説明

送液装置及び送液方法

【課題】使用者が容易に操作等することができる送液装置及び送液方法を提供すること。
【解決手段】溶液を収容する送液部11aと、送液部を動作させる本体部14aと、を有し、本体部の動作が使用者の音声情報に基づいて制御される構成となっている送液装置10a。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、薬液等を患者等に投与するため送液装置及び送液方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から患者等に投与する薬液量等を微調整等する医療機器として、シリンジポンプ装置等の送液装置が知られている(例えば、特許文献1)。
シリンジポンプには、注射器形状のシリンジが着脱可能な構成となっている。このため、使用者である医療従事者等は、このシリンジに薬液を入れて(または予め薬液が充填されたシリンジ(プレフィルドシリンジ)を)シリンジポンプに配置し、さらに、流量等を設定して、シリンジポンプを動作させれば、シリンジポンプが、シリンジの押し子を押し、所望の流量の薬液を患者等に投与することができる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−136258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなシリンジポンプ装置は、使用者が流量を手動で設定し、開始ボタン等も手動で操作しなければならず、多忙な使用者である医療従事者等に、負担を強いることになるという問題があった。特に、投与量を頻繁に変更する必要がある薬液をシリンジポンプ装置で患者に投与等する場合は、その流量変更の操作等が、著しく頻繁となり、その他の看護等で多忙な医療従事者等にさらなる負担を強いるという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、使用者が容易に操作等することができる送液装置及び送液方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、溶液を収容する送液部と、前記送液部を動作させる本体部と、を有する送液装置であって、前記本体部の動作が使用者の音声情報に基づいて制御される構成となっていることを特徴とする送液装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、従来のように医療従事者等の使用者が、送液部の動作の変更等のため、その都度、本体部の操作片等を操作する必要がないので、使用者は操作等を容易に行うことができる。
【0008】
好ましくは、前記本体部は、使用者の身体的特徴部分に関する画像情報である身体特徴画像情報と、この身体特徴画像情報に対応する使用者の音声情報を有し、前記身体特徴画像情報に基づき、使用者の前記音声情報を特定し、特定された前記音声情報の指示に基づいて前記本体部が動作する構成となっていることを特徴とする送液装置である。
【0009】
前記構成によれば、特定の使用者の音声情報の指示に基づいてのみ、本体部を動作させることができるので、本体部が誤った動作等を行うことを未然に防止することができる。
【0010】
好ましくは、前記本体部は、当該本体部固有の固有識別情報を有し、使用者の前記音声情報で入力された識別情報が当該固有識別情報と一致したときに、前記音声情報の指示に基づいて動作する構成となっていることを特徴とする送液装置である。
【0011】
前記構成によれば、使用者は、他の本体部とは異なる特定の本体部を特定して、当該本体部のみに特定の動作を音声情報によって指示することができる。
このため、例えば、複数の送液装置の各々に異なる薬液等を収容させ、これらの複数の薬液等を選択して、同時又は順番に患者等に投与する場合、各本体部にそれぞれ異なる指示等を適切に与えることができる。
【0012】
好ましくは、変更用音声情報の入力により、前記特定された音声情報が変更される構成となっていることを特徴とする送液装置である。
【0013】
前記構成によれば、本体部に音声情報により指示を与える使用者を、音声情報により容易に変更することができる。
【0014】
好ましくは、前記本体部は、前記使用者の音声情報に基づき動作を実行したとき、当該動作を報知する報知情報が出力される構成となっていることを特徴とする送液装置である。
【0015】
前記構成によれば、使用者が音声情報に与えた指示を確認することができる。
【0016】
上記目的は、本発明にあっては、溶液を収容する送液部と、前記送液部を動作させる本体部と、を有する送液方法であって、前記本体部の動作が使用者の音声情報に基づいて制御される構成となっていることを特徴とする送液方法により達成される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、使用者が容易に操作することができる送液装置及び送液方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の送液装置の実施の形態にかかる例えば、シリンジポンプ装置を示す概略図である。
【図2】図1のシリンジポンプ装置を示す概略図である。
【図3】図1等のシリンジポンプ装置の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
【図4】図1のシリンジポンプ装置の主な構成を示す概略ブロック図である。
【図5】図4の第1のデータ記憶部の内容を示す概略ブロック図である。
【図6】図4の第2のデータ記憶部の内容を示す概略ブロック図である。
【図7】本実施の形態にかかるシリンジポンプ装置の動作等を示す概略フローチャートである。
【図8】本実施の形態にかかるシリンジポンプ装置の他の動作等を示す概略フローチャートである。
【図9】本実施の形態にかかるシリンジポンプ装置の他の動作等を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0020】
図1は、本発明の送液装置の実施の形態にかかる例えば、シリンジポンプ装置10a乃至10fを示す概略図である。
図1に示すシリンジポンプ装置10a等は、例えば、病院に入院している患者等に薬液等を投与するために用いられる。特に、シリンジポンプ装置10a等は、薬液の投与量を微妙に調整する必要がある場合に用いられる。
本実施の形態では、図1に示すように、シリンジポンプ装置10a等は、例えば、6個のシリンジポンプ装置10a等をシリンジポンプ用ラック1に搭載して、患者のベッドサイドに配置される。
この際、シリンジポンプ装置10a等には、それぞれ異なる薬液が収容され、それぞれ投与量を調整することが予定されている。
【0021】
図2は、図1のシリンジポンプ装置10a等を示す概略図である。シリンジポンプ装置10b乃至シリンジポンプ装置10fは、シリンジポンプ装置10aと同様の構成であるため,以後、シリンジポンプ装置10aを例に説明する。
図2に示すように、シリンジポンプ装置10aは、薬液等を収容する送液部である例えば、シリンジ11aが着脱可能な構成となっている。シリンジ11aは、薬液を収容するシリンジ本体12aと、シリンジ本体12a内の薬液を押し出す押し子13aを有している。
また、シリンジポンプ装置10aは、本体部である例えば、シリンジポンプ14aを有し、このシリンジポンプ14aが動作し、押し子13aを押すことで、シリンジ本体12a内の薬液を患者等に投与する構成となっている。
【0022】
また、図2に示すように、シリンジポンプ14aには、表示部である例えば、ディスプレイ15aを備えると共に、後述する撮像部である例えば、カメラ16a、音声入力部である例えば、マイク17a、音声出力部である例えば、スピーカ18aを有している。
また、シリンジポンプ14a等は、コンディションライト20a等も有している。
【0023】
図3は、図1等のシリンジポンプ装置10aの主なハードウエア構成等を示す概略図である。図3に示すように、シリンジポンプ装置10aは、コンピュータ等で情報を制御等する構成となっている。
このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)3a、RAM(Random Access Memory)4a、ROM(Read Only Memory)5a等を有し、これらは、例えばバス2aを介して配置されている。
このパス2aは、すべてのデバイスを接続する機能を有し、アドレスやデータパスを有する内部パスである。CPU3は所定のプログラムの処理を行う他、パス2aに接続されたROM5a等を制御している。ROM5aは、各種プログラムや各種情報等を格納している。RAM4aは、プログラム処理中のメモリの内容を対比する他、プログラムを実行するためのエリアとしての機能を有する。
また、このパス2aには、シリンジポンプ14aの動作を行うシリンジポンプ動作装置21aや各種データを入力する入力部22aも接続されている。
【0024】
図4は、図1のシリンジポンプ装置10aの主な構成を示す概略ブロック図である。図4に示すようにシリンジポンプ装置10aは、シリンジポンプ制御部23aを有し、このシリンジポンプ制御部23aにより、上述のカメラ16a、入力部22a、マイク17a、ディスプレイ15a、コンディションライト20a及びスピーカ18a等が制御されている。
また、図4に示すように、シリンジポンプ装置10aは、第1のデータ記憶部30a及び第2のデータ記憶部50aを有し、これらもシリンジポンプ制御部23aに接続されている。
【0025】
図5は,図4の第1のデータ記憶部30aの内容を示す概略ブロック図であり、図6は、図4の第2のデータ記憶部50aの内容を示す概略ブロック図である。
本実施の形態では、第1のデータ記憶部30aのプログラムを配置し、第2のデータ記憶部50aに記憶部等を配置しているが、これは、説明の便宜のために分けて記載したものであり、実際にかかる配置とされている必要はない。
また、図5及び図6の各プログラム及び記憶部等の内容については後述する。
【0026】
図7乃至図9は、本実施の形態にかかるシリンジポンプ装置10a等の動作を示す概略フローチャートである。
以下、図7乃至図9のフローチャートに沿ってシリンジポンプ装置10a等の動作を説明すると共に、図5及び図6等の構成も併せて説明する。
【0027】
図7は、医療従事者等である使用者が、シリンジポンプ装置10aを動作させるための準備工程である「事前登録工程」を示す概略フローチャートである。
本実施の形態にかかるシリンジポンプ装置10aは、使用者の顔等の身体的特徴の画像から当該使用者を特定し、その音声指示等を受けて動作等するため、かかる使用者の顔や音声等の情報を事前に登録することとなる。
具体的には、先ず、図7のST1で、シリンジポンプ装置10a(他のシリンジポンプ装置10b等も同様)を使用する可能性のある使用者の身体的特徴部分である例えば、顔の身体的特徴画像情報を図4のカメラ16aで撮像し、当該使用者のID番号等の識別情報と関連付けて、「身体特徴画像付使用者識別情報」として、図6の使用者身体特徴画像情報等記憶部51aに記憶される。これらの動作は、図5の身体特徴画像付使用者識別情報生成部(プログラム)31aで実行される。
【0028】
次いで、ST2へ進む。STでは、予め又は使用者によって身体特徴画像と共に入力部22aによって選択された「点灯色情報」を上述の「身体特徴画像付使用者識別情報」及び当該使用者の固有の点灯色情報と関連付けて、識別情報対応点灯色情報として、図6の点灯色情報記憶部52aに記憶される。
この点灯色は、図4のコンディションライト20aの色として選択され、後述するように、当該使用者固有の点灯色として機能する。
なお、この動作は、図5の識別情報対応点灯色情報生成部(プログラム)32aによって実行される。
【0029】
次いで、図7のST3へ進む。ST3では、図4のマイク17aで、使用者の音声を取り込むことになる。具体的には、例えば、使用者にマイク17aに向かって、シリンジポンプ装置10aへの使用者の指示音声である「早送り」「停止」等の音声を発声してもらい、かかる音声を「音声指示情報」として登録する。
【0030】
すなわち、かかる「音声指示情報」は、図6の使用者身体特徴画像情報等記憶部51aの当該使用者の「身体特徴画像付使用者識別情報」と関連付けられて、図6の識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53aに「識別情報関連入力音声指示情報」として記憶される。これらの動作は、図5の識別情報関連入力音声情報生成部(プログラム)33aが実行する。
【0031】
ここで、「音声指示情報」について説明する。「音声指示情報」の例としては、以下のものがある。
(A)当該シリンジポンプ装置10aを特定する本体部固有の固有識別情報である例えば、「シリンジポンプ番号1」。
(B)シリンジポンプ装置10aのシリンジ本体12a内に収容された薬液をルートの先端まで満たす(プライミング)「早送り」。
(C)(B)の「早送り」を停止する「停止」。
(D)シリンジポンプ装置10aの流量(mL/h)をセット又は変更する「流量セット(数字)mL」。
(E)シリンジポンプ装置10aの薬液の投与であるフロー動作が開始される「開始」。
(F)(E)のフロー動作が停止される「停止」(文言としては、上記(C)と同様。)
(G)後述する特定のステップまで戻ることを指示する「スタンバイ」
(H)後述する特定のステップまで戻ることを指示する「認証」。「認証」に関しては、使用者の音声とは関連付けず、予め参照用の「認証」というデータが記憶されている。
【0032】
なお、本実施の形態では、予め音声指示情報を具体的に使用者が入力したが、使用者の声紋等を登録し、具体的な指示文言は、その都度シリンジポンプ装置が判断する構成としても構わない。
【0033】
以上で、図7の事前登録が終わる。この状態で、シリンジポンプ装置10a等は、動作可能な状態となるので、使用者は、必要なシリンジポンプ装置10a等を、例えば、6個、図1に示すように、シリンジポンプ用ラック1に搭載して、患者のベッドサイドに移動する。
その後、使用者は、必要な薬液、例えば、昇圧剤等を図2のシリンジ本体12a内に収容して、シリンジポンプ14aにセットする。
【0034】
昇圧剤は、心不全の患者に血圧を安定(昇圧)させるためのもので、その投与量によって薬理作用が異なるため、細やかな投与量の調整が必要となる。
以下、図8及び図9のフローチャートを用いて、シリンジポンプ装置10a等の動作を説明する。
先ず、使用者が患者のベッドサイドにシリンジポンプ装置10a等を配置し、シリンジポンプ装置10a等のスイッチをON状態にすると、シリンジポンプ装置10a等のカメラ16a等が撮像状態となる。
この状態で、使用者が図2のカメラ16a等の近傍にその顔等の身体的特徴を配置するすると、カメラ16a等は、使用者の顔等の身体的特徴の画像を取得し、図6の使用者身体特徴画像情報記憶部51aの既登録の「使用者身体特徴画像情報」と比較し、同一データが存在するか否かを判断する(図8のST11)。
この動作は、図5の使用者身体特徴情報識別部(プログラム)34a等が判断する。
【0035】
ST11で、同一のデータを有するシリンジポンプ装置10a等は、ST12へ進む。ST12では、シリンジポンプ装置10a等がスタンバイ状態、すなわち、使用者等からの音声指示情報を待ち受ける状態となる。
したがって、ST11で同一のデータが存在しなかったシリンジポンプ装置10a等は、その後、使用者の如何なる指示があっても動作しないので、医療従事者等以外の者の指示により誤ってシリンジポンプ装置10a等が動作等するという事態の発生を未然に防ぐことができる。
【0036】
また、ST12で、シリンジポンプ装置10a等がスタンバイ状態となると、対応する使用者の使用者識別情報(ID番号や氏名等)を使用者身体特徴画像情報等記憶部51aから取得して、図2のシリンジポンプ装置10a等のディスプレイ15a等に表示する。
また、シリンジポンプ装置10a等は、図6の点灯色情報記憶部52a等から当該使用者の点灯色情報(識別情報対応点灯色情報)を取得し、その特定の点灯色で、図2のコンディションライト20a等を点滅させる。この特定の点灯色とは、使用者Aであれば青色、使用者Bであれば緑色、使用者Cであれば黄色と当該使用者ごとに変更する。なお、この識別情報対応点灯色情報による特定の点灯色は、上述の色に限定されない。
これらの動作は,図5のスタンバイ移行部(プログラム)35aが実行する。
したがって、使用者は、シリンジポンプ装置10a等のディスプレイ15a等の表示並びにコンディションライト20a等の点滅及びその色で、当該シリンジポンプ装置10a等がスタンバイ状態であるか否かを判断することができる。
【0037】
次いで、ST13へ進む。ST13では、ST11で同一と判断された既登録の使用者身体特徴画像情報に対応する使用者の図6の「識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53a」内の音声指示情報のうち「シリンジポンプ番号1」等の音声が使用者によってマイク17aから入力されたか否かが判断される。
すなわち、本実施の形態では、図1に示すように、シリンジポンプ装置10a等は、複数あるため、シリンジポンプ装置10a等が使用者により指定されたか否かが判断される。
したがって、誤って異なるシリンジポンプ装置10a等が動作されること等を回避することができる。
このため、本実施の形態と異なり、シリンジポンプ装置が単数の場合は、ST13の工程を不要とすることができる。
ST13で、使用者からの音声指示情報が、マイク17aから入力され、入力された音声指示情報が例えば、「シリンジポンプ番号1」で音声も既登録の使用者の音声と一致した場合は、シリンジポンプ装置10aは、自己が指定されたと判断し、次の指示を待つ、「音声認識状態」へと移行する。このとき、シリンジポンプ装置10a等のコンディションライト20a等が点滅から点灯に移行する。このため、使用者は、このコンディションライト20aの状態の変化で、当該シリンジポンプ装置10a等が音声認識状態であるか否かを判断することができる。
この動作は、図5の指示受け状態判断部(プログラム)36aが実行する。
【0038】
一方、ST14で「認証」という音声指示情報がマイク17aから入力されたと判断された場合は、図6の「識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53a」内の参照用データである「認証」という音声と一致するか否かを判断し、一致した場合は、使用者が変更となったものと判断して、図8のST11へ戻り、使用者身体特徴画像情報との対比を行う。
このように、「認証」という音声指示情報に関しては、使用者の固有の音声とは無関係に判断することで、使用者の変更が円滑に行うことができる構成となっている。
この動作は、図5の認証情報判断部(プログラム)37aが実行する。
また、この「認証」は、変更用音声情報の一例となっている。
【0039】
次いで、ST15へ進む。ST15では、ST13の「音声認識状態」から所定時間が経過したか否かが判断され、所定時間が経過したと判断された場合は、「音声認識状態」からST12の「スタンバイ状態」へと移行する。
これにより、シリンジポンプ装置10a等の動作コストを低減させることができる。このとき、シリンジポンプ装置10a等のコンディションライト20a等が点灯から点滅に移行する。このため、使用者は、コンディションライト20a等の状態の変化で、当該シリンジポンプ装置10a等がスタンバイ状態へ移行したかを判断することができる。
このような動作は、図5の指示受け状態経過時間判断部(プログラム)38aで実行される。
【0040】
ST13で「音声認識状態」となった後は、図9に示すように「早送り」「流量セット(数字)mL」「開始」「スタンバイ」若しくは「認証」等の音声指示情報のいずれかが順不同で入力される可能性があるが、以下、説明の便宜上、「早送り」「流量セット(数字)mL」「開始」「スタンバイ」及び「認証」の順に説明する。
【0041】
先ず、マイク17aから「早送り」の音声指示情報が入力された場合はST16へ進む。ST16では、マイク17aから入力された音声指示情報が、ST11で特定した使用者の図5の「識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53a」内の音声指示情報「早送り」と一致するか否かが判断される。
この動作は、図5の音声指示情報判断部(プログラム)39aが判断する。
【0042】
そして、一致した場合は、ST17へ進み、シリンジポンプ装置10a等の「早送り(シリンジポンプ装置10aのシリンジ本体12a内に収容された薬液をルートの先端まで満たす)」が実行される。
この動作は、図5の早送り実行部(プログラム)40aによって、図4のシリンジポンプ動作装置21aによって実行される。
【0043】
一方、ST17の早送りの実行中に、「停止」の音声指示情報が入力された場合は、ST18へ進む。ST18では、マイク17aから入力された音声指示情報が、ST11で特定した使用者の図5の「識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53a」内の音声指示情報「停止」と一致するか否かが判断される。
具体的には、図5の音声指示情報判断部(プログラム)39aが判断する。
【0044】
ST18で、一致していると判断された場合は、ST19へ進み、シリンジポンプ動作装置21aの動作が停止される。この動作も早送り実行部(プログラム)40aによって実行される。
【0045】
ST17やST19の動作が終了すると、図8に示すように、「音声認識状態」に戻り、使用者の音声指示情報を待つ状態となる。
【0046】
一方、図9に示すように、マイク17aから「流量セット(数字、例えば、1)mL」の音声指示情報が入力された場合はST20へ進む。
ST20では、マイク17aから入力された音声指示情報が、ST11で特定した使用者の図5の「識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53a」内の音声指示情報「流量セット(数字、例えば、1)mL」と一致するか否かが判断される。
この動作は、図5の音声指示情報判断部(プログラム)39aが判断する。
【0047】
そして、一致した場合は、ST21へ進み、シリンジポンプ装置10a等のシリンジポンプ動作装置21aが動作し、薬液の流量が指定、例えば、1mLにセット又は変更される。
【0048】
また、ST22で、図4のスピーカ18a及び/又はディスプレイ15aから、流量のセット(変更)が報知される。
したがって、使用者は、所望のシリンジポンプ装置10a等の流量を音声で指示するだけでセット又は変更することができ、その結果をスピーカ18a及び/又はディスプレイ15aによって確認することができる。この結果情報が報知情報の一例となっている。
【0049】
次いで、マイク17aから「開始」の音声指示情報が入力された場合はST23へ進む。ST23では、マイク17aから入力された音声指示情報が、ST11で特定した使用者の図5の「識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53a」内の音声指示情報「開始」と一致するか否かが判断される。
この動作は、図5の音声指示情報判断部(プログラム)39aが判断する。
【0050】
そして、一致した場合は、ST24へ進み、シリンジポンプ装置10a等の「開始(シリンジポンプ装置10aの薬液の投与であるフロー動作の開始)」が実行される。
この動作は、図5の注入フロー実行報知部(プログラム)42aによって、図4のシリンジポンプ動作装置21aによって実行される。
【0051】
一方、ST24の注入フローの実行中に、「停止」の音声指示情報が入力された場合は、ST25へ進む。ST25では、マイク17aから入力された音声指示情報が、ST11で特定した使用者の図5の「識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53a」内の音声指示情報「停止」と一致するか否かが判断される。
具体的には、図5の音声指示情報判断部(プログラム)39aが判断する。
【0052】
ST25で、一致していると判断された場合は、ST26へ進み、シリンジポンプ動作装置21aの動作が停止される。この動作も注入フロー実行報知部(プログラム)42aによって実行される。
【0053】
また、ST25で「停止」の音声指示情報が入力されない場合は、ST27で、図4のスピーカ18a及び/又はディスプレイ15aから、注入フローの開始が報知される。
したがって、使用者は、所望のシリンジポンプ装置10a等の薬液の注入を音声で指示するだけで実行することができ、その結果をスピーカ18a及び/又はディスプレイ15aによって確認することができる。
【0054】
一方、ST27の注入フローの開始が報知された後、「停止」の音声指示情報が入力された場合は、ST28へ進む。ST28では、ST26と同様に、マイク17aから入力された音声指示情報が、ST11で特定した使用者の図5の「識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53a」内の音声指示情報「停止」と一致するか否かが判断される。
具体的には、図5の音声指示情報判断部(プログラム)39aが判断する。
【0055】
ST28で、一致していると判断された場合は、ST26へ進み、上述と同様にシリンジポンプ動作装置21aの動作が停止される。
【0056】
ST26やST28の動作が終了すると、図8に示すように、「音声認識状態」に戻り、使用者の音声指示情報を待つ状態となる。
【0057】
次いで、マイク17aから「スタンバイ」の音声指示情報が入力された場合はST29へ進む。ST29では、マイク17aから入力された音声指示情報が、ST11で特定した使用者の図5の「識別情報関連入力音声指示情報等記憶部53a」内の音声指示情報「開始」と一致するか否かが判断される。
この動作は、図5の音声指示情報判断部(プログラム)39aが判断する。
【0058】
そして、一致した場合は、ST12へ進み、シリンジポンプ装置10a等の「スタンバイ状態」移行する。具体的には、図5のスタンバイ実行部(プログラム)43aが実行する。
また、ST30のマイク17aから「認証」の音声指示情報が入力された場合は、上述のST14と同様である。ST12へ進んだとき、シリンジポンプ装置10a等のコンディションライト20a等が点灯から点滅に移行する。このため、使用者は、コンディションライト20a等の状態の変化で、当該シリンジポンプ装置10a等がスタンバイ状態へ移行したかを判断することができる。
【0059】
以上のように、本実施の形態では、使用者は、音声で指示することで、シリンジポンプ装置10a等の薬液を迅速且つ確実に変更等することができ、使用者がシリンジポンプ1装置0a等の操作片等を操作する必要がないので、操作負荷を大幅に低減させることができる。
特に、例えば、心不全の患者の血圧の安定(昇圧)を試みるための昇圧剤については、投与量によって薬理作用が異なり、細かな投与量の変更が必要となる。
この点、本実施の形態では、使用者が音声で指示するだけで、シリンジポンプ装置10a等の流量(mL/h)を変更することができるので、他の処置等で多忙な医療従事者等の使用者の作業負荷を大幅に低減することができることになる。
【0060】
また、本実施の形態では、シリンジポンプ装置10a等は、指示をすべき使用者及びその音声を認証する構成となっているので、誤って他の者の指示等によって、シリンジポンプ装置10a等が動作することなく、極めて安全確実な構成となっている。
さらに、本実施の形態では、使用者が複数のシリンジポンプ装置10a等のうちの特定のシリンジポンプ装置10a等だけを音声で指定して、当該シリンジポンプ装置10a等だけに特有の指示を与えることもできるので、複数種類の薬液を同時に投与する場合も、使用者の作業負荷が極めて軽減される。このため、使用者は他の処置等に集中することができる。
また、本実施の形態では、使用者を顔等の身体特徴画像や音声で確実に認識するので、安全性が高いシリンジポンプ装置10a等となっている。
【0061】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0062】
1・・・シリンジポンプ用ラック、2a・・・パス、3a・・・CPU、4a・・・RAM、5a・・・ROM、10a乃至10f・・・シリンジポンプ装置、11a・・・シリンジ、12・・・シリンジ本体12a、13・・・押し子、13a、14a・・・シリンジポンプ、15a・・・ディスプレイ、16a・・・カメラ、17a・・・マイク、18a・・・スピーカ、20a・・・コンディションライト、21・・・シリンジ動作装置、22a・・・入力部、23a・・・シリンジポンプ制御部、30a・・・第1のデータ記憶部、31a・・・身体特徴画像付使用者識別情報生成部(プログラム)、32a・・・識別情報対応点灯色情報生成部(プログラム)、33a・・・識別情報関連入力音声情報生成部(プログラム)、34a・・・使用者身体特徴情報識別部(プログラム)、35a・・・スタンバイ移行部(プログラム)、36a・・・指示受け状態判断部(プログラム)、37a・・・認証情報判断部(プログラム)、38a・・・指示受け状態経過時間判断部(プログラム)、39a・・・音声指示情報判断部(プログラム)、40a・・・早送り実行部(プログラム)、50a・・・第2のデータ記憶部、51a・・・使用者身体特徴画像情報等記憶部、52a・・・点灯色情報記憶部、53a・・・識別情報関連入力音声指示情報等記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を収容する送液部と、
前記送液部を動作させる本体部と、を有する送液装置であって、
前記本体部の動作が使用者の音声情報に基づいて制御される構成となっていることを特徴とする送液装置。
【請求項2】
前記本体部は、使用者の身体的特徴部分に関する画像情報である身体特徴画像情報と、この身体特徴画像情報に対応する使用者の音声情報を有し、
前記身体特徴画像情報に基づき、使用者の前記音声情報を特定し、特定された前記音声情報の指示に基づいて前記本体部が動作する構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の送液装置。
【請求項3】
前記本体部は、当該本体部固有の固有識別情報を有し、使用者の前記音声情報で入力された識別情報が当該固有識別情報と一致したときに、前記音声情報の指示に基づいて動作する構成となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の送液装置。
【請求項4】
変更用音声情報の入力により、前記特定された音声情報が変更される構成となっていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の送液装置。
【請求項5】
前記本体部は、前記使用者の音声情報に基づき動作を実行したとき、当該動作を報知する報知情報が出力される構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の送液装置。
【請求項6】
溶液を収容する送液部と、
前記送液部を動作させる本体部と、を有する送液方法であって、
前記本体部の動作が使用者の音声情報に基づいて制御される構成となっていることを特徴とする送液方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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