農作物順次供給装置
【課題】 一括して投入された玉葱などの農作物wの1個づつを適当間隔を置いて単列状に送り出す処理を能率的に行えるものとなす。
【解決手段】搬送部6が、いずれも左右向き軸14、15回りへ回転される上側案内輪14aと下側案内輪15aとを具備し、これら案内輪に無端状の搬送体16をこれの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回し、該搬送体の左右側の長手方向個所にバケット19の多数を2列状にしかも千鳥配列となるように突設した構成であり、また該搬送部6のバケット19の上部回行移動軌跡e3の前上部を被う放出軌跡規制部材51を設けている。
【解決手段】搬送部6が、いずれも左右向き軸14、15回りへ回転される上側案内輪14aと下側案内輪15aとを具備し、これら案内輪に無端状の搬送体16をこれの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回し、該搬送体の左右側の長手方向個所にバケット19の多数を2列状にしかも千鳥配列となるように突設した構成であり、また該搬送部6のバケット19の上部回行移動軌跡e3の前上部を被う放出軌跡規制部材51を設けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉葱などの農作物の多数を一括して投入することでその一個づつを順次に特定場所へ供給することを可能とした農作物順次供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左右に配設された一対の側面壁部と、該一対の側面壁部間に設けられた前下がり状の底板部とからなる玉葱投入部を備えると共に、前記底板部の前延長個所近傍の下側からバケットが次々と上方へ向かうように移動するものとなされた搬送部とを備え、前記玉葱投入部に多数の玉葱が一括に投入され、このように投入された玉葱の一個づつが前記玉葱投入部内から転がり出て順に前記前延長個所の先部に到達し、前記搬送部がこのように到達した1個づつの玉葱をバケットで順に掬い上げ搬送部の前側に落下させるようになされた農作物順次供給装置は既に存在している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−50853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した農作物順次供給装置においては、前記搬送部が前記前延長個所に到達した1個つづの玉葱を順に特定場所に搬送するものであるため、玉葱の送り出し処理能率が低いものとならざるを得ないのである。
【0005】
本発明は、斯かる実情を解消せんとするもので、一括して投入された玉葱などの農作物の1個づつを適当間隔を置いた単列状となして送り出す処理を能率的に行えるものとした農作物順次供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の第1発明は、請求項1に記載したように、左右に配設された一対の側面壁部の間個所に、農作物の1個づつを前斜め上方へ搬送し搬送終端から落下させるように作動する搬送部を具備した前段送り出し部と、前記間個所の前記搬送終端下側に搬送始端を有し前記搬送終端から落下する農作物の1個づつを順次に受け取り適当間隔を置いた単列状に前方へ送り移動させる後段送り出し部とを備えている農作物順次供給装置であって、前記搬送部が、いずれも左右向き軸回りへ回転される上側案内輪と下側案内輪とを具備し、これら案内輪に無端状の搬送体をこれの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回し、該搬送体の左右側の長手方向個所に特定大きさとなされたバケットの多数を2列状にしかも千鳥配列となるように突設したものとなされている構成である。
【0007】
この発明は次のように具体化するのがよいのであって、即ち、請求項2に記載したように、前記上張り面部の上面が多数の農作物の投入される農作物収容部の前面壁を形成している構成となす。
【0008】
また第2発明は、請求項3に記載したように、左右に配設された一対の側面壁部の間個所に、農作物の1個づつを前斜め上方へ搬送し搬送終端から落下させるように作動する搬送部を具備した前段送り出し部と、前記間個所の前記搬送終端下側に搬送始端を有し前記搬送終端から落下する農作物の1個づつを該搬送始端で順次に受け止め適当間隔を置いた単列状に前方へ送り移動させる後段送り出し部とを備えている農作物順次供給装置であって、前記搬送部が、いずれも左右向き軸回りへ回転される上側案内輪と下側案内輪とを具備すると共にこれら案内輪に、農作物の1個づつを掬い上げるバケットの多数が長手方向へ列設されている無端状の搬送体を、これの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回したものとなされており、また前記バケットに掬い上げられ支持された農作物が前記上側案内輪回りに回行され前方へ放出されたときに該放出された農作物を緩衝的に受け止めて斜め前下方へ落下させるものとした放出軌跡規制部材を設けた構成である。
【0009】
この発明は次のように具体化するのがよいのであって、即ち、請求項4に記載したように、前記放出軌跡規制部材が前記間個所を横断した態様に位置され且つ前記上側案内輪回りの前記バケットの上側回行移動軌跡の前上部を被うように位置されたゴム板である構成となす。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
即ち、請求項1記載のものによれば、搬送体の左右側の長手方向個所に特定大きさとなされたバケットの多数を2列状にしかも千鳥配列となるように突設してあるため、たとえバケットの送り移動速度が同じでも、一括して投入された玉葱などの農作物の1個づつを適当間隔を置いた単列状となして送り出す処理を凡そ2倍程度の能率で行わせることができる。
【0011】
また請求項2記載のものによれば、農作物収容部に投入された多数の農作物の1個づつを簡易な構造により各バケットに的確に掬い上げさせ特定場所へ順に送り移動させることができる。
【0012】
請求項3記載のものによれば、各バケットに掬い上げられ支持された農作物が上側案内輪回りに回行され前方へ放出されたときに該放出された農作物を緩衝的に受け止めて斜め前下方へ落下させるものとした放出軌跡規制部材を設けたことから、各バケットの送り移動速度が増大されても、農作物は放出軌跡規制部材に緩衝的に受け止められて特定場所へ落下されるようになり、したがって農作物を適当間隔を置いた単列状に送り移動させる処理を農作物を損傷させることなく能率的に行わせることができる。
【0013】
請求項4記載のものによれば、各バケットに掬い上げられ支持された農作物が前記上側案内輪回りに回行され前方へ放出されたときに、該放出された農作物を簡易且つ安価な構造により緩衝的に受け止めて斜め前下方へ落下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、図1〜図15を参照して本発明に係る農作物順次供給装置の一実施形態について説明する。
図1〜図5に示すように、本発明に係る農作物順次供給装置100は、前後方向Aへ長く形成された枠体状の基台1を備え、該基台1上の後側に前段送出部2を、そして後側に後段送出部3を形成されている。ここに、前段送出部2は玉葱などの農作物wを一括に投入され、このように投入された農作物wの1個づつを順次に前方a1へ送り出すものであり、また後段送出部3は前段送出部2の送り出した農作物wを受け入れてその1個づつの姿勢を整えてこれら農作物wの個々を前方a1へ搬送し適当間隔を置いた単列状に整列させて特定位置に順次に到達させるものである。
【0015】
先ず、前段送出部2の詳細について図6〜図9をも参照して説明する。
該前段送出部2は、左右に配設された一対の側面壁部4a、4bと、該一対の側面壁部4a、4b間に設けられた前下がり状の底板部5と、該底板部5の前端近傍から上方へ向かうように配設された搬送部6と、底板部5を振動させる振動発生手段7とを備えるほか、底板部5の上面に農作物wを一括に投入するためのコンテナ反転手段8及びこれに関連して設けられた流れ規制板9を備えている。
【0016】
一対の側面壁部4a、4bは基台1から起立されており、底板部5は図8及び図9に示すように、上方視方形となされた上板部材5aと上方視台形となされた下板部材5bとを備え、これら上板部材5aと下板部材5bを下板部材5bに形成された長孔b1とこれに挿通されたボルトb2を介して前後方向A長さを変更調整可能となされ、また上板部材5aの後部を左右向き軸10を介して一対の側面壁部4a、4bに該左右向き軸10回りの揺動自在に支持された状態となされている。そして上板部材5aの前端縁にはゴム板50が前方a1への張り出し量の変更調整可能に固定されており、該ゴム板50は底板部5の先端と搬送部6との間から農作物wが下方へ落下するのを防止するためのものである。
【0017】
上板部材5aの前端縁の左右方向中央個所には切込みc1が形成されており、一方、下板部材5bの前記切込みc1に対応する上面個所には分球手段11が起立状にしかも下板部材5bの前端縁c2から前方a1へ張り出した状態に固着されている。該分球手段11は丸棒部材11Aを側面視略三角状に屈曲させてその内方に平板11Bを固着したものであり、さらに具体的には丸棒部材11Aを、前方a1へ向かって漸次上昇する傾斜部11aと、これの上端から延出された垂直部11bと、これの下端から後側へ延出された後向き部11cとを具備したものとなし、これら傾斜部11aと垂直部11bと後向き部11cの内周個所に略三角状の平板11Bの対応する辺部を突き合わせ状に固着するほか、平板11Bの各頂点個所g1、g2、g3を切除したものとなされている。
【0018】
また下板部材5bの前部下面で左右方向中央個所と左右端個所の3個所に、前方張り出し支持部材12が下板部材5bの前端縁c2から前方a1へ張り出すように固定されており、これら前方張り出し支持部材12のそれぞれに、合成樹脂材などの比較的軟質で側面視方形状となされた案内板部材13が前後向き垂直面に沿う状態で上辺部をその対応する前方張り出し部材12にボルト固定され吊り状態となされて下板部材5bの下面側へ向け特定長さだけ張り出した状態となされている。
【0019】
搬送部6は一対の側面壁部4a、4b間を横断するように形成されたものであって、具体的には、一対の側面壁部4a、4b間に架設された上下一対の左右向き回転軸14、15を備え、且つ、図5などに示すように、上側の左右向き回転軸14の左右端寄り個所に上側案内輪をなすスプロケット14aを、そして下側の左右向き回転軸15の左右端寄り個所に下側案内輪をなすスプロケット15aを固定すると共に、これらスプロケット14a、15aに無端状の搬送体16を巻き掛け、上側の左右向き回転軸14に外方から回転力が付与されることによりスプロケット14a、15aが回転されて搬送体16の張り側部16aが連続して底板部5の前端近傍の下側から斜め前上側へ向け送り移動されるようになされている。
【0020】
搬送体16は、左右各側で上下に位置された2つのスプロケット14a、15aに巻き掛けられる無端状のチェーン17、17(図5参照)と、これら一対のチェーン17、17間にチェーン17長さ方向の特定ピッチで並列状に架設された多数の架設板18とで形成されている。該搬送体16の外側表面の左右個所にはバケット19が2列の千鳥配列に固設されるのであり、具体的には、1つ置きの各架設板18の左右方向の一側に1つのバケット19がチェーン17方向単列突状に固定され、また前記1つ置きの架設板18を除いた各架設板18の左右方向の他側にも1つのバケット19がチェーン17方向単列突状に固定されている。各バケット19は棒部材を枠状に結合したものとなされていて農作物wの1個のみを掬い上げるのに適した大きさ及び形状となされているのであり、図示例では側面視受け皿状となされている。
【0021】
振動発生手段7は、図6及び図7などに示すように、下側の左右向き回転軸15の一対のスプロケット15a、15aの外側近傍個所に固定された一対の発振カム20、20と、該発振カム20の振動変位を底板部5に伝達させ且つ底板部5の前部を支持するための連係支持機構21とを備えている。各発振カム20は外周面に環状案内溝を形成された円板体となされていて側面形状中心から離れた位置を左右向き回転軸15に固定されており、左右向き回転軸15が回転することで前記環状案内溝が上下振動変位するものとなされている。連係支持機構21は、底板部5の前端の左右両端個所から前方張り出し長さ調整可能に延出された延長アーム部材22と、各延長アーム部材22の前部に設けられ発振カム20の環状案内溝により上下変位されるローラ23とを具備しているものであり、さらに詳細には、左右の延長アーム部材22は細長状板部材で形成され先寄り部を発振カム20と干渉しないように上方視台形状に屈曲され上板部材5aの左右各側面個所にボルト24を介して固定され該ボルト24を螺着される位置の選択変更によりそれの前方張り出し長さを調整変更されるものとなされており、またローラ23はその対応する延長アーム部材22の先部に左右向き軸を介して支持され発振カム20の環状案内溝の底面に支持されて繰り返し上下変位されるものとなされている。
【0022】
図7〜図9に示すように、底板部5の前部が連係支持機構21で支持された状態での、底板部5の先端個所、バケット19及び、搬送体16の基礎外面c3との関係は次のようになされているのであって、即ち、底板部5の先端(ゴム板50の前端c2)はバケット19の移動軌跡に出来るだけ近接されており、また下板部材5bに固定されている前方張り出し支持部材12及び、これに固定された案内板部材13及び、分球手段11の前端部は左右側のバケット19の上側移動軌跡e1の側方視内方に進入して搬送体16の基礎外面c3の表面近くまで及ぶものとなされて、底板部5、バケット19及び、搬送体16の基礎外面c3との相互隙間を埋める上で寄与するものとなっており、またバケット19と3つの案内板部材13との関係は次のようになされているのであって、即ち、左右方向中央の1枚の案内板13と右側の1枚の案内板13との間を搬送体16の右側のバケット19が通過し、左右方向中央の1枚の案内板13と左側の1枚の案内板13との間を搬送体16の左側のバケット19が通過するようになされ、且つ、各案内板13は側面視略方形となされいて前後向き垂直面に沿わせられ且つその幅d1を搬送体16の基礎外面c3からのバケット19高さに関連した大きさとなされ、その長さd2をバケット19の移動方向に概ね合致されている。
【0023】
コンテナ反転手段8は、図6及び図7などに示すように、底板部5の後側位置で一対の側面壁部4a、4b間に架設状に固定されている投入支持台25と、該投入支持台25に左右向き軸26を介して上下揺動可能に装着されたコンテナ受け部27とを備えている。投入支持台25は水平部25aと傾斜部25bからなる側面視へ字形構造となされており、水平部25aは底板部5の後端部と同一高さとなされ、傾斜部25bは底板部5の下方へ延出されている。コンテナ受け部27は方形状の底面枠部28aとこれの周囲に形成された側面枠部28bからなるコンテナ受け本体部28を備え、側面枠部28bの前面上端縁を投入支持台25の後端縁に左右向き軸26を介して支持されると共に、側面枠部27bの後面左右方向中央個所からはコンテナ受け本体部28を水平に支持するための支持脚棒部材29を左右向き軸29a回りの揺動可能に延出させるほか、側面枠部27bの左右側面の前寄り個所に一対の操作棒部材30を左右向き支点軸31回りの一定角度範囲内でのみ揺動可能に装着したものとなされている。
【0024】
コンテナ受け本体部28は、農作物wを収容するためのコンテナを側面枠部28bの内方に上方から挿入され底面枠部28aで支持するもので、操作棒部材30を左右向き支点軸31回りの上方へ持ち上げることにより後部を左右向き軸26回りの上方へ90度以上に揺動されてコンテナが反転された状態となり、該反転によりコンテナ内の農作物wが重力作用で底板部5上に流出するように形成されている。
【0025】
流れ規制板9は、コンテナ反転手段8により底板部5上に投入された多数の農作物wが一挙に搬送部6の搬送体16に到達するのを阻止するためのもので、表面を軟質部材で被われた方形板となされ、底板部5の上側となる左右一対の側面壁部4a、4b間に架橋状に且つ例えば仮想線で示す位置などへの位置調整可能に固定されている。
【0026】
次に後段送出部3の詳細について図1〜図5、及び、図10〜図12、及び図15を参照して説明する。
該後段送出部3は、搬送部6が前方a1へ送り出した農作物wをさらに前下方の特定場所へ落下させる落下案内部32と、該落下案内部32に案内されて落下した農作物wの姿勢を整える左右一対の整姿ローラ33、33と、該整姿ローラ33、33により姿勢を整えられた農作物wの1個づつを適当間隔を置いた倒立状の単列状に整列させて前方a1へ送り移動させる左右一対の整列送りローラ34、34を備えている。
【0027】
落下案内部32は、左右一対の側面壁部4a、4b間に固定され搬送部6の最高位置を通過して落下する農作物wを斜面で受け止めさらに前方a1へ転落させるように案内するシュート35と、該シュート35の上側に形成され前方a1へ向かうに伴って漸次狭幅となされた農作物案内路36と、該農作物案内路36の案内始端上部の左右幅個所に上縁部を支持され架橋状に位置保持された放出軌跡規制部材としてのゴム板51と、農作物案内路36の前部に位置され左右側面部37a、37bと前面部37cとを連続状に形成された平面視略コ字形のゴム垂れ37とを設けたものとなされている。
【0028】
この際、シュート35は上面を前下がり案内面となしてここにゴム材などの軟質板部材35aを貼着すると共に前下がり案内面の傾斜角度を変更調整可能となすほか、前下がり案内面の後端縁を各バケット19の下側移動軌跡e2と平行な斜め後下がり状に延長された後側延長面部35bを具備したものとなされており、農作物案内路36は搬送部6から前方a1へ放出された農作物wを左右一対の傾斜側面部36a、36aにより左右の側面壁部4a、4b間の中央へ寄せるように機能するものであり、またゴム板51は搬送体16が上側のスプロケット14a、14aに案内されつつ移動する過程でバケット19が180度回行するときにはバケット19上の農作物wがこれに作用する遠心力で前方へ飛ばされるのを緩衝的に受け止めて斜め下方へ落下させるように作用するものでバケットの上部回行移動軌跡e3の前上部を被うように配置され、上端縁を左右の側面壁部4a、4b間に架設された左右向き支持部材52に該部材52回りの揺動自在に支持された構成となされているが、これに限定するものではなくて例えば次のように変形して差し支えないのであって、即ち、上端縁を左右の側面壁部4a、4bと同体状に固定し片持ち支持した状態となしてもよいし若しくは上端縁及び下端縁の双方を左右の側面壁部4a、4bと同体状に位置決めしてもよいのであり、或いは、ゴム板51に代えてこれを硬質板となしてこれの後表面にスポンジを貼着したようなものとなしてもよいのであり、またゴム垂れ37は搬送部6の上端から放出されて過度に前方a1へ飛行する農作物wを受け止めてさらに前方a1へ飛行するのを防止し下方へ落下させるように機能するものである。
【0029】
左右一対の整姿ローラ33、33はシュート35の左右幅に対応した左右方向間隔を置いて同一高さに位置され且つ回転中心軸33a、33aを前後向きとなされると共に、それぞれの対向部が上側から下側へ移動するように回転駆動されるもので、落下案内部32に案内されて落下する農作物wのそれぞれをこれら一対の整姿ローラ33、33間の内方へ送って該農作物wが側外方へ脱落するのを防止すると共にこれら農作物wのそれぞれを横倒し姿勢となすように機能するものである。各整姿ローラ33は回転中心軸33aから放射状に向かうブラシ毛33bで形成された平滑な円筒周面を有するものとなされている。
【0030】
左右一対の整列送りローラ34、34は、同一高さに位置されて回転中心軸34a、34aを前後向きとなされると共にこれらの対向部が近接された状態に配置されていて、それぞれの対向部が上側から下側へ移動するように回転駆動されるもので、落下案内部32に案内されて順次に落下する農作物wのそれぞれを順次に受け止めてその茎部をこれら一対の整列送りローラ34、34で挟み付けて下方へ引張することにより農作物wのそれぞれを順次に倒立姿勢となし、しかも農作物wのそれぞれに前向きの送り力を付与することによりこれら農作物wを整列させて前方a1へ送り移動させるように機能するものである。
【0031】
各整列送りローラ34はこれの回転中心軸34aから放射状に向かうブラシ毛34bで形成された平滑な円筒周面を有すると共に、該円筒周面個所にゴムやスポンジなどの軟質材からなる螺旋条部材34cを固設されたものとなされている。この際、ブラシ毛34bは農作物wの茎部を引張する上で寄与するものであり、また左右の整列送りローラ34、34の螺旋条部材34c、34cは対称状に形成されていて双方の相互作用により、農作物wに前向きの送り力を付与するものである。
【0032】
次に上記した農作物順次供給装置100の動力伝達系は次のように形成されているのであって、即ち、図5に示すように、前記基台1の適当個所に固定された電気モータ38と前記基台1に左右向きに装設された回転駆動軸39とをベルト伝動機構40で連動連結し、また回転駆動軸39と搬送部6の上側の左右向き回転軸14とをベルト伝動機構41で連動連結し、一方では回転駆動軸39と後段送出部3の左右向きローラ駆動軸42とをベルト伝動機構43で連動連結し、さらに左右向きローラ駆動軸42と左右一対の整列送りローラ34、34の回転中心軸34a、34aとを左右一対のベベルギヤ機構44、44及び左右一対の伝動自在継手45、45を介して連動連結すると共に、左右の回転中心軸34a、34aと左右一対の整姿ローラ33、33の回転中心軸33a、33aとをベルト伝動機構46、46で連動連結している。したがって、電動モータ38が始動されると、上側の左右のスプロケット14a、14aが回転されて搬送体16及び下側の左右のスプロケット15a、15a、左右向き回転軸15及び発振カム20、20が回転され、底板部5が左右向き軸10回りへ繰り返し上下揺動され、一方では左右一対の整列送りローラ34、34及び左右一対の整姿ローラ33、33が回転駆動される。
【0033】
次に上記した作物順次送出装置100を玉葱wについて使用する場合の例及び各部の作用について説明する。
圃場に植生された玉葱wは例えば収穫機で機械的に収穫されるのであり、この際、収穫機は個々の玉葱wを地面から引き抜いてその茎部を球部側に例えば10cm〜20cm程度残して切除し、その後に地面に放出する。このように放出された玉葱wは天日干しされた後、コンテナCTに回収される。この例ではこのようにコンテナCTに回収された玉葱wについて使用するものとする。
【0034】
そして農作物順次供給装置100の最前部に既知の玉葱調製機Bを適正配置に設置するのであり、この後、電気モータ38を始動させる。
一方では、支持脚棒部材29を起立させてコンテナ受け本体部28を水平状態に保持させ、多数の玉葱wの収容されたコンテナCTをコンテナ受け本体部28の底面枠部28a上に載置するのであり、続いて左右何れかの操作棒部材30の先部を持って左右向き支点軸31回りの後側へ回し、操作棒部材30が図示しない係止片でコンテナ受け本体部28に係止された後にもさらに上方へ回し、コンテナ受け本体部28を図13に示すように左右向き軸26回りへ垂直姿勢を超えて揺動させるのであり、これによりコンテナCTはコンテナ受け本体部28と共に反転状態となる。
【0035】
こうして反転されたコンテナCT内の多数の玉葱wは左右の側面壁部4a、4bと底板部5と搬送体16の上張り面部とで囲まれた農作物収容部WSの内方に一挙に投入され、底板部5上に支持され、流動規制板9の規制作用を受けつつ、搬送部6のバケット19へ向けて流動する。一部の玉葱wが搬送部6に到達すると、これら玉葱wのうちの最前位置のものは農作物収容部WSの前面壁をなす搬送体16の上張り面部をなす基礎外面c3部分に接触してそれ以上の前方a1移動を規制され、このように規制された玉葱wのうちの一個づつが搬送体16の上方移動により図13及び図14に示すように底板部5の前端近傍下側から斜め上側へ上昇してくる各バケット19に次々と掬い上げられ上方へ搬送される。該搬送により底板部5上の最前位置の玉葱wは順次に存在しなくなるため、底板部5上の多数の玉葱wは順次に前方a1へ送り移動される。
【0036】
この際、底板部5上での玉葱wの前方a1への送り移動は、底板部5の傾斜による重力作用や、底板部5の左右向き軸10回りの上下揺動や、底板部5と同体状に上下揺動される分球手段11や、バケット19の移動による玉葱攪拌作用によって促進される。分球手段11は底板部5上の多数の玉葱wを左右各側へ均等に分割し左右各側のバケット19列の移動軌跡個所まで案内するように作用して各バケット19による玉葱wの掬い上げを円滑且つ確実となすのであり、また分球手段11の棒部材11Aの断面円形の外周面は玉葱wに摺接したときのそれの損傷を防止する上で寄与する。各バケット19は2個以上の玉葱wを掬い上げようとすることもあるが、バケット19の大きさが限定されていることから、玉葱wが過度に小さいものでない限り、常に1個の玉葱wのみを上面に残して、それ以外のものを脱落させるものとなる。また底板部5の前端と基礎外面c3とバケット19との相互隙間に位置した玉葱wはゴム板50や前方張り出し支持部材12や案内板部材13で支持されるため、底板部5前側の左右方向中央個所や左右端個所を通じて下方へ落下することはないのであり、また1つのバケット19が底板部5上へ到達する前の時点で、バケット19が図8に示すように底板部5よりも例えば5cm〜10cm程度低い位置にあるときに、比較的小さな玉葱wが底板部5と基礎外面c3との間を通じてそのバケット19上に落下することも生じ得るが、この場合に該バケット19の両側近傍には一対の案内板部材13、13が存在することから、このようにバケット19上に落下した玉葱wが左右側へ転落する事態は確実に阻止されるのであり、さらに流動規制板9は各バケット19に掬い上げられた玉葱wに底板部5上の多数の玉葱wが過度に干渉するのを阻止して玉葱wの損傷を防止すると共に各バケット19から玉葱wが落下する事態を阻止する。
【0037】
各バケット19による掬い上げが的確に行われないときは上板部材5aに対する下板部材5bの前後方向位置をボルトの操作により調整するのであり、これにより分球手段11の前端縁と搬送体16との距離が最適化されて、バケット19による玉葱wの掬い上げが的確に行われると共に各バケット19に掬い上げられた玉葱wが分球手段11の高さ範囲内でそのバケット19から横方へ脱落する事態が効果的に阻止されるのであり、また搬送体16に対して分球手段11や前方張り出し支持部材12や案内板部材13などの位置が最適化されて、底板部5の前端と搬送体16との間から玉葱wが落下する事態が効果的に阻止されるのである。
【0038】
左右各側の各バケット19に掬い上げられた1個づつの玉葱wは上側の左右向き回転軸14のスプロケット14a個所に到達し、ここで左右向き回転軸14回りの前方a1へ転向されるのであり、このときに各玉葱wに遠心力が作用し、各々のバケット19が略反転姿勢に変化したときに、図10〜図12に示すように、各バケット19に支持されている玉葱wは前方a1へ飛ばされるのであり、このように飛ばされた玉葱wはゴム板51に緩衝的に受け止められて斜め下方へ落下し、この落下時に農作物通路36の傾斜側面部36a、36aに衝接し緩衝され側面壁部4a、4b間の中央へ寄せられつつ落下するようになる。この際、ゴム板51は玉葱wに衝突したときに左右向き支持部材52回りへ揺動し、ゴム板51の受け止めによる玉葱wの損傷を効果的に抑制する。ゴム板51に受け止められて落下した玉葱wはシュート35の軟質板部材35a上に落下し軟質板部材35aに緩衝的に受け止められ案内されて前方a1へ向け滑り転がりつつ移動しシュート35前端から落下するようになり、一方、左右向き回転軸14回りへ転向されて大きく前方へ飛行した玉葱wや、シュート35の案内による前方移動速度の大きい玉葱wはゴム垂れ37の前面個所に緩衝的に衝突してこれの下方へ落下する。
【0039】
こうして落下案内部32を経て次々と落下した玉葱wは図15に示すように順次に左右一対の整姿ローラ33、33間となる左右一対の整列送りローラ34、34の送り始端個所上に落下し、ここでこれら整姿ローラ33、33及び整列送りローラ34、34により横倒し姿勢になされると共に左右一対の整列送りローラ34、34で前方a1へ送り移動されつつこれらローラ34、34の対向部で茎部を挟まれ引き降ろされて倒立姿勢となされるのであり、したがって個々の玉葱wは左右一対の整列送りローラ34、34により例えば10cm〜20cm程度の前後方向A距離を置いた単列状の整列状態で前方a1へ移動され順次に送り終端から送り出される。玉葱調製機Bはこうして搬送終端から送り出された各玉葱wを順次に受け取ってその根部と茎部を切り離し製品としての球部となし、特定場所に順次に放出するのである。
【0040】
上記した本発明に係る農作物順次供給装置は玉葱に限らず、球部や茎部を有する農作物の供給に使用することのできるものであり、また本発明の趣旨の範囲内において適宜に変更して差し支えないものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る農作物順次供給装置の後半分を示す側面図である。
【図2】前記農作物順次供給装置の前半分を示す側面図である。
【図3】前記農作物順次供給装置の後半分を示す平面図である。
【図4】前記農作物順次供給装置の前半分を示す平面図である。
【図5】前記農作物順次供給装置の動力伝達系を示す平面視説明図である。
【図6】前記農作物順次供給装置の前段送出部を示す側面図である。
【図7】前記前段送出部を示す平面図である。
【図8】前記前段送出部の一部を示す拡大側面図である。
【図9】前記前段送出部の一部を示す平面図である。
【図10】前記前段送出部の落下案内部周辺を示す側面視断面図である。
【図11】前記落下案内部周辺を示す平面図である。
【図12】前記落下案内部周辺を前方から見た図である。
【図13】前記前段送出部の一部を示す側面視作動説明図である。
【図14】前記前段送出部を示す平面視作動説明図である。
【図15】前記後段送出部の送り始端部の作動状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 農作物順次供給装置
2 前段送り出し部
3 後段送り出し部
4a 側面壁部
4b 側面壁部
6 搬送部
14 左右向き軸
14a 上側案内輪(スプロケット)
15 左右向き軸
15a 下側案内輪(スプロケット)
16 搬送体
19 バケット
51 放出軌跡規制部材
e3 上側回行移動軌跡
w 農作物(玉葱)
ws 農作物収容部
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉葱などの農作物の多数を一括して投入することでその一個づつを順次に特定場所へ供給することを可能とした農作物順次供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左右に配設された一対の側面壁部と、該一対の側面壁部間に設けられた前下がり状の底板部とからなる玉葱投入部を備えると共に、前記底板部の前延長個所近傍の下側からバケットが次々と上方へ向かうように移動するものとなされた搬送部とを備え、前記玉葱投入部に多数の玉葱が一括に投入され、このように投入された玉葱の一個づつが前記玉葱投入部内から転がり出て順に前記前延長個所の先部に到達し、前記搬送部がこのように到達した1個づつの玉葱をバケットで順に掬い上げ搬送部の前側に落下させるようになされた農作物順次供給装置は既に存在している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−50853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した農作物順次供給装置においては、前記搬送部が前記前延長個所に到達した1個つづの玉葱を順に特定場所に搬送するものであるため、玉葱の送り出し処理能率が低いものとならざるを得ないのである。
【0005】
本発明は、斯かる実情を解消せんとするもので、一括して投入された玉葱などの農作物の1個づつを適当間隔を置いた単列状となして送り出す処理を能率的に行えるものとした農作物順次供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の第1発明は、請求項1に記載したように、左右に配設された一対の側面壁部の間個所に、農作物の1個づつを前斜め上方へ搬送し搬送終端から落下させるように作動する搬送部を具備した前段送り出し部と、前記間個所の前記搬送終端下側に搬送始端を有し前記搬送終端から落下する農作物の1個づつを順次に受け取り適当間隔を置いた単列状に前方へ送り移動させる後段送り出し部とを備えている農作物順次供給装置であって、前記搬送部が、いずれも左右向き軸回りへ回転される上側案内輪と下側案内輪とを具備し、これら案内輪に無端状の搬送体をこれの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回し、該搬送体の左右側の長手方向個所に特定大きさとなされたバケットの多数を2列状にしかも千鳥配列となるように突設したものとなされている構成である。
【0007】
この発明は次のように具体化するのがよいのであって、即ち、請求項2に記載したように、前記上張り面部の上面が多数の農作物の投入される農作物収容部の前面壁を形成している構成となす。
【0008】
また第2発明は、請求項3に記載したように、左右に配設された一対の側面壁部の間個所に、農作物の1個づつを前斜め上方へ搬送し搬送終端から落下させるように作動する搬送部を具備した前段送り出し部と、前記間個所の前記搬送終端下側に搬送始端を有し前記搬送終端から落下する農作物の1個づつを該搬送始端で順次に受け止め適当間隔を置いた単列状に前方へ送り移動させる後段送り出し部とを備えている農作物順次供給装置であって、前記搬送部が、いずれも左右向き軸回りへ回転される上側案内輪と下側案内輪とを具備すると共にこれら案内輪に、農作物の1個づつを掬い上げるバケットの多数が長手方向へ列設されている無端状の搬送体を、これの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回したものとなされており、また前記バケットに掬い上げられ支持された農作物が前記上側案内輪回りに回行され前方へ放出されたときに該放出された農作物を緩衝的に受け止めて斜め前下方へ落下させるものとした放出軌跡規制部材を設けた構成である。
【0009】
この発明は次のように具体化するのがよいのであって、即ち、請求項4に記載したように、前記放出軌跡規制部材が前記間個所を横断した態様に位置され且つ前記上側案内輪回りの前記バケットの上側回行移動軌跡の前上部を被うように位置されたゴム板である構成となす。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
即ち、請求項1記載のものによれば、搬送体の左右側の長手方向個所に特定大きさとなされたバケットの多数を2列状にしかも千鳥配列となるように突設してあるため、たとえバケットの送り移動速度が同じでも、一括して投入された玉葱などの農作物の1個づつを適当間隔を置いた単列状となして送り出す処理を凡そ2倍程度の能率で行わせることができる。
【0011】
また請求項2記載のものによれば、農作物収容部に投入された多数の農作物の1個づつを簡易な構造により各バケットに的確に掬い上げさせ特定場所へ順に送り移動させることができる。
【0012】
請求項3記載のものによれば、各バケットに掬い上げられ支持された農作物が上側案内輪回りに回行され前方へ放出されたときに該放出された農作物を緩衝的に受け止めて斜め前下方へ落下させるものとした放出軌跡規制部材を設けたことから、各バケットの送り移動速度が増大されても、農作物は放出軌跡規制部材に緩衝的に受け止められて特定場所へ落下されるようになり、したがって農作物を適当間隔を置いた単列状に送り移動させる処理を農作物を損傷させることなく能率的に行わせることができる。
【0013】
請求項4記載のものによれば、各バケットに掬い上げられ支持された農作物が前記上側案内輪回りに回行され前方へ放出されたときに、該放出された農作物を簡易且つ安価な構造により緩衝的に受け止めて斜め前下方へ落下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、図1〜図15を参照して本発明に係る農作物順次供給装置の一実施形態について説明する。
図1〜図5に示すように、本発明に係る農作物順次供給装置100は、前後方向Aへ長く形成された枠体状の基台1を備え、該基台1上の後側に前段送出部2を、そして後側に後段送出部3を形成されている。ここに、前段送出部2は玉葱などの農作物wを一括に投入され、このように投入された農作物wの1個づつを順次に前方a1へ送り出すものであり、また後段送出部3は前段送出部2の送り出した農作物wを受け入れてその1個づつの姿勢を整えてこれら農作物wの個々を前方a1へ搬送し適当間隔を置いた単列状に整列させて特定位置に順次に到達させるものである。
【0015】
先ず、前段送出部2の詳細について図6〜図9をも参照して説明する。
該前段送出部2は、左右に配設された一対の側面壁部4a、4bと、該一対の側面壁部4a、4b間に設けられた前下がり状の底板部5と、該底板部5の前端近傍から上方へ向かうように配設された搬送部6と、底板部5を振動させる振動発生手段7とを備えるほか、底板部5の上面に農作物wを一括に投入するためのコンテナ反転手段8及びこれに関連して設けられた流れ規制板9を備えている。
【0016】
一対の側面壁部4a、4bは基台1から起立されており、底板部5は図8及び図9に示すように、上方視方形となされた上板部材5aと上方視台形となされた下板部材5bとを備え、これら上板部材5aと下板部材5bを下板部材5bに形成された長孔b1とこれに挿通されたボルトb2を介して前後方向A長さを変更調整可能となされ、また上板部材5aの後部を左右向き軸10を介して一対の側面壁部4a、4bに該左右向き軸10回りの揺動自在に支持された状態となされている。そして上板部材5aの前端縁にはゴム板50が前方a1への張り出し量の変更調整可能に固定されており、該ゴム板50は底板部5の先端と搬送部6との間から農作物wが下方へ落下するのを防止するためのものである。
【0017】
上板部材5aの前端縁の左右方向中央個所には切込みc1が形成されており、一方、下板部材5bの前記切込みc1に対応する上面個所には分球手段11が起立状にしかも下板部材5bの前端縁c2から前方a1へ張り出した状態に固着されている。該分球手段11は丸棒部材11Aを側面視略三角状に屈曲させてその内方に平板11Bを固着したものであり、さらに具体的には丸棒部材11Aを、前方a1へ向かって漸次上昇する傾斜部11aと、これの上端から延出された垂直部11bと、これの下端から後側へ延出された後向き部11cとを具備したものとなし、これら傾斜部11aと垂直部11bと後向き部11cの内周個所に略三角状の平板11Bの対応する辺部を突き合わせ状に固着するほか、平板11Bの各頂点個所g1、g2、g3を切除したものとなされている。
【0018】
また下板部材5bの前部下面で左右方向中央個所と左右端個所の3個所に、前方張り出し支持部材12が下板部材5bの前端縁c2から前方a1へ張り出すように固定されており、これら前方張り出し支持部材12のそれぞれに、合成樹脂材などの比較的軟質で側面視方形状となされた案内板部材13が前後向き垂直面に沿う状態で上辺部をその対応する前方張り出し部材12にボルト固定され吊り状態となされて下板部材5bの下面側へ向け特定長さだけ張り出した状態となされている。
【0019】
搬送部6は一対の側面壁部4a、4b間を横断するように形成されたものであって、具体的には、一対の側面壁部4a、4b間に架設された上下一対の左右向き回転軸14、15を備え、且つ、図5などに示すように、上側の左右向き回転軸14の左右端寄り個所に上側案内輪をなすスプロケット14aを、そして下側の左右向き回転軸15の左右端寄り個所に下側案内輪をなすスプロケット15aを固定すると共に、これらスプロケット14a、15aに無端状の搬送体16を巻き掛け、上側の左右向き回転軸14に外方から回転力が付与されることによりスプロケット14a、15aが回転されて搬送体16の張り側部16aが連続して底板部5の前端近傍の下側から斜め前上側へ向け送り移動されるようになされている。
【0020】
搬送体16は、左右各側で上下に位置された2つのスプロケット14a、15aに巻き掛けられる無端状のチェーン17、17(図5参照)と、これら一対のチェーン17、17間にチェーン17長さ方向の特定ピッチで並列状に架設された多数の架設板18とで形成されている。該搬送体16の外側表面の左右個所にはバケット19が2列の千鳥配列に固設されるのであり、具体的には、1つ置きの各架設板18の左右方向の一側に1つのバケット19がチェーン17方向単列突状に固定され、また前記1つ置きの架設板18を除いた各架設板18の左右方向の他側にも1つのバケット19がチェーン17方向単列突状に固定されている。各バケット19は棒部材を枠状に結合したものとなされていて農作物wの1個のみを掬い上げるのに適した大きさ及び形状となされているのであり、図示例では側面視受け皿状となされている。
【0021】
振動発生手段7は、図6及び図7などに示すように、下側の左右向き回転軸15の一対のスプロケット15a、15aの外側近傍個所に固定された一対の発振カム20、20と、該発振カム20の振動変位を底板部5に伝達させ且つ底板部5の前部を支持するための連係支持機構21とを備えている。各発振カム20は外周面に環状案内溝を形成された円板体となされていて側面形状中心から離れた位置を左右向き回転軸15に固定されており、左右向き回転軸15が回転することで前記環状案内溝が上下振動変位するものとなされている。連係支持機構21は、底板部5の前端の左右両端個所から前方張り出し長さ調整可能に延出された延長アーム部材22と、各延長アーム部材22の前部に設けられ発振カム20の環状案内溝により上下変位されるローラ23とを具備しているものであり、さらに詳細には、左右の延長アーム部材22は細長状板部材で形成され先寄り部を発振カム20と干渉しないように上方視台形状に屈曲され上板部材5aの左右各側面個所にボルト24を介して固定され該ボルト24を螺着される位置の選択変更によりそれの前方張り出し長さを調整変更されるものとなされており、またローラ23はその対応する延長アーム部材22の先部に左右向き軸を介して支持され発振カム20の環状案内溝の底面に支持されて繰り返し上下変位されるものとなされている。
【0022】
図7〜図9に示すように、底板部5の前部が連係支持機構21で支持された状態での、底板部5の先端個所、バケット19及び、搬送体16の基礎外面c3との関係は次のようになされているのであって、即ち、底板部5の先端(ゴム板50の前端c2)はバケット19の移動軌跡に出来るだけ近接されており、また下板部材5bに固定されている前方張り出し支持部材12及び、これに固定された案内板部材13及び、分球手段11の前端部は左右側のバケット19の上側移動軌跡e1の側方視内方に進入して搬送体16の基礎外面c3の表面近くまで及ぶものとなされて、底板部5、バケット19及び、搬送体16の基礎外面c3との相互隙間を埋める上で寄与するものとなっており、またバケット19と3つの案内板部材13との関係は次のようになされているのであって、即ち、左右方向中央の1枚の案内板13と右側の1枚の案内板13との間を搬送体16の右側のバケット19が通過し、左右方向中央の1枚の案内板13と左側の1枚の案内板13との間を搬送体16の左側のバケット19が通過するようになされ、且つ、各案内板13は側面視略方形となされいて前後向き垂直面に沿わせられ且つその幅d1を搬送体16の基礎外面c3からのバケット19高さに関連した大きさとなされ、その長さd2をバケット19の移動方向に概ね合致されている。
【0023】
コンテナ反転手段8は、図6及び図7などに示すように、底板部5の後側位置で一対の側面壁部4a、4b間に架設状に固定されている投入支持台25と、該投入支持台25に左右向き軸26を介して上下揺動可能に装着されたコンテナ受け部27とを備えている。投入支持台25は水平部25aと傾斜部25bからなる側面視へ字形構造となされており、水平部25aは底板部5の後端部と同一高さとなされ、傾斜部25bは底板部5の下方へ延出されている。コンテナ受け部27は方形状の底面枠部28aとこれの周囲に形成された側面枠部28bからなるコンテナ受け本体部28を備え、側面枠部28bの前面上端縁を投入支持台25の後端縁に左右向き軸26を介して支持されると共に、側面枠部27bの後面左右方向中央個所からはコンテナ受け本体部28を水平に支持するための支持脚棒部材29を左右向き軸29a回りの揺動可能に延出させるほか、側面枠部27bの左右側面の前寄り個所に一対の操作棒部材30を左右向き支点軸31回りの一定角度範囲内でのみ揺動可能に装着したものとなされている。
【0024】
コンテナ受け本体部28は、農作物wを収容するためのコンテナを側面枠部28bの内方に上方から挿入され底面枠部28aで支持するもので、操作棒部材30を左右向き支点軸31回りの上方へ持ち上げることにより後部を左右向き軸26回りの上方へ90度以上に揺動されてコンテナが反転された状態となり、該反転によりコンテナ内の農作物wが重力作用で底板部5上に流出するように形成されている。
【0025】
流れ規制板9は、コンテナ反転手段8により底板部5上に投入された多数の農作物wが一挙に搬送部6の搬送体16に到達するのを阻止するためのもので、表面を軟質部材で被われた方形板となされ、底板部5の上側となる左右一対の側面壁部4a、4b間に架橋状に且つ例えば仮想線で示す位置などへの位置調整可能に固定されている。
【0026】
次に後段送出部3の詳細について図1〜図5、及び、図10〜図12、及び図15を参照して説明する。
該後段送出部3は、搬送部6が前方a1へ送り出した農作物wをさらに前下方の特定場所へ落下させる落下案内部32と、該落下案内部32に案内されて落下した農作物wの姿勢を整える左右一対の整姿ローラ33、33と、該整姿ローラ33、33により姿勢を整えられた農作物wの1個づつを適当間隔を置いた倒立状の単列状に整列させて前方a1へ送り移動させる左右一対の整列送りローラ34、34を備えている。
【0027】
落下案内部32は、左右一対の側面壁部4a、4b間に固定され搬送部6の最高位置を通過して落下する農作物wを斜面で受け止めさらに前方a1へ転落させるように案内するシュート35と、該シュート35の上側に形成され前方a1へ向かうに伴って漸次狭幅となされた農作物案内路36と、該農作物案内路36の案内始端上部の左右幅個所に上縁部を支持され架橋状に位置保持された放出軌跡規制部材としてのゴム板51と、農作物案内路36の前部に位置され左右側面部37a、37bと前面部37cとを連続状に形成された平面視略コ字形のゴム垂れ37とを設けたものとなされている。
【0028】
この際、シュート35は上面を前下がり案内面となしてここにゴム材などの軟質板部材35aを貼着すると共に前下がり案内面の傾斜角度を変更調整可能となすほか、前下がり案内面の後端縁を各バケット19の下側移動軌跡e2と平行な斜め後下がり状に延長された後側延長面部35bを具備したものとなされており、農作物案内路36は搬送部6から前方a1へ放出された農作物wを左右一対の傾斜側面部36a、36aにより左右の側面壁部4a、4b間の中央へ寄せるように機能するものであり、またゴム板51は搬送体16が上側のスプロケット14a、14aに案内されつつ移動する過程でバケット19が180度回行するときにはバケット19上の農作物wがこれに作用する遠心力で前方へ飛ばされるのを緩衝的に受け止めて斜め下方へ落下させるように作用するものでバケットの上部回行移動軌跡e3の前上部を被うように配置され、上端縁を左右の側面壁部4a、4b間に架設された左右向き支持部材52に該部材52回りの揺動自在に支持された構成となされているが、これに限定するものではなくて例えば次のように変形して差し支えないのであって、即ち、上端縁を左右の側面壁部4a、4bと同体状に固定し片持ち支持した状態となしてもよいし若しくは上端縁及び下端縁の双方を左右の側面壁部4a、4bと同体状に位置決めしてもよいのであり、或いは、ゴム板51に代えてこれを硬質板となしてこれの後表面にスポンジを貼着したようなものとなしてもよいのであり、またゴム垂れ37は搬送部6の上端から放出されて過度に前方a1へ飛行する農作物wを受け止めてさらに前方a1へ飛行するのを防止し下方へ落下させるように機能するものである。
【0029】
左右一対の整姿ローラ33、33はシュート35の左右幅に対応した左右方向間隔を置いて同一高さに位置され且つ回転中心軸33a、33aを前後向きとなされると共に、それぞれの対向部が上側から下側へ移動するように回転駆動されるもので、落下案内部32に案内されて落下する農作物wのそれぞれをこれら一対の整姿ローラ33、33間の内方へ送って該農作物wが側外方へ脱落するのを防止すると共にこれら農作物wのそれぞれを横倒し姿勢となすように機能するものである。各整姿ローラ33は回転中心軸33aから放射状に向かうブラシ毛33bで形成された平滑な円筒周面を有するものとなされている。
【0030】
左右一対の整列送りローラ34、34は、同一高さに位置されて回転中心軸34a、34aを前後向きとなされると共にこれらの対向部が近接された状態に配置されていて、それぞれの対向部が上側から下側へ移動するように回転駆動されるもので、落下案内部32に案内されて順次に落下する農作物wのそれぞれを順次に受け止めてその茎部をこれら一対の整列送りローラ34、34で挟み付けて下方へ引張することにより農作物wのそれぞれを順次に倒立姿勢となし、しかも農作物wのそれぞれに前向きの送り力を付与することによりこれら農作物wを整列させて前方a1へ送り移動させるように機能するものである。
【0031】
各整列送りローラ34はこれの回転中心軸34aから放射状に向かうブラシ毛34bで形成された平滑な円筒周面を有すると共に、該円筒周面個所にゴムやスポンジなどの軟質材からなる螺旋条部材34cを固設されたものとなされている。この際、ブラシ毛34bは農作物wの茎部を引張する上で寄与するものであり、また左右の整列送りローラ34、34の螺旋条部材34c、34cは対称状に形成されていて双方の相互作用により、農作物wに前向きの送り力を付与するものである。
【0032】
次に上記した農作物順次供給装置100の動力伝達系は次のように形成されているのであって、即ち、図5に示すように、前記基台1の適当個所に固定された電気モータ38と前記基台1に左右向きに装設された回転駆動軸39とをベルト伝動機構40で連動連結し、また回転駆動軸39と搬送部6の上側の左右向き回転軸14とをベルト伝動機構41で連動連結し、一方では回転駆動軸39と後段送出部3の左右向きローラ駆動軸42とをベルト伝動機構43で連動連結し、さらに左右向きローラ駆動軸42と左右一対の整列送りローラ34、34の回転中心軸34a、34aとを左右一対のベベルギヤ機構44、44及び左右一対の伝動自在継手45、45を介して連動連結すると共に、左右の回転中心軸34a、34aと左右一対の整姿ローラ33、33の回転中心軸33a、33aとをベルト伝動機構46、46で連動連結している。したがって、電動モータ38が始動されると、上側の左右のスプロケット14a、14aが回転されて搬送体16及び下側の左右のスプロケット15a、15a、左右向き回転軸15及び発振カム20、20が回転され、底板部5が左右向き軸10回りへ繰り返し上下揺動され、一方では左右一対の整列送りローラ34、34及び左右一対の整姿ローラ33、33が回転駆動される。
【0033】
次に上記した作物順次送出装置100を玉葱wについて使用する場合の例及び各部の作用について説明する。
圃場に植生された玉葱wは例えば収穫機で機械的に収穫されるのであり、この際、収穫機は個々の玉葱wを地面から引き抜いてその茎部を球部側に例えば10cm〜20cm程度残して切除し、その後に地面に放出する。このように放出された玉葱wは天日干しされた後、コンテナCTに回収される。この例ではこのようにコンテナCTに回収された玉葱wについて使用するものとする。
【0034】
そして農作物順次供給装置100の最前部に既知の玉葱調製機Bを適正配置に設置するのであり、この後、電気モータ38を始動させる。
一方では、支持脚棒部材29を起立させてコンテナ受け本体部28を水平状態に保持させ、多数の玉葱wの収容されたコンテナCTをコンテナ受け本体部28の底面枠部28a上に載置するのであり、続いて左右何れかの操作棒部材30の先部を持って左右向き支点軸31回りの後側へ回し、操作棒部材30が図示しない係止片でコンテナ受け本体部28に係止された後にもさらに上方へ回し、コンテナ受け本体部28を図13に示すように左右向き軸26回りへ垂直姿勢を超えて揺動させるのであり、これによりコンテナCTはコンテナ受け本体部28と共に反転状態となる。
【0035】
こうして反転されたコンテナCT内の多数の玉葱wは左右の側面壁部4a、4bと底板部5と搬送体16の上張り面部とで囲まれた農作物収容部WSの内方に一挙に投入され、底板部5上に支持され、流動規制板9の規制作用を受けつつ、搬送部6のバケット19へ向けて流動する。一部の玉葱wが搬送部6に到達すると、これら玉葱wのうちの最前位置のものは農作物収容部WSの前面壁をなす搬送体16の上張り面部をなす基礎外面c3部分に接触してそれ以上の前方a1移動を規制され、このように規制された玉葱wのうちの一個づつが搬送体16の上方移動により図13及び図14に示すように底板部5の前端近傍下側から斜め上側へ上昇してくる各バケット19に次々と掬い上げられ上方へ搬送される。該搬送により底板部5上の最前位置の玉葱wは順次に存在しなくなるため、底板部5上の多数の玉葱wは順次に前方a1へ送り移動される。
【0036】
この際、底板部5上での玉葱wの前方a1への送り移動は、底板部5の傾斜による重力作用や、底板部5の左右向き軸10回りの上下揺動や、底板部5と同体状に上下揺動される分球手段11や、バケット19の移動による玉葱攪拌作用によって促進される。分球手段11は底板部5上の多数の玉葱wを左右各側へ均等に分割し左右各側のバケット19列の移動軌跡個所まで案内するように作用して各バケット19による玉葱wの掬い上げを円滑且つ確実となすのであり、また分球手段11の棒部材11Aの断面円形の外周面は玉葱wに摺接したときのそれの損傷を防止する上で寄与する。各バケット19は2個以上の玉葱wを掬い上げようとすることもあるが、バケット19の大きさが限定されていることから、玉葱wが過度に小さいものでない限り、常に1個の玉葱wのみを上面に残して、それ以外のものを脱落させるものとなる。また底板部5の前端と基礎外面c3とバケット19との相互隙間に位置した玉葱wはゴム板50や前方張り出し支持部材12や案内板部材13で支持されるため、底板部5前側の左右方向中央個所や左右端個所を通じて下方へ落下することはないのであり、また1つのバケット19が底板部5上へ到達する前の時点で、バケット19が図8に示すように底板部5よりも例えば5cm〜10cm程度低い位置にあるときに、比較的小さな玉葱wが底板部5と基礎外面c3との間を通じてそのバケット19上に落下することも生じ得るが、この場合に該バケット19の両側近傍には一対の案内板部材13、13が存在することから、このようにバケット19上に落下した玉葱wが左右側へ転落する事態は確実に阻止されるのであり、さらに流動規制板9は各バケット19に掬い上げられた玉葱wに底板部5上の多数の玉葱wが過度に干渉するのを阻止して玉葱wの損傷を防止すると共に各バケット19から玉葱wが落下する事態を阻止する。
【0037】
各バケット19による掬い上げが的確に行われないときは上板部材5aに対する下板部材5bの前後方向位置をボルトの操作により調整するのであり、これにより分球手段11の前端縁と搬送体16との距離が最適化されて、バケット19による玉葱wの掬い上げが的確に行われると共に各バケット19に掬い上げられた玉葱wが分球手段11の高さ範囲内でそのバケット19から横方へ脱落する事態が効果的に阻止されるのであり、また搬送体16に対して分球手段11や前方張り出し支持部材12や案内板部材13などの位置が最適化されて、底板部5の前端と搬送体16との間から玉葱wが落下する事態が効果的に阻止されるのである。
【0038】
左右各側の各バケット19に掬い上げられた1個づつの玉葱wは上側の左右向き回転軸14のスプロケット14a個所に到達し、ここで左右向き回転軸14回りの前方a1へ転向されるのであり、このときに各玉葱wに遠心力が作用し、各々のバケット19が略反転姿勢に変化したときに、図10〜図12に示すように、各バケット19に支持されている玉葱wは前方a1へ飛ばされるのであり、このように飛ばされた玉葱wはゴム板51に緩衝的に受け止められて斜め下方へ落下し、この落下時に農作物通路36の傾斜側面部36a、36aに衝接し緩衝され側面壁部4a、4b間の中央へ寄せられつつ落下するようになる。この際、ゴム板51は玉葱wに衝突したときに左右向き支持部材52回りへ揺動し、ゴム板51の受け止めによる玉葱wの損傷を効果的に抑制する。ゴム板51に受け止められて落下した玉葱wはシュート35の軟質板部材35a上に落下し軟質板部材35aに緩衝的に受け止められ案内されて前方a1へ向け滑り転がりつつ移動しシュート35前端から落下するようになり、一方、左右向き回転軸14回りへ転向されて大きく前方へ飛行した玉葱wや、シュート35の案内による前方移動速度の大きい玉葱wはゴム垂れ37の前面個所に緩衝的に衝突してこれの下方へ落下する。
【0039】
こうして落下案内部32を経て次々と落下した玉葱wは図15に示すように順次に左右一対の整姿ローラ33、33間となる左右一対の整列送りローラ34、34の送り始端個所上に落下し、ここでこれら整姿ローラ33、33及び整列送りローラ34、34により横倒し姿勢になされると共に左右一対の整列送りローラ34、34で前方a1へ送り移動されつつこれらローラ34、34の対向部で茎部を挟まれ引き降ろされて倒立姿勢となされるのであり、したがって個々の玉葱wは左右一対の整列送りローラ34、34により例えば10cm〜20cm程度の前後方向A距離を置いた単列状の整列状態で前方a1へ移動され順次に送り終端から送り出される。玉葱調製機Bはこうして搬送終端から送り出された各玉葱wを順次に受け取ってその根部と茎部を切り離し製品としての球部となし、特定場所に順次に放出するのである。
【0040】
上記した本発明に係る農作物順次供給装置は玉葱に限らず、球部や茎部を有する農作物の供給に使用することのできるものであり、また本発明の趣旨の範囲内において適宜に変更して差し支えないものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る農作物順次供給装置の後半分を示す側面図である。
【図2】前記農作物順次供給装置の前半分を示す側面図である。
【図3】前記農作物順次供給装置の後半分を示す平面図である。
【図4】前記農作物順次供給装置の前半分を示す平面図である。
【図5】前記農作物順次供給装置の動力伝達系を示す平面視説明図である。
【図6】前記農作物順次供給装置の前段送出部を示す側面図である。
【図7】前記前段送出部を示す平面図である。
【図8】前記前段送出部の一部を示す拡大側面図である。
【図9】前記前段送出部の一部を示す平面図である。
【図10】前記前段送出部の落下案内部周辺を示す側面視断面図である。
【図11】前記落下案内部周辺を示す平面図である。
【図12】前記落下案内部周辺を前方から見た図である。
【図13】前記前段送出部の一部を示す側面視作動説明図である。
【図14】前記前段送出部を示す平面視作動説明図である。
【図15】前記後段送出部の送り始端部の作動状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 農作物順次供給装置
2 前段送り出し部
3 後段送り出し部
4a 側面壁部
4b 側面壁部
6 搬送部
14 左右向き軸
14a 上側案内輪(スプロケット)
15 左右向き軸
15a 下側案内輪(スプロケット)
16 搬送体
19 バケット
51 放出軌跡規制部材
e3 上側回行移動軌跡
w 農作物(玉葱)
ws 農作物収容部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に配設された一対の側面壁部の間個所に、農作物の1個づつを前斜め上方へ搬送し搬送終端から落下させるように作動する搬送部を具備した前段送り出し部と、前記間個所の前記搬送終端下側に搬送始端を有し前記搬送終端から落下する農作物の1個づつを順次に受け取り適当間隔を置いた単列状に前方へ送り移動させる後段送り出し部とを備えている農作物順次供給装置であって、前記搬送部が、いずれも左右向き軸回りへ回転される上側案内輪と下側案内輪とを具備し、これら案内輪に無端状の搬送体をこれの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回し、該搬送体の左右側の長手方向個所に特定大きさとなされたバケットの多数を2列状にしかも千鳥配列となるように突設したものとなされていることを特徴とする農作物順次供給装置。
【請求項2】
前記上張り面部の上面が多数の農作物の投入される農作物収容部の前面壁を形成していることを特徴とする請求項1記載の農作物順次供給装置。
【請求項3】
左右に配設された一対の側面壁部の間個所に、農作物の1個づつを前斜め上方へ搬送し搬送終端から落下させるように作動する搬送部を具備した前段送り出し部と、前記間個所の前記搬送終端下側に搬送始端を有し前記搬送終端から落下する農作物の1個づつを該搬送始端で順次に受け止め適当間隔を置いた単列状に前方へ送り移動させる後段送り出し部とを備えている農作物順次供給装置であって、前記搬送部が、いずれも左右向き軸回りへ回転される上側案内輪と下側案内輪とを具備すると共にこれら案内輪に、農作物の1個づつを掬い上げるバケットの多数が長手方向へ列設されている無端状の搬送体を、これの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回したものとなされており、また前記バケットに掬い上げられた農作物が前記上側案内輪回りに回行され前方へ放出されたときに該放出された農作物を緩衝的に受け止めて斜め前下方へ落下させるものとした放出軌跡規制部材を設けたことを特徴とする農作物順次供給装置。
【請求項4】
前記放出軌跡規制部材が前記間個所を横断した態様に位置され且つ前記上側案内輪回りの前記バケットの上側回行移動軌跡の前上部を被うように位置されたゴム板であることを特徴とする請求項4記載の農作物順次供給装置。
【請求項1】
左右に配設された一対の側面壁部の間個所に、農作物の1個づつを前斜め上方へ搬送し搬送終端から落下させるように作動する搬送部を具備した前段送り出し部と、前記間個所の前記搬送終端下側に搬送始端を有し前記搬送終端から落下する農作物の1個づつを順次に受け取り適当間隔を置いた単列状に前方へ送り移動させる後段送り出し部とを備えている農作物順次供給装置であって、前記搬送部が、いずれも左右向き軸回りへ回転される上側案内輪と下側案内輪とを具備し、これら案内輪に無端状の搬送体をこれの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回し、該搬送体の左右側の長手方向個所に特定大きさとなされたバケットの多数を2列状にしかも千鳥配列となるように突設したものとなされていることを特徴とする農作物順次供給装置。
【請求項2】
前記上張り面部の上面が多数の農作物の投入される農作物収容部の前面壁を形成していることを特徴とする請求項1記載の農作物順次供給装置。
【請求項3】
左右に配設された一対の側面壁部の間個所に、農作物の1個づつを前斜め上方へ搬送し搬送終端から落下させるように作動する搬送部を具備した前段送り出し部と、前記間個所の前記搬送終端下側に搬送始端を有し前記搬送終端から落下する農作物の1個づつを該搬送始端で順次に受け止め適当間隔を置いた単列状に前方へ送り移動させる後段送り出し部とを備えている農作物順次供給装置であって、前記搬送部が、いずれも左右向き軸回りへ回転される上側案内輪と下側案内輪とを具備すると共にこれら案内輪に、農作物の1個づつを掬い上げるバケットの多数が長手方向へ列設されている無端状の搬送体を、これの上張り面部が前斜め上方へ送り移動されるように掛け回したものとなされており、また前記バケットに掬い上げられた農作物が前記上側案内輪回りに回行され前方へ放出されたときに該放出された農作物を緩衝的に受け止めて斜め前下方へ落下させるものとした放出軌跡規制部材を設けたことを特徴とする農作物順次供給装置。
【請求項4】
前記放出軌跡規制部材が前記間個所を横断した態様に位置され且つ前記上側案内輪回りの前記バケットの上側回行移動軌跡の前上部を被うように位置されたゴム板であることを特徴とする請求項4記載の農作物順次供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−21(P2006−21A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177557(P2004−177557)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]