説明

追加機能性を有する可動トラックパッド

入力デバイスが開示される。入力デバイスは、トラッキング制御信号を生成するように近接するオブジェクトを検出できる可動タッチセンシティブトラックパッドを含む。入力デバイスは、1つ以上の他の制御信号(例えば、ボタン信号)を生成するように可動トラックパッドの動きを検出できる動き指示器を更に含む。制御信号は、入力デバイスに動作可能に結合された電子デバイスにおいて動作を実行するために使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にトラックパッドに関する。本発明は、特にトラックパッドの機能性を向上するために相対的な動きが可能なトラックパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、消費者電子デバイスにおいて動作を実行するために多くの形態の入力デバイスが存在する。一般に動作は、表示画面上でカーソルを移動し且つ選択を行うことに対応する。例として、入力デバイスは、ボタン、スイッチ、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、ジョイスティック及びタッチスクリーン等を含んでもよい。これらのデバイスの各々は、消費者電子デバイスを設計する時に考慮される利点及び欠点を有する。ハンドヘルドコンピューティングデバイスにおいて、一般に入力デバイスはボタン及びスイッチから選択される。一般にボタン及びスイッチは本質的に機械的であり、カーソル(又は他のセレクタ)の動き及び選択を行うことに関する制御が制限される。例えば、それらは一般に特定の方向へのカーソルの移動のみを行ったり(例えば、矢印キー)、あるいは特定の選択のみを行ったりする(例えば、実行、削除、数字等)。ハンドヘルドパーソナルデジタルアシスタント(PDA)の場合、入力デバイスはタッチセンシティブ表示画面を利用する傾向にある。タッチスクリーンを使用する場合、ユーザはスタイラス又は指を使用して画面上のオブジェクトを直接指し示すことにより表示画面上で選択を行う。
【0003】
ラップトップコンピュータ等のポータブルコンピューティングデバイスにおいて、入力デバイスは通常はトラックパッド(タッチパッドとしても知られている)である。トラックパッドの場合、入力ポインタ(すなわち、カーソル)の動きは、ユーザの指(又はスタイラス)がトラックパッドの表面に沿って移動した時のその指の相対的な動きに対応する。トラックパッドは、1つ以上のタップがトラックパッドの表面上で検出された時に表示画面上で選択を行える。トラックパッドのいずれかの部分がタップされてもよい場合があり、またトラックパッドの専用部分がタップされてもよい場合もある。デスクトップコンピュータ等の固定デバイスにおいて、一般に入力デバイスはマウス及びトラックボールから選択される。マウスの場合、入力ポインタの動きは、ユーザがマウスを表面に沿って移動させた時のマウスの相対的な動きに対応する。トラックボールの場合、入力ポインタの動きは、ユーザが筐体内でボールを回転させた時のボールの相対的な動きに対応する。一般に、マウス及びトラックボールの双方ともが表示画面上で選択を行うための1つ以上のボタンを含む。
【0004】
入力デバイスは、表示画面に提示されたグラフィカルユーザインタフェース、すなわちGUIに対する入力ポインタの移動及び選択を可能にすることに加え、ユーザが水平方向又は垂直方向に表示画面をスクロールすることを可能にしてもよい。例えばマウスは、ユーザがスクロール動作を行うためにスクロールホイールを前後に単純に転がすことを可能にするスクロールホイールを含んでもよい。更に、トラックパッドは、ユーザが専用アクティブ領域にわたりx方向及びy方向に直線的に指を通過させた時にスクロールを実現するような専用アクティブ領域を提供してもよい。双方のデバイスとも、GUIの一部である水平及び垂直スクロールバーを介してスクロールを実現してもよい。この技術を使用して、スクロールは、入力ポインタを所望のスクロールバーの上に位置付け、所望のスクロールバーを選択し、垂直方向のスクロールに対してはy方向(上下)に又は水平方向のスクロールに対してはx方向(左右)にマウス又は指を移動させてスクロールバーを動かすことにより実現される。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、一般に自身に近接しているオブジェクトを検出できるトラックパッドに関する。本発明は、特にトラックパッドの機能性を向上するために移動可能なトラックパッドに関する。例えばトラックパッドは、追加のボタン機能性を提供するように押下可能であってもよい。
【0006】
本発明は、一実施形態において、トラックパッド及びトラック表面を有する入力デバイスに関する。可撓ヒンジは、トラックパッドの一端に動作可能に接続され、力がトラック表面の実質的に任意の部分に加えられた時にニュートラル位置から作動位置(activate position)へのトラックパッドの変位を可能にし且つそれと同時に作動位置からニュートラル位置にトラックパッドを戻すように構成される。トラックパッドは、トラックパッドが作動位置にある時に第1の制御信号を生成し、オブジェクトがトラック表面に対して移動された時に第2の制御信号を生成する。
【0007】
本発明は、別の実施形態において、データを受信、処理及び出力できるコンピューティングデバイス及びコンピューティングデバイスにおいて動作を実行するためにコンピューティングデバイスにデータを送出するように構成された入力デバイスを有するコンピューティングシステムに関する。入力デバイスは、可撓ヒンジによりコンピューティングデバイスに結合され且つトラッキング信号を生成するように構成された押下可能なタッチセンシティブトラックパッドと、トラックパッドが押下された時にボタン信号を生成するように構成された動き指示器とを有する。
【0008】
本発明は、別の実施形態において、エッチングされたガラストラック表面を含む静電容量性タッチセンシティブトラックパッドを有する入力デバイスに関する。可撓ヒンジは、トラックパッドの一端に動作可能に接続され、力がトラック表面の実質的に任意の部分に加えられた時にニュートラル位置から作動位置へのトラックパッドの変位を可能にし且つそれと同時にトラックパッドを作動位置からニュートラル位置に戻すように構成される。トラックパッドは、トラックパッドが作動位置にある時にボタン信号を生成し、オブジェクトがトラック表面に対して移動された時にトラッキング信号を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、例として添付の図面に示されるがそれらに限定されない。図中、同様の参照符号は類似する要素を示す。
【図1】図1は、タッチパッド及びディスプレイを示す概略図である。
【図2】図2は、本発明は一実施形態に従う入力デバイスを示す透視図である。
【図3A】、
【図3B】、
【図3C】、
【図3D】図3A、図3B、図3C及び図3Dは、本発明の一実施形態に従う、ボタンタッチパッドを有する入力デバイスを概略的に示す側面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従う、コンピューティングデバイスに接続された入力デバイスを概略的に示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従う入力デバイスを示す側断面図である。
【図6】図6は、図5の入力デバイスを示す別の側断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に従う、ラップトップコンピュータにおいてトラックパッドとして使用されている入力デバイスを示す透視図である。
【図8】図8は、図7の入力デバイスを示す分解図である。
【図9】図9は、補強材を示す側断面図である。
【図10】図10は、図7の入力デバイスの一部を示す底面図である。
【図11】図11は、図7の入力デバイスの一部を示す側断面図である。
【図12】図12は、図7の入力デバイスの一部を示す側断面図である。
【図13】図13は、図7の入力デバイスの一部を示す側断面図である。
【図14】図14は、図7の入力デバイスの一部を示す側断面図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態に従うメディアプレーヤを示す透視図である。
【図16】図16は、本発明の一実施形態に従う移動電話を示す透視図である。
【図17】図17は、本発明の一実施形態に従う周辺入力デバイスが接続されたデスクトップコンピュータを示す透視図である。
【図18】図18は、本発明の一実施形態に従う入力デバイスを利用するリモコンを示す透視図である。
【図19】図19は、本発明の一実施形態に従うリモコンを示す概略ブロック図である。
【図20A】、
【図20B】、
【図20C】、
【図20D】、
【図20E】、
【図20F】図20A,図20B、図20C、図20D、図20E及び図20Fは、本発明の一実施形態に従う、区分けされたゾーンを有するトラックパッドを示す上面図である。
【図21】図21は、本発明の一実施形態に従う、フルピクセルディスプレイを有するトラックパッドを示す上面図である。
【図22】図22は、本発明の一実施形態に従う電子インクを示す側断面図である。
【図23】図23は、本発明の一実施形態に従う一片のガラスを示す側面図である。
【図24A】図24Aは、本発明の一実施形態に従う、エッチングされた一片のガラスを示す側面図である。
【図24b】図24bは、図24Aに示した一片のガラスを示す拡大上面図である。
【図25】図25は、本発明の一実施形態に従う、エッチングされたガラスを示す側面図である。
【図26】図26は、図25に示した一片のガラスの表面を示す上面図である。
【図27】図27は、図25及び図26に示したガラス表面のピーク対ピーク比を示すグラフである。
【図28】図28は、本発明の一実施形態に従う入力デバイスの一部を示す側断面図である。
【図29】図29は、本発明の一実施形態に従う入力デバイスの一部を示す側断面図である。
【図30】図30は、本発明の一実施形態に従う入力デバイスの一部を示す側断面図である。
【図31】図31は、本発明の一実施形態に従う入力デバイスの一部を示す側断面図である。
【図32】図32は、本発明の一実施形態に従う入力デバイスを示す側面図である。
【図33】図33は、図32の入力デバイスを示す底面図である。
【図34A】図34Aは、本発明の一実施形態に従う入力デバイスを示す側断面図である。
【図34B】図34Bは、本発明の一実施形態に従う入力デバイスを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に添付の図面に示すようないくつかの実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。本発明を完全に理解できるように、以下の説明において多くの特定の詳細を示す。しかし、それらの特定の詳細の一部又は全てを含まずに本発明が実施されてもよいことが当業者には明らかだろう。他の例において、本発明を不必要に曖昧にしないために、良く知られている処理ステップについては詳細に説明されていない。
【0011】
トラックパッド、マウス及びトラックボールに関して、指、マウス及びボールが移動された時にそれらの位置を監視するためにデカルト座標系が使用される。デカルト座標系は、一般に2次元座標系(x,y)として定義され、点(例えば、指、マウス又はボールの位置)の座標は、2つの交差する、多くの場合には垂直な、直線からの点の距離であり、各垂直直線からの距離は互いに平行な線に沿って測定される。例えば、マウス、ボール及び指のx,y位置が監視されてもよい。x,y位置は、表示画面上の入力ポインタを対応して配置し且つ移動するために使用される。
【0012】
一般にトラックパッドは、指の近接部分を検出する1つ以上のセンサを含む。例として、センサは、抵抗感知、弾性表面波感知、圧力感知、光感知及び静電容量感知等に基づいてもよい。一般にセンサはトラックパッド中に分散され、各センサはx,y位置を表す。殆どの場合、センサは列及び行の格子状に配置される。表示画面上におけるポインタデバイスのx,yの動きを制御する別個のx位置信号及びy位置信号は、指がトラックパッド内のセンサの格子を移動すると生成される。簡潔にするために、残りの説明では静電容量感知技術について説明する。しかし、他の技術も同様の特徴を有する。
【0013】
静電容量感知面は、一般にいくつかの材料層を含む。例えば静電容量感知面は、保護/化粧シールド(一般に誘電体材料)、1つ以上の電極層及び回路基板を含んでもよい。一般に保護シールドは電極層を被覆し、一般に電極層は回路基板の前面に配設される。電極層及び回路基板は、例えばプリント基板(PCB)であってもよい。保護シールドは、表示画面上でのカーソルの移動を実現するためにユーザによりタッチされる静電容量感知面の一部である。一方、電極層は、ユーザの指が保護シールド上で静止しているか又は動いている時にユーザの指のx,y位置を判断するために使用される。一般に電極層は、格子アレイを形成するように列及び行に位置付けられる複数の電極から成る。一般に列及び行は、デカルト座標系に基づき、行及び列はx方向及びy方向に対応する。
【0014】
静電容量感知面は、電極と関連付けられた信号を検出するための感知電子機器を更に含んでもよい。例えば感知電子機器は、指が格子上を通過した時の各電極における静電容量の変化を検出するように構成されてもよい。一般に感知電子機器は回路基板の裏面に配置される。例として、感知電子機器は、各電極における静電容量を測定し且つ各電極における静電容量に基づいて指の移動位置を計算するように構成される特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。ASICは、この情報をコンピューティングデバイスに報告するように更に構成されてもよい。
【0015】
図1を参照して、タッチセンシティブトラックパッド10について更に詳細に説明する。一般にトラックパッドは、保護/化粧シールド12及び保護シールド12の下に配設された複数の電極14を含む小さな領域(多くの場合は矩形領域)である。電極14は、例えばプリント基板(PCB)である回路基板上に配置されてもよい。説明を簡単にするために、保護シールド12の一部は電極14を示すために除去されている。各電極14は、異なるx,y位置を表す。1つの構成において、指16(又は不図示のスタイラス)が電極格子14に近づくと、僅かな静電容量が指16と指16に近接する電極14との間に発生する。回路基板/感知電子機器(不図示)は静電容量を測定し、アクティブ電極14に対応するx,y入力信号18を生成する。その信号は、表示画面22を有するホストデバイス20(例えば、コンピューティングデバイス)に送出される。x,y入力信号18は、表示画面22上のカーソル24の移動を制御するために使用される。図示するように、入力ポインタは、検出されたx,yの指の動きと同様のx,y方向に移動する。図2は、本発明の一実施形態に従う入力デバイス30を概略的に示す透視図である。一般に入力デバイス30は、表示画面上で動作を行う(例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介して)ために電子デバイス(不図示)に対して情報又はデータを送出するように構成される。例えば、入力ポインタを移動したり、選択を行ったり、命令を提供したりする。入力デバイスは、有線接続(例えば、ケーブル/コネクタ)又は無線接続(例えば、IR、Bluetooth等)を介して電子デバイスと対話してもよい。
【0016】
入力デバイス30は、独立型ユニットであってもよく、あるいは電子デバイスに組み込まれてもよい。独立型ユニットの場合、一般に入力デバイスは自身のケースを有する。電子デバイスに組み込まれる場合、一般に入力デバイスは、電子デバイスのケースを使用する。いずれの場合においても、入力デバイスは例えばネジ、スナップ、固定器具及び接着剤等によりケースに構造的に結合されてもよい。場合によっては、入力デバイスは、例えばドッキングステーションを介して電子デバイスに取り外し可能に結合されてもよい。入力デバイスが結合される電子デバイスは、どのような消費者関連電子製品に対応してもよい。例として、電子デバイスは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ又はPDA、音楽プレーヤ等のメディアプレーヤ、携帯電話等の通信デバイス及びキーボード等の別の入力デバイス等のコンピュータに対応してもよい。
【0017】
図2に示すように、入力デバイス30は、フレーム32(又は支持構造)及びトラックパッド34を含む。フレーム32は、入力デバイスの構成要素を支持する構造を提供する。筐体の形態のフレーム32は、入力デバイスの構成要素を囲むか又は含んでもよい。トラックパッド34を含む構成要素は、入力デバイス30を動作させる電子構成要素、光学構成要素及び/又は機械構成要素に対応してもよい。
【0018】
トラックパッド34は、取り付けられる電子デバイスと関連付けられた種々のアプリケーションを制御する1つ以上の制御機能を提供するように構成された直観的なインタフェースを提供する。例として、タッチにより開始される制御機能は、表示画面上でオブジェクトを移動するか又は動作を行うために、あるいは選択を行うか又は電子デバイスを動作させることに関連するコマンドを発行するために使用されてもよい。タッチにより開始される制御機能を実現するために、トラックパッド34は、トラックパッド34の表面上を移動する(例えば、直線的に、放射状に、角度的に等)指(又はオブジェクト)からの入力、トラックパッド34の特定の位置に置かれた指からの入力及び/又はトラックパッド34の特定の位置をタップする指による入力を受信するように構成されてもよい。理解されるべきであるように、タッチパッド34は、容易な片手操作を提供する。すなわち、ユーザが1つ以上の指を使用して電子デバイスと対話できるようにする。
【0019】
トラックパッド34は多様に変更されてもよい。例えばタッチパッド34は、デカルト座標系に基づく従来のトラックパッドであってもよく、あるいは極座標系に基づくタッチパッドであってもよい。極座標に基づくタッチパッドの一例は、2002年7月1日に出願されたZadesky他による米国特許第7,046,230号公報の「TOUCH PAD FOR HANDHELD DEVICE」に示され、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
トラックパッド34は、相対モード又は絶対モードで使用されてもよい。絶対モードにおいて、トラックパッド34は、タッチされている場所の絶対座標を報告する。例えばデカルト座標系の場合はx,yであり、あるいは極座標系の場合は(r,θ)である。相対モードにおいて、トラックパッド34は、変化の方向及び/又は距離を報告する。例えば、左右及び上下等である。殆どの場合、トラックパッド34により生成された信号は、指がトラックパッド34の表面を移動した時の指の方向と同様の方向の表示画面上での動きを指示する。
【0021】
トラックパッド34の形状は多様に変更されてもよい。例えばトラックパッド34は、円形、楕円形、正方形、矩形及び三角形等であってもよい。一般にトラックパッド34の外周部はトラックパッド34の動作境界を規定する。図示した実施形態において、トラックパッドは矩形である。矩形のトラックパッドは、ラップトップコンピュータにおいて一般的である。
【0022】
一般に剛性平面プラットフォームの形態をとるトラックパッド34は、トラックパッドの操作ために指(又はオブジェクト)を受け付けるタッチ可能な外側トラック表面36を含む。図2には示さないが、タッチ可能な外側トラック表面36の下には、指の圧力及び/又は動き等を感知できるセンサ構成がある。一般にセンサ構成は、指がその上に存在するか、タップするか又は通過すると動作されるように構成された複数のセンサを含む。最も単純な例において、指がセンサ上に位置付けられる度に電気信号が生成される。所定の時間フレームにおける信号の数は、トラックパッド34における指の場所、方向、速度及び加速度を示してもよい。すなわち信号が多い程、ユーザがより多く指を動かしている。殆どの場合、信号は、信号の数、組合せ及び周波数を場所、方向、速度及び加速度情報に変換する電子インタフェースにより監視される。次にこの情報は、表示画面で所望の制御機能を実行するために電子デバイスにより使用されてもよい。センサ構成は多様に変更されてもよい。例として、センサは、抵抗感知、弾性表面波感知、圧力感知(例えば、歪みゲージ)、赤外線感知、光感知、分散信号技術、音響パルス認識及び静電容量感知等に基づいてもよい。
【0023】
図示した実施形態において、トラックパッド34は静電容量感知に基づく。静電容量性トラックパッドは、ユーザがトラックパッドで指等のオブジェクトを移動させた時の静電容量の変化を検出するように構成される。殆どの場合、静電容量性トラックパッドは、保護シールド、1つ以上の電極層、回路基板、並びに特定用途向け集積回路(ASIC)を含む関連する電子機器を含む。保護シールドは電極上に配置され、電極は回路基板の上面に実装され、ASICは回路基板の底面に実装される。保護シールドは、下層を保護し、指をスライドさせることを可能にする表面を提供する。一般に表面は、指が移動された時に動かなくならないように平滑である。更に保護シールドは、指と電極層との間の絶縁層を提供する。電極層は、離間された複数の電極を含む。適切な任意の数の電極が使用されてもよい。殆どの場合、高解像度を提供するために電極の数を増加するのが望ましい。すなわち、加速度等に対してより多くの情報を使用できる。
【0024】
静電容量感知は、静電容量の原理に従って作用する。理解されるべきであるように、2つの導電性部材が実際に接触することなく互いに接近する場合は必ず、それらの電界は相互作用して静電容量を発生する。上述の構成では、第1の導電性部材は1つ以上の電極であり、第2の導電性部材は例えばユーザの指である。従って、指がタッチパッドに近付くと、指と指に近接した電極との間に僅かな静電容量が発生する。各電極における静電容量は、回路基板の底部(又は裏側)に配置されたASICにより測定される。各電極における静電容量の変化を検出することにより、ASICは、指がタッチパッドを移動する時の指の場所、方向、速度及び加速度を判定できる。更にASICは、電子デバイスが使用できる形式でこの情報を報告できる。
【0025】
一実施形態によると、トラックパッド34は、別の信号の集合(単なるトラッキング信号以外の)を開始するようにフレーム32に対して移動可能である。例として、剛性平面プラットフォームの形態のトラックパッド34は、フレーム32に対して回転、回動、スライド、並進及び/又は屈曲してもよい。トラックパッド34は、フレーム32に結合されてもよく且つ/又はフレーム32により移動可能に固定されてもよい。例として、トラックパッド34は、ネジ、アクセル、ピンジョイント、スライダジョイント、ボール及びソケットジョイント、可撓ジョイント、磁石及び/又はクッション等を介してフレーム32に結合されてもよい。更にトラックパッド34は、フレームの空間内で浮動してもよい(例えば、ジンバル)。尚、入力デバイス30は、動きの範囲を拡大するため(例えば、自由度を向上するため)に、回動/並進ジョイント、回動/可撓ジョイント、回動/ボール及びソケットジョイント、並びに並進/可撓ジョイント等のジョイントの組合せを更に含んでもよい。タッチパッド34は、移動時に1つ以上の信号を生成する回路を動作するように構成される。一般に回路は、スイッチ、センサ及びエンコーダ等の1つ以上の動き指示器を含む。ジンバル付きトラックパッドの一例は、2003年8月18日に出願された米国特許出願第10/643,256号の「MOVABLE TOUCH PAD WITH ADDED FUNCTIONALITY」において示され、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
図示した実施形態において、トラックパッド34は、「ピッキング」動作を行う押下可能なボタンの形態をとる。すなわち、トラックパッド34全体の一部分は、1つ以上の追加のボタン機能が、トラックパッド上をタップするのではなく又は別個のボタン/別個のゾーンを使用するのではなく、トラックパッド34を押下することにより実現されてもよいように単一又は複数のボタンのように動作する。図3A及び図3Bに示すように、本発明の一実施形態によると、トラックパッド34は、指38、手のひら、手又は他のオブジェクトからの力がトラックパッド34に加えられた時に、直立(又はニュートラル)位置(図3A)と押下(又は作動)位置(図3B)との間で移動できる。力は、ボタン信号を誤って作動させてしまうほど小さくすべきではなく、過度の圧力を必要とすることでユーザに不快感を与えるほど大きくすべきではない。通常、トラックパッド34は、例えば可撓ヒンジ、バネ部材又は磁石を介して直立の位置で付勢される。トラックパッド34は、オブジェクトがトラックパッド34を押下することにより付勢に反して作動位置に移動する。図3Cに示すように、トラックパッド34は、作動位置がニュートラル位置に対して僅かに傾斜されるように一端で回動されてもよい。指(又は他のオブジェクト)がトラックパッド34から除去されると、付勢部材はトラックパッド34をニュートラル位置に戻す。シム、衝撃吸収材、アップストップ(upstop)又は他の構造(不図示)は、トラックパッド34が戻る時にニュートラル位置を通過してしまうことを防止してもよい。例えばフレーム32の一部は、ニュートラル位置でトラックパッド34を停止するように、トラックパッド34の一部の上に外側に延在してもよい。このように、トラック表面は必要に応じてフレーム32と同一平面上に維持される。例えばラップトップコンピュータ又はハンドヘルドメディアデバイスにおいて、トラックパッドをコンピュータ又はデバイスの筐体と同一平面にすることが望ましいだろう。
【0027】
図3Aに示すように、直立/ニュートラル位置において、トラックパッド34は、ユーザの指等のオブジェクトがx,y平面においてタッチパッドの上面を移動した時にトラッキング信号を生成する。図3Aは直立としてニュートラル位置を示すが、ニュートラル位置はあらゆる向きに位置付けられてもよい。図3Bに示すように、押下位置(z方向)では、トラックパッド34は1つ以上のボタン信号を生成する。ボタン信号は種々の機能性に対して使用されてもよく、種々の機能性は選択を行うこと又は電子デバイスを動作させることに関連するコマンドを発行することを含むがこれらに限定されない。例として、音楽プレーヤの場合、ボタン機能は、メニューのオープン、曲の再生、曲の早送り及びメニューの探索等に関連付けられてもよい。ラップトップコンピュータの場合、ボタン機能は、メニューのオープン、テキストの選択及びアイコンの選択等に関連付けられる。図3Dに示すように、入力デバイス30は、トラッキング信号及びボタン信号の双方を同時に提供するように、すなわちトラック表面に沿って接線方向に(すなわち、x、y方向に)移動しつつタッチパッド34をz方向に同時に押下できるように構成されてもよい。他の例において、入力デバイス30は、タッチパッド34が押下された時にボタン信号のみを提供し、タッチパッド34が直立である時にトラッキング信号のみを提供するように構成されてもよい。
【0028】
詳細に説明すると、トラックパッド34は、1つ以上の動き指示器を作動させるように構成され、動き指示器は、トラックパッド34が作動位置に移動された時にボタン信号を発生できる。一般に動き指示器は、フレーム32内に配置され、トラックパッド34及び/又はフレーム32に結合されてもよい。動き指示器は、スイッチ及びセンサのどんな組合せであってもよい。一般にスイッチは、作動(オン)又は停止(オフ)等のパルス又はバイナリデータを提供するように構成される。例として、トラックパッド34の下側部分は、ユーザがトラックパッド34を押下した時にスイッチに接触又は係合する(及び従って作動する)ように構成されてもよい。一方、一般にセンサは、連続的なデータ又はアナログデータを提供するように構成される。例として、センサは、ユーザがトラックパッド34を押下した時にフレームに対するタッチパッド34の位置又は傾斜の量を測定するように構成されてもよい。いずれの好適な機械、電気及び/又は光学スイッチ又はセンサが使用されてもよい。例えば、タクトスイッチ、力感知抵抗器、圧力センサ及び近接センサ等が使用されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、図1〜図3に示すトラックパッド10及び30はマルチタッチトラックパッドであってもよい。マルチタッチは、タッチ表面(画面、テーブル、壁等)又はタッチパッド、並びに1つのタッチポイントのみを認識する標準的なタッチスクリーン(例えば、コンピュータタッチパッド、ATM)とは対照的な複数の同時タッチポイントを認識するソフトウェアからなる。この効果は種々の手段により達成される。手段には、静電容量感知、抵抗感知、弾性表面波感知、熱、指圧力、高キャプチャレートカメラ、赤外光、光学式キャプチャ、同調電磁誘導及びシャドーキャプチャを含むがこれらに限定されない。マルチタッチ移動電話の一例は、Cupertino,CAのApple Inc.により製造されたiPhoneである。マルチタッチメディアデバイスの一例は、Apple Inc.により製造されたiPod Touchである。マルチタッチトラックパッドを有するラップトップコンピュータの例は、Apple Inc.により製造されたMacBook Air及びMacBook Proである。本明細書で説明する全ての入力デバイスは、いくつかの実施形態ではマルチタッチ技術を採用してもよく、あるいは本明細書で説明する入力デバイスは、シングルタッチトラックパッドを採用してもよい。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態に係るコンピューティングシステム39を示す概略ブロック図である。一般にコンピューティングシステムは、コンピューティングデバイス42に動作可能に接続された入力デバイス40を含む。例として、一般に入力デバイス40は、図2及び図3に示された入力デバイス30に対応してもよく、コンピューティングデバイス42は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、PDA、メディアプレーヤ、移動電話、スマートフォン又はビデオゲーム等に対応してもよい。図示するように、入力デバイス40は、押下可能なトラックパッド44及び1つ以上の動き指示器46を含む。トラックパッド44は、トラッキング信号を生成するように構成され、動き指示器46は、トラックパッド44が押下された時にボタン信号を生成するように構成される。トラックパッド44は多様に変更されてもよいが、本実施形態では、トラックパッド44は、静電容量センサ48と、センサ48からの位置信号を取得し且つその信号をコンピューティングデバイス42に供給するための制御システム50とを含む。制御システム50は、センサ48からの信号を監視し、監視された信号の場所(デカルト又は角度)、方向、速度及び加速度を計算し、且つその情報をコンピューティングデバイス42のプロセッサに報告するように構成される特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。動き指示器46も多様に変更されてもよい。しかし、本実施形態において、動き指示器46は、トラックパッド44が押下された時にボタン信号を生成するスイッチの形態をとる。スイッチ46は、機械式、電気式又は光学式スイッチに対応してもよい。特定の一実現例において、スイッチ46は、突出アクチュエータ52を含む機械式スイッチであり、突出アクチュエータ52は、ボタン信号を生成するためにトラックパッド44により押下されてもよい。例として、スイッチはタクトスイッチ又はタクタイルドームであってもよい。
【0031】
トラックパッド44及びスイッチ46の双方は、通信インタフェース54を介してコンピューティングデバイス42に動作可能に結合される。通信インタフェースは、入力デバイスと電子デバイスとの間の直接接続又は間接接続のための接続ポイントを提供する。通信インタフェース54は、有線(電線、ケーブル、コネクタ)でも無線(例えば、送信機/受信機)でもよい。
【0032】
一般にコンピューティングデバイス42は、命令を実行し且つコンピューティングデバイス42と関連付けられた動作を実行するように構成されたプロセッサ55(例えば、CPU又はマイクロプロセッサ)を含む。例えばプロセッサは、メモリから検索された命令を使用してコンピューティングデバイス42の構成要素間の入力及び出力データの受信及び操作を制御してもよい。殆どの場合、プロセッサ55は、オペレーティングシステム又は他のソフトウェアの制御下で命令を実行する。プロセッサ55は、シングルチッププロセッサであってもよく、あるいは複数の構成要素により実現されてもよい。
【0033】
コンピューティングデバイス42は、プロセッサ54に動作可能に結合された入出力(I/O)コントローラ56を更に含む。I/Oコントローラ56は、プロセッサ54と統合されてもよく、あるいは図示するように別個の構成要素であってもよい。一般にI/Oコントローラ56は、例えば入力デバイス40であるコンピューティングデバイス42に結合される1つ以上のI/Oデバイスとの対話を制御するように構成される。一般にI/Oコントローラ56は、コンピューティングデバイス42との通信を要求するI/Oデバイスとコンピューティングデバイス42との間でデータをやり取りすることにより動作する。
【0034】
コンピューティングデバイス42は、プロセッサ54に動作可能に結合されるディスプレイコントローラ58を更に含む。ディスプレイコントローラ58は、プロセッサ54と統合されてもよく、あるいは図示するように別個の構成要素であってもよい。ディスプレイコントローラ58は、表示画面60でテキスト及びグラフィックスを生成するための表示コマンドを処理するように構成される。例として、表示画面60は、白黒ディスプレイ、カラーグラフィックスアダプタ(CGA)ディスプレイ、拡張グラフィックスアダプタ(EGA)ディスプレイ、可変グラフィックスアレイ(VGA)ディスプレイ、スーパーVGAディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)(例えば、アクティブマトリクス及びパッシブマトリクス等)、ブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイ又はバックライト発光ダイオード(LED)LCDディスプレイ等であってもよい。
【0035】
一実施形態(不図示)において、トラックパッド44は、タッチセンシティブ表面としてだけでなく表示画面としても機能するガラス表面を含むことができる。この場合、図4に示した表示画面60は、トラックパッド40のガラス表面と一体化される。これは、タッチセンシティブディスプレイを有するコンピューティングデバイス(例えば、メディアプレーヤ又は移動電話)において有用である。タッチセンシティブディスプレイを有するメディアプレーヤの一例は、Cupertino CAのApple Inc.により製造されたiPod Touchである。タッチセンシティブディスプレイを有する移動電話の一例は、Cupertino CAのApple Inc.により製造されたiPhoneである。
【0036】
殆どの場合、プロセッサ54は、コンピュータコードを実行し且つデータを生成及び使用するようにオペレーティングシステムと共に動作する。コンピュータコード及びデータは、プロセッサ54に動作可能に結合されたプログラム記憶領域62内に常駐してもよい。プログラム記憶領域62は一般に、コンピューティングデバイス42によって使用されているデータを保持する場所を提供する。例として、プログラム記憶領域は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はハードディスクドライブ等を含んでもよい。更にコンピュータコード及びデータは、取り外し可能プログラム媒体に常駐でき、必要に応じてコンピューティングデバイスにロード又はインストールされる。一実施形態において、プログラム記憶領域62は、入力デバイス40により生成されたトラッキング信号及びボタン信号がコンピューティングデバイス42により使用される方法を制御するための情報を格納するように構成される。
【0037】
図5は、全体が70で示されるフレーム76に接続されたトラックパッド72を含む入力デバイスの一実施形態を示す。フレーム76は、独立型入力デバイスのための筐体であってもよく、あるいはトラックパッド72を組み込む別のデバイス、例えばラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ハンドヘルドメディアデバイス、PDA、移動電話、スマートフォン等のためのケーシングであってもよい。トラックパッド72は、指の移動を追跡するための外側タッチセンシティブトラック表面74を含む種々の層を含む。更にトラック表面74は、低摩擦化粧表面を提供してもよい。一実施形態において、トラックパッド72は静電容量感知に基づく。従って、トラックパッド72は例えばPCB上に実現されてもよい電極層80を含む。静電容量感知の場合、トラック表面74は誘電体材料である。補強材84は電極層80の下に配置される。補強材84は、図5及び図6に示されるが、いくつかの実施形態においては省略されてもよい。補強材84は、電極層80の固有の可撓性を補償するために使用されてもよい。電極層80は、信号をセンサ82に送出することによりトラック表面74に沿う指の移動に応答する。静電容量感知の場合、電極層80は指の移動に基づく静電容量の変化を登録し、センサ82は静電容量センサである。このように、トラックパッド72はタッチセンサ構成を組み込む。センサ82は、電極層80の底部に配設されて示されるが、他の実施形態においては他の場所に配置されてもよい。図示した実施形態のようにセンサ82がトラックパッド72の可動部に配置される場合、入力デバイスは、システムと共に移動できる可撓性のある電気接続(不図示)を内蔵してもよい。
【0038】
動き指示器78は、トラックパッド72の底部に配設される。動き指示器78は、多様に変更されてもよいが、本実施形態では一般にトラックパッド72とフレーム76との間に配設される機械スイッチの形態をとる。他の実施形態において、動き指示器78は、例えば電気センサであるセンサであってもよい。動き指示器78は、フレーム76又はトラックパッド72に取り付けられてもよい。図示した実施形態において、動き指示器78は、電極層80の底面側に取り付けられる。例として、電極層80がPCB上に配置される場合、動き指示器78は、PCBの底部に配置されてもよい。別の例において、動き指示器78は、タクトスイッチの形態をとってもよく、更に詳細にはSMTドームスイッチ(SMT用にパッケージ化ドームスイッチ)であってもよい。
【0039】
図5において、トラックパッド72はニュートラル位置で示され、動きセンサ78はフレーム76に接触していない。ユーザがトラック表面74に下向きの圧力を加えると、トラックパッド72は下向きに移動し、動きセンサ78にこの位置の変化を登録させてもよい。図示した実施形態において、動きセンサ78(タクトスイッチ)は、フレーム76、あるいはこの場合はセットスクリュー88のいずれかに接触する。セットスクリュー88は、ニュートラル位置と作動位置との間の距離を変更するように手動で調整されてもよい。一実施形態(不図示)において、セットスクリュー88は、システムに緩み又は事前の移動がないようにニュートラル位置で動きセンサ78に直接当接してもよい。可撓ヒンジ86は、トラックパッド72をフレーム76と接続する。可撓ヒンジ86は、力が加えられると屈曲するがトラックパッド72をニュートラル位置に戻すように復元力を作用させる弾性材料である。一実施形態において、可撓ヒンジ86は薄いバネ鋼であってもよい。
【0040】
図6に示すように、可撓ヒンジ86は、ユーザがトラック表面74を押下したときに屈曲する。更に可撓部86は、図5に示された実施形態では水平であるニュートラル位置にトラックパッド72を戻す。このように、ユーザは、トラック表面74のいずれかの場所を実質的に押下し、動き指示器78がこの押下を登録することを意味する「ピック」を引き起こす。これは、別個のトラックゾーン及びピックゾーンを組み込む従来のトラックパッドと対照的である。トラック表面74上のいずれかの場所をピックできることにより、より直観的で快適なインタフェースをユーザに提供する。例えばユーザは、トラック表面74から指を離す必要なしで、1本の指でトラッキング信号及びボタン信号を生成できてもよい。これに対して、別個のトラック及びピックゾーンを有するトラックパッドを動作させるユーザは、例えば追跡には右手を使用し且つピッキングには左手を使用し、あるいは追跡には人差し指を使用し且つピッキングには親指を使用してもよい。
【0041】
フレーム76の拡張部又は個別の部材であってもよいショルダー部90は、例えば補強材84であるトラックパッド72の一部に接触することによりトラックパッド72がそのニュートラル位置を通過して移動しないようにする。このように、トラック表面74は、フレーム76の上面と実質的に同一平面に維持されてもよい。トラックパッド72とショルダー部90との間の接触の緩衝のためにショルダー部90と共に衝撃吸収材又はアップストップ(不図示)が組み込まれてもよい。
【0042】
理解されるべきであるように、トラック表面74を押下することにより生成されたピックは、画面上の項目の選択、ファイル又は文書のオープン、命令の実行、プログラムの開始及び/又はメニューの閲覧等を含んでもよい。ボタン機能は、例えばズーム、スクロール、種々のメニューのオープン、入力ポインタを適切な位置に戻すこと、並びに実行、削除、挿入、ページアップ/ダウン等のキーボードに関連する動作を行うこと等、電子システムのナビゲートを容易にする機能を含んでもよい。
【0043】
可撓ヒンジ86は、可能な最小の垂直空間において可動トラックパッドを可能にする。可撓ヒンジ86が薄く且つ一般にトラックパッド72の最下層に平行に位置付けられるため、最小垂直空間が達成される。その結果、可撓ヒンジ86は、トラックパッド72の厚さをそれ程増加させない。従って、この構成は、極薄ラップトップコンピュータ(又は他の極薄デバイス)での使用に適している。このような極薄ラップトップコンピュータの応用例において、垂直空間は非常に制限される。過去には、電気構成要素のサイズは、電気デバイスをどの程度小型に製造できるかに関して制限する特徴であることが多かった。今日では、電気構成要素は益々小型化されつつあり、これは、機械構成要素(例えば、可動トラックパッド)がサイズを制限する重要な構成要素である可能性があることを意味する。このことを理解することにより、いくつかの応用例においては線形動作(例えば、コイルバネ等による可動トラックパッドの支持)が理想的ではない理由を理解しやすくなる。更に、バネを使用することにより、製造工程に対して不必要な複雑さ(部品数の増加、高コスト、高故障率等)が増加される可能性がある。バネの別の欠点は、いくつかの実施形態においてバネがタクタイルスイッチの力プロファイルを認識不可能にするか又は損なう恐れがあることである。これに対して、可撓部86は、トラック表面74にわたり実質的に一定の感覚を提供でき、ユーザにタクタイルスイッチの力プロファイルのより正確な表現を与えられる。
【0044】
次に本発明の一実施形態に係る図6を参照すると、ユーザがトラックパッド72のトラック表面74を押した場合、トラックパッド72は下向きに回動し、その下に配置されたスイッチ78が動作される。スイッチ78は、動作されると入力デバイス70に接続された電子デバイスにより使用されてもよいボタン信号を生成する。可撓部86は、実質的に1つの軸のみを中心にトラックパッド72が移動するように制約できる。これは、例えば背面側等のトラックパッド72の一方側の軸に沿って配置された複数の可撓部を使用することにより達成される。更に、トラックパッド72が剛性を有するように作成される場合(例えば、必要に応じて補強材84を含めることにより)、均一化アーキテクチャが達成される。剛性を有するトラックパッド72を可撓ヒンジ86に結合することにより、トラックパッド72は中心から外れて連結された時に水平なままとなる。
【0045】
図7及び図8は、本発明の一実施形態に従う入力デバイス100を示す。図7は、ラップトップコンピュータにより使用されているものとして示された入力デバイス100を示す透視図である。図8は、入力デバイス100において使用される分解されたトラックパッド101を示す分解透視図である。
【0046】
図7において全体を100で示される入力デバイスは、ラップトップコンピュータフレーム104に配設された押下可能なタッチセンシティブトラックパッド101である。コンピュータフレーム104に設置されたため、ユーザが見える入力デバイス100の部分はトラック表面102のみであり、これはコンピュータフレーム104と同一平面であってもよい。図示した実施形態において、トラック表面102はガラスである。ガラスは、誘電性で耐久性のある低摩擦化粧表面を提供する。一実施形態において、トラック表面102は、軽く不透明加工を施したすりガラスから成る。他の実施形態において、トラック表面102は、セラミック又はプラスチックであってもよい。入力デバイス100が静電容量感知に基づく場合、トラック表面102は誘電体材料である必要がある。トラック表面102の先端部(すなわち、ユーザに最近接する部分)は中点201及び隅203を有する。トラック表面102は、最先端部の中点201においてピックされた時に約0.2mm移動する。図示した実施形態の均一化アーキテクチャ及び剛性のために、トラック表面102は先端部の左隅又は右隅203でピックされた時に約0.4mmだけ移動し、これにより入力デバイス100は、押下可能なトラックパッドが望ましい極薄ラップトップ又は他の極薄の応用例に使用するのに適する。
【0047】
図8において最もよく分かるように、ガラス102の真下にはインク106の層がある。インク106は装飾の目的で存在し、その色はコンピュータフレーム104の色と一致してもよい。あるいは、インク106はコンピュータフレーム104と異なる色、例えば類似色の異なる色調又は対照的な色であってもよい。感圧接着剤(PSA)108の層はガラス102をPCB110の上面に貼り付ける。PSA112の第2の層は、PCB110の底面を補強材114の上面に貼り付ける。
【0048】
図示した実施形態において、PSA層110及び112は、隣接する層106、110及び114と一致するように成形されたシートとして示される。変更が行われてもよく、例えば隣接する層の間の剪断を制御するために剛性ポスト又はエポキシ接着剤等に対応できるように層110及び112に穴をあけてもよい。あるいは、PSA層110及び112は、接着剤の全体の周囲に対して空間を作るためにそれらの層の周囲で縮小されてもよい。これらの変更により、高剪断負荷がかかった時に隣接する層の間の結合が強化されるだろう。本明細書において、PSAが例として説明される。しかし、例えば両面テープ、接着剤又はセメントといった、層を貼り付ける他の手段が使用可能である。
【0049】
一般にPCBはある固有の可撓性を有し、トラックパッド101に剛性を加えるために、補強材114はその屈曲を実質的に補正する。補強材114は、重量を選択的に軽減するか且つ/又は剛性を選択的に調整するためにカットアウト部116aを有してもよい。他のカットアウト部、例えば118aは、重量を軽減するだけでなく(又は剛性を調節するだけでなく)以下に説明するようにPCB110と可撓部120に組み込まれたセンサとの間の電気接続を可能にする。上に重ねられたPSA層112は対応するカットアウト部116b及び118bを有する。
【0050】
一般に補強材114は、剛性を有し、軽量(すなわち、低密度)であり、且つ空間が重要な応用例(例えば、極薄ラップトップ、メディアデバイス、移動電話又はスマートフォン等)で使用するのに十分な薄さであるべきである。理想的な補強材は、高い剛性を有し且つ非常に軽量であり、それと同時に極めて薄い。しかし、これらの3つの品質(剛性、軽量、薄さ)はトレードオフであると考えられる。例えば一般に、所定の材料に対する剛性と重量との間のトレードオフがある。図示した実施形態において、補強材114はスチール製である。スチールは、適度に重いが剛性が高いため妥協した材料である。高い剛性のために、スチール製の補強材114は相対的に薄くできる。例えばアルミニウム又はチタンである他の金属が使用されてもよい。チタンは非常に軽量であるが、スチールより高価である可能性がある。
【0051】
他の実施形態において、被覆補強材、特に種々の金属又は他の材料から形成された被覆金属補強材が使用されてもよい。例示的な被覆金属補強材115は図9に示され、例えば上部スチール層119及び下部スチール層121により囲まれたアルミニウムコア117から成る。スチールは、アルミニウムの内部コア117より大きい弾性係数(弾性率としても知られている)を有する。弾性係数は、力が加えられた時にオブジェクト又は物質が弾力的(すなわち、非永続的)に変形する傾向があることの数学的記述である。大きい弾性係数を有する材料(例えば、スチール)は、小さい弾性係数を有する材料(例えば、アルミニウム)より高い剛性を有する。これは、特定の条件下では補強材のたわみが弾性係数及び断面二次モーメントの積に反比例するため重要である。このことは、アルミニウムコア及び外側のスチール層を有する補強材115と同一のサイズ及び形状のアルミニウムを主体として構成された補強材がより軽量であるが補強材115ほどの剛性を有さないことを意味する。
【0052】
被覆効果(すなわち、軽量のコアの外側の層として大きい係数の材料を使用することにより剛性を向上する)は、建物を建設する際のI型鋼(I-beam)により起こるものに類似する。しかし、I型鋼において、断面二次モーメントが弾性係数の代わりに調整される。これは、I型鋼等のより高い断面慣性モーメントを有する型鋼が同一断面を有する他の型鋼に対して建物の建設の際によく見られるためである。
【0053】
他の実施形態において、補強材はどんな適切な構造材料から製造されてもよい。構造材料には、ガラス、セラミックス、炭化タングステン、炭素繊維複合材料及び金属基複合材料が含まれるがそれらに限定されない。そのような構造材料は非常に軽量で薄いため、薄い軽量のポータブル電子デバイスにおいて補強材として使用するのに望ましい。
【0054】
PCB110は、上面に電極層(不図示)及び底面に動きセンサ126を含む。図示した実施形態において、動きセンサ126は機械スイッチ(図8及び図11を参照)である。動きセンサ126は多様に変更されてもよい。一般に、タクトスイッチが使用されてもよい。更に詳細には、これは、裸メタルドームスイッチ、パッケージ化メタルドームスイッチ又はケース内蔵メタルドームスイッチであってもよい。ユーザがトラック表面102を押下した場合、可撓ヒンジ122によりトラックパッド101の変位が可能になり、それにより動きセンサ126がセットスクリュー128と接触可能になる。スイッチ126がシステム(例えば、PCB110に実装される)の他の部分に電気接続されるため、ユーザがセンサ126を動作するために十分に押下する度にピック信号は登録及び処理される。
【0055】
セットスクリュー128は、ニュートラル位置における動きセンサ126からのいかなるオフセット変位も増加するか又は完全に除去するように調整される。図11に示すように、ニュートラル位置における動きセンサ126とセットスクリュー128との間に小さなオフセットがある可能性がある。別の実施形態(不図示)において、セットスクリュー128は、ニュートラル位置においてスイッチ126と直接当接してもよい。
【0056】
次に図8、図10及び図12を参照して、可撓部122について説明する。図示した実施形態において、2つの可撓部122はセンサ126に対向するトラックパッド101側に沿って取り付けられる。この構成は、トラックパッド101が可撓部122の場所により規定された軸を中心とする回動と共に移動するように制約する。複数の可撓部122の物理的な分離は、平坦アーキテクチャを構築することを支援する。しかし、ユーザがトラック表面102を中心から外れて押下する場合、垂直軸(例えば、トラック表面の中線上であり且つ可撓部122の場所により規定された軸に垂直である軸)を中心とするある量のねじれが起こる可能性がある。このねじれは、一部はトラックパッド101における固有の可撓性によるものであり(補強材114が使用されている場合でも)、一部は可撓部122の可変の湾曲によるものである。このねじれは、例えばよりロバスト性の高い補強材により且つ/あるいはより多くの又はより剛性の高い可撓部を使用することにより少なくとも部分的に補償される。上述したように、図示した実施形態において、トラック表面102は、中心から外れて(例えば、図7の隅203において)押下された場合に約0.4mm移動し、中心線上を(例えば、図7の201において)押下された場合に約0.2mmのみ移動する。この非常に小さな量のねじれでは、トラックパッド101の性能は低下しない。
【0057】
可撓部122は、上部可撓部130及び底部可撓補強材部132を有する。可撓部130は、例えば薄いバネ鋼である薄い弾性材料から製造される。可撓性のある構成要素が曲げ応力を受けた場合、不安定になり、これは座屈として現れる。この不安定性を軽減するために、可撓部材130は、一般に湾曲する時にその中心となる軸にほぼ平行に方向付けられたスロット134を有する。可撓補強材132は、フレーム104に取り付けられる領域における可撓部122を補強する。図示した実施形態において、各可撓部122は、可撓部材130の穴136aと螺合し且つ補強材114の穴136bと螺合する3つの締め具136を有する。図示した実施形態において、各可撓部122は、可撓部122をフレーム104に固着するために可撓部122の穴138aと螺合し、フレーム104の穴138bと螺合する別の2つの背面締め具138を更に有する。3つの締め具136及び2つの背面締め具138を図示するが、締め具の種類及び数は変更できる。
【0058】
図8及び図13に示すように、2つのアップストップ140は、補強材114の拡張部146の上方及びフレーム104の拡張部又はショルダー部の下方に位置付けられる。この構成により、トラックパッド101が押下周期の後にニュートラル位置を通過することが防止され、トラック表面102をフレーム104の表面と実質的に同一平面に維持する。PSA144は、アップストップ140をフレーム104に取り付けるために使用される。あるいは、PSA144はアップストップ140を補強材114に取り付けるために使用される。押下周期の後、可撓部122はトラックパッド101をニュートラル位置に戻す。図示した実施形態において、補強材114の拡張部146はアップストップ140と接触し、フレーム104の下に位置付けられる。アップストップ140は軽い衝撃吸収材としての役割を果たし、補強材114が実質的には剛性であってもよいフレーム104と実際に接触することを防止する。アップストップ140に対する適切な材料には、プラスチック、発泡体、ゴム及び商標Mylar(R)により知られる二軸延伸のポリエチレンテレフタレート(bоPET)ポリエステルフィルムが含まれる。アップストップ140は、トラックパッド101がニュートラルに戻った時に補強材114とフレーム104との間の衝撃を吸収することにより、押下周期の後の望ましくない音響雑音を選択的に減衰できる。アップストップ140は、衝撃を吸収し、実質的にフレーム104と同一平面であるニュートラル位置に一致するようにトラックパッド101の動きの上限を制限するという2つの機能を果たす。2つのアップストップ140を示すが、より多くの又はより少ないアップストップが使用されてもよい。
【0059】
可撓部120は、図8及び図14から最もよく分かる。トラックパッド101が可動式であるため、可撓部120は、トラックパッド101が移動するのに伴ってトラックパッド101と共に移動できる必要がある。これは、入力デバイス100が例えばラップトップコンピュータに格納される電子デバイスと通信するように構成されたコンピュータ接続152とPCB110と通信するように構成されたセンサ接続154との間にある可撓性を有する電気接続150を提供することにより達成される。集積回路156は、可撓部120の上面に配置される。集積回路156は、静電容量センサの中心部を形成するためにPCB110上の電極層からのデータを受信及び処理し、例えば指の動きを判定するためにユーザの指がトラック表面102と接触している時に読み取りを行う等の機能を提供する。PCBを用いたセンサについて例として説明するが、これに限定されない。本発明において、打抜板金、可撓回路(例えば、ポリイミド)、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)基板である基板に印刷された導電性インク及びガラス上の酸化インジウムスズ(ITO)等の非PCBセンサが使用可能である。化粧ラベル124は、下から可撓部120を被覆する。図10において、下から見た組み立てられた入力デバイス100を示す。
【0060】
図示しないが、入力デバイス100は背面から照明されてもよい。例えばPCB110は、ユーザが低輝度で入力デバイス100を更に容易に見られるようにするために両側に発光ダイオード(LED)を実装できる。
【0061】
本明細書で説明した入力デバイスは、電子デバイスに組み込まれてもよく、あるいは別個の独立型デバイスであってもよい。ラップトップコンピュータに組み込まれた入力デバイスの一例は図7に示され、上述した通りである。図15は、メディアプレーヤ202に組み込まれた入力デバイス200を示し、図16は、移動電話に組み込まれた入力デバイス207を示す。一方、図17及び図18は、入力デバイス200のいくつかの実現例を独立型ユニットとして示す。図17において、入力デバイス200は、デスクトップコンピュータ206に接続される周辺装置である。図18において、入力デバイス200は、メディアプレーヤ210がドッキングされたドッキングステーション208に対して無線接続するリモコンである。尚、リモコン200はメディアプレーヤ210(又は他の電子デバイス)と直接対話するように構成されてもよく、これによりドッキングステーションの必要性がなくなる。本発明が使用されてもよいメディアプレーヤに対するドッキングステーションの一例は、2003年4月25日に出願された米国特許出願第10/423,490号の「MEDIA PLAYER SYSTEM」に示され、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。尚、これらの特定の実施形態は限定するものではなく、多くの他のデバイス及び構成が使用されてもよい。
【0062】
図15を参照して、メディアプレーヤ202について更に詳細に説明する。一般に「メディアプレーヤ」という用語は、例えば音楽プレーヤ、ゲームプレーヤ、ビデオプレーヤ、ビデオレコーダ及びカメラ等であるオーディオ、ビデオ又は他の画像等のメディアの処理専用のコンピューティングデバイスを示す。メディアプレーヤは、単一の機能性を含む場合もあり(例えば、音楽再生専用のメディアプレーヤ)、複数の機能性を含む場合もある(例えば、音楽を再生し、ビデオを表示し、ピクチャを格納する等する、メディアプレーヤ)。いずれの場合においても、一般にこれらのデバイスは、ユーザがどこに移動しても、音楽を聴くこと、ゲームをすること、ビデオを再生すること、ビデオを録画すること又は写真を撮影することができるようにポータブルである。
【0063】
一実施形態において、メディアプレーヤは、ユーザのポケットに入れられるようなサイズにされたハンドヘルドデバイスである。ポケットサイズにされたことにより、ユーザはデバイスを直接保持する必要がなく、従って、ユーザがどこに移動してもデバイスを持っていくことができる(例えば、ユーザはラップトップ又はノートブックコンピュータのように大きくかさばり且つ重いことが多いデバイスを所持することにより制限されることがない)。例えば音楽プレーヤの場合、ユーザはジムで運動をしながらデバイスを使用してもよい。カメラの場合、ユーザは登山をしながらデバイスを使用してもよい。ゲームプレーヤの場合、ユーザは車で移動しながらデバイスを使用できる。更にデバイスは、ユーザの手で操作されてもよく、デスクトップ等の基準面は必要ない。図示した実施形態において、メディアプレーヤ202は、ユーザが大量の音楽収集品(例えば、場合によっては最大40,000曲のCD並みの品質の曲)を格納できるようにするポケットサイズのハンドヘルドMP3音楽プレーヤである。例として、MP3音楽プレーヤは、Cupertino,CalifのApple Inc.により製造されたiPodファミリーMP3プレーヤのうちの1つに対応してもよい。本明細書に示すMP3音楽プレーヤは、主に音楽及び/又はビデオを格納及び再生するのに使用されるが、カレンダ及び電話帳を格納する機能性、ゲームを格納し且つ行う機能性及び写真を格納する機能性等の追加の機能性を更に含んでもよい。実際には、MP3音楽プレーヤは高い可搬性を有する記憶装置としての役割を果たしてもよい場合もある。
【0064】
図15に示すように、メディアプレーヤ202は、メディアプレーヤ202に対して演算動作を提供するために種々の電気構成要素(集積回路チップ及び他の回路網を含む)を内部に含む筐体222を含む。更に筐体222は、メディアプレーヤ202の形状又は形態を更に規定してもよい。すなわち、筐体222の輪郭は、メディアプレーヤ202の外側の物理的な外観を具体化してもよい。筐体222内に含まれた集積回路チップ及び他の回路網は、マイクロプロセッサ(例えば、CPU)、メモリ(例えば、ROM、RAM)、電源(例えば、バッテリ)、回路基板、ハードドライブ、他のメモリ(例えば、フラッシュ)及び/又は種々の入出力(I/O)サポート回路網を含んでもよい。電気構成要素は、マイク、増幅器及びデジタル信号プロセッサ(DSP)等の音楽又は音を入力又は出力する構成要素を含んでもよい。電気構成要素は、画像センサ(例えば、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS))又は光学素子(例えば、レンズ、分波器、フィルタ)等の画像を取り込む構成要素を更に含んでもよい。
【0065】
図示した実施形態において、メディアプレーヤ202はハードドライブを含み、それによりメディアプレーヤに大きな記憶容量を与える。例えば160GBのハードドライブは、最大40,000曲、約200時間のビデオ又は最大25,000枚の写真を格納できる。これに対して、フラッシュメディアプレーヤは、平均で最大128MB、すなわち約2時間の音楽を格納する。ハードドライブの容量は多様に変更されてもよい(例えば、8、16、80、160GB等)。本明細書に示すメディアプレーヤ202は、ハードドライブに加えて充電式のリチウムイオンバッテリ等のバッテリを更に含む。この種のバッテリは、メディアプレーヤに約30時間の音楽連続再生時間又は5時間のビデオ再生時間を提供できる。
【0066】
メディアプレーヤ202は、表示画面224及び関連する回路網を更に含む。表示画面224は、グラフィカルユーザインタフェース及びユーザに対する他の情報(例えば、テキスト、オジェクト、グラフィックス)を表示するために使用される。例として、表示画面224は液晶ディスプレイ(LCD)であってもよい。特定の一実施形態において、表示画面は日光の下でも暗い場所でもはっきり見えるようにするLEDのバックライトを有する320×240画素の高解像度ディスプレイであるLCDディスプレイに対応する。図示するように、表示画面224は、筐体222の開口部225を通して且つ開口部225の前面に配設される透明な壁226を通してメディアプレーヤ202のユーザに対して可視である。透明な壁226は透明ではあるが、メディアプレーヤ202の形状又は形態を規定することを支援するため筐体222の一部と考えられてもよい。
【0067】
メディアプレーヤ202は、上述したタッチパッドのいずれかのようなタッチパッド200を更に含む。一般にタッチパッド200は、タッチパッド230に対して操作を行うために指を受け入れるタッチ可能な外面231から成る。図示した実施形態において、タッチパッド200は円形であるが、その形状は、例えば矩形、正方形等、多様に変更可能である。図15には示さないが、タッチ可能な外面231の下にはセンサ構成がある。センサ構成は、指がその上に存在するか、タップするか又は通過すると動作されるように構成される複数のセンサを含む。最も単純な例において、指がセンサ上に位置付けられる度に電気信号が生成される。所定の時間フレームにおける信号の数は、タッチパッド上の指の場所、方向、速度及び加速度を示してもよい。すなわち信号が多い程、ユーザがより多く指を動かしている。殆どの場合、信号は、信号の数、組合せ及び周波数を場所、方向、速度及び加速度情報に変換する電子インタフェースにより監視される。次にこの情報は、表示画面224上で所望の制御機能を実行するためにメディアプレーヤ202により使用されてもよい。例えばユーザは、タッチパッド200で指を旋回させることにより曲のリストを容易にスクロールしてもよい。
【0068】
上記に加えて、タッチパッドは、選択を行ったり、メディアプレーヤ202を動作させることに関連するコマンドを発行したりするために1つ以上の専用制御機能を提供するように構成された可動ボタンを更に含んでもよい。例として、MP3音楽プレーヤの場合、ボタン機能は、メニューのオープン、曲の再生、曲の早送り、メニューの探索及び選択の実行等に関連付けられてもよい。殆どの場合、ボタン機能は機械的なクリック動作を介して実現される。
【0069】
筐体222に対するタッチパッド200の位置は多様に変更されてもよい。例えばタッチパッド200は、メディアプレーヤ202の操作中にユーザがアクセス可能な筐体222のいずれかの外側の表面(例えば、上面、側面、前面又は裏面)に配置されてもよい。殆どの場合、タッチパッド200のタッチセンシティブ表面231は、ユーザに対して完全に露出される。図示した実施形態において、タッチパッド200は、筐体222の前面の下部領域に配置される。更にタッチパッド230は、筐体222の表面に引っ込めて配置されてもよく、同一レベルに配置されてもよく、あるいは突出して配置されてもよい。図示した実施形態において、タッチパッド200のタッチセンシティブ表面231は実質的に筐体222の外部の表面と同一平面にされる。
【0070】
タッチパッド200の形状は多様に変更されてもよい。タッチパッドは、円形として示されるがリング状、矩形及び三角形等であってもよい。
【0071】
メディアプレーヤ202は、ホールドスイッチ234を更に含んでもよい。ホールドスイッチ234は、タッチパッド及び/又はそれと関連付けられたボタンを動作又は停止するように構成される。一般にこれは、例えばメディアプレーヤがユーザのポケット内に入れられている時、タッチパッド及び/又はボタンによる望ましくないコマンドを防止するために行われる。停止された場合、ボタン及び/又はタッチパッドからの信号は送出されないか又はメディアプレーヤにより無視される。動作された場合、ボタン及び/又はタッチパッドからの信号は送出され、メディアプレーヤにより受信及び処理される。
【0072】
更にメディアプレーヤ202は、1つ以上のヘッドフォンジャック236及び1つ以上のデータポート238を更に含んでもよい。ヘッドフォンジャック236は、メディアデバイス202により出力されている音を聴くように構成されたヘッドフォンと関連付けられたヘッドフォンコネクタを受け入れることができる。一方、データポート238は、汎用コンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ)等のホストデバイスに対してデータを送受信するように構成されたデータコネクタ/ケーブルアセンブリを受け入れることができる。例として、データポート238は、メディアデバイス202に対してオーディオ、ビデオ及び他の画像をアップロードするか又はダウンロードするために使用されてもよい。例えばデータポートは、メディアプレーヤの記憶機構に曲及びプレイリスト、オーディオブック、電子書籍、並びに写真等をダウンロードするために使用されてもよい。
【0073】
データポート238は多様に変更されてもよい。例えばデータポートは、PS/2ポート、シリアルポート、パラレルポート、USBポート及び/又はFirewireポート等であってもよい。場合によっては、データポート238は、ケーブルの必要性をなくすために無線周波数(RF)リンク又は光学赤外線(IR)リンクであってもよい。図12には示さないが、メディアプレーヤ202は、メディアプレーヤ202に電力を供給するように構成された電力コネクタ/ケーブルアセンブリを受け入れる電源ポートを更に含んでもよい。データポート238は、データポート及び電源ポートの双方の役割を果たす場合がある。図示した実施形態において、データポート238はデータ機能及び電源機能の双方を有するFirewireポートである。
【0074】
データポートが1つだけ示されるが、これは限定するものではなく、複数のデータポートがメディアプレーヤに組み込まれてもよい。同様に、データポートは複数のデータ機能性を含んでもよい。すなわち、複数のデータポートの機能性を単一のデータポートに統合してもよい。尚、筐体におけるホールドスイッチ、ヘッドフォンジャック及びデータポートの位置は多様に変更されてもよい。すなわち、それらは図15に示した位置に限定されない。それらは、筐体のほぼどの場所(例えば、前側、後ろ側、側面、上面、底面)に位置付けられてもよく、あるいはいくつかの実施形態においてはなくてもよい。例えばデータポートは、図示するように筐体の上面ではなく底面に位置付けられてもよい。
【0075】
図16に戻って、移動電話207について更に詳細に説明する。電話207はスマートフォンであってもよい。移動電話207は、フレーム209及びタッチセンシティブスクリーン211を含む。Cupertino,CAのApple Inc.により製造されたiPhoneで使用されるスクリーンと同様のマルチタッチスクリーンであってもよいタッチセンシティブスクリーン211は、押下された時にフレーム209に対して変位することを可能にすることによりクリック可能にされる。このように、上述した本発明の押下可能な入力デバイスのようなボタン機能性は電話207に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態において、触覚及び/又は聴覚フィードバックはボタン機能と統合されてもよい。例えばスクリーン211を押下することにより、ある機能が動作されるだけでなく、可聴クリック音が生成されてもよい。クリック音は、機械的に生成されてもよく(例えば、機械スイッチ自体により)且つ/又は電気的に生成されてもよい(例えば、ユーザが十分に押下した時に必ず動作されるスピーカを介して)。更に、例えば機械スイッチを確実にクリックすることにより生成される機械フィードバック又はピックが検出された時に必ずトリガされる振動である触覚フィードバックが生成される。移動電話207を参照して特に説明したが、触覚及び/又は聴覚フィードバックは、本明細書で説明したいずれかの実施形態のボタン機能(例えば、ラップトップトラックパッド、メディアプレーヤトラックパッド又はスクリーン、リモコントラックパッド等)と統合されてもよい。
【0076】
別の実施形態(不図示)において、移動電話は、本明細書で上述したトラックパッド等のタッチセンシティブ押下可能トラックパッドと共に非タッチセンシティブスクリーン(すなわち、従来のスクリーン)を内蔵してもよい。本実施形態において、スクリーンはディスプレイとして機能し、その一方でトラックパッドは例えばディスプレイ上でカーソルを移動でき且つボタン機能を内蔵してもよい。換言すると、図16を参照して説明した実施形態の場合と同様に、押下可能トラックパッドはスクリーン自体を押下する代わりに別個のスクリーンと共に移動電話において使用可能である。
【0077】
図19を参照すると、本発明の別の実施形態に従う入力デバイス282を内蔵するリモコン280の概略ブロック図が示される。例として、入力デバイス282は、本発明の上述した入力デバイスのいずれかに対応してもよい。入力デバイス282は、タッチパッド284及びスイッチ286を含む。タッチパッド284及びスイッチ286は、受信機能を有する電子デバイスが無線通信リンクを介して情報を受信してもよいように無線通信リンクを介して情報を送信するように構成された無線送信機288に動作可能に結合される。無線送信機288は多様に変更されてもよい。例えば無線送信機288は、FM、RF、Bluetooth、802.11UWB(超広帯域無線)、赤外線(IR)及び/又は磁気リンク(電磁誘導)等の無線技術に基づいてもよい。図示した実施形態において、無線送信機288はIRに基づく。一般にIRは、赤外線を介してデータを伝達する無線技術を示す。従って、一般に無線送信機288はIRコントローラ290を含む。IRコントローラ290は、タッチパッド284及びスイッチ286から報告された情報を取得し、例えば発光ダイオード292を使用してその情報を赤外線に変換する。
【0078】
上述したように、本発明のトラック表面はガラスから成ってもよい。ガラスは、耐久性のある低摩擦化粧表面を提供することに加え、不透明な表面(例えば、プラスチック及びセラミック等)が提供しないオプションを提供する。例えば一実施形態において、トラックパッド101は、例えば光、テクスチャガラス又はそれらの組み合わせを使用して別個のゾーンに区分けされる。各ゾーンは異なる機能を有することができる。例えば1つのゾーンはトラックゾーン(カーソルを移動してもよい)であってもよく、その一方で別のゾーンはピックゾーン(ボタン機能を動作するために押下可能であってもよい)であってもよい。
【0079】
図20a〜図20eは、トラックパッド300に対する例示的な区分け(線引き)のオプションを示す。図20aは、単一のゾーン302を有するガラスから成る透明又は半透明なトラックパッド300を示す。すなわち、トラック表面全体がボタン機能を動作させるために押下可能である。図20bは、上部トラック表面304及び単一のピックゾーン306を含むトラックパッド300を示す。トラック表面304をピックゾーン306から分離する線308は、LED側照明を含むテクスチャガラス表面、LED側照明を含むIRインク、エレクトロルミネッセンス、磁気インク又は二色のローリングワイヤ等により作成される。図20cは、2つのピックゾーン310及び312を有する別の実施形態を示す。これらのゾーンは、例えば「左クリック」及び「右クリック」である別個のボタン機能と関連付けられる。図20dは、左に偏った2つのトラックゾーンを示す。すなわち、左側のピックゾーン314は右側のピックゾーン316より大きい。図20eは、右に偏った2つのトラックゾーンを示す。すなわち、左側のピックゾーン318は右側のピックゾーン320より小さい。図20fは3つのピックゾーン322を示す。図20に示した区分け(線引き)のオプションは例として与えられ、限定するものではない。
【0080】
一実施形態において、トラック及びピックゾーンはユーザにより選択可能である。例えば、トラックパッドがトラック表面のいずれかの場所でピックされるトラックパッドに対応する図20aに示したようなトラックパッドであるように、ユーザは区画線を消すことができ、これは図7に示した実施形態と同様に機能する。その後、ユーザが左側及び右側のピックゾーンを有するより従来的なトラックパッドを要求する場合、ユーザはトラックパッドの機能性の対応する変更に伴って図20cに示すように見えるようにトラックパッドを構成できる。
【0081】
図21に示すように、ガラス(あるいは、透明又は半透明)のトラック表面326を有するトラックパッド324は、トラックパッドの区画線を表示することに加え、フルピクセルディスプレイとしても機能できる。一実施形態において、トラック表面326は、例えば電子ペーパー/電子インク、LCD、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT−LCD)等を使用するアクティブマトリクスディスプレイであってもよい。
【0082】
E ink(R)は、Cambridge,MAのE Ink Corporationにより開発された一種の電子ペーパーに対する商標である。E ink(R)の主な構成要素は、人間の髪の毛の直径程の数百万個の小さいマイクロカプセル327である。図22に示した一実施形態において、各マクロカプセルは、透明な液体に浮遊した正に帯電した白粒子328及び負に帯電した黒粒子330を含む。負電界334が印加されると、白粒子はマイクロカプセルの最上部に移動し、読み手に対して可視となる。これにより、表面がそのスポットにおいて白に見える。それと同時に、逆の電界336は黒粒子をマイクロカプセルの底面に引き寄せ、それらを隠蔽する。この処理を逆にすることにより、黒粒子はカプセルの最上部に現れ、表面がそのスポットにおいて黒に見える。ユーザが色のついた粒子を見られるように、上側の電極338及び/又は下側の電極340は透明である。
【0083】
E Ink(R)電子ディスプレイを形成するために、インクは回路網の層に積層されるプラスチックフィルムのシート上に印刷される。回路網は、ディスプレイドライバにより制御される画素のパターンを形成する。これらのマイクロカプセルは、液体「担体媒体」に浮遊し、既存のスクリーン印刷処理を使用してガラス、プラスチック、布地及び紙を含む実質的にどんな表面にも印刷される。例示的なE ink(R)ディスプレイは、2004年2月にPolymer Vision Ltd.により公開された。このディスプレイは、対角線が5インチ、解像度が85dpi及び曲げ半径が2cmの有機QVGA(quarter VGA)(すなわち、320×240画素)アクティブマトリクスディスプレイである。ディスプレイは、高分子エレクトロニクスに基づく画素駆動を含む25μの厚さのアクティブマトリクスの背面ガラスを反射型E Ink(R)の200μの前面と組み合わせた。
【0084】
上述したように、本発明のいくつかの実施形態において、ガラス表面はトラック表面として使用される。理想的には、そのようなガラス表面は、小さい摩擦係数を有し、高い透明度を有して透明であり、汚れにくく、傷つきにくく又は皮膚を傷つけにくく、また最後に数千回のトラックパッド押下の周期に耐えるために機械的に堅牢であるべきである。
【0085】
従来のガラス構造の1つの欠点は、それらの属性の全てを同時に有さないことである。例えば、従来のガラスは非常に透明であるが大きな摩擦係数を有する。ガラスとユーザの指との間の過度な摩擦力を克服することは、例えばユーザの不快感の原因になったり、あるいは押下可能なトラックパッドの場合に不注意によるピックの原因になったりするため、低摩擦であることはトラックパッド(例えば、ラップトップコンピュータ上のトラックパッド)において重要である。好適なガラス表面は、非常に滑らかであり且つ光学的に透明である。
【0086】
例えばブラスト、レーザエッチング、ホーニング及び化学エッチングを含むガラスを処理する種々の既知の方法が存在する。通常、これらの従来の方法は一片の未加工ガラスに適用される。未加工ガラスの表面は、肉眼では滑らかに見えるが、指(又は他の表面)が表面積のうちの多くの部分にわたりガラスと直接接触するため、その滑らかさは実際には摩擦係数を増加する。これを補正するため、処理(エッチング等)はガラスの光学的性質を変更するために又は摩擦を低減するために滑らかな表面344に適用される場合がある。ガラスをエッチングすることにより、微小な隆起又はピークが生成され、これにより未加工ガラスの滑らかさが低減される。これにより、指がガラスに接触している表面積を減少することで摩擦係数が低下される。換言すると、エッチングされた一片のガラスをこする指がエッチングされたガラス表面の隆起又はピークに直接接触することに関連する摩擦力に打ち勝つ必要があるが、指は隆起又はピーク間の領域において実質的に空気である非常に低減された摩擦を体験する。
【0087】
最終的な一片の処理済みガラス(LCD用)は、一般に1つのステップで生成される。例えば、未加工ガラスは化学エッチングされる。しかし、この1つのステップを含む方法は、上述した所望の属性の全てを有するガラス表面を与えない。例えば、ガラス表面は低摩擦を有する可能性があるが、多くの場合、低下した透明度又は防汚性と関連付けられる。複数のステップ(例えば、機械的摩耗及びそれに続く化学的後処理)でガラスを処理する取り組みは従来では成功していなかった。複数のステップで生成されたガラス表面は、1つのステップで生成されたガラス表面と同一の欠点を有する。
【0088】
本発明において、未加工ガラスは、はるかに改善されたガラスを生成するために2つのステップを含む方法で処理されてもよい。
【0089】
第1のステップにおいて、一片の未加工ガラス342は、微細なピッチの「シード表面」を作成するために機械的又は化学的に処理される。非常に微細なピッチ(すなわち、非常に粗い表面)を有するようにシード表面を調整することにより、所望の属性を全て有する最終的なガラス表面を生成するような次の液体研磨(すなわち、第2のステップにおける)が可能になる。シード表面は、図24Aにおいて最もよく分かる。図24Aにおいて、処理されたガラスは、ピーク対ピーク比348及び振幅350により特徴付けられた凹凸の多い表面346を有する。これはシード表面である。346等の微細なピッチのシード表面は、約30%の非常に低い透過率(入射光に対する透過光の比)を有する。
【0090】
ガラスを処理する第1のステップは、化学エッチングを使用して、例えば不活性担体と混合されたアンモニウムビフルオリドクリームを使用して実行されてもよい。この化学エッチングクリームは表面に塗布されて、ある期間、例えば30分放置される。図24Bは、第1のステップの結果得られたシード表面346を示す。シード表面を1,000倍の倍率で示す。図24Bの下部の尺度は10μmである。
【0091】
第2のステップにおいて、シード表面は第二酸を含むフッ化水素酸(HF)溶液にさらされる。これは湿潤塗布であり、HFがシード表面に吹き付けられるか又はHFに浸されることを意味する。一実施形態において、溶液はHF及び塩酸、すなわちHF+HClから成る。別の実施形態において、溶液はHF及び硫酸、すなわちHF+HSOから成る。いずれの実施形態においても、酸性溶液は水と混合されてもよい。HFの濃度が高い程、処理は高速になるが、最終結果は同一である。一実施形態において、溶液は約10%のHCl及び約85%のHOと共に約5%のHFから構成されてもよい。一次酸はHFであり、その一方で、第二酸(HCl又はHSO)は、HFをガラスに反応させるためにガラス表面から残留物を除去するように作用する。HFは、第1のステップ中に生成されたシード表面346に反応し、トポロジを変更し、その結果、ガラスの関連する特性(例えば、透過率、摩擦係数)を変更する。結果として得られた最終的なガラス表面356を図25に示す。表面356は、シード表面の振幅350にほぼ等しい振幅352を有するが、シード表面346のピーク対ピーク比348より約10倍のオーダーで大きい(例えば、8〜12倍の)ピーク対ピーク比356を有する。検査により、振幅は関連するガラス特性とそれ程相互に関係していないことが示される。ピーク対ピーク比は主な特性である。換言すると、最終的なガラス表面の振幅を変更することにより関連するガラス特性に影響を及ぼさなかったが、その一方でピーク対ピーク比を個別に変更することにより関連する特定に大きく影響を及ぼした。
【0092】
1,000倍に拡大した図26において上述から分かるように、最終的な表面356はディボット358のマトリクスを有し、これは丸頭ハンマにより無作為に衝撃を与えられた金属表面に類似する。結果として得られたガラスは、全ての所望の属性(低摩擦、透明、耐久性、防汚性等)を有し、「鮮やか」で「輝いた」外観を有する。このガラスの透過率は約90%である。
【0093】
最終的な表面356は低摩擦表面である。表面の摩擦係数μは、表面に対してオブジェクトを移動するために打ち勝つ必要のある摩擦力Fに対するその表面のオブジェクトからの垂直抗力Fの比、すなわち

である。摩擦力は、静止摩擦及び動摩擦に更に分類される。静止摩擦Fは、2つのオブジェクトが互いに対して移動していない時に打ち勝つ必要のある力であり、動摩擦Fは、相対運動している2つのオブジェクト間の摩擦力である。一般に、静止摩擦は動摩擦より大きい。すなわち、最初に静止していた時に1つのオブジェクトを別の表面に対して移動させるのに一般により大きな力を要し、オブジェクトを動かし続けるのにより小さな力を要する。従って、静止摩擦係数μ及び動摩擦係数μは以下のように定義される:

である。
【0094】
最終的な表面356のような表面の摩擦品質を実証するために、粒度320の研磨紙を使用する凹凸のある表面を有する直径1インチのネオプレンディスクは、垂直抗力でロードされ、356のような表面の種々のサンプルに沿って引っ張られる。検査は種々のサンプルに対して行われ、ネオプレンディスクは50mm/分又は500mm/分で引っ張られ、71.4グラム又は295.9グラムでロードされた。表面は、いくつかの検査中にスクアレンにより潤滑され、他の検査中には潤滑されなかった。表1は検査データをまとめている。
【0095】

表1:摩擦データ
【0096】
図27は、ガラス処理工程の第2のステップで生成されたピーク対ピーク比を時間の関数として示す。ピーク対ピーク比は、臨界時間Tcrit360の前に急上昇し、臨界時間において基本的に漸近的に上昇する。第2のステップのプロセスウィンドウが非常に大きいため、これはガラスを製造する際に重要である。換言すると、第2のステップである化学処理工程は時間に敏感ではない。すなわち、ガラスに対して処理を行って、相対的に一定のピーク対ピーク比を得るために短時間(ほぼTcrit360)又は非常に長い時間放置される。これは、時間が注意深く制御される必要がないことを意味する。従って、ピーク対ピーク比が正確でなかった場合に廃棄される必要があった欠陥部品が減少されるか又はなくなる。ピーク対ピーク比がピーク対ピーク曲線の漸近的な部分でほぼ一定である間、HFがガラスを薄くするため、ガラスの全体の厚さはこの工程中常に減少している。
【0097】
別の工程において、第1のステップは上述した化学処理の代わりに機械処理を採用できる。例えばガラスは、細粒(例えば、酸化セリウム)で処理され、その後機械的にホーニングされる。しかし、場合によっては、これは微細な破損を招くか且つ/又は最終的なガラスの4点曲げ強度を小さくする。上述したように、ガラスは、トラックパッドにより使用される場合、数千のピック周期に耐えるために堅牢であるべきである。従って、上述したような化学処理は機械的なホーニングに好適であるだろう。
【0098】
本発明の2つのステップから成る工程は、大きな板ガラスに対して実行され、矩形等の所望の形状に切り取られる。あるいは、未加工ガラスは、最初に所望の形状に切り取られ、それから処理される。ガラスをより小さい形状に切り取ることは、化学処理によりマスクするガラス(例えば、小さいチップ)に欠陥を生じる可能性がある。従って、いくつかの実施形態において、処理する前に未加工ガラスを切り取るのが望ましい。
【0099】
図28に示すように、PCB110は別の実施形態において可撓ヒンジとしての役割を果たせる。これは、必要とする部品が少なくなるという利点を有する。本実施形態において、トラック表面102及び補強材114は、コンピュータフレーム104に取り付けられた片持ち梁部105以外のPCB110を囲む。このように、可撓ヒンジとしての役割を果たす隙間106が形成される。ユーザがトラック表面102を押下した場合、片持ち梁PCB110が106の領域で屈曲すると、トラックパッドは106を軸として回動する。ユーザからの圧力が解放されると、PCB110は、図示した実施形態においては水平として示されるニュートラル位置にトラックパッドを戻す。別の実施形態(不図示)において、隙間106は除去されてもよい。
【0100】
図29は、可撓ヒンジが全体的に補強材114から構成される別の実施形態を示す。本実施形態において、補強材114は、補強材114の本体より薄い片持ち梁端部107を有する。端部107は、フレーム104の開口部109においてコンピュータフレーム104に取り付けられる。ユーザがトラック表面102を押下した場合、端部107が隙間106に沿って屈曲すると、トラックパッドは回動する。ユーザからの圧力が解放されると、補強材114の端部107は、図示した実施形態においては水平として示されるニュートラル位置にトラックパッドを戻す。
【0101】
図30は、被覆補強材123から成る可撓ヒンジを示す。図9を参照して説明した被覆補強材115のように、被覆補強材123は、例えば上部スチール層127及び下部スチール層129に囲まれたアルミニウムコア125を有する。しかし、被覆補強材115とは異なり、上部層127はフレーム104の開口部109においてコンピュータフレーム104に取り付けられる片持ち梁拡張部131を有する。ユーザがトラック表面102を押下した場合、拡張部131が隙間106に沿って屈曲すると、トラックパッドは回動する。ユーザからの圧力が解放されると、拡張部131は、図示した実施形態においては水平として示されるニュートラル位置にトラックパッドを戻す。片持ち梁拡張部131を有する上部層127の代わりに、コア125又は下部スチール層129が片持ち梁拡張部(不図示)を有してフレーム104に接続し、可撓ヒンジとしての役割を果たしてもよい。剛性を有し(すなわち、大きい弾性係数)、薄く且つ低密度(すなわち、軽量)であることを条件として、アルミニウム及びスチール以外の材料が被覆補強材に使用されてもよい。
【0102】
次に図31を参照すると、補強材133がコンピュータフレーム104と一体化した別の実施形態が示される。ユーザがトラック表面102を押下した場合、補強材133が屈曲すると、トラックパッドが回動する。ユーザからの圧力が解放されると、補強材133は、図示した実施形態においては水平として示されるニュートラル位置にトラックパッドを戻す。本実施形態において、補強材133及び筐体は、例えばアルミニウムにより製造されてもよい。
【0103】
本発明に係る別の入力デバイス135を図32及び図33に示す。本実施形態において、入力デバイス135は、トラック表面137、電極(又はPCB)層139及び補強材141を有する。補強材141は、コンピュータフレーム145の空隙143に部分的に延在する。トラップ147は、フレーム145の下側に取り付けられる。トラップ147は、補強材141の切欠き153に延在するX−Y位置合わせポスト151を有する。X−Y位置合わせポスト151は、切欠き153内に嵌入し、補強材141が自身の平面において移動しないようにする。オフセット155は、補強材141の最大の厚さと切欠き153との間の領域159及びトラップ147の先端部又は回動端部157に沿って延在する。ユーザがトラック表面137を押下した場合、補強材141は回動端部157を軸として回動する。オフセット155及び補強材厚さ遷移部159が存在することにより、入力デバイス135の下向きの一方向の回転が可能になる。図32に示すような正常状態でフレーム145内に入力デバイス135を保持し且つフレーム145の外側と同一平面にトラック表面137を維持するには、一方向の回転が望ましい。
【0104】
理解されるように、本明細書で説明する種々の可撓ヒンジの全てが押下可能なトラックパッドの厚さを非常に増加するわけではない。従って、本発明の可撓ヒンジのいずれかが極薄の応用例(ラップトップ、メディアデバイス、移動電話、ゲームプレーヤ等)で使用するのに特に適している。
【0105】
上述した種々のトラックパッドにおいて、種々の可撓ヒンジの固有の可撓性は、ユーザがボタン機能を動作するためにトラックパッドを押下していない時は常にトラックパッドをニュートラル位置に戻す。換言すると、上述のトラックパッドは、固有の可撓性によりニュートラル位置に付勢される。トラックパッドをニュートラル位置に付勢するのに磁気力を使用できる。磁気力は、唯一の付勢機構であるか、あるいは固有の可撓性により既存の付勢を増加できる。換言すると、説明した種々の可撓ヒンジから与えられた付勢を補足するために上述したいずれの入力デバイスに対しても磁石が使用可能である。
【0106】
上述した種々のトラックパッドにおいて、機械的ドームスイッチは、ユーザがボタン機能を動作させるためにトラックパッドを押下していない時は常にトラックパッドをニュートラル位置に戻すために主復元部材としての役割を果たす。上述した種々の可撓ヒンジの固有の可撓性は、トラックパッドをニュートラル位置に戻す。機械的ドームは、ピック事象に対してユーザに触覚フィードバックを提供する役割を果たす。トラックパッドをニュートラル位置に付勢し且つ/又は触覚フィードバックをユーザに提供するために磁気力を使用できる。磁気力は、唯一の付勢及び触覚機構であるか、あるいは機械的ドームスイッチ及び可撓ヒンジの固有の可撓性のために既存の付勢及びクリック感を向上できる。換言すると、ニュートラル位置への付勢及びクリック感を補足するために、上述したいずれの入力デバイスに対しても磁石が使用可能である。
【0107】
図34aを参照すると、磁気力を使用する入力デバイス161が示される。入力デバイス161は、トラック表面165を有するトラックパッド163を有する。本明細書で説明した他のトラックパッドのように、トラックパッド163はトラック表面165上の指の動きを検出及び処理するためにセンサ構成を有する。例えばトラックパッド163は、静電容量感知を採用してもよい。このために、トラックパッド163は静電容量感知のために電極層167(PCB上であってもよい)を有する。図示した実施形態において、トラックパッド163は、トラック表面165とは別個のピックゾーン169を有する。この場合、ユーザは追跡動作を実行するために(例えば、カーソルを移動するために)トラック表面165に対して指を動かし、ボタン機能性を動作するためにピックゾーン169を押下する。
【0108】
図34aにおいて、ニュートラル位置にある入力デバイス161を示す。磁石179とフランジ177との間の磁気引力は、ピックゾーン169をニュートラル位置に付勢し、ユーザがピックゾーン169を押下した時は常に作動位置(ボタン機能を動作するための)への移動を可能にする。ボタンアセンブリ171は、レベリングプレート173、可撓接続部175、フランジ177及びピックゾーン169から構成される。レベリングプレート173は、最適な薄さであり且つ軽量である相対的に剛性な材料、例えばスチールから構成される。レベリングプレート173は、例えばネジで接続された薄いスチールであってもよい可撓接続部175によりトラックパッド163に接続される。可撓接続部175は、図8、図10及び図12と関連して説明した可撓ヒンジ122と同様に湾曲可能である。別の実現例において、可撓接続部175は回動ピンアセンブリであってもよい。ボタンアセンブリ171は、ピックゾーン169において押下されると、屈曲するか又は可撓接続部175において回動し、動きセンサ(不図示)を動作させる。動きセンサは、静電容量センサ、近接センサ、ホール効果センサ、光学センサ、機械的メンブレンセンサ又は複数のセンサであってもよい。図34bにおいて、作動位置にある入力デバイス161を示す。
【0109】
磁石179は、どこに位置付けられてもよいが、図示した実施形態においては、フランジ177は、レベリングプレート173の端部に配置され且つ可撓接続部175により規定された回動点に対向する磁石179の真下に位置付けられる。フランジ177は、鉄金属又は磁気的に接続可能な他の材料であってもよい。磁石179は、例えば永久磁石又は電磁石であってもよい。図示した実施形態において、磁石179は入力デバイス161の筐体(不図示)に固定して接続される。別の実施形態において、179は、入力デバイス161が内蔵された電子デバイスの筐体(不図示)に固定されてもよい。この場合、磁石179は移動しないが、ピックゾーン169を押下しているユーザが磁石179とフランジ177との間の磁気引力に反してフランジ177はレベリングプレート173と共に移動する。別の実施形態(不図示)において、金属部分が固定されているが、その一方で磁石はレベリングプレート173と共に移動してもよい。換言すると、磁石179及びフランジ177は、図34に示したものと逆であってもよい。そのような実施形態において、フランジ177は別個の構成要素であってもよく、あるいは筐体(不図示)と一体化されてもよい。磁石179とフランジ177との間の磁気力は、所望のクリック感を達成するために、例えばより強い又は弱い永久磁石を使用することにより、磁石179及び/又はフランジ177のサイズ又は離間距離を変更することにより、あるいは調整可能な電磁石を使用することにより制御される。
【0110】
ピックゾーン169とは別個のトラック表面165を有するものとして入力デバイス161を図34に示すが、磁気バイアスは上述したような押下可能なトラック表面を有するトラックパッドに対して使用可能である。換言すると、磁石は押下可能なトラックパッドをニュートラル位置に付勢するために使用される。例えば磁石は、図7に示すトラックパッド100と共に使用されるか、あるいは図28〜図32に示す種々の可撓ヒンジと共に使用される。
【0111】
いくつかの実施形態に関して本発明を説明したが、本発明の範囲内の代替例、変更例及び等価物が存在する。尚、本発明の方法及び装置を実現する別の方法は多く存在する。従って、以下の添付の請求の範囲は、本発明の趣旨の範囲内となるような全ての代替例、変更例及び等価物を含むものとして解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力デバイスであって、
トラック表面を有するタッチセンシティブトラックパッドと、
力が前記トラック表面の実質的に任意の部分に加えられた時にニュートラル位置から作動位置への前記トラックパッドの変位を可能にし且つ前記作動位置から前記ニュートラル位置へ向けて前記トラックパッドを押し戻す力が加わるように、前記トラックパッドの一端に回動可能に接続された可撓ヒンジと、
を備え、
前記トラックパッドは、前記トラックパッドが前記作動位置にある時に第1の制御信号を生成し、オブジェクトが前記トラック表面に対して移動された時に第2の制御信号を生成する
ことを特徴とする入力デバイス。
【請求項2】
前記可撓ヒンジは、前記トラックパッドに接続された弾性プレートである
ことを特徴とする請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項3】
前記第1の制御信号はボタン信号であり、前記第2の制御信号はトラッキング信号である
ことを特徴とする請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項4】
フレームを更に備え、
前記トラックパッドは、前記フレームに対する前記トラックパッドの移動を可能にするように前記フレームに回動可能に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項5】
前記トラックパッドは、前記フレームの片持ち梁拡張部に接続される
ことを特徴とする請求項4に記載の入力デバイス。
【請求項6】
前記トラックパッドの動きを感知する動き指示器を更に備え、
前記第1の制御信号は、前記動き指示器によって感知される前記トラックパッドの動きに基づく
ことを特徴とする請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項7】
前記動き指示器は、前記トラックパッドが前記作動位置にある時に押下されるタクタイルスイッチである
ことを特徴とする請求項6に記載の入力デバイス。
【請求項8】
前記トラックパッドは、前記オブジェクトを感知するように構成されたタッチセンサ構成を含み、
前記第2の制御信号は、前記トラック表面に対する前記オブジェクトの位置に基づく
ことを特徴とする請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項9】
前記タッチセンサ構成は、静電容量センサを含む
ことを特徴とする請求項8に記載の入力デバイス。
【請求項10】
前記タッチセンサ構成は、電極層の上に配置された前記トラック表面を含んだ積層スタックであり、
前記電極層は、前記ニュートラル位置と前記作動位置との間で前記トラックパッドから変位するように構成される集積回路に対して電気的に接続される
ことを特徴とする請求項9に記載の入力デバイス。
【請求項11】
前記電極層は、前記可撓ヒンジを形成する片持ちの端部を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の入力デバイス。
【請求項12】
前記トラック表面は、誘電体材料から成る
ことを特徴とする請求項10に記載の入力デバイス。
【請求項13】
前記誘電体材料は、ガラスである
ことを特徴とする請求項12に記載の入力デバイス。
【請求項14】
前記電極層に接続された補強材を更に備える
ことを特徴とする請求項10に記載の入力デバイス。
【請求項15】
前記補強材は、前記可撓ヒンジを形成する片持ちの端部を有する
ことを特徴とする請求項14に記載の入力デバイス。
【請求項16】
前記フレームは、前記トラックパッドが前記ニュートラル位置にある時に前記トラック表面を前記フレームの隣接表面と実質的に同一平面に維持するように構成されたショルダー部を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の入力デバイス。
【請求項17】
前記ショルダー部に接続された衝撃吸収材を更に備える
ことを特徴とする請求項16に記載の入力デバイス。
【請求項18】
前記ニュートラル位置と前記作動位置との間の距離を調整可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項19】
前記トラックパッドは、複数のゾーンに区分けされる
ことを特徴とする請求項13に記載の入力デバイス。
【請求項20】
前記複数のゾーンは、ユーザにより選択可能であり、トラックゾーン及びピックゾーンを含む
ことを特徴とする請求項19に記載の入力デバイス。
【請求項21】
前記複数のゾーンを分離させる手段を更に備える
ことを特徴とする請求項19に記載の入力デバイス。
【請求項22】
前記複数のゾーンを分離させる前記手段は、LED側照明を含むテクスチャガラス表面、LED側照明を含むIRインク、エレクトロルミネッセンス、磁気インク又は二色のローリングワイヤによって形成される
ことを特徴とする請求項19に記載の入力デバイス。
【請求項23】
前記トラック表面は、アクティブマトリクスディスプレイである
ことを特徴とする請求項13に記載の入力デバイス。
【請求項24】
前記アクティブマトリクスディスプレイは、電子ペーパーを含む
ことを特徴とする請求項23に記載の入力デバイス。
【請求項25】
前記ニュートラル位置へ前記トラックパッドを押し戻す力を加える、前記トラックパッドに接続された磁石を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項26】
コンピューティングシステムであって、
データを受信、処理及び出力できるコンピューティングデバイスと、
前記コンピューティングデバイスにおいて動作を実行するために前記コンピューティングデバイスにデータを送出するように構成された入力デバイスと、
を備え、
前記入力デバイスは、可撓ヒンジにより前記コンピューティングデバイスに結合され且つトラッキング信号を生成するように構成された押下可能なタッチセンシティブトラックパッドと、前記トラックパッドが押下された時にボタン信号を生成するように構成された動き指示器と、を有する
ことを特徴とするコンピューティングシステム。
【請求項27】
前記動き指示器は、前記トラックパッドが押下された時に押下されるように構成されたタクタイルスイッチである
ことを特徴とする請求項26に記載のコンピューティングシステム。
【請求項28】
前記トラックパッドは、オブジェクトの動きを感知するように構成されたタッチセンサ構成を含み、
前記トラッキング信号は、前記トラックパッドに対する前記オブジェクトの位置に基づく
ことを特徴とする請求項26に記載のコンピューティングシステム。
【請求項29】
前記タッチセンサ構成は、静電容量センサを含む
ことを特徴とする請求項28に記載のコンピューティングシステム。
【請求項30】
前記トラックパッドは、ガラスディスプレイスクリーンを含む
ことを特徴とする請求項28に記載のコンピューティングシステム。
【請求項31】
移動電話又はメディアプレーヤである
ことを特徴とする請求項30に記載のコンピューティングシステム。
【請求項32】
ニュートラル位置へ前記トラックパッドを押し戻す力を加える、前記トラックパッドに接続された磁石を更に備える
ことを特徴とする請求項26に記載のコンピューティングシステム。
【請求項33】
低摩擦で高透過率のガラスを作製する方法であって、
(a)ガラス表面をエッチングして、複数のピークと、前記複数のピーク間の特徴的な第1のピーク対ピーク比と、を持つ微細なピッチのシード表面を形成するステップと、
(b)前記シード表面に対して酸を加えて、複数のピークと、前記第1のピーク対ピーク比よりも約10倍のオーダーで大きい第2のピーク対ピーク比と、を持つ最終的な表面を生成するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項34】
前記エッチングするステップは、ガラス表面を化学的に又は機械的にエッチングすることによって形成される
ことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記酸は、フッ化水素酸である
ことを特徴とする請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【図20F】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図25】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図24b】
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【図26】
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【公表番号】特表2012−504275(P2012−504275A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529063(P2011−529063)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/055591
【国際公開番号】WO2010/039383
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】