説明

返品処理装置、返品処理装置の制御方法およびプログラム

【課題】返品された商品が、自店舗で販売した商品であるのか否かを容易に判断できると共に、返品処理を円滑に行い得る返品処理装置、返品処理装置の制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】顧客を含むレジカウンター10周りの状況を撮像する撮像部31,32,33と、商品の購入時における撮像部31,32,33の撮像結果である撮像画像と、商品の精算情報と、を関連付けた購入時情報を記憶する購入時情報記憶部61と、顧客から商品の返品申請があった場合、購入時情報記憶部61から、返品対象となる対象商品の購入時情報を検索する購入時情報検索部17と、購入時情報検索部17の検索結果を出力する検索結果出力部18と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等の小売店やファミリーレストラン等の飲食店内において、顧客による不正行為を防止するための返品処理装置、返品処理装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客による不正行為の防止策として、特許文献1が提案されている。当該特許文献1は、顧客に付与するポイントを累計管理して、累計ポイント数に応じたサービスを提供するポイント管理システムに関する。このサービスを利用した不正行為として、商品購入に対して付与されたポイントを用いてサービスを受けた後、故意に商品の返品処理を行う、といった手口が知られている。そこで、当該ポイント管理システムでは、このような不正行為を繰り返す顧客を特定し、店舗が被る損害を未然に防ぐことを課題としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−181500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の手口に類似した顧客の不正行為として、ディスカウントショップなどで安価に購入した商品を、定価販売している他の店舗に返品し、その差額による利益を得る手口が知られている。この不正行為では、レシートを偽造して、あたかもその店舗で購入したように見せかける巧妙な手口が用いられることもあり、返品された商品が、自店舗で販売した商品であるのか、他店舗で購入された商品であるのかの判断が非常に困難であった。また、紛失などによってレシートが存在しない場合は、膨大な販売履歴を記録した記録データーベースから該当商品の販売履歴を検索する必要があり、返品処理に時間を要するといった問題もあった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、返品された商品が、自店舗で販売した商品であるのか否かを容易に判断できると共に、返品処理を円滑に行い得る返品処理装置、返品処理装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の返品処理装置は、顧客を含むレジカウンター周りの状況を撮像する撮像部と、商品の購入時における撮像部の撮像結果である撮像画像と、商品の精算情報と、を関連付けた購入時情報を記憶する購入時情報記憶部と、顧客から商品の返品申請があった場合、購入時情報記憶部から、返品対象となる対象商品の購入時情報を検索する購入時情報検索部と、購入時情報検索部の検索結果を出力する検索結果出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の返品処理装置の制御方法は、商品の購入時において顧客を含むレジカウンター周りを撮像した撮像画像と、商品の精算情報と、を関連付けた購入時情報を記憶する購入時情報記憶部を備えた返品処理装置の制御方法であって、返品処理装置が、顧客から商品の返品申請があった場合、購入時情報記憶部から、返品対象となる対象商品の購入時情報を検索する購入時情報検索ステップと、購入時情報検索ステップによる検索結果を出力する検索結果出力ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、顧客から商品の返品申請があった場合、返品対象となる対象商品の購入時情報(顧客を含むレジカウンター周りの状況を撮像した撮像画像と、商品の精算情報)を出力するため、店員(オペレーター)は、当該購入時情報に含まれる撮像画像から、購入時の状況を確認することができる。また、店員は、例えば購入時情報を検索できなかった場合、返品された商品が他店舗で販売された商品である可能性が高いと判断することができる。また、例えば撮像画像に記録された購入者と返品申請者が異なる場合は、不正返品の可能性が高い(例えば、拾ったレシートを利用して返品申請を行った場合など)と判断することができる。さらに、購入時情報を検索でき、且つ購入者と返品申請者が一致するような場合は、不正行為の可能性が低いと判断し、購入時情報に含まれる精算情報に基づいて、迅速に返品処理を行うことができる。
なお、検索結果出力部(検索結果出力ステップ)は、ディスプレイへの表示、印刷媒体への印刷、電子メールやWebアプリケーションを用いた送信、などの方法により検索結果を出力することが考えられる。
【0009】
上記に記載の返品処理装置において、返品処理の取引が開始されたことを検出する返品処理検出部をさらに備え、購入時情報検索部は、返品処理検出部の検出をトリガーとして、返品処理の対象となる対象商品の購入時情報を検索することが好ましい。
【0010】
上記に記載の返品処理装置において、返品処理装置が、返品処理の取引が開始されたことを検出する返品処理検出ステップをさらに実行し、購入時情報検索ステップでは、返品処理検出ステップによる検出をトリガーとして、返品処理の対象となる対象商品の購入時情報を検索することが好ましい。
【0011】
これらの構成によれば、返品処理の取引開始をトリガーとして購入時情報の検索を行うため、返品申請時おいて、店員の特別な操作を必要としない。これにより、店員のオペレーション負荷を軽減することができると共に、誤操作の問題もない。
【0012】
上記に記載の返品処理装置において、撮像部は、購入された商品を含めて撮像することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、返品申請時に出力される撮像画像に、購入商品が含まれるため、返品された商品と見比べて、自店舗で販売した商品であるのか否かを判断することができる。
【0014】
上記に記載の返品処理装置において、商品ごとに、その撮像結果から得られる商品特徴量を記憶する商品特徴量記憶部をさらに備え、購入時情報検索部は、返品された商品の撮像結果と、商品特徴量記憶部との照合によって、対象商品を特定し、特定した当該対象商品に該当する購入時情報を、購入時情報記憶部から検索することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、返品された商品を撮像した撮像結果から得られる商品特徴量を検索キーとして、購入時情報を検索することができる。これにより、例えば返品された商品に商品タグが残っておらず、購入時のレシートも存在しないような場合でも、返品処理を円滑に行うことができる。
なお、「商品特徴量」としては、商品の輪郭を示す形状データー、商品の色特徴量、光学特徴量(反射率、コントラスト、輝度スペクトルの分布など)などが挙げられる。
【0016】
上記に記載の返品処理装置において、購入時情報記憶部は、撮像部の撮像結果から得られる顧客の顔特徴量を、撮像画像および精算情報と関連付けて記憶し、購入時情報検索部は、返品申請者の撮像結果から得られる顔特徴量と一致する顔特徴量が関連付けられた購入時情報を、購入時情報記憶部から検索することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、返品申請者の顔を撮像した撮像結果から得られる顔特徴量を検索キーとして、購入時情報を検索することができる。これにより、例えば返品された商品に商品タグが残っておらず、購入時のレシートも存在しないような場合でも、返品処理を円滑に行うことができる。
【0018】
上記に記載の返品処理装置において、顧客の音声を取得する音声取得部をさらに備え、購入時情報記憶部は、音声取得部により取得した音声の解析結果から得られる顧客の声紋を、撮像画像および精算情報と関連付けて記憶し、購入時情報検索部は、返品申請者の音声から得られる声紋と一致する声紋が関連付けられた購入時情報を、購入時情報記憶部から検索することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、返品申請者から取得した音声の解析結果から得られる声紋を検索キーとして、購入時情報を検索することができる。これにより、例えば返品された商品に商品タグが残っておらず、購入時のレシートも存在しないような場合でも、返品処理を円滑に行うことができる。また、購入時と返品申請時とで、顧客の服装や髪型が変化したことにより、撮像結果からは同一人物と判定されないような場合でも、声紋を用いることで、同一人物であるか否かを正確に判定することができる。
【0020】
上記に記載の返品処理装置において、購入時情報検索部は、精算処理番号、購入日時、商品名、商品コード、商品価格、顧客情報、レジ番号、オペレーター情報のうち、少なくとも1の情報を検索キーとして、購入時情報を検索することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、精算処理番号(レシート番号)、購入日時、商品名、商品コード、商品価格、顧客情報(顧客氏名、ロイヤリティカードのカード番号、クレジットカードのカード番号など)、レジ番号(POS端末のID)、オペレーター情報(オペレーター氏名、オペレーターIDなど)を検索キーとして用いることができる。
【0022】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載の返品処理装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0023】
このプログラムを用いることにより、返品された商品が、自店舗で販売した商品であるのか否かを容易に判断できると共に、返品処理を円滑に行い得る返品処理装置の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る店舗監視システムのブロック図である。
【図2】購入時情報記憶部および商品特徴量記憶部の説明図である。
【図3】検索キーとして利用可能な情報の一例を示す図である。
【図4】購入時情報の表示例を示す図である。
【図5】店舗監視システムの購入処理を示すフローチャートである。
【図6】店舗監視システムの返品処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る店舗監視システムのブロック図である。
【図8】第3実施形態に係る店舗監視システムのブロック図である。
【図9】第3実施形態に係る店舗監視システムの一部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照し、本発明の返品処理装置、返品処理装置の制御方法およびプログラムについて説明する。なお、以下に示す各実施形態では、本発明の返品処理装置を、店舗監視システムに適用した場合について例示する。当該店舗監視システムは、スーパーマーケット等の小売店内において、顧客による不正行為を検出するべく構築されたものである。
【0026】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る店舗監視システムSY1のブロック図である。同図に示すように、店舗監視システムSY1は、会計処理を行うPOS端末1と、商品に貼付または印刷された商品バーコードを読み取るハンディスキャナー2と、レジカウンター10周りを監視する監視カメラ3と、顧客の音声を取得するマイク4と、レシートを発行するレシートプリンター5と、店舗監視システムSY1を統括する店舗管理サーバー6と、から成る。POS端末1とハンディスキャナー2、監視カメラ3、マイク4およびレシートプリンター5は、それぞれシリアルインターフェース(例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェース)により接続されている。また、POS端末1および店舗管理サーバー6は、店舗内LAN7(有線LANまたは無線LAN)により接続されている。
【0027】
なお、図1では、POS端末1が1台の場合を示しているが、店舗内に複数のレジカウンター10が設置されている場合、レジカウンター10ごとに、POS端末1等が設けられる。また、請求項における「返品処理装置」は、上記の構成要素のうち、POS端末1、監視カメラ3、マイク4および店舗管理サーバー6から成る。
【0028】
本実施形態では、商品購入時において、POS端末1により購入時情報が生成される。購入時情報とは、精算情報および監視カメラ3による撮像画像などを含む情報であり、店舗管理サーバー6内の購入時情報記憶部61に格納される(図2(a)参照)。また、POS端末1は、顧客から返品申請があった場合、返品された商品の購入時情報を購入時情報記憶部61から検索して、その検索結果をオペレーター用ディスプレイ19に表示する(図4参照)。これにより、オペレーターは、当該購入時情報に含まれる撮像画像から、購入時の状況を確認することができる。また、例えば購入時情報を検索できなかった場合、他店舗で販売された商品である可能性が高いと判断することができる。さらに、例えば購入時の顧客(撮像画像に記録されている人物)と返品申請時の顧客が目視上異なる場合は、不正返品の可能性が高い(例えば、拾ったレシートを利用して返品申請を行った場合など)と判断することができる。このように、返品申請時において、購入時情報の検索結果が表示されることで、オペレーターは、返品された商品が、自店舗で販売した商品であるのか否かを容易に判断することができる。また、当該判断に基づいて、不正返品を未然に防止するための対策を講じることができる。以下、各装置の機能について詳細に説明する。
【0029】
まず、監視カメラ3は、主な機能構成として、全体撮像部31、顧客撮像部32および商品撮像部33を有している。全体撮像部31は、例えば天井に取り付けられたカメラにより、レジカウンター10の周囲を撮像する。また、顧客撮像部32は、例えばPOS端末1のカスタマーディスプレイ(図示省略)に設けられたカメラにより、レジカウンター10前の顧客(特に上半身)を撮像する。また、商品撮像部33は、例えば天井やPOS端末1の本体側面に設けられたカメラにより、精算対象となる商品を撮像する。なお、各撮像部31,32,33を実現するために、それぞれ専用のカメラを設けるのではなく、1のカメラの撮像方向やズームを切り替え、各撮像部31,32,33として機能できるようにしても良い。
【0030】
マイク4は、主な機能構成として、音声取得部41を有している。音声取得部41は、例えばPOS端末1のカスタマーディスプレイに、レジカウンター10前の顧客に向けて設けられた集音マイク(マイク4)により、顧客の音声を取得する。
【0031】
レシートプリンター5は、主な機能構成として、会計情報取得部51およびレシート印刷部52を有している。会計情報取得部51は、POS端末1から出力された会計情報(トランザクションデーター)を取得する。また、レシート印刷部52は、会計情報取得部51が取得した会計情報をレシート用紙に印刷し、レシートを発行する。
【0032】
店舗管理サーバー6は、主な機能構成として、購入時情報記憶部61および商品特徴量記憶部62を有している。購入時情報記憶部61は、商品購入時においてPOS端末1により生成された購入時情報を不揮発に記憶する。図2(a)は、購入時情報記憶部61の記憶内容を示す図である。同図に示すように、購入時情報としては、会計処理(精算処理)ごとに、「精算情報」、「撮像画像」、「顔特徴量」および「声紋」を関連付けたものを記憶する。「精算情報」とは、購入された1以上の商品に関する情報であり、トランザクションデーター(精算日時、精算処理番号、商品名、商品コード、商品価格、合計金額などの情報を含む)、顧客ID、POS端末1のIDおよびオペレーターIDを含む。このうち、顧客IDは、会員カードなどのロイヤリティカードの他、クレジットカード、電子マネーなどの利用結果から特定可能である。
【0033】
また、「撮像画像」としては、上記の全体撮像部31、顧客撮像部32および商品撮像部33によってそれぞれ撮像された全体撮像画像、顧客撮像画像および商品撮像画像を記憶する。なお、各撮像画像は、静止画であっても良いし、動画(精算処理の開始から終了までを記録した映像)であっても良い。また、「顔特徴量」は、顧客撮像部32の撮像結果から得られる情報であり、「声紋」は、音声取得部41によって取得した音声から得られる情報である。これら「顔特徴量」および「声紋」は、いずれも顧客を特定するための情報である。
【0034】
一方、商品特徴量記憶部62は、商品ごとの商品特徴量を不揮発に記憶する。ここでは、各商品について様々な角度から撮像し、その撮像結果から得られる商品特徴量を、予めデーターベース化しておくことを想定している。図2(b)は、商品特徴量記憶部62の記憶内容を示す図である。同図に示すように、「商品特徴量」は、「商品コード」に関連付けて記憶される。なお、「商品特徴量」とは、商品を特定するための情報であり、具体的には、商品の輪郭を示す形状データーや色特徴量を指す。その他、「商品特徴量」としては、商品の光学特徴量(反射率、コントラスト、輝度スペクトルの分布など)を記憶しても良い。
【0035】
続いて、POS端末1の機能構成について説明する。図1に示すように、POS端末1は、主な機能構成として、会計処理部11、画像処理部12、音声処理部13、返品処理検出部14、購入時情報生成部15、検索キー入力部16、購入時情報検索部17および検索結果出力部18を有している。
【0036】
会計処理部11は、POSアプリケーション(図示省略)を主要部とするものであり、精算処理や返品処理等の会計処理を実行する。また、それらの処理結果を、会計情報としてレシートプリンター5に出力する。
【0037】
画像処理部12は、監視カメラ3の撮像結果を取得して画像処理を行い、顧客の顔特徴量や商品特徴量を抽出する。具体的には、顧客撮像部32の撮像結果である撮像画像を解析して顔領域を検出し、当該顔領域の画像を正規化して顔特徴量を抽出する。また、商品撮像部33の撮像結果である撮像画像を解析して輪郭検出を行い、その輪郭を示す形状データーや商品の色特徴量を抽出する。また、音声処理部13は、音声取得部41によって取得された顧客の音声を分析して、声紋を抽出する。
【0038】
返品処理検出部14は、会計処理部11において、返品処理の取引が開始されたことを検出する。具体的には、返品時に操作される返品キー(POS端末1に設けられた操作キーの一つ,図示省略)の押下を検出する。また、購入時情報生成部15は、精算処理時において、上記の購入時情報を生成し、店舗管理サーバー6に出力する。
【0039】
検索キー入力部16は、顧客から返品申請があった場合、返品された商品の購入時情報を購入時情報記憶部61から検索するための検索キーを入力する。図3に示すように、検索キー入力部16によって入力可能な検索キーとしては、精算処理番号(レシート番号)、購入日時、商品名、商品コード、商品価格、顧客情報(顧客氏名ID、ロイヤリティカードのカード番号、クレジットカードのカード番号など)、レジ番号(POS端末1のID)、オペレーター情報(オペレーターIDなど)が挙げられる。なお、その他検索キーとしては、同図に示すように、商品撮像部33の撮像結果から得られる商品特徴量、顧客撮像部32の撮像結果から得られる顔特徴量、音声取得部41によって取得した音声から得られる声紋などがある。これらを検索キーとして用いた場合の返品処理については、図6にて後述する。
【0040】
購入時情報検索部17は、検索キー入力部16によって入力された検索キーと、返品処理時における商品撮像部33、顧客撮像部32および音声取得部41の情報取得結果から得られる検索キーと、の少なくとも一方を用いて、購入時情報記憶部61から、返品された商品に関する購入時情報を検索する。また、検索結果出力部18は、購入時情報検索部17の検索結果を、オペレーター用ディスプレイ19に出力する。
【0041】
図4は、オペレーター用ディスプレイ19に表示された購入時情報検索部17の検索結果(購入時情報)の一例を示す図である。同図に示すように、検索結果には、レジカウンター10周りを全体的に撮像した全体撮像画像の表示領域110と、購入された商品を中心に撮像された商品撮像画像の表示領域120と、商品購入者である顧客を中心に撮像された商品撮像画像の表示領域130と、精算情報の表示領域140と、が含まれる。なお、購入時情報検索部17の検索結果として複数の購入時情報が抽出された場合、その一覧表が表示され(図示省略)、その中から1の購入時情報を選択することにより、同図に示すような画面を表示させることができる。
【0042】
次に、図5のフローチャートを参照し、店舗監視システムSY1の購入処理について説明する。なお、同図および図6では、POS端末1を主体として説明する。POS端末1は、精算処理を実行すると(S11,会計処理部11)、監視カメラ3から顧客の撮像結果を取得すると共に、マイク4から顧客の音声を取得し(S12)、顧客の顔特徴量および顧客の声紋を抽出する(S13,画像処理部12および音声処理部13)。その後、抽出した顔特徴量および声紋を含む購入時情報を生成し(S14,購入時情報生成部15)、当該購入時情報を店舗管理サーバー6内の購入時情報記憶部61に記録する(S15)。
【0043】
次に、図6のフローチャートを参照し、店舗監視システムSY1の返品処理について説明する。ここでは、検索キー入力部16による検索キーの入力を必要としない場合(商品特徴量、顔特徴量および声紋を検索キーとして用いる場合)を示す。POS端末1は、会計処理部11による返品処理の開始を検出すると(S21,返品処理検出部14)、監視カメラ3から、返品された商品の撮像結果および顧客の撮像結果を取得すると共に、マイク4から顧客の音声を取得し(S22)、商品の商品特徴量、顧客の顔特徴量および顧客の声紋を抽出する(S23,画像処理部12および音声処理部13)。
【0044】
ここで、抽出した商品特徴量が一致する商品特徴量の商品を含む購入時情報が購入時情報記憶部61に存在するか否かを判別する(S24)。つまり、当該工程では、商品特徴量記憶部62を参照して、抽出した商品特徴量と一致する商品を特定し、当該商品を含む購入時情報を購入時情報記憶部61から検索することにより判別する。ここで、商品特徴量が一致する商品特徴量の商品を含む購入時情報が存在する場合は(S24:Yes)、続いて、抽出した顔特徴量が一致する顔特徴量を含む購入時情報が、S24:Yesの条件を満たす1以上の購入時情報内に存在するか否かを判別する(S25)。ここで、抽出した顔特徴量が一致する顔特徴量を含む購入時情報が存在する場合は(S25:Yes)、該当する購入時情報を抽出し(S26)、抽出した購入時情報をオペレーター用ディスプレイ19に表示させる(S27,検索結果出力部18)。
【0045】
また、抽出した顔特徴量が一致する顔特徴量を含む購入時情報が存在しない場合は(S25:No)、続いて、抽出した声紋が一致する声紋を含む購入時情報が、S24:Yesの条件を満たす1以上の購入時情報内に存在するか否かを判別する(S28)。ここで、抽出した声紋が一致する声紋を含む購入時情報が存在する場合は(S28:Yes)、該当する購入時情報を抽出して(S26)、オペレーター用ディスプレイ19に表示させる(S27)。一方、S24:NoおよびS28:Noの場合は、該当する購入時情報が存在しない旨を、オペレーター用ディスプレイ19に表示させる(S29,検索結果出力部18)。なお、上記工程のうち、S24ないしS26およびS28は、購入時情報検索部17により実行される工程である。
【0046】
このように、本実施形態の返品処理によれば、オペレーターがわざわざ検索キーを入力する手間を必要とすることなく、返品対象となる商品の購入時情報を検索して、オペレーター用ディスプレイ19に表示させることができる。また、検索キーを入力する必要がないため、返品された商品に商品タグが残っておらず、購入時のレシートも存在しないような場合でも、対応可能である。但し、S26において抽出された購入時情報が多数存在する場合は、オペレーターが、検索キー入力部16を用いて検索キーを入力することにより、購入時情報を絞り込むことも可能である。
【0047】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る店舗監視システムSY1によれば、顧客から商品の返品申請があった場合、返品対象となる商品の購入時情報を表示するため、オペレーターは、当該購入時情報に含まれる撮像画像から、購入時の状況を確認することができる。また、購入時情報には精算情報も含まれるため、当該精算情報に基づいて、迅速に返品処理を行うことができる。また、オペレーターは、例えば購入時情報を検索できなかった場合や購入者と返品申請者が異なる場合は、不正返品の可能性が高いと判断することができる。
【0048】
また、購入時情報の検索では、返品処理の開始検出をトリガーとして行うため、返品申請時おいて、オペレーターの特別な操作を必要としない。また、返品された商品を撮像した撮像結果から得られる商品特徴量、返品申請者の顔を撮像した撮像結果から得られる顔特徴量および返品申請者から取得した音声の解析結果から得られる声紋、を検索キーとして、購入時情報を検索することができるため、オペレーターが検索キーを入力する手間を軽減することができる。また、返品申請時に商品だけが持ち込まれた場合でも(例えば、顧客が購入時のレシートを紛失してしまった場合でも)、返品処理を円滑に行うことができる。
【0049】
なお、上記の実施形態において、検索結果出力部18は、オペレーター用ディスプレイ19に対して出力を行うものとしたが、プリンターへの出力、電子メールウィザードやWebアプリケーションへの出力を行っても良い。つまり、印刷媒体、電子メール、Web上で、検索結果を確認できるようにしても良い。
【0050】
また、上記の実施形態では、検索結果としてオペレーター用ディスプレイ19に精算情報を表示したが(表示領域140参照)、これを利用して、精算情報の一部を修正することにより返品操作を行えるようにしても良い。この構成によれば、取消処理後に新たな精算情報を入力するといった手間を必要としないため、迅速に返品処理を行うことができる。
【0051】
また、図6に示したフローチャートでは、商品特徴量が一致し、且つ顔特徴量または声紋が一致した場合に、該当する購入時情報を抽出したが、これらのand条件やor条件を入れ替えても良い。例えば、全てand条件に設定し、商品特徴量、顔特徴量および声紋が全て一致する購入時情報のみを抽出しても良い。また、使用する検索キーや条件(and条件またはor条件)を、POS端末1等の操作によって、ユーザーが設定可能としても良い。
【0052】
[第2実施形態]
次に、図7を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、POS端末1を主体とした店舗監視システムSY1を示したが、本実施形態は、レシートプリンター5を主体とする点で異なる。そこで、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0053】
図7は、第2実施形態に係る店舗監視システムSY2のブロック図である。本実施形態は、レシートプリンター5が店舗内LAN7に接続され、当該レシートプリンター5と、監視カメラ3、マイク4、ディスプレイ8およびキーボード9が、シリアル接続されている。
【0054】
ここで、ディスプレイ8は、第1実施形態のオペレーター用ディスプレイ19に相当し、検索結果表示部81を主な構成要素とする。また、キーボード9は、第1実施形態の検索キー入力部16に相当する検索キー入力部91を主な構成要素とする。また、本実施形態のレシートプリンター5は、第1実施形態の画像処理部12、音声処理部13、返品処理検出部14、購入時情報生成部15、購入時情報検索部17および検索結果出力部18にそれぞれ相当する画像処理部53、音声処理部54、返品処理検出部55、購入時情報生成部56、購入時情報検索部57および検索結果出力部58を有している。
【0055】
ここで、返品処理検出部55は、レシートへの印刷データーとして用いられる会計情報に基づいて、返品処理の開始を検出する。具体的には、POS端末1から出力された印刷データーをタップしてテキストデーターに変換し、意味解析を行ってPOS端末1の処理内容を判定する。なお、レシートプリンター5が、カスタマーディスプレイ(図示省略)と接続されている場合は、POS端末1から出力されたカスタマーディスプレイへの表示データーをタップして、返品処理の開始を検出しても良い。また、返品処理時に操作される返品キー(POS端末1に搭載された操作キー)の操作結果を取得することによって返品処理の開始を検出することも可能である。この場合、POS端末1にPOSキーボード用のフックドライバーをインストールすることにより、POSキーボードの操作結果(キーコード)を会計情報取得部51経由で返品処理検出部55へ送信し、返品処理検出部55により返品キーのキーコードを検出可能である。
【0056】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る店舗監視システムSY2によれば、レシートプリンター5を主幹とすることで、POS基幹ネットワーク(POS端末1を主幹としたネットワーク)のトラフィックに影響を与えることがない。また、既存のPOSシステムに本発明を適用する際、POS基幹ネットワーク自体の変更が不要となる。
【0057】
[第3実施形態]
次に、図8および図9を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、上記の第2実施形態に対し、レシートプリンター5を主体として構成した点は一致するが、返品専用カウンター200を設けた点が異なる。そこで、第2実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、上記の各実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、上記の各実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0058】
図8は、第3実施形態に係る店舗監視システムSY3のブロック図である。本実施形態において、各レジカウンター10に設けられるレシートプリンター5は、第2実施形態と比較して、返品処理検出部55、購入時情報検索部57および検索結果出力部58が省略されている。また、レシートプリンター5に、ディスプレイ8およびキーボード9が接続されていない点も異なる。
【0059】
図9は、返品専用カウンター200に含まれる構成要素のブロック図である。返品専用カウンター200は、POS端末201と、レシートプリンター505と、監視カメラ203と、マイク204と、ディスプレイ208と、キーボード209と、から成る。ここでレシートプリンター505は、第2実施形態のレシートプリンター5の、会計情報取得部51、画像処理部53、音声処理部54、返品処理検出部55、購入時情報検索部57、検索結果出力部58およびレシート印刷部52にそれぞれ相当する会計情報取得部251、画像処理部253、音声処理部254、返品処理検出部255、購入時情報検索部257、検索結果出力部258およびレシート印刷部252を有している。
【0060】
また、POS端末201は、第2実施形態の会計処理部11に相当する会計処理部211を有し、監視カメラ203は、第2実施形態の顧客撮像部32および商品撮像部33に相当する顧客撮像部232および商品撮像部233を有している。このように、返品専用カウンター200では、全体撮像部31が不要となる(購入時におけるレジカウンター10周りの全体的な状況を撮像する必要がないため)。また、マイク204は、第2実施形態の音声取得部41に相当する音声取得部241を有している。なお、監視カメラ203およびマイク204は、返品処理時において、顧客および商品を特定するために設けられたものである。また、ディスプレイ208は、第2実施形態の検索結果表示部81に相当する検索結果表示部281を有し、キーボード209は、第2実施形態の検索キー入力部91に相当する検索キー入力部291を有している。
【0061】
以上説明したとおり、第3実施形態に係る店舗監視システムSY3によれば、レシートプリンター5を主幹とすることで、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。また、返品専用カウンター200を設けたことで、各レジカウンター10の構成を簡素化することができるため、レジカウンター10が多数設けられた大型スーパーなどにおいては、システム導入の際のイニシャライズコストを軽減することができる。
【0062】
以上、第1実施形態〜第3実施形態を示したが、上記の各実施形態で実行可能な店舗監視システムSY1,SY2,SY3の処理工程をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、店舗監視システムSY1,SY2,SY3の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0063】
また、上記の各実施形態では、本発明の返品処理装置を、店舗内における顧客の不正防止のために用いたが、他の用途(顧客サービス)を目的としても良い。また、店舗管理サーバー6の各部を、POSシステムやWWWサーバーで実現しても良い。その他、上述した実施例によらず、店舗監視システムSY1,SY2,SY3のシステム構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…POS端末 2…ハンディスキャナー 3…監視カメラ 4…マイク 5…レシートプリンター 6…店舗管理サーバー 7…店舗内LAN 8…ディスプレイ 9…キーボード 10…レジカウンター 11…会計処理部 12…画像処理部 13…音声処理部 14…返品処理検出部 15…購入時情報生成部 16…検索キー入力部 17…購入時情報検索部 18…検索結果出力部 19…オペレーター用ディスプレイ 31…全体撮像部 32…顧客撮像部 33…商品撮像部 41…音声取得部 51…会計情報取得部 52…レシート印刷部 200…返品専用カウンター SY1,SY2,SY3…店舗監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客を含むレジカウンター周りの状況を撮像する撮像部と、
商品の購入時における前記撮像部の撮像結果である撮像画像と、前記商品の精算情報と、を関連付けた購入時情報を記憶する購入時情報記憶部と、
顧客から前記商品の返品申請があった場合、前記購入時情報記憶部から、返品対象となる対象商品の前記購入時情報を検索する購入時情報検索部と、
前記購入時情報検索部の検索結果を出力する検索結果出力部と、を備えたことを特徴とする返品処理装置。
【請求項2】
返品処理の取引が開始されたことを検出する返品処理検出部をさらに備え、
前記購入時情報検索部は、前記返品処理検出部の検出をトリガーとして、前記返品処理の対象となる対象商品の購入時情報を検索することを特徴とする請求項1に記載の返品処理装置。
【請求項3】
前記撮像部は、購入された商品を含めて撮像することを特徴とする請求項1または2に記載の返品処理装置。
【請求項4】
前記商品ごとに、その撮像結果から得られる商品特徴量を記憶する商品特徴量記憶部をさらに備え、
前記購入時情報検索部は、返品された商品の撮像結果と、前記商品特徴量記憶部との照合によって、前記対象商品を特定し、特定した当該対象商品に該当する前記購入時情報を、前記購入時情報記憶部から検索することを特徴とする請求項3に記載の返品処理装置。
【請求項5】
前記購入時情報記憶部は、前記撮像部の撮像結果から得られる前記顧客の顔特徴量を、前記撮像画像および前記精算情報と関連付けて記憶し、
前記購入時情報検索部は、返品申請者の撮像結果から得られる顔特徴量と一致する顔特徴量が関連付けられた前記購入時情報を、前記購入時情報記憶部から検索することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の返品処理装置。
【請求項6】
顧客の音声を取得する音声取得部をさらに備え、
前記購入時情報記憶部は、前記音声取得部により取得した音声の解析結果から得られる前記顧客の声紋を、前記撮像画像および前記精算情報と関連付けて記憶し、
前記購入時情報検索部は、返品申請者の音声から得られる声紋と一致する声紋が関連付けられた前記購入時情報を、前記購入時情報記憶部から検索することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の返品処理装置。
【請求項7】
前記購入時情報検索部は、精算処理番号、購入日時、商品名、商品コード、商品価格、顧客情報、レジ番号、オペレーター情報のうち、少なくとも1の情報を検索キーとして、前記購入時情報を検索することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の返品処理装置。
【請求項8】
商品の購入時において顧客を含むレジカウンター周りを撮像した撮像画像と、前記商品の精算情報と、を関連付けた購入時情報を記憶する購入時情報記憶部を備えた返品処理装置の制御方法であって、
前記返品処理装置が、
顧客から前記商品の返品申請があった場合、前記購入時情報記憶部から、返品対象となる対象商品の前記購入時情報を検索する購入時情報検索ステップと、
前記購入時情報検索ステップによる検索結果を出力する検索結果出力ステップと、を実行することを特徴とする返品処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記返品処理装置が、
返品処理の取引が開始されたことを検出する返品処理検出ステップをさらに実行し、
前記購入時情報検索ステップでは、前記返品処理検出ステップによる検出をトリガーとして、前記返品処理の対象となる対象商品の購入時情報を検索することを特徴とする請求項8に記載の返品処理装置の制御方法。
【請求項10】
コンピューターに、請求項8または9に記載の返品処理装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−141586(P2011−141586A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−374(P2010−374)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】