体フレームFの右前端上部に備えた始動スイッチ112と停止スイッチ113の出力、切断装置4と載置台5との間に位置してシートロールRに設定長さごとに印刷した光電管マークを検出する光電センサからなるシート供給用センサ114の出力、及び、包装する農作物aを検出する光電センサからなる包装用センサ115の出力、などに基づいて包装機の作動を制御するように構成してある。
【0084】
以下、制御手段Eの制御作動及び包装機の動作について簡単に説明する。
【0085】
制御手段Eは、作業者が始動スイッチ112を押圧操作するごとに包装用の制御作動を開始する。この制御作動では、先ず、シート供給用センサ114の出力に基づいて載置台5に包装シート1が載置されているか否かを判別し、又、包装用センサ115の出力に基づいて受台6に農作物aが供給されているか否かを判別する。そして、載置台5に包装シート1が載置されておらず、かつ、受台6に農作物aが供給されていない場合は包装シート供給制御を行う。載置台5に包装シート1が載置されていないが、受台6に農作物aが供給されている場合は包装制御と包装シート供給制御とをその順に行う。載置台5に包装シート1が載置されており、かつ、受台6に農作物aが供給されていない場合は始動スイッチ112の誤操作と判断して包装用の制御作動を終了する。
【0086】
包装シート供給制御では、先ず、把持用モータ34を正転作動させて、待機位置に位置する左右の把持機構26によりシートロールRにおける引き出し始端部の左右両端を把持する。
【0087】
包装シート1の把持が完了すると、シート供給用モータ20及び引き出し用モータ24を正転作動させて、前後の支持ローラ19及び左右の引き出しアーム23による載置台5への包装シート1の供給を行う。このとき、前後の支持ローラ19による包装シート1の供給速度と左右の引き出しアーム23による包装シート1の供給速度とが同じになるようにシート供給用モータ20及び引き出し用モータ24の作動を制御する。
【0088】
載置台5への包装シート供給中にシート供給用センサ114がシートロールRの光電管マークを検出すると、載置台5への包装シート1の供給長さが設定長さに達したことを検知し、この検知に基づいて、シート供給用モータ20及び引き出し用モータ24を停止させて、前後の支持ローラ19及び左右の引き出しアーム23による載置台5への包装シート1の供給を停止し、又、把持用モータ34を逆転作動させて、左右の把持機構26による包装シート1の把持を解除して包装シート1を載置台5に載置し、更に、切断用モータ44を正転作動させて、載置台5に供給した包装シート1を切断具42及び押え具41の待機位置からの下降揺動によって設定長さに切断する。
【0089】
包装シート1の切断を完了すると、切断用モータ44を逆転作動させて切断具42及び押え具41を待機位置に復帰させた後、引き出し用モータ24を逆転作動させて左右の引き出しアーム23を待機位置に復帰させる。
【0090】
そして、左右の引き出しアーム23が待機位置に復帰すると、包装シート供給制御とともに包装用の制御作動を終了する。
【0091】
一方、包装制御では、先ず、保持用モータ82を正転作動させて、受台6に人為供給されている農作物a及び包装シート1を前後の保持アーム80により受台上に供給姿勢で保持する。
【0092】
受台上での保持が完了すると、昇降用モータ56を正転作動させて、昇降移動体52及び受台6とともに農作物a及び包装シート1を下降させる。そして、このときの昇降移動体52の下降に連動して排出姿勢の排出シュート9が下降揺動を開始する。又、このときの農作物a及び包装シート1の下降に伴って、包装補助部材48の各舌片48Aが、それらの弾性で包装シート1の周縁側を農作物aの上部側に押し当てながら農作物aの上方の集束領域に押し寄せる。
【0093】
昇降移動体52などの下降中に包装用センサ115が農作物aを検出しなくなると、昇降移動体52などが農作物aの大きさに適した包装位置まで下降したと判断し、この判断に基づいて昇降用モータ56の正転作動を一旦停止させた後、包装用モータ62を正転作動させて包装処理を行う。
【0094】
この包装処理では、昇降用モータ56の正転作動で左右の摺動体58とともに左右のシャッタ部材69が閉じ方向に摺動し、かつ、右側の摺動体58との連動で前後の押し寄せアーム74が押し寄せ揺動して、包装シート1の周縁側を農作物aの上端部上方の封着領域に寄せ集める。そして、左右のシャッタ部材69が閉じ位置に到達して包装シート1の周縁側を封着領域に寄せ集めた後に、各融通手段の融通で左右の摺動体58が更に閉じ方向の封着切断位置に向けて摺動し、この摺動により、左右の摺動体58に備えた各ヒータ76が、封着領域に寄せ集められている包装シート1の周縁側を圧接して熱融着するとともに、左側の摺動体58に備えた切断刃77が包装シート1の余剰部1Aを切断する。これにより農作物aの包装が完了する。
【0095】
又、上記の包装動作中は、右側の摺動体58の閉じ方向への摺動に連動して搬送アーム88が排出位置から待機位置に向けて復帰揺動し、搬送アーム88の排出終端領域での復帰揺動に連動して放出アーム108が放出位置から待機位置に向けて復帰揺動する。そして、搬送アーム88の復帰揺動では、この復帰揺動に連動する可動指用操作機構94の作動によって、搬送アーム88が排出終端領域を通過してから待機位置に達するまでの間は、把持機構89を把持状態に維持して、把持機構89の可動指93が封着領域を通過しないようにする。これにより、左右のシャッタ部材69などで封着領域に向けて寄せ集められる包装シート1の周縁側に把持機構89が接触し難くなる。その結果、復帰揺動する搬送アーム88の把持機構89が包装中の包装シート1の周縁側に引っ掛かることに起因した包装不良などの発生を防止することができる。
【0096】
包装処理が完了すると、保持用モータ82を逆転作動させて、前後の保持アーム80による農作物a及び包装シート1の受台上での保持を解除し、かつ、昇降用モータ56の正転作動を再開させて、昇降移動体52及び受台6とともに包装後の農作物aを移載位置まで下降させる。そして、このときの下降では、この下降に連動して排出シュート9が再び下降揺動して受け取り姿勢に切り換わり、かつ、受台6が接当部材86に接当して載置姿勢から送り出し姿勢に切り換わることで、包装後の農作物aを受台6から排出シュート9の排出始端部に移載する。
【0097】
この移載が完了すると、昇降用モータ56を逆転作動させて昇降移動体52及び受台6を受け取り位置まで上昇させる。そして、この上昇では、この上昇に連動して排出シュート9が上昇揺動して受け取り姿勢から排出姿勢に切り換わることで、排出始端部に移載された包装後の農作物aを排出口14Aに案内して排出口14Aから機外に排出する。又、受台6が接当部材86との接当を解除し、引っ張りバネ51の付勢力で送り出し姿勢から載置姿勢に切り換わる。
【0098】
又、それと同時に包装用モータ62を逆転作動させて、左右の摺動体58を開き方向に摺動させることにより、左右の摺動体58及び左右のシャッタ部材69を待機位置に復帰させ、かつ、このときの右側の摺動体58との連動で前後の押し寄せアーム74が待機位置に復帰することで、受台6の上方を開放して受台6への農作物aの供給を可能にする。
【0099】
そして、このときの右側の摺動体58との連動によって搬送アーム88が待機位置から排出位置に向けて搬送揺動し、この搬送揺動では、この搬送揺動に連動する可動指用操作機構94の作動によって、搬送アーム88が待機領域を移動している間は把持機構89を把持解除状態に維持し、かつ、搬送アーム88が把持領域を移動しているときに把持機構89を把持解除状態から把持状態に切り換えるようにして、把持機構89の可動指93が封着領域を通過するとともに通過の際に把持解除位置から把持位置に切り換わるようにする。これにより、封着領域に位置する切断後の包装シート1の余剰部1Aを把持機構89で把持することができる。その後、搬送アーム88が排出始端領域で移動している間は把持機構89を把持状態に維持し、搬送アーム88が排出中間領域で移動しているときに把持機構89を把持状態から把持解除状態に徐々に切り換え、搬送アーム88が排出終端領域で移動している間は把持機構89を把持解除状態に維持する。そして、排出終端領域では、搬送アーム88の搬送揺動に連動して、放出アーム108が、その遊端部が先行する搬送アーム88の把持機構89の真下を把持機構89の指元側から指先側に通過して追い越すように揺動し、この揺動で、放出アーム108の遊端部が、把持機構89による把持を解除した直後の包装シート1の余剰部1Aに衝突して、その包装シート1の余剰部1Aを包装機の左側方に放出する。
【0100】
ここで、右側の摺動体58に連動して搬送アーム88が搬送揺動を開始した直後の左右のシャッタ部材69の動作について詳述すると、搬送揺動開始直後は、右側の摺動体58に連動して搬送アーム88が搬送揺動するのに対して、左右のシャッタ部材69は、左右の摺動体58との間に介装した融通手段の融通により閉じ位置に位置して切断後の包装シート1の余剰部1Aを封着領域に保持する。そして、搬送アーム88の把持機構89が切断後の余剰部1Aに接近するのに伴って融通手段の融通が利かなくなると、搬送アーム88の把持機構89が切断後の余剰部1Aに近付くに連れて、左右の摺動体58とともに開き方向に摺動して封着領域での切断後の余剰部1Aの保持を弱め、搬送アーム88の把持機構89が切断後の余剰部1Aに作用するのに伴って封着領域での余剰部1Aの保持を解除する。
【0101】
つまり、各融通手段の作用で左右の摺動体58の開き方向への摺動に対して左右のシャッタ部材69の開き方向への摺動を遅らせることにより、右側の摺動体58と搬送アーム88とを機械的に連動させる安価な構成でありながら、左右のシャッタ部材69から搬送アーム88の把持機構89への切断後の余剰部1Aの受け渡しを円滑かつ確実に行うことができる。
【0102】
そして、昇降移動体52及び受台6が受け取り位置まで上昇し、かつ、左右の摺動体58が待機位置に復帰すると、包装制御の終了とともに包装シート供給制御を開始し、包装シート供給制御の終了とともに包装用の制御作動を終了する。
【0103】
又、包装制御中に停止スイッチ113の押圧操作を検知した場合は、包装制御の終了とともに包装シート供給制御を行わずに包装用の制御作動を終了する。
【0104】
要するに、この包装機では、供給口5A,17Bから受台6に農作物aを供給する作業者に対向する作業位置側である前側に包装手段Bを配備し、かつ、包装手段Bの上部側に配備する載置台5や開閉装置8、及び、載置台5を覆う天板17の前部側などを、作業位置側である前側ほど低くなる前下がり傾斜姿勢に姿勢設定することで、機体前方の作業位置からの供給口5A,17Bから包装機内の受台6への農作物aの人為供給が行い易くなり、これにより、包装機に農作物aを人為供給する供給作業に要する労力を軽減することができる。
【0105】
又、包装手段Bの昇降装置7を前傾姿勢で装備し、かつ、これにより得られる昇降装置7の前下部の空間を利用して、作業位置側に配備する前側の外側板13を、その下部側13Aが上部側13Bよりも作業位置から離れる後部側に位置するように屈曲形成することで、包装機の作業位置側である前側の下部側に、作業者が椅子などに座って作業する場合の足置き空間に利用することができる空間(凹部13a)を確保してあり、これにより、着座姿勢での作業においても、無理なく包装機に接近することができて、機体前方の作業位置からの供給口5A,17Bから包装機内の受台6への農作物aの人為供給が行い易くなり、結果、包装機に農作物aを人為供給する供給作業に要する労力を更に軽減することができる。
【0106】
更に、昇降装置7の昇降作動に連動して排出シュート9が排出姿勢と受け取り姿勢とに切り換わるように構成することで、包装後の農作物aを排出シュート9に移載する移載位置と排出口14Aの高さ位置を同じ又は略同じにしながらも、包装後の農作物aを機外に排出する際には、排出シュート9を包装後の農作物aを排出口14Aに排出案内することが可能な傾斜姿勢に切り換えることができ、包装後の農作物aを円滑に機外に排出することができる。
【0107】
つまり、包装機における包装後の農作物aを排出シュート9に移載する移載位置から下方の領域に、排出シュート9を農作物aの排出案内が可能な傾斜姿勢で固定配備するための上下に長い領域を確保する必要がないことから、排出口14Aの高さ位置を高くしながらも包装機の全高を低くすることができ、これにより、排出口14Aの周辺に溜め置くことのできる作物量を多くして、排出口14Aの周辺から包装後の農作物aを取り除く作業の頻度が低くなるようにしながらも、包装機の上部に形成した供給口17B,5Aから包装機内の受台6への農作物aの人為供給を行い易くすることができる。又、排出シュート9の姿勢を切り換えるための専用の電動モータなどを装備する必要がないことから構成の簡素化及びコストの削減を図ることができる。
【0108】
そして、供給手段Aと包装手段Bとが作業位置に対する遠近方向である前後方向で並ぶように、供給手段Aを作業位置から離れる側となる包装手段Bの後方に配備して、前下がり傾斜姿勢の載置台5の後方から載置台5に向けて包装シート1を引き出し供給するように構成したことにより、載置台5の後方においてシートロールRを水平姿勢で装備することができ、これにより、供給手段AによるシートロールRから載置台5への設定長さの包装シート1の引き出し供給を適正かつ円滑に行うことができる。
【0109】
又、供給手段Aと包装手段Bとを左右方向に並べて配備する場合に比較して包装機の左右幅を小さくすることができ、更に、包装手段Bの載置台5などを前下がり傾斜姿勢で装備することにより、供給手段Aと包装手段Bとを前後方向に並べて配備する構成でありながら、包装機の前後長さを短くすることができる。
【0110】
しかも、載置台5や開閉装置8などを作業位置側である前側ほど低くなる前下がり傾斜姿勢で包装手段Bの上部側に配備し、かつ、昇降装置7を前傾姿勢で装備することで得られる昇降装置7の後上部の空間を、供給手段Aにおけるシートロール載置部2及び切断装置4などの配置空間に利用することができ、これにより、包装機の全高を低くしながらも包装手段Bの後方に供給手段Aを無理なく配備することができ、包装機の小型化を図ることができる。
【0111】
その上、排出手段Dにおいては、包装用の開閉装置8の開閉動作に連動して搬送アーム88が待機位置と排出位置とにわたって往復揺動し、かつ、搬送アーム88の揺動に連動して把持機構89が適切に把持状態と把持解除状態とに切り換わり、更に、搬送アーム88の排出終端領域での揺動に連動して放出アーム108が待機位置と放出位置とにわたって往復揺動することから、搬送アーム88や把持機構89及び搬送アーム108を操作する専用の電動モータなどを装備する場合に比較して、コストの削減などを図りながら、包装後に切断した包装シート1の余剰部1Aを排出位置に搬送して排出位置から機外に放出することができる。
【0112】
そして、搬送アーム88が搬送揺動する排出工程では、把持機構89の可動指93が封着領域を通過することで、可動指93を封着領域に位置する切断後の包装シート1の余剰部1Aに作用させて、その余剰部1Aを可動指93と固定指91とで把持することができ、これにより、切断後の余剰部1Aを封着領域から排出位置に確実に搬送することができる。
【0113】
又、搬送アーム88が復帰揺動する復帰工程では、把持機構89の可動指93が封着領域を通過しないことで、開閉装置8の閉じ動作によって封着領域に向けて寄せ集められる包装シート1の周縁側に可動指93を接触し難くすることができ、封着領域に向けて寄せ集められる包装シート1の周縁側に復帰移動中の可動指93が引っ掛かることに起因した包装不良の発生などを防止することができる。
【0114】
しかも、開閉装置8においては、包装シート1の周縁側を封着領域に向けて寄せ集める左右のシャッタ部材69を、排出手段Dが位置する左側のシャッタ部材69が右側のシャッタ部材69の上方に位置するように上下に並べて配備してあることから、左右のシャッタ部材69で封着領域に向けて寄せ集められる包装シート1の周縁側を、排出手段Dが位置する左側とは反対側の右側に片寄らせることができ、これにより、開閉装置8の閉じ動作によって封着領域に向けて寄せ集められる包装シート1の周縁側に可動指93を更に接触し難くすることができる。
【0115】
そして、右側の摺動体58の開き動作に連動して搬送アーム88が搬送揺動する場合は、開閉装置8に備えた融通手段の作用により、搬送アーム88の搬送揺動の開始に遅れて左右のシャッタ部材69が開き動作を開始するようになり、これにより、搬送アーム88が搬送揺動する排出工程において左右のシャッタ部材69が切断後の包装シート1の余剰部1Aを封着領域に保持する時間を長くすることができ、結果、左右のシャッタ部材69から搬送アーム88の把持機構89への切断後の余剰部1Aの受け渡しを円滑かつ確実に行うことができる。
【0116】
〔別実施形態〕
【0117】
〔1〕包装手段Bに昇降手段7を鉛直姿勢で装備するように構成してもよい。
【0118】
〔2〕包装手段Bに採用する包装シート1の封着方式として、封着領域に寄せ集めた包装シート1の周縁側を封着用のヒータ76で圧接して熱融着する熱融着方式に代えて、封着領域に寄せ集めた包装シート1の周縁側に封着用の粘着テープを貼り付けて封着するテープ封着方式を採用するようにしてもよい。
【0119】
〔3〕昇降手段7を備えずに、受台6の載置姿勢から送り出し姿勢への姿勢切り換えによって受台6から排出シュート9への包装後の農作物aの移載を行うように構成してもよい。
【0120】
〔4〕排出シュート9を、包装後の農作物aを排出口14Aに案内するように傾斜した排出姿勢で固定装備するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、上部の供給口から人為供給されるレタスやキャベツあるいはブロッコリなどの農作物を包装シートで包装する農作物用の包装機に適用することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 包装シート
5 載置台
5A 供給口
7 昇降手段
9 排出シュート
13 外側板
13A 下部側
13B 上部側
A 供給手段
B 包装手段
R シートロール
a 農作物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給口を形成した載置台を上部に備えて前記載置台に載置した包装シートとともに前記供給口から人為供給される農作物を前記包装シートで包装する包装手段と、長尺の包装シートをロール状に巻き付けた状態のシートロールから設定長さの包装シートを引き出して前記載置台に供給する供給手段とを備えた農作物用の包装機において、
前記載置台をその一端側が他端側よりも低くなる傾斜姿勢で前記包装手段に装備し、
前記載置台の上端の外側に前記供給手段を配備して、前記載置台の上端側から下端側に向けて前記包装シートを引き出し供給するように、前記供給手段を構成してある農作物用の包装機。
【請求項2】
包装後の農作物を機外に排出する排出シュートを備え、
前記包装手段の下部側に、前記供給口から人為供給された農作物を供給口近傍の受け取り位置から前記排出シュートに移載する下方の移載位置に搬送する昇降手段を備え、
前記昇降手段を前記載置台に対する垂直方向に昇降作動するように前記昇降手段の上部側が前記載置台の一端側に傾倒する傾斜姿勢で装備し、かつ、前記載置台の一端側に配備する外側板の下部側を前記昇降手段に近づけて、前記外側板の前記下部側が上部側よりも機体の内部側に位置するように構成してある請求項1に記載の農作物用の包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−25425(P2012−25425A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165251(P2010−165251)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】