近接場光発生素子を備えた熱アシスト磁気記録ヘッド
【課題】前端面における上端に、近接場光発生部を形成する尖端が形成され、多くの表面プラズモンを励起させ、且つこの表面プラズモンを近接場光発生部に集中させることが可能な近接場光発生素子を提供する。
【解決手段】近接場光発生素子16の外面は、下面16aと、導波路対向面16bと、前端面16cと、側面16dとを含んでいる。前端面16cは、下面16aの端に位置する第1の辺16c1と、基板の上面からより遠い端に位置して近接場光発生部16gを形成する尖端16c4と、第1の辺16c1の一端と尖端16c4とを接続する第2の辺16c2と、第1の辺16c1の他端と尖端16c4とを接続する第3の辺16c3とを含んでいる。導波路対向面16bは、前端面16cに近づくに従って下面16aおよび前端面16cに平行な方向についての幅が小さくなる幅変化部分を含んでいる。
【解決手段】近接場光発生素子16の外面は、下面16aと、導波路対向面16bと、前端面16cと、側面16dとを含んでいる。前端面16cは、下面16aの端に位置する第1の辺16c1と、基板の上面からより遠い端に位置して近接場光発生部16gを形成する尖端16c4と、第1の辺16c1の一端と尖端16c4とを接続する第2の辺16c2と、第1の辺16c1の他端と尖端16c4とを接続する第3の辺16c3とを含んでいる。導波路対向面16bは、前端面16cに近づくに従って下面16aおよび前端面16cに平行な方向についての幅が小さくなる幅変化部分を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に近接場光を照射して記録媒体の保磁力を低下させて情報の記録を行う熱アシスト磁気記録に用いられる近接場光発生素子およびその製造方法、ならびに近接場光発生素子を備えた熱アシスト磁気記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置等の磁気記録装置では、高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドおよび記録媒体の性能向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。磁気ディスク装置において、薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体の表面からわずかに浮上するスライダに設けられる。
【0003】
磁気記録装置において、記録密度を高めるためには、記録媒体の磁性微粒子を小さくすることが効果的である。しかし、磁性微粒子を小さくすると、磁性微粒子の磁化の熱安定性が低下するという問題が発生する。この問題を解消するには、磁性微粒子の異方性エネルギーを大きくすることが効果的である。しかし、磁性微粒子の異方性エネルギーを大きくすると、記録媒体の保磁力が大きくなって、既存の磁気ヘッドでは情報の記録が困難になるという問題が発生する。
【0004】
上述のような問題を解決する方法として、いわゆる熱アシスト磁気記録という方法が提案されている。この方法では、保磁力の大きな記録媒体を使用し、情報の記録時には、記録媒体のうち情報が記録される部分に対して磁界と同時に熱も加えて、その部分の温度を上昇させ保磁力を低下させて情報の記録を行う。情報が記録された部分は、その後、温度が低下して保磁力が大きくなり、磁化の熱安定性が高まる。以下、熱アシスト磁気記録に用いられる磁気ヘッドを、熱アシスト磁気記録ヘッドと呼ぶ。
【0005】
熱アシスト磁気記録では、記録媒体に対して熱を加える方法としては、近接場光を用いる方法が一般的である。近接場光を発生させる方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、微小な金属片であるプラズモン・アンテナにレーザ光を照射する方法が知られている。プラズモン・アンテナでは、照射されたレーザ光によって表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンに基づいて近接場光が発生される。プラズモン・アンテナより発生される近接場光は、光の回折限界よりも小さな領域にのみ存在する。この近接場光を記録媒体に照射することにより、記録媒体における微小な領域のみを加熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−59697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の熱アシスト磁気記録ヘッドでは、レーザ光をプラズモン・アンテナに直接照射し、このプラズモン・アンテナによってレーザ光を近接場光に変換していた。この場合、レーザ光がプラズモン・アンテナの表面で反射されたり、熱エネルギーに変換されてプラズモン・アンテナに吸収されたりすることから、レーザ光の利用効率が悪いという問題点があった。
【0008】
また、従来のプラズモン・アンテナは、光の波長以下のサイズを有することから、その体積は小さい。そのため、従来のプラズモン・アンテナでは、上記の熱エネルギーの吸収に伴う温度上昇が大きく、その結果、プラズモン・アンテナが膨張し、記録媒体に対向する面である媒体対向面から突出して、記録媒体を傷付ける等の問題が発生していた。
【0009】
そこで、近接場光を発生する金属片である近接場光発生素子の外面に対して、所定の間隔を開けて導波路の外面を対向させて、導波路を伝播する光が導波路の外面で全反射して発生するエバネッセント光を利用して、近接場光発生素子に表面プラズモンを励起させる技術が提案されている。
【0010】
熱アシスト磁気記録ヘッドの構成としては、媒体対向面において、近接場光発生素子の前端面に対してトレーリング側に、記録磁界を発生する磁極の端面を配置した構成が考えられる。なお、基準の位置に対してトレーリング側とは、基準の位置に対してスライダにおける空気流出端により近い側であり、一般的には、基準の位置に対して基板の上面からより遠い側である。上記の構成を採用する場合には、近接場光発生素子の前端面の形状としては、前端面の上端近傍に近接場光発生部が形成されるように、前端面の上端が尖った形状であることが好ましい。このような形状の前端面を有する近接場光発生素子の形状としては、上端にエッジ部が位置する三角柱形状が考えられる。この場合、熱アシスト磁気記録ヘッドの構成としては、エバネッセント光を利用して近接場光発生素子に表面プラズモンを励起させるために、近接場光発生素子のエッジ部に対して、所定の間隔を開けて導波路の外面を対向させた構成が考えられる。
【0011】
しかし、上記の構成では、近接場光発生素子のエッジ部と導波路の外面とが対向する領域の面積が小さいため、近接場光発生素子に多くの表面プラズモンを励起させることが難しいという問題点がある。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、前端面における上端に、近接場光発生部を形成する尖端が形成された近接場光発生素子であって、多くの表面プラズモンを励起させ、且つこの表面プラズモンを近接場光発生部に集中させることが可能な近接場光発生素子およびその製造方法、ならびに近接場光発生素子を備えた熱アシスト磁気記録ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の近接場光発生素子は、熱アシスト磁気記録ヘッドに用いられるものである。熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、磁極と、光を伝播させる導波路と、近接場光発生素子と、上面を有する基板とを備えている。磁極は、媒体対向面に配置された端面を有し、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。近接場光発生素子は、媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部より近接場光を発生するものである。近接場光発生素子、磁極および導波路は、基板の上面の上方に配置されている。
【0014】
本発明の近接場光発生素子は、外面を有している。この外面は、基板の上面により近い端に位置する下面と、基板の上面からより遠い端に位置して導波路に対向する導波路対向面と、媒体対向面に配置された前端面と、下面、導波路対向面および前端面を接続する側面とを含んでいる。前端面は、下面の端に位置する第1の辺と、基板の上面からより遠い端に位置して近接場光発生部を形成する尖端と、第1の辺の一端と尖端とを接続する第2の辺と、第1の辺の他端と尖端とを接続する第3の辺とを含んでいる。導波路対向面は、幅変化部分を含み、幅変化部分は、前端面に近づくに従って小さくなる、下面および前端面に平行な方向についての幅を有している。
【0015】
本発明の近接場光発生素子において、下面に平行な断面の大きさは、下面から離れるに従って小さくなっていてもよい。
【0016】
また、本発明の近接場光発生素子において、導波路対向面は、前端面により近い前端部を有し、この前端部は前端面から離れた位置に配置されていてもよい。この場合、近接場光発生素子の外面は、更に、前端部と前端面の尖端とを接続するエッジ部を含んでいてもよい。前端部が前端面から離れた位置に配置されている場合、導波路対向面は、前端面の尖端に対して、下面により近い位置に配置されていてもよい。
【0017】
本発明の第1の近接場光発生素子の製造方法は、
後にエッチングされることによって近接場光発生素子となる金属層を形成する工程と、
金属層に前端面の第2の辺に続く側面の一部が形成されるように、金属層をエッチングする第1のエッチング工程と、
導波路対向面と側面が完成して、金属層が近接場光発生素子になるように、金属層をエッチングする第2のエッチング工程とを備えている。
【0018】
本発明の第2の近接場光発生素子の製造方法は、
後にエッチングされることによって近接場光発生素子となる金属層を形成する工程と、
金属層の上に、後に行われる研磨工程において用いられる研磨停止層を形成する工程と、
金属層に前端面の第2の辺に続く側面の一部が形成されるように、研磨停止層および金属層をエッチングする第1のエッチング工程と、
側面の一部が形成された後の金属層と研磨停止層とを覆うように、後に行われる第2のエッチング工程におけるエッチング速度が金属層よりも小さい、金属以外の無機材料よりなる被覆層を形成する工程と、
研磨停止層が露出するまで被覆層を研磨する研磨工程と、
導波路対向面と側面が完成して、金属層が近接場光発生素子になるように、研磨停止層および金属層をエッチングする第2のエッチング工程とを備えている。
【0019】
本発明の第2の近接場光発生素子の製造方法において、近接場光発生素子のうちの尖端を含む一部の形状は、第2のエッチング工程において、研磨工程で研磨された後の被覆層がエッチングマスクとして用いられて金属層がエッチングされることによって形成される。
【0020】
本発明の第2の近接場光発生素子の製造方法において、被覆層は、Al2O3、SiO2、Ta2O5、SiCおよびTiNからなるグループから選択された1つよりなるものであってもよい。
【0021】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、磁極と、光を伝播させる導波路と、近接場光発生素子と、上面を有する基板とを備えている。磁極は、媒体対向面に配置された端面を有し、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。近接場光発生素子は、媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部より近接場光を発生するものである。近接場光発生素子、磁極および導波路は、基板の上面の上方に配置されている。
【0022】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、近接場光発生素子は、外面を有している。この外面は、基板の上面により近い端に位置する下面と、基板の上面からより遠い端に位置して導波路に対向する導波路対向面と、媒体対向面に配置された前端面と、下面、導波路対向面および前端面を接続する側面とを含んでいる。前端面は、下面の端に位置する第1の辺と、基板の上面からより遠い端に位置して近接場光発生部を形成する尖端と、第1の辺の一端と尖端とを接続する第2の辺と、第1の辺の他端と尖端とを接続する第3の辺とを含んでいる。導波路対向面は、幅変化部分を含み、幅変化部分は、前端面に近づくに従って小さくなる、下面および前端面に平行な方向についての幅を有している。
【0023】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、近接場光発生素子における下面に平行な断面の大きさは、下面から離れるに従って小さくなっていてもよい。
【0024】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、導波路対向面は、前端面により近い前端部を有し、前端部は前端面から離れた位置に配置されていてもよい。この場合、近接場光発生素子の外面は、更に、前端部と前端面の尖端とを接続するエッジ部を含んでいてもよい。前端部が前端面から離れた位置に配置されている場合、導波路対向面は、前端面の尖端に対して、下面により近い位置に配置されていてもよい。
【0025】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、磁極の端面は、近接場光発生素子の前端面における第1の辺との間に尖端を挟む位置に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の近接場光発生素子およびその製造方法、ならびに本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、近接場光発生素子の外面は、下面と、基板の上面からより遠い端に位置して導波路に対向する導波路対向面と、媒体対向面に配置された前端面と、側面とを含んでいる。前端面は、基板の上面からより遠い端に位置して近接場光発生部を形成する尖端を含んでいる。導波路対向面は、幅変化部分を含み、幅変化部分は、前端面に近づくに従って小さくなる、下面および前端面に平行な方向についての幅を有している。これにより、本発明によれば、導波路対向面において多くの表面プラズモンを励起させ、且つこの表面プラズモンを近接場光発生部に集中させることが可能になる。従って、本発明によれば、前端面における上端に、近接場光発生部を形成する尖端が形成された近接場光発生素子において、多くの表面プラズモンを励起させ、且つこの表面プラズモンを近接場光発生部に集中させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る近接場光発生素子を示す斜視図である。
【図2】図1に示した近接場光発生素子の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドにおけるコイルの第1層を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドにおけるコイルの第2層を示す平面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法における一工程を示す説明図である。
【図9】図8に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図10】図9に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図11】図10に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図12】図11に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図13】図12に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図14】図13に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図15】図14に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図16】図15に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図17】図16に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図18】図17に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図19】図18に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態における変形例の近接場光発生素子を示す斜視図である。
【図21】図20に示した近接場光発生素子の平面図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法における一工程を示す説明図である。
【図23】図22に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図24】図23に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図25】図24に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図26】図25に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図27】図26に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図28】図27に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図29】図28に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図30】図29に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図31】図30に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図32】図31に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図33】図32に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図34】本発明の第3の実施の形態に係る近接場光発生素子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図3ないし図7を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの構成について説明する。図3は、熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す斜視図である。図4は、熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。図5は、熱アシスト磁気記録ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。図6は、熱アシスト磁気記録ヘッドにおけるコイルの第1層を示す平面図である。図7は、熱アシスト磁気記録ヘッドにおけるコイルの第2層を示す平面図である。
【0029】
本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドは、垂直磁気記録用であり、回転する記録媒体の表面から浮上するスライダの形態を有している。記録媒体が回転すると、記録媒体とスライダとの間を通過する空気流によって、スライダに揚力が生じる。スライダは、この揚力によって記録媒体の表面から浮上するようになっている。
【0030】
図4に示したように、熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面40を備えている。ここで、X方向、Y方向、Z方向を以下のように定義する。X方向は、記録媒体のトラック横断方向すなわちトラック幅方向である。Y方向は、媒体対向面40に垂直な方向である。Z方向は、スライダから見た記録媒体の進行方向である。X方向、Y方向、Z方向は互いに直交している。
【0031】
図4および図5に示したように、熱アシスト磁気記録ヘッドは、アルミニウムオキサイド・チタニウムカーバイド(Al2O3・TiC)等のセラミック材料よりなり、上面1aを有する基板1と、この基板1の上面1a上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に配置された磁性材料よりなる下部シールド層3とを備えている。絶縁層2は、例えばアルミナ(Al2O3)によって形成されている。
【0032】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、下部シールド層3の上面の上に配置された絶縁膜である下部シールドギャップ膜4と、この下部シールドギャップ膜4の上に配置された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5に接続された2つのリード(図示せず)と、MR素子5の上に配置された絶縁膜である上部シールドギャップ膜6と、この上部シールドギャップ膜6の上に配置された磁性材料よりなる上部シールド層7とを備えている。
【0033】
MR素子5の一端部は、記録媒体に対向する媒体対向面40に配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。GMR素子としては、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ平行な方向に流すCIP(Current In Plane)タイプでもよいし、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ垂直な方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)タイプでもよい。MR素子5が、TMR素子またはCPPタイプのGMR素子の場合には、下部シールド層3の上面がMR素子5の下面に接し、上部シールド層7の下面がMR素子5の上面に接して、下部シールド層3と上部シールド層7が2つのリードを兼ねていてもよい。下部シールド層3から上部シールド層7までの部分は、再生ヘッドを構成する。
【0034】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、非磁性材料よりなり、上部シールド層7の上面の上に配置された非磁性層8と、非磁性層8の上に配置された磁性材料よりなるリターン磁極層10とを備えている。非磁性層8は、例えばアルミナによって形成されている。
【0035】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、媒体対向面40から離れた位置でリターン磁極層10の上面の上に配置された磁性材料よりなる連結層11と、リターン磁極層10の上面の上において連結層11の周囲に配置された絶縁層12とを備えている。絶縁層12は、例えばアルミナによって形成されている。
【0036】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、連結層11の上に配置された磁性材料よりなる連結層13と、絶縁層12の上面の一部の上に配置されたヒートシンク層14と、絶縁層12の上面の上において連結層13およびヒートシンク層14の周囲に配置された絶縁層15とを備えている。ヒートシンク層14の媒体対向面40により近い端面は、媒体対向面40から離れた位置に配置されている。絶縁層15の一部は、ヒートシンク層14の端面と媒体対向面40との間に配置されている。ヒートシンク層14は、熱伝導率の大きな材料、例えばSiCによって形成されている。絶縁層15は、例えばアルミナによって形成されている。連結層13、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面は、平坦化されている。
【0037】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、媒体対向面40の近傍において、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面の上に配置された近接場光発生素子16と、連結層13の上に配置された磁性材料よりなる連結層17と、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面の上において近接場光発生素子16および連結層17の周囲に配置された周囲層18とを備えている。周囲層18は、近接場光発生素子16をわずかに覆っていてもよい。近接場光発生素子16は、金属によって形成されている。具体的には、近接場光発生素子16は、例えば、Au、Ag、Al、Cu、Pd、Pt、Rh、Irのいずれか、またはこれらのうちの複数の元素よりなる合金によって形成されている。周囲層18のうちの少なくとも一部は、金属以外の無機材料によって形成されている。連結層17および周囲層18の上面は平坦化されている。
【0038】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、連結層17および周囲層18の上面の上に配置されたクラッド層19と、このクラッド層19の上に配置された導波路20および磁極22を備えている。導波路20は、近接場光の発生に用いられるレーザ光を通過させる誘電体材料によって形成されている。導波路20には、図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光が入射され、このレーザ光は導波路20内を伝播する。クラッド層19は、導波路20の屈折率よりも小さい屈折率を有する誘電体材料によって形成されている。導波路20の材料としては、例えば、屈折率が約2.1のTa2O5が用いられ、クラッド層19の材料としては、例えば、屈折率が約1.8のアルミナが用いられる。
【0039】
導波路20は、クラッド層19の上に配置された第1層20Aと、第1層20Aの上に配置された第2層20Bとを有している。磁極22は、クラッド層19の上に配置された第1層22Aと、第1層22Aの上に配置された第2層22Bと、第2層22Bの上に配置された第3層22Cとを有している。
【0040】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、クラッド層21,23を備えている。クラッド層21は、クラッド層19の上において、導波路20の第1層20Aおよび磁極22の第1層22Aの周囲に配置されている。クラッド層23は、クラッド層21の上において、導波路20の第2層20Bおよび磁極22の第2層22Bの周囲に配置されている。クラッド層23の一部は、第2層20Bの上面を覆っている。クラッド層21,23は、導波路20の屈折率よりも小さい屈折率を有する誘電体材料によって形成されている。導波路20の材料としてTa2O5が用いられる場合には、クラッド層21,23の材料としては、例えばアルミナが用いられる。
【0041】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、連結層17の上方の位置において、クラッド層23の上に配置された磁性材料よりなる連結層24と、クラッド層23の上において、磁極22の第3層22Cおよび連結層24の周囲に配置された絶縁層25とを備えている。絶縁層25は、例えばアルミナによって形成されている。連結層24は、後述する2つの連結部を介して、連結層17に対して磁気的に連結されている。
【0042】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、磁極22の第3層22Cの上に配置された磁性材料よりなる連結層26と、連結層24の上に配置された磁性材料よりなる連結層27とを備えている。
【0043】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、絶縁層25の上に配置された絶縁層28と、絶縁層28の上に配置された複数の第1のコイル要素30Aと、連結層26,27および複数の第1のコイル要素30Aの周囲に配置された絶縁層31とを備えている。図6は、複数の第1のコイル要素30Aを示している。複数の第1のコイル要素30Aは、Y方向に並ぶように配置されている。各第1のコイル要素30Aは、トラック幅方向(X方向)に延びる主要部分を有している。各第1のコイル要素30Aは、銅等の導電材料によって形成されている。絶縁層28,31は、例えばアルミナによって形成されている。
【0044】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、複数の第1のコイル要素30Aを覆うように配置された絶縁層32と、連結層26,27および絶縁層32の上に配置された磁性材料よりなるヨーク層33とを備えている。ヨーク層33は、連結層26と連結層27を磁気的に連結している。絶縁層32は、例えばアルミナによって形成されている。
【0045】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、ヨーク層33を覆うように配置された絶縁層34と、絶縁層34の上に配置された複数の第2のコイル要素30Bと、絶縁層34の上に配置されたリード層30Cと、複数の第2のコイル要素30Bおよびリード層30Cを覆うように配置された保護層35とを備えている。絶縁層34と保護層35は、例えばアルミナによって形成されている。
【0046】
図7は、複数の第2のコイル要素30Bとリード層30Cを示している。複数の第2のコイル要素30Bは、Y方向に並ぶように配置されている。各第2のコイル要素30Bは、トラック幅方向(X方向)に延びる主要部分を有している。各第2のコイル要素30Bとリード層30Cは、銅等の導電材料によって形成されている。
【0047】
図6および図7に示したように、熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、複数の接続部36と1つの接続部37とを備えている。複数の接続部36は、ヨーク層33の周りにヘリカル状に巻かれたコイル30が形成されるように、複数の第1のコイル要素30Aと複数の第2のコイル要素30Bとを接続している。接続部37は、1つの第1のコイル要素30Aとリード層30Cを接続している。複数の接続部36と接続部37は、絶縁層34を貫通するように設けられている。複数の接続部36と接続部37は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0048】
また、図6は、連結層24と連結層17を連結する2つの連結部29A,29Bを示している。連結部29A,29Bは、クラッド層19,21,23を貫通するように設けられている。連結部29A,29Bは、導波路20のトラック幅方向(X方向)の両側において、導波路20に対して間隔をあけて配置されている。図示しないが、連結部29A,29Bは、それぞれ、連結層17の上に配置された第1層と、この第1層の上に配置された第2層を有している。
【0049】
リターン磁極層10から複数の第2のコイル要素30Bまでの部分は、記録ヘッドを構成する。複数の第1のコイル要素30Aと複数の第2のコイル要素30Bと複数の接続部36とによって構成されたコイル30は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。リターン磁極層10、連結層11,13,17、連結部29A,29B、連結層24,27、ヨーク層33、連結層26および磁極22は、コイル30が発生する磁界に対応した磁束を通過させる磁路を形成する。磁極22は、コイル30によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面40と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドと記録ヘッドは、基板1の上に積層されている。記録ヘッドは、再生ヘッドに対して、記録媒体の進行方向(Z方向)の前側(トレーリング側)に配置されている。
【0051】
再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子5と、媒体対向面40側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層7と、MR素子5と下部シールド層3との間に配置された下部シールドギャップ膜4と、MR素子5と上部シールド層7との間に配置された上部シールドギャップ膜6とを備えている。
【0052】
記録ヘッドは、基板1の上面1aの上方に配置された近接場光発生素子16、磁極22、導波路20およびコイル30を備えている。コイル30は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。磁極22は、コイル30によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。導波路20は、図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光を伝播する。
【0053】
次に、図1および図2を参照して、近接場光発生素子16について説明する。図1は、近接場光発生素子16を示す斜視図である。図2は、図1に示した近接場光発生素子16の平面図である。図1および図2に示したように、近接場光発生素子16は、媒体対向面40に配置された近接場光発生部16gを有している。また、近接場光発生素子16は、以下のような外面を有している。近接場光発生素子16の外面は、基板1の上面1aにより近い端に位置する下面16aと、基板1の上面1aからより遠い端に位置して導波路20に対向する導波路対向面16bと、媒体対向面40に配置された前端面16cと、下面16a、導波路対向面16bおよび前端面16cを接続する側面16dとを含んでいる。
【0054】
前端面16cは、下面16aの端に位置する第1の辺16c1と、基板1の上面1aからより遠い端に位置して近接場光発生部16gを形成する尖端16c4と、第1の辺16c1の一端と尖端16c4とを接続する第2の辺16c2と、第1の辺16c1の他端と尖端16c4とを接続する第3の辺16c3とを含んでいる。近接場光発生部16gは、前端面16cにおける尖端16c4およびその近傍の部分である。図3に示したように、媒体対向面40に配置された磁極22の端面は、近接場光発生素子16の前端面16cにおける第1の辺16c1との間に尖端16c4を挟む位置に配置されている。
【0055】
図2に示したように、導波路対向面16bは、幅変化部分16b1と後方部分16b2とを含んでいる。幅変化部分16b1は、下面16aおよび前端面16cに平行な方向(X方向)についての幅であって、前端面16cに近づくに従って小さくなる幅を有している。後方部分16b2は、幅変化部分16b1に連続するように、幅変化部分16b1に対して媒体対向面40から遠い位置に配置されている。幅変化部分16b1は、下面16aおよび前端面16cに平行な方向(X方向)の両側に位置する2つの辺16b11,16b12を含んでいる。下面16aおよび前端面16cに平行な方向(X方向)についての2つの辺16b11,16b12の間の距離は、前端面16cに近づくに従って小さくなっている。後方部分16b2は、2つの辺16b11,16b12の媒体対向面40からより遠い端同士を接続する円弧状の外縁16b21を有している。
【0056】
導波路対向面16bは、前端面16cにより近い前端部16b3を有している。この前端部16b3において、2つの辺16b11,16b12が交わっている。前端部16b3は、前端面16cから離れた位置に配置されている。近接場光発生素子16の外面は、更に、前端部16b3と前端面16cの尖端16c4とを接続するエッジ部16eを含んでいる。なお、近接場光発生素子16の外面がエッジ部16eを有さずに、前端部16b3が媒体対向面40に配置されていてもよい。
【0057】
図2に示したように、下面16aは外縁16a1を有している。上方から見たときに、2つの辺16b11,16b12と外縁16b21とを含む導波路対向面16bの外縁は、下面16aの外縁16a1の内側に位置している。また、近接場光発生素子16における下面16aに平行な断面の大きさは、下面16aから離れるに従って小さくなっている。
【0058】
ここで、図2に示したように、媒体対向面40に垂直な方向(Y方向)についての近接場光発生素子16の長さ、導波路対向面16bの長さおよびエッジ部16eの長さを、それぞれ記号HPA1,HPA2,HPA3で表す。また、X方向についての前端面16cの最大の幅(第1の辺16c1の長さ)、下面16aの最大の幅および導波路対向面16bの最大の幅を、それぞれ記号WPA1,WPA2,WPA3で表す。また、図1に示したように、下面16aに垂直な方向(Z方向)についての前端面16cの長さを記号TPAで表す。HPA1はTPAよりも大きい。WPA1とTPAは共に、導波路20を伝播する光の波長以下である。HPA1は例えば0.6〜2.5μmの範囲内である。HPA2は例えば0.35〜2.35μmの範囲内である。HPA3は例えば0〜1.0μmの範囲内である。WPA1は例えば100〜500nmの範囲内である。WPA2は例えば500〜1500nmの範囲内である。WPA3は例えば350〜1350nmの範囲内である。TPAは例えば100〜500nmの範囲内である。
【0059】
また、前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第2の辺16c2がなす角度と、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第3の辺16c3がなす角度は等しい。以下、この角度をθで表す。角度θは、例えば30度から60度の範囲内である。
【0060】
図3に示したように、磁極22は、所定の間隔を開けてエッジ部16eに対向する下端部(第1層22Aの下端部)を有している。導波路20は、所定の間隔を開けて導波路対向面16bに対向する下面(第1層20Aの下面)を有している。エッジ部16eと磁極22の下端部との間、および導波路対向面16bと導波路20の下面との間には、少なくともクラッド層19が介在している。エッジ部16eと磁極22の下端部との間には、クラッド層19の他に周囲層18が介在していてもよい。エッジ部16eと磁極22の下端部との間隔は、例えば、5〜80nmの範囲内である。導波路対向面16bと導波路20の下面との間隔は、例えば、5〜80nmの範囲内である。
【0061】
次に、本実施の形態における近接場光発生の原理と、近接場光を用いた熱アシスト磁気記録の原理について詳しく説明する。図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光は導波路20に入射される。図4に示したように、レーザ光50は、導波路20内を媒体対向面40に向けて伝播して、近接場光発生素子16の近傍に達する。ここで、導波路20の下面において、レーザ光50が全反射することによって、クラッド層19内にしみ出すエバネッセント光が発生する。その結果、このエバネッセント光と、近接場光発生素子16の導波路対向面16bにおける電荷の集団振動すなわち表面プラズモンとが結合した系である表面プラズモン・ポラリトンが励起される。このようにして、近接場光発生素子16の導波路対向面16bに表面プラズモンが励起される。
【0062】
導波路対向面16bに励起された表面プラズモンは、導波路対向面16bを伝播してエッジ部16eに到達し、更にエッジ部16eを伝播して近接場光発生部16gに到達する。その結果、近接場光発生部16gにおいて表面プラズモンが集中し、この表面プラズモンに基づいて、近接場光発生部16gから近接場光が発生する。この近接場光は、記録媒体に向けて照射され、記録媒体の表面に達し、記録媒体の磁気記録層の一部を加熱する。これにより、その磁気記録層の一部の保磁力が低下する。熱アシスト磁気記録では、このようにして保磁力が低下した磁気記録層の一部に対して、磁極22より発生される記録磁界を印加することによってデータの記録が行われる。
【0063】
本実施の形態では、近接場光発生素子16において、エバネッセント光に起因した表面プラズモンが導波路対向面16bに励起される。そのため、本実施の形態によれば、エッジ部に表面プラズモンが励起される近接場光発生素子を用いる場合に比べて、導波路対向面16bにおいて多くの表面プラズモンを励起させることができる。また、導波路対向面16bは、前端面16cに近づくに従って小さくなる幅を有する幅変化部分16b1を有している。導波路対向面16bの前端部16b3は、エッジ部16eを介して、近接場光発生部16gを形成する前端面16cの尖端16c4に接続されている。そのため、本実施の形態によれば、導波路対向面16bに励起された表面プラズモンを近接場光発生部16gに集中させることが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、スポット径が小さく、且つ十分な強度の近接場光を発生させることが可能になる。
【0064】
次に、図4および図5を参照して、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法について説明する。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、複数の熱アシスト磁気記録ヘッドの基板1となる部分を含む基板上に、複数の熱アシスト磁気記録ヘッドの基板1以外の構成要素を形成して、それぞれ後に熱アシスト磁気記録ヘッドとなるヘッド予定部が複数列に配列された基礎構造物を作製する工程と、この基礎構造物を切断することによって複数のヘッド予定部を互いに分離して、複数の熱アシスト磁気記録ヘッドを形成する工程とを備えている。複数の熱アシスト磁気記録ヘッドを形成する工程では、切断によって形成された面を研磨して媒体対向面40を形成する。
【0065】
以下、1つの熱アシスト磁気記録ヘッドに注目して、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法を更に詳しく説明する。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法では、まず、基板1の上に絶縁層2を形成する。次に、絶縁層2の上に下部シールド層3を形成する。次に、下部シールド層3の上に下部シールドギャップ膜4を形成する。次に、下部シールドギャップ膜4の上にMR素子5と、MR素子5に接続される図示しない2つのリードとを形成する。次に、MR素子5およびリードを覆うように上部シールドギャップ膜6を形成する。次に、上部シールドギャップ膜6の上に上部シールド層7を形成する。次に、上部シールド層7の上に非磁性層8を形成する。次に、非磁性層8の上にリターン磁極層10を形成する。
【0066】
次に、リターン磁極層10の上に連結層11を形成する。次に、連結層11を覆うように絶縁層12を形成する。次に、例えば化学機械研磨(以下、CMPと記す。)によって、連結層11が露出するまで絶縁層12を研磨して、連結層11および絶縁層12の上面を平坦化する。次に、連結層11の上に連結層13を形成すると共に、絶縁層12の上にヒートシンク層14を形成する。次に、連結層13とヒートシンク層14を覆うように絶縁層15を形成する。次に、例えばCMPによって、連結層13およびヒートシンク層14が露出するまで絶縁層15を研磨して、連結層13、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面を平坦化する。
【0067】
次に、連結層13の上に連結層17を形成すると共に、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に近接場光発生素子16および周囲層18を形成する。近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程については、後で詳しく説明する。
【0068】
次に、連結層17および周囲層18の上にクラッド層19を形成する。このクラッド層19には、連結層17の上方の位置において、連結部29A,29Bを通すための2つの開口部が形成されている。次に、この2つの開口部を通って連結層17に連結されるように、連結部29A,29Bのそれぞれの第1層を形成する。また、クラッド層19の上に、導波路20の第1層20Aと、磁極22の第1層22Aと、クラッド層21を形成する。
【0069】
次に、第1層20Aの上に導波路20の第2層20Bを形成すると共に、第1層22Aの上に磁極22の第2層22Bを形成する。また、連結部29A,29Bのそれぞれの第1層の上に、連結部29A,29Bのそれぞれの第2層を形成する。次に、第2層20B、第2層22Bおよび連結部29A,29Bのそれぞれの第2層を覆うようにクラッド層23を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層22Bおよび連結部29A,29Bのそれぞれの第2層が露出するまでクラッド層23を研磨する。
【0070】
次に、第2層22Bの上に磁極22の第3層22Cを形成すると共に、連結部29A,29Bに連結されるように連結層24を形成する。次に、第3層22Cおよび連結層24を覆うように絶縁層25を形成する。次に、例えばCMPによって、第3層22Cおよび連結層24が露出するまで、絶縁層25を研磨する。
【0071】
次に、絶縁層25の上に絶縁層28を形成する。次に、絶縁層28の上に複数の第1のコイル要素30Aを形成する。また、磁極22の第3層22Cの上に連結層26を形成すると共に、連結層24の上に連結層27を形成する。次に、第1のコイル要素30Aおよび連結層26,27を覆うように絶縁層31を形成する。次に、例えばCMPによって、第1のコイル要素30Aおよび連結層26,27が露出するまで、絶縁層31を研磨する。
【0072】
次に、複数の第1のコイル要素30Aを覆うように絶縁層32を形成する。この絶縁層32には、接続部36,37を通すための複数の開口部が形成されている。次に、この複数の開口部を通って複数の第1のコイル要素30Aに接続されるように接続部36,37を形成する。次に、連結層26,27および絶縁層32の上にヨーク層33を形成する。次に、ヨーク層33および接続部36,37を覆うように絶縁層34を形成する。次に、例えばCMPによって、接続部36,37が露出するまで絶縁層34を研磨する。
【0073】
次に、接続部36,37および絶縁層34の上に、複数の第2のコイル要素30Bとリード層30Cを形成する。次に、複数の第2のコイル要素30Bおよびリード層30Cを覆うように保護層35を形成する。次に、保護層35の上面に配線や端子等を形成する。
【0074】
このようにして、基礎構造物が完成したら、この基礎構造物を切断することによって複数のヘッド予定部を互いに分離し、媒体対向面40の研磨、浮上用レールの作製等を行って、熱アシスト磁気記録ヘッドが完成する。
【0075】
次に、図8ないし図19を参照して、近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程について詳しく説明する。近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程は、近接場光発生素子16を形成する工程を含んでいる。以下の説明は、本実施の形態に係る近接場光発生素子16の製造方法の説明を含んでいる。
【0076】
図8ないし図19は、近接場光発生素子16および周囲層18を形成する過程における積層体を示している。なお、図8ないし図19では、ヒートシンク層14および絶縁層15よりも下の部分を省略している。図8ないし図19のうち、図n(a)(nは8以上19以下の整数)は、積層体の平面図である。図n(b)は、図n(a)中のnB−nB線で示される位置における積層体の断面を示す断面図である。図n(c)は、図n(a)中のnC−nC線で示される位置における積層体の断面を示す断面図である。nC−nC線で示される位置は、媒体対向面40が形成される予定の位置である。
【0077】
図8は、ヒートシンク層14および絶縁層15の形成後の工程を示している。この工程では、まず、例えばスパッタ法によって、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に、後にエッチングされることによって近接場光発生素子16となる金属層16Pを形成する。図8(a)では、後に形成される近接場光発生素子16の形状を二点鎖線で表している。これは、他の図でも同様である。金属層16Pの厚みは、例えば100〜500nmの範囲内である。次に、例えばスパッタ法によって、金属層16Pの上に、後に行われる研磨工程において用いられる研磨停止層51を形成する。研磨停止層51の厚みは、例えば20〜60nmの範囲内である。研磨停止層51は、例えばTaまたはRuよりなる層を含む。研磨停止層51は、例えばTaまたはRuよりなる第1層と、第1層の上に形成された、例えばNiCrよりなる第2層を含んでいてもよい。
【0078】
図9は、次の工程を示す。この工程では、まず、研磨停止層51の上に、フォトレジストマスク52を形成する。次に、このフォトレジストマスク52をエッチングマスクとして用いて、例えばイオンビームエッチング(以下、IBEと記す。)または反応性イオンエッチング(以下、RIEと記す。)によって、研磨停止層51をエッチングする。エッチング後の研磨停止層51は、金属層16Pのうち、後に導波路対向面16bが形成される領域と、後に前端面16cの第3の辺16c3に続く側面16dの一部が形成される領域とを覆っている。
【0079】
図10は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトレジストマスク52をエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層51および金属層16Pをエッチングする。この工程を第1のエッチング工程と呼ぶ。第1のエッチング工程では、金属層16Pの下面に垂直な方向に対してイオンビームの進行方向がなす角度を、近接場光発生素子16の前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第2の辺16c2がなす角度θと等しくする。これにより、金属層16Pに、前端面16cの第2の辺16c2に続く側面16dの一部16d1が形成される。次に、フォトレジストマスク52を除去する。
【0080】
図11は、次の工程を示す。この工程では、側面16dの一部16d1が形成された後の金属層16Pと研磨停止層51とを覆うように、被覆層18Aを形成する。被覆層18Aは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上にも形成される。被覆層18Aは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に形成された部分の上面が、研磨停止層51の上面よりも高い位置になるような厚みに形成される。被覆層18Aの厚みは、例えば0.2〜0.8μmの範囲内である。被覆層18Aは、後に行われる第2のエッチング工程におけるエッチング速度が金属層16Pよりも小さい、金属以外の無機材料よりなる。被覆層18Aを構成する材料は、無機の誘電体材料でもよいし無機の半導体材料でもよいが、無機の誘電体材料であることが好ましい。被覆層18Aは、Al2O3、SiO2、Ta2O5、SiCおよびTiNからなるグループから選択された1つよりなるものであってもよい。
【0081】
図12は、次の工程を示す。この工程では、例えばCMPによって、研磨停止層51が露出するまで被覆層18Aを研磨する。この工程を研磨工程と呼ぶ。
【0082】
図13は、次の工程を示す。この工程では、研磨停止層51および被覆層18Aの上に、後に行われる第2の研磨工程において用いられる第2の研磨停止層53を形成する。第2の研磨停止層53の厚みと材料は、研磨停止層51と同様である。
【0083】
図14は、次の工程を示す。この工程では、まず、第2の研磨停止層53の上に、フォトレジストマスク54を形成する。次に、このフォトレジストマスク54をエッチングマスクとして用いて、例えばIBEまたはRIEによって、第2の研磨停止層53をエッチングする。エッチング後の第2の研磨停止層53は、金属層16Pのうちの後に導波路対向面16bが形成される領域と既に形成された側面16dの一部16d1の上方に配置されている。ただし、図14に示したように、媒体対向面40が形成される予定の位置の近傍の一部の領域では、第2の研磨停止層53は、側面16dの一部16d1の上に位置する被覆層18Aの一部を覆っていない。
【0084】
図15は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトレジストマスク54、第2の研磨停止層53および被覆層18Aをエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層51および金属層16Pをエッチングする。この工程を第2のエッチング工程と呼ぶ。第2のエッチング工程では、金属層16Pの下面に垂直な方向に対してイオンビームの進行方向がなす角度を、近接場光発生素子16の前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第3の辺16c3がなす角度θと等しくする。これにより、金属層16Pに、前端面16cの第3の辺16c3に続く側面16dの一部16d2が形成されて、導波路対向面16bと側面16dが完成して、金属層16Pは近接場光発生素子16になる。次に、フォトレジストマスク54を除去する。
【0085】
第2のエッチング工程では、図15(c)に示したように、近接場光発生素子16のうちの尖端16c4を含む一部の形状、すなわちエッジ部16eおよびその近傍の部分の形状は、研磨工程で研磨された後の被覆層18Aがエッチングマスクとして用いられて金属層16Pがエッチングされることによって形成される。このとき、図15(c)に示したように、被覆層18Aはわずかにエッチングされて、被覆層18Aに、側面16dのうちの、前端面16cの第3の辺16c3の近傍の部分に連続する斜面18A1が形成される。第2のエッチング工程では、被覆層18Aのエッチング速度は、金属層16Pよりも小さい。そのため、第2のエッチング工程では、斜面18A1は、丸みを帯びることなく、側面16dのうちの、第3の辺16c3の近傍の部分と共に1つの平面を構成するように形成される。その結果、エッジ部16eと尖端16c4は、丸みを帯びることなく、鋭く尖った形状に形成される。
【0086】
図16は、次の工程を示す。この工程では、近接場光発生素子16、被覆層18Aおよび第2の研磨停止層53を覆うように第2の被覆層18Bを形成する。第2の被覆層18Bは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上にも形成される。第2の被覆層18Bは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に形成された部分の上面が、第2の研磨停止層53の上面よりも高い位置になるような厚みに形成される。第2の被覆層18Bの厚みは、例えば0.2〜0.8μmの範囲内である。第2の被覆層18Bの材料は、導電材料以外の材料であればよいが、被覆層18Aと同じ材料であることが好ましい。
【0087】
図17は、次の工程を示す。この工程では、例えばCMPによって、第2の研磨停止層53が露出するまで第2の被覆層18Bを研磨する。この工程を第2の研磨工程と呼ぶ。
【0088】
図18は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばIBEまたはRIEによって、第2の研磨停止層53を除去すると共に、被覆層18Aと第2の被覆層18Bの上面が平坦になるように、第2の被覆層18Bをわずかにエッチングする。次に、エッジ部16eの上方の位置において、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bの上にフォトレジストマスク55を形成する。このフォトレジストマスク55は、導波路対向面16bの上に残っている研磨停止層51を覆っていない。次に、フォトレジストマスク55をエッチングマスクとして用いて、例えば、IBEまたはRIEによって、研磨停止層51を除去して導波路対向面16bを露出させると共に、導波路対向面16bと、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bの上面が平坦になるように、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bをわずかにエッチングする。この工程の後で残った被覆層18Aと第2の被覆層18Bは、周囲層18を構成する。
【0089】
図8ないし図18に示した一連の工程によって、近接場光発生素子16および周囲層18が形成される。図19は、近接場光発生素子16および周囲層18の形成後の工程を示している。この工程では、まず、近接場光発生素子16および周囲層18の上にクラッド層19を形成する。次に、クラッド層19の上に、クラッド層21と、磁極22の第1層22Aと、導波路20の第1層20Aを形成する。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドは、近接場光発生素子16と導波路20と磁極22とを備えている。近接場光発生素子16の外面は、下面16aと導波路対向面16bと前端面16cと側面16dとを含んでいる。前端面16cは、下面16aの端に位置する第1の辺16c1と、基板1の上面1aからより遠い端に位置して近接場光発生部16gを形成する尖端16c4と、第1の辺16c1の一端と尖端16c4とを接続する第2の辺16c2と、第1の辺16c1の他端と尖端16c4とを接続する第3の辺16c3とを含んでいる。導波路対向面16bは、前端面16cに近づくに従って小さくなる幅を有する幅変化部分16b1を含んでいる。導波路対向面16bの前端部16b3は、エッジ部16eを介して、近接場光発生部16gを形成する前端面16cの尖端16c4に接続されている。
【0091】
本実施の形態では、導波路20の下面が、所定の間隔を開けて近接場光発生素子16の導波路対向面16bに対向している。本実施の形態では、導波路20を伝播する光に基づいて、導波路20の下面においてエバネッセント光が発生し、このエバネッセント光に基づいて、近接場光発生素子16の導波路対向面16bに表面プラズモンが励起される。そして、この表面プラズモンが近接場光発生部16gに伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部16gより近接場光が発生される。本実施の形態によれば、従来のようにレーザ光をプラズモン・アンテナに直接照射して近接場光を発生させる場合に比べて、導波路20を伝播する光の近接場光への変換の効率を高めることができる。
【0092】
また、本実施の形態では、導波路20を伝播するレーザ光が近接場光発生素子16に直接照射されないため、近接場光発生素子16の温度上昇を抑制することができる。また、本実施の形態では、媒体対向面40に垂直な方向についての近接場光発生素子16の長さHPA1が、近接場光発生素子16の下面16aに垂直な方向についての前端面16cの長さTPAよりも大きい。そのため、本実施の形態における近接場光発生素子16の体積は、媒体対向面40に垂直な方向についての長さが、基板1の上面1aに垂直な方向についての長さよりも小さい従来のプラズモン・アンテナに比べて大きい。この点からも、本実施の形態によれば、近接場光発生素子16の温度上昇を抑制することができる。これらのことから、本実施の形態によれば、近接場光発生素子16が媒体対向面40から突出することを抑制することができる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、前述のように、導波路対向面16bにおいて多くの表面プラズモンを励起させることが可能になると共に、導波路対向面16bに励起された表面プラズモンを近接場光発生部16gに集中させることが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、スポット径が小さく、且つ十分な強度の近接場光を発生させることが可能になる。
【0094】
本実施の形態に係る近接場光発生素子16の製造方法では、近接場光発生素子16のうちの尖端16c4を含む一部の形状、すなわちエッジ部16eおよびその近傍の部分の形状は、研磨工程で研磨された後の被覆層18Aがエッチングマスクとして用いられて金属層16Pがエッチングされることによって形成される。第2のエッチング工程では、被覆層18Aのエッチング速度は、金属層16Pよりも小さい。そのため、第2のエッチング工程では、エッジ部16eと尖端16c4が丸みを帯びることを防止でき、鋭く尖った形状のエッジ部16eと尖端16c4を形成することができる。これにより、本実施の形態によれば、上端すなわち尖端16c4が鋭く尖った形状の前端面16cを有する近接場光発生素子16を製造することが可能になる。尖端16c4は、近接場光発生部16gを形成する。本実施の形態によれば、鋭く尖った形状の尖端16c4(近接場光発生部16g)に多くの表面プラズモンを集中させることが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、スポット径が小さく、且つ十分な強度の近接場光を発生させることが可能になる。
【0095】
また、本実施の形態において、近接場光発生素子16を形成する工程は、研磨工程と第2のエッチング工程の間において、被覆層18Aの上に、後に行われる第2の研磨工程において用いられる第2の研磨停止層53を形成する工程を含んでいる。そして、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、第2のエッチング工程の後で、近接場光発生素子16、被覆層18Aおよび第2の研磨停止層53を覆うように第2の被覆層18Bを形成する工程と、第2の研磨停止層53が露出するまで第2の被覆層18Bを研磨する第2の研磨工程と、第2の研磨工程の後で第2の研磨停止層53と研磨停止層51を除去する工程とを備えている。これにより、本実施の形態によれば、近接場光発生素子16のエッジ部16eが研磨されることを防止しながら、第2の被覆層18Bの上面の位置を規定することが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、エッジ部16eと磁極22の下端部との間の間隔、および導波路対向面16bと導波路20の下面との間の間隔を精度よく規定することが可能になる。
【0096】
次に、図20および図21を参照して、本実施の形態における変形例の近接場光発生素子について説明する。図20は、変形例の近接場光発生素子を示す斜視図である。図21は、図20に示した近接場光発生素子の平面図である。変形例の近接場光発生素子16において、導波路対向面16bの幅変化部分16b1は、下面16aおよび前端面16cに平行な方向(X方向)の両側に位置する2つの辺16b13,16b14と、辺16b13,16b14に対して媒体対向面40に近い位置に配置された2つの辺16b15,16b16とを含んでいる。辺16b15は、辺16b13の媒体対向面40により近い端部と前端部16b3とを接続している。辺16b16は、辺16b14の媒体対向面40により近い端部と前端部16b3とを接続している。辺16b15,16b16が互いになす角度は、辺16b13,16b14が互いになす角度よりも大きい。
【0097】
変形例の近接場光発生素子16は、図9に示した工程におけるフォトレジストマスク52の形状と、図14に示した工程におけるフォトレジストマスク54の形状を、それぞれ、変形例における導波路対向面16bの形状に対応するように変更することによって製造することができる。
【0098】
[第2の実施の形態]
次に、図22ないし図33を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る近接場光発生素子およびその製造方法ならびに熱アシスト磁気記録ヘッドについて説明する。図22ないし図33は、本実施の形態における近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程を示している。近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程は、近接場光発生素子16を形成する工程を含んでいる。以下の説明は、本実施の形態に係る近接場光発生素子16の製造方法の説明を含んでいる。
【0099】
図22ないし図33は、近接場光発生素子16および周囲層18を形成する過程における積層体を示している。なお、図22ないし図33では、ヒートシンク層14および絶縁層15よりも下の部分を省略している。図22ないし図33のうち、図n(a)(nは22以上33以下の整数)は、積層体の平面図である。図n(b)は、図n(a)中のnB−nB線で示される位置における積層体の断面を示す断面図である。図n(c)は、図n(a)中のnC−nC線で示される位置における積層体の断面を示す断面図である。nC−nC線で示される位置は、媒体対向面40が形成される予定の位置である。
【0100】
図22は、ヒートシンク層14および絶縁層15の形成後の工程を示している。この工程では、まず、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に、収容層61を形成する。収容層61は、後に行われる第1および第2のエッチング工程におけるエッチング速度が金属層16Pよりも小さい材料よりなる。また、収容層61は、後に金属層16Pが収容される収容部61aを有している。収容層61の材料は、第1の実施の形態における被覆層18Aと同様に、金属以外の無機材料であってもよい。収容層61の厚みは、近接場光発生素子16の前端面16cの長さTPAよりも大きい。収容部61aは、収容層61を貫通している。また、収容部61aにおいて、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面に平行な断面の大きさは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面から離れるに従って大きくなっている。
【0101】
収容層61は、例えば、以下のようにして形成される。まず、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に、後にエッチングされることによって収容層61となる初期収容層を形成する。次に、初期収容層の上に、開口部62aを有するフォトレジストマスク62を形成する。次に、このフォトレジストマスク62をエッチングマスクとして用いて、例えばRIEによって、初期収容層をテーパーエッチングする。これにより、初期収容層に収容部61aが形成されて、初期収容層は収容層61になる。
【0102】
図23は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばスパッタ法によって、収容部61aに収容されるように金属層16Pを形成する。次に、例えばCMPによって、収容層61と金属層16Pの上面を平坦化する。この時点における金属層16Pの厚みは、例えば100〜500nmの範囲内である。次に、例えばスパッタ法によって、収容層61および金属層16Pの上に、後に行われる研磨工程において用いられる研磨停止層63を形成する。研磨停止層63の厚みと材料は、第1の実施の形態における研磨停止層51と同様である。
【0103】
図24は、次の工程を示す。この工程では、まず、研磨停止層63の上に、フォトレジストマスク64を形成する。次に、このフォトレジストマスク64をエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層63をエッチングする。エッチング後の研磨停止層63は、金属層16Pのうち、後に導波路対向面16bが形成される領域と、後に前端面16cの第3の辺16c3に続く側面16dの一部が形成される領域とを覆っている。
【0104】
図25は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトレジストマスク64をエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層63および金属層16Pをエッチングする。この工程を第1のエッチング工程と呼ぶ。第1のエッチング工程では、金属層16Pの下面に垂直な方向に対してイオンビームの進行方向がなす角度を、近接場光発生素子16の前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第2の辺16c2がなす角度θと等しくする。これにより、金属層16Pに、前端面16cの第2の辺16c2に続く側面16dの一部16d1が形成される。次に、フォトレジストマスク64を除去する。
【0105】
図26は、次の工程を示す。この工程では、側面16dの一部16d1が形成された後の金属層16Pと研磨停止層63とを覆うように、被覆層18Aを形成する。被覆層18Aは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上にも形成される。被覆層18Aは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に形成された部分の上面が、研磨停止層63の上面よりも高い位置になるような厚みに形成される。被覆層18Aの厚みは、例えば0.2〜0.8μmの範囲内である。被覆層18Aは、後に行われる第2のエッチング工程におけるエッチング速度が金属層16Pよりも小さい、金属以外の無機材料よりなる。被覆層18Aの材料は、第1の実施の形態と同様である。
【0106】
図27は、次の工程を示す。この工程では、例えばCMPによって、研磨停止層63が露出するまで被覆層18Aを研磨する。この工程を研磨工程と呼ぶ。
【0107】
図28は、次の工程を示す。この工程では、研磨停止層63および被覆層18Aの上に、フォトレジストマスク65を形成する。このフォトレジストマスク65は、金属層16Pのうち、後に行われる第2のエッチング工程においてエッチングされる部分の上方に位置する開口部を有している。図28に示したように、媒体対向面40が形成される予定の位置の近傍の一部の領域では、フォトレジストマスク65は、側面16dの一部16d1の上に位置する被覆層18Aの一部を覆っていない。
【0108】
図29は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトレジストマスク65および被覆層18Aをエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層63および金属層16Pをエッチングする。この工程を第2のエッチング工程と呼ぶ。第2のエッチング工程では、金属層16Pの下面に垂直な方向に対してイオンビームの進行方向がなす角度を、近接場光発生素子16の前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第3の辺16c3がなす角度θと等しくする。これにより、金属層16Pに、前端面16cの第3の辺16c3に続く側面16dの一部16d2が形成されて、導波路対向面16bと側面16dが完成して、金属層16Pは近接場光発生素子16になる。次に、フォトレジストマスク65を除去する。
【0109】
第2のエッチング工程では、図29(c)に示したように、近接場光発生素子16のうちの尖端16c4を含む一部の形状、すなわちエッジ部16eおよびその近傍の部分の形状は、研磨工程で研磨された後の被覆層18Aがエッチングマスクとして用いられて金属層16Pがエッチングされることによって形成される。このとき、図29(c)に示したように、被覆層18Aはわずかにエッチングされて、被覆層18Aに、側面16dのうちの第3の辺16c3の近傍の部分に連続する斜面18A1が形成される。第2のエッチング工程では、被覆層18Aのエッチング速度は、金属層16Pよりも小さい。そのため、第2のエッチング工程では、斜面18A1は、丸みを帯びることなく、側面16dのうちの第3の辺16c3の近傍の部分と共に1つの平面を構成するように形成される。その結果、エッジ部16eと尖端16c4は、丸みを帯びることなく、鋭く尖った形状に形成される。第2のエッチング工程の後で、研磨停止層63は収容層61の上に残っている。第2のエッチング工程では、エッジ部16eが研磨停止層63の下面よりも低い位置になるように金属層16Pをエッチングすることが好ましい。
【0110】
図30は、次の工程を示す。この工程では、収容層61、研磨停止層63、近接場光発生素子16および被覆層18Aを覆うように第2の被覆層18Bを形成する。第2の被覆層18Bは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上にも形成される。第2の被覆層18Bは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に形成された部分の上面が、研磨停止層63の上面よりも高い位置になるような厚みに形成される。第2の被覆層18Bの厚みと材料は、第1の実施の形態と同様である。
【0111】
図31は、次の工程を示す。この工程では、例えばCMPによって、研磨停止層63が露出するまで第2の被覆層18Bを研磨する。この工程を第2の研磨工程と呼ぶ。
【0112】
図32は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばIBEまたはRIEによって、研磨停止層63を除去すると共に、収容層61、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bの上面が平坦になるように、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bをわずかにエッチングする。この後、エッジ部16eの上方の位置において、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bの上にフォトレジストマスク55を形成した後、例えば、IBEまたはRIEによって、導波路対向面16b、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bをわずかにエッチングしてもよい。これにより、エッジ部16eがエッチングされることを防止しながら、導波路対向面16bの上に研磨停止層63が残ることを防止することができる。この工程の後で残った被覆層18Aと第2の被覆層18Bは、周囲層18を構成する。
【0113】
図22ないし図32に示した一連の工程によって、近接場光発生素子16および周囲層18が形成される。図33は、近接場光発生素子16および周囲層18の形成後の工程を示している。この工程では、まず、近接場光発生素子16および周囲層18の上にクラッド層19を形成する。次に、クラッド層19の上に、クラッド層21と、磁極22の第1層22Aと、導波路20の第1層20Aを形成する。
【0114】
本実施の形態では、第1の実施の形態における第2の研磨停止層は形成されない。その代わり、本実施の形態では、第2のエッチング工程の後で、研磨停止層63が収容層61の上に残っている。そして、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、第2のエッチング工程の後で、収容層61、研磨停止層63、近接場光発生素子16および被覆層18Aを覆うように第2の被覆層18Bを形成する工程と、研磨停止層63が露出するまで第2の被覆層18Bを研磨する第2の研磨工程と、第2の研磨工程の後で研磨停止層63を除去する工程とを備えている。これにより、本実施の形態によれば、近接場光発生素子16のエッジ部16eが研磨されることを防止しながら、第2の被覆層18Bの上面の位置を規定することが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、エッジ部16eと磁極22の下端部との間の間隔、および導波路対向面16bと導波路20の下面との間の間隔を精度よく規定することが可能になる。
【0115】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0116】
[第3の実施の形態]
次に、図34を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る近接場光発生素子について説明する。図34は、本実施の形態に係る近接場光発生素子を示す斜視図である。本実施の形態に係る近接場光発生素子16では、導波路対向面16bは、前端面16cにより近い前端部16b3を有している。前端部16b3は、X方向についての小さな幅を有している。また、前端部16b3は、前端面16cから離れた位置に配置されている。また、導波路対向面16bは、前端面16cの尖端16c4に対して、下面16aにより近い位置に配置されている。
【0117】
また、本実施の形態に係る近接場光発生素子16の外面は、導波路対向面16bの前端部16b3と、エッジ部16eの媒体対向面40からより遠い端部とを連結する三角形形状の傾斜面16fを含んでいる。傾斜面16fと下面16aとの間の距離は、媒体対向面40に近づくに従って大きくなっている。
【0118】
本実施の形態に係る近接場光発生素子16は、第1の実施の形態における図18に示した工程、または第2の実施の形態における図32に示した工程において、フォトレジストマスク55をエッチングマスクとして用いて、例えば、IBEまたはRIEによって、エッジ部16eと導波路対向面16bとの間に傾斜面16fが形成されるように、導波路対向面16bをエッチングすることによって形成することができる。
【0119】
本実施の形態に係る近接場光発生素子16では、導波路対向面16bに励起された表面プラズモンは、導波路対向面16b、傾斜面16fおよびエッジ部16eを順に伝播して近接場光発生部16gに到達する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0120】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明において、近接場光発生素子16のエッジ部16eと磁極22の下端部との間には、周囲層18が介在せずに、クラッド層19のみが介在していてもよい。
【符号の説明】
【0121】
16…近接場光発生素子、16a…下面、16b…導波路対向面、16c…前端面、16d…側面、16c1…第1の辺、16c2…第2の辺、16c3…第3の辺、16c4…尖端、16g…近接場光発生部、19…クラッド層、20…導波路、22…磁極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に近接場光を照射して記録媒体の保磁力を低下させて情報の記録を行う熱アシスト磁気記録に用いられる近接場光発生素子およびその製造方法、ならびに近接場光発生素子を備えた熱アシスト磁気記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置等の磁気記録装置では、高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドおよび記録媒体の性能向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。磁気ディスク装置において、薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体の表面からわずかに浮上するスライダに設けられる。
【0003】
磁気記録装置において、記録密度を高めるためには、記録媒体の磁性微粒子を小さくすることが効果的である。しかし、磁性微粒子を小さくすると、磁性微粒子の磁化の熱安定性が低下するという問題が発生する。この問題を解消するには、磁性微粒子の異方性エネルギーを大きくすることが効果的である。しかし、磁性微粒子の異方性エネルギーを大きくすると、記録媒体の保磁力が大きくなって、既存の磁気ヘッドでは情報の記録が困難になるという問題が発生する。
【0004】
上述のような問題を解決する方法として、いわゆる熱アシスト磁気記録という方法が提案されている。この方法では、保磁力の大きな記録媒体を使用し、情報の記録時には、記録媒体のうち情報が記録される部分に対して磁界と同時に熱も加えて、その部分の温度を上昇させ保磁力を低下させて情報の記録を行う。情報が記録された部分は、その後、温度が低下して保磁力が大きくなり、磁化の熱安定性が高まる。以下、熱アシスト磁気記録に用いられる磁気ヘッドを、熱アシスト磁気記録ヘッドと呼ぶ。
【0005】
熱アシスト磁気記録では、記録媒体に対して熱を加える方法としては、近接場光を用いる方法が一般的である。近接場光を発生させる方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、微小な金属片であるプラズモン・アンテナにレーザ光を照射する方法が知られている。プラズモン・アンテナでは、照射されたレーザ光によって表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンに基づいて近接場光が発生される。プラズモン・アンテナより発生される近接場光は、光の回折限界よりも小さな領域にのみ存在する。この近接場光を記録媒体に照射することにより、記録媒体における微小な領域のみを加熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−59697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の熱アシスト磁気記録ヘッドでは、レーザ光をプラズモン・アンテナに直接照射し、このプラズモン・アンテナによってレーザ光を近接場光に変換していた。この場合、レーザ光がプラズモン・アンテナの表面で反射されたり、熱エネルギーに変換されてプラズモン・アンテナに吸収されたりすることから、レーザ光の利用効率が悪いという問題点があった。
【0008】
また、従来のプラズモン・アンテナは、光の波長以下のサイズを有することから、その体積は小さい。そのため、従来のプラズモン・アンテナでは、上記の熱エネルギーの吸収に伴う温度上昇が大きく、その結果、プラズモン・アンテナが膨張し、記録媒体に対向する面である媒体対向面から突出して、記録媒体を傷付ける等の問題が発生していた。
【0009】
そこで、近接場光を発生する金属片である近接場光発生素子の外面に対して、所定の間隔を開けて導波路の外面を対向させて、導波路を伝播する光が導波路の外面で全反射して発生するエバネッセント光を利用して、近接場光発生素子に表面プラズモンを励起させる技術が提案されている。
【0010】
熱アシスト磁気記録ヘッドの構成としては、媒体対向面において、近接場光発生素子の前端面に対してトレーリング側に、記録磁界を発生する磁極の端面を配置した構成が考えられる。なお、基準の位置に対してトレーリング側とは、基準の位置に対してスライダにおける空気流出端により近い側であり、一般的には、基準の位置に対して基板の上面からより遠い側である。上記の構成を採用する場合には、近接場光発生素子の前端面の形状としては、前端面の上端近傍に近接場光発生部が形成されるように、前端面の上端が尖った形状であることが好ましい。このような形状の前端面を有する近接場光発生素子の形状としては、上端にエッジ部が位置する三角柱形状が考えられる。この場合、熱アシスト磁気記録ヘッドの構成としては、エバネッセント光を利用して近接場光発生素子に表面プラズモンを励起させるために、近接場光発生素子のエッジ部に対して、所定の間隔を開けて導波路の外面を対向させた構成が考えられる。
【0011】
しかし、上記の構成では、近接場光発生素子のエッジ部と導波路の外面とが対向する領域の面積が小さいため、近接場光発生素子に多くの表面プラズモンを励起させることが難しいという問題点がある。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、前端面における上端に、近接場光発生部を形成する尖端が形成された近接場光発生素子であって、多くの表面プラズモンを励起させ、且つこの表面プラズモンを近接場光発生部に集中させることが可能な近接場光発生素子およびその製造方法、ならびに近接場光発生素子を備えた熱アシスト磁気記録ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の近接場光発生素子は、熱アシスト磁気記録ヘッドに用いられるものである。熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、磁極と、光を伝播させる導波路と、近接場光発生素子と、上面を有する基板とを備えている。磁極は、媒体対向面に配置された端面を有し、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。近接場光発生素子は、媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部より近接場光を発生するものである。近接場光発生素子、磁極および導波路は、基板の上面の上方に配置されている。
【0014】
本発明の近接場光発生素子は、外面を有している。この外面は、基板の上面により近い端に位置する下面と、基板の上面からより遠い端に位置して導波路に対向する導波路対向面と、媒体対向面に配置された前端面と、下面、導波路対向面および前端面を接続する側面とを含んでいる。前端面は、下面の端に位置する第1の辺と、基板の上面からより遠い端に位置して近接場光発生部を形成する尖端と、第1の辺の一端と尖端とを接続する第2の辺と、第1の辺の他端と尖端とを接続する第3の辺とを含んでいる。導波路対向面は、幅変化部分を含み、幅変化部分は、前端面に近づくに従って小さくなる、下面および前端面に平行な方向についての幅を有している。
【0015】
本発明の近接場光発生素子において、下面に平行な断面の大きさは、下面から離れるに従って小さくなっていてもよい。
【0016】
また、本発明の近接場光発生素子において、導波路対向面は、前端面により近い前端部を有し、この前端部は前端面から離れた位置に配置されていてもよい。この場合、近接場光発生素子の外面は、更に、前端部と前端面の尖端とを接続するエッジ部を含んでいてもよい。前端部が前端面から離れた位置に配置されている場合、導波路対向面は、前端面の尖端に対して、下面により近い位置に配置されていてもよい。
【0017】
本発明の第1の近接場光発生素子の製造方法は、
後にエッチングされることによって近接場光発生素子となる金属層を形成する工程と、
金属層に前端面の第2の辺に続く側面の一部が形成されるように、金属層をエッチングする第1のエッチング工程と、
導波路対向面と側面が完成して、金属層が近接場光発生素子になるように、金属層をエッチングする第2のエッチング工程とを備えている。
【0018】
本発明の第2の近接場光発生素子の製造方法は、
後にエッチングされることによって近接場光発生素子となる金属層を形成する工程と、
金属層の上に、後に行われる研磨工程において用いられる研磨停止層を形成する工程と、
金属層に前端面の第2の辺に続く側面の一部が形成されるように、研磨停止層および金属層をエッチングする第1のエッチング工程と、
側面の一部が形成された後の金属層と研磨停止層とを覆うように、後に行われる第2のエッチング工程におけるエッチング速度が金属層よりも小さい、金属以外の無機材料よりなる被覆層を形成する工程と、
研磨停止層が露出するまで被覆層を研磨する研磨工程と、
導波路対向面と側面が完成して、金属層が近接場光発生素子になるように、研磨停止層および金属層をエッチングする第2のエッチング工程とを備えている。
【0019】
本発明の第2の近接場光発生素子の製造方法において、近接場光発生素子のうちの尖端を含む一部の形状は、第2のエッチング工程において、研磨工程で研磨された後の被覆層がエッチングマスクとして用いられて金属層がエッチングされることによって形成される。
【0020】
本発明の第2の近接場光発生素子の製造方法において、被覆層は、Al2O3、SiO2、Ta2O5、SiCおよびTiNからなるグループから選択された1つよりなるものであってもよい。
【0021】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、磁極と、光を伝播させる導波路と、近接場光発生素子と、上面を有する基板とを備えている。磁極は、媒体対向面に配置された端面を有し、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。近接場光発生素子は、媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部より近接場光を発生するものである。近接場光発生素子、磁極および導波路は、基板の上面の上方に配置されている。
【0022】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、近接場光発生素子は、外面を有している。この外面は、基板の上面により近い端に位置する下面と、基板の上面からより遠い端に位置して導波路に対向する導波路対向面と、媒体対向面に配置された前端面と、下面、導波路対向面および前端面を接続する側面とを含んでいる。前端面は、下面の端に位置する第1の辺と、基板の上面からより遠い端に位置して近接場光発生部を形成する尖端と、第1の辺の一端と尖端とを接続する第2の辺と、第1の辺の他端と尖端とを接続する第3の辺とを含んでいる。導波路対向面は、幅変化部分を含み、幅変化部分は、前端面に近づくに従って小さくなる、下面および前端面に平行な方向についての幅を有している。
【0023】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、近接場光発生素子における下面に平行な断面の大きさは、下面から離れるに従って小さくなっていてもよい。
【0024】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、導波路対向面は、前端面により近い前端部を有し、前端部は前端面から離れた位置に配置されていてもよい。この場合、近接場光発生素子の外面は、更に、前端部と前端面の尖端とを接続するエッジ部を含んでいてもよい。前端部が前端面から離れた位置に配置されている場合、導波路対向面は、前端面の尖端に対して、下面により近い位置に配置されていてもよい。
【0025】
また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、磁極の端面は、近接場光発生素子の前端面における第1の辺との間に尖端を挟む位置に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の近接場光発生素子およびその製造方法、ならびに本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、近接場光発生素子の外面は、下面と、基板の上面からより遠い端に位置して導波路に対向する導波路対向面と、媒体対向面に配置された前端面と、側面とを含んでいる。前端面は、基板の上面からより遠い端に位置して近接場光発生部を形成する尖端を含んでいる。導波路対向面は、幅変化部分を含み、幅変化部分は、前端面に近づくに従って小さくなる、下面および前端面に平行な方向についての幅を有している。これにより、本発明によれば、導波路対向面において多くの表面プラズモンを励起させ、且つこの表面プラズモンを近接場光発生部に集中させることが可能になる。従って、本発明によれば、前端面における上端に、近接場光発生部を形成する尖端が形成された近接場光発生素子において、多くの表面プラズモンを励起させ、且つこの表面プラズモンを近接場光発生部に集中させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る近接場光発生素子を示す斜視図である。
【図2】図1に示した近接場光発生素子の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドにおけるコイルの第1層を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドにおけるコイルの第2層を示す平面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法における一工程を示す説明図である。
【図9】図8に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図10】図9に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図11】図10に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図12】図11に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図13】図12に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図14】図13に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図15】図14に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図16】図15に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図17】図16に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図18】図17に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図19】図18に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態における変形例の近接場光発生素子を示す斜視図である。
【図21】図20に示した近接場光発生素子の平面図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法における一工程を示す説明図である。
【図23】図22に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図24】図23に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図25】図24に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図26】図25に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図27】図26に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図28】図27に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図29】図28に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図30】図29に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図31】図30に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図32】図31に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図33】図32に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図34】本発明の第3の実施の形態に係る近接場光発生素子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図3ないし図7を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの構成について説明する。図3は、熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す斜視図である。図4は、熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。図5は、熱アシスト磁気記録ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。図6は、熱アシスト磁気記録ヘッドにおけるコイルの第1層を示す平面図である。図7は、熱アシスト磁気記録ヘッドにおけるコイルの第2層を示す平面図である。
【0029】
本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドは、垂直磁気記録用であり、回転する記録媒体の表面から浮上するスライダの形態を有している。記録媒体が回転すると、記録媒体とスライダとの間を通過する空気流によって、スライダに揚力が生じる。スライダは、この揚力によって記録媒体の表面から浮上するようになっている。
【0030】
図4に示したように、熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面40を備えている。ここで、X方向、Y方向、Z方向を以下のように定義する。X方向は、記録媒体のトラック横断方向すなわちトラック幅方向である。Y方向は、媒体対向面40に垂直な方向である。Z方向は、スライダから見た記録媒体の進行方向である。X方向、Y方向、Z方向は互いに直交している。
【0031】
図4および図5に示したように、熱アシスト磁気記録ヘッドは、アルミニウムオキサイド・チタニウムカーバイド(Al2O3・TiC)等のセラミック材料よりなり、上面1aを有する基板1と、この基板1の上面1a上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に配置された磁性材料よりなる下部シールド層3とを備えている。絶縁層2は、例えばアルミナ(Al2O3)によって形成されている。
【0032】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、下部シールド層3の上面の上に配置された絶縁膜である下部シールドギャップ膜4と、この下部シールドギャップ膜4の上に配置された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5に接続された2つのリード(図示せず)と、MR素子5の上に配置された絶縁膜である上部シールドギャップ膜6と、この上部シールドギャップ膜6の上に配置された磁性材料よりなる上部シールド層7とを備えている。
【0033】
MR素子5の一端部は、記録媒体に対向する媒体対向面40に配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。GMR素子としては、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ平行な方向に流すCIP(Current In Plane)タイプでもよいし、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ垂直な方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)タイプでもよい。MR素子5が、TMR素子またはCPPタイプのGMR素子の場合には、下部シールド層3の上面がMR素子5の下面に接し、上部シールド層7の下面がMR素子5の上面に接して、下部シールド層3と上部シールド層7が2つのリードを兼ねていてもよい。下部シールド層3から上部シールド層7までの部分は、再生ヘッドを構成する。
【0034】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、非磁性材料よりなり、上部シールド層7の上面の上に配置された非磁性層8と、非磁性層8の上に配置された磁性材料よりなるリターン磁極層10とを備えている。非磁性層8は、例えばアルミナによって形成されている。
【0035】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、媒体対向面40から離れた位置でリターン磁極層10の上面の上に配置された磁性材料よりなる連結層11と、リターン磁極層10の上面の上において連結層11の周囲に配置された絶縁層12とを備えている。絶縁層12は、例えばアルミナによって形成されている。
【0036】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、連結層11の上に配置された磁性材料よりなる連結層13と、絶縁層12の上面の一部の上に配置されたヒートシンク層14と、絶縁層12の上面の上において連結層13およびヒートシンク層14の周囲に配置された絶縁層15とを備えている。ヒートシンク層14の媒体対向面40により近い端面は、媒体対向面40から離れた位置に配置されている。絶縁層15の一部は、ヒートシンク層14の端面と媒体対向面40との間に配置されている。ヒートシンク層14は、熱伝導率の大きな材料、例えばSiCによって形成されている。絶縁層15は、例えばアルミナによって形成されている。連結層13、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面は、平坦化されている。
【0037】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、媒体対向面40の近傍において、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面の上に配置された近接場光発生素子16と、連結層13の上に配置された磁性材料よりなる連結層17と、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面の上において近接場光発生素子16および連結層17の周囲に配置された周囲層18とを備えている。周囲層18は、近接場光発生素子16をわずかに覆っていてもよい。近接場光発生素子16は、金属によって形成されている。具体的には、近接場光発生素子16は、例えば、Au、Ag、Al、Cu、Pd、Pt、Rh、Irのいずれか、またはこれらのうちの複数の元素よりなる合金によって形成されている。周囲層18のうちの少なくとも一部は、金属以外の無機材料によって形成されている。連結層17および周囲層18の上面は平坦化されている。
【0038】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、連結層17および周囲層18の上面の上に配置されたクラッド層19と、このクラッド層19の上に配置された導波路20および磁極22を備えている。導波路20は、近接場光の発生に用いられるレーザ光を通過させる誘電体材料によって形成されている。導波路20には、図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光が入射され、このレーザ光は導波路20内を伝播する。クラッド層19は、導波路20の屈折率よりも小さい屈折率を有する誘電体材料によって形成されている。導波路20の材料としては、例えば、屈折率が約2.1のTa2O5が用いられ、クラッド層19の材料としては、例えば、屈折率が約1.8のアルミナが用いられる。
【0039】
導波路20は、クラッド層19の上に配置された第1層20Aと、第1層20Aの上に配置された第2層20Bとを有している。磁極22は、クラッド層19の上に配置された第1層22Aと、第1層22Aの上に配置された第2層22Bと、第2層22Bの上に配置された第3層22Cとを有している。
【0040】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、クラッド層21,23を備えている。クラッド層21は、クラッド層19の上において、導波路20の第1層20Aおよび磁極22の第1層22Aの周囲に配置されている。クラッド層23は、クラッド層21の上において、導波路20の第2層20Bおよび磁極22の第2層22Bの周囲に配置されている。クラッド層23の一部は、第2層20Bの上面を覆っている。クラッド層21,23は、導波路20の屈折率よりも小さい屈折率を有する誘電体材料によって形成されている。導波路20の材料としてTa2O5が用いられる場合には、クラッド層21,23の材料としては、例えばアルミナが用いられる。
【0041】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、連結層17の上方の位置において、クラッド層23の上に配置された磁性材料よりなる連結層24と、クラッド層23の上において、磁極22の第3層22Cおよび連結層24の周囲に配置された絶縁層25とを備えている。絶縁層25は、例えばアルミナによって形成されている。連結層24は、後述する2つの連結部を介して、連結層17に対して磁気的に連結されている。
【0042】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、磁極22の第3層22Cの上に配置された磁性材料よりなる連結層26と、連結層24の上に配置された磁性材料よりなる連結層27とを備えている。
【0043】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、絶縁層25の上に配置された絶縁層28と、絶縁層28の上に配置された複数の第1のコイル要素30Aと、連結層26,27および複数の第1のコイル要素30Aの周囲に配置された絶縁層31とを備えている。図6は、複数の第1のコイル要素30Aを示している。複数の第1のコイル要素30Aは、Y方向に並ぶように配置されている。各第1のコイル要素30Aは、トラック幅方向(X方向)に延びる主要部分を有している。各第1のコイル要素30Aは、銅等の導電材料によって形成されている。絶縁層28,31は、例えばアルミナによって形成されている。
【0044】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、複数の第1のコイル要素30Aを覆うように配置された絶縁層32と、連結層26,27および絶縁層32の上に配置された磁性材料よりなるヨーク層33とを備えている。ヨーク層33は、連結層26と連結層27を磁気的に連結している。絶縁層32は、例えばアルミナによって形成されている。
【0045】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、ヨーク層33を覆うように配置された絶縁層34と、絶縁層34の上に配置された複数の第2のコイル要素30Bと、絶縁層34の上に配置されたリード層30Cと、複数の第2のコイル要素30Bおよびリード層30Cを覆うように配置された保護層35とを備えている。絶縁層34と保護層35は、例えばアルミナによって形成されている。
【0046】
図7は、複数の第2のコイル要素30Bとリード層30Cを示している。複数の第2のコイル要素30Bは、Y方向に並ぶように配置されている。各第2のコイル要素30Bは、トラック幅方向(X方向)に延びる主要部分を有している。各第2のコイル要素30Bとリード層30Cは、銅等の導電材料によって形成されている。
【0047】
図6および図7に示したように、熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、複数の接続部36と1つの接続部37とを備えている。複数の接続部36は、ヨーク層33の周りにヘリカル状に巻かれたコイル30が形成されるように、複数の第1のコイル要素30Aと複数の第2のコイル要素30Bとを接続している。接続部37は、1つの第1のコイル要素30Aとリード層30Cを接続している。複数の接続部36と接続部37は、絶縁層34を貫通するように設けられている。複数の接続部36と接続部37は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0048】
また、図6は、連結層24と連結層17を連結する2つの連結部29A,29Bを示している。連結部29A,29Bは、クラッド層19,21,23を貫通するように設けられている。連結部29A,29Bは、導波路20のトラック幅方向(X方向)の両側において、導波路20に対して間隔をあけて配置されている。図示しないが、連結部29A,29Bは、それぞれ、連結層17の上に配置された第1層と、この第1層の上に配置された第2層を有している。
【0049】
リターン磁極層10から複数の第2のコイル要素30Bまでの部分は、記録ヘッドを構成する。複数の第1のコイル要素30Aと複数の第2のコイル要素30Bと複数の接続部36とによって構成されたコイル30は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。リターン磁極層10、連結層11,13,17、連結部29A,29B、連結層24,27、ヨーク層33、連結層26および磁極22は、コイル30が発生する磁界に対応した磁束を通過させる磁路を形成する。磁極22は、コイル30によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面40と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドと記録ヘッドは、基板1の上に積層されている。記録ヘッドは、再生ヘッドに対して、記録媒体の進行方向(Z方向)の前側(トレーリング側)に配置されている。
【0051】
再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子5と、媒体対向面40側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層7と、MR素子5と下部シールド層3との間に配置された下部シールドギャップ膜4と、MR素子5と上部シールド層7との間に配置された上部シールドギャップ膜6とを備えている。
【0052】
記録ヘッドは、基板1の上面1aの上方に配置された近接場光発生素子16、磁極22、導波路20およびコイル30を備えている。コイル30は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。磁極22は、コイル30によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。導波路20は、図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光を伝播する。
【0053】
次に、図1および図2を参照して、近接場光発生素子16について説明する。図1は、近接場光発生素子16を示す斜視図である。図2は、図1に示した近接場光発生素子16の平面図である。図1および図2に示したように、近接場光発生素子16は、媒体対向面40に配置された近接場光発生部16gを有している。また、近接場光発生素子16は、以下のような外面を有している。近接場光発生素子16の外面は、基板1の上面1aにより近い端に位置する下面16aと、基板1の上面1aからより遠い端に位置して導波路20に対向する導波路対向面16bと、媒体対向面40に配置された前端面16cと、下面16a、導波路対向面16bおよび前端面16cを接続する側面16dとを含んでいる。
【0054】
前端面16cは、下面16aの端に位置する第1の辺16c1と、基板1の上面1aからより遠い端に位置して近接場光発生部16gを形成する尖端16c4と、第1の辺16c1の一端と尖端16c4とを接続する第2の辺16c2と、第1の辺16c1の他端と尖端16c4とを接続する第3の辺16c3とを含んでいる。近接場光発生部16gは、前端面16cにおける尖端16c4およびその近傍の部分である。図3に示したように、媒体対向面40に配置された磁極22の端面は、近接場光発生素子16の前端面16cにおける第1の辺16c1との間に尖端16c4を挟む位置に配置されている。
【0055】
図2に示したように、導波路対向面16bは、幅変化部分16b1と後方部分16b2とを含んでいる。幅変化部分16b1は、下面16aおよび前端面16cに平行な方向(X方向)についての幅であって、前端面16cに近づくに従って小さくなる幅を有している。後方部分16b2は、幅変化部分16b1に連続するように、幅変化部分16b1に対して媒体対向面40から遠い位置に配置されている。幅変化部分16b1は、下面16aおよび前端面16cに平行な方向(X方向)の両側に位置する2つの辺16b11,16b12を含んでいる。下面16aおよび前端面16cに平行な方向(X方向)についての2つの辺16b11,16b12の間の距離は、前端面16cに近づくに従って小さくなっている。後方部分16b2は、2つの辺16b11,16b12の媒体対向面40からより遠い端同士を接続する円弧状の外縁16b21を有している。
【0056】
導波路対向面16bは、前端面16cにより近い前端部16b3を有している。この前端部16b3において、2つの辺16b11,16b12が交わっている。前端部16b3は、前端面16cから離れた位置に配置されている。近接場光発生素子16の外面は、更に、前端部16b3と前端面16cの尖端16c4とを接続するエッジ部16eを含んでいる。なお、近接場光発生素子16の外面がエッジ部16eを有さずに、前端部16b3が媒体対向面40に配置されていてもよい。
【0057】
図2に示したように、下面16aは外縁16a1を有している。上方から見たときに、2つの辺16b11,16b12と外縁16b21とを含む導波路対向面16bの外縁は、下面16aの外縁16a1の内側に位置している。また、近接場光発生素子16における下面16aに平行な断面の大きさは、下面16aから離れるに従って小さくなっている。
【0058】
ここで、図2に示したように、媒体対向面40に垂直な方向(Y方向)についての近接場光発生素子16の長さ、導波路対向面16bの長さおよびエッジ部16eの長さを、それぞれ記号HPA1,HPA2,HPA3で表す。また、X方向についての前端面16cの最大の幅(第1の辺16c1の長さ)、下面16aの最大の幅および導波路対向面16bの最大の幅を、それぞれ記号WPA1,WPA2,WPA3で表す。また、図1に示したように、下面16aに垂直な方向(Z方向)についての前端面16cの長さを記号TPAで表す。HPA1はTPAよりも大きい。WPA1とTPAは共に、導波路20を伝播する光の波長以下である。HPA1は例えば0.6〜2.5μmの範囲内である。HPA2は例えば0.35〜2.35μmの範囲内である。HPA3は例えば0〜1.0μmの範囲内である。WPA1は例えば100〜500nmの範囲内である。WPA2は例えば500〜1500nmの範囲内である。WPA3は例えば350〜1350nmの範囲内である。TPAは例えば100〜500nmの範囲内である。
【0059】
また、前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第2の辺16c2がなす角度と、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第3の辺16c3がなす角度は等しい。以下、この角度をθで表す。角度θは、例えば30度から60度の範囲内である。
【0060】
図3に示したように、磁極22は、所定の間隔を開けてエッジ部16eに対向する下端部(第1層22Aの下端部)を有している。導波路20は、所定の間隔を開けて導波路対向面16bに対向する下面(第1層20Aの下面)を有している。エッジ部16eと磁極22の下端部との間、および導波路対向面16bと導波路20の下面との間には、少なくともクラッド層19が介在している。エッジ部16eと磁極22の下端部との間には、クラッド層19の他に周囲層18が介在していてもよい。エッジ部16eと磁極22の下端部との間隔は、例えば、5〜80nmの範囲内である。導波路対向面16bと導波路20の下面との間隔は、例えば、5〜80nmの範囲内である。
【0061】
次に、本実施の形態における近接場光発生の原理と、近接場光を用いた熱アシスト磁気記録の原理について詳しく説明する。図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光は導波路20に入射される。図4に示したように、レーザ光50は、導波路20内を媒体対向面40に向けて伝播して、近接場光発生素子16の近傍に達する。ここで、導波路20の下面において、レーザ光50が全反射することによって、クラッド層19内にしみ出すエバネッセント光が発生する。その結果、このエバネッセント光と、近接場光発生素子16の導波路対向面16bにおける電荷の集団振動すなわち表面プラズモンとが結合した系である表面プラズモン・ポラリトンが励起される。このようにして、近接場光発生素子16の導波路対向面16bに表面プラズモンが励起される。
【0062】
導波路対向面16bに励起された表面プラズモンは、導波路対向面16bを伝播してエッジ部16eに到達し、更にエッジ部16eを伝播して近接場光発生部16gに到達する。その結果、近接場光発生部16gにおいて表面プラズモンが集中し、この表面プラズモンに基づいて、近接場光発生部16gから近接場光が発生する。この近接場光は、記録媒体に向けて照射され、記録媒体の表面に達し、記録媒体の磁気記録層の一部を加熱する。これにより、その磁気記録層の一部の保磁力が低下する。熱アシスト磁気記録では、このようにして保磁力が低下した磁気記録層の一部に対して、磁極22より発生される記録磁界を印加することによってデータの記録が行われる。
【0063】
本実施の形態では、近接場光発生素子16において、エバネッセント光に起因した表面プラズモンが導波路対向面16bに励起される。そのため、本実施の形態によれば、エッジ部に表面プラズモンが励起される近接場光発生素子を用いる場合に比べて、導波路対向面16bにおいて多くの表面プラズモンを励起させることができる。また、導波路対向面16bは、前端面16cに近づくに従って小さくなる幅を有する幅変化部分16b1を有している。導波路対向面16bの前端部16b3は、エッジ部16eを介して、近接場光発生部16gを形成する前端面16cの尖端16c4に接続されている。そのため、本実施の形態によれば、導波路対向面16bに励起された表面プラズモンを近接場光発生部16gに集中させることが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、スポット径が小さく、且つ十分な強度の近接場光を発生させることが可能になる。
【0064】
次に、図4および図5を参照して、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法について説明する。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、複数の熱アシスト磁気記録ヘッドの基板1となる部分を含む基板上に、複数の熱アシスト磁気記録ヘッドの基板1以外の構成要素を形成して、それぞれ後に熱アシスト磁気記録ヘッドとなるヘッド予定部が複数列に配列された基礎構造物を作製する工程と、この基礎構造物を切断することによって複数のヘッド予定部を互いに分離して、複数の熱アシスト磁気記録ヘッドを形成する工程とを備えている。複数の熱アシスト磁気記録ヘッドを形成する工程では、切断によって形成された面を研磨して媒体対向面40を形成する。
【0065】
以下、1つの熱アシスト磁気記録ヘッドに注目して、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法を更に詳しく説明する。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法では、まず、基板1の上に絶縁層2を形成する。次に、絶縁層2の上に下部シールド層3を形成する。次に、下部シールド層3の上に下部シールドギャップ膜4を形成する。次に、下部シールドギャップ膜4の上にMR素子5と、MR素子5に接続される図示しない2つのリードとを形成する。次に、MR素子5およびリードを覆うように上部シールドギャップ膜6を形成する。次に、上部シールドギャップ膜6の上に上部シールド層7を形成する。次に、上部シールド層7の上に非磁性層8を形成する。次に、非磁性層8の上にリターン磁極層10を形成する。
【0066】
次に、リターン磁極層10の上に連結層11を形成する。次に、連結層11を覆うように絶縁層12を形成する。次に、例えば化学機械研磨(以下、CMPと記す。)によって、連結層11が露出するまで絶縁層12を研磨して、連結層11および絶縁層12の上面を平坦化する。次に、連結層11の上に連結層13を形成すると共に、絶縁層12の上にヒートシンク層14を形成する。次に、連結層13とヒートシンク層14を覆うように絶縁層15を形成する。次に、例えばCMPによって、連結層13およびヒートシンク層14が露出するまで絶縁層15を研磨して、連結層13、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面を平坦化する。
【0067】
次に、連結層13の上に連結層17を形成すると共に、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に近接場光発生素子16および周囲層18を形成する。近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程については、後で詳しく説明する。
【0068】
次に、連結層17および周囲層18の上にクラッド層19を形成する。このクラッド層19には、連結層17の上方の位置において、連結部29A,29Bを通すための2つの開口部が形成されている。次に、この2つの開口部を通って連結層17に連結されるように、連結部29A,29Bのそれぞれの第1層を形成する。また、クラッド層19の上に、導波路20の第1層20Aと、磁極22の第1層22Aと、クラッド層21を形成する。
【0069】
次に、第1層20Aの上に導波路20の第2層20Bを形成すると共に、第1層22Aの上に磁極22の第2層22Bを形成する。また、連結部29A,29Bのそれぞれの第1層の上に、連結部29A,29Bのそれぞれの第2層を形成する。次に、第2層20B、第2層22Bおよび連結部29A,29Bのそれぞれの第2層を覆うようにクラッド層23を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層22Bおよび連結部29A,29Bのそれぞれの第2層が露出するまでクラッド層23を研磨する。
【0070】
次に、第2層22Bの上に磁極22の第3層22Cを形成すると共に、連結部29A,29Bに連結されるように連結層24を形成する。次に、第3層22Cおよび連結層24を覆うように絶縁層25を形成する。次に、例えばCMPによって、第3層22Cおよび連結層24が露出するまで、絶縁層25を研磨する。
【0071】
次に、絶縁層25の上に絶縁層28を形成する。次に、絶縁層28の上に複数の第1のコイル要素30Aを形成する。また、磁極22の第3層22Cの上に連結層26を形成すると共に、連結層24の上に連結層27を形成する。次に、第1のコイル要素30Aおよび連結層26,27を覆うように絶縁層31を形成する。次に、例えばCMPによって、第1のコイル要素30Aおよび連結層26,27が露出するまで、絶縁層31を研磨する。
【0072】
次に、複数の第1のコイル要素30Aを覆うように絶縁層32を形成する。この絶縁層32には、接続部36,37を通すための複数の開口部が形成されている。次に、この複数の開口部を通って複数の第1のコイル要素30Aに接続されるように接続部36,37を形成する。次に、連結層26,27および絶縁層32の上にヨーク層33を形成する。次に、ヨーク層33および接続部36,37を覆うように絶縁層34を形成する。次に、例えばCMPによって、接続部36,37が露出するまで絶縁層34を研磨する。
【0073】
次に、接続部36,37および絶縁層34の上に、複数の第2のコイル要素30Bとリード層30Cを形成する。次に、複数の第2のコイル要素30Bおよびリード層30Cを覆うように保護層35を形成する。次に、保護層35の上面に配線や端子等を形成する。
【0074】
このようにして、基礎構造物が完成したら、この基礎構造物を切断することによって複数のヘッド予定部を互いに分離し、媒体対向面40の研磨、浮上用レールの作製等を行って、熱アシスト磁気記録ヘッドが完成する。
【0075】
次に、図8ないし図19を参照して、近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程について詳しく説明する。近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程は、近接場光発生素子16を形成する工程を含んでいる。以下の説明は、本実施の形態に係る近接場光発生素子16の製造方法の説明を含んでいる。
【0076】
図8ないし図19は、近接場光発生素子16および周囲層18を形成する過程における積層体を示している。なお、図8ないし図19では、ヒートシンク層14および絶縁層15よりも下の部分を省略している。図8ないし図19のうち、図n(a)(nは8以上19以下の整数)は、積層体の平面図である。図n(b)は、図n(a)中のnB−nB線で示される位置における積層体の断面を示す断面図である。図n(c)は、図n(a)中のnC−nC線で示される位置における積層体の断面を示す断面図である。nC−nC線で示される位置は、媒体対向面40が形成される予定の位置である。
【0077】
図8は、ヒートシンク層14および絶縁層15の形成後の工程を示している。この工程では、まず、例えばスパッタ法によって、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に、後にエッチングされることによって近接場光発生素子16となる金属層16Pを形成する。図8(a)では、後に形成される近接場光発生素子16の形状を二点鎖線で表している。これは、他の図でも同様である。金属層16Pの厚みは、例えば100〜500nmの範囲内である。次に、例えばスパッタ法によって、金属層16Pの上に、後に行われる研磨工程において用いられる研磨停止層51を形成する。研磨停止層51の厚みは、例えば20〜60nmの範囲内である。研磨停止層51は、例えばTaまたはRuよりなる層を含む。研磨停止層51は、例えばTaまたはRuよりなる第1層と、第1層の上に形成された、例えばNiCrよりなる第2層を含んでいてもよい。
【0078】
図9は、次の工程を示す。この工程では、まず、研磨停止層51の上に、フォトレジストマスク52を形成する。次に、このフォトレジストマスク52をエッチングマスクとして用いて、例えばイオンビームエッチング(以下、IBEと記す。)または反応性イオンエッチング(以下、RIEと記す。)によって、研磨停止層51をエッチングする。エッチング後の研磨停止層51は、金属層16Pのうち、後に導波路対向面16bが形成される領域と、後に前端面16cの第3の辺16c3に続く側面16dの一部が形成される領域とを覆っている。
【0079】
図10は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトレジストマスク52をエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層51および金属層16Pをエッチングする。この工程を第1のエッチング工程と呼ぶ。第1のエッチング工程では、金属層16Pの下面に垂直な方向に対してイオンビームの進行方向がなす角度を、近接場光発生素子16の前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第2の辺16c2がなす角度θと等しくする。これにより、金属層16Pに、前端面16cの第2の辺16c2に続く側面16dの一部16d1が形成される。次に、フォトレジストマスク52を除去する。
【0080】
図11は、次の工程を示す。この工程では、側面16dの一部16d1が形成された後の金属層16Pと研磨停止層51とを覆うように、被覆層18Aを形成する。被覆層18Aは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上にも形成される。被覆層18Aは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に形成された部分の上面が、研磨停止層51の上面よりも高い位置になるような厚みに形成される。被覆層18Aの厚みは、例えば0.2〜0.8μmの範囲内である。被覆層18Aは、後に行われる第2のエッチング工程におけるエッチング速度が金属層16Pよりも小さい、金属以外の無機材料よりなる。被覆層18Aを構成する材料は、無機の誘電体材料でもよいし無機の半導体材料でもよいが、無機の誘電体材料であることが好ましい。被覆層18Aは、Al2O3、SiO2、Ta2O5、SiCおよびTiNからなるグループから選択された1つよりなるものであってもよい。
【0081】
図12は、次の工程を示す。この工程では、例えばCMPによって、研磨停止層51が露出するまで被覆層18Aを研磨する。この工程を研磨工程と呼ぶ。
【0082】
図13は、次の工程を示す。この工程では、研磨停止層51および被覆層18Aの上に、後に行われる第2の研磨工程において用いられる第2の研磨停止層53を形成する。第2の研磨停止層53の厚みと材料は、研磨停止層51と同様である。
【0083】
図14は、次の工程を示す。この工程では、まず、第2の研磨停止層53の上に、フォトレジストマスク54を形成する。次に、このフォトレジストマスク54をエッチングマスクとして用いて、例えばIBEまたはRIEによって、第2の研磨停止層53をエッチングする。エッチング後の第2の研磨停止層53は、金属層16Pのうちの後に導波路対向面16bが形成される領域と既に形成された側面16dの一部16d1の上方に配置されている。ただし、図14に示したように、媒体対向面40が形成される予定の位置の近傍の一部の領域では、第2の研磨停止層53は、側面16dの一部16d1の上に位置する被覆層18Aの一部を覆っていない。
【0084】
図15は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトレジストマスク54、第2の研磨停止層53および被覆層18Aをエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層51および金属層16Pをエッチングする。この工程を第2のエッチング工程と呼ぶ。第2のエッチング工程では、金属層16Pの下面に垂直な方向に対してイオンビームの進行方向がなす角度を、近接場光発生素子16の前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第3の辺16c3がなす角度θと等しくする。これにより、金属層16Pに、前端面16cの第3の辺16c3に続く側面16dの一部16d2が形成されて、導波路対向面16bと側面16dが完成して、金属層16Pは近接場光発生素子16になる。次に、フォトレジストマスク54を除去する。
【0085】
第2のエッチング工程では、図15(c)に示したように、近接場光発生素子16のうちの尖端16c4を含む一部の形状、すなわちエッジ部16eおよびその近傍の部分の形状は、研磨工程で研磨された後の被覆層18Aがエッチングマスクとして用いられて金属層16Pがエッチングされることによって形成される。このとき、図15(c)に示したように、被覆層18Aはわずかにエッチングされて、被覆層18Aに、側面16dのうちの、前端面16cの第3の辺16c3の近傍の部分に連続する斜面18A1が形成される。第2のエッチング工程では、被覆層18Aのエッチング速度は、金属層16Pよりも小さい。そのため、第2のエッチング工程では、斜面18A1は、丸みを帯びることなく、側面16dのうちの、第3の辺16c3の近傍の部分と共に1つの平面を構成するように形成される。その結果、エッジ部16eと尖端16c4は、丸みを帯びることなく、鋭く尖った形状に形成される。
【0086】
図16は、次の工程を示す。この工程では、近接場光発生素子16、被覆層18Aおよび第2の研磨停止層53を覆うように第2の被覆層18Bを形成する。第2の被覆層18Bは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上にも形成される。第2の被覆層18Bは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に形成された部分の上面が、第2の研磨停止層53の上面よりも高い位置になるような厚みに形成される。第2の被覆層18Bの厚みは、例えば0.2〜0.8μmの範囲内である。第2の被覆層18Bの材料は、導電材料以外の材料であればよいが、被覆層18Aと同じ材料であることが好ましい。
【0087】
図17は、次の工程を示す。この工程では、例えばCMPによって、第2の研磨停止層53が露出するまで第2の被覆層18Bを研磨する。この工程を第2の研磨工程と呼ぶ。
【0088】
図18は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばIBEまたはRIEによって、第2の研磨停止層53を除去すると共に、被覆層18Aと第2の被覆層18Bの上面が平坦になるように、第2の被覆層18Bをわずかにエッチングする。次に、エッジ部16eの上方の位置において、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bの上にフォトレジストマスク55を形成する。このフォトレジストマスク55は、導波路対向面16bの上に残っている研磨停止層51を覆っていない。次に、フォトレジストマスク55をエッチングマスクとして用いて、例えば、IBEまたはRIEによって、研磨停止層51を除去して導波路対向面16bを露出させると共に、導波路対向面16bと、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bの上面が平坦になるように、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bをわずかにエッチングする。この工程の後で残った被覆層18Aと第2の被覆層18Bは、周囲層18を構成する。
【0089】
図8ないし図18に示した一連の工程によって、近接場光発生素子16および周囲層18が形成される。図19は、近接場光発生素子16および周囲層18の形成後の工程を示している。この工程では、まず、近接場光発生素子16および周囲層18の上にクラッド層19を形成する。次に、クラッド層19の上に、クラッド層21と、磁極22の第1層22Aと、導波路20の第1層20Aを形成する。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドは、近接場光発生素子16と導波路20と磁極22とを備えている。近接場光発生素子16の外面は、下面16aと導波路対向面16bと前端面16cと側面16dとを含んでいる。前端面16cは、下面16aの端に位置する第1の辺16c1と、基板1の上面1aからより遠い端に位置して近接場光発生部16gを形成する尖端16c4と、第1の辺16c1の一端と尖端16c4とを接続する第2の辺16c2と、第1の辺16c1の他端と尖端16c4とを接続する第3の辺16c3とを含んでいる。導波路対向面16bは、前端面16cに近づくに従って小さくなる幅を有する幅変化部分16b1を含んでいる。導波路対向面16bの前端部16b3は、エッジ部16eを介して、近接場光発生部16gを形成する前端面16cの尖端16c4に接続されている。
【0091】
本実施の形態では、導波路20の下面が、所定の間隔を開けて近接場光発生素子16の導波路対向面16bに対向している。本実施の形態では、導波路20を伝播する光に基づいて、導波路20の下面においてエバネッセント光が発生し、このエバネッセント光に基づいて、近接場光発生素子16の導波路対向面16bに表面プラズモンが励起される。そして、この表面プラズモンが近接場光発生部16gに伝播され、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部16gより近接場光が発生される。本実施の形態によれば、従来のようにレーザ光をプラズモン・アンテナに直接照射して近接場光を発生させる場合に比べて、導波路20を伝播する光の近接場光への変換の効率を高めることができる。
【0092】
また、本実施の形態では、導波路20を伝播するレーザ光が近接場光発生素子16に直接照射されないため、近接場光発生素子16の温度上昇を抑制することができる。また、本実施の形態では、媒体対向面40に垂直な方向についての近接場光発生素子16の長さHPA1が、近接場光発生素子16の下面16aに垂直な方向についての前端面16cの長さTPAよりも大きい。そのため、本実施の形態における近接場光発生素子16の体積は、媒体対向面40に垂直な方向についての長さが、基板1の上面1aに垂直な方向についての長さよりも小さい従来のプラズモン・アンテナに比べて大きい。この点からも、本実施の形態によれば、近接場光発生素子16の温度上昇を抑制することができる。これらのことから、本実施の形態によれば、近接場光発生素子16が媒体対向面40から突出することを抑制することができる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、前述のように、導波路対向面16bにおいて多くの表面プラズモンを励起させることが可能になると共に、導波路対向面16bに励起された表面プラズモンを近接場光発生部16gに集中させることが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、スポット径が小さく、且つ十分な強度の近接場光を発生させることが可能になる。
【0094】
本実施の形態に係る近接場光発生素子16の製造方法では、近接場光発生素子16のうちの尖端16c4を含む一部の形状、すなわちエッジ部16eおよびその近傍の部分の形状は、研磨工程で研磨された後の被覆層18Aがエッチングマスクとして用いられて金属層16Pがエッチングされることによって形成される。第2のエッチング工程では、被覆層18Aのエッチング速度は、金属層16Pよりも小さい。そのため、第2のエッチング工程では、エッジ部16eと尖端16c4が丸みを帯びることを防止でき、鋭く尖った形状のエッジ部16eと尖端16c4を形成することができる。これにより、本実施の形態によれば、上端すなわち尖端16c4が鋭く尖った形状の前端面16cを有する近接場光発生素子16を製造することが可能になる。尖端16c4は、近接場光発生部16gを形成する。本実施の形態によれば、鋭く尖った形状の尖端16c4(近接場光発生部16g)に多くの表面プラズモンを集中させることが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、スポット径が小さく、且つ十分な強度の近接場光を発生させることが可能になる。
【0095】
また、本実施の形態において、近接場光発生素子16を形成する工程は、研磨工程と第2のエッチング工程の間において、被覆層18Aの上に、後に行われる第2の研磨工程において用いられる第2の研磨停止層53を形成する工程を含んでいる。そして、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、第2のエッチング工程の後で、近接場光発生素子16、被覆層18Aおよび第2の研磨停止層53を覆うように第2の被覆層18Bを形成する工程と、第2の研磨停止層53が露出するまで第2の被覆層18Bを研磨する第2の研磨工程と、第2の研磨工程の後で第2の研磨停止層53と研磨停止層51を除去する工程とを備えている。これにより、本実施の形態によれば、近接場光発生素子16のエッジ部16eが研磨されることを防止しながら、第2の被覆層18Bの上面の位置を規定することが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、エッジ部16eと磁極22の下端部との間の間隔、および導波路対向面16bと導波路20の下面との間の間隔を精度よく規定することが可能になる。
【0096】
次に、図20および図21を参照して、本実施の形態における変形例の近接場光発生素子について説明する。図20は、変形例の近接場光発生素子を示す斜視図である。図21は、図20に示した近接場光発生素子の平面図である。変形例の近接場光発生素子16において、導波路対向面16bの幅変化部分16b1は、下面16aおよび前端面16cに平行な方向(X方向)の両側に位置する2つの辺16b13,16b14と、辺16b13,16b14に対して媒体対向面40に近い位置に配置された2つの辺16b15,16b16とを含んでいる。辺16b15は、辺16b13の媒体対向面40により近い端部と前端部16b3とを接続している。辺16b16は、辺16b14の媒体対向面40により近い端部と前端部16b3とを接続している。辺16b15,16b16が互いになす角度は、辺16b13,16b14が互いになす角度よりも大きい。
【0097】
変形例の近接場光発生素子16は、図9に示した工程におけるフォトレジストマスク52の形状と、図14に示した工程におけるフォトレジストマスク54の形状を、それぞれ、変形例における導波路対向面16bの形状に対応するように変更することによって製造することができる。
【0098】
[第2の実施の形態]
次に、図22ないし図33を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る近接場光発生素子およびその製造方法ならびに熱アシスト磁気記録ヘッドについて説明する。図22ないし図33は、本実施の形態における近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程を示している。近接場光発生素子16および周囲層18を形成する工程は、近接場光発生素子16を形成する工程を含んでいる。以下の説明は、本実施の形態に係る近接場光発生素子16の製造方法の説明を含んでいる。
【0099】
図22ないし図33は、近接場光発生素子16および周囲層18を形成する過程における積層体を示している。なお、図22ないし図33では、ヒートシンク層14および絶縁層15よりも下の部分を省略している。図22ないし図33のうち、図n(a)(nは22以上33以下の整数)は、積層体の平面図である。図n(b)は、図n(a)中のnB−nB線で示される位置における積層体の断面を示す断面図である。図n(c)は、図n(a)中のnC−nC線で示される位置における積層体の断面を示す断面図である。nC−nC線で示される位置は、媒体対向面40が形成される予定の位置である。
【0100】
図22は、ヒートシンク層14および絶縁層15の形成後の工程を示している。この工程では、まず、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に、収容層61を形成する。収容層61は、後に行われる第1および第2のエッチング工程におけるエッチング速度が金属層16Pよりも小さい材料よりなる。また、収容層61は、後に金属層16Pが収容される収容部61aを有している。収容層61の材料は、第1の実施の形態における被覆層18Aと同様に、金属以外の無機材料であってもよい。収容層61の厚みは、近接場光発生素子16の前端面16cの長さTPAよりも大きい。収容部61aは、収容層61を貫通している。また、収容部61aにおいて、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面に平行な断面の大きさは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上面から離れるに従って大きくなっている。
【0101】
収容層61は、例えば、以下のようにして形成される。まず、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に、後にエッチングされることによって収容層61となる初期収容層を形成する。次に、初期収容層の上に、開口部62aを有するフォトレジストマスク62を形成する。次に、このフォトレジストマスク62をエッチングマスクとして用いて、例えばRIEによって、初期収容層をテーパーエッチングする。これにより、初期収容層に収容部61aが形成されて、初期収容層は収容層61になる。
【0102】
図23は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばスパッタ法によって、収容部61aに収容されるように金属層16Pを形成する。次に、例えばCMPによって、収容層61と金属層16Pの上面を平坦化する。この時点における金属層16Pの厚みは、例えば100〜500nmの範囲内である。次に、例えばスパッタ法によって、収容層61および金属層16Pの上に、後に行われる研磨工程において用いられる研磨停止層63を形成する。研磨停止層63の厚みと材料は、第1の実施の形態における研磨停止層51と同様である。
【0103】
図24は、次の工程を示す。この工程では、まず、研磨停止層63の上に、フォトレジストマスク64を形成する。次に、このフォトレジストマスク64をエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層63をエッチングする。エッチング後の研磨停止層63は、金属層16Pのうち、後に導波路対向面16bが形成される領域と、後に前端面16cの第3の辺16c3に続く側面16dの一部が形成される領域とを覆っている。
【0104】
図25は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトレジストマスク64をエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層63および金属層16Pをエッチングする。この工程を第1のエッチング工程と呼ぶ。第1のエッチング工程では、金属層16Pの下面に垂直な方向に対してイオンビームの進行方向がなす角度を、近接場光発生素子16の前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第2の辺16c2がなす角度θと等しくする。これにより、金属層16Pに、前端面16cの第2の辺16c2に続く側面16dの一部16d1が形成される。次に、フォトレジストマスク64を除去する。
【0105】
図26は、次の工程を示す。この工程では、側面16dの一部16d1が形成された後の金属層16Pと研磨停止層63とを覆うように、被覆層18Aを形成する。被覆層18Aは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上にも形成される。被覆層18Aは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に形成された部分の上面が、研磨停止層63の上面よりも高い位置になるような厚みに形成される。被覆層18Aの厚みは、例えば0.2〜0.8μmの範囲内である。被覆層18Aは、後に行われる第2のエッチング工程におけるエッチング速度が金属層16Pよりも小さい、金属以外の無機材料よりなる。被覆層18Aの材料は、第1の実施の形態と同様である。
【0106】
図27は、次の工程を示す。この工程では、例えばCMPによって、研磨停止層63が露出するまで被覆層18Aを研磨する。この工程を研磨工程と呼ぶ。
【0107】
図28は、次の工程を示す。この工程では、研磨停止層63および被覆層18Aの上に、フォトレジストマスク65を形成する。このフォトレジストマスク65は、金属層16Pのうち、後に行われる第2のエッチング工程においてエッチングされる部分の上方に位置する開口部を有している。図28に示したように、媒体対向面40が形成される予定の位置の近傍の一部の領域では、フォトレジストマスク65は、側面16dの一部16d1の上に位置する被覆層18Aの一部を覆っていない。
【0108】
図29は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトレジストマスク65および被覆層18Aをエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、研磨停止層63および金属層16Pをエッチングする。この工程を第2のエッチング工程と呼ぶ。第2のエッチング工程では、金属層16Pの下面に垂直な方向に対してイオンビームの進行方向がなす角度を、近接場光発生素子16の前端面16cにおいて、第1の辺16c1に垂直な方向(Z方向)に対して第3の辺16c3がなす角度θと等しくする。これにより、金属層16Pに、前端面16cの第3の辺16c3に続く側面16dの一部16d2が形成されて、導波路対向面16bと側面16dが完成して、金属層16Pは近接場光発生素子16になる。次に、フォトレジストマスク65を除去する。
【0109】
第2のエッチング工程では、図29(c)に示したように、近接場光発生素子16のうちの尖端16c4を含む一部の形状、すなわちエッジ部16eおよびその近傍の部分の形状は、研磨工程で研磨された後の被覆層18Aがエッチングマスクとして用いられて金属層16Pがエッチングされることによって形成される。このとき、図29(c)に示したように、被覆層18Aはわずかにエッチングされて、被覆層18Aに、側面16dのうちの第3の辺16c3の近傍の部分に連続する斜面18A1が形成される。第2のエッチング工程では、被覆層18Aのエッチング速度は、金属層16Pよりも小さい。そのため、第2のエッチング工程では、斜面18A1は、丸みを帯びることなく、側面16dのうちの第3の辺16c3の近傍の部分と共に1つの平面を構成するように形成される。その結果、エッジ部16eと尖端16c4は、丸みを帯びることなく、鋭く尖った形状に形成される。第2のエッチング工程の後で、研磨停止層63は収容層61の上に残っている。第2のエッチング工程では、エッジ部16eが研磨停止層63の下面よりも低い位置になるように金属層16Pをエッチングすることが好ましい。
【0110】
図30は、次の工程を示す。この工程では、収容層61、研磨停止層63、近接場光発生素子16および被覆層18Aを覆うように第2の被覆層18Bを形成する。第2の被覆層18Bは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上にも形成される。第2の被覆層18Bは、ヒートシンク層14および絶縁層15の上に形成された部分の上面が、研磨停止層63の上面よりも高い位置になるような厚みに形成される。第2の被覆層18Bの厚みと材料は、第1の実施の形態と同様である。
【0111】
図31は、次の工程を示す。この工程では、例えばCMPによって、研磨停止層63が露出するまで第2の被覆層18Bを研磨する。この工程を第2の研磨工程と呼ぶ。
【0112】
図32は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばIBEまたはRIEによって、研磨停止層63を除去すると共に、収容層61、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bの上面が平坦になるように、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bをわずかにエッチングする。この後、エッジ部16eの上方の位置において、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bの上にフォトレジストマスク55を形成した後、例えば、IBEまたはRIEによって、導波路対向面16b、被覆層18Aおよび第2の被覆層18Bをわずかにエッチングしてもよい。これにより、エッジ部16eがエッチングされることを防止しながら、導波路対向面16bの上に研磨停止層63が残ることを防止することができる。この工程の後で残った被覆層18Aと第2の被覆層18Bは、周囲層18を構成する。
【0113】
図22ないし図32に示した一連の工程によって、近接場光発生素子16および周囲層18が形成される。図33は、近接場光発生素子16および周囲層18の形成後の工程を示している。この工程では、まず、近接場光発生素子16および周囲層18の上にクラッド層19を形成する。次に、クラッド層19の上に、クラッド層21と、磁極22の第1層22Aと、導波路20の第1層20Aを形成する。
【0114】
本実施の形態では、第1の実施の形態における第2の研磨停止層は形成されない。その代わり、本実施の形態では、第2のエッチング工程の後で、研磨停止層63が収容層61の上に残っている。そして、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、第2のエッチング工程の後で、収容層61、研磨停止層63、近接場光発生素子16および被覆層18Aを覆うように第2の被覆層18Bを形成する工程と、研磨停止層63が露出するまで第2の被覆層18Bを研磨する第2の研磨工程と、第2の研磨工程の後で研磨停止層63を除去する工程とを備えている。これにより、本実施の形態によれば、近接場光発生素子16のエッジ部16eが研磨されることを防止しながら、第2の被覆層18Bの上面の位置を規定することが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、エッジ部16eと磁極22の下端部との間の間隔、および導波路対向面16bと導波路20の下面との間の間隔を精度よく規定することが可能になる。
【0115】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0116】
[第3の実施の形態]
次に、図34を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る近接場光発生素子について説明する。図34は、本実施の形態に係る近接場光発生素子を示す斜視図である。本実施の形態に係る近接場光発生素子16では、導波路対向面16bは、前端面16cにより近い前端部16b3を有している。前端部16b3は、X方向についての小さな幅を有している。また、前端部16b3は、前端面16cから離れた位置に配置されている。また、導波路対向面16bは、前端面16cの尖端16c4に対して、下面16aにより近い位置に配置されている。
【0117】
また、本実施の形態に係る近接場光発生素子16の外面は、導波路対向面16bの前端部16b3と、エッジ部16eの媒体対向面40からより遠い端部とを連結する三角形形状の傾斜面16fを含んでいる。傾斜面16fと下面16aとの間の距離は、媒体対向面40に近づくに従って大きくなっている。
【0118】
本実施の形態に係る近接場光発生素子16は、第1の実施の形態における図18に示した工程、または第2の実施の形態における図32に示した工程において、フォトレジストマスク55をエッチングマスクとして用いて、例えば、IBEまたはRIEによって、エッジ部16eと導波路対向面16bとの間に傾斜面16fが形成されるように、導波路対向面16bをエッチングすることによって形成することができる。
【0119】
本実施の形態に係る近接場光発生素子16では、導波路対向面16bに励起された表面プラズモンは、導波路対向面16b、傾斜面16fおよびエッジ部16eを順に伝播して近接場光発生部16gに到達する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0120】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明において、近接場光発生素子16のエッジ部16eと磁極22の下端部との間には、周囲層18が介在せずに、クラッド層19のみが介在していてもよい。
【符号の説明】
【0121】
16…近接場光発生素子、16a…下面、16b…導波路対向面、16c…前端面、16d…側面、16c1…第1の辺、16c2…第2の辺、16c3…第3の辺、16c4…尖端、16g…近接場光発生部、19…クラッド層、20…導波路、22…磁極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱アシスト磁気記録ヘッドに用いられる近接場光発生素子であって、
前記熱アシスト磁気記録ヘッドは、
記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記媒体対向面に配置された端面を有し、情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極と、
光を伝播させる導波路と、
前記媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、前記導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが前記近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて前記近接場光発生部より近接場光を発生する近接場光発生素子と、
上面を有する基板とを備え、前記基板の上面の上方に、前記近接場光発生素子、磁極および導波路が配置されたものであり、
前記近接場光発生素子は、外面を有し、
前記外面は、前記基板の上面により近い端に位置する下面と、前記基板の上面からより遠い端に位置して前記導波路に対向する導波路対向面と、前記媒体対向面に配置された前端面と、前記下面、導波路対向面および前端面を接続する側面とを含み、
前記前端面は、前記下面の端に位置する第1の辺と、前記基板の上面からより遠い端に位置して前記近接場光発生部を形成する尖端と、前記第1の辺の一端と前記尖端とを接続する第2の辺と、前記第1の辺の他端と前記尖端とを接続する第3の辺とを含み、
前記導波路対向面は、幅変化部分を含み、前記幅変化部分は、前記前端面に近づくに従って小さくなる、前記下面および前端面に平行な方向についての幅を有することを特徴とする近接場光発生素子。
【請求項2】
前記近接場光発生素子における前記下面に平行な断面の大きさは、前記下面から離れるに従って小さくなっていることを特徴とする請求項1記載の近接場光発生素子。
【請求項3】
前記導波路対向面は、前記前端面により近い前端部を有し、前記前端部は前記前端面から離れた位置に配置され、
前記近接場光発生素子の外面は、更に、前記前端部と前記前端面の尖端とを接続するエッジ部を含むことを特徴とする請求項1記載の近接場光発生素子。
【請求項4】
前記導波路対向面は、前記前端面により近い前端部を有し、前記前端部は前記前端面から離れた位置に配置され、
前記導波路対向面は、前記前端面の尖端に対して、前記下面により近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の近接場光発生素子。
【請求項5】
請求項1記載の近接場光発生素子を製造する方法であって、
後にエッチングされることによって前記近接場光発生素子となる金属層を形成する工程と、
前記金属層に前記前端面の第2の辺に続く前記側面の一部が形成されるように、前記金属層をエッチングする第1のエッチング工程と、
前記導波路対向面と側面が完成して、前記金属層が前記近接場光発生素子になるように、前記金属層をエッチングする第2のエッチング工程と
を備えたことを特徴とする近接場光発生素子の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の近接場光発生素子を製造する方法であって、
後にエッチングされることによって前記近接場光発生素子となる金属層を形成する工程と、
前記金属層の上に、後に行われる研磨工程において用いられる研磨停止層を形成する工程と、
前記金属層に前記前端面の第2の辺に続く前記側面の一部が形成されるように、前記研磨停止層および前記金属層をエッチングする第1のエッチング工程と、
前記側面の一部が形成された後の前記金属層と前記研磨停止層とを覆うように、後に行われる第2のエッチング工程におけるエッチング速度が前記金属層よりも小さい、金属以外の無機材料よりなる被覆層を形成する工程と、
前記研磨停止層が露出するまで前記被覆層を研磨する研磨工程と、
前記導波路対向面と側面が完成して、前記金属層が前記近接場光発生素子になるように、前記研磨停止層および前記金属層をエッチングする第2のエッチング工程とを備え、
前記近接場光発生素子のうちの前記尖端を含む一部の形状は、前記第2のエッチング工程において、前記研磨工程で研磨された後の前記被覆層がエッチングマスクとして用いられて前記金属層がエッチングされることによって形成されることを特徴とする近接場光発生素子の製造方法。
【請求項7】
前記被覆層は、Al2O3、SiO2、Ta2O5、SiCおよびTiNからなるグループから選択された1つよりなることを特徴とする請求項6記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項8】
記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記媒体対向面に配置された端面を有し、情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極と、
光を伝播させる導波路と、
前記媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、前記導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが前記近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて前記近接場光発生部より近接場光を発生する近接場光発生素子と、
上面を有する基板とを備えた熱アシスト磁気記録ヘッドであって、
前記基板の上面の上方に、前記近接場光発生素子、磁極および導波路が配置され、
前記近接場光発生素子は、外面を有し、
前記外面は、前記基板の上面により近い端に位置する下面と、前記基板の上面からより遠い端に位置して前記導波路に対向する導波路対向面と、前記媒体対向面に配置された前端面と、前記下面、導波路対向面および前端面を接続する側面とを含み、
前記前端面は、前記下面の端に位置する第1の辺と、前記基板の上面からより遠い端に位置して前記近接場光発生部を形成する尖端と、前記第1の辺の一端と前記尖端とを接続する第2の辺と、前記第1の辺の他端と前記尖端とを接続する第3の辺とを含み、
前記導波路対向面は、幅変化部分を含み、前記幅変化部分は、前記前端面に近づくに従って小さくなる、前記下面および前端面に平行な方向についての幅を有することを特徴とする熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項9】
前記近接場光発生素子における前記下面に平行な断面の大きさは、前記下面から離れるに従って小さくなっていることを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項10】
前記導波路対向面は、前記前端面により近い前端部を有し、前記前端部は前記前端面から離れた位置に配置され、
前記近接場光発生素子の外面は、更に、前記前端部と前記前端面の尖端とを接続するエッジ部を含むことを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項11】
前記導波路対向面は、前記前端面により近い前端部を有し、前記前端部は前記前端面から離れた位置に配置され、
前記導波路対向面は、前記前端面の尖端に対して、前記下面により近い位置に配置されていることを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項12】
前記磁極の端面は、前記近接場光発生素子の前記前端面における第1の辺との間に前記尖端を挟む位置に配置されていることを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項1】
熱アシスト磁気記録ヘッドに用いられる近接場光発生素子であって、
前記熱アシスト磁気記録ヘッドは、
記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記媒体対向面に配置された端面を有し、情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極と、
光を伝播させる導波路と、
前記媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、前記導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが前記近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて前記近接場光発生部より近接場光を発生する近接場光発生素子と、
上面を有する基板とを備え、前記基板の上面の上方に、前記近接場光発生素子、磁極および導波路が配置されたものであり、
前記近接場光発生素子は、外面を有し、
前記外面は、前記基板の上面により近い端に位置する下面と、前記基板の上面からより遠い端に位置して前記導波路に対向する導波路対向面と、前記媒体対向面に配置された前端面と、前記下面、導波路対向面および前端面を接続する側面とを含み、
前記前端面は、前記下面の端に位置する第1の辺と、前記基板の上面からより遠い端に位置して前記近接場光発生部を形成する尖端と、前記第1の辺の一端と前記尖端とを接続する第2の辺と、前記第1の辺の他端と前記尖端とを接続する第3の辺とを含み、
前記導波路対向面は、幅変化部分を含み、前記幅変化部分は、前記前端面に近づくに従って小さくなる、前記下面および前端面に平行な方向についての幅を有することを特徴とする近接場光発生素子。
【請求項2】
前記近接場光発生素子における前記下面に平行な断面の大きさは、前記下面から離れるに従って小さくなっていることを特徴とする請求項1記載の近接場光発生素子。
【請求項3】
前記導波路対向面は、前記前端面により近い前端部を有し、前記前端部は前記前端面から離れた位置に配置され、
前記近接場光発生素子の外面は、更に、前記前端部と前記前端面の尖端とを接続するエッジ部を含むことを特徴とする請求項1記載の近接場光発生素子。
【請求項4】
前記導波路対向面は、前記前端面により近い前端部を有し、前記前端部は前記前端面から離れた位置に配置され、
前記導波路対向面は、前記前端面の尖端に対して、前記下面により近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の近接場光発生素子。
【請求項5】
請求項1記載の近接場光発生素子を製造する方法であって、
後にエッチングされることによって前記近接場光発生素子となる金属層を形成する工程と、
前記金属層に前記前端面の第2の辺に続く前記側面の一部が形成されるように、前記金属層をエッチングする第1のエッチング工程と、
前記導波路対向面と側面が完成して、前記金属層が前記近接場光発生素子になるように、前記金属層をエッチングする第2のエッチング工程と
を備えたことを特徴とする近接場光発生素子の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の近接場光発生素子を製造する方法であって、
後にエッチングされることによって前記近接場光発生素子となる金属層を形成する工程と、
前記金属層の上に、後に行われる研磨工程において用いられる研磨停止層を形成する工程と、
前記金属層に前記前端面の第2の辺に続く前記側面の一部が形成されるように、前記研磨停止層および前記金属層をエッチングする第1のエッチング工程と、
前記側面の一部が形成された後の前記金属層と前記研磨停止層とを覆うように、後に行われる第2のエッチング工程におけるエッチング速度が前記金属層よりも小さい、金属以外の無機材料よりなる被覆層を形成する工程と、
前記研磨停止層が露出するまで前記被覆層を研磨する研磨工程と、
前記導波路対向面と側面が完成して、前記金属層が前記近接場光発生素子になるように、前記研磨停止層および前記金属層をエッチングする第2のエッチング工程とを備え、
前記近接場光発生素子のうちの前記尖端を含む一部の形状は、前記第2のエッチング工程において、前記研磨工程で研磨された後の前記被覆層がエッチングマスクとして用いられて前記金属層がエッチングされることによって形成されることを特徴とする近接場光発生素子の製造方法。
【請求項7】
前記被覆層は、Al2O3、SiO2、Ta2O5、SiCおよびTiNからなるグループから選択された1つよりなることを特徴とする請求項6記載の近接場光発生素子の製造方法。
【請求項8】
記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記媒体対向面に配置された端面を有し、情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極と、
光を伝播させる導波路と、
前記媒体対向面に配置された近接場光発生部を有し、前記導波路を伝播する光に基づいて表面プラズモンが励起され、この表面プラズモンが前記近接場光発生部に伝播され、この表面プラズモンに基づいて前記近接場光発生部より近接場光を発生する近接場光発生素子と、
上面を有する基板とを備えた熱アシスト磁気記録ヘッドであって、
前記基板の上面の上方に、前記近接場光発生素子、磁極および導波路が配置され、
前記近接場光発生素子は、外面を有し、
前記外面は、前記基板の上面により近い端に位置する下面と、前記基板の上面からより遠い端に位置して前記導波路に対向する導波路対向面と、前記媒体対向面に配置された前端面と、前記下面、導波路対向面および前端面を接続する側面とを含み、
前記前端面は、前記下面の端に位置する第1の辺と、前記基板の上面からより遠い端に位置して前記近接場光発生部を形成する尖端と、前記第1の辺の一端と前記尖端とを接続する第2の辺と、前記第1の辺の他端と前記尖端とを接続する第3の辺とを含み、
前記導波路対向面は、幅変化部分を含み、前記幅変化部分は、前記前端面に近づくに従って小さくなる、前記下面および前端面に平行な方向についての幅を有することを特徴とする熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項9】
前記近接場光発生素子における前記下面に平行な断面の大きさは、前記下面から離れるに従って小さくなっていることを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項10】
前記導波路対向面は、前記前端面により近い前端部を有し、前記前端部は前記前端面から離れた位置に配置され、
前記近接場光発生素子の外面は、更に、前記前端部と前記前端面の尖端とを接続するエッジ部を含むことを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項11】
前記導波路対向面は、前記前端面により近い前端部を有し、前記前端部は前記前端面から離れた位置に配置され、
前記導波路対向面は、前記前端面の尖端に対して、前記下面により近い位置に配置されていることを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項12】
前記磁極の端面は、前記近接場光発生素子の前記前端面における第1の辺との間に前記尖端を挟む位置に配置されていることを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2011−198449(P2011−198449A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211997(P2010−211997)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(500475649)ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド (251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(500475649)ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド (251)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]