説明

送信装置、送信方法、受信装置、受信方法、プログラム、およびコンテンツ配信システム

【課題】多数の端末装置に対してコンテンツを安定して供給する。
【解決手段】端末装置21は、インタネット2を介してコンテンツ配信サーバ11からのコンテンツのストリーミング配信を受信することができる。また、端末装置21は、受信したコンテンツを、インタネット2を介して他の端末装置21に中継することができる。このようにして中継されるコンテンツの品質が劣化した(遅延量が多いなど)場合、コンテンツ配信サーバ11は、TV放送装置13を制御して、コンテンツを放送によりストリーミング配信させることができる。さらに、その視聴者数に応じて、コンテンツの放送を停止することができる。本発明は、コンテンツ配信システムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、送信方法、受信装置、受信方法、プログラム、およびコンテンツ配信システムに関し、特に、ネットワークまたは放送を臨機応変に使い分けてコンテンツを配信する場合に用いて好適な送信装置、送信方法、受信装置、受信方法、プログラム、およびコンテンツ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン番組や映画などのコンテンツを、インタネットに代表されるネットワークを介して配信するサービスがユニキャスト配信により実現されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1は、ユニキャスト配信を実現するための構成例を示している。ユニキャスト配信は、各端末装置4それぞれがインタネット2を介して配信サーバ1にアクセスし、コンテンツの配信を要求する。そして、それらの要求に応じ、配信サーバ1がインタネット2を介して各端末装置4にコンテンツを配信することにより実現される。すなわち、ユニキャスト配信では、配信サーバ1と各端末装置4とが一対一に通信を行う。この場合、端末装置4の数が増加すると、配信サーバ1の処理負荷が増すとともに、ネットワーク2におけるデータ通信量が増加してしまうことになる。
【0004】
配信サーバ1の処理負担やネットワーク2の通信量を減少させるためには、インタネット2を構成する各ISP(internet service provider)のルータ3にコンテンツをキャッシュさせることの他、コンテンツをマルチキャスト(同報)可能なIPマルチキャスト配信、またはオーバレイマルチキャスト配信を採用する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−296288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2は、IPマルチキャスト配信を実現するための構成例を示している。IPマルチキャスト配信では、マルチキャストグループ5(同報されるコンテンツを受信できる端末装置4のグループ)に所属したい端末装置4がその旨を、インタネット2を構成するルータ3に通知すると、各ルータ3が協調してマルチキャスト配信ツリーが構成される。このマルチキャスト配信ツリーにより、配信サーバ1からのコンテンツが、マルチキャストグループ5に対してのみ同報されることになる。
【0007】
ただし、IPマルチキャスト配信を実現するためには、各ルータ3がIPマルチキャスト配信に対応している(マルチキャスト配信ツリーを構成するように協調する機能を有する)必要がある。しかしながら、現実的には、インタネット2は異なる多数のISPによってそれぞれ運営されるルータ3によって構成されており、IPマルチキャスト配信に対応していないルータ3も多いので、IPマルチキャスト配信の実現は困難である。
【0008】
図3は、オーバレイマルチキャスト配信を実現するための構成例を示している。オーバレイマルチキャスト配信は、ルータ3の機能に依存することなく、端末装置4にて実行されるアプリケーションプログラムにより実現される。すなわち、オーバレイマルチキャスト配信では、端末装置4Aが、配信サーバ1からインタネット2を介してコンテンツを受信すると、受信したコンテンツを他の端末装置4に中継可能である旨の情報を公開する。公開された当該情報に基づいて他の端末装置4(例えば、端末装置4C)が端末装置4Aに中継を要求すると、端末装置4Aは、受信したコンテンツを他の端末装置4に中継する。中継されたコンテンツを受信した他の端末装置4も端末装置4Aと同様、さらに他の端末装置(例えば、端末装置4D等)にコンテンツを中継することができる。
【0009】
オーバレイマルチキャスト配信の場合、コンテンツの中継を希望する端末装置4Cなどは、コンテンツを中継可能な端末装置4Aを検索する必要がある。また、コンテンツを中継する端末装置4Aには、インタネット2を介するコンテンツの下りの通信速度と同程度の上りの通信速度を維持する処理能力が要求される。さらに、中継が重ねられたコンテンツは、配信サーバ1から直接配信されたコンテンツに比較して品質が劣化している(大きな遅延が生じているなど)問題もある。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、多数の端末装置に対してコンテンツを安定して供給できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の側面である送信装置は、コンテンツを供給する送信装置において、前記コンテンツをネットワークを介して受信装置に送信する送信手段と、前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを受信するマニフェストファイル受信手段と、受信された前記マニフェストファイルを解析する解析手段と、前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツを放送によって配信する放送手段と、受信された前記マニフェストファイルを配信する配信手段とを含む。
【0012】
前記解析手段は、受信された前記マニフェストファイルに基づいて前記コンテンツの品質劣化の有無を検出し、前記放送手段は、前記コンテンツの品質劣化が検出された場合、前記コンテンツを放送によって配信することができる。
【0013】
前記配信手段は、前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツが放送によって配信される場合、放送によって配信される前記コンテンツを受信するための情報を、受信された前記マニフェストファイルに追加して配信することができる。
【0014】
本発明の第1の側面である送信装置は、放送によって配信される前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツを受信していることを示す受信レポートを取得し、取得した前記受信レポートの数に基づいて前記コンテンツの放送による配信の継続の有無を判断する受信レポート取得手段をさらに含むことができる。
【0015】
前記受信レポート取得手段は、前記コンテンツの放送による配信を継続しないと判断した場合、前記放送手段を制御して、前記コンテンツの放送による配信が停止されることを示す放送配信停止予告を放送によって配信させることができる。
【0016】
本発明の第1の側面である送信方法は、コンテンツを供給する送信装置の送信方法において、前記放送装置による、前記コンテンツをネットワークを介して受信装置に送信する送信ステップと、前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを受信するマニフェストファイル受信ステップと、受信された前記マニフェストファイルを解析する解析ステップと、前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツを放送によって配信する放送ステップと、受信された前記マニフェストファイルを配信する配信ステップとを含む。
【0017】
本発明の第1の側面であるプログラムは、コンテンツを供給する送信装置の制御用のプログラムであって、前記コンテンツをネットワークを介して受信装置に送信する送信ステップと、前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを受信するマニフェストファイル受信ステップと、受信された前記マニフェストファイルを解析する解析ステップと、前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツを放送によって配信する放送ステップと、受信された前記マニフェストファイルを配信する配信ステップとを含む処理を送信装置のコンピュータに実行させる。
【0018】
本発明の第1の側面においては、コンテンツがネットワークを介して受信装置に送信され、コンテンツを受信した受信装置から通知される、コンテンツの品質を示すマニフェストファイルが受信され、受信されたマニフェストファイルの解析結果に基づいてコンテンツが放送によって配信される。
【0019】
本発明の第2の側面である受信装置は、コンテンツを受信する受信装置において、ネットワークを介して送信された前記コンテンツを受信する受信手段と、受信された前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを生成して前記送信装置に通知する通知手段と、受信された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継する中継手段とを含む。
【0020】
本発明の第2の側面である受信装置は、前記送信装置から配信された、他の受信装置が生成した前記マニフェストファイルを取得するマニフェストファイル取得手段をさらに含み、前記受信手段は、取得された前記マニフェストファイルに基づいて他の受信装置にアクセスし、前記他の受信装置から中継された前記コンテンツを受信することができる。
【0021】
本発明の第2の側面である受信装置は、受信された前記コンテンツの符号化方式を変換する変換手段をさらに含み、前記中継手段は、受信されて符号化方式が変換された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継することができる。
【0022】
前記マニフェストファイルには、前記コンテンツの品質を示す情報として、前記コンテンツを受信した時の遅延量、パケットロス数、またはジッタ量のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0023】
本発明の第2の側面である受信方法は、コンテンツを受信する受信装置の受信方法において、前記受信方法による、ネットワークを介して送信された前記コンテンツを受信する受信ステップと、受信された前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを生成して前記送信装置に通知する通知ステップと、受信された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継する中継ステップとを含む。
【0024】
本発明の第2の側面であるプログラムは、コンテンツを受信する受信装置の制御用のプログラムであって、ネットワークを介して送信された前記コンテンツを受信する受信ステップと、受信された前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを生成して前記送信装置に通知する通知ステップと、受信された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継する中継ステップとを含む処理を受信装置のコンピュータに実行させる。
【0025】
本発明の第2の側面においては、ネットワークを介して送信されたコンテンツが受信され、受信されたコンテンツの品質を示すマニフェストファイルが生成されて送信装置に通知され、受信されたコンテンツがネットワークを介して他の受信装置に中継される。
【0026】
本発明の第3の側面であるコンテンツ配信サーバは、コンテンツを送信する送信装置と、送信された前記コンテンツを受信する受信装置から成るコンテンツ配信システムにおいて、前記送信装置が、前記コンテンツをネットワークを介して前記受信装置に送信する送信手段と、前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを受信するマニフェストファイル受信手段と、受信された前記マニフェストファイルを配信する配信手段と、受信された前記マニフェストファイルを解析する解析手段と、前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツを放送によって配信する放送手段とを含む。また、前記受信装置が、前記ネットワークを介して送信された前記コンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、受信された前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを生成して前記送信装置に通知する通知手段と、受信された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継する中継手段とを含む。
【0027】
本発明の第3の側面においては、送信装置により、コンテンツがネットワークを介して受信装置に送信され、コンテンツを受信した受信装置から通知される、コンテンツの品質を示すマニフェストファイルが受信され、受信されたマニフェストファイルの解析結果に基づいてコンテンツが放送によって配信される。また、受信装置により、ネットワークを介して送信されたコンテンツが受信され、受信されたコンテンツの品質を示すマニフェストファイルが生成されて送信装置に通知され、受信されたコンテンツがネットワークを介して他の受信装置に中継される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の第1の側面によれば、多数の受信装置にコンテンツを安定して送信することができる。
【0029】
本発明の第2の側面によれば、コンテンツを安定して受信することができる。
【0030】
本発明の第3の側面によれば、多数の受信装置に対して、コンテンツを安定して配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】コンテンツのユニキャスト配信を実現するための構成例を示すブロック図である。
【図2】コンテンツのIPマルチキャスト配信を実現するための構成例を示すブロック図である。
【図3】コンテンツのオーバレイマルチキャスト配信を実現するための構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用したコンテンツ配信システムの構成例を示すブロック図である。
【図5】コンテンツ配信サーバの構成例を示すブロック図である。
【図6】マニフェストファイル配信サーバの構成例を示すブロック図である。
【図7】端末装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】マニフェストファイルに含まれる情報を示す図である。
【図9】端末装置による再生処理を説明するフローチャートである。
【図10】端末装置による中継処理を説明するフローチャートである。
【図11】マニフェストファイル配信サーバの処理を説明するフローチャートである。
【図12】コンテンツ配信システムに想定される動作シナリオを示している。
【図13】コンテンツ配信システムに想定される動作シナリオを示している。
【図14】コンテンツ配信システムに想定される動作シナリオを示している。
【図15】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
<1.実施の形態>
[コンテンツ配信システムの構成例]
図4は、本発明の実施の形態であるコンテンツ配信システムの構成例を示している。このコンテンツ配信システム10は、コンテンツを送信(供給)する側に設けられるコンテンツ配信サーバ11、マニフェストファイル配信サーバ12、およびTV放送装置13、並びに、コンテンツを受信(取得)する側に設けられる多数の端末装置21から構成される。各端末装置21は、インタネット2を介してコンテンツ配信サーバ11およびマニフェストファイル配信サーバ12と通信が可能である。
【0034】
以下、端末装置21についてはノードとも称する。また、各端末装置21を、個々に区別する必要がある場合には端末装置21A,21B(ノードA,B)などと称する。
【0035】
コンテンツ配信サーバ11は、主に、インタネット2を介したコンテンツのストリーミング配信を実行する。マニフェストファイル配信サーバ12は、主に、端末装置21から通知されるマニフェストファイルをTV放送網にて配信させる。また、マニフェストファイル配信サーバ12は、端末装置21からの要求に応じ、マニフェストファイルをインタネット2を介して供給する。
【0036】
TV放送装置13は、主に、コンテンツ配信サーバ11からの制御に従ってコンテンツを放送によりストリーミング配信する。また、TV放送装置13は、マニフェストファイル配信サーバ12からの制御に従ってマニフェストファイルをTV放送網で配信する。なお、TV放送装置13が利用するTV放送網は、衛星放送網、地上デジタル放送網、ケーブルテレビ放送網、携帯電話放送網などのいずれかに限定されるものではなく任意である。
【0037】
各端末装置21は、コンテンツ配信サーバ11およびマニフェストファイル配信サーバ12のURLを予め保持しており、インタネット2を介してコンテンツ配信サーバ11およびマニフェストファイル配信サーバ12と通信が可能である。
【0038】
図5は、コンテンツ配信サーバ11の構成例を示している。コンテンツ配信サーバ11は、コンテンツストリーミング配信部31、およびコンテンツ放送制御部32から成る。コンテンツストリーミング配信部31は、インタネット2を介する端末装置2からの要求に応じ、インタネット2を介してコンテンツをストリーミング配信する。コンテンツ放送制御部32は、マニフェストファイル配信サーバ12からの通知に基づき、TV放送装置13を制御してコンテンツを放送によってストリーミング配信させる。
【0039】
図6は、マニフェストファイル配信サーバ12の構成例を示している。マニフェストファイル配信サーバ12は、マニフェストファイル取得部41、マニフェストファイル解析部42、マニフェストファイル配信部43、コンテンツ配信サーバ制御部44、および受信レポート取得部45から成る。
【0040】
マニフェストファイル取得部41は、コンテンツを取得している端末装置21から周期的に通知されるマニフェストファイルを取得する。ここで、マニフェストファイルとは、コンテンツを取得した端末装置21が当該コンテンツを取得したときの遅延量、パケットロスなどの状況を示す情報(以下、中継品質情報と称する)を含むものである。なお、マニフェストファイルについては、図8を参照して詳述する。
【0041】
マニフェストファイル解析部42は、マニフェストファイル取得部41が取得したマニフェストファイルの中継品質情報を解析する。
【0042】
マニフェストファイル配信部43は、マニフェストファイル取得部41が取得したマニフェストファイルを、コンテンツ配信サーバ制御部44を介してTV放送装置13に放送させる。また、マニフェストファイル配信部43は、インタネット2を介して要求してきた端末装置21に対し、マニフェストファイル取得部41が取得したマニフェストファイルを供給する。
【0043】
コンテンツ配信サーバ制御部44は、コンテンツ配信サーバ11を制御して、コンテンツの放送によるストリーミング配信の開始と停止を制御させる。
【0044】
受信レポート取得部45は、コンテンツ配信サーバ制御部44を介してTV放送装置13に受信レポート要求を放送させる。ここで、受信レポートとは、放送によりストリーミング配信されるコンテンツを受信している端末装置21から返信されるものであり、コンテンツを受信している端末装置21の総数を計測するために用いられる。
【0045】
図7は、端末装置21の構成例を示している。端末装置21は、コンテンツ取得部51、マニフェストファイル生成部52、コンテンツ保持部53、マニフェストファイル取得部54、コンテンツ変換部55、コンテンツ再生部56、およびコンテンツ中継部57から成る。
【0046】
コンテンツ取得部51は、URLが既知であるコンテンツ配信サーバ11にインタネット2を介してアクセスし、コンテンツ配信サーバ11からストリーミング配信されるコンテンツを取得する。また、コンテンツ取得部51は、配信されるマニフェストファイルに基づいて、他の端末装置21にアクセスし、当該他の端末装置21がストリーミング配信を中継するコンテンツを取得する。さらに、コンテンツ取得部51は、配信されるマニフェストファイルに基づいて、所望のコンテンツが放送によりストリーミング配信されている場合、その放送を受信することによりコンテンツを取得する。
【0047】
マニフェストファイル生成部52は、取得されたコンテンツに対応するマニフェストファイルを生成し、インタネット2を介してマニフェストファイル配信サーバ12に送信する。
【0048】
図8は、マニフェストファイルを構成する各項目を示している。マニフェストファイルは、中継品質情報61、属性情報62、および1以上のコンテンツ中継元URL63が含まれて生成される。さらに、マニフェストファイルには、放送配信時のチャンネル情報64が追加される場合がある。
【0049】
中継品質情報61は、取得したコンテンツに生じている遅延量、パケットロス数、ジッタ量などからなる。中継品質情報61は、当該端末装置21が他の端末装置21に対して中継可能なコンテンツの品質を示す。中継品質情報61は、他の端末装置21が当該端末装置21にコンテンツの中継を要求するか否かの判断材料として用いられる。
【0050】
ここで、遅延量は、当該コンテンツがコンテンツ配信サーバ11から配信されたタイミングを基準とするものであり、コンテンツのストリーミングパケットに含まれる送出時刻から、端末装置21にて受信した時刻の差として算出される。
【0051】
属性情報62には、当該コンテンツのタイトル、概要等からなる内容属性のメタデータと、当該コンテンツの元のビットレート、およびコーデックの種類、並びに、当該端末装置21にて変換可能なコーデックの種類などを示す符号化属性のメタデータが含まれる。
【0052】
コンテンツ中継元URL63には、当該端末装置21にて変換可能なコーデックの種類毎に異なるコンテンツ中継部57の通信ポートのURLが記載される。ただし、当該端末装置21が元のコンテンツのコーデック等を変換する機能を有していない場合、コンテンツ中継元URL63は1つのみ記載される。
【0053】
放送配信時のチャンネル情報64は、対応するコンテンツが放送によりストリーミング配信される場合にマニフェストファイル配信サーバ12にて追加されるものである。放送配信時のチャンネル情報64には、コンテンツがストリーミング配信される放送チャンネルが記載される。
【0054】
図7に戻る。コンテンツ保持部53は、コンテンツ取得部51により取得されたコンテンツを一時的に保持する。
【0055】
マニフェストファイル取得部54は、TV放送装置13から放送される、他の端末装置21が生成したマニフェストファイルを自動的に取得して保持する。また、マニフェストファイル取得部54は、インタネット2を介してマニフェストファイル配信サーバ12にアクセスし、他の端末装置21が生成したマニフェストファイルの供給を要求することがきる。この場合、マニフェストファイル配信サーバ12は、インタネット2を介してマニフェストファイルを供給する。
【0056】
コンテンツ変換部55は、コンテンツ保持部53に保持されているコンテンツの符号化方式(ビットレート、コーデックなど)を予め定められている1種類以上の符号化方式に変換してコンテンツ中継部57に出力する。なお、コンテンツ変換部55にて変換可能な符号化方式の種類は、各端末装置21の処理能力に応じて設定できるようすればよい。また、コンテンツ変換部55を省略する、すなわち、取得されたコンテンツをそのまま中継するようにしてもよい。
【0057】
コンテンツ再生部56は、コンテンツ保持部53に保持されているコンテンツを再生し、その結果得られる映像信号および音声信号を後段のモニタ等(不図示)に出力する。
【0058】
コンテンツ中継部57は、インタネット2に対する複数の通信ポートを有しており、他の端末装置21がインタネット2を介してアクセスしてきた通信ポートに応じて、コンテンツ保持部53に保持されているコンテンツ、またはコンテンツ変換部55により符号化方式が変換されたコンテンツを当該他の端末装置21にストリーミング配信する。
【0059】
[動作説明]
次に、コンテンツ配信システム10の動作について説明する。
【0060】
図9は、端末装置21による再生処理を説明するフローチャートである。この再生処理は、端末装置21のユーザが所定の操作によって視聴したいコンテンツを選択したときに開始される。
【0061】
ステップS1において、コンテンツ取得部51は、選択されたコンテンツに対応するマニフェストファイルがマニフェストファイル取得部54によって既に取得済みであるか否かを判断する。対応するマニフェストファイルが未取得であると判断された場合、処理はステップS2に進められる。
【0062】
ステップS2において、コンテンツ取得部51は、既知のコンテンツ配信サーバ11にインタネット2を介してアクセスし、選択されたコンテンツのストリーミング配信を要求する。この要求に応じ、コンテンツ配信サーバ11から当該端末装置21に対して、選択されたコンテンツのストリーミング配信が開始される。
【0063】
反対に、ステップS1において、対応するマニフェストファイルが取得済みであると判断された場合、処理はステップS3に進められる。ステップS3において、コンテンツ取得部51は、取得済みのマニフェストファイルを解析し、選択されたコンテンツを中継可能なノード(他の端末装置21)を選択する。また、コンテンツ取得部51は、選択した他の端末装置21(のコンテンツ中継部57の通信ポート)に対してインタネット2を介してアクセスし、選択されたコンテンツのストリーミング配信を要求する。この要求に応じ、他の端末装置21から当該端末装置21に対して、選択されたコンテンツのストリーミング配信が開始される。
【0064】
ステップS4において、コンテンツ取得部51は、ストリーミング配信が開始されたコンテンツの受信を開始する。受信されたコンテンツは、コンテンツ保持部53に保持されつつ、コンテンツ再生部56により再生が開始される。
【0065】
ステップS5において、マニフェストファイル生成部52は、受信が開始されたコンテンツに対応するマニフェストファイルを生成し、インタネット2を介してマニフェストファイル配信サーバ12に送信する。また、マニフェストファイル生成部52は、コンテンツが受信されている期間、その受信状況(遅延量など)の変化に対応してマニフェストファイルを更新してマニフェストファイル配信サーバ12に送信する。送信されたマニフェストファイルは、マニフェストファイル配信サーバ12の制御に従い、TV放送装置13から放送により周期的に繰り返し配信される。以上で、端末装置21による再生処理の説明を終了する。
【0066】
次に、図10は、端末装置21による中継処理を説明するフローチャートである。この中継処理は、他の端末装置21がインタネット2を介してコンテンツ中継部57にアクセスしてきたことに対応して開始される。
【0067】
ステップS11において、コンテンツ変換部55は、他の端末装置21がアクセスしてきたコンテンツ中継部57の通信ポートに応じて符号化方式を決定する。ステップS12において、コンテンツ変換部55は、コンテンツ保持部53に保持されているコンテンツの符号化方式を、ステップS11で決定した符号化方式に変換してコンテンツ中継部57に出力する。なお、ステップS11で決定した符号化方式がコンテンツ保持部53に保持されているコンテンツの符号化方式と同じ場合、コンテンツ変換部55は、保持されているコンテンツをそのままコンテンツ中継部57に出力する。
【0068】
ステップS13において、コンテンツ中継部57は、他の端末装置21がアクセスしてきた通信ポートおよびインタネット2を介し、コンテンツ変換部55から入力されたコンテンツのストリーミング配信を開始する。以上で、端末装置21による中継処理の説明を終了する。
【0069】
次に、図11は、マニフェストファイル配信サーバ12の処理を説明するフローチャートである。マニフェストファイル配信サーバ12は、以下に説明する処理を繰り返し継続して実行する。
【0070】
ステップS21において、マニフェストファイル取得部41は、インタネット2を介して各端末装置21から送信されたマニフェストファイルを所定数受信したと判定するまで待機する。マニフェストファイルを所定数受信したと判定された場合、処理はステップS22に進められる。
【0071】
ステップS22において、マニフェストファイル解析部42は、受信されたマニフェストファイルの中継品質情報を解析し、インタネット2を介して配信または中継されるコンテンツに品質劣化が生じているか否かを判定する。具体的には、受信された所定数のマニフェストファイルのうち、中継品質情報に含まれる遅延量、パケットロス数、ジッタ量などのうちの少なくとも1つが所定の閾値を越えているものの割合が一定の基準値を上回った場合、品質劣化が生じていると判定する。
【0072】
インタネット2を介して配信または中継されるコンテンツに品質劣化が生じていないと判定された場合、処理はステップS23に進められる。ステップS23において、マニフェストファイル配信部43は、TV放送装置13を制御して、受信したマニフェストファイルを放送によって配信させる。この後、処理はステップS21に戻される。
【0073】
ステップS22において、インタネット2を介して配信または中継されるコンテンツに品質劣化が生じていると判定された場合、処理はステップS24に進められる。ステップS24において、コンテンツ配信サーバ制御部44は、コンテンツ配信サーバ11に対して、受信されたマニフェストファイルに対応するコンテンツを放送によりストリーミング配信するように要求する。この要求により、コンテンツ配信サーバ11のコンテンツ放送制御部32では、TV放送装置13を制御して、当該コンテンツの放送によるストリーミング配信を開始させることになる。
【0074】
ステップS25において、マニフェストファイル配信部43は、受信されたマニフェストファイルを変更して、すなわち、受信されたマニフェストファイルに放送配信時のチャンネル情報64を追加して、更新後のマニフェストファイルを放送により配信させる。また、マニフェストファイル配信部43は、変更後のマニフェストファイルを、インタネット2を介して要求してきた端末装置21に対して供給する。
【0075】
これ以降、コンテンツはネットワーク2を介したストリーミング配信だけでなく、放送網でもストリーミング配信されることになる。これに対して、各端末装置21では、更新後のマニフェストファイルにより、当該コンテンツが放送によって配信されていることを検知するので、放送が受信可能な端末装置21は、放送によって安定して配信されるコンテンツを受信するようになる。
【0076】
ステップS26において、受信レポート取得部45は、TV放送装置13に対して、受信レポート要求を配信するように要求する。この要求に応じ、TV放送装置13では、受信レポート要求が放送により配信されることになる。この受信レポート要求は、放送によりストリーミング配信されているコンテンツを受信中の端末装置21に受信される。そして、受信レポート要求を受信した端末装置21からは、放送によりストリーミング配信されているコンテンツを受信中であることを示す受信レポートが、インタネット2を介してマニフェストファイル配信サーバ12に返信される。
【0077】
ステップS27において、受信レポート取得部45は、放送により配信されているコンテンツを受信中の端末装置21から返信される受信レポートの返信数に基づき、放送コストを評価する。さらに、その評価結果に基づき、受信レポート取得部45は、ステップS28において、コンテンツの放送によるストリーミング配信を継続するか否かを判断する。
【0078】
すなわち、コンテンツを放送によってストリーム配信した場合には、インタネット2を介してストリーミング配信した場合に比較してコスト高となるが、そのコストにみあうだけの視聴者数が得られているか否かに基づいて、放送によるストリーミング配信の継続を判断する。具体的には、受信レポートの返信数が所定の閾値以上である場合、放送によるストリーミング配信を継続すると判断する。
【0079】
ステップS28において、コンテンツの放送によるストリーミング配信を継続すると判断された場合、処理はステップS26に戻り、ステップS26乃至S28が繰り返される。
【0080】
その後、放送によりストリーミング配信されているコンテンツの視聴者数(受信レポートの返信数)が減少して、コンテンツの放送によるストリーミング配信を停止すると判断された場合、処理はステップS29に進められる。
【0081】
ステップS29において、受信レポート取得部45は、TV放送装置13に対して、コンテンツの放送によるストリーミング配信がまもなく停止されることを示す放送配信停止予告を配信するように要求する。この要求に応じ、TV放送装置13では、放送配信停止予告が放送により配信されることになる。放送配信停止予告を受信した端末装置21では、取得済みのマニフェストファイルに基づいて、コンテンツの取得がインタネット2を介する配信に変更される。そして、端末装置21からは、マニフェストファイル配信サーバ12に対して、受信したコンテンツの品質を示すマニフェストファイルが送信されることになる。
【0082】
ステップS30において、マニフェストファイル取得部41は、端末装置21から送信されたマニフェストファイルを受信する。マニフェストファイル解析部42は、受信されたマニフェストファイルの中継品質情報を解析し、インタネット2を介して配信または中継されるコンテンツの品質劣化が回復したと判定するまで待機する。この判定は、具体的には、受信された複数のマニフェストファイルのうち、中継品質情報に含まれる遅延量、パケットロス数、ジッタ量などのうちの少なくとも1つが所定の閾値を越えているものの割合が一定の基準値よりも少なくなった場合、品質劣化が回復したと判定される。
【0083】
ステップS30において、インタネット2を介して配信または中継されるコンテンツの品質劣化が回復したと判定された場合、処理はステップS31に進められる。
【0084】
ステップS31において、コンテンツ配信サーバ制御部44は、コンテンツ配信サーバ11に対して、受信されたマニフェストファイルに対応するコンテンツの放送によるストリーミング配信を停止するように要求する。マニフェストファイル配信部43は、受信されたマニフェストファイルを放送により配信させる。また、マニフェストファイル配信部43は、マニフェストファイルを、インタネット2を介して要求してきた端末装置21に対して供給する。
【0085】
コンテンツ配信サーバ11のコンテンツ放送制御部32では、コンテンツ配信サーバ制御部44からの要求に応じ、TV放送装置13を制御して、当該コンテンツの放送によるストリーミング配信を開始させることになる。この後、処理はステップS21に戻り、それ以降が繰り返される。以上で、マニフェストファイル配信サーバ12の処理の説明を終了する。
【0086】
なお、コンテンツ配信サーバ11の動作、およびTV放送装置13の動作については、上述したマニフェストファイル配信サーバ12の処理の説明に含まれるので、その説明は省略する。
【0087】
[想定される動作シナリオ]
次に、コンテンツ配信システム10に対して想定される動作シナリオについて図12乃至図14を参照して説明する。
【0088】
図12は、端末装置21A(ノードA)がコンテンツ配信サーバ11からコンテンツXを取得し、端末装置21B(ノードB)がノードAから中継されるコンテンツXを取得し、端末装置21C(ノードC)がノードBから中継されるコンテンツXを取得する場合の動作シナリオを示している。
【0089】
ノードAのユーザがコンテンツXの受信を指示すると、ノードAはインタネット2を介してコンテンツ配信サーバ11にアクセスし、コンテンツXのストリーミング配信を要求する。この要求に応じ、コンテンツ配信サーバ11は、インタネット2を介してノードAに対するコンテンツXのストリーミング配信を開始する。
【0090】
ストリーミング配信されるコンテンツの受信を始めたノードAは、コンテンツXに対応するマニフェストファイルを生成し、生成したマニフェストファイルを、インタネット2を介してマニフェストファイル配信サーバ12に送信する。
【0091】
送信されたマニフェストファイルを受信したマニフェストファイル配信サーバ12は、マニフェストファイルの中継品質情報に基づいてコンテンツXの品質劣化の有無を判断する。そして、品質劣化が生じていないと判断された場合、当該マニフェストファイルをそのままTV放送装置13から放送により配信させる。
【0092】
配信されたマニフェストファイルは各ノードに受信される。その後、ノードBのユーザがコンテンツXの受信を指示すると、ノードBは、既に保持しているコンテンツXに対応する、ノードAが生成したマニフェストファイルを参照し、ノードAに対してコンテンツのストリーミング配信(中継)を要求する。この要求に応じ、ノードAは、インタネット2を介してノードBにコンテンツXのストリーミング配信(中継)を開始する。
【0093】
中継されるコンテンツの受信を始めたノードBは、ノードAで中継されたコンテンツXに対応するマニフェストファイルを生成し、生成したマニフェストファイルを、インタネット2を介してマニフェストファイル配信サーバ12に送信する。
【0094】
送信されたマニフェストファイルを受信したマニフェストファイル配信サーバ12は、マニフェストファイルの中継品質情報に基づいてコンテンツXの品質劣化の有無を判断する。そして、品質劣化が生じていないと判断された場合、当該マニフェストファイルをそのままTV放送装置13から放送により配信させる。
【0095】
配信されたマニフェストファイルは各ノードに受信される。その後、ノードCのユーザがコンテンツXの受信を指示すると、ノードCは、既に保持しているコンテンツXに対応する、ノードAまたはBが生成したマニフェストファイルを参照し、ノードBに対してコンテンツのストリーミング配信(中継)を要求する。この要求に応じ、ノードBは、インタネット2を介してノードCにコンテンツXのストリーミング配信(中継)を開始する。
【0096】
次に、図13は、中継されているコンテンツXに品質劣化が生じていることに対応し、コンテンツXが放送でもストリーミング配信される場合の動作シナリオを示している。
【0097】
なお、ノードBがノードAから中継されるコンテンツXを取得してマニフェストファイルを生成し、マニフェストファイル配信サーバ12に送信するまでの動作については、図12を参照して上述したとおりであるので、その説明は省略する。
【0098】
ノードBなどから送信されたマニフェストファイルを受信したマニフェストファイル配信サーバ12は、マニフェストファイルの中継品質情報に基づいてコンテンツXの品質劣化の有無を判断する。ここで、品質劣化が生じていると判断された場合、マニフェストファイル配信サーバ12は、コンテンツ配信サーバ11にコンテンツXの放送による配信開始の制御を要求する。この要求に応じ、コンテンツ配信サーバ11は、TV放送装置13を制御してコンテンツXの放送によるストリーミング配信を開始させる。
【0099】
さらに、マニフェストファイル配信サーバ12は、ノードBから送信されたマニフェストファイルを変更(放送配信時のチャンネル情報64の追加)してTV放送装置13から放送により配信させる。
【0100】
配信されたマニフェストファイルは各ノードに受信され、この後、各ノードがコンテンツXを受信する場合には、放送によりストリーミング配信されているコンテンツXを受信するようになる。
【0101】
次に、図14は、放送によりストリーミング配信されているコンテンツXの視聴者数が減少したことに対応し、コンテンツXの放送によるストリーミング配信が停止される場合の動作シナリオを示している。
【0102】
コンテンツXが放送によりストリーミング配信された後、マニフェストファイル配信サーバ12は、TV放送装置13に対して、受信レポート要求を配信するように要求する。この要求に応じ、TV放送装置13は、受信レポート要求を放送により配信する。配信された受信レポート要求は、コンテンツXを受信しているノードにより受信される。受信レポート要求を受信した各ノードは、放送によりストリーミング配信されているコンテンツXを受信中であることを示す受信レポートをマニフェストファイル配信サーバ12に返信する。
【0103】
受信レポートを受信したマニフェストファイル配信サーバ11では、各ノードから返信される受信レポートの返信数に基づいて放送コストを評価し、コンテンツXの放送によるストリーミング配信を継続するか否かを判断する。
【0104】
ここで、マニフェストファイル配信サーバ11がコンテンツXの放送によるストリーミング配信を継続しないと判断した場合、TV放送装置13に対して放送配信停止予告の配信を要求する。この要求に応じ、TV放送装置13は、放送配信停止予告を放送により配信する。放送配信停止予告を受信したノードAは、インタネット2を介してコンテンツ配信サーバ11にアクセスし、コンテンツXのストリーミング配信を要求する。この要求に応じ、コンテンツ配信サーバ11は、インタネット2を介してノードAに対するコンテンツXのストリーミング配信を開始する。
【0105】
なお、ノードAと同様に、ノードBもコンテンツ配信サーバ11にコンテンツXのストリーミング配信を要求することができる。
【0106】
ストリーミング配信されるコンテンツの受信を始めたノードAは、コンテンツXに対応するマニフェストファイルを生成し、インタネット2を介してマニフェストファイル配信サーバ12に送信する。
【0107】
送信されたマニフェストファイルを受信したマニフェストファイル配信サーバ12は、マニフェストファイルの中継品質情報に基づいてコンテンツXの品質劣化の有無を判断する。そして、品質劣化が生じていないと判断された場合、当該マニフェストファイルをそのままTV放送装置13から放送により配信させる。
【0108】
コンテンツ配信サーバ11にコンテンツXのストリーミング配信を要求しなかったノードBは、配信されたマニフェストファイルを参照し、ノードAに対してコンテンツのストリーミング配信(中継)を要求する。この要求に応じ、ノードAは、インタネット2を介してノードBにコンテンツXのストリーミング配信(中継)を開始する。
【0109】
中継されるコンテンツの受信を始めたノードBは、ノードAで中継されたコンテンツXに対応するマニフェストファイルを生成し、インタネット2を介してマニフェストファイル配信サーバ12に送信する。
【0110】
送信されたマニフェストファイルを受信したマニフェストファイル配信サーバ12は、マニフェストファイルの中継品質情報に基づいてコンテンツXの品質劣化の有無を判断するとともに、品質劣化の回復を判定する。そして、品質劣化が回復していると判定した場合、マニフェストファイル配信サーバ12は、コンテンツ配信サーバ11に対してコンテンツXの放送によるストリーミング配信を停止するように要求する。この要求に応じ、コンテンツ配信サーバ11は、TV放送装置13にコンテンツXの放送によるストリーミング配信を停止させる。
【0111】
以上説明したように、コンテンツ配信システム10は、インタネット2を介して中継されるコンテンツの品質劣化や視聴者の現象に応じて、コンテンツの放送によるストリーム配信を開始したり、停止したりすることができる。したがって、コンテンツの供給側は、多数の端末装置に対して、コスト高となることを抑止しつつ、安定してコンテンツを供給することができる。
【0112】
なお、本実施の形態においては、コンテンツの供給側を、コンテンツ配信サーバ11、マニフェストファイル配信サーバ12、およびTV放送装置13として個別に設けるようにしたが、これらは適宜、組み合わせることが可能である。
【0113】
端末装置21については、例えば、TV受像機やビデオレコーダなどに内蔵することができる。
【0114】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0115】
図15は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0116】
このコンピュータ100において、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0117】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
【0118】
以上のように構成されるコンピュータ100では、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105およびバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0119】
なお、コンピュータ100が実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。
【0120】
また、プログラムは、1台のコンピュータにより処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであってもよい。
【0121】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0122】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0123】
10 コンテンツ配信システム, 11 コンテンツ配信サーバ, 12 マニフェストファイル配信サーバ, 13 TV放送装置, 21 端末装置, 31 コンテンツストリーミング配信部, 32 コンテンツ放送制御部, 41 マニフェストファイル取得部, 42 マニフェストファイル解析部, 43 マニフェストファイル配信部, 44 コンテンツ配信サーバ制御部, 45 受信レポート取得部, 51 コンテンツ取得部, 52 マニフェストファイル生成部, 53 コンテンツ保持部, 54 マニフェストファイル取得部, 55 コンテンツ変換部, 56 コンテンツ再生部, 57 コンテンツ中継部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを供給する送信装置において、
前記コンテンツをネットワークを介して受信装置に送信する送信手段と、
前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを受信するマニフェストファイル受信手段と、
受信された前記マニフェストファイルを解析する解析手段と、
前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツを放送によって配信する放送手段と、
受信された前記マニフェストファイルを配信する配信手段と
を含む送信装置。
【請求項2】
前記解析手段は、受信された前記マニフェストファイルに基づいて前記コンテンツの品質劣化の有無を検出し、
前記放送手段は、前記コンテンツの品質劣化が検出された場合、前記コンテンツを放送によって配信する
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記配信手段は、前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツが放送によって配信される場合、放送によって配信される前記コンテンツを受信するための情報を、受信された前記マニフェストファイルに追加して配信する
請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
放送によって配信される前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツを受信していることを示す受信レポートを取得し、取得した前記受信レポートの数に基づいて前記コンテンツの放送による配信の継続の有無を判断する受信レポート取得手段を
さらに含む請求項2または3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記受信レポート取得手段は、前記コンテンツの放送による配信を継続しないと判断した場合、前記放送手段を制御して、前記コンテンツの放送による配信が停止されることを示す放送配信停止予告を放送によって配信させる
請求項4に記載の送信装置。
【請求項6】
コンテンツを供給する送信装置の送信方法において、
前記放送装置による、
前記コンテンツをネットワークを介して受信装置に送信する送信ステップと、
前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを受信するマニフェストファイル受信ステップと、
受信された前記マニフェストファイルを解析する解析ステップと、
前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツを放送によって配信する放送ステップと、
受信された前記マニフェストファイルを配信する配信ステップと
を含む送信方法。
【請求項7】
コンテンツを供給する送信装置の制御用のプログラムであって、
前記コンテンツをネットワークを介して受信装置に送信する送信ステップと、
前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを受信するマニフェストファイル受信ステップと、
受信された前記マニフェストファイルを解析する解析ステップと、
前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツを放送によって配信する放送ステップと、
受信された前記マニフェストファイルを配信する配信ステップと
を含む処理を送信装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
コンテンツを受信する受信装置において、
ネットワークを介して送信された前記コンテンツを受信する受信手段と、
受信された前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを生成して前記送信装置に通知する通知手段と、
受信された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継する中継手段と
を含む受信装置。
【請求項9】
前記送信装置から配信された、他の受信装置が生成した前記マニフェストファイルを取得するマニフェストファイル取得手段を
さらに含み、
前記受信手段は、取得された前記マニフェストファイルに基づいて他の受信装置にアクセスし、前記他の受信装置から中継された前記コンテンツを受信する
請求項8に記載の受信装置。
【請求項10】
受信された前記コンテンツの符号化方式を変換する変換手段を
さらに含み、
前記中継手段は、受信されて符号化方式が変換された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継する
請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記マニフェストファイルには、前記コンテンツの品質を示す情報として、前記コンテンツを受信した時の遅延量、パケットロス数、またはジッタ量のうちの少なくとも1つを含む
請求項9または10に記載の送信装置。
【請求項12】
コンテンツを受信する受信装置の受信方法において、
前記受信方法による、
ネットワークを介して送信された前記コンテンツを受信する受信ステップと、
受信された前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを生成して前記送信装置に通知する通知ステップと、
受信された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継する中継ステップと
を含む受信方法。
【請求項13】
コンテンツを受信する受信装置の制御用のプログラムであって、
ネットワークを介して送信された前記コンテンツを受信する受信ステップと、
受信された前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを生成して前記送信装置に通知する通知ステップと、
受信された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継する中継ステップと
を含む処理を受信装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
コンテンツを送信する送信装置と、送信された前記コンテンツを受信する受信装置から成るコンテンツ配信システムにおいて、
前記送信装置は、
前記コンテンツをネットワークを介して前記受信装置に送信する送信手段と、
前記コンテンツを受信した前記受信装置から通知される、前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを受信するマニフェストファイル受信手段と、
受信された前記マニフェストファイルを配信する配信手段と、
受信された前記マニフェストファイルを解析する解析手段と、
前記マニフェストファイルの解析結果に基づいて前記コンテンツを放送によって配信する放送手段と
を含み、
前記受信装置は、
前記ネットワークを介して送信された前記コンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、
受信された前記コンテンツの品質を示すマニフェストファイルを生成して前記送信装置に通知する通知手段と、
受信された前記コンテンツを前記ネットワークを介して他の受信装置に中継する中継手段と
を含む
コンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−147222(P2012−147222A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3597(P2011−3597)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】