説明

農作物販売システム

【課題】 生育中の農作物を販売することができる農作物販売システムを提供する。
【解決手段】
農作物販売システム1は、生育中の農作物を収容し、当該農作物の栽培を行うことが可能なように構成された複数の収容部4,4,…と、搬入側から、収容部4内の農作物を購入するための購入位置6aへ向けて、所定の時間間隔で複数の収容部4,4,…を搬送する搬送装置2と、金銭の投入を受け付ける受付手段とを備え、前記受付手段によって所定額の金銭の投入が受け付けられた場合、購入位置6aにある収容部4から農作物を取り出すことができるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の農作物を販売する農作物販売システムに関し、特に収穫前であって生育中の農作物を販売する農作物販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜及び果物等の各種の農作物を販売するための自動販売機として種々のものが提案されている。例えば、特許文献1には、収穫後の農作物を内部に収納し、2種類の外形寸法に形成された複数個の収納箱と、その複数個の収納箱を任意に組み合わせた状態で格納する収納本体とを備える自動販売機が開示されている。この自動販売機によれば、収納箱の外形寸法が2種類あるため、大きさ及び価格等の異なる複数種類の農作物を同時に販売することが可能となる。
【0003】
また、特許文献2には、収穫後の農作物を内部に収納し、少なくとも全面に販売物を取り出すための取出扉を備えた収納部を複数備え、この収納部を複数上下に段積み自在とした自動販売機が開示されている。この自動販売機によれば、収納部を適宜レイアウトすることによって、コンパクト性を高めることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−40458号公報
【特許文献2】特開2000−123244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、農作物の場合、収穫後は、時間の経過とともに新鮮さが急速に失われていくという特殊性を有している。そのため、上述した従来の自動販売機のように、収穫後の農作物の販売を行うこととすると、すぐに販売対象の農作物の品質が低下してしまうため、購入者が新鮮な農作物を取得することが困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、収穫前であって生育中の農作物を販売対象物とすることができる農作物販売システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の農作物販売システムは、生育中の農作物を収容し、当該農作物の栽培を行うことが可能なように構成された複数の収容部と、搬入側から、前記収容部内の前記農作物を購入するための購入位置へ向けて、所定の時間間隔で前記複数の収容部を搬送する搬送部と、金銭の投入を受け付ける受付手段とを備え、前記受付手段によって所定額の金銭の投入が受け付けられた場合、前記購入位置にある前記収容部から前記農作物を取り出すことができるように構成されている。
【0008】
この態様の農作物販売システムにおいて、前記複数の収容部のそれぞれには生育期間が異なる農作物が収容されており、前記搬送部が、前記搬入側から前記購入位置に向かうにしたがって生育期間が長い農作物を収容した前記収容部が位置するように前記複数の収容部を搬送すべく構成されていてもよい。
【0009】
また、前記態様の農作物販売システムにおいて、前記搬送部が、前記収容部に収容される農作物の種類に応じて、当該収容部を搬送する時間間隔を調節することが可能なように構成されていてもよい。
【0010】
また、前記態様の農作物販売システムにおいて、前記搬送部が、複数の前記収容部を前記購入位置に搬送することが可能なように構成されていてもよい。
【0011】
また、前記態様の農作物販売システムが、前記収容部に収容された農作物が販売可能か否かを判定する販売可否判定手段と、前記販売可否判定手段による判定結果を表示する表示手段とをさらに備えていてもよい。
【0012】
また、前記態様の農作物販売システムにおいて、前記販売可否判定手段が、前記農作物の生育状態を判定し、その判定した生育状態に基づいて当該農作物が販売可能か否かを判定するように構成されていてもよい。
【0013】
また、前記態様の農作物販売システムが、前記収容部に収容された農作物を撮像する撮像手段をさらに備え、前記販売可否判定手段が、前記撮像手段の撮像により得られた前記農作物を含む画像データに基づいて当該農作物の生育状態を判定するように構成されていてもよい。
【0014】
また、前記態様の農作物販売システムにおいて、前記販売可否判定手段が、前記画像データに基づいて前記農作物のサイズを特定し、その特定したサイズに基づいて当該農作物の生育状態を判定するように構成されていてもよい。
【0015】
また、前記態様の農作物販売システムにおいて、前記販売可否判定手段が、前記画像データから前記農作物の色情報を取得し、その取得した色情報に基づいて当該農作物の生育状態を判定するように構成されていてもよい。
【0016】
また、前記態様の農作物販売システムが、外部の装置に対して前記画像データを送信する画像データ送信手段と、前記画像データに対する分析結果を示す分析結果情報を前記外部の装置から受信する分析結果情報受信手段とをさらに備え、前記販売可否判定手段が、前記分析結果情報受信手段によって受信された分析結果情報に基づいて前記農作物の生育状態を判定するように構成されていてもよい。
【0017】
さらに、前記態様の農作物販売システムが、前記収容部に収容された農作物の重量を計測する計測手段をさらに備え、前記販売可否判定手段が、前記計測手段により計測された前記農作物の重量に基づいて当該農作物の生育状態を判定するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る農作物販売システムによれば、収穫前であって生育中の農作物を販売対象物とすることができるため、購入者は新鮮な状態の農作物を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る農作物販売システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る農作物販売システムの全体構成を示す概略側面図。
【図3】図2における搬出ステーション及び入出力装置並びにその搬出ステーションに載置されている収容部の拡大図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る農作物販売システムの収容部に設けられた扉が開放された場合における当該収容部の構成を示す斜視図。
【図5】本発明の実施の形態1に係る農作物販売システムの構成を示すブロック図。
【図6】本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムが備える搬出ステーション及び入出力装置並びにその搬出ステーションに載置されている収容部の拡大図。
【図7】本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムの収容部に設けられた扉が開放された場合における当該収容部の構成を示す斜視図。
【図8】本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムの構成を示すブロック図。
【図9】本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムに設けられている農作物情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図10】本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムに設けられている画像情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図11】本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムの制御装置が実行する農作物情報更新処理の手順を示すフローチャート。
【図12】本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムの制御装置が実行する販売可否判定処理の手順を示すフローチャート。
【図13】本発明のその他の実施の形態に係る農作物販売システムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0021】
(実施の形態1)
実施の形態1の農作物販売システムは、農作物の養液栽培を行うことができる複数の収容部を備え、それらの複数の収容部を購入者が農作物を購入するための購入位置まで搬送するように構成されたものである。以下、本実施の形態の農作物販売システムの構成及び動作について説明する。
【0022】
[農作物販売システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る農作物販売システムの全体構成を示す概略平面図である。また、図2は、同じく農作物販売システムの全体構成を示す概略側面図である。図1及び図2に示すように、農作物販売システム1は、搬送装置2と、搬送装置2の動作を制御する制御装置3と、搬送装置2の搬送対象である14個の収容部4,4,…と、収容部4,4,…を搬送装置2に搬入するための搬入ステーション5と、搬送装置2によって搬出される収容部4,4,…を受け入れる搬出ステーション6と、各収容部4,4,…内の農作物を利用者が購入する場合に用いられる入出力装置7とを備えている。
【0023】
収容部4,4,…は、搬入側から搬出側に向かうにしたがって生育期間が長い農作物を収容したものが位置するように搬送装置2上に載置されている。したがって、通常の場合、図2に示すとおり、搬入側から搬出側に向かうにしたがって収容部4内の農作物が大きく生長することになる。
【0024】
搬送装置2は、複数の収容部4,4,…を搬入ステーション5から搬出ステーション6へ搬送するために左右方向に延設された搬送ラインを具備している。この搬送ラインは、環状のベルトと、当該ベルトを所定方向へ回転させるためのステッピングモータとを具備するベルトコンベアで構成されている。この搬送ラインによって、ベルト上に載置された収容部4を矢印で示す搬送方向へ搬送することが可能になる。なお、この搬送装置2の動作は、制御装置3によって制御される。その詳細については後述する。
【0025】
搬入ステーション5は、収容部4を2個収容可能な程度のスペースを有している。この搬入ステーション5には、栽培を開始して一日目の農作物を収容する収容部4が人手によって搬入される。なお、このように人手により収容部4が搬入されるのではなく、搬送装置2の搬送ラインとは異なる搬送ラインを用いて自動的に収容部4が搬入されるような構成であってもよい。また、搬入ステーション5には、収容部4を押動して搬送装置2側へ送り出す送出機構(図示せず)が設けられており、この送出機構の作用により搬入ステーション5に搬入された収容部4が搬送装置2側へ移動することになる。
【0026】
搬出ステーション6は、搬入ステーション5の場合と同様、収容部4を2個収容可能な程度のスペースを有している。この搬出ステーション6には、収容部4に収容されている農作物を利用者が購入するための購入位置6aが存在する。この購入位置6aには2個の収容部4,4が搬送され、購入位置6aにある収容部4,4内の農作物が利用者によって購入されることになる。利用者によって農作物の購入が行われた後の収容部4は、この利用者によって又は作業員等によって搬出ステーション6から取り出され、所定の回収場所に移動する。なお、このように人手により収容部4が回収場所に移動するのではなく、搬送装置2の搬送ラインとは異なる搬送ラインを用いて自動的に収容部4が移動するような構成であってもよい。
【0027】
搬出ステーション6の購入位置にある収容部4内の農作物の購入が行われなかった場合も、上述した場合と同様に人手で又は自動的に当該収容部4が所定の回収場所に移動する。この場合、その移動後の場所において収容部4内の農作物を取り出してもよく、また、農作物を取り出さずに収容部4を所定期間その場所に置いておき、そこでその農作物の販売を行うようにしてもよい。
【0028】
図3は、図2における搬出ステーション6及び入出力装置7並びに搬出ステーション6に載置されている収容部4,4の拡大図である。図3に示すように、収容部4は、直方体形状の筐体を有しており、その前面には扉40が設けられている。この扉40は、左端の一側縁部に図示しないヒンジを介して接続されており、このヒンジによって回動可能とされている。扉40には、プラスチック、ガラス又は合成樹脂製の透明な窓部40aが設けられており、扉40が閉じた状態であっても、この窓部40aを通して、収容部4の内部が視認可能となっている。この扉40は、後述する扉開閉機構によって開閉動作が制御される。扉40が閉鎖されている場合、収容部4の内部空間が気密状態に保持される。農作物を栽培している間は、扉40を閉鎖しておくことによって、収容部4内を無菌状態に保つことができる。なお、扉40が開放状態及び閉鎖状態の何れの状態にあるかは、扉開閉機構に設けられている開閉センサによって検知される。
【0029】
入出力装置7は、細長の直方体形状の筐体を有しており、その前面には、購入ボタン71、金額表示部72、金銭投入部73及び釣銭返却口74が上からこの順に設けられている。ここで、購入ボタン71は、左右に並べて設けられた押しボタン式のスイッチ71a及び71bで構成されており、利用者はこの何れかのスイッチを押下することにより農作物の購入を行う。なお、本実施の形態では、搬出ステーション6上の右側に位置する収容部4a内の農作物を購入する場合は図面に向かって右側に設けられているスイッチ71aを押下し、同じく左側に位置する収容部4b内の農作物を購入する場合は図面に向かって左側に設けられているスイッチ71bを押下するものとする。
【0030】
また、金額表示部72は、液晶ディスプレイで構成されており、利用者によって投入された金銭の合計額を表示する。金銭投入部73は、硬貨の投入を受付可能な硬貨投入部73aと、その下方に設けられた紙幣の投入を受付可能な紙幣投入部73bとで構成されている。この金銭投入部73に金銭が投入された場合にその合計額が金額表示部72に表示される。また、釣銭が生じたときは、その釣銭が釣銭返却口74に戻される。
【0031】
図4は、扉40が開放された場合における収容部4の構成を示す斜視図である。図4に示すとおり、収容部4の内部には、養液栽培に用いられる養液50が扉40の下端よりも低い位置まで充填されている。この養液50の液面には矩形板状の発泡樹脂製の台座51が浮いており、この台座51上には、ミズナ、ホウレンソウ又はレタス等の葉菜類の若い葉である販売対象物のベビーリーフLが載置されている。なお、ベビーリーフLの根は、台座51に設けられた開口部を貫通して台座51の下面側に伸びている。ここで、ベビーリーフLは例示であって、他の農作物が販売対象物として収容部4内に格納されていてもよいことは勿論である。
【0032】
なお、本実施の形態では、養液50が収容部4内に貯留されているが、外部から養液50を収容部4内に供給し且つ収容部4から外部へ養液50を排出する設備を設けることにより、養液50が収容部4内を循環するような構成であってもよい。また、各収容部4,4,…の下部を相互に連通する構成とすることにより、複数の収容部4,4,…が養液50を共用するようにしてもよい。
【0033】
収容部4の天井面の内側には、二本の蛍光灯41,41が設けられている。これらの蛍光灯41,41は、収容部4内を照らす照明具として機能し、これらの蛍光灯41,41の光を利用して収容部4内の農作物は光合成を行うことになる。なお、蛍光灯の代わりに、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等を照明具として用いてもよい。
【0034】
図5は、本発明の実施の形態1に係る農作物販売システム1の構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施の形態の農作物販売システム1が備える制御装置3は、CPU等で構成された制御部31と、その制御部31に接続された記憶部32、入出力インタフェース(I/F)33及び通信インタフェース(I/F)34とを具備している。なお、これらの制御部31、記憶部32、入出力I/F33及び通信I/F34はバスによって接続されている。
【0035】
制御部31は、ROM及びRAM等により構成された記憶部32に記憶されている搬送装置2の制御プログラムを実行する。また、制御部31は、入出力I/F33に接続されている各種のデバイスの動作を制御する。
【0036】
記憶部32には、収容部4を搬送する時間間隔を農作物の種類毎に規定する搬送間隔データDが記憶されている。この搬送間隔データDには、例えば「農作物Aの場合は一日に一回搬送する」、「農作物Bの場合は一日に二回搬送する」、「農作物Cの場合は二日に一回搬送する」等の情報が含まれる。制御部31は、この搬送間隔データDに基づいて搬送装置2の動作を制御する。これにより、農作物の種類毎に搬送装置2の搬送間隔を調節することが可能になる。生長速度は農作物の種類によって異なるため、このように、農作物の種類に応じて収容部4を搬送する時間間隔を調整できることが好ましい。なお、本実施の形態では、後述するように、一日に一回の間隔で収容部4が搬送される例が示されている。
【0037】
入出力I/F33は、制御部31と各種の外部装置とを接続するためのインタフェース装置である。この入出力I/F33には、上述した購入ボタン71、金額表示部72及び金銭投入部73、並びに搬送装置2等が接続されている。これらの各デバイスは、入出力I/F33を介して、制御部31から動作制御信号を受ける。
【0038】
通信I/F34は、収容部4,4,…と無線通信するためのインタフェース装置である。なお、収容部4側には、制御装置3と無線通信するためのインタフェース装置である通信I/F43が設けられている。これらの通信I/F34及び44を介して、制御部31は各収容部4に設けられている扉開閉機構42等に対して動作制御信号を出力する。本発明の場合、収容部4,4,…が物理的に移動するため、本実施の形態のように制御装置3と収容部4との間の通信は無線で行われることが望ましいが、この通信を有線により行ってもよいことは勿論である。
【0039】
[農作物販売システムの動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の農作物販売システムの動作について説明する。
制御装置3は、一日一回所定の時間に、収容部4の幅と略同一の距離だけ搬送ラインのベルトを搬送方向へ回転させるように搬送装置2の動作を制御する。これにより、搬送装置2は、複数の収容部4,4,…を、一日一回収容部4の幅と略同一の距離だけ搬送方向へ搬送する。その結果、各収容部4,4,…は、1個分だけ搬送方向にずれた位置に一日毎に移動することになる。
【0040】
図1乃至図3に示すように、搬出ステーション6の購入位置6aには2個の収容部4,4が搬送される。ここで、利用者は、扉40の窓部40aを通して収容部4,4内の農作物を観察し、何れの収容部4内の農作物を購入するか、又は収容部4,4の両方に収容されている農作物を購入するか等を検討する。ここで、搬出ステーション6上の右側に位置する収容部4(図3における収容部4a)内の農作物を購入する場合、利用者は、金銭投入部73に所定額の金銭を投入した上で、購入ボタン71のスイッチ71aを押下する。この金銭投入及び購入ボタン71の押下を検知した制御装置3は、無線通信により、収容部4aの扉開閉機構42に対して扉40を開放するよう指示する。その結果、収容部4aの扉40が開放状態となり、利用者は収容部4a内の農作物を取り出すことができる。また、搬出ステーション6上の左側に位置する収容部4(図3における収容部4b)内の農作物を購入する場合、利用者は、金銭投入部73に所定額の金銭を投入した上で、購入ボタン71のスイッチ71bを押下する。この場合、制御装置3は同様にして収容部4bの扉開閉機構42に対して扉40を開放するよう指示する。その結果、収容部4bの扉40が開放状態となり、利用者は収容部4b内の農作物を取り出すことができる。
【0041】
上述したようにして利用者によって収容部4から農作物が取り出される場合、扉開閉機構42に設けられた開閉センサによって扉40の開放状態が検知される。この開閉センサによる検知は、無線通信を介して制御装置3に通知される。制御装置3は、搬出ステーション6上の2個の収容部4,4の何れか一方又は両方の農作物が購入されたため、1個又は2個の収容部4を新たに搬入ステーション5へ搬入する旨を作業員に通知する。この通知は、例えば作業員が操作するパーソナルコンピュータ又は携帯型電話機等に対して電子メール等で送信する態様で行われる。この通知を受けた作業員は、栽培を開始して一日目の農作物を収容する1個又は2個の収容部4を搬入ステーション5に搬入する。
【0042】
なお、搬出ステーション6上の2個の収容部4,4の何れの農作物を購入されなかった場合、制御装置3は、搬出ステーション6上の右側に位置する収容部4(図3における収容部4a)を取り出すと共に、1個の収容部4を新たに搬入ステーション5へ搬入する旨を作業員に通知する。この通知を受けた作業員は、搬出ステーション6上の右側に位置する収容部4を取り出して所定の回収場所に移動させると共に、栽培を開始して一日目の農作物を収容する1個の収容部4を搬入ステーション5に搬入する。
【0043】
本実施の形態の場合、販売可能な収容部4(すなわち搬出ステーション6上の収容部4)が常に2個存在することになる。ここで、販売可能な2個の収容部4,4は、それらが同日に搬入ステーション5に搬入された場合は生育期間が同一の農作物を収容していることになる。この場合、両収容部4,4内の農作物の生育状態はほとんど同一であると考えられるが、何らかの原因によって何れか一方が良好であり、他方が不良であることも起こり得る。利用者は希望する方を選択して購入することができる。また、一日ずれて搬入ステーション5に搬入された場合は、搬出ステーション6上の右側に位置する収容部4の方が左側に位置する収容部4よりも生育期間が一日長い農作物を収容していることになる。この場合、利用者は、例えばより熟した農作物の購入を希望するときには右側に位置する収容部4を選択し、より若い農作物の購入を希望するときには左側に位置する収容部4を選択する。
【0044】
なお、本実施の形態ではこのように販売可能な収容部4が2個存在するが、これが3個以上であってもよい。また、利用者の選択の余地がなくなるものの、販売可能な収容部4が1個のみ存在するような構成であってもよい。さらに、搬出がステーション6上に位置する収容部4に収容された農作物のみではなく、搬送装置2の搬送ライン上に位置する収容部4に収容された農作物を販売できるような構成であってもよい。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態2の農作物販売システムは、収容部内の農作物が販売可能であるか否かを判定する機能を有するシステムである。以下、本実施の形態の農作物販売システムの構成及び動作について説明する。
【0046】
[農作物販売システムの構成]
本実施の形態の農作物販売システムは、養液栽培を行う複数の収容部を搬送方向に搬送するシステムであり、その全体構成は実施の形態1の場合と同様に概略図1及び図2に示すとおりである。以下、図1及び図2も適宜参照しながら、本実施の形態の農作物販売システムの構成について説明する。
【0047】
図6は、本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムが備える搬出ステーション6及び入出力装置7並びに搬出ステーション6に載置されている収容部4,4の拡大図である。図6に示すとおり、本実施の形態における入出力装置7は、購入ボタン71の上方に、表示ランプ75を設けている。この表示ランプ75は、左右に並べて配置された右側ランプ部75a及び左側ランプ部75bで構成されている。これらの右側ランプ部75a及び左側ランプ部75bが後述するようにして点灯されることによって、収容部4内に格納される農作物の販売可否状況等を利用者に対して知らせる。なお、本実施の形態では、右側ランプ部75aが点灯している場合は搬出ステーション6上の右側に位置する収容部4(図6における収容部4a)内の農作物が販売可能であり、左側ランプ部75bが点灯している場合は同じく左側に位置する収容部4(図6における収容部4b)内の農作物が販売可能であることを示しているものとする。
【0048】
図7は、本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムの収容部4に設けられた扉40が開放された場合における収容部4の構成を示す斜視図である。図7に示すとおり、収容部4の左側面の内側には、収容部4内に格納されている販売対象物を撮像するためのカメラ44が設けられている。このカメラ44は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子で構成されている。また、図7には示していないが、収容部4には、台座51上の農作物の重量を測定するための重量センサが設けられている。この重量センサは、例えば台座51の沈み量を測定するセンサ等で構成されており、そのセンサの測定値に基づいて農作物の重量を算出する。本実施の形態における収容部4のその他の構成については、実施の形態1の場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
図8は、本発明の実施の形態2に係る農作物販売システムの構成を示すブロック図である。図8に示すように、本実施の形態の農作物販売システム10が備える制御装置3の記憶部32には、農作物情報データベース(DB)32A及び画像情報データベース(DB)32Bが設けられている。これらのデータベースの詳細については後述する。
【0050】
入出力I/F33には、実施の形態1の場合と同様に購入ボタン71、金額表示部72及び金銭投入部73並びに搬送装置2等が接続されており、さらに、上述した表示ランプ75が接続されている。制御部31は、この入出力I/F33を介して、表示ランプ75の動作を制御する。また、制御部31は、通信I/F34及び43を介して、各収容部4に設けられている扉開閉機構42、カメラ44及び重量センサ45の動作を制御する。
【0051】
次に、上記の農作物情報DB32A及び画像情報DB32Bについて説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る農作物販売システム10に設けられている農作物情報DB32Aのレイアウトの一例を示す図である。図9に示すように、農作物情報DB32Aは、収容部4を識別するための識別子であるボックスIDが格納されるボックスIDフィールド101、収容部4内に収容されている農作物の生育状態を判定するための各種の測定を行った日時である測定日時が格納される測定日時フィールド102、当該農作物の寸法(サイズ)を示す情報が格納されるサイズフィールド103、当該農作物の表面の色に関する情報が格納される彩度フィールド104、当該農作物の重量が格納される重量フィールド105,当該農作物の生育状態を示す情報が格納される生育状態フィールド106及び当該農作物を販売することができる日時である販売可能日時が格納される販売可能日時フィールド107を有している。
【0052】
なお、本実施の形態において、サイズフィールド103には、農作物のサイズに応じて、“L(大)”、“M(中)”及び“S(小)”の何れかの情報が格納され、彩度フィールド103には、特定の色(例えば、農作物がトマトの場合は赤、ベビーリーフ又はキュウリの場合は緑等)の彩度に応じて、“濃”及び“薄”の何れかの情報が格納される。また、生育状態フィールド106には、農作物の生育状態に応じて、“良好”、“普通”及び“不良”の何れかの情報が格納される。
【0053】
上述した農作物情報DB32Aに格納される情報は、カメラ44により取得された画像データ及び重量センサ45によって取得された重量に基づいて適宜更新される。その処理の詳細については後述する。
【0054】
画像情報DB32Bには、カメラ44が収容部4内を撮像することにより得られた台座51上の農作物を含む画像データが格納される。カメラ44は、予め設定された時間間隔(例えば、6時間毎等)で繰り返し撮像処理を実行する。そして、その結果得られた複数の画像データが、撮像日時等の情報と共に、画像情報DB32Bに格納される。具体的には、図10に示すようにして格納されている。
【0055】
図10は、本発明の実施の形態2に係る農作物販売システム10に設けられている画像情報DB32Bのレイアウトの一例を示す図である。図10に示すように、画像情報DB32Bは、各画像データを識別するための画像IDが格納される画像IDフィールド111、各画像データの撮像日時が格納される撮像日時フィールド112、どの収容部4内の画像データであるのかを判別するためのボックスIDが格納されるボックスIDフィールド113、及び記憶部32における画像データの記憶位置を示す情報が格納される画像データフィールド114を有している。
【0056】
[農作物販売システムの動作]
以下、上述したように構成された本実施の形態の農作物販売システム10の動作について説明する。
制御装置3は、実施の形態1の場合と同様に、一日一回所定の時間に、収容部4の幅と略同一の距離だけ搬送ラインのベルトを搬送方向へ回転させるように搬送装置2の動作を制御する。これにより、搬送装置2が、複数の収容部4,4,…を、一日一回収容部4の幅と略同一の距離だけ搬送方向へ搬送するため、一日毎に各収容部4,4,…は1個分だけ搬送方向にずれた位置に移動することになる。
【0057】
制御装置3は、上述したようにして搬送装置2の動作を制御すると共に、(1)農作物情報の更新を行うための農作物情報更新処理、及び(2)農作物が販売可能か否かを判定するための販売可否判定処理を実行する。以下、これらの各処理の詳細について説明する。
【0058】
(1)農作物情報更新処理
図11は、本発明の実施の形態2に係る農作物販売システム10の制御装置3が実行する農作物情報更新処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の農作物情報更新処理は、例えばカメラ44による撮像処理が実行される都度等、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0059】
制御装置3はまず、農作物情報更新処理の対象とする収容部4のボックスIDを所定のルール(例えば番号の小さい順等)にしたがって決定する(S101)。次に、制御装置3は、画像情報DB32Bにアクセスし、処理対象に設定した収容部4のボックスIDに係る画像データのうち最も新しく画像情報DB32Bに登録された画像データ(以下、「最新画像データ」という)を読み出す(S102)。
【0060】
次に、制御装置3は、最新画像データに対してエッジ抽出等の所定の画像処理を施すことによって農作物のサイズを特定する(S103)。例えば、農作物が図7に示すようなベビーリーフLの場合、最も背の高い葉の高さを算出し、その数値に応じて“L”、“M”及び“S”の3段階にランク付けする。また、農作物がトマトの場合であれば、トマトの直径を算出し、その数値に応じて“L”、“M”及び“S”の3段階にランク付けする。
【0061】
また、制御装置3は、最新画像データに対して所定の画像処理を施すことによって農作物の表面の色に関する色情報を取得し、その色情報の解析を行う(S104)。例えば、農作物がベビーリーフの場合、緑色の彩度が所定値よりも高いか否か等によって、その表面の色が“濃”及び“薄”の何れであるのかの判定を行う。また、農作物がトマトの場合であれば、赤色の彩度が所定値よりも高いか否か等によって、その色が“濃”及び“薄”の何れであるのかの判定を行う。
【0062】
次に、制御装置3は、重量センサ45に測定処理を実行させることによって収容部4内の農作物の重量を測定する(S105)。また、制御装置3は、画像情報DB32Bにアクセスして最新画像データよりも以前に画像情報DB32Bに登録された1又は複数の画像データを読み出し、それらの画像データと最新画像データとを比較する処理を実行する(S106)。これにより、処理対象の農作物の大きさ等の時間変化を測定することができ、その時間変化に基づいて当該農作物の生長度合いを算出することができる。
【0063】
次に、制御装置3は、ステップS103により特定された農作物のサイズ、ステップS104の解析結果、ステップS105で測定された農作物の重量、及びステップS106の結果得られた農作物の生長度合い等に関する情報に基づいて、農作物の生育状態を3段階にランク付けすることにより、農作物の生育状態の判定を行う(S106)。この判定処理は、次のようにして与えられる得点に基づいて行うこと等が考えられる。サイズが“L”、“M”及び“S”の順に高い得点を与え、表面の色が“濃”と判定された場合に“薄”と判定された場合と比べて高い得点を与えるようにする。また、農作物の重量の平均値を示す統計データを記憶しておき、その統計データと比較した結果、ステップS105で測定された重量が平均以上の場合に高い得点を与え、平均を下回る場合には低い得点を与えるようにする。さらに、農作物の生長度合いの平均値を示す統計データを記憶しておき、その統計データと比較した結果、ステップS106の結果得られた生長度合いが平均以上の場合に高い得点を与え、平均を下回る場合には低い得点を与えるようにする。そして、これらの得点の合計点が高い順に、“良好”、“普通”、“不良”とランク付けすることにより生育状態の判定を行う。
【0064】
次に、制御装置3は、ステップS107にて判定された生育状態に基づいて、収容部4内の農作物の販売可能日時を推定する(S108)。具体的には、農作物の種類毎に農作物の収穫適期に関する収穫適期データ(例えば、生育開始時から2週間後等)を記憶しておき、生育状態が“良好”の場合は収穫適期データよりも2日早く収穫可能になり、生育状態が“普通”の場合は収穫適期データのとおりに収穫可能になり、生育状態が“不良”の場合は収穫適期データよりも2日遅く収穫可能になる等と判断する。そして、その収穫可能となる日を当該農作物の販売可能日時とする。
【0065】
さらに、制御装置3は、上記の各ステップにより得られた情報を農作物情報DB32Aの各フィールドに格納することによって、農作物情報DB32Aを更新する(S109)。具体的には、ステップS103により得られた“L”、“M”及び“S”の何れかの情報をサイズフィールド103に格納し、ステップS104により得られた“濃”及び“薄”の何れかの情報を彩度フィールド104に格納し、ステップS105により得られた農作物の重量を重量フィールド105に格納し、ステップS107により得られた“良好”、“普通”及び“不良”の何れかの情報を状態フィールド106に格納し、ステップS108により推定された販売可能日時を販売可能日時フィールド107に格納することにより、農作物情報DB32Aの更新を行う。
【0066】
次に、制御装置3は、すべての収容部4について農作物情報更新処理を実行したか否かを判定する(S110)。ここで、まだ処理対象となっていない収容部4が存在すると判定した場合(S110でNO)、制御装置3はステップS101に戻り、それ以降のステップS102乃至S109を実行する。他方、すべての収容部4について農作物情報更新処理を実行したと判定した場合(S110でYES)、制御装置3は処理を終了する。
【0067】
なお、ステップS103における農作物のサイズ判定は、上述したように画像データに基づいて行う手法以外にも、種々のものが考えられる。例えば、レーザー距離計又は超音波距離測定器等を用いて農作物の高さ・幅等を計測することにより行ってもよい。また、所定のサイズの開口部が設けられた板状の型を収容部4内に設け、その型を移動させたときに収容部4内の農作物が当該開口部を通過するか否かの判定に基づいて、農作物のサイズ判定を行うようにしてもよい。さらに、台座51の沈み量を測定するセンサを設け、そのセンサの測定値に基づいて農作物のサイズ判定を行うようにしてもよい。
【0068】
また、ステップS107における農作物の生育状態の判定についても、上述した手法以外に種々のものが考えられる。例えば、公知の光センサ選果装置を用いて、収容部4内の農作物の熟度及び糖度を測定し、これらの熟度及び糖度も併せて考慮した上で生育状態を判定するようにしてもよい。その他にも、農作物の硬度、水分量及び打音を公知の手法により検出し、それらの情報も併せて考慮して生育状態を判定するようにしてもよい。
【0069】
(2)販売可否判定処理
図12は、本発明の実施の形態2に係る農作物販売システム10が備える制御装置3が実行する販売可否判定処理の手順を示すフローチャートである。以下の販売可否判定処理は、例えば上記の農作物情報更新処理が実行される都度等、所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、以下では、表示ランプ75を構成する右側ランプ部75a及び左側ランプ部75bの何れも点灯されていない状態にあるものとする。
【0070】
制御装置3はまず、販売可否判定処理の対象とする収容部4のボックスIDを決定する(S111)。ここで、販売可否判定処理の対象となるのは、搬出ステーション6上に位置する2個の収容部4,4である。そのため、ステップS111では、これら2個の収容部4,4のうちの何れかを処理対象に定めることになる。次に、制御装置3は、農作物情報DB32Aにアクセスし、処理対象に設定した収容部4のボックスIDに係る農作物情報のうち最も新しく農作物情報DB32Aに登録された農作物情報を読み出す(S112)。
【0071】
次に、制御装置3は、読み出した農作物情報における販売可能日時と現在日時とを比較し、その販売可能日時に到達しているか否かを判定する(S113)。ここで、販売可能日時に到達していないと判定した場合(S113でNO)、制御装置3は処理を終了する。他方、販売可能日時に到達していると判定した場合(S113でYES)、制御装置3は、表示ランプ75を点灯する(S114)。なお、ここで、処理対象の収容部4が搬出ステーション6上の右側に位置するものである場合は表示ランプ75の右側ランプ部75aを点灯し、同じく左側に位置するものである場合は表示ランプ75の左側ランプ部75bを点灯する。
【0072】
次に、制御装置3は、搬出ステーション6上の2個の収容部4,4の両方について販売可否判定処理を実行したか否かを判定する(S115)。ここで、まだ処理対象となっていない収容部4が存在すると判定した場合(S115でNO)、制御装置3はステップS111に戻り、それ以降のステップS112乃至S114を実行する。他方、両収容部4,4について販売可否判定処理を実行したと判定した場合(S115でYES)、制御装置3は処理を終了する。
【0073】
以上の処理の結果、搬出ステーション6上に位置する2個の収容部4,4のうち、収容している農作物が販売可能日時を迎えている収容部4に対応するランプが点灯することになり、まだ販売可能日時を迎えていない収容部4に対応するランプは消灯したままの状態となる。これにより、農作物の購入を検討している利用者は、2個の収容部4,4のうち、どの収容部4内の農作物を購入することができるのかを容易に知ることができる。
【0074】
表示ランプ75の右側ランプ部75aが点灯している状態において、利用者から金銭投入部73を介して所定額の金銭の投入を受け付けた上で当該利用者によって購入ボタン71のスイッチ71aが押下された場合、制御装置3は、収容部4(4a)の扉開閉機構42に対して扉40を開放するよう指示する。その結果、扉40が開放状態となり、利用者は収容部4(4a)内の農作物を取り出すことができる。他方、表示ランプ75の左側ランプ部75bが点灯している状態において、利用者から金銭投入部73を介して所定額の金銭の投入を受け付けた上で当該利用者によって購入ボタン71のスイッチ71bが押下された場合、制御装置3は、収容部4(4b)の扉開閉機構42に対して扉40を開放するよう指示する。その結果、扉40が開放状態となり、利用者は収容部4(4b)内の農作物を取り出すことができる。
【0075】
なお、農作物の購入が行われた後の収容部4の取り出し及び新たな収容部4の搬入等については実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
【0076】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態2では、農作物の販売可否の判定をするために必要となる情報を農作物販売システム自身が取得していたが、他の装置等から与えられた情報に基づいて販売可否の判定を行うようにしてもよい。図13は、そのような場合の農作物販売システムの一例の構成を示すブロック図である。図13に示すように、農作物販売システム10aが備える制御装置3aは、インターネット等の通信ネットワークNTWを介して、農作物販売システム10aを監視する監視サーバ80と通信可能に接続されている。なお、この農作物販売システム10aが備える制御装置3aの構成は、通信ネットワークNTWに接続するための通信インタフェースを備えている点を除いて、実施の形態2における制御装置3と同様であるため説明を省略する。
【0077】
制御装置3aは、画像情報DBに格納されている画像データを監視サーバ80に対して送信する。監視サーバ80側では、その画像データを分析し、農作物販売システム10aが備える収容部内の農作物の生育状態を判定する。なお、この分析は、実施の形態2において説明した農作物情報更新処理における処理と同様の処理により行ってもよく、また、オペレータが画像データを観察することによって人手で行ってもよい。監視サーバ80は、その分析結果を示す分析結果情報を制御装置3aに対して送信する。これを受けた制御装置3aは、その分析結果情報に基づいて、収容部内の農作物の生育状態を判定し、その判定結果に応じて当該農作物の販売可否の判定を実行する。これにより、農作物販売システム10aの遠隔管理を実現することができる。
【0078】
なお、上記の各実施の形態では、複数の収容部4,4,…が一列に並んで同一の方向に搬送されているが、本発明はこの態様に限定されるわけではない。例えば、複数列に並んで搬送されてもよく、また、各収容部4,4…が異なる経路で搬入ステーション5から搬出ステーション6へ搬送されてもよい。また、搬入及び搬出を兼用するステーションを設け、そのステーションから所定位置(例えば収容部4内の農作物を購入するための購入位置)を経由して当該ステーションに戻るように各収容部4,4…を搬送してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の農作物販売システムは、野菜及び果物などの各種の生育中の農作物を販売する農作物販売システム等として有用である。
【符号の説明】
【0080】
1,10,10a 農作物販売システム
2 搬送装置
3,3a 制御装置
4,4a,4b 収容部
5 搬入ステーション
6 搬出ステーション
6a 購入位置
7 入出力装置
31 制御部
32 記憶部
32A 農作物情報データベース
32B 画像情報データベース
33 入出力インタフェース
34 通信インタフェース
40 扉
40a 窓部
41 蛍光灯
42 扉開閉機構
43 通信インタフェース
44 カメラ
45 重量センサ
50 養液
51 台座
71 購入ボタン
71a,71b スイッチ
72 金額表示部
73 金銭投入部
73a 硬貨投入部
73b 紙幣投入部
74 釣銭返却口
75 表示ランプ
75a 右側ランプ部
75b 左側ランプ部
80 監視サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生育中の農作物を収容し、当該農作物の栽培を行うことが可能なように構成された複数の収容部と、
搬入側から、前記収容部内の前記農作物を購入するための購入位置へ向けて、所定の時間間隔で前記複数の収容部を搬送する搬送部と、
金銭の投入を受け付ける受付手段と
を備え、
前記受付手段によって所定額の金銭の投入が受け付けられた場合、前記購入位置にある前記収容部から前記農作物を取り出すことができるように構成されている、農作物販売システム。
【請求項2】
前記複数の収容部のそれぞれには生育期間が異なる農作物が収容されており、
前記搬送部が、前記搬入側から前記購入位置に向かうにしたがって生育期間が長い農作物を収容した前記収容部が位置するように前記複数の収容部を搬送すべく構成されている、請求項1に記載の農作物販売システム。
【請求項3】
前記搬送部が、前記収容部に収容される農作物の種類に応じて、当該収容部を搬送する時間間隔を調節することが可能なように構成されている、請求項1又は2に記載の農作物販売システム。
【請求項4】
前記搬送部が、複数の前記収容部を前記購入位置に搬送することが可能なように構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の農作物販売システム。
【請求項5】
前記収容部に収容された農作物が販売可能か否かを判定する販売可否判定手段と、
前記販売可否判定手段による判定結果を表示する表示手段と
をさらに備える、請求項1乃至4の何れかに記載の農作物販売システム。
【請求項6】
前記販売可否判定手段が、前記農作物の生育状態を判定し、その判定した生育状態に基づいて当該農作物が販売可能か否かを判定するように構成されている、請求項5に記載の農作物販売システム。
【請求項7】
前記収容部に収容された農作物を撮像する撮像手段をさらに備え、
前記販売可否判定手段が、前記撮像手段の撮像により得られた前記農作物を含む画像データに基づいて当該農作物の生育状態を判定するように構成されている、請求項6に記載の農作物販売システム。
【請求項8】
前記販売可否判定手段が、前記画像データに基づいて前記農作物のサイズを特定し、その特定したサイズに基づいて当該農作物の生育状態を判定するように構成されている、請求項7に記載の農作物販売システム。
【請求項9】
前記販売可否判定手段が、前記画像データから前記農作物の色情報を取得し、その取得した色情報に基づいて当該農作物の生育状態を判定するように構成されている、請求項7又は8に記載の農作物販売システム。
【請求項10】
外部の装置に対して前記画像データを送信する画像データ送信手段と、
前記画像データに対する分析結果を示す分析結果情報を前記外部の装置から受信する分析結果情報受信手段とをさらに備え、
前記販売可否判定手段が、前記分析結果情報受信手段によって受信された分析結果情報に基づいて前記農作物の生育状態を判定するように構成されている、請求項7乃至9の何れかに記載の農作物販売システム。
【請求項11】
前記収容部に収容された農作物の重量を計測する計測手段をさらに備え、
前記販売可否判定手段が、前記計測手段により計測された前記農作物の重量に基づいて当該農作物の生育状態を判定するように構成されている、請求項6乃至10の何れかに記載の農作物販売システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−215817(P2011−215817A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82770(P2010−82770)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】