説明

送信装置

【課題】ミリ波帯を含む高周波の送信信号を送出する送信装置において、簡単な回路構成によりローカルリーク成分を低減可能にする。
【解決手段】周波数変換部として直交変調器を構成する90°ハイブリッド回路4及び周波数変換器1、2と、ローカル信号生成部3と、周波数変換部の出力信号を増幅する増幅器5と、増幅器5の入力部に近接して配置され、ローカル信号の周波数帯域の信号を検出するパッドアンテナ7と、パッドアンテナ7によって検出されるローカルリーク成分と増幅器5から出力されるRF出力信号の信号レベルとに基づき、ローカルリーク成分をキャンセルするためのキャンセル信号を生成するキャンセル信号生成部8と、キャンセル信号と周波数変換部の出力信号とを加算する加算器10と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波のローカル信号を用いてベースバンド信号を周波数変換して送出する送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置の送信装置において、ベースバンド信号から無線周波数(RF)の信号に中間周波数(IF)を介さずに周波数変換する直接変換(Direct Conversion)方式の装置が広く普及している。ベースバンド信号を所望の周波数帯に周波数変換するためのローカル信号は、送信信号としては不要信号成分であり、送信品質を低下させる。このため、従来より、送信信号に含まれる局部発振信号成分(以下、ローカルリーク成分と呼ぶ)を抑制するための構成がいくつか提案されている。
【0003】
図5は半導体基板(ICチップ)上に構成された従来の送信装置における周波数変換部の構成例を示す図である(特許文献1参照)。変調用回路101は、ベースバンド信号の入力信号Iとローカル信号のキャリアLoとを入力し、キャリアLoに基づいて入力信号Iを変調した信号を出力する。信号生成回路103は、変調用回路101の出力側102におけるキャリアリーク(ローカルリーク成分)の位相及び振幅に基づいて、キャリアLoからキャリアリークの位相と逆相であり、かつ、キャリアリークの振幅と等しい振幅の抑圧信号を生成する。信号生成回路103の抑圧信号を出力側102に印加する。これにより、RF信号の出力信号RFに含まれるローカルリーク成分を抑制する。
【0004】
図6は半導体基板(ICチップ)上に構成された従来の送信装置における周波数変換部の他の構成例を示す図である(特許文献2参照)。信号生成部111は、同じ振幅を有する正信号と負信号を含むテスト信号を生成する。振幅検出部113は、周波数変換部112にて処理されたテスト信号の正信号と負信号の振幅を検出する。レベル圧縮部114は、振幅検出部113にて検出された正信号の振幅及び負信号の振幅を、入力レベルによって変化する利得によってレベル変換する。
比較部115は、レベル圧縮部114にてレベル変換された正信号の振幅と負信号の振幅とを比較する。オフセット調整部116は、比較部115による比較結果に応じた直流オフセット補正信号を信号生成部111に与える。信号生成部111は、直流オフセット補正信号に基づいてテスト信号の直流レベルを補正し、補正したテスト信号を周波数変換部112に送る。直流オフセット補正することによって、出力信号に発生するローカルリーク成分を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−312623号公報
【特許文献2】国際公開第2007/122844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
周波数30〜300GHzのミリ波帯を使用するミリ波無線通信システムでは、送信装置及び受信装置において直接変換方式の周波数変換部を用いる構成が検討されている。ミリ波無線通信システムの送信装置は、送信信号のベースバンド信号を周波数変換部にて所定の搬送波周波数のミリ波周波数帯にアップコンバージョンし、無線信号を所定の送信出力まで増幅した後、アンテナから送出する。受信装置は、通信相手の送信装置から送出されたミリ波周波数帯の無線信号をアンテナにて受信し、受信信号を増幅した後、周波数変換部にてダウンコンバージョンし、ベースバンド信号に復元する。
【0007】
ミリ波帯のような高周波においてローカルリーク成分の低減効果を得ようとする場合、回路内の複数の空間パスによるローカル信号の回り込みのリークに対応する必要がある。上記特許文献1の従来例のように、抑圧信号を生成して合成する構成において、複数の空間パスに対応するには、信号生成回路が複雑となり、回路規模が増大する。
また、全ての空間パスに対応することは困難であり、ローカルリーク成分の抑圧効果が低減する課題がある。さらに、抑圧信号を生成するために元のローカル信号(キャリアLo)を分岐して使用するので、ローカル信号の損失が生じる。このため、ローカル信号の振幅レベルを補償するための回路が必要となり、消費電力増をもたらす。
【0008】
また、複数の空間パスによるローカル信号のリークは、周波数変換部の回路動作に起因しないため、上記特許文献2の従来例のように、閉ループによって直流オフセット補正する構成では、ローカルリーク成分の低減効果は小さい。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ミリ波帯を含む高周波の送信信号を送出する送信装置において、簡単な回路構成によりローカルリーク成分を低減可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の送信装置は、入力信号を無線周波数の信号に周波数変換する周波数変換部と、前記周波数変換部に供給するローカル信号を生成するローカル信号生成部と、前記周波数変換部の出力信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の入力部に近接して配置され、前記ローカル信号の周波数帯域の信号を検出するパッドアンテナと、前記パッドアンテナによって検出されるローカルリーク成分と、前記増幅器から出力されるRF出力信号の信号レベルとに基づき、前記ローカルリーク成分をキャンセルするためのキャンセル信号を生成するキャンセル信号生成部と、前記キャンセル信号と前記周波数変換部の出力信号とを加算する加算器と、を備える。
上記構成により、増幅器の入力部に近接して配置したパッドアンテナによってローカルリーク成分を検出し、ローカルリーク成分をキャンセルするためのキャンセル信号を生成できる。このため、簡単な回路構成によりローカルリーク成分を低減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ミリ波帯を含む高周波の送信信号を送出する送信装置において、簡単な回路構成によりローカルリーク成分を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る送信装置の要部構成を示すブロック図
【図2】本実施形態におけるキャンセル信号生成部の具体構成の一例を示す回路図
【図3】本発明の第2の実施形態に係る送信装置の要部構成を示すブロック図
【図4】(A)、(B)は本実施形態の構成の適用前後におけるRF出力信号におけるローカルリーク成分のスペクトラムのイメージを示す図
【図5】従来の送信装置における周波数変換部の構成例を示す図
【図6】従来の送信装置における周波数変換部の他の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施形態では、高周波の送信信号を送出する送信装置の例として、ミリ波帯を使用する送信装置の構成例を示す。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る送信装置の要部構成を示すブロック図である。送信装置は、二つの周波数変換器1及び2、ローカル信号生成部3、90°ハイブリッド回路4、増幅器5、RF出力レベル検出部6、パッドアンテナ7、キャンセル信号生成部8、キャンセル制御部9、加算器10を含む構成である。本実施形態の送信装置は、直接変換方式の周波数変換部によって構成される。
【0015】
送信装置は、直交信号のベースバンド信号I、Qを入力し、それぞれミリ波帯に周波数変換して合成した後、信号増幅してRF出力信号として送出する。本実施形態の送信装置は、ICチップを含む半導体基板上に形成された半導体回路によって構成される。
【0016】
ローカル信号生成部3は、局部発振器を有して構成され、ミリ波帯のローカル信号を生成し、90°ハイブリッド回路4に出力する。90°ハイブリッド回路4は、移相器として機能し、ローカル信号に対して90°の位相差を与える。90°ハイブリッド回路4の二つの出力端はそれぞれ周波数変換器1、2に接続され、互いに90°位相がずれたローカル信号が周波数変換器1、2に入力される。
【0017】
一方の周波数変換器1は、I信号成分のベースバンド信号Iと位相角0°のローカル信号とを入力し、ベースバンド信号Iをミリ波帯にアップコンバートする。他方の周波数変換器2は、Q信号成分のベースバンド信号Qと位相角90°のローカル信号とを入力し、ベースバンド信号Qをミリ波帯にアップコンバートする。上記90°ハイブリッド回路4、周波数変換器1、2により、周波数変換部としての直交変調器が構成される。
【0018】
二つの周波数変換器1、2の出力端は互いに接続され、加算器10を介して増幅器5の入力端に接続される。つまり、周波数変換器1、2から出力されるミリ波帯の直交信号成分が合成され、増幅器5にて増幅された後、RF出力信号として出力される。
【0019】
RF出力レベル検出部6は、RF出力信号の信号レベル(RF出力レベル)を検出し、検出結果をキャンセル制御部9に出力する。キャンセル制御部9は、検出されたRF出力レベルに応じて、キャンセル信号生成部8において生成するキャンセル信号のレベル及び位相を調整するための調整信号を生成し、キャンセル信号生成部8に与える。
【0020】
パッドアンテナ7は、半導体基板上に設けた導電材料のパッドを用いて構成され、ローカル信号の周波数帯域の信号を検出する。パッドアンテナ7は、増幅器5の入力部の信号ラインに可能な限り近接して配置される。ローカル信号が回路内の複数の空間パスによって回り込み、リークが発生した場合、増幅器5の入力部におけるローカルリーク成分がパッドアンテナ7によって検出される。
【0021】
キャンセル信号生成部8は、パッドアンテナ7からの入力信号とキャンセル制御部9からの調整信号とに基づき、ローカルリーク成分をキャンセルするためのキャンセル信号を生成する。キャンセル信号生成部8は、ローカルリーク成分に対し逆位相かつ同振幅のキャンセル信号を生成する。加算器10は、キャンセル信号生成部8から出力されるキャンセル信号を周波数変換器1、2の出力信号に加算する。これにより、増幅器5による増幅前のミリ波帯の信号は、キャンセル信号によってローカルリーク成分が相殺される。
【0022】
図2は本実施形態におけるキャンセル信号生成部8の具体構成の一例を示す回路図である。キャンセル信号生成部8は、二つのFETQ1、Q2がカスコード接続された1段のカスコードFET21を含む、ソース接地増幅回路の構成である。
【0023】
カスコードFET21において、一方のFETQ1のソースが接地され、他方のFETQ2のドレインが負荷22(コイルL、抵抗R等)を介して電源電圧Vdに接続される。図2の構成では、入力信号の位相に対して出力信号の位相が反転する。FETQ1のゲートにパッドアンテナ7からの入力信号を入力すると、入力された入力信号が位相反転され、FETQ2のドレインからキャンセル信号として出力される。
【0024】
FETQ1のゲートには、キャンセル制御部9からの調整信号の一つとして、所定電圧の利得調整信号が入力される。入力された利得調整信号により、FETQ1のゲート電圧(第1ゲート電圧)を調整することによって、キャンセル信号のレベル調整が可能である。
【0025】
また、FETQ2のゲートには、キャンセル制御部9からの調整信号の一つとして、所定電圧の位相微調整/利得調整信号が入力される。入力された位相微調整/利得調整信号により、FETQ2のゲート電圧(第2ゲート電圧)を調整することによって、キャンセル信号の位相の微調整が可能である。位相の微調整に伴って利得が変化するため、利得調整信号及び位相微調整/利得調整信号を適宜調整する。
【0026】
キャンセル制御部9は、ベースバンド信号を無入力とした状態において、RF出力レベル検出部6にて検出されるRF出力信号の信号レベルができるだけ小さくなるように、利得調整信号及び位相微調整/利得調整信号を決定する。これにより、キャンセル信号生成部8にて生成されるキャンセル信号の位相と振幅レベルを設定し、空間パスによるローカルリーク成分を低減する。
【0027】
本実施形態の送信装置において、回路動作時には、ローカル信号生成部3及び周波数変換器1、2から、空間パスによるローカル信号のリークが生じ、ローカルリーク成分が増幅器5の入力部近傍に現れる。
【0028】
ローカルリーク成分は、増幅器5の入力部に可能な限り近接して設けたパッドアンテナ7により検出され、キャンセル信号生成部8に入力される。キャンセル信号生成部8では、検出されたローカルリーク成分の位相反転、レベル調整がなされ、逆位相のキャンセル信号として出力される。キャンセル信号が加算器10にて周波数変換器1、2の出力信号に加算され、増幅器5による増幅後のRF出力信号において、ローカルリーク成分が低減される。
【0029】
上述した第1の実施形態では、増幅器5の入力部に近接させてパッドアンテナ7を配置し、パッドアンテナ7によってローカルリーク成分を検出し、キャンセル信号生成部8によってローカルリーク成分をキャンセルするためのキャンセル信号を生成する。これにより、ローカル信号生成部3、及びローカル信号生成部3と周波数変換器1、2とを接続する配線から増幅器5の入力部に空間パスを通して発生するローカルリーク成分が検出可能となる。検出したローカルリーク成分の逆位相信号を振幅調整して増幅器5の入力において合成することにより、空間パスによるローカルリーク成分を低減できる。したがって、簡単な回路構成によりローカルリーク成分を低減できる。
【0030】
また、キャンセル制御部9によって、増幅器5から出力されるRF出力信号の信号レベルに応じて、キャンセル信号のレベル及び位相を調整することにより、ローカルリーク成分の低減効果を向上できる。
【0031】
(第2の実施形態)
図3は本発明の第2の実施形態に係る送信装置の要部構成を示すブロック図である。送信装置は、二つの周波数変換器1及び2、ローカル信号生成部3、90°ハイブリッド回路4、増幅器5、RF出力レベル検出部6、パッドアンテナ7及び11、キャンセル信号生成部8及び12、キャンセル制御部14、加算器10及び13を含む構成である。
【0032】
第2の実施形態の送信装置は、図1に示した第1の実施形態の構成に加えて、増幅器5の出力部にパッドアンテナ(第2のパッドアンテナ)11及びキャンセル信号生成部(第2のキャンセル信号生成部)12を設けた構成である。その他の構成は第1の実施形態と同様であり、ここでは異なる部分を中心に説明する。
【0033】
パッドアンテナ11は、半導体基板上に設けた導電材料のパッドを用いて構成され、ローカル信号の周波数帯域の信号を検出する。パッドアンテナ11は、増幅器5の出力部の信号ラインに可能な限り近接して配置される。ローカル信号が回路内の複数の空間パスによって回り込み、リークが発生した場合、増幅器5の出力部におけるローカルリーク成分がパッドアンテナ11によって検出される。
【0034】
キャンセル信号生成部12は、パッドアンテナ11からの入力信号とキャンセル制御部14からの調整信号とに基づき、ローカルリーク成分をキャンセルするためのキャンセル信号(第2のキャンセル信号)を生成する。加算器(第2の加算器)13は、キャンセル信号生成部12から出力されるキャンセル信号を増幅器5の出力信号に加算する。これにより、増幅器5による増幅後のミリ波帯の信号は、キャンセル信号によってローカルリーク成分が相殺される。
【0035】
キャンセル制御部14は、RF出力レベル検出部6にて検出されたRF出力レベルに応じて、キャンセル信号生成部8、12において生成するキャンセル信号のレベル及び位相を調整するための調整信号を生成し、キャンセル信号生成部8、12に与える。
この場合、キャンセル制御部14は、ベースバンド信号を無入力とし、増幅器5の動作をオフとした状態において、RF出力レベル検出部6にて検出されるRF出力信号の信号レベルができるだけ小さくなるように、キャンセル信号生成部8、12に与える利得調整信号及び位相微調整/利得調整信号を決定する。
これにより、キャンセル信号生成部8、12にてそれぞれ生成されるキャンセル信号の位相と振幅レベルを設定し、空間パスによるローカルリーク成分を低減する。パッドアンテナ7にて検出された増幅器5の入力部におけるローカルリーク成分と、パッドアンテナ11にて検出された増幅器5の出力部におけるローカルリーク成分をそれぞれ低減可能である。
【0036】
本実施形態では、増幅器5の入力部近傍に現れるローカルリーク成分は、増幅器5の入力部に可能な限り近接して設けたパッドアンテナ7により検出され、キャンセル信号生成部8に入力される。また、増幅器5の出力部近傍に現れるローカルリーク成分は、増幅器5の出力部に可能な限り近接して設けたパッドアンテナ11により検出され、キャンセル信号生成部12に入力される。
キャンセル信号生成部8より出力される第1のキャンセル信号が加算器10にて周波数変換器1、2の出力信号に加算され、キャンセル信号生成部12より出力される第2のキャンセル信号が加算器13にて増幅器5の出力信号に加算される。これにより、増幅器5の入力部と出力部にそれぞれ現れるローカルリーク成分が低減される。
【0037】
上述した第2の実施形態では、増幅器5の入力部と出力部において、それぞれ近接させてパッドアンテナ7、11を配置し、パッドアンテナ7、11によってローカルリーク成分を検出する。そして、キャンセル信号生成部8、12によってそれぞれローカルリーク成分をキャンセルするためのキャンセル信号を生成する。これにより、ローカル信号生成部3、及びローカル信号生成部3と周波数変換器1、2とを接続する配線から増幅器5の出力部に空間パスを通して発生するローカルリーク成分も検出可能となる。増幅器5の入力部と出力部の双方においてローカルリーク成分をキャンセルすることによって、空間パスによるローカルリーク成分の低減効果をさらに向上できる。
【0038】
図4は、本実施形態の構成の適用前後におけるRF出力信号におけるローカルリーク成分のスペクトラムのイメージを示した図である。図4において、(A)は適用前、(B)は適用後の特性の一例をそれぞれ示している。
【0039】
図4(A)に示すように、ローカル信号の周波数(ローカス周波数)fにおいて、ローカルリーク成分SL1が発生している一例である。本実施形態の構成を適用することによって、図4(B)に示すように、ローカル周波数fにおけるローカルリーク成分SL2の出力レベルが低減される。
【0040】
直接変換方式の周波数変換部を持つ構成では、ローカル周波数fが変調信号Sの周波数帯域内にあるため、装置の性能を確保するために、ローカルリーク成分をできるだけ低減する必要がある。特に、高周波のミリ波帯を使用する送信装置では、回路内の空間パスによって発生するローカルリーク成分が問題となる。
本実施形態によれば、上述したように、パッドアンテナ及びキャンセル信号生成部を設ける簡単な構成によって、空間パスにより発生するローカルリーク成分を低減できる。したがって、送信装置における送信信号の品質を向上でき、通信システムの高品質化、安定性の向上を図れる。
【0041】
なお、本発明の一態様として、上述した本実施形態の送信装置を、半導体基板上に形成した半導体回路装置についても、本発明に含まれる。
【0042】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、ミリ波帯を含む高周波の送信信号を送出する送信装置において、簡単な回路構成によりローカルリーク成分を低減可能となる効果を有し、例えばミリ波帯の高周波のローカル信号を用いる直接変換方式の周波数変換部を含むミリ波無線通信システムの送信装置等として有用である。
【符号の説明】
【0044】
1、2 周波数変換器
3 ローカル信号生成部
4 90°ハイブリッド回路
5 増幅器
6 RF出力レベル検出部
7、11 パッドアンテナ
8、12 キャンセル信号生成部
9、14 キャンセル制御部
10、13 加算器
21 カスコードFET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を無線周波数の信号に周波数変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部に供給するローカル信号を生成するローカル信号生成部と、
前記周波数変換部の出力信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器の入力部に近接して配置され、前記ローカル信号の周波数帯域の信号を検出するパッドアンテナと、
前記パッドアンテナによって検出されるローカルリーク成分と、前記増幅器から出力されるRF出力信号の信号レベルとに基づき、前記ローカルリーク成分をキャンセルするためのキャンセル信号を生成するキャンセル信号生成部と、
前記キャンセル信号と前記周波数変換部の出力信号とを加算する加算器と、
を備える送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置であって、
前記RF出力信号の信号レベルに応じて、前記キャンセル信号生成部において生成するキャンセル信号のレベル及び位相を調整するための調整信号を生成するキャンセル制御部を、さらに備える送信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送信装置であって、
前記キャンセル信号生成部は、二つのFETがカスコード接続された1段のカスコードFETを含むソース接地増幅回路を有する構成であり、前記ローカルリーク成分に対し逆位相かつ同振幅のキャンセル信号を生成する、送信装置。
【請求項4】
入力信号を無線周波数の信号に周波数変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部に供給するローカル信号を生成するローカル信号生成部と、
前記周波数変換部の出力信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器の入力部に近接して配置され、前記ローカル信号の周波数帯域の信号を検出する第1のパッドアンテナと、
前記第1のパッドアンテナによって検出されるローカルリーク成分と、前記増幅器から出力されるRF出力信号の信号レベルとに基づき、前記ローカルリーク成分をキャンセルするための第1のキャンセル信号を生成する第1のキャンセル信号生成部と、
前記第1のキャンセル信号と前記周波数変換部の出力信号とを加算する第1の加算器と、
前記増幅器の出力部に近接して配置され、前記ローカル信号の周波数帯域の信号を検出する第2のパッドアンテナと、
前記第2のパッドアンテナによって検出されるローカルリーク成分と、前記増幅器から出力されるRF出力信号の信号レベルとに基づき、前記ローカルリーク成分をキャンセルするための第2のキャンセル信号を生成する第2のキャンセル信号生成部と、
前記第2のキャンセル信号と前記増幅器の出力信号とを加算する第2の加算器と、
をさらに備える送信装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の送信装置を、半導体基板上に形成した半導体回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−209737(P2012−209737A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73447(P2011−73447)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、超高速近距離無線伝送技術等の研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】