説明

送液装置

【課題】 安定した送液ができる小型の送液装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば,毛細管状の流路と、前記流路の一端に液体を受け入れる受入れ部と、前記流路の他端に配置され、液体を吸収する吸収体と、前記受入れ部と前記吸収体との間に配置され、受け入れられた液体が毛細管現象により流路の一端から他端へ送液されるときに、その送液の速度を調整する調整部と、を備える送液装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫分析法は、医療分野、生化学分野、アレルゲンなどの測定分野等において重要な分析・計測方法として知られている。しかしながら、この免疫分析法は、処理方法が煩雑であり、また、分析に一日以上の時間を要する。
このような背景から、処理が簡便であり、また、分析の時間が短い技術として、マイクロオーダーの流路を基板に形成し、この流路に抗体等を固定化するマイクロ分析チップを用いる方法が提案されている。このマイクロ分析チップには、エア供給又はエア吸引することにより発生する空気圧作用力を利用して、流路内に供給された液体を移動させる、いわゆるマイクロポンプを組み込んだマイクロ分析チップが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、流路と流路にある液体との間に生じる毛細管現象を利用して液送するマイクロ分析チップが知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、多孔質体の液体吸収力を液体の移送の駆動力として用いるマイクロ分析チップが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
これらの従来技術の一例として、多孔質体の液体吸収力を液体の移送の駆動力として用いるマイクロ分析チップを説明する。図22にこの従来技術を示す。図22は、多孔質体の液体吸収力を液体の移送の駆動力として用いるマイクロ分析チップの概念図であり、(1)から(3)の順序で、マイクロ分析チップに液体が注入された場合の変化を示す図である。図において液体が存在する部分を黒色で着色している。
図22に示されるように、このマイクロ分析チップは、毛細管状の流路1014と、流路1014に連絡し液体を流路1014に流入させる流入口1012と、流路1014に連絡し多孔質体からなる液体吸収部1003と、液体吸収部1003に形成された外気との連絡口とにより構成されている。このマイクロ分析チップは、液体が流入口1012から注入されると(図22の(1))、毛細管現象によって液体が流路1014を伝わり液体吸収部1003に達するように形成されている。液体が液体吸収部1003に達すると、この液体が液体吸収部1003に吸収されるので、液体が流路を継続的に流れて移送される(図22の(2))。このように、このマイクロ分析チップは、多孔質体からなる液体吸収部1003を液体移送の駆動力として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128906号公報
【特許文献2】特開2006−220606号公報
【特許文献3】特開2001−88096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この多孔質体の液体吸収力を液体の移送の駆動力として用いるマイクロ分析チップでは、液体吸収部1003に十分な液体吸収力を持たせ、多くの液体を移送しようとすると、液体が流路に残ることがある。つまり、液体吸収部1003が持つ液体吸収力が流路1014に直接働くため、流路1014に強い負圧がかかり、強い負圧により液体吸収部と流路の接合個所から空気が流入したりすることがある(図22の())。 その結果、液体が流路に残り、液体吸収部1003への液体の送液・排出が十分できないことになる。このため、安定した送液ができるマイクロ分析チップが望まれている。
また、上記のマイクロポンプを組み込んだマイクロ分析チップでは、多くの液体を送液できるものの、その構成が複雑であるため、チップが大きくなる傾向がある。また、上記の毛細管現象を利用して液送するマイクロ分析チップでは、移送される液体の量が、毛細管現象が生じる領域の広さに依存するため、多くの量の液体を送液する場合、チップの面積を大きくする必要がある。このため、マイクロ分析チップの小型化が望まれている。
【0006】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安定した送液ができる小型の送液装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、毛細管状の流路と、前記流路の一端に液体を受け入れる受入れ部と、前記流路の他端に配置され、液体を吸収する吸収体と、前記受入れ部と前記吸収体との間に配置され、受け入れられた液体が毛細管現象により流路の一端から他端へ送液されるときに、その送液の速度を調整する調整部と、を備える液体分析装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
この発明の送液装置は、毛細管状の流路と、前記流路の一端に液体を受け入れる受入れ部と、前記流路の他端に配置され、液体を吸収する吸収体と、前記受入れ部と前記吸収体との間に配置され、受け入れられた液体が毛細管現象により流路の一端から他端へ送液されるときに、その送液の速度を調整する調整部と、を備えるので、前記受入れ部と前記調整部との間の流路に吸収体による送液の圧力が直接加わることがない。このため、強い局所的な負圧が流路にかからない。したがって、均一な圧力を流路に加えることができ、安定した送液ができる送液装置を提供できる。また、簡易な構造であるため、小型の送液装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る送液装置の概念的な平面図及び断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態に係る送液装置の動作を説明するための平面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態に係る送液装置の動作を説明するための平面図及び断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態に係る送液装置における液調整部(液調整部流路)を拡大した平面図である。
【図5】この発明の第2の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。
【図7】この発明の第3の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図である。
【図8】この発明の第3の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。
【図9】この発明の第4の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図である。
【図10】この発明の第4の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。
【図11】この発明の第5の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図である。
【図12】この発明の第5の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。
【図13】この発明の第6の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図である。
【図14】この発明の第6の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。
【図15】この発明の第7の実施形態に係る送液装置の概念的な平面図である。
【図16】この発明の第7の実施形態に係る送液装置を構成する基板の平面図である。
【図17】この発明の第7の実施形態の変形例を構成する基板の平面図である。
【図18】この発明の第8の実施形態に係る液体分析装置の構成を説明するための概念図である。
【図19】この発明の第9の実施形態に係る液体分析装置の構成を説明するための概念図である。
【図20】実施例の結果を表す写真である。
【図21】比較例の結果を示す写真である。
【図22】従来の送液装置の動作を説明するための平面図である。
【図23】液体の接触角を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の送液装置は、毛細管状の流路と、前記流路の一端に液体を受け入れる受入れ部と、前記流路の他端に配置され、液体を吸収する吸収体と、前記受入れ部と前記吸収体との間に配置され、受け入れられた液体が毛細管現象により流路の一端から他端へ送液されるときに、その送液の速度を調整する調整部と、を備えることを特徴とする。
ここで、流路には、互いに対向して配置された基板と基板との間の空間により形成されたもののほか、基板に設けられた溝(凹部)の空間、基板内部に設けられた空洞部(管)の空間が含まれる。また、ガラス管の管もこれに含まれる。
また、この流路は、送液対象である液体を毛細管現象により送液してもよい。この毛細管現象による送液は、この発明において、流路の表面と送液対象の液体との接触角で定義される。図23に液体の接触角を説明するための図を示す。
【0011】
図23に示すように、一般に、液体が均一な流路の表面(例えば、同一の材料で構成される)に接し、その液体の垂直な断面形状(流路における液体が送液される方向の断面形状)が円形状である場合、液体に作用する圧力(毛細管現象による送液の圧力)Pは、気液界面の界面張力をσ、流路壁面の接触角をθ、流路の半径をrとするとき、次の式で示される。
P=2σcosθ/r・・・(式1)
このとき、cosθが正である場合には、液体は流路内の空間を進むことができるが、他方cosθが0又は負である場合には、液体は流路内の空間を進むことができない。従って、毛細管現象により送液するには、流路の表面においてcosθが正である必要になる。つまり、毛細管現象により送液の圧力はcosθが正と定義される。言い換えると、毛細管現象による送液は、流路面(流路の表面)が親水性であることにより実現される。ただし、流路面が親水性と疎水性とが並存していてもよい。例えば、流路面の一部又は全部が親水性であってもよいし、流路のある部分の表面が親水性の特性を示し、これに対向する部分が疎水性の特性であってもよい。両方の特性が並存する場合は、それぞれの界面張力の和で流路内に生じる毛細管現象が決定される。ここで、親水性とは、比抵抗が18mΩ・cmよりも大きい純水(25℃)を用いて、1気圧、25℃の条件で測定した接触角が90°未満である場合をいう。また、疎水性とは、上記純水の接触角が90°以上である場合をいう。ただし、接触角の送液方向に作用する成分である余弦(コサイン)は、90°付近で大きく変動するので、この発明の送液機能の観点から、この発明における親水性は、純水に対する接触角が85°以下であることが好ましく、接触角が75°以下であることがより好ましい。また接触角が60°以下であることがさらに好ましい。
【0012】
また、毛細管状の流路は、毛細管現象が生じる程度の大きさの流路を指し、例えば流路の幅又は高さが約0.1マイクロメートルから約10ミリメートルである流路がこれに含まれる。流路の幅又は高さは、10マイクロメートルから1ミリメートルであることが好ましい。
また、吸収体は、液体を吸収する構造物であって、例えば、繊維、多孔体、吸水性高分子、高分子ゲル等の材料で形成された構造物を含む。
【0013】
また、この発明の実施形態において、前記調整部は、受け入れられた液体が前記吸収体に達するまでの間は流路の送液力を増大させ、前記吸収体に達した後は流路の送液力を低下させるように構成してなる送液装置であってもよい。
この実施形態によれば、前記調整部が流路の送液力を増大させるため、受け入れられた液体が前記吸収体に達するまでの間、速やかな送液をすることができる。また、液体が前記吸収体に到達しても、前記調整部は流路の送液力を低下させるように構成してなるので、吸収体による送液の圧力を流路に直接加えない機能を果たす。このため、吸収体による送液の圧力が調整部により緩和され、強い局所的な負圧が流路にかからない。したがって、均一な圧力を流路に加えることができ、安定した送液ができる送液装置を提供できる。例えば、液体の流れが継続的に続くだけでなく安定した一定の速度で液体を送液することができる。
【0014】
また、前記調整部は、前記流路と前記吸収体とを接続する調整流路を有してもよい。ここで、調整流路とは、調整部が流路で構成されたものをいう。なお、この明細書では、調整部は液調整部ともいう。
また、前記調整流路はその表面が親水性である送液装置であってもよい。この実施形態によれば、前記調整流路はその表面が親水性であるので、流路の送液力を増大させることができる。このため、受け入れられた液体が前記吸収体に達するまでの間、速やかな送液をすることができる。
【0015】
また、この発明の実施形態において、前記調整流路はその断面積が前記流路よりも小さくてもよいし、前記調整流路はその表面が凹凸面であってもよい。また、前記調整流路はその表面の表面粗さが前記流路の表面粗さよりも粗くてもよいし、前記調整流路は、その表面に柱状構造物を備えてもよい。これらの実施形態に係る装置によれば、上記の実施形態と同様に、吸収体による送液の圧力が前記調整流路により緩和され、強い局所的な負圧が流路にかからない。したがって、均一な圧力を流路に加えることができ、安定した送液ができる送液装置を提供できる。
【0016】
また、この発明の実施形態において、前記調整流路が前記吸収体に前記流路を介さず接してもよい。この実施形態によれば、前記調整流路が前記吸収体に前記流路を介さず接しているので、吸収体による送液の圧力が前記調整流路に直接的に伝わり、その圧力が緩和されやすい。このため、流路に強い負圧がよりかかりにくい送液装置を実現できる。
【0017】
また、この発明の実施形態において、前記流路は、前記受入れ部と前記調整流路との間に配置され、流路の液体を分析する分析部をさらに有してもよい。また、この発明の実施形態において、前記分析部は、前記分析部への液体の送液を制御する制御電極と、流路の液体の物質を検出する検出電極とを備え、前記制御電極に電圧を印加して送液を制御するとともに、前記検出電極から電流を検出して前記物質を検出する電極制御部をさらに備えてもよい。また、この発明の送液装置を備える液体分析装置であってもよい。例えば、タンパク質を分析する液体分析装置であってもよい。これらの実施形態によれば、均一な圧力を流路に加えることができ、安定した送液ができる送液装置を用いるため、分析の精度や分析の再現性が向上する。
【0018】
なお、この明細書では、送液装置とは、流路の液体を送る構造を備える装置をいう。例えば、液体を分析するためのマイクロ分析チップが含まれる。
以下、図面に示す実施形態を用いて、この発明を詳述する。
【0019】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態に係る送液装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は、この実施形態に係る送液装置の概念的な平面図及び断面図である。図2は、この実施形態に係る送液装置の動作を説明するための平面図である。
まず、図1を用いて第1の実施形態に係る送液装置の構成を説明する。
図1に示すように、この実施形態に係る送液装置は、流路114が設けられた第1の基板(主基板)110及び第2の基板(蓋基板)111と、流路114の端部に配置された排出部(排出孔)113側に設けられた吸収体106とを備えている。また、第1の基板(主基板)110に流路114が形成され、流路114は、その一端に液体を流路114に受け入れるための受入部(受入孔)112と、その他端に流路114の液体を排出するための前記排出部(排出孔)113が配置されている。
【0020】
第1の基板(主基板)110及び第2の基板(蓋基板)111は、第1の基板110がポリジメチルシロキサン材料(PDMS)で構成され、第2の基板111がガラス材料で構成されている。また、流路114は、第1の基板110に第2の基板111が重ね合わされて形成されている。
上記で説明したように、それぞれの基板(部分)の界面張力の和によって、流路の毛細管現象による送液圧力が決定されるので、この実施形態では、基板の界面張力を接触角で評価し、第1の基板110の界面張力と第2の基板111の界面張力とを考慮して、基板を選定している。この実施形態では、第1の基板110が100°〜120°の接触角の特性を備え、第2の基板111が5°〜30°の接触角の特性を備えている。このような接触角を備えるため、流路114は毛細管現象による送液が可能な状態となっている。この基板の接触角は、比抵抗が18mΩ・cmよりも大きい純水(25℃)を用いて、1気圧、25℃の条件で測定した値である。なお、第1の基板及び第2の基板には、純水に対する接触角が85°以下である基板を用いるとよい。さらに、接触角が75°以下である基板であるとより好ましく、接触角が60°以下である基板であるとさらに好ましい。
【0021】
また、この毛細管現象を決定する界面張力は、第1の基板110及び第2の基板111に親水化処理を施すことにより改善してもよい。例えば、親水処理剤処理やプラズマ処理、UV処理、親水性膜のコーティング、表面粗さの制御で親水化してもよい。つまり、第1の基板110及び第2の基板111の基板自体の特性(例えば、材質、表面形状)に起因する親水性でなくてもよい。
【0022】
また、第1の基板110及び第2の基板111には、PDMSやガラス以外の材料を用いてもよい。これらの基板の材料は、送液装置の目的や用途に応じて選択すればよく、特にPDMS等に限定されない。例えば、送液装置を液体の分析に用い、流路に光学的検出をするための検出部を設ける場合には、送液装置における液体を光学的に検出するため、これらの基板(第1の基板110及び第2の基板111の何れか一方または双方)に、透明または半透明の材料を用いてもよい。蛍光体による励起光による発光が少ない材料を選択してもよい。このような透明または半透明な材料として、ガラス、石英、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、フィルム等が挙げられる。ほか、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂が、透明性の観点のほか成型性の観点からも好ましい。また、蛍光体による励起光による発光が少ないプラスチック材料として、ポリメチルメタクリレートの水素原子をフッ素原子に置換したフッ化ポリメチルメタクリレート等のフッ素系のプラスチック材料や、触媒や安定剤等の添加剤に蛍光を発しない部材を用いたポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0023】
また、送液装置を電気的な制御や電気的な測定を行うために用いる場合には、流路や第1の基板110、第2の基板111の表面に電極を形成する必要があるため、第1の基板110又は第2の基板111の材料は、電極を形成することが可能な材料であるとよい。このような電極を形成することが可能な材料は、生産性、再現性の観点からガラス、石英、シリコン等の材料を挙げることができる。第1の基板110に流路を形成した場合、凹凸のある部分に電極を形成することは難しいので、流路が形成されていない第2の基板111に電極を形成するとよい。
なお、第1の基板110又は第2の基板111の厚みは特に限定されないが、例えば、0.1〜10mm程度であればよい。この実施形態では、第1の基板110の厚みを0.5mm、第2の基板の厚みを2mmとしている。
【0024】
また、流路114は、第1の基板110に形成された溝(凹部)が第2の基板111に覆われてることにより形成されている。この実施形態では、第1の基板110の厚みが0.5mmであるのに対し、この溝の深さは、50μmでの深さで形成されている。この溝の深さは、送液が毛細管現象により実現できる程度の深さであればよく、例えば、5μm〜500μm程度の深さで形成するとよい。なお、この溝は第1の基板をエッチング等することにより作成でき、例えば切削等の機械的な加工で作成してもよい。
【0025】
また、流路114を形成している溝は、その断面形状(液体を送液する方向に対して垂直な面における断面形状)が矩形となるように形成されている。この断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形状、楕円形状、半円状、逆三角形状等の断面形状であってもよい。毛細管現象が生じる流路構造であればよく、同じ断面構造である特定の領域ごとに界面張力を求め、その領域の構成比率に応じて界面張力を積算し、流路全体の毛細管現象による送液を考慮すればよい。なお、流路の全体又は一部に上記で説明した親水化処理を施して、流路全体の毛細管現象による送液を十分なものにしてもよい。
【0026】
また、流路114には、その一端から液体を流路114に受け入れるための受入部112と、その他端から流路114の液体を排出するための排出部113が配置されている。受入部112は、流路を形成している溝の一端に第1の基板110を貫通する貫通孔(受入孔)により形成され、排出部113は、流路を形成している溝の一端に第1の基板110を貫通する貫通孔(排出孔)により形成されている。受入部112及び排出部113は流路を形成する溝に繋がるよう形成されているので、第2の基板110でこの溝を覆うと、一つの液体の経路を構成することになる。これらの受入部112及び排出部113は、ともに2mmの直径の円形状の貫通孔で形成されているが、その大きさは、送液装置に注入する液体の特性を考慮して設計すればよく、例えば、直径10μm以上の貫通孔であるとよい。また、この実施形態では、第1の基板110側に受入部112及び排出部113を設けた形態をとっているが、流路114の端部に対応する第2の基板111に貫通孔を設けて構成してもよい。さらに、流路114の端部でなくとも、流路114の一部分に対応する位置に受入部112を設け、流路114の他の部分に対応する位置に排出部113を設けてもよい。例えば流路が分岐する位置に受入部112又は排出部113を設けてもよい。なお、受入部112、排出部113は、流路を形成する溝と同様に、第1の基板をエッチング等することにより作成でき、例えば切削等の機械的な加工で作成してもよい。
【0027】
また、吸収体106は、流路114の端部に配置され、この実施形態では、排出部113に配置されている。この吸収体106は、液体を吸収する構造体であり、吸収体106が流路114にある液体を吸収して流路114にある液体を送液する機能をもつ。この実施形態では、吸収体106が排出部113の貫通孔内部及び貫通孔から第2基板111までの間に配置されている。吸収体106を貫通孔内部、つまり、第1の基板の断面方向(厚み方向)内部に配置することにより、排出部113から数ミリメートル四方の領域に対して、数マイクロリットルから数十マイクロリットルの液体吸収力を持たせることができる。
【0028】
また、この実施形態では、吸収体106として、繊維物、つまり、BENCOT(登録商標。旭化成せんい(株)製)をφ2mmにカットした物を用いている。吸収体106は、送液する液体に応じて選択すればよいが、この実施形態で用いた繊維物のほか、例えば、多孔体、吸水性高分子(吸水性ポリマー等)、高分子ゲル、等の材料で形成された構造物を用いてもよい。なお、この実施形態では、吸収体106が第1の基板110の貫通孔内部及び貫通孔から第2基板111までの間に、配置されているが、第2の基板111に貫通孔を形成して排出部を設けた場合には、貫通孔内部のほか、第2の基板111の表面(第1の基板の反対側に相当する背面)に吸収体106を配置してもよい。
【0029】
また、図1に示すように、この実施形態に係る送液装置は、流路114がその一部分に液体の送液速度を調整する液調整部103(液調整流路)を有している。液調整部103は、受入部112と排出部113との間に配置され、受入部112と排出部113に繋がっている。また、液調整部103は、吸収体106と接して配置され、吸収体106は液調整部103よりも排出部側に配置されている。
この液調整部103には柱状構造物が配置されている。図4に、液調整部103を拡大した平面図を示す。図4は、液調整部103を上面から見たときの平面図であり、便宜上第1の基板を省略し、排出部の形状を省略して表示している。
【0030】
図4に示すように、液調整部103の流路表面(第2の基板表面)には、ピラー(pillar)状の構造物、つまり柱141が形成されており、この柱141の幅305および隣り合う柱の間隔304は、ともに30μmの大きさで形成されている。この柱状構造物が形成されることにより、流路における液体の流れに対する抵抗として作用し、吸収体106の液体吸収力による液体の流れに対抗する負荷として働く。このため、吸収体による送液の圧力が液調整部により緩和され、流路に強い負圧がかからず、流路内における液体をスムーズに排出することができる。この柱141の幅及び間隔は、それぞれ1μm〜1mm程度、0.1μm〜500μm程度の大きさであるとでよい。なお、この柱141は、圧膜レジスト(ノボラック系レジスト)を用いて周知のフォトリソ工程で形成すればよい。
【0031】
また、この液調整部103は、界面活性剤TWEEN20(GEヘルスケアジャパン(株)製が塗布されており、親水化処理が施されている。つまり、親水化処理が施されることにより、液調整部103は、流路114における他の部分よりも毛細管現象による送液の圧力が強く生じるように形成されている。この親水化処理は界面活性剤や親水性の官能基を持つ試薬を表面に塗布することによって実現できる。例えば、親水処理剤処理やプラズマ処理、UV処理、親水性膜のコーティング、表面粗さの制御で親水化してもよい。このような親水化処理により液調整部103が親水化すると、液調整部103は毛細管現象による送液が強く生じる領域となる。また、ピラー状の構造物表面を親水性にすることにより、液調整部103はさらに強い毛細管現象が生じる領域となる。このため、柱141間の隙間に毛細管現象による送液が強く働くこととなり、流路104から液調整部103への液の送液が容易になる。この実施形態では、液調整部103に吸収体106が接して配置されているので、液調整部103から吸収体106に液体がよりスムーズに送液され、液調整部103は、吸収体が持つ液体吸収力を緩和するだけでなく、液体が吸収体106に達するまでの間、送液を補助する。
なお、液調整部103は、流路と同様に溝により形成され、その溝の高さは、5μm〜500μm程度であればよい。この実施形態では液調整部103の溝の深さは50μmとしている。柱141の高さはこの溝の深さと同程度の高さであればよく、また溝の深さより低くてもよい。
【0032】
なお、この実施形態では、流路の毛細管現象により受入部112から排出部113へ液体の送液を行なっているが、受入部112から排出部113への間における流路の一部または全部に毛細管現象が生じない部分がある場合においても、外力等を利用して吸収体106へ液体を接触させて送液してもよい。液体が吸収体106に接すると吸収体106への液の流れが生まれ、送液装置は送液することができる。この場合でも液調整部103の機能は同様である。
また、図示しないが、受入部112から排出部113への間に検出部を設けてもよい。液体の流れが渋滞することがないので、検出の精度や検出の再現性が向上する。
【0033】
次に、図2及び図3を用いて、第1の実施形態に係る送液装置の動作について説明する。図2及び図3は、第1の実施形態に係る送液装置の動作を説明するための平面図及び断面図であり、便宜上、平面図では第2の基板は省略して記載している。図2の(1)〜(4)及び図3の(1)〜(3)が平面図であり、図3の(4)が図2の(1)に対応する断面図である。これらの図面において液体のある箇所を黒く表示している。
図2の(1)に示すように、まず、液体が送液装置の受入部112に注入されると、図2の(2)に示すように、流路114の毛細管現象により液体は排出部113の方向に流路114を伝わっていく。次いで、液体が液調整部103に達すると、液調整部103の流路面の親水性により液体の流路を伝わる速度が速まる。さらに、図2(4)に示すように、液体が排出部の貫通孔にある吸収体106に達すると、流路114の毛細管現象よりも吸収体106の液体吸収力によって、液体が流路を伝わるようになる。このとき、液調整部103は、吸収体106の液体吸収力による強力な液体の流れを緩和する役割を果たす。やがて、図3(1)〜(3)に示すように、注入された液体は吸収体106により吸収されて流路114を通過し、そのほとんどが吸収体に達し排出部から排出される。つまり、注入された液体は流路と液調整部を介して吸収体に吸収され、その結果流路から排出される。
このように、この実施形態に係る送液装置は、液調整部がその流路面の親水性により液体の伝わる速度を速めるので、液体が受入部から吸収体に到達するまでの間、速やかな送液をすることができる。また、流路の一部分に液調整部があるので、吸収体による送液の圧力が液調整部により緩和され、流路に強い負圧がかからない。このため、この実施形態に係る送液装置は、均一な圧力を流路に加えることができスムーズに液体を送液できる。
【0034】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態に係る送液装置について図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、第2の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。便宜上、平面図では第2の基板は省略して記載している。図5の(1)〜(4)及び図6の(1)〜(3)が平面図であり、図6の(4)が図5の(1)に対応する断面図である。これらの図面において液体のある箇所を黒く表示している。
【0035】
まず、図6の(4)を用いて第2の実施形態に係る送液装置の構成を説明する。この実施形態に係る送液装置は、その構成要素及び配置はほぼ第1の実施形態と同様であるが、この実施形態係る送液装置は、第1の実施形態と比較して、流路114及び液調整部103の形状が相違している。つまり、図6の(4)に示すように、この実施形態に係る流路114及び液調整部103は、液調整部103における断面積が、液調整部103以外における流路の断面積よりも小さくなるように形成されている。具体的には、液調整部103における流路の溝の深さは、液調整部103以外の流路の溝の深さよりも浅く、つまり、図6(4)で言えばその高さが低くなっている。この実施形態では、液調整部103以外における流路の高さ301が50μmに、液調整部103の高さ302が10μmに、それぞれ形成されている。この高さは、液調整部103以外における流路の高さ301に対する液調整部103の高さ302が0.9倍〜0.01倍程度の範囲で形成するとよい。これにより、吸収体が持つ液体吸収力により液体が液調整部103に達したときに、液調整部以外の流路と液調整部との接する部分においてその断面積が小さくなるので、吸収体が持つ液体吸収力が緩和され流路に強い負圧がかからない。このため、送液装置の液体の流れが渋滞することがない効果が生じることになる。ここで、断面積は、流路に接する接線を想定した場合に、その接線に対して垂直な面で流路をきったときの断面であり、例えば、流路の液体の流れる方向に対して垂直な面で流路をきったときの断面である。
【0036】
次に、図5の(1)〜(4)及び図6の(1)〜(3)を用いて、第2の実施形態に係る送液装置の動作について説明する。 図5の(1)に示すように、まず、液体が送液装置の受入部112に注入されると、図5の(2)に示すように、流路114の毛細管現象により、液体は排出部113の方向に流路114を伝わっていく。次いで、液体が液調整部103に達すると、液調整部103の流路面の親水性により液体の流路を伝わる速度が速まる。さらに、図2(4)に示すように、液体が排出部の貫通孔にある吸収体106に達すると、流路114の毛細管現象によりも吸収体106の液体吸収力によって液体が流路を伝わるようになる。このとき、液調整部以外の流路と液調整部との接する部分においてその断面積が小さくなるので、液調整部103は、吸収体106の液体吸収力による強力な液体の流れを緩和する役割を果たす。やがて、図6(1)〜(3)に示すように、注入された液体は吸収体106により吸収されて流路114を通過し、そのほとんどが吸収体に達し排出部から排出される。つまり、注入された液体は流路と液調整部を介して吸収体に吸収され、その結果流路から排出される。
このように、この実施形態に係る送液装置は、流路の一部分に液調整部があり、液調整部以外の流路と液調整部との接する部分においてその断面積が小さくなるので吸収体による送液の圧力が液調整部により緩和され、流路に強い負圧がかからない。このため、この実施形態に係る送液装置は、均一な圧力を流路に加えることができスムーズに液体を送液できる。
【0037】
(第3の実施形態)
この発明の第3の実施形態に係る送液装置について図7及び図8を参照して説明する。 図7及び図8は、第3の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。第2の実施形態と同様に、便宜上、平面図では第2の基板は省略して記載している。図7の(1)〜(4)及び図8の(1)〜(3)が平面図であり、図8の(4)が図7の(1)に対応する断面図である。これらの図面において液体のある箇所を黒く表示している。
【0038】
まず、図8の(4)を用いて第3の実施形態に係る送液装置の構成を説明する。この実施形態に係る送液装置は、その構成要素及び配置はほぼ第2の実施形態と同様であるが、この実施形態係る送液装置は、第2の実施形態と比較して液調整部103の形状が相違している。つまり、図8の(4)に示すように、この実施形態に係る液調整部103は、その表面が凹凸形状に形成されている。この凹凸形状は、縦30μm、横30μm、高さ30μmの凸状物により形成され、これらの凸状物は、第1の基板110に間隔が30μmで配置されている。この凹凸形状をなす構造物は、その高さが0.1μm〜500μm程度であればよく、隣り合う凹凸、つまり、凹部と凹部、又は凸部と凸部との間の長さが0.1μm〜500μm程度であればよい。また、凹凸形状をなす構造物が規制された部分はその幅が最長部で1μm〜1mm程度であればよい。この凹凸形状は型成型で形成できる。型側に反転する凹凸を設け、この凹凸を転写すればよい。なお、この型側の凹凸は、圧膜レジストを用い周知のフォトリソ工程で形成すればよい。
【0039】
次に、図7の(1)〜(4)及び図8の(1)〜(3)を用いて、第3の実施形態に係る送液装置の動作について説明する。 図7の(1)に示すように、まず、液体が送液装置の受入部112に注入されると、図7の(2)に示すように、流路114の毛細管現象により、液体は排出部113の方向に流路114を伝わっていく。次いで、第2の実施形態と同様に、液体が液調整部103に達すると、液調整部103の流路面の親水性により液体の流路を伝わる速度が速まる。さらに、図7(4)に示すように、液体が排出部の貫通孔にある吸収体106に達すると、流路114の毛細管現象よりも吸収体106の液体吸収力によって液体が流路を伝わるようになる。このとき、液調整部の表面に凹凸形状の構造物が形成されているので、液調整部103は、吸収体106の液体吸収力による強力な液体の流れを緩和する役割を果たす。やがて、図8(1)〜(3)に示すように、注入された液体は吸収体106により吸収されて流路114を通過し、そのほとんどが吸収体に達し排出部から排出される。つまり、注入された液体は流路と液調整部を介して吸収体に吸収され、その結果流路から排出される。
このように、この実施形態に係る送液装置は、流路の一部分に液調整部があり、液調整部の表面に凹凸形状の構造物が形成されているので、吸収体による送液の圧力が液調整部により緩和され、流路に強い負圧がかからない。このため、この実施形態に係る送液装置は、均一な圧力を流路に加えることができスムーズに液体を送液できる。
【0040】
(第4の実施形態)
この発明の第4の実施形態に係る送液装置について図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10は、第4の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。第2及び第3の実施形態と同様に、便宜上、平面図では第2の基板は省略して記載している。図9の(1)〜(4)及び図10の(1)〜(3)が平面図であり、図10の(4)が図9の(1)に対応する断面図である。これらの図面において液体のある箇所を黒く表示している。
【0041】
まず、図10の(4)を用いて第4の実施形態に係る送液装置の構成を説明する。この実施形態に係る送液装置は、その構成要素及び配置はほぼ第2及び第3の実施形態と同様であるが、この実施形態係る送液装置は、第2及び第3の実施形態と比較して液調整部103の形状が相違している。つまり、図10の(4)に示すように、この実施形態に係る液調整部103は、その表面の表面粗さが液調整部103以外の流路における表面粗さよりも粗く形成されている。この実施形態では、流路104(ただし、液調整部以外の流路)の算術平均粗さRaが4nm程度、液調整部の算術平均粗さRaが20nm程度となるように形成されている。この流路の表面の表面粗さは、流路の表面の算術平均粗さRaに対して液調整部の流路の算術平均粗さRaが1.1〜100倍の範囲程度であればよい。この液調整部の流路の算術平均粗さRaは、液調整部の表面を薬品処理等の化学的な処理やプラズマ、ガス等による処理で形成することができる。
【0042】
次に、図9の(1)〜(4)及び図10の(1)〜(3)を用いて、第4の実施形態に係る送液装置の動作について説明する。 図9の(1)に示すように、まず、液体が送液装置の受入部112に注入されると、図9の(2)に示すように、流路114の毛細管現象により、液体は排出部113の方向に流路114を伝わっていく。次いで、第2及び第3の実施形態と同様に、液体が液調整部103に達すると、液調整部103の流路面の親水性により液体の流路を伝わる速度が速まる。さらに、図9(4)に示すように、液体が排出部の貫通孔にある吸収体106に達すると、流路114の毛細管現象よりも吸収体106の液体吸収力によって液体が流路を伝わるようになる。このとき、液調整部の表面における表面粗さが液調整部103以外の流路における表面粗さよりも粗く形成されているので、液調整部103は、吸収体106の液体吸収力による強力な液体の流れを緩和する役割を果たす。やがて、図10(1)〜(3)に示すように、注入された液体は吸収体106により吸収されて流路114を通過し、そのほとんどが吸収体に達し排出部から排出される。つまり、注入された液体は流路と液調整部を介して吸収体に吸収され、その結果流路から排出される。
このように、この実施形態に係る送液装置は、流路の一部分に液調整部があり、液調整部の表面における表面粗さが液調整部103以外の流路における表面粗さよりも粗く形成されているので、吸収体による送液の圧力が液調整部により緩和され、流路に強い負圧がかからない。このため、この実施形態に係る送液装置は、均一な圧力を流路に加えることができスムーズに液体を送液できる。
【0043】
(第5の実施形態)
この発明の第5の実施形態に係る送液装置について図11及び図12を参照して説明する。図11及び図12は、第5の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。第2〜第4の実施形態と同様に、便宜上、平面図では第2の基板は省略して記載している。図11の(1)〜(4)及び図12の(1)〜(3)が平面図であり、図12の(4)が図11の(1)に対応する断面図である。これらの図面において液体のある箇所を黒く表示している。
【0044】
まず、図12の(4)を用いて第5の実施形態に係る送液装置の構成を説明する。この実施形態に係る送液装置は、その構成要素及び配置はほぼ第3の実施形態と同様であるが、第3の実施形態と比較して、この実施形態に係る液調整部103の表面に形成された凹凸形状が感光性の厚膜レジスト等を用いて形成され、第2の基板に配置されている点で相違している。第2の基板は平坦であるので、流路が形成された第1の基板に凹凸形状を形成するよりも作成が容易となる。凹凸形状の作成は、エッチング等によって第2の基板に形成してもよい。また、この凹凸形状は、第3の実施形態と同様に、縦30μm、横30μm、高さ30μmの凸状物により形成され、これらの凸状物は、間隔が30μmで配置されている。この凹凸形状をなす構造物は、第3の実施形態と同様の高さ、大きさ等が設計すればよい。なお、第5の実施形態に係る送液装置の動作は、第3の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
(第6の実施形態)
この発明の第6の実施形態に係る送液装置について図13及び図14を参照して説明する。図13及び図14は、第6の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図及び断面図である。第2〜第5の実施形態と同様に、便宜上、平面図では第2の基板は省略して記載している。図13の(1)〜(4)及び図14の(1)〜(3)が平面図であり、図14の(4)が図13の(1)に対応する断面図である。これらの図面において液体のある箇所を黒く表示している。
【0046】
まず、図14の(4)を用いて第6の実施形態に係る送液装置の構成を説明する。この実施形態に係る送液装置は、その構成要素及び配置はほぼ第4の実施形態と同様であるが、第4の実施形態と比較して、液調整部103のその表面の表面粗さが粗く形成されている部分が第2の基板である点で相違している。つまり、液調整部103のその表面の表面粗さが液調整部103以外の流路における表面粗さよりも粗く形成され、液調整部103における第2の基板の部分が粗く形成されている。この表面粗さの配置は第4の実施形態と同じに形成され、その設計は、第4の実施形態と同様の表面粗さであればよい。 なお、第6の実施形態に係る送液装置の動作は、第4の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0047】
(第7の実施形態)
この発明の第7の実施形態に係る送液装置について図15〜図17を参照して説明する。図15は、第7の実施形態に係る送液装置を説明するための平面図である。図16は、第7の実施形態に係る送液装置を構成する基板を説明するための図である。図17は、第7の実施形態に係る変形例を説明するための平面図である。この送液装置は、いわゆるチップの形態であり、送液チップといわれるものである。
【0048】
図15に示すように、第7の実施形態に係る送液装置(送液チップ)には、送液を制御するための制御電極、つまり第1及び第2の開閉バルブ2005,2006と、前記液体に含まれる活性物質を検出するための検出電極、つまり検出部2012とが形成されている。具体的には、この実施形態に係る送液装置は、流路の端部に第1及び第2の液調整部2003,2004が形成され、この第1及び第2の液調整部2003,2004に第1及び第2の液体用の受入孔2001,2002が第1の基板2101に貫通孔を設けて形成されている。また、流路は吸収体2014が配置された部分につながり、この部分には吸収体2014が配置されている。この吸収体2014が配置された部分には、第3の開放孔が第1の基板2101に貫通孔を設けて形成されている。また、流路は、第1及び第2の液調整部2003,2004に繋がる第1の流路2009と、第1の流路2009の中央部にT字型につながる第4の流路2008と、この第4の流路2008及び吸収体2014が配置された部分につながる第2の流路2010と、で構成されている。これらの流路のうち、第1の流路2009の第1及び第2の液調整部2003,2004との接合する部分に、第1及び第2の開閉バルブ2005,2006が形成され、第2の流路2010に検出部2012が形成されている。ここで、第4の流路2008は、第1及び第2の液体用の受入孔2001,2002から注入された液体をミキシングする。
【0049】
また、図16に示すように、流路及び液調整部、吸収体が第1の基板2101に配置され(図16の(1))、第1及び第2の開閉バルブ2005,2006、検出部2012が第2の基板2102に形成されている(図16の(2))。第1及び第2の開閉バルブ2005,2006、検出部2012は、配線に接続され、これらが第2の基板の端部で外部接続端子2015に接続されている。図示しないが、第1及び第2の開閉バルブ2005,2006、検出部2012は配線及び外部接続端子2015を介して制御部に接続され、制御部は、前記制御電極に電圧を印加して送液を制御するとともに,前記検出電極から電流を検出して前記活性物質を検出するように構成されている。第1及び第2の開閉バルブ2005,2006は、いわゆるエレクトロウエッティング技術を利用したバルブであり、制御部は、バルブ(電極)の電圧を変化させることによってバルブ(電極)上の液体の接触角が変化させ、送液の停止、通過を行う。
【0050】
この実施形態に係る流路、吸収体、液調整部の構成が第1の実施形態と同様である。 従って、この実施形態においても、液調整部が吸収体の液体吸収力を補助し、液体の流れが継続的に続くだけでなく安定した一定の速度で液体を送液することができる。また、流路の一部分に液調整部があるので、吸収体による送液の圧力が液調整部により緩和され、流路に強い負圧がかからない。このため、複数の流路で構成される送液装置であっても、液体がスムーズに流れ、第1及び第2の受入孔から注入された液体を検出部で均一に混合することができる。したがって、正確な測定が可能となる。
なお、図17に示すように、3枚の基板を重ね合わせることにより、送液装置を形成してもよい。基板2201に受入孔、排出孔、吸収体を収納する部分を、基板2202に流路を、基板2203に開閉バルブ、検出部(電極)、配線、端子をそれぞれ形成して送液装置を形成してもよい。
【0051】
(第8の実施形態)
この発明の第8の実施形態に係る送液装置について図18を参照して説明する。図18は、第8の実施形態に係る液体分析装置の構成を説明するための概念図である。
図18に示すように、この液体分析装置は、いわゆるハンディ型のマイクロ分析装置であり、携帯可能に構成されている。このハンディ型マイクロ分析装置は、マイクロ分析チップ2302と、このマイクロ分析チップを制御する制御用ハンディ機器2301とで構成されている。マイクロ分析チップ2302は、実施の形態7で説明した送液チップ(送液装置)に対応し、制御用ハンディ機器2301は実施の形態7で説明した制御部に対応している。このため、基本的な構成及び動作は第7の実施形態と同じであり、第7の実施形態と相違する部分について説明する。
【0052】
制御用ハンディ機器2301には、実施の形態7で説明した外部接続端子2015に接続する端子が設けられ(図示せせず)、マイクロ分析チップ(送液チップ、送液装置)が挿入されるチップ接続口2303が設けられている。マイクロ分析チップの外部接続端子2015をチップ接続口2303に挿入すると、制御用ハンディ機器2301内の外部入出力端子とマイクロ分析チップ2302の外部接続端子とが電気的に接続される。また、制御用ハンディ機器2301には、分析チップの測定結果(被検出物質の量など)を表示することができる表示部2304と、測定の開始、停止や、測定パラメータを特定するための様々なデータを入力することのできる入力部2305とが設けられている。例えば、入力部2305は、タッチパネル構造で構成される。さらに制御用ハンディ機器2301には、データを処理することのできるCPUや入力情報および出力情報を処理するI/O論理回路などの情報処理システム(図示しない)が組み込まれている。
【0053】
このマイクロ分析装置は次のように用いられる。まず、マイクロ分析チップ2302を制御用ハンディ機器2301に接続し、各種データを入力し、測定開始ボタンを押す。これにより、予めマイクロ分析チップに備えられ、且つ開閉バルブにより流路内への流入が停止されていた試薬液や試料液(被検液)などの溶液が流路内内に順次進入する。これにより各流路内で所定の反応が行われて検出可能物質になり検出部に至り、ここで被検出物質の量に応じた電気信号が発せられる。この電気信号は外部接続端子2015から外部に出力される。そして、外部接続端子2015から出力された信号は、外部接続端子2015と電気的に接続された制御用ハンディ機器の外部入力端子が受け取り、この信号を制御用ハンディ機器に予め格納されたソフト情報に基づいて分析する。これにより、被検出物質の量または種類などを特定することができる。
【0054】
このハンディ型マイクロ分析装置の制御用ハンディ機器2301は、例えば携帯電話やPDAなどの携帯電子機器で構成してもよい。ここでは携帯電話を例に挙げて説明する。例えばコンピュータ機能を備えた携帯電話に、上記したチップ接続口を設け、この携帯電話にマイクロ分析チップから発信されたデータを処理する分析ソフトを格納する。この携帯電話は通常は携帯電話として機能し、必要に応じて制御用ハンディ機器として機能させることができる。そして、例えば、携帯電話にマイクロ分析チップを接続し、携帯電話のボタンにより各種データを入力した後、測定開始ボタンとして設定されたボタンを押す。 これにより、あらかじめマイクロ分析チップに準備され、かつ開閉バルブにより流路内への流入が停止されていた試薬液や被検液などが流路内へ進行する。次いで、分析チップが順次動作して検出部において検出された被検出物質量に応じた電気信号を携帯電話に出力する。携帯電話のコンピュータがこの信号をソフト的に解析し被検出物質の量や種類などを特定する。これを携帯電話のディスプレイに表示する。また、オペレータの指示を受け、その電送機能を利用して解析情報を離れた場所にまで電送する。
【0055】
(第9の実施形態)
この発明の第9の実施形態に係る送液装置について図19を参照して説明する。図19は、第9の実施形態に係る液体分析装置の構成を説明するための概念図である。
図19に示すように、この液体分析装置は、いわゆる一体型マイクロ分析装置であり、サンプル採取部2401、液体流路部2402、駆動分析処理部2403、入出力論理処理部2404および出入力部2405が、それぞれ1つの基板に形成され構成されている。
【0056】
サンプル採取部2401は、その内部に毛細管が有する針が配置されており、この針を人体又は試料体に針を刺す等することにより血液や試料を採取するように構成されている。この針は、人体等に針を刺して血液等の体液を抽出するときに痛みが緩和されるので、低侵襲のマイクロプローブを用いるとよい。また、この針とともに、又は針の代わりに、非侵襲型の採取器具を設けてもよい。例えば、皮膚表面の汗、口腔内の唾液、涙や尿等を採取する吸液体を設けるのもよい。
また、液体流路部2402としては、実施の形態1〜4の送液装置と同様の流路装置を用いる。このうち、好ましくは実施の形態3で説明した流路装置を用いる。サンプル採取部2401に配置されている針の毛細管は液体流路部2402の液調整部2414と接続され、針に設けられている毛細管の毛細管現象によりサンプルが液調整部に流入するように構成されている。
【0057】
また、液体流路部2402は、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、塩化ビニル等の基板を用いて作成される。液体流路部2402に複数の検出部を配置してもよいし、また、複数の流路が配置されてもよい。
【0058】
駆動分析処理部2403は、CPU、メモリ、バッテリー(図示せず)等が設けられており、液体流路部2042の検出部や後述するI/O論理回路などに接続されている。この実施の形態は、全ての要素を含む一体型であるので、各種測定に対応した開閉バルブコントロールや、測定データの処理等が可能となるように、駆動分析処理部2403にCPUやメモリが設けられている。このメモリには、各種測定に対応したバルブコントロールシークエンス情報や、測定データの処理情報が格納されている。
【0059】
駆動分析処理部2403は、予め格納された上記情報に基づいて、測定開始時に開閉バルブを開き試薬液や試料液(被検液)などを流路内に流入させ、検出部が検出された電気信号を処理して、被検出物質の量または種類を特定する。このように、駆動分析処理部2403は、マイクロ分析チップを制御し、かつマイクロ分析チップで得た測定データをI/O論理回路(下記)に出力する構成になっている。なお、駆動分析処理部2403は、実施の形態7における図17の蓋基板2102と同様に構成することができ、また実施の形態8で記載した駆動制御要素を組み込みことができる。
【0060】
入出力論理処理部2404は、I/O論理回路を有し、このI/O論理回路は駆動分析処理部2403のCPUに接続されると共に、電気接続線を介して出入力部の各ボタン及び表示部に接続されている。入出力論理処理部2404は、駆動分析処理部2403のCPUと協働して、I/Oデータを処理し、出入力部のディスプレイ(LCD)に測定結果を表示すると共に、出入力部2405の入力ボタンで入力された電気信号に基づいてマイクロ分析チップを制御する。なお、この制御には、少なくとも開閉バルブの制御と検出部電極の制御が含まれる。出入力部2405には、CPUに指示を与える入力ボタンとディスプレイ(LCD)が設けられている。
【0061】
なお、ディスプレイはLCD(液晶ディスプレイ)に限られるものではなく、有機EL表示モジュール等であってもよい。このディスプレイは、駆動ドライバー回路をI/O論理回路とCPUが協働し駆動することにより表示動作を行う。表示形式としては、例えば数値表示、グラフ表示、「ある・なし」表示、更には経時変化表示など、多様な表示形式を採用することができる。
【0062】
出入力部には、図19に示さないが、外部との入出力を処理する端子、または、無線送受信機を設けることができる。これにより、パソコンやPDA端末などと接続でき、またネットワーク接続が可能になり、利便性が高まる。
【0063】
以上のように、実施の形態8の液体分析装置は、サンプルの採取からその測定と出力を一つの装置で行うことができる。特に外部との双方向の情報のやり取りを可能にする無線送受信機を組み込んだマイクロ分析チップ装置によると、例えば自宅で測定した人の健康に関する測定結果を直ちにネットワークを介して病院や健康管理センターなどに電送することができ、これにより、迅速かつ的確な診断や治療に関するアドバイスを受けることが可能になる。小型で利便性に優れたマイクロ分析チップ装置を提供することができる。
【0064】
(実施例)
主基板への流路114用の溝の形成には、金型による樹脂成型方法を用いた。金型は、シリコン基板にフォトリソ法でレジストパターンを形成後、ドライエッチングプロセス法によりエッチングを行って作製した。流路の幅を600μm、液調整部の寸法を5mm×5mmとし、液調整部に30μm×30μmの柱を30μmの間隔で配置した。また、作製された金型に型枠を設け、シリコンゴム(ポリジメチルシロキサン、東レダウコーニング社製 ジルポット184)を厚みが2mmになるまで流し込み、100℃、15分の加熱を行い、硬化させた。硬化後、金型と硬化したシリコンゴムを分離させた。次いで、シリコンゴムを縦20mm、横10mm、厚み2mmに整形し、入口孔、出口孔がφ2mmになるようにポンチで貫通孔を開け、第1の基板を作製した。作成した第1の基板の液調整部にTWEEN20(GEヘルスケアジャパン(株)製を塗布し、100℃で5分間乾燥させた。
第2の基板は、厚み600μmのテンパックスガラス基板をダイシングソーで縦25mm、横15mmに切断して作製した。吸収体106としてBENCOT(登録商標。旭化成せんい(株)製)をφ2mmにカットした物を用いた。作製した第1の基板と第2の基板とを貼り合わせ、排出孔に吸収体106を充填し、実施例にかかる送液構造体を作製した。
【0065】
次に、実施例に係る送液装置に液体を流す試験を行った。リン酸緩衝液を滴下すると、毛細管現象により送液構造体内の流路に溶液が入った。次いで、流路内の液体は液調整部へ進入し、吸収体106の吸収が行なわれ、入口穴(排気孔)から空気が進入し、流路内の溶液が完全に排出が行なわれた。
また、比較例として、液調整部のない送液構造体を作成した。液調整部以外は、上記の実施例の送液構造体を作製と同様に作製した。さらに、液体を流す実験も実施例と同様の方法で行った。
【0066】
図20及び図21に、その結果を示す。図20が実施例の結果を示す写真であり、図21が比較例の結果を示す写真である。図20において、四角形状の流路は液調整部である。図20を参照すると、(1)のAで示す液面が(2)に示すBの位置に移動し、さらに時間が経過すると、(3)に示す位置まで液面が移動していることがわかる。つまり、空気が進入し、流路114内の液が排出される様子が理解できる。これに対し、図21を参照すると、(1)のPで示す液面が(2)に示すQの位置に移動するとともに排出孔側のRにも液面が生じ逆側から空気が侵入していることがわかる。
以上より、比較例でスムーズに行われなかった液体の流れが、実施例の送液装置では、スムーズに行われていることがわかる。つまり、吸収体が持つ液体吸収力が液調整部により緩和され、流路に強い負圧がかかっていないことがわかる。また、送液装置の液体がスムーズに流れ、この送液装置は流路内に均一な圧力を流路に加えることができ、安定した送液ができることが理解できる。
【0067】
以上の実施形態で示した種々の特徴は、互いに組み合わせることができる。1つの実施形態中に複数の特徴が含まれている場合、そのうちの1又は複数個の特徴を適宜抜き出して、単独で又は組み合わせて、本発明に採用することができる。
【符号の説明】
【0068】
103 液調整部(液調整流路)
106 吸収体
110 第1の基板(主基板)
111 第2の基板(蓋基板)
112 受入部(受入孔)
113 排出部(排出孔)
114 流路
131、132、134、135、136、137、141、142、143、144、145、 断面図の位置を示す補助線
141 柱
201 溶液
151 凹凸がある領域
152 表面粗さが粗い領域
153 凹凸がある領域
154 表面粗さが粗い領域
301 流路の高さ
302 液調整部の高さ
304 柱と柱の間隔
305 柱の幅
2001 第1開放孔
2002 第2開放孔
2003 第1液調整部
2004 第2液調整部
2005 第1開閉バルブ
2006 第2開閉バルブ
2007 ミキサー部
2008 第4流路
2009 第1隘路
2010 第1流路
2011 第5流路(第2隘路)
2012 検出部
2013 第2流路(第3隘路)
2014 吸液体
2015 外部接続端子
2016 第3流路
2020 第3開放孔
1003 液体吸収部
1012 流入口
1014 毛細管状の流路
1013 連絡口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛細管状の流路と、
前記流路の一端に液体を受け入れる受入れ部と、
前記流路の他端に配置され、液体を吸収する吸収体と、
前記受入れ部と前記吸収体との間に配置され、受け入れられた液体が毛細管現象により流路の一端から他端へ送液されるときに、その送液の速度を調整する調整部と、
を備える送液装置。
【請求項2】
前記調整部は、受け入れられた液体が前記吸収体に達するまでの間は流路の送液力を増大させ、
前記吸収体に達した後は流路の送液力を低下させるように構成してなる請求項1に記載の送液装置。
【請求項3】
前記調整部が前記流路と前記吸収体とを接続する調整流路を有する請求項1又は2に記載の送液装置。
【請求項4】
前記調整流路はその表面が親水性である請求項3に記載の送液装置。
【請求項5】
前記調整流路はその断面積が前記流路よりも小さい請求項3又は4に記載の送液装置。
【請求項6】
前記調整流路はその表面が凹凸面である請求項3に記載の送液装置。
【請求項7】
前記調整流路はその表面の表面粗さが前記流路の表面粗さよりも粗い請求項3に記載の液体分析装置。
【請求項8】
前記調整流路は、その表面に柱状構造物を備える請求項3又は4に記載の送液装置。
【請求項9】
前記流路は、前記受入れ部と前記調整流路との間に配置され、流路の液体を分析する分析部をさらに有する請求項3〜8の何れか1つに記載の送液装置。
【請求項10】
前記分析部は、前記分析部への液体の送液を制御する制御電極と、流路の液体の物質を検出する検出電極とを備え、前記制御電極に電圧を印加して送液を制御するとともに、前記検出電極から電流を検出して前記物質を検出する電極制御部をさらに備える請求項8に記載の送液装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図22】
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【図23】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−169695(P2011−169695A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32795(P2010−32795)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】