説明

近接に基づく高周波電力制御を備えた電子デバイス

【課題】自身のネットワークで用いられる電話機が、電話機の満足な動作を確保するための特定の最小高周波電力を生成できるようにする。
【解決手段】電子デバイス10は、アンテナと、関連する無線通信回路とを有する。センサ25,27(近接センサなど)は、電子デバイスがユーザの頭部に近接していることを検出するために用いられる。電子デバイス内の制御回路は、高周波信号送信電力レベルを調整するために用いられてよい。電子デバイスがユーザの頭部から所定の距離内に存在すると判定された場合、高周波信号送信電力レベルは、低減される。電子デバイスがユーザの頭部から所定の距離内にないと判定された場合、高周波信号送信電力レベルに対する近接に基づいた制限が、解除される。データは、送信電力レベルの調整方法を決定する際に利用するために、タッチセンサ、加速度計、環境光センサ、および、その他のデータ源から収集されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子デバイスに関し、特に、電子デバイスの高周波回路のための出力制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド電子デバイスおよびその他のポータブル電子デバイスなどの電子デバイスが、ますます普及している。ハンドヘルドデバイスの例としては、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話、メディアプレーヤ、および、この種の複数のデバイスの機能を備えるハイブリッドデバイスが挙げられる。従来のハンドヘルド電子デバイスよりも幾分大きい人気のポータブル電子デバイスとしては、ラップトップコンピュータおよびタブレット型コンピュータが挙げられる。
【0003】
1つには移動できるという性質のため、ポータブル電子デバイスには、しばしば無線通信機能が設けられている。例えば、ハンドヘルド電子デバイスは、長距離無線通信を用いて無線基地局と通信することができる。携帯電話機、および、携帯電話機能を備えたその他のデバイスは、850MHz、900MHz、1800MHz、および、1900MHzの携帯電話帯域を用いて通信することができる。ポータブル電子デバイスは、短距離無線通信リンクも利用しうる。例えば、ポータブル電子デバイスは、2.4GHzおよび5.0GHzのWi−Fi(登録商標)(IEEE802.11)帯域、ならびに、2.4GHzのBluetooth(登録商標)帯域を用いて通信してよい。また、2100MHzでのデータ通信が可能である。
【0004】
スモールフォームファクタ無線デバイスへの消費者の需要を満足させるために、製造業者は、機能を向上しつつ、これらのデバイスに用いられる部品のサイズを縮小するため絶えず努力している。コンパクトなハンドヘルドデバイスのユーザを送信される高周波信号から完全に守ることは、一般に実行不可能なことである。例えば、従来の携帯電話機は、一般に、通話中、ユーザの頭部付近で信号を発信する。政府規制は、高周波信号電力を制限している。特に、電話機メーカーに最大エネルギ吸収制限を課すいわゆる比吸収率(SAR)基準が実施されている。同時に、無線通信事業者は、自身のネットワークで用いられる電話機が、電話機の満足な動作を確保するための特定の最小高周波電力を生成できることを求めている。
【0005】
したがって、無線ハンドヘルド型デバイスなどの電子デバイスのメーカーは、適用される政府規制に準拠する適切な高周波信号強度を有するデバイスを製造するにあたって難題に直面している。
【0006】
したがって、改良された無線能力を備えた電子デバイスを提供できることが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
無線通信機能を有する電子デバイス(ハンドヘルド電子デバイスまたはその他のポータブル電子デバイスなど)が提供されうる。高周波信号を送受信するために、アンテナが利用されてよい。信号は、携帯電話通信帯域に対応付けられていてもよい。
【0008】
デバイスには、近接センサが設けられてよい。近接センサは、光源(発光ダイオードなど)および光検出器を備えてよい。デバイスの動作中に、光源は光を放出する。ユーザの頭部などの物体が電子デバイスから所定の距離内に存在する場合、放射光は、電子デバイスに向かって反射され、光検出器によって検出される。これにより、電子デバイスは、電子デバイスがユーザの頭部に近接しているか否かを判定することができる。
【0009】
また、電子デバイスがユーザの頭部に近接しているか否かに関する情報は、他のデータ源からのデータを用いて収集されてもよい。例えば、電子デバイスは、タッチセンサを備えたタッチスクリーンを有してもよいし、その他のタッチセンサ式の構成要素を有してもよい。これらのタッチセンサからの信号は、電子デバイスがユーザの頭部に近接しているか否かを判定する助けとなるよう利用されてよい。電子デバイスは、さらに、環境光センサおよび加速度計などのセンサを有してもよい。環境光センサは、デバイスの前面を影が横切ったことを検出しうるものであり、これは、電子デバイスと外部の物体との間の距離が近いことを示しうる。加速度計は、地面に対する電子デバイスの現在の向きを示すデータと、デバイスが動いているか静止しているかを示すデータとを生成しうる。デバイスの縁部の1つが地面を向くような向きにデバイスが保持されている状況、および、デバイスが移動している状況では、電子デバイスは、電子デバイスがユーザの頭部に近接していると結論づけることができる。
【0010】
電子デバイスは、調整可能な高周波電力増幅器を有してよい。デバイスは、高周波電力増幅器からの出力電力を調整して、送信される携帯電話信号の出力レベルを制御してよい。電子デバイスがユーザの頭部に近接すると判定された場合、最大許容送信電力レベルが制限されてよい。電子デバイスがユーザの頭部に近接していないと判定された場合、デバイスの高周波送信電力は制限されなくてもよい。
【0011】
添付の図面と、以下で行う好ましい実施形態の詳細な説明から、本発明のさらなる特徴、性質、および、様々な利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に従って、ポータブル電子デバイスの一例を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に従って、ポータブル電子デバイスの一例を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態に従って、電子デバイスが人体の一部などの物体に近接していることを検出するために、どのようにセンサが利用されうるのかを示す電子デバイスの一例の図。
【図4】本発明の一実施形態に従って、出力電力制御機能を有する電子デバイス(無線ポータブル電子デバイスなど)で利用可能な回路の一例を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に従って、無線電子デバイスにおいて送信高周波電力を制御する際に用いられるステップの例を示すフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態に従って、送信高周波信号電力が、ネットワーク制御コマンドと、近接センサデータなどのデータに基づいてローカルに設定された電力制限とに応じて、時間の関数として制御されうる様子を示すグラフ。
【図7】本発明の一実施形態に従って、送信信号に適切な高周波信号電力設定を決定するために無線電子デバイスにおいてデータを収集および解析する際に用いられるステップの例を示すフローチャート。
【図8】本発明の一実施形態に従って、1または複数の通信帯域が利用されているシナリオにおいて送信信号に適切な高周波信号電力設定を決定するために無線電子デバイスにおいてデータを収集および解析する際に用いられるステップの例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、一般に、電子デバイスに関し、特に、ハンドヘルド電子デバイスなどのポータブル電子デバイスにおいて送信される高周波電力のレベルを管理することに関する。
【0014】
電子デバイスは、ポータブル電子デバイスであってよく、ラップトップコンピュータ、または、ウルトラポータブルとも呼ばれる小型ポータブルコンピュータなどが含まれる。ポータブル電子デバイスは、もう少し小型のデバイスでもあってもよい。より小型のポータブル電子デバイスの例としては、うで時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドホンおよびイヤホン型デバイス、ならびに、その他の装着可能な小型デバイスが挙げられる。適切な一構成では、ポータブル電子デバイスは、無線電子デバイスであってよい。
【0015】
無線電子デバイスは、例えば、携帯電話、無線通信機能を備えたメディアプレーヤ、ハンドヘルドコンピュータ(携帯情報端末とも呼ばれる)、リモートコントローラ、全地球測位システム(GPS)デバイス、および、ハンドヘルドゲーム機などのハンドヘルド無線デバイスであってよい。無線電子デバイスは、複数の従来のデバイスの機能を併せ持つハイブリッドデバイスでもあってもよい。ハイブリッドポータブル電子デバイスの例としては、メディアプレーヤの機能を備えた携帯電話、無線通信機能を備えたゲーム機、ゲームおよび電子メール機能を備えた携帯電話、ならびに、電子メールを受信し、移動電話機能をサポートし、音楽プレーヤ機能を有し、ウェブブラウジング機能をサポートするポータブルデバイスが挙げられる。これらは、例示に過ぎない。
【0016】
本発明の一実施形態に従ったポータブル電子デバイスの一例を、図1に示す。図1のデバイス10は、例えば、第2世代および/または第3世代携帯電話およびデータ機能、全地球測位システム機能、ならびに、ローカル無線通信機能(例えば、IEEE802.11およびBluetooth(登録商標))をサポートすると共に、インターネットブラウジング、電子メールおよびカレンダー機能、ゲーム、音楽プレーヤ機能などのハンドヘルドコンピュータデバイス機能をサポートするハンドヘルド電子デバイスであってよい。
【0017】
デバイス10は、筐体12を有してよい。無線通信に対応するためのアンテナは、(一例として)筐体12内部に収容されてよい。
【0018】
筐体12(ケースとも呼ぶ)は、プラスチック、ガラス、セラミック、金属、または、その他の適切な材料、もしくは、これらの材料の組み合わせなど、任意の適切な材料で形成されてよい。場合によっては、筐体12に近接して配置された導電性アンテナ素子の動作を妨害しないように、筐体12または筐体12の部分が、誘電体またはその他の低導電性材料から形成されてもよい。筐体12または筐体12の部分は、金属などの導電材料から形成されてもよい。プラスチックなどの誘電材料から筐体12を形成することの利点は、デバイス10の総重量の軽減に役立ちうることである。
【0019】
筐体12が金属要素から形成された場合に、それらの金属要素の内の1または複数が、デバイス10のアンテナの一部として用いられてもよい。例えば、デバイス10の接地板要素を大きくするために、筐体12の金属部分が、デバイス10の内部接地板に短絡されてよい。筐体12は、ディスプレイ16を囲むベゼル14などのベゼルを有してよい。ベゼル14は、導電材料またはその他の適切な材料から形成されてよく、デバイス10のアンテナの一部として用いられてよい。例えば、ベゼル14は、アンテナ接地板の一部を形成するために、プリント回路基板の導体またはデバイス10の他の内部接地板構造に短絡されてよい。
【0020】
ディスプレイ16は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、または、その他の任意の適切なディスプレイであってよい。ディスプレイ16の最外面は、1または複数のプラスチックまたはガラスの層で形成されてよい。必要に応じて、タッチスクリーン機能が、ディスプレイ16に組み込まれてもよいし、別個のタッチパッドデバイスを用いて提供されてもよい。ディスプレイ16にタッチスクリーンを組み込んでディスプレイ16をタッチセンサ式にすることの利点は、このような構成によって空間を節約すると共に視覚的な乱雑さを低減することができる点である。ディスプレイ16などのタッチスクリーンディスプレイは、静電容量タッチセンサもしくは任意のその他の適切なタッチセンサ(例えば、抵抗タッチセンサ、光または音波に基づくタッチセンサなど)から形成されてよい。静電容量タッチセンサの利点は、物体がディスプレイに直接接触しない場合でも、物体の存在を感知するために利用できることである。
【0021】
ディスプレイスクリーン16(例えば、タッチスクリーン)は、電子デバイス10で用いることのできる入出力デバイスの一例にすぎない。必要に応じて、電子デバイス10は、他の入出力デバイスを有してもよい。例えば、電子デバイス10は、ボタン19などのユーザ入力制御デバイスと、ポート20および1または複数の入出力ジャック(例えば、オーディオおよび/またはビデオ用)などの入出力構成要素を有してもよい。ボタン19は、例えば、メニューボタンであってよい。ポート20は、(一例として)30ピンのデータコネクタを含んでよい。開口部22および24は、必要に応じて、スピーカおよびマイクポートを形成しうる。スピーカポート22は、スピーカフォンモードでデバイス10を作動させる時に用いられてよい。開口部23もスピーカポートを形成してよい。例えば、スピーカポート23は、動作中、ユーザの耳に隣接して配置される電話の受話器として機能してよい。図1の例では、図に示すように、ディスプレイスクリーン16は、ハンドヘルド電子デバイス10の前面に設置されているが、ディスプレイスクリーン16は、必要に応じて、ハンドヘルド電子デバイス10の背面、デバイス10の側面、ヒンジ(一例)によってデバイス10の本体部分に取り付けられたデバイス10の跳ね上げ部に取り付けられてもよいし、また、その他の任意の適切な構成で設置されてもよい。
【0022】
電子デバイス10のユーザは、ボタン19およびタッチスクリーン16などのユーザ入力インターフェースデバイスを用いて入力コマンドを供給してよい。電子デバイス10に適切なユーザ入力インターフェースデバイスとしては、ボタン(例えば、英数字キー、電源オン−オフ、電源オン、電源オフ、および、その他の特別なボタンなど)、タッチパッド、ポインティングスティック、または、その他のカーソル制御デバイス、音声コマンドを供給するためのマイク、もしくは、デバイス10を制御するためのその他の任意の適切なインターフェースが挙げられる。図に示すように、図1の例では電子デバイス10の上面に形成されているが、ボタン(ボタン19など)およびその他のユーザ入力インターフェースデバイスは、一般に、ハンドヘルド電子デバイス10の任意の適切な部分に形成されてよい。例えば、ボタン(ボタン19など)またはその他のユーザインターフェースコントロールは、電子デバイス10の側面に形成されてもよい。ボタンおよびその他のユーザインターフェースコントロールは、デバイス10の上面、背面、または、その他の部分に配置されてもよい。必要に応じて、デバイス10は、遠隔制御されてもよい(例えば、赤外線遠隔制御、Bluetooth(登録商標)遠隔制御などの高周波遠隔制御、などを用いて)。
【0023】
デバイス10は、デバイス10の環境および条件に関する情報を提供するセンサを含んでよい。例えば、デバイス10は、近接センサ(センサ25など)および環境光センサ(環境光センサ27)を備えてよい。
【0024】
近接センサ25は、例えば、発光ダイオード(LED)および関連する光検出器(フォトダイオードなど)を含んでいてよい。発光ダイオードは、(一例として)赤外発光ダイオードであってよい。近接する物体からの反射光が、フォトダイオードを用いて検出されうる。十分な反射光が検出された場合、人体の一部(例えば、頭部、指、または、手)もしくはその他の物体がセンサ25の近くに位置すると結論づけることができる。不十分な反射光が検出された場合、センサ25の近くに位置する物体がないと結論づけることができる。必要に応じて、センサ25からの放射光は、レンズまたはその他の集束構造を用いてセンサ25から特定の距離に集中されてもよい。これは、この特定の距離に位置する物体(例えば、ディスプレイ16の平坦な前面から0.5cmないし10cmに位置する物体)からの反射信号の強度を強める助けとなりうる。
【0025】
近接センサの発光ダイオードは、特定の周波数で変調されてもよいし、任意のその他の適切な変調パターンを用いて変調されてもよい。発光ダイオードを駆動するために変調パターンを用いることは、反射した発光ダイオード信号を背景照明と区別するのに役立ちうる。これは、近接センサの信号対ノイズ比を増大させうる。必要に応じて、近接センサ25は、発光ダイオード構成以外の近接検出構成に基づいていてもよい。例えば、デバイス10のための近接センサは、静電容量センサ、環境光(デバイス10からの放射光ではない光)だけで機能する光検出器、音響近接センサ(例えば、超音波を用いて、近接する物体の有無を判定するセンサ)、反射した電磁波(例えば、高周波)を検出するセンサ、または、近接する物体の存在を検出できる任意のその他の適切なセンサに基づいてよい。
【0026】
環境光センサ27は、デバイス10の周囲の環境照明のレベルを検出するために用いられてよい。環境光センサ27は、可視光に反応するフォトダイオードを用いて実装されてよい。通例は、近接センサ25および環境光センサ27に別個の光ダイオードが用いられるが、環境光センサ27のフォトダイオード機能および(光を利用した近接検出器における)近接センサ25のフォトダイオード機能は、必要に応じて、共通のフォトダイオードを用いて実装されてもよい。環境光センサ27によって集められた光の量に関する情報は、(一例として)ディスプレイ16のスクリーンの輝度を調節するために用いられてよい。
【0027】
必要に応じて、近接センサの機能は、複数の機能を提供する装置を用いて、デバイス10に実装されてもよい。一例として、タッチディスプレイ16の一部である静電容量タッチセンサまたはその他のかかるタッチセンサが、近くの物体の存在を検出する際に用いられてよい。通常動作中、タッチセンサの出力信号は、ユーザがスクリーン16の様々な部分に対して指を押しつけた際に、ユーザ入力選択を特定するために用いられてよい。近接センサとして用いられる場合、タッチスクリーンの出力信号は、物体がデバイス10に近接しているか否かを判定するように処理されてよい。このような構成では、ディスプレイ16のタッチセンサ部分から取得された容量値は、例えば、ユーザがユーザの頭部の隣にデバイス10を配置しているか否かを判定するために処理されてよい。スクリーン16の近傍にユーザの頭部が存在することにより、ディスプレイからの容量値(または、その他のかかるタッチセンサの測定値)が変化するため、ユーザの頭部の存在は、従来の近接センサを用いることなく検出することが可能である。別の例として、環境光センサからの光量値が、デバイス10への物体の近接を示すものとして用いられてよい(例えば、物体の存在を示す影を検出することによって)。また、ディスプレイを持たないタッチパッドが、近接データを生成するために用いられてもよい。
【0028】
精度を向上させるため、複数の近接センサ装置(例えば、LEDを利用した近接センサ、近接を検出するために用いられる環境光センサ、静電容量タッチスクリーンなど)からの信号が、並列処理されてもよい。このような構成では、デバイス10は、デバイス10が物体に近接して配置されているか否かをより正確に判定しうる。
【0029】
図1の近接センサ25および環境光センサ27の位置は、例示に過ぎない。これらのようなセンサは、デバイス10の任意の適切な位置に配置されてよい。図1に示したような位置が用いられる場合、センサ25および27は、デバイス10の上端が、ユーザの耳および頭部に近接して配置されているか否かに関する情報を取得する。このような配置は、ユーザがデバイス10を携帯電話として利用している時に生じる。デバイス10を用いて通話をする時、レシーバ23は、ユーザの耳のすぐそばに配置され、マイクポート24は、ユーザの口の近くに配置される。必要に応じて、近接センサ25および/または環境光センサ25などのセンサは、デバイス10の下端(マイク側)に配置されてもよい。例えば、近接センサ25は、マイク24がユーザの顔に近接する時に検知する助けとなるよう、メニューボタン19に隣接して配置されてもよい。
【0030】
ディスプレイ16およびその他のユーザ入力インターフェースデバイスなどの構成要素は、(図1の例に示すように)デバイス10の前面の利用可能な表面領域の大部分を占める場合もあるし、デバイス10の前面の狭い部分しか占めない場合もある。ディスプレイ16などの電子部品は、しばしば、(例えば、高周波遮蔽として)大量の金属を含むため、一般に、デバイス10において、これらの構成要素のアンテナ素子に対する位置を考慮することが好ましい。デバイスのアンテナ素子および電子部品の位置を適切に選択すると、電子デバイス10のアンテナは電子部品に妨害されることなく適切に機能することが可能になる。
【0031】
アンテナ構造をデバイス10に配置する位置の例としては、領域18および領域21が挙げられる。これらは、例示に過ぎない。必要に応じて、デバイス10の任意の適切な部分が、デバイス10のアンテナ構造を収容するために用いられてよい。
【0032】
任意の適切なアンテナ構造が、デバイス10で用いられてよい。例えば、デバイス10は、1つのアンテナを有してもよいし、複数のアンテナを有してもよい。デバイス10のアンテナの各々が、単一の通信帯域をカバーするために用いられてもよいし、各アンテナが、複数の通信帯域をカバーしてもよい。必要に応じて、1または複数のアンテナが、単一の帯域をカバーしつつ、1または複数のさらなるアンテナが、各々、複数の帯域をカバーするために用いられてよい。
【0033】
アンテナが、2以上の帯域での通信をサポートする必要がある構成では、アンテナは、複数帯域の動作をサポートする形状を有してよい。例えば、アンテナは、様々な異なる長さのアームを備えた共鳴素子、および/または、所望の高周波数帯域で共振する様々な異なるサイズのスロットを備えた接地板を有してよい。アンテナスロットの存在下で、逆Fアンテナ素子、板状逆Fアンテナ素子、または、その他のアンテナ構造を用いて、ハイブリッド・スロット/非スロットアンテナを形成してもよい。
【0034】
アンテナ(例えば、ハイブリッド・スロット/非スロットアンテナ、または、その他の適切なアンテナ)は、デバイス10の一端または両端で用いられてよい。例えば、1つのかかるアンテナが、(例えば、領域21において)2帯域アンテナとして用いられてよく、1つのかかるアンテナが、(例えば、領域18において)5帯域アンテナとして用いられてよい。
【0035】
領域18のアンテナは、(例えば、第2世代および/または第3世代の音声通信およびデータ通信用の)携帯電話アンテナとして用いられる場合、デバイス10においてマイクポート24と同じ側の端部に配置される。デバイス10がユーザの頭部の近くに保持され、マイク24が通話を行うために用いられている時、領域18のアンテナは、ユーザの頭部の近くにあるため、ユーザの頭部の近くで高周波信号を発する可能性がある。近接検出器25およびその他のセンサは、ユーザの頭部またはその他の近傍の物体の存在を検出する際に用いられてよい。ユーザの頭部の近傍における高周波放出に関する規制限度を確実に満たすために、デバイス10がユーザの頭部の近傍にあると判定された時に(すなわち、近接検出器25および/またはその他のセンサによって、物体がデバイス10の前面から数センチメートルまたはその他の適切な距離以内に存在すると判定された時に)、デバイス10は、領域18のアンテナが扱う最大許容送信高周波信号電力を低減してよい。
【0036】
一例としてハンドヘルド電子デバイスなどのポータブル電子デバイスの一実施形態の概略図を図2に示す。ポータブルデバイス10は、携帯電話、メディアプレーヤ機能を備えた携帯電話、ハンドヘルドコンピュータ、リモコン、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)デバイス、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ウルトラポータブルコンピュータ、これらのデバイスの一部またはすべての機能を含むハイブリッドデバイス、もしくは、その他の任意の適切なポータブル電子デバイスであってよい。
【0037】
図2に示すように、デバイス10は、記憶装置34を備えてよい。記憶装置34は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはその他の電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、電池式スタティックまたはダイナミック・ランダムアクセスメモリ)など、1または複数の異なるタイプの記憶装置を含んでよい。
【0038】
処理回路36は、デバイス10の動作を制御するために用いられてよい。処理回路36は、マイクロプロセッサおよびその他の適切な集積回路などのプロセッサに基づいていてよい。適切な一構成において、処理回路36および記憶装置34は、インターネット閲覧アプリケーション、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VOIP)電話アプリケーション、電子メールアプリケーション、メディア再生アプリケーション、オペレーティングシステム機能など、デバイス10上のソフトウエアを実行するために用いられる。処理回路36および記憶装置34は、適切な通信プロトコルの実装に用いられてよい。処理電気回路36および記憶装置34を用いて実装できる通信プロトコルは、インターネットプロトコル、無線ローカルエリアネットワークプロトコル(例えば、Wi−Fi(登録商標)とも呼ばれるIEEE802.11プロトコル)、Bluetooth(登録商標)プロトコルなどのその他の短距離無線通信リンクのためのプロトコル、第3世代通信サービスを行うためのプロトコル(例えば、広帯域符号分割多元接続技術を用いるもの)、第2世代携帯電話通信プロトコルなどを含む。
【0039】
入出力デバイス38は、デバイス10にデータを供給することを可能にするため、および、デバイス10から外部デバイスにデータを提供することを可能にするために用いられてよい。ディスプレイスクリーン16、ボタン19、マイクポート24、スピーカポート22、および、ドックコネクタポート20が、入出力デバイス38の例である。
【0040】
入出力デバイス38は、センサ41を含んでよい。センサ41は、図1の近接センサ25などの近接センサ、環境光センサ27などの環境光センサ、加速度計(例えば、リアルタイムでデバイス10の向きを決定するためのもの)、タッチスクリーン16またはデバイス10のその他の多目的な構成要素などの装置の機能を用いることによって形成されるセンサ、音響センサ、電磁気センサ、または、任意のその他の適切なセンサを含みうる。
【0041】
入出力デバイス38は、さらに、ボタン、タッチスクリーン、ジョイスティック、クリックホイール、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイク、カメラなどのユーザ入出力デバイス40を含みうる。ユーザは、ユーザ入力デバイス40を通してコマンドを供給することによって、デバイス10の動作を制御することができる。ディスプレイおよびオーディオデバイス42は、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンまたはその他のスクリーン、発光ダイオード(LED)、および、視覚情報およびステータスデータを提示するその他の構成要素を含みうる。ディスプレイおよびオーディオデバイス42は、さらに、スピーカおよび音声を出すためのその他のデバイスなど、オーディオ装置を含んでよい。ディスプレイおよびオーディオデバイス42は、外部ヘッドホンおよびモニタ用のジャックおよびその他のコネクタなど、オーディオ−ビデオ・インターフェース装置を含んでよい。
【0042】
無線通信デバイス44は、1または複数の集積回路、電力増幅回路、受動RF素子、アンテナ、および、RF無線信号を処理するためのその他の回路から形成された高周波(RF)送受信回路などの通信回路を備えてよい。無線信号は、光を用いて(例えば、赤外線通信を用いて)送信されてもよい。
【0043】
デバイス10は、パス50および51によって示すように、アクセサリ46、計算装置48、無線ネットワーク49などの外部デバイスと通信できる。パス50は、有線および無線パスであってよい。パス51は、無線パスであってよい。アクセサリ46は、ヘッドホン(例えば、無線セルラーヘッドセットまたはオーディオヘッドホンなど)およびオーディオ−ビデオ装置(例えば、無線スピーカ、ゲームコントローラ、または、オーディオおよびビデオコンテンツを受信して再生するその他の装置など)、無線プリンタまたはカメラなどの周辺機器を含んでよい。
【0044】
計算装置48は、任意の適切なコンピュータであってよい。適切な一構成において、計算装置48は、関連する無線アクセスポイント(ルータ)、または、デバイス10と無線接続を確立する内部または外部無線カードを有するコンピュータである。コンピュータは、サーバ(例えば、インターネットサーバなど)、インターネットアクセスを行うまたは行わないローカルエリアネットワークコンピュータ、ユーザの所有するパーソナルコンピュータ、ピアデバイス(例えば、別のポータブル電子デバイス10など)、または、任意の他の適切な計算装置であってよい。
【0045】
無線ネットワーク49は、携帯電話基地局、携帯電話中継塔、無線データネットワーク、無線ネットワークに関連するコンピュータなど、任意の適切なネットワーク装置を含みうる。例えば、無線ネットワーク49は、ネットワーク49と通信する無線ハンドセット(携帯電話、ハンドヘルド計算装置など)の無線信号強度を監視するネットワーク管理装置を含みうる。
【0046】
ネットワークの全体的な性能を向上させ、ハンドセット間の干渉を確実に最小化するために、ネットワーク管理装置は、各ハンドセットに出力調整コマンド(送信電力制御コマンドとも呼ばれる)を送信してよい。ハンドセットに提供される送信電力制御設定は、信号の弱いハンドセットに対して、送信電力を増大させるよう指示し、その結果、信号は、ネットワークによって適切に受信される。同時に、送信電力制御設定は、高電力で明瞭に信号が受信されているハンドセットに対して、送信電力制御設定を下げるよう指示してよい。これによって、ハンドセット間の干渉が低減され、ネットワークは利用可能な無線帯域幅の利用を最大化することができる。
【0047】
デバイス(デバイス10など)が、ネットワークから送信電力制御設定を受信すると、各デバイス10は、適切な送信電力調整を行ってよい。例えば、デバイス10は、デバイス10によって送信されている高周波信号を増幅させるために用いられる高周波電力増幅回路の利得を、より高いレベルに調整して、送信される高周波信号の電力を上げたり、より低いレベルに調整して、送信される高周波信号の電力を下げたりすることができる。
【0048】
デバイス10のアンテナ構造および無線通信デバイスは、任意の適切な無線通信帯域での通信をサポートしてよい。例えば、無線通信デバイス44は、(例として)850MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz、および、2100MHzの携帯電話の音声帯域およびデータ帯域など、通信周波数帯域をカバーするために用いられてよい。デバイス44は、2.4GHzおよび5.0GHzのWi−Fi(登録商標)(IEEE802.11)帯域、2.4GHzのBluetooth(登録商標)帯域、および、1575MHzの全地球測位システム(GPS)帯域に対応するために用いられてもよい。
【0049】
デバイス10は、無線通信回路44のアンテナ構造を用いて、これらの通信帯域および/またはその他の適切な通信帯域をカバーしうる。例として、第2世代および第3世代の音声信号およびデータ信号に対応するために、5帯域携帯電話アンテナが、(例えば、領域18の)デバイス10の一端に提供されてよく、GPS信号および2.4GHz信号に対応するために、2帯域アンテナが、(例えば、領域21の)デバイス10の他端に提供されてよい。5帯域アンテナは、(一例として)850MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz、および、2100MHzの無線帯域をカバーするために用いられてよい。2帯域アンテナは、GPS動作のための1575MHz信号、および、(Bluetooth(登録商標)およびIEEE802.11の動作のための)2.4GHz信号に対応するために用いられてよい。これらは、構成例に過ぎない。必要に応じて、任意の適切なアンテナ構造が、デバイス10で用いられてよい。
【0050】
デバイス10がユーザの頭部またはその他の体の部分の近傍にある時に、デバイス10からの最大許容送信高周波信号電力を低減することによって、法規制の順守を保証できる。図3に示すように、環境80のような典型的なシステム環境は、デバイス10および物体(物体60)を含む。物体60は、無生物であってもよいし、より重要なことには、ユーザの頭部などのユーザの身体の一部であってもよい。デバイス10からの高周波放出に関連するエネルギ密度は、一般には、IEEE802.11およびBluetooth(登録商標)の送信(例えば、アンテナ62に関連しうる送信)についてはごくわずかである。また、GPS信号の受信および処理のプロセスについても、一般には、高周波放出に関するエネルギ密度はごくわずかである。
【0051】
対照的に、携帯電話送信(例えば、アンテナ64に関連しうる送信)は、無視できないエネルギ密度を有しうる。これは、第2世代GSM携帯電話送信に関連する時分割多重化(TDM)方式よりもむしろ、符号分割多元接続(CDMA)符号化方式を用いる第3世代無線送信について、特に当てはまることである。ユーザの頭部に吸収されうる高周波信号電力の量に対して上限を設定する規制の順守は、デバイス10がユーザの頭部に近接すると判定された時に、アンテナ64に関連する高周波信号送信(例えば、携帯電話送信)の電力を低減することによって保証できる。
【0052】
図3に示すように、デバイス10は、制御回路72(例えば、図2の処理回路36、記憶装置34、および、その他の回路)を有してよい。制御回路72は、物体60を検出するためにセンサ信号を処理してよい。
【0053】
デバイス10の近傍に物体60が存在することを検出するために利用可能なセンサは、近接センサ25を含みうる。近接センサ25は、レーザまたは発光ダイオードなどの発光素子を備えてよい。近接センサ25は、さらに、光検出素子を有してよい。図3の例において、近接センサ25は、発光ダイオード25Aおよび光検出素子(フォトダイオード25Bなど)を有する。センサ25は、任意の適切な周波数域の光を用いてよい。例えば、センサ25は、赤外光を用いてよい。ダイオード25Aによって放出された光74は、物体60から反射されうる。反射光76は、検出器(センサ)25Bによって検出されてよい。必要に応じて、ダイオード25Aは、光74が変調されるように、変調信号で駆動されてよい。例えば、光74は、特定の周波数で変調されてよい。変調周波数を中心周波数とした帯域通過フィルタまたはその他の適切なフィルタ構成を用いて、センサ25Bからの信号は、(一例として)背景ノイズを取り除くために、制御回路72によってフィルタリングされてよい。これらのような技術は、近接検出器25によって生成される測定信号の信号対ノイズ比を高くするために用いられてよい。
【0054】
物体60の存在を検出する際にデバイス10で利用できる別のセンサは、環境光センサ68である。環境光センサ68は、入射光78を検出できるフォトダイオードまたはその他の光センサであってよい。環境光センサ68は、例えば、可視スペクトルおよび/または赤外線スペクトルで動作してよい。物体60が存在してセンサ68上に影を落としている時よりも、センサ68が物体60の存在によって遮断されていない時の方が、一般に、より多くの光78がセンサ68によって受光されるため、センサ68は、近接データを生成するために利用することができる。このデータは、デバイス10が物体60の有無を判定するのを支援するために、単独で用いられてもよいし、その他のセンサからの近接データと組み合わせて用いられてもよい。
【0055】
タッチスクリーン16は、デバイス10の前面に配置されてよい(すなわち、図3の例において物体60に対向する側に図示されているデバイス10の面)。図3に示すように、タッチセンサ16は、関連する静電容量(静電容量66など)を有する静電容量タッチセンサであってよい。この静電容量(および、図3のその他のセンサからの入力)の大きさは、制御回路72によって監視されてよい。物体60がタッチスクリーン18の近傍に存在する時、静電容量66の大きさが影響を受け、それにより、制御回路72およびデバイス10は、物体60が図3に示すようにデバイス10に近接していると結論づけることができる。
【0056】
近接検出器25およびデバイス10のその他のセンサの検出範囲は、通例、ミリメートルからセンチメートルの範囲である。最大検出距離よりも近くにある物体は、デバイス10の近傍にあるものとして検知される。検出範囲外にある物体は、デバイス10の近傍にあるとは見なされない。必要に応じて、他の検出範囲を用いてもよい(例えば、数十センチメートルのオーダーの検出範囲)。しかしながら、より典型的には、物体60がデバイスから数センチメートルよりも近くに存在する時に物体60の存在を検出すれば、アンテナ64の高周波放出のエネルギ密度が懸念される主な状況に対処できるため好ましい。
【0057】
必要に応じて、加速度計70などのセンサを、その他のセンサと併用して、デバイス10の送信高周波信号に関連する出力レベルを調整すべき時を判定する助けとしてもよい。加速度計70は、地面に対するデバイス10の向きを判定するために、制御回路72によって用いられてよい。例えば、加速度計70は、デバイス10が(通話をする時のように)左端または右端の一方が下を向くようにユーザによって保持されているか否か、または、デバイス10がテーブル上に水平に置かれているか否かを判定するために用いられてよい。デバイス10が、水平に静止していると判定された場合、デバイス10は、ユーザの頭部の近傍に保持されていることはあり得ない、または、少なくともありそうにないと結論づけられてよい。この情報は、デバイス10の他のセンサから取得された測定値が正確であるか否かを確認する助けとして用いられてよい。
【0058】
デバイス10の動作中、制御回路72は、送信されている高周波信号の種類を知りうる。例えば、制御回路72は、低出力高周波信号がアンテナ62を介して送信されており、アンテナ64が使用されていないと判定しうる。制御回路72は、アンテナ64が第2世代通信に利用されていること(したがって、時間で平均した場合に相対的に低い放出レベルに関連付けられていること)、および、アンテナ64が第3世代通信に用いられていること(したがって、時分割多重化が用いられていないため、時間平均で比較的大きな放出に関連付けられていること)を決定しうる。制御回路72は、アンテナ64からの送信高周波電力の調整方法を決定する際に、このような動作情報を用いることが可能であり、同時に、(例えば、物体60がデバイス10の近傍にあるか否かを判定するための)1または複数のセンサの測定値に基づいて電力調整の決定をすることができる。一例として、第2世代信号が送信されていると判定された場合、制御回路72は、近接センサ25の測定値にかかわらず、送信電力を低減しないと決定してよく、一方、第3世代信号が送信されていると判定された場合、送信電力を低減してよい。
【0059】
送信高周波信号電力の制御に利用可能な制御構成の一例を、図4に示す。図4に示すように、制御回路72は、マイクロプロセッサ(アプリケーションプロセッサとも呼ばれる)、ベースバンドモジュール、電力管理チップ、メモリ、コーデックなど、1または複数の集積回路を備えてよい。送受信回路84は、アプリケーションプロセッサから受信したデータに基づいて高周波出力信号を生成する際に用いられてよい。回路84などの回路は、必要に応じて、制御回路72の集積回路の内の1または複数に統合されてよい。
【0060】
デバイス10によって送信される高周波信号は、一般に、高周波増幅回路を用いて増幅される。高周波増幅回路は、1または複数の集積回路内の1または複数の利得段を用いて実装されてよい。図4の例において、信号は、高周波電力増幅器86によって増幅されることが示されている。必要に応じて、異なる通信帯域または通信帯域セットにそれぞれ関連する複数の電力増幅器(増幅器86など)が設けられてもよい。図が複雑になりすぎないように、図4の概略図では、単一の電力増幅器の符号を図示している。
【0061】
電力増幅回路86は、アンテナ64を介しての送信に先立って、高周波信号を増幅するために用いられてよい。電力増幅回路86の利得は、制御パス(制御パス90など)を用いて調整されてよい。制御パス90は、アナログおよび/またはデジタル制御信号を扱うために用いられてよい。電力増幅器86の利得は、例えば、アナログ制御電圧またはアナログ電源電圧の大きさを調整することによって制御されてよい。電力増幅器86の利得は、電力増幅器86の特定の利得段をオン/オフすることによって調整されてもよい。必要に応じて、デジタル制御信号が、電力増幅器86によって処理され、利得設定の制御に用いられてもよい。これらの方法またはその他の適切な電力増幅器利得調整技術の組み合わせが、必要に応じて用いられてよい。
【0062】
電力増幅器86の利得は、アンテナ64を通して送信されている高周波信号の強度が、満足な無線通信を行うのに十分でありつつも、規制限度を越えないことを保証するように調整されうる。電力増幅器86の動作を制御する際に、開ループまたは閉ループ制御方式のいずれかが用いられてよい。
【0063】
開ループ方式では、結合器88を用いる必要がなく、電力増幅器86の利得は、出力パスからのフィードバックなしに制御パス90を介して電力増幅器86に制御信号を供給することによって調整されてよい。
【0064】
図4に示したタイプの閉ループ方式では、出力パスからフィードバックが取得される。1つの適切な構成では、結合器88などの高周波結合器が、電力増幅器86の出力とアンテナ64との間に配置される。結合器88は、増幅器86からの電力の大部分が、アンテナ64に至ることを可能にしうる。出力電力のほんの一部(通例、数パーセント未満)は、結合器88によってフィードバックパス92に分流されてよい。高周波検出器94(例えば、ダイオードベースの電力センサ)が、パス92に分流された高周波信号の電力を検知するために用いられてよい。検出器94からの測定出力電力データは、パス96を介して制御回路72に供給されてよい。結合器88のタップ比は既知であるため、制御回路72は、パス96上の高周波出力信号電力測定データを用いて、電力増幅器86からの所望の出力電力レベルが適切に維持されているか否かを判定できる。調整が必要な場合、制御回路72は、リアルタイムでパス90の修正制御信号を生成することができる。電力増幅器86が、これらの制御信号を受信すると、電力増幅器86の利得は、必要に応じて上下に調整される。
【0065】
制御回路72が2以上のプロセッサを備える構成では、各プロセッサは、送信高周波信号の電力を制御する際に制御負荷を分担してよい。例えば、制御回路72は、オペレーティングシステムおよびユーザアプリケーションを実行するためのメインマイクロプロセッサを備えてよい。制御回路72は、さらに、デジタル信号プロセッサおよびベースバンドモジュール内のマイクロプロセッサなど、1または複数のより小さく専用性の高いプロセッサを備えてよい。これらのような環境において、各プロセッサは、自身の制御プロセスを実行してよい。プロセッサ間の通信は、制御ライン、共有メモリ、または、任意のその他の適切な技術を用いて実装されてよい。
【0066】
図3を参照して説明したようなセンサデータおよび動作データと、図4を参照して説明したような電力制御回路とを用いて、デバイス10の送信高周波信号電力レベルの制御に関与するステップの例を図5に示す。図5に示すように、デバイス10は、通常動作(ステップ98)中に、無線データを送受信してよい。送信される無線データは、デバイス10の領域21にあるアンテナ62によって扱われるローカルエリアネットワークデータおよびBluetooth(登録商標)データ、ならびに、領域18にあるアンテナ64によって扱われる携帯電話データを含みうる。動作中、制御回路72(図3および図4)は、デバイス10の近接センサ25およびその他のセンサからの情報を用いてよく、どの通信帯域が利用されているか、および、どの通信プロトコルが無線通信に利用されているかに関する(例えば、アプリケーションプロセッサおよび/またはベースバンドモジュールからの)情報を用いて、送信電力調整が必要であるか否かを判定する。デバイス10は、送信電力が上方または下方に調整されるべきである旨をデバイス10に通知する送信電力調整コマンドをネットワーク51(例えば、携帯電話基地局)から受信してよい。また、デバイス10は、リアルタイム電力調整が、デバイス10の動作環境の変化(例えば、温度変化)を補償するのに望ましいと決定してよい。携帯電話基地局からの送信電力調整コマンド、または、デバイス10への物体60の近接に基づかないその他の条件に応じて、デバイス10の送信高周波信号の電力調整が、ステップ100で実行されてよい。
【0067】
制御回路72は、物体60(例えば、ユーザの頭部)がデバイス10の近傍にあると判定した場合、最大許容送信電力を低減してよい(ステップ102)。制御回路72は、物体60(例えば、ユーザの頭部)がもはやデバイス10の近傍にないと判定した場合、最大許容送信電力のレベルを増大させてよい(ステップ104)。ステップ100の調整(例えば、携帯電話基地局からの送信電力調整コマンドへの応答、デバイス10の内部制御プロセスからの温度補償コマンドへの応答、ユーザが選択した電力調整への応答、加速度計からのデータのような非近接センサデータへの応答など)が、より大きな電力を必要とする場合でも、最大許容送信電力の電流値は、それを越えて送信電力を上げることができない電力上限を表しうる。
【0068】
これは、図6の例に示されている。図6のグラフでは、与えられたデバイス10からの送信高周波電力Pが縦軸にプロットされ、時間が横軸にプロットされている。図6の例において、デバイス10は、最初は、電力P4で高周波信号を送信している。この電力は、デバイス10がユーザの頭部の近傍にない場合の送信電力の規制限度を満たしうる。時刻t1で、デバイス10のユーザは、ユーザの頭部の近傍にデバイス10を配置する。デバイス10とユーザの頭部との間の近接は、近接センサ25などの1または複数のセンサを用いて検出されてよい。ユーザの頭部に対するデバイス10の近接が検出されると、デバイス10は、最大許容送信電力をP3に下げる(図5のステップ102)。時刻t1およびt2の間で、より高い送信電力がセルラーネットワークによって望まれる場合でも、デバイス10とユーザの頭部との間の近接した距離(例えば、数センチメートル未満の距離)によって、最大許容送信電力P3が決定される。時刻t2で、デバイス10は、ユーザの頭部の近傍から離される。近接センサ25などのセンサは、この位置変化を検出し、近接に基づく最大送信電力制限を解除することを可能にする(図5のステップ104)。したがって、時刻t2およびt3の間では、デバイス10から送信される電力は、電力P4に維持される。時刻t3で、デバイス10は、もう一度、ユーザの頭部に近接して配置されるため、最大許容送信電力はP3に下げられる。時刻t4で、デバイス10は、内部で検出された条件に応答して、センサデータに応答して、または、携帯電話基地局からの送信電力調整コマンドに応答して、出力電力をP2に低下させる。電力P2は最大許容電力P3よりも低いため、デバイス10は、この調整が、デバイス10の位置によって課せられた近接制限による制約を受けないようにすることができる。
【0069】
これらのような調整を行う際に、デバイス10は、様々なセンサおよび入力源からの入力を処理できる。これは、図7の図に示されている。図7に示すように、デバイス10は、高周波信号の送信での利用に適切な送信電力レベルを決定するために、リアルタイムで複数の入力源からのデータを処理してよい(ステップ112)。ステップ112において、電力出力は、(一例として)図4に示されたタイプの構成を用いて調整されてよい。
【0070】
電力レベル決定に利用可能なデータは、近接センサデータを含む。近接センサデータは、制御回路72によって近接センサ25から受信されてよい。図3のタッチスクリーン静電容量66に関連して述べたように、静電容量タッチスクリーンまたはその他のタッチスクリーン、タッチパッド、もしくは、任意のその他のタッチセンサからのタッチセンサデータは、デバイス10が物体60に近接しているか否かを判定する助けとなるように、制御回路72によって処理されてよい(ステップ114)。また、デバイス10が物体60に近接しているか否かを判定する際に、環境光センサが利用されてもよい。例えば、近接センサデータが近傍の物体の存在を示すと同時に、環境光センサ信号が低下した場合、より高い可能性で、デバイス10が物体60に近接していると結論づけてよい。環境光センサデータは、ステップ116で、センサ27(図1)などのセンサから受信されてよい。
【0071】
加速度計データは、ステップ118で制御回路72によって受信されてよい。加速度計からのデータは、デバイス10が動いている(したがって、ユーザに持たれている可能性が高い)か否か、または、静止している(ユーザに持たれていない可能性が高い)か否かを判定するために用いられてよい。加速度計データは、デバイス10が横倒しに保持されていること、または、水平方向に維持されていることを判定するために用いられてもよい。このデータは、送信電力レベルを低下させるか否かの決定を助けるために、近接センサからのデータおよびその他のデータと併用されてもよい。
【0072】
送信電力調整コマンドは、ステップ108で、携帯電話基地局などの外部装置から受信されてよい。デバイス10によって利用されている現在の通信帯域およびプロトコルに関する情報など、内部で生成された情報が、ステップ110で収集されてよい。
【0073】
ステップ112中に、制御回路72は、ステップ106、108、110、114、116、および、118の内の任意の適切な組み合わせのステップ中に収集されたデータを処理して、デバイス10からの高周波信号を送信する適切な送信電力レベルを決定してよい。
【0074】
2以上の帯域で送信電力調整を行うことが望ましい場合がある。例えば、図7のステップ110および112の動作中に、2以上の異なる通信帯域で送信を行いつつ、総送信電力を特定のレベル以下に維持することが望ましい場合がある。このような状況では、第1の帯域の送信電力の増大が、第2の帯域の送信電力を自動的に低下させることによって相殺されてよい。
【0075】
このタイプの調整は、総電力レベルを一定に維持するために行われてよい。例えば、ある帯域の電力低下が、別の帯域での電力増大をぴったり相殺してよい。必要に応じて、電力調整は、帯域の各々に重み付け係数を与えることによって、不均一にされてもよい。このタイプのシナリオにおいて、ある帯域の送信電力の増大は、適用法令によって許可される場合、別の帯域の送信電力のより小さい低下によって十分に相殺されうる。電力調整は、任意の適切な数の帯域で行われてよい(例えば、1帯域、2帯域、3帯域、または、4以上の帯域)。さらに、所望の送信電力(例えば、1、2、3、4以上など)を算出する際に、任意の適切な数の帯域の送信電力レベルを考慮に入れてよい。
【0076】
図8は、1または複数の通信帯域が利用されている状況で送信信号に適切な高周波信号電力設定を決定するように、無線電子デバイスを作動させる際に用いられるステップの例を示す図である。ステップ98において、デバイス10は、システム内で動作されてよい。自動活動、外部入力への応答、または、ユーザコマンドへの応答の結果として、1または複数の通信帯域に関連する送信電力が、ライン120に示すように変化しうる。ステップ100において、デバイス10は、ライン120の変化に対応するように、1または複数の通信帯域で適切な送信電力調整を行うことができる。次いで、デバイス10は、ライン122で示すように、ステップ98で通常動作に戻ってよい。
【0077】
ステップ100において、1または複数の通信帯域でなされた送信電力の変更に基づいて、調整がなされ得る。例えば、デバイス10の予定された動作が、特定の通信帯域の有効化、または、その帯域に関連する送信電力の増大を必要とする場合がある(例えば、システム電力レベル調整要求に対応するため、など)。また、帯域が、有効化または無効化されることもあり、もしくは、手入力に基づく他の送信電力調整を受けることもある。
【0078】
一例として、ユーザは、ローカルエリアネットワーク(IEEE802.11)無線通信帯域(例えば、2.4GHz)を用いて、ローカルエリアネットワークからファイルをダウンロードすることを望みうる。同時に、デバイス10は、(一例として)GSMの第2世代または第3世代の通信帯域で携帯電話ネットワークを介して音声電話を扱ってよい。このような状況でユーザによって開始された2.4GHzの無線送信は、デバイス10からの高周波電力放出の総量に寄与しうるため、ユーザが2.4GHz帯域を利用することを可能にするために、携帯電話帯域の送信電力を一時的に低下させることが望ましい場合がある。(例えば、ファイルのダウンロードが完了したため、または、ユーザが2.4GHz帯域を無効化したために)、2.4GHz帯域の利用が完了すると、携帯電話帯域の送信電力レベルを増大させることができる。
【0079】
別の例として、デバイス10は、1または複数の別の帯域(例えば、電話またはローカルデータ)がすでにアクティブである時に、1または複数のGSM帯域またはその他の適切な長距離通信帯域を自動的に有効化してよい。このシナリオにおいては、一部またはすべての通信帯域の総電力が所望のレベル未満であることを保証するために、調整が行われてよい。必要に応じて、重み付け係数を各帯域に割り当てて、これらの帯域の送信電力を考慮する際に潜在的に重要度が異なることを反映してもよい。これらの重み付けは、各帯域の送信信号がユーザの体によって吸収されると思われる量に基づいて、各帯域の信号を扱うデバイス10のアンテナ構造の位置に基づいて(例えば、ユーザの体に向かって放射するか、または、ユーザの体から離れるように放射するか)、各帯域の規制限度に基づいて、その他の適切な因子に基づいて、または、これらの因子の組み合わせに基づいて、割り当てられてよい。
【0080】
さらに、他のデータが、送信電力の調整時に考慮されてもよい。例えば、デバイス10は、全地球測位システム(GPS)データ、ユーザが提供する位置データ、または、デバイス10の現在位置を決定するためのその他の適切なデータを用いてよい。次いで、デバイス10の位置は、複数の可能性のある地理に基づく規制制度のいずれがデバイス10の動作に適用されるのかを判定するために用いられてよい。例えば、デバイス10が、許容送信電力レベルが比較的大きい国にあると判定された場合、デバイス10は、それに応じてより大きな量の送信高周波電力をデバイス10が利用できるようにする調整をステップ100で行ってよい。これらの現在適用される地理的な規制の制約に対応するために、近接に基づく送信電力調整およびその他の因子に基づく調整が、リアルタイムで実行されてよい。
【0081】
一実施形態によると、物体が電子デバイスから所定の距離内に存在することを検出する近接センサと、送信電力で高周波信号を送信するための高周波アンテナと、近接センサからのデータに少なくとも部分的に基づいて送信電力を調整する回路と、を備える、電子デバイスが提供されている。
【0082】
別の実施形態によると、電子デバイスが提供されており、回路は、調整可能な利得を有する電力増幅器を備え、回路は、物体が電子デバイスから所定の距離内に存在すると判定された時に、電力増幅器の利得を低下させる電力増幅器に対する制御信号を生成する。
【0083】
別の実施形態によると、電子デバイスにおいて、近接センサは光源を備える。
【0084】
別の実施形態によると、電子デバイスにおいて、近接センサは発光ダイオードを備える。
【0085】
別の実施形態によると、電子デバイスにおいて、近接センサは赤外発光ダイオードおよびフォトダイオードを備える。
【0086】
別の実施形態によると、電子デバイスにおいて、回路は、上記送信電力の高周波信号を生成する利得調整可能な高周波電力増幅器と、高周波電力増幅器およびアンテナの間に配置された高周波結合器と、送信電力を測定するために結合器からの信号を検出する検出器と、を備える。
【0087】
別の実施形態によると、電子デバイスにおいて、回路は、上記送信電力の高周波信号を生成する利得調整可能な高周波電力増幅器と、高周波電力増幅器およびアンテナの間に配置された高周波結合器と、送信電力を測定するために結合器からの信号を検出する検出器と、を備え、回路は、物体が電子デバイスから所定の距離内に存在すると判定された時に、高周波電力増幅器の利得を低下させる高周波電力増幅器に対する制御信号を生成する。
【0088】
別の実施形態によると、電子デバイスにおいて、近接センサは赤外発光ダイオードおよびフォトダイオードを備える。
【0089】
別の実施形態によると、電子デバイスが提供されており、電子デバイスは、環境光センサを有するハンドヘルド電子デバイスを含み、回路は、環境光センサからのデータに少なくとも部分的に基づいて送信電力を調整する。
【0090】
別の実施形態によると、電子デバイスが提供されており、電子デバイスは、タッチセンサを有するハンドヘルド電子デバイスを含み、回路は、タッチセンサからのデータに少なくとも部分的に基づいて送信電力を調整する。
【0091】
別の実施形態によると、電子デバイスが提供されており、電子デバイスは、静電容量タッチスクリーンディスプレイを有するハンドヘルド電子デバイスを含み、回路は、静電容量タッチスクリーンディスプレイからのデータに少なくとも部分的に基づいて送信電力を調整する。
【0092】
別の実施形態によると、電子デバイスが提供されており、回路は、少なくとも第1の無線通信帯域および第2の無線通信帯域で高周波無線送信を扱う送信回路を備え、回路は、第2の無線通信帯域の高周波無線送信電力レベルで生じる変化に少なくとも部分的に基づいて、第1の無線通信帯域の高周波無線送信電力調整を行うよう構成されている。
【0093】
一実施形態によると、ユーザによって操作されるハンドヘルド電子デバイスであって、所定の送信電力で高周波信号を送信するためのアンテナと、ユーザの少なくとも一部分がハンドヘルド電子デバイスから所定の距離内に存在するか否かを示すセンサデータを生成する少なくとも1つのセンサと、センサデータに少なくとも一部基づいて送信電力を制御する制御回路と、を備える、ハンドヘルド電子デバイスが提供されている。
【0094】
別の実施形態によると、ユーザによって操作されるハンドヘルド電子デバイスであって、センサは、ハンドヘルド電子デバイスのタッチスクリーンディスプレイに関連するタッチセンサを含む、ハンドヘルド電子デバイスが提供されている。
【0095】
別の実施形態によると、ユーザによって操作されるハンドヘルド電子デバイスであって、センサは、光源および光検出器を有する近接センサを含む、ハンドヘルド電子デバイスが提供されている。
【0096】
別の実施形態によると、ユーザによって操作されるハンドヘルド電子デバイスであって、センサは、光源および光検出器を有する近接センサを含み、ハンドヘルド電子デバイスは、さらに、静電容量タッチセンサを備え、制御回路は、近接センサからのセンサデータおよび静電容量タッチセンサからのデータの両方に少なくとも一部基づいて送信電力を制御する、ハンドヘルド電子デバイスが提供されている。
【0097】
別の実施形態によると、ユーザによって操作されるハンドヘルド電子デバイスであって、さらに、加速度計データを生成する加速度計を備え、回路は、加速度計データに少なくとも部分的に基づいて送信電力を調整する、ハンドヘルド電子デバイスが提供されている。
【0098】
一実施形態によると、頭部を有するユーザによって用いられるハンドヘルド電子デバイスのアンテナを流れる高周波携帯電話信号送信電力を制御するための方法であって、ハンドヘルド電子デバイスは制御回路を備え、方法は、ハンドヘルド電子デバイスのセンサによって、ユーザの頭部がハンドヘルド電子デバイスから所定の距離内に存在するか否かを判定する工程と、ユーザの頭部がハンドヘルド電子デバイスから所定の距離内に存在しないと、センサによって判定された場合に、制御回路によって送信電力の第1の最大許容レベルを設定する工程と、ユーザの頭部がハンドヘルド電子デバイスから所定の距離内に存在すると、センサによって判定された場合に、制御回路によって送信電力の第2の最大許容レベルを設定する工程と、を備え、送信電力の第2の最大許容レベルは、送信電力の第1の最大許容レベルよりも小さい、方法が提供されている。
【0099】
別の実施形態によると、ユーザの頭部が所定の距離内に存在するか否かを判定する工程は、ハンドヘルド電子デバイスの光源によって光を放射しつつ、ハンドヘルド電子デバイスの光検出器を用いて、放射された光の内のどれだけの量が反射されてハンドヘルド電子デバイスに戻るかを監視する工程を含む、方法が提供されている。
【0100】
別の実施形態によると、無線ネットワークからコマンドを受信する工程と、タッチスクリーンからセンサデータを受信する工程と、コマンドとタッチスクリーンから受信されたセンサデータとに応答して送信電力を調整する工程と、をさらに備える方法が提供されている。
【0101】
別の実施形態によると、送信電力は、符号分割多元接続送信に関連するものであり、方法は、さらに、結合器および検出器を用いて、タップされた高周波信号を測定することにより、送信電力を調整する工程を備える、方法が提供されている。
【0102】
別の実施形態によると、ハンドヘルド電子デバイスは、少なくとも第1の無線通信帯域および第2の無線通信帯域で高周波無線送信を扱う回路を備え、方法は、さらに、第2の無線通信帯域の高周波無線送信電力レベルで生じる変化に少なくとも部分的に基づいて、第1の無線通信帯域の高周波無線送信電力調整を行う工程を備える、方法が提供されている。
【0103】
以上の記載は、本発明の原理の例示に過ぎず、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変形がなされうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
物体が前記電子デバイスから所定の距離内に存在することを検出する近接センサと、
送信電力で高周波信号を送信するための高周波アンテナと、
前記近接センサからのデータに少なくとも一部基づいて前記送信電力を調整する回路と、
を備える、電子デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記回路は、調整可能な利得を有する電力増幅器を備え、
前記回路は、物体が前記電子デバイスから前記所定の距離内に存在すると判定された時に、前記電力増幅器の前記利得を低下させる、前記電力増幅器に対する制御信号を生成する、電子デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記近接センサは光源を備える、電子デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記近接センサは発光ダイオードを備える、電子デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記近接センサは赤外発光ダイオードおよびフォトダイオードを備える、電子デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記回路は、
前記送信電力の前記高周波信号を生成する利得調整可能な高周波電力増幅器と、
前記高周波電力増幅器および前記アンテナの間に配置された高周波結合器と、
前記送信電力を測定するために前記結合器からの信号を検出する検出器と、
を備える、電子デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記回路は、
前記送信電力の前記高周波信号を生成する利得調整可能な高周波電力増幅器と、
前記高周波電力増幅器および前記アンテナの間に配置された高周波結合器と、
前記送信電力を測定するために前記結合器からの信号を検出する検出器と、
を備え、
前記回路は、物体が前記電子デバイスから前記所定の距離内に存在すると判定された時に、前記高周波電力増幅器の前記利得を低下させる、前記高周波電力増幅器に対する制御信号を生成する、電子デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の電子デバイスであって、前記近接センサは赤外発光ダイオードおよびフォトダイオードを備える、電子デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記電子デバイスは、環境光センサを有するハンドヘルド電子デバイスを含み、前記回路は、前記環境光センサからのデータに少なくとも一部基づいて前記送信電力を調整する、電子デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記電子デバイスは、タッチセンサを有するハンドヘルド電子デバイスを含み、前記回路は、前記タッチセンサからのデータに少なくとも一部基づいて前記送信電力を調整する、電子デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記電子デバイスは、静電容量タッチスクリーンディスプレイを有するハンドヘルド電子デバイスを含み、
前記回路は、前記静電容量タッチスクリーンディスプレイからのデータに少なくとも一部基づいて前記送信電力を調整する、電子デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の電子デバイスであって、前記回路は、少なくとも第1の無線通信帯域および第2の無線通信帯域で高周波無線送信を扱う送信回路を備え、
前記回路は、前記第2の無線通信帯域の高周波無線送信電力レベルで生じる変化に少なくとも部分的に基づいて前記第1の無線通信帯域の高周波無線送信電力調整を行うよう構成されている、電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−66226(P2013−66226A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−264981(P2012−264981)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2011−512568(P2011−512568)の分割
【原出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】