説明

近接センサの製造方法

【課題】近接センサの外形寸法のばらつきの発生を防止することが可能であるとともに、製造が容易でかつ高信頼性の近接センサとすることができる近接センサの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に基づく近接センサの製造方法は、端子部組立体40に取付けた第1治具81,85と本体部組立体70を載置した第2治具90とを用いることにより、処理回路基板50の後端とピンホルダとの間に形成されたギャップの大きさを調節することによって近接センサの寸法を調節して端子部組立体40を処理回路基板50に対して組付けて固定し、このようにして位置決めして固定された端子部組立体40に対してホルダ部材を当て止めすることによって近接センサの全長のばらつきの発生を防止するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出コイルを利用して検出対象物としての金属体の有無または位置を検出する近接センサの製造方法に関し、特に、近接センサの軸方向の外形寸法のばらつきの発生を防止可能な近接センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検出対象物としての金属体の有無または位置を検出するセンサの一つとして、近接センサが知られている。この近接センサは、主として各種生産設備や産業ロボット等に広く利用されている。
【0003】
一般に、近接センサは、筒状に形成されたケース体およびホルダ部材と、コアおよび検出コイルを含むコイル組立体と、外部接続用の端子ピンを含む端子部組立体と、検出コイルおよび端子ピンに電気的に接続された処理回路が設けられた処理回路基板とを備える。コイル組立体は、ケース体の内部でかつ当該ケース体の前端に組付け固定され、端子部組立体は、ケース体の後端に連結されたホルダ部材の内部に組付け固定される。処理回路が設けられた処理回路基板は、ケース体の内部においてケース体の軸方向に沿って延在するようにコイル組立体の後方でかつ端子部組立体の前方に配置される。
【0004】
このような構成の近接センサにおいては、従来、軸方向における近接センサの外形寸法のばらつきが生じることを防止すべく、端子部組立体をホルダ部材に当て止めすることによって位置決めして固定するとともに、ホルダ部材をケース体に当て止めすることによって位置決めして固定することが行なわれていた。そして、軸方向に並べて配置される内部構成部品(コイル組立体や処理回路基板等)の部品自体の寸法精度のばらつきやこれら部品同士の組付け精度のばらつきを吸収すべく、内部構成部品間にギャップを設け、当該ギャップによって上記ばらつきが吸収されるように構成されていた。なお、これら部品間の電気的な接続には、リード線やフレキシブル基板等が用いられていた。
【0005】
この種の近接センサを製造するに際しては、予めコイル組立体を処理回路基板の前端に固定することによってアセンブリ化して中間組立部品とし、当該中間組立部品をケース体の内部に挿入して固定し、その後ケース体の後端に端子部組立体およびホルダ部材を取付け、端子ピンと処理回路基板の後端とを電気的に接続することにより、その組立てが行なわれていた。そして、その後、ケース体の内部の空間に液状の樹脂材料が注入され、これを硬化させることによって内部構成部品の封止が行なわれていた。
【0006】
以上のような構成の近接センサおよびその製造方法が開示された文献としては、たとえば特開2004−111116号公報(特許文献1)や特開2004−153018号公報(特許文献2)、実開平4−98234号公報(特許文献3)等がある。
【特許文献1】特開2004−111116号公報
【特許文献2】特開2004−153018号公報
【特許文献3】実開平4−98234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の如くの構成の近接センサとした場合には、以下のような問題があった。第1に、軸方向に離間して配置された部品間をリード線やフレキシブル基板にて接続する構成であるため、これらリード線やフレキシブル基板と上記部品との接続作業が容易ではなく、組付け作業が煩雑になってしまうという問題があった。第2に、リード線やフレキシブル基板がケース体の内壁面等と接触した状態で組付けられてしまうおそれがあり、このような接触が生じた場合には、耐水性や絶縁抵抗が劣化してしまうという問題があった。第3に、これらリード線やフレキシブル基板と上記部品との半田接合部における熱ストレス耐性を強靭なものとすることは容易ではなく、当該部分に経年劣化が生じる問題があった。
【0008】
このように、上述した如くの構成を採用して軸方向における近接センサの外形寸法のばらつきを防止しようとした場合には、組付け作業が煩雑化するとともに信頼性が低下してしまうという別の問題を招来する結果となっていた。
【0009】
そこで、本発明は、上述の問題点を解消すべくなされたものであり、近接センサの外形寸法のばらつきの発生を防止することが可能であるとともに、製造が容易でかつ高信頼性の近接センサとすることができる近接センサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の局面に基づく近接センサの製造方法は、軸方向に前端および後端を有する筒状のケース体と、検出コイルを少なくとも含み、上記ケース体の内部でかつ上記ケース体の前端に配置されたコイル組立体と、上記検出コイルに電気的に接続されるとともに、上記ケース体の内部において上記ケース体の軸方向に沿って延在するように上記コイル組立体の後方に配置された処理回路基板と、外部接続用の端子ピンを少なくとも含み、上記処理回路基板に電気的に接続されるとともに上記処理回路基板の後端に配置された端子部組立体とを具備した近接センサの製造方法であって、以下のステップを備える。
(A)上記コイル組立体に上記処理回路基板を組付けて固定するとともに、上記処理回路基板が組付け固定された上記コイル組立体を上記ケース体に組付けて固定することによって本体部組立体を準備するステップ。
(B)所定の距離だけ隔てて位置する第1基準位置および第2基準位置を有する第1治具に、上記端子部組立体の所定位置が上記第1基準位置に合致するように上記端子部組立体を位置決めしてセットするステップ。
(C)所定の距離だけ隔てて位置する第3基準位置および第4基準位置を有する第2治具に、上記本体部組立体の所定位置が上記第3基準位置に合致するように上記本体部組立体を位置決めしてセットするステップ。
(D)上記第2基準位置と上記第4基準位置とが合致するように、上記端子部組立体がセットされた上記第1治具と上記本体部組立体がセットされた上記第2治具とを位置決めしてセットするステップ。
(E)当該位置決めした状態を維持しつつ、上記本体部組立体に上記端子部組立体を固定するステップ。
(F)上記本体部組立体および上記端子部組立体から上記第1治具および上記第2治具を取り外すステップ。
【0011】
上記本発明の第1の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記第1治具に上記端子部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(B)のステップ)において、上記第1基準位置に合致させるべき上記端子部組立体の上記所定位置が、上記端子ピンの後端であることが好ましく、また、上記第2治具に上記本体部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(C)のステップ)において、上記第3基準位置に合致させるべき上記本体部組立体の上記所定位置が、上記本体部組立体の前端であることが好ましい。
【0012】
上記本発明の第1の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記第1治具が、上記第1基準位置に第1基準面を、上記第2基準位置に第2基準面をそれぞれ有していることが好ましく、また、上記第2治具が、上記第3基準位置に第3基準面を、上記第4基準位置に第4基準面をそれぞれ有していることが好ましく、その場合に、上記第1治具に上記端子部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(B)のステップ)が、上記端子ピンの後端を上記第1基準面に突き当てることによって行なわれることが好ましく、また、上記第2治具に上記本体部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(C)のステップ)が、上記本体部組立体の前端を上記第3基準面に突き当てることによって行なわれることが好ましく、さらに、上記端子部組立体がセットされた上記第1治具と上記本体部組立体がセットされた上記第2治具とを位置決めしてセットするステップ(上記(D)のステップ)が、上記第2基準面と上記第4基準面とを突き当てることによって行なわれることが好ましい。
【0013】
上記本発明の第1の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記第1治具が、上記端子部組立体がセットされた状態において、上記第1基準面を上記端子ピンの後端に対して押し付ける方向に付勢する付勢部材を含んでいることが好ましく、その場合に、上記第1治具に上記端子部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(B)のステップが、上記付勢部材による付勢力を利用することによって上記端子部組立体の上記端子ピンの後端を上記第1基準面に突き当てることによって行なわれることが好ましい。
【0014】
上記本発明の第1の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記第1治具が、上記端子部組立体がセットされた状態において、上記端子部組立体に取付けられるものであることが好ましく、また、上記第2治具が、上記本体部組立体がセットされた状態において、上記本体部組立体が載置されるものであることが好ましい。
【0015】
本発明の第2の局面に基づく近接センサの製造方法は、軸方向に前端および後端を有する筒状のケース体と、検出コイルを少なくとも含み、上記ケース体の内部でかつ上記ケース体の前端に配置されたコイル組立体と、上記検出コイルに電気的に接続されるとともに、上記ケース体の内部において上記ケース体の軸方向に沿って延在するように上記コイル組立体の後方に配置された処理回路基板と、外部接続用の端子ピンを少なくとも含み、上記処理回路基板に電気的に接続されるとともに上記処理回路基板の後端に配置された端子部組立体とを具備した近接センサの製造方法であって、以下のステップを備える。
(A)上記コイル組立体に上記処理回路基板を組付けて固定するとともに、上記処理回路基板が組付け固定された上記コイル組立体を上記ケース体に組付けて固定することによって本体部組立体を準備するステップ。
(G)所定の距離だけ隔てて位置する第1基準位置および第2基準位置を有する第1治具に、上記端子部組立体の所定位置が上記第1基準位置に合致するように上記端子部組立体を位置決めしてセットするステップ。
(H)上記第2基準位置に上記ケース体の所定位置が合致するように、上記本体部組立体を上記第1治具に位置決めしてセットするステップ。
(I)当該位置決めした状態を維持しつつ、上記本体部組立体に上記端子部組立体を固定するステップ。
(J)上記本体部組立体および上記端子部組立体から上記第1治具を取り外すステップ。
【0016】
上記本発明の第2の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記第1治具に上記端子部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(G)のステップ)において、上記第1基準位置に合致させるべき上記端子部組立体の上記所定位置が、上記端子ピンの後端であることが好ましく、また、上記第1治具に上記端子部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(H)のステップ)において、上記第2基準位置に合致させるべき上記ケース体の上記所定位置が、上記ケース体の後端であることが好ましい。
【0017】
上記本発明の第2の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記第1治具が、上記第1基準位置に第1基準面を、上記第2基準位置に第2基準面をそれぞれ有していることが好ましく、その場合に、上記第1治具に上記端子部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(G)のステップ)が、上記端子ピンの後端を上記第1基準面に突き当てることによって行なわれることが好ましく、また、上記第1治具に上記本体部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(H)のステップ)が、上記ケース体の後端を上記第2基準面に突き当てることによって行なわれることが好ましい。
【0018】
上記本発明の第2の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記第1治具が、上記端子部組立体がセットされた状態において、上記第1基準面を上記端子ピンの後端に対して押し付ける方向に付勢する付勢部材を含んでいることが好ましく、その場合に、上記第1治具に上記端子部組立体を位置決めしてセットするステップ(上記(G)のステップ)が、上記付勢部材による付勢力を利用することによって上記端子部組立体の上記端子ピンの後端を上記第1基準面に突き当てることによって行なわれることが好ましい。
【0019】
上記本発明の第2の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記第1治具が、上記端子部組立体および上記本体部組立体がセットされた状態において、上記端子部組立体および上記本体部組立体に取付けられるものであることが好ましい。
【0020】
上記本発明の第1の局面および第2の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記本体部組立体に上記端子部組立体を固定するステップ(上記(E)または(I)のステップ)が、上記処理回路基板に設けられたランドに上記端子ピンの前端をろう材にてろう付けすることによって行なわれることが好ましい。
【0021】
上記本発明の第1の局面および第2の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記近接センサが、上記端子部組立体を取り囲むように上記ケース体の後方でかつ上記ケース体と同軸上に配置された筒状のホルダ部材をさらに備えていることが好ましく、その場合に、当該近接センサの製造方法がさらに以下のステップを備えることが好ましい。
(K)上記端子部組立体が組付け固定された上記本体部組立体の上記ケース体の後端に上記ホルダ部材を組付け、上記ホルダ部材に設けられた第1突き当り面と上記端子部組立体に設けられた第2突き当たり面とを突き当てた状態とし、この状態を維持しつつ、上記端子部組立体が上記ホルダ部材の内部に配置されるように上記ホルダ部材を上記ケース体に固定するステップ。
【0022】
上記本発明の第1の局面および第2の局面に基づく近接センサの製造方法にあっては、上記ホルダ部材の上記ケース体への固定が、樹脂封止層によって行なわれることが好ましい。その場合に、樹脂封止層は、以下のステップにて形成されることが好ましい。
(L)上記端子部組立体が組付け固定されかつ上記ホルダ部材が組付けられた上記本体部組立体の内部に形成された空間に、上記端子部組立体に設けられた樹脂注入口を介して液状の樹脂材料を注入し、注入した樹脂材料を硬化させることによって樹脂封止層を形成するステップ。
【発明の効果】
【0023】
本発明に基づく近接センサの製造方法を採用することにより、外形寸法のばらつきの発生が防止できかつ高信頼性の近接センサを容易に製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して、後述する本発明の実施の形態1および2における近接センサの製造方法を用いて製造された近接センサの構造について説明する。図1は、本発明の実施の形態1または2における近接センサの製造方法を用いて製造された近接センサの断面図である。
【0025】
図1に示すように、近接センサ1は、概略円柱形状の外形を有しており、軸方向に前端および後端を有するケース体10と、ケース体10の後方に配置されたホルダ部材20と、ケース体10の内部でかつケース体10の前端に配置されたコイル組立体30と、ホルダ部材20の内部に配置された端子部組立体40と、ケース体10の内部に収容され、コイル組立体30の後方でかつ端子部組立体40の前方に配置された処理回路基板50とを主として備えている。
【0026】
ケース体10は、金属製の円筒状の部材からなる。ホルダ部材20は、金属製の円筒状の部材からなるホルダケース21と、樹脂製の円筒状の部材からなるレセプタクル22とを含んでいる。レセプタクル22は、ホルダケース21に圧入固定されている。ホルダ部材20は、ケース体10の後方でケース体10と同軸上に配置されており、その前端がケース体10の後端に内挿された状態で組付け固定されている。
【0027】
コイル組立体30は、磁性材料からなるコア31と、コイル線(一般には銅線)を巻回することによって形成された検出コイル32および補助コイル33とを含んでいる。検出コイル32は、コア31の前面31aに設けられた環状凹部に収容されており、補助コイル33は、コア31の外周面の前端に設けられた環状凹部に収容されている。検出コイル32は、検出対象物を検出するための磁界を生成するコイルであり、補助コイル33は、検出コイル32の磁界を調整する(より特定的には磁界の方向を調整する)ための磁界を生成するコイルである。補助コイル33は、一般にキャンセルコイルとも呼ばれる。なお、補助コイル33は、検出コイル32と直列に接続され、かつ、その巻回方向は、検出コイル32の巻回方向と逆向きである。
【0028】
コイル組立体30は、有底筒状のコイルケース12の内部に収容され、コイルケース12の底部にコア31の前面31aが当接した状態で配置されている。コイルケース12は、その底部がケース体10の前端に位置した状態となるようにケース体10に圧入固定されている。これにより、コイル組立体30がケース体10の前端に配置されている。
【0029】
端子部組立体40は、外部接続用の端子ピン41と、当該端子ピン41を支持する樹脂製のピンホルダ42とを含んでいる。端子ピン41は、ピンホルダ42よりも前方に突出して位置する接続端41aを有しており、当該接続端41aが処理回路基板50に電気的に接続されている。ピンホルダ42は、その中央部に樹脂注入口42aを有している。端子部組立体40は、ホルダ部材20のレセプタクル22に設けられた開口部に嵌合固定されている。
【0030】
処理回路基板50は、リジッド基板からなり、ケース体10の軸方向に沿って延在するようにケース体10の内部に配置されている。処理回路基板50には、処理回路が形成されている。処理回路には、上述した検出コイル32および補助コイル33を回路要素とする検出回路や、当該検出回路の出力を所定の仕様の電圧出力または電流出力に変換する出力回路、外部から導入される電力を所定の電源仕様に変換して検出回路などに出力する電源回路等が含まれる。ここで、リジッド基板とは、ガラス−エポキシ基板に代表されるような高い剛性を有する配線基板のことであり、電子部品の実装に特に適したものである。処理回路基板50には、その主面50a,50bや内部に導体パターンが形成されており、その主面50a,50bに実装された電子部品とこれら導体パターンとの組合わせにより、上述した各種の回路が形成されている。
【0031】
処理回路基板50に設けられた処理回路には、検出コイル32、補助コイル33および端子ピン41が電気的に接続されている。具体的には、検出コイル32および補助コイル33と処理回路との電気的な接続には、中継基板60が利用されている。中継基板60は、フレキシブル基板からなり、コイル組立体30のコア31の背面31bに接着固定された基部61と、コイル組立体30のコア31の前面31aに接着固定された板状シールド部62と、コイル組立体30および処理回路基板50の処理回路が設けられた部分を囲うように曲成された筒状シールド部63とを含んでいる。上述した検出コイル32および補助コイル33と処理回路との電気的な接続には、中継基板60のうちの基部61が利用されている。なお、板状シールド部62および筒状シールド部63は、外部からのノイズの侵入を防止するための部位であり、当該板状シールド部62および筒状シールド部63に設けられた導体パターンを安定電位に接地することにより、静電シールド効果を発揮する部位である。
【0032】
ここで、フレキシブル基板は、上述したリジッド基板に比べて可撓性に優れた配線基板のことであり、たとえばポリイミド樹脂からなる基材の主表面に導体パターンが接着剤等によって貼り付けられて形成されたものが該当する。このフレキシブル基板は、適度に可撓性を有しているため、自在に折り曲げたり折り返したりすることが可能であり、電気的接点間の中継用の配線基板として利用可能なものである。上述した基部61、板状シールド部62および筒状シールド部63は、一枚のフレキシブル基板にて構成されており、所定の形状のフレキシブル基板を所定の位置において曲げ加工等を施すことによって形成される。
【0033】
上述したように、中継基板60の基部61は、コア31に接着固定されている。より詳細には、中継基板60の基部61の主面61aとコア31の背面31bとが図示しない接着部を介して接着されることにより、中継基板60の基部61がコア31に固定されている。ここで、中継基板60の基部61の主面61bには、複数のランドが設けられている。検出コイル32のコイル端32aおよび補助コイル33のコイル端33aは、これら複数のランドのうちの定められたランドに半田付けにて接続されている。なお、ランドとは、処理回路基板に形成された導体パターンの一部に設けられた電気的な接続を実現するための接合用電極のことである。ランドは、処理回路基板の表面において露出しており、半田付けや圧接等によって端子ピンやリード線が接合されることにより、これらと導体パターンとの電気的な接続を実現するものである。
【0034】
処理回路基板50の主面50a,50bの前端寄りの部分にも複数のランドが設けられている。この処理回路基板50に設けられたランドは、処理回路基板50の前端が中継基板60の基部61に押し当てられた状態で半田付けされることにより、基部61の主面61bに設けられた複数のランドのうちの定められたランドに接続されている。この処理回路基板50に設けられたランドと基部61に設けられたランドと立体的な接続は、いわゆる井桁半田付けと呼ばれる手法によって行なわれる。なお、この井桁半田付けによって接続された半田接続部を図1中において符号35で示している。以上により、検出コイル32および補助コイル33と処理回路との電気的な接続が実現されている。
【0035】
端子ピン41と処理回路との電気的な接続は、処理回路基板50の主面50a,50bの後端寄りの部分に設けられたランドに、当該ランドに対峙するように配置された端子ピン41の接続端41aを半田付けすることによって行なわれている。図1においては、この半田接続部を符号36で示している。
【0036】
なお、図1においてはその図示を省略しているが、ケース体10およびホルダ部材20の内部の空間は、樹脂封止層によって封止されている。樹脂封止層は、近接センサ1の内部構成部品を封止するための層であり、ケース体10およびホルダ部材20の内部の空間に液状の樹脂材料を注入し、これを硬化させることによって形成されている。当該樹脂封止層による封止は、ケース体10およびホルダ部材20の内部の空間に外部から水分や油分等が侵入することを防止する目的で行なわれるものであり、また同時に振動環境下での内部構成部品の破損を防止することをも可能にするものである。なお、封止のための樹脂材料としては、ポリウレタン樹脂等を原料として含む樹脂材料が好適に利用される。
【0037】
次に、上述の構成の近接センサの動作について説明する。検出コイル32には、パルス状の励磁電流が周期的に流れる。この励磁電流の周波数は、たとえば数kHzである。これにより、検出コイル32および補助コイル33が励磁される。なお、検出コイル32の両端には、図示しない抵抗が接続される。
【0038】
検出対象物としての金属体が近接センサ1の検出可能範囲内に存在しない場合には、検出コイル32への励磁電流の供給が遮断された後に検出コイル32自体に流れる電流は、検出コイル32の両端に接続された抵抗によって急速に減少する。よって、検出対象物としての金属体が近接センサ1の検出可能範囲内に存在しない場合において、検出コイル32の両端間の電圧は、励磁電流の供給が遮断された直後には検出コイル32自体の逆起電力によって大きくなるものの、以後は急速に減衰する。
【0039】
これに対し、検出対象物である金属体が近接センサ1の検出可能範囲内に存在している場合には、検出コイル32への励磁電流の供給が遮断されるとその金属体の周囲の磁界(検出コイル32による磁界)が変化するため、金属体に渦電流が発生する。この渦電流による磁束が検出コイル32を貫くことにより、検出コイル32に誘起電圧が発生する。これにより、検出コイル32への励磁電流の供給が遮断された時点からある一定時間(たとえば数10μ秒)が経過すると、検出コイル32の両端間の電圧としては、その誘起電圧が支配的になる。よって、このときの検出コイル32の両端間の電圧を閾値と比較することにより、検出対象の有無あるいは位置を検出することができる。
【0040】
上述の方式によって検出コイル32を励磁する場合、誘起電圧は金属体に流れる渦電流の時間変化を反映したものとなる。検出コイル32はその渦電流の時間的変化を電圧に変換する役割を果たす。この電圧は、検出コイル32の損失や寄生容量等といったような温度依存性を有する成分の影響を受けにくい。よって、検出に際して温度変化の影響を受け難い近接センサとすることができる。
【0041】
なお、検出回路は、検出コイル32を共振回路要素とする発振回路と、発振回路の発振振幅を閾値と比較して2値化する弁別回路とを含んでいてもよい。この場合、近接センサ1は、検出対象物としての金属体が検出コイル32に接近することに伴って生じる発振回路の発振振幅の減少や発振の停止を検知することにより、検出対象物としての金属体の有無あるいはその位置を検出する。このような方式の場合、検出コイル32には、たとえば周波数が数百kHzの連続的に変化する(たとえば波形が正弦波である)励磁電流が印加される。
【0042】
次に、図1を参照して、上述した構成の近接センサ1において、軸方向の外形寸法のばらつきが防止される仕組みについて説明する。
【0043】
図1に示すように、近接センサ1においては、ケース体10の前端からホルダ部材20の後端までの長さである全長L1と、ケース体10の前端から端子ピン41の後端までの長さL2とが、予め決められた範囲内の長さにおさまっていることが必要である。従来の近接センサにおいては、全長L1についてはケース体10にホルダ部材20を当て止めすることによってこれを調節し、長さL2についてはホルダ部材20に対して端子部組立体40を当て止めすることによってこれを調節していた。
【0044】
これに対し、本発明は、後述する治具を用いることにより、処理回路基板50の後端とピンホルダ42との間に形成されたギャップの大きさ(図中に示す距離D1)を調節することによって長さL2が予め決められた範囲内の長さとなるように調節して端子部組立体40を処理回路基板50に対して組付けて固定し、このようにして位置決めして固定された端子部組立体40に対してホルダ部材20を当て止めすることによって全長L1が予め決められた範囲内の長さとなるように調節するものである。その結果、軸方向に並んで配置されることとなる内部構成部品(コイルケース12、コイル組立体30、中継基板60および処理回路基板50)の部品自体の寸法精度のばらつきやこれら部品同士の組付け精度のばらつきがすべて上述のギャップによって吸収されることになり、全長L1および長さL2が予め決められた範囲内の長さにおさまることになる。なお、上述したように、ホルダ部材20は、端子部組立体40に当て止めして固定されるため、ホルダ部材20とケース体10との間では当て止めは行なわれず、図1に示すようにこれらの端部同士の間にはギャップA,Bがそれぞれ形成されることになる。すなわち、ケース体10に対するホルダ部材20の挿入深さD2が調節可能となるように構成されている。
【0045】
(実施の形態1)
以下においては、本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法について具体的に説明することにより、軸方向の外形寸法のばらつきが防止される仕組みについて詳説する。図2ないし図9は、本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法を説明するための斜視図および断面図である。
【0046】
まず、図2に示す本体部組立体70を準備する。具体的には、コイル組立体30に中継基板60の基部61を接着固定し、このコイル組立体30に接着固定された中継基板60の基部61に対して処理回路基板50を井桁半田付けすることによってコイル組立体30と処理回路基板50とを組付け固定する。次に、処理回路基板50が組付け固定されたコイル組立体30をケース体10の内部にコイルケース14を用いて組付け固定する。より具体的には、処理回路基板50が組付け固定されたコイル組立体30を接着剤や封止材料を用いてコイルケース14に固定し、その後コイル組立体30が組付け固定されたコイルケース14をケース体10に圧入固定すること等により、図2に示す如くの本体部組立体70を得る。この本体部組立体70の状態においては、ケース体10の後端(図中左側に位置する端部)から処理回路基板50の後端寄りの部分が突出して位置しており、当該突出して位置する部分の処理回路基板50の後端にランド51が位置している。
【0047】
次に、図3に示すように、予めインサート成形によって製作した端子ピン41およびピンホルダ42が一体化された端子部組立体40に第1治具80を取付ける。なお、端子部組立体40は、ピンホルダ42と一体的に設けられた筒状の樹脂注入部42bを有している。この樹脂注入部42bは、端子ピン41の延びる方向に沿って延在しており、その外周の所定位置に鍔部42cを有している。樹脂注入部42bの中空部は、ピンホルダ42に設けられれた樹脂注入口42aに連通している。
【0048】
第1治具80は、保持部81と付勢部85とを有している。保持部81は、端子部組立体40を受け入れ可能な中空部82を有する筒状の部材からなり、その一端にケース体10の後端に挿入可能な係合部83を有している。また、保持部81は、その外周の軸方向の所定位置にフランジ部84を有している。付勢部85は、板状の部材からなる係止部86と、係止部86の一方の主面に固定されたコイルバネ87とを有している。係止部86は、係止スリット86aを有している。
【0049】
端子部組立体40は、第1治具80の保持部81の中空部82に挿し込まれる。その際、端子部組立体40は、保持部81の係合部83が設けられた側の端部から挿入され、樹脂注入部42bが保持部81の係合部83が設けられていない側の端部から突出して位置するように挿し込まれる。保持部81の中空部82を規定する内壁面の所定位置には、第1基準面P1(図6参照)が設けられており、この第1基準面P1に端子ピン41の後端が突き当たることにより、端子部組立体40が保持部81に当て止めされる。
【0050】
この端子部組立体40が挿入された第1治具80の保持部81に、さらに第1治具80の付勢部85が取付けられる。付勢部85は、保持部81の係合部83が設けられていない側の端部から突出して位置する端子部組立体40の樹脂注入部42bに取付けられ、樹脂注入部42bが係止部86の係止スリット86aに差し込まれた状態において係止部86を回転させることにより、樹脂注入部42bに設けられた鍔部42cが係止部86にロックされる。この状態においてコイルバネ87は圧縮状態に維持され、その付勢力によって端子ピン41の後端が第1基準面P1に向けて押し付けられた状態が維持されることになる。
【0051】
次に、図4を参照して、本体部組立体70に端子部組立体40が取付けられた第1治具80を取付ける。より具体的には、本体部組立体70のケース体10の後端に第1治具80の係合部83を内挿することにより、本体部組立体70に端子部組立体40が取付けられた第1治具80を取付ける。その際、ケース体10の後端から突出して位置する処理回路基板50の後端は、第1治具80の保持部81の中空部82内に受け入れられることになり、当該処理回路基板50の後端に設けられたランド51に端子ピン41の接続端41aが対峙することになる。なお、本体部組立体70に取付けた第1治具80を取付けた上記状態においては、第1治具80が本体部組立体70に当て止め等されることはなく、本体部組立体70と第1治具80とは軸方向にその組付け位置を調節可能な状態にある。
【0052】
次に、図5および図6に示すように、第1治具80が取付けられた本体部組立体70を第2治具90に載置する。第2治具90は、上面に溝形状の載置部92が設けられた台状部91と、台状部91の一端に設けられた立壁部93とを有している。載置部92に面する側の立壁部93の主面は、第3基準面P3に相当し、載置部92に本体部組立体70を載置するに際しては、この第3基準面P3に本体部組立体70の前端が突き当たるようにセットする。
【0053】
次に、第2治具90に本体部組立体70を載置しかつ第3基準面P3に本体部組立体70の前端が突き当たった状態を維持しつつ、第2治具90に対する第1治具80の位置決めを行なう。具体的には、本体部組立体70のケース体10の後端に対する第1治具80の係合部83の挿し込み深さを調節することにより、第1治具80のフランジ部84を第2治具90の台状部91の端面に当て止めする。ここで、フランジ部84の主面のうち、台状部91の端面に押し当たる方の主面が第2基準面P2に相当し、台状部91の上記端面が第4基準面P4に相当する。
【0054】
図6に示すように、上記第2基準面P2と第4基準面P4が突き当たった状態においては、第1基準面P1と第4基準面P4との間の距離が予め定めた所定の距離に維持されることになるため、本体部組立体70の前端から端子ピン41の後端までの距離が一定の距離に保たれることになる。この距離を予め定めた長さL2となるように設定しておくことにより、処理回路基板50の後端とピンホルダ42との間に形成されたギャップの大きさを調節されて、長さL2が予め決められた範囲内の長さとなるようになる。
【0055】
次に、上記状態を維持しつつ、端子ピン41の接続端41aと処理回路基板50のランド51との半田付けを行なう。これにより、端子ピン41と処理回路との電気的な接続が実現されるとともに、本体部組立体70と端子部組立体40との機械的な接続も実現されるようになる。
【0056】
次に、図7に示すように、端子部組立体40が組付け固定された本体部組立体70から第1治具80および第2治具90を取り外す。より具体的には、第1治具80の係止部86を回転させることにより、係止部86に対する鍔部42cのロックを解除し、第1治具80を端子部組立体40から取り外すとともに、第2治具90の載置部92から本体部組立体70を取り出すことにより、端子部組立体40が組付け固定された本体部組立体70から第1治具80および第2治具90を取り外す。なお、図7においては、端子ピン41の接続端41aと処理回路基板50のランド51との半田接合部の図示は省略している。
【0057】
次に、図8に示すように、予めレセプタクル22がホルダケース21に圧入固定されてなるホルダ部材20を端子部組立体40が組付け固定された本体部組立体70のケース体10の後端に組付ける。このとき、ホルダ部材20は、レセプタクル22に設けられた第1突き当たり面22a(図1参照)がピンホルダ42に設けられた第2突き当たり面42dに突き当たることによって当て止めされる。上記ホルダ部材20が当て止めされて本体部組立体70に組付けられた状態においては、上記当て止めにより、ケース体10に対するホルダ部材20の挿入深さが調節され、組合わせた状態におけるケース体10とホルダ部材20の全長、すなわち完成後における近接センサ1の全長L1が所定の範囲内の長さに維持されるようになる。
【0058】
次に、図9に示すように、上記ホルダ部材20が当て止めされて本体部組立体70に組付けられた状態を維持しつつ、樹脂注入部42bの先端にホッパ100を取付け、このホッパ100を用いて液状の樹脂材料をケース体10およびホルダ部材20の内部の空間に注入する。そして、注入した樹脂材料を硬化させる。この硬化工程において形成される樹脂封止層により、上記位置決めされて組付けられたケース体10とホルダ部材20とが接着固定されることになる。その後、樹脂注入部42bを根元において切断して除去することにより、図1に示す如くの近接センサ1が得られることになる。
【0059】
以上において説明した本実施の形態における近接センサの製造方法を用いることにより、外形寸法のばらつきの発生が防止された近接センサとすることができる。本実施の形態における近接センサの製造方法を用いた場合には、離間して配置された内部構成部品同士間がリード線やフレキシブル基板によって接続される構成を必要とせず、直接井桁半田付けや通常の半田付けによって接続されることになるため、高信頼性の近接センサとすることができるとともに、組付け作業も容易化することになる。
【0060】
(実施の形態2)
以下においては、本発明の実施の形態2における近接センサの製造方法について具体的に説明する。上述の本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法にあっては、第2治具を用いて近接センサを製造することにより、軸方向における外形寸法のばらつきの発生を防止することとしたが、本実施の形態における近接センサの製造方法にあっては、実際にはケース体10の軸方向の外形寸法のばらつきが十分に精度よく製造可能であることに鑑み、上記第2治具の使用を省略したものである。図10および図11は、本発明の実施の形態2における近接センサの製造方法を説明するための斜視図および断面図である。なお、上述の本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法と同様のステップおよび当該製造方法に準じたステップについては、ここではその詳細な説明を省略する。
【0061】
本発明の実施の形態2における近接センサの製造方法にあっては、まず上述の本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法に準じた組立て作業が行なわれる。具体的には、図2ないし図4に示した、本体部組立体70を準備するステップ、端子部組立体40を第1治具80に取付けるステップ、および本体部組立体70に端子部組立体40が取付けられた第1治具80を取付けるステップのそれぞれが、上述した本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法に準じた作業にて行なわれる。
【0062】
ここで、端子部組立体40を第1治具80に取付けるステップにおいては、第1治具80の保持部81の中空開口部82を規定する内壁面の所定位置に設けられた第1基準面P1(図11参照)に端子ピン41の後端を突き当てることにより、保持部81に対して端子部組立体40が当て止めされる。また、本体部組立体70に端子部組立体40が取付けられた第1治具80を取付けるステップにおいては、本体部組立体70のケース体10の後端に第1治具80の係合部83を内挿するとともに、第1治具80の保持部81の外周面の所定位置に設けられた第2基準面P2(図11参照)をケース体10の後端に突き当てることにより、保持部81に対して本体部組立体70が当て止めされる。上記当て止めにより、第1治具80に対して端子部組立体40と本体部組立体70の双方が位置決めされて取付けられることになる。なお、第1治具80の保持部81には、特にフランジ部84が設けられている必要はない(図10および図11参照)。
【0063】
図11に示すように、上記第1治具80に対して端子部組立体40および本体部組立体70が位置決めされて取付けられた状態においては、第1基準面P1と第2基準面P2との間の距離が予め定めた所定の距離となっているため、本体部組立体70の後端から端子ピン41の後端までの距離が一定の距離に保たれることになる。ここで、上述したようにケース体10の軸方向の外形寸法のばらつきは殆ど生じないため、本体部組立体70の前端から端子ピン40の後端までの距離は予め定めた長さL2となることになり、処理回路基板50の後端とピンホルダ42との間に形成されたギャップの大きさが調節されて、長さL2が予め決められた範囲内の長さとなるようになる。
【0064】
次に、上記状態を維持しつつ、端子ピン41の接続端41aと処理回路基板50のランド51との半田付けを行なう。これにより、端子ピン41と処理回路との電気的な接続が実現されるとともに、本体部組立体70と端子部組立体40との機械的な接続も実現されるようになる。なお、その後に行なわれる各ステップは、上述の実施の形態1におけるそれと同様である。
【0065】
以上において説明した本実施の形態における近接センサの製造方法を用いることにより、上述の実施の形態1における近接センサの製造方法を用いた場合と同様の効果を得ることができる。さらには、治具の数が減少するため、製造作業がさらに容易化し、製造コストのさらなる削減も可能になる。
【0066】
上述した本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法においては、第1治具および第2治具の第1基準位置ないし第4基準位置のそれぞれに、隔壁や段差、フランジ等を設けることによって第1基準面ないし第4基準面を設ける構成とした場合を例示した。また、上述した本発明の実施の形態2における近接センサの製造方法においては、第1治具の第1基準位置および第2基準位置のそれぞれに、隔壁や段差等を設けることによって第1基準面および第2基準面を設ける構成とした。しかしながら、これら基準位置をを当て止め用の面にて構成する必要は必ずしもない。すなわち、治具に対する部品の相対的な取付け位置や治具同士の相対的な取付け位置が正確に位置決めできる構成が採用されていればよく、当て止め以外の手法を用いることも当然に可能である。
【0067】
また、上述した本発明の実施の形態1および2における基準位置は、上述した位置に限定されるものではない。これら基準位置は治具の形状、製造する近接センサの形状等に基づいて種々変更することが可能である。現に、上述の実施の形態1における近接センサの製造方法と実施の形態2における近接センサの製造方法とでは、第1治具に設けられる第1基準位置は同じ位置であるのに対し、第2基準位置は異なる位置となっている。
【0068】
また、上述した本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法においては、端子部組立体が取付けられた第2治具を本体部組立体に取付けた後に第2治具に本体部組立体を載置する順序で組付け作業が進められる場合を例示して説明を行なったが、先に本体部組立体を第2治具に載置し、その後に端子部組立体が取付けられた第2治具を本体部組立体に取付ける順で組付け作業を行なってもよい。このように、作業手順は必要に応じて種々変更することが可能である。
【0069】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1または2における近接センサの製造方法を用いて製造された近接センサの断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法を説明するための斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法を説明するための断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法を説明するための斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態1における近接センサの製造方法を説明するための斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2における近接センサの製造方法を説明するための斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態2における近接センサの製造方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 近接センサ、10 ケース体、12 コイルケース、20 ホルダ部材、21 ホルダケース、22 レセプタクル、22a 第1突き当たり面、30 コイル組立体、31 コア、31a 前面、31b 背面、32 検出コイル、32a コイル端、33 補助コイル、33a コイル端、35,36 半田接合部、40 端子部組立体、41 端子ピン、41a 接続端、42 ピンホルダ、42a 樹脂注入口、42b 樹脂注入部、42c 鍔部、42d 第2突き当たり面、50 処理回路基板、50a,50b 主面、51 ランド、60 中継基板、61 基部、61a,61b 主面、62 板状シールド部、63 筒状シールド部、70 本体部組立体、80 第1治具、81 保持部、82 中空部、83 係合部、84 フランジ部、85 付勢部、86 係止部、86a 係止スリット、87 コイルバネ、90 第2治具、91 台状部、92 載置部、93 立壁部、100 ホッパ、P1 第1基準面、P2 第2基準面、P3 第3基準面、P4 第4基準面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に前端および後端を有する筒状のケース体と、
検出コイルを少なくとも含み、前記ケース体の内部でかつ前記ケース体の前端に配置されたコイル組立体と、
前記検出コイルに電気的に接続されるとともに、前記ケース体の内部において前記ケース体の軸方向に沿って延在するように前記コイル組立体の後方に配置された処理回路基板と、
外部接続用の端子ピンを少なくとも含み、前記処理回路基板に電気的に接続されるとともに前記処理回路基板の後端に配置された端子部組立体とを具備した近接センサの製造方法であって、
前記コイル組立体に前記処理回路基板を組付けて固定するとともに、前記処理回路基板が組付け固定された前記コイル組立体を前記ケース体に組付けて固定することによって本体部組立体を準備するステップと、
所定の距離だけ隔てて位置する第1基準位置および第2基準位置を有する第1治具に、前記端子部組立体の所定位置が前記第1基準位置に合致するように前記端子部組立体を位置決めしてセットするステップと、
所定の距離だけ隔てて位置する第3基準位置および第4基準位置を有する第2治具に、前記本体部組立体の所定位置が前記第3基準位置に合致するように前記本体部組立体を位置決めしてセットするステップと、
前記第2基準位置と前記第4基準位置とが合致するように、前記端子部組立体がセットされた前記第1治具と前記本体部組立体がセットされた前記第2治具とを位置決めしてセットするステップと、
当該位置決めした状態を維持しつつ、前記本体部組立体に前記端子部組立体を固定するステップと、
前記本体部組立体および前記端子部組立体から前記第1治具および前記第2治具を取り外すステップとを備えた、近接センサの製造方法。
【請求項2】
前記第1治具に前記端子部組立体を位置決めしてセットするステップにおいて、前記第1基準位置に合致させるべき前記端子部組立体の前記所定位置が、前記端子ピンの後端であり、
前記第2治具に前記本体部組立体を位置決めしてセットするステップにおいて、前記第3基準位置に合致させるべき前記本体部組立体の前記所定位置が、前記本体部組立体の前端である、請求項1に記載の近接センサの製造方法。
【請求項3】
前記第1治具は、前記第1基準位置に第1基準面を、前記第2基準位置に第2基準面をそれぞれ有し、
前記第2治具は、前記第3基準位置に第3基準面を、前記第4基準位置に第4基準面をそれぞれ有し、
前記第1治具に前記端子部組立体を位置決めしてセットするステップは、前記端子ピンの後端を前記第1基準面に突き当てることによって行なわれ、
前記第2治具に前記本体部組立体を位置決めしてセットするステップは、前記本体部組立体の前端を前記第3基準面に突き当てることによって行なわれ、
前記端子部組立体がセットされた前記第1治具と前記本体部組立体がセットされた前記第2治具とを位置決めしてセットするステップは、前記第2基準面と前記第4基準面とを突き当てることによって行なわれる、請求項2に記載の近接センサの製造方法。
【請求項4】
前記第1治具は、前記端子部組立体がセットされた状態において、前記第1基準面を前記端子ピンの後端に対して押し付ける方向に付勢する付勢部材を含み、
前記第1治具に前記端子部組立体を位置決めしてセットするステップは、前記付勢部材による付勢力を利用することによって前記端子部組立体の前記端子ピンの後端を前記第1基準面に突き当てることによって行なわれる、請求項3に記載の近接センサの製造方法。
【請求項5】
前記第1治具は、前記端子部組立体がセットされた状態において、前記端子部組立体に取付けられるものであり、
前記第2治具は、前記本体部組立体がセットされた状態において、前記本体部組立体が載置されるものである、請求項1から4のいずれかに記載の近接センサの製造方法。
【請求項6】
軸方向に前端および後端を有する筒状のケース体と、
検出コイルを少なくとも含み、前記ケース体の内部でかつ前記ケース体の前端に配置されたコイル組立体と、
前記検出コイルに電気的に接続されるとともに、前記ケース体の内部において前記ケース体の軸方向に沿って延在するように前記コイル組立体の後方に配置された処理回路基板と、
外部接続用の端子ピンを少なくとも含み、前記処理回路基板に電気的に接続されるとともに前記処理回路基板の後端に配置された端子部組立体とを具備した近接センサの製造方法であって、
前記コイル組立体に前記処理回路基板を組付けて固定するとともに、前記処理回路基板が組付け固定された前記コイル組立体を前記ケース体に組付けて固定することによって本体部組立体を準備するステップと、
所定の距離だけ隔てて位置する第1基準位置および第2基準位置を有する第1治具に、前記端子部組立体の所定位置が前記第1基準位置に合致するように前記端子部組立体を位置決めしてセットするステップと、
前記第2基準位置に前記ケース体の所定位置が合致するように、前記本体部組立体を前記第1治具に位置決めしてセットするステップと、
当該位置決めした状態を維持しつつ、前記本体部組立体に前記端子部組立体を固定するステップと、
前記本体部組立体および前記端子部組立体から前記第1治具を取り外すステップとを備えた、近接センサの製造方法。
【請求項7】
前記第1治具に前記端子部組立体を位置決めしてセットするステップにおいて、前記第1基準位置に合致させるべき前記端子部組立体の前記所定位置が、前記端子ピンの後端であり、
前記第1治具に前記端子部組立体を位置決めしてセットするステップにおいて、前記第2基準位置に合致させるべき前記ケース体の前記所定位置が、前記ケース体の後端である、請求項6に記載の近接センサの製造方法。
【請求項8】
前記第1治具は、前記第1基準位置に第1基準面を、前記第2基準位置に第2基準面をそれぞれ有し、
前記第1治具に前記端子部組立体を位置決めしてセットするステップは、前記端子ピンの後端を前記第1基準面に突き当てることによって行なわれ、
前記第1治具に前記本体部組立体を位置決めしてセットするステップは、前記ケース体の後端を前記第2基準面に突き当てることによって行なわれる、請求項7に記載の近接センサの製造方法。
【請求項9】
前記第1治具は、前記端子部組立体がセットされた状態において、前記第1基準面を前記端子ピンの後端に対して押し付ける方向に付勢する付勢部材を含み、
前記第1治具に前記端子部組立体を位置決めしてセットするステップは、前記付勢部材による付勢力を利用することによって前記端子部組立体の前記端子ピンの後端を前記第1基準面に突き当てることによって行なわれる、請求項8に記載の近接センサの製造方法。
【請求項10】
前記第1治具は、前記端子部組立体および前記本体部組立体がセットされた状態において、前記端子部組立体および前記本体部組立体に取付けられるものである、請求項6から9のいずれかに記載の近接センサの製造方法。
【請求項11】
前記本体部組立体に前記端子部組立体を固定するステップは、前記処理回路基板に設けられたランドに前記端子ピンの前端をろう材にてろう付けすることによって行なわれる、請求項1から10のいずれかに記載の近接センサの製造方法。
【請求項12】
前記近接センサは、前記端子部組立体を取り囲むように前記ケース体の後方でかつ前記ケース体と同軸上に配置された筒状のホルダ部材をさらに備え、
前記端子部組立体が組付け固定された前記本体部組立体の前記ケース体の後端に前記ホルダ部材を組付け、前記ホルダ部材に設けられた第1突き当り面と前記端子部組立体に設けられた第2突き当たり面とを突き当てた状態とし、この状態を維持しつつ、前記端子部組立体が前記ホルダ部材の内部に配置されるように前記ホルダ部材を前記ケース体に固定するステップをさらに備えた、請求項1から11のいずれかに記載の近接センサの製造方法。
【請求項13】
前記端子部組立体が組付け固定されかつ前記ホルダ部材が組付けられた前記本体部組立体の内部に形成された空間に、前記端子部組立体に設けられた樹脂注入口を介して液状の樹脂材料を注入し、注入した樹脂材料を硬化させることによって樹脂封止層を形成するステップをさらに備え、
前記ホルダ部材の前記ケース体への固定が、上記樹脂封止層によって行なわれる、請求項12に記載の近接センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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