説明

農産物トレーサビリティシステム、農産物トレーサビリティ方法、農産物トレーサビリティプログラム、および小売業者端末

【課題】トレーサビリティ情報の登録・管理を農産物の小売単位毎に関しても優れた効率で実行可能とし、利用者の手間を軽減すると共に確実なトレーサビリティ情報の検索・提供を可能とする。
【解決手段】出荷単位中で最小の農産物識別番号を記録した記録媒体と最大の農産物識別番号を記録した記録媒体とに対する読取り処理を行って最小および最大の農産物識別番号を取得する番号取得手段110と、小売単位農産物に関するトレーサビリティ情報を取得するトレーサビリティ情報取得手段111と、最小および最大の農産物識別番号とトレーサビリティ情報と生産履歴照会番号とを対応付けて記憶装置に格納する情報格納手段112と、小売業者端末より生産履歴照会番号の回答要求を受信する要求受信手段113と、農産物識別番号が最小および最大の農産物識別番号の範囲に含まれる出荷単位を検索しこの出荷単位に対応付けされた生産履歴照会番号を小売業者端末に返信する番号回答手段114とから農産物トレーサビリティシステム100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物トレーサビリティシステム、農産物トレーサビリティ方法、農産物トレーサビリティプログラム、および小売業者端末に関し、具体的には、一度に大量に出荷され、バラバラに小売販売される農産物(野菜、果実など)の生産者、栽培履歴などのトレーサビリティ情報を2次元バーコード付きの結束テープ等を利用し効率よく管理、照会する農産物トレーサビリティ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農産物トレーサビリティを実現する手法としては、識別コードを印刷した識別タグ(例:一次元バーコード)を農産物の個体単位に貼り付け、その識別タグの識別コードデータをすべて管理システムのデータベースに登録し管理する方式であり、肉畜(牛、豚)等出荷単位数が少ない農産物に適用対象が限定されがちであった。
【特許文献1】特開2006−146570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、こうした従来のトレーサビリティ手法の適用を、すべての農産物、特に一度に大量に出荷されバラバラに小売販売される野菜、果実等に拡大するためには、小売販売単位(一玉、一束、一箱)に識別コードを付与して管理する必要があり、識別タグの情報記録量が販売数に対応しきれなくなる懸念や、膨大な数の識別コードをシステム側で登録・管理する手間やコストがかかる等の問題があった。
【0004】
そこで、本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、トレーサビリティ情報の登録・管理を農産物の小売単位毎に関しても優れた効率で実行可能とし、利用者の手間を軽減すると共に確実なトレーサビリティ情報の検索・提供を可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の農産物トレーサビリティシステムは、農産物のトレーサビリティ情報の登録・管理を行うコンピュータシステムであって、小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体のうち、所定の出荷単位中で最小の農産物識別番号を記録した記録媒体と最大の農産物識別番号を記録した記録媒体とに対する記録情報の読取り処理を行って前記最小および最大の農産物識別番号を取得する番号取得手段と、前記出荷単位に含まれる小売単位農産物に関する生産履歴などのトレーサビリティ情報を、ネットワークで接続された他端末または入力インターフェイスから受け付けて取得するトレーサビリティ情報取得手段と、前記出荷単位に関する前記最小および最大の農産物識別番号と、前記トレーサビリティ情報と、当該トレーサビリティ情報の照会用に採番した生産履歴照会番号とを対応付けて記憶装置に格納する、情報格納手段と、前記出荷単位の農産物を受け入れて当該出荷単位が含む前記小売単位農産物の販売をする業者の小売業者端末より、前記小売単位農産物が付帯する記録媒体への読取り処理で得た農産物識別番号を含む、生産履歴照会番号の回答要求を受信する要求受信手段と、前記回答要求に含まれていた農産物識別番号を、前記記憶装置において各出荷単位に関し格納されているデータと照合し、前記農産物識別番号が前記最小および最大の農産物識別番号の範囲に含まれる出荷単位を検索し、この出荷単位に対応付けされた生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号を前記小売業者端末に返信する、番号回答手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、前記農産物トレーサビリティシステムは、前記出荷単位に梱包時の小売単位農産物のうち、最初に梱包処理を行う小売単位農産物に対し、前記最小の農産物識別番号を記録した記録媒体を付帯させ、最後に梱包処理を行う小売単位農産物に対し、前記最大の農産物識別番号を記録した記録媒体を付帯させる処理を実行する、記録媒体付帯手段を備えるとしてもよい。
【0007】
また、前記農産物トレーサビリティシステムにおいて、前記記録媒体付帯手段は、前記出荷単位毎に、前記最小の農産物識別番号より一つ前の連番の農産物識別番号を記録した記録媒体と、前記最大の農産物識別番号より一つ後の連番の農産物識別番号を記録した記録媒体とを、所定の農産物出荷伝票に貼付処理するものであり、前記番号取得手段は、前記農産物出荷伝票に貼付された記録媒体に対する読取り処理を行って、当該記録媒体の記録している農産物識別番号の範囲内にある、前記出荷単位中で最小の農産物識別番号と最大の農産物識別番号を取得するものである、としてもよい。
【0008】
また、本発明の農産物トレーサビリティ方法は、農産物のトレーサビリティ情報の登録・管理を行うコンピュータが、小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体のうち、所定の出荷単位中で最小の農産物識別番号を記録した記録媒体と最大の農産物識別番号を記録した記録媒体とに対する記録情報の読取り処理を行って前記最小および最大の農産物識別番号を取得する処理と、前記出荷単位に含まれる小売単位農産物に関する生産履歴などのトレーサビリティ情報を、ネットワークで接続された他端末または入力インターフェイスから受け付けて取得する処理と、前記出荷単位に関する前記最小および最大の農産物識別番号と、前記トレーサビリティ情報と、当該トレーサビリティ情報の照会用に採番した生産履歴照会番号とを対応付けて記憶装置に格納する処理と、前記出荷単位の農産物を受け入れて当該出荷単位が含む前記小売単位農産物の販売をする業者の小売業者端末より、前記小売単位農産物が付帯する記録媒体への読取り処理で得た農産物識別番号を含む、生産履歴照会番号の回答要求を受信する処理と、前記回答要求に含まれていた農産物識別番号を、前記記憶装置において各出荷単位に関し格納されているデータと照合し、前記農産物識別番号が前記最小および最大の農産物識別番号の範囲に含まれる出荷単位を検索し、この出荷単位に対応付けされた生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号を前記小売業者端末に返信する処理と、を実行することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の農産物トレーサビリティプログラムは、農産物のトレーサビリティ情報の登録・管理を行うコンピュータに、小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体のうち、所定の出荷単位中で最小の農産物識別番号を記録した記録媒体と最大の農産物識別番号を記録した記録媒体とに対する記録情報の読取り処理を行って前記最小および最大の農産物識別番号を取得するステップと、前記出荷単位に含まれる小売単位農産物に関する生産履歴などのトレーサビリティ情報を、ネットワークで接続された他端末または入力インターフェイスから受け付けて取得するステップと、前記出荷単位に関する前記最小および最大の農産物識別番号と、前記トレーサビリティ情報と、当該トレーサビリティ情報の照会用に採番した生産履歴照会番号とを対応付けて記憶装置に格納するステップと、前記出荷単位の農産物を受け入れて当該出荷単位が含む前記小売単位農産物の販売をする業者の小売業者端末より、前記小売単位農産物が付帯する記録媒体への読取り処理で得た農産物識別番号を含む、生産履歴照会番号の回答要求を受信するステップと、前記回答要求に含まれていた農産物識別番号を、前記記憶装置において各出荷単位に関し格納されているデータと照合し、前記農産物識別番号が前記最小および最大の農産物識別番号の範囲に含まれる出荷単位を検索し、この出荷単位に対応付けされた生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号を前記小売業者端末に返信するステップとを実行させるプログラムである。
【0010】
また、本発明の小売業者端末は、小売単位の農産物の販売をする業者の端末であって、小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体に対する読取り処理を実行する、読取り手段と、前記小売単位の農産物が付帯する記録媒体への読取り処理を行って、前記記録媒体が記録していた農産物識別番号を取得し、この農産物識別番号を含んだ、トレーサビリティ情報の照会用番号の回答要求を、ネットワークを介してトレーサビリティシステムに送信する、要求送信手段と、前記回答要求に応じて前記トレーサビリティシステムから返信されてきた生産履歴照会番号を受信し、この生産履歴照会番号と前記小売単位農産物の農産物識別番号とを対応付けて記憶装置に格納する、履歴番号取得手段と、小売単位農産物の販売に伴って、該当小売単位農産物の農産物識別番号を前記記憶装置で照会し、該当する生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号をレシートに印刷するレシート印字手段と、を備えることを特徴とする。ここで、前記レシートに印刷する生産履歴照会番号は、二次元バーコードなど各種コード化されているとしてもよい。
【0011】
また、前記小売業者端末は、小売単位農産物に関するトレーサビリティ情報を、前記生産履歴照会番号をキーに前記トレーサビリティシステムに要求して取得し、このトレーサビリティ情報を該当小売単位農産物に対応付けて記憶装置に格納する、トレーサビリティ情報要求手段と、前記レシートを所持する購入者の利用者端末から、前記生産履歴照会番号を含むトレーサビリティ情報の閲覧要求を受信し、この閲覧要求が含む生産履歴照会番号に対応するトレーサビリティ情報を前記記憶装置から読み出して、前記利用者端末に返信する、トレーサビリティ情報返信手段と、を備えるとしてもよい。
【0012】
なお、前記小売単位農産物の出荷作業に供する結束テープやシールは、前記農産物識別番号をコード化したコードデータを所定間隔で連続印刷した前記記録媒体となる。
【0013】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トレーサビリティ情報の登録・管理が農産物の小売単位毎に関しても優れた効率で実行可能となり、利用者の手間を軽減すると共に確実なトレーサビリティ情報の検索・提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態における農産物トレーサビリティシステム100の構成図である。本実施形態における農産物トレーサビリティシステム100(以下、システム100)は、農産物のトレーサビリティ情報の登録・管理を行うコンピュータシステムである。こうした前記システム100は、農産物トレーサビリティ方法を実行する機能を実現すべく不揮発性メモリなどの記憶装置101に格納されたプログラム102をメモリ103に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。また、前記システム100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種ボタン類、キーボードなどの入力インターフェイス105や、LEDやディスプレイなどの出力インターフェイス106、ならびに、小売業者端末200など外部装置との通信を担う通信装置107などを有している。
【0016】
続いて、前記システム100が例えばプログラム102に基づき構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記システムは、を記憶装置101に備えるか、ネットワーク140を介して利用可能(前記各テーブルがネットワーク上の装置内にある)であるとする。
【0017】
前記システム100は、小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体10のうち、所定の出荷単位中で最小の農産物識別番号を記録した記録媒体10と最大の農産物識別番号を記録した記録媒体10とに対する記録情報の読取り処理を行って前記最小および最大の農産物識別番号を取得する番号取得手段110を備える。この番号取得手段110は、例えば、出荷単位の梱包物(段ボール箱やパレットなど)の所定位置(例:段ボール箱やパレットなどの底部の角隅位置など)や、出荷ラインの先頭などに配置された小売単位農産物に対し、記録媒体の読取り処理を実行し、それにより最小の農産物識別番号を記録した記録媒体10に対する読取りを実行する。また、例えば、出荷単位の梱包物(段ボール箱やパレットなど)の所定位置(例:段ボール箱やパレットなどの最上部の角隅位置など)や、出荷ラインの末端などに配置された小売単位農産物に対し、記録媒体の読取り処理を実行し、それにより最大の農産物識別番号を記録した記録媒体10に対する読取りを実行する。これは、後述する記録媒体付帯手段115により、最小、最大の農産物識別番号を記録した記録媒体を所定の小売単位農産物に対して付帯させる処理がなされていると想定すればよい。
【0018】
また、前記システム100は、前記出荷単位に含まれる小売単位農産物に関する生産履歴などのトレーサビリティ情報を、ネットワーク140で接続された他端末または入力インターフェイス105から受け付けて取得するトレーサビリティ情報取得手段111を備える。
【0019】
また、前記システム100は、前記出荷単位に関する前記最小および最大の農産物識別番号と、前記トレーサビリティ情報と、当該トレーサビリティ情報の照会用に採番した生産履歴照会番号とを対応付けて記憶装置101に格納する、情報格納手段112を備える。
【0020】
また、前記システム100は、前記出荷単位の農産物を受け入れて当該出荷単位が含む前記小売単位農産物の販売をする業者の小売業者端末200より、前記小売単位農産物が付帯する記録媒体10への読取り処理で得た農産物識別番号を含む、生産履歴照会番号の回答要求を受信する要求受信手段113を備える。
【0021】
また、前記システム100は、前記回答要求に含まれていた農産物識別番号を、前記記憶装置101において各出荷単位に関し格納されているデータと照合し、前記農産物識別番号が前記最小および最大の農産物識別番号の範囲に含まれる出荷単位を検索し、この出荷単位に対応付けされた生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号を前記小売業者端末200に返信する、番号回答手段114を備える。
【0022】
また、前記システム100は、前記出荷単位に梱包時の小売単位農産物のうち、最初に梱包処理を行う小売単位農産物に対し、前記最小の農産物識別番号を記録した記録媒体10を付帯させ、最後に梱包処理を行う小売単位農産物に対し、前記最大の農産物識別番号を記録した記録媒体10を付帯させる処理を実行する、記録媒体付帯手段115を備えるとしてもよい。この記録媒体付帯手段115は、例えば、農産物出荷を行う作業者ないしは作業機械(出荷ライン上の選果装置など)が、出荷用段ボール箱などの所定の出荷単位で出荷作業を開始する際に最初にハンドリングし、所定位置(記録媒体の付帯作業位置)に設置した農産物に対し、農産物識別番号が最小の記録媒体10を巻き付けたり貼付したりする装置を想定できる。また同様に、作業機械が、出荷用段ボール箱などの所定の出荷単位で出荷作業を終了する際に最後にハンドリングし、所定位置(記録媒体の付帯作業位置)に設置した農産物に対し、農産物識別番号が最大の記録媒体10を巻き付けたり貼付したりする。
【0023】
そのため、この記録媒体付帯手段115は、前記記録媒体10を連続して小売単位農産物に巻き付けたり貼付したりすることができるよう、記録媒体10が連なる農産物結束用テープや、記録媒体10がシールとなって剥離紙に連続して配置されているシートを装備し、例えば、小売単位農産物への記録媒体10の付帯処理毎に、前記農産物結束用テープ等を1つの記録媒体の幅ずつ自動送りし、付帯処理が終了時に1つの記録媒体毎に自動切断する機構を備える。勿論、前記農産物結束用テープらにおいて、連続する記録媒体10は、テープやシート等の先端から順に農産物識別番号が大きくなる配置と当初からなっているので、テープ等の先端から順に使用すれば、その時点での農産物識別番号の最小の記録媒体10を選択的に使用でき、また、テープ等の先端にある記録媒体10は今まで使用してきた記録媒体10の中で最大の農産物識別番号を記録した記録媒体10となる。
【0024】
なお、前記記録媒体付帯手段115は、前記出荷単位毎に、前記最小の農産物識別番号より一つ前の連番の農産物識別番号を記録した記録媒体10と、前記最大の農産物識別番号より一つ後の連番の農産物識別番号を記録した記録媒体10とを、所定の農産物出荷伝票20に貼付処理するものとしてもよい。この場合、前記記録媒体付帯手段115は、農産物出荷伝票の綴りを出荷単位での処理毎に自動送りする機構と、農産物出荷伝票中の所定位置に対して前記記録媒体10を自動貼付する機構とを備えることを想定する。
【0025】
また、農産物出荷伝票に前記最小の農産物識別番号より一つ前の連番の農産物識別番号を記録した記録媒体10を貼付するために、前記小売単位農産物に前記最小の農産物識別番号を記録した記録媒体10を貼付する前に、農産物出荷伝票への記録媒体10の貼付を実施する。このように処理を行えば、テープ等の先端にあって現在最小の農産物識別番号(例:00001番)を記録した記録媒体10を最初に農産物出荷伝票に添付し、次に、現時点でテープ先端に残された最小の農産物識別番号(例:00002番)を記録した記録媒体10を小売単位農産物に付帯させる処理が実現できる。
【0026】
また、前記番号取得手段110は、前記農産物出荷伝票20に貼付された記録媒体10に対する読取り処理を行って、当該記録媒体10の記録している農産物識別番号の範囲内にある、前記出荷単位中で最小の農産物識別番号と最大の農産物識別番号を取得するものとなる。
【0027】
次に、前記小売業者端末200について説明する。この小売業者端末200は、前記出荷単位の農産物を農産物生産者等から受け入れて、当該出荷単位が含む前記小売単位農産物の販売をする業者が備えるコンピュータ端末である。従って、コンピュータとして備えるべき演算装置やメモリ、各種インターフェイス、通信装置については前記システム100と同様に備えるものとする。
【0028】
こうした小売業者端末200は、小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体10に対する読取り処理を実行する、読取り手段210を備える。前記記録媒体10が例えば、前記農産物識別番号を二次元バーコードとして印字したものであれば、二次元バーコードの読取りリーダとなる。
【0029】
また、前記小売業者端末200は、前記小売単位の農産物が付帯する記録媒体10への読取り処理を行って、前記記録媒体10が記録していた農産物識別番号を取得し、この農産物識別番号を含んだ、トレーサビリティ情報の照会用番号の回答要求を、ネットワーク140を介して前記システム100に送信する、要求送信手段211を備える。
【0030】
また、前記小売業者端末200は、前記回答要求に応じて前記システム100から返信されてきた生産履歴照会番号を受信し、この生産履歴照会番号と前記小売単位農産物の農産物識別番号とを対応付けて記憶装置201に格納する、履歴番号取得手段212を備える。
【0031】
また、前記小売業者端末200は、小売単位農産物の販売に伴って、該当小売単位農産物の農産物識別番号を前記記憶装置201で照会し、該当する生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号をレシート30に印刷するレシート印字手段213を備える。このレシート印字手段213は、前記レシート30のロールと、これの自動送り機構ならびにロールへの印字機構を備えるものであり、小売店舗のレジに備え付けられているPOS端末の一部ないしはこれと連動する。
【0032】
また、前記小売業者端末200は、小売単位農産物に関するトレーサビリティ情報を、前記生産履歴照会番号をキーに前記システム100に要求して取得し、このトレーサビリティ情報を該当小売単位農産物に対応付けて記憶装置201に格納する、トレーサビリティ情報要求手段214を備えるとしてもよい。
【0033】
また、前記小売業者端末200は、前記レシート30を所持する購入者の利用者端末300から、前記生産履歴照会番号を含むトレーサビリティ情報の閲覧要求を受信し、この閲覧要求が含む生産履歴照会番号に対応するトレーサビリティ情報を前記記憶装置201から読み出して、前記利用者端末300に返信する、トレーサビリティ情報返信手段215を備えるとしてもよい。
【0034】
なお、これまで示した前記システム100における各機能部110〜115、前記小売業者端末200における各機能部210〜215は、ハードウェアとして実現してもよいし、メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶装置に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、システム100や小売業者端末200の各CPUがプログラム実行に合わせて各記憶装置より該当プログラムを各メモリに読み出して、これを実行することとなる。
【0035】
−−−テーブル構造例−−−
次に、本実施形態におけるシステム100や小売業者端末200が利用するテーブルの構造について説明する。図2は、本実施形態における(a)出荷情報格納テーブル125、(b)生産履歴情報格納テーブル126、(c)JANコードテーブル127、(d)生産履歴照会番号テーブル128の各データ構成例を示す図である。
【0036】
前記出荷情報格納テーブル125は、出荷単位毎の出荷内容の情報を格納するテーブルであり、例えば、出荷単位毎に採番される出荷番号をキーとして、出荷日、生産者コード、生産者名、出荷農産物データ群(例:等階級、似姿など)、生産履歴照会番号、ロット1先頭識別コード(ロット1における最小の農産物識別番号)、ロット1末尾識別コード(ロット1における最大の農産物識別番号)、・・・以下各ロット毎の先頭・末尾識別コードの情報を対応付けしたレコードの集合体となっている。この例では、1出荷単位には同じ生産者による小売単位農産物しか含まれない。なお、出荷単位毎に作成される農産物出荷伝票20の記載内容が、所定担当者による入力インターフェイス105を介した入力処理によりシステム100側に送られ、システム100ではこれを取得し出荷情報格納テーブル125に出荷単位毎に格納する。
【0037】
また、前記生産履歴情報格納テーブル126は、生産履歴照会番号をキーとして、生産者関連データ群(例:生産者の属性情報、生産技術レベルなど)、産地関連データ群(例:産地の属性情報、気候など)、栽培履歴データ群(例:農薬散布回数、散布農薬の属性、有機栽培の内容など)といった情報を対応付けしたレコードの集合体となっている。なお、出荷する農産物の栽培日誌の記載内容が、所定担当者による入力インターフェイス105を介した入力処理によりシステム100側に送られ、システム100ではこれを取得し生産履歴情報格納テーブル126に出荷単位毎に格納する。
【0038】
また、前記JANコードテーブル127は、小売業者が販売する小売単位農産物毎のJANコードなど商品販売用の情報を格納したテーブルであり、例えば、小売単位農産物の種別毎に採番されるJANコードをキーとして、小売単位農産物の商品名、単価、在庫数、特売情報群(例:割引時間、割引率等の情報)といった情報を対応付けしたレコードの集合体となっている。このJANコードテーブル127の格納情報は、小売単位農産物に限らず、小売業者の店舗で販売される商品について、入荷時に登録されるものである。
【0039】
また、前記生産履歴照会番号テーブル128は、小売業者端末200が農産物識別番号をキーにシステム100に問い合わせて取得した生産履歴照会番号を格納するテーブルであり、例えば、農産物識別番号(開始:最小の農産物識別番号)と農産物識別番号(終了:最大の農産物識別番号)のセットをキーとして、生産履歴照会番号、および該当小売単位農産物のJANコードを対応付けしたレコードの集合体となっている。
【0040】
−−−記録媒体と農産物出荷伝票について−−−
次に、小売単位農産物に付帯させる記録媒体10について説明する。この記録媒体10は、例えば、小売単位農産物を出荷する際に使用する農産物結束用テープにおいて、連続的に配置されている。記録媒体10の農産物識別番号の記録形態の例としては、二次元バーコードを想定できる。この場合、二次元バーコード化された農産物識別番号が、記録媒体10としての農産物結束用テープ上に所定間隔をあけて連続的に印刷されている。小売単位農産物を出荷する際に使用するのが農産物結束用テープではなく、シールであることも想定できる。例えば、小売単位農産物がリンゴなどの果実であれば、果実1つ1つにシールを貼り付ける。この場合、前記二次元バーコード化された農産物識別番号が記録媒体10としてのシール1つ1つに印刷されたシートを想定できる。
【0041】
農産物結束用テープの形態を想定する場合、図3に示すように、農産物結束用テープ40は、出荷する小売単位農産物をロット単位に束ねるためのテープであり、生産者名41、農産物識別番号42、該農産物識別番号を表す2次元バーコード43が連続して印刷されている。本実施形態の農産物識別番号は、4桁の西暦、2桁の月、6桁の製造番号、および12桁の連続番号で構成されている。
【0042】
また、農産物結束用テープ40における前記二次元バーコード43は、テープ先端から順に農産物識別番号が大きくなる配置となっている。従って、テープ先端から順に使用すれば、その時点での農産物識別番号の最小の二次元バーコード(=記録媒体10)を選択的に使用でき、また、テープ先端にある記録媒体10は今まで使用してきた二次元バーコード(=記録媒体10)の中で最大の農産物識別番号を記録したものとなる。
【0043】
一方、記録媒体10をシールとした場合、図4に示すように、各シール50には、やはり、生産者名51、農産物識別番号52、該農産物識別番号を表す2次元バーコード53が連続して印刷されている。また各シール50は、剥離紙などのシート54上に農産物識別番号の小さい順に、例えば、シート上段左隅から配置されている。
【0044】
続いて、農産物出荷伝票20について説明する。農産物出荷伝票20は、生産者情報21、出荷情報22に加え、農産物結束用テープ40またはシール50を貼り付ける領域23、24をロット単位(出荷単位)に設けてたレイアウトとなっている。前記記録媒体付帯手段115または農産物の生産者は、例えば、農産物出荷の際に農産物を束ねる前記農産物結束用テープ40の先頭の2次元バーコード43を、前記農産物出荷伝票20における前記領域23に貼り付ける。さらに、出荷する小売単位農産物の最後の農産物結束用テープ40の2次元バーコード43を前記領域24に貼り付ける。なお、前記農産物結束用テープ40を1出荷単位(例:出荷ロット1)において一本以上跨って使用する場合は、一本目の農産物結束用テープ40の最後の2次元バーコードを、前記農産物出荷伝票20における出荷ロット1の前記領域24に貼り付け、2本目の農産物結束用テープ40の先頭の2次元バーコードを、前記農産物出荷伝票20における前記出荷ロット1に続く出荷ロット2の領域23に貼り付ける。1出荷単位における農産物結束用テープ40の使用が3本以上に跨る場合も同様に、農産物結束用テープ40の最後の2次元バーコードをロット(出荷単位)番号順に貼り付けるとすればよい。
【0045】
−−−処理フロー例1−−−
以下、本実施形態における農産物トレーサビリティ方法の実際手順について、図に基づき説明する。なお、以下で説明する農産物トレーサビリティ方法に対応する各種動作は、前記システム100がメモリに読み出して実行するプログラムによって実現される。そしてこのプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0046】
図5は、本実施形態の農産物トレーサビリティ方法の処理手順例1を示すフロー図である。ここでは、小売単位農産物を出荷する際に、出荷に伴う情報の登録をシステム100で行う際の処理について説明する。小売単位農産物を出荷する生産者は、収穫した農産物(例えば、菜っ葉)を出荷するために、例えば、農産物の形態に応じて出荷ダンボールに箱詰めする。例えば、出荷場に設置された記録媒体付帯手段115が、農産物結束用テープ40の最初の2次元バーコード43(例:農産物識別番号“01”)を、農産物出荷伝票20における前記領域23に、次の2次元バーコード43(例:農産物識別番号“02”)を出荷用ダンボールに各々貼り付け処理する(s100)。
【0047】
その後、前記出荷段ボールへの菜っ葉の箱詰め(前記記録媒体付帯手段115が行っても良いし、出荷場備え付けの出荷装置が自動処理してもよい)が終了した後、記録媒体付帯手段115は、使用した農産物結束用テープ40の最後の2次元バーコード43(例:農産物識別番号“14”)を農産物出荷伝票20における前記領域24に貼り付け処理する(s101)。
【0048】
また、前記システム100の番号取得手段110は、前記出荷段ボールに一番最初に詰められ、農産物結束用テープ40でくくられた菜っ葉(=小売単位農産物)に付帯した農産物結束用テープ40の二次元バーコード部分(=記録媒体10)の読み取りに代えて、前記農産物出荷伝票20における領域23に貼付された農産物結束用テープ40の二次元バーコード部分に対する読取りを実行し、前記出荷段ボールを単位とした出荷単位において最小の農産物識別番号を取得する(s102)。同様に、前記出荷段ボールに最後に詰められ、農産物結束用テープ40でくくられた菜っ葉(=小売単位農産物)に付帯した農産物結束用テープ40の二次元バーコード部分(=記録媒体10)の読み取りに代えて、前記農産物出荷伝票20における領域24に貼付された農産物結束用テープ40の二次元バーコード部分に対する読取りを実行し、前記出荷段ボールを単位とした出荷単位において最大の農産物識別番号を取得する(s103)。
【0049】
また、前記システム100のトレーサビリティ情報取得手段111は、前記出荷単位に含まれる小売単位農産物に関する生産履歴などのトレーサビリティ情報を、ネットワーク140で接続された他端末または入力インターフェイス105から受け付けて取得する(s104)。このトレーサビリティ情報は、前記農産物出荷伝票20における記載内容に対応するものであるから、農産物出荷伝票20が電子ファイルであれば、農産物出荷伝票20を格納する記憶装置から記載データを読み取って取得するとしてもよいし、農産物出荷伝票20が紙媒体であれば、これを読み取った担当者らが、例えば、図9に示す出荷情報登録画面900を介して記載内容の入力を行い、この入力内容をもってトレーサビリティ情報として取得するとしてもよい。
【0050】
前記システム100の情報格納手段112は、前記出荷単位に関する前記最小および最大の農産物識別番号と、前記トレーサビリティ情報と、当該トレーサビリティ情報の照会用に採番した生産履歴照会番号とを対応付けて記憶装置101に格納する(s105)。本実施形態の例では、前記出荷情報格納テーブル125において、前記出荷単位に関する前記最小および最大の農産物識別番号と前記生産履歴照会番号とが格納され、また、前記生産履歴情報格納テーブル126において、前記トレーサビリティ情報と前記生産履歴照会番号とが格納されている。両者は生産履歴照会番号をキーにして結びついたリレーショナルデータベースとなっている。
【0051】
−−−処理フロー例2−−−
図6は、本実施形態の農産物トレーサビリティ方法の処理手順例2を示すフロー図である。次に、農産物の小売業者が農産物を仕入れ、店頭で消費者に販売する際に生じる一連の処理について説明する。前記小売業者が農産物の生産者から仕入れた農産物(例:入荷単位は出荷段ボール)について、小売業者は、商品受入時の処理として出荷段ボール等に添付された伝票等から商品名、数量を読み取って、例えば、小売業者端末200の商品受入画面1000(図10参照)での入力を実行するものとする。ここで入力された情報は、小売業者端末200が取得する(こうした処理は従来から行われていることなので詳細は省略する)。
【0052】
また、前記小売業者端末200の読取り手段210は、小売単位農産物を梱包している前記出荷段ボールに貼付された農産物結束用テープ40の二次元バーコード部分(=記録媒体10)に対する読取り処理を実行する(s200)。そして、前記小売業者端末200の要求送信手段211は、前記読取り処理を行って得られた、前記記録媒体10が記録していた農産物識別番号を含んだ、トレーサビリティ情報の照会用番号の回答要求を、ネットワーク140を介して前記システム100に送信する(s201)。
【0053】
一方、システム100では、前記要求受信手段113が、前記小売業者端末200より、前記農産物識別番号を含む生産履歴照会番号の回答要求を受信する(s202)。そして、前記番号回答手段114が、前記回答要求に含まれていた農産物識別番号を、前記記憶装置101の出荷情報格納テーブル125ないし生産履歴情報格納テーブル126において各出荷単位に関し格納されているロット先頭識別コード(最小の農産物識別番号)およびロット末尾識別コード(最大の農産物識別番号)のセットと照合し、前記農産物識別番号が前記最小および最大の農産物識別番号の範囲に含まれる出荷単位を検索する(s203)。前記番号回答手段114は、この検索により、前記回答要求に含まれていた農産物識別番号を、前記ロット先頭識別コード(最小の農産物識別番号)から前記ロット末尾識別コード(最大の農産物識別番号)の範囲に含む出荷単位を特定し、この出荷単位に対応付けされた生産履歴照会番号を特定する(s204)。特定した生産履歴照会番号は、システム100から前記小売業者端末200に返信される(s205)。
【0054】
なお、前記システム100の番号回答手段114は、前記農産物識別番号をkeyとして、出荷情報格納テーブル125におけるレコードのロット1からロット4までの先頭識別コードおよび末尾識別コードと比較し、前記農産物識別番号が含まれるロットのレコードの先頭識別コードを「sno」に、末尾識別コードを「eno」に、生産履歴照会番号を「refno」にセットし、リモートプロシジャコールの結果として小売業者端末200に返すといった、リモートプロシジャコール処理を実行すると想定できる。
【0055】
他方、前記小売業者端末200の履歴番号取得手段212は、前記回答要求に応じて前記システム100から返信されてきた生産履歴照会番号を受信し、この生産履歴照会番号と前記小売単位農産物の農産物識別番号とを対応付けて記憶装置101の生産履歴照会番号テーブル128に格納する(s206)。
【0056】
こうして、商品受入れに伴う処理が終了した後、前記小売業者は受入れた農産物を出荷段ボールから取出し、小売店舗の陳列棚等に陳列することとなる。消費者は、小売店舗を訪れて前記陳列棚の商品を購入する。この時、小売業者端末200と接続されたレジのPOS端末は、前記消費者に購入される商品(小売単位農産物)に対し、農産物結束用テープ40の一部たる二次元バーコード部分の読取り処理を実行する(s207)。
【0057】
続いて前記小売業者端末200のレシート印字手段213は、前記小売単位農産物に付帯する二次元バーコードから読み取った農産物識別番号を、前記記憶装置201の生産履歴照会番号テーブル128で照会し、該当する生産履歴照会番号とJANコードを特定する(s208)。また、前記レシート印字手段213は、前記JANコードをキーに、前記JANコードテーブル127で該当商品の商品名と商品価格を検索する(s209)。そして、前記生産履歴照会番号を、前記JANコードに基づく商品名、単価の各情報と共にレシート30に印刷する(s210)。
【0058】
こうして小売単位農産物が消費者に販売されていくこととなるが、小売単位農産物を購入した消費者からのトレーサビリティ情報の閲覧要求に備え、前記小売業者端末200のトレーサビリティ情報要求手段214は、前記小売単位農産物に関するトレーサビリティ情報を、前記生産履歴照会番号をキーに前記システム100に要求する(s211)。システム100はこの要求に対して、前記生産履歴照会番号をキーとして、記憶装置101の前記生産履歴情報格納テーブル126での検索を実行して、生産者関連データ、産地関連データ、栽培履歴データを取得し、これらトレーサビリティ情報を小売業者端末200に返信する(s212)。一方、小売業者端末200ではこれらトレーサビリティ情報をシステム100から受信し、該当小売単位農産物に対応付けて記憶装置201の所定領域に格納する(s213)。
【0059】
−−−処理フロー例3−−−
図7は、本実施形態の農産物トレーサビリティ方法の処理手順例3を示すフロー図である。続いて、小売単位農産物を購入した消費者がトレーサビリティ情報を照会する際の処理について説明する。前記消費者は、例えば、パソコン等の利用者端末300をネットワーク140を介して小売業者端末200に接続させる。この時、小売業者端末200は、前記利用者端末300に対して、トレーサビリティ情報の閲覧要求時に必要な情報の入力画面データを送信する(s300)。利用者端末300では前記入力画面データを受信して出力インターフェイスにて表示する(s301)。前記消費者は、前記小売業者の店舗で受領したレシート30に印字されている農産物識別番号を読み取って、前記出力インターフェイスに表示中の入力画面にて入力することとなる。
【0060】
前記利用者端末300は、前記農産物識別番号の入力を受け付けて、これを含むトレーサビリティ情報の閲覧要求を生成し、小売業者端末200に送信する(s302)。
【0061】
一方、前記小売業者端末200のトレーサビリティ情報返信手段215は、前記レシートを所持する購入者の利用者端末300から、前記生産履歴照会番号を含むトレーサビリティ情報の閲覧要求を受信する(s303)。そして、この閲覧要求が含む生産履歴照会番号に対応するトレーサビリティ情報(前記ステップs213で格納したもの)を前記記憶装置201の所定領域から読み出して、前記利用者端末300に返信する(s304)。利用者端末300では、このトレーサビリティ情報を小売業者端末200から受信して出力インターフェイス上に表示し(s305)、処理を終了する。
【0062】
また他の例として、前記消費者がカメラ付き携帯電話機を使用し、購入した小売単位農産物に付帯する農産物結束用テープ40上の二次元バーコード部分を撮影し、そして、この画像データが添付された電子メールをトレーサビリティ情報の閲覧要求として、携帯電話機が小売業者端末200に送信するという例も想定できる。
【0063】
この場合、前記小売業者端末200のトレーサビリティ情報返信手段215は、前記閲覧要求を受信し、この閲覧要求が含む二次元バーコードを復号して農産物識別番号を取得し、この農産物識別番号から生産履歴照会番号を特定した上で、この生産履歴照会番号に対応するトレーサビリティ情報を前記記憶装置201から読み出して、前記利用者端末30に返信することとなる。
【0064】
本実施形態によれば、多量に出荷され、バラバラの小売単位で販売される農産物について、農産物生産者においては生産履歴管理に必要な農産物出荷情報の登録作業の軽減が計れ、農産物販売者(小売業者)においては、消費者に対してバラ売りする農産物についても生産履歴照会に必要な農産物の生産履歴照会番号の提供が実現できる。
【0065】
したがって、トレーサビリティ情報の登録・管理が農産物の小売単位毎に関しても優れた効率で実行可能となり、利用者の手間を軽減すると共に確実なトレーサビリティ情報の検索・提供が可能となる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態における農産物トレーサビリティシステムの全体構成図である。
【図2】本実施形態における(a)出荷情報格納テーブル、(b)生産履歴情報格納テーブル、(c)JANコードテーブル、(d)生産履歴照会番号テーブルの各データ構成例を示す図である。
【図3】本実施形態の農産物結束用テープの形態例を示す図である。
【図4】本実施形態の小売単位農産物に貼付のシールを示す図である。
【図5】本実施形態の農産物出荷伝票例を示す図である。
【図6】本実施形態の農産物トレーサビリティ方法の処理手順例1を示すフロー図である。
【図7】本実施形態の農産物トレーサビリティ方法の処理手順例2を示すフロー図である。
【図8】本実施形態の農産物トレーサビリティ方法の処理手順例3を示すフロー図である。
【図9】本実施形態の出荷情報登録画面例を示す図である。
【図10】本実施形態の商品受入画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10 記録媒体
20 農産物出荷伝票
30 レシート
40 農産物結束用テープ
50 シール
100 農産物トレーサビリティシステム
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 CPU
105 入力インターフェイス
106 出力インターフェイス
107 通信装置
110 番号取得手段
111 トレーサビリティ情報取得手段
112 情報格納手段
113 要求受信手段
114 番号回答手段
115 記録媒体付帯手段
125 出荷情報格納テーブル
126 生産履歴情報格納テーブル
127 JANコードテーブル
128 生産履歴照会番号テーブル
140 ネットワーク
200 小売業者端末
210 読取り手段
211 要求送信手段
212 履歴番号取得手段
213 レシート印字手段
214 トレーサビリティ情報要求手段
215 トレーサビリティ情報返信手段
300 利用者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物のトレーサビリティ情報の登録・管理を行うコンピュータシステムであって、
小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体のうち、所定の出荷単位中で最小の農産物識別番号を記録した記録媒体と最大の農産物識別番号を記録した記録媒体とに対する記録情報の読取り処理を行って前記最小および最大の農産物識別番号を取得する番号取得手段と、
前記出荷単位に含まれる小売単位農産物に関する生産履歴などのトレーサビリティ情報を、ネットワークで接続された他端末または入力インターフェイスから受け付けて取得するトレーサビリティ情報取得手段と、
前記出荷単位に関する前記最小および最大の農産物識別番号と、前記トレーサビリティ情報と、当該トレーサビリティ情報の照会用に採番した生産履歴照会番号とを対応付けて記憶装置に格納する、情報格納手段と、
前記出荷単位の農産物を受け入れて当該出荷単位が含む前記小売単位農産物の販売をする業者の小売業者端末より、前記小売単位農産物が付帯する記録媒体への読取り処理で得た農産物識別番号を含む、生産履歴照会番号の回答要求を受信する要求受信手段と、
前記回答要求に含まれていた農産物識別番号を、前記記憶装置において各出荷単位に関し格納されているデータと照合し、前記農産物識別番号が前記最小および最大の農産物識別番号の範囲に含まれる出荷単位を検索し、この出荷単位に対応付けされた生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号を前記小売業者端末に返信する、番号回答手段と、
を備えることを特徴とする農産物トレーサビリティシステム。
【請求項2】
前記出荷単位に梱包時の小売単位農産物のうち、最初に梱包処理を行う小売単位農産物に対し、前記最小の農産物識別番号を記録した記録媒体を付帯させ、最後に梱包処理を行う小売単位農産物に対し、前記最大の農産物識別番号を記録した記録媒体を付帯させる処理を実行する、記録媒体付帯手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の農産物トレーサビリティシステム。
【請求項3】
前記記録媒体付帯手段は、前記出荷単位毎に、前記最小の農産物識別番号より一つ前の連番の農産物識別番号を記録した記録媒体と、前記最大の農産物識別番号より一つ後の連番の農産物識別番号を記録した記録媒体とを、所定の農産物出荷伝票に貼付処理するものであり、
前記番号取得手段は、前記農産物出荷伝票に貼付された記録媒体に対する読取り処理を行って、当該記録媒体の記録している農産物識別番号の範囲内にある、前記出荷単位中で最小の農産物識別番号と最大の農産物識別番号を取得するものである、
ことを特徴とする請求項2に記載の農産物トレーサビリティシステム。
【請求項4】
農産物のトレーサビリティ情報の登録・管理を行うコンピュータが、
小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体のうち、所定の出荷単位中で最小の農産物識別番号を記録した記録媒体と最大の農産物識別番号を記録した記録媒体とに対する記録情報の読取り処理を行って前記最小および最大の農産物識別番号を取得する処理と、
前記出荷単位に含まれる小売単位農産物に関する生産履歴などのトレーサビリティ情報を、ネットワークで接続された他端末または入力インターフェイスから受け付けて取得する処理と、
前記出荷単位に関する前記最小および最大の農産物識別番号と、前記トレーサビリティ情報と、当該トレーサビリティ情報の照会用に採番した生産履歴照会番号とを対応付けて記憶装置に格納する処理と、
前記出荷単位の農産物を受け入れて当該出荷単位が含む前記小売単位農産物の販売をする業者の小売業者端末より、前記小売単位農産物が付帯する記録媒体への読取り処理で得た農産物識別番号を含む、生産履歴照会番号の回答要求を受信する処理と、
前記回答要求に含まれていた農産物識別番号を、前記記憶装置において各出荷単位に関し格納されているデータと照合し、前記農産物識別番号が前記最小および最大の農産物識別番号の範囲に含まれる出荷単位を検索し、この出荷単位に対応付けされた生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号を前記小売業者端末に返信する処理と、
を実行することを特徴とする農産物トレーサビリティ方法。
【請求項5】
農産物のトレーサビリティ情報の登録・管理を行うコンピュータに、
小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体のうち、所定の出荷単位中で最小の農産物識別番号を記録した記録媒体と最大の農産物識別番号を記録した記録媒体とに対する記録情報の読取り処理を行って前記最小および最大の農産物識別番号を取得するステップと、
前記出荷単位に含まれる小売単位農産物に関する生産履歴などのトレーサビリティ情報を、ネットワークで接続された他端末または入力インターフェイスから受け付けて取得するステップと、
前記出荷単位に関する前記最小および最大の農産物識別番号と、前記トレーサビリティ情報と、当該トレーサビリティ情報の照会用に採番した生産履歴照会番号とを対応付けて記憶装置に格納するステップと、
前記出荷単位の農産物を受け入れて当該出荷単位が含む前記小売単位農産物の販売をする業者の小売業者端末より、前記小売単位農産物が付帯する記録媒体への読取り処理で得た農産物識別番号を含む、生産履歴照会番号の回答要求を受信するステップと、
前記回答要求に含まれていた農産物識別番号を、前記記憶装置において各出荷単位に関し格納されているデータと照合し、前記農産物識別番号が前記最小および最大の農産物識別番号の範囲に含まれる出荷単位を検索し、この出荷単位に対応付けされた生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号を前記小売業者端末に返信するステップと
を実行させる農産物トレーサビリティプログラム。
【請求項6】
小売単位の農産物の販売をする業者の端末であって、
小売単位の農産物をユニークに特定可能な番号であり小売単位毎に連続する農産物識別番号を記録し、小売単位農産物に付帯した記録媒体に対する読取り処理を実行する、読取り手段と、
前記小売単位の農産物が付帯する記録媒体への読取り処理を行って、前記記録媒体が記録していた農産物識別番号を取得し、この農産物識別番号を含んだ、トレーサビリティ情報の照会用番号の回答要求を、ネットワークを介してトレーサビリティシステムに送信する、要求送信手段と、
前記回答要求に応じて前記トレーサビリティシステムから返信されてきた生産履歴照会番号を受信し、この生産履歴照会番号と前記小売単位農産物の農産物識別番号とを対応付けて記憶装置に格納する、履歴番号取得手段と、
小売単位農産物の販売に伴って、該当小売単位農産物の農産物識別番号を前記記憶装置で照会し、該当する生産履歴照会番号を特定し、この生産履歴照会番号をレシートに印刷するレシート印字手段と、
を備えることを特徴とする小売業者端末。
【請求項7】
小売単位農産物に関するトレーサビリティ情報を、前記生産履歴照会番号をキーに前記トレーサビリティシステムに要求して取得し、このトレーサビリティ情報を該当小売単位農産物に対応付けて記憶装置に格納する、トレーサビリティ情報要求手段と、
前記レシートを所持する購入者の利用者端末から、前記生産履歴照会番号を含むトレーサビリティ情報の閲覧要求を受信し、この閲覧要求が含む生産履歴照会番号に対応するトレーサビリティ情報を前記記憶装置から読み出して、前記利用者端末に返信する、トレーサビリティ情報返信手段と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の小売業者端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−151668(P2009−151668A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330555(P2007−330555)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】