退避場所探索システム、退避場所探索方法
【課題】迫り来る障害物との接触を回避すべく道を譲るために寄り添うべき退避壁面を探索する技術を提供する。
【解決手段】迫り来る台車250(障害物)との接触を回避するためにロボット100(自律移動体)が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索システムは、ロボット100の周囲の壁面の平面視形状を測定するレーザレンジファインダ4(壁面形状測定手段)と、レーザレンジファインダ4による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面Mを探索する退避壁面探索部130(退避壁面探索手段)と、を備えている。所定の平面視長さは、ロボット100の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される。
【解決手段】迫り来る台車250(障害物)との接触を回避するためにロボット100(自律移動体)が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索システムは、ロボット100の周囲の壁面の平面視形状を測定するレーザレンジファインダ4(壁面形状測定手段)と、レーザレンジファインダ4による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面Mを探索する退避壁面探索部130(退避壁面探索手段)と、を備えている。所定の平面視長さは、ロボット100の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は退避場所探索システム、退避場所探索方法、退避場所探索プログラム、自律移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、様々な状況に応じて移動物体との接触を流動的に回避しながら自律的に移動しうるロボットを開示している。このロボットは、自身の通行可能領域と自身の通行可能領域における位置とを認識した状態で、移動物体との接触を回避すべく、自身を通行可能領域の境界に近づける軌道を探索する。この探索に際しては、自身と通行可能領域の境界との距離が最も短くなるような軌道を優先的に採用することとしている。端的に言えば、ロボットは通行可能領域の境界に身を寄せ、移動物体に対して移動用のスペースを譲るような動作をするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−131940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の軌道探索方法は、それ自体有用なものではあるが、全く新しい別の退避場所探索方法の開発も同時に期待されていた。
【0005】
本願発明の目的は、迫り来る障害物との接触を回避すべく道を譲るために寄り添うべき退避壁面を探索する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の観点によれば、迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索システムは、前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定する壁面形状測定手段と、前記壁面形状測定手段による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索する退避壁面探索手段と、を備えている。◆以上のシステムによれば、迫り来る障害物との接触を回避するために前記自律移動体が寄り添うべき前記退避壁面を臨機応変に探索することができる。
【0007】
また、前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される。◆以上のシステムによれば、前記自律移動体が前記退避壁面に寄り添ったとき、前記退避壁面の正面視において、前記自律移動体が前記退避壁面からはみ出ることがない。
【0008】
また、前記壁面形状測定手段は、前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する。◆このように前記壁面形状測定手段の測定対象を限定することで、前記退避壁面探索手段の探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0009】
また、前記壁面形状測定手段は、前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する。◆このように前記壁面形状測定手段の測定対象を限定することで、前記退避壁面探索手段の探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0010】
また、前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶する測定結果記憶手段を更に備え、前記退避壁面探索手段は、前記測定結果記憶手段によって記憶されている過去の測定結果と、前記壁面形状測定手段によって得られた現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する。◆以上のシステムによれば、前記壁面形状測定手段によって得られた現在の測定結果のみに基づいて前記退避壁面を探索する場合と比較して、探索の材料が増えるという意味で、前記退避壁面の一層充実した探索が可能となる。
【0011】
自律移動体は、上記の退避場所探索システムを備えている。
【0012】
本願発明の第2の観点によれば、迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索方法は、前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定するステップと、測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索するステップと、を含む。
【0013】
また、前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上とすることが好ましい。
【0014】
また、前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定することが好ましい。
【0015】
前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定することが好ましい。
【0016】
前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶するステップを更に含み、記憶されている過去の測定結果と、測定した現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索することが好ましい。
【0017】
本願発明の第3の観点によれば、迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索プログラムは、コンピュータに、前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定するステップと、測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索するステップと、を実行させる。
【0018】
また、前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上とする。
【0019】
また、前記退避場所探索プログラムは、前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する。
【0020】
また、前記退避場所探索プログラムは、前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する。
【0021】
また、前記退避場所探索プログラムは、コンピュータに、前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶するステップを更に実行させ、記憶されている過去の測定結果と、測定した現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する。
【発明の効果】
【0022】
本願発明によれば、迫り来る障害物との接触を回避するために前記自律移動体が寄り添うべき前記退避壁面を臨機応変に探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願発明の一実施形態に係るロボットの斜視図
【図2】ロボットの機能ブロック図
【図3】形状測定メカニズムの説明図
【図4】形状測定メカニズムの説明図
【図5】探索メカニズムの説明図
【図6】探索メカニズムの説明図(探索フロー)
【図7】探索メカニズムの説明図
【図8】退避壁面を例示する平面図
【図9】退避壁面を例示する平面図
【図10】退避壁面を例示する平面図
【図11】退避壁面を例示する平面図
【図12】退避壁面とは成り得ない例を示す平面図
【図13】退避壁面とは成り得ない例を示す平面図
【図14】退避壁面とは成り得ない例を示す平面図
【図15】過去の測定結果の活用に関する説明図
【図16】レーザレンジファインダのスキャン範囲に関する説明図
【図17】ロボットの退避動作の説明図
【図18】ロボットの退避動作の退避フロー
【図19】ロボットの退避動作の説明図
【図20】ロボットの退避動作の説明図
【図21】ロボットの退避動作の説明図
【図22】ロボットの退避動作の説明図
【図23】ロボットの退避動作の説明図
【図24】ロボットの退避動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る自律移動体の実施形態を、図1〜図24に基づいて詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0025】
まず、本発明に係る自律移動体の一例であるロボットの構成について、図1を用いて説明する。本実施の形態では、ロボット100が、自律移動する移動ロボットとして説明する。ロボット100は、移動体本体110と、図2に示される制御部120とを備えている。図1に示すように、移動体本体110は、車輪2と、筐体3と、レーザレンジファインダ4(壁面形状測定手段)と、頭部5と、を備えている。そして、筐体3の内部には、車輪2と接続されたモータ、及びモータを駆動するためのバッテリなどが設けられている。このモータがロボット100を駆動するための駆動機構となる。モータを駆動することによって、車輪2が回転して、ロボット100が移動する。ロボット100は、例えば、人間の歩行速度と同程度の速度で移動する。筐体3の前面側(正面側、進行方向側)にはレーザレンジファインダ4が埋め込まれている。レーザレンジファインダ4は、ロボット100の周囲に存在する障害物や人間などを検知する。また、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の周囲の壁面の平面視形状を測定する。
【0026】
ロボット100には、図2に示す制御部120が設けられている。制御部120は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信用のインタフェイスなどを有する演算処理装置である。また、制御部120は、着脱可能なHDD、光ディスク、光磁気ディスク等を有し、各種プログラムや制御パラメータなどを記憶し、そのプログラムやデータを必要に応じてメモリ(不図示)等に供給する。もちろん、制御部120は、物理的に一つの構成に限られるものではない。制御部120は、ロボット100が移動する移動経路を生成する。そして、その移動経路に沿ってロボット100が移動するよう、車輪2を駆動するためのモータ等を制御する。もちろん、ロボット100は車輪型の移動ロボットに限らず、歩行型やその他の移動ロボットでもよい。ロボット100は自己位置推定を行なって移動する自律移動体であってもよい。
【0027】
制御部120は、移動環境中にある移動始点から移動終点までの移動経路を決定する。ロボット100は、移動始点から移動を開始する。そして、ロボット100は、移動経路に沿って移動していき、移動終点まで移動したら停止する。
【0028】
また、制御部120は、迫り来る障害物との接触を回避するためにロボット100が退避すべき退避場所を探索する。本実施形態において、退避場所探索システムは、レーザレンジファインダ4と、制御部120とによって構成されている。
【0029】
次に、ロボット100の制御系について図2を用いて説明する。制御部120は、退避壁面探索部130(退避壁面探索手段)と、測定結果記憶部140と、を備えている。
【0030】
退避壁面探索部130は、レーザレンジファインダ4による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面M(図8等参照)を探索する。
【0031】
測定結果記憶部140は、レーザレンジファインダ4による測定結果を記憶する。
【0032】
退避壁面探索部130は、好ましくは、測定結果記憶部140によって記憶されている過去の測定結果と、レーザレンジファインダ4によって得られた現在の測定結果とに基づいて、退避壁面Mを探索する。
【0033】
次に、図3及び図4を参照しつつ、レーザレンジファインダ4によるロボット100の周囲の壁面の平面視形状を測定するメカニズムを説明する。図3に示すように、本実施形態においてレーザレンジファインダ4は、移動体本体110の正面側に設けられている。従って、ロボット100が図示するように紙面上方に向かって走行している場合、レーザレンジファインダ4による測定可能範囲は符号Qで示す半ドーナツ状でイメージした範囲となっている。ここで、ロボット100は、ロボット100から見て左側の壁面である左側壁面WLと、ロボット100から見て右側の壁面である右側壁面WRと、の間を走行しているものとする。
【0034】
図4においてレーザレンジファインダ4によるスキャン方向を太線矢印Xで示す。図4に示すように、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の周囲の壁面である右側壁面WRの平面視形状を測定するとき、先ず、ロボット100の向かって右側に赤外線を放射し、その反射波を受信するまでの経過時間によって、ロボット100に対するスキャンポイントp(1)の平面視における相対座標を取得する。次に、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の向かって右側よりも僅かに正面側に赤外線を放射し、同様に、ロボット100に対するスキャンポイントp(2)の平面視における相対座標を取得する。レーザレンジファインダ4は、上述したスキャンをスキャンポイントp(3)からスキャンポイントp(14)に至るまで繰り返し行う。これにより、図4に示すように、レーザレンジファインダ4は、右側壁面WRの平面視形状を離散的にではあるが非常に精度よく測定することができる。
【0035】
次に、図5〜図7を参照しつつ、上記の形状測定後に活用される探索メカニズムを説明する。先ず、図5に示すように、スキャンポイントp(n)と、スキャンポイントp(n+1)との間の距離をD(n)と定義する。また、スキャンポイントp(n−1)とスキャンポイントp(n)を結んだ線と、スキャンポイントp(n)とスキャンポイントp(n+1)を結んだ線と、の成す角の絶対値をθ(n)と定義する。ただし、θ(0)=0とする。下記式(1)において変数Lは、ロボット100を格納するために必要な退避壁面の平面視長さを意味する。換言すれば、変数Lは、移動体本体110の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される。
【0036】
【数1】
【0037】
退避壁面探索部130は、図5に示すようなレーザレンジファインダ4による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面M(図8等参照)を探索する。即ち、端的に言えば、上記式(1)においてa=0とし、式(1)を満たす最小のbを求める。そして、このa〜bのすべてのnにおいて下記式(2)を満たすならば探索完了となり、退避壁面は、スキャンポイントp(a)〜スキャンポイントp(b)となり、はっきりと特定される。上記式(1)は退避壁面Mに必要となる平面視長さを保証し、下記式(2)により退避壁面Mの連続性と直線性を保証している。下記式(2)において、壁面の連続性と直線性を判定する条件を任意に設定することができるが、本実施形態ではθの総和で判断する式としている。式(2)のθthreはθの総和の上限を意味する。
【0038】
【数2】
【0039】
詳しくは、図6に示すように、先ず、変数aを初期値a0で初期化する(S300)。次に、変数nに変数aを代入し、変数SumDをクリアし、変数Sumθもクリアする(S310)。変数SumDは、上記式(1)のΣD(n)を意味し、変数Sumθは上記式(2)のΣθ(n)を意味している。次に、なす角θ(n)を計算する(S320)。ただし、n=aのときは、なす角θ(n)は0とする(S320)。次に、計算したθ(n)をSumθに加える(S330)。そして、Sumθがθthre以上であれば(S340:NO)、変数aをインクリメントし(S350)、S310に戻る。一方、Sumθがθthre未満であったら(S340:YES)、スキャンポイントp(n)とスキャンポイントp(n+1)の間の距離D(n)を三平方の定理により計算する(S360)。次に、計算したD(n)をSumDに加える(S370)。そして、SumDがL以下であったら(380:NO)、nをインクリメントし(S390)、S320に戻る。一方、SumDがLを超えたら(S380:YES)、bにnを代入して探索を終了とする(S400)。これにより、ロボット100に最も近い位置で、上記式(1)及び(2)を両方同時に満足する退避壁面Mを右側壁面WRから抽出することができる。なお、退避壁面Mは、前述のように、スキャンポイントp(a)とスキャンポイントp(b)によって始点と終点が明確に特定される。
【0040】
次に、図6等を用いて説明した探索メカニズムを利用して、図7に示す右側壁面WRから退避壁面M(図8等参照)を探索する過程を一通り説明する。ここで、図7に示す平面視でロボット100の投影面積の最大幅が4.8だったとし、退避壁面Mの平面視長さL(式(1)参照)を5に設定する。また、θthreを20[deg]に設定した。図7には、各スキャンポイントp(n)の位置と、各D(n)と、θ(3)及びθ(4)、θ(5)を示した。
【0041】
先ず、a=0として式(1)を考慮すると、n=1、2について計算した後、n=3のとき下記式(3)となるが、式(2)を考慮すると下記式(4)となるので(図6、S340:NO)、a=0のときn=3でa=0の計算は終了となり、次のa=1へと計算を進めることになる(図6、S350)。
【0042】
【数3】
【0043】
【数4】
【0044】
a=1〜2でもθ(3)を含むため、式(2)を満足しない。a=3ではθ(4)を含み、a=4ではθ(5)を含むため、何れも式(2)を満足しない。
【0045】
a=5のとき、下記式(5)であり、また、式(2)を満足するため、a=5、b=10が求める解となる。これにより、スキャンポイントp(5)からスキャンポイントp(10)が求める退避壁面Mの始点と終点になる。
【0046】
【数5】
【0047】
次に、図8〜図11に、退避壁面探索部130が探索した退避壁面Mを例示する。
【0048】
図8では、ロボット100が互いに平行な左側壁面WLと右側壁面WRの間で若干右側壁面WR側へたまたま向きを変えている状態で退避壁面探索部130が探索を開始した場合である。
【0049】
図9では、ロボット100が互いに平行な左側壁面WLと右側壁面WRの間を真っ直ぐ走行している状態で退避壁面探索部130が探索を開始した場合である。
【0050】
図10では、ロボット100が互いに平行な左側壁面WLと右側壁面WRの間で若干右側壁面WR側へたまたま向きを変えている状態であって、右側壁面WRに窪み200がある場合に退避壁面探索部130が探索を開始した場合である。この場合では、窪み200の平面視における面積が狭いため、退避壁面Mは窪み200から外れた位置に設定されている。
【0051】
図11では、ロボット100が互いに平行な左側壁面WLと右側壁面WRの間で若干右側壁面WR側へたまたま向きを変えている状態であって、右側壁面WRに窪み200がある場合に退避壁面探索部130が探索を開始した場合である。この場合では、窪み200の平面視における面積が十分広いため、退避壁面Mは窪み200内に設定されている。
【0052】
次に、図12〜図13を参照しつつ、退避壁面探索部130が探索した退避壁面Mと成り得ない例を示す。
【0053】
図12に示すように右側壁面WRがきつく湾曲している場合は、上記式(2)を満足することが不可能であり、即ち、平坦な退避壁面Mを確保することが不可能であるから、太線で図示する壁面は退避壁面Mとは成り得ない。
【0054】
図13に示すように右側壁面WRが平面視で直角となっている場合、この直角部210を跨ぐように退避壁面Mを確保することはあり得ない。上記式(2)を満足することが不可能だからである。この場合、ロボット100は、道220を塞ぐことがないので、道220を通行する他の人やロボットの交通を妨げることがない。
【0055】
図14に示すように右側壁面WRが平面視で段差形状となっている場合、この段差230を跨ぐように分裂した退避壁面Mを確保することはあり得ない。上記式(2)を満足することが不可能だからである。
【0056】
ここで、探索の高速化を図るための方法を紹介する。それは、既に計算済みであるD(n)やθ(n)を再度、計算し直すことなく再利用する、という方法である。即ち、図6に示す探索フローにおいて、下記式(6)を利用することで探索メカニズムの処理を高速化することができる。つまり、前回のaの値での計算結果を保持しておき、それからD(a)を引く。この値がLよりも小さければそこから先は同様にbを増やしていき最適なbを求める。一方、この値がLより大きければLより大きい限りbをどんどん小さくしていくことで最適なb求めることができる。θについても全く同様に考えることができる。
【0057】
【数6】
【0058】
また、図15に示すようにレーザレンジファインダ4がロボット100前方に取り付けられている場合は、ロボット前方しか探索メカニズム(探索アルゴリズム)を利用することができない。しかし、ロボット100の真横が壁寄りとして最も適した位置であると考えると、図15の壁面Aのデータを探索対象とできないのはもったいない話であるが、ロボット100が右前方しか退避先として選択できないことを考えると仕方がないことでもある。そこで、図2に示す測定結果記憶部140によって記憶されている過去の測定結果を例えば地図データ上に再現し、この測定結果も併せて利用することで、現在の探索対象とできない領域Aについても同様に、探索の対象に含めることが可能となる。
【0059】
また、例えば図4に示すように、基本的に、ロボット100から見て右方向から反時計回りに(図16においてθ=0[deg]から正(矢印)の方向)レーザレンジファインダ4がスキャンするとして説明してきたが、これに代えて、ロボット100にロボット100から見て左側に退避して欲しい場合は、ロボット100から見て左方向から時計回りに(図16においてθ=180[deg]から負の方向)レーザレンジファインダ4がスキャンすることとしてもよい。また、レーザレンジファインダ4の取り付け位置、スキャン範囲によってθ=ー60〜+60[deg]を正方向にてスキャンするなど、スキャン範囲、スキャン方向は自由に設定することができる。
【0060】
そしていざ、実際に退避壁面探索部130が探索した結果、右側壁面WRにおいて退避壁面Mを特定したとする。このとき、ロボット100は、スキャンポイントp(a)とスキャンポイントp(b)を直線で結び、二等分垂線をロボット100側に向けて引く。そして、垂線上の退避壁面Mから距離R(ロボット100の平面視サイズにより適宜決定したもの)だけ離れた点を退避先の移動目標として制御部120は、新たな移動制御を実行することになる。
【0061】
最後に、図18〜図24を参照しつつ、ロボット100の走行中、ロボット100が迫り来る障害物を検知してから、実際にロボット100が退避し、再度、ロボット100が走行を再開するまでの大きな流れを簡単に説明する。
【0062】
図18に示すようにロボット100が通常走行しているとき(S510)、制御部120はレーザレンジファインダ4を用いて常に、前方に障害物があるか否かを確認しており、即ち、停止すべきか否か判断している(S520:NO)。ここで、図19に示すように台車250(障害物)が正面から迫り来たとする。図19の例では、ロボット100と台車250がこのままでは接触することが明らかであるから、制御部120は、先ずは停止すべきと判断する(S520:YES)。
【0063】
次に、制御部120は、レーザレンジファインダ4によってロボット100の周囲の右側壁面WRの平面視形状を測定すると共に、退避壁面探索部130によって退避壁面M(図20参照)を探索する(S530)。次に、制御部120は、図20に示すように移動体本体110の向きを時計回りに90度回転させ、図21に示すように退避壁面Mの近傍に移動体本体110を退避させることで、台車250に道を譲る(S540)。そして、図22に示すように、制御部120は、移動体本体110の向きを反時計回りに90度回転させると共に、台車250が移動体本体110の横を通過するまで待機する(S550:NO)。そして、図23に示すように、制御部120は、台車250が移動体本体110の横を通過したことをレーザレンジファインダ4を介して検知したら(S550:YES)、図24に示すようにロボット100の通常走行を再開させる(S510)。
【0064】
(まとめ)
(1)以上説明したように上記実施形態において、迫り来る台車250(障害物)との接触を回避するためにロボット100(自律移動体)が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索システムは、ロボット100の周囲の壁面の平面視形状を測定するレーザレンジファインダ4(壁面形状測定手段)と、レーザレンジファインダ4による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面Mを探索する退避壁面探索部130(退避壁面探索手段)と、を備えている。◆以上のシステムによれば、迫り来る台車250との接触を回避するためにロボット100が寄り添うべき退避壁面Mを臨機応変に探索することができる。
【0065】
(2)また、所定の平面視長さは、ロボット100の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される。◆以上のシステムによれば、ロボット100が退避壁面Mに寄り添ったとき、退避壁面Mの正面視において、ロボット100が退避壁面Mからはみ出ることがない。
【0066】
(3)また、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の進行方向に対して右側の壁面である右側壁面WRの平面視形状を優先的に測定する。◆このようにレーザレンジファインダ4の測定対象を限定することで、退避壁面探索部130の探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0067】
(4)また、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の進行方向に対して左側の壁面である左側壁面WLの平面視形状を優先的に測定する。◆このようにレーザレンジファインダ4の測定対象を限定することで、退避壁面探索部130の探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0068】
(5)また、レーザレンジファインダ4による測定結果を記憶する測定結果記憶部140を更に備え、退避壁面探索部130は、測定結果記憶部140によって記憶されている過去の測定結果と、レーザレンジファインダ4によって得られた現在の測定結果と、に基づいて、退避壁面Mを探索する。◆以上のシステムによれば、レーザレンジファインダ4によって得られた現在の測定結果のみに基づいて退避壁面Mを探索する場合と比較して、探索の材料が増えるという意味で、退避壁面Mの一層充実した探索が可能となる。
【0069】
以上に本願発明の好適な実施形態を説明したが、上記の退避場所探索システムは、例えば以下のような応用が考えられる。即ち、AGV(Automatic Guided Vehicles)のガイドレールレスでの運用を考えた場合、人とのすれ違い時に上記の退避場所探索システムを適用することができる。また、自動車の自律走行実現の際に、自動車同士のすれ違いのためにも、上記退避場所探索システムを問題なく活用することができる。
【0070】
また、上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0071】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0072】
また、レーザレンジファインダ4の代わりに、ステレオカメラや超音波センサ、PSDセンサなどを用いてもよい。
【0073】
また、上記実施形態ではロボット100として車輪型ロボットを例に出しているが、これに代えて、倒立二輪型ロボットやヒューマノイドロボット(二足歩行ロボット)、多脚歩行ロボットなどあらゆる移動体であっても、本願発明のアルゴリズム等は問題なく効果を奏する。
【符号の説明】
【0074】
4 レーザレンジファインダ
100 ロボット
110 移動体本体
120 制御部
130 退避壁面探索部
140 測定結果記憶部
M 退避壁面
【技術分野】
【0001】
本発明は退避場所探索システム、退避場所探索方法、退避場所探索プログラム、自律移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、様々な状況に応じて移動物体との接触を流動的に回避しながら自律的に移動しうるロボットを開示している。このロボットは、自身の通行可能領域と自身の通行可能領域における位置とを認識した状態で、移動物体との接触を回避すべく、自身を通行可能領域の境界に近づける軌道を探索する。この探索に際しては、自身と通行可能領域の境界との距離が最も短くなるような軌道を優先的に採用することとしている。端的に言えば、ロボットは通行可能領域の境界に身を寄せ、移動物体に対して移動用のスペースを譲るような動作をするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−131940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の軌道探索方法は、それ自体有用なものではあるが、全く新しい別の退避場所探索方法の開発も同時に期待されていた。
【0005】
本願発明の目的は、迫り来る障害物との接触を回避すべく道を譲るために寄り添うべき退避壁面を探索する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の観点によれば、迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索システムは、前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定する壁面形状測定手段と、前記壁面形状測定手段による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索する退避壁面探索手段と、を備えている。◆以上のシステムによれば、迫り来る障害物との接触を回避するために前記自律移動体が寄り添うべき前記退避壁面を臨機応変に探索することができる。
【0007】
また、前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される。◆以上のシステムによれば、前記自律移動体が前記退避壁面に寄り添ったとき、前記退避壁面の正面視において、前記自律移動体が前記退避壁面からはみ出ることがない。
【0008】
また、前記壁面形状測定手段は、前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する。◆このように前記壁面形状測定手段の測定対象を限定することで、前記退避壁面探索手段の探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0009】
また、前記壁面形状測定手段は、前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する。◆このように前記壁面形状測定手段の測定対象を限定することで、前記退避壁面探索手段の探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0010】
また、前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶する測定結果記憶手段を更に備え、前記退避壁面探索手段は、前記測定結果記憶手段によって記憶されている過去の測定結果と、前記壁面形状測定手段によって得られた現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する。◆以上のシステムによれば、前記壁面形状測定手段によって得られた現在の測定結果のみに基づいて前記退避壁面を探索する場合と比較して、探索の材料が増えるという意味で、前記退避壁面の一層充実した探索が可能となる。
【0011】
自律移動体は、上記の退避場所探索システムを備えている。
【0012】
本願発明の第2の観点によれば、迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索方法は、前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定するステップと、測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索するステップと、を含む。
【0013】
また、前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上とすることが好ましい。
【0014】
また、前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定することが好ましい。
【0015】
前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定することが好ましい。
【0016】
前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶するステップを更に含み、記憶されている過去の測定結果と、測定した現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索することが好ましい。
【0017】
本願発明の第3の観点によれば、迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索プログラムは、コンピュータに、前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定するステップと、測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索するステップと、を実行させる。
【0018】
また、前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上とする。
【0019】
また、前記退避場所探索プログラムは、前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する。
【0020】
また、前記退避場所探索プログラムは、前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する。
【0021】
また、前記退避場所探索プログラムは、コンピュータに、前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶するステップを更に実行させ、記憶されている過去の測定結果と、測定した現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する。
【発明の効果】
【0022】
本願発明によれば、迫り来る障害物との接触を回避するために前記自律移動体が寄り添うべき前記退避壁面を臨機応変に探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願発明の一実施形態に係るロボットの斜視図
【図2】ロボットの機能ブロック図
【図3】形状測定メカニズムの説明図
【図4】形状測定メカニズムの説明図
【図5】探索メカニズムの説明図
【図6】探索メカニズムの説明図(探索フロー)
【図7】探索メカニズムの説明図
【図8】退避壁面を例示する平面図
【図9】退避壁面を例示する平面図
【図10】退避壁面を例示する平面図
【図11】退避壁面を例示する平面図
【図12】退避壁面とは成り得ない例を示す平面図
【図13】退避壁面とは成り得ない例を示す平面図
【図14】退避壁面とは成り得ない例を示す平面図
【図15】過去の測定結果の活用に関する説明図
【図16】レーザレンジファインダのスキャン範囲に関する説明図
【図17】ロボットの退避動作の説明図
【図18】ロボットの退避動作の退避フロー
【図19】ロボットの退避動作の説明図
【図20】ロボットの退避動作の説明図
【図21】ロボットの退避動作の説明図
【図22】ロボットの退避動作の説明図
【図23】ロボットの退避動作の説明図
【図24】ロボットの退避動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る自律移動体の実施形態を、図1〜図24に基づいて詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0025】
まず、本発明に係る自律移動体の一例であるロボットの構成について、図1を用いて説明する。本実施の形態では、ロボット100が、自律移動する移動ロボットとして説明する。ロボット100は、移動体本体110と、図2に示される制御部120とを備えている。図1に示すように、移動体本体110は、車輪2と、筐体3と、レーザレンジファインダ4(壁面形状測定手段)と、頭部5と、を備えている。そして、筐体3の内部には、車輪2と接続されたモータ、及びモータを駆動するためのバッテリなどが設けられている。このモータがロボット100を駆動するための駆動機構となる。モータを駆動することによって、車輪2が回転して、ロボット100が移動する。ロボット100は、例えば、人間の歩行速度と同程度の速度で移動する。筐体3の前面側(正面側、進行方向側)にはレーザレンジファインダ4が埋め込まれている。レーザレンジファインダ4は、ロボット100の周囲に存在する障害物や人間などを検知する。また、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の周囲の壁面の平面視形状を測定する。
【0026】
ロボット100には、図2に示す制御部120が設けられている。制御部120は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信用のインタフェイスなどを有する演算処理装置である。また、制御部120は、着脱可能なHDD、光ディスク、光磁気ディスク等を有し、各種プログラムや制御パラメータなどを記憶し、そのプログラムやデータを必要に応じてメモリ(不図示)等に供給する。もちろん、制御部120は、物理的に一つの構成に限られるものではない。制御部120は、ロボット100が移動する移動経路を生成する。そして、その移動経路に沿ってロボット100が移動するよう、車輪2を駆動するためのモータ等を制御する。もちろん、ロボット100は車輪型の移動ロボットに限らず、歩行型やその他の移動ロボットでもよい。ロボット100は自己位置推定を行なって移動する自律移動体であってもよい。
【0027】
制御部120は、移動環境中にある移動始点から移動終点までの移動経路を決定する。ロボット100は、移動始点から移動を開始する。そして、ロボット100は、移動経路に沿って移動していき、移動終点まで移動したら停止する。
【0028】
また、制御部120は、迫り来る障害物との接触を回避するためにロボット100が退避すべき退避場所を探索する。本実施形態において、退避場所探索システムは、レーザレンジファインダ4と、制御部120とによって構成されている。
【0029】
次に、ロボット100の制御系について図2を用いて説明する。制御部120は、退避壁面探索部130(退避壁面探索手段)と、測定結果記憶部140と、を備えている。
【0030】
退避壁面探索部130は、レーザレンジファインダ4による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面M(図8等参照)を探索する。
【0031】
測定結果記憶部140は、レーザレンジファインダ4による測定結果を記憶する。
【0032】
退避壁面探索部130は、好ましくは、測定結果記憶部140によって記憶されている過去の測定結果と、レーザレンジファインダ4によって得られた現在の測定結果とに基づいて、退避壁面Mを探索する。
【0033】
次に、図3及び図4を参照しつつ、レーザレンジファインダ4によるロボット100の周囲の壁面の平面視形状を測定するメカニズムを説明する。図3に示すように、本実施形態においてレーザレンジファインダ4は、移動体本体110の正面側に設けられている。従って、ロボット100が図示するように紙面上方に向かって走行している場合、レーザレンジファインダ4による測定可能範囲は符号Qで示す半ドーナツ状でイメージした範囲となっている。ここで、ロボット100は、ロボット100から見て左側の壁面である左側壁面WLと、ロボット100から見て右側の壁面である右側壁面WRと、の間を走行しているものとする。
【0034】
図4においてレーザレンジファインダ4によるスキャン方向を太線矢印Xで示す。図4に示すように、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の周囲の壁面である右側壁面WRの平面視形状を測定するとき、先ず、ロボット100の向かって右側に赤外線を放射し、その反射波を受信するまでの経過時間によって、ロボット100に対するスキャンポイントp(1)の平面視における相対座標を取得する。次に、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の向かって右側よりも僅かに正面側に赤外線を放射し、同様に、ロボット100に対するスキャンポイントp(2)の平面視における相対座標を取得する。レーザレンジファインダ4は、上述したスキャンをスキャンポイントp(3)からスキャンポイントp(14)に至るまで繰り返し行う。これにより、図4に示すように、レーザレンジファインダ4は、右側壁面WRの平面視形状を離散的にではあるが非常に精度よく測定することができる。
【0035】
次に、図5〜図7を参照しつつ、上記の形状測定後に活用される探索メカニズムを説明する。先ず、図5に示すように、スキャンポイントp(n)と、スキャンポイントp(n+1)との間の距離をD(n)と定義する。また、スキャンポイントp(n−1)とスキャンポイントp(n)を結んだ線と、スキャンポイントp(n)とスキャンポイントp(n+1)を結んだ線と、の成す角の絶対値をθ(n)と定義する。ただし、θ(0)=0とする。下記式(1)において変数Lは、ロボット100を格納するために必要な退避壁面の平面視長さを意味する。換言すれば、変数Lは、移動体本体110の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される。
【0036】
【数1】
【0037】
退避壁面探索部130は、図5に示すようなレーザレンジファインダ4による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面M(図8等参照)を探索する。即ち、端的に言えば、上記式(1)においてa=0とし、式(1)を満たす最小のbを求める。そして、このa〜bのすべてのnにおいて下記式(2)を満たすならば探索完了となり、退避壁面は、スキャンポイントp(a)〜スキャンポイントp(b)となり、はっきりと特定される。上記式(1)は退避壁面Mに必要となる平面視長さを保証し、下記式(2)により退避壁面Mの連続性と直線性を保証している。下記式(2)において、壁面の連続性と直線性を判定する条件を任意に設定することができるが、本実施形態ではθの総和で判断する式としている。式(2)のθthreはθの総和の上限を意味する。
【0038】
【数2】
【0039】
詳しくは、図6に示すように、先ず、変数aを初期値a0で初期化する(S300)。次に、変数nに変数aを代入し、変数SumDをクリアし、変数Sumθもクリアする(S310)。変数SumDは、上記式(1)のΣD(n)を意味し、変数Sumθは上記式(2)のΣθ(n)を意味している。次に、なす角θ(n)を計算する(S320)。ただし、n=aのときは、なす角θ(n)は0とする(S320)。次に、計算したθ(n)をSumθに加える(S330)。そして、Sumθがθthre以上であれば(S340:NO)、変数aをインクリメントし(S350)、S310に戻る。一方、Sumθがθthre未満であったら(S340:YES)、スキャンポイントp(n)とスキャンポイントp(n+1)の間の距離D(n)を三平方の定理により計算する(S360)。次に、計算したD(n)をSumDに加える(S370)。そして、SumDがL以下であったら(380:NO)、nをインクリメントし(S390)、S320に戻る。一方、SumDがLを超えたら(S380:YES)、bにnを代入して探索を終了とする(S400)。これにより、ロボット100に最も近い位置で、上記式(1)及び(2)を両方同時に満足する退避壁面Mを右側壁面WRから抽出することができる。なお、退避壁面Mは、前述のように、スキャンポイントp(a)とスキャンポイントp(b)によって始点と終点が明確に特定される。
【0040】
次に、図6等を用いて説明した探索メカニズムを利用して、図7に示す右側壁面WRから退避壁面M(図8等参照)を探索する過程を一通り説明する。ここで、図7に示す平面視でロボット100の投影面積の最大幅が4.8だったとし、退避壁面Mの平面視長さL(式(1)参照)を5に設定する。また、θthreを20[deg]に設定した。図7には、各スキャンポイントp(n)の位置と、各D(n)と、θ(3)及びθ(4)、θ(5)を示した。
【0041】
先ず、a=0として式(1)を考慮すると、n=1、2について計算した後、n=3のとき下記式(3)となるが、式(2)を考慮すると下記式(4)となるので(図6、S340:NO)、a=0のときn=3でa=0の計算は終了となり、次のa=1へと計算を進めることになる(図6、S350)。
【0042】
【数3】
【0043】
【数4】
【0044】
a=1〜2でもθ(3)を含むため、式(2)を満足しない。a=3ではθ(4)を含み、a=4ではθ(5)を含むため、何れも式(2)を満足しない。
【0045】
a=5のとき、下記式(5)であり、また、式(2)を満足するため、a=5、b=10が求める解となる。これにより、スキャンポイントp(5)からスキャンポイントp(10)が求める退避壁面Mの始点と終点になる。
【0046】
【数5】
【0047】
次に、図8〜図11に、退避壁面探索部130が探索した退避壁面Mを例示する。
【0048】
図8では、ロボット100が互いに平行な左側壁面WLと右側壁面WRの間で若干右側壁面WR側へたまたま向きを変えている状態で退避壁面探索部130が探索を開始した場合である。
【0049】
図9では、ロボット100が互いに平行な左側壁面WLと右側壁面WRの間を真っ直ぐ走行している状態で退避壁面探索部130が探索を開始した場合である。
【0050】
図10では、ロボット100が互いに平行な左側壁面WLと右側壁面WRの間で若干右側壁面WR側へたまたま向きを変えている状態であって、右側壁面WRに窪み200がある場合に退避壁面探索部130が探索を開始した場合である。この場合では、窪み200の平面視における面積が狭いため、退避壁面Mは窪み200から外れた位置に設定されている。
【0051】
図11では、ロボット100が互いに平行な左側壁面WLと右側壁面WRの間で若干右側壁面WR側へたまたま向きを変えている状態であって、右側壁面WRに窪み200がある場合に退避壁面探索部130が探索を開始した場合である。この場合では、窪み200の平面視における面積が十分広いため、退避壁面Mは窪み200内に設定されている。
【0052】
次に、図12〜図13を参照しつつ、退避壁面探索部130が探索した退避壁面Mと成り得ない例を示す。
【0053】
図12に示すように右側壁面WRがきつく湾曲している場合は、上記式(2)を満足することが不可能であり、即ち、平坦な退避壁面Mを確保することが不可能であるから、太線で図示する壁面は退避壁面Mとは成り得ない。
【0054】
図13に示すように右側壁面WRが平面視で直角となっている場合、この直角部210を跨ぐように退避壁面Mを確保することはあり得ない。上記式(2)を満足することが不可能だからである。この場合、ロボット100は、道220を塞ぐことがないので、道220を通行する他の人やロボットの交通を妨げることがない。
【0055】
図14に示すように右側壁面WRが平面視で段差形状となっている場合、この段差230を跨ぐように分裂した退避壁面Mを確保することはあり得ない。上記式(2)を満足することが不可能だからである。
【0056】
ここで、探索の高速化を図るための方法を紹介する。それは、既に計算済みであるD(n)やθ(n)を再度、計算し直すことなく再利用する、という方法である。即ち、図6に示す探索フローにおいて、下記式(6)を利用することで探索メカニズムの処理を高速化することができる。つまり、前回のaの値での計算結果を保持しておき、それからD(a)を引く。この値がLよりも小さければそこから先は同様にbを増やしていき最適なbを求める。一方、この値がLより大きければLより大きい限りbをどんどん小さくしていくことで最適なb求めることができる。θについても全く同様に考えることができる。
【0057】
【数6】
【0058】
また、図15に示すようにレーザレンジファインダ4がロボット100前方に取り付けられている場合は、ロボット前方しか探索メカニズム(探索アルゴリズム)を利用することができない。しかし、ロボット100の真横が壁寄りとして最も適した位置であると考えると、図15の壁面Aのデータを探索対象とできないのはもったいない話であるが、ロボット100が右前方しか退避先として選択できないことを考えると仕方がないことでもある。そこで、図2に示す測定結果記憶部140によって記憶されている過去の測定結果を例えば地図データ上に再現し、この測定結果も併せて利用することで、現在の探索対象とできない領域Aについても同様に、探索の対象に含めることが可能となる。
【0059】
また、例えば図4に示すように、基本的に、ロボット100から見て右方向から反時計回りに(図16においてθ=0[deg]から正(矢印)の方向)レーザレンジファインダ4がスキャンするとして説明してきたが、これに代えて、ロボット100にロボット100から見て左側に退避して欲しい場合は、ロボット100から見て左方向から時計回りに(図16においてθ=180[deg]から負の方向)レーザレンジファインダ4がスキャンすることとしてもよい。また、レーザレンジファインダ4の取り付け位置、スキャン範囲によってθ=ー60〜+60[deg]を正方向にてスキャンするなど、スキャン範囲、スキャン方向は自由に設定することができる。
【0060】
そしていざ、実際に退避壁面探索部130が探索した結果、右側壁面WRにおいて退避壁面Mを特定したとする。このとき、ロボット100は、スキャンポイントp(a)とスキャンポイントp(b)を直線で結び、二等分垂線をロボット100側に向けて引く。そして、垂線上の退避壁面Mから距離R(ロボット100の平面視サイズにより適宜決定したもの)だけ離れた点を退避先の移動目標として制御部120は、新たな移動制御を実行することになる。
【0061】
最後に、図18〜図24を参照しつつ、ロボット100の走行中、ロボット100が迫り来る障害物を検知してから、実際にロボット100が退避し、再度、ロボット100が走行を再開するまでの大きな流れを簡単に説明する。
【0062】
図18に示すようにロボット100が通常走行しているとき(S510)、制御部120はレーザレンジファインダ4を用いて常に、前方に障害物があるか否かを確認しており、即ち、停止すべきか否か判断している(S520:NO)。ここで、図19に示すように台車250(障害物)が正面から迫り来たとする。図19の例では、ロボット100と台車250がこのままでは接触することが明らかであるから、制御部120は、先ずは停止すべきと判断する(S520:YES)。
【0063】
次に、制御部120は、レーザレンジファインダ4によってロボット100の周囲の右側壁面WRの平面視形状を測定すると共に、退避壁面探索部130によって退避壁面M(図20参照)を探索する(S530)。次に、制御部120は、図20に示すように移動体本体110の向きを時計回りに90度回転させ、図21に示すように退避壁面Mの近傍に移動体本体110を退避させることで、台車250に道を譲る(S540)。そして、図22に示すように、制御部120は、移動体本体110の向きを反時計回りに90度回転させると共に、台車250が移動体本体110の横を通過するまで待機する(S550:NO)。そして、図23に示すように、制御部120は、台車250が移動体本体110の横を通過したことをレーザレンジファインダ4を介して検知したら(S550:YES)、図24に示すようにロボット100の通常走行を再開させる(S510)。
【0064】
(まとめ)
(1)以上説明したように上記実施形態において、迫り来る台車250(障害物)との接触を回避するためにロボット100(自律移動体)が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索システムは、ロボット100の周囲の壁面の平面視形状を測定するレーザレンジファインダ4(壁面形状測定手段)と、レーザレンジファインダ4による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面Mを探索する退避壁面探索部130(退避壁面探索手段)と、を備えている。◆以上のシステムによれば、迫り来る台車250との接触を回避するためにロボット100が寄り添うべき退避壁面Mを臨機応変に探索することができる。
【0065】
(2)また、所定の平面視長さは、ロボット100の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される。◆以上のシステムによれば、ロボット100が退避壁面Mに寄り添ったとき、退避壁面Mの正面視において、ロボット100が退避壁面Mからはみ出ることがない。
【0066】
(3)また、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の進行方向に対して右側の壁面である右側壁面WRの平面視形状を優先的に測定する。◆このようにレーザレンジファインダ4の測定対象を限定することで、退避壁面探索部130の探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0067】
(4)また、レーザレンジファインダ4は、ロボット100の進行方向に対して左側の壁面である左側壁面WLの平面視形状を優先的に測定する。◆このようにレーザレンジファインダ4の測定対象を限定することで、退避壁面探索部130の探索に要する時間を短縮することが可能となる。
【0068】
(5)また、レーザレンジファインダ4による測定結果を記憶する測定結果記憶部140を更に備え、退避壁面探索部130は、測定結果記憶部140によって記憶されている過去の測定結果と、レーザレンジファインダ4によって得られた現在の測定結果と、に基づいて、退避壁面Mを探索する。◆以上のシステムによれば、レーザレンジファインダ4によって得られた現在の測定結果のみに基づいて退避壁面Mを探索する場合と比較して、探索の材料が増えるという意味で、退避壁面Mの一層充実した探索が可能となる。
【0069】
以上に本願発明の好適な実施形態を説明したが、上記の退避場所探索システムは、例えば以下のような応用が考えられる。即ち、AGV(Automatic Guided Vehicles)のガイドレールレスでの運用を考えた場合、人とのすれ違い時に上記の退避場所探索システムを適用することができる。また、自動車の自律走行実現の際に、自動車同士のすれ違いのためにも、上記退避場所探索システムを問題なく活用することができる。
【0070】
また、上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0071】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0072】
また、レーザレンジファインダ4の代わりに、ステレオカメラや超音波センサ、PSDセンサなどを用いてもよい。
【0073】
また、上記実施形態ではロボット100として車輪型ロボットを例に出しているが、これに代えて、倒立二輪型ロボットやヒューマノイドロボット(二足歩行ロボット)、多脚歩行ロボットなどあらゆる移動体であっても、本願発明のアルゴリズム等は問題なく効果を奏する。
【符号の説明】
【0074】
4 レーザレンジファインダ
100 ロボット
110 移動体本体
120 制御部
130 退避壁面探索部
140 測定結果記憶部
M 退避壁面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索システムであって、
前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定する壁面形状測定手段と、
前記壁面形状測定手段による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索する退避壁面探索手段と、
を備えた、
退避場所探索システム。
【請求項2】
請求項1に記載の退避場所探索システムであって、
前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される、
退避場所探索システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の退避場所探索システムであって、
前記壁面形状測定手段は、前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の退避場所探索システムであって、
前記壁面形状測定手段は、前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の退避場所探索システムであって、
前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶する測定結果記憶手段を更に備え、
前記退避壁面探索手段は、前記測定結果記憶手段によって記憶されている過去の測定結果と、前記壁面形状測定手段によって得られた現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する、
退避場所探索システム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の退避場所探索システムを備えた自律移動体。
【請求項7】
迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索方法であって、
前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定するステップと、
測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索するステップと、を含む、
退避場所探索方法。
【請求項8】
請求項7に記載の退避場所探索方法であって、
前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上とする、
退避場所探索方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の退避場所探索方法であって、
前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の退避場所探索方法であって、
前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索方法。
【請求項11】
請求項7〜10の何れかに記載の退避場所探索方法であって、
前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶するステップを更に含み、
記憶されている過去の測定結果と、測定した現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する、
退避場所探索方法。
【請求項12】
迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索プログラムであって、
コンピュータに、
前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定するステップと、
測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索するステップと、を実行させる、
退避場所探索プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の退避場所探索プログラムであって、
前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上とする、
退避場所探索プログラム。
【請求項14】
請求項7又は8に記載の退避場所探索プログラムであって、
前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索プログラム。
【請求項15】
請求項7又は8に記載の退避場所探索プログラムであって、
前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索プログラム。
【請求項16】
請求項7〜10の何れかに記載の退避場所探索プログラムであって、
コンピュータに、前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶するステップを更に実行させ、
記憶されている過去の測定結果と、測定した現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する、
退避場所探索プログラム。
【請求項1】
迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索システムであって、
前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定する壁面形状測定手段と、
前記壁面形状測定手段による測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索する退避壁面探索手段と、
を備えた、
退避場所探索システム。
【請求項2】
請求項1に記載の退避場所探索システムであって、
前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上に設定される、
退避場所探索システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の退避場所探索システムであって、
前記壁面形状測定手段は、前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の退避場所探索システムであって、
前記壁面形状測定手段は、前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の退避場所探索システムであって、
前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶する測定結果記憶手段を更に備え、
前記退避壁面探索手段は、前記測定結果記憶手段によって記憶されている過去の測定結果と、前記壁面形状測定手段によって得られた現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する、
退避場所探索システム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の退避場所探索システムを備えた自律移動体。
【請求項7】
迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索方法であって、
前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定するステップと、
測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索するステップと、を含む、
退避場所探索方法。
【請求項8】
請求項7に記載の退避場所探索方法であって、
前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上とする、
退避場所探索方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の退避場所探索方法であって、
前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の退避場所探索方法であって、
前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索方法。
【請求項11】
請求項7〜10の何れかに記載の退避場所探索方法であって、
前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶するステップを更に含み、
記憶されている過去の測定結果と、測定した現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する、
退避場所探索方法。
【請求項12】
迫り来る障害物との接触を回避するために自律移動体が退避すべき退避場所を探索する退避場所探索プログラムであって、
コンピュータに、
前記自律移動体の周囲の壁面の平面視形状を測定するステップと、
測定結果に基づいて、平坦でかつ所定の平面視長さを有する退避壁面を探索するステップと、を実行させる、
退避場所探索プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の退避場所探索プログラムであって、
前記所定の平面視長さは、前記自律移動体の平面視における投影面積の最大幅以上とする、
退避場所探索プログラム。
【請求項14】
請求項7又は8に記載の退避場所探索プログラムであって、
前記自律移動体の進行方向に対して右側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索プログラム。
【請求項15】
請求項7又は8に記載の退避場所探索プログラムであって、
前記自律移動体の進行方向に対して左側の前記壁面の平面視形状を優先的に測定する、
退避場所探索プログラム。
【請求項16】
請求項7〜10の何れかに記載の退避場所探索プログラムであって、
コンピュータに、前記壁面形状測定手段による測定結果を記憶するステップを更に実行させ、
記憶されている過去の測定結果と、測定した現在の測定結果と、に基づいて、前記退避壁面を探索する、
退避場所探索プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−248713(P2011−248713A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122533(P2010−122533)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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