説明

追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法

【課題】太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を太陽軌道に対して容易かつ高精度に正対させるようにすることができる追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法を提供する。
【解決手段】追尾駆動型太陽光発電装置1は、太陽光を電力に変換する太陽電池パネル10と、太陽方位角φsおよび太陽高度θsに対応させて設定した旋回座標φ(旋回方向Roth)および傾倒座標θ(傾倒方向Rotv)に基づいて太陽軌道を追尾するように太陽電池パネル10の旋回位置および傾倒位置を追尾制御する追尾制御部13とを備える。太陽電池パネル10は、駆動部12によって旋回方向Rothおよび傾倒方向Rotvを制御される。駆動部12は、追尾制御部13から制御線13cを介して送信された旋回座標φおよび傾倒座標θに基づいて太陽軌道を追尾することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を電力に変換する太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を追尾制御する追尾制御部を備える追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーを電力に変換する太陽光発電装置が種々実用化されているが、発電容量を大きくして大電力を得るために、太陽の動き(太陽軌道)を追尾して太陽電池パネルを回動(追尾駆動)するタイプの追尾駆動型太陽光発電装置が開発されている。
【0003】
特に集光レンズを用いて太陽光を集光して発電する集光型太陽光発電装置は、太陽光を追尾駆動(追尾集光)することにより太陽電池素子の受光面に垂直に集光した太陽光を照射することができるので、発電効率が大きく向上するという利点がある。このような特長から、集光レンズを用いた追尾駆動型(追尾集光型)太陽光発電装置は、広大な面積を利用して設置することが可能な地域などで、電力供給(発電所)用に利用されつつある。
【0004】
従来の追尾駆動型太陽光発電装置として、支柱に取り付けられた太陽電池パネルを追尾駆動できるようにしたものが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
また、太陽電池パネルを太陽軌道に対向(正対)させるための位置合わせ制御方法(追尾制御方法)に対する提案も種々されている(例えば特許文献2ないし特許文献4参照。)。
【0006】
センサ(日射計)を用いて太陽光を追尾する場合は、センサを別途取り付け、また、センサの精度を確保する必要があるという問題がある。また、太陽電池の一部をセンサとして用いた場合は、発生電力を無駄にしてしまうという問題がある。
【0007】
また、センサを用いない場合は、設置精度を高精度にするため高度な設置作業が必要となるという問題がある。つまり、太陽電池パネルを太陽軌道に正対させる前提として、太陽電池パネルが支柱(支持部)を含めた駆動部に高精度に位置決めして設置されることが必要である。
【0008】
図7は、従来の追尾駆動型太陽光発電装置の概要を示す斜視図である。
【0009】
図に示した追尾駆動型太陽光発電装置は、追尾駆動可能な太陽電池パネル110を備える。つまり、太陽電池パネル110は、支柱111によって保持され、支柱111の天面に設けられた駆動部112によって旋回方向Roth(旋回座標φ)および傾倒方向Rotv(傾倒座標θ)を制御される。
【0010】
駆動部112は、旋回駆動部(不図示)および傾倒駆動部(不図示)を備え、追尾制御部113から制御線113cを介して送信された旋回座標φ(旋回方向Roth)および傾倒座標θ(傾倒方向Rotv)に基づいて太陽軌道を追尾する。
【0011】
支柱111は、大地に対して垂直方向に立設されるが、現実に完全な垂直方向とすることは困難であり、多少の傾きを有する。また、駆動部112は、太陽電池パネル110の旋回方向Roth、傾倒方向Rotvを制御することから、基準(大地)に対して予め高精度に位置決めすることが必要であった。
【0012】
基準に対して駆動部112を高精度に位置決めするために、駆動部112の位置決めは、例えば、方位計、傾斜計、GPSなどを適用して実施される(例えば特許文献4参照。)。したがって、駆動部112の位置決めは、多くの労力と長い時間が必要であった。つまり、1台の追尾駆動型太陽光発電装置を設置する場合でも設置作業に過大な労力とコストが必要となるという問題があった。また、多数の太陽電池パネル110を備えた追尾駆動型太陽光発電システムとする場合には設置すること自体が困難になる状況があった。
【0013】
つまり、従来の追尾駆動型太陽光発電装置では、高精度に動作する信頼性の高いセンサが必要になる。あるいは高精度に位置決めする設置作業が必要になるなど設置上の問題があった。
【特許文献1】特開平11−284217号公報
【特許文献2】特開平8−241125号公報
【特許文献3】特開2002−202817号公報
【特許文献4】特開2007−19331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、太陽方位角に対する旋回座標の位置ズレをパネル出力が最大値となる旋回座標によって検出し、太陽高度に対する傾倒座標の位置ズレをパネル出力が最大値となる傾倒座標によって検出することにより、太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を太陽軌道(太陽方位角および太陽高度)に対して容易かつ高精度に正対させるようにすることができる追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法は、太陽光を電力に変換する太陽電池パネルと、太陽方位角および太陽高度に対応させて設定した旋回座標および傾倒座標に基づいて太陽軌道を追尾するように太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を追尾制御する追尾制御部とを備える追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、太陽方位角に対応する第1旋回座標に関連させて設定された第1旋回検出範囲で旋回座標を順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対旋回座標を検出させる第1正対旋回座標検出過程と、太陽高度に対応する第1傾倒座標に関連させて設定された第1傾倒検出範囲で傾倒座標を順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対傾倒座標を検出させる第1正対傾倒座標検出過程とを備えることを特徴とする。
【0016】
この構成により、太陽方位角に対する旋回座標(第1旋回座標)の位置ズレを第1正対旋回座標によって検出し、太陽高度に対する傾倒座標(第1傾倒座標)の位置ズレを第1正対傾倒座標によって検出することが可能となることから、太陽方位角に対する旋回座標(第1正対旋回座標)の位置ズレおよび太陽高度に対する傾倒座標(第1正対傾倒座標)の位置ズレを併せて補正することによって、太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を太陽軌道(太陽方位角および太陽高度)に対して容易かつ高精度に正対させるようにすることができる。
【0017】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第1旋回検出範囲は、第1旋回座標を第1旋回検出基準座標とし、第1旋回検出基準座標の順逆両方向へ予め規定された第1旋回変位角を適用して設定された第1旋回検出開始座標から第1旋回検出終了座標までとされ、第1傾倒検出範囲は、第1傾倒座標または第1傾倒座標に経時補正を施した第1経時傾倒補正座標を第1傾倒検出基準座標とし、第1傾倒検出基準座標の順逆両方向へ予め規定された第1傾倒変位角を適用して設定された第1傾倒検出開始座標から第1傾倒検出終了座標までとされることを特徴とする。
【0018】
この構成により、第1旋回検出範囲および第1傾倒検出範囲を容易かつ高精度に設定することが可能となり、容易かつ高精度に第1正対旋回座標および第1正対傾倒座標を検出することができる。
【0019】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程で検出した第1正対旋回座標へ旋回座標を整合させる第1正対旋回座標整合過程を実行させた後、第1正対傾倒座標検出過程を実行させる構成としてあることを特徴とする。
【0020】
この構成により、太陽電池パネルを旋回方向で太陽軌道に対して正対状態とさせて傾倒座標(第1傾倒座標)の位置ズレを検出することが可能となることから、正確に第1正対傾倒座標を検出することができる。
【0021】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第1正対傾倒座標検出過程を実行する前に、時間の経過による太陽高度の高度変化分を反映させた経時補正を第1傾倒座標に施した第1経時傾倒補正座標が算出され、第1傾倒検出基準座標は、第1傾倒座標から第1経時傾倒補正座標へ予め置換されていることを特徴とする。
【0022】
この構成により、時間の経過による太陽高度の高度変化分を傾倒座標に反映させて算出した第1経時傾倒補正座標を適用して第1正対傾倒座標検出過程を実行させることが可能となることから、第1正対傾倒座標を短時間で高精度に検出することができる。
【0023】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、目標とする太陽方位角を目標太陽方位角、目標とする太陽高度を目標太陽高度として特定し、予め設定された演算式を用いて目標太陽方位角および目標太陽高度を旋回座標および傾倒座標での目標旋回座標および目標傾倒座標に座標変換し、目標旋回座標および目標傾倒座標に対して第1正対旋回座標および第1正対傾倒座標に基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標および目標補正傾倒座標を適用して太陽電池パネルを駆動する構成としてあることを特徴とする。
【0024】
この構成により、第1正対旋回座標および第1正対傾倒座標に基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標および目標補正傾倒座標を適用して太陽電池パネルを駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネルを駆動することが可能となる。
【0025】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電圧によって行われる構成としてあることを特徴とする。
【0026】
この構成により、位置ズレが比較的大きい場合でも、パネル出力を容易に簡単な構成で検出することが可能となる。
【0027】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてあることを特徴とする。
【0028】
この構成により、パネル出力を簡単な構成で高精度に検出することが可能となる。
【0029】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第1正対旋回座標に関連させて設定された第2旋回検出範囲で旋回座標を順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第2正対旋回座標を検出させる第2正対旋回座標検出過程と、第1正対傾倒座標に関連させて設定された第2傾倒検出範囲で傾倒座標を順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第2正対傾倒座標を検出させる第2正対傾倒座標検出過程とを備えることを特徴とする。
【0030】
この構成により、太陽方位角に対する第1正対旋回座標の位置ズレを第1旋回検出範囲より小さい第2旋回検出範囲で検出した第2正対旋回座標によって高精度に検出し、太陽高度に対する第1正対傾倒座標の位置ズレを第1傾倒検出範囲より小さい第2傾倒検出範囲で検出した第2正対傾倒座標によって高精度に検出することが可能となることから、太陽方位角に対する旋回座標(第2正対旋回座標)の位置ズレおよび太陽高度に対する傾倒座標(第2正対傾倒座標)の位置ズレを併せて補正することによって、太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を太陽軌道に対して容易かつさらに高精度に正対させるようにすることができる。
【0031】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第2旋回検出範囲は、第1正対旋回座標または第1正対旋回座標に経時補正を施した第1経時旋回補正座標を第2旋回検出基準座標とし、第2旋回検出基準座標の順逆両方向へ第1旋回変位角より予め小さく規定された第2旋回変位角を適用して設定された第2旋回検出開始座標から第2旋回検出終了座標までとして設定され、第2傾倒検出範囲は、第1正対傾倒座標または第1正対傾倒座標に経時補正を施した第2経時傾倒補正座標を第2傾倒検出基準座標とし、第2傾倒検出基準座標の順逆両方向へ第1傾倒変位角より予め小さく規定された第2傾倒変位角を適用して設定された第2傾倒検出開始座標から第2傾倒検出終了座標までとして設定されることを特徴とする。
【0032】
この構成により、第2旋回検出範囲および第2傾倒検出範囲を第1旋回検出範囲および第1傾倒検出範囲より小さい範囲に設定することが可能となることから、第2正対旋回座標および第2正対傾倒座標を第1正対旋回座標および第1正対傾倒座標に比較してさらに高精度に検出することができる。
【0033】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第2正対旋回座標検出過程を実行する前に、時間の経過による太陽方位角の方位角変化分を反映させた経時補正を第1正対旋回座標に施した第1経時旋回補正座標が算出され、第2旋回検出基準座標は、第1正対旋回座標から第1経時旋回補正座標へ予め置換されていることを特徴とする。
【0034】
この構成により、時間の経過による太陽方位角の方位角変化分を第1正対旋回座標に反映させて算出した第1経時旋回補正座標を適用して以降の処理(第2動作パターン)を実行させることが可能となることから、第2正対旋回座標を短時間で高精度に検出することができる。
【0035】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第2正対旋回座標検出過程で検出した第2正対旋回座標へ旋回座標を整合させる第2正対旋回座標整合過程を実行させた後、第2正対傾倒座標検出過程を実行させることを特徴とする。
【0036】
この構成により、太陽電池パネルを旋回方向で太陽軌道に対して正対状態とさせて傾倒座標の位置ズレを検出することが可能となることから、正確に第2正対傾倒座標を検出することができる。
【0037】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第2正対傾倒座標検出過程を実行する前に、時間の経過による太陽高度の高度変化分を反映させた経時補正を第1正対傾倒座標に施した第2経時補正傾倒座標が算出され、第2傾倒検出基準座標は、第1正対傾倒座標から第2経時傾倒補正座標へ予め置換されていることを特徴とする。
【0038】
この構成により、経過時間による太陽高度θの高度変化分を第1正対傾倒座標に反映させて算出した第2経時補正傾倒座標を適用して第2正対傾倒座標検出過程を実行させることが可能となることから、第2正対傾倒座標を短時間で高精度に検出することができる。
【0039】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、目標とする太陽方位角を目標太陽方位角、目標とする太陽高度を目標太陽高度として特定し、予め設定された演算式を用いて目標太陽方位角および目標太陽高度を旋回座標および傾倒座標での目標旋回座標および目標傾倒座標に座標変換し、目標旋回座標および目標傾倒座標に対して第2正対旋回座標および第2正対傾倒座標に基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標および目標補正傾倒座標を適用して太陽電池パネルを駆動する構成としてあることを特徴とする。
【0040】
この構成により、第2正対旋回座標および第2正対傾倒座標に基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標および目標補正傾倒座標を適用して太陽電池パネルを駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネルを駆動することが可能となる。
【0041】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電圧によって行われ、第2正対旋回座標検出過程および第2正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてあることを特徴とする。
【0042】
この構成により、前の過程(第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程)では電圧によって簡単にパネル出力を検出し、後の過程(第2正対旋回座標検出過程および第2正対傾倒座標検出過程)では電流によって高精度にパネル出力を検出することが可能となり、太陽方位角に対する旋回座標および傾倒座標の位置ズレの検出を容易かつ高精度に実行することができる。
【0043】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出、および、第2正対旋回座標検出過程および第2正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてあることを特徴とする。
【0044】
この構成により、前の過程(第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程)、および、後の過程(第2正対旋回座標検出過程および第2正対傾倒座標検出過程)共に電流によって高精度にパネル出力を検出することが可能となり、太陽方位角に対する旋回座標および傾倒座標の位置ズレの検出を容易かつ高精度に実行することができる。
【0045】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第2正対旋回座標に関連させて設定された第3旋回検出範囲で旋回座標を順次変更させて太陽電池パネルの旋回位置を制御し、パネル出力が最大値となる第3正対旋回座標を検出させる第3正対旋回座標検出過程と、第2正対傾倒座標に関連させて設定された第3傾倒検出範囲で傾倒座標を順次変更させて太陽電池パネルの傾倒位置を制御し、パネル出力が最大値となる第3正対傾倒座標を検出させる第3正対傾倒座標検出過程とを備え、第3旋回検出範囲は、第2正対旋回座標または第2正対旋回座標に経時補正を施した第2経時旋回補正座標を第3旋回検出基準座標とし、第3旋回検出基準座標の順逆両方向へ第2旋回変位角より予め小さく規定された第3旋回変位角を適用して設定された第3旋回検出開始座標から第3旋回検出終了座標までとして設定され、第3傾倒検出範囲は、第2正対傾倒座標または第2正対傾倒座標に経時補正を施した第3経時傾倒補正座標を第3傾倒検出基準座標とし、第3傾倒検出基準座標の順逆両方向へ第2傾倒変位角より予め小さく規定された第3傾倒変位角を適用して設定された第3傾倒検出開始座標から第3傾倒検出終了座標までとして設定されることを特徴とする。
【0046】
この構成により、第3旋回検出範囲を第2旋回検出範囲より小さい範囲に設定し、第3傾倒検出範囲を第2傾倒検出範囲より小さい範囲に設定することが可能となることから、第3正対旋回座標および第3正対傾倒座標を第2正対旋回座標および第2正対傾倒座標に比較してさらに高精度に検出し、太陽方位角に対する旋回座標(第3正対旋回座標)の位置ズレおよび太陽高度に対する傾倒座標(第3正対傾倒座標)の位置ズレを高精度に補正することによって、太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を太陽軌道に対して容易かつさらに高精度に正対させるようにすることができる。
【0047】
また、本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法では、第3正対旋回座標検出過程および第3正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてあることを特徴とする。
【0048】
この構成により、パネル出力の最大値の検出を電流によって複数回実行することが可能となり、太陽方位角に対する旋回座標および傾倒座標の微小な位置ズレ状態でのパネル出力の検出を容易かつ高精度に実行することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法によれば、太陽光を電力に変換する太陽電池パネルと、太陽方位角および太陽高度に対応させて設定した旋回座標および傾倒座標に基づいて太陽軌道を追尾するように太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を追尾制御する追尾制御部とを備える追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、太陽方位角に対応する第1旋回座標に関連させて設定された第1旋回検出範囲で旋回座標を順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対旋回座標を検出させる第1正対旋回座標検出過程と、太陽高度に対応する第1傾倒座標に関連させて設定された第1傾倒検出範囲で傾倒座標を順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対傾倒座標を検出させる第1正対傾倒座標検出過程とを備えることから、太陽方位角に対する旋回座標(第1旋回座標)の位置ズレを第1正対旋回座標によって検出し、太陽高度に対する傾倒座標(第1傾倒座標)の位置ズレを第1正対傾倒座標によって検出する。
【0050】
したがって、太陽方位角に対する旋回座標(第1正対旋回座標)の位置ズレおよび太陽高度に対する傾倒座標θ(第1正対傾倒座標)の位置ズレを併せて補正することによって、太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を太陽軌道(太陽方位角および太陽高度)に対して容易かつ高精度に正対させるようにすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0052】
<実施の形態1>
図1Aないし図1Cに基づいて、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法について説明する。
【0053】
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る追尾駆動型太陽光発電装置の稼動状態での概略構成を示すブロック図である。
【0054】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1は、太陽光を電力に変換する太陽電池パネル10と、太陽方位角φsおよび太陽高度θsに対応させて設定した旋回座標φ(旋回方向Roth)および傾倒座標θ(傾倒方向Rotv)に基づいて太陽軌道を追尾するように太陽電池パネル10の旋回位置および傾倒位置を追尾制御する追尾制御部13とを備える。
【0055】
また、太陽電池パネル10は、支柱11によって保持され、支柱11の天面に設けられた駆動部12によって旋回方向Roth(旋回座標φ)および傾倒方向Rotv(傾倒座標θ)を制御される。駆動部12は、旋回駆動部(不図示)および傾倒駆動部(不図示)を備え、追尾制御部13から制御線13cを介して送信された旋回座標φ(旋回方向Roth)および傾倒座標θ(傾倒方向Rotv)に基づいて太陽軌道を追尾することが可能となる。
【0056】
追尾制御部13は、通信線13bを介してパーソナルコンピュータ30(PC:Personal Computer)から供給されたデータに応じて旋回座標φ(旋回方向Roth)および傾倒座標θ(傾倒方向Rotv)を駆動部12へ供給する。つまり、パーソナルコンピュータ30は、太陽座標(太陽方位角φsおよび太陽高度θs)をデータとして保有し、太陽座標に対応させて制御座標(旋回座標φおよび傾倒座標θ)を生成する構成としてある。
【0057】
太陽電池パネル10で発生した電力は、電力線20bを介して電力モニタ盤20に入力され、電力モニタ盤20から電力線20cを介して負荷としてのインバータ40へ出力される。電力モニタ盤20は、電力線20bとの間に設置され太陽電池パネル10に対する接続の開閉を実行する開閉器21、発生した電力の状況を検出する検出回路22、電力線20cとの間に設置されインバータ40に対する接続の開閉を実行する出力側遮断器25を備える。
【0058】
検出回路22は、発生した電力の大きさを電流で検出するための電流検出抵抗23、発生した電力の大きさを電圧で検出するための電圧検出抵抗24を備える。電流検出抵抗23で検出された電流(アナログ値)および電圧検出抵抗24で検出された電圧(アナログ値)は、アナログデジタル変換を実行するA/D変換部26へ伝達され、パーソナルコンピュータ30での処理が可能となる形態のデジタル値に変換される。
【0059】
デジタル値に変換された電流データおよび電圧データは、検出線22bを介してパーソナルコンピュータ30へ送信され、電力発生状況を監視できる構成としてある。つまり、パーソナルコンピュータ30は、稼動中の運転管理を実行する構成としてある。例えば、監視中にデータ異常(発電異常)が発生した場合には、予め組み込んであるコンピュータプログラムによって、警告を出力するような構成にしておくことも可能である。
【0060】
なお、本実施の形態では、1台の太陽電池パネル10に対して1台の電力モニタ盤20を配置した状態としてあるが、電力モニタ盤20は、複数の太陽電池パネル10を接続することが可能な構成としてある(図6A、図6B参照)。
【0061】
また、1台あるいは数台の太陽電池パネル10を直接インバータ40に接続して稼動するような場合は、電力モニタ盤20を適用しないで、それぞれの太陽電池パネル10に対して個別に検出回路22を接続して稼動させることも可能である。
【0062】
図1Bは、本発明の実施の形態1に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法を実行するときの概略構成を示すブロック図である。
【0063】
同図は、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法を実行するときの各構成ブロックの接続状態を示す。つまり、太陽方位角φsに対する旋回座標φの位置ズレおよび太陽高度θsに対する傾倒座標θの位置ズレをそれぞれ検出し、位置ズレに対する補正を施すときの各構成ブロックの接続状態を示す。基本的な構成は図1Aに示した稼動状態の場合と同様であるので、主に異なる事項について説明する。
【0064】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法(位置ズレの検出、位置ズレの補正)では、インバータ40の代わりに模擬負荷41を接続する。模擬負荷41は、例えば抵抗で構成することによって安定した負荷状態とすることが可能となることから、安定した位置ズレの検出、および、位置ズレの補正を実施することが可能となる。
【0065】
インバータ40と模擬負荷41の切り替えは、開閉器21、出力側遮断器25を開状態(OFF)として太陽電池パネルからの電力の供給を排除した状態のもとで、安全に行なうことが可能である。なお、開閉器21および出力側遮断器25の開状態(OFF)/閉状態(ON)の切り替えは、パーソナルコンピュータ30からの指示を制御線(不図示)を介して開閉器21および出力側遮断器25へ伝達することによって実行できるが、手動式とすることも可能である。
【0066】
また、パーソナルコンピュータ30には稼動用プログラム(図1Aの稼動状態で利用するコンピュータプログラム)と補正用プログラム(図1Bの補正状態で利用するコンピュータプログラム)を併せて組み込んでおくことが可能である。したがって、稼動時のパーソナルコンピュータ30と、補正時のパーソナルコンピュータ30とは同一の装置を適用することが可能である。
【0067】
なお、同一の装置とせずに、稼動時と補正時とでは、別の相互に異なるパーソナルコンピュータを適用することも可能である。また、パーソナルコンピュータ30に対する追尾制御部13、A/D変換部26の接続は、例えばUSB端子などを適用して適宜切り替えて実行することが可能であるので詳細な説明は省略する。
【0068】
図1Bの接続状態で、位置ズレを検出するためのコンピュータプログラム、検出した位置ズレに基づいて位置ズレを補正するためのコンピュータプログラムを実行する。なお、コンピュータプログラムは、予めパーソナルコンピュータ30に組み込んでおき、パーソナルコンピュータ30の表示画面にメニューを表示させ、メニュー(メニューボタン)から対応する指示ボタンを選択して実行させる形態とすることが可能である。
【0069】
また、パーソナルコンピュータ30を専用装置として設定することによって、指示に対応する専用の操作ボタンを備えた形態とすることも可能である。
【0070】
図1Bに示した接続状態の追尾駆動型太陽光発電装置1で実行される追尾制御方法(位置ズレ検出、位置ズレ補正)の内容については、実施の形態2で詳細を説明する。
【0071】
図1Cは、本発明の実施の形態1に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法の実行に適用されるパーソナルコンピュータの概略構成を示すブロック図である。
【0072】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1に適用されるパーソナルコンピュータ30は、例えばメニューを介して選択された指示を実行するための制御部として機能するCPU(Central Processig Unit)31を備え、CPU31にプログラムメモリ32、データメモリ33、RTC(Real Time Clock)34、表示部35、検出データ入力部36、制御データ出力部37がバス31bを介して接続されている。
【0073】
プログラムメモリ32には、追尾駆動型太陽光発電装置1を稼動させるときの追尾制御方法を実行する稼動プログラム、追尾駆動型太陽光発電装置1の位置ズレの検出、位置ズレの補正を実行するときの位置ズレ検出/補正プログラムが予めインストールしてある。
【0074】
データメモリ33には、緯度、経度に対応する位置情報、位置情報と時刻情報に基づいて確定された太陽軌道に対応する太陽座標(太陽方位角φs、太陽高度θs)のデータ、位置ズレ量などのデータが記憶されている。
【0075】
RTC(Real Time Clock)34は、現在の時刻、年月日を発生する電子部品である。時刻データを提供することから、時刻に対応させた太陽座標を高精度に提供することが可能となる。
【0076】
表示部35は、例えばメニュー画面を表示し、追尾制御方法としての稼動状態での操作、追尾制御方法としての位置ズレ検出状態、位置ズレ補正状態での操作などを選択できる構成としてある。
【0077】
検出データ入力部36には、電流検出抵抗23で検出された電流データ、電圧検出抵抗24で検出されて電圧データがA/D変換部26を介してデジタルデータとして入力される。CPU31は、入力された電流データ、電圧データに基づいて、太陽に正対する制御座標(旋回座標φ、傾倒座標θ)を求めることが可能となる。
【0078】
電流データ、電圧データの取得は、パネル出力(CPU31に入力された電流データ、電圧データ)を例えば1秒毎にサンプリングしてサンプリングデータをデータメモリ33に蓄積し、パーソナルコンピュータ30で演算して求めることが可能である。
【0079】
なお、太陽電池パネル10(太陽電池)は、太陽光の照射量が変化する場合、出力される電圧の変化は小さく、出力される電流の変化は大きいという特性を有する。したがって、電圧で検出する場合は、例えば検出された最大値に対して測定電圧が95%以上となった期間(旋回座標φ、傾倒座標θ)の中央の位置での座標を検出結果とすることが可能である。また、電流で検出する場合は、例えば検出された最大値に対応する位置(旋回座標φ、傾倒座標θ)の座標を検出結果とすることが可能である。つまり、太陽光の変動による影響を抑制して電圧データ、電流データを検出する構成とすることが可能となる。
【0080】
制御データ出力部37は、求めた太陽に正対する制御座標(旋回座標φ、傾倒座標θ。例えば、後述する第1正対旋回座標φ1m、第1正対傾倒座標θ1m)と太陽座標(太陽方位角φs、太陽高度θs)との差(太陽電池パネル10の位置ズレを生じさせる制御座標の位置ズレ)に基づいて補正した新たな制御座標(旋回座標φ、傾倒座標θ)を追尾制御部13へ出力することが可能となる。
【0081】
<実施の形態2>
図2Aないし図2Cに基づいて、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法(位置ズレ検出/補正プログラムを適用した追尾制御方法)について説明する。
【0082】
図2Aは、本発明の実施の形態2に係る追尾駆動型太陽光発電装置の位置ズレを検出して補正するときの第1動作パターンの処理フロー状態を示すフローチャートである。
【0083】
図2Bは、図2Aで示した第1動作パターンでの制御座標の移動状態に対応する詳細情報を示す一覧図表である。
【0084】
図2Cは、図2Aで示した第1動作パターンでの制御座標の移動状態を座標で示す座標図である。
【0085】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法(位置ズレ検出/補正プログラムを適用した追尾制御方法)は、例えばステップS1ないしステップS10を含む処理フロー(第1動作パターン)によって実行される構成としてある。なお、以下のステップS1ないしステップS10は、上述したとおり、パーソナルコンピュータ30にインストールしたコンピュータプログラムによって実行される構成としてある。
【0086】
ステップS1(過程S1):
位置ズレ検出/補正プログラムを適用した追尾制御方法を実行(開始)する時刻T1に対応して太陽座標(太陽方位角φs、太陽高度θs)が特定される。
【0087】
例えば、時刻T1としての午前10時00分00秒(以下、時分秒は単に時刻「10:00:00」の形式で示す。)にプログラムを開始する場合、太陽軌道に対応させて例えば「太陽方位角φs@T1=−30度、太陽高度θs@T1=50度」が特定される。なお、旋回座標φおよび太陽方位角φsは、南中(真南)を0度としてある。
【0088】
太陽座標に対応させて設定される制御座標(旋回座標φ、傾倒座標θ)は、位置ズレの補正をする前であるから、太陽座標の値がそのまま設定(適用)されている。つまり、太陽方位角φsに対応する第1旋回座標φ1(φ1=−30度)および太陽高度θsに対応する第1傾倒座標θ1(θ1=50度)へ旋回座標φおよび傾倒座標θが変更される。
【0089】
したがって、制御座標は、時刻T1で位置P1に配置される。また、太陽電池パネル10の旋回位置は、旋回座標φに従って移動し、太陽電池パネル10の傾倒位置は、傾倒座標θに従って移動する。つまり、制御座標を変更することによって、太陽電池パネル10の方向が制御される。
【0090】
ステップS2(過程S2):
傾倒座標θを第1傾倒座標θ1(θ1=50度)に固定した状態で、旋回座標φを第1旋回座標φ1(φ1=−30度)からマイナス方向へ第1旋回変位角dφ1(dφ1=15度)で移動させ、第1旋回検出開始座標(φ1−dφ1)(φ1−dφ1=−30−15=−45)へ変更する。
【0091】
つまり、旋回座標φを位置P1(第1旋回座標φ1)から、位置P2(第1旋回検出開始座標(φ1−dφ1))へ移動させる。このとき、位置P2へ移動した時刻T2は、例えば時刻「10:00:30」であった。移動に要する時刻は、駆動部12の駆動速度(太陽電池パネル10を移動させるときの駆動速度)に応じて変化するが、駆動部12の駆動速度は要求される機能に対応させて予め設定してある。
【0092】
ステップS3(過程S3):
第1傾倒座標θ1(θ1=50度)を固定した状態で、旋回座標φを第1旋回検出開始座標(φ1−dφ1)(φ1−dφ1=−45度)から第1旋回検出終了座標(φ1+dφ1)(φ1+dφ1=−30+15=−15度)へ順次変更する。
【0093】
つまり、旋回座標φを位置P2(第1旋回検出開始座標(φ1−dφ1))から、位置P3(第1旋回検出終了座標(φ1+dφ1))へ移動させる。このとき、位置P3へ移動した時刻T3は、例えば時刻「10:01:30」であった。
【0094】
本ステップでは、旋回座標φの変更に併せて、A/D変換部26から送信されたパネル出力(太陽電池パネル10の出力)が最大値となる第1正対旋回座標φ1mを検出させる(第1正対旋回座標検出過程)。例えば、第1正対旋回座標φ1m=−25度を検出したものとする。
【0095】
なお、パネル出力の最大値は、電圧あるいは電流の形態で検出することが可能である。つまり、パネル出力が最大値となる第1正対旋回座標φ1mは、例えば電圧検出抵抗24で検出された電圧が最大値となるときの旋回座標φによって求めることが可能である。また、電流検出抵抗23で検出された電流が最大値となるときの旋回座標φによって求めても良い。
【0096】
本ステップでは、太陽方位角φsに対応する第1旋回座標φ1に関連させて設定された第1旋回検出範囲(例:(φ1−dφ1)〜(φ1+dφ1))で旋回座標φを順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対旋回座標φ1mを検出させる。
【0097】
なお、第1旋回検出範囲は、第1旋回座標φ1(=−30度)を第1旋回検出基準座標とし、第1旋回検出基準座標の順逆両方向へ予め規定された第1旋回変位角dφ1(=15度)を適用して設定された第1旋回検出開始座標(例:φ1−dφ1:位置P2)から第1旋回検出終了座標(例:φ1+dφ1:位置P3)までとして設定される。
【0098】
ステップS4(過程S4):
第1傾倒座標θ1(θ1=50度)を固定した状態で、第1正対旋回座標検出過程S3で検出したパネル出力が最大となる第1正対旋回座標φ1m(φ1m=−25度)へ旋回座標φを整合させる(第1正対旋回座標整合過程)。
【0099】
つまり、旋回座標φを位置P3から位置P4(第1正対旋回座標φ1m)へ移動させる。このとき、位置P4へ移動した時刻T4(第1正対旋回座標設定時刻)は、例えば時刻「10:01:55」であった。
【0100】
なお、旋回座標φを位置P4へ移動させずに、そのままの状態(位置P3)で、ステップS5を実行することも可能である。つまり、旋回座標φでパネル出力が最大値となる座標(第1正対旋回座標φ1m)への整合をしない場合、旋回座標φ=φ1+dφ1として、位置P3の傾倒座標θ方向で第1正対傾倒座標θ1m(ステップS7参照)を検出することとなる。
【0101】
ステップS5(過程S5):
第1傾倒座標θ1(θ1=50度)に経時補正を施して第1経時傾倒補正座標θ1t(θ1t=52度)を算出する。また、第1正対旋回座標φ1m(φ1m=−25度)を固定した状態で、傾倒座標θを第1傾倒座標θ1から第1経時傾倒補正座標θ1tへ変更する(第1経時傾倒補正過程)。
【0102】
つまり、旋回座標φを第1正対旋回座標φ1mに固定した状態で、傾倒座標θを変更して位置P4から、位置P5へ移動させる。このとき、位置P5へ移動した時刻T5は、例えば時刻「10:02:00」であった。
【0103】
すなわち、傾倒座標θを第1傾倒座標θ1とした時刻T1(10:00:00)から旋回座標φをφ=φ1mへ整合させたときの時刻T4(10:01:55)までの時間の経過による太陽高度θsの変化を考慮して、第1傾倒座標θ1に対して時刻経過分補正を施す(図2Bの注2参照)。
【0104】
したがって、太陽高度θs@T1(例:50度)に対する太陽高度θs@T4(例:52度)の高度変化分dθsを考慮して傾倒座標θ1を第1経時傾倒補正座標θ1t(位置P5:時刻T5)へ変更する。なお、変更先の第1経時傾倒補正座標θ1tは、高度変化分dθsをdθs=θs@T4−θs@T1=52−50=2度として求め、第1傾倒座標θ1に高度変化分dθsを加えて算出する(θ1t=θ1+dθs=50+2=52度)。
【0105】
上述したとおり、本ステップでは、後述する第1正対傾倒座標検出過程S7を実行する前に、時間の経過による太陽高度θsの高度変化分dθs(=2度)を反映させた経時補正を第1傾倒座標θ1に施した第1経時傾倒補正座標θ1tが算出され、第1傾倒検出基準座標(ステップS7参照)は、第1傾倒座標θ1から第1経時傾倒補正座標θ1tへ予め置換されている。
【0106】
この構成により、時間の経過による太陽高度θsの高度変化分dθsを傾倒座標θ1に反映させて算出した第1経時傾倒補正座標θ1tを適用して第1正対傾倒座標検出過程S7を実行させることが可能となることから、第1正対傾倒座標θ1mを短時間で高精度に検出することができる。
【0107】
本ステップによって傾倒座標θに対する経時補正を施した場合は、第1傾倒検出基準座標は、第1傾倒座標θ1(例:位置P4)から第1経時傾倒補正座標θ1t(例:位置P5)へと置換され、第1傾倒検出開始座標は傾倒座標(θ1−dθ1)に代えて傾倒座標(θ1t−dθ1)(位置P6)とされ、第1傾倒検出終了座標は傾倒座標(θ1+dθ1)に代えて傾倒座標(θ1t+dθ1)(位置P7)とされる。
【0108】
つまり、本ステップでの第1傾倒座標θ1(傾倒座標θ)に対する経時補正をしない場合、第1経時傾倒補正座標θ1tは第1傾倒座標θ1として(つまり、経時補正を施して第1経時傾倒補正座標θ1tとする前の第1傾倒座標θ1のままで)、以降の処理が施されることとなる。
【0109】
なお、本ステップ(第1経時傾倒補正過程)を実施しない場合は、第1経時傾倒補正座標θ1tは、設定されず、傾倒座標θは第1傾倒座標θ1のままである。したがって、第1傾倒検出開始座標は傾倒座標(θ1t−dθ1)(位置P6)ではなく傾倒座標(θ1−dθ1)となり、第1傾倒検出終了座標は傾倒座標(θ1t+dθ1)(位置P7)ではなく傾倒座標(θ1+dθ1)となる。
【0110】
ステップS6(過程S6):
第1正対旋回座標φ1m(φ1m=−25度)を固定した状態で、傾倒座標θを第1経時傾倒補正座標θ1t(θ1t=52度)からマイナス方向へ第1傾倒変位角dθ1(dθ1=5度)で移動させ、第1傾倒検出開始座標(θ1t−dθ1)(=52−5=47度)へ変更する。
【0111】
つまり、傾倒座標θを位置P5(第1経時傾倒補正座標θ1t)から、位置P6(第1傾倒検出開始座標(θ1t−dθ1))へ移動させる。このとき、位置P6へ移動した時刻T6は、例えば「10:02:30」であった。
【0112】
ステップS7(過程S7):
第1正対旋回座標φ1m(φ1m=−25度)を固定した状態で、傾倒座標θを第1傾倒検出開始座標(θ1t−dθ1)(=52−5=47度)から第1傾倒検出終了座標(θ1t+dθ1)(=52+5=57度)へ順次変更する。
【0113】
つまり、傾倒座標θを位置P6(第1傾倒検出開始座標(θ1t−dθ1))から、位置P7(第1傾倒検出終了座標(θ1t+dθ1))へ移動させる。このとき、位置P7へ移動した時刻T7は、例えば時刻「10:03:30」であった。
【0114】
本ステップでは、傾倒座標θの変更に併せて、A/D変換部26から送信されたパネル出力(太陽電池パネル10の出力)が最大値となる第1正対傾倒座標θ1mを検出させる(第1正対傾倒座標検出過程)。例えば、第1正対傾倒座標θ1m=53度を検出したものとする。
【0115】
なお、パネル出力が最大値となる第1正対傾倒座標θ1mは、例えば電圧検出抵抗24で検出された電圧が最大値となるときの旋回座標φによって求めることが可能である。また、電流検出抵抗23で検出された電流が最大値となるときの旋回座標φによって求めることも可能である。電圧または電流の検出方法は、ステップS3の場合と同様であるので説明は省略する(以下においても同様である)。
【0116】
本ステップでは、太陽高度θsに対応する第1傾倒座標θ1に関連させて設定された第1傾倒検出範囲(例:(θ1t−dθ1)〜(θ1t+dθ1))で傾倒座標θを順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対傾倒座標θ1mを検出させる。
【0117】
なお、傾倒座標θに対する経時補正(ステップS5)を実施しない場合には、ステップS5で述べたとおり、傾倒座標θ1tは傾倒座標θ1として(経時補正を施して第1経時傾倒補正座標θ1tとする前の傾倒座標θ1のままで)、処理が施されることとなる。つまり、第1傾倒検出範囲は、傾倒座標θを第1傾倒検出開始座標(θ1−dθ1)から第1傾倒検出終了座標(θ1+dθ1)までの範囲で移動させることとなる。
【0118】
したがって、第1傾倒検出範囲は、第1傾倒座標θ1(=50度)または第1傾倒座標θ1に経時補正を施した第1経時傾倒補正座標θ1t(=52度)を第1傾倒検出基準座標とし、第1傾倒検出基準座標の順逆両方向へ予め規定された第1傾倒変位角dθ1(=5度)を適用して設定された第1傾倒検出開始座標(例:(θ1t−dθ1:位置P6)または(θ1−dθ1:位置P6対応:不図示))から第1傾倒検出終了座標(例:(θ1t+dθ1:位置P7)または(θ1+dθ1:位置P7対応:不図示))までとして設定される。
【0119】
本ステップ(第1正対傾倒座標検出過程)は、第1正対旋回座標検出過程S3で検出した第1正対旋回座標φ1mへ旋回座標φを整合させる第1正対旋回座標整合過程S4を実行させた後、実行される構成としてある。
【0120】
この構成により、太陽電池パネルを旋回方向で太陽軌道に対して正対状態とさせて傾倒座標θ(第1傾倒座標θ1)の位置ズレを検出することが可能となることから、正確に第1正対傾倒座標θ1mを検出することができる。
【0121】
ステップS8(過程S8):
第1正対旋回座標φ1m(φ1m=−25度)を固定した状態で、第1正対傾倒座標検出過程で検出したパネル出力が最大となる第1正対傾倒座標θ1m(θ1m=53度)へ傾倒座標θを整合させる(第1正対傾倒座標整合過程)。つまり、傾倒座標θを位置P7から位置P8(第1正対傾倒座標θ1m)へ移動させる。このとき、位置P8へ移動した時刻T8(第1正対傾倒座標設定時刻)は、例えば「10:04:00」であった。
【0122】
ステップS9(過程S9):
第1正対旋回座標φ1m(φ1m=−25度)に経時補正を施して第1経時旋回補正座標φ1mt(φ1mt=−23度)を算出する。また、第1正対傾倒座標θ1m(θ1m=53度)を固定した状態で、旋回座標φを第1正対旋回座標φ1mから第1経時旋回補正座標φ1mtへ変更する(第1経時旋回補正過程)。
【0123】
つまり、傾倒座標θを第1正対傾倒座標θ1mに固定した状態で、旋回座標φを変更して位置P8から、位置P9へ移動させる。このとき、位置P9へ移動した時刻T9は、例えば時刻「10:04:05」であった。
【0124】
すなわち、旋回座標φを第1傾倒座標φ1とした時刻T1(10:00:00)から傾倒座標θを第1正対傾倒座標θ1mへ整合させたときの時刻T8(10:04:00)までの時間経過による太陽方位角φsの変化を考慮して、第1正対旋回座標φ1mに対して時刻経過分補正を施す(図2Bの注3参照)。
【0125】
したがって、太陽方位角φs@T1(例:−30度)に対する太陽方位角φs@T8(例:−28度)の方位角変化分dφsを考慮して第1正対旋回座標φ1mを第1経時旋回補正座標φ1mt(位置P9:時刻T9)へ変更する。なお、変更先の第1経時旋回補正座標φ1mtは、方位角変化分dφsをdφs=φs@T8−φs@T1=−28−(−30)=2度として求め、第1正対旋回座標φ1mに方位角変化分dφsを加えて算出する(φ1mt=φ1m+dφs=−25+2=−23度)。
【0126】
上述したとおり、本ステップでは、後述する第2正対旋回座標検出過程S22を実行する前に、時間の経過による太陽方位角φsの方位角変化分dφs(=2度)を反映させた経時補正を第1正対旋回座標φ1mに施した第1経時旋回補正座標φ1mtが算出され、第2旋回検出基準座標(ステップS22参照)は、第1正対旋回座標φ1mから第1経時旋回補正座標φ1mtへ予め置換されている。
【0127】
この構成により、時間の経過による太陽方位角φsの方位角変化分dφsを第1正対旋回座標φ1mに反映させて算出した第1経時旋回補正座標φ1mtを適用して以降の処理(第2動作パターン)を実行させることが可能となることから、第2正対旋回座標φ2mを短時間で高精度に検出することができる。
【0128】
本ステップによって旋回座標φに対する経時補正を施した場合は、第2旋回検出基準座標は、第1正対旋回座標φ1m(位置P8対応)から第1経時旋回補正座標φ1mt(位置P9対応)へと置換され、第2旋回検出開始座標は旋回座標(φ1m−dφ2)に代えて旋回座標(φ1mt−dφ2)(位置P21)とされ、第2旋回検出終了座標は旋回座標(φ1m+dφ2)に代えて旋回座標(φ1mt+dφ2)(位置P22)とされる。
【0129】
つまり、本ステップでの第1正対旋回座標φ1m(旋回座標φ)に対する経時補正をしない場合、第1経時旋回補正座標φ1mtは第1正対旋回座標φ1mとして(つまり、経時補正を施して第1経時旋回補正座標φ1mtとする前の第1正対旋回座標φ1mのままで)、以降の処理が施されることとなる。
【0130】
なお、本ステップ(第1経時旋回補正過程)を実施しない場合は、第1経時旋回補正座標φ1mtは、設定されず、旋回座標φは第1正対旋回座標φ1mのままである。したがって、第2旋回検出開始座標は旋回座標(φ1mt−dφ2)(位置P21)ではなく旋回座標(φ1m−dφ2)となり、第2旋回検出終了座標は旋回座標(φ1mt+dφ2)(位置P22)ではなく旋回座標(φ1m+dφ2)となる。
【0131】
上述したステップS1ないしステップS9で、第1正対旋回座標φ1mおよび第1正対傾倒座標θ1mを検出して、旋回座標φおよび傾倒座標θを第1正対旋回座標φ1mおよび第1正対傾倒座標θ1mに対応させることが可能となる。したがって、ステップS9の後、位置ズレ検出を終了して稼動状態とする場合は、ステップS10へ移行する。
【0132】
さらに高精度に位置ズレを検出する場合は、ステップS21ないしステップS29を含む処理フロー(第2動作パターン。図3Aないし図3C参照)へ移行する。第1動作パターンに継続して第2動作パターンを実行する形態は、メニュー選択方式として適宜実行させることが可能である。
【0133】
ステップS10(過程S10):
太陽方位角φsに対する旋回座標φの位置ズレを補正し、また、太陽高度θsに対する傾倒座標θの位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動する(補正駆動過程)。第1正対旋回座標φ1mおよび第1正対傾倒座標θ1mに基づく補正を施して太陽電池パネル10を駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動することが可能となる。
【0134】
なお、具体的な演算処理過程については、実施の形態5で説明する。
【0135】
また、ステップS9で第1正対旋回座標φ1m(旋回座標φ)に対する経時補正をしない場合、第1経時旋回補正座標φ1mtは第1正対旋回座標φ1mとして処理されることとなる。つまり、時刻T8に対応する太陽方位角φsと第1正対旋回座標φ1mとの差に基づいて旋回座標φの位置ズレを補正することとされる。
【0136】
なお、第1動作パターンは、設置時、保守管理時に実行することで高精度の位置合わせを太陽電池パネル10に対して容易かつ安価に施すことが可能となる。設置時に適用した場合は、設置作業を大幅に簡略化することが可能となり、設置工程のコストを大幅に削減することができる。
【0137】
また、設置時、保守管理時に限らず、定時毎に繰り返して実行する構成とすることも可能である。定時毎に繰り返して実行する場合は、異常発生を容易に検出することが可能となり、より高精度の制御態様とすることが可能となることから、さらに信頼性の高い追尾駆動型太陽光発電装置1とすることができる。
【0138】
第1動作パターンを実行するコンピュータプログラム(位置ズレ検出/補正プログラム)は、予め稼動プログラムと組み合わせてインストールすることが可能である。稼動プログラムに対して予め組み合わせておくことにより、稼動プログラムと第1動作パターンとを連系させた選択メニュー方式とすることが可能となり、簡単な指示で第1動作パターンを実行させ、第1動作パターンが終了した後、容易に稼動形態とすることができる。
【0139】
本実施の形態によれば、位置P8(時刻T8=10:04:05)で第1正対傾倒座標θ1mを設定し、位置P9(時刻T9=10:04:05)で第1経時旋回補正座標φ1mtを設定している。つまり、極めて短い時間にパネル出力が最大となる傾倒位置および旋回位置に制御座標を整合させることが可能となっている。したがって、極めて高精度の位置合わせを容易に短時間で実行することが可能となる。
【0140】
また、本実施の形態では、ステップS1の時刻T1(10:00:00)からステップS9の時刻T9(10:04:05)までの時間は、4分5秒であった。つまり、4分程度の短時間で、位置ズレの検出、さらには位置ズレの補正を実行することが可能となる。
【0141】
上述したとおり、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法(第1動作パターン)は、太陽光を電力に変換する太陽電池パネル10と、太陽方位角φsおよび太陽高度θsに対応させて設定した旋回座標φおよび傾倒座標θに基づいて太陽軌道を追尾するように太陽電池パネル10の旋回位置および傾倒位置を追尾制御する追尾制御部13とを備える追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法に関する。
【0142】
また、太本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、陽方位角φsに対応する第1旋回座標φ1に関連させて設定された第1旋回検出範囲(例:(φ1−dφ1)〜(φ1+dφ1))で旋回座標φを順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対旋回座標φ1mを検出させる第1正対旋回座標検出過程S3と、太陽高度θsに対応する第1傾倒座標θ1に関連させて設定された第1傾倒検出範囲(例:(θ1t−dθ1)〜(θ1t+dθ1))で傾倒座標θを順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対傾倒座標θ1mを検出させる第1正対傾倒座標検出過程S7とを備える。
【0143】
この構成により、太陽方位角φsに対する旋回座標φ(第1旋回座標φ1)の位置ズレを第1正対旋回座標φ1mによって検出し、太陽高度θsに対する傾倒座標θ(第1傾倒座標θ1)の位置ズレを第1正対傾倒座標θ1mによって検出することが可能となることから、太陽方位角φsに対する旋回座標φ(第1正対旋回座標φ1m)の位置ズレおよび太陽高度θsに対する傾倒座標θ(第1正対傾倒座標θ1m)の位置ズレをそれぞれ補正することによって、太陽電池パネル10の旋回位置および傾倒位置を太陽軌道(太陽方位角φsおよび太陽高度θs)に対して容易かつ高精度に正対させるようにすることができる。
【0144】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第1旋回検出範囲は、第1旋回座標φ1(=−30度)を第1旋回検出基準座標とし、第1旋回検出基準座標の順逆両方向へ予め規定された第1旋回変位角dφ1(=15度)を適用して設定された第1旋回検出開始座標(例:φ1−dφ1:位置P2)から第1旋回検出終了座標(例:φ1+dφ1:位置P3)までとされ、第1傾倒検出範囲は、第1傾倒座標θ1(=50度)または第1傾倒座標θ1に経時補正を施した第1経時傾倒補正座標θ1t(=52度)を第1傾倒検出基準座標とし、第1傾倒検出基準座標の順逆両方向へ予め規定された第1傾倒変位角dθ1(=5度)を適用して設定された第1傾倒検出開始座標(例:(θ1t−dθ1:位置P6)または(θ1−dθ1:位置P6対応:不図示))から第1傾倒検出終了座標(例:(θ1t+dθ1:位置P7)または(θ1+dθ1:位置P7対応:不図示))までとして設定される。
【0145】
この構成により、第1旋回検出範囲(=30度)および第1傾倒検出範囲(=10度)を容易かつ高精度に設定することが可能となり、容易かつ高精度に第1正対旋回座標φ1mおよび第1正対傾倒座標θ1mを検出することができる。
【0146】
また、第1動作パターンでは、第1旋回変位角φ1を±15度、第1傾倒変位角θ1を±5度といった比較的大きな角度に設定することが可能であり、支柱11および駆動部12を介しての太陽電池パネル10の設置精度は、第1旋回変位角φ1による第1旋回検出範囲での第1正対旋回座標φ1mの検出、第1傾倒変位角θ1による第1傾倒検出範囲での第1正対傾倒座標θ1mの検出が可能となる程度で良いことから、設置作業に要する時間と労力を大幅に軽減することが可能となる。つまり、設置時の位置合わせ精度が低い場合であっても高精度に位置合わせを施すことが可能となることから、設置作業の大幅に簡略化することができ設置コストを大幅に低減することができる。
【0147】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程S3で検出した第1正対旋回座標φ1mへ旋回座標φを整合させる第1正対旋回座標整合過程S4を実行させた後、第1正対傾倒座標検出過程S7を実行させる。
【0148】
この構成により、太陽電池パネル10を旋回方向で太陽軌道に対して正対状態とさせて傾倒座標θ(第1傾倒座標θ1)の位置ズレを検出することが可能となることから、正確に第1正対傾倒座標θ1mを検出することができる。
【0149】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第1正対傾倒座標検出過程S7を実行する前に、時間の経過による太陽高度θsの高度変化分dθs(=2度)を反映させた経時補正を第1傾倒座標θ1に施した第1経時傾倒補正座標θ1tが算出され、第1傾倒検出基準座標は、第1傾倒座標θ1から第1経時傾倒補正座標θ1tへ予め置換されている(第1経時傾倒補正過程S5)。
【0150】
この構成により、時間の経過による太陽高度θsの高度変化分dθsを傾倒座標θ1に反映させて算出した第1経時傾倒補正座標θ1tを適用して第1正対傾倒座標検出過程S7を実行させることが可能となることから、第1正対傾倒座標θ1mを短時間で高精度に検出することができる。
【0151】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、太陽方位角φsに対する旋回座標φの位置ズレを補正し、また、太陽高度θsに対する傾倒座標θの位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動する補正駆動過程S10を備える。したがって、第1正対旋回座標φ1mおよび第1正対傾倒座標θ1mに基づく補正を施して太陽電池パネル10を駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動することが可能となる。
【0152】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程S3および第1正対傾倒座標検出過程S7でのパネル出力の検出は、電圧によって行われる構成としてある。したがって、追尾ズレが比較的大きい場合でも、パネル出力を容易に簡単な構成で検出することが可能となる。
【0153】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程S3および第1正対傾倒座標検出過程S7でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてある。したがって、パネル出力を簡単な構成で高精度に検出することが可能となる。
【0154】
<実施の形態3>
図3Aないし図3Cに基づいて、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法(位置ズレ検出/補正プログラムを適用した追尾制御方法)について説明する。
【0155】
図3Aは、本発明の実施の形態3に係る追尾駆動型太陽光発電装置の位置ズレを検出して補正するときの第2動作パターンの処理フロー状態を示すフローチャートである。
【0156】
図3Bは、図3Aで示した第2動作パターンでの制御座標の移動状態に対応する詳細情報を示す一覧図表である。
【0157】
図3Cは、図3Aで示した第2動作パターンでの制御座標の移動状態を座標で示す座標図である。
【0158】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法(位置ズレ検出/補正プログラムを適用した追尾制御方法)は、例えばステップS21ないしステップS29を含む処理フロー(第2動作パターン)によって実行される構成としてある。なお、以下のステップS21ないしステップS29は、上述したとおり、パーソナルコンピュータ30にインストールしたコンピュータプログラムによって実行される構成としてある。
【0159】
なお、第2動作パターンは、実施の形態2の第1動作パターンでのステップS9(位置P9、時刻T9)の後に継続して実行される形態としてある。第1動作パターンに継続して第2動作パターンを実行する形態は、メニュー選択方式として適宜実行させることが可能である。また、第2動作パターンの基本的な構成、作用効果は第1動作パターンと同様であるので、主に異なる事項について説明する。
【0160】
ステップS21(過程S21):
第1正対傾倒座標θ1m(θ1m=53度)を固定した状態で、旋回座標φを第1経時旋回補正座標φ1mt(φ1mt=−23度)からマイナス方向へ第2旋回変位角dφ2(dφ2=5度)で移動させ、第2旋回検出開始座標(φ1mt−dφ2)(φ1mt−dφ2=−23ー5=−28度)へ変更する。
【0161】
つまり、旋回座標φを位置P9(第1経時旋回補正座標φ1mt)から、位置P21(第2旋回検出開始座標(φ1mt−dφ2))へ移動させる。このとき、位置P21へ移動した時刻T21は、例えば時刻「10:04:20」であった。
【0162】
ステップS22(過程S22):
第1正対傾倒座標θ1m(θ1m=53度)を固定した状態で、旋回座標φを第2旋回検出開始座標(φ1mt−dφ2)(φ1mt−dφ2=−28度)から第2旋回検出終了座標(φ1mt+dφ2)(φ1mt+dφ2=−23+5=−18度)へ順次変更する。
【0163】
つまり、旋回座標φを位置P21(第2旋回検出開始座標(φ1mt−dφ2))から、位置P22(第2旋回検出終了座標(φ1mt+dφ2))へ移動させる。このとき、位置P22へ移動した時刻T22は、例えば時刻「10:05:00」であった。
【0164】
本ステップでは、併せて、A/D変換部26から送信されたパネル出力(太陽電池パネル10の出力)が最大値となる第2正対旋回座標φ2mを検出させる(第2正対旋回座標検出過程)。
【0165】
例えば、第2正対旋回座標φ2m=−26度を検出したものとする。なお、パネル出力が最大値となる第2正対旋回座標φ2mは、例えば電流検出抵抗23で検出された電流が最大値となるときの旋回座標φによって求めることが可能である。太陽光に対する太陽電池パネル10の位置ズレに敏感に反応する電流が最大値となるときの旋回座標φを求めることから、高精度に旋回座標φを求めることができる。
【0166】
つまり、本ステップでは、第1正対旋回座標φ1mに関連させて設定された第2旋回検出範囲(例:(φ1mt−dφ2)〜(φ1mt+dφ2))で旋回座標φを順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第2正対旋回座標φ2mを検出させる。
【0167】
なお、第2旋回検出範囲は、第1正対旋回座標φ1m(=−25度)または第1正対旋回座標φ1mに経時補正を施した第1経時旋回補正座標φ1mt(=−23度)を第2旋回検出基準座標とし、第2旋回検出基準座標の順逆両方向へ第1旋回変位角dφ1(=15度)より予め小さく規定された第2旋回変位角dφ2(=5度)を適用して設定された第2旋回検出開始座標(例:(φ1mt−dφ2:位置P21)または(φ1m−dφ2:位置P21対応:不図示))から第2旋回検出終了座標(例:(φ1mt+dφ2:位置P22)または(φ1m+dφ2:位置P22対応:不図示))までとして設定される。
【0168】
ステップS9で、第1正対旋回座標φ1m(旋回座標φ)に対する経時補正をしない場合、上述したとおり、第1経時旋回補正座標φ1mtは第1正対旋回座標φ1mのままとして処理される。
【0169】
ステップS23(過程S23):
第2正対傾倒座標θ2m(θ1m=53度)を固定した状態で、第2正対旋回座標検出過程S22で検出した第2正対旋回座標φ2m(φ2m=−26度)へ旋回座標φを整合させる(第2正対旋回座標整合過程)。
【0170】
つまり、旋回座標φを位置P22から位置P23(第2正対旋回座標φ2m)へ移動させる。このとき、位置P23へ移動した時刻T23(第2正対旋回座標設定時刻)は、例えば時刻「10:05:20」であった。
【0171】
なお、旋回座標φを位置P23へ移動させずに、そのままの状態(位置P22)で、ステップS24を実行することも可能である。つまり、旋回座標φでパネル出力が最大値となる座標(第2正対旋回座標φ2m)への整合をしない場合、旋回座標φ=φ1mt+dφ2として、位置P22の傾倒座標θ方向で第2正対傾倒座標θ2m(ステップS26参照)を検出することとなる。
【0172】
ステップS24(過程S24):
第1正対傾倒座標θ1m(θ1m=53度)に経時補正を施して第2経時傾倒補正座標θ1mt(θ1mt=54度)を算出する。また、第2正対旋回座標φ2m(φ2m=−26度)を固定した状態で、傾倒座標θを第1正対傾倒座標θ1mから第2経時傾倒補正座標θ1mtへ変更する(第2経時傾倒補正過程)。
【0173】
つまり、旋回座標φを第2正対旋回座標φ2mに固定した状態で、傾倒座標θを変更して位置P23から、位置P24へ移動させる。このとき、位置P24へ移動した時刻T24は、例えば時刻「10:05:25」であった。
【0174】
すなわち、傾倒座標θを第1正対傾倒座標θ1mとした時刻T8(10:04:00)から旋回座標φをφ=φ2mへ整合させたときの時刻T23(10:05:20)までの時間の経過による太陽高度θsの変化を考慮して、第1正対傾倒座標θ1mに対して時刻経過分補正を施す(図3Bの注2参照)。
【0175】
したがって、太陽高度θs@T8(例:54度)に対する太陽高度θs@T23(例:55度)の高度変化分dθsを考慮して第1正対傾倒座標θ1mを第2経時傾倒補正座標θ1mt(位置P24:時刻T24)へ変更する。なお、変更先の第2経時傾倒補正座標θ1mtは、高度変化分dθsをdθs=θs@T23−θs@T8=55−54=1度として求め、第1正対傾倒座標θ1mに高度変化分dθsを加えて算出する(θ1mt=θ1m+dθs=53+1=54度)。
【0176】
上述したとおり、本ステップでは、後述する第2正対傾倒座標検出過程S26を実行する前に、時間の経過による太陽高度θsの高度変化分dθs(=1度)を反映させた経時補正を第1正対傾倒座標θ1mに施した第2経時補正傾倒座標θ1mtが算出され、第2傾倒検出基準座標(ステップS26参照)は、第1正対傾倒座標θ1mから第2経時傾倒補正座標θ1mtへ予め置換されている。
【0177】
この構成により、経過時間による太陽高度θの高度変化分dθsを第1正対傾倒座標θ1mに反映させて算出した第2経時補正傾倒座標θ1mtを適用して第2正対傾倒座標検出過程S26を実行させることが可能となることから、第2正対傾倒座標θ2mを短時間で高精度に検出することができる。
【0178】
本ステップによって傾倒座標θに対する経時補正を施した場合は、第2傾倒検出基準座標は、第1正対傾倒座標θ1m(例:位置P23)から第2経時傾倒補正座標θ1mt(例:位置P24)へと置換され、第2傾倒検出開始座標は傾倒座標(θ1m−dθ2)に代えて傾倒座標(θ1mt−dθ2)(位置P25)とされ、第2傾倒検出終了座標は傾倒座標(θ1m+dθ2)に代えて傾倒座標(θ1mt+dθ2)(位置P26)とされる。
【0179】
つまり、本ステップでの第1正対傾倒座標θ1m(傾倒座標θ)に対する経時補正をしない場合、第2経時傾倒補正座標θ1mtは第1正対傾倒座標θ1mとして(つまり、経時補正を施して第2経時傾倒補正座標θ1mtとする前の第1正対傾倒座標θ1mのままで)、以降の処理を施すこととなる。
【0180】
なお、本ステップ(第2経時傾倒補正過程)を実施しない場合は、第2経時傾倒補正座標θ1mtは、設定されず、傾倒座標θは第1正対傾倒座標θ1mのままである。したがって、第2傾倒検出開始座標は傾倒座標(θ1mt−dθ2)(位置P25)ではなく傾倒座標(θ1m−dθ2)となり、第2傾倒検出終了座標は傾倒座標(θ1mt+dθ2)(位置P26)ではなく傾倒座標(θ1m+dθ2)となる。
【0181】
ステップS25(過程S25):
第2正対旋回座標φ2m(φ2m=−26度)を固定した状態で、傾倒座標θを第2経時傾倒補正座標θ1mt(θ1mt=54度)からマイナス方向へ第2傾倒変位角dθ2(dθ2=2度)で移動させ、第2傾倒検出開始座標(θ1mt−dθ2)(θ1mt−dθ2=54−2=52)へ変更する。
【0182】
つまり、傾倒座標θを位置P24(第2経時傾倒補正座標θ1mt)から、位置P25(第2傾倒検出開始座標(θ1mt−dθ2))へ移動させる。このとき、位置P25へ移動した時刻T25は、例えば「10:05:40」であった。
【0183】
ステップS26(過程S26):
第2正対旋回座標φ2m(φ2m=−26度)を固定した状態で、傾倒座標θを第2傾倒検出開始座標(θ1mt−dθ2)(=54−2=52度)から第2傾倒検出終了座標(θ1mt+dθ2)(θ1mt+dθ2=54+2=56)へ順次変更する。
【0184】
つまり、傾倒座標θを位置P25(第2傾倒検出開始座標(θ1mt−dθ2))から、位置P26(第2傾倒検出終了座標(θ1mt+dθ2))へ移動させる。このとき、位置P26へ移動した時刻T26は、例えば時刻「10:06:20」であった。
【0185】
本ステップでは、傾倒座標θの変更に併せて、A/D変換部26から送信されたパネル出力(太陽電池パネル10の出力)が最大値となる第2正対傾倒座標θ2mを検出させる(第2正対傾倒座標検出過程)。例えば、第2正対傾倒座標θ2m=54.5度を検出したものとする。
【0186】
なお、パネル出力が最大値となる第2正対傾倒座標θ2mは、例えば電流検出抵抗23で検出された電流が最大値となるときの旋回座標φによって求めることが可能である。位置ズレに対して敏感に追随する電流を検出することによって、電圧検出に比較してさらに高精度の検出とすることが可能となる。
【0187】
本ステップでは、太陽高度θsに対応する第1正対傾倒座標θ1mに関連させて設定された第2傾倒検出範囲(例:(θ1mt−dθ2)〜(θ1mt+dθ2))で傾倒座標θを順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第2正対傾倒座標θ2mを検出させる。
【0188】
なお、傾倒座標θに対する経時補正(ステップS24)を実施しない場合には、ステップS24で述べたとおり、傾倒座標θ1mtは第1正対傾倒座標θ1mとして(経時補正を施して第2経時傾倒補正座標θ1mtとする前の第1正対傾倒座標θ1mのままで)、処理を施すこととなる。つまり、第2正対傾倒座標検出過程での第2傾倒検出範囲は、傾倒座標θを第2傾倒検出開始座標(θ1m−dθ2)から第2傾倒検出終了座標(θ1m+dθ2)までの範囲で移動させることとなる。
【0189】
したがって、第2傾倒検出範囲は、第1正対傾倒座標θ1m(=53度)または第1正対傾倒座標θ1mに経時補正を施した第2経時傾倒補正座標θ1mt(=54度)を第2傾倒検出基準座標とし、第2傾倒検出基準座標の順逆両方向へ第1傾倒変位角dθ1(=5度)より予め小さく規定された第2傾倒変位角dθ2(=2度)を適用して設定された第2傾倒検出開始座標(例:(θ1mt−dθ2:位置P25)または(θ1m−dθ2:位置P25対応:不図示))から第2傾倒検出終了座標(例:(θ1mt+dθ2:位置P26)または(θ1m+dθ2:位置P26対応:不図示))までとして設定される。
【0190】
本ステップ(第2正対傾倒座標検出過程)は、第2正対旋回座標検出過程S22で検出した第2正対旋回座標φ2mへ旋回座標φを整合させる第2正対旋回座標整合過程S23を実行させた後、実行される構成としてある。
【0191】
この構成により、太陽電池パネルを旋回方向で太陽軌道に対して正対状態とさせて傾倒座標θの位置ズレを検出することが可能となることから、正確に第2正対傾倒座標θ2mを検出することができる。
【0192】
ステップS27(過程S27):
第2正対旋回座標φ2m(φ2m=−26度)を固定した状態で、第2正対傾倒座標検出過程S26で検出したパネル出力が最大となる第2正対傾倒座標θ2m(θ2m=54.5度)へ傾倒座標θを整合させる(第2正対傾倒座標整合過程)。つまり、傾倒座標θを位置P26から位置P27(第2正対傾倒座標θ2m)へ移動させる。このとき、位置P27へ移動した時刻T27(第2正対傾倒座標設定時刻)は、例えば「10:06:30」であった。
【0193】
ステップS28(過程S28):
第2正対旋回座標φ2m(φ2m=−26度)に経時補正を施して第2経時旋回補正座標φ2mt(φ2mt=−23度)を算出する。また、第2正対傾倒座標θ2m(θ2m=54.5度)を固定した状態で、旋回座標φを第2正対旋回座標φ2mから第2経時旋回補正座標φ2mtへ変更する(第2経時旋回補正過程)。
【0194】
つまり、傾倒座標θを第2正対傾倒座標θ2mに固定した状態で、旋回座標φを変更して位置P27から、位置P28へ移動させる。このとき、位置P28へ移動した時刻T28は、例えば時刻「10:06:35」であった。
【0195】
すなわち、旋回座標φを第2正対旋回座標φ2mとした時刻T23(10:05:20)から傾倒座標θを第2正対傾倒座標θ2mへ整合させたときの時刻T27(10:06:30)までの時間経過による太陽方位角φsの変化を考慮して、第2正対旋回座標φ2mに対して時刻経過分補正を施す(図3Bの注3参照)。
【0196】
したがって、太陽方位角φs@T23(例:−24度)に対する太陽方位角φs@T27(例:−21度)の方位角変化分dφsを考慮して第2正対旋回座標φ2mを第2経時旋回補正座標φ2mt(位置P28:時刻T28)へ変更する。なお、変更先の第2経時旋回補正座標φ2mtは、方位角変化分dφsをdφs=φs@T27−φs@T23=−21−(−24)=3度として求め、第2正対旋回座標φ2mに方位角変化分dφsを加えて算出する(φ2mt=φ2m+dφs=−26+3=−23度)。
【0197】
上述したとおり、本ステップでは、後述する第3正対旋回座標検出過程S32を実行する前に、時間の経過による太陽方位角φsの方位角変化分dφs(=3度)を反映させた経時補正を第2正対旋回座標φ2mに施した第2経時旋回補正座標φ2mtが算出され、第3旋回検出基準座標(ステップS32参照)は、第2正対旋回座標φ1mから第2経時旋回補正座標φ2mtへ予め置換されている。
【0198】
この構成により、時間の経過による太陽方位角φsの方位角変化分dφsを第2正対旋回座標φ2mに反映させて算出した第2経時旋回補正座標φ2mtを適用して以降の処理(第3動作パターン)を実行させることが可能となることから、第3正対旋回座標φ3mを短時間で高精度に検出することができる。
【0199】
本ステップによって旋回座標φに対する経時補正を施した場合は、第3旋回検出基準座標は、第2正対旋回座標φ2m(位置P27対応)から第2経時旋回補正座標φ2mt(位置P28対応)へと置換され、第3旋回検出開始座標は旋回座標(φ2m−dφ3)に代えて旋回座標(φ2mt−dφ3)(位置P31)とされ、第3旋回検出終了座標は旋回座標(φ2m+dφ3)に代えて旋回座標(φ2mt+dφ3)(位置P32)とされる。
【0200】
つまり、本ステップでの第2正対旋回座標φ2m(旋回座標φ)に対する経時補正をしない場合、第2経時旋回補正座標φ2mtは第2正対旋回座標φ2mとして(つまり、経時補正を施して第2経時旋回補正座標φ2mtとする前の第2正対旋回座標φ2mのままで)、以降の処理が施されることとなる。
【0201】
なお、本ステップ(第2経時旋回補正過程)を実行しない場合は、第2経時旋回補正座標φ2mtは、設定されず、旋回座標φは第2正対旋回座標φ2mのままである。したがって、第3旋回検出開始座標は旋回座標(φ2mt−dφ3)(位置P31)ではなく旋回座標(φ2m−dφ3)となり、第3旋回検出終了座標は旋回座標(φ2mt+dφ3)(位置P32)ではなく旋回座標(φ2m+dφ3)となる。
【0202】
上述したステップS21ないしステップS28で、第2正対旋回座標φ2mおよび第2正対傾倒座標θ2mを検出して、旋回座標φおよび傾倒座標θを第2正対旋回座標φ2mおよび第2正対傾倒座標θ2mに対応させることが可能となる。したがって、ステップS28の後、位置ズレ検出を終了して稼動状態とする場合は、ステップS29へ移行する。
【0203】
さらに高精度に位置ズレを検出する場合は、ステップS31ないしステップS39を含む処理フロー(第3動作パターン。図4Aないし図4C参照)へ移行する。第2動作パターンに継続して第3動作パターンを実行する形態は、メニュー選択方式として適宜実行させることが可能である。
【0204】
ステップS29(過程S29):
太陽方位角φsに対する旋回座標φの位置ズレを補正し、また、太陽高度θsに対する傾倒座標θの位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動する(補正駆動過程)。第2正対旋回座標φ2mおよび第2正対傾倒座標θ2mに基づく補正を施して太陽電池パネル10を駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動することが可能となる。
【0205】
なお、具体的な演算処理過程については、実施の形態5で説明する。
【0206】
また、ステップS28で第2正対旋回座標φ2m(旋回座標φ)に対する経時補正をしない場合、第2経時旋回補正座標φ2mtは第2正対旋回座標φ2mとして処理されることとなる。つまり、時刻T27に対応する太陽方位角φsと第2正対旋回座標φ2mとの差に基づいて旋回座標φの位置ズレを補正することとされる。
【0207】
なお、本実施の形態によれば、位置P27(時刻T27=10:06:30)で第2正対傾倒座標θ2mを設定し、位置P28(時刻T28=10:06:35)で第2経時旋回補正座標φ2mtを設定している。つまり、極めて短い時間にパネル出力が最大となる傾倒位置および旋回位置に制御座標を整合させることが可能となっている。したがって、極めて高精度の位置合わせを容易に短時間で実行することが可能となる。
【0208】
また、本実施の形態では、ステップS9の時刻T9(10:04:05)からステップS28の時刻T28(10:06:35)までの時間は、2分30秒であった。つまり、2分30秒程度の短時間で、位置ズレの検出、さらには位置ズレの補正を実行することが可能となり、実施の形態1に比較してさらに高精度の位置合わせをさらに短い時間で実行することが可能となる。
【0209】
上述したとおり、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法(第2動作パターン)は、実施の形態2(第1動作パターン)に継続して実行される形態としてあり、第1正対旋回座標φ1mに関連させて設定された第2旋回検出範囲(例:(φ1mt−dφ2)〜(φ1mt+dφ2))で旋回座標φを順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第2正対旋回座標φ2mを検出させる第2正対旋回座標検出過程S22と、第1正対傾倒座標θ1mに関連させて設定された第2傾倒検出範囲(例:(θ1mt−dθ2)〜(θ1mt+dθ2))で傾倒座標θを順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第2正対傾倒座標θ2mを検出させる第2正対傾倒座標検出過程S26とを備える。
【0210】
この構成により、太陽方位角φsに対する第1正対旋回座標φ1mの位置ズレを第1旋回検出範囲(例:(φ1−dφ1)〜(φ1+dφ1)=30度)より小さい第2旋回検出範囲(例:(φ1mt−dφ2)〜(φ1mt+dφ2)=10度)で検出した第2正対旋回座標φ2mによって高精度に検出し、太陽高度θsに対する第1正対傾倒座標θ1mの位置ズレを第1傾倒検出範囲(例:(θ1t−dθ1)〜(θ1t+dθ1)=10度)より小さい第2傾倒検出範囲(例:(θ1mt−dθ2)〜(θ1mt+dθ2)=4度)で検出した第2正対傾倒座標θ2mによって高精度に検出することが可能となることから、太陽方位角φsに対する旋回座標φ(第2正対旋回座標φ2m)の位置ズレおよび太陽高度θsに対する傾倒座標θ(第2正対傾倒座標θ2m)の位置ズレをそれぞれ補正することによって、太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を太陽軌道に対して容易かつさらに高精度に正対させるようにすることができる。
【0211】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第2旋回検出範囲は、第1正対旋回座標φ1m(=−25度)または第1正対旋回座標φ1mに経時補正を施した第1経時旋回補正座標φ1mt(=−23度)を第2旋回検出基準座標とし、第2旋回検出基準座標の順逆両方向へ第1旋回変位角dφ1(=15度)より予め小さく規定された第2旋回変位角dφ2(=5度)を適用して設定された第2旋回検出開始座標(例:(φ1mt−dφ2:位置P21)または(φ1m−dφ2:位置P21対応:不図示))から第2旋回検出終了座標(例:(φ1mt+dφ2:位置P22)または(φ1m+dφ2:位置P22対応:不図示))までとして設定され、第2傾倒検出範囲は、第1正対傾倒座標θ1m(=53度)または第1正対傾倒座標θ1mに経時補正を施した第2経時傾倒補正座標θ1mt(=54度)を第2傾倒検出基準座標とし、第2傾倒検出基準座標の順逆両方向へ第1傾倒変位角dθ1(=5度)より予め小さく規定された第2傾倒変位角dθ2(=2度)を適用して設定された第2傾倒検出開始座標(例:(θ1mt−dθ2:位置P25)または(θ1m−dθ2:位置P25対応:不図示))から第2傾倒検出終了座標(例:(θ1mt+dθ2:位置P26)または(θ1m+dθ2:位置P26対応:不図示))までとして設定される。
【0212】
この構成により、第2旋回検出範囲(=10度)および第2傾倒検出範囲(=4度)を第1旋回検出範囲(=30度)および第1傾倒検出範囲(=10度)より小さい範囲に設定することが可能となることから、第2正対旋回座標φ2mおよび第2正対傾倒座標θ2mを第1正対旋回座標φ1mおよび第1正対傾倒座標θ1mに比較してさらに高精度に検出することができる。
【0213】
また、第2動作パターン(後の動作パターン)では、第1動作パターン(前の動作パターン)に対してさらに狭い範囲での位置ズレを検出することから、位置ズレの範囲を順次絞り込むことが可能となり、効率的な位置合わせが可能となる。つまり、集光精度(集光倍率)の程度に応じた動作パターンを繰り返すことによって位置ズレの検出精度を確実に向上させることが可能となる。したがって、高倍率の集光型太陽光発電装置に適用した場合でも高倍率に応じた位置合わせを施すことが可能となる。
【0214】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第2正対旋回座標検出過程S22を実行する前に、時間の経過による太陽方位角φsの方位角変化分dφs(=2度)を反映させた経時補正を第1正対旋回座標φ1mに施した第1経時旋回補正座標φ1mtが算出され、第2旋回検出基準座標は、第1正対旋回座標φ1mから第1経時旋回補正座標φ1mtへ予め置換されている(第1経時旋回補正過程S9)。
【0215】
この構成により、時間の経過による太陽方位角φsの方位角変化分dφsを第1正対旋回座標φ1mに反映させて算出した第1経時旋回補正座標φ1mtを適用して以降の処理(第2動作パターン)を実行させることが可能となることから、第2正対旋回座標φ2mを短時間で高精度に検出することができる。
【0216】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第2正対旋回座標検出過程S22で検出した第2正対旋回座標φ2mへ旋回座標φを整合させる第2正対旋回座標整合過程S23を実行させた後、第2正対傾倒座標検出過程S26を実行させる。
【0217】
この構成により、太陽電池パネル10を旋回方向で太陽軌道に対して正対状態とさせて傾倒座標θの位置ズレを検出することが可能となることから、正確に第2正対傾倒座標θ2mを検出することができる。
【0218】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第2正対傾倒座標検出過程S26を実行する前に、時間の経過による太陽高度θsの高度変化分dθs(=1度)を反映させた経時補正を第1正対傾倒座標θ1mに施した第2経時補正傾倒座標θ1mtが算出され、第2傾倒検出基準座標は、第1正対傾倒座標θ1mから第2経時傾倒補正座標θ1mtへ予め置換されている(第2経時傾倒補正過程S24)。
【0219】
この構成により、経過時間による太陽高度θの高度変化分dθsを第1正対傾倒座標θ1mに反映させて算出した第2経時補正傾倒座標θ1mtを適用して第2正対傾倒座標検出過程S26を実行させることが可能となることから、第2正対傾倒座標θ2mを短時間で高精度に検出することができる。
【0220】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、太陽方位角φsに対する旋回座標φの位置ズレを補正し、また、太陽高度θsに対する傾倒座標θの位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動する補正駆動過程S29を備える。したがって、第2正対旋回座標φ2mおよび第2正対傾倒座標θ2mに基づく補正を施して太陽電池パネル10を駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動することが可能となる。
【0221】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程S3および第1正対傾倒座標検出過程S7でのパネル出力の検出は、電圧によって行われ、第2正対旋回座標検出過程S22および第2正対傾倒座標検出過程S26でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてある。
【0222】
この構成により、前の過程(第1正対旋回座標検出過程S3および第1正対傾倒座標検出過程S7)では電圧によって簡単にパネル出力を検出し、後の過程(第2正対旋回座標検出過程S22および第2正対傾倒座標検出過程S26)では電流によって高精度にパネル出力を検出することが可能となり、太陽方位角に対する旋回座標および傾倒座標の位置ズレの検出を容易かつ高精度に実行することができる。
【0223】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第1正対旋回座標検出過程S3および第1正対傾倒座標検出過程S7でのパネル出力の検出、および、第2正対旋回座標検出過程S22および第2正対傾倒座標検出過程S26でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてある。
【0224】
この構成により、前の過程(第1正対旋回座標検出過程S3および第1正対傾倒座標検出過程S7)、および、後の過程(第2正対旋回座標検出過程S22および第2正対傾倒座標検出過程S26)共に電流によって高精度にパネル出力を検出することが可能となり、太陽方位角に対する旋回座標の位置ズレおよび太陽高度に対する傾倒座標の位置ズレの検出を容易かつ高精度に実行することができる。
【0225】
<実施の形態4>
図4Aないし図4Cに基づいて、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法(位置ズレ検出/補正プログラムを適用した追尾制御方法)について説明する。
【0226】
図4Aは、本発明の実施の形態4に係る追尾駆動型太陽光発電装置の位置ズレを検出して補正するときの第3動作パターンの処理フロー状態を示すフローチャートである。
【0227】
図4Bは、図4Aで示した第3動作パターンでの制御座標の移動状態に対応する詳細情報を示す一覧図表である。
【0228】
図4Cは、図4Aで示した第3動作パターンでの制御座標の移動状態を示す座標図である。
【0229】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法(位置ズレ検出/補正プログラムを適用した追尾制御方法)は、例えばステップS31ないしステップS39を含む処理フロー(第3動作パターン)によって実行される構成としてある。なお、以下のステップS31ないしステップS39は、上述したとおり、パーソナルコンピュータ30にインストールしたコンピュータプログラムによって実行される構成としてある。
【0230】
なお、第3動作パターンは、実施の形態3の第2動作パターンでのステップS28(位置P28、時刻T28)の後に継続して実行される形態としてある。第2動作パターンに継続して第3動作パターンを実行する形態は、メニュー選択方式として適宜実行させることが可能である。また、第3動作パターンの基本的な構成、作用効果は第1動作パターン、第2動作パターンと同様であるので、主に異なる事項について説明する。
【0231】
第3動作パターンは、第2動作パターンの第2旋回変位角dφ2、第2傾倒変位角dθ2を小さくした第3変位角dφ3および第3傾倒変位角dθ3を適用して第2旋回検出範囲および第2傾倒検出範囲より小さい範囲で第3正対旋回座標φ3mおよび第3正対傾倒座標θ3mを検出するものであり、第2動作パターンに対してさらに高精度に旋回座標φおよび傾倒座標θの位置ズレを検出することが可能となる。つまり、第3動作パターンは、第2動作パターンと同様な処理を繰り返すことによって第2動作パターンに対してさらに微調整を実行する形態としてある。
【0232】
ステップS31(過程S31):
第2正対傾倒座標θ2m(θ2m=54.5度)を固定した状態で、旋回座標φを第2経時旋回補正座標φ2mt(φ2mt=−23度)からマイナス方向へ第2旋回変位角dφ3(dφ3=2度)で移動させ、第3旋回検出開始座標(φ2mt−dφ3)(φ2mt−dφ3=−23ー2=−25度)へ変更する。
【0233】
つまり、旋回座標φを位置P28(第2経時旋回補正座標φ2mt)から、位置P31(第3旋回検出開始座標(φ2mt−dφ3))へ移動させる。このとき、位置P31へ移動した時刻T31は、例えば時刻「10:07:45」であった。
【0234】
ステップS32(過程S32):
第2正対傾倒座標θ2m(θ2m=54.5度)を固定した状態で、旋回座標φを第3旋回検出開始座標(φ2mt−dφ3)(φ2mt−dφ3=−25度)から第3旋回検出終了座標(φ2mt+dφ3)(φ2mt+dφ3=−23+2=−21度)へ順次変更する。
【0235】
つまり、旋回座標φを位置P31(第3旋回検出開始座標(φ2mt−dφ3))から、位置P32(第3旋回検出終了座標(φ2mt+dφ3))へ移動させる。このとき、位置P32へ移動した時刻T32は、例えば時刻「10:07:20」であった。
【0236】
本ステップでは、併せて、A/D変換部26から送信されたパネル出力(太陽電池パネル10の出力)が最大値となる第3正対旋回座標φ3mを検出させる(第3正対旋回座標検出過程)。
【0237】
例えば、第3正対旋回座標φ3m=−22.5度を検出したものとする。なお、パネル出力が最大値となる第3正対旋回座標φ3mは、第2動作パターンと同様にして、例えば電流検出抵抗23で検出された電流が最大値となるときの旋回座標φによって求めることが可能である。太陽光に対する太陽電池パネル10の位置ズレに敏感に反応する電流が最大値となるときの旋回座標φを求めることから、高精度に旋回座標φを求めることができる。
【0238】
つまり、本ステップでは、第2正対旋回座標φ2mに関連させて設定された第3旋回検出範囲(例:(φ2mt−dφ3)〜(φ2mt+dφ3))で旋回座標φを順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第3正対旋回座標φ3mを検出させる。
【0239】
なお、第3旋回検出範囲は、第2正対旋回座標φ2m(=−26度)または第2正対旋回座標φ2mに経時補正を施した第2経時旋回補正座標φ2mt(=−23度)を第3旋回検出基準座標とし、第3旋回検出基準座標の順逆両方向へ第2旋回変位角dφ2(=5度)より予め小さく規定された第3旋回変位角dφ3(=2度)を適用して設定された第3旋回検出開始座標(例:(φ2mt−dφ3:位置P31)または(φ2m−dφ3:位置P31対応:不図示))から第3旋回検出終了座標(例:(φ2mt+dφ3:位置P32)または(φ2m+dφ3:位置P32対応:不図示))までとして設定される。
【0240】
ステップS28で、第1正対旋回座標φ2m(旋回座標φ)に対する経時補正をしない場合、上述したとおり、第2経時旋回補正座標φ2mtは第2正対旋回座標φ2mのままとして処理される。
【0241】
ステップS33(過程S33):
第2正対傾倒座標θ2m(θ2m=54.5度)を固定した状態で、第3正対旋回座標検出過程S32で検出したパネル出力が最大となる第3正対旋回座標φ3m(φ3m=−22.5度)へ旋回座標φを整合させる(第3正対旋回座標整合過程)。
【0242】
つまり、旋回座標φを位置P32から位置P33(第3正対旋回座標φ3m)へ移動させる。このとき、位置P33へ移動した時刻T33(第3正対旋回座標設定時刻)は、例えば時刻「10:07:30」であった。
【0243】
なお、旋回座標φを位置P33へ移動させずに、そのままの状態(位置P32)で、ステップS34を実行することも可能である。つまり、旋回座標φでパネル出力が最大値となる座標(第3正対旋回座標φ3m)への整合をしない場合、旋回座標φ=φ2mt+dφ3として、位置P32の傾倒座標θ方向で第3正対傾倒座標θ3m(ステップS36参照)を検出することとなる。
【0244】
ステップS34(過程S34):
第2正対傾倒座標θ2m(θ2m=54.5度)に経時補正を施して第3経時傾倒補正座標θ2mt(θ2mt=54.7度)を算出する。また、第3正対旋回座標φ3m(φ3m=−22.5度)を固定した状態で、傾倒座標θを第2正対傾倒座標θ2mから第3経時傾倒補正座標θ2mtへ変更する(第3経時傾倒補正過程)。
【0245】
つまり、旋回座標φを第3正対旋回座標φ3mに固定した状態で、傾倒座標θを変更して位置P33から、位置P34へ移動させる。このとき、位置P34へ移動した時刻T34は、例えば時刻「10:07:35」であった。
【0246】
すなわち、傾倒座標θを第2正対傾倒座標θ2mとした時刻T27(10:06:30)から旋回座標φをφ=φ3mへ整合させたときの時刻T33(10:07:30)までの時間経過による太陽高度θsの変化を考慮して、第2正対傾倒座標θ2mに対して時刻経過分補正を施す(図4Bの注2参照)。
【0247】
したがって、太陽高度θs@T27(例:22.8度)に対する太陽高度θs@T33(例:23.0度)の高度変化分dθsを考慮して第2正対傾倒座標θ2mを第3経時傾倒補正座標θ2mt(位置P34:時刻T34)へ変更する。なお、変更先の第3経時傾倒補正座標θ2mtは、高度変化分dθsをdθs=θs@T33−θs@T27=23.0−22.8=0.2度として求め、第2正対傾倒座標θ2mに高度変化分dθsを加えて算出する(θ2mt=θ2m+dθs=54.5+0.2=54.7度)。
【0248】
上述したとおり、本ステップでは、後述する第3正対傾倒座標検出過程S36を実行する前に、時間の経過による太陽高度θsの高度変化分dθs(=0.2度)を反映させた経時補正を第2正対傾倒座標θ2mに施した第3経時補正傾倒座標θ2mtが算出され、第3傾倒検出基準座標(ステップS36参照)は、第2正対傾倒座標θ2mから第3経時傾倒補正座標θ2mtへ予め置換されている。
【0249】
この構成により、経過時間による太陽高度θの高度変化分dθsを第2正対傾倒座標θ2mに反映させて算出した第3経時補正傾倒座標θ2mtを適用して第3正対傾倒座標検出過程S36を実行させることが可能となることから、第3正対傾倒座標θ3mを短時間で高精度に検出することができる。
【0250】
本ステップによって傾倒座標θに対する経時補正を施した場合は、第3傾倒検出基準座標は、第2正対傾倒座標θ2m(例:位置P33)から第3経時傾倒補正座標θ2mt(例:位置P34)へと置換され、第3傾倒検出開始座標は傾倒座標(θ2m−dθ3)に代えて傾倒座標(θ2mt−dθ3)(位置P35)とされ、第3傾倒検出終了座標は傾倒座標(θ2m+dθ3)に代えて傾倒座標(θ2mt+dθ3)(位置P36)とされる。
【0251】
つまり、本ステップでの第2正対傾倒座標θ2m(傾倒座標θ)に対する経時補正をしない場合、第3経時傾倒補正座標θ2mtは第2正対傾倒座標θ2mとして(つまり、経時補正を施して第3経時傾倒補正座標θ2mtとする前の第2正対傾倒座標θ2mのままで)、以降の処理を施すこととなる。
【0252】
なお、本ステップ(第3経時傾倒補正過程)を実施しない場合は、第3経時傾倒補正座標θ2mtは、設定されず、傾倒座標θは第2正対傾倒座標θ2mのままである。したがって、第3傾倒検出開始座標は傾倒座標(θ2mt−dθ3)(位置P35)ではなく傾倒座標(θ2m−dθ3)となり、第3傾倒検出終了座標は傾倒座標(θ2mt+dθ3)(位置P36)ではなく傾倒座標(θ2m+dθ3)となる。
【0253】
ステップS35(過程S35):
第3正対旋回座標φ3m(φ3m=−22.5度)を固定した状態で、傾倒座標θを第3経時傾倒補正座標θ2mt(θ2mt=54.7度)からマイナス方向へ第3傾倒変位角dθ3(dθ3=0.5度)で移動させ、第3傾倒検出開始座標(θ2mt−dθ3)(θ2mt−dθ3=54.7−0.5=54.2度)へ変更する。
【0254】
つまり、傾倒座標θを位置P34(第3経時傾倒補正座標θ2mt)から、位置P35(第3傾倒検出開始座標(θ2mt−dθ3))へ移動させる。このとき、位置P35へ移動した時刻T35は、例えば「10:07:40」であった。
【0255】
ステップS36(過程S36):
第3正対旋回座標φ3m(φ3m=−22.5度)を固定した状態で、傾倒座標θを第3傾倒検出開始座標(θ2mt−dθ3)(θ2mt−dθ3=54.2度)から第3傾倒検出終了座標(θ2mt+dθ3)(θ2mt+dθ3=54.7+0.5=55.2度)へ順次変更する。
【0256】
つまり、傾倒座標θを位置P35(第3傾倒検出開始座標(θ2mt−dθ3))から、位置P36(第3傾倒検出終了座標(θ2mt+dθ3))へ移動させる。このとき、位置P36へ移動した時刻T36は、例えば時刻「10:08:00」であった。
【0257】
本ステップでは、傾倒座標θの変更に併せて、A/D変換部26から送信されたパネル出力(太陽電池パネル10の出力)が最大値となる第3正対傾倒座標θ3mを検出させる(第3正対傾倒座標検出過程)。例えば、第3正対傾倒座標θ3m=55.0度を検出したものとする。
【0258】
なお、パネル出力が最大値となる第3正対傾倒座標θ3mは、例えば電流検出抵抗23で検出された電流が最大値となるときの旋回座標φによって求めることが可能である。
【0259】
本ステップでは、太陽高度θsに対応する第2正対傾倒座標θ2mに関連させて設定された第3傾倒検出範囲(例:(θ2mt−dθ3)〜(θ2mt+dθ3))で傾倒座標θを順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第3正対傾倒座標θ3mを検出させる。
【0260】
なお、傾倒座標θに対する経時補正(ステップS34)をしない場合には、ステップS34で述べたとおり、傾倒座標θ2mtは第2正対傾倒座標θ2mとして(経時補正を施して第3経時傾倒補正座標θ2mtとする前の第2正対傾倒座標θ2mのままで)、処理を施すこととなる。つまり、第3正対傾倒座標検出過程での第3傾倒検出範囲は、傾倒座標θを第3傾倒検出開始座標(θ2m−dθ3)から第3傾倒検出終了座標(θ2m+dθ3)までの範囲で移動させることとなる。
【0261】
したがって、第3傾倒検出範囲は、第2正対傾倒座標θ2m(=54.5度)または第2正対傾倒座標θ2mに経時補正を施した第3経時傾倒補正座標θ2mt(=54.7度)を第3傾倒検出基準座標とし、第3傾倒検出基準座標の順逆両方向へ第2傾倒変位角dθ2(=2度)より予め小さく規定された第3傾倒変位角dθ3(=0.5度)を適用して設定された第3傾倒検出開始座標(例:(θ2mt−dθ3:位置P35)または(θ2m−dθ3:位置P35対応:不図示))から第3傾倒検出終了座標(例:(θ2mt+dθ3:位置P36)または(θ2m+dθ3:位置P36対応:不図示))までとして設定される。
【0262】
本ステップ(第3正対傾倒座標検出過程)は、第3正対旋回座標検出過程S32で検出した第3正対旋回座標φ3mへ旋回座標φを整合させる第3正対旋回座標整合過程S33を実行させた後、実行される構成としてある。
【0263】
この構成により、太陽電池パネルを旋回方向で太陽軌道に対して正対状態とさせて傾倒座標θの位置ズレを検出することが可能となることから、正確に第3正対傾倒座標θ3mを検出することができる。
【0264】
ステップS37(過程S37):
第3正対旋回座標φ3m(φ3m=−22.5度)を固定した状態で、第3正対傾倒座標検出過程S36で検出したパネル出力が最大となる第3正対傾倒座標θ3m(θ3m=55.0度)へ傾倒座標θを整合させる(第3正対傾倒座標整合過程)。つまり、傾倒座標θを位置P36から位置P37(第3正対傾倒座標θ3m)へ移動させる。このとき、位置P37へ移動した時刻T37(第3正対傾倒座標設定時刻)は、例えば「10:08:10」であった。
【0265】
ステップS38(過程S38):
第3正対旋回座標φ3m(φ3m=−22.5度)に経時補正を施して第3経時旋回補正座標φ3mt(φ3mt=−22度)を算出する。また、第3正対傾倒座標θ3m(θ3m=55.0度)を固定した状態で、旋回座標φを第3正対旋回座標φ3mから第3経時旋回補正座標φ3mtへ変更する(第3経時旋回補正過程)。
【0266】
つまり、傾倒座標θを第3正対傾倒座標θ3mに固定した状態で、旋回座標φを変更して位置P37から、位置P38へ移動させる。このとき、位置P38へ移動した時刻T38は、例えば時刻「10:08:15」であった。
【0267】
すなわち、旋回座標φを第3傾倒座標φ3mとした時刻T33(10:05:20)から傾倒座標θを第3正対傾倒座標θ3mへ整合させたときの時刻T37(10:08:10)までの時間経過による太陽方位角φsの変化を考慮して、第3正対旋回座標φ3mに対して時刻経過分補正を施す(図4Bの注3参照)。
【0268】
したがって、太陽方位角φs@T33(例:−20.5度)に対する太陽方位角φs@T37(例:−20.0度)の方位角変化分dφsを考慮して第3正対旋回座標φ3mを第3経時旋回補正座標φ3mt(位置P38:時刻T38)へ変更する。なお、変更先の第3経時旋回補正座標φ3mtは、方位角変化分dφsをdφs=φs@T37−φs@T33=−20.0−(−20.5)=0.5度として求め、第3正対旋回座標φ3mに方位角変化分dφsを加えて算出する(φ3mt=φ3m+dφs=−22.5+0.5=−22.0度)。
【0269】
本ステップでの第3正対旋回座標φ3m(旋回座標φ)に対する経時補正をしない場合、第3経時旋回補正座標φ3mtは第3正対旋回座標φ3mとして(つまり、経時補正を施して第3経時旋回補正座標φ3mtとする前の第3正対旋回座標φ3mのままで)、以降の処理を施すこととなる。
【0270】
さらに高精度に位置ズレを検出する場合は、さらに同様な処理フローを繰り返すことが可能である。また、位置ズレ検出を終了して稼動状態とする場合は、ステップS39へ移行する。
【0271】
なお、本実施の形態によれば、位置P37(時刻10:08:10)で第3正対傾倒座標θ3mを設定し、位置P38(時刻10:08:15)で第3経時旋回補正座標φ3mtを設定している。つまり、極めて短い時間にパネル出力が最大となる傾倒位置、旋回位置に整合させることが可能となっている。したがって、第1動作パターンないし第3動作パターン程度の繰り返しを実施することによって極めて高精度の位置合わせを容易に実行することが可能となる。
【0272】
ステップS39(過程S39):
太陽方位角φsに対する旋回座標φの位置ズレを補正し、また、太陽高度θsに対する傾倒座標θの位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動する(補正駆動過程)。第3正対旋回座標φ3mおよび第3正対傾倒座標θ3mに基づく補正を施して太陽電池パネル10を駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動することが可能となる。
【0273】
なお、具体的な演算処理過程については、実施の形態5で説明する。
【0274】
また、ステップS38で第3正対旋回座標φ3m(旋回座標φ)に対する経時補正をしない場合、第3経時旋回補正座標φ3mtは第3正対旋回座標φ3mとして処理されることとなる。つまり、時刻T37に対応する太陽方位角φsと第3正対旋回座標φ3mとの差に基づいて旋回座標φの位置ズレを補正することとされる。
【0275】
本実施の形態によれば、位置P37(時刻T37=10:08:10)で第3正対傾倒座標θ3mを設定し、位置P38(時刻T38=10:08:15)で第3経時旋回補正座標φ3mtを設定している。つまり、極めて短い時間にパネル出力が最大となる傾倒位置および旋回位置に制御座標を整合させることが可能となっている。したがって、極めて高精度の位置合わせを容易に短時間で実行することが可能となる。
【0276】
本実施の形態では、ステップS28の時刻T28(10:06:35)からステップS38の時刻T38(10:08:15)までの時間は、1分40秒であった。つまり、1分40秒程度の短時間で、位置ズレの検出、さらには位置ズレの補正を実行することが可能となり、実施の形態2に比較してさらに高精度の位置合わせをさらに短い時間で実行することが可能となる。
【0277】
上述したとおり、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法(第3動作パターン)は、実施の形態3(第2動作パターン)に継続して実行される形態としてあり、第2正対旋回座標φ2mに関連させて設定された第3旋回検出範囲(例:(φ2mt−dφ3)〜(φ2mt+dφ3))で旋回座標φを順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第3正対旋回座標φ3mを検出させる第3正対旋回座標検出過程S32と、第2正対傾倒座標θ2mに関連させて設定された第3傾倒検出範囲(例:(θ2mt−dθ3)〜(θ2mt+dθ3))で傾倒座標θを順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第3正対傾倒座標θ3mを検出させる第3正対傾倒座標検出過程S36とを備える。
【0278】
この構成により、太陽方位角φsに対する旋回座標φ(第2正対旋回座標φ2m)の位置ズレを第2旋回検出範囲(例:(φ1mt−dφ2)〜(φ1mt+dφ2)=10度)より小さい第3旋回検出範囲(例:(φ2mt−dφ3)〜(φ2mt+dφ3)=4度)で検出した第3正対旋回座標φ3mによって高精度に検出し、太陽高度θsに対する第2正対傾倒座標θ2mの位置ズレを第2傾倒検出範囲(例:(θ1mt−dθ2)〜(θ1mt+dθ2)=4度)より小さい第3傾倒検出範囲(例:(θ2mt−dθ3)〜(θ2mt+dθ3)=1度)で検出した第3正対傾倒座標θ3mによって高精度に検出することが可能となることから、太陽方位角φsに対する旋回座標φの位置ズレおよび太陽高度θsに対する傾倒座標θの位置ズレをそれぞれ高精度に補正することによって、太陽電池パネル10の旋回位置および傾倒位置を太陽軌道に対してさらに容易かつ高精度に正対させるようにすることができる。
【0279】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第3旋回検出範囲は、第2正対旋回座標φ2m(=−26度)または第2正対旋回座標φ2mに経時補正を施した第2経時旋回補正座標φ2mt(=−23度)を第3旋回検出基準座標とし、第3旋回検出基準座標の順逆両方向へ第2旋回変位角dφ2(=5度)より予め小さく規定された第3旋回変位角dφ3(=2度)を適用して設定された第3旋回検出開始座標(例:(φ2mt−dφ3:位置P31)または(φ2m−dφ3:位置P31対応:不図示))から第3旋回検出終了座標(例:(φ2mt+dφ3:位置P32)または(φ2m+dφ3:位置P32対応:不図示))までとして設定され、第3傾倒検出範囲は、第2正対傾倒座標θ2m(=54.5度)または第2正対傾倒座標θ2mに経時補正を施した第3経時傾倒補正座標θ2mt(=54.7度)を第3傾倒検出基準座標とし、第3傾倒検出基準座標の順逆両方向へ第2傾倒変位角dθ2(=2度)より予め小さく規定された第3傾倒変位角dθ3(=0.5度)を適用して設定された第3傾倒検出開始座標(例:(θ2mt−dθ3:位置P35)または(θ2m−dθ3:位置P35対応:不図示))から第3傾倒検出終了座標(例:(θ2mt+dθ3:位置P36)または(θ2m+dθ3:位置P36対応:不図示))までとして設定される。
【0280】
この構成により、第3旋回検出範囲(=4度)および第3傾倒検出範囲(=1度)を第2旋回検出範囲(=10度)および第2傾倒検出範囲(=4度)より小さい範囲に設定することが可能となることから、第3正対旋回座標φ3mおよび第3正対傾倒座標θ3mを第2正対旋回座標φ2mおよび第2正対傾倒座標θ2mに比較してさらに高精度に検出することができる。
【0281】
したがって、太陽方位角φsに対する旋回座標φ(第3正対旋回座標φ3m)の位置ズレおよび太陽高度θsに対する傾倒座標θ(第3正対傾倒座標θ3m)の位置ズレを高精度に補正することによって、太陽電池パネル10の旋回位置および傾倒位置を太陽軌道に対して容易かつさらに高精度に正対させるようにすることができる。
【0282】
また、第3動作パターン(後の動作パターン)では、第2動作パターン(前の動作パターン)に対してさらに狭い範囲での位置ズレを検出することから、位置ズレの範囲を順次絞り込むことが可能となり、効率的な位置合わせが可能となる。つまり、集光精度(集光倍率)の程度に応じて位置ズレの検出精度をさらに向上させることが可能となる。
【0283】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第3正対旋回座標検出過程S32を実行する前に、時間の経過による太陽方位角φsの方位角変化分dφs(3度)を反映させた経時補正を第2正対旋回座標φ2mに施した第2経時旋回補正座標φ2mtが算出され、第3旋回検出基準座標は、第2正対旋回座標φ2mから第2経時旋回補正座標φ2mtへ予め置換されている(第2経時旋回補正過程S28)。
【0284】
この構成により、時間の経過による太陽方位角φの方位角変化分を第2正対旋回座標φ2mに反映させて算出した第2経時旋回補正座標φ2mtを適用して以降の処理(第3動作パターン)を実行させることが可能となることから、第3正対旋回座標φ3mを短時間で高精度に検出することができる。
【0285】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第3正対旋回座標検出過程S32で検出した第3正対旋回座標φ3mへ旋回座標φを整合させる第3正対旋回座標整合過程S33を実行させた後、第3正対傾倒座標検出過程S36を実行させる。
【0286】
この構成により、太陽電池パネル10を旋回方向で太陽軌道に対して正対状態とさせて傾倒座標θの位置ズレを検出することが可能となることから、正確に第3正対傾倒座標θ3mを検出することができる。
【0287】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第3正対傾倒座標検出過程S36を実行する前に、時間の経過による太陽高度θsの高度変化分dθs(=0.2度)を反映させた経時補正を第2正対傾倒座標θ2mに施した第3経時補正傾倒座標θ2mtが算出され、第3傾倒検出基準座標は、第2正対傾倒座標θ2mから第3経時傾倒補正座標θ2mtへ予め置換されている(第3経時傾倒補正過程S34)。
【0288】
この構成により、経過時間による太陽高度θの高度変化分dθsを第2正対傾倒座標θ2mに反映させて算出した第3経時補正傾倒座標θ2mtを適用して第3正対傾倒座標検出過程S36を実行させることが可能となることから、第3正対傾倒座標θ3mを短時間で高精度に検出することができる。
【0289】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では太陽方位角φsに対する旋回座標φの位置ズレを補正し、また、太陽高度θsに対する傾倒座標θの位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動する補正駆動過程S39を備える。したがって、第3正対旋回座標φ3mおよび第3正対傾倒座標θ3mに基づく補正を施して太陽電池パネル10を駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動することが可能となる。
【0290】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法では、第3正対旋回座標検出過程S32および第3正対傾倒座標検出過程S36でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてある。したがって、太陽光に対する太陽電池パネル10の位置ズレに敏感に反応する電流によってパネル出力が最大値となる旋回座標φおよび傾倒座標θの検出を複数回実行することが可能となり、太陽方位角に対する旋回座標および太陽高度に対する傾倒座標の微小な位置ズレ状態でのパネル出力の検出を容易かつ高精度に実行することができる。
【0291】
実施の形態2ないし実施の形態4の各動作パターンの比較で示したとおり、本発明によれば、高精度になるほど短時間で位置ズレを検出することが可能となり、効率的で効果的な位置ズレの検出および位置ズレの補正を実行することができる。
【0292】
<実施の形態5>
図5Aおよび図5Bに基づいて、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法での太陽電池パネルの位置ズレを補正して駆動する補正駆動過程(実施の形態2でのステップS10、実施の形態3でのステップS29、実施の形態4でのステップS39の詳細)について説明する。
【0293】
図5Aは、本発明の実施の形態5に係る追尾駆動型太陽光発電装置に適用する座標系および制御パラメータの相関を示す座標図形である。
【0294】
追尾の対象として目標とする太陽の位置を示す太陽座標(太陽方位角φs、太陽高度θs)は、目標太陽座標(目標太陽方位角φsg、目標太陽高度θsg)として表される。目標太陽座標を座標変換した直交座標は、目標直交太陽座標(x,y,z)として表される。
【0295】
目標直交太陽座標(x,y,z)は、制御座標(旋回座標φ、傾倒座標θ)に対応する直交座標としての目標直交制御座標(X,Y,Z)に座標変換される。このときの座標変換パラメータは、x軸に対してはα、y軸に対してはβ、z軸に対してはγで示してある。
【0296】
目標直交制御座標(X,Y,Z)は、制御座標(旋回座標φ、傾倒座標θ)での目標制御座標(目標旋回座標φg、目標傾倒座標θg)に変換される。目標制御座標(目標旋回座標φg、目標傾倒座標θg)に対して、オフセット(位置ズレ)の補正を施す。
【0297】
オフセットは、次のように設定する。旋回座標φ、傾倒座標θでのオフセットは、太陽方位角φsと検出した第N正対旋回座標φNmとの差に対して旋回座標φでのオフセットε、太陽高度θと検出した第N正対傾倒座標θNmとの差に対して傾倒座標θでのオフセットδとされる。
【0298】
なお、Nは最終検出回数を示す。例えば、実施の形態2での第1動作パターンの場合は、第N正対旋回座標φNmは、第1経時旋回補正座標φ1mt(または、第1正対旋回座標φ1m)であり、第N正対傾倒座標θNmは、第1正対傾倒座標θ1mである。また、実施の形態3での第2動作パターンの場合は、第N正対旋回座標φNmは、第2経時旋回補正座標φ2mt(または、第2正対旋回座標φ2m)であり、第N正対傾倒座標θNmは、第2正対傾倒座標θ2mである。また、実施の形態4での第3動作パターンの場合は、第N正対旋回座標φNmは、第3経時旋回補正座標φ3mt(または、第3正対旋回座標φ3m)であり、第N正対傾倒座標θNmは、第3正対傾倒座標θ3mである。
【0299】
また、本実施の形態では、駆動部12が、例えば、ターンテーブル式の旋回駆動機、ジャッキシリンダ式の傾倒駆動機としてある。したがって、シリンダ長Lでのオフセットτとされる。
【0300】
つまり、目標制御座標(目標旋回座標φg、目標傾倒座標θg)にオフセットを考慮した補正を施した値を目標補正制御値(目標補正旋回座標φgc、目標補正傾倒座標θgc、目標補正シリンダ長Lgc:不図示。図5BのステップS54での演算処理によって算出される。)とする。
【0301】
なお、オフセットの形態は、駆動部12の構成によって種々の変形が考えられる。
【0302】
図5Bは、図5Aに示した座標図形のもとで実行される制御座標の位置ズレを補正して太陽電池パネルを駆動するときの演算処理の処理フロー状態を示すフローチャートである。
【0303】
本実施の形態での制御座標(旋回座標φ、傾倒座標θ)の位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動する補正処理は、例えばステップS50ないしステップS55で構成される処理フローによって実行することが可能である。なお、ステップS50ないしステップS55の処理フローは、他の処理フローと同様、パーソナルコンピュータ30にインストールしたコンピュータプログラムによって実行される構成としてある。
【0304】
ステップS50:
目標とする太陽座標(太陽方位角φs、太陽高度θs)を目標太陽座標(目標太陽方位角φsg、目標太陽高度θsg)として特定する。
【0305】
ステップS51:
太陽座標を直交座標に座標変換する。つまり、目標太陽座標を直交座標へ変換し、目標直交太陽座標(x,y,z)を求める。詳細は式1(図5B)で示すとおりである。
【0306】
ステップS52:
目標直交太陽座標(x,y,z)を制御座標(旋回座標φ、傾倒座標θ)に対応する直交座標に座標変換し、目標直交制御座標(X,Y,Z)を求める。詳細は式2(図5B)で示すとおりである。なお、座標変換に際し、座標変換パラメータとして、x軸にはαを、y軸にはβを、z軸にはγをそれぞれ適用する。
【0307】
ステップS53:
目標直交制御座標(X,Y,Z)を制御座標(旋回座標φ、傾倒座標θ)に座標変換し、目標制御座標(目標旋回座標φg、目標傾倒座標θg)に変換する。詳細は式3a、式3b、式3c(図5B)に示すとおりである。
【0308】
ステップS54:
旋回座標φ、傾倒座標θでのオフセット(位置ズレ:太陽方位角φsと第N正対旋回座標φNmとの差に基づいて旋回座標φでのオフセット=εと設定し、太陽高度θsと第N正対傾倒座標θNmとの差に基づいて傾倒座標θでのオフセット=δと設定する。なお、このときのNは、上述したとおり最終検出回数を示す。)を考慮して目標制御座標(目標旋回座標φg、目標傾倒座標θg)に補正を施した値を目標補正制御値(目標補正旋回座標φgc、目標補正傾倒座標θgc)とする。詳細は式4a、式4b(図5B)に示すとおりである。
【0309】
なお、本実施の形態では、ジャッキシリンダ式の傾倒駆動機としてあることから、シリンダ長Lでのオフセット=τを考慮して、目標シリンダ長=L(θgc)に補正を施した値を目標補正シリンダ長Lgcとする。詳細は式4c(図5B)に示すとおりである。
【0310】
つまり、本実施の形態では、目標補正旋回座標φgc、目標補正傾倒座標θgcに、目標補正シリンダ長Lgcを併せた値を目標補正制御値として設定する。
【0311】
上述したとおり、本実施の形態では、6つの補正パラメータ(目標旋回座標φg、目標傾倒座標θg、目標シリンダ長L(θgc)、旋回座標φでのオフセットε、傾倒座標θでのオフセットδ、シリンダ長Lでのオフセットτ)を適用して目標補正旋回座標φgc、目標補正傾倒座標θgc、目標補正シリンダ長Lgcを目標補正制御値として設定する。
【0312】
補正パラメータは、駆動部12を構成する駆動方式によって適宜設定されるべきものである。また、正対座標(正対旋回座標、正対傾倒座用)と太陽座標(太陽方位角、太陽高度)の組(データセット)は、複数求めてあることが望ましい。複数のデータセットは、適宜の時間間隔を設けて求められることが望ましい。具体的には、例えば2時間程度の時間間隔であることが望ましい。
【0313】
上述した6つの補正パラメータを導出は、2回の実施で導出することが可能である。さらに高精度に補正パラメータを導出するためには、さらに回数を増加させることが望ましい。
【0314】
なお、上述した式1ないし式4cは、予め演算式として設定してある。
【0315】
ステップS55:
目標補正制御値(目標補正旋回座標φgc、目標補正傾倒座標θgc、目標補正シリンダ長Lgc)に基づいて駆動部12を介して太陽電池パネルを駆動する。
【0316】
本実施の形態を実施の形態2の第1動作パターン(ステップS10)に適用した場合は、次のとおりとなる。
【0317】
実施の形態2での太陽電池パネル10の位置ズレを補正して駆動する過程(追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法)は、目標とする太陽方位角φsを目標太陽方位角φsg、目標とする太陽高度θsを目標太陽高度θsgとして特定し、予め設定された演算式を用いて目標太陽方位角φsgおよび目標太陽高度θsgを旋回座標φおよび傾倒座標θでの目標旋回座標φgおよび目標傾倒座標θgに座標変換し、目標旋回座標φgおよび目標傾倒座標θgに対して第1正対旋回座標φ1mおよび第1正対傾倒座標θ1mに基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標φgcおよび目標補正傾倒座標θgcを適用して太陽電池パネル10を駆動する構成としてある。
【0318】
この構成により、第1正対旋回座標φ1mおよび第1正対傾倒座標θ1mに基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標φgcおよび目標補正傾倒座標θgcを適用して太陽電池パネル10を駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動することが可能となる。
【0319】
また、本実施の形態を実施の形態3の第2動作パターン(ステップS29)に適用した場合は、次のとおりとなる。
【0320】
実施の形態3での太陽電池パネル10の位置ズレを補正して駆動する過程(追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法)は、目標とする太陽方位角φsを目標太陽方位角φsg、目標とする太陽高度θsを目標太陽高度θsgとして特定し、予め設定された演算式を用いて目標太陽方位角φsgおよび目標太陽高度θsgを旋回座標および傾倒座標での目標旋回座標φgおよび目標傾倒座標θgに座標変換し、目標旋回座標φgおよび目標傾倒座標θgに対して第2正対旋回座標φ2mおよび第2正対傾倒座標θ2mに基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標φgcおよび目標補正傾倒座標θgcを適用して太陽電池パネル10を駆動する構成としてある。
【0321】
この構成により、第2正対旋回座標φ2mおよび第2正対傾倒座標θ2mに基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標φgcおよび目標補正傾倒座標θgcを適用して太陽電池パネル10を駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動することが可能となる。
【0322】
また、本実施の形態を実施の形態4の第3動作パターン(ステップS39)に適用した場合は、次のとおりとなる。
【0323】
実施の形態4での太陽電池パネル10の位置ズレを補正して駆動する過程(追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法)は、目標とする太陽方位角φsを目標太陽方位角φsg、目標とする太陽高度θsを目標太陽高度θsgとして特定し、予め設定された演算式を用いて目標太陽方位角φsgおよび目標太陽高度θsgを旋回座標および傾倒座標での目標旋回座標φgおよび目標傾倒座標θgに座標変換し、目標旋回座標φgおよび目標傾倒座標θgに対して第3正対旋回座標φ3mおよび第3正対傾倒座標θ3mに基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標φgcおよび目標補正傾倒座標θgcを適用して太陽電池パネル10を駆動する構成としてある。
【0324】
この構成により、第3正対旋回座標φ3mおよび第3正対傾倒座標θ3mに基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標φgcおよび目標補正傾倒座標θgcを適用して太陽電池パネル10を駆動するので、容易かつ高精度に位置ズレを補正して太陽電池パネル10を駆動することが可能となる。
【0325】
<実施の形態6>
図6Aおよび図6Bに基づいて、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電システムの追尾制御方法について説明する。
【0326】
図6Aは、本発明の実施の形態6に係る追尾駆動型太陽光発電システムの稼動状態での概略構成を示すブロック図である。
【0327】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電システム1sは、実施の形態1ないし実施の形態5に係る追尾駆動型太陽光発電装置1を複数台備える形態としたものである。つまり、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電システム1sは、太陽光を電力に変換する太陽電池パネル10と、太陽方位角φsおよび太陽高度θsに対応させて設定した旋回座標φおよび傾倒座標θに基づいて太陽軌道を追尾するように太陽電池パネル10の旋回位置および傾倒位置を追尾制御する追尾制御部12とを備える追尾駆動型太陽光発電装置1を複数備える。
【0328】
追尾駆動型太陽光発電装置1の詳細は、実施の形態1と同様であるので主に異なる事項について説明する。複数の追尾駆動型太陽光発電装置1の出力は、出力側遮断器25の手前で集電され、電力線20cを介してインバータ40へ電力を供給する形態としてある。つまり、電力モニタ盤20は、複数の太陽電池パネル10を集電して、集中管理する形態としてある。
【0329】
太陽電池パネル10に対応して接続された検出回路22は、検出線22bを介してパーソナルコンピュータ30に接続されている。また、追尾制御部13は、それぞれの太陽電池パネル10を制御する形態としてある。
【0330】
図6Bは、本発明の実施の形態6に係る追尾駆動型太陽光発電システムの追尾制御方法を実行するときの概略構成を示すブロック図である。
【0331】
本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電システム1sの追尾制御方法は、追尾駆動型太陽光発電装置1のそれぞれに対して個別に適用される構成としてある。つまり、開閉器21を制御して、追尾制御方法を実行する対象となる追尾駆動型太陽光発電装置1のみを接続した状態とすることによって、実施の形態1ないし実施の形態5で示した追尾制御方法をそれぞれの追尾駆動型太陽光発電装置1に対して順次実行する構成としてある。
【0332】
開閉器21に対する制御は、電力モニタ盤20を介して直接的に実行することが可能である。また、パーソナルコンピュータ30に予め開閉器21を制御するコンピュータプログラムをインストールしておき、パーソナルコンピュータ30の表示画面にメニューを表示させ、メニュー(メニューボタン)から対象とする開閉器21を選択させる形態とすることも可能である。また、出力側遮断器25を介してインバータ40に代わる模擬負荷41を接続しておく。
【0333】
つまり、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電システム1sの追尾制御方法は、実施の形態1ないし実施の形態5に記載した追尾駆動型太陽光発電装置1の追尾制御方法をそれぞれの追尾駆動型太陽光発電装置1に対して個別に適用する構成としてある。
【0334】
この構成により、追尾駆動型太陽光発電装置1それぞれに対して位置ズレを調整するので、追尾駆動型太陽光発電装置1それぞれに対して最適な追尾制御を施すことが可能となり、全体として高効率で最大電力の発電を行なうことが可能な追尾駆動型太陽光発電システム1sとすることができる。
【0335】
また、本実施の形態に係る追尾駆動型太陽光発電システム1sの追尾制御方法を各追尾駆動型太陽光発電装置1(太陽電池パネル10)に適用する場合、太陽の移動(太陽光の状態)による影響が全く生じないことから、多数の追尾駆動型太陽光発電装置1を配置した追尾駆動型太陽光発電システム1sの設置作業を極めて容易かつ高精度に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0336】
【図1A】本発明の実施の形態1に係る追尾駆動型太陽光発電装置の稼動状態での概略構成を示すブロック図である。
【図1B】本発明の実施の形態1に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法を実行するときの概略構成を示すブロック図である。
【図1C】本発明の実施の形態1に係る追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法の実行に適用されるパーソナルコンピュータの概略構成を示すブロック図である。
【図2A】本発明の実施の形態2に係る追尾駆動型太陽光発電装置の位置ズレを検出して補正するときの第1動作パターンの処理フロー状態を示すフローチャートである。
【図2B】図2Aで示した第1動作パターンでの制御座標の移動状態に対応する詳細情報を示す一覧図表である。
【図2C】図2Aで示した第1動作パターンでの制御座標の移動状態を座標で示す座標図である。
【図3A】本発明の実施の形態3に係る追尾駆動型太陽光発電装置の位置ズレを検出して補正するときの第2動作パターンの処理フロー状態を示すフローチャートである。
【図3B】図3Aで示した第2動作パターンでの制御座標の移動状態に対応する詳細情報を示す一覧図表である。
【図3C】図3Aで示した第2動作パターンでの制御座標の移動状態を座標で示す座標図である。
【図4A】本発明の実施の形態4に係る追尾駆動型太陽光発電装置の位置ズレを検出して補正するときの第3動作パターンの処理フロー状態を示すフローチャートである。
【図4B】図4Aで示した第3動作パターンでの制御座標の移動状態に対応する詳細情報を示す一覧図表である。
【図4C】図4Aで示した第3動作パターンでの制御座標の移動状態を示す座標図である。
【図5A】本発明の実施の形態5に係る追尾駆動型太陽光発電装置に適用する座標系および制御パラメータの相関を示す座標図形である。
【図5B】図5Aに示した座標図形のもとで実行される制御座標の位置ズレを補正して太陽電池パネルを駆動するときの演算処理の処理フロー状態を示すフローチャートである。
【図6A】本発明の実施の形態6に係る追尾駆動型太陽光発電システムの稼動状態での概略構成を示すブロック図である。
【図6B】本発明の実施の形態6に係る追尾駆動型太陽光発電システムの追尾制御方法を実行するときの概略構成を示すブロック図である。
【図7】従来の追尾駆動型太陽光発電装置の概要を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0337】
1 追尾駆動型太陽光発電装置
1s 追尾駆動型太陽光発電システム
10 太陽電池パネル
11 支柱
12 駆動部
13 追尾制御部
13c 制御線
13b 通信線
20 電力モニタ盤
20b 電力線
20c 電力線
21 開閉器
22 検出回路
22b 検出線
23 電流検出抵抗
24 電圧検出抵抗
25 出力側遮断器
26 A/D変換部
30 パーソナルコンピュータ
40 インバータ
41 模擬負荷
L シリンダ長
Lgc 目標補正シリンダ長(目標補正制御値)
L(θgc) 目標シリンダ長
Roth 旋回方向
Rotv 傾倒方向
S3 第1正対旋回座標検出過程
S4 第1正対旋回座標整合過程
S5 第1経時傾倒補正過程
S7 第1正対傾倒座標検出過程
S8 第1正対傾倒座標整合過程
S9 第1経時旋回補正過程
S10 補正駆動過程
S22 第2正対旋回座標検出過程
S23 第2正対旋回座標整合過程
S24 第2経時傾倒補正過程
S26 第2正対傾倒座標検出過程
S27 第2正対傾倒座標整合過程
S28 第2経時旋回補正過程
S29 補正駆動過程
S32 第3正対旋回座標検出過程
S33 第3正対旋回座標整合過程
S34 第3経時傾倒補正過程
S36 第3正対傾倒座標検出過程
S37 第3正対傾倒座標整合過程
S38 第3経時旋回補正過程
S39 補正駆動過程
(X,Y,Z) 目標直交制御座標
dθ1 第1傾倒変位角
dθ2 第2傾倒変位角
dθ3 第3傾倒変位角
dθs 高度変化分
dφ1 第1旋回変位角
dφ2 第2旋回変位角
dφ3 第3旋回変位角
dφs 方位角変化分
(x,y,z) 目標直交太陽座標
θ 傾倒座標(制御座標)
θ1 第1傾倒座標/第1傾倒検出基準座標
θ1m 第1正対傾倒座標/第2傾倒検出基準座標
θ1mt 第2経時傾倒補正座標/第2傾倒検出基準座標
θ1t 第1経時傾倒補正座標/第1傾倒検出基準座標
(θ1t±dθ1) 第1傾倒検出範囲
θ1t+dθ1 第1傾倒検出終了座標
θ1t−dθ1 第1傾倒検出開始座標
(θ1mt±dθ2) 第2傾倒検出範囲
θ1mt+dθ2 第2傾倒検出終了座標
θ1mt−dθ2 第2傾倒検出開始座標
θ2m 第2正対傾倒座標/第3傾倒検出基準座標
θ2mt 第3経時傾倒補正座標/第3傾倒検出基準座標
(θ2mt±dθ3) 第3傾倒検出範囲
θ2mt+dθ3 第3傾倒検出終了座標
θ2mt−dθ3 第3傾倒検出開始座標
θ3m 第3正対傾倒座標
θg 目標傾倒座標(目標制御座標)
θgc 目標補正傾倒座標(目標補正制御値)
θs 太陽高度(太陽座標)
θsg 目標太陽高度
φ 旋回座標(制御座標)
φ1 第1旋回座標/第1旋回検出基準座標
φ1m 第1正対旋回座標/第2旋回検出基準座標
φ1mt 第1経時旋回補正座標/第2旋回検出基準座標
(φ1mt±dφ2) 第2旋回検出範囲
φ1mt+dφ2 第2旋回検出終了座標
φ1mt−dφ2 第2旋回検出開始座標
(φ1±dφ1) 第1旋回検出範囲
φ1+dφ1 第1旋回検出終了座標
φ1−dφ1 第1旋回検出開始座標
φ2m 第2正対旋回座標/第3旋回検出基準座標
φ2mt 第2経時旋回補正座標/第3旋回検出基準座標
(φ2mt±dφ3) 第3旋回検出範囲
φ2mt+dφ3 第3旋回検出終了座標
φ2mt−dφ3 第3旋回検出開始座標
φ3m 第3正対旋回座標
φ3mt 第3経時旋回補正座標
φg 目標旋回座標(目標制御座標)
φgc 目標補正旋回座標(目標補正制御値)
φs 太陽方位角(太陽座標)
φsg 目標太陽方位角
ε オフセット
δ オフセット
τ オフセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を電力に変換する太陽電池パネルと、太陽方位角および太陽高度に対応させて設定した制御座標としての旋回座標および傾倒座標に基づいて太陽軌道を追尾するように太陽電池パネルの旋回位置および傾倒位置を追尾制御する追尾制御部とを備える追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
太陽方位角に対応する第1旋回座標に関連させて設定された第1旋回検出範囲で旋回座標を順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対旋回座標を検出させる第1正対旋回座標検出過程と、
太陽高度に対応する第1傾倒座標に関連させて設定された第1傾倒検出範囲で傾倒座標を順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第1正対傾倒座標を検出させる第1正対傾倒座標検出過程とを備えること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第1旋回検出範囲は、第1旋回座標を第1旋回検出基準座標とし、第1旋回検出基準座標の順逆両方向へ予め規定された第1旋回変位角を適用して設定された第1旋回検出開始座標から第1旋回検出終了座標までとされ、
第1傾倒検出範囲は、第1傾倒座標または第1傾倒座標に経時補正を施した第1経時傾倒補正座標を第1傾倒検出基準座標とし、第1傾倒検出基準座標の順逆両方向へ予め規定された第1傾倒変位角を適用して設定された第1傾倒検出開始座標から第1傾倒検出終了座標までとされること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第1正対旋回座標検出過程で検出した第1正対旋回座標へ旋回座標を整合させる第1正対旋回座標整合過程を実行させた後、第1正対傾倒座標検出過程を実行させる構成としてあること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第1正対傾倒座標検出過程を実行する前に、時間の経過による太陽高度の高度変化分を反映させた経時補正を第1傾倒座標に施した第1経時傾倒補正座標が算出され、第1傾倒検出基準座標は、第1傾倒座標から第1経時傾倒補正座標へ予め置換されていること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
目標とする太陽方位角を目標太陽方位角、目標とする太陽高度を目標太陽高度として特定し、予め設定された演算式を用いて目標太陽方位角および目標太陽高度を旋回座標および傾倒座標での目標旋回座標および目標傾倒座標に座標変換し、目標旋回座標および目標傾倒座標に対して第1正対旋回座標および第1正対傾倒座標に基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標および目標補正傾倒座標を適用して太陽電池パネルを駆動する構成としてあること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電圧によって行われる構成としてあること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてあること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第1正対旋回座標に関連させて設定された第2旋回検出範囲で旋回座標を順次変更して太陽電池パネルの旋回位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第2正対旋回座標を検出させる第2正対旋回座標検出過程と、
第1正対傾倒座標に関連させて設定された第2傾倒検出範囲で傾倒座標を順次変更して太陽電池パネルの傾倒位置を移動させ、パネル出力が最大値となる第2正対傾倒座標を検出させる第2正対傾倒座標検出過程とを備えること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第2旋回検出範囲は、第1正対旋回座標または第1正対旋回座標に経時補正を施した第1経時旋回補正座標を第2旋回検出基準座標とし、第2旋回検出基準座標の順逆両方向へ第1旋回変位角より予め小さく規定された第2旋回変位角を適用して設定された第2旋回検出開始座標から第2旋回検出終了座標までとして設定され、
第2傾倒検出範囲は、第1正対傾倒座標または第1正対傾倒座標に経時補正を施した第2経時傾倒補正座標を第2傾倒検出基準座標とし、第2傾倒検出基準座標の順逆両方向へ第1傾倒変位角より予め小さく規定された第2傾倒変位角を適用して設定された第2傾倒検出開始座標から第2傾倒検出終了座標までとして設定されること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第2正対旋回座標検出過程を実行する前に、時間の経過による太陽方位角の方位角変化分を反映させた経時補正を第1正対旋回座標に施した第1経時旋回補正座標が算出され、第2旋回検出基準座標は、第1正対旋回座標から第1経時旋回補正座標へ予め置換されていること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項11】
請求項8ないし請求項10のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第2正対旋回座標検出過程で検出した第2正対旋回座標へ旋回座標を整合させる第2正対旋回座標整合過程を実行させた後、第2正対傾倒座標検出過程を実行させること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項12】
請求項8ないし請求項11のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第2正対傾倒座標検出過程を実行する前に、時間の経過による太陽高度の高度変化分を反映させた経時補正を第1正対傾倒座標に施した第2経時補正傾倒座標が算出され、第2傾倒検出基準座標は、第1正対傾倒座標から第2経時傾倒補正座標へ予め置換されていること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項13】
請求項8ないし請求項12のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
目標とする太陽方位角を目標太陽方位角、目標とする太陽高度を目標太陽高度として特定し、予め設定された演算式を用いて目標太陽方位角および目標太陽高度を旋回座標および傾倒座標での目標旋回座標および目標傾倒座標に座標変換し、目標旋回座標および目標傾倒座標に対して第2正対旋回座標および第2正対傾倒座標に基づく補正を施して設定した目標補正旋回座標および目標補正傾倒座標を適用して太陽電池パネルを駆動する構成としてあること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項14】
請求項8ないし請求項13のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電圧によって行われ、
第2正対旋回座標検出過程および第2正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてあること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項15】
請求項8ないし請求項13のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第1正対旋回座標検出過程および第1正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出、および、
第2正対旋回座標検出過程および第2正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてあること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項16】
請求項8ないし請求項12のいずれか一つに記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第2正対旋回座標に関連させて設定された第3旋回検出範囲で旋回座標を順次変更させて太陽電池パネルの旋回位置を制御し、パネル出力が最大値となる第3正対旋回座標を検出させる第3正対旋回座標検出過程と、
第2正対傾倒座標に関連させて設定された第3傾倒検出範囲で傾倒座標を順次変更させて太陽電池パネルの傾倒位置を制御し、パネル出力が最大値となる第3正対傾倒座標を検出させる第3正対傾倒座標検出過程とを備え、
第3旋回検出範囲は、第2正対旋回座標または第2正対旋回座標に経時補正を施した第2経時旋回補正座標を第3旋回検出基準座標とし、第3旋回検出基準座標の順逆両方向へ第2旋回変位角より予め小さく規定された第3旋回変位角を適用して設定された第3旋回検出開始座標から第3旋回検出終了座標までとして設定され、
第3傾倒検出範囲は、第2正対傾倒座標または第2正対傾倒座標に経時補正を施した第3経時傾倒補正座標を第3傾倒検出基準座標とし、第3傾倒検出基準座標の順逆両方向へ第2傾倒変位角より予め小さく規定された第3傾倒変位角を適用して設定された第3傾倒検出開始座標から第3傾倒検出終了座標までとして設定されること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。
【請求項17】
請求項12に記載の追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法であって、
第3正対旋回座標検出過程および第3正対傾倒座標検出過程でのパネル出力の検出は、電流によって行われる構成としてあること
を特徴とする追尾駆動型太陽光発電装置の追尾制御方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−165684(P2011−165684A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139819(P2008−139819)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】