説明

送信機

【課題】送信機に内蔵される構成部材に対する浸水による悪影響を削減する。
【解決手段】取り付け状態において各種作業が行われる可能性が高い構成部材用の内蔵スペースと他と構成部材用の内蔵スペースとに区画し、内蔵スペースが各構成部材を個別に内蔵するように区画して、当該各内蔵スペースを開閉する蓋部を個別に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、各種センサーから入力された情報を受信機に送信する送信機に関し、詳しくは、主に、屋外にて使用するのに好適な送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
主に屋外にて使用される送信機の先行技術文献情報として、例えば、下記の特許文献1,2が有る。
この特許文献1,2に記載の発明は、送信機がシャッターの下端部の座板に露出状に取り付けされていて、シャッターの降下中に障害物が座板に接触したときに、この接触をセンサーが感知し、当該センサーから入力された感知情報を前記送信機が受信機へ送信し、受信された感知情報を制御手段が処理して、シャッターの降下動作を停止等させるようにしたものである。
【特許文献1】特開平9−242449号公報(〔図2〕)
【特許文献2】特開平10−46962号公報(〔図1〕〜〔図5〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般的な送信機は、ケースにコネクター、コネクターケーブル、基盤、電源(電池ボックス、外部電源回路、電源ケーブル等)等の構成部材を内蔵して構成されていて、このような送信機を前記特許文献1,2に記載のように使用する場合には、ケース内に浸水しないように防水構造を備えている。
又、前記ケースの構造の一例として、前記全ての構成部材が一箇所に内蔵される内蔵スペースと、当該内蔵スペースを塞ぐ蓋体を有し、これら内蔵スペースと蓋体との間に水密性を確保するためのパッキングを介在して、防水構造を構成している。
【0004】
前記構成の送信機の場合、前記ケースの構造の場合、前記内蔵スペースに全ての構成部材が内蔵されるものであるため、仮に、コネクターに他のケーブルを配線する作業や電池の交換時等で蓋を開ける際にケース内に浸水すると、その水が当該構成部材ばかりでなく、他の構成部材に影響して、例えば、基盤や電源回路がショートしたり腐食したりする等の要因となる虞が有る。
また、万が一、閉蓋が不完全であった場合にも、雨水等が浸水することによって、前記と同様に全ての構成部材に悪影響を及ぼす虞が有る。
【0005】
そこで本発明は、送信機に内蔵される構成部材に対する浸水による悪影響を削減することを課題とし、この課題を解決する新規な防水構造を有する送信機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために採用した第1発明は、防水構造を備えたケースに設けられた内蔵スペースに構成部材を内蔵してなる送信機において、少なくとも、取り付け状態において各種作業が行われる可能性が高い構成部材用の内蔵スペースと他の構成部材用の内蔵スペースとに区画し、当該各内蔵スペースを開閉する蓋部を個別に備えたことを特徴とする送信機にしたことである。
【0007】
ここでいう送信機は、主に屋外で使用され、各種センサーから入力された情報を受信機に送信する送信機であって、例えば、オーバーヘッドドアを含むシャッター装置、ロールスクリーン、ブラインド、オーニング装置、門扉、ゲート、引戸を含むドア装置、スライディングウォール装置等、開閉体が閉鎖することで構造物等の空間部分を仕切るようにした開閉装置の障害物感知装置の送信機として用いることができる。
又、構成部材とは、例えば、コネクター、コネクターケーブル、基盤、電源(電池ボックス、外部電源回路、電源ケーブル等)等の送信機を構成する上で必要な全ての構成部材である。
又、取り付け状態において各種作業が行われる可能性が高い構成部材とは、例えば、センサーのケーブルが接続されるコネクターや、電池交換が行われる電池ボックスである。
又、各種作業とは、例えば、前記ケーブル接続や電池交換等、送信機の取り付け状態で行われる作業である。
尚、本発明における送信機は、前記屋外で使用されるものに限定するものではなく、屋内用としても使用でき、特に、水がかかる虞のある場所や水が流下する虞が有る場所に好適に使用できる。
又、本発明における送信機は、前記開閉装置の障害物感知装置以外の感知装置の送信機にも適用できる。
【0008】
前記内蔵スペースは、少なくとも、各種作業が必要な構成部材用の内蔵スペースと他の構成部材用の内蔵スペースとに区画したものであればよいが、浸水による他の構成部材への悪影響を更に削減するために、第2発明では、内蔵スペースを全ての各構成部材を個別に内蔵するように区画していることを特徴とする送信機にした。
【0009】
又、前記取り付け状態において各種作業が行われる可能性が高い構成部材であるコネクターと、センサーにおけるケーブルとの接続形態として、内蔵スペースからコネクターを送信機の外側へ挿通させてケーブルを接続する形態、又は、ケーブルを内蔵スペースに挿通させてその内蔵スペースでコネクターに接続する形態が例示できるが、送信機を屋外等、特に、水がかかる虞のある場所や水が流下する虞が有る場所で使用する場合において、防水がされていない接続部分を雨水等から保護するために、第3発明のように、ケーブルを内蔵スペースに挿通させてその内蔵スペースでコネクターに接続するようにしたことを特徴とする送信機が好ましい。
【0010】
前記第3発明の場合、ケースにケーブル引き込み用の挿通部を必要とするが、ケーブルを内蔵スペースに引き込む作業の容易性の確保のために第4発明では、内蔵スペースの一部を構成する側壁に、内蔵スペースの開放端縁から底部方向へ向かって切欠き形成された挿通部を備える一方、蓋部に前記挿通部に対してその開放部側から嵌合する嵌合部を備え、当該嵌合部の嵌合状態において対面する前記挿通部の下端部と嵌合部の先端部とに、夫々ケーブル挟持部を形成し、当該ケーブル挟持部を対面させることによって、ケーブルの断面形状と略同径とするケーブル挿通空間が形成されることを特徴とする送信機にした。
【0011】
前記第4発明において、ケーブル挿通空間と当該ケーブル挿通空間に挿通されたケーブルとの間の防水構造として、例えば、パッキングやコーキング等で水密を確保する防水構造が挙げられる。
その防水構造の好ましい構造として、第5発明では、内蔵スペースの内側に適合状に嵌合される蓋状パッキングにより防水構造が構成されるものとし、当該蓋状パッキングを密着状に支持する支持突起を内蔵スペースの内側周囲に設け、当該支持突起の上面に、前記挿通部のケーブル挟持部とケーブル挿通方向に同形状で連続するケーブル嵌合溝を形成する一方、蓋状パッキングに前記ケーブル嵌合溝と対面するとともに、前記嵌合部のケーブル挟持部とケーブル挿通方向に同形状で連続するケーブル嵌合溝を形成し、当該蓋状パッキングを内蔵スペースに嵌合するときに、前記両ケーブル嵌合溝を対面させた状態で、ケーブル挿通空間と同形状で連続するケーブル挟持空間が形成され、当該ケーブル挟持空間にケーブルが密着状に挿通するとともに、蓋状パッキングが支持突起に密着することによって、防水構造を構成することを特徴とする送信機にした。
ここでいう蓋状パッキングの素材としては、例えば、ゴム材や合成樹脂材等の周知の素材が挙げられる。
【0012】
又、送信機の取り付け時におけるケーブル配線が煩雑にならないようにするために、第6発明では、コネクターを内蔵する内蔵スペースが少なくとも2箇所備えられていることを特徴とする送信機にしたことを特徴とする送信機にした。
【0013】
又、第6発明の場合、使用していないコネクターを内蔵する内蔵スペースには、前記ケーブル挿通空間及びケーブル挟持空間による貫通孔が存在し、この孔からの浸水を防ぐための防水構造を設ける必要がある。
そこで、前記防水構造の構成として、第7発明では、前記ケーブル挿通空間及びケーブル挟持空間に密着状に嵌合する栓蓋で、ケーブル挿通空間及びケーブル挟持空間による貫通孔を塞ぐことで防水構造を構成していることを特徴とする送信機にした。
ここでいう栓蓋の素材としては、例えば、ゴム材や合成樹脂材等の周知の素材が挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、下記の優れた効果が期待できる。
第1発明によれば、取り付け状態において各種作業が行われる可能性が高い構成部材用の内蔵スペースと他の構成部材用の内蔵スペースとに区画しているので、仮に、取り付け状態において各種作業が行われる可能性が高い構成部材用の内蔵スペースに浸水しても他の内蔵スペースへの浸水を防ぐことができ、その逆の場合も浸水を防ぐことができる。
したがって、浸水していない内蔵スペースの構成部材をその水から保護することができるので、送信機に内蔵される構成部材に対する浸水による影響を削減できる。
【0015】
又、第2発明によれば、内蔵スペースを全ての各構成部材を個別に内蔵するように区画しているので、送信機に内蔵される構成部材に対する浸水による影響の削減という点で、更に効果的である。
【0016】
又、第3発明によれば、内蔵スペース内にケーブルの接続部が有るので、送信機を屋外等で使用する場合において、防水がされていない接続部を雨水等から保護することができる。
【0017】
また、第4発明によれば、ケーブルを内蔵スペース内に引き込む作業を容易に行うことができ、しかも、第5発明によれば、第4発明の構造の内蔵スペースの防水構造を構成することができる。
【0018】
又、第6発明によれば、送信機に配線されるケーブルを、当該ケーブルの接続側に近い方向の内蔵スペースのコネクターを使用することができるので、ケーブルの長さを必要最低限とすることができ、これによって、ケーブル配線を煩雑にしてしまうことを防ぐことができる。
そして、第7発明によれば、第6発明の送信機において、使用していない内蔵スペースの防水構造を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の送信機を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
尚、以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の前記開閉体の厚さ方向を意味する。
また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、前記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0020】
本形態で例示する送信機1は、開閉方向を上下方向とする開閉体装置Aに取り付けられて、その開閉体A1の降下中に障害物Bが座板部材A13に接触したときに、この接触をセンサー2が感知し、当該センサー2から入力された感知情報を前記送信機1が受信機3へ送信し、受信された感知情報を制御手段(図示せず)が処理して、開閉体A1の降下動作を停止させたり反転上昇動作させたり等する障害物感知装置に用いられるものである(図1参照)。
【0021】
本形態で例示する開閉体装置Aは、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の構築・構造物における開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置である。
又、開閉体装置Aは、開閉体閉鎖方向の端部を開閉方向へスライドさせて開閉動作する開閉体A1と、当該開閉体幅方向の両端部を開閉方向へ案内する左右のガイドレールA2,A2と、開閉体開放方向側で開閉体A1を巻き取ったり繰り出したりする巻取装置A3と、前記障害物感知装置とから構成されている。
【0022】
開閉体A1は、横長略矩形状の所謂スラットA11を、互いに回動するように上下に複数連接することで、開閉体本体A12を構成し、この開閉体本体A12の下側(閉鎖方向側)の端部に、床面や地面、枠部材等の当接対象部位に当接させるための座板部材A13を、開閉体幅方向に亘って接続している。
尚、本形態では、開閉体A1における開閉体本体A12の構成を、複数のスラットを連設したもので例示しているが、開閉体本体A12の他の構成として、複数のパイプをリンク部材により連接してなる構成や、単数もしくは複数のパネルやシート状物・ネット状物を設けてなる構成、あるいは、スラットとパイプ等を適宜組み合わせてなる構成等が例示できる。
ガイドレールA2は、開閉体幅方向の端部を開閉方向へ案内する部材であり、開閉体幅方向の両端部側の各々に、開閉体開閉方向へ亘って配設されている。
巻取装置A3は、収納ケースA31内に内蔵された巻取軸(図示せず)によって開閉体本体A12を巻取り、当該巻取軸から繰り出すようにしたものである。
【0023】
本形態の障害物感知装置は、前記座板部材A13に取り付けられた送信機1と、当該送信機1にケーブル21を介して接続されるセンサー2と、巻取装置A3側に前記送信機1と略対面するように取り付けられた受信機3とを備えて構成されている。
尚、感知情報は、送信機から光信号や電波信号等により受信機に向けて発信される。
【0024】
前記送信機1は、当該送信機1を構成する構成部材であるコネクターC1、コネクターケーブルC2、基盤C3、電源(以下、「電池ボックス」と云う)C4を有し、これら各構成部材をケース10に形成された内蔵スペースSに内蔵して構成されている(図2参照)。
内蔵スペースSは、コネクターC1、コネクターケーブルC2を内蔵する第1内蔵スペースS1及び第2内蔵スペースS2と、基盤C3を内蔵する第3内蔵スペースS3と、電池ボックスC4を内蔵する第4内蔵スペースS4とに区画されている。
又、前記各内蔵スペースS1,S2,S3,S4には、当該各内蔵スペースS1,S2,S3,S4を開閉する蓋部S10,S20,S30,S40が個別に備えられている。
又、各内蔵スペースS1,S2,S3,S4と、蓋部S10,S20,S30,S40との間には、防水構造が構成されている。
前記各内蔵スペースS1,S2,S3,S4は、開閉体A1の幅方向に沿って図面上左側から第1内蔵スペースS1,第4内蔵スペースS4,第3内蔵スペースS3,第2内蔵スペースS2の順で形成されている。
又、第1内蔵スペースS1及び第2内蔵スペースS2並びに第4内蔵スペースS4は、送信機1の取り付け状態において、開閉体幅方向に沿い、且つ蓋部S10,S40,S20の方向が開閉体本体A12とは逆側に向くようにされ、第3内蔵スペースS3は、蓋部S30の方向が座板部材A13と対面するようにされている。
すなわち、本形態の送信機1は、第1内蔵スペースS1及び第2内蔵スペースS2並びに第4内蔵スペースS4を、送信機1を取り付けた状態でケーブル21の配線作業や電池交換作業等ができるような方向に設け、第3内蔵スペースS3を座板部材A13に対面させることで雨水等から基盤C3を保護する方向に設けている。
【0025】
第1内蔵スペースS1及び第2内蔵スペースS2には、共に、後述するケーブル挿通空間6の一部を構成する挿通部4が形成され、蓋部S10及び蓋部S20には、前記ケーブル挿通空間6の一部を構成する嵌合部5が形成されている(図3参照)。
尚、第1内蔵スペースS1と第2内蔵スペースS2の構造は同一であるので、以下の説明では、第1内蔵スペースS1のみを説明し、第2内蔵スペースS2の説明は、同符号を付すことにより省略する。
【0026】
前記挿通部4は、第1内蔵スペースS1の、開閉体幅方向側に位置する側壁S11に、その開放端縁から底部方向へ向かって、その幅をケーブル21の径と略同幅に切欠き形成され、その底側にケーブル21の略半径部位が適合する形状とするケーブル挟持部41を形成してある。
前記嵌合部5は、蓋部S10の裏側に、前記挿通部4に対してその開放部側から適合状に嵌合する幅として突設され、その先端にケーブル21の略半径部位が適合する形状とするケーブル挟持部51を形成してある。
そして、第1内蔵スペースS1を蓋部S10で塞いだ際に、前記嵌合部5が挿通部4に嵌合することによって、ケーブル挟持部41,51同士が対面して、ケーブル21と略同径の前述のケーブル挿通空間6が形成される。
【0027】
第1内蔵スペースS1の防水構造は、当該第1内蔵スペースS1の内側に適合状に嵌合される蓋状パッキング7により構成されるものである。
具体的には、第1内蔵スペースS1の側壁内側に、前記蓋状パッキング7を密着状に支持する支持突起71が周設されている。
又、前記支持突起71の密着面71Aに、前記挿通部4のケーブル挟持部41とケーブル挿通方向に同形状で連続するケーブル嵌合溝72を形成する一方、蓋状パッキング7の裏面に、前記ケーブル嵌合溝72と対面するとともに、前記嵌合部5のケーブル挟持部51とケーブル挿通方向に同形状で連続するケーブル嵌合溝73を形成し、両ケーブル嵌合溝72,73を対面させた状態で蓋状パッキング7を前記支持突起71の密着面71Aに密着させた際に、前記ケーブル挿通空間6と同形状で連続するケーブル挟持空間8が形成される。
【0028】
すなわち、ケーブル21を第1内蔵スペースS1に挿通する際に、ケーブル21をその側面部から挿通部4の開放部側より挿し入れてコネクターC1に接続し、前記ケーブル挟持部41とケーブル嵌合溝72に嵌合する。
更に、前記蓋状パッキング7を前記した方法で第1内蔵スペースS1に嵌合することによって形成された前記ケーブル挟持空間8にケーブル21が略適合状に挟持挿通される。
そして、蓋部S10を前記した方法で第1内蔵スペースS1を塞ぐことによって、前記挿通空間6にケーブル21が略適合状に挿通される。
このとき、蓋状パッキング7は、前記支持突起71の密着面71A、前記第1内蔵スペースS1の側壁、ケーブル21、蓋部S10に密着することによって防水構造を構成する。
【0029】
又、防水構造の一部として、第1内蔵スペースS1内のコネクターケーブルC2を、上方側寄り(開閉体A1の開放方向側寄り)に第4内蔵スペースS4へ挿通させ、前記ケーブル挿通空間6及びケーブル挟持空間8を上方側寄り(開閉体A1の開放方向側寄り)に設定し、更に、コネクターC1とケーブル21を第1内蔵スペースS1の上方側寄り(開閉体A1の開放方向側寄り)で接続することによって、万が一浸水した場合でも、その水は、第1内蔵スペースS1の下方側(開閉体A1の閉鎖方向側)に溜まるので、前記上方側寄り(開閉体A1の開放方向側寄り)で接続されたコネクターC1とコネクターケーブルC2に対する浸水による悪影響を少なくできる。
尚、ケーブル21の挿通部4を送信機1の左右に配置される第1内蔵スペースS1と第2内蔵スペースS2とで高さ方向(開閉体開閉方向)に位置をずらして設けてもよい。
このようにすることにより、前記両内蔵スペースの蓋部S10,S20を同形状のものとすることが可能となって部材の共通化が図れる。
【0030】
更に、本形態の蓋部S10は、第1内蔵スペースS1に対し、蓋部S10に開孔されたビス孔S12の外側からビスDを螺合して固定する構成であるため、第1内蔵スペースS1には、ビス孔D10が形成された支持体D1が立設されている(図5参照)。
前記支持体D1は、その先端部位D11が前記支持突起71の密着面71Aと同面にされ、前記先端部位D11に前記蓋状パッキング7が密着するようにされている。
そして、前記蓋状パッキング7には、ビスDの貫通孔74が形成されていて、第1内蔵スペースS1にこの蓋状パッキング7を前記のように嵌合し、蓋部S10を被せてビスDで固定することによって、蓋状パッキング7が前記先端部位D11に密着して前記ビス孔S12からの浸水を防ぐことができる。
尚、前記コネクターC1とケーブル21の接続部や第1内蔵スペースS1内のコネクターケーブルC2の第4内蔵スペースS4への挿通部の防水構造として、前記接続部を防水効果を有する素材で被覆したり、挿通部を塞いだりすることも効果的である(図示せず)。
前記防水効果を有する素材として、例えば、シリコン材やグリス材等の撥水製を有する粘性素材、ビニールテープ、ゴム材、合成樹脂材等が挙げられる。
又、第1内蔵スペースS1及び第2内蔵スペースS2は、結線後のコネクターC1の接続部を収納することができるばかりでなく、ケーブル21等の余剰分を収納することも可能であり、この場合、前記ケーブル21等の余剰分を支持体D1の周囲に巻付けて収納する等とすればよい。
【0031】
又、第1内蔵スペースS1のコネクターC1にケーブル21を接続する場合、他方の第2内蔵スペースS2には、前記ケーブル挿通空間6と同形状で連続するケーブル挟持空間8による貫通孔Eが生じるため、この貫通孔Eからの浸水を防ぐ必要がある。
本形態では、前記貫通孔Eにケーブル21と同径の栓蓋9を嵌合することによって、この貫通孔Eに防水構造を構成している(図6参照)。
栓蓋9は、嵌合状態における抜け止め用の鍔部91を有していて、この鍔部91が貫通孔Eの内側端部に引っ掛かることにより、抜け止めがされている。
又、栓蓋9の嵌合方法は、前記ケーブル21の挿通方法と略同一方法であって、すなわち、鍔部91を第2内蔵スペースS2の内側に向けた状態で、栓蓋9をその側面部から挿通部4の開放部側より挿し入れて、前記ケーブル挟持部41とケーブル嵌合溝72に嵌合する。
更に、前記蓋状パッキング7を前記した方法で第2内蔵スペースS2に嵌合することによって形成された前記ケーブル挟持空間8に栓蓋9が略適合状に挟持挿通される。
そして、蓋部S20を前記した方法で第2内蔵スペースS2を塞ぐことによって、前記挿通空間6に栓蓋9が略適合状に挿通される。
このとき、蓋部S20をビスDで固定することにより、蓋状パッキング7が前記支持突起71の密着面71A、前記第2内蔵スペースS2の側壁、栓蓋9、蓋部S20に密着して防水構造を構成する。
尚、栓蓋9は、蓋部S20を外さずに着脱可能な構成にしてもよく、例えば、前記で例示した構成の栓蓋9を貫通孔Eの外側から挿通するようにすれば、蓋部S20を外さずに着脱できる。
【0032】
第3内蔵スペースS3及び第4内蔵スペースS4の防水構造は、共に、開放端部の内側全周に亘ってパッキングPが装着され、両内蔵スペースを蓋部S30,S40で塞ぐ際に、当該蓋部S30,S40の裏面がパッキングPに密着することで構成される構造のものである。
又、蓋部S30は、第3内蔵スペースS3に対して、ビスD2を螺合することにより固定され、ビスD2を外すことにより第3内蔵スペースS3から取外せるようになっている。
又、蓋部S40は、第4内蔵スペースS4に対して、コインやドライバー等の治具を用いてロック及びロック解除する周知のロック機構Rをロックすることにより固定され、ロック解除することにより第4内蔵スペースS4から取外せるようになっている。
【0033】
第4内蔵スペースS4に配設された電池ボックスC4は、電池C41の挿入方向が正確でないと通電されないような構造を有している。
具体的には、図2に示すように、+側電極S41を電池C41の+側部C42が挿入される凹部S42の底側に設け、電池C41を入れた際に、その+側部C42が凹部S42に挿入されるとともに、−側電極S43の付勢力によって+側電極S41に押し付けられて接触するようにしている。
又、前記構造において、電池C41を逆方向に入れた際には、その−側部C43が前記凹部S42の入口側端部S42'に接触することで+側電極S41に接触せず、これにより誤った方向に電池C41を入れた際の通電を防ぐことができ、逆方向の通電による回路等への悪影響を防ぐことができる。
【0034】
前記の構造は、電池C41の挿入方向が逆である場合に通電されない構造であるが、図8及び図9に示す構造は、電池C41の挿入方向を指定せず、正逆いずれの方向でも、正しく通電するようにした構造である。
具体的には、電池ボックスC4の両側に、電池C41の+側部C42が挿入される凹部S44,S45を形成し、その底部に+側電極S41,S41'を設け、凹部S44,S45の入り口側端部に−側電極S43,S43'を設けている。
又、−側電極S43,S43'は、電池C41を互いに対面する凹部S44,S45へ付勢力を与えるようなばね構造(図示では、板ばね構造)を有しており、この付勢力によって電池ボックスC4に入れられた電池C41に対して、その+側部C42を+側電極S41,S41'に押し付けて接触させるようにしている。
又、−側電極S43,S43'は、突出状の+側部C42周りの絶縁体C44の外側、又は絶縁体C44の内側に接触せず、且つ絶縁体C44に接触する位置にあって、電池C41を入れた際に、その−側電極S43,S43'に通電されないようにしている。
そして、前記各電極に配線される配線構造は、両+側電極S41,S41'に配線されたケーブル22,23を接続して一本のケーブル24として基盤C3へ接続し、両−側電極S43,S43' に配線されたケーブル25,26を接続して一本のケーブル27として基盤C3へ接続する構造にしている。
この電池ボックスC4の構造によれば、電池C41の挿入方向が指定されず、正逆いずれの方向でも正しく挿入することができるので、例えば、電池ボックスC4が見難い状況での電池C41の挿入作業を極めて容易に行うことができる。
【0035】
符号Fは、送信機1を座板部材A13に取り付けるための取付け板であり、送信機1の両端部に一体形成されている。
取り付け板Fは、その開閉体A1側縁から座板部材A13側縁に亘る側面略L字状に形成され、開閉体A1側縁の板体F1には、座板部材A13の開閉方向側面に固定するためのねじ孔F2が開孔され、座板部材A13側縁の板体F3には、座板部材A13の厚み方向側面に固定するとともに、その取付け位置を厚さ方向に調節するための長孔F4が形成されている(図7参照)。
すなわち、送信機1を座板部材A13に取り付ける際に、送信機1を最も開閉体A1側で固定する場合には、ねじ孔F2を用いてビスD3で固定し、当該位置よりも開閉体A1から離間する厚み方向側へ移動させた位置に固定する場合には、長孔F4を用いてビスD4で固定するようにしている。
前記ねじ孔F2と長孔F4は、例えば、開閉体A1を開放方向に動作させて収納ケースA31内に収納させるときに、送信機1が収納ケースA31の開閉体A1の通路となる開口部(図示せず)の縁部に干渉しない位置にしたり、送信機1からの信号を正確に受信機3に受信させる位置にしたりする際に、最も適した位置にするために使い分けることができる。
すなわち、ねじ孔F2を用いて固定する位置からねじ孔F4を用いて送信機1を厚さ方向へ移動可能な距離まで、現場において最適な位置となるように移動させて、当該最適な位置で送信機1を取り付けることができる。
【0036】
尚、本発明は、例示した形態に限定するものでは無く、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
例えば、前記で例示した形態では、コネクターC1及びコネクターケーブルC2を内蔵する内蔵スペースを第1及び第2内蔵スペースとして2箇所設けた形態を例示しているが、本発明では、第1内蔵スペースS1と第2内蔵スペースS2のいずれか一方を有する送信機1としてもよい(図示せず。)
又、前記で例示した形態では、電源に電池を用いた形態を例示しているが、本発明ではこの電池以外の電源としてAC/DC電源を用いてもよい(図示せず)。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の送信機は、例示した開閉体装置の障害物感知装置に用いられる送信機以外の送信機においても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る送信機を開閉体装置に取り付けた状態を示す。
【図2】(a)は、本発明に係る送信機の一部切欠正面図、(b)は(a)の(b)矢視図。
【図3】図2の(3)-(3)線断面図。
【図4】図2の(4)-(4)線断面図。
【図5】図2の(5)-(5)線断面図。
【図6】図2の(6)-(6)線断面図。
【図7】図2の(7)-(7)線断面図。
【図8】電池ボックスの他の形態を示す。
【図9】図8の(9)-(9)線断面図。
【符号の説明】
【0039】
1:送信機
2:センサー
3:受信機
4:挿通部
5:嵌合部
6:ケーブル挿通空間
7:蓋状パッキング
21:ケーブル
41:ケーブル挟持部
51:ケーブル挟持部
71:支持突起
A:開閉体装置
A1:開閉体
A2:ガイドレール
A3:巻取装置
A13:座板部材
B:障害物
C1:コネクター
C2:コネクターケーブル
C3:基盤
C4:電池ボックス(電源)
S:内蔵スペース
S1:第1内蔵スペース
S2:第2内蔵スペース
S3:第3内蔵スペース
S4:第4内蔵スペース
S10,S20,S30,S40:蓋部
71A:密着面
72:ケーブル嵌合溝
73:ケーブル嵌合溝
8:ケーブル挟持空間
D1:支持体
D11:先端部位
74:貫通孔
S12:ビス孔
E:貫通孔
9:栓蓋
91:鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水構造を備えたケースに設けられた内蔵スペースに構成部材を内蔵してなる送信機において、
少なくとも、取り付け状態において各種作業が行われる可能性が高い構成部材用の内蔵スペースと他の構成部材用の内蔵スペースとに区画し、当該各内蔵スペースを開閉する蓋部を個別に備えたことを特徴とする送信機。
【請求項2】
内蔵スペースを全ての各構成部材を個別に内蔵するように区画していることを特徴とする請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
送信機に接続されるケーブルを内蔵スペースに挿通させてその内蔵スペースでコネクターに接続するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の送信機。
【請求項4】
内蔵スペースの一部を構成する側壁に、内蔵スペースの開放端縁から底部方向へ向かって切欠き形成された挿通部を備える一方、蓋部に前記挿通部に対してその開放部側から嵌合する嵌合部を備え、当該嵌合部の嵌合状態において対面する前記挿通部の下端部と嵌合部の先端部とに、夫々ケーブル挟持部を形成し、当該ケーブル挟持部を対面させることによって、ケーブルの断面形状と略同径とするケーブル挿通空間が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項に記載の送信機。
【請求項5】
内蔵スペースの内側に適合状に嵌合される蓋状パッキングにより防水構造が構成されるものであり、当該蓋状パッキングを密着状に支持する支持突起を内蔵スペースの内側周囲に設け、当該支持突起の上面に、前記挿通部のケーブル挟持部とケーブル挿通方向に同形状で連続するケーブル嵌合溝を形成する一方、蓋状パッキングに前記ケーブル嵌合溝と対面するとともに、前記嵌合部のケーブル挟持部とケーブル挿通方向に同形状で連続するケーブル嵌合溝を形成し、当該蓋状パッキングを内蔵スペースに嵌合するときに、前記両ケーブル嵌合溝を対面させた状態で、ケーブル挿通空間と同形状で連続するケーブル挟持空間が形成され、当該ケーブル挟持空間にケーブルが密着状に挿通するとともに、蓋状パッキングが支持突起に密着することによって、防水構造を構成することを特徴とする請求項4に記載の送信機。
【請求項6】
コネクターを内蔵する内蔵スペースが少なくとも2箇所備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項に記載の送信機。
【請求項7】
ケーブル挿通空間及びケーブル挟持空間に密着状に嵌合する栓蓋で、ケーブル挿通空間及びケーブル挟持空間による貫通孔を塞ぐことで防水構造を構成していることを特徴とする請求項6に記載の送信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−36825(P2007−36825A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218897(P2005−218897)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】